以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。尚、以下に記載する各実施形態において、同一又は類似の構成要素には、同一又は類似の参照符号を付して表すこととする。
[画像形成システム]
図1に本発明に係わる画像形成システムの全体構成を示す。同図の画像形成システムは画像形成装置Aと用紙後処理装置Bとで構成され、画像形成装置Aで画像形成した用紙を用紙後処理装置Bで一時的に部揃え収納してステイプル綴じ等の後処理をした後に排出トレイに収納する。用紙後処理装置Bは、画像形成装置Aにおいて画像形成条件と共に設定された後処理(仕上げ処理)モードに応じて仕上げ処理した後に、用紙を排出トレイに収納するよう構成されている。以下に、画像形成装置A及び用紙後処理装置Bについて説明する。
[画像形成装置]
画像形成装置Aは、用紙上に静電印刷機構で画像を形成する場合を示し、給紙部2と画像形成部3と排紙部4とで構成されている。画像形成装置Aの装置ハウジング1には、画像形成する用紙を収納した給紙部2が内蔵され、この給紙部2は、装置ハウジング1に着脱自在な給紙カセット2a、2b、2cによって構成されており、給紙カセット2a、2b、2cはそれぞれ異なる用紙サイズに対応している。
画像形成部3は、給紙部2から搬送されてくる用紙へデータ処理部9から転送された画像データに従って画像形成する。図示の画像形成部3は静電印刷機構を示し、感光ドラム8に静電潜像を形成するビーム投光器と、静電潜像にトナーインクを付着する現像器10と、転写チャージャ11とクリーナとで構成されている。これらの具体的な構成と動作については広く知られているので、詳細な説明は省略する。
給紙部2からレジストローラ対7に搬送された用紙に、感光ドラム8に形成した画像インクを転写チャージャ11で転写する。転写チャージャ11の下流側には定着ローラ対12が配置され、転写された画像を加熱定着して用紙を排紙部4に搬送する。排紙部4は、装置ハウジング1に配置された画像形成装置排紙口13と、排紙ローラ対15とで構成される。
データ処理部9は、画像読取ユニット5が読み取った画像データ、或いは外部のネットワーク、コンピュータ入力装置などから送られた画像データを設定された画像形成条件に応じて、前述のビーム投光器に電気信号として送信する。
図示の画像形成装置Aは、それと一体な画像読取ユニット5と、このユニットに原稿用紙を給送する原稿用紙自動給送装置19とを備えている。画像読取ユニット5は、原稿用紙を載置するプラテン16と、このプラテン16に沿って移動する読取キャリッジ17とで構成され、プラテン16上の原稿用紙を読取キャリッジ17でスキャニングして画像データに変換するスキャナ装置で構成されている。また、原稿用紙自動給送装置19は、給紙トレイ20にセットした原稿用紙をプラテン16に自動的に給送するユニットとして画像読取ユニット5に一体に取り付けられている。
デュープレックスパス14は、画像形成部3から画像形成される用紙を表裏反転してレジストローラ対7に循環搬送し、用紙の裏面側に画像形成部3で画像形成し、排紙部4から画像形成装置排紙口13に搬出する。
画像形成装置Aは、上記静電印刷機構以外にも、インクジェット画像形成方式、オフセット印刷方式、シルク印刷方式などの種々の画像形成機構が採用可能である。
「用紙後処理装置」
本発明の用紙後処理装置Bは、図1に示すように画像形成装置Aから画像形成済みの用紙が搬入されると、該用紙を処理トレイ29に部揃えして収納した後、仕上げの後処理(整合処理、ステイプル綴じ処理等)を施し、処理した用紙(又は用紙束)を排出トレイ32に収納する。
図2は、用紙後処理装置Bの構成を詳細に示している。用紙後処理装置Bは、装置ハウジング21を備え、装置ハウジング21内には、用紙を搬送する搬送経路22と、搬送経路22を搬送される用紙の先端と後端とを反転させるための用紙反転経路27と、搬送される用紙の先端角部を角折り処理する用紙角折り機構50と、搬送経路22から搬送された用紙を一時的に収納する処理トレイ29と、処理トレイ29に積載された用紙の束を綴じ処理する用紙綴じ処理機構60と、搬送経路22から装置ハウジング21の外へ直接排出される用紙及び処理トレイ29で後処理された用紙を積載収納し、用紙の積載量に応じて昇降可能な排出トレイ32とで構成されている。
以下、本発明の第1実施形態に係る用紙後処理装置Bについて詳細に説明する。
[搬送経路]
搬送経路22(用紙搬送路)は、装置ハウジング21を略水平方向に直線状に横断するように形成されている。搬送経路22の入口側には、画像形成装置排紙口13に連結する搬入口101が設けられ、画像形成装置Aから搬送されてくる用紙を、下流側の処理トレイ29に向けて案内するように構成されている。
搬送経路22には、用紙搬送手段を構成する搬入ローラ対24及び排出ローラ対25が用紙搬送方向に沿って上流側から下流側へ順に配置されている。ここで及び以下の説明において、用紙搬送方向は、搬入ローラ対24側から搬出ローラ対25側に向けて用紙が搬送される方向である。搬入ローラ対24及び排出ローラ対25は、それぞれ後述する搬送ローラ駆動モータ109(図示せず)に連結されており、該搬送ローラ駆動モータに駆動されて用紙を搬入口101から排紙口103に向けて搬送する。
また、搬送経路22には、搬入ローラ対24の搬入口101側に搬入センサ23が、及び搬出ローラ対25の用紙搬送方向直ぐ上流側に排紙センサ102が、それぞれ配置されている。更に搬送経路22には、用紙反転センサ40が、搬送経路22と用紙反転経路27との接続部の用紙搬送方向直ぐ上流側に配置されている。搬入センサ23、排紙センサ102及び用紙反転センサ40は、それぞれ搬送経路22を搬送される用紙の先端及び後端を検出すると、用紙後処理装置Bの制御部200に組み込まれた制御CPU203に検出信号を送信する。制御部200は、後述するように、以下に説明する用紙後処理装置Bの各機構及び装置の動作を制御する。
「用紙角折り機構」
用紙角折り機構50は、搬送経路22上の搬入ローラ対24と搬出ローラ対25との間に位置し、搬送経路22を搬送される用紙33に後述する角折り処理を行う。図3は、用紙角折り機構50の斜視図を、図4はその断面図を、図5はその上面図をそれぞれ示している。
用紙角折り機構50は、上下フラッパ51、52と、上側及び下側用紙ガイド53,54と、折りローラ対55とから構成される。図4に示すように、上下フラッパ51、52と上側及び下側用紙ガイド53,54は、それぞれ搬送経路22に関して上下対称に設けられている。
図3及び図4に示すように、搬送経路22は、上側及び下側用紙ガイド53,54の部分を除いて、折りローラ対55よりも用紙搬送方向の上流側が上下方向に狭い隙間で制限されている。この隙間によって、搬送経路22内を搬送されている用紙33の先端が、該搬送経路の外側へ変向しないように、即ち用紙33の面に関して垂直方向(上向き又は下向き)に変向しないように構成されている。
