JP7086010B2 - ワーゲン総重量計測方法、張出架設方法、及びワーゲン総重量計測システム - Google Patents

ワーゲン総重量計測方法、張出架設方法、及びワーゲン総重量計測システム Download PDF

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Description

本発明は、ワーゲン総重量計測方法、張出架設方法、及びワーゲン総重量計測システムに関する。
特許文献1には、片持ち架設装置によって橋桁を施工する片持ち架設工法が記載されている。この片持ち架設装置は、施工中の橋桁の先端から突き出すように据え付けられる二つのメインフレームを含む台車(「ワーゲン」ともいう。)と、各メインフレームを橋桁の先端側で支持するメインジャッキと、各メインフレームの後端部の位置を調整するアンカージャッキと、を備える。片持ち架設工法は、コンクリートを打設するための作業足場及び型枠を、上記ワーゲンに連結される吊り材によって吊り支持し、施工中の橋桁の先端に新たなコンクリートを打設して該橋桁を張出施工により延長する。
特開平11-117235号公報
上記の片持ち架設工法のように、橋桁の張出施工を行う張出架設方法においては、ワーゲンの重量及び当該ワーゲンに吊り支持される作業足場及び型枠の重量(以下では、これらを合わせて「ワーゲン総重量」という場合がある。)を考慮した施工計画に基づいて施工が行われる。一方、施工過程において、例えば作業足場の組み替え等によりワーゲン総重量が変化する場合が考えられる。そのような場合、変化後のワーゲン総重量に基づいて施工計画を変更することが望ましい。しかしながら、変化後のワーゲン総重量を得るために、例えば、施工途中において、ワーゲン総重量の変化に関係する部材等の増減を全て把握し、都度計測して変化後のワーゲン総重量を得ることは困難である。
本発明は、施工途中であってもワーゲンの総重量を簡易に計測することが可能なワーゲン総重量計測方法、張出架設方法、及びワーゲン総重量計測システムを提供することを目的とする。
本発明に係るワーゲン総重量計測方法は、橋梁の橋桁上に設置されるワーゲン本体と、ワーゲン本体によって吊り支持される載荷物と、を有し、橋梁の張出架設に使用されるワーゲンの総重量を計測するワーゲン総重量計測方法であって、ワーゲン本体の前端側を支持するメインジャッキからワーゲン本体が受ける第1の反力を計測する第1の反力計測工程と、ワーゲン本体の後端側を支持するアンカージャッキからワーゲン本体が受ける第2の反力を計測する第2の反力計測工程と、第1の反力と第2の反力とに基づいてワーゲンの総重量を導出する工程と、を備える。
また、本発明に係るワーゲン総重量計測システムは、橋梁の橋桁上に設置されるワーゲン本体と、前記ワーゲン本体によって吊り支持される載荷物と、を有し、前記橋梁の張出架設に使用されるワーゲンの総重量を計測するワーゲン総重量計測システムであって、ワーゲンの前端側を支持するメインジャッキからワーゲンが受ける第1の反力を取得する第1の反力取得部と、ワーゲンの後端側を支持するアンカージャッキからワーゲンが受ける第2の反力を取得する第2の反力取得部と、第1の反力と第2の反力とに基づいてワーゲン総重量を導出する総重量導出部と、を備える。
上記のワーゲン総重量計測方法及びワーゲン総重量計測システムにおいては、ワーゲンを支持するメインジャッキ及びアンカージャッキからワーゲンが受ける各反力(第1の反力及び第2の反力)に基づいてワーゲンの総重量が導出される。このため、ワーゲンの総重量を取得したい時点における第1の反力及び第2の反力を計測することによって、施工途中であっても簡易に実際のワーゲンの総重量を得ることができる。
また、本発明に係るワーゲン総重量計測方法において、第2の反力計測工程では、アンカージャッキによってワーゲン本体の後端側が支持された状態におけるアンカージャッキの内部圧力に基づいて第2の反力が導出され、第1の反力計測工程では、前記アンカージャッキの内部圧力が計測される状態におけるメインジャッキの内部圧力に基づいて第1の反力が導出されてもよい。例えば、第1の反力又は第2の反力を計測するために、メインジャッキ又はアンカージャッキに負荷される荷重を直接計測する場合、荷重を計測するための装置の設置に伴い、メインジャッキ又はアンカージャッキの周辺の機構が複雑化することが考えられる。これに対し、各内部圧力に基づいて第1の反力及び第2の反力が導出される構成によれば、比較的単純な機構で内部圧力が得られるので、機構の複雑化を抑制できる。
ところで、橋桁の張出施工を行う張出架設方法においては、橋桁の施工高さを設定する際に、上げ越し量が考慮される。この上げ越し量は、一般に、ワーゲンの総重量を含む荷重等が施工中の橋桁に及ぼす影響を考慮して設定される。そのため、施工過程においてワーゲンの総重量が変化した場合、変化後のワーゲンの総重量を反映させた上げ越し量を考慮して施工高さを設定することが望ましい。しかしながら、従来の張出架設方法においては、このような変化後のワーゲンの総重量が把握されておらず、施工過程のワーゲンの総重量の変化に伴う施工精度の低下の抑制が望まれている。
本発明に係る張出架設方法は、ワーゲンによって橋桁をブロックごとに順次張出施工する張出架設方法であって、張出施工の際のブロックの施工高さを設定する設定工程と、設定した施工高さに応じてブロックを張出施工する施工工程と、を備え、設定工程は、上記のワーゲン総重量計測方法を用いてワーゲンの総重量を計測するワーゲン総重量計測工程と、ワーゲン総重量計測工程において計測されたワーゲンの総重量に基づいて、上げ越し量を設定する上げ越し量設定工程と、上げ越し量を考慮して、施工高さを設定する施工高さ設定工程と、を含んでいてもよい。この場合、上げ越し量設定工程では、上記のワーゲン総重量計測方法を用いて計測されたワーゲンの総重量に基づいて上げ越し量を設定するので、施工途中においてワーゲンの総重量の変化があった場合であっても、変化後の実際のワーゲンの総重量を反映させた上げ越し量が設定できる。そのため、施工高さ設定工程では、変化後のワーゲンの総重量を反映させた上げ越し量を考慮して施工高さを設定でき、施工精度の低下を抑制できる。
また、ワーゲンの総重量が変化した場合には、ワーゲンの総重量が作用する位置(すなわち、ワーゲンの重心位置)も変化することが考えられる。そのため、変化後のワーゲンの総重量と変化後のワーゲンの重心位置とを反映させた上げ越し量を考慮して施工高さを設定することが更に望ましい。
