JP7085714B2 - 酸素センサ素子 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミック焼結体を用いたガス(酸素)センサ素子の材料組成に関する。
内燃機関の排気ガス等の酸素濃度の検出やボイラの燃焼管理のための酸素濃度の検出等、様々なガス中の酸素濃度検知の要求があり、その酸素濃度の検出素子として種々の材料からなる酸素センサが知られている。例えばセラミック焼結体を用いた酸素センサの材料組成として、LnBa2Cu37-δとLn2BaCuO5(Lnは希土類元素)とを混合した複合セラミックスを用いた酸素センサが知られている(特許文献1)。
上記のようなセラミック焼結体の線材を用いた酸素センサは、電圧を印加すると線材の一部が赤熱するホットスポット現象を用いたホットスポット式酸素センサである。このような酸素センサは、小型化、軽量化、低コスト化、低消費電力化が可能であるが、酸素センサに使用する酸素センサ素子は、その組成材料が水酸化、炭酸化しやすいことから、酸素濃度検出時において水蒸気や炭酸ガス等の周囲のガス成分によりセンサ素子が劣化して、耐久性に乏しくなるという問題があった。
そこで、本発明者らは、耐久性を向上させたセンサ素子の実用化が困難であるとの課題に鑑みて、例えば、既存組成である組成式LnBa2Cu37-δ(Lnは希土類元素で、δは0~1)の一部をカルシウム(Ca)およびランタン(La)で置換した組成を有する酸素センサ素子を提案した。
特開2007-85816号(特許第4714867号)公報
上記のように既存組成LnBa2Cu37-δの一部をCaおよびLaで置換してなる酸素センサ素子は、耐湿性は向上するもCaが偏析しやすい。そのため、酸素センサ素子の製造工程において、原料の混合材料を仮焼きし、仮焼きした材料をボールミル等で粉砕するというサイクルを繰り返す必要がある。
このように酸素センサ素子の製造工程において仮焼→粉砕のサイクルを繰り返して粒を揃える(整粒する)ことは、工程が増えることにより酸素センサ素子の生産性を低下させる要因となるという問題が生じる。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐久性とともに生産性を向上させた酸素センサ素子を提供することである。
上記の目的を達成し、上述した課題を解決する一手段として以下の構成を備える。すなわち、本発明は、セラミック焼結体からなり電圧を印加したときの電流値をもとに酸素濃度を検出する酸素センサ素子であって、前記セラミック焼結体は組成式LnBaCu7-δ(Lnは希土類元素で、δは0~1)で表される第1の組成物の一部を周期表第2属の元素より選択したいずれかの元素、およびランタノイド系の元素より選択したいずれかの元素で置換してなる第2の組成物に対して外掛けでxvol%(0<x<30)の酸化銀(Ag O)または銀(Ag)を添加したことを特徴とする。
例えば本発明の酸素センサ素子において前記第2の組成物は、前記周期表第2属の元素より選択したカルシウム(Ca)と、前記ランタノイド系の元素より選択したランタン(La)とで置換してなり、該第2の組成物を組成式Ln1-zCaBa2-zLaCu7-δで表したとき、置換量zは0.25≦z≦1であることを特徴とする。また、例えば、組成式Ln1-zCaBa2-zLaCu7-δで表される前記第2の組成物の一部を、さらにストロンチウム(Sr)で置換したことを特徴とする。さらには、例えば、組成式Ln1-zCaBa2-zLaCu7-δで表される前記第2の組成物に、組成式LnBaCuOで表される組成物を混合したことを特徴とする。