搬送経路22の前記隙間には、上側及び下側用紙ガイド53,54を設けた部分がそれぞれ切り欠かれ、用紙搬送方向に平行な第1辺と、該第1辺の用紙搬送方向上流端から用紙搬送方向と直交する方向(以下、用紙幅方向という)に平行に搬送経路22の側辺部まで外側に延びる第2辺と、前記第1辺の用紙搬送方向下流端と前記第2辺の用紙幅方向外端とを斜め直線状に結ぶ第3辺とからなる三角形の開口部が形成されている。上側及び下側用紙ガイド53,54は、それぞれ搬送経路22の前記三角形開口部を塞ぐように該三角形開口部から外向きに突設されている。
図3~図5に示すように、上側用紙ガイド53は、前記三角形開口部の前記第1辺及び第2辺からそれぞれ搬送経路22の外側に、前記三角形の内側にやや傾斜させて立設された平坦で略扇形の第1,第2壁部と、前記第3辺から搬送経路22の外側に、前記三角形の内側に湾曲させた略三角形の第3壁部とを有する。前記第1,第2壁部は、前記第1辺と第2辺と交点から延出する直線状の側辺で一体に結合され、前記第3壁部は、両側辺が前記第1,第2壁部の前記略扇形の湾曲した側辺に一体に結合している。
これにより、上側用紙ガイド53の内部には、後述するように用紙の角部を搬送経路22の外側に屈曲させるための密閉された空間が画定される。上側用紙ガイド53の前記第3壁部を形成する前記三角形の第3辺によって、用紙33の角部に形成される角折り部の傾斜角度が決定される。下側用紙ガイド54は、上側用紙ガイド53と上下対称に設けられているので、説明を省略する。
上フラッパ51及び下フラッパ52は、それぞれ同一寸法形状の矩形平板部材で形成され、搬送経路22の上下の前記三角形開口部の第2辺から、該開口部内に収まるように突設されている。上下フラッパ51、52は、それぞれ搬送経路22の上下の前記三角形開口部の第2辺又はその付近に、用紙幅方向を中心として搬送経路22に対して外向きに、即ち垂直方向上向き及び下向きに、上側及び下側用紙ガイド53,54により画定される前記空間内で揺動するように支持されている。
上下フラッパ51、52は、該上下フラッパと重なる位置で搬送される用紙33の角部を搬送方向の外側(垂直方向上向き又は下向き)に変向させる、即ち反らせるための用紙角部誘導手段(第1の誘導手段)としての機能を有する。上側及び下側用紙ガイド53,54は、上下フラッパ51、52によって搬送方向の外側に変向された用紙33の角部を内側へ即ち用紙側に反り返らせ、巻き込んで屈曲させるための用紙角部誘導手段(第2の誘導手段)としての機能を有する。後述するように、前記上下フラッパと上側及び下側用紙ガイドとの組合せによって、角折り処理する用紙33の角部が、図4及び図5に示すように屈曲される。
このように屈曲された用紙33の角部を折り込むための角折り手段として、折りローラ対55が、搬送経路22の上側及び下側用紙ガイド53,54の用紙搬送方向下流端に隣接して設けられている。折りローラ対55は、図5に示すように、その長さ即ち用紙幅方向の寸法が、搬送される用紙33に施される角折り部の幅より大きく、それにより上下の折りローラ間で角折り部全体を圧接するように配置されている。
折りローラ対55は、用紙幅方向に、角折り処理しようとする用紙の角部に対応する位置にのみ設けられている。そのため、折りローラ対55が、上下の折りローラ間で搬入ローラ対24又は排出ローラ対25と同様の用紙搬送力を発揮し得るように設定されていると、搬送されている用紙33にスキューを発生させる虞がある。そのため、折りローラ対55は、用紙搬送力が搬入ローラ対24及び排出ローラ対25よりも小さくなるように設定されている。
また、折りローラ対55によって形成された角折り部は、用紙が用紙角折り機構50から下流側で、搬送ローラ対25、反転経路ローラ対26又は他の用紙搬送用のローラ対によって搬送される際に、それらローラ対に直接ニップされると、該角折り部の折られている部分が、ローラ面に吸い付く等して浮いたり元に戻ったりし、用紙のジャム即ち搬送不良を引き起こす虞がある。そのため、折りローラ対55と、それより下流側に配置される用紙搬送用のローラ対とは、用紙幅方向に重ならないように、ずらして配置することが好ましい。
本実施形態の折りローラ対55は、搬入ローラ対24と同じ駆動源(駆動モータ)で駆動されているが、排出ローラ対25と同じ駆動源(駆動モータ)で駆動されるように構成することもできる。また、本実施形態では、前記角折り手段として、搬入ローラ対24又は排出ローラ対25と同様の上下ローラ対からなる折りローラ対55を採用したが、これ以外の角折り手段も可能である。例えば、屈曲された用紙の角部を圧接しないが、角折り部を形成し得る程度に狭い隙間を有する従動コロ対や、狭い隙間を有する湾曲ガイド対のような構成としても良い。これらの場合、角折り手段は元より用紙搬送力を持たないように設定することができる。
次に、用紙角折り機構50による角折り動作について説明する。図6は、搬送経路22を搬送されている用紙33の角部を用紙角折り機構50で上折り処理する、即ち上向きの角折り部を形成する過程を順に断面方向から見た図であり、図7は、それらの過程を上方から見た図である。
用紙後処理装置Bに搬入された用紙33は、搬送経路22上を搬入ローラ対24によって用紙角折り機構50に向けて搬送される。そのとき、用紙33の搬送位置は、該用紙の先端及び後端を搬入センサ23が検出することによって確認される。
用紙33を角折り処理しない場合、上フラッパ51及び下フラッパ52は、図6_a)及び図7_a)に示すように、搬送経路22と同じ高さに、即ち本実施形態では水平に維持される。従って、用紙33は、角部が搬送経路22の外側に反り返されたり屈曲されることなく、通常の用紙搬送と同様に、そのまま折りローラ対55を通過する。用紙33を角折り処理するしないは、後述するように画像形成装置Aに設けられた本体制御部202からの指示の有無によって決定される。
本体制御部202から角部の上折り処理の指示があった場合、上フラッパ51及び下フラッパ52を、図6_b)及び図7_b)に示すように、上向きに所定の角度位置まで揺動させる。これにより、搬送されている用紙33の角折りしようとする角部は、図6_b)及び図7_b)に示すように、搬送されながら上向きに反るように変向され、上側用紙ガイド53の内側に案内される。このとき、上フラッパ51及び下フラッパ52は、用紙33の角部を上側用紙ガイド53内により導き易くするように、搬送経路22の経路幅を維持したまま揺動動作させる。