本発明に係る張出架設方法において、上げ越し量設定工程では、ワーゲンの総重量と、ワーゲンの重心位置と、に基づいて上げ越し量が設定され、ワーゲンの重心位置は、第1の反力と、第2の反力と、メインジャッキとアンカージャッキとの距離と、に基づいて導出されてもよい。この場合、施工途中においてワーゲンの総重量の変化があった場合であっても、変化後の実際のワーゲンの総重量に加えて、当該ワーゲンの総重量が作用する重心位置を簡易に得ることができるので、変化後のワーゲンの総重量が施工中の橋桁に影響を及ぼす影響をより精度よく反映させた上げ越し量を設定できる。
本発明によれば、施工途中であってもワーゲンの総重量を簡易に計測することが可能なワーゲン総重量計測方法、張出架設方法、及びワーゲン総重量計測システムを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る張出架設方法が適用される橋梁及び張出架設装置を示す側面図である。 図2は、図1のワーゲン本体、メインジャッキ、及びアンカージャッキを示す側面図である。 図3(a)は、図2のIIIA-IIIA線に沿った断面図であり、図3(b)は、図2のIIIB-IIIB線に沿った断面図である。 図4は、コントローラの機能的な構成を示すブロック図である。 図5は、張出架設方法の手順を示すフローチャートである。 図6は、設定工程の手順を示すフローチャートである。 図7は、張出架設方法の一工程を示す側面図である。 図8は、張出架設方法の一工程を示す側面図である。 図9は、張出架設方法の一工程を示す側面図である。
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。図面の説明においては、同一の要素同士、或いは、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
[張出架設装置の構成]
図1~図3を参照して張出架設装置の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る張出架設方法が適用される橋梁及び張出架設装置を示す側面図である。図1に示される張出架設装置1は、橋梁100における橋桁101の張出施工に使用される。張出架設装置1は、一対のワーゲン2を備える。
一対のワーゲン2は、橋桁101の既設部における橋軸方向の両端から橋桁101をブロック101aごとに張出施工する。一対のワーゲン2は、張出施工が予定される予定施工位置P側を張出方向として、橋桁101の既設部からそれぞれ外方に張り出している。各ワーゲン2は、ワーゲン本体3と、左右一対のワーゲン本体3に吊り支持される載荷物4と、前方支持部材5と、後方支持部材6と、橋桁101の既設部の上面において橋軸方向に沿ってワーゲン本体3を移動可能とするように敷設されたレール7と、を有する。
図2は、図1のワーゲン本体3、メインジャッキ、及びアンカージャッキを示す側面図である。図1及び図2に示されるように、各ワーゲン本体3は、橋桁101の上面において橋軸直角方向に配列された左右一対のメインフレーム31と、左右一対のメインフレーム31に架け渡され橋軸直角方向に延びる複数(例えば3本)の上梁32と、レール7に沿って各メインフレーム31を走行させる走行部33と、を有する。
メインフレーム31は、一対のトラス構面を有している。メインフレーム31は、一対のトラス構面によって略平行四辺形状をなしており、当該平行四辺形の鈍角を形成する一方の頂点と他方の頂点とを連結するように、鉛直材31aが設けられている。メインフレーム31は、当該鉛直材31aと、上弦材31bと、前方斜材31cと、後方斜材31dと、下弦材31eと、を有する。
上梁32は、メインフレーム31の上弦材31b上で橋軸方向に沿って配列されている。3本の上梁32のうち、張出方向の最も後方に位置する上梁32は、上弦材31bの後端部に設置され、張出方向の最も前方に位置する上梁32は、上弦材31bの前端部に設置される。橋桁101の既設部上においては、張出方向の最も後方に位置する上梁32が橋桁101の既設部の鉛直上方に位置し、残りの2本の上梁32が予定施工位置Pの鉛直上方よりも張出方向の前方に位置するように、ワーゲン本体3が配置される。
走行部33は、左右一対のメインフレーム31の下端部にそれぞれ設けられている。図3(a)は、図2のIIIA-IIIA線に沿った断面図であり、図3(b)は、図2のIIIB-IIIB線に沿った断面図である。例えば、図3(a)及び図3(b)に示されるように、各メインフレーム31の下端部においては、一対のレール7が橋軸直角方向に並んで敷設されている。図2及び図3に示されるように、走行部33は、複数(例えば2つ)の前方車輪33aと、前方フレーム33bと、複数(例えば4つ)の後方車輪33cと、後方フレーム33dと、を有する。
前方フレーム33bは、下弦材31eの前端部に取り付けられ、各レール7上に前方車輪33aを回動自在に保持している。後方フレーム33dは、後方支持部材6(後述するロッド63)に取り付けられ、4つの後方車輪33cを橋軸直角方向に沿って並ぶように保持している。後方フレーム33dは、各レール7を2つの後方車輪33cが挟んだ位置において、各後方車輪33cを回動自在に保持している。具体的には、後方フレーム33dは、レール7の上フランジよりも下方に後方車輪33cが位置するように、後方車輪33cを保持している。後方車輪33cの位置は、例えば、張出施工時に、レール7の上フランジと後方車輪33cとの上下方向における間隔Dが後方支持部材6(後述するアンカージャッキ62)のストローク以下となる位置である。
図1に戻り、載荷物4は、ワーゲン本体3に吊り支持され、橋桁101の各ブロック101aの張出施工の際の支保工を構成する。載荷物4は、足場41及び型枠42と、足場41及び型枠42が設置された吊り足場ステージ43と、を有する。吊り足場ステージ43は、上梁32を介して左右一対のメインフレーム31に吊り下げ支持されている。
前方支持部材5及び後方支持部材6は、張出施工の際にワーゲン本体3の転倒を回避するために設置される。張出施工時においては、ワーゲン本体3の重量及び載荷物4の重量(以下では、これらを合わせて「ワーゲン2の総重量Σw」という。)と、コンクリートの質量とを含む各荷重は、ワーゲン本体3のメインフレーム31によって受け持たれ、これらの荷重によってメインフレーム31を張出方向の前方に転倒させる大きな転倒モーメントが発生する。この転倒モーメントが、前方支持部材5と後方支持部材6とによって支持される。