また、例えば本発明の酸素センサ素子は、セラミック焼結体からなり、電圧を印加したときの電流値をもとに酸素濃度を検出する酸素センサ素子であって、前記セラミック焼結体は組成式LnBaCu7-δ (Lnは希土類元素で、δは0~1)の一部を周期表第2属の元素より選択したいずれかの元素で置換してなる第3の組成物に対して外掛けでxvol%(0<x<30)の酸化銀(AgO)を添加したことを特徴とする。例えば、前記第3の組成物は、前記周期表第2属の元素より選択したストロンチウム(Sr)で置換してなり、該第3の組成物を組成式LnBa2-ySrCu7-δで表したとき、置換量yは0<y≦1.5であることを特徴とする。例えば、組成式LnBa2-ySrCu7-δで表される前記第3の組成物の一部を、さらにカルシウム(Ca)およびランタン(La)で置換したことを特徴とする。また、例えば、組成式LnBa2-ySrCu7-δで表される前記第3の組成物に、組成式LnBaCuOで表される組成物を混合したことを特徴とする。例えば、前記酸化銀(AgO)または銀(Ag)の添加量により前記セラミック焼結体の抗折強度を調整したことを特徴とする。さらには例えば、前記セラミック焼結体は線状体のセンサ素子であることを特徴とする。
また、本発明の酸素センサは、上記いずれかの酸素センサ素子を酸素濃度の検出素子としたことを特徴とする。例えば、前記酸素センサ素子は、両端に通気孔を有する保護管内に収容されていることを特徴とする。
本発明によれば、酸素センサ素子の耐久性のみならず、その生産性ならびに加工性を向上させることができる。
Ca,La置換した組成物に酸化銀(Ag2O)を添加してなる試験用サンプル(実施例)と、Ag2Oを添加しない試験用サンプル(従来例)とについてのX線回折(XRD)測定結果を示す図である。 従来例、およびAg2Oの添加量を変えた実施例についての抗折強度の測定結果を示す図である。 本実施の形態例に係る酸素センサ素子、およびその酸素センサ素子を用いた酸素センサの製造工程を時系列で示すフローチャートである。 本実施の形態例に係る酸素センサ素子を使用した酸素センサの外観斜視図である。
以下、本発明に係る実施の形態例について添付図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態例に係る酸素センサ素子はセラミック焼結体からなり、電源に接続して電流が流れることで焼結体の中央部が高温で発熱し、その発熱箇所(ホットスポットと呼ばれる。)を酸素濃度の検出部としている。また、本実施の形態例に係る酸素センサ素子を酸素検知体とする酸素センサは、センサ素子である焼結体に流れる電流値をもとに酸素濃度を検出する。
<酸素センサ素子について>
酸素濃度の検知体としての、本発明の実施形態1に係る酸素センサ素子は、組成式LnBa2Cu37-δ(以降において、従来組成ともいう。)で表される第1の組成物に、後述する所定量の酸化銀(Ag2O)を添加したセラミック焼結体からなる。
さらに、本発明の実施形態2に係る酸素センサ素子は、本願出願人による特願2018-15922に記載したように、従来組成の一部を、周期表第2属の元素、すなわち、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)より選択した元素と、ランタノイド系の元素、すなわち、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)より選択した元素とで置換してなる第2の組成物に、後述する所定量の酸化銀(Ag2O)を添加したセラミック焼結体からなる。
特願2018-15922では、上記第2の組成物として、従来組成の一部を周期表第2属の元素より選択したカルシウム(Ca)と、ランタノイド系の元素より選択したランタン(La)とで置換してなる組成物であって、組成式Ln1-zCazBa2-zLazCu37-δで表したとき、置換量zは0.25≦z≦1である旨を例示している。
また、本発明の実施形態3に係る酸素センサ素子は、本願出願人による特願2018-15923に記載したように、従来組成LnBa2Cu37-δの一部を、周期表第2属の元素、すなわち、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)より選択したいずれか1つの元素で置換してなる第3の組成物に、後述する所定量の酸化銀(Ag2O)を添加したセラミック焼結体からなる。
特願2018-15923では、上記第3の組成物として、従来組成の一部を周期表第2属の元素より選択したストロンチウム(Sr)で置換してなる組成物であって、組成式LnBa2-ySryCu37-δで表したとき、置換量yは0<y≦1.5である旨を例示している。