上向きに変向されて上側用紙ガイド53内に導かれた用紙33の角部は、図6_c)及び図7_c)に示すように、用紙33が用紙搬送方向に搬送され続けていることによって、上側用紙ガイド53の前記第3壁部の湾曲面に沿って内側に即ち用紙側に反り返されて巻き込まれ、屈曲する。上下フラッパ51、52は、用紙33の角部が上側用紙ガイド53内に到達した後、該用紙の先端が折りローラ対55のニップ位置に到達する前に、元の水平位置に戻される。
用紙33は、上述したように角部が屈曲された状態のまま、搬送経路22上をそのまま折りローラ対55に向けて搬送される。これにより、用紙33の屈曲された角部は、折りローラ対55の折りローラ間に挟み込まれ、上下から押圧されて圧接された状態で搬送される。これにより、用紙33の角部には、図6_d)及び図7_d)に示すように、上折り処理が行われ、上向きの角折り部が形成される。
本体制御部202から角部の下折り処理の指示があった場合、上フラッパ51及び下フラッパ52は、下向きに所定の角度位置まで揺動させられる。これにより、用紙33の角部は、下向きに変向されて下側用紙ガイド54内に導かれ、下向きに屈曲される。下向きに屈曲された用紙33の角部は、上述した角部の上折り処理と同様に処理され、折りローラ対55で圧接されて、下向きの角折り部が形成される。
本実施形態では、用紙の角部を搬送経路22の外側に変向させる用紙角部誘導手段(第1の誘導手段)として、上フラッパ51及び下フラッパ52を用いたが、本発明は、これに限定するものではない。搬送されている用紙33の角部を搬送経路22から上向き又は下向きに反らせることが可能なものであれば、上下フラッパ51、52と異なる様々な構成が考えられる。
例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)等からなる柔軟で高耐久性の樹脂シート部材を、上向き又は下向きの少なくともいずれか一方に或る角度で傾斜した状態で、上側又は下側用紙ガイド53又は54の前記三角形開口部の第2辺に、その傾斜角度を一定に固定して設けたり、搬送経路22の途中に用紙の端部を変向させる形状の固定突起物等を設けることもできる。これらの固定された変向手段を用いる場合、該変向手段の位置を通過する用紙の角部は常に角折り処理されることになるから、角折り処理しない用紙は、前記変向手段の位置を通過しないように、その搬送位置を用紙幅方向にシフトさせることが好ましい。
本実施形態において、添付図面では、用紙の一方の角部のみを角折り処理するように、搬送経路22に1つの用紙角折り機構50を設けている。本実施形態では、搬送経路22の幅方向に2つの用紙角折り機構50を設けることができる。この場合、両用紙角折り機構50は、用紙の搬送方向に関して左右対称に構成され、それぞれの上側及び下側用紙ガイド53,54の前記第3壁部が、互いに湾曲面を搬送経路22の幅方向に対向させるように配置する。これにより、用紙の先端側の両方の角部を又はいずれか一方の角部を選択的に角折り処理することができる。
「用紙反転経路」
用紙反転経路27は、用紙角折り機構50を用紙搬送方向に通過して搬送経路22を搬送される用紙の先端と後端を反転させるために、図2に示すように、用紙角折り機構50と排出ローラ対25との間で搬送経路22から図中下方に分岐して設けられている。用紙反転経路27には、搬送経路22との接続部から少し入った位置に、反転経路ローラ対26が設けられている。反転経路ローラ対26は、図示しない反転経路ローラ駆動モータ114により駆動されて、用紙を搬送経路22から用紙反転経路27内に移動させ、また該搬送経路に戻すのに使用される。
用紙反転経路27と搬送経路22との接続部には、経路切替フラッパ113が設けられている。経路切替フラッパ113は、搬送方向下流側の基端部を支点として、上流側の先端部を図中上下に揺動可能に枢支されている。経路切替フラッパ113は、図示しない経路切替フラッパ駆動モータ115により駆動されて、搬送経路22を用紙が上流側から下流側に搬送されるのを可能にする通常搬送位置と、搬送経路22から用紙反転経路27に向けて用紙の搬送を可能にする用紙反転位置との間で揺動する。通常、経路切替フラッパ113は、搬入口101から搬入された用紙が、搬送経路22を搬入ローラ対24及び排出ローラ対25により排紙口103まで搬送されるように、通常搬送位置に配置されている。
経路切替フラッパ113を前記通常搬送位置から用紙反転位置に切り替えると、搬送経路22を用紙搬送方向に搬送される用紙は、経路切替フラッパ113によって用紙反転経路27に案内され、更に反転経路ローラ対26によって該用紙反転経路内を奥へと搬送される。反転経路ローラ対26は、用紙反転経路27に案内された用紙の後端を用紙反転センサ40が検出してから所定の時間経過後、該用紙の後端をニップした状態で一旦停止させ、該用紙を一時的に保持する。その後、反転経路ローラ対26を逆方向に回転させることにより、用紙反転経路27内の用紙は搬送経路22に戻され、その先端側が排出ローラ対25にニップされて用紙搬送方向に搬送される。これにより、搬入口101から搬入された用紙は、その先端と後端とを反転させて、搬送経路22を排紙口103に向けて搬送される。
後述するように、処理トレイ29に積層された用紙の束を冊子状に綴じ処理する際に、用紙綴じ処理機構60によって綴じ込まれる用紙(以下、綴じ用紙という)は、用紙反転経路27内に経由することなく、搬送経路22を用紙搬送方向に搬送され、排紙口103を経て処理トレイ29に排出収容される。このとき、経路切替フラッパ113は前記通常搬送位置に設定されている。
これに対し、冊子状に綴じ処理される用紙の束には含まれるが、用紙綴じ処理機構60によって綴じ込まれない用紙(以下、非綴じ用紙という)は、搬送経路22を用紙搬送方向に搬送される途中、用紙角折り機構50によって先端側の角部が角折りされた後、前記
用紙反転位置に切り換えられた経路切替フラッパ113によって、用紙反転経路27内に搬送保持される。その後、非綴じ用紙は、その先端と後端とを反転させた状態で、用紙反転経路27から搬送経路22に戻され、用紙搬送方向に搬送されて排紙口103から処理トレイ29に排出収容される。これにより、非綴じ用紙の角折り部は、処理トレイ29上で搬送方向後端側(上流側)に配置されることになる。
上述したように用紙を搬送して処理トレイ29に積層した場合、綴じ用紙と非綴じ用紙とでは、その表裏が画像形成装置Aでの画像形成時とは反対向きになってしまう。画像形成装置Aでの画像形成時の表裏を合わせて綴じ用紙と非綴じ用紙とを処理トレイ29上に積層するためには、予め画像形成装置Aにおいて、画像形成する面を綴じ用紙と非綴じ用紙とで切り換えるように設定することが好ましい。別の実施形態では、綴じ用紙も用紙反転経路27で反転させることによって、画像形成装置Aにおける画像形成面の切り換えを回避することができる。
「処理トレイ」