前方支持部材5は、張出施工時に、橋桁101上においてワーゲン本体3の前端側を支持する(図2参照)。具体的には、前方支持部材5は、橋桁101の橋軸方向の先端部において、ワーゲン本体3の前端側に発生する下向きの力を支持する。本実施形態において、ワーゲン本体3は、左右一対の前方支持部材5を有しており、各前方支持部材5によって各メインフレーム31の前端側が支持される。前方支持部材5は、例えば油圧式のジャッキであり、メインフレーム31の前端部の下側に配置されている。
図3(a)に示されるように、前方支持部材5は、ブラケット51と、メインジャッキ52と、ジャッキベース53と、を有する。ブラケット51は、メインフレーム31とメインジャッキ52との間に配置されている。ジャッキベース53は、メインジャッキ52の下端部に当接した状態で橋桁101上に載置される。メインジャッキ52は、張出施工の際に、メインフレーム31の前端側に上向きの反力R1(第1の反力)を作用させ、メインフレーム31の前端部を支持する。メインジャッキ52は、例えば油圧式のジャッキであり、メインジャッキ52の側面には、ポンプ(不図示)から圧油が供給される加圧口30hが設けられている。メインジャッキ52は、下方に突出するピストン部52aを有し、油圧によってピストン部52aを押し出すことで、メインフレーム31の前端側に反力R1を作用させる。なお、メインジャッキ52は、ピストン部52aの突出量の調整により、張出施工時におけるメインフレーム31の前端側の上下方向の位置を調整してもよい。
後方支持部材6は、張出施工時に、橋桁101上においてワーゲン本体3の後端側を支持する(図2参照)。具体的には、後方支持部材6は、橋桁101の橋軸方向の先端部よりも橋軸方向の後方の位置において、ワーゲン本体3の後端側に発生する上向きの力を支持する。本実施形態において、ワーゲン本体3は、左右一対の後方支持部材6を有しており、各後方支持部材6によって各メインフレーム31後端側が支持される。後方支持部材6は、例えば油圧式のジャッキであり、メインフレーム31の後端部に配置されている。
図3(b)に示されるように、後方支持部材6は、アンカー部材6aと、ジャッキビーム61と、アンカージャッキ62と、ロッド63と、ジャッキベース64と、を有する。アンカー部材6aは、例えばPC鋼棒である。アンカー部材6aの下端部は橋桁101に埋め込まれており、アンカー部材6aの上端部は、ジャッキビーム61及びアンカージャッキ62を介してメインフレーム31に接続されている。アンカー部材6aには緊張力が導入されており、張出施工の際、このアンカー部材6aによって、ワーゲン本体3の後端部は、橋桁101に向かう方向(下向き)に拘束される。
ジャッキビーム61は、メインフレーム31の後端部の上方に配置されている。ジャッキビーム61には、アンカー部材6aの上端部が固定されている。ロッド63は、アンカージャッキ62を介してジャッキビーム61の下方に配置されている。ロッド63の上端部には、メインフレーム31の後端部が固定されている。ロッド63は、橋桁101に向けて延在している。ジャッキベース64は、張出施工時に、ロッド63の下端部に当接した状態で橋桁101上に載置される。
アンカージャッキ62は、ジャッキビーム61とロッド63との間に配置されている。アンカージャッキ62の下端部には、メインフレーム31の後端部が固定されている。アンカージャッキ62は、張出施工の際に、アンカー部材6aによる下向きの拘束力を調整する。アンカージャッキ62は、例えば油圧式のジャッキであり、アンカージャッキ62の側面には、ポンプ(不図示)から圧油が供給される加圧口40hが設けられている。アンカージャッキ62は、上方に突出するピストン部62aを有し、油圧によってピストン部62aを押し出す向きの力を発生させることで、アンカー部材6aによる下向きの拘束力を調整する。なお、アンカージャッキ62は、ピストン部62aの突出量の調整により、張出施工時におけるメインフレーム31の後端側の上下方向の位置を調整してもよい。
一方で、アンカージャッキ62は、1つのブロック101aの張出施工が完了し、ワーゲン本体3の移動を開始する際には、ピストン部62aを引き込むことにより、各メインフレーム31の後端側がレール7に沿って移動可能な状態(以下では、単に「移動可能な状態」という。)となるように切り替える。なお、移動可能な状態とは、ワーゲン本体3の後端側がレール7によって支持された状態(すなわち、各メインフレーム31の後端側のアンカー部材6aの緊張力が開放された状態であって、且つ、後方車輪33cがレール7に接している状態)である(図7(a)参照)。
ここで、張出施工時の状態から移動可能な状態に切り替える途中(すなわち、各メインフレーム31の後端側のアンカー部材6aの緊張力が開放された状態であって、且つ、後方車輪33cがレール7に接していない状態。ワーゲン本体3の後端側に作用する荷重がアンカージャッキ62に伝わった状態ともいう。)において、アンカージャッキ62は、一時的にワーゲン本体3(メインフレーム31)の後端側に下向きの反力R2(第2の反力)を作用させ、メインフレーム31の後端側が上方に跳ね上がることを抑制する。言い換えると、アンカージャッキ62は、切り替える途中において、ワーゲン本体3の後端側に作用する荷重を独立して支持する。なお、以下では、各メインフレーム31の後端側のアンカー部材6aの緊張力が開放された状態であって、且つ、後方車輪33cがレール7に接していない状態を「移動開始時の状態」という。
[ワーゲン総重量計測システムの構成]
次に、図2~図4を参照し、上述したワーゲン2の総重量Σwを計測するワーゲン総重量計測システムの構成について説明する。図2に示されるように、ワーゲン総重量計測システム10は、コントローラ20(制御部)と、圧力センサ30,40と、を備える。
コントローラ20は、圧力センサ30,40に接続されている。圧力センサ30,40は、例えば圧力計である。本実施形態において、ワーゲン総重量計測システム10は、左右一対の圧力センサ30と左右一対の圧力センサ40とを備える。圧力センサ30は、各前方支持部材5のメインジャッキ52の加圧口30hに接続されている。圧力センサ30は、各メインジャッキ52の内部圧力を計測し、計測結果を随時出力する。圧力センサ40は、各後方支持部材6のアンカージャッキ62の加圧口40hに接続されている。圧力センサ40は、各アンカージャッキ62の内部圧力を測定し、計測結果を随時出力する。
