JP7086594B2 - 飲料の香味改善組成物およびその製造方法 - Google Patents

飲料の香味改善組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、飲料の香味改善組成物およびその製造方法に関する。
果汁入り飲料は、その豊かな果汁等の香味成分から、従来嗜好されてきた飲料である。今日、消費者の嗜好の多様化に伴い、非アルコール飲料およびアルコール飲料のそれぞれについて、果汁等の香味成分を添加して製造する様々な飲料が製造販売されている。
このような飲料において、飲料に果実の特有のフレッシュさやジューシーさを惹起する香味を付与するために、果実や果汁から抽出したエキスが用いられることがあるが、近年では、これに限定されない多様な嗜好性に対するニーズが高まっている。そのような問題を解決するための方法として、果実や果汁またはそれらのエキス等を開放系内で加熱濃縮することにより、濃い味わいを有する組成物を得る方法が知られている(例えば、特許文献1および2)。しかしながら、このような開放系内で加熱濃縮して得られた組成物においては、果実の特有のフレッシュさやジューシーさを惹起する香味成分が揮発して失われ、さらには苦みや渋みが増加し、その結果、組成物を飲料に過剰に添加した場合には飲みにくさの原因となるという問題があった。また、飲料の香味に関する需要者の好みは多種多様であり、さらに、時代とともに変化するものでもある。このような状況に鑑みれば、これまでとは異なる香味改善組成物へのニーズは依然として存在するものといえる。
特開2011-30517号公報 特開2017-51206号公報
本発明者らは、果実またはその加工物を、閉鎖系内において加熱還流することにより、飲料の香味を顕著に改善し得る組成物が得られることを見出した。本発明は、この知見に基づくものである。
従って、本発明は、果実またはその加工物を原料とする新規な香味改善組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)飲料の香味改善組成物を製造する方法であって、果実またはその加工物を、閉鎖系内において加熱還流する工程を含んでなる、方法。
(2)加熱還流が90~105℃の温度条件下で行われる、前記(1)に記載の方法。
(3)加熱還流が6~18時間行われる、前記(1)または(2)に記載の方法。
(4)前記加工物が、果実破砕物、果汁、果実抽出物および果実ピューレからなる群から選択される少なくとも一種である、前記(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記果実が柑橘類の果実である、前記(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記果実が、レモンおよびグレープフルーツからなる群から選択される少なくとも一種の果実である、前記(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(7)前記(1)~(6)のいずれかに記載の方法によって得られる、香味改善組成物。
(8)前記(7)に記載の香味改善組成物を含んでなる、飲料。
(9)アルコール飲料である、前記(8)に記載の飲料。
(10)非アルコール飲料である、前記(8)に記載の飲料。
(11)前記(7)に記載の香味改善組成物を原料に添加することを含んでなる、飲料の製造方法。
(12)前記(7)に記載の香味改善組成物を飲料に添加することを含んでなる、飲料の香味を改善する方法。
(13)前記(7)に記載の香味改善組成物を含んでなる、香味改善剤。
本発明によれば、飲料の後味の良さを維持しつつ、フルーティーさやコク味を顕著に増強することが可能となる。さらに、本発明の香味改善組成物は、ごく少量の飲料への添加によってこれらの効果を奏することができるため、多量に添加した場合の副作用としての悪影響を著しく低減できる点でも有利である。
図1は、アルコール飲料サンプル3および8の官能評価結果を示すグラフである。 図2は、アルコール飲料サンプル1~5および8の官能評価結果を示すグラフである。 図3は、アルコール飲料サンプル3、6および7の官能評価結果を示すグラフである。 図4は、アルコール飲料サンプル9~16の官能評価結果を示すグラフである。 図5は、非アルコール飲料サンプル1~3およびアルコール飲料サンプル3の官能評価結果を示すグラフである。