排紙口103の下流側には処理トレイ29が配置されている。処理トレイ29は、用紙の排出方向(図2では右から左の方向)での後端部を支持する処理トレイ紙載台29aを備えている。処理トレイ紙載台29aは、排出トレイ32との間で排紙口103から搬送された用紙を略水平方向にブリッジ支持するように配置されている。
処理トレイ29には、用紙の排出方向での後端部を位置規制する規制ストッパ105が配置されている。搬送経路22から排出される用紙は、後述する反転ローラ対28によって、排出方向とは反対の方向(図2では右方向)に反転搬送されて、排紙口103の下方に配置されている処理トレイ29に収容される。処理トレイ29に収容された用紙は、規制ストッパ105によって排出方向の後端側で部揃えすることができる。
上述したように角折り処理後に用紙反転経路27を経由して処理トレイ29に収容した非綴じ用紙の角折り部が上向きであると、その後に処理トレイ29に収容される用紙は、綴じ用紙又は非綴じ用紙であるかに拘わらず、その排出方向の後端が先の非綴じ用紙の角折り部に引っ掛かり、規制ストッパ105まで到達できずに部揃えできない虞がある。そのため、非綴じ用紙は、角折り部が処理トレイ29上で下向きになるように、用紙角折り機構50で上向きに角折り処理することが好ましい。
「用紙綴じ処理機構」
処理トレイ29に隣接して、用紙綴じ処理機構60が配設されている。用紙綴じ処理機構60は、ステイプルユニット31と整合機構30とを備える。ステイプルユニット31は、従来から採用されている周知のものであり、反転搬送により処理トレイ紙載台29a上に積載され部揃えされた用紙束をステイプル針で綴じ処理する。本実施形態の用紙綴じ処理機構60は、処理トレイ29上の用紙束をその排出方向後端側の角部で綴じ処理するように構成されている。
「整合機構」
処理トレイ29には、図2で示すように、排紙口103から搬送されてくる用紙の用紙幅方向に該用紙の搬送方向と直交する向きに進退して位置決めする整合手段である整合機構30が配置されている。整合機構30は、図8の平面図に示すように、排紙口103から処理トレイ29に搬入された用紙33のセンターを基準に位置合わせを行うために、処理トレイ29上の用紙の左側縁と係合する左整合板30Lと、用紙の右側縁と係合する右整合板30Rとを備える。
この左右の整合板30L及び30Rはそれぞれ処理トレイ29の処理トレイ紙載台29aに形成されているガイド溝(図示せず)に嵌合支持され、用紙の搬送方向と直交する向き(以下、「用紙幅方向」という)にスライドして移動可能となっている。そして、処理トレイ29の底部には前記ガイド溝に沿って一組のプーリ対111を配置して、それぞれのプーリ対111にはベルト112が架け渡されている。そして、各ベルト112には、左右の整合板30L及び30Rがそれぞれ固定されている。また、各プーリ対111の一方のプーリにはシフトモータMZ1及びMZ2が連結されている。
このような構成で左右一対形成されている左整合板30Lと右整合板30Rとは、それぞれの整合板LシフトモータMZ1及び整合板RシフトモータMZ2の駆動で用紙幅方向に往復移動する。このとき、整合板LシフトモータMZ1及び整合板RシフトモータMZ2を同期させて反対方向に同一量回転駆動させることで、処理トレイ29上に搬入された用紙をセンター基準で整合することが可能となる。
「用紙搬出機構」
上述の処理トレイ29には、排紙口103から用紙を処理トレイ紙載台29a上に搬送する反転ローラ対28と、処理トレイ紙載台29a上の用紙を規制ストッパ105に送る掻込みローラ104が配置されている。反転ローラ対28は、排紙口103から送られた用紙を、一旦排出方向に搬送した後に排出方向とは異なる規制ストッパ105に向かう反転搬送方向に送る正逆転ローラで構成されている。図示の反転ローラ対28は、処理トレイ29の上方に位置する反転上部ローラ28aと下方に位置する反転下部ローラ28bで構成され、両ローラは圧接離間するローラ対で構成されている。
反転下部ローラ28bは、処理トレイ紙載台29aに埋設された固定ローラ構造であるのに対し、反転上部ローラ28aは、後処理装置ハウジング21に昇降可能に構成されている。反転上部ローラ28aは、後処理装置ハウジング21に揺動可能に軸支持された昇降アームに取り付けられている。前記昇降アームには、該昇降アームを昇降させるためにソレノイド、モータ等のアクチュエータが連結されている。反転上部ローラ28aには、これを排出方向及び反転搬送方向に回転させるために、正逆転可能な反転ローラ駆動モータ108(図示せず)が連結されている。
後述する制御CPU203は、排紙センサ102から用紙先端の検出信号を受信してから、該用紙先端が反転ローラ対28のローラニップ位置に到達するまで、反転上部ローラ28aを離間した上昇位置に位置させ、用紙先端がローラニップ位置に到達した後は、反転上部ローラ28aを反転下部ローラ28bに圧接する作動位置まで下降させる。反転上部ローラ28aは、用紙後端が排紙口103から搬出されるまで排出方向に回転させ、一旦停止した後に反転搬送方向に回転させる。これによって、排紙経路22から排出される用紙は、最初排出方向に送られ、用紙後端が排紙口103から処理トレイ29上に進入した後、反転搬送方向に進む。
つまり後述する制御CPU203は、排紙センサ102で用紙先端を検出した後、用紙先端が反転ローラ対28のローラニップ位置に到達するタイミングで、上方に待機している反転上部ローラ28aを下方のニップ位置に降下させ、反転下部ローラ28bと圧接した状態で排出方向に所定量回転後に一旦停止させ、その後に反転搬送方向に回転させる。この制御は、排紙センサ102で用紙先端を検出した信号と用紙後端を検出した信号を基準に遅延回路が構成されている。
掻込みローラ104は、排紙口103の排出ローラ対25と一体に回転するベルト部材(図示せず)で構成され、排出ローラ対25から処理トレイ紙載台29a上の最上用紙の上に垂れ下がるように配置されている。掻込みローラ104は、排出ローラ対25と同一方向に回転して、処理トレイ紙載台29aの用紙に規制ストッパ105に向かう搬送力を付与する。掻込みローラ104として、前記回転するベルト部材に限らず、上下に揺動するローラ構造、パドル構造など種々の機構が採用可能である。
「排出トレイ」
排出トレイ32は、用紙を積載収納する排出トレイ紙載面32aと、排出トレイ紙載面32aに積載された用紙端部を突き当てさせて規制する用紙端規制面32bとを有する収納構造で構成されている(図2参照)。排出トレイ32は、排出トレイ紙載面32aが、排出方向上流端の用紙端規制面32bにおいて用紙の排出位置(反転ローラ対28)から下方に所定の高さ距離を有するように配置される。排出トレイ32には、排出トレイ32上の既積載紙有無を検出するために、上述した既積載紙有無センサ116(図示せず)が設けられている。