コントローラ20は、本体部21と、表示部22,23と、を有する。本体部21は、メインジャッキ52からワーゲン2が受ける反力R1を取得する処理と、アンカージャッキ62からワーゲン2が受ける反力R2を取得する処理と、反力R1と反力R2とに基づいてワーゲン2の総重量Σwを導出する処理と、を実行する。また、本実施形態において、本体部21は、メインジャッキ52の内部圧力を取得する処理と、アンカージャッキ62の内部圧力を取得する処理と、を更に実行する。
図4は、コントローラ20の機能的な構成を示すブロック図である。図4に示されるように、本体部21は、機能的な構成(以下、「機能モジュール」という。)として、圧力計測部21a,21bと、反力導出部21c(第1の反力取得部)と、反力導出部21d(第2の反力取得部)と、重量導出部21e(総重量導出部)と、を備える。これらの機能モジュールは、本体部21の機能を便宜上複数のモジュールに区切ったものに過ぎず、本体部21を構成するハードウェアがこのようなモジュールに分かれていることを必ずしも意味するものではない。各機能モジュールは、プログラムの実行により実現されるものであってもよく、専用の電気回路(例えば論理回路)、又は、これを集積した集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)により実現されるものであってもよい。
圧力計測部21bは、左右一対の圧力センサ40のそれぞれから各アンカージャッキ62の内部圧力の計測結果を取得する。具体的に、圧力計測部21bは、移動開始時の状態における左右一対のアンカージャッキ62のそれぞれの内部圧力の計測結果を取得する。
圧力計測部21aは、左右一対の圧力センサ30のそれぞれから各メインジャッキ52の内部圧力の計測結果を取得する。具体的に、圧力計測部21aは、移動開始時の状態における左右一対のメインジャッキ52のそれぞれの内部圧力の計測結果を取得する。本実施形態において、圧力計測部21aは、圧力計測部21bが各圧力センサ40からアンカージャッキ62の内部圧力の計測結果を取得した際に各圧力センサ30が計測したメインジャッキ52の内部圧力の計測結果を取得する。
反力導出部21cは、反力R1を取得する。具体的に、反力導出部21cは、圧力計測部21aが取得した内部圧力に基づいて反力R1を導出する。例えば反力導出部21cは、圧力計測部21aが取得した内部圧力にメインジャッキ52の受圧面積を乗じた値を、反力R1として導出する。なお、反力導出部21cは、左右一対のメインフレーム31のそれぞれが各メインジャッキ52から受ける反力R1を別々に取得してもよいし、左右一対のメインフレーム31が互いに同じ大きさの反力R1を受けるものと仮定して、一方のメインフレーム31がメインジャッキ52から受ける反力R1のみを取得してもよい。反力導出部21cは、取得した反力R1を重量導出部21e及び表示部22に送信する。
反力導出部21dは、反力R2を取得する。具体的に、反力導出部21dは、圧力計測部21bが取得した内部圧力に基づいて反力R2を導出する。例えば反力導出部21dは、圧力計測部21bが取得した内部圧力にアンカージャッキ62の受圧面積を乗じた値を、反力R2として導出する。なお、反力導出部21dは、左右一対のメインフレーム31のそれぞれが各アンカージャッキ62から受ける反力R2を別々に取得してもよいし、左右一対のメインフレーム31が互いに同じ大きさの反力R2を受けるものと仮定して、一方のメインフレーム31がアンカージャッキ62から受ける反力R2のみを取得してもよい。反力導出部21dは、取得した反力R2を重量導出部21e及び表示部22に送信する。
重量導出部21eは、反力R1と反力R2とに基づいてワーゲン2の総重量Σwを導出する。具体的に、重量導出部21eは、反力導出部21cから取得した反力R1と反力導出部21dから取得した反力R2と、メインジャッキ52とアンカージャッキ62との橋軸方向に沿った距離L1(図2参照)とに基づいてワーゲン2の総重量Σwとワーゲン2の重心位置G(例えば、メインジャッキ52からワーゲン2の重心位置Gまでの水平距離Lx)とを導出する。
例えば、ワーゲン2の総重量Σwは、左右一対のメインフレーム31のそれぞれに応じて、一方(例えば左)のメインフレーム31に着目した成分としてのワーゲン2の総重量Σwと、他方(例えば右)のメインフレーム31に着目した成分としてのワーゲン2の総重量Σwとに分けて導出される。まず、式(1)及び式(2)によって示される連立方程式を解くことによって、ワーゲン2の総重量Σwと一方のメインジャッキ52からワーゲン2の重心位置Gまでの水平距離Lxとが導出される。続けて、式(3)及び式(4)によって示される連立方程式を解くことによって、ワーゲン2の総重量Σwと他方のメインジャッキ52からワーゲン2の重心位置Gまでの水平距離Lxとが導出される。
Figure 0007086010000001

Figure 0007086010000002

Figure 0007086010000003

Figure 0007086010000004
そして、式(5)によってワーゲン2の総重量Σwが導出される。
Figure 0007086010000005
なお、重量導出部21eは、ワーゲン2の総重量Σwに加算重量を加えたワーゲン全装備重量Σw’を更に導出してもよい。加算重量は、ワーゲン2の各構成要素の重量のうち、ワーゲン2の総重量Σwに反映されにくいと考えられる構成要素の重量であり、例えばレール7の重量を含む。重量導出部21eは、導出したワーゲン2の総重量Σw及び各水平距離Lxを表示部23に送信する。
本体部21のハードウェアは、例えば一つ又は複数の制御用のコンピュータにより構成される。本実施形態において、ワーゲン総重量計測システム10は、一つのコントローラ20を備えているが、複数のコントローラ20で構成されるコントローラ群を備えていてもよい。ワーゲン総重量計測システム10がコントローラ群を備えている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコントローラ20によって実現されていてもよいし、2個以上のコントローラ20の組み合わせによって実現されていてもよい。本体部21が複数のコンピュータで構成されている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコンピュータによって実現されていてもよいし、2つ以上のコンピュータの組み合わせによって実現されていてもよい。
