JP7085654B2 - アクリダン類のn-アルキル化 - Google Patents

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    • C07D219/04Heterocyclic compounds containing acridine or hydrogenated acridine ring systems with hetero atoms or with carbon atoms having three bonds to hetero atoms with at the most one bond to halogen, e.g. ester or nitrile radicals, directly attached to carbon atoms of the ring system
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Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国仮出願第62/689,811号(2018年6月25日出願)(これはその全体として参照により本明細書に加入される)の優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、高光収率化学発光アクリジニウム化合物の合成において使用されるN-アルキル化アクリダン化合物の、発がん性化学物質1,3-プロパンスルトンを使用しない合成を記載する。本方法はまた、官能化N-アルキル基をアクリジニウム窒素に含有する他の化学発光アクリジニウムの合成のために一般的に適用可能であると期待される。
発明の背景
化学発光アクリジニウム標識は、自動化イムノアッセイにおいて広く使用される。これらの標識は、非置換アクリジニウムフェニルエステル類又はアクリジニウムスルホンアミド類と比較して優れた化学発光安定性を示す(非特許文献1;特許文献1)。N-スルホプロピル基を含有するアクリジニウム標識は親水性であり、そして対応するN-メチルアナログと比較して改善された水溶性を示す(Lawら;特許文献2)。これらの化学発光標識はまた、低い非特異的結合を有し、これはアクリジニウムエステル構造中にポリ(エチレン)グリコール(PEG)又は双性イオンを組み込むことによりさらに軽減され得る(非特許文献2;非特許文献3;特許文献3)。
N-スルホプロピル基を含有するアクリジニウム標識の合成は、アルキル化試薬が溶媒でもあるニート反応で高温にて試薬1,3-プロパンスルトンを用いてアクリジン前駆体をアルキル化することにより通常は達成される(Lawら、特許文献2)。アルキル化試薬に対するヒンダードアクリジン窒素の不十分な反応性により、これらの厳しい条件がN-アルキル化反応のために必要となる。ニート反応は製造目的に使用することができるが、主要な不利な点は、1,3-プロパンスルトンが非常に毒性であり、重大な健康障害を引き起こすということである(非特許文献4;非特許文献5)。ニートアルキル化反応と比較して実質的に減少した量の1,3-プロパンスルトンを用いるイオン性液体中でのアクリジン化合物のN-アルキル化のための合成プロトコルもまた開発された(非特許文献6;特許文献4)。イオン性液体中で1,3-プロパンスルトンを用いたアクリジン前駆体の増加した反応性はまた、副反応又は分解を最少にしながらN-スルホプロピル基を含有する様々な官能化アクリジニウム化合物(例えば、アクリジニウムエステル類又はアクリジニウムスルホンアミド類)の合成を可能にした。さらに、非置換アクリジニウム化合物(すなわち、ここでアクリジニウム環におけるC2-C8炭素位置がそれぞれ非置換である)の合成もまた、イオン性液体中で試薬ナトリウム3-ブロモプロパンスルホナートを用いた対応するアクリダンのN-アルキル化により達成され得る(特許文献5;非特許文献7)。アクリダンN-アルキル化方法は、非置換N-スルホプロピルアクリジニウムエステルの合成のための1,3-プロパンスルトンの使用を排除する。
残念ながら、これらの方法は、電子豊富アクリジニウム化合物の合成には適していない。例えば、これらのアクリジニウム化合物の電子豊富アクリダン前駆体は、イオン性液体中でナトリウム3-ブロモプロパンスルホナートとともに加熱した場合にそれらのアクリジン対応物へと容易に酸化される。合成スキーマ(S1)に見られるように、電子豊富アクリダン類は、アクリダン系の中央環窒素のN-アルキルではなくアクリジンへの酸化を受ける(すなわち、N-アルキルアクリダンは形成されない)。合成スキーマS1において、アクリダンはアクリダン環系のC-2及びC7位置におけるOR及びR’基の存在に起因して電子豊富である。
Figure 0007085654000001
US 8,778,624 US 5,656,426 US 6,664,043 US 8,293,908 US 9,512、080
Law et al、J.Biolumin.Chemilumin.4 (1989):88-98 Natrajan et al、Org.Biomol.Chem.9 (2011):5092-5103 Natrajan et al、Anal.Biochem.406 (2010):204-213 Bolt and Golka、Toxicol.Lett.151 (2004):251-254 Ulland et al、Nature 230 (1971):460-461 Natrajan and Wen、Green Chem.13 (2011):913-921 Natrajan and Wen、Green Chem.Lett.Rev.6 (2013):237-248