排出トレイ紙載面32aは、上下動する昇降トレイ構造で構成されている。図2に示すように、後処理装置ハウジング21の排出トレイ32を配置した側部には、上下方向に延長するガイドレール106が設けられている。ガイドレール106には、排出トレイ32を一体に固定したトレイ載台32cが、該ガイドレールに案内されて上下方向に移動可能に取り付けられている。
トレイ載台32cには、例えば、上下プーリ間に巻回されたベルトやワイヤー等の牽引部材が結合されている。後述する排出トレイ昇降モータ118(図示せず)により上側のプーリを正逆回転させて、前記牽引部材を送り出し又は巻き上げることによって、排出トレイ32を所望の高さ位置に移動させることができる。
排出トレイ紙載面32aは、図2に示すように、用紙の排出方向上流側(装置ハウジング21側)から下流側に向けて高くなるように傾斜が設けられている。排出トレイ32に排出される用紙は、最初に先端が垂れ下がって排出トレイ紙載面32aに着地し、全体が反転ローラ対28から送り出されて、該排出トレイ紙載面の用紙端規制面32bより前方に即ち排出方向下流側に落下する。排出トレイ紙載面32aに落下した用紙は、排出トレイ紙載面32aをその傾斜に沿って滑り落ち、用紙端規制面32bに突き当たって停止する。
排出トレイ紙載面32aの水平面に対する傾斜角度は、通常概ね40°以上に設定されるが、排出トレイ32に積載する用紙の種類に応じて変更させることができ、例えば35°以上に設定される。一般に前記傾斜角度を大きくすると、用紙は排出トレイ紙載面32a上を高速で滑り落ち、小さくすると、緩やかに滑り落ちる。従って、前記傾斜角度を大きく設定することによって、用紙をより迅速に排出トレイ紙載面32aに積載し、用紙後処理装置B全体の寸法を用紙の搬送方向(図中左右方向)に小型化することができる。
別の実施形態では、排出トレイ32に排出された用紙を下方に用紙端規制面32bに寄せるための寄せローラを設けることができる。前記寄せローラは、例えば用紙端規制面32bに近い位置で排出トレイ紙載面32aの上方に配置され、排出トレイ32に排出された用紙の上面に当接して、該用紙を下方へ送る向きに回転する。これにより、排出トレイ紙載面32a上の用紙を、反転ローラ対28から排出トレイ32に送り出す用紙の排出方向とは反対の方向に整合させて、より確実かつ良好に揃えることができる。
[制御構成]
本実施形態の用紙後処理装置Bの制御構成を、図9のブロック図に従って説明する。用紙後処理装置Bの制御部200は、画像形成装置Aの本体制御部202に接続され、本体制御部202は、同じく画像形成装置Aに設けられたユーザ操作部201に接続されている。
制御部200は、制御CPU203によってコンピュータ制御され、ROM204に記憶された制御プログラムデータをRAM205にコピーし、それに従って後処理動作を制御する。この後処理動作では、用紙後処理装置Bに搬入されて搬送される用紙33に対して、上述した用紙角折り機構50による角折り処理だけでなく、処理トレイ29に部揃えして収納した用紙束にステイプル綴じ等の後処理を施したり、後処理した用紙束を排出トレイ32に排出する動作を実行する。
制御CPU203には、画像形成装置Aの本体制御部202から用紙情報(搬送方向サイズ、用紙幅方向のサイズ、坪量等)やジョブ開始信号、ジョブ終了信号が入力される。これらの情報や信号を受信すると、制御CPU203は、RAM205にコピーされた制御プログラムデータに基づき、用紙後処理装置Bの動作を制御する。
制御CPU203は、画像形成装置Aから搬出された用紙を搬送経路22に受け入れて搬送する搬送制御部203aと、用紙整合制御部203bと、後処理制御部203cと、用紙束排出制御部203dと、用紙角折り機構50を制御する角折り制御部203eとを備えている。上述した角折り処理においても、制御CPU203は、RAM205にコピーされた制御プログラムデータに従って、用紙後処理装置Bの角折り処理を制御する。
搬送制御部203aは、搬入口101から搬入された用紙を、搬送経路22を通して搬送し、排紙口103から排出するために、搬入センサ23の検出信号に基づいて搬送ローラ駆動モータ109を制御して、搬入ローラ対24及び排出ローラ対25を回転させる。前記用紙が綴じ用紙の場合、その搬送方向先端が経路切替フラッパ113に到達する前に経路切替フラッパ駆動モータ115を制御して、経路切替フラッパ113を通常搬送位置に位置させる。角折りローラ対55も、同様に搬送ローラ駆動モータ109を制御することによって回転させる。
搬入口101から搬入された用紙が非綴じ用紙の場合、搬送制御部203aは、該用紙の搬送方向先端が経路切替フラッパ113に到達する前に経路切替フラッパ駆動モータ115を制御して、経路切替フラッパ113を用紙反転位置に位置させる。更に、反転経路ローラ駆動モータ114を制御して、反転経路ローラ対26を正方向及び逆方向に切り換えて回転させ、非綴じ用紙を用紙反転経路27内に搬送し、また該用紙反転経路から搬送経路22に搬出させる。
また、搬送制御部203aは、搬送経路22を搬送されてきた用紙33を処理トレイ29に積載する際には、反転上部ローラ28aを、反転下部ローラ28bから離間した上昇位置に待機させ、搬送される用紙33の先端が反転ローラ対28のニップ位置を通過した後に、反転上部ローラ28aを下降させて反転下部ローラ28bに圧接させるように、反転ローラ昇降モータ110を制御する。更に、反転ローラ対28は、搬送される用紙33の後端が排紙センサ102を通過するまでは、用紙を排出方向に搬送するよう回転し、排紙センサ102が用紙後端を検出すると、一旦回転を停止した後に逆回転することで、用紙を規制ストッパ105に向けて(排出反対方向に)搬送する。反転ローラ対28の回転は、反転ローラ駆動モータ108を制御することで実施される。
反転ローラ対28により規制ストッパ105に向けて搬送される用紙33は、掻込みローラ104により規制ストッパ105まで搬送されて、処理トレイ29に積載される。掻込みローラ104は、排出ローラ対25と同様に、搬送制御部203aにより制御される搬送ローラ駆動モータ109によって駆動される。
用紙33を、排紙口103から排出した後に処理トレイ29に収納せずに、排出トレイ32に直接排出する場合には、反転上部ローラ28aを前記上昇位置に待機させ、搬送経路22を搬送される用紙33の先端が排紙口103から出て反転上部ローラ28aのニップ位置を通過した後に、反転上部ローラ28aを下降させて反転下部ローラ28bに圧接するように、反転ローラ昇降モータ110を制御する。更に、反転ローラ対28を一旦停止させたり逆回転させることなく、排出方向に回転させて、用紙を排紙口103から排紙トレイ32に積載する。