表示部22,23は、例えば液晶モニタ等を含み、作業者に対する情報表示に用いられる。表示部22は、反力R1,R2を画面に表示する。具体的に、表示部22は、左右一対のメインフレーム31のそれぞれが各メインジャッキ52から受ける反力R1と、左右一対のメインフレーム31のそれぞれが各アンカージャッキ62から受ける反力R2と、を同時に画面に表示する(図8参照)。表示部23は、ワーゲン2の総重量Σw(又はワーゲン全装備重量Σw’)と水平距離Lxとを同時に画面に表示する(図9参照)。表示部23は、左右一対のメインフレーム31のそれぞれが各メインジャッキ52から受ける反力R1と、左右一対のメインフレーム31のそれぞれが各アンカージャッキ62から受ける反力R2と、を更に同時に画面に表示してもよいし、荷重図、計算式、特記事項等の他の情報を更に同時に画面に表示してもよい。
[張出架設方法]
次に、図5~図9を参照し、張出架設方法について説明する。図5は、張出架設方法の手順を示すフローチャートである。図5に示されるように、まず、ステップS01,S02を順に実行する。ステップS01では、橋梁100の柱頭部102(図1参照)上にワーゲン2を設置する。ここでは、各ワーゲン2において、ワーゲン本体3の前端側が前方支持部材5に支持され、ワーゲン本体3の後端側が後方支持部材6に支持された状態とする(図3(a)及び図3(b)参照)。具体的には、メインジャッキ52によってメインフレーム31の前端側に上向きの反力R1を作用させる。また、アンカー部材6aによってメインフレーム31の後端部を橋桁101に向かう方向(下向き)に拘束するとともに、アンカージャッキ62によってアンカー部材6aによる下向きの拘束力を調整する。
ステップS02では、予め取得した種々のデータに基づいて、橋桁101の予定施工位置Pのブロック101aの施工高さを設定する。予め取得した種々のデータは、ワーゲン2の総重量Σwの初期値と、ワーゲン2の重心位置G(ここでは、メインジャッキ52からワーゲン2の重心位置Gまでの水平距離Lx)の初期値と、を含む。また、予め取得した種々のデータは、メインジャッキ52とアンカージャッキ62との距離L1を含んでいてもよい。ワーゲン2の総重量Σwの初期値は、例えば予め算出されたものである。また、施工高さは、上げ越し量を考慮して設定される。なお、ステップS01よりも前にステップS02を実行してもよく、ステップS01,S02を並行して実行してもよい。
ここで、上げ越しとは、施工過程における躯体(ここでは、橋桁)の変形を考慮し、施工段階の躯体を完成までに予想される変形量だけ変形方向と反対方向に余分に構築することをいう。上げ越し量は、施工段階において躯体に負荷される荷重(例えば、ワーゲン2の総重量Σw、橋桁101の各ブロック101aの自重、プレストレス、クリープ・乾燥収縮等)の大きさ、及び当該荷重の重心位置G(例えば水平距離Lx)等に基づいて設定される。具体的には、上げ越し量は、上記の各荷重によって躯体が変形するたわみ量をそれぞれ算出し、すべてのたわみ量を合計することにより求められる(例えば、カンチレバー技術研究会・著「プレストレスト・コンクリート橋 カンチレバー工法 技術資料」、カンチレバー技術研究会事務局、2013年6月、pp.84~pp.87を参照)。また、それぞれの荷重の大きさと当該荷重の重心位置Gとに応じて、当該荷重によるたわみ量が示されているテーブル(不図示)を予め作成しておき、当該テーブルへのデータ入力によって上げ越し量が設定されてもよい。このテーブルにおいては、例えば橋桁101のブロック101aごとの基準位置と上げ越し量とが対応づけられている。
次に、ステップS03を実行する。ステップS03では、ステップS02において設定した施工高さに応じて、橋桁101の1つのブロック101aを張出施工する。具体的には、一対のワーゲン2により、橋桁101の橋軸方向の両端部のそれぞれから、1つのブロック101aの張出施工を行う。例えば、足場ステージ43に設置された足場41上から型枠42を配置する。このとき、型枠42は、予め計画された張出スパン長に対応した予定施工位置Pに位置するように配置される。続いて、鉄筋及びPC鋼材の組立を行い、コンクリートを打設する。コンクリートの養生期間が終了したらPC鋼材の緊張を行い、型枠42を解体する。これにより、橋桁101の1つのブロック101aの張出施工が終了する。
次に、ステップS04を実行する。ステップS04では、足場41の組み替えがあったか否かを確認する。足場41の組み替えがあった場合、ステップS05を実行する。ステップS05では、ステップS02において設定した施工高さ(橋桁101の予定施工位置Pのブロック101aの施工高さ)を再設定する(設定工程)。なお、ステップS05の詳細な工程については後述する。
一方、足場41の組み替えがない場合、ステップS06を実行する。ステップS06では、一対のワーゲン2が橋桁101の既設部の橋軸方向の両端部にそれぞれ位置するように、一対のワーゲン2を張出方向に向けて前進させる。ここでは、まず、アンカージャッキ62のピストン部62aを引き込むことにより、アンカージャッキ62を縮ませる。これにより、図7(b)に示されるように、ロッド63の先端とジャッキベース64とを離間させ、アンカー部材6aの緊張力を開放する(すなわち、後方支持部材6を移動開始時の状態とする。)。その状態で、ジャッキベース64を橋桁101上から撤去する。
続けて、さらにアンカージャッキ62のピストン部62aを引き込むことにより、アンカージャッキ62を最も縮んだ状態とする。これにより、図7(a)に示されるように、各ワーゲン2において、ワーゲン本体3の後端側がレール7によって支持された状態(すなわち、各メインフレーム31の後端側のアンカー部材6aの緊張力が開放された状態であって、且つ、後方車輪33cがレール7に接している状態)とする。その状態で、一対のワーゲン2を、1つのブロック101a分それぞれ前進させる。そして、橋桁101の既設部の橋軸方向の両端部に各ワーゲン2を設置する(すなわち、各ワーゲン2において、ワーゲン本体3の前端側が前方支持部材5に支持され、ワーゲン本体3の後端側が後方支持部材6に支持された状態とする。)。
