以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理により層やレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするために省略して示すことがある。また、図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
また、特に上面図(「平面図」ともいう)や斜視図などにおいて、発明の理解を容易とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記載を省略する場合がある。
また、本明細書などにおいて、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順または積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものとする。
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であり、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに、XとYとが、接続されている場合である。
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとYとが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとYとが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル形成領域を有しており、チャネル形成領域を介して、ソースとドレインとの間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル形成領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができる場合がある。
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう)と、が異なる場合がある。例えば、ゲート電極が半導体の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲート電極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
そこで、本明細書では、見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、半導体のDOS(Density of States)が高くなることや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、および酸化物半導体の主成分以外の遷移金属などがあり、例えば、水素、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、水も不純物として機能する場合がある。また、酸化物半導体の場合、例えば不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものである。例えば、好ましくは酸素が55原子%以上65原子%以下、窒素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものである。例えば、好ましくは窒素が55原子%以上65原子%以下、酸素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書等において、「絶縁体」という用語を、絶縁膜または絶縁層と言い換えることができる。また、「導電体」という用語を、導電膜または導電層と言い換えることができる。また、「半導体」という用語を、半導体膜または半導体層と言い換えることができる。
また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、電界効果トランジスタとする。また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、nチャネル型のトランジスタとする。よって、そのしきい値電圧(「Vth」ともいう)は、明示されている場合を除き、0Vよりも大きいものとする。
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
なお、本明細書において、バリア膜とは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する膜のことであり、該バリア膜に導電性を有する場合は、導電性バリア膜と呼ぶことがある。
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OS FETと記載する場合においては、酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
(実施の形態1)
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の一例について説明する。
<半導体装置の構成例>
図1(A)、図1(B)、および図1(C)は、本発明の一態様に係るトランジスタ200、およびトランジスタ200周辺の上面図および断面図である。
図1(A)は、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図である。また、図1(B)、および図1(C)は当該半導体装置の断面図である。ここで、図1(B)は、図1(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図1(C)は、図1(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。図1(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ200と、層間膜として機能する絶縁体210、絶縁体212、絶縁体280を有する。また、トランジスタ200と電気的に接続し、配線として機能する導電体203(導電体203a、および導電体203b)、およびプラグとして機能する導電体240(導電体240a、および導電体240b)とを有する。
なお、導電体203は、絶縁体212の開口の内壁に接して導電体203aが形成され、さらに内側に導電体203bが形成されている。ここで、導電体203の上面の高さと、絶縁体212の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200では、導電体203aおよび導電体203bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体203bのみを設ける構成にしてもよい。
また、導電体240は、絶縁体280の開口の内壁に接して形成されている。ここで、導電体240の上面の高さと、絶縁体280の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200では、導電体240が単層である構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体240は、2層以上の積層構造でもよい。
[トランジスタ200]
図1に示すように、トランジスタ200は、基板(図示せず)の上に配置された絶縁体214および絶縁体216と、絶縁体214および絶縁体216に埋め込まれるように配置された導電体205と、絶縁体216と導電体205の上に配置された絶縁体220と、絶縁体220の上に配置された絶縁体222と、絶縁体222の上に配置された絶縁体224と、絶縁体224の上に配置された酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230c)と、酸化物230の上に配置された絶縁体250と、絶縁体250上に配置された絶縁体252と、絶縁体252の上に配置された導電体260(導電体260a、および導電体260b)と、導電体260の上に配置された絶縁体270と、絶縁体270上に配置された絶縁体271と、少なくとも絶縁体250、および導電体260の側面に接し、かつ酸化物230と接して配置された絶縁体273と、絶縁体273を介して導電体260の側面に配置された絶縁体275と、絶縁体273を介して酸化物230上に配置された絶縁体274と、を有する。
なお、トランジスタ200では、酸化物230a、および酸化物230b、および酸化物230cを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。また、酸化物230bの単層、酸化物230bと酸化物230aの2層構造、酸化物230bと酸化物230cの2層構造、または3層以上の積層構造を設ける構成にしてもよい。また、トランジスタ200では、導電体260aおよび導電体260bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。
酸化物230は、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。
例えば、酸化物230として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。また、酸化物230として、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物を用いてもよい。
酸化物半導体は、水素、または窒素が添加されると、キャリア密度が増加する。また、酸化物半導体は、水素が添加されると、金属原子と結合する酸素と反応して水になり、酸素欠損を形成する場合がある。当該酸素欠損に水素が入ることで、キャリア密度が増加する。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。つまり、窒素、または水素が添加された酸化物半導体は、n型となり、低抵抗化される。
したがって、酸化物230を選択的に低抵抗化することで、島状に加工した酸化物230は、キャリア密度が低い半導体として機能する領域と、ソース領域、またはドレイン領域として機能する低抵抗化した領域を設けることができる。
ここで、図1(B)において破線で囲んでいる領域239の拡大図を図2に示す。
図2に示すように、酸化物230bは、トランジスタ200のチャネル形成領域として機能する領域234と、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231(領域231a、および領域231b)との間に、領域232(領域232a、および領域232b)を有する。また、導電体240と重畳する領域236(領域236a、および領域236b(領域236bは、導電体240bと重畳する領域であり、図示しない))を有していてもよい。
ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231は、キャリア密度が高い、低抵抗化した領域である。また、チャネル形成領域として機能する領域234は、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231よりも、キャリア密度が低い領域である。また、領域232は、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231よりもキャリア密度が低く、チャネル形成領域として機能する領域234よりもキャリア密度が高い領域である。すなわち、領域232は、チャネル形成領域と、ソース領域またはドレイン領域との間の接合領域(junction region)としての機能を有する。なお、領域232は、ゲート電極として機能する導電体260と重なる、いわゆるオーバーラップ領域(Lov領域ともいう)として機能する場合がある。
接合領域を設けることで、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231と、チャネル形成領域として機能する領域234との間に高抵抗領域が形成されず、トランジスタのオン電流を大きくすることができる。
また、領域236は、ソース領域ドレイン領域として機能する231よりも、キャリア密度が高い、低抵抗化した領域である。トランジスタの微細化に伴い、酸化物230と導電体240との接触面積も小さくなる。領域236を低抵抗化することで、酸化物230と導電体240との十分なオーミック接触を確保することができる。
なお、図1、および図2では、領域236、領域234、領域231、および領域232が、酸化物230bに形成されているが、これに限られることなく、例えば、これらの領域は酸化物230a、および酸化物230cにも、形成されていてもよい。また、図1、および図2では、各領域の境界を、酸化物230の上面に対して略垂直に表示しているが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、領域232が酸化物230bの表面近傍では導電体260側に張り出し、酸化物230aの下面近傍では、導電体240a側または導電体240b側に後退する形状になる場合がある。
酸化物230を選択的に低抵抗化するには、例えば、インジウムなどの導電性を高める金属元素、および不純物の少なくとも一を、所望の領域に添加すればよい。なお、不純物としては、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素などを用いればよい。例えば、当該元素として、水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス等が挙げられる。また、希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、およびキセノン等がある。
したがって、領域231は、上述の酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素の含有率を高くすることで、キャリア密度を高くし、低抵抗化を図ることができる。
領域231を低抵抗化するために、例えば、水素、または窒素などを含む膜を、酸化物230のソース領域、およびドレイン領域として機能する領域231と近接して設けるとよい。水素、または窒素などを含む膜は、少なくとも、絶縁体250、絶縁体252、導電体260、絶縁体273、絶縁体270、絶縁体271、および絶縁体275を介して、酸化物230上に設けることが好ましい。
水素、または窒素などを含む膜から、水素、または窒素を酸化物230の領域231に拡散することで低抵抗化を図ることができる。一方、ゲート電極として機能する導電体260、および絶縁体275を介しているため、酸化物230の導電体260、および絶縁体275と重畳する領域(領域234、および領域232)は、水素、および窒素の添加が抑制される。
ここで、水素、または窒素などを含む膜から、酸化物230に、過剰な水素、または窒素が添加された場合、チャネルとして機能する領域234にも、水素、または窒素が拡散する場合がある。つまり、本来、チャネル形成領域として設計した領域まで、低抵抗化し、ソース領域とドレイン領域とが導通してしまうという問題が発生する。また、不純物の添加処理、および後の熱履歴などにより、領域231が有する水素、および窒素などの不純物が、領域234まで拡散する場合がある。
そこで、領域232を適宜設計することで、領域234に、水素、および窒素などの不純物が拡散することを抑制することができる。
例えば、図1、および図2に示すように、絶縁体275をゲート電極として機能する導電体260の側面に設けるとよい。絶縁体275を介して、水素、または窒素などを含む膜として、絶縁体274を設けることで、絶縁体275と重畳する領域(領域232)は、水素、および窒素の添加が抑制される。また、領域232は、絶縁体275の形状、膜厚、および幅などにより、決定する。したがって、絶縁体275を適宜設計することで、水素、および窒素が拡散する領域232を制御し、トランジスタ200に求める特性を得ることができる。
また、不純物の過剰な添加、または拡散を抑制するために、酸化物230と、水素、または窒素などを含む膜が直に接しない構造としてもよい。例えば、水素、または窒素の拡散を抑制する膜を、酸化物230と水素、または窒素などを含む膜との間に設けるとよい。つまり、水素、または窒素の拡散を抑制する膜は、水素、または窒素の過剰な拡散を抑制するバッファ層としての機能を有する。
上記構成とする場合、水素、または窒素の拡散を抑制する膜の膜厚、および水素、または窒素などを含む膜の膜厚は、用いた材質に応じて、適宜調整することで、不純物の拡散を調整することができる。
なお、水素、または窒素の拡散を抑制する膜、および水素、または窒素などを含む膜は、必ずしも除去しなくともよい。例えば、水素、または窒素の拡散を抑制する膜、および水素、または窒素などを含む膜を残存させることで、層間膜として機能させることができる。また、水素、または窒素などを含む膜のみを除去してもよい。
例えば、図1、および図2に示すように、酸化物230と、水素、または窒素などを含む膜である絶縁体274との間に、絶縁体273として水素、または窒素の拡散を抑制する膜を設けるとよい。絶縁体274を、絶縁体273を介して、酸化物230の領域231上に設けることで、過剰な水素、または窒素が、酸化物230における領域234へと添加されることを防止することができる。
また、絶縁体273が、ゲート電極およびゲート絶縁体の側面を保護するサイドバリアとして機能を兼ねていてもよい。なお、サイドバリアとしての機能を有する場合、図1、および図2に示すように、絶縁体273は、少なくとも、導電体260の側面、絶縁体250の側面、および絶縁体252の側面を覆うように設けられる。したがって、導電体260、絶縁体250および絶縁体252を介して、水または水素などの不純物が酸化物230に混入することを防ぐことができる。
また、サイドバリアとしては、酸素の拡散も抑制することが好ましい。酸素の拡散を抑制することで、導電体260が酸化することを抑制することができる。
ここで、サイドバリアとして不純物の拡散を防止するための膜厚と、バッファ層として少なくとも領域231を低抵抗化する量の不純物を拡散するための膜厚が異なる場合がある。つまり、絶縁体273は、サイドバリアとして機能する領域と、バッファ層として機能する領域とでは、求める膜厚が異なる場合がある。したがって、絶縁体273は、絶縁体274と接する領域における膜厚は、導電体260の側面、絶縁体250の側面、および絶縁体252の側面と接する膜厚よりも大きいことが好ましい。
例えば、絶縁体275を形成する際に、絶縁体273の一部を除去することで、図1、および図2に示すように、絶縁体273において、絶縁体274と接する領域における膜厚を、導電体260の側面、絶縁体250の側面、および絶縁体252の側面と接する膜厚よりも小さくするとよい。
また、絶縁体222が、水素、または窒素の拡散を抑制する膜である場合、絶縁体273は、酸化物230の外側で、絶縁体222と接することが好ましい。絶縁体222、および絶縁体273が接することで、酸化物230は、水素、または窒素の拡散を抑制する膜で封止される構造となる。したがって、酸化物230へ、絶縁体274以外の構造体から、過剰な不純物が混入することを防止することができる。
また、一方で、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231と、チャネル形成領域として機能する領域234との間に高抵抗領域が形成されないように、領域232を設ける。つまり、領域232は、絶縁体275と重畳する領域から、導電体260の側面と絶縁体273が接する面と同一面上となる領域まで設けることが好ましい。または、絶縁体275と重畳する領域から、導電体260と重畳する領域の内側となるように設けることが好ましい。
そこで、例えば、絶縁体250、絶縁体252、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271をマスクとして、酸化物230に金属元素、または不純物を添加してもよい。つまり、ゲート電極として機能する導電体260をマスクとしているため、酸化物230の導電体260と重畳する領域(領域234)のみが、水素、および窒素の添加が抑制され、自己整合的に領域234と領域232の境界を設けることができる。
その後、絶縁体273、および絶縁体275を設けた後、水素、または窒素などを含む膜である絶縁体274を設ける。ここで、絶縁体275と重畳する領域は、領域234を形成するための、ゲート電極として機能する導電体260をマスクとした不純物の添加処理により、領域234よりも、低抵抗化している。したがって、領域231と領域234の間には、領域234よりもキャリア密度が高く、領域231よりもキャリア密度が低い接合領域(領域232)が形成される。
上記導電体260をマスクとした不純物の添加処理により、例えば、絶縁体274を設けた後の工程で領域232が形成されるため、不純物が拡散するための十分な熱履歴がない場合でも、領域232を確実に設けることができる。なお、不純物の拡散により、領域232は、ゲート電極として機能する導電体260と重畳してもよい。その場合、領域232は、いわゆるオーバーラップ領域(Lov領域ともいう)として機能する。
また、例えば、絶縁体273となる膜を成膜した後、絶縁体273となる膜を介して、イオンドーピング法により、不純物を添加してもよい。絶縁体273となる膜は、酸化物230、絶縁体250、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271を覆って設ける。したがって、ゲート絶縁体として機能する絶縁体250、および絶縁体252を、絶縁体273により保護しながら不純物を添加することができる。
なお、不純物、および金属元素の添加方法としては、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。質量分離を行う場合、添加するイオン種およびその濃度を厳密に制御することができる。一方、質量分離を行わない場合、短時間で高濃度のイオンを添加することができる。また、原子または分子のクラスターを生成してイオン化するイオンドーピング法を用いてもよい。なお、添加する不純物、および金属元素を、元素、ドーパント、イオン、ドナー、またはアクセプターなどと言い換えてもよい。
また、不純物、および金属元素は、プラズマ処理にて添加されてもよい。この場合、プラズマCVD装置、ドライエッチング装置、アッシング装置を用いてプラズマ処理を行うことで、不純物、および金属元素を添加することができる。なお、上述した処理を複数組み合わせてもよい。
上記構成、または上記工程を組み合わせて、不純物を添加することで、チャネル長が10nmから30nm程度に微細化されたトランジスタでも、自己整合的に、領域232を設けることができる。
トランジスタ200において、領域232を設けることで、ソース領域およびドレイン領域として機能する領域231と、チャネルが形成される領域234との間に高抵抗領域が形成されないため、トランジスタのオン電流、および移動度を大きくすることができる。また、領域232を有することで、チャネル長方向において、ソース領域およびドレイン領域と、ゲートとが重ならないため、不要な容量が形成されるのを抑制することができる。また、領域232を有することで、非導通時のリーク電流を小さくすることができる。
また、領域236は、領域231よりも、さらに、低抵抗化していることが好ましい。領域236を低抵抗化することで、酸化物230と導電体240との十分なオーミック接触を確保することができる。
領域236は、上述の酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素の含有率を高くすることで、キャリア密度を高くし、低抵抗化を図ることができる。また、インジウムなどの金属元素を添加し、領域236において、インジウムなどの金属原子の含有率を高くすることで、電子移動度を高くし、低抵抗化を図ることができる。なお、インジウムを添加する場合、少なくとも領域236における元素Mに対するインジウムの原子数比が、領域234の元素Mに対するインジウムの原子数比よりも大きくなる。
領域236を低抵抗化するには、酸化物230が露出する開口を、絶縁体280、絶縁体274、および絶縁体273に設け、絶縁体280、絶縁体274、および絶縁体273をマスクとして、不純物、または金属元素を添加するとよい。
上記構成、および上記工程により、チャネル長が10nmから30nm程度に微細化されたトランジスタでも、自己整合的に、領域236を設けることができる。
トランジスタ200において、領域236を設けることで、酸化物230と導電体240との十分なオーミック接触を確保でき、トランジスタのオン電流、および移動度を大きくすることができる。
上記構成、または上記工程を組み合わせることで、酸化物230を選択的に低抵抗化することができる。
つまり、不純物を添加する際に、ゲート電極として機能する導電体260、または絶縁体275をマスクとすることで、自己整合的に酸化物230は低抵抗化する。そのため、複数のトランジスタ200を同時に形成する場合、トランジスタ間の電気特性バラつきを小さくすることができる。また、トランジスタ200のチャネル長は、導電体260の幅、および絶縁体275により決定され、導電体260の幅を最小加工寸法とすることにより、トランジスタ200の微細化が可能となる。
以上より、各領域の範囲を適宜選択することにより、回路設計に合わせて、要求に見合う電気特性を有するトランジスタを容易に提供することができる。
また、酸化物230を選択的に低抵抗化し、チャネル形成領域、ソース領域、またはドレイン領域などを自己整合的に形成することで、金属材料などを用いたソース電極、およびドレイン電極を別途形成する工程が不要となる。したがって、コストの削減、または工程の短縮が可能となる。
さらに、酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタに用いることができる。また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流(オフ電流)が小さいため、低消費電力の半導体装置が提供できる。
以上より、オン電流が大きい酸化物半導体を有するトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。または、オフ電流が小さい酸化物半導体を有するトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。または、電気特性の変動を抑制し、安定した電気特性を有すると共に、信頼性を向上させた半導体装置を提供することができる。
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の詳細な構成について説明する。
導電体203は、図1(A)、および図1(C)に示すように、チャネル幅方向に延伸されており、導電体205に電位を印加する配線として機能する。なお、導電体203は、絶縁体214および絶縁体216に埋め込まれて設けることが好ましい。
導電体205は、酸化物230、および導電体260と、重なるように配置する。また、導電体205は、導電体203の上に接して設けるとよい。
ここで、導電体260は、第1のゲート(トップゲートともいう)電極として機能する場合がある。また、導電体205は、第2のゲート(ボトムゲートともいう)電極として機能する場合がある。その場合、導電体205に印加する電位を、導電体260に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ200の閾値電圧を制御することができる。特に、導電体205に負の電位を印加することにより、トランジスタ200の閾値電圧を0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体260に印加する電圧が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
つまり、導電体203上に導電体205を設けることで、第1のゲート電極、および配線としての機能を有する導電体260と、導電体203との距離を適宜設計することが可能となる。つまり、導電体203と導電体260の間に絶縁体214および絶縁体216などが設けられることで、導電体203と導電体260の間の寄生容量を低減し、絶縁耐圧を高めることができる。
また、導電体203と導電体260の間の寄生容量を低減することで、トランジスタのスイッチング速度を向上させ、高い周波数特性を有するトランジスタにすることができる。また、導電体203と導電体260の間の絶縁耐圧を高めることで、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。よって、絶縁体214および絶縁体216の膜厚を大きくすることが好ましい。なお、導電体203の延伸方向はこれに限られず、例えば、トランジスタ200のチャネル長方向に延伸されてもよい。
なお、導電体205は、図1(A)に示すように、酸化物230、および導電体260と重なるように配置する。また、導電体205は、酸化物230における領域234よりも、大きく設けるとよい。特に、図1(C)に示すように、導電体205は、酸化物230bにおける領域234のチャネル幅方向の端部よりも外側の領域においても、延伸していることが好ましい。つまり、酸化物230bのチャネル幅方向における側面の外側において、導電体205と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。
上記構成を有することで、導電体260、および導電体205に電位を印加した場合、導電体260から生じる電界と、導電体205から生じる電界と、がつながることで、閉回路を形成し、酸化物230に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。
つまり、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート電極としての機能を有する導電体205の電界によって、領域234のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。本明細書において、第1のゲート電極、および第2のゲート電極の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
また、導電体205は、絶縁体214および絶縁体216の開口の内壁に接して導電体205aが形成され、さらに内側に導電体205bが形成されている。ここで、導電体205aおよび導電体205bの上面の高さと、絶縁体216の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200では、導電体205aおよび導電体205bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体205bのみを設ける構成にしてもよい。
ここで、導電体205aおよび導電体203aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)導電性材料を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物、または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、または上記酸素のいずれか一または、すべての拡散を抑制する機能とする。
導電体205a、および導電体203aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体205bおよび導電体203bが酸化して導電率が低下することを防ぐことができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。したがって、導電体205a、および導電体203aとしては、上記導電性材料を単層または積層で用いればよい。これにより、水素、水などの不純物が、導電体203、および導電体205を通じて、トランジスタ200側に拡散するのを抑制することができる。
また、導電体205bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。なお、導電体205bを単層で図示したが、積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
また、導電体203bは、配線として機能するため、導電体205bより導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体203bは積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
特に、導電体203bに、銅を用いることが好ましい。銅は抵抗が小さいため、配線等に用いることが好ましい。一方、銅は拡散しやすいため、酸化物230に拡散することで、トランジスタ200の特性を低下させる場合がある。そこで、例えば、絶縁体214には、銅の透過性が低い酸化アルミニウム、または酸化ハフニウムなどの材料を用いることで、銅の拡散を抑えることができる。
なお、導電体205は必ずしも設けなくともよい。その場合、導電体203の一部が第2のゲート電極として機能することができる。
絶縁体210および絶縁体214は、水または水素などの不純物が、基板側からトランジスタに混入するのを防ぐバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体210および絶縁体214は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。
例えば、絶縁体210として酸化アルミニウムなどを用い、絶縁体214として窒化シリコンなどを用いることが好ましい。これにより、水素、水などの不純物が絶縁体210および絶縁体214を介して基板側からトランジスタ側に拡散するのを抑制することができる。または、絶縁体224などに含まれる酸素が、絶縁体210および絶縁体214を介して基板側に、拡散するのを抑制することができる。
また、導電体203の上に導電体205を積層して設ける構成にすることにより、導電体203上に絶縁体214を設けることができる。ここで、導電体203bに銅など拡散しやすい金属を用いても、絶縁体214として窒化シリコンなどを設けることにより、当該金属が絶縁体214より上の層に拡散するのを防ぐことができる。
また、層間膜として機能する絶縁体212、絶縁体216、および絶縁体280は、絶縁体210、または絶縁体214よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
例えば、絶縁体212、絶縁体216、および絶縁体280として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)または(Ba,Sr)TiO3(BST)などの絶縁体を単層または積層で用いることができる。またはこれらの絶縁体に例えば酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224は、ゲート絶縁体としての機能を有する。
ここで、酸化物230と接する絶縁体224は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁体を用いることが好ましい。つまり、絶縁体224には、過剰酸素領域が形成されていることが好ましい。このような過剰酸素を含む絶縁体を酸化物230に接して設けることにより、酸化物230中の酸素欠損を低減し、信頼性を向上させることができる。
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素分子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018molecules/cm3以上、好ましくは1.0×1019molecules/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019molecules/cm3、または3.0×1020molecules/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
また、絶縁体224が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体222は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。
絶縁体222が、酸素の拡散を抑制する機能を有することで、過剰酸素領域の酸素は、絶縁体220側へ拡散することなく、効率よく酸化物230へ供給することができる。また、導電体205が、絶縁体224が有する過剰酸素領域からの酸素と反応することを抑制することができる。
絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)または(Ba,Sr)TiO3(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いることが好ましい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、high-k材料を用いることで物理膜厚を保ち、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
特に、不純物、および酸素などの拡散を抑制する機能を有する(不純物や酸素が透過しにくい)絶縁性材料であるアルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて形成した場合、酸化物230からの酸素の放出や、トランジスタ200の周辺部から酸化物230への水素等の不純物の混入を防ぐ層として機能する。
または、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
また、絶縁体220は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、high-k材料の絶縁体と222組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
なお、絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224が、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。
酸化物230は、酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物230b上の酸化物230cと、を有する。酸化物230a上に、酸化物230bを有することで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。また、酸化物230c下に、酸化物230bを有することで、酸化物230cよりも上方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。
また、酸化物230は、各金属原子の原子数比が異なる酸化物により、積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物230aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物230aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230cは、酸化物230aまたは酸化物230bに用いることができる金属酸化物を、用いることができる。
また、酸化物230aおよび酸化物230cの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物230bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、酸化物230aおよび酸化物230cの電子親和力が、酸化物230bの電子親和力より小さいことが好ましい。
ここで、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cにおいて、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