用紙整合制御部203bは、整合板LシフトモータMZ1及び整合板RシフトモータMZ2の駆動を制御することで、整合板30R及び30Lを動作させる。この整合動作は、排紙センサ102による搬送される用紙33の後端検出信号に基づき行われる。また、用紙整合制御部203bは、搬送制御部203aにより搬送される用紙33が直接排出トレイ32に排出される場合は、前記整合動作を行わない。
後処理制御部203cは、用紙束をステイプル綴じする場合に、ステイプルユニット31を制御する。本体制御部202からジョブ終了信号を受信すると、後処理制御部203cは、最後の用紙が処理トレイ29に収納され、用紙束が用紙幅方向に整合された後、ステイプルユニット31のドライブモータに起動信号を送信する。この起動信号を受けてステイプルユニット31は綴じ動作を実行し、綴じ動作終了後に後処理制御部203cにエンド信号を送る。後処理制御部203cは、エンド信号を受信することで、綴じ動作が完了したことを認識し、用紙束排出制御部203dに通知する。
用紙束排出制御部203dは、後処理制御部203cからの綴じ動作の完了通知を受けて、反転ローラ対28で処理トレイ29上の用紙束を圧接し、排出トレイ32の方向に用紙束を搬送するため、反転ローラ駆動モータ108を駆動する。この動作により処理トレイ29上の用紙束は下流側の排出トレイ32に搬送され、積載される。
角折り制御部203eは、ユーザ操作部201でユーザが入力した角折り処理(上折り処理、下折り処理、処理無し)の指示を、本体制御部202から受信すると、該指示に応じて用紙角折り機構50を制御する。搬送される用紙33に角折り処理を実施する場合、角折り制御部203eは、搬入センサ23による用紙先端の検出信号に基づいて、角折りフラッパモータ206を制御し、上フラッパ51及び下フラッパ52を前記水平位置から揺動動作させる。角折り処理を実施しない場合、角折り制御部203eは、用紙角折り機構50の制御を行わない。従って、上フラッパ51及び下フラッパ52は、前記水平位置に維持される。
以下に、本実施形態の用紙後処理装置Bにおいて、ユーザ操作部201で入力された綴じ処理の設定に基づいて用紙の搬送、角折り処理及び綴じ処理を行う過程を、図10のフローチャート及び図11~図20を用いて説明する。
最初のステップS101において、用紙後処理装置Bは、上流側に配置された画像形成装置Aから搬入する用紙を受け取る。搬入された用紙Sの先端を搬入センサ23で検出し、搬送経路22を搬入ローラ対24により用紙搬送方向下流へ搬送する。
次にステップS102において、搬入された用紙Sが非綴じ用紙か又は綴じ用紙かを判断する。この判断は、本体制御部202から送信されるユーザ操作部201の入力情報に基づいて行う。非綴じ用紙であれば、ステップS103に移行し、綴じ用紙であれば、ステップS106に移行する。
ステップS103では、搬送される非綴じ用紙に角折り処理を実施する。本実施形態では、図11に示すように、搬送される非綴じ用紙33を用紙角折り機構50によって上向きに角折り処理する。図12(a)は、角折り処理後の非綴じ用紙を示しており、その用紙搬送方向先端側の角部に角折り部34が形成されている。これを、角折りされていない図12(b)の綴じ用紙37と比較すると、上述したように、非綴じ用紙33は、画像形成装置Aにおける画像形成面の向き(表裏)及び画像形成方向(画像の上下)が、綴じ用紙37とは逆である。更に非綴じ用紙33の角折りされた角部には、角折り部34によって、元の用紙の矩形形状との間に角欠け部38が形成されている。
ステップS104において、経路切替フラッパ113を、図11に示すように用紙反転位置に配置する。経路切替フラッパ113は、綴じ用紙33が搬送される場合、搬入ローラ対24から排出ローラ対25に直接向かう経路が形成されるように、通常搬送位置に保持されている。制御部200は、本体制御部202から非綴じ用紙搬送の信号を受け取ると、経路切替フラッパ113を回転させて通常搬送位置から用紙反転位置に切り換える。
経路切替フラッパ113の切換動作は、搬送される非綴じ用紙33の先端が経路切替フラッパ113に到達する前に完了させる。これにより、角折り処理された非綴じ用紙33は、図13に示すように、搬送経路22から用紙反転経路27に案内され、更に反転経路ローラ対26によって、図14に示すように用紙反転経路27を奥へと搬送される。
図14において、非綴じ用紙33の搬送方向後端が反転センサ40によって検出された後、所定の時間経過すると、反転経路ローラ対26の駆動を停止させて、非綴じ用紙33の搬送を一時停止する。反転センサ40による検出後に反転経路ローラ対26の駆動を停止させるまでの前記所定の時間は、非綴じ用紙33の後端が経路切替フラッパ113の位置を通過し、かつ図15に示すように、反転経路ローラ対26にニップされて保持された状態の位置に至るまでの搬送時間を考慮して設定される。
次にステップS105において、用紙反転経路27に一時的に保持される非綴じ用紙33の排紙口103に向けた搬送を開始する。そのため、図15に示すように、非綴じ用紙33が排出ローラ対25へと向かう経路に案内されるように、経路切替フラッパ113を用紙反転位置から通常搬送位置に回転させる。次に、反転経路ローラ対26をステップS104の場合とは逆方向に回転させ、図16に示すように、非綴じ用紙33を搬送経路22に戻して排出ローラ対25に向けて搬送させる。
ステップS102で、搬入された用紙Sが綴じ用紙と判断された場合、ステップS106において、経路切替フラッパ113を通常搬送位置に配置する。これは、搬送される綴じ用紙の先端が経路切替フラッパ113に到達する前に完了させる。それにより、綴じ用紙は、搬送経路22をそのまま、用紙反転経路27を経由することなく、排紙口103に真直ぐ搬送される。
次にステップS107において、搬送経路22を搬送された用紙S(非綴じ用紙及び綴じ用紙)を処理トレイ29に排出する。排紙口103に到達した用紙は、排出ローラ対25によって排出トレイ32に向けて搬送され、更にその先端が、排出ローラ対25の搬送方向下流側に配置された反転ローラ対28にニップされて、図17に示すように排出トレイ32に到達する位置まで搬送される。
反転ローラ対28は、搬送経路22を搬送される用紙Sの搬送方向後端が排紙センサ102より検出された後、所定の時間を経過すると、反転ローラ対28の駆動を停止させ、用紙Sの搬送を一時停止する。排紙センサ102による検出後に反転ローラ対28を停止させるまでの前記所定の時間は、用紙Sの後端が排紙ローラ対25を完全に通過し、かつ反転ローラ対28によりニップされて保持された状態の位置に至るまでの搬送時間を考慮して設定される。