次に、ステップS07を実行する。ステップS07では、設定された施工高さ(ステップS02において設定した施工高さ、及び、ステップS05において再設定した施工高さのうち最新の施工高さ)に応じて、上記のステップS03と同様に、橋桁101の1つのブロック101aを張出施工する(施工工程)。
次に、ステップS08を実行する。ステップS08では、橋桁101の全てのブロック101aの張出施工が終了したか否かを確認する。橋桁101の全てのブロック101aの張出施工が終了していない場合、上記のステップS04に戻る。以後、橋桁101の全てのブロック101aの張出施工が終了するまで、ステップS04~ステップS07を繰り返し実行する。これにより、橋桁101がブロック101aずつ伸長される。橋桁101の全てのブロック101aの張出施工が終了したら、橋桁101の張出施工が完了する。以上の張出施工が互いに隣接する2つの橋脚103(図1参照)の間で行われ、隣接する2つの橋脚103の間で張り出し部分同士が接合されることによって、当該橋脚103間の橋桁101が完成する。
続いて、上記のステップS05の詳細な工程について説明する。図6は、施工高さ再設定処理(設定工程)の手順を示すフローチャートである。図7~図9は、張出架設方法の一工程を示す図である。図6に示されるように、設計工程では、まず、ワーゲン総重量計測方法(ワーゲン総重量計測工程)の一例としてコントローラ20がステップS10の処理を実行する。ステップS10では、コントローラ20が、ステップS11,S12,S13,S14を順に実行する。
ステップS11において、コントローラ20は、反力R2を計測する処理を実行する(第2の反力計測工程)。ここでは、図7(b)に示されるように、移動開始時の状態(すなわち、各メインフレーム31の後端側のアンカー部材6aの緊張力が開放された状態であって、且つ、後方車輪33cがレール7に接していない状態)における各アンカージャッキ62の内部圧力に基づいて、各反力R2が導出される。
本実施形態では、ステップS11として、コントローラ20は、ステップS111,S112を順に実行する。ステップS111では、圧力計測部21bが、移動開始時の状態における各アンカージャッキ62の内部圧力の計測結果を圧力センサ40から取得する。ステップS112では、反力導出部21dが、圧力計測部21bによって取得されたそれぞれの内部圧力に基づいて反力R2を導出する。例えば反力導出部21dは、圧力計測部21bが取得したそれぞれの内部圧力にアンカージャッキ62の受圧面積を乗じた値を、各反力R2として導出する。
また、反力導出部21dが、導出した反力R2を重量導出部21e及び表示部22に送信し、図8に示されるように、表示部22が、反力R2を画面に表示する。なお、図8は、左右一対のメインフレーム31のそれぞれが各アンカージャッキ62から受ける反力R2が、ともに234.0kNであった場合の表示部22の画面の例を示している。
ステップS12において、コントローラ20は、反力R1を計測する処理を実行する(第1の反力計測工程)。ここでは、ステップS111における計測結果がアンカージャッキ62の内部圧力として計測される状態における各メインジャッキ52の内部圧力に基づいて、各反力R1が導出される。言い換えると、図7(b)に示されるように、移動開始時の状態(すなわち、各メインフレーム31の後端側のアンカー部材6aの緊張力が開放された状態であって、且つ、後方車輪33cがレール7に接していない状態)における各メインジャッキ52の内部圧力に基づいて、各反力R1が導出される。
本実施形態では、ステップS12として、コントローラ20は、ステップS121,S122を順に実行する。ステップS121では、圧力計測部21aが、移動開始時の状態における各メインジャッキ52の内部圧力の計測結果を圧力センサ30から取得する。例えば、圧力計測部21aは、ステップS111において圧力計測部21bが圧力センサ40からアンカージャッキ62の内部圧力の計測結果を取得した際に圧力センサ30が計測したメインジャッキ52の内部圧力の計測結果を取得する。ステップS122では、反力導出部21cが、圧力計測部21aによって取得されたそれぞれの内部圧力に基づいて反力R1を導出する。例えば反力導出部21cは、圧力計測部21aが取得したそれぞれの内部圧力に、メインジャッキ52の受圧面積を乗じた値を、各反力R1として導出する。
また、反力導出部21cが、導出した反力R1を重量導出部21e及び表示部22に送信し、図8に示されるように、表示部22が、反力R1を画面に表示する。なお、図8は、左右一対のメインフレーム31のそれぞれが各メインジャッキ52から受ける反力R1が、ともに731.8kNであった場合の表示部22の画面の例を示している。
ステップS13では、重量導出部21eが、反力R1と反力R2とに基づいてワーゲン2の総重量Σwを導出する。具体的に、重量導出部21eは、反力導出部21cから取得した反力R1と反力導出部21dから取得した反力R2と、距離L1とに基づいてワーゲン2の総重量Σwを導出する。例えば重量導出部21eは、上述した式(1)~式(5)によってワーゲン2の総重量Σwを導出する。
また、重量導出部21eは、導出したワーゲン2の総重量Σw又はワーゲン全装備重量Σw’を表示部23に送信する。表示部23は、図9に示されるように、ワーゲン2の総重量Σw又はワーゲン全装備重量Σw’を画面に表示する。なお、図9は、加算重量としての2つのレール7の合計重量が71.2kNであり、ワーゲン2の総重量Σwに当該加算重量を加えたワーゲン全装備重量Σw’が1066.8kN(1067kN)であった場合の表示部23の画面の例を示している。
ステップS14では、重量導出部21eが、反力R1と反力R2と距離L1とに基づいてワーゲン2の重心位置G(ここでは、メインジャッキ52からワーゲン2の重心位置Gまでの水平距離Lx)を導出する。具体的に、重量導出部21eは、反力導出部21cから取得した反力R1と反力導出部21dから取得した反力R2と距離L1とに基づいて水平距離Lxを導出する。例えば重量導出部21eは、上述した式(1)~式(4)によって各水平距離Lxを導出する。
また、重量導出部21eは、導出した水平距離Lxを表示部23に送信する。表示部23は、図9に示されるように、水平距離Lxを画面に表示する。なお、図9は、左右一対のメインフレーム31のそれぞれにおいて、水平距離Lxがともに2021mmであった場合の表示部23の画面の例を示している。