発明の具体的説明
本発明において「アルコール飲料」とは、酒税法上アルコール飲料とみなされる、アルコール度数1度以上の飲料を意味する。
本発明において「非アルコール飲料」とは、酒税法上アルコール飲料とみなされない、アルコール度数1度未満の飲料を意味する。「非アルコール飲料」のうち、アルコールが全く含まれない、すなわち、アルコール含量が0v/v%である飲料については特に「完全無アルコール飲料」と表現することができる。本発明における非アルコール飲料としては、例えば、チューハイ様飲料、カクテル様飲料、ワイン様飲料や、その他アルコール飲料との代替性がある飲料が挙げられる。さらに、本発明における非アルコール飲料には、果汁飲料や炭酸飲料等の清涼飲料や、茶飲料等も含まれる。
本発明において「後味の良さ」とは、飲んだ後に口中に残る苦味および渋み、キレの悪さの少なさを意味する。
本発明において「フルーティーさ」とは、果実やその加工物等の果実原料に由来するフレッシュさやジューシーさを惹起する香味や果実味を意味する。
本発明において「コク味」とは、果実風味の飲料に相性の良いコク、深い味わいを意味する。
本発明の香味改善組成物は、果実またはその加工物を、閉鎖系内において加熱還流することにより製造される。
本発明において、加熱還流処理は、煮沸部と冷却部とを有し、加熱によって気化した成分が冷却部で冷却されて液体となり煮沸部に還流される、閉鎖型の加熱還流装置を使用して行われる。そのような装置としては、特に制限されるものではなく、例えば、管およびリリーフバルブを備えた密閉蓋で封じられたステンレス製フラスコと、その上方に設置した冷却器とを備え、ステンレス製フラスコと冷却器とが密閉蓋に備えられた管で接続された装置が挙げられる。このような装置を用いて果実やその加工物の加熱還流処理を行う場合、ステンレス製フラスコ内で果実やその加工物が加熱され、蒸発した香味成分が管を通って冷却器に入り、冷却器内で冷却凝縮されてステンレス製フラスコ内に移動することにより香味成分が回収される。一つの実施態様によれば、冷却器においては、ブライン等を用いて、蒸発した香味成分が液化するまで(例えば、0℃まで)冷却が行われる。
閉鎖系内における加熱還流の温度条件は、好ましくは90~105℃とされ、より好ましくは90~104℃とされ、さらに好ましくは90~103℃とされる。また、還流時間は、好ましくは6~18時間とされる。
本発明において、加熱還流処理は、必要に応じて系内を加圧して行ってもよい。加える圧力としては、特に制限されるものではなく、好ましくは0~0.2MPaであり、より好ましくは0~0.1MPaであり、特に好ましくは0~0.05MPaである。加熱還流処理時に加圧する場合には、閉鎖系内のいずれかの場所、例えば、加熱還流装置にリリーフバルブを備えることが好ましい。
本発明において使用される果実としては、果実そのものだけではなく、果実に破砕、摩砕等の加工を施して得たものでもよいし、ペレット状にしたものでもよい。また、果実や果肉を絞って得られる果汁(ジュース)、果実抽出物および果実ピューレ等の加工物を使用してもよい。これらの果実および果実の加工物は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の好ましい実施態様では、果実を使用する場合には、その一部または全部を絞って果汁の状態にし、果実と果汁との混合物として加熱還流に供することができ、あるいは、果汁のみを加熱還流に供してもよい。
本発明における果実としては、例えば、レモン、グレープフルーツ、オレンジ、マンダリン、シークヮーサー、イヨカン、ブンタン、キンカン、ベルガモット、ライム、ユズ、スダチおよびカボス等の柑橘類、ならびにリンゴ、ナシ、ブドウ、ウメ、アンズ、パイナップル、バナナ、マンゴー、アセロラ、ザクロ、イチジク、ピーチ、イチゴ、メロン、キウイフルーツおよびチェリー等が挙げられる。これらのうち、好ましくは柑橘類の果実が使用され、より好ましくはレモン、グレープフルーツ、オレンジ、ライムが使用される。これらの果実は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