上記の各組成式において、Lnは希土類元素(例えば、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Nd(ネオジム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)等)であり、δは酸素欠陥(0~1)を表している。
以降の説明では、従来組成LnBa2Cu37-δの一部をカルシウム(Ca)およびランタン(La)で置換した、組成式Ln1-zCazBa2-zLazCu37-δ(0.25≦z≦1)で表される組成物に、所定量の酸化銀(Ag2O)を添加してなるセラミック焼結体より製造した酸素センサ素子を例に挙げて説明する。
図1は、従来組成の一部をCa,La置換した組成物に酸化銀(Ag2O)を添加してなる組成材料を使用して作製した試験用サンプル(単に「実施例」ともいう。)と、従来組成の一部をCa,La置換して得た材料に酸化銀(Ag2O)を添加しない試験用サンプル(単に「従来例」ともいう。)とについてX線回折(XRD)測定した結果を示している。
ここでは、酸素センサ素子材料である希土類元素としてY(イットリウム)を使用し、酸化イットリウム(Y23)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸バリウム(BaCO3)、酸化ランタン(La23)、酸化銅(CuO)それぞれを、5:10:30:5:60の比率で混合した、組成式Y0.5Ca0.5Ba1.5La0.5Cu37-δで表される組成材料に、外掛けで1vol%の酸化銀(Ag2O)を添加したサンプル(実施例1)、外掛けで10vol%の酸化銀(Ag2O)を添加したサンプル(実施例2)、外掛けで30vol%の酸化銀(Ag2O)を添加したサンプル(実施例3)、および酸化銀(Ag2O)を添加しないサンプル(従来例)それぞれを作製した。
図1に示す各サンプルは、粉砕した原材料を900℃で5時間、仮焼きし、その後、920℃で10時間、焼成して作製した。また、図1は、酸素センサ素子を作製する混合材料について、仮焼→粉砕サイクルを1回実施したときのX線回折(XRD)測定結果である。
図1より、酸化銀(Ag2O)を添加しない従来例にはピークが現れないのに対して、酸化銀(Ag2O)を添加した実施例1~3は、その添加量が増加するほど、組成式Y0.5Ca0.5Ba1.5La0.5Cu37-δ(ICDD:48-0234)で表される組成物(酸素センサ素子)のピークが増加することが分かる。これは、添加したAg2Oが触媒として作用して反応性が向上し、それにより酸素センサ素子として目的とする組成ができやすくなったことを意味すると考えられる。
次に、本実施の形態例に係る酸素センサ素子の機械的強度について説明する。図2は、本実施の形態例に係る酸素センサ素子材料を使用して作製したサンプル(上述した従来例および実施例1~3)の抗折強度を測定した結果である。
ここでは、ファインセラミックスの室温(5~35℃)における曲げ強さを規定するJIS R 1601による三点曲げ試験を行った。すなわち、試験片としての各サンプルについて、その断面形状が長方形の角柱とし、規定された寸法の標準試験片を作製して抗折強度を測定した。
図2より、実施例に係る酸素センサ素子は、Ag2O添加量が増加するにつれて抗折強度が上昇する傾向がみられる。また、Ag2O添加量の異なる各実施例に係る酸素センサ素子を、後述する外形寸法(サイズ)に切断する際の切削性にも違いがみられたことから、Ag2O添加による抗折強度の上昇により、機械的強度が向上することが分かった。
また、図2において、酸化銀(Ag2O)を添加した実施例に係る酸素センサ素子は、Ag2Oの添加量が0vol%である従来例に係るサンプルと対比しても、抗折強度が向上していることが分かる。これらより、Ag2Oの添加量によって、セラミック焼結体(酸素センサ素子)の抗折強度、加工性等を調整することが可能となる。このことは、酸素センサ素子のサイズ径を細くして、省電力化に導く要請に応えることに対して有利に働く。