本実施形態において、コントローラ20は、ステップS13,S14を合わせて実行する。ただし、コントローラ20は、ステップS13,S14を別々に実行してもよい。ステップS13,S14を別々に実行する場合、ステップS13においては、距離L1を用いずにワーゲン2の総重量Σwが導出されてもよい。また、ステップS13よりも前にステップS14を実行してもよい。以上により、コントローラ20は、ステップS10の処理を完了する。
次に、ステップS20,S30を順に実行する。なお、ステップS20,S30をコントローラ20が実行してもよいが、本実施形態においては、ステップS20,S30を作業者が実行する。
ステップS20では、ステップS10において計測したワーゲン2の総重量Σwに基づいて、上げ越し量を再設定する(上げ越し量設定工程)。すなわち、ワーゲン2の総重量Σwとワーゲン2の重心位置G(水平距離Lx)とに基づいて上げ越し量が設定され、水平距離Lxは、反力R1,R2と距離L1とに基づいて導出される。例えば、上述したテーブル(それぞれの荷重の大きさと当該荷重の重心位置Gとに応じて、当該荷重によるたわみ量が示されているテーブル)において、ワーゲン2の総重量Σw及び水平距離Lxを更新することにより、上げ越し量を再設定する。ステップS30では、ステップS20において設定した上げ越し量を考慮して、施工高さを再設定する(施工高さ設定工程)。以上により、ステップS05の詳細な工程が完了する。
[作用]
以上説明したように、本実施形態に係るワーゲン総重量計測方法及びワーゲン総重量計測システム10においては、ワーゲン2を支持するメインジャッキ52及びアンカージャッキ62からワーゲン2が受ける反力R1,R2に基づいてワーゲン2の総重量Σwが導出される。このため、ワーゲン2の総重量Σwを取得したい時点における反力R1,R2を計測することによって、施工途中であっても簡易に実際のワーゲン2の総重量Σwを得ることができる。
また、本実施形態に係るワーゲン総重量計測方法において、ステップS11(第2の反力計測工程)では、アンカージャッキ62によってワーゲン本体3の後端側が支持された状態におけるアンカージャッキ62の内部圧力に基づいて反力R2が導出され、ステップS12(第1の反力計測工程)では、アンカージャッキ62の内部圧力が計測される状態におけるメインジャッキ52の内部圧力に基づいて反力R1が導出される。例えば、反力R1又は反力R2を計測するために、メインジャッキ52又はアンカージャッキ62に負荷される荷重を直接計測する場合、ロードセル等の荷重を計測するための装置は、反力R1又は反力R2が作用する方向(例えばメインジャッキ52の直下又はアンカージャッキ62の直下)に設置される。その際には、当該装置の設置に伴いワーゲン本体3のバランスを崩さないようにするため、メインジャッキ52又はアンカージャッキ62の周辺の機構が複雑化することが考えられる。これに対し、各内部圧力に基づいて反力R1,R2が導出される構成によれば、各内部圧力を計測するための装置(ここでは、圧力センサ30,40)は、反力R1又は反力R2が作用する方向以外の方向に設置された状態であっても内部圧力が計測できるため、比較的単純な機構で内部圧力が得られる。このため、機構の複雑化を抑制できる。
ところで、橋桁101の張出施工を行う張出架設方法においては、橋桁101の施工高さを設定する際に、上げ越し量が考慮される。この上げ越し量は、一般に、ワーゲン2の総重量Σwを含む荷重等が施工中の橋桁101に及ぼす影響を考慮して設定される。このため、施工過程においてワーゲン2の総重量Σwが変化した場合、変化後のワーゲン2の総重量Σwを反映させた上げ越し量を考慮して施工高さを設定することが望ましい。しかしながら、従来の張出架設方法においては、このような変化後のワーゲン2の総重量Σwが把握されておらず、施工過程のワーゲン2の総重量Σwの変化に伴う施工精度の低下の抑制が望まれている。
本実施形態に係る張出架設方法は、ワーゲン2によって橋桁101をブロック101aごとに順次張出施工する張出架設方法であって、張出施工の際のブロック101aの施工高さを設定する設定工程と、設定した施工高さに応じてブロック101aを張出施工する施工工程と、を備え、設定工程は、上記のワーゲン総重量計測方法を用いてワーゲン2の総重量Σwを計測するステップS10(ワーゲン総重量計測工程)と、ワーゲン総重量計測工程において計測されたワーゲン2の総重量Σwに基づいて、上げ越し量を設定するステップS20(上げ越し量設定工程)と、上げ越し量を考慮して、施工高さを設定するステップS30(施工高さ設定工程)と、を含んでいてもよい。この場合、ステップS20では、上記のワーゲン総重量計測方法を用いて計測されたワーゲン2の総重量Σwに基づいて上げ越し量を設定するので、施工途中においてワーゲン2の総重量Σwの変化があった場合であっても、変化後の実際のワーゲン2の総重量Σwを反映させた上げ越し量が設定できる。そのため、ステップS30では、変化後のワーゲン2の総重量Σwを反映させた上げ越し量を考慮して施工高さを設定でき、施工精度の低下を抑制できる。
また、ワーゲン2の総重量Σwが変化した場合には、ワーゲン2の総重量Σwが作用する位置(すなわち、ワーゲン2の重心位置G)も変化することが考えられる。そのため、変化後のワーゲン2の総重量Σwと変化後のワーゲン2の重心位置Gとを反映させた上げ越し量を考慮して施工高さを設定することが更に望ましい。
本発明に係る張出架設方法において、ステップS20では、ワーゲン2の総重量Σwと、ワーゲン2の重心位置Gと、に基づいて上げ越し量が設定され、ワーゲン2の重心位置Gは、反力R1と、反力R2と、前方支持部材5と後方支持部材6との距離L1と、に基づいて導出される。これにより、施工途中においてワーゲン2の総重量Σwの変化があった場合でも、変化後の実際のワーゲン2の総重量Σwに加えて、当該ワーゲン2の総重量Σwが作用する重心位置Gを簡易に得ることができるので、変化後のワーゲン2の総重量Σwが施工中の橋桁101に及ぼす影響をより精度よく反映させた上げ越し量を設定できる。
以上の実施形態は、本発明に係るワーゲン総重量計測方法、張出架設方法、及びワーゲン総重量計測システムの一実施形態について説明したものである。本発明に係るワーゲン総重量計測方法、張出架設方法、及びワーゲン総重量計測システムは、上述したワーゲン総重量計測方法、張出架設方法、及びワーゲン総重量計測システム10を任意に変更したものとすることができる。