加熱還流処理が終わった後、得られる組成物を、必要に応じて濾過等の処理に供し、異物や夾雑物を除去し、本発明の香味改善組成物とすることができる。本発明の香味改善組成物には、保存安定性の観点から、食品としての安全性が確認された保存剤、例えば水やエタノールを添加して保存することができる。
本発明の香味改善組成物は、飲料に添加することによりその飲料の後味の良さを維持しつつ、フルーティーさやコク味を顕著に増強することができる。従って、本発明の別の態様によれば、本発明の香味改善組成物を含んでなる飲料が提供される。このような飲料は、飲料の原料に本発明の香味改善組成物を添加することにより製造することができる。本発明のさらに別の態様によれば、本発明の香味改善組成物を飲料に添加することを含んでなる、飲料の香味を改善する方法が提供される。
飲料における本発明の香味改善組成物の含有量(つまり添加量)は、特に制限されるものではなく、その飲料の種類や、所望の改善効果とその程度に応じて、当業者により適宜決定される。例えば、本発明の香味改善組成物は、後味の良さを維持しつつ、フルーティーさやコク味を顕著に増強する効果を有するので、果実風味の飲料に配合することが考えられる。当業者であれば、様々な濃度で本発明の香味改善組成物を含有する飲料のサンプルを実際に調製し、各サンプルについて所望の効果を確認することにより、その飲料に最適な香味改善組成物の量を見出すことができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、飲料における本発明の香味改善組成物の含有量・添加量は、特に制限されるものではなく、飲料に対する下限値としては、好ましくは0.005%であり、より好ましくは0.01%であり、飲料に対する上限値としては、好ましくは1.00%であり、より好ましくは0.50%である。
本発明における飲料は、アルコール飲料であっても、非アルコール飲料であってもよい。飲料のアルコール濃度は、特に制限されるものではないが、好ましくは0.0~20.0v/v%、より好ましくは0.0~10.0v/v%、さらに好ましくは0.0~9.0v/v%とすることができる。一つの実施態様によれば、飲料のアルコール濃度は5.0v/v%以上とされ、好ましくは5.0~20.0v/v%、より好ましくは5.0~10.0v/v%、さらに好ましくは5.0~9.0v/v%とされる。
本発明における飲料は、果汁を含有する飲料であってもよい。飲料における果汁の含有量としては、特に制限されるものではないが、好ましくは0~50.0w/w%であり、より好ましくは0~10.0w/w%であり、特に好ましくは0~5.0w/w%である。
本発明における飲料は、二酸化炭素(炭酸ガス)を圧入したもの、すなわち、炭酸飲料であってもよい。飲料における炭酸ガス圧としては、特に制限されるものではないが、20℃における圧力として0.1~0.4MPaであることが好ましい。
本発明における飲料のpHは、特に制限されるものではないが、好ましくは2.3~4.2に調整することができる。飲料のpHは市販のpHメーターを使用して容易に測定することができる。
本発明における飲料は、飲料の製造に用いられる他の成分を含んでもよい。このような他の成分として、例えば、甘味料(例えば、砂糖、ブドウ糖、果糖、オリゴ糖、異性化液糖、糖アルコール、高甘味度甘味料等)、酸味料(例えば、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、リン酸、フィチン酸、イタコン酸、フマル酸、グルコン酸、アジピン酸、酢酸、またはそれらの塩類等)、色素、食品添加剤(例えば、起泡・泡持ち向上剤、苦味料、保存料、酸化防止剤、増粘安定剤、乳化剤、食物繊維、pH調整剤等)等を適宜添加することができる。
本発明における飲料は、好ましくは容器詰め飲料として提供される。使用される容器は、飲料の充填に通常使用される容器であればよく、例えば、金属缶、樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル、カップ)、紙容器、瓶、パウチ容器等が挙げられるが、好ましくは金属缶・樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル)、または瓶とされる。