具体的には、酸化物230aと酸化物230b、酸化物230bと酸化物230cが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物230bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物230aおよび酸化物230cとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物230bとなる。酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
また、酸化物230は、領域231、領域232、および領域234を有する。また、領域236を有していてもよい。なお、領域231の少なくとも一部は、絶縁体273を介して絶縁体274と重畳し、水素、および窒素などの不純物のうち、少なくとも一の濃度が領域234よりも大きいことが好ましい。また、領域232は、水素、および窒素などの不純物のうち、少なくとも一の濃度が、領域234よりも大きく、かつ領域231よりも小さいことが好ましい。また、領域236の少なくとも一部は、導電体240と接し、水素、および窒素などの不純物のうち、少なくとも一の濃度が領域231よりも大きいことが好ましい。
つまり、領域231、領域232、および領域236は、酸化物230として設けられた金属酸化物に、不純物を添加した領域である。なお、領域231は、領域234よりも、導電性が高い。また、領域232は、領域231よりも導電性が低く、領域234よりも導電性が高い。また、領域236は、領域231よりも、導電性が高い。
酸化物半導体は、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素を添加されることで低抵抗化される。このような元素としては、代表的には水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス等が挙げられる。また、希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、およびキセノン等がある。よって、領域231、領域232、および領域236は、上記元素の一つまたは複数を含む構成にすればよい。
トランジスタ200において、領域232を低抵抗化した場合、ソース領域およびドレイン領域として機能する領域231と、チャネルが形成される領域234との間に高抵抗領域が形成されないため、トランジスタのオン電流、および移動度を大きくすることができる。また、領域232を有することで、チャネル長方向において、ソース領域およびドレイン領域と、ゲートとが重ならないため、不要な容量が形成されることを抑制できる。また、領域232を有することで、非導通時のリーク電流を小さくすることができる。
また、トランジスタ200において、領域236を設けることで、酸化物230と導電体240との十分なオーミック接触を確保でき、トランジスタのオン電流、および移動度を大きくすることができる。
したがって、各領域の範囲を適宜選択することにより、回路設計に合わせて、要求に見合う電気特性を有するトランジスタを容易に提供することができる。
したがって、トランジスタ200をオンさせると、領域231a、または領域231bは、ソース領域、またはドレイン領域として機能する。一方、領域234の少なくとも一部は、チャネルが形成される領域として機能する。領域231と、領域234の間に領域232を有することで、トランジスタ200において、オン電流を大きくし、かつ、非導通時のリーク電流(オフ電流)を小さくすることができる。
また、酸化物230の側面と、酸化物230の上面との間に、湾曲面を有する。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲していることが好ましい(以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面は、例えば、酸化物230bの端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6nm以下とすることが好ましい。
酸化物230は、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。例えば、領域234となる金属酸化物としては、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さいため、低消費電力の半導体装置が提供できる。また、酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタに用いることができる。
例えば、酸化物230として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。また、酸化物230として、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物を用いてもよい。
絶縁体250は、ゲート絶縁体として機能する。絶縁体250は、酸化物230cの上面に接して配置することが好ましい。絶縁体250は、加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。例えば、昇温脱離ガス分光法分析(TDS分析)にて、酸素分子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019atoms/cm3、または3.0×1020atoms/cm3である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下の範囲が好ましい。
具体的には、過剰酸素を有する酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
加熱により酸素が放出される絶縁体を、絶縁体250として、酸化物230cの上面に接して設けることにより、酸化物230bの領域234に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体224と同様に、絶縁体250中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体250の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
また、絶縁体250が有する過剰酸素を、効率的に酸化物230へ供給するために、絶縁体252は酸素拡散を抑制することが好ましい。酸素の拡散を抑制する絶縁体252を設けることで、導電体260への過剰酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物230へ供給する過剰酸素量の減少を抑制することができる。また、過剰酸素による導電体260の酸化を抑制することができる。
また、絶縁体250、および絶縁体252は、ゲート絶縁体の一部としての機能を有する場合がある。したがって、絶縁体250に酸化シリコンや酸化窒化シリコンなどを用いる場合、絶縁体252は、比誘電率が高いhigh-k材料である金属酸化物を用いることが好ましい。当該積層構造とすることで、熱に対して安定、かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。したがって、物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減化が可能となる。また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)を小さくすることが可能となる。
上記積層構造とすることで、導電体260からの電界の影響を弱めることなく、オン電流の向上を図ることができる。また、絶縁体250と、絶縁体252との物理的な厚みにより、導電体260と、酸化物230との間の距離を保つことで、リーク電流を抑制することができる。また、絶縁体250、および絶縁体252との積層構造を設けることで、導電体260と酸化物230との間の物理的な距離、および導電体260から酸化物230へかかる電界強度を、容易に適宜調整することができる。
具体的には、絶縁体252として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
特に、アルミニウム、またはハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱履歴において、結晶化しにくいため好ましい。
第1のゲート電極として機能する導電体260は、導電体260a、および導電体260a上の導電体260bを有する。導電体260aは、導電体205aと同様に、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
導電体260aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体250、および絶縁体252が有する過剰酸素により、導電体260bが酸化して導電率が低下することを防ぐことができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。
また、導電体260は、配線として機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、導電体260bに、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体260bは積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
また、例えば、導電体260aとして、導電性酸化物を用いることができる。例えば、酸化物230として用いることができる金属酸化物を用いることが好ましい。特に、In-Ga-Zn系酸化物のうち、導電性が高い、金属の原子数比が[In]:[Ga]:[Zn]=4:2:3から4:2:4.1、およびその近傍値のものを用いることが好ましい。このような導電体260aを設けることで、導電体260bへの酸素の透過を抑制し、酸化によって導電体260bの電気抵抗値が増加することを防ぐことができる。
また、このような導電性酸化物を、スパッタリング法を用いて成膜することで、絶縁体250、および絶縁体252に酸素が添加され、酸化物230における領域234に酸素を供給することが可能となる。これにより、酸化物230における領域234の酸素欠損を低減することができる。
上記導電性酸化物を導電体260aとして用いる場合、導電体260bには、導電体260aに窒素などの不純物を添加し、導電体260aの導電性を向上できる導電体を用いることが好ましい。例えば、導電体260bは、窒化チタンなどを用いることが好ましい。また、導電体260bを、窒化チタンなどの金属窒化物と、その上にタングステンなどの金属を積層した構造にしてもよい。
また、図1(C)に示すように、導電体205が、酸化物230bのチャネル幅方向の端部よりも外側の領域に延伸している場合、導電体260は、当該領域において、絶縁体250を介して、重畳していることが好ましい。つまり、酸化物230bの側面の外側において、導電体205と、絶縁体250と、導電体260とは、積層構造を形成することが好ましい。
上記構成を有することで、導電体260、および導電体205に電位を印加した場合、導電体260から生じる電界と、導電体205から生じる電界と、がつながることで、閉回路を形成し、酸化物230に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。
つまり、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート電極としての機能を有する導電体205の電界によって、領域234のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。
また、導電体260bの上に、バリア膜として機能する絶縁体270を配置してもよい。絶縁体270は、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。これにより、導電体260の酸化を防ぐことができる。また、導電体260および絶縁体250を介して、水または水素などの不純物が酸化物230に混入することを防ぐことができる。
また、絶縁体270上に、ハードマスクとして機能する絶縁体271を配置することが好ましい。絶縁体271を設けることで、導電体260の加工の際、導電体260の側面を基板表面に対して概略垂直、具体的には、導電体260の側面と基板表面のなす角を、75度以上100度以下、好ましくは80度以上95度以下とすることができる。導電体をこのような形状に加工することで、次に形成する絶縁体273を所望の形状に形成することができる。
なお、絶縁体271に、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることで、バリア膜としての機能を兼ねてもよい。その場合、絶縁体270は設けなくともよい。
バリア膜、およびバッファ層として機能する絶縁体273は、酸化物230の上面および側面、絶縁体250の側面、絶縁体252の側面、導電体260の側面、および絶縁体270の側面に接して設ける。また、絶縁体273において、絶縁体250の側面、絶縁体252の側面、導電体260の側面、および絶縁体270の側面と接する領域の膜厚よりも、酸化物230の上面および側面と接する領域の膜厚の方が、薄いことが好ましい。
ここで、絶縁体273として、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウム、または酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。これにより、絶縁体250、および絶縁体252中の酸素が外部に拡散することを防ぐことができる。また、絶縁体250、および絶縁体252の端部などから酸化物230に水素、水などの不純物が混入するのを抑制することができる。したがって、酸化物230と、絶縁体250との界面における酸素欠損の形成が抑制され、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。
また、絶縁体273を設けることで、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で、導電体260の側面、絶縁体250の側面、および絶縁体252の側面を覆うことができる。これにより、導電体260、絶縁体250および絶縁体252を介して、水または水素などの不純物が酸化物230に混入することを防ぐことができる。したがって、絶縁体273は、ゲート電極およびゲート絶縁体の側面を保護するサイドバリアとしての機能を有する。
また、導電体260、絶縁体252、および絶縁体250の側面に、絶縁体273を介して、絶縁体275を設ける。トランジスタの微細化に伴い、例えば、設計されるチャネル長が10nm以上30nm以下で形成される場合、領域231に含まれる不純物元素が、領域234へ拡散し、領域231aと、領域231bとが電気的に導通する蓋然性が高い。絶縁体275を設けることで、領域231aと、領域231bとの距離を確保し、第1のゲート電位が0Vのときに、ソース領域とドレイン領域が電気的に導通することを防ぐことができる。つまり、酸化物230において、絶縁体275と重畳する領域に、領域232を設けることで、領域231の過剰な水素、または窒素が、領域234へ拡散することを防止することができる。
また、絶縁体224は島状に加工されている場合、絶縁体224の外側で、絶縁体222と絶縁体273が接する構造とすればよい。当該構造とすることで、酸化物230は、水素、または窒素の拡散を抑制する膜で封止される構造となる。したがって、絶縁体274以外の構造体から、設計していない過剰な不純物が混入することを防止することができる。
また、絶縁体274は、絶縁体273を介して、少なくとも酸化物230の領域231上に設けられる。絶縁体274を、絶縁体273を介して、酸化物230の領域231上に設けることで、過剰な水素、または窒素が、酸化物230における領域234へと添加されることを防止することができる。
したがって、絶縁体274の膜厚と、絶縁体273の酸化物230の上面および側面と接する領域の膜厚は、用いた材質に応じて、適宜調整するとよい。例えば、絶縁体273として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
特に、酸化アルミニウムはバリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であっても、水素、および窒素の拡散を抑制することができる。また、酸化ハフニウムは、酸化アルミニウムよりもバリア性が低いが、膜厚を厚くすることによりバリア性を高めることができる。したがって、酸化ハフニウムの膜厚を調整することで、水素、および窒素の適切な添加量を調整することができる。
したがって、絶縁体273に酸化アルミニウムを用いる場合、絶縁体250の側面、絶縁体252の側面、導電体260の側面、および絶縁体270の側面と接する領域の膜厚は、0.5nm以上、好ましくは3.0nm以上であることが好ましい。一方、絶縁体273が酸化物230の上面および側面と接する領域の膜厚は、3.0nm以下であることが好ましい。
例えば、絶縁体274として、窒素を含む絶縁体を用いることができる。例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどを用いることが好ましい。特に、窒化シリコン膜は、当該窒化シリコン膜の成膜中、または後の熱履歴により、窒化シリコン膜中の水素を放出することができる。
また、絶縁体274の上に、層間膜として機能する絶縁体280を設けることが好ましい。絶縁体280は、絶縁体224などと同様に、膜中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。なお、絶縁体280の上に絶縁体210と同様の絶縁体を設けてもよい。
また、絶縁体280および絶縁体274に形成された開口に、導電体240aおよび導電体240bを配置する。導電体240aおよび導電体240bは、導電体260を挟んで対向して設ける。なお、導電体240aおよび導電体240bの上面の高さは、絶縁体280の上面の高さと同程度としてもよい。
導電体240aは、トランジスタ200のソース領域およびドレイン領域の一方として機能する領域236aと接しており、導電体240bはトランジスタ200のソース領域およびドレイン領域の他方として機能する領域236bと接している。よって、導電体240aはソース電極およびドレイン電極の一方として機能でき、導電体240bはソース電極およびドレイン電極の他方として機能できる。
領域236aおよび領域236bは低抵抗化されているので、導電体240aと領域231aの接触抵抗、および導電体240bと領域231bの接触抵抗を低減し、トランジスタ200のオン電流を大きくすることができる。
なお、絶縁体280および絶縁体274の開口の内壁に接して導電体240aが形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には酸化物230の領域236aが位置しており、導電体240aが領域236aと接する。同様に、絶縁体280および絶縁体274の開口の内壁に接して導電体240bが形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には酸化物230の領域236bが位置しており、導電体240bが領域236bと接する。
ここで、導電体240a、および導電体240bは、少なくとも酸化物230の上面と接し、さらに酸化物230の側面と接することが好ましい。特に、導電体240a、および導電体240bは、酸化物230のチャネル幅方向と交わる側面において、A3側の側面、およびA4側の側面の双方または一方と接することが好ましい。また、導電体240a、および導電体240bが、酸化物230のチャネル長方向と交わる側面において、A1側(A2側)の側面と接する構成にしてもよい。このように、導電体240a、および導電体240bが酸化物230の上面に加えて、酸化物230の側面と接する構成にすることにより、導電体240a、および導電体240bと酸化物230のコンタクト部の上面積を増やすことなく、コンタクト部の接触面積を増加させ、導電体240a、および導電体240bと酸化物230の接触抵抗を低減することができる。これにより、トランジスタのソース電極およびドレイン電極の微細化を図りつつ、オン電流を大きくすることができる。
導電体240aおよび導電体240bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、図示しないが、導電体240aおよび導電体240bは積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
導電体240を積層構造とする場合、絶縁体274、および絶縁体280と接する導電体には、導電体205aなどと同様に、水または水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、水または水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料は、単層または積層で用いてもよい。当該導電性材料を用いることで、絶縁体280より上層から水素、水などの不純物が、導電体240aおよび導電体240bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。
また、図示しないが、導電体240aの上面、および導電体240bの上面に接して配線として機能する導電体を配置してもよい。配線として機能する導電体は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、当該導電体は、積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。なお、当該導電体は、導電体203などと同様に、絶縁体に設けられた開口に埋め込むように形成してもよい。
<半導体装置の構成材料>
以下では、半導体装置に用いることができる構成材料について説明する。
<<基板>>
トランジスタ200を形成する基板としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板または導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの半導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体または絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などがある。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
また、基板として、可撓性基板を用いてもよい。なお、可撓性基板上にトランジスタを設ける方法としては、非可撓性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥離し、可撓性基板である基板に転置する方法もある。その場合には、非可撓性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。また、基板が伸縮性を有してもよい。また、基板は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有してもよい。または、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板は、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下、さらに好ましくは15μm以上300μm以下の厚さとなる領域を有する。基板を薄くすると、トランジスタを有する半導体装置を軽量化することができる。また、基板を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有する場合がある。そのため、落下などによって基板上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和することができる。すなわち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
可撓性基板である基板としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、またはそれらの繊維などを用いることができる。また、基板として、繊維を編みこんだシート、フィルムまたは箔などを用いてもよい。可撓性基板である基板は、線膨張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可撓性基板である基板としては、例えば、線膨張率が1×10-3/K以下、5×10-5/K以下、または1×10-5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可撓性基板である基板として好適である。
<<絶縁体>>
絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物などがある。
例えば、トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、high-k材料を用いることで物理膜厚を保ち、低電圧化が可能となる。一方、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて、材料を選択するとよい。
また、比誘電率の高い絶縁体としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。
また、比誘電率が低い絶縁体としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などがある。
また、特に、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定である。そのため、例えば、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。また、例えば、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは、比誘電率の高い絶縁体と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。
水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。具体的には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
例えば、絶縁体273として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
特に、酸化アルミニウムはバリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であっても、水素、および窒素の拡散を抑制することができる。また、酸化ハフニウムは、酸化アルミニウムよりもバリア性が低いが、膜厚を厚くすることによりバリア性を高めることができる。したがって、酸化ハフニウムの膜厚を調整することで、水素、および窒素の適切な添加量を調整することができる。
例えば、絶縁体274として、窒素を含む絶縁体を用いることができる。例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどを用いることが好ましい。特に、窒化シリコン膜は、当該窒化シリコン膜の成膜中、または後の熱履歴により、窒化シリコン膜中の水素を放出することができる。
例えば、ゲート絶縁体の一部として機能する絶縁体224および絶縁体250は、過剰酸素領域を有する絶縁体であることが好ましい。例えば、過剰酸素領域を有する酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを酸化物230と接する構造とすることで、酸化物230が有する酸素欠損を補償することができる。
また、例えば、ゲート絶縁体の一部として機能する絶縁体224および絶縁体252において、アルミニウム、ハフニウム、およびガリウムの一種または複数種の酸化物を含む絶縁体を用いることができる。特に、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。
例えば、絶縁体222には、熱に対して安定である酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを用いることが好ましい。ゲート絶縁体として、熱に対して安定な膜と、比誘電率が高い積層構造とすることで、物理膜厚を保持したまま、ゲート絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)を小さくすることが可能となる。
上記積層構造とすることで、ゲート電極からの電界の影響を弱めることなく、オン電流の向上を図ることができる。また、ゲート絶縁体の物理的な厚みにより、ゲート電極と、チャネルが形成される領域との間の距離を保つことで、リーク電流を抑制することができる。
絶縁体212、絶縁体216、絶縁体271、絶縁体275および絶縁体280は、比誘電率の低い絶縁体を有することが好ましい。例えば、絶縁体212、絶縁体216、絶縁体271、絶縁体275および絶縁体280は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などを有することが好ましい。または、絶縁体212、絶縁体216、絶縁体271、絶縁体275および絶縁体280は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコンまたは空孔を有する酸化シリコンと、樹脂と、の積層構造を有することが好ましい。酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。
絶縁体210、絶縁体214、絶縁体270、および絶縁体273としては、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体を用いればよい。絶縁体270および絶縁体273としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いればよい。
<<導電体>>
導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
なお、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物を用いる場合において、ゲート電極として機能する導電体には、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造を用いることが好ましい。この場合は、酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けることで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる金属元素および酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。または、外方の絶縁体などから混入する水素を捕獲することができる場合がある。
導電体260、導電体203、導電体205、および導電体240としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
<<金属酸化物>>
酸化物230として、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。以下では、本発明に係る酸化物230に適用可能な金属酸化物について説明する。
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
ここでは、金属酸化物が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
[金属酸化物の構成]
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crystal)、およびCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場合がある。なお、CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能、または材料の構成の一例を表す。
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの活性層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(または正孔)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、および絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、および高い電界効果移動度を得ることができる。
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
[金属酸化物の構造]
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
また、CAAC-OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸化物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
[金属酸化物を有するトランジスタ]
続いて、上記金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合について説明する。
なお、上記金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
また、トランジスタには、キャリア密度の低い金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物膜のキャリア密度を低くする場合においては、金属酸化物膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性という。例えば、金属酸化物は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上とすればよい。
また、高純度真性または実質的に高純度真性である金属酸化物膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、金属酸化物のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い金属酸化物をチャネル形成領域に有するトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
したがって、トランジスタの電気特性を安定にするためには、金属酸化物中の不純物濃度を低減することが有効である。また、金属酸化物中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
なお、トランジスタの半導体に用いる金属酸化物として、結晶性の高い薄膜を用いることが好ましい。該薄膜を用いることで、トランジスタの安定性または信頼性を向上させることができる。該薄膜として、例えば、単結晶金属酸化物の薄膜または多結晶金属酸化物の薄膜が挙げられる。しかしながら、単結晶金属酸化物の薄膜または多結晶金属酸化物の薄膜を基板上に形成するには、高温またはレーザー加熱の工程が必要とされる。よって、製造工程のコストが増加し、さらに、スループットも低下してしまう。
2009年に、CAAC構造を有するIn-Ga-Zn酸化物(CAAC-IGZOと呼ぶ)が発見されたことが、非特許文献1および非特許文献2で報告されている。ここでは、CAAC-IGZOは、c軸配向性を有する、結晶粒界が明確に確認されない、低温で基板上に形成可能である、ことが報告されている。さらに、CAAC-IGZOを用いたトランジスタは、優れた電気特性および信頼性を有することが報告されている。
また、2013年には、nc構造を有するIn-Ga-Zn酸化物(nc-IGZOと呼ぶ)が発見された(非特許文献3参照)。ここでは、nc-IGZOは、微小な領域(例えば、1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有し、異なる該領域間で結晶方位に規則性が見られないことが報告されている。
非特許文献4および非特許文献5では、上記のCAAC-IGZO、nc-IGZO、および結晶性の低いIGZOのそれぞれの薄膜に対する電子線の照射による平均結晶サイズの推移が示されている。結晶性の低いIGZOの薄膜において、電子線が照射される前でさえ、1nm程度の結晶性IGZOが観察されている。よって、ここでは、IGZOにおいて、完全な非晶質構造(completely amorphous structure)の存在を確認できなかった、と報告されている。さらに、結晶性の低いIGZOの薄膜と比べて、CAAC-IGZOの薄膜およびnc-IGZOの薄膜は電子線照射に対する安定性が高いことが示されている。よって、トランジスタの半導体として、CAAC-IGZOの薄膜またはnc-IGZOの薄膜を用いることが好ましい。
金属酸化物を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さい、具体的には、トランジスタのチャネル幅1μmあたりのオフ電流がyA/μm(10-24A/μm)オーダである、ことが非特許文献6に示されている。例えば、金属酸化物を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を応用した低消費電力のCPUなどが開示されている(非特許文献7参照)。
また、金属酸化物を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を利用した、該トランジスタの表示装置への応用が報告されている(非特許文献8参照)。表示装置では、表示される画像が1秒間に数十回切り換っている。1秒間あたりの画像の切り換え回数はリフレッシュレートと呼ばれている。また、リフレッシュレートを駆動周波数と呼ぶこともある。このような、人の目で知覚が困難である高速の画面の切り換えが、目の疲労の原因として考えられている。そこで、非特許文献8において、表示装置のリフレッシュレートを低下させて、画像の書き換え回数を減らすことが提案されている。また、リフレッシュレートを低下させた駆動により、表示装置の消費電力を低減することが可能である。このような駆動方法を、アイドリング・ストップ(IDS)駆動と呼ぶ。
CAAC構造およびnc構造の発見は、CAAC構造またはnc構造を有する金属酸化物を用いたトランジスタの電気特性および信頼性の向上、ならびに、製造工程のコスト低下およびスループットの向上に貢献している。また、該トランジスタのリーク電流が低いという特性を利用した、該トランジスタの表示装置およびLSIへの応用研究が進められている。
[不純物]
ここで、金属酸化物中における各不純物の影響について説明する。
金属酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、金属酸化物において欠陥準位が形成される。このため、金属酸化物におけるシリコンや炭素の濃度と、金属酸化物との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、金属酸化物にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。したがって、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、金属酸化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる金属酸化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