例えば、上述した実施形態において、ワーゲン総重量計測方法、及びワーゲン総重量計測システム10は、上げ越し量を設定するためのワーゲン2の総重量Σw及びワーゲン2の重心位置Gの導出に適用されたが、ワーゲン総重量計測方法、及びワーゲン総重量計測システム10は、上げ越し量の設定以外におけるワーゲン2の総重量Σw及びワーゲン2の重心位置Gの導出に適用されてもよい。例えば、ワーゲン総重量計測方法、又はワーゲン総重量計測システム10は、メインジャッキ52又はアンカージャッキ62の油圧の大きさを設定するためのワーゲン2の総重量Σw及びワーゲン2の重心位置Gの導出に適用されてもよい。
また、ワーゲン総重量計測方法、及びワーゲン総重量計測システム10は、ワーゲン2の総重量Σw及びワーゲン2の重心位置Gの両方の導出に適用されてもよいし、ワーゲン2の総重量Σwのみの導出に適用されてもよい。
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例では、次のものを用いた。
[ワーゲン]
・型式:一般型
・フレーム数:2
・能力:各150tm(計300tm)
・加算重量(レール重量):各35.6kN(計71.2kN)
[メインジャッキ]
・能力:150t×200st
・受圧面積:34813mm
[アンカージャッキ]
・能力:70t×200st
・受圧面積:16513mm
[圧力センサ]
・高精度デジタル圧力計;KDM30
(実施例1)
実施例1では、反力R2を導出した。まず、上述したステップS111を実行して、アンカージャッキの内部圧力を計測した。計測されたアンカージャッキの内部圧力は14.17MPaであった。次に、上述したステップS112を実行して、反力R2を導出した。導出された反力R2は、234.0kNであった。この反力R2と、同様の荷重を負荷した構造モデルにおける試験による実測値(269.1kN)とを比較すると、両者の誤差が15%以内であることがわかった。したがって、本実施例により、反力R2が精度よく得られることがわかった。
(実施例2)
実施例2では、反力R1を導出した。まず、上述したステップS121を実行して、メインジャッキの内部圧力を計測した。計測されたメインジャッキの内部圧力は21.02MPaであった。次に、上述したステップS122を実行して、反力R1を導出した。導出された反力R1は、731.8kNであった。この反力R1と、同様の荷重を負荷した構造モデルにおける試験による実測値(841.5kN)とを比較すると、両者の誤差が15%以内であることがわかった。したがって、本実施例により、反力R1が精度よく得られることがわかった。
(実施例3)
実施例3では、上述したステップS11~ステップS14を実行して、ワーゲンの総重量Σwを導出した。導出されたワーゲンの総重量Σwは、1009kNであった。このワーゲンの総重量Σwと、ワーゲン本体の重量及び載荷物の重量を足し合わせた計算値(1047kN)とを比較すると、両者の誤差が3.6%であった。したがって、本実施例により、ワーゲンの総重量Σwが精度よく得られることがわかった。
2…ワーゲン、3…ワーゲン本体、4…載荷物、10…ワーゲン総重量計測システム、21c…反力導出部(第1の反力取得部)、21d…反力導出部(第2の反力取得部)、21e…重量導出部(総重量導出部)、52…メインジャッキ、62…アンカージャッキ、100…橋梁、101…橋桁、101a…ブロック、R1…反力(第1の反力)、R2…反力(第2の反力)、G…重心位置、Σw…総重量。

Claims (5)

  1. 橋梁の橋桁上に設置されるワーゲン本体と、前記ワーゲン本体によって吊り支持される載荷物と、を有し、前記橋梁の張出架設に使用されるワーゲンの総重量を計測するワーゲン総重量計測方法であって、
    前記ワーゲン本体の前端側を支持するメインジャッキから前記ワーゲン本体が受ける第1の反力を計測する第1の反力計測工程と、
    前記ワーゲン本体の後端側を支持するアンカージャッキから前記ワーゲン本体が受ける第2の反力を計測する第2の反力計測工程と、
    前記第1の反力と前記第2の反力とに基づいて前記ワーゲンの総重量を導出する工程と、
    を備える、ワーゲン総重量計測方法。
  2. 前記第2の反力計測工程では、前記アンカージャッキによって前記ワーゲン本体の後端側が支持された状態における前記アンカージャッキの内部圧力に基づいて前記第2の反力が導出され、
    前記第1の反力計測工程では、前記アンカージャッキの内部圧力が計測される状態における前記メインジャッキの内部圧力に基づいて前記第1の反力が導出される、
    請求項1に記載のワーゲン総重量計測方法。
  3. 前記ワーゲンによって前記橋桁をブロックごとに順次張出施工する張出架設方法であって、
    張出施工の際の前記ブロックの施工高さを設定する設定工程と、
    設定した前記施工高さに応じて前記ブロックを張出施工する施工工程と、
    を備え、
    前記設定工程は、
    請求項1又は2に記載のワーゲン総重量計測方法を用いて前記ワーゲンの総重量を計測するワーゲン総重量計測工程と、
    前記ワーゲン総重量計測工程において計測された前記ワーゲンの総重量に基づいて、上げ越し量を設定する上げ越し量設定工程と、
    前記上げ越し量を考慮して、前記施工高さを設定する施工高さ設定工程と、
    を含む、橋梁の張出架設方法。
  4. 前記上げ越し量設定工程では、前記ワーゲンの総重量と、前記ワーゲンの重心位置と、に基づいて前記上げ越し量が設定され、
    前記ワーゲンの重心位置は、前記第1の反力と、前記第2の反力と、前記メインジャッキと前記アンカージャッキとの距離と、に基づいて導出される、
    請求項3に記載の橋梁の張出架設方法。
  5. 橋梁の橋桁上に設置されるワーゲン本体と、前記ワーゲン本体によって吊り支持される載荷物と、を有し、前記橋梁の張出架設に使用されるワーゲンの総重量を計測するワーゲン総重量計測システムであって、
    前記ワーゲンの前端側を支持するメインジャッキから前記ワーゲンが受ける第1の反力を取得する第1の反力取得部と、
    前記ワーゲンの後端側を支持するアンカージャッキから前記ワーゲンが受ける第2の反力を取得する第2の反力取得部と、
    第1の反力と第2の反力とに基づいてワーゲン総重量を導出する総重量導出部と、
    を備える、ワーゲン総重量計測システム。
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