反転ローラ対28の停止後、該反転ローラ対よりも用紙搬送方向上流側に残っている用紙Sの後側部分は、図18に示すように、その自重によって、排出ローラ対25の下方に段差を介して設けられた処理トレイ紙載台29aに向けて落下するか垂れ下がる。次に、反転ローラ対28を反転させて、用紙Sを処理トレイ29上に排出方向とは逆向きに搬送し、図19に示すように、その排出方向後端が規制ストッパ105に当接する位置で、反転ローラ対28の駆動を停止する。これにより、処理トレイ29に排出された用紙Sは、その排出方向に後端で部揃えして収容される。
次にステップS108において、処理トレイ29に収容された用紙Sを整合機構30により用紙幅方向に整合させる。これにより、処理トレイ29に収容された非綴じ用紙33と綴じ用紙37とは、用紙幅方向にも部揃えされ、非綴じ用紙33の角折り部34(角折りされた角部)と綴じ用紙37の綴じ処理される角部(角折りされていない角部)とが同じ角位置になるように、角折り部34を挟んで隣接する縦横2辺(用紙搬送方向と用紙幅方向)で整合させて積層される。
ステップS109では、1つの冊子を作製するのに必要な用紙束を構成する用紙の全部が処理トレイ29に収容されたか否かを判断する。この判断は、本体制御部202から受信するジョブ終了信号に基づいて、制御CPU203が行う。1つの用紙束を構成する用紙の、最初の用紙から最後の用紙までの全部が処理トレイ29に積載されていれば、次のステップS110に移行し、未だ最後の用紙が積載されていないのであれば、ステップS101に戻って、上述した一連の過程を繰り返し実行する。
ステップS110において、処理トレイ29に収納された用紙束を用紙綴じ処理機構60によって綴じ処理する。前記用紙束には、その最初と最後に積載された用紙の間に、少なくとも1枚の非綴じ用紙が含まれている。ステイプルユニット31は、その綴じ処理位置が、ステップ107とステップ108とによって部揃えされた前記用紙束の非綴じ用紙33の角欠け部38の範囲内となるように、即ち角折り部34の外側で綴じ用紙37の角部をステープル綴じし得る位置に配置される。これにより、図20に示すように用紙束39を、非綴じ用紙33のみを角欠け部38でステイプル綴じし、該非綴じ用紙を容易に抜き出し可能な冊子に作製することができる。
最後に、ステップS111で、1つの冊子に綴じ処理された用紙束39を排出トレイ32に排出する。更に冊子を作製する場合は、ステップS101に移行して上記一連の過程を繰り返し、そうでない場合は、用紙束の綴じ処理過程を終了する。
次に、本発明による用紙後処理装置の第2実施形態について説明する。図21は、第2実施形態の用紙後処理装置Bの構成を詳細に示している。第2実施形態の用紙後処理装置Bは、以下に記載するいくつかの点において、図2に示す第1実施形態の用紙後処理装置Bと異なる。それら以外の点は、第1実施形態と実質的に同一であるので、説明を省略する。
第一に、第2実施形態の用紙後処理装置Bは、第1実施形態のような用紙反転経路27を備えていない。その代わりに、搬送経路22に搬入された用紙の用紙搬送方向後端側の角部を角折り処理するために、第1実施形態とは異なる構成を備えている。
第2実施形態の用紙角折り機構500は、第1実施形態の用紙角折り機構50と実質的に同じ構成を有する。しかしながら、第2実施形態の用紙角折り機構500は、装置全体が用紙搬送方向に沿って、第1実施形態の用紙角折り機構50と逆向きに配置されている。そのため、用紙角折り機構500は、搬送経路22を用紙搬送方向下流側から上流側に向けて搬送される用紙の先端を角折り処理することができる。
従って、搬入口101から搬送経路22に搬入された用紙を角折り処理する場合、該用紙は用紙搬送方向に沿って、用紙角折り機構500をそのまま通過し、排出ローラ対25によって先端側が部分的に排紙口103を越える位置まで搬送される。ここで排出ローラ対25を一時的に停止させ、次に逆方向に回転させて用紙搬送方向逆向きに搬送し、用紙角折り機構500を通過させる。これにより、前記用紙の用紙搬送方向後端側の角部を角折りすることができる。
搬送される用紙33の角折り処理が完了した後、排出ローラ対25は搬送方向を再び逆転させ、搬送される用紙33を排紙口103に向けて搬送し、後述する処理トレイ29に収納する。これにより搬送される用紙33、すなわち非綴じ用紙に施された角折り部は、処理トレイ29に収納される際に後述するステイプルユニット31の綴じ処理位置に配置される。
用紙搬送方向後端側の角部を角折りされた前記用紙は、排出ローラ対25を再び元の搬送方向に回転させることによって、排紙口103に向けて搬送される。排紙口103に到達した用紙は、第1実施形態の場合と同様に、排出ローラ対25及び反転ローラ対28によって排紙口103から排出され、処理トレイ29に収容される。このとき、前記用紙の角折り部が処理トレイ29上で下向きとなるように、用紙角折り機構500では下向きの角折り処理を行うことが好ましい。
図22は、第2実施形態の用紙後処理装置Bの制御構成を示している。第2実施形態の制御部200は、第1実施形態の場合と同様に、搬送制御部203aと、用紙整合制御部203bと、後処理制御部203cと、用紙束排出制御部203dと、用紙角折り機構50を制御する角折り制御部203eとを備えており、制御CPU203は、RAM205にコピーされた制御プログラムデータに従って、用紙後処理装置Bの角折り処理を制御する。
しかしながら、上述したように用紙後処理装置Bが第1実施形態のような用紙反転経路27を備えていないので、以下のいくつかの点で、第1実施形態と異なる。それら以外の点は、第1実施形態と実質的に同一であるので、説明を省略する。
搬送制御部203aは、非綴じ用紙を搬送経路22に沿って用紙搬送方向に搬送する場合、該非綴じ用紙の用紙搬送方向後端が排紙センサ102で検出されるまで搬送するように、搬入ローラ対24及び排出ローラ対25を制御する。そして、排紙センサ102が非綴じ用紙の用紙搬送方向後端を検出すると、その検出結果に基づいて搬送ローラ駆動モータ109の回転を一旦停止させ、次に逆方向を回転させる。これにより、前記非綴じ用紙は、搬送経路22を逆向きに用紙角折り機構500に向けて搬送され、その角部に角折り処理が施される。その後、搬送制御部203aは、再び搬送ローラ駆動モータ109を逆転させて、非綴じ用紙を用紙搬送方向に搬送し、処理トレイ29に排出させる。
更に、第1実施形態の用紙反転経路27を備えていないことによって、第2実施形態の用紙後処理装置Bは、第1実施形態における反転経路ローラ駆動モータ114及び経路切替フリッパ駆動モータ115を備えていない。従って、当然ながら、第2実施形態の制御部200は、それらの動作を制御する機能が省略されている。
次下に、第2実施形態の用紙後処理装置Bにおいて、ユーザ操作部201で入力された綴じ処理の設定に基づいて用紙の搬送、角折り処理及び綴じ処理を行う過程を、図23のフローチャート及び図24~図29を用いて説明する。