容器詰め飲料(アルコール飲料)の製造方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、タンク内で、アルコールを含有した水溶液に、果汁、糖または甘味料、酸味料、香料および本発明の香味改善組成物を混合し、混合物の香味を調整することにより製造される。必要に応じて、香味を調整した混合物に炭酸ガスを圧入して、炭酸飲料としてもよい。上述した原材料の使用の有無や、添加・混合する順序は特に限定されず、飲料の種類や、所望の改善効果とその程度に応じて、当業者により適宜決定される。
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、本発明の飲料は、炭酸ガス圧0.1~0.4MPa(20℃におけるガス圧)、アルコール濃度0~10v/v%、pH2.3~4.2、かつ、果汁0~50.0w/w%の容器詰め飲料であって、本発明の香味改善組成物を0.01~1w/v%の濃度で含むものとされる。
以下の実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:香味改善組成物の調製
閉鎖型加熱還流装置として、管およびリリーフバルブを備えた密閉蓋で封じられた1Lの容量のステンレス製フラスコと、その上方に設置した冷却器とを備え、ステンレス製フラスコと冷却器とが密閉蓋に備えられた管で接続された装置(閉鎖系)を使用した。
この閉鎖型加熱還流装置のステンレス製フラスコに、レモン果汁200gとグレープフルーツ果汁200gとを入れ、冷却器へ通じる管および温度センサーを備えた密閉蓋で封じた。次いで、ステンレス製フラスコと冷却器とを密閉蓋に備えられた管を介して接続し、以下の表1に示す各条件で加熱還流した。得られた加熱還流物を常温になるまで自然放冷して、香味改善組成物サンプル1~7を得た。一方、上述したレモン果汁とグレープフルーツ果汁との混合物を、冷却器を取り付けないステンレス製フラスコ(開放系)を使用して、以下の表1に示す条件で加熱して、得られた加熱物を常温になるまで自然放冷して、香味改善組成物サンプル8を得た。
Figure 0007086594000001
実施例2:アルコール飲料への香味改善組成物の添加試験
(1)アルコール飲料サンプルの調製
以下のように、アルコール飲料サンプル1~8を調製した。
まず、アルコールを9.0%(v/v)、酸味料(クエン酸およびクエン酸ナトリウム)を0.25%(w/v)、香料を0.l5%(w/v)および各香味改善組成物を0.1%(w/v)の濃度で含有する水溶液に、レモン果汁を2.6%(w/v)となるように調整して添加し、混合物を得た。得られた混合物に炭酸ガスを圧入して、20℃で0.20MPaの炭酸ガス圧の各アルコール飲料サンプルを得た。また、香味改善組成物を添加しない以外は、上述したものと同じ処方により得たアルコール飲料を対照アルコール飲料サンプルとした。
(2)アルコール飲料サンプルの評価
上記(1)で調製された各アルコール飲料サンプルを、官能評価試験に供した。官能評価試験では、良く訓練されたパネル5名により、「フルーティーさ」、「後味の良さ」および「コク味」の3項目について、1~5の5段階評点で官能評価を行った。
(3)香味改善組成物の製造方法の検討
香味改善組成物の製造条件を検討するため、アルコール飲料サンプル3および8と、対照アルコール飲料サンプルについて、官能評価結果を比較した。官能評価結果の比較を図1に示す。
図1のグラフに示されるように、閉鎖系内で100~104℃の温度条件下で12時間加熱還流をして得た香味改善組成物3を含んでなるアルコール飲料サンプル3においては、対照アルコール飲料サンプルと比較して、原料果汁のフルーティーさおよび後味の良さが維持され、コク味が顕著に増強されていた。一方、開放系内で100~104℃の温度条件下で12時間加熱して得た香味改善組成物8を含んでなるアルコール飲料サンプル8においては、対照アルコール飲料サンプルと比較して、コク味がやや増強されていたものの、フルーティーさおよび後味の良さが顕著に低減されていた。
図1の結果から、香味改善組成物の製造において、閉鎖系内で原料果汁を加熱還流することが望ましいことが認められた。