また、金属酸化物において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。したがって、当該金属酸化物において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、金属酸化物中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、金属酸化物に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。当該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。したがって、水素が含まれている金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、金属酸化物中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、金属酸化物において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。
不純物が十分に低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
<半導体装置の作製方法>
次に、本発明に係るトランジスタ200を有する半導体装置について、作製方法を図3乃至図13を用いて説明する。また、図3乃至図13において、各図の(A)は上面図を示す。また、各図の(B)は(A)に示すA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図である。また、各図の(C)は、(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図である。
まず、基板(図示しない)を準備し、当該基板上に絶縁体210を成膜する。絶縁体210の成膜は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法またはALD(Atomic Layer Deposition)法などを用いて行うことができる。
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CVD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、熱CVD法は、プラズマを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法である。例えば、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など)などは、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき、蓄積した電荷によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合がある。一方、プラズマを用いない熱CVD法の場合、こういったプラズマダメージが生じないため、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、熱CVD法では、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
また、ALD法も、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法である。また、ALD法は、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。なお、ALD法で用いるプリカーサには炭素などの不純物を含むものがある。このため、ALD法により設けられた膜は、他の成膜法により設けられた膜と比較して、炭素などの不純物を多く含む場合がある。なお、不純物の定量は、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて行うことができる。
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法とは異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが好ましい場合もある。
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御することができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用いて成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間の分、成膜に掛かる時間を短くすることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
本実施の形態では、絶縁体210として、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜する。また、絶縁体210は、多層構造としてもよい。例えばスパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜し、当該酸化アルミニウム上にALD法によって酸化アルミニウムを成膜する構造としてもよい。または、ALD法によって酸化アルミニウムを成膜し、当該酸化アルミニウム上に、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜する構造としてもよい。
次に絶縁体210上に絶縁体212を成膜する。絶縁体212の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体212として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
次に、絶縁体212に、絶縁体210に達する開口を形成する。開口とは、例えば、溝やスリットなども含まれる。また、開口が形成された領域を指して開口部とする場合がある。開口の形成はウエットエッチングを用いてもよいが、ドライエッチングを用いるほうが微細加工には好ましい。また、絶縁体210は、絶縁体212をエッチングして溝を形成する際のエッチングストッパ膜として機能する絶縁体を選択することが好ましい。例えば、溝を形成する絶縁体212に酸化シリコン膜を用いた場合は、絶縁体210は、エッチングストッパ膜として機能する絶縁膜として、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜を用いるとよい。
開口の形成後に、導電体203aとなる導電膜を成膜する。当該導電膜は、酸素の透過を抑制する機能を有する導電体を含むことが望ましい。たとえば、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタンなどを用いることができる。またはタンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、モリブデンタングステン合金との積層膜とすることができる。導電体203aとなる導電体の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、導電体203aとなる導電膜として、スパッタリング法によって窒化タンタルまたは、窒化タンタルの上に窒化チタンを積層した膜を成膜する。導電体203aとしてこのような金属窒化物を用いることにより、後述する導電体203bで銅など拡散しやすい金属を用いても、当該金属が導電体203aから外に拡散するのを防ぐことができる。
次に、導電体203aとなる導電膜上に、導電体203bとなる導電膜を成膜する。当該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、導電体203bとなる導電膜として、銅などの低抵抗導電性材料を成膜する。
次に、化学的機械研磨(CMP)処理を行うことで、導電体203aとなる導電膜、ならびに導電体203bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体212を露出する。その結果、開口部のみに、導電体203aとなる導電膜、ならびに導電体203bとなる導電膜が残存する。これにより、上面が平坦な、導電体203aおよび導電体203bを含む導電体203を形成することができる(図3参照)。なお、当該CMP処理により、絶縁体212の一部が除去される場合がある。
次に、絶縁体212、および導電体203上に絶縁体214を成膜する。絶縁体214の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体214として、CVD法によって窒化シリコンを成膜する。このように、絶縁体214として、窒化シリコンなどの銅が透過しにくい絶縁体を用いることにより、導電体203bに銅など拡散しやすい金属を用いても、当該金属が絶縁体214より上の層に拡散するのを防ぐことができる。
次に絶縁体214上に絶縁体216を成膜する。絶縁体216の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体216として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
次に、絶縁体214および絶縁体216に、導電体203に達する開口を形成する。開口の形成はウエットエッチングを用いてもよいが、ドライエッチングを用いるほうが微細加工には好ましい。
開口の形成後に、導電体205aとなる導電膜を成膜する。導電体205aとなる導電膜は、酸素の透過を抑制する機能を有する導電性材料を含むことが望ましい。たとえば、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタンなどを用いることができる。またはタンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、モリブデンタングステン合金との積層膜とすることができる。導電体205aとなる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、導電体205aとなる導電膜として、スパッタリング法によって窒化タンタルを成膜する。
次に、導電体205aとなる導電膜上に、導電体205bとなる導電膜を成膜する。当該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、導電体205bとなる導電膜として、CVD法によって窒化チタンを成膜し、当該窒化チタン上にCVD法によってタングステンを成膜する。
次に、CMP処理を行うことで、導電体205aとなる導電膜、ならびに導電体205bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体216を露出する。その結果、開口部のみに、導電体205a、および導電体205bとなる導電膜が残存する。これにより、上面が平坦な、導電体205aおよび導電体205bを含む導電体205を形成することができる(図3参照)。なお、当該CMP処理により、絶縁体212の一部が除去される場合がある。
次に、絶縁体216、および導電体205上に絶縁体220を成膜する。絶縁体220の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体212として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
次に、絶縁体220上に絶縁体222を成膜する。絶縁体222として、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する。絶縁体222が、水素および水に対するバリア性を有することで、トランジスタ200の周辺に設けられた構造体に含まれる水素、および水は、絶縁体222を介してトランジスタ200の内側へ拡散することなく、酸化物230中の酸素欠損の生成を抑制することができる。
絶縁体222の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
次に、絶縁体222上に絶縁膜224Aを成膜する。絶縁膜224Aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる(図3参照)。本実施の形態では、絶縁体224Aとして、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
続いて、加熱処理を行うと好ましい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で行ってもよい。
本実施の形態では、加熱処理として、絶縁膜224Aの成膜後に窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行なう。
上記加熱処理によって、絶縁体222から、絶縁膜224Aに過剰酸素が添加され、絶縁膜224Aに過剰酸素領域を容易に形成することができる。また、絶縁膜224Aに含まれる水素や水などの不純物を除去することなどができる。
また、加熱処理は、絶縁体220成膜後、および絶縁体222の成膜後のそれぞれのタイミングで行うこともできる。当該加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができるが、絶縁体220成膜後の加熱処理は、窒素を含む雰囲気中で行うことが好ましい。
ここで、絶縁膜224Aに過剰酸素領域を形成するために、減圧状態で酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。酸素を含むプラズマ処理は、例えばマイクロ波を用いた高密度プラズマを発生させる電源を有する装置を用いることが好ましい。または、基板側にRF(Radio Frequency)を印加する電源を有してもよい。高密度プラズマを用いることより高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加することで高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを効率よく絶縁膜224A内に導くことができる。または、この装置を用いて不活性ガスを含むプラズマ処理を行った後に脱離した酸素を補うために酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。なお、当該プラズマ処理の条件を適宜選択することにより、絶縁膜224Aに含まれる水素や水などの不純物を除去することができる。その場合、加熱処理は行わなくてもよい。
次に、絶縁膜224A上に、酸化物230aとなる酸化膜230Aと、酸化物230bとなる酸化膜230Bを順に成膜する(図4参照)。なお、上記酸化膜は、大気環境にさらさずに連続して成膜することが好ましい。大気開放せずに成膜することで、酸化膜230A、および酸化膜230B上に大気環境からの不純物または水分が付着することを防ぐことができ、酸化膜230Aと酸化膜230Bとの界面近傍を清浄に保つことができる。
酸化膜230A、および酸化膜230Bの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
例えば、酸化膜230A、および酸化膜230Bをスパッタリング法によって成膜する場合は、スパッタリングガスとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を高めることで、成膜される酸化膜中の過剰酸素を増やすことができる。また、上記の酸化膜をスパッタリング法によって成膜する場合は、上記のIn-M-Zn酸化物ターゲットを用いることができる。
特に、酸化膜230Aの成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁膜224Aに供給される場合がある。したがって、酸化膜230Aのスパッタリングガスに含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とすればよい。
また、酸化膜230Bをスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を1%以上30%以下、好ましくは5%以上20%以下として成膜すると、酸素欠乏型の酸化物半導体が形成される。酸素欠乏型の酸化物半導体を用いたトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られる。
本実施の形態では、酸化膜230Aとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。また、酸化膜230Bとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。なお、各酸化膜は、成膜条件、および原子数比を適宜選択することで、酸化物230に求める特性に合わせて形成するとよい。
次に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができる。加熱処理によって、酸化膜230A、および酸化膜230B中の水素や水などの不純物を除去することなどができる。本実施の形態では、窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行なった後に、連続して酸素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行う。
次に、酸化膜230A、および酸化膜230Bを島状に加工して、酸化物230a、および酸化物230bを形成する(図5参照)。
ここで、酸化物230a、および酸化物230bは、少なくとも一部が導電体205と重なるように形成する。また、酸化物230a、および酸化物230bの側面は、絶縁体222の上面に対し、概略垂直であることが好ましい。酸化物230a、および酸化物230bの側面が、絶縁体222の上面に対し、概略垂直であることで、複数のトランジスタ200を設ける際に、小面積化、高密度化が可能となる。なお、酸化物230a、および酸化物230bの側面と絶縁体222の上面のなす角が鋭角になる構成にしてもよい。その場合、酸化物230a、および酸化物230bの側面と絶縁体222の上面のなす角は大きいほど好ましい。
また、酸化物230a、および酸化物230bの側面と、酸化物230aの上面との間に、湾曲面を有する。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲していることが好ましい(以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面は、例えば、酸化物230bの端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6nm以下とすることが好ましい。端部に角を有さないことで、以降の成膜工程における膜の被覆性が向上する。
なお、当該酸化膜の加工はリソグラフィー法を用いて行えばよい。また、当該加工はドライエッチング法やウエットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。
リソグラフィー法では、まず、マスクを介してレジストを露光する。次に、露光された領域を、現像液を用いて除去または残存させてレジストマスクを形成する。次に、当該レジストマスクを介してエッチング処理することで導電体、半導体または絶縁体などを所望の形状に加工することができる。例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などを用いて、レジストを露光することでレジストマスクを形成すればよい。また、基板と投影レンズとの間に液体(例えば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用いる場合には、上記レジスト露光用のマスクは不要となる。なお、レジストマスクは、アッシングなどのドライエッチング処理を行う、ウエットエッチング処理を行う、ドライエッチング処理後にウエットエッチング処理を行う、またはウエットエッチング処理後にドライエッチング処理を行う、などによって除去することができる。
また、レジストマスクの代わりに絶縁体や導電体からなるハードマスクを用いてもよい。ハードマスクを用いる場合、酸化膜230B上にハードマスク材料となる絶縁膜や導電膜を形成し、その上にレジストマスクを形成し、ハードマスク材料をエッチングすることで所望の形状のハードマスクを形成することができる。酸化膜230A、および酸化膜230Bのエッチングは、レジストマスクを除去してから行ってもよいし、レジストマスクを残したまま行ってもよい。後者の場合、エッチング中にレジストマスクが消失することがある。上記酸化膜のエッチング後にハードマスクをエッチングにより除去してもよい。一方、ハードマスクの材料が後工程に影響が無い、あるいは後工程で利用できる場合、必ずしもハードマスクを除去する必要は無い。
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いることができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板型電極の一方の電極に高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極の一方の電極に複数の異なった高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに同じ周波数の高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに周波数の異なる高周波電源を印加する構成でもよい。または高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)エッチング装置などを用いることができる。
また、上記ドライエッチングなどの処理を行うことによって、エッチングガスなどに起因した不純物が酸化物230a、および酸化物230bなどの表面または内部に付着または拡散することがある。不純物としては、例えば、フッ素または塩素などがある。
上記の不純物などを除去するために、洗浄を行う。洗浄方法としては、洗浄液など用いたウエット洗浄、プラズマを用いたプラズマ処理または、熱処理による洗浄などがあり、上記洗浄を適宜組み合わせて行ってもよい。
ウエット洗浄としては、シュウ酸、リン酸またはフッ化水素酸などを炭酸水または純水で希釈した水溶液を用いて洗浄処理を行ってもよい。または、純水または炭酸水を用いた超音波洗浄を行ってもよい。本実施の形態では、純水または炭酸水を用いた超音波洗浄を行う。
続いて、加熱処理を行ってもよい。加熱処理の条件は、前述の加熱処理の条件を用いることができる。
次に、絶縁膜224A、酸化物230a、および酸化物230bの上に、酸化膜230Cを成膜する。
酸化膜230Cの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。酸化物230cに求める特性に合わせて、酸化膜230A、または酸化膜230Bと同様の成膜方法を用いて、酸化膜230Cを成膜すればよい。本実施の形態では、酸化膜230Cとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて成膜する(図6参照)。
次に、酸化膜230Cを加工して、酸化物230cを形成する(図7参照)。なお、当該工程において、絶縁膜224Aを島状に加工してもよい。その場合、絶縁体222をエッチングストッパ膜として用いることができる。
また、絶縁体224Aを島状に加工する場合、絶縁体224の外側で、絶縁体222と絶縁体273が接する構造とすればよい。当該構造とすることで、酸化物230は、水素、または窒素の拡散を抑制する膜で封止される構造となる。したがって、絶縁体274以外の構造体から、設計していない過剰な不純物が混入することを防止することができる。
続いて、酸化物230、および絶縁膜224A上に、絶縁膜250A、絶縁膜252A、導電膜260A、導電膜260B、絶縁膜270A、および絶縁膜271Aを順に成膜する(図8参照)。
まず、絶縁膜250Aを成膜する。絶縁膜250Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。本実施例では、絶縁膜250Aとして、CVD法により、酸化窒化シリコンを成膜するとよい。なお、絶縁膜250Aを成膜する際の成膜温度は、350℃以上450℃未満、特に400℃前後とすることが好ましい。絶縁膜250Aを、400℃で成膜することで、不純物が少ない絶縁体を成膜することができる。
なお、マイクロ波で酸素を励起し、高密度な酸素プラズマを発生させ、当該酸素プラズマに絶縁膜250Aを曝すことで、絶縁膜250A、酸化物230、へ酸素を導入することができる。
また、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる。当該加熱処理によって、絶縁膜250Aの水分濃度および水素濃度を低減させることができる。
次に、絶縁膜250A上に絶縁膜252Aを成膜する。絶縁膜252Aとして、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する。絶縁体222が、水素および水に対するバリア性を有することで、絶縁体222を介してトランジスタ200の周辺に設けられた構造体に含まれる水素、および水は、トランジスタ200の内側へ拡散することなく、酸化物230中の酸素欠損の生成を抑制することができる。
絶縁膜252Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。
また、絶縁膜252Aとして金属酸化物を、酸素を含む雰囲気において、スパッタリング法を用いて成膜することで、絶縁膜250Aに酸素を添加し、絶縁膜250Aに過剰酸素領域を形成することができる。絶縁膜250Aに添加された過剰酸素は、酸化物230に酸素を供給することで、酸素欠損を補償することができる。
ここで、スパッタリング法による絶縁膜252Aの成膜時には、ターゲットと基板との間には、イオンとスパッタされた粒子とが存在する。例えば、ターゲットは、電源が接続されており、電位E0が与えられる。また、基板は、接地電位などの電位E1が与えられる。ただし、基板が電気的に浮いていてもよい。また、ターゲットと基板の間には電位E2となる領域が存在する。各電位の大小関係は、E2>E1>E0である。
プラズマ内のイオンが、電位差E2-E0によって加速され、ターゲットに衝突することにより、ターゲットからスパッタされた粒子がはじき出される。このスパッタされた粒子が成膜表面に付着し、堆積することにより成膜が行われる。また、一部のイオンはターゲットによって反跳し、反跳イオンとして形成された膜を通過し、被成膜面と接する絶縁膜250A、および絶縁膜224Aに取り込まれる場合がある。また、プラズマ内のイオンは、電位差E2-E1によって加速され、成膜表面を衝撃する。この際、一部のイオンは、絶縁膜250A、および絶縁膜224A内部まで到達する。イオンが絶縁膜250A、および絶縁膜224Aに取り込まれることにより、イオンが取り込まれた領域が絶縁膜250A、および絶縁膜224Aに形成される。つまり、イオンが酸素を含むイオンであった場合において、絶縁膜250A、および絶縁膜224Aに過剰酸素領域が形成される。
絶縁膜250A、および絶縁膜224Aに過剰な酸素を導入することで、過剰酸素領域を形成することができる。絶縁膜250A、および絶縁膜224Aの過剰な酸素は、酸化物230に供給され、酸化物230の酸素欠損が補填することができる。
したがって、絶縁膜252Aを成膜する手段として、スパッタリング装置を用いて、酸素ガス雰囲気下で成膜を行うことで、絶縁膜252Aを成膜しながら、絶縁膜250A、および絶縁膜224Aに酸素を導入することができる。特に、絶縁膜252Aに、バリア性を有するアルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を用いることで、絶縁体250に導入した過剰酸素を、効果的に封じ込めることができる。
続いて、導電膜260A、および導電膜260Bを成膜する。導電膜260A、および導電膜260Bは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。本実施の形態では、導電膜260Aとして、CVD法によって窒化チタンを成膜し、導電膜260Bとして、CVD法によってタングステンを成膜する。
続いて、加熱処理を行うことができる。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる。なお、加熱処理は行わなくてもよい場合がある。本加熱処理によって、絶縁膜252Aから、絶縁膜250A、および絶縁体224に過剰酸素が添加され、絶縁膜250A、および絶縁膜224Aに過剰酸素領域を容易に形成することができる。
絶縁膜270Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。絶縁膜270Aは、バリア膜として機能するため、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いる。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。これにより、導電体260の酸化を防ぐことができる。また、導電体260および絶縁体250を介して、水または水素などの不純物が酸化物230に混入することを防ぐことができる。本実施の形態では、絶縁膜270Aとして、ALD法によって酸化アルミニウムを成膜する。
絶縁膜271Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。ここで、絶縁膜271Aの膜厚は、後の工程で成膜する絶縁膜272Aの膜厚より厚くすることが好ましい。これにより、後の工程で絶縁体272を形成する際、導電体260の上に絶縁体271を、容易に残存させることができる。本実施の形態では、絶縁膜271Aとして、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
次に、絶縁膜271Aを、エッチングし、絶縁体271を形成する。ここで、絶縁体271は、ハードマスクとして機能する。絶縁体271を設けることで、絶縁体250の側面、絶縁体252の側面、導電体260aの側面、導電体260bの側面、および絶縁体270の側面を、基板に対し、概略垂直に形成することができる。
絶縁体271をマスクとして、絶縁膜250A、絶縁膜252A、導電膜260A、導電膜260B、絶縁膜270Aを、エッチングし、絶縁体250、絶縁体252、導電体260(導電体260a、および導電体260b)、および絶縁体270を形成する(図9参照)。また、当該工程において、絶縁膜224Aを、島状に加工してもよい。その場合、絶縁体222をエッチングストッパ膜として用いることができる。
なお、当該エッチングにより、酸化物230cと、絶縁体250とが重ならない領域において、酸化物230cの一部が除去されていてもよい。この場合、酸化物230cの絶縁体250と重なる領域の膜厚が、絶縁体250と重ならない領域の膜厚より厚くなる場合がある。
また、絶縁体250、絶縁体252、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271は、少なくとも一部が、導電体205および酸化物230と重なるように形成する。
また、絶縁体250の側面、絶縁体252の側面、導電体260の側面、および絶縁体270の側面は、同一面内であることが好ましい。
また、絶縁体250の側面、絶縁体252の側面、導電体260の側面、および絶縁体270の側面が共有する同一面は、基板に対し、概略垂直であることが好ましい。なお、断面形状において、絶縁体250、絶縁体252、導電体260、および絶縁体270の側面と、酸化物230の上面のなす角が鋭角になる構成にしてもよい。その場合、絶縁体250、導電体260、および絶縁体270の側面と、酸化物230の上面のなす角は大きいほど好ましい。
なお、上記加工後も、当該ハードマスク(絶縁体271)は除去せずに後工程を進めてもよい。
ここで、例えば、絶縁体250、絶縁体252、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271をマスクとして、酸化物230に金属元素、または不純物を添加する処理を行ってもよい(図9(B)に矢印で示す)。
なお、金属元素、または不純物を添加する処理としては、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。質量分離を行う場合、添加するイオン種およびその濃度を厳密に制御することができる。一方、質量分離を行わない場合、短時間で高濃度のイオンを添加することができる。また、原子または分子のクラスターを生成してイオン化するイオンドーピング法を用いてもよい。なお、添加する不純物、および金属元素を、元素、ドーパント、イオン、ドナー、またはアクセプターなどと言い換えてもよい。
また、不純物、および金属元素は、プラズマ処理にて添加されてもよい。この場合、プラズマCVD装置、ドライエッチング装置、アッシング装置を用いてプラズマ処理を行うことで、不純物、および金属元素を添加することができる。なお、上述した処理を複数組み合わせてもよい。
ゲート電極として機能する導電体260をマスクとしているため、酸化物230の、導電体260と重畳する領域(領域234)のみが、水素、および窒素の添加が抑制され、自己整合的に領域234と領域232の境界を設けることができる。
上記導電体260をマスクとした不純物の添加処理により、例えば、絶縁体274を設けた後の工程で領域232が形成されるため、不純物が拡散するための十分な熱履歴がない場合でも、領域232を確実に設けることができる。なお、不純物の拡散により、領域232は、ゲート電極として機能する導電体260と重畳してもよい。その場合、領域232は、いわゆるオーバーラップ領域(Lov領域ともいう)として機能する。
また、例えば、絶縁体273となる膜を成膜した後、絶縁体273となる膜を介して、イオンドーピング法により、不純物を添加してもよい。絶縁体273となる膜は、酸化物230、絶縁体250、絶縁体252、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271を覆って設ける。したがって、ゲート絶縁体として機能する絶縁体250、および絶縁体252を、絶縁体273により保護しながら不純物を添加することができる。
次に、酸化物230、絶縁体250、絶縁体252、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271を覆って、絶縁膜273A、および絶縁膜275Aを成膜する(図10参照)。絶縁膜273A、および絶縁膜274Aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
絶縁膜273Aとして、被覆性に優れたALD法により成膜することが好ましい。ALD法を用いることで、導電体260などにより形成された段差部においても、絶縁体250、絶縁体252、導電体260、および絶縁体270の側面に対して、均一な厚さを有する絶縁膜273Aを形成することができる。
例えば、絶縁膜273Aとして、ALD法を用いて成膜した、金属酸化膜を用いることができる。ALD法を用いることで、緻密な薄膜を成膜することができる。金属酸化膜は、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれることが好ましい。本実施の形態では、絶縁体273として、酸化アルミニウムを用いる。
なお、酸化アルミニウムはバリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であっても、水素、および窒素の拡散を抑制することができる。また、酸化ハフニウムは、酸化アルミニウムよりもバリア性が低いが、膜厚を厚くすることによりバリア性を高めることができる。例えば、ALD法を用いて酸化ハフニウムを成膜することで、酸化ハフニウムの膜厚の制御が容易となり、水素、および窒素の適切な添加量を調整することができる。
したがって、絶縁膜273Aに酸化アルミニウムを用いる場合、絶縁体250の側面、絶縁体252の側面、導電体260の側面、および絶縁体270の側面と接する領域の膜厚は、0.5nm以上、好ましくは3.0nm以上であることが好ましい。
また、絶縁膜273Aとなる絶縁体は、スパッタリング法を用いて成膜することが好ましい。スパッタリング法を用いることにより、水または水素などの不純物の少ない絶縁体を成膜することができる。スパッタリング法を用いる場合は、例えば、対向ターゲット型のスパッタリング装置を用いて成膜することが好ましい。対向ターゲット型のスパッタリング装置は、対向するターゲット間の高電界領域に被成膜面が晒されることなく成膜できるため、被成膜面がプラズマによる損傷を受けにくく成膜することができる。このため、絶縁膜273Aとなる絶縁体の成膜時に酸化物230への成膜ダメージを小さくすることができるので好ましい。対向ターゲット型のスパッタリング装置を用いた成膜法を、VDSP(Vapor Deposition SP)(登録商標)と呼ぶことができる。
次に、絶縁膜275Aに異方性のエッチング処理を行い、絶縁体273を介して、絶縁体250、絶縁体252、導電体260、および絶縁体270の側面に、絶縁体275を形成する。また、露出した絶縁膜273Aの表面を除去することで、絶縁膜273Aの一部を薄膜化し、絶縁体273を形成する(図11参照)。なお、絶縁体273が酸化アルミニウムである場合、絶縁体273の薄膜化された領域の膜厚は、3.0nm以下であることが好ましい。
上記異方性のエッチング処理としては、ドライエッチング処理を行うことが好ましい。これにより、基板面に対して略平行な面に成膜された当該絶縁膜を除去して、絶縁体272を自己整合的に形成することができる。
また、上記エッチングにより、絶縁膜273Aを同時にエッチングし、絶縁体273を形成してもよい。なお、上記エッチングとは別のエッチング工程で、絶縁体273を形成してもよい。
なお、図示しないが、酸化物230の側面にも絶縁膜275Aが残存していてもよい。その場合、後の工程で成膜する層間膜などの被膜性を高めることができる。
また、酸化物230の側面に接して絶縁膜275Aの残存した構造体が形成されていることで、後の工程で、不純物となる元素を含む絶縁体274を成膜し、酸化物230に領域231a、および領域231bを形成する場合、絶縁体224と酸化物230との界面領域は、低抵抗化されないため、リーク電流の発生を抑制することができる。
続いて、酸化物230において、領域231、および領域232を形成する。領域231、および領域232は、酸化物230として設けられた金属酸化物に、不純物を添加した領域である。なお、領域231は、少なくとも、領域234よりも、導電性が高い。
領域231、および領域232に、不純物を添加するために、例えば、インジウム、またはガリウムなどの金属元素、および不純物の少なくとも一であるドーパントを添加すればよい。なお、ドーパントとしては、上述の酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素などを用いればよい。例えば、当該元素として、水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス等が挙げられる。また、希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、およびキセノン等がある。
例えば、領域231、および領域232に、不純物を添加するために、ドーパントを含む膜として、絶縁体274を、絶縁体273を介して、領域231上に成膜するとよい。絶縁体274は、上記元素の一種、または複数種を含む絶縁膜を用いることが好ましい(図12参照)。
具体的には、酸化物230に、金属酸化物を含む絶縁体273を介して、窒素などの不純物となる元素を含む絶縁体274を成膜するとよい。窒素などの不純物となる元素を含む絶縁体は、酸化物230に含まれる酸素を引き抜き、吸収する場合がある。酸化物230から、酸素が引き抜かれると、領域231、および領域232には酸素欠損が生じる。当該酸素欠損に、絶縁体274の成膜や成膜後の熱処理により、絶縁体274の成膜雰囲気に含まれる、水素または窒素などの不純物元素が捕獲され、領域231、および領域232は低抵抗化する。つまり、酸化物230は、絶縁体274と接する領域を中心に、添加された不純物元素により酸素欠損が形成され、さらに当該不純物元素が酸素欠損に入り込むことで、キャリア密度が高くなり、低抵抗化される。その際、絶縁体274と接しない領域232にも不純物が拡散することで、低抵抗化すると考えられる。