最初のステップS201において、用紙後処理装置Bは、上流側に配置された画像形成装置Aから搬入する用紙を受け取る。図24に示すように、搬入された用紙Sの先端を搬入センサ23で検出し、搬送経路22を搬入ローラ対24により用紙搬送方向下流へ搬送する。用紙Sは、搬入ローラ対24により排出ローラ対25に向けて搬送され、非綴じ用紙又は綴じ用紙かに拘わらず、用紙角折り機構500をそのまま、角折り処理を行うことなく通過する。
次にステップS202において、搬入された用紙Sが非綴じ用紙か又は綴じ用紙かを判断する。この判断は、本体制御部202から送信されるユーザ操作部201の入力情報に基づいて行う。非綴じ用紙であれば、ステップS203に移行し、綴じ用紙であれば、ステップS206に移行する。
ステップS202で用紙Sが非綴じ用紙と判断された場合、ステップS203では、排出ローラ対25まで搬送された用紙Sを逆向きに用紙角折り機構50に向けて搬送する。用紙Sは、排紙センサ102が該用紙の後端を検出するまで、排出ローラ対25及び反転ローラ対28によって搬送経路22を下流側に搬送される。図25に示すように、排紙センサ102が用紙の後端を検出すると、排出ローラ対25及び反転ローラ対28の駆動を一時的に停止させ、用紙Sが排出ローラ対25及び反転ローラ対28にニップされた状態でその搬送を停止する。その後、排出ローラ対25及び反転ローラ対28を逆転させ、搬送経路22を上流側へ用紙角折り機構500に向けて用紙Sを搬送する。
ステップS204において、排出ローラ対25から逆向きに搬送される非綴じ用紙33に角折り処理を実施する。第2実施形態では、図26に示すように、非綴じ用紙33の用紙搬送方向後端の角部を用紙角折り機構500によって下向きに角折り処理する。そのため、用紙角折り機構500は、非綴じ用紙33が到達する前に、内部に備える図示しない上フラッパ51及び下フラッパ52を、下向きの角折り処理を行う方向に切り替える。
角折りした用紙Sの搬送は、用紙搬送方向後端の角折り部が、用紙角折り機構500の内部に備える折りローラ対55にニップされる位置を通過する前に停止させる。このタイミングは、例えば、ステップS103で排紙ローラ対25を逆転させたときを起点として、搬送ローラ駆動モータに送られるパルス数で決定され、そのパルス数は試験等によって予め一定数に設定することができる。
図27(a)は、ステップS204における角折り処理後の非綴じ用紙33を示しており、その用紙搬送方向後端側の角部に角折り部34が形成されている。これを、角折りされていない図27(b)の綴じ用紙37と比較すると、上述したように、非綴じ用紙33は、画像形成装置Aにおける画像形成面の向き(表裏)及び画像形成方向(画像の上下)が、綴じ用紙37と同じである。更に非綴じ用紙33の角折りされた角部には、角折り部34によって、角折り前の用紙の矩形形状との間に角欠け部38が形成されている。
ステップS205において、排出ローラ対25及び反転ローラ対28を用紙搬送方向に再逆転(正転)させ、角折りされた非綴じ用紙33を下流側に、排出トレイ32に向けて搬送する。排紙センサ102が非綴じ用紙33の搬送方向後端を検出した後、所定の時間が経過すると、反転ローラ対28の駆動を停止させ、非綴じ用紙33の搬送を一時停止する。排紙センサ102による検出後に反転ローラ対28を停止させるまでの前記所定の時間は、図28に示すように、非綴じ用紙33の後端が排紙ローラ対25を完全に通過し、かつ反転ローラ対28によりニップされて保持された状態の位置に至るまでの搬送時間を考慮して設定される。
次にステップS206において、排出ローラ対25から排出トレイ32側に排出された用紙S(非綴じ用紙及び綴じ用紙)を処理トレイ29に排出する。ステップS202で綴じ用紙と判断された用紙Sは、搬送経路22を真直ぐ用紙搬送方向下流側に、非綴じ用紙と同様に図28に示す位置まで搬送される。
反転ローラ対28の停止後、該反転ローラ対よりも用紙搬送方向上流側に残っている用紙Sの後側部分は、その自重によって、排出ローラ対25の下方に段差を介して設けられた処理トレイ紙載台29aに向けて落下するか垂れ下がる。次に、反転ローラ対28を反転させて、前記用紙を処理トレイ29上に排出方向とは逆向きに搬送し、図29に示すように、その排出方向後端が規制ストッパ105に当接する位置で、反転ローラ対28の駆動を停止させる。これにより、処理トレイ29に排出された用紙Sは、その排出方向に後端で部揃えして収容される。
更にステップS207において、処理トレイ29に収容された用紙Sを整合機構30により用紙幅方向に整合させる。これにより、処理トレイ29に収容された非綴じ用紙と綴じ用紙とは、用紙幅方向にも部揃えされ、非綴じ用紙の角折り部(角折りされた角部)と綴じ用紙の綴じ処理される角部(角折りされていない角部)とが同じ角位置になるように、前記角折り部を挟んで隣接する縦横2辺(用紙搬送方向と用紙幅方向)で整合させて積層される。
ステップS208では、1つの冊子を作製するのに必要な用紙束を構成する用紙の全部が処理トレイ29に収容されたか否かを判断する。この判断は、本体制御部202から受信するジョブ終了信号に基づいて、制御CPU203が行う。1つの用紙束を構成する用紙の、最初の用紙から最後の用紙までの全部が処理トレイ29に積載されていれば、次のステップS210に移行し、未だ最後の用紙が積載されていないのであれば、ステップS201に戻って、上述した一連の過程を繰り返し実行する。
ステップS209において、処理トレイ29に収納された用紙束を用紙綴じ処理機構60によって綴じ処理する。前記用紙束には、その最初と最後に積載された用紙の間に、少なくとも1枚の非綴じ用紙が含まれている。ステイプルユニット31は、その綴じ処理位置が、ステップ207とステップ208とによって部揃えされた前記用紙束の非綴じ用紙33の角欠け部38の範囲内となるように、即ち前記角折り部の外側で、綴じ用紙の角部をステープル綴じし得る位置に配置される。これにより、図20に示すように用紙束39を、非綴じ用紙33のみを角欠け部38でステイプル綴じし、該非綴じ用紙を容易に抜き出し可能な冊子に作製することができる。
最後に、ステップS210で、1つの冊子に綴じ処理された用紙束39を排出トレイ32に排出する。更に冊子を作製する場合は、ステップS201に移行して上記一連の過程を繰り返し、そうでない場合は、用紙束の綴じ処理過程を終了する。
以上、本発明を好適な実施形態に関連して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲において、様々な変更又は変形を加えて実施し得ることは言うまでもない。例えば、前記用紙角折り機構は、処理トレイ29に排出される前に用紙を角折りすることができれば、必ずしも搬送経路22に配設しなくて良い。