したがって、本発明の目的は、これらの制限が除かれたN-アルキル化アクリジン化合物を製造する方法を提供することである。
要旨
本発明は、電子豊富アクリダン類(例えば、1つ又は2つのアルコキシ基をアクリダン環のC-2及び/又はC-7に含有するアクリダン類)が、トリフルオロメタンスルホナート(トリフラート)のような強力なアルキル化剤を用いてアルキル化され得るという発見を部分的に前提とする。これらの電子豊富アクリダン類は、アクリダン環のC(1)~C(8)炭素のそれぞれにおける炭素が水素に結合している同じアクリダンの電子密度よりも大きい電子密度を有するアクリダン化合物である。例えば、電子豊富アクリダンは、式(A1):
Figure 0007085654000002
の構造を有し得、
式中、「m」及び「n」は独立して0~4(すなわち、0、1、2、3、又は4)であり、そして「m」又は「n」の少なくとも1つは0より大きく;
及びRは電子供与基(例えば、アルコキシ)から独立して選択され;そして
は、水素又は、1つもしくはそれ以上(例えば、1~20)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、I)で場合により置換されたC-C45炭化水素ラジカル(例えば、C-C30、C-C20、C-C10、C-C15、C-C30、C-C40、C10-C40)であり、そしてここでRは、双性イオン基(例えば、-Z)及び/又は双性イオンリンカー基(例えば、-Z-)を場合により含んでいてもよい。
保護されたスルホナートトリフラート反応物においてトリフラート脱離基が結合しているRの炭素原子上での、アクリダン環系の中央環における窒素原子による求核攻撃を通して反応が進行する。大部分の実施態様において、保護されたスルホナートトリフラートの炭化水素連結基(-R-)は、トリフラート脱離基に結合された炭素原子を含む。≧80%の変換を伴うこのような反応の例は、
Figure 0007085654000003
により説明される。
アクリダン化合物のN-アルキル化のための方法は、式(R1):
Figure 0007085654000004
[式中、Gは酸に不安定な保護基であり;そして
-R-は、それぞれ独立して、1つ又はそれ以上(例えば、1~5、1、2、3、4、5)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、I)、及びそれらの組み合わせで場合により置換されたC1-20直鎖又は分枝二価炭化水素ラジカルから選択され;そしてここでRは、双性イオンリンカー基(例えば、-Z-)を場合により含む]
の構造を有する保護されたスルホナートトリフラート化合物とアクリダン化合物を反応させることを含み得る。大部分の実施態様において、アクリダンはアクリダン環系の中央窒素においてN-アルキル化される。
これらのN-アルキル化反応は、遅いが典型的には良好な変換(≧80%)で進行し、次いで生成物N-アルキル化アクリダン類は、N-アルキルアクリジニウム化合物(例えば、N-アルキルアクリジニウムエステル、N-アルキルアクリジニウムスルホンアミド)へと容易に酸化され得る。
Figure 0007085654000005
いくつかの実施態様において、:
(a) 保護されたスルホナートトリフラートを用いてアクリダンをN-アルキル化すること;及び
(b) N-アルキルアクリダンを酸化してN-アルキルアクリダンを保護されたアクリジニウムに変換すること
を含む、保護されたアクリジニウム化合物の合成のための方法も提供される。
N-アルキルアクリダン類又はN-アルキルアクリジニウムの合成は、アクリジン化合物を還元してアクリダンを生成することをさらに含み得る。いくつかの実施態様において、保護されたアクリジニウムを、このような脱保護における反応物と適合性の条件下で酸の存在化にて脱保護して、双性イオン性アクリジニウムを生成し得る。
保護されたスルホナートトリフラートを使用したこれらのN-アルキル化反応は、アクリダン環系の中央環窒素への、炭化水素に結合された保護基を有するスルホナートの導入を生じる。N-アルキル化アクリダンのその後の酸化、続いてスルホナート上の保護基の除去は、アルコキシ置換N-スルホプロピルアクリジニウム化合物の形成をもたらす。理論に束縛されることを望まないが、トリフラートアルキル化試薬の増加した反応性と組み合わせた、それらのアクリジン前駆体と比較して増加したアクリダンの反応性は、この化学変換における増加した変換の主な原因であると考えられる。さらに、アクリダンよりもむしろアクリダンアナログがN-アルキル化反応に使用される場合、典型的には不十分な変換が観察される。このような不十分な変換は、高度に反応性のトリフラートアルキル化試薬を用いても起こる。例えば、2,7-ジメトキシアクリジンメチルエステルの3-ブロモプロピルトリフラートとの反応は、非常に低い変換をもたらした。同様に、電子豊富アクリダンとの臭化物又はヨウ化物のようなより低い反応性のアルキル化試薬の使用もまた不十分な変換をもたらした。
Figure 0007085654000006
保護されたスルホプロピルトリフラートを用いた反応性電子豊富アクリダン類のN-アルキル化は、スルホナート保護基を含有するN-アルキルアクリダン類を生じる有効なN-アルキル化をもたらす。これらのN-アルキル化アクリダン類は、化学発光アクリジニウム化合物の合成において使用され得る。いくつかの実施態様において、N-アルキル化アクリダンは、式(NA1):