図2に示す抗折強度の上昇傾向から、Ag2Oの添加量が30vol%を超える場合も、同様の抗折強度の上昇が見込まれ、Ag2Oの添加量が増加するほどAg強度に近づくと推測される。一方、センサ特性の観点からは、Ag2Oの添加量が30vol%を超えるとセンサ素子内でAg部分の導電パスが生じて、それがセンサ特性を低下させる誘因となることも考えられる。
よって、本実施の形態例に係る酸素センサ素子では、所望の反応性等を得るための酸化銀(Ag2O)の添加量xを、センサ素子の組成材料に対して外掛けで0vol%<x<30vol%とする。
ここでは図示等を省略するが、本実施の形態例に係る酸素センサ素子について、40℃、93%RHの環境下に所定時間、放置したときの各サンプルの外観観察およびXRD測定の結果から、特願2018-15923に開示した試験用サンプルと同様、センサ素子の表面に炭酸カルシウム、炭酸バリウム等が生成されて白く変色する現象は生じず、センサ素子の劣化は認められなかった。
また、酸素センサ素子に対する酸素雰囲気(酸素濃度)を周期的に変えたときの各変化点における電流変化の立上がり、および立下り特性等をもとに酸素応答性を評価したところ、本実施の形態例に係る酸素センサ素子は、酸素応答性に関して、特願2018-15923に開示した試験用サンプルと差異がないことも確認できた。
これらより、従来組成LnBa2Cu37-δの一部をCaおよびLaで置換した組成材料にAg2Oを添加してなる本実施の形態例に係る酸素センサ素子についても、熱処理試験等において外観の変化、耐湿性等の耐久性の劣化がなく、酸素応答性等のセンサ特性にも変化がないことが判明した。併せて、このような組成材料におけるAg2Oの触媒効果が確認された。
次に、本実施の形態例に係る酸素センサ素子と、それを用いた酸素センサの製造方法について説明する。図3は、本実施の形態例に係る酸素センサ素子とその酸素センサ素子を用いた酸素センサの製造工程を時系列で示すフローチャートである。
図3のステップS1において、酸素センサ素子の原料を秤量し、それらを混合する。ここでは、酸素センサ素子の材料として、例えばY23,La23,BaCO3,CaCO3,CuO,Ag2Oを、電子天秤等を使用して所定の組成になるように秤量し、混合する。
なお、酸素センサ素子材料のLn(希土類元素)として、ここではイットリウム(Y)を例示しているが、他の単一の希土類元素であっても、あるいは複数の希土類元素を混合してもよく、いずれの希土類元素も使用可能である。この混合体に、さらにLn2BaCuO5を添加してもよい。また、Ag2OはAgによって代替可能である。さらには、Ag2Oに代えて、例えば、Ag23、AgO、炭酸銀(Ag2CO3)、水酸化銀(AgOH)を使用することができる。
ステップS2では、上記ステップS1で秤量・混合した酸素センサ素子原料を、ボールミル装置で粉砕する。粉砕には、粉砕メディアをビーズとするビーズミル等の固相法、液相法でも可能である。
続くステップS3において、上記粉砕された材料(原料粉末)を、大気中において900℃、5時間、熱処理(仮焼き)する。仮焼きにより、反応性や粒径を調整する。仮焼きの温度は、880~970℃でもよいが、900℃~935℃がより好ましい。
次に、造粒工程に移行する。具体的には、ステップS4において造粒粉を作製する。ここでは、仮焼きした混合物にバインダ樹脂(例えば、ポリビニルアルコール(PVA))の水溶液等を加えて造粒粉を作製する。
続くステップS5では、例えば一軸プレス法により造粒粉にプレス圧を印加して成形し、例えば、厚みが300μmの板状部材(プレス成形体)を作製する。成形は、静水圧プレス法、ホットプレス法、ドクターブレード法、印刷法、薄膜法でも可能である。
ステップS6ではダイシングを行なう。ダイシングでは、成形された板状部材を所定の製品サイズおよび形状(例えば、0.3×0.3×7mmの線状体形状)に合わせて切削する。酸素センサ素子は、サイズ径が細い程、省電力に優れることから、製品サイズは上記以外のサイズでもよい。