したがって、絶縁体274の成膜により、ソース領域およびドレイン領域を自己整合的に形成することができる。よって、微細化または高集積化された半導体装置も、歩留まり良く製造することができる。
ここで、導電体260の側面に、絶縁体273を介して、絶縁体275を形成することで、酸化物230において、領域231に添加された窒素、または水素などの不純物元素が、領域234に拡散することを抑制することができる。
また、絶縁体274と酸化物230との間に、絶縁体273を形成することで、窒素、または水素などの不純物元素が、酸化物230に過剰に添加されることを抑制することができる。
また、導電体260、絶縁体252および絶縁体250の上面および側面を、絶縁体275および絶縁体273で覆っておくことで、窒素または水素などの不純物元素が、導電体260、絶縁体252および絶縁体250に混入することを防ぐことができる。これにより、窒素または水素などの不純物元素が、導電体260、絶縁体252および絶縁体250を通って、トランジスタ200のチャネル形成領域として機能する領域234に混入することを防ぐことができる。したがって、良好な電気特性を有するトランジスタ200を提供することができる。
絶縁体274の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。
例えば、絶縁体274として、CVD法を用いて成膜した、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコンを用いることができる。本実施の形態では、絶縁体274として、窒化酸化シリコンを用いる。
絶縁体274として、窒化酸化シリコンを用いた場合、領域231a、および領域231bは、領域234より、水素および窒素の少なくとも一方の濃度が大きくなることが好ましい。水素または窒素の濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)などを用いて測定すればよい。ここで、領域234の水素または窒素の濃度としては、酸化物230bの絶縁体250と重なる領域の中央近傍(例えば、酸化物230bの絶縁体250のチャネル長方向の両側面からの距離が概略等しい部分)の水素または窒素の濃度を測定すればよい。
なお、上記各領域の形成は、他のドーパントの添加方法と合わせて行ってもよい。他のドーパントの添加方法としては、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。質量分離を行う場合、添加するイオン種およびその濃度を厳密に制御することができる。一方、質量分離を行わない場合、短時間で高濃度のイオンを添加することができる。また、原子または分子のクラスターを生成してイオン化するイオンドーピング法を用いてもよい。なお、ドーパントを、イオン、ドナー、アクセプター、不純物または元素などと言い換えてもよい。
また、不純物は、プラズマ処理にて添加されてもよい。この場合、プラズマCVD装置、ドライエッチング装置、アッシング装置を用いてプラズマ処理を行い、領域231、および領域232にドーパントを添加することができる。なお、上述した処理を複数組み合わせて、各領域などを形成してもよい。
例えば、領域231は、上述の酸素欠損を形成する元素、酸素欠損に捕獲される元素の含有率を高くすることで、キャリア密度を高くし、低抵抗化を図ることができる。または、例えば、領域231において、インジウムなどの金属元を添加し、酸化物230のインジウムなどの金属原子の含有率を高くすることで、電子移動度を高くし、低抵抗化を図ることができる。なお、インジウムを添加する場合、少なくとも領域231における元素Mに対するインジウムの原子数比が、領域234の元素Mに対するインジウムの原子数比よりも大きくなる。
トランジスタ200において、領域232を設けることで、ソース領域およびドレイン領域として機能する領域231と、チャネルが形成される領域234との間に高抵抗領域が形成されないため、トランジスタのオン電流、および移動度を大きくすることができる。また、領域232を有することで、チャネル長方向において、ソース領域およびドレイン領域と、ゲートとが重ならないため、不要な容量が形成されるのを抑制することができる。また、領域232を有することで、非導通時のリーク電流を小さくすることができる。
したがって、各領域の範囲を適宜選択することにより、回路設計に合わせて、要求に見合う電気特性を有するトランジスタを容易に提供することができる。
続いて、加熱処理を行うことができる。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる。加熱処理を行うことで、添加された不純物が、酸化物230の領域232へと拡散し、オン電流を大きくすることができる。
次に、絶縁体274の上に、絶縁体280を成膜する。絶縁体280の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。または、スピンコート法、ディップ法、液滴吐出法(インクジェット法など)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷など)、ドクターナイフ法、ロールコーター法またはカーテンコーター法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、当該絶縁膜として、酸化窒化シリコンを用いる。
次に、絶縁体280の一部を除去する。絶縁体280は、上面が平坦性を有するように形成することが好ましい。例えば、絶縁体280は、絶縁体280となる絶縁膜として成膜した直後に上面が平坦性を有していてもよい。または、例えば、絶縁体280は、成膜後に基板裏面などの基準面と平行になるよう絶縁体などを上面から除去していくことで平坦性を有してもよい。このような処理を、平坦化処理と呼ぶ。平坦化処理としては、CMP処理、ドライエッチング処理などがある。本実施の形態では、平坦化処理として、CMP処理を用いる。ただし、絶縁体280の上面は必ずしも平坦性を有さなくてもよい。
次に、絶縁体280および絶縁体274に、酸化物230に達する開口を形成する(図13参照)。当該開口の形成は、リソグラフィー法を用いて行えばよい。なお、導電体240a、および導電体240bが酸化物230の側面に接して設けられるように、酸化物230に達する開口において、酸化物230の側面が露出するように、当該開口を形成する。
ここで、例えば、絶縁体280、絶縁体274、および絶縁体273をマスクとして、酸化物230に金属元素、または不純物を添加する処理を行ってもよい(図13(B)に矢印で示す)。当該、金属元素、または不純物を添加する処理を行うことで、領域236を自己整合的に形成することができる。なお、領域236は、領域231よりも、さらに、低抵抗化していることが好ましい。領域236を低抵抗化することで、酸化物230と導電体240との十分なオーミック接触を確保することができる。
金属元素、または不純物を添加する処理としては、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。質量分離を行う場合、添加するイオン種およびその濃度を厳密に制御することができる。一方、質量分離を行わない場合、短時間で高濃度のイオンを添加することができる。また、原子または分子のクラスターを生成してイオン化するイオンドーピング法を用いてもよい。なお、添加する不純物、および金属元素を、元素、ドーパント、イオン、ドナー、またはアクセプターなどと言い換えてもよい。
また、不純物、および金属元素は、プラズマ処理にて添加されてもよい。この場合、プラズマCVD装置、ドライエッチング装置、アッシング装置を用いてプラズマ処理を行うことで、不純物、および金属元素を添加することができる。なお、上述した処理を複数組み合わせてもよい。
次に、導電体240a、および導電体240bとなる導電膜を成膜する。当該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
次に、CMP処理を行うことで、導電体240a、および導電体240bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体280を露出する。その結果、上記開口のみに、当該導電膜が残存することで上面が平坦な導電体240a、および導電体240bを形成することができる(図1参照)。
以上により、トランジスタ200を有する半導体装置を作製することができる。図3乃至図13に示すように、本実施の形態に示す半導体装置の作製方法を用いることで、トランジスタ200を作成することができる。
本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、オフ電流の小さい半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、オン電流の大きいトランジスタを提供することができる。または、本発明の一態様により、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、消費電力が低減された半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、生産性の高い半導体装置を提供することができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
<半導体装置の変形例>
以下では、図14、図15、および図16を用いて、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の一例について説明する。
各図(A)は、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図である。また、各図(B)、および各図(C)は当該半導体装置の断面図である。ここで、各図(B)は、各図(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、各図(C)は、各図(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。各図(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
なお、図14、図15、および図16に示す半導体装置において、<半導体装置の構成例>に示した半導体装置を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。
以下、トランジスタ200の構成についてそれぞれ図14、図15、および図16用いて説明する。なお、本項目においても、トランジスタ200の構成材料については<半導体装置の構成例>で詳細に説明した材料を用いることができる。
[半導体装置の変形例1]
図14に示すトランジスタ200は、<半導体装置の構成例>に示した半導体装置とは、少なくとも絶縁体273を設けず、サイドバリアとして機能する絶縁体272を設けた構成であることが異なる。
具体的には、図14に示すように、酸化物230は、絶縁体274と直接接する領域を有する。例えば、絶縁体274が含む不純物が少ない、または絶縁体274を薄く成膜した場合、絶縁体273を介さず、直接、酸化物230に接することで、酸化物230の領域231、および領域232を低抵抗化することができる。
なお、絶縁体272は、絶縁膜273Aにおいて、絶縁体275、および導電体260と重畳しない領域を除去することで形成することができる。ここで、絶縁体270上に絶縁体271を形成しておくことで、絶縁体270上部の絶縁膜273Aが除去されても、絶縁体270を残存させることができる。また、絶縁体250、絶縁体252、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271からなる構造体の高さを、酸化物230の高さよりも、高くすることで、酸化物230の側面の絶縁膜273Aを、除去することができる。さらに、酸化物230a、酸化物230bの端部をラウンド形状にしておくと、酸化物230a、酸化物230bの側面に、酸化物230cを介して成膜された絶縁膜273Aを除去するための時間が短縮され、より容易に絶縁体272を形成することができる。
なお、図示しないが、酸化物230の側面にも絶縁膜273Aが残存していてもよい。その場合、後の工程で成膜する層間膜などの被膜性を高めることができる。また、酸化物230の側面に絶縁体が残存することで、酸化物230に混入する水または水素などの不純物を低減し、酸化物230から酸素が外方拡散するのを防ぐことができる場合がある。
[半導体装置の変形例2]
図15に示すトランジスタ200は、<半導体装置の構成例>に示した半導体装置とは、少なくとも酸化物230cの形状が異なる。
具体的には、図15に示すように、酸化物230cの側面は、導電体260の側面、絶縁体250の側面、および絶縁体252の側面と、同一面となる面を有していてもよい。
なお、酸化物230cは、絶縁体250、絶縁体252、および導電体260をマスクとして、加工すればよい。領域236上の酸化物230cを除去することで、導電性が高い酸化物230bが、導電体260と接することで、十分なオーミック接触を確保することができる。
[半導体装置の変形例3]
図16に示すトランジスタ200は、図15に示した半導体装置とは、少なくとも、サイドバリアとして機能する絶縁体272、およびバッファ層として機能する絶縁体273を別途形成したことが異なる。また、酸化物230cの形状が異なる。
具体的には、図16に示すように、酸化物230cの側面は、絶縁体272の側面と、同一面となる面を有していてもよい。さらに、絶縁体275、および酸化物230を覆って、バッファ層として機能する絶縁体273を有する。
なお、酸化物230c、および絶縁体272は、絶縁体275、および導電体260をマスクとして、加工すればよい。領域236上の酸化物230cを除去することで、導電性が高い酸化物230bが、導電体260と接することで、十分なオーミック接触を確保することができる。
[半導体装置の変形例4]
図17に示すトランジスタ200は、図1に示した半導体装置とは、少なくとも、絶縁体250の側面、絶縁体252の側面、導電体260の側面、および絶縁体270の側面の形状が異なる。
具体的には、図17に示すように、縁体250の側面、絶縁体252の側面、導電体260の側面、および絶縁体270の側面と、酸化物230の上面とが、テーパー角を有していてもよい。当該形状とすることで、絶縁体273、および絶縁体274の被膜性を向上させることができる。
以上、本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態に示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の一例について説明する。
<半導体装置の構成例>
図18(A)、図18(B)、および図18(C)は、本発明の一態様に係るトランジスタ200、容量素子100、およびトランジスタ200周辺の上面図、および断面図である。なお、本明細書では、1つの容量素子、および少なくとも1つのトランジスタを有する記憶装置をセルと称する。
図18(A)は、トランジスタ200、および容量素子100を有するセル600の上面図である。また、図18(B)、および図18(C)はセル600の断面図である。ここで、図18(B)は、図18(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図18(C)は、図18(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。図18(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
[セル600]
本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ200と、容量素子100、および層間膜として機能する絶縁体280を有する。また、トランジスタ200と電気的に接続し、プラグとして機能する導電体240(導電体240a、および導電体240b)とを有する。
図18に示すセル600は、トランジスタ200と、容量素子100とを、同層に設けることで、トランジスタ200を構成する構造の一部を、容量素子100が構成する構造の一部と、併用することができる。つまり、トランジスタ200の構造の一部は、容量素子100の構造の一部として、機能する場合がある。
また、トランジスタ200に、容量素子100の一部、または全体が、重畳することで、トランジスタ200の投影面積、および容量素子100の投影面積の合計した面積を小さくすることができる。
また、トランジスタ200と電気的に接続するプラグ、または配線として機能する導電体240b、および導電体207(導電体207a、および導電体207b)を、容量素子100、およびトランジスタ200が重畳する領域の下部に設けることで、セル600の微細化、または高集積化が容易となる。また、導電体207は、トランジスタ200の構造の一部である導電体205と同工程で形成できるため、工程短縮が可能となる。
なお、容量素子100において、必要な容量値に応じて、トランジスタ200、および容量素子100のレイアウトを適宜設計することができる。
例えば、容量素子100の面積は、酸化物230の領域231bと、導電体120が、絶縁体130を介して重畳する面積により決定される。したがって、セル600に必要な容量値が図18(A)、および図18(B)に示す容量素子100では得られない場合、酸化物230aおよび酸化物230bの領域231bにおけるA3-A4方向の幅を、酸化物230aおよび酸化物230bの領域234におけるA3-A4方向の幅よりも大きくすることで、容量値を大きくすることができる。
また、例えば、酸化物230の領域231bにおけるA1-A2方向の長さを、導電体120におけるA1-A2方向の長さのよりも長くしてもよい。その場合、導電体240bを、絶縁体280に埋め込むことができる。つまり、酸化物230の領域231bと、導電体240bとが、酸化物230の領域231bと導電体120とが重畳しない領域で接するように設けてもよい。したがって、導電体240a、および導電体240bを同一工程で形成することで、工程を短縮することができる。
上記構造を有することで、微細化または高集積化が可能である。また、設計自由度を高くすることができる。また、トランジスタ200は、容量素子100と、同一の工程で形成する。したがって、工程を短縮することができるため、生産性を向上させることができる。
[トランジスタ200]
トランジスタ200の構造は、先の実施の形態で説明した半導体装置が有するトランジスタを用いればよい。また、図18に示すトランジスタ200は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
例えば、トランジスタ200において、絶縁体275を設けることが好ましい。当該構成とすることで、容量素子100の電極として機能する導電体120と、トランジスタ200においてゲート電極として機能する導電体260とに生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体275は、比誘電率の小さい材料を用いるとよい。例えば、絶縁体275の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。絶縁体275としては、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコンを用いることができる。寄生容量を低減することで、トランジスタ200を高速に動作することができる。
[容量素子100]
図18に示すように、容量素子100は、トランジスタ200と共通の構造を有する構成である。本実施の形態では、トランジスタ200の酸化物230に設けられた領域231bを、容量素子100の電極の一方として機能する容量素子100の例について示す。
容量素子100は、酸化物230の領域231b、領域231上に絶縁体130、絶縁体130上に導電体120を有する。さらに、絶縁体130の上に、少なくとも一部が酸化物230の領域231bと重なるように、導電体120が配置されることが好ましい。
酸化物230の領域231bは、容量素子100の電極の一方として機能し、導電体120は容量素子100の電極の他方として機能する。絶縁体130は容量素子100の誘電体として機能する。酸化物230の領域231bは低抵抗化されており、導電性酸化物である。したがって、容量素子100の電極の一方として機能することができる。
なお、上述したトランジスタにおける絶縁体273、および絶縁体274に相当する絶縁体を加工することで、絶縁体130を設けてもよい。また、絶縁体130(絶縁体273、および絶縁体274に相当する絶縁体)は、トランジスタ200、および絶縁体224と接して残存していてもよい。
また、イオンドーピング法、またはプラズマ処理などにより、酸化物230の領域231にドーパントを添加することで、絶縁体274に相当する絶縁体を設けず、誘電体として別途、絶縁体130を設けてもよい。絶縁体130は、例えば、酸化アルミニウムまたは酸化窒化シリコンを単層または積層で用いればよい。
導電体120は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、図示しないが、導電体120は積層構造としても良く、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
<セルアレイの構造>
ここで、本実施の形態のセルアレイの一例を、図19、および図20に示す。例えば、図17に示すトランジスタ200、および容量素子100を有するセル600を、行列、またはマトリクス状に配置することで、セルアレイを構成することができる。
図19(A)は、図17に示すセル600を、マトリクス状に配置した一形態を示す回路図である。図19(A)においては、行方向に隣り合うセル600が有するトランジスタのソースおよびドレインの一方が共通のBL(BL01、BL02、BL03)と電気的に接続する。また、当該BLは、列方向に配置されたセルが有するトランジスタのソースおよびドレインの一方とも電気的に接続する。一方、行方向に隣り合うセル600が有するトランジスタの第1のゲートは、異なるWL(WL01乃至WL06)と電気的に接続する。また、各セル600が有するトランジスタには第2のゲートBGが設けられていてもよい。BGに印加される電位により、トランジスタのしきい値を制御することができる。また、セル600が有する容量の第1の電極は、トランジスタのソースおよびドレインの他方と電気的に接続する。この時、容量の第1の電極は、トランジスタを構成する構造の一部からなる場合がある。また、セル600が有する容量の第2の電極は、PLと電気的に接続する。
図19(B)は、図19(A)における、行の一部としてWL04とBL02に電気的に接続されたセル600a、およびWL03とBL02に電気的に接続されたセル600bを含む回路610を抜き出した断面図である。図19(B)は、セル600a、およびセル600bの断面図を示す。
セル600aは、トランジスタ200aおよび容量素子100aを有している。セル600bは、トランジスタ200bおよび容量素子100bを有している。
トランジスタ200aのソースおよびドレインの一方と、トランジスタ200bのソースおよびドレインの一方は、いずれもBL02と電気的に接続している。
上記構成より、ソースおよびドレインの一方と電気的に接続する配線を共通化することで、セルアレイの占有面積をさらに縮小することができる。
図20(A)は、図17に示すセル600を、マトリクス状に配置した回路において、図19(A)と異なる形態を示す回路図である。図20(A)においては、行方向に配置されたセル600が有するトランジスタの第1のゲートが共通のWL(WL01、WL02、WL03)と電気的に接続する。また、列方向に配置されたセルが有するトランジスタのソースおよびドレインの一方が、共通のBL(BL01乃至BL06)と電気的に接続する。また、各セル600が有するトランジスタには第2のゲートBGが設けられていてもよい。BGに印加される電位により、トランジスタのしきい値を制御することができる。また、セル600が有する容量の第1の電極は、トランジスタのソースおよびドレインの他方と電気的に接続する。この時、容量の第1の電極は、トランジスタを構成する構造の一部からなる場合がある。また、セル600が有する容量の第2の電極は、PLと電気的に接続する。
図20(B)は、図20(A)における、行の一部としてWL02とBL03に電気的に接続されたセル600a、およびWL02とBL04に電気的に接続されたセル600bを含む回路620を抜き出した断面図である。図20(B)は、セル600a、およびセル600bの断面図を示す。
セル600aは、トランジスタ200aおよび容量素子100aを有している。セル600bは、トランジスタ200bおよび容量素子100bを有している。
以上、本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態に示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、半導体装置の一形態を、図21乃至図24を用いて説明する。
<記憶装置1>
図21、および図22に示す記憶装置は、トランジスタ300と、トランジスタ200、および容量素子100を有している。
トランジスタ200は、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトランジスタである。トランジスタ200は、オフ電流が小さいため、これを記憶装置に用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、あるいは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ないため、記憶装置の消費電力を十分に低減することができる。
図21、および図22に示す記憶装置において、配線1001はトランジスタ300のソースと電気的に接続され、配線1002はトランジスタ300のドレインと電気的に接続されている。また、配線1003はトランジスタ200のソースおよびドレインの一方と電気的に接続され、配線1004はトランジスタ200の第1のゲートと電気的に接続され、配線1006はトランジスタ200の第2のゲートと電気的に接続されている。そして、トランジスタ300のゲート、およびトランジスタ200のソースおよびドレインの他方は、容量素子100の電極の一方と電気的に接続され、配線1005は容量素子100の電極の他方と電気的に接続されている。
図21、および図22に示す記憶装置は、トランジスタ300のゲートの電位が保持可能という特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、配線1004の電位を、トランジスタ200が導通状態となる電位にして、トランジスタ200を導通状態とする。これにより、配線1003の電位が、トランジスタ300のゲート、および容量素子100の電極の一方と電気的に接続するノードFGに与えられる。すなわち、トランジスタ300のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のどちらかが与えられるものとする。その後、配線1004の電位を、トランジスタ200が非導通状態となる電位にして、トランジスタ200を非導通状態とすることにより、ノードFGに電荷が保持される(保持)。
トランジスタ200のオフ電流が小さい場合、ノードFGの電荷は長期間にわたって保持される。
次に情報の読み出しについて説明する。配線1001に所定の電位(定電位)を与えた状態で、配線1005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、配線1002は、ノードFGに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジスタ300をnチャネル型とすると、トランジスタ300のゲートにHighレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ300のゲートにLowレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけ上のしきい値電圧とは、トランジスタ300を導通状態とするために必要な配線1005の電位を指すものとする。したがって、配線1005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、ノードFGに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、ノードFGにHighレベル電荷が与えられていた場合には、配線1005の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ300は導通状態となる。一方、ノードFGにLowレベル電荷が与えられていた場合には、配線1005の電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ300は非導通状態のままである。このため、配線1002の電位を判別することで、ノードFGに保持されている情報を読み出すことができる。
<記憶装置1の構造>
本発明の一態様の記憶装置は、図21に示すようにトランジスタ300、トランジスタ200、容量素子100を有する。トランジスタ200はトランジスタ300の上方に設けられ、容量素子100はトランジスタ300、およびトランジスタ200の上方に設けられている。
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体315、基板311の一部からなる半導体領域313、およびソース領域またはドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bを有する。
トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
半導体領域313のチャネルが形成される領域、その近傍の領域、ソース領域、またはドレイン領域となる低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bなどにおいて、シリコン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。または、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)などを有する材料で形成してもよい。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコンを用いた構成としてもよい。またはGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジスタ300をHEMT(High Electron Mobility Transistor)としてもよい。
低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bは、半導体領域313に適用される半導体材料に加え、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、またはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含む。
ゲート電極として機能する導電体316は、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、もしくはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含むシリコンなどの半導体材料、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。
なお、導電体の材料により、仕事関数が定まるため、導電体の材料を変更することでしきい値電圧を調整することができる。具体的には、導電体に窒化チタンや窒化タンタルなどの材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体にタングステンやアルミニウムなどの金属材料を積層として用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
なお、図21に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
ここで、図21において、W1-W2で示すトランジスタ300のW幅方向の断面図を、図24(B)に示す。図24(B)に示すように、トランジスタ300はチャネルが形成される半導体領域313(基板311の一部)に凸形状を有する。また、半導体領域313の側面および上面を、絶縁体315を介して、導電体316が覆うように設けられている。なお、導電体316は仕事関数を調整する材料を用いてもよい。このようなトランジスタ300は半導体基板の凸部を利用していることからFIN型トランジスタとも呼ばれる。なお、凸部の上部に接して、凸部を形成するためのマスクとして機能する絶縁体を有していてもよい。また、ここでは半導体基板の一部を加工して凸部を形成する場合を示したが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体膜を形成してもよい。
トランジスタ300を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326が順に積層して設けられている。
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよい。
絶縁体322は、その下方に設けられるトランジスタ300などによって生じる段差を平坦化する平坦化膜としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
また、絶縁体324には、基板311、またはトランジスタ300などから、トランジスタ200が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
水素の脱離量は、例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS)などを用いて分析することができる。例えば、絶縁体324の水素の脱離量は、TDS分析において、膜の表面温度が50℃から500℃の範囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体324の面積当たりに換算して、10×1015atoms/cm2以下、好ましくは5×1015atoms/cm2以下であればよい。
なお、絶縁体326は、絶縁体324よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁体326の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体326の比誘電率は、絶縁体324の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326には容量素子100、またはトランジスタ200と電気的に接続する導電体328、および導電体330等が埋め込まれている。なお、導電体328、および導電体330はプラグ、または配線としての機能を有する。また、プラグまたは配線としての機能を有する導電体は、複数の構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と電気的に接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、および該導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
各プラグ、および配線(導電体328、および導電体330等)の材料としては、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を、単層または積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。または、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
絶縁体326、および導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、図21において、絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、プラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体356は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体356は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体350が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタル等を用いるとよい。また、窒化タンタルと導電性が高いタングステンを積層することで、配線としての導電性を保持したまま、トランジスタ300からの水素の拡散を抑制することができる。この場合、水素に対するバリア性を有する窒化タンタル層が、水素に対するバリア性を有する絶縁体350と接する構造であることが好ましい。
絶縁体350、および導電体356上に、配線層を設けてもよい。例えば、図21において、絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364が順に積層して設けられている。また、絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364には、導電体366が形成されている。導電体366は、プラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体366は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体360は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体366は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体360が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体364、および導電体366上に、配線層を設けてもよい。例えば、図21において、絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374が順に積層して設けられている。また、絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374には、導電体376が形成されている。導電体376は、プラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体376は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体370は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体376は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体370が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体374、および導電体376上に、配線層を設けてもよい。例えば、図21において、絶縁体380、絶縁体382、および絶縁体384が順に積層して設けられている。また、絶縁体380、絶縁体382、および絶縁体384には、導電体386が形成されている。導電体386は、プラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体386は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体380は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体386は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体380が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体384上には絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216が、順に積層して設けられている。絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