(4)香味改善組成物の製造条件の検討(加熱時間)
香味改善組成物の製造における好ましい加熱条件を検討するために、アルコール飲料サンプル1~5および8と、対照アルコール飲料サンプルとを用意し、官能評価結果を比較した。結果を図2に示す。
図2のグラフに示されるように、閉鎖系内で100~104℃の温度条件下で6~18時間加熱還流をして得た香味改善組成物2~4をそれぞれ含んでなるアルコール飲料サンプル2~4においては、対照アルコール飲料サンプルと比較して、いずれもフルーティーさおよび後味の良さが維持または増強され、さらにコク味が顕著に増強されていた。一方、閉鎖系内で100~104℃の温度条件下で3時間加熱還流をして得た香味改善組成物1を含んでなるアルコール飲料サンプル1においては、対照アルコール飲料サンプルと比較して、フルーティーさ、後味の良さおよびコク味のいずれについても維持またはやや増強されるにとどまった。また、閉鎖系内で100~104℃の温度条件下で24時間加熱還流をして得た香味改善組成物5を含んでなるアルコール飲料サンプル5においては、対照アルコール飲料サンプルと比較して、コク味はやや増強されたものの、フルーティーさおよび後味の良さが顕著に低減されていた。また、開放系内で100~104℃の温度条件下で12時間加熱して得た香味改善組成物8を含んでなるアルコール飲料サンプル8においては、対照アルコール飲料サンプルと比較して、コク味がやや増強されていたものの、フルーティーさおよび後味の良さが顕著に低減されていた。
図2の結果から、香味改善組成物の製造において、閉鎖系内で6~18時間加熱還流をすることが好ましいことが認められた。
(5)香味改善組成物の製造条件の検討(加熱温度)
香味改善組成物の製造における好ましい加熱条件をさらに検討するために、アルコール飲料サンプル3、6および7と、対照アルコール飲料サンプルについて、官能評価結果を比較した。官能評価結果の比較を図3に示す。
図3のグラフに示されるように、閉鎖系内で100~104℃の温度条件下で12時間加熱還流をして得た香味改善組成物3、および閉鎖系内で90~93℃の温度条件下で12時間加熱還流して得た香味改善組成物7をそれぞれ含んでなるアルコール飲料サンプル3および7においては、対照アルコール飲料サンプルと比較して、いずれもフルーティーさおよび後味の良さがほぼ維持され、コク味が顕著に増強されていた。一方、閉鎖系内で80~83℃の温度条件下で12時間加熱還流をして得た香味改善組成物6を含んでなるアルコール飲料サンプル6においては、対照アルコール飲料サンプルと比較して、後味の良さおよびコク味が維持され、フルーティーさがやや増強するにとどまった。
図3の結果から、香味改善組成物の製造において、閉鎖系内で100~105℃の温度条件下で加熱還流をすることが好ましいことが認められた。
以上の結果から、香味改善組成物の製造において、閉鎖系内で100~105℃の温度条件下で6~18時間加熱還流をすることにより、得られる香味改善組成物におけるフルーティーさおよび後味の良さが維持され、かつコク味が顕著に増強されることが示された。
(6)香味改善組成物の添加量の検討
香味改善組成物の好ましい添加量を検討するため、以下のように、アルコール飲料サンプル9~16を調製した。
まず、水に、アルコール9.0%(v/v)、酸味料(クエン酸およびクエン酸ナトリウム)0.25%(w/v)、香料0.l5%(w/v)、レモン果汁2.6%(w/v)および炭酸水68%(w/v)をそれぞれの濃度となるように添加し、混合物を得た。混合物の炭酸ガス圧は、20℃で0.20MPaとした。得られた混合物に、香味改善組成物3を以下の表2に示す濃度(w/v)で添加して、アルコール飲料サンプル9~16を得た。また、香味改善組成物3を添加しない以外は、上述したものと同じ処方により得たアルコール飲料を対照アルコール飲料サンプルとした。
Figure 0007086594000002
各アルコール飲料サンプルを、官能評価試験に供した。官能評価試験では、良く訓練されたパネル2名により、「フルーティーさ」、「後味」および「コク味」の3項目について、1~5の5段階評点で官能評価を行った。官能評価の比較結果を図4に示す。