ステップS7では、上述したダイシング後の酸素センサ素子に対して脱バインダーを行い、その酸素センサ素子を大気中で、例えば、920℃で10時間、焼成する。なお、焼成温度として900~1000℃が可能であるが、組成によって最適温度が異なるため、組成により焼成温度を変えてもよい。この後、アニール処理をしてもよい。
続くステップS8において、酸素センサ素子の両端部に銀(Ag)をディップ塗布し、150℃で10分、乾燥させて電極を形成する。ステップS9では、ステップS8で形成された電極に、例えばφ0.1mmの銀(Ag)ワイヤをワイヤーボンディング等の接合方法により取り付けて、150℃で10分、乾燥する。このようにして形成された端子電極を、ステップS10で、例えば670℃で20分間、焼付けする。
上記の電極およびワイヤ材料は、銀(Ag)以外の材料、例えば、金(Au)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、銅(Cu)、樹脂電極等であってもよい。また、電極のディップには、印刷法、スパッタ等の着膜方法を使用してもよい。さらに、図3における最終工程として、上記の工程を経て製造された酸素センサ素子の電気的特性を、例えば四端子法により評価してもよい。
<酸素センサについて>
本実施の形態例に係る酸素センサ素子を使用する酸素センサは、酸素センサ素子の中央部の発熱箇所(ホットスポット)が酸素濃度の検出部となる。例えば、図4に示す酸素センサ1は、酸素センサ素子の保護部材として機能する、耐熱ガラスからなる円筒形のガラス管4の内部に酸素センサ素子5を収容した構造となっている。ガラス管4の両端には、酸素センサ1が外部と電気的な接続を行うため、例えば銅(Cu)等からなる金属製の導電キャップ(口金)2a,2bが嵌着されている。
酸素センサ素子5の両端部に取り付けた銀(Ag)ワイヤは、導電キャップ2a,2bと無鉛はんだにより電気的に接続され、酸素センサ素子5がガラス管4に接触しないように、酸素センサ素子5の長手方向がガラス管4の軸方向となるように配置されている。また、導電キャップ2a,2bの端面側それぞれに設けた通気孔3a,3bより、測定対象である気体(酸素)がガラス管4内に円滑に流入して、酸素センサ素子5がその気体に晒され、雰囲気の酸素濃度を正確に測定できる。
酸素センサ1の外形寸法(サイズ)は、例えばガラス管の直径が5.2mm、長さが20mm、通気孔の径が2.5mmであり、上述した寸法(0.3×0.3×7mm)の酸素センサ素子は、ガラス管の通気孔を介して交換可能となる。
なお、酸素センサ素子5の保護部材は、上記のガラス管以外に、例えばセラミックケース、樹脂ケース等であってもよい。また、酸素センサ素子5に取り付けた銀(Ag)ワイヤと導電キャップ2a,2bとの接続には、有鉛はんだ、溶接、カシメ等の接合方法を用いてもよい。
また、図示を省略するが、本実施の形態例に係る酸素センサ素子を使用した酸素センサは、電源により酸素センサに所定電圧を印加すると、酸素センサ素子には、周囲の酸素濃度に応じた電流が流れるため、その電流を電流計で計測した値をもとに、測定対象とする雰囲気の酸素濃度を測定する構成を有する。
以上説明したように、本実施の形態例に係る酸素センサ素子は、組成式LnBa2Cu37-δ(Lnは希土類元素)で表される従来組成の組成物に所定量の酸化銀(Ag2O)を添加した組成材料からなる。また、本実施の形態例に係る酸素センサ素子は、従来組成LnBa2Cu37-δの一部を、周期表第2属の元素より選択した元素で置換してなる組成物に所定量の酸化銀(Ag2O)を添加した組成材料からなる。
さらに、本実施の形態例に係る酸素センサ素子は、従来組成の一部を、周期表第2属の元素より選択した元素と、ランタノイド系の元素より選択した元素とで置換してなる組成物に所定量の酸化銀(Ag2O)を添加した組成材料からなる。
このような組成材料において、添加した酸化銀(Ag2O)が触媒として作用して反応性が向上し、Ag2O添加により抗折強度が上昇して酸素センサ素子の機械的強度を向上できる。また、Ag2Oの添加により、酸素センサ素子の製造工程においてCaの偏析が抑制され、仮焼→粉砕のサイクルを繰り返す必要がなくなるため、生産性が向上する。