例えば、絶縁体210、および絶縁体214には、基板311、またはトランジスタ300を設ける領域などから、トランジスタ200を設ける領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。したがって、絶縁体324と同様の材料を用いることができる。
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体210、および絶縁体214には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ200への混入を防止することができる。また、トランジスタ200を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ200に対する保護膜として用いることに適している。
また、例えば、絶縁体212、および絶縁体216には、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、比較的誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体212、および絶縁体216として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
また、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216には、導電体218、およびトランジスタ200を構成する導電体等が埋め込まれている。なお、導電体218は、容量素子100、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体218は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
特に、絶縁体210、および絶縁体214と接する領域の導電体218は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する層で分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体216の上方には、トランジスタ200が設けられている。なお、トランジスタ200の構造は、先の実施の形態で説明した半導体装置が有するトランジスタを用いればよい。また、図21に示すトランジスタ200は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
トランジスタ200の上方には、絶縁体280を設ける。
絶縁体280上には、絶縁体282が設けられている。絶縁体282は、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。したがって、絶縁体282には、絶縁体214と同様の材料を用いることができる。例えば、絶縁体282には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ200への混入を防止することができる。また、トランジスタ200を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ200に対する保護膜として用いることに適している。
また、絶縁体282上には、絶縁体286が設けられている。絶縁体286は、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、比較的誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体286として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
また、絶縁体220、絶縁体222、絶縁体280、絶縁体282、および絶縁体286には、導電体246、および導電体248等が埋め込まれている。
導電体246、および導電体248は、容量素子100、トランジスタ200、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体246、および導電体248は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
続いて、トランジスタ200の上方には、容量素子100が設けられている。容量素子100は、導電体110と、導電体120、および絶縁体130とを有する。
また、導電体246、および導電体248上に、導電体112を設けてもよい。導電体112は、容量素子100、トランジスタ200、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体110は、容量素子100の電極としての機能を有する。なお、導電体112、および導電体110は、同時に形成することができる。
導電体112、および導電体110には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化タンタル膜、窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。または、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を適用することもできる。
図21では、導電体112、および導電体110は単層構造を示したが、当該構成に限定されず、2層以上の積層構造でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体、および導電性が高い導電体に対して密着性が高い導電体を形成してもよい。
また、導電体112、および導電体110上に、容量素子100の誘電体として、絶縁体130を設ける。絶縁体130は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化酸化ハフニウム、窒化ハフニウムなどを用いればよく、積層または単層で設けることができる。
例えば、絶縁体130には、酸化窒化シリコンなどの絶縁耐力が大きい材料を用いるとよい。当該構成により、容量素子100は、絶縁体130を有することで、絶縁耐力が向上し、容量素子100の静電破壊を抑制することができる。
絶縁体130上に、導電体110と重畳するように、導電体120を設ける。なお、導電体120は、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また、導電体などの他の構造と同時に形成する場合は、低抵抗金属材料であるCu(銅)やAl(アルミニウム)等を用いればよい。
導電体120、および絶縁体130上には、絶縁体150が設けられている。絶縁体150は、絶縁体320と同様の材料を用いて設けることができる。また、絶縁体150は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。
本構造を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。または、オン電流が大きい酸化物半導体を有するトランジスタを提供することができる。または、オフ電流が小さい酸化物半導体を有するトランジスタを提供することができる。または、消費電力が低減された半導体装置を提供することができる。
<記憶装置1の変形例1>
以下では、図22を用いて、本発明の一態様に係る記憶装置の一例について説明する。
図22(A)は、容量素子100、トランジスタ200、およびトランジスタ300を有する記憶装置の断面図である。なお、図22に示す記憶装置において、先の実施の形態、および<記憶装置1の構造>に示した半導体装置、および記憶装置を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。
図22に示すように、トランジスタ200は、<記憶装置1の構造>に示した半導体装置に、先の実施の形態で説明したセル600を設けたことが異なる。
具体的には、図22に示すように、容量素子100と、トランジスタ200の代わりに、容量素子100の構成の一部と、トランジスタ200の構成の一部とを共有するセル600を有する。
上記構造により、セル600と、トランジスタ300との一部、または全体が、重畳することで、記憶装置の投影面積の合計した面積を小さくすることができる。したがって、セル600の微細化、または高集積化が容易となる。また、工程短縮が可能となる。
<記憶装置1の変形例2>
また、本実施の形態の変形例の一例を、図23、および図24(A)に示す。
図21に示す記憶装置を、メモリセルとして集積することで、メモリセルアレイを構成することができる。例えば、図24(A)に示す回路図において、メモリセルがマトリクス状となるように、複数の記憶装置を設けるとよい。図23は、図21に示す記憶装置において、トランジスタ200を集積した場合におけるメモリセルアレイの断面図の一例である。
図23、および図24(A)は、トランジスタ300a、トランジスタ200a、および容量素子100aを有する記憶装置と、トランジスタ300b、トランジスタ200b、および容量素子100bを有する記憶装置を集積したメモリセルアレイである。
例えば、図23に示すように、トランジスタ200aと、トランジスタ200bを重畳して設けることができる。また、トランジスタ300a、およびトランジスタ300bにおいて、SLラインを共通して設けることができる。例えば、トランジスタ300a、およびトランジスタ300bにおいて、SLラインとして、領域314aを共通に設けることで、配線やプラグの形成が不要となり、工程の短縮が可能となる。また、当該構成により、半導体装置の小面積化、高集積化、微細化が可能となる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
以下では、本発明の一態様に係る容量素子100、トランジスタ200、およびトランジスタ400を有する半導体装置の一例について説明する。
<半導体装置の構成例>
図25(A)、および図25(B)は、本発明の一態様に係るトランジスタ200、およびトランジスタ400周辺の断面図であり、図26は当該半導体装置の上面図である。なお、図26の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
図25(A)は、図26にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200、およびトランジスタ400のチャネル長方向の断面図でもある。また、図25(B)は、図26にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図である。
基板201上に形成されたトランジスタ200およびトランジスタ400は、異なる構成を有する。例えば、トランジスタ400は、トランジスタ200と比較して、バックゲート電位およびトップゲート電位が0Vのときのドレイン電流(Icut)が小さい構成とすればよい。なお、本明細書等で、Icutとは、トランジスタのスイッチング動作を制御するゲートの電位が0Vのときのドレイン電流のことを指す。
例えば、トランジスタ400をスイッチング素子として、トランジスタ200のバックゲートの電位を制御できる構成とする。これにより、トランジスタ200のバックゲートと接続するノードを所望の電位にした後、トランジスタ400をオフ状態にすることで、トランジスタ200のバックゲートと接続するノードの電荷が消失することを抑制することができる。
以下、トランジスタ200とトランジスタ400の構成についてそれぞれ図25、および図26を用いて説明する。なお、トランジスタ200とトランジスタ400の構成材料については<半導体装置の構成材料>で詳細に説明している。
本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ200と、層間膜として機能する絶縁体210、絶縁体212、絶縁体280を有する。また、トランジスタ200と電気的に接続し、配線として機能する導電体203(導電体203a、および導電体203b)、およびプラグとして機能する導電体240(導電体240a、および導電体240b)とを有する。また、トランジスタ400と電気的に接続し、配線として機能する導電体403(導電体403a、および導電体403b)、およびプラグとして機能する導電体440(導電体440a、および導電体440b)とを有する。
なお、導電体203、および導電体403は、絶縁体212の開口の内壁に接して導電体203a、および導電体403aが形成され、さらに内側に導電体203b、および導電体403bが形成されている。ここで、導電体203、および導電体403の上面の高さと、絶縁体212の上面の高さは同程度にできる。
また、導電体240、および導電体440は、絶縁体280、絶縁体282、および絶縁体286の開口の内壁に接して形成されている。ここで、導電体240、および導電体440の上面の高さと、絶縁体286の上面の高さは同程度にできる。
なお、図では、配線、またはプラグとして気のする導電体を2層からなる積層構造として示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、単層、または3層以上の積層構造としてもよい。
[トランジスタ200]
図25に示すように、トランジスタ200は、チャネル形成領域に金属酸化物を有するトランジスタであり、上記実施の形態に示すトランジスタを用いることができる。
[トランジスタ400]
次に、トランジスタ200とは異なる電気特性を有するトランジスタ400について説明する。トランジスタ400は、上記のトランジスタ200と並行して作製することができるトランジスタであり、トランジスタ200と同じ層に形成することが好ましい。トランジスタ200と並行して作製することで、余計な工程を増やすことなく、トランジスタ400を作製することができる。
図25(A)に示すように、トランジスタ400は、基板201の上に配置された絶縁体210および絶縁体212と、絶縁体214および絶縁体216に埋め込まれるように配置された導電体405(導電体405a、および導電体405b)と、絶縁体216と導電体405の上に配置された絶縁体220と、絶縁体220の上に配置された絶縁体222と、絶縁体222の上に配置された絶縁体424と、絶縁体424の上に配置された酸化物430a1および酸化物430a2と、酸化物430a1の上面に接して配置された酸化物430b1と、酸化物430a2の上面に接して配置された酸化物430b2と、絶縁体424の上面、酸化物430a1および酸化物430a2の側面と上面、ならびに酸化物430b1および酸化物430b2の側面と上面に接して配置された酸化物430cと、酸化物430cの上に配置された絶縁体450と、絶縁体450の上に配置された絶縁体452と、絶縁体452上に配置された導電体460aと、導電体460aの上に配置された導電体460bと、導電体460bの上に配置された絶縁体470と、絶縁体470上に配置された絶縁体471と、絶縁体450、絶縁体452、導電体460a、および導電体460b、絶縁体470および絶縁体471の側面に接し、かつ酸化物430と接して配置された絶縁体273と、絶縁体273を介して導電体460の側面に配置された絶縁体475と、絶縁体273を介して酸化物430上に配置された絶縁体274と、を有する。
以下において、酸化物430a1、酸化物430a2、酸化物430b1、酸化物430b2、および酸化物430cをまとめて酸化物430という場合がある。なお、トランジスタ400では、導電体460aおよび導電体460bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体460bのみを設ける構成にしてもよい。
ここで、トランジスタ400を構成する導電体、絶縁体、および酸化物は、同じ層のトランジスタ200を構成する導電体、絶縁体、および酸化物と、同じ工程で形成することができる。よって、導電体405(導電体405aおよび導電体405b)は導電体205(導電体205aおよび導電体205b)と、酸化物430(酸化物430a1、酸化物430a2、酸化物430b1、酸化物430b2、および酸化物430c)は酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230c)と、絶縁体450は絶縁体250と、絶縁体452は絶縁体252と、導電体460(導電体460aおよび導電体460b)は導電体260(導電体260aおよび導電体260b)と、絶縁体470は絶縁体270と、絶縁体471は絶縁体271と、絶縁体475は絶縁体275と、対応している。そのため、これらのトランジスタ400を構成する導電体、絶縁体、および酸化物は、トランジスタ200と同様の材料を用いて形成することができ、トランジスタ200の構成を参酌することができる。
酸化物430cは、酸化物430a1および酸化物430b1、ならびに酸化物430a2および酸化物430b2、を覆って形成されることが好ましい。また、酸化物430a1の側面と酸化物430b1の側面が略一致していることが好ましく、酸化物430a2の側面と酸化物430b2の側面が略一致していることが好ましい。例えば、酸化物430cは、酸化物430a1および酸化物430a2の側面、酸化物430b1および酸化物430b2の上面および側面、ならびに絶縁体424の上面の一部に接して形成される。ここで、酸化物430cを上面から見ると、酸化物430cの側面は、酸化物430a1の側面および酸化物430b1の側面、ならびに酸化物430a2の側面および酸化物430b2の側面の外側に位置する。
酸化物430a1および酸化物430b1と、酸化物430a2および酸化物430b2は、導電体405、絶縁体450、絶縁体452、および導電体460を挟んで対向して形成される。
また、酸化物430b1の側面、または酸化物430b2の側面と、酸化物430b1の上面、または酸化物430b2の上面との間に、湾曲面を有する。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲していることが好ましい(以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面は、例えば、酸化物430b1、または酸化物430b2の端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6nm以下とすることが好ましい。
酸化物430は、絶縁体273を介して、絶縁体275、または絶縁体274と重畳する領域を有し、当該領域およびその近傍は、トランジスタ200の領域231、および領域232と同様に、低抵抗化されている。また、酸化物430は、導電体440と接する領域を有し、当該領域は、トランジスタ200の領域236と同様に、低抵抗化されている。よって、酸化物430a1、酸化物430b1、および酸化物430cの一部または酸化物430a2、酸化物430b2、および酸化物430cの一部は、トランジスタ400の接合領域、ソース領域またはドレイン領域のいずれかとして機能できる。
酸化物430cにおいて、酸化物430a1および酸化物430a2と、酸化物430b1および酸化物430b2とに挟まれる領域は、チャネル形成領域として機能する。ここで、酸化物430a1および酸化物430a2と、酸化物430b1および酸化物430b2との距離を大きくすることが好ましく、例えば、トランジスタ200の導電体260のチャネル長方向の長さより大きくすることが好ましい。これにより、トランジスタ400のオフ電流を低減することができる。
トランジスタ400の酸化物430cは、トランジスタ200の酸化物230cと同様の材料を用いて形成することができる。つまり、酸化物430cは、酸化物230aまたは酸化物230bに用いることができる金属酸化物を用いることができる。例えば、酸化物430cとして、In-Ga-Zn酸化物を用いる場合、含まれるIn、Ga、Znの原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:3:2、In:Ga:Zn=4:2:3、またはIn:Ga:Zn=1:3:4などにすることができる。
また、酸化物430cをチャネル形成領域に用いたトランジスタは、酸化物230bをチャネル形成領域に用いたトランジスタと異なる電気特性を有することが好ましい。このため、例えば、酸化物430cと酸化物230bにおいて、酸化物の材料、酸化物に含まれる元素の含有比率、酸化物の膜厚、または、酸化物に形成されるチャネル形成領域の幅や長さ、などのいずれかが異なることが好ましい。
以下では、酸化物430cに、酸化物230cと同じ金属酸化物を用いた場合について説明する。例えば、酸化物430cとして、絶縁性が比較的高い、Inの原子数比が比較的小さい金属酸化物を用いることが好ましい。酸化物430cとして、このような金属酸化物を用いた場合、酸化物430cにおいて、構成元素中の元素Mの原子数比を、酸化物230bにおける、構成元素中の元素Mの原子数比より大きくすることができる。また、酸化物430cにおいて、Inに対する元素Mの原子数比を、酸化物230bにおける、Inに対する元素Mの原子数比より大きくすることができる。これにより、トランジスタ400の閾値電圧を0Vより大きくし、オフ電流を低減し、ゲート電圧が0Vの時のドレイン電流を非常に小さくすることができる。
また、トランジスタ400のチャネル形成領域として機能する酸化物430cは、トランジスタ200の酸化物230cなどと同様に、酸素欠損が低減され、水素または水などの不純物が低減されていることが好ましい。これにより、トランジスタ400の閾値電圧を0Vより大きくし、オフ電流を低減し、ゲート電圧が0Vの時のドレイン電流を非常に小さくすることができる。
また、酸化物430cを用いたトランジスタ400の閾値電圧が、第2のゲート電極に負電位を印加していないトランジスタ200より閾値電圧が大きいことが好ましい。トランジスタ400の閾値電圧をトランジスタ200の閾値電圧より大きくするには、例えば、トランジスタ200の酸化物230bとして用いられる金属酸化物は、Inの原子数比が、酸化物230a、および酸化物430cに用いる金属酸化物よりも、比較的大きい金属酸化物を用いることが好ましい。
また、トランジスタ400の酸化物430a1または酸化物430b1と、酸化物430a2または酸化物430b2との間の距離を、トランジスタ200の領域234の幅より大きくすることが好ましい。これにより、トランジスタ400のチャネル長をトランジスタ200のチャネル長より長くできるので、トランジスタ400の閾値電圧を、第2のゲート電極に負電位を印加していないトランジスタ200の閾値電圧より大きくすることができる。
また、トランジスタ400では、チャネル形成領域が酸化物430cに形成されるのに対して、トランジスタ200では、チャネル形成領域が酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cに形成される。このため、トランジスタ400のチャネル形成領域における酸化物430の膜厚は、トランジスタ200のチャネル形成領域における酸化物230の膜厚より薄くできる。よって、トランジスタ400の閾値電圧を、第2のゲート電極に負電位を印加していないトランジスタ200の閾値電圧より大きくすることができる。
[容量素子100]
また、トランジスタ200およびトランジスタ400の上に容量素子100を設ける構成にしてもよい。本実施の形態では、トランジスタ200に電気的に接続された導電体110を用いて、容量素子100を形成する例について示す。
導電体110、および複数の導電体112上に絶縁体130を配置することが好ましい。絶縁体130は、例えば、酸化アルミニウムまたは酸化窒化シリコンを単層または積層で用いればよい。
さらに、絶縁体130の上に、少なくとも一部が導電体110と重なるように、導電体120が配置されることが好ましい。導電体120は、導電体110などと同様に、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、図示しないが、導電体120は積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。なお、導電体120は、導電体203などと同様に、絶縁体に設けられた開口に埋め込むように形成してもよい。
導電体110は容量素子100の電極の一方として機能し、導電体120は容量素子100の電極の他方として機能する。絶縁体130は容量素子100の誘電体として機能する。
また、絶縁体130および導電体120の上に絶縁体150を配置するのが好ましい。絶縁体150は、絶縁体280に用いることができる絶縁体を用いればよい。
[半導体装置の回路図]
ここで、本実施の形態に示す半導体装置における、トランジスタ200、トランジスタ400、および容量素子100の接続関係の一例を示した回路図を図33(A)に示す。また、図33(A)に示す配線1003から配線1010などを図33(A)に対応させた断面図を図33(B)に示す。
図33(A)、図33(B)に示すように、トランジスタ200は、ゲートが配線1004と、ソースおよびドレインの一方が配線1003と、ソースおよびドレインの他方が容量素子100の電極の一方と電気的に接続される。また、容量素子100の電極の他方が配線1005と電気的に接続される。また、トランジスタ400のドレインが配線1010と電気的に接続される。また、図33(A)、図33(B)に示すように、トランジスタ200のバックゲートと、トランジスタ400のソース、トップゲート、およびバックゲートが、配線1006、配線1007、配線1008、および配線1009を介して電気的に接続される。
ここで、配線1004に電位を印加することで、トランジスタ200のオン状態、オフ状態を制御することができる。トランジスタ200をオン状態として、配線1003に電位を印加することで、トランジスタ200を介して、容量素子100に電荷を供給することができる。このとき、トランジスタ200をオフ状態にすることで、容量素子100に供給された電荷を保持することができる。また、配線1005は、任意の電位を与えることで、容量結合によって、トランジスタ200と容量素子100の接続部分の電位を制御することができる。例えば、配線1005に接地電位を与えると、上記電荷を保持しやすくなる。また、配線1010に負の電位を印加することで、トランジスタ400を介して、トランジスタ200のバックゲートに負の電位を与え、トランジスタ200の閾値電圧を0Vより大きくし、オフ電流を低減し、ゲート電圧が0Vの時のドレイン電流を非常に小さくすることができる。
図33(A)に示すように、トランジスタ400のトップゲートおよびバックゲートをソースと接続(ダイオード接続)し、トランジスタ400のソースとトランジスタ200のバックゲートを接続する構成にすることで、配線1010によって、トランジスタ200のバックゲート電位を制御することができる。トランジスタ200のバックゲートの負電位を保持するとき、トランジスタ400のトップゲート-ソース間の電位差、およびバックゲート-ソース間の電位差は、0Vになる。トランジスタ400のゲート電圧が0Vの時のドレイン電流が非常に小さく、閾値電圧がトランジスタ200より大きいので、この構成とすることにより、トランジスタ400に電源供給をしなくてもトランジスタ200のバックゲートの負電位を長時間維持することができる。
さらに、トランジスタ200のバックゲートの負電位を保持することで、トランジスタ200に電源供給をしなくてもトランジスタ200のゲート電圧が0Vの時のドレイン電流を非常に小さい状態に維持することができる。つまり、トランジスタ200およびトランジスタ400に電源供給をしなくても、容量素子100に電荷を長時間保持することができる。例えば、このような半導体装置を記憶素子として用いることにより、電源供給無しで長時間の記憶保持を行うことができる。よって、リフレッシュ動作の頻度が少ない、またはリフレッシュ動作を必要としない記憶装置を提供することができる。
なお、トランジスタ200、トランジスタ400および容量素子100の接続関係は、図33(A)、図33(B)に示すものに限定されない。必要な回路構成に応じて適宜接続関係を変更することができる。
<半導体装置の作製方法>
次に、本発明に係るトランジスタ200、およびトランジスタ400を有する半導体装置について、作製方法を図27乃至図32を用いて説明する。また、図27乃至図32において、各図の(A)は、図26にA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図である。また、各図の(B)は、図26にA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図である。
まず、基板201を準備し、基板201上に絶縁体210を成膜する。絶縁体210の成膜は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法またはALD(Atomic Layer Deposition)法などを用いて行うことができる。
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CVD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、熱CVD法は、プラズマを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法である。例えば、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など)などは、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき、蓄積した電荷によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合がある。一方、プラズマを用いない熱CVD法の場合、こういったプラズマダメージが生じないため、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、熱CVD法では、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
また、ALD法は、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法である。また、ALD法も、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。なお、ALD法で用いるプリカーサには炭素などの不純物を含むものがある。このため、ALD法により設けられた膜は、他の成膜法により設けられた膜と比較して、炭素などの不純物を多く含む場合がある。なお、不純物の定量は、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて行うことができる。
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法とは異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが好ましい場合もある。
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御することができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用いて成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間の分、成膜に掛かる時間を短くすることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
本実施の形態では、絶縁体210として、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜する。また、絶縁体210は、多層構造としてもよい。例えばスパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜し、当該酸化アルミニウム上にALD法によって酸化アルミニウムを成膜する構造としてもよい。または、ALD法によって酸化アルミニウムを成膜し、当該酸化アルミニウム上に、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜する構造としてもよい。
次に絶縁体210上に絶縁体212を成膜する。絶縁体212の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体212として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
次に、絶縁体212に、絶縁体210に達する開口を形成する。開口とは、例えば、溝やスリットなども含まれる。また、開口が形成された領域を指して開口部とする場合がある。開口の形成はウエットエッチングを用いてもよいが、ドライエッチングを用いるほうが微細加工には好ましい。また、絶縁体210は、絶縁体212をエッチングして溝を形成する際のエッチングストッパ膜として機能する絶縁体を選択することが好ましい。例えば、溝を形成する絶縁体212に酸化シリコン膜を用いた場合は、絶縁体210は、エッチングストッパ膜として機能する絶縁膜として、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜を用いるとよい。
開口の形成後に、導電体203a、および導電体403aとなる導電膜を成膜する。当該導電膜は、酸素の透過を抑制する機能を有する導電体を含むことが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタンなどを用いることができる。またはタンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、モリブデンタングステン合金との積層膜とすることができる。導電体203a、および導電体403aとなる導電体の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、導電体203a、および導電体403aとなる導電膜として、スパッタリング法によって窒化タンタル、または窒化タンタルの上に窒化チタンを積層した膜を成膜する。導電体203a、および導電体403aとしてこのような金属窒化物を用いることにより、後述する導電体203b、および導電体403bで銅など拡散しやすい金属を用いても、当該金属が導電体203a、および導電体403aを介して外に拡散するのを防ぐことができる。
次に、導電体203a、および導電体403aとなる導電膜上に、導電体203b、および導電体403bとなる導電膜を成膜する。当該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、導電体203b、および導電体403bとなる導電膜として、銅などの低抵抗導電性材料を成膜する。
次に、CMP処理を行うことで、導電体203a、および導電体403aとなる導電膜、ならびに導電体203b、および導電体403bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体212を露出する。その結果、開口部のみに、導電体203a、および導電体403aとなる導電膜、ならびに導電体203b、および導電体403bとなる導電膜が残存する。これにより、上面が平坦な、導電体203aおよび導電体203bを含む導電体203、および導電体403aおよび導電体403bを含む導電体403を形成することができる。なお、当該CMP処理により、絶縁体212の一部が除去される場合がある。
次に、絶縁体212、導電体203、および導電体403上に絶縁体214を成膜する。絶縁体214の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体214として、CVD法によって窒化シリコンを成膜する。このように、絶縁体214として、窒化シリコンなどの銅が透過しにくい絶縁体を用いることにより、導電体203bに銅など拡散しやすい金属を用いても、当該金属が絶縁体214より上の層に拡散するのを防ぐことができる。
次に絶縁体214上に絶縁体216を成膜する。絶縁体216の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体216として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
次に、絶縁体214および絶縁体216に、導電体203、および導電体403に達する開口を形成する。開口の形成はウエットエッチングを用いてもよいが、ドライエッチングを用いるほうが微細加工には好ましい。
開口の形成後に、導電体205a、および導電体405aとなる導電膜を成膜する。導電体205a、および導電体405aとなる導電膜は、酸素の透過を抑制する機能を有する導電性材料を含むことが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタンなどを用いることができる。またはタンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、モリブデンタングステン合金との積層膜とすることができる。導電体205a、および導電体405aとなる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、導電体205a、および導電体405aとなる導電膜として、スパッタリング法によって窒化タンタルを成膜する。
次に、導電体205a、および導電体405aとなる導電膜上に、導電体205b、および導電体405bとなる導電膜を成膜する。当該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、導電体205b、および導電体405bとなる導電膜として、CVD法によって窒化チタンを成膜し、当該窒化チタン上にCVD法によってタングステンを成膜する。
次に、CMP処理を行うことで、導電体205a、および導電体405aとなる導電膜、ならびに導電体205b、および導電体405bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体216を露出する。その結果、開口部のみに、導電体205a、導電体405a、導電体205b、および導電体405bとなる導電膜が残存する。これにより、上面が平坦な、導電体205aおよび導電体205bを含む導電体205、ならびに導電体405aおよび導電体405bを含む導電体405を形成することができる。なお、当該CMP処理により、絶縁体212の一部が除去される場合がある。
次に、絶縁体216、導電体205、および導電体405上に絶縁体220を成膜する。絶縁体220の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、絶縁体220として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
次に、絶縁体220上に絶縁体222を成膜する。絶縁体222として、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する。絶縁体222が、水素および水に対するバリア性を有することで、トランジスタ200の周辺に設けられた構造体に含まれる水素、および水は、絶縁体222を介してトランジスタ200の内側へ拡散することなく、酸化物230中の酸素欠損の生成を抑制することができる。
絶縁体222の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、絶縁体222として、ALD法によって酸化ハフニウムを成膜する。