図4のグラフに示されるように、香味改善組成物3を0.001~1.00%(w/v)の濃度で添加したアルコール飲料サンプル9~15においては、対照アルコール飲料サンプルと比較して、いずれもフルーティーさおよび後味の良さがほぼ維持され、かつコク味が顕著に増強されていた。特に、アルコール飲料サンプル10~14においてその傾向が顕著であった。一方、香味改善組成物3を2.00%(w/v)添加したアルコール飲料サンプル16においては、対照アルコール飲料サンプルと比較して、コク味は顕著に増強されるものの、フルーティーさおよび後味の良さが顕著に低減されていた。
図4の結果から、香味改善組成物の添加量は、飲料に対して0.005~1.0%(w/v)の濃度とすることが望ましく、0.01~0.50%(w/v)とすることがさらに望ましいものと考えられた。
実施例3:非アルコール飲料への香味改善組成物の添加試験
(1)非アルコール飲料サンプルの調製
以下のように、非アルコール飲料サンプル1~3を調製した。
まず、水に、酸味料(クエン酸およびクエン酸ナトリウム)0.25%(w/v)、香料0.l5%(w/v)、レモン果汁2.6%(w/v)および炭酸水68%(w/v)をそれぞれの濃度となるように添加し、混合物を得た。混合物の炭酸ガス圧は、20℃で0.20MPaとした。得られた混合物に、香味改善組成物3を以下の表3に示す濃度(w/v)で添加して、非アルコール飲料サンプル1~3を得た。また、香味改善組成物3を添加しない以外は、上述したものと同じ処方により得た非アルコール飲料を対照非アルコール飲料サンプルとした。
Figure 0007086594000003
各非アルコール飲料サンプルを、官能評価試験に供した。官能評価試験では、良く訓練されたパネル2名により、「フルーティーさ」、「後味」および「コク味」の3項目について、1~5の5段階評点で官能評価を行った。官能評価の比較結果を図5に示す。
図5のグラフに示されるように、香味改善組成物3を0.005~1.0%(w/v)の濃度で添加した非アルコール飲料サンプル1~3においては、対照非アルコール飲料サンプルと比較して、いずれもフルーティーさおよび後味の良さがほぼ維持され、かつコク味が顕著に増強されていた。また、アルコール飲料サンプル3と比較しても、同程度にフルーティーさ、後味の良さおよびコク味が維持または増強されていた。
図5の結果から、香味改善組成物は、非アルコール飲料に添加した場合にも、フルーティーさおよび後味の良さを維持または増強しつつ、コク味を顕著に増強できることが示された。
以上の結果から、様々なタイプの飲料において、香味改善組成物の効果が認められた。

Claims (12)

  1. 飲料の香味改善組成物を製造する方法であって、果実またはその加工物を、閉鎖系内において加熱還流を6~18時間行う工程を含んでなる、方法。
  2. 加熱還流が90~105℃の温度条件下で行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記加工物が、果実破砕物、果汁、果実抽出物および果実ピューレからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記果実が柑橘類の果実である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記果実が、レモンおよびグレープフルーツからなる群から選択される少なくとも一種の果実である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  6. 請求項1~のいずれか一項に記載の方法によって得られる、香味改善組成物。
  7. 請求項に記載の香味改善組成物を含んでなる、飲料。
  8. アルコール飲料である、請求項に記載の飲料。
  9. 非アルコール飲料である、請求項に記載の飲料。
  10. 請求項に記載の香味改善組成物を原料に添加することを含んでなる、飲料の製造方法。
  11. 請求項に記載の香味改善組成物を飲料に添加することを含んでなる、飲料の香味を改善する方法。
  12. 請求項に記載の香味改善組成物を含んでなる、香味改善剤。
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