したがって、センサ特性を損なうことなく耐熱性と耐湿性を向上させた耐久性の高い酸素センサ素子を提供できるとともに、センサ素子の機械的強度が向上することで、センサ素子を線状体等に細線化(ダイシング)する際に切断、切削等の加工が容易になる。
また、上述した実施の形態例では、従来組成の一部をCa,La置換した組成物にAg2Oを添加する例を挙げたが、Ca以外の周期表第2属の他の元素から選択したいずれかの元素と、La以外のランタノイド系の他の元素より選択したいずれかの元素とで置換した組成物にAg2Oを添加しても、Ca,La置換した組成物と同等の効果が奏されることが想定できる。
同様に、従来組成の一部をSr置換した組成物にAg2Oを添加する例についても、Sr以外の周期表第2属の元素より選択した元素で置換してなる組成物にAg2Oを添加しても、Sr置換した組成物と同等の効果が奏されると想定できる。
1 酸素センサ
2a,2b 導電キャップ
3a,3b 通気孔
4 ガラス管
5 酸素センサ素子

Claims (10)

  1. セラミック焼結体からなり、電圧を印加したときの電流値をもとに酸素濃度を検出する酸素センサ素子であって、
    前記セラミック焼結体は組成式LnBaCu7-δ(Lnは希土類元素で、δは0~1)で表される第1の組成物の一部を周期表第2属の元素より選択したいずれかの元素、およびランタノイド系の元素より選択したいずれかの元素で置換してなる第2の組成物に対して外掛けでxvol%(0<x<30)の酸化銀(AgO)または銀(Ag)を添加したことを特徴とする酸素センサ素子。
  2. 前記第2の組成物は、前記周期表第2属の元素より選択したカルシウム(Ca)と、前記ランタノイド系の元素より選択したランタン(La)とで置換してなり、該第2の組成物を組成式Ln1-zCaBa2-zLaCu7-δで表したとき、置換量zは0.25≦z≦1であることを特徴とする請求項1に記載の酸素センサ素子。
  3. 組成式Ln1-zCaBa2-zLaCu7-δで表される前記第2の組成物の一部を、さらにストロンチウム(Sr)で置換したことを特徴とする請求項2に記載の酸素センサ素子。
  4. 組成式Ln1-zCaBa2-zLaCu7-δで表される前記第2の組成物に、組成式LnBaCuOで表される組成物を混合したことを特徴とする請求項2または3に記載の酸素センサ素子。
  5. セラミック焼結体からなり、電圧を印加したときの電流値をもとに酸素濃度を検出する酸素センサ素子であって、
    前記セラミック焼結体は組成式LnBaCu7-δ (Lnは希土類元素で、δは0~1)の一部を周期表第2属の元素より選択したいずれかの元素で置換してなる第3の組成物に対して外掛けでxvol%(0<x<30)の酸化銀(AgO)を添加したことを特徴とする酸素センサ素子。
  6. 前記第3の組成物は、前記周期表第2属の元素より選択したストロンチウム(Sr)で置換してなり、該第3の組成物を組成式LnBa2-ySrCu7-δで表したとき、置換量yは0<y≦1.5であることを特徴とする請求項5に記載の酸素センサ素子。
  7. 組成式LnBa2-ySrCu7-δで表される前記第3の組成物の一部を、さらにカルシウム(Ca)およびランタン(La)で置換したことを特徴とする請求項6に記載の酸素センサ素子。
  8. 組成式LnBa2-ySrCu7-δで表される前記第3の組成物に、組成式LnBaCuOで表される組成物を混合したことを特徴とする請求項6または7に記載の酸素センサ素子。
  9. 前記酸化銀(AgO)または銀(Ag)の添加量により前記セラミック焼結体の抗折強度を調整したことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の酸素センサ素子。
  10. 前記セラミック焼結体は線状体のセンサ素子であることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の酸素センサ素子。
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