次に、絶縁体222上に絶縁体224、絶縁体424となる絶縁膜を成膜する。絶縁体224、絶縁体424となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、絶縁体224、絶縁体424となる絶縁膜として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
続いて、加熱処理を行うと好ましい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよい。第1の加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。第1の加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、第1の加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で行ってもよい。
上記加熱処理によって、絶縁体222から、絶縁体224、絶縁体424となる絶縁膜に過剰酸素が添加され、絶縁体224、絶縁体424となる絶縁膜に過剰酸素領域を容易に形成することができる。
また、加熱処理は、絶縁体220成膜後、および絶縁体222の成膜後のそれぞれのタイミングで行うこともできる。当該加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができるが、絶縁体220成膜後の加熱処理は、窒素を含む雰囲気中で行うことが好ましい。また、上記加熱処理によって、絶縁体224、絶縁体424となる絶縁膜に含まれる水素や水などの不純物を除去することなどができる。
ここで、絶縁体224、絶縁体424となる絶縁膜に過剰酸素領域を形成するために、減圧状態で酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。酸素を含むプラズマ処理は、例えばマイクロ波を用いた高密度プラズマを発生させる電源を有する装置を用いることが好ましい。または、基板側にRF(Radio Frequency)を印加する電源を有してもよい。高密度プラズマを用いることより高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加することで高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを効率よく絶縁体224内に導くことができる。または、この装置を用いて不活性ガスを含むプラズマ処理を行った後に脱離した酸素を補うために酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。なお、当該プラズマ処理の条件を適宜選択することにより、絶縁体224に含まれる水素や水などの不純物を除去することができる。その場合、加熱処理は行わなくてもよい。
次に、絶縁体224、絶縁体424となる絶縁膜上に、酸化物230a、酸化物430a1、および酸化物430a2となる酸化膜と、酸化物230b、酸化物430b1、および酸化物430b2となる酸化膜を順に成膜する。なお、上記酸化膜は、大気環境にさらさずに連続して成膜することが好ましい。大気開放せずに成膜することで、酸化物230a、酸化物430a1、および酸化物430a2となる酸化膜、および酸化物230b、酸化物430b1、および酸化物430b2となる酸化膜上に大気環境からの不純物または水分が付着することを防ぐことができ、酸化物230a、酸化物430a1、および酸化物430a2となる酸化膜と酸化物230b、酸化物430b1、および酸化物430b2となる酸化膜との界面近傍を清浄に保つことができる。
酸化物230a、酸化物430a1、および酸化物430a2となる酸化膜、および酸化物230b、酸化物430b1、および酸化物430b2となる酸化膜の成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
例えば、酸化物230a、酸化物430a1、および酸化物430a2となる酸化膜、および酸化物230b、酸化物430b1、および酸化物430b2となる酸化膜をスパッタリング法によって成膜する場合は、スパッタリングガスとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を高めることで、成膜される酸化膜中の過剰酸素を増やすことができる。また、上記の酸化膜をスパッタリング法によって成膜する場合は、上記のIn-M-Zn酸化物ターゲットを用いることができる。
特に、酸化物230a、酸化物430a1、および酸化物430a2となる酸化膜の成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁体224、絶縁体424となる絶縁膜に供給される場合がある。なお、酸化物230a、酸化物430a1、および酸化物430a2となる酸化膜のスパッタリングガスに含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とすればよい。
また、酸化物230b、酸化物430b1、および酸化物430b2となる酸化膜をスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を1%以上30%以下、好ましくは5%以上20%以下として成膜すると、酸素欠乏型の金属酸化物が形成される。酸素欠乏型の金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られる。
本実施の形態では、酸化物230a、酸化物430a1、および酸化物430a2となる酸化膜として、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。また、酸化物230b、酸化物430b1、および酸化物430b2となる酸化膜として、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。なお、各酸化膜は、成膜条件、および原子数比を適宜選択することで、酸化物230に求める特性に合わせて形成するとよい。
次に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができる。加熱処理によって、酸化物230a、酸化物430a1、および酸化物430a2となる酸化膜、および酸化物230b、酸化物430b1、および酸化物430b2となる酸化膜中の水素や水などの不純物を除去することなどができる。本実施の形態では、窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行なった後に、連続して酸素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行う。
次に、酸化物230a、酸化物430a1、および酸化物430a2となる酸化膜、および酸化物230b、酸化物430b1、および酸化物430b2となる酸化膜を島状に加工して、酸化物230a、および酸化物230bの積層構造、酸化物430a1、および酸化物430b1の積層構造、ならびに酸化物430a2、および酸化物430b2の積層構造、を形成する(図27(A)、および図27(B)参照)。なお、当該工程において、絶縁体224、絶縁体424となる絶縁膜の一部が除去される場合がある。
ここで、酸化物230a、および酸化物230bは、少なくとも一部が導電体205と重なるように形成する。また、酸化物230a、および酸化物230bの側面は、絶縁体224となる絶縁膜の上面に対し、概略垂直であることが好ましい。酸化物230a、および酸化物230bの側面が、絶縁体224となる絶縁膜の上面に対し、概略垂直であることで、複数のトランジスタ200を設ける際に、トランジスタ200の小面積化、高密度化が可能となる。なお、酸化物230a、および酸化物230bの側面と絶縁体224となる絶縁膜の上面のなす角が鋭角になる構成にしてもよい。その場合、酸化物230a、および酸化物230bの側面と絶縁体224となる絶縁膜の上面のなす角は大きいほど好ましい。
また、酸化物230a、および酸化物230bの側面と、酸化物230bの上面との間に、湾曲面を有する。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲していることが好ましい(以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面は、例えば、酸化物230bの端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6nm以下とすることが好ましい。
また、酸化物430a1、および酸化物430b1の側面と、酸化物430b1の上面、および、酸化物430a2、および酸化物430b2の側面と、酸化物430b2の上面との間に、湾曲面を有する。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲していることが好ましい(以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面は、例えば、酸化物430b1、または酸化物430b2の端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6nm以下とすることが好ましい。
なお、端部に角を有さないことで、以降の成膜工程における膜の被覆性が向上する。
なお、当該酸化膜の加工はリソグラフィー法を用いて行えばよい。また、当該加工はドライエッチング法やウエットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。
なお、リソグラフィー法では、まず、マスクを介してレジストを露光する。次に、露光された領域を、現像液を用いて除去または残存させてレジストマスクを形成する。次に、当該レジストマスクを介してエッチング処理することで導電体、半導体または絶縁体などを所望の形状に加工することができる。例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などを用いて、レジストを露光することでレジストマスクを形成すればよい。また、基板と投影レンズとの間に液体(例えば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用いる場合には、上記レジスト露光用のマスクは不要となる。なお、露光後のレジストマスクは、アッシングなどのドライエッチング処理を行う、ウエットエッチング処理を行う、ドライエッチング処理後にウエットエッチング処理を行う、またはウエットエッチング処理後にドライエッチング処理を行う、などによって除去することができる。
また、レジストマスクの代わりに絶縁体や導電体からなるハードマスクを用いてもよい。ハードマスクを用いる場合、酸化物230b、酸化物430b1、および酸化物430b2となる酸化膜上にハードマスク材料となる絶縁膜や導電膜を形成し、その上にレジストマスクを形成し、ハードマスク材料をエッチングすることで所望の形状のハードマスクを形成することができる。酸化物230a、酸化物430a1、および酸化物430a2となる酸化膜、および酸化物230b、酸化物430b1、および酸化物430b2となる酸化膜のエッチングは、レジストマスクを除去してから行ってもよいし、レジストマスクを残したまま行ってもよい。後者の場合、エッチング中にレジストマスクが消失することがある。上記酸化膜のエッチング後にハードマスクをエッチングにより除去してもよい。一方、ハードマスクの材料が後工程に影響が無い、あるいは後工程で利用できる場合、必ずしもハードマスクを除去する必要は無い。
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いることができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板型電極の一方の電極に高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極の一方の電極に複数の異なった高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに同じ周波数の高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに周波数の異なる高周波電源を印加する構成でもよい。または高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)エッチング装置などを用いることができる。
また、上記ドライエッチングなどの処理を行うことによって、エッチングガスなどに起因した不純物が酸化物230a、および酸化物230bなどの表面または内部に付着または拡散することがある。不純物としては、例えば、フッ素または塩素などがある。
上記の不純物などを除去するために、洗浄を行う。洗浄方法としては、洗浄液など用いたウエット洗浄、プラズマを用いたプラズマ処理または、熱処理による洗浄などがあり、上記洗浄を適宜組み合わせて行ってもよい。
ウエット洗浄としては、シュウ酸、リン酸またはフッ化水素酸などを炭酸水または純水で希釈した水溶液を用いて洗浄処理を行ってもよい。または、純水または炭酸水を用いた超音波洗浄を行ってもよい。本実施の形態では、純水または炭酸水を用いた超音波洗浄を行う。
続いて、加熱処理を行ってもよい。加熱処理の条件は、前述の加熱処理の条件を用いることができる。
次に、絶縁体224、絶縁体424となる絶縁膜、酸化物230a、および酸化物230bの積層構造、酸化物430a1、および酸化物430b1の積層構造、ならびに酸化物430a2、および酸化物430b2の積層構造の上に、酸化膜230Cを成膜する(図27(C)、および図27(D)参照)。当該酸化膜の成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
酸化膜230Cは、酸化物230aとなる酸化膜の成膜条件と同様の条件を用いて成膜してもよいし、酸化物230bとなる酸化膜の成膜条件と同様の条件を用いて成膜してもよい。また、これらの条件を組み合わせて成膜してもよい。
本実施の形態では、酸化膜230Cとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。このとき、酸素の割合を70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%として、成膜してもよい。
なお、酸化膜230Cは、酸化物230c、および酸化物430cとなる酸化膜に求める特性に合わせて、酸化物230a、酸化物430a1、および酸化物430a2となる酸化膜と同様の成膜方法、または酸化物230b、酸化物430b1、および酸化物430b2となる酸化膜と同様の成膜方法を用いればよい。本実施の形態では、酸化物230c、および酸化物430cとなる酸化膜として、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。
次に、酸化膜230Cを島状に加工し、酸化物230cを有する酸化物230、および酸化物430cを形成する(図28(A)、および図28(B)参照)ここで、酸化物230cは、酸化物230aおよび酸化物230bを覆って形成することが好ましい。また、酸化物430cは、酸化物430a1、酸化物430b1、酸化物430a2、および酸化物430b2を覆って形成することが好ましい。当該加工はリソグラフィー法を用いて行えばよい。また、当該加工はドライエッチング法やウエットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。また、リソグラフィー法において、レジストマスクの代わりにハードマスクを用いてもよい。
続いて、絶縁膜250A、絶縁膜252A、導電膜260A、導電膜260B、絶縁膜270A、および絶縁膜271Aを順に成膜する(図28(C)、および図28(D)参照)。
絶縁膜250Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。なお、絶縁膜250Aを成膜する際の成膜温度は、350℃以上450℃未満、特に400℃前後とすることが好ましい。絶縁膜250Aを、400℃で成膜することで、不純物が少ない絶縁体を成膜することができる。
なお、マイクロ波で酸素を励起し、高密度な酸素プラズマを発生させ、当該酸素プラズマに絶縁膜250Aを曝すことで、絶縁膜250A、酸化物230、および酸化物430cへ酸素を導入することができる。
また、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる。当該加熱処理によって、絶縁膜250Aの水分濃度および水素濃度を低減させることができる。
次に、絶縁膜250A上に絶縁膜252Aを成膜する。絶縁膜252Aとして、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する。絶縁膜252Aが、水素および水に対するバリア性を有することで、トランジスタ200の周辺に設けられた構造体に含まれる水素、および水は、絶縁膜252Aを介してトランジスタ200の内側へ拡散することがなく、酸化物230中の酸素欠損の生成を抑制することができる。
絶縁膜252Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。
また、絶縁膜252Aとして金属酸化物を、酸素を含む雰囲気において、スパッタリング法を用いて成膜することで、絶縁膜250Aに酸素を添加し、絶縁膜250Aに過剰酸素領域を形成することができる。絶縁膜250Aに添加された過剰酸素は、酸化物230に酸素を供給することで、酸素欠損を補償することができる。
ここで、スパッタリング法による絶縁膜252Aの成膜時には、ターゲットと基板との間には、イオンとスパッタされた粒子とが存在する。例えば、ターゲットは、電源が接続されており、電位E0が与えられる。また、基板は、接地電位などの電位E1が与えられる。ただし、基板が電気的に浮いていてもよい。また、ターゲットと基板の間には電位E2となる領域が存在する。各電位の大小関係は、E2>E1>E0である。
プラズマ内のイオンが、電位差E2-E0によって加速され、ターゲットに衝突することにより、ターゲットからスパッタされた粒子がはじき出される。このスパッタされた粒子が成膜表面に付着し、堆積することにより成膜が行われる。また、一部のイオンはターゲットによって反跳し、反跳イオンとして形成された膜を通過し、被成膜面と接する絶縁膜250Aに取り込まれる場合がある。また、プラズマ内のイオンは、電位差E2-E1によって加速され、成膜表面を衝撃する。この際、一部のイオンは、絶縁膜250A内部まで到達する。イオンが絶縁膜250Aに取り込まれることにより、イオンが取り込まれた領域が絶縁膜250Aに形成される。つまり、イオンが酸素を含むイオンであった場合において、絶縁膜250Aに過剰酸素領域が形成される。
絶縁膜250Aに過剰な酸素を導入することで、過剰酸素領域を形成することができる。絶縁膜250Aの過剰な酸素は、酸化物230に供給され、酸化物230の酸素欠損が補填することができる。
したがって、絶縁膜252Aを成膜する手段として、スパッタリング装置を用いて、酸素ガス雰囲気下で成膜を行うことで、絶縁膜252Aを成膜しながら、絶縁膜250Aに酸素を導入することができる。特に、絶縁膜252Aに、バリア性を有するアルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を用いることで、絶縁体250に導入した過剰酸素を、効果的に封じ込めることができる。
続いて、導電膜260A、および導電膜260Bを成膜する。導電膜260A、および導電膜260Bは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。本実施の形態では、導電膜260Aとして、CVD法によって窒化チタンを成膜し、導電膜260Bとして、CVD法によってタングステンを成膜する。
続いて、加熱処理を行うことができる。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる。なお、加熱処理は行わなくてもよい場合がある。本加熱処理によって、絶縁膜252Aから、絶縁膜250Aに過剰酸素が添加され、絶縁膜250Aに過剰酸素領域を容易に形成することができる。
続いて、絶縁膜270A、および絶縁膜271Aを成膜する。絶縁膜270Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。絶縁膜270Aは、バリア膜として機能するため、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いる。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。これにより、導電体260の酸化を防ぐことができる。また、導電体260および絶縁体250を介して、水または水素などの不純物が酸化物230に混入することを防ぐことができる。本実施の形態では、絶縁膜270Aとして、ALD法によって酸化アルミニウムを成膜する。
絶縁膜271Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。ここで、絶縁膜271Aの膜厚は、後の工程で成膜する絶縁膜272Aの膜厚より厚くすることが好ましい。これにより、後の工程で絶縁体272を形成する際、導電体260の上に絶縁体271を、容易に残存させることができる。本実施の形態では、絶縁膜271Aとして、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
次に、絶縁膜271Aを、エッチングし、絶縁体271、および絶縁体471を形成する。ここで、絶縁体271、および絶縁体471は、ハードマスクとして機能する。絶縁体271、および絶縁体471を設けることで、絶縁体250の側面、絶縁体252の側面、導電体260aの側面、導電体260bの側面、および絶縁体270の側面、ならびに絶縁体450の側面、絶縁体452の側面、導電体460aの側面、導電体460bの側面、および絶縁体470の側面を、基板の上面に対し、概略垂直に形成することができる。
絶縁体271、および絶縁体471をマスクとして、絶縁膜250A、絶縁膜252A、導電膜260A、導電膜260B、絶縁膜270Aを、エッチングし、絶縁体250、絶縁体252、導電体260(導電体260a、および導電体260b)、および絶縁体270、ならびに絶縁体450、絶縁体452、導電体460(導電体460a、および導電体460b)、および絶縁体470を形成する(図29(A)、および図29(B)参照)。なお、当該エッチングにより、酸化膜230Cと、絶縁体250とが重ならない領域において、酸化物230c、および酸化物430cの一部が除去されていてもよい。この場合、酸化物230cの絶縁体250と重なる領域の膜厚が、絶縁体250と重ならない領域の膜厚より厚くなる場合がある。また、酸化物430cの絶縁体450と重なる領域の膜厚が、絶縁体450と重ならない領域の膜厚より厚くなる場合がある。
また、絶縁体250、絶縁体252、導電体260a、導電体260b、絶縁体270、および絶縁体271は、少なくとも一部が、導電体205および酸化物230a、および酸化物230bと重なるように形成する。
また、絶縁体250の側面、絶縁体252の側面、導電体260aの側面、導電体260bの側面、および絶縁体270の側面は、同一面内であることが好ましい。絶縁体450の側面、絶縁体452の側面、導電体460aの側面、導電体460bの側面、および絶縁体470の側面は、同一面内であることが好ましい。
なお、上記加工後も、当該ハードマスク(絶縁体271、および絶縁体471)は除去せずに後工程を進めてもよい。
ここで、例えば、絶縁体250、絶縁体252、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271、並びに絶縁体450、絶縁体452、導電体460、絶縁体470、および絶縁体471をマスクとして、酸化物230と、酸化物430a、酸化物430b、および酸化物430cからなる積層体(以下、酸化物430ともいう)と、に金属元素、または不純物を添加する処理を行ってもよい(図29(A)、および図29(B)に矢印で示す)。
なお、金属元素、または不純物を添加する処理としては、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。質量分離を行う場合、添加するイオン種およびその濃度を厳密に制御することができる。一方、質量分離を行わない場合、短時間で高濃度のイオンを添加することができる。また、原子または分子のクラスターを生成してイオン化するイオンドーピング法を用いてもよい。なお、添加する不純物、および金属元素を、元素、ドーパント、イオン、ドナー、またはアクセプターなどと言い換えてもよい。
また、不純物、および金属元素は、プラズマ処理にて添加されてもよい。この場合、プラズマCVD装置、ドライエッチング装置、アッシング装置を用いてプラズマ処理を行うことで、不純物、および金属元素を添加することができる。なお、上述した処理を複数組み合わせてもよい。
ゲート電極として機能する導電体260をマスクとしているため、酸化物230の導電体260と重畳する領域(領域234)のみが、水素、および窒素の添加が抑制され、自己整合的に領域234と領域232の境界を設けることができる。
上記導電体260をマスクとした不純物の添加処理により、例えば、絶縁体274を設けた後の工程で領域232が形成されるため、不純物が拡散するための十分な熱履歴がない場合でも、領域232を確実に設けることができる。なお、不純物の拡散により、領域232は、ゲート電極として機能する導電体260と重畳してもよい。その場合、領域232は、いわゆるオーバーラップ領域(Lov領域ともいう)として機能する。
また、例えば、絶縁膜273Aを成膜した後、絶縁膜273Aを介して、イオンドーピング法により、不純物を添加してもよい。絶縁膜273Aは、酸化物230、絶縁体250、絶縁体252、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271、並びに酸化物430、絶縁体450、絶縁体452、導電体460、絶縁体470、および絶縁体471を覆って設ける。したがって、ゲート絶縁体として機能する絶縁体250、および絶縁体252を、絶縁体273により保護しながら不純物を添加することができる。
次に、酸化物230、絶縁体250、絶縁体252、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271を覆って、絶縁膜273A、および絶縁膜275Aを成膜する(図29(C)、および図29(D)参照)。絶縁膜273A、および絶縁膜274Aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
絶縁膜273Aとして、被覆性に優れたALD法により成膜することが好ましい。ALD法を用いることで、導電体260や導電体460などにより形成された段差部においても、絶縁体250、絶縁体252、導電体260、および絶縁体270の側面に対して、均一な厚さを有する絶縁膜273Aを形成することができる。
例えば、絶縁膜273Aとして、ALD法を用いて成膜した、金属酸化膜を用いることができる。ALD法を用いることで、緻密な薄膜を成膜することができる。金属酸化膜は、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれることが好ましい。本実施の形態では、絶縁体273として、酸化アルミニウムを用いる。
なお、酸化アルミニウムはバリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であっても、水素、および窒素の拡散を抑制することができる。また、酸化ハフニウムは、酸化アルミニウムよりもバリア性が低いが、膜厚を厚くすることによりバリア性を高めることができる。例えば、ALD法を用いて酸化ハフニウムを成膜することで、酸化ハフニウムの膜厚の制御が容易となり、水素、および窒素の適切な添加量を調整することができる。
したがって、絶縁膜273Aに酸化アルミニウムを用いる場合、絶縁体250の側面、絶縁体252の側面、導電体260の側面、および絶縁体270の側面と接する領域、並びに絶縁体450の側面、絶縁体452の側面、導電体460の側面、および絶縁体470の側面と接する領域の膜厚は、0.5nm以上、好ましくは3.0nm以上であることが好ましい。
また、絶縁膜273Aとなる絶縁体は、スパッタリング法を用いて成膜することが好ましい。スパッタリング法を用いることにより、水または水素などの不純物の少ない絶縁体を成膜することができる。スパッタリング法を用いる場合は、例えば、対向ターゲット型のスパッタリング装置を用いて成膜することが好ましい。対向ターゲット型のスパッタリング装置は、対向するターゲット間の高電界領域に被成膜面が晒されることなく成膜できるため、被成膜面がプラズマによる損傷を受けにくく成膜することができる。このため、絶縁膜273Aとなる絶縁体の成膜時に酸化物230への成膜ダメージを小さくすることができるので好ましい。対向ターゲット型のスパッタリング装置を用いた成膜法を、VDSP(Vapor Deposition SP)(登録商標)と呼ぶことができる。
次に、絶縁膜275Aに異方性のエッチング処理を行い、絶縁体273を介して、絶縁体250、絶縁体252、導電体260、および絶縁体270の側面に、絶縁体275を形成する。同時に、絶縁体273を介して、絶縁体450、絶縁体452、導電体460、および絶縁体470の側面に、絶縁体475を形成する。また、露出した絶縁膜273Aの表面を除去することで、絶縁膜273Aの一部を薄膜化し、絶縁体273を形成する(図30(A)、および図30(B)参照)。なお、絶縁体273が酸化アルミニウムである場合、絶縁体273の薄膜化された領域の膜厚は、3.0nm以下であることが好ましい。
上記異方性のエッチング処理としては、ドライエッチング処理を行うことが好ましい。これにより、基板面に対して略平行な面に成膜された当該絶縁膜を除去して、絶縁体272を自己整合的に形成することができる。
また、上記エッチングにより、絶縁膜273Aを同時にエッチングし、絶縁体273を形成してもよい。なお、上記エッチングとは別のエッチング工程で、絶縁体273を形成してもよい。
なお、図示しないが、酸化物230の側面、並びに酸化物430の側面にも絶縁膜275Aが残存していてもよい。その場合、後の工程で成膜する層間膜などの被膜性を高めることができる。
また、酸化物230の側面、並びに酸化物430の側面に接して絶縁膜275Aの残存した構造体が形成されていることで、後の工程で、不純物となる元素を含む絶縁体274を成膜し、酸化物230、および酸化物430に低抵抗領域を形成する場合、絶縁体224、または絶縁体424と酸化物230、および酸化物430との界面領域は、低抵抗化されないため、リーク電流の発生を抑制することができる。
続いて、酸化物230、および酸化物430において、低抵抗化された領域を形成する。領域231、および領域232は、酸化物230として設けられた金属酸化物に、不純物を添加した領域である。なお、領域231は、少なくとも、領域234よりも、導電性が高い。
酸化物230、および酸化物430に対し、選択的に不純物を添加するために、例えば、インジウム、またはガリウムなどの金属元素、および不純物の少なくとも一であるドーパントを添加すればよい。なお、ドーパントとしては、上述の酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素などを用いればよい。例えば、当該元素として、水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス等が挙げられる。また、希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、およびキセノン等がある。
例えば、領域231、および領域232に、不純物を添加するために、ドーパントを含む膜として絶縁体274を、低抵抗化したい領域と、絶縁体273を介して重畳するように、成膜するとよい。絶縁体274は、上記元素の一種、または複数種を含む絶縁膜を用いることが好ましい(図30(C)、および図30(D)参照)。
具体的には、酸化物230、および酸化物430に、金属酸化物を含む絶縁体273を介して、窒素などの不純物となる元素を含む絶縁体274を成膜するとよい。窒素などの不純物となる元素を含む絶縁体は、酸化物230、および酸化物430に含まれる酸素を引き抜き、吸収する場合がある。酸化物230、および酸化物430から、酸素が引き抜かれた領域には、酸素欠損が生じる。当該酸素欠損に、絶縁体274の成膜や成膜後の熱処理により、絶縁体274の成膜雰囲気に含まれる、水素または窒素などの不純物元素が捕獲され、酸化物230、および酸化物430は選択的に低抵抗化する。つまり、酸化物230、および酸化物430は、絶縁体274と接する領域を中心に、添加された不純物元素により酸素欠損が形成され、さらに当該不純物元素が酸素欠損に入り込むことで、キャリア密度が高くなり、低抵抗化される。その際、絶縁体274と接しない領域にも不純物が拡散することで、低抵抗化すると考えられる。
したがって、絶縁体274の成膜により、ソース領域およびドレイン領域を自己整合的に形成することができる。よって、微細化または高集積化された半導体装置も、歩留まり良く製造することができる。
ここで、導電体260、および導電体460の側面に、絶縁体273を介して、絶縁体275、および絶縁体475を形成することで、酸化物230、および酸化物430において、選択的に低抵抗化された領域に添加された窒素、または水素などの不純物元素が、各トランジスタのチャネル形成領域に拡散することを抑制することができる。
また、絶縁体274と酸化物230との間、および絶縁体274と酸化物430との間に、絶縁体273を形成することで、窒素、または水素などの不純物元素が、酸化物230、および酸化物430に過剰に添加されることを抑制することができる。
また、導電体260、絶縁体252および絶縁体250の上面および側面を、絶縁体275および絶縁体273で覆っておくことで、窒素または水素などの不純物元素が、導電体260、絶縁体252および絶縁体250に混入することを防ぐことができる。これにより、窒素または水素などの不純物元素が、導電体260、絶縁体252および絶縁体250を通って、トランジスタ200のチャネル形成領域として機能する領域234に混入することを防ぐことができる。したがって、良好な電気特性を有するトランジスタ200を提供することができる。
また、導電体460、絶縁体452および絶縁体450の上面および側面を、絶縁体475および絶縁体273で覆っておくことで、窒素または水素などの不純物元素が、導電体460、絶縁体452および絶縁体450に混入することを防ぐことができる。これにより、窒素または水素などの不純物元素が、導電体460、絶縁体452および絶縁体450を通って、トランジスタ400のチャネル形成領域として機能する領域に混入することを防ぐことができる。したがって、良好な電気特性を有するトランジスタ400を提供することができる。
絶縁体274の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。
例えば、絶縁体274として、CVD法を用いて成膜した、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコンを用いることができる。本実施の形態では、絶縁体274として、窒化酸化シリコンを用いる。
絶縁体274として、窒化酸化シリコンを用いた場合、低抵抗化された領域は、チャネルが形成される領域より、水素および窒素の少なくとも一方の濃度が大きくなることが好ましい。水素または窒素の濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)などを用いて測定すればよい。ここで、領域234の水素または窒素の濃度としては、酸化物230bの絶縁体250と重なる領域の中央近傍(例えば、酸化物230bの絶縁体250のチャネル長方向の両側面からの距離が概略等しい部分)の水素または窒素の濃度を測定すればよい。
なお、上記各領域の形成は、他のドーパントの添加方法と合わせて行ってもよい。他のドーパントの添加方法としては、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。質量分離を行う場合、添加するイオン種およびその濃度を厳密に制御することができる。一方、質量分離を行わない場合、短時間で高濃度のイオンを添加することができる。また、原子または分子のクラスターを生成してイオン化するイオンドーピング法を用いてもよい。なお、ドーパントを、イオン、ドナー、アクセプター、不純物または元素などと言い換えてもよい。
また、不純物は、プラズマ処理にて添加されてもよい。この場合、プラズマCVD装置、ドライエッチング装置、アッシング装置を用いてプラズマ処理を行い、酸化物230、および酸化物430に対し、選択的にドーパントを添加することができる。なお、上述した処理を複数組み合わせて、各領域などを形成してもよい。
例えば、酸化物230、および酸化物430は、上述の酸素欠損を形成する元素、酸素欠損に捕獲される元素の含有率を高くすることで、キャリア密度を高くし、選択的に低抵抗化を図ることができる。または、例えば、酸化物230、および酸化物430において、選択的にインジウムなどの金属元を添加し、酸化物230、および酸化物430のインジウムなどの金属原子の含有率を高くすることで、電子移動度を高くし、選択的な低抵抗化を図ることができる。なお、インジウムを添加する場合、少なくとも低抵抗化された領域における元素Mに対するインジウムの原子数比が、チャネルが形成される領域の元素Mに対するインジウムの原子数比よりも大きくなる。
トランジスタ200において、領域232を設けることで、ソース領域およびドレイン領域として機能する領域231と、チャネルが形成される領域234との間に高抵抗領域が形成されないため、トランジスタのオン電流、および移動度を大きくすることができる。また、領域232を有することで、チャネル長方向において、ソース領域およびドレイン領域と、ゲートとが重ならないため、不要な容量が形成されるのを抑制することができる。また、領域232を有することで、非導通時のリーク電流を小さくすることができる。
したがって、各領域の範囲を適宜選択することにより、回路設計に合わせて、要求に見合う電気特性を有するトランジスタを容易に提供することができる。
続いて、加熱処理を行うことができる。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる。加熱処理を行うことで、添加された不純物が、酸化物230の領域232へと拡散し、オン電流を大きくすることができる。
次に、絶縁体274の上に、絶縁体280となる絶縁膜を成膜する。絶縁体280の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。または、スピンコート法、ディップ法、液滴吐出法(インクジェット法など)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷など)、ドクターナイフ法、ロールコーター法またはカーテンコーター法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、当該絶縁膜として、酸化窒化シリコンを用いる。
次に、絶縁体280の一部を除去する。絶縁体280は、上面が平坦性を有するように形成することが好ましい。例えば、絶縁体280は、絶縁体280となる絶縁膜として成膜した直後に上面が平坦性を有していてもよい。または、例えば、絶縁体280は、成膜後に基板裏面などの基準面と平行になるよう絶縁体などを上面から除去していくことで平坦性を有してもよい。このような処理を、平坦化処理と呼ぶ。平坦化処理としては、CMP処理、ドライエッチング処理などがある。本実施の形態では、平坦化処理として、CMP処理を用いる。ただし、絶縁体280の上面は必ずしも平坦性を有さなくてもよい。
続いて、絶縁体280上に、絶縁体282を形成する。絶縁体282は、スパッタリング装置により成膜することが好ましい。例えば、絶縁体282に、バリア性を有する酸化アルミニウムを用いることで、絶縁体282よりも上に形成される構造体から、トランジスタ200、およびトランジスタ400への不純物の拡散を抑制することができる。
続いて、絶縁体282上に、絶縁体286を成膜する。例えば、絶縁体286として、CVD法により、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などの、酸素を含む絶縁体を形成する。絶縁体286は、絶縁体282よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる(図31参照)。
続いて、絶縁体286、絶縁体282、および絶縁体280に、トランジスタ200、およびトランジスタ400、および配線などに到達する開口を形成する(図32参照)。
ここで、例えば、絶縁体280、絶縁体274、および絶縁体273をマスクとして、酸化物230、および酸化物430に金属元素、または不純物を添加する処理を行ってもよい(図32に矢印で示す)。当該、金属元素、または不純物を添加する処理を行うことで、自己整合的に、領域236などの領域を低抵抗化することができる。なお、領域236は、領域231よりも、さらに、低抵抗化していることが好ましい。領域236を低抵抗化することで、酸化物230と導電体240との十分なオーミック接触を確保することができる。また、同様に、酸化物430において、導電体440と重畳する領域を、低抵抗化することで酸化物430と導電体440との十分なオーミック接触を確保することができる。
金属元素、または不純物を添加する処理としては、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。質量分離を行う場合、添加するイオン種およびその濃度を厳密に制御することができる。一方、質量分離を行わない場合、短時間で高濃度のイオンを添加することができる。また、原子または分子のクラスターを生成してイオン化するイオンドーピング法を用いてもよい。なお、添加する不純物、および金属元素を、元素、ドーパント、イオン、ドナー、またはアクセプターなどと言い換えてもよい。
また、不純物、および金属元素は、プラズマ処理にて添加されてもよい。この場合、プラズマCVD装置、ドライエッチング装置、アッシング装置を用いてプラズマ処理を行うことで、不純物、および金属元素を添加することができる。なお、上述した処理を複数組み合わせてもよい。
次に、導電体240、および導電体440となる導電膜を形成する。例えば、導電体240、および導電体440となる導電膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。なお、導電体240、および導電体440となる導電膜は、絶縁体280などによって形成される開口を埋めるように成膜する。したがって、CVD法(特にMOCVD法)を用いることが好ましい。また、MOCVD法で成膜する導電体の密着性を高めるために、ALD法などによって成膜した導電体と、CVD法で成膜した導電体との多層膜にすると好ましい場合がある。例えば、導電体240、および導電体440となる導電膜として、窒化チタン、およびタングステンの積層構造とするとよい。
続いて、導電体240、および導電体440となる導電膜の不要な部分を除去する。例えば、エッチバック処理、または、CMP処理などにより、絶縁体286が露出するまで、導電体240、および導電体440となる導電膜の一部を除去することで導電体240、および導電体440を形成する。この際、絶縁体286をストッパ層として使用することもでき、絶縁体286が薄くなる場合がある。
次に、絶縁体286上に導電体112、および導電体110となる導電膜を成膜する。なお、導電体112、および導電体110となる導電膜としては、例えば、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属、または上述した金属を成分とする合金か、上述した金属を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された金属を用いてもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体、ニッケルシリサイド等のシリサイドを用いてもよい。例えば、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数の金属を組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
続いて、導電体112、および導電体110となる導電膜をエッチングすることで、導電体112、および導電体110を形成する。当該エッチング処理を、オーバーエッチング処理とすることで、絶縁体286の一部も同時に除去してもよい。
続いて、導電体112、および導電体110の側面、および上面を覆う絶縁体130を成膜する。絶縁体130には例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化酸化ハフニウム、窒化ハフニウムなどを用いればよく、積層または単層で設ける。
例えば、酸化アルミニウムなどのhigh-k材料と、酸化窒化シリコンなどの絶縁耐力が大きい材料の積層構造とすることが好ましい。当該構成により、容量素子100は、high-k材料により十分な容量を確保でき、絶縁破壊耐圧が向上するため、容量素子100の静電破壊を抑制し、容量素子100の信頼性を向上させることができる。
続いて、絶縁体130上に導電体120となる導電膜を成膜する。なお、導電体120となる導電膜の形成は、導電体110と同様の材料および方法で作成することができる。続いて、導電体120となる導電膜の不要な部分をエッチングにより除去する。その後レジストマスクを除去することにより、導電体120を形成する。
導電体120は、絶縁体130を介して、導電体110の側面および上面を覆うように設けることが好ましい。当該構成により、導電体110の側面は、絶縁体130を介して、導電体120と面する。したがって、容量素子100において、導電体110の上面および側面の和が容量として機能するため、投影面積当たりの容量が大きな容量素子を形成することができる。
続いて、容量素子100を覆う絶縁体150を成膜する(図25参照)。絶縁体150となる絶縁体は、絶縁体286等と同様の材料および方法により形成することができる。
以上により、容量素子100、トランジスタ200、およびトランジスタ400を有する半導体装置を作製することができる。図27乃至図32に示すように、本実施の形態に示す半導体装置の作製方法を用いることで、容量素子100、トランジスタ200、およびトランジスタ400を作成することができる。
本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、オフ電流の小さい半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、オン電流の大きいトランジスタを提供することができる。または、本発明の一態様により、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、消費電力が低減された半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、生産性の高い半導体装置を提供することができる。
<半導体装置の変形例>
以下では、図34を用いて、本実施の形態に示すトランジスタの変形例について説明する。なお、図34に示す半導体装置において、<半導体装置の構成例>に示した半導体装置を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。
図34に示すトランジスタ200は、<半導体装置の構成例>に示した半導体装置とは、少なくとも絶縁体250の側面、絶縁体252の側面、導電体260の側面、および絶縁体271の側面の形状が異なる。また、図34に示すトランジスタ400は、<半導体装置の構成例>に示した半導体装置とは、少なくとも絶縁体450の側面、絶縁体452の側面、導電体460の側面、および絶縁体471の側面の形状が異なる。
具体的には、図34に示すように、絶縁体250の側面、絶縁体252の側面、導電体260の側面、および絶縁体271の側面と、酸化物230の上面とが、テーパー角を有していてもよい。また、絶縁体450の側面、絶縁体452の側面、導電体460の側面、および絶縁体471の側面と、酸化物430の上面とが、テーパー角を有していてもよい。当該形状とすることで、絶縁体273、および絶縁体274の被膜性を向上させることができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、半導体装置の一形態を、図35を用いて説明する。
<記憶装置>
図35に示す半導体装置は、トランジスタ400と、トランジスタ300と、トランジスタ200、および容量素子100を有する記憶装置である。以下に、記憶装置としての一形態を、図35を用いて説明する。
トランジスタ200は、チャネル形成領域に金属酸化物を有するトランジスタであり、上記実施の形態に示すトランジスタを用いることができる。上記実施の形態に示すトランジスタは、微細化しても歩留まり良く形成できるので、トランジスタ200の微細化を図ることができる。このようなトランジスタを記憶装置に用いることで、記憶装置の微細化または高集積化を図ることができる。上記実施の形態に示すトランジスタは、オフ電流が小さいため、これを記憶装置に用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、あるいは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ないため、記憶装置の消費電力を十分に低減することができる。
図35において、配線1001はトランジスタ300のソースと電気的に接続され、配線1002はトランジスタ300のドレインと電気的に接続されている。また、配線1003はトランジスタ200のソースおよびドレインの一方と電気的に接続され、配線1004はトランジスタ200の第1のゲートと電気的に接続され、配線1006はトランジスタ200の第2のゲートと電気的に接続されている。そして、トランジスタ300のゲート、およびトランジスタ200のソースおよびドレインの他方は、容量素子100の電極の一方と電気的に接続され、配線1005は容量素子100の電極の他方と電気的に接続されている。配線1007はトランジスタ400のソースと電気的に接続され、配線1008はトランジスタ400の第1のゲートと電気的に接続され、配線1009はトランジスタ400の第2のゲートと電気的に接続され、配線1010はトランジスタ400のドレインと電気的に接続されている。ここで、配線1006、配線1007、配線1008、および配線1009が電気的に接続されている。
図35に示す半導体装置は、トランジスタ300のゲートの電位が保持可能という特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、配線1004の電位を、トランジスタ200が導通状態となる電位にして、トランジスタ200を導通状態とする。これにより、配線1003の電位が、トランジスタ300のゲート、および容量素子100の電極の一方と電気的に接続するノードFGに与えられる。すなわち、トランジスタ300のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下、Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のどちらかが与えられるものとする。その後、配線1004の電位を、トランジスタ200が非導通状態となる電位にして、トランジスタ200を非導通状態とすることにより、ノードFGに電荷が保持される(保持)。
トランジスタ200のオフ電流が小さい場合、ノードFGの電荷は長期間にわたって保持される。
次に情報の読み出しについて説明する。配線1001に所定の電位(定電位)を与えた状態で、配線1005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、配線1002は、ノードFGに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジスタ300をnチャネル型とすると、トランジスタ300のゲートにHighレベル電荷が与えられている場合の見かけ上の閾値電圧Vth_Hは、トランジスタ300のゲートにLowレベル電荷が与えられている場合の見かけ上の閾値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけ上の閾値電圧とは、トランジスタ300を導通状態とするために必要な配線1005の電位を指すものとする。したがって、配線1005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、ノードFGに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、ノードFGにHighレベル電荷が与えられていた場合には、配線1005の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ300は導通状態となる。一方、ノードFGにLowレベル電荷が与えられていた場合には、配線1005の電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ300は非導通状態のままである。このため、配線1002の電位を判別することで、ノードFGに保持されている情報を読み出すことができる。
<記憶装置の構造>
図35は、容量素子100、トランジスタ200、トランジスタ300、およびトランジスタ400を有する記憶装置の断面図である。なお、図35に示す記憶装置において、先の実施の形態に示した半導体装置、および記憶装置を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。
本発明の一態様の記憶装置は、図35に示すようにトランジスタ300、トランジスタ200、トランジスタ400および容量素子100を有する。トランジスタ200およびトランジスタ400はトランジスタ300の上方に設けられ、容量素子100はトランジスタ300、トランジスタ200およびトランジスタ400の上方に設けられている。
なお、容量素子100、トランジスタ200、トランジスタ300、およびトランジスタ400としては、先の実施の形態で説明した半導体装置が有する容量およびトランジスタを用いればよい。なお、図35に示す容量素子100、トランジスタ300、トランジスタ200およびトランジスタ400は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
ここで、大面積基板を半導体素子ごとに分断することによって、複数の半導体装置をチップ状で取り出す場合に設けられるダイシングライン(スクライブライン、分断ライン、または切断ラインと呼ぶ場合がある)について説明する。分断方法としては、例えば、まず、基板に半導体素子を分断するための溝(ダイシングライン)を形成した後、ダイシングラインにおいて切断し、複数の半導体装置に分断(分割)する場合がある。例えば、図35に示す構造500は、ダイシングライン近傍の断面図を示している。
例えば、構造500に示すように、トランジスタ200、またはトランジスタ400を有するメモリセルの外縁に設けられるダイシングラインと重なる領域近傍において、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体273、絶縁体222、絶縁体220、絶縁体216、絶縁体214および絶縁体212に、絶縁体210に達する開口を設ける。また、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体273、絶縁体222、絶縁体220、絶縁体216、絶縁体214および絶縁体212の側面、および絶縁体210の上面を覆うように、絶縁体282を設ける。
つまり、当該開口部において絶縁体210と、絶縁体282とが接する。このとき、絶縁体210と、絶縁体282と、を同材料および同方法を用いて形成することで、密着性を高めることができる。例えば、酸化アルミニウムを用いることができる。
当該構造により、絶縁体210と、絶縁体282で、絶縁体280、トランジスタ200、およびトランジスタ400を包み込むことができる。酸化物360、絶縁体222、絶縁体282は、酸素、水素、および水の拡散を抑制する機能を有しているため、本実施の形態に示す半導体素子が形成された回路領域ごとに、基板を分断することにより、複数のチップに加工しても、分断した基板の側面方向から、水素または水などの不純物が混入し、トランジスタ200、またはトランジスタ400に拡散することを防ぐことができる。
また、当該構造により、絶縁体280の過剰酸素が絶縁体282、および絶縁体222の外部に拡散することを防ぐことができる。したがって、絶縁体280の過剰酸素は、効率的にトランジスタ200、またはトランジスタ400におけるチャネルが形成される酸化物に供給される。当該酸素により、トランジスタ200、またはトランジスタ400におけるチャネルが形成される酸化物の酸素欠損を低減することができる。これにより、トランジスタ200、またはトランジスタ400におけるチャネルが形成される酸化物を欠陥準位密度が低い、安定な特性を有する金属酸化物とすることができる。つまり、トランジスタ200、またはトランジスタ400の電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。
以上が構成例についての説明である。本構成を用いることで、金属酸化物を有するトランジスタを用いた半導体装置において、電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。または、金属酸化物を有するトランジスタを用いた半導体装置において、消費電力を低減することができる。または、金属酸化物を有するトランジスタを用いた半導体装置において、微細化または高集積化を図ることができる。または、微細化または高集積化された半導体装置を生産性良く提供することができる。
<メモリセルアレイの構造>
本実施の形態のメモリセルアレイの一例を、図36に示す。トランジスタ200をメモリセルとして、マトリクス状に配置することで、メモリセルアレイを構成することができる。
なお、図36に示す記憶装置は、図35に示す記憶装置をマトリクス状に配置することで、メモリセルアレイを構成する半導体装置である。なお、1個のトランジスタ400は、複数のトランジスタ200のバックゲート電圧を制御することができる。そのため、トランジスタ400は、トランジスタ200よりも、少ない個数を設けるとよい。
したがって、図36には、図35に示すトランジスタ400は省略する。図35は、図35に示す記憶装置を、マトリクス状に配置した場合における、行の一部を抜き出した断面図である。
また、図35と、トランジスタ300の構成が異なる。図36に示すトランジスタ300はチャネルが形成される半導体領域313(基板311の一部)が凸形状を有する。また、半導体領域313の側面および上面を、絶縁体315を介して、導電体316が覆うように設けられている。なお、導電体316は仕事関数を調整する材料を用いてもよい。このようなトランジスタ300は半導体基板の凸部を利用していることからFIN型トランジスタとも呼ばれる。なお、凸部の上部に接して、凸部を形成するためのマスクとして機能する絶縁体を有していてもよい。また、ここでは半導体基板の一部を加工して凸部を形成する場合を示したが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体膜を形成してもよい。
図36に示す記憶装置では、メモリセル650aとメモリセル650bが隣接して配置されている。メモリセル650aおよびメモリセル650bは、トランジスタ300、トランジスタ200、および容量素子100を有し、配線1001、配線1002、配線1003、配線1004、配線1005、および配線1006と電気的に接続される。また、メモリセル650aおよびメモリセル650bにおいても、同様にトランジスタ300のゲートと、容量素子100の電極の一方と、が電気的に接続するノードを、ノードFGとする。なお、配線1002は隣接するメモリセル650aとメモリセル650bで共通の配線である。
メモリセルをアレイ状に配置する場合、読み出し時には、所望のメモリセルの情報を読み出さなくてはならない。例えば、メモリセルアレイがNOR型の構成の場合、情報を読み出さないメモリセルのトランジスタ300を非導通状態にすることで、所望のメモリセルの情報のみを読み出すことができる。この場合、ノードFGに与えられた電荷によらずトランジスタ300が「非導通状態」となるような電位、つまり、Vth_Hより低い電位を、情報を読み出さないメモリセルと接続される配線1005に与えることで所望のメモリセルの情報のみを読み出せる構成とすればよい。または、例えば、メモリセルアレイがNAND型の構成の場合、情報を読み出さないメモリセルのトランジスタ300を導通状態にすることで、所望のメモリセルの情報のみを読み出すことができる。この場合、ノードFGに与えられた電荷によらずトランジスタ300が「導通状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより高い電位を、情報を読み出さないメモリセルと接続される配線1005に与えることで所望のメモリセルの情報のみを読み出せる構成とすればよい。
本構造を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。または、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、消費電力を低減することができる。または、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、微細化または高集積化を図ることができる。または、微細化または高集積化された半導体装置を生産性良く提供することができる。
以上、本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態に示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、図37および図38を用いて、本発明の一態様に係る、酸化物を半導体に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタと呼ぶ)、および容量素子が適用されている記憶装置の一例として、NOSRAMについて説明する。NOSRAM(登録商標)とは「Nonvolatile Oxide Semiconductor RAM」の略称であり、ゲインセル型(2T型、3T型)のメモリセルを有するRAMを指す。なお、以下において、NOSRAMのようにOSトランジスタを用いたメモリ装置を、OSメモリと呼ぶ場合がある。
NOSRAMでは、メモリセルにOSトランジスタが用いられるメモリ装置(以下、「OSメモリ」と呼ぶ)が適用されている。OSメモリは、少なくとも容量素子と、容量素子の充放電を制御するOSトランジスタを有するメモリである。OSトランジスタが極小オフ電流のトランジスタであるので、OSメモリは優れた保持特性をもち、不揮発性メモリとして機能させることができる。
<<NOSRAM>>
図37にNOSRAMの構成例を示す。図37に示すNOSRAM1600は、メモリセルアレイ1610、コントローラ1640、行ドライバ1650、列ドライバ1660、出力ドライバ1670を有する。なお、NOSRAM1600は、1のメモリセルで多値データを記憶する多値NOSRAMである。
メモリセルアレイ1610は複数のメモリセル1611、複数のワード線WWL、RWL、ビット線BL、ソース線SLを有する。ワード線WWLは書き込みワード線であり、ワード線RWLは読み出しワード線である。NOSRAM1600では、1のメモリセル1611で3ビット(8値)のデータを記憶する。
コントローラ1640は、NOSRAM1600全体を統括的に制御し、データWDA[31:0]の書き込み、データRDA[31:0]の読み出しを行う。コントローラ1640は、外部からのコマンド信号(例えば、チップイネーブル信号、書き込みイネーブル信号など)を処理して、行ドライバ1650、列ドライバ1660および出力ドライバ1670の制御信号を生成する。
行ドライバ1650は、アクセスする行を選択する機能を有する。行ドライバ1650は、行デコーダ1651、およびワード線ドライバ1652を有する。
列ドライバ1660は、ソース線SLおよびビット線BLを駆動する。列ドライバ1660は、列デコーダ1661、書き込みドライバ1662、DAC(デジタル-アナログ変換回路)1663を有する。
DAC1663は3ビットのデジタルデータをアナログ電圧に変換する。DAC1663は32ビットのデータWDA[31:0]を3ビットごとに、アナログ電圧に変換する。
書き込みドライバ1662は、ソース線SLをプリチャージする機能、ソース線SLを電気的に浮遊状態にする機能、ソース線SLを選択する機能、選択されたソース線SLにDAC1663で生成した書き込み電圧を入力する機能、ビット線BLをプリチャージする機能、ビット線BLを電気的に浮遊状態にする機能等を有する。
出力ドライバ1670は、セレクタ1671、ADC(アナログ-デジタル変換回路)1672、出力バッファ1673を有する。セレクタ1671は、アクセスするソース線SLを選択し、選択されたソース線SLの電圧をADC1672に送信する。ADC1672は、アナログ電圧を3ビットのデジタルデータに変換する機能を持つ。ソース線SLの電圧はADC1672において、3ビットのデータに変換され、出力バッファ1673はADC1672から出力されるデータを保持する。
<メモリセル>
図38(A)はメモリセル1611の構成例を示す回路図である。メモリセル1611は2T型のゲインセルであり、メモリセル1611はワード線WWL、RWL、ビット線BL、ソース線SL、配線BGLに電気的に接続されている。メモリセル1611は、ノードSN、OSトランジスタMO61、トランジスタMP61、容量素子C61を有する。OSトランジスタMO61は書き込みトランジスタである。トランジスタMP61は読み出しトランジスタであり、例えばpチャネル型Siトランジスタで構成される。容量素子C61はノードSNの電圧を保持するための保持容量である。ノードSNはデータの保持ノードであり、ここではトランジスタMP61のゲートに相当する。
メモリセル1611の書き込みトランジスタがOSトランジスタMO61で構成されているため、NOSRAM1600は長時間データを保持することが可能である。
図38(A)の例では、ビット線BLは、書き込みと読み出しで共通のビット線であるが、図38(B)に示すように、書き込みビット線WBLと、読み出しビット線RBLとを設けてもよい。
図38(C)-図38(E)にメモリセルの他の構成例を示す。図38(C)-図38(E)には、書き込みビット線WBLと読み出しビット線RBLを設けた例を示しているが、図38(A)のように書き込みと読み出しで共有されるビット線BLを設けてもよい。
図38(C)に示すメモリセル1612は、メモリセル1611の変形例であり、読み出しトランジスタをnチャネル型トランジスタ(MN61)に変更したものである。トランジスタMN61はOSトランジスタであってもよいし、Siトランジスタであってもよい。
メモリセル1611、1612において、OSトランジスタMO61はバックゲートの無いOSトランジスタであってもよい。
図38(D)に示すメモリセル1613は、3T型ゲインセルであり、ワード線WWL、RWL、ビット線WBL、RBL、ソース線SL、配線BGL、PCLに電気的に接続されている。メモリセル1613は、ノードSN、OSトランジスタMO62、トランジスタMP62、トランジスタMP63、容量素子C62を有する。OSトランジスタMO62は書き込みトランジスタである。トランジスタMP62は読み出しトランジスタであり、トランジスタMP63は選択トランジスタである。
図38(E)に示すメモリセル1614は、メモリセル1613の変形例であり、読み出しトランジスタおよび選択トランジスタをnチャネル型トランジスタ(MN62、MN63)に変更したものである。トランジスタMN62、MN63はOSトランジスタであってもよいし、Siトランジスタであってもよい。
メモリセル1611-1614に設けられるOSトランジスタは、バックゲートの無いトランジスタでもよいし、バックゲートが有るトランジスタであってもよい。
容量素子C61の充放電によってデータを書き換えるため、NOSRAM1600は原理的には書き換え回数に制約はなく、かつ、低エネルギーで、データの書き込みおよび読み出しが可能である。また、長時間データを保持することが可能であるので、リフレッシュ頻度を低減できる。
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1611、1612、1613、1614に用いる場合、OSトランジスタMO61、MO62としてトランジスタ200を用い、容量素子C61、C62として容量素子100を用い、トランジスタMP61、MN62としてトランジスタ300を用いることができる。これにより、トランジスタと容量素子一組当たりの上面視における占有面積を低減することができるので、本実施の形態に係る記憶装置をさらに高集積化させることができる。よって、本実施の形態に係る記憶装置の単位面積当たりの記憶容量を増加させることができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、図39および図40を用いて、本発明の一態様に係る、OSトランジスタ、および容量素子が適用されている記憶装置の一例として、DOSRAMについて説明する。DOSRAM(登録商標)とは、「Dynamic Oxide Semiconductor RAM」の略称であり、1T(トランジスタ)1C(容量)型のメモリセルを有するRAMを指す。DOSRAMも、NOSRAMと同様に、OSメモリが適用されている。
<<DOSRAM1400>>
図39にDOSRAMの構成例を示す。図39に示すように、DOSRAM1400は、コントローラ1405、行回路1410、列回路1415、メモリセルおよびセンスアンプアレイ1420(以下、「MC-SAアレイ1420」と呼ぶ)を有する。
行回路1410はデコーダ1411、ワード線ドライバ回路1412、列セレクタ1413、センスアンプドライバ回路1414を有する。列回路1415はグローバルセンスアンプアレイ1416、入出力回路1417を有する。グローバルセンスアンプアレイ1416は複数のグローバルセンスアンプ1447を有する。MC-SAアレイ1420はメモリセルアレイ1422、センスアンプアレイ1423、グローバルビット線GBLL、GBLRを有する。
(MC-SAアレイ1420)
MC-SAアレイ1420は、メモリセルアレイ1422をセンスアンプアレイ1423上に積層した積層構造をもつ。グローバルビット線GBLL、GBLRはメモリセルアレイ1422上に積層されている。DOSRAM1400では、ビット線の構造に、ローカルビット線とグローバルビット線とで階層化された階層ビット線構造が採用されている。
メモリセルアレイ1422は、N個(Nは2以上の整数)のローカルメモリセルアレイ1425<0>-1425<N-1>を有する。図40(A)にローカルメモリセルアレイ1425の構成例を示す。ローカルメモリセルアレイ1425は、複数のメモリセル1445、複数のワード線WL、複数のビット線BLL、BLRを有する。図40(A)の例では、ローカルメモリセルアレイ1425の構造はオープンビット線型であるが、フォールデッドビット線型であってもよい。
図40(B)にメモリセル1445の回路構成例を示す。メモリセル1445はトランジスタMW1、容量素子CS1、端子B1、B2を有する。トランジスタMW1は容量素子CS1の充放電を制御する機能をもつ。トランジスタMW1のゲートはワード線に電気的に接続され、第1端子はビット線に電気的に接続され、第2端子は容量素子の第1端子に電気的に接続されている。容量素子CS1の第2端子は端子B2に電気的に接続されている。端子B2には、定電圧(例えば、低電源電圧)が入力される。
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1445に用いる場合、トランジスタMW1としてトランジスタ200を用い、容量素子CS1として容量素子100を用いることができる。これにより、トランジスタと容量素子一組当たりの上面視における占有面積を低減することができるので、本実施の形態に係る記憶装置を高集積化させることができる。よって、本実施の形態に係る記憶装置の単位面積当たりの記憶容量を増加させることができる。
トランジスタMW1はバックゲートを備えており、バックゲートは端子B1に電気的に接続されている。そのため、端子B1の電圧によって、トランジスタMW1の閾値電圧を変更することができる。例えば、端子B1の電圧は固定電圧(例えば、負の定電圧)であってもよいし、DOSRAM1400の動作に応じて、端子B1の電圧を変化させてもよい。
トランジスタMW1のバックゲートをトランジスタMW1のゲート、ソース、またはドレインに電気的に接続してもよい。あるいは、トランジスタMW1にバックゲートを設けなくてもよい。
センスアンプアレイ1423は、N個のローカルセンスアンプアレイ1426<0>-1426<N-1>を有する。ローカルセンスアンプアレイ1426は、1のスイッチアレイ1444、複数のセンスアンプ1446を有する。センスアンプ1446には、ビット線対が電気的に接続されている。センスアンプ1446は、ビット線対をプリチャージする機能、ビット線対の電圧差を増幅する機能、この電圧差を保持する機能を有する。スイッチアレイ1444は、ビット線対を選択し、選択したビット線対とグローバルビット線対と間を導通状態にする機能を有する。
ここで、ビット線対とは、センスアンプによって、同時に比較される2本のビット線のことをいう。グローバルビット線対とは、グローバルセンスアンプによって、同時に比較される2本のグローバルビット線のことをいう。ビット線対を一対のビット線と呼ぶことができ、グローバルビット線対を一対のグローバルビット線と呼ぶことができる。ここでは、ビット線BLLとビット線BLRが1組のビット線対を成す。グローバルビット線GBLLとグローバルビット線GBLRとが1組のグローバルビット線対をなす。以下、ビット線対(BLL,BLR)、グローバルビット線対(GBLL,GBLR)とも表す。
(コントローラ1405)
コントローラ1405は、DOSRAM1400の動作全般を制御する機能を有する。コントローラ1405は、外部から入力されるコマンド信号を論理演算して、動作モードを決定する機能、決定した動作モードが実行されるように、行回路1410、列回路1415の制御信号を生成する機能、外部から入力されるアドレス信号を保持する機能、内部アドレス信号を生成する機能を有する。
(行回路1410)
行回路1410は、MC-SAアレイ1420を駆動する機能を有する。デコーダ1411はアドレス信号をデコードする機能を有する。ワード線ドライバ回路1412は、アクセス対象行のワード線WLを選択する選択信号を生成する。
列セレクタ1413、センスアンプドライバ回路1414はセンスアンプアレイ1423を駆動するための回路である。列セレクタ1413は、アクセス対象列のビット線を選択するための選択信号を生成する機能をもつ。列セレクタ1413の選択信号によって、各ローカルセンスアンプアレイ1426のスイッチアレイ1444が制御される。センスアンプドライバ回路1414の制御信号によって、複数のローカルセンスアンプアレイ1426は独立して駆動される。
(列回路1415)
列回路1415は、データ信号WDA[31:0]の入力を制御する機能、データ信号RDA[31:0]の出力を制御する機能を有する。データ信号WDA[31:0]は書き込みデータ信号であり、データ信号RDA[31:0]は読み出しデータ信号である。
グローバルセンスアンプ1447はグローバルビット線対(GBLL,GBLR)に電気的に接続されている。グローバルセンスアンプ1447はグローバルビット線対(GBLL,GBLR)間の電圧差を増幅する機能、この電圧差を保持する機能を有する。グローバルビット線対(GBLL,GBLR)へのデータの書き込み、および読み出しは、入出力回路1417によって行われる。
DOSRAM1400の書き込み動作の概要を説明する。入出力回路1417によって、データがグローバルビット線対に書き込まれる。グローバルビット線対のデータは、グローバルセンスアンプアレイ1416によって保持される。アドレス信号が指定するローカルセンスアンプアレイ1426のスイッチアレイ1444によって、グローバルビット線対のデータが、対象列のビット線対に書き込まれる。ローカルセンスアンプアレイ1426は、書き込まれたデータを増幅し、保持する。指定されたローカルメモリセルアレイ1425において、行回路1410によって、対象行のワード線WLが選択され、選択行のメモリセル1445にローカルセンスアンプアレイ1426の保持データが書き込まれる。
DOSRAM1400の読み出し動作の概要を説明する。アドレス信号によって、ローカルメモリセルアレイ1425の1行が指定される。指定されたローカルメモリセルアレイ1425において、対象行のワード線WLが選択状態となり、メモリセル1445のデータがビット線に書き込まれる。ローカルセンスアンプアレイ1426によって、各列のビット線対の電圧差がデータとして検出され、かつ保持される。スイッチアレイ1444によって、ローカルセンスアンプアレイ1426の保持データの内、アドレス信号が指定する列のデータが、グローバルビット線対に書き込まれる。グローバルセンスアンプアレイ1416は、グローバルビット線対のデータを検出し、保持する。グローバルセンスアンプアレイ1416の保持データは入出力回路1417に出力される。以上で、読み出し動作が完了する。
容量素子CS1の充放電によってデータを書き換えるため、DOSRAM1400には原理的には書き換え回数に制約はなく、かつ、低エネルギーで、データの書き込みおよび読み出しが可能である。また、メモリセル1445の回路構成が単純であるため、大容量化が容易である。
トランジスタMW1はOSトランジスタである。OSトランジスタはオフ電流が極めて小さいため、容量素子CS1から電荷がリークすることを抑えることができる。したがって、DOSRAM1400の保持時間はDRAMに比べて非常に長い。したがってリフレッシュの頻度を低減できるため、リフレッシュ動作に要する電力を削減できる。よって、DOSRAM1400は大容量のデータを高頻度で書き換えるメモリ装置、例えば、画像処理に利用されるフレームメモリに好適である。
MC-SAアレイ1420が積層構造であることよって、ローカルセンスアンプアレイ1426の長さと同程度の長さにビット線を短くすることができる。ビット線を短くすることで、ビット線容量が小さくなり、メモリセル1445の保持容量を低減することができる。また、ローカルセンスアンプアレイ1426にスイッチアレイ1444を設けることで、長いビット線の本数を減らすことができる。以上の理由から、DOSRAM1400のアクセス時に駆動する負荷が低減され、消費電力を低減することができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、図41から図44を用いて、本発明の一態様に係る、OSトランジスタ、および容量素子が適用されている半導体装置の一例として、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)について説明する。本実施の形態のFPGAは、コンフィギュレーションメモリ、およびレジスタにOSメモリが適用されている。ここでは、このようなFPGAを「OS-FPGA」と呼ぶ。
<<OS-FPGA>>
図41(A)にOS-FPGAの構成例を示す。図41(A)に示すOS-FPGA3110は、マルチコンテキスト構造によるコンテキスト切り替え、細粒度パワーゲーティング、NOFF(ノーマリオフ)コンピューティングが可能である。OS-FPGA3110は、コントローラ3111、ワードドライバ3112、データドライバ3113、プログラマブルエリア3115を有する。
プログラマブルエリア3115は、2個の入出力ブロック(IOB)3117、コア3119を有する。IOB3117は複数のプログラマブル入出力回路を有する。コア3119は、複数のロジックアレイブロック(LAB)3120、複数のスイッチアレイブロック(SAB)3130を有する。LAB3120は複数のプログラマブルロジックエレメント(PLE)3121を有する。図41(B)には、LAB3120を5個のPLE3121で構成する例を示す。図41(C)に示すようにSAB3130はアレイ状に配列された複数のスイッチブロック(SB)3131を有する。LAB3120は自身の入力端子と、SAB3130を介して4(上下左右)方向のLAB3120に接続される。
図42(A)乃至図42(C)を参照して、SB3131について説明する。図42(A)に示すSB3131には、data、datab、信号context[1:0]、word[1:0]が入力される。data、databはコンフィギュレーションデータであり、dataとdatabは論理が相補的な関係にある。OS-FPGA3110のコンテキスト数は2であり、信号context[1:0]はコンテキスト選択信号である。信号word[1:0]はワード線選択信号であり、信号word[1:0]が入力される配線がそれぞれワード線である。
SB3131は、PRS(プログラマブルルーティングスイッチ)3133[0]、3133[1]を有する。PRS3133[0]、3133[1]は、相補データを格納できるコンフィギュレーションメモリ(CM)を有する。なお、PRS3133[0]とPRS3133[1]とを区別しない場合、PRS3133と呼ぶ。他の要素についても同様である。
図42(B)にPRS3133[0]の回路構成例を示す。PRS3133[0]とPRS3133[1]とは同じ回路構成を有する。PRS3133[0]とPRS3133[1]とは入力されるコンテキスト選択信号、ワード線選択信号が異なる。信号context[0]、word[0]はPRS3133[0]に入力され、信号context[1]、word[1]はPRS3133[1]に入力される。例えば、SB3131において、信号context[0]が“H”になることで、PRS3133[0]がアクティブになる。
PRS3133[0]は、CM3135、SiトランジスタM31を有する。SiトランジスタM31は、CM3135により制御されるパストランジスタである。CM3135は、メモリ回路3137、3137Bを有する。メモリ回路3137、3137Bは同じ回路構成である。メモリ回路3137は、容量素子C31、OSトランジスタMO31、MO32を有する。メモリ回路3137Bは、容量素子CB31、OSトランジスタMOB31、MOB32を有する。
上記実施の形態に示す半導体装置をSAB3130に用いる場合、OSトランジスタMO31、MOB31としてトランジスタ200を用い、容量素子C31、CB31として容量素子100を用いることができる。これにより、トランジスタと容量素子一組当たりの上面視における占有面積を低減することができるので、本実施の形態に係る半導体装置を高集積化させることができる。
OSトランジスタMO31、MO32、MOB31、MOB32はバックゲートを有し、これらバックゲートはそれぞれ固定電圧を供給する電源線に電気的に接続されている。
SiトランジスタM31のゲートがノードN31であり、OSトランジスタMO32のゲートがノードN32であり、OSトランジスタMOB32のゲートがノードNB32である。ノードN32、NB32はCM3135の電荷保持ノードである。OSトランジスタMO32はノードN31と信号context[0]用の信号線との間の導通状態を制御する。OSトランジスタMOB32はノードN31と低電位電源線VSSとの間の導通状態を制御する。
メモリ回路3137、3137Bが保持するデータは相補的な関係にある。したがって、OSトランジスタMO32またはMOB32の何れか一方が導通する。
図42(C)を参照して、PRS3133[0]の動作例を説明する。PRS3133[0]にコンフィギュレーションデータが既に書き込まれており、PRS3133[0]のノードN32は“H”であり、ノードNB32は“L”である。
信号context[0]が“L”である間はPRS3133[0]は非アクティブである。この期間に、PRS3133[0]の入力端子(input)が“H”に遷移しても、SiトランジスタM31のゲートは“L”が維持され、PRS3133[0]の出力端子(output)も“L”が維持される。
信号context[0]が“H”である間はPRS3133[0]はアクティブである。信号context[0]が“H”に遷移すると、CM3135が記憶するコンフィギュレーションデータによって、SiトランジスタM31のゲートは“H”に遷移する。
PRS3133[0]がアクティブである期間に、入力端子が“H”に遷移すると、メモリ回路3137のOSトランジスタMO32がソースフォロアであるために、ブースティングによってSiトランジスタM31のゲート電圧は上昇する。その結果、メモリ回路3137のOSトランジスタMO32は駆動能力を失い、SiトランジスタM31のゲートは浮遊状態となる。
マルチコンテキスト機能を備えるPRS3133において、CM3135はマルチプレクサの機能を併せ持つ。
図43にPLE3121の構成例を示す。PLE3121はルックアップテーブルブロック(LUT block)3123、レジスタブロック3124、セレクタ3125、CM3126を有する。LUTブロック3123は、入力inA-inDに従って内部の16ビットCM対の出力outをマルチプレクスする構成である。セレクタ3125は、CM3126が格納するコンフィギュレーションに従って、LUTブロック3123の出力またはレジスタブロック3124の出力を選択する。
PLE3121は、パワースイッチ3127を介して電圧VDD用の電源線に電気的に接続されている。パワースイッチ3127のオンオフは、CM3128が格納するコンフィギュレーションデータによって設定される。各PLE3121にパワースイッチ3127を設けることで、細粒度パワーゲーティングが可能である。細粒度パワーゲーティング機能により、コンテキストの切り替え後に使用されないPLE3121をパワーゲーティングすることができるので、待機電力を効果的に低減できる。
NOFFコンピューティングを実現するため、レジスタブロック3124は、不揮発性レジスタで構成される。PLE3121内の不揮発性レジスタはOSメモリを備えるフリップフロップ(以下[OS-FF]と呼ぶ)である。
レジスタブロック3124は、OS-FF3140[1]3140[2]を有する。信号user_res、load、storeがOS-FF3140[1]、3140[2]に入力される。クロック信号CLK1はOS-FF3140[1]に入力され、クロック信号CLK2はOS-FF3140[2]に入力される。図44(A)にOS-FF3140の構成例を示す。
OS-FF3140は、FF3141、シャドウレジスタ3142を有する。FF3141は、ノードCK、R、D、Q、QBを有する。ノードCKにはクロック信号が入力される。ノードRには信号user_resが入力される。信号user_resはリセット信号である。ノードDはデータ入力ノードであり、ノードQはデータ出力ノードである。ノードQとノードQBとは論理が相補関係にある。
シャドウレジスタ3142は、FF3141のバックアップ回路として機能する。シャドウレジスタ3142は、信号storeに従いノードQ、QBのデータをそれぞれバックアップし、また、信号loadに従い、バックアップしたデータをノードQ、QBに書き戻す。
シャドウレジスタ3142は、インバータ回路3188、3189、SiトランジスタM37、MB37、メモリ回路3143、3143Bを有する。メモリ回路3143、3143Bは、PRS3133のメモリ回路3137と同じ回路構成である。メモリ回路3143は容量素子C36、OSトランジスタMO35、MO36を有する。メモリ回路3143Bは容量素子CB36、OSトランジスタMOB35、OSトランジスタMOB36を有する。ノードN36、NB36はOSトランジスタMO36、OSトランジスタMOB36のゲートであり、それぞれ電荷保持ノードである。ノードN37、NB37は、SiトランジスタM37、MB37のゲートである。
上記実施の形態に示す半導体装置をLAB3120に用いる場合、OSトランジスタMO35、MOB35としてトランジスタ200を用い、容量素子C36、CB36として容量素子100を用いることができる。これにより、トランジスタと容量素子一組当たりの上面視における占有面積を低減することができるので、本実施の形態に係る半導体装置を高集積化させることができる。
OSトランジスタMO35、MO36、MOB35、MOB36はバックゲートを有し、これらバックゲートはそれぞれ固定電圧を供給する電源線に電気的に接続されている。
図44(B)を参照して、OS-FF3140の動作方法例を説明する。
(バックアップ(Backup))
“H”の信号storeがOS-FF3140に入力されると、シャドウレジスタ3142はFF3141のデータをバックアップする。ノードN36は、ノードQのデータが書き込まれることで、“L”となり、ノードNB36は、ノードQBのデータが書き込まれることで、“H”となる。しかる後、パワーゲーティングが実行され、パワースイッチ3127をオフにする。FF3141のノードQ、QBのデータは消失するが、電源オフであっても、シャドウレジスタ3142はバックアップしたデータを保持する。
(リカバリ(Recovery))
パワースイッチ3127をオンにし、PLE3121に電源を供給する。しかる後、“H”の信号loadがOS-FF3140に入力されると、シャドウレジスタ3142はバックアップしているデータをFF3141に書き戻す。ノードN36は“L”であるので、ノードN37は“L”が維持され、ノードNB36は“H”であるので、ノードNB37は“H”となる。よって、ノードQは“H”になり、ノードQBは“L”になる。つまり、OS-FF3140はバックアップ動作時の状態に復帰する。
細粒度パワーゲーティングと、OS-FF3140のバックアップ/リカバリ動作とを組み合わせることで、OS-FPGA3110の消費電力を効果的に低減できる。
メモリ回路において発生しうるエラーとして放射線の入射によるソフトエラーが挙げられる。ソフトエラーは、メモリやパッケージを構成する材料などから放出されるα線や、宇宙から大気に入射した一次宇宙線が大気中に存在する原子の原子核と核反応を起こすことにより発生する二次宇宙線中性子などがトランジスタに照射され、電子正孔対が生成されることにより、メモリに保持されたデータが反転するなどの誤作動が生じる現象である。OSトランジスタを用いたOSメモリはソフトエラー耐性が高い。そのため、OSメモリを搭載することで、信頼性の高いOS-FPGA3110を提供することができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、図45を用いて、上記実施の形態に示す半導体装置を適用した、AIシステムについて説明を行う。
図45はAIシステム4041の構成例を示すブロック図である。AIシステム4041は、演算部4010と、制御部4020と、入出力部4030を有する。
演算部4010は、アナログ演算回路4011と、DOSRAM4012と、NOSRAM4013と、FPGA4014と、を有する。DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014として、上記実施の形態に示す、DOSRAM1400、NOSRAM1600、およびOS-FPGA3110を用いることができる。
制御部4020は、CPU(Central Processing Unit)4021と、GPU(Graphics Processing Unit)4022と、PLL(Phase Locked Loop)4023と、SRAM(Static Random Access Memory)4024と、PROM(Programmable Read Only Memory)4025と、メモリコントローラ4026と、電源回路4027と、PMU(Power Management Unit)4028と、を有する。
入出力部4030は、外部記憶制御回路4031と、音声コーデック4032と、映像コーデック4033と、汎用入出力モジュール4034と、通信モジュール4035と、を有する。
演算部4010は、ニューラルネットワークによる学習または推論を実行することができる。
アナログ演算回路4011はA/D(アナログ/デジタル)変換回路、D/A(デジタル/アナログ)変換回路、および積和演算回路を有する。
アナログ演算回路4011はOSトランジスタを用いて形成することが好ましい。OSトランジスタを用いたアナログ演算回路4011は、アナログメモリを有し、学習または推論に必要な積和演算を、低消費電力で実行することが可能になる。
DOSRAM4012は、OSトランジスタを用いて形成されたDRAMであり、CPU4021から送られてくるデジタルデータを一時的に格納するメモリである。DOSRAM4012は、OSトランジスタを含むメモリセルと、Siトランジスタを含む読み出し回路部を有する。上記メモリセルと読み出し回路部は、積層された異なる層に設けることができるため、DOSRAM4012は、全体の回路面積を小さくすることができる。
ニューラルネットワークを用いた計算は、入力データが1000を超えることがある。上記入力データをSRAMに格納する場合、SRAMは回路面積に制限があり、記憶容量が小さいため、上記入力データを小分けにして格納せざるを得ない。DOSRAM4012は、限られた回路面積でも、メモリセルを高集積に配置することが可能であり、SRAMに比べて記憶容量が大きい。そのため、DOSRAM4012は、上記入力データを効率よく格納することができる。
NOSRAM4013はOSトランジスタを用いた不揮発性メモリである。NOSRAM4013は、フラッシュメモリや、ReRAM(Resistive Random Access Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの他の不揮発性メモリと比べて、データを書き込む際の消費電力が小さい。また、フラッシュメモリやReRAMのように、データを書き込む際に素子が劣化することもなく、データの書き込み可能回数に制限が無い。
また、NOSRAM4013は、1ビットの2値データの他に、2ビット以上の多値データを記憶することができる。NOSRAM4013は多値データを記憶することで、1ビット当たりのメモリセル面積を小さくすることができる。
また、NOSRAM4013は、デジタルデータの他にアナログデータを記憶することができる。そのため、アナログ演算回路4011は、NOSRAM4013をアナログメモリとして用いることもできる。NOSRAM4013は、アナログデータのまま記憶することができるため、D/A変換回路やA/D変換回路が不要である。そのため、NOSRAM4013は周辺回路の面積を小さくすることができる。なお、本明細書においてアナログデータとは、3ビット(8値)以上分解能を有するデータのことを指す。上述した多値データがアナログデータに含まれる場合もある。
ニューラルネットワークの計算に用いられるデータやパラメータは、一旦、NOSRAM4013に格納することができる。上記データやパラメータは、CPU4021を介して、AIシステム4041の外部に設けられたメモリに格納してもよいが、内部に設けられたNOSRAM4013の方が、より高速かつ低消費電力に上記データやパラメータを格納することができる。また、NOSRAM4013は、DOSRAM4012よりもビット線を長くすることができるので、記憶容量を大きくすることができる。
FPGA4014は、OSトランジスタを用いたFPGAである。AIシステム4041は、FPGA4014を用いることによって、ハードウェアで後述する、ディープニューラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深層信念ネットワーク(DBN)などの、ニューラルネットワークの接続を構成することができる。上記のニューラルネットワークの接続をハードウェアで構成することで、より高速に、プログラムを実行することができる。
FPGA4014はOSトランジスタを有するFPGAである。OS-FPGAは、SRAMで構成されるFPGAよりもメモリの面積を小さくすることができる。そのため、コンテキスト切り替え機能を追加しても面積増加が少ない。また、OS-FPGAはブースティングによりデータやパラメータを高速に伝えることができる。
AIシステム4041は、アナログ演算回路4011、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014を1つのダイ(チップ)の上に設けることができる。そのため、AIシステム4041は、高速かつ低消費電力に、ニューラルネットワークの計算を実行することができる。また、アナログ演算回路4011、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014は、同じ製造プロセスで作製することができる。そのため、AIシステム4041は、低コストで作製することができる。
なお、演算部4010は、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014を、全て有する必要はない。AIシステム4041が解決したい課題に応じて、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014の一または複数を、選択して設ければよい。
AIシステム4041は、解決したい課題に応じて、ディープニューラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深層信念ネットワーク(DBN)などの手法を実行することができる。PROM4025は、これらの手法の少なくとも1つを実行するためのプログラムを保存することができる。また、当該プログラムの一部または全てを、NOSRAM4013に保存してもよい。
ライブラリとして存在する既存のプログラムは、GPUの処理を前提としているものが多い。そのため、AIシステム4041はGPU4022を有することが好ましい。AIシステム4041は、学習と推論で用いられる積和演算のうち、律速となる積和演算を演算部4010で実行し、それ以外の積和演算をGPU4022で実行することができる。そうすることで、学習と推論を高速に実行することができる。
電源回路4027は、論理回路用の低電源電位を生成するだけではなく、アナログ演算のための電位生成も行う。電源回路4027はOSメモリを用いてもよい。電源回路4027は、基準電位をOSメモリに保存することで、消費電力を下げることができる。
PMU4028は、AIシステム4041の電力供給を一時的にオフにする機能を有する。
CPU4021およびGPU4022は、レジスタとしてOSメモリを有することが好ましい。CPU4021およびGPU4022はOSメモリを有することで、電力供給がオフになっても、OSメモリ中にデータ(論理値)を保持し続けることができる。その結果、AIシステム4041は、電力を節約することができる。
PLL4023は、クロックを生成する機能を有する。AIシステム4041は、PLL4023が生成したクロックを基準に動作を行う。PLL4023はOSメモリを有することが好ましい。PLL4023はOSメモリを有することで、クロックの発振周期を制御するアナログ電位を保持することができる。
AIシステム4041は、DRAMなどの外部メモリにデータを保存してもよい。そのため、AIシステム4041は、外部のDRAMとのインターフェースとして機能するメモリコントローラ4026を有することが好ましい。また、メモリコントローラ4026は、CPU4021またはGPU4022の近くに配置することが好ましい。そうすることで、データのやり取りを高速に行うことができる。
制御部4020に示す回路の一部または全ては、演算部4010と同じダイの上に形成することができる。そうすることで、AIシステム4041は、高速かつ低消費電力に、ニューラルネットワークの計算を実行することができる。
ニューラルネットワークの計算に用いられるデータは外部記憶装置(HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)など)に保存される場合が多い。そのため、AIシステム4041は、外部記憶装置とのインターフェースとして機能する外部記憶制御回路4031を有することが好ましい。
ニューラルネットワークを用いた学習と推論は、音声や映像を扱うことが多いので、AIシステム4041は音声コーデック4032および映像コーデック4033を有する。音声コーデック4032は、音声データのエンコード(符号化)およびデコード(復号)を行い、映像コーデック4033は、映像データのエンコードおよびデコードを行う。
AIシステム4041は、外部センサから得られたデータを用いて学習または推論を行うことができる。そのため、AIシステム4041は汎用入出力モジュール4034を有する。汎用入出力モジュール4034は、例えば、USB(Universal Serial Bus)やI2C(Inter-Integrated Circuit)などを含む。
AIシステム4041は、インターネットを経由して得られたデータを用いて学習または推論を行うことができる。そのため、AIシステム4041は、通信モジュール4035を有することが好ましい。
アナログ演算回路4011は、多値のフラッシュメモリをアナログメモリとして用いてもよい。しかし、フラッシュメモリは書き換え可能回数に制限がある。また、多値のフラッシュメモリは、エンベディッドで形成する(演算回路とメモリを同じダイの上に形成する)ことが非常に難しい。
また、アナログ演算回路4011は、ReRAMをアナログメモリとして用いてもよい。しかし、ReRAMは書き換え可能回数に制限があり、記憶精度の点でも問題がある。さらに、2端子でなる素子であるため、データの書き込みと読み出しを分ける回路設計が複雑になる。
また、アナログ演算回路4011は、MRAMをアナログメモリとして用いてもよい。しかし、MRAMは抵抗変化率が低く、記憶精度の点で問題がある。
以上を鑑み、アナログ演算回路4011は、OSメモリをアナログメモリとして用いることが好ましい。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態10)
<AIシステムの応用例>
本実施の形態では、上記実施の形態に示すAIシステムの応用例について図46を用いて説明を行う。
図46(A)は、図45で説明したAIシステム4041を並列に配置し、バス線を介してシステム間での信号の送受信を可能にした、AIシステム4041Aである。
図46(A)に図示するAIシステム4041Aは、複数のAIシステム4041_1乃至AIシステム4041_n(nは自然数)を有する。AIシステム4041_1乃至AIシステム4041_nは、バス線4098を介して互いに接続されている。
また図46(B)は、図42で説明したAIシステム4041を図43(A)と同様に並列に配置し、ネットワークを介してシステム間での信号の送受信を可能にした、AIシステム4041Bである。
図46(B)に図示するAIシステム4041Bは、複数のAIシステム4041_1乃至AIシステム4041_nを有する。AIシステム4041_1乃至AIシステム4041_nは、ネットワーク4099を介して互いに接続されている。
ネットワーク4099は、AIシステム4041_1乃至AIシステム4041_nのそれぞれに通信モジュールを設け、無線または有線による通信を行う構成とすればよい。通信モジュールは、アンテナを介して通信を行うことができる。例えばWorld Wide Web(WWW)の基盤であるインターネット、イントラネット、エクストラネット、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local Area Network)、CAN(Campus Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Area Network)、GAN(Global Area Network)等のコンピュータネットワークに各電子装置を接続させ、通信を行うことができる。無線通信を行う場合、通信プロトコルまたは通信技術として、LTE(Long Term Evolution)、GSM(Global System for Mobile Communication:登録商標)、EDGE(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)、CDMA2000(Code Division Multiple Access 2000)、W-CDMA(登録商標)などの通信規格、またはWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等のIEEEにより通信規格化された仕様を用いることができる。
図46(A)、(B)の構成とすることで、外部のセンサ等で得られたアナログ信号を別々のAIシステムで処理することができる。例えば、生体情報のように、脳波、脈拍、血圧、体温等といった情報を脳波センサ、脈波センサ、血圧センサ、温度センサといった各種センサで取得し、別々のAIシステムでアナログ信号を処理することができる。別々のAIシステムのそれぞれで信号の処理、または学習を行うことで一つのAIシステムあたりの情報処理量を少なくできる。そのため、より少ない演算量で信号の処理、または学習を行うことができる。その結果、認識精度を高めることができる。それぞれのAIシステムで得られた情報から、複雑に変化する生体情報の変化を瞬時に統合的に把握することができるといったことが期待できる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態11)
本実施の形態は、上記実施の形態に示すAIシステムが組み込まれたICの一例を示す。
上記実施の形態に示すAIシステムは、CPU等のSiトランジスタでなるデジタル処理回路と、OSトランジスタを用いたアナログ演算回路、OS-FPGAおよびDOSRAM、NOSRAM等のOSメモリを、1のダイに集積することができる。
図47に、AIシステムを組み込んだICの一例を示す。図47に示すAIシステムIC7000は、リード7001および回路部7003を有する。AIシステムIC7000は、例えばプリント基板7002に実装される。このようなICチップが複数組み合わされて、それぞれがプリント基板7002上で電気的に接続されることで電子部品が実装された基板(実装基板7004)が完成する。回路部7003には、上記実施の形態で示した各種の回路が1のダイに設けられている。回路部7003は、先の実施の形態で図21に示すように、積層構造をもち、Siトランジスタ層7031、配線層7032、OSトランジスタ層7033に大別される。OSトランジスタ層7033をSiトランジスタ層7031に積層して設けることができるため、AIシステムIC7000の小型化が容易である。
図47では、AIシステムIC7000のパッケージにQFP(Quad Flat Package)を適用しているが、パッケージの態様はこれに限定されない。
CPU等のデジタル処理回路と、OSトランジスタを用いたアナログ演算回路、OS-FPGAおよびDOSRAM、NOSRAM等のOSメモリは、全て、Siトランジスタ層7031、配線層7032およびOSトランジスタ層7033に形成することができる。すなわち、上記AIシステムを構成する素子は、同一の製造プロセスで形成することが可能である。そのため、本実施の形態に示すICは、構成する素子が増えても製造プロセスを増やす必要がなく、上記AIシステムを低コストで組み込むことができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態12)
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置は、様々な電子機器に用いることができる。図48に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いた電子機器の具体例を示す。
図48(A)は、自動車の一例を示す外観図である。自動車2980は、車体2981、車輪2982、ダッシュボード2983、およびライト2984等を有する。また、自動車2980は、アンテナ、バッテリなどを備える。
図48(B)に示す情報端末2910は、筐体2911、表示部2912、マイク2917、スピーカ部2914、カメラ2913、外部接続部2916、および操作スイッチ2915等を有する。表示部2912には、可撓性基板が用いられた表示パネルおよびタッチスクリーンを備える。また、情報端末2910は、筐体2911の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。情報端末2910は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット型情報端末、タブレット型パーソナルコンピュータ、電子書籍端末等として用いることができる。
図48(C)に示すノート型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921、表示部2922、キーボード2923、およびポインティングデバイス2924等を有する。また、ノート型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。
図48(D)に示すビデオカメラ2940は、筐体2941、筐体2942、表示部2943、操作スイッチ2944、レンズ2945、および接続部2946等を有する。操作スイッチ2944およびレンズ2945は筐体2941に設けられており、表示部2943は筐体2942に設けられている。また、ビデオカメラ2940は、筐体2941の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。そして、筐体2941と筐体2942は、接続部2946により接続されており、筐体2941と筐体2942の間の角度は、接続部2946により変えることが可能な構造となっている。筐体2941に対する筐体2942の角度によって、表示部2943に表示される画像の向きの変更や、画像の表示/非表示の切り換えを行うことができる。
図48(E)にバングル型の情報端末の一例を示す。情報端末2950は、筐体2951、および表示部2952等を有する。また、情報端末2950は、筐体2951の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。表示部2952は、曲面を有する筐体2951に支持されている。表示部2952には、可撓性基板を用いた表示パネルを備えているため、フレキシブルかつ軽くて使い勝手の良い情報端末2950を提供することができる。
図48(F)に腕時計型の情報端末の一例を示す。情報端末2960は、筐体2961、表示部2962、バンド2963、バックル2964、操作スイッチ2965、入出力端子2966などを備える。また、情報端末2960は、筐体2961の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。情報端末2960は、移動電話、電子メール、文章閲覧および作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
表示部2962の表示面は湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示部2962はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部2962に表示されたアイコン2967に触れることで、アプリケーションを起動することができる。操作スイッチ2965は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行および解除、省電力モードの実行および解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、情報端末2960に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作スイッチ2965の機能を設定することもできる。
また、情報端末2960は、通信規格に基づく近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、情報端末2960は入出力端子2966を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子2966を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子2966を介さずに無線給電により行ってもよい。
例えば、本発明の一態様の半導体装置を用いた記憶装置は、上述した電子機器の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。本発明の一態様に係る半導体装置を用いることで、信頼性の高い電子機器を実現することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態や実施例などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、本発明の一態様に係るトランジスタ200の構成が、実際に作製可能であるかどうか確認を行った。具体的には、上述した<半導体装置の作製方法>(図3乃至図13)のうち、絶縁体220の成膜から絶縁体275の形成(または、その後の絶縁体272の形成)に至るまでの工程を行った試料を準備し、当該試料の断面観察を行うことで、上記確認を行った。
<試料の構成と作製方法>
本実施例で準備した試料は、図1で示す構成を有するトランジスタを想定した試料と、図14で示す構成を有するトランジスタを想定した試料の2種類である。以下では、本実施例で準備した試料の構成と作製方法について説明する。なお、以下で説明する内容は、明示してある場合を除き、本実施例で準備した上記2種類の試料とも共通である。
試料を作製するための基板には、シリコン基板を用いた。当該シリコン基板上には熱酸化膜を400nm、さらにその上にスパッタリング法によって酸化アルミニウムを40nm成膜した。
絶縁体220は、上記基板上に成膜した。絶縁体220として、CVD法によって酸化シリコンを150nm成膜した。
絶縁体220上の絶縁体222は、ALD法によって酸化アルミニウムを20nm成膜した。
絶縁体222上の絶縁体224は、CVD法によって酸化シリコンを30nm成膜した。
酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、及び酸化物230c)は、まず、酸化物230aと酸化物230bを、絶縁体224上にIn:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いたスパッタリング法によって5nm、さらにその上にIn:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]のターゲットを用いたスパッタリング法によって20nm成膜(酸化膜230A、酸化膜230B)した後、ドライエッチング処理を行うことで形成した。
次に、酸化物230b上の酸化物230cは、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いたスパッタリング法によって5nm成膜(酸化膜230C)した後、ドライエッチング処理を行うことで形成した。
酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230c)上の絶縁体250は、CVD法によって5nm成膜した酸化窒化シリコン(絶縁膜250A)を、ドライエッチング処理することで形成した。
絶縁体250上の絶縁体252は、スパッタリング法によって5nm成膜した酸化アルミニウム(絶縁膜252A)を、ドライエッチング処理することで形成した。
絶縁体252上の導電体260(導電体260a、導電体260b)は、スパッタリング法によって10nm成膜した窒化チタン(導電膜260A)と、その上にスパッタリング法によって30nm成膜したタングステン(導電膜260B)を、ドライエッチング処理することで形成した。
導電体260上の絶縁体270は、ALD法によって7nm成膜した酸化アルミニウム(絶縁膜270A)を、ドライエッチング処理することで形成した。
絶縁体270上の絶縁体271は、CVD法によって100nm成膜した酸化シリコン(絶縁膜271A)を、ドライエッチング処理することで形成した。
なお、<半導体装置の作製方法>で説明したように、上述の絶縁体250、絶縁体252、導電体260(導電体260a、導電体260b)、絶縁体270、および絶縁体271を形成するためのドライエッチング処理は、絶縁膜250A、導電膜260A、導電膜260B、絶縁膜270A、及び絶縁膜271Aを順次成膜した後に行った。
絶縁体222の上面、絶縁体224の側面、酸化物230cの側面、酸化物230cの上面、絶縁体250の側面、絶縁体252の側面、導電体260の側面、絶縁体270の側面、および絶縁体271の上面と接する絶縁体273(図1参照)は、ALD法によって5nm成膜した酸化アルミニウム(絶縁膜273A)を、ドライエッチング処理することで形成した。また、酸化物230cの上面、絶縁体250の側面、絶縁体252の側面、導電体260の側面、絶縁体270の側面、および絶縁体271の上面と接する絶縁体272(図14参照)は、ALD法によって5nm酸化アルミニウム(絶縁膜272A)をドライエッチング処理することで形成した。
絶縁体273、または絶縁体272上の絶縁体275は、CVD法によって50nm成膜した酸化シリコン(絶縁膜275A)を、ドライエッチング処理することで形成した。
なお、<半導体装置の作製方法>で説明したように、上述の絶縁体273(または絶縁体272)、および絶縁体275を形成するためのドライエッチング処理は、絶縁膜273A(または絶縁膜272A)、および絶縁膜275Aを順次成膜した後に行った。
以上が、本実施例で準備した試料の構成と作製方法である。
<試料の断面観察>
上述のようにして準備した試料の断面観察結果を図49に示す。図49(A)は、図1で示す構成を有するトランジスタを想定した試料の断面、図49(B)は、図14で示す構成を有するトランジスタを想定した試料の断面である。なお、本実施例で観察を行った断面は、図1および図14においてA1-A2の一点鎖線で示す部位、すなわちトランジスタ200のチャネル長方向に該当する部位の一部である。
図49に示す各試料の断面図は、走査透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)により取得した明視野像(以下、TEM画像ともいう)である。当該TEM画像の取得には、日立ハイテクノロジーズ社製走査透過電子顕微鏡HD-2700を用い、画像取得時の加速電圧は200kV、ビーム径は約0.4nmφとした。
実施の形態1で説明したように、図1に示すトランジスタが絶縁体273を有するのに対し、図14に示すトランジスタは、絶縁体273の代りに、サイドバリアとしての機能を有する絶縁体272を有する点が異なる。形状的には、絶縁体273が酸化物230の両端よりも外側まで設けられている(図1(B)参照)のに対し、絶縁体272は絶縁体275の底面の外側には設けられていない(図14(B)参照)という違いを有する。図49(A)より、本実施例で準備した試料は、絶縁体273が酸化物230の端部よりも外側の領域まで残存しており、図1(B)に示すトランジスタの断面形状と概ね対応する加工形状が得られていることを確認した。また、図49(B)より、本実施例で準備したもう一つの試料は、絶縁体272が絶縁体275の底面端部と重なる箇所で加工されており、図14(B)に示すトランジスタの断面形状と概ね対応する加工形状が得られていることを確認した。
以上のように、本実施例により、本発明の一態様に係るトランジスタ200の構成が、実際に作製可能であることを確認した。
以上、本実施例に示す構成は、他の実施例または他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。