Figure 0007085654000007
[式中、「m」及び「n」は独立して0~4であり、そして「m」又は「n」の少なくとも1つは0より大きく;
及びRは電子供与基から独立して選択され;
は、水素又は、1つもしくはそれ以上(例えば、1~20)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、I)で場合により置換されたC-C45炭化水素ラジカルであり、そしてここでRは、双性イオン基(例えば-Z)及び/又は双性イオンリンカー基(例えば、-Z-)を場合により含んでいてもよく;
-R-はそれぞれ独立して、1つ又はそれ以上(例えば、1~5)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、Iなど)、及びそれらの組み合わせで場合により置換されたC1-20直鎖又は分枝二価炭化水素ラジカルから選択され;そしてここでRは 双性イオンリンカー基(例えば、-Z-)を場合により含み;そして
Gは酸に不安定な保護基である]
に従う構造を有し得る。
本明細書に記載される合成は、電子豊富アクリダン類のN-アルキル化のために特に有用である。例えば、電子豊富アクリダンは、式(A1):
Figure 0007085654000008
[式中、「m」及び「n」は独立して0~4であり、そして「m」又は「n」の少なくとも1つは0より大きく;
及びRは電子供与基から独立して選択され;そして
は、水素又は、1つもしくはそれ以上(例えば、1~20)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、I)で場合により置換されたC-C45炭化水素ラジカル(例えば、C-C30、C-C20、C-C10、C-C15、C-C30、C-C40、C10-C40)であり、そしてここでRは、双性イオン基(例えば-Z)及び/又は双性イオンリンカー基(例えば、-Z-)を場合により含んでいてもよい]の構造により表され得る。これらの電子豊富アクリダン類は、R及びRがそれぞれ水素である同じアクリダンの電子密度よりも大きい電子密度を有するアクリダン化合物である。
特定の実施態様において、アクリダンは、アクリダン環のC-2及び/又はC-7にアルコキシ基を含有する電子豊富アクリダンであり、そして高度に反応性のアルキル化試薬はトリフルオロメタンスルホナートである。好ましい実施態様において、アルキル化試薬は、スルホナート上に保護基を有するN-スルホプロピル基を含有するN-アルキル化アクリダンを生じるスルホナート保護スルホプロピルトリフラートである。アクリダンのアクリジニウムエステルへの酸化、続いてスルホナート上の保護基の除去により保護されたアクリジニウム化合物が生じる。保護されたアクリジニウム化合物は、構造
Figure 0007085654000009
を有し得る。
この合成プロコトルは、高光収率電子豊富アクリジニウムエステル類の構築のための発がん性化学物質1,3-プロパンスルトンの使用を完全に排除する。発がん性アルキル化試薬1,3-プロパンスルトンの排除は、臨床診断学のためのこれらの高光出力標識のより環境に優しい合成を提供する。さらに、このような反応は、イオン性液体の存在下で起こっても起こらなくてもよい。本明細書に記載される化学合成は、アクリジニウム環のC-9位置(すなわち、式(A1)におけるRに結合した炭素)における官能基とは別のアクリダンの反応性を利用する。典型的には、この官能基は、発光化学種である励起状態アクリドンの形成によりアクリジニウム複合体における化学発光をもたらす。C-9における官能基はこれらのN-アルキル化スキーマにおいて関与していないので、本明細書に記載される合成機構は、アクリダンエステル及びアクリダンスルホンアミド類を含む様々なアクリダン化合物で動作する。いくつかの実施態様において、アクリダンはアクリダンエステルである。他の実施態様において、アクリダンはアクリダンスルホンアミドである。したがって、様々なクラスの化学発光アクリジニウム化合物(及びそれらのそれぞれの中間体)が、化学発光アクリジニウムエステル及び化学発光アクリジニウムスルホンアミド類を含めて、記載される方法により製造され得る。
図1は、本発明の方法を使用して合成されたN-スルホプロピルイソプロポキシアクリジニウムエステル(化合物5)のHPLCトレースである。 図2は、本発明の方法を使用して合成されたN-スルホプロピルPEGアクリジニウムエステル(化合物6)のHPLCトレースである。
詳細な説明
便宜上、実施例及び添付の特許請求の範囲を含めて本明細書において使用される特定の用語は、ここに集められる。別の規定がなけれれば、本明細書において使用される全ての技術的及び科学的用語は、この開示が属する分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
別に明示的に定義されていなければ、以下の用語及び句は、本開示全体を通して以下の意味を有することを意図される:
本明細書において示される全てのパーセンテージは、別の指示がなければ、担体を含めて組成物全体と比較した特定の成分の質量パーセンテージを指す。当然のことながら、組成物内の個々の成分の全ての質量%の合計は100%を超えない。
本明細書において使用される用語「a」又は「an」は1つ又はそれ以上を意味する。本明細書において使用される用語「本質的に~からなる」は、特定の材料又は工程、及び本明細書を読むことから理解されるように、特許請求される発明の基礎及び新規の特徴に実質的に影響を及ぼさないものに本発明を限定することを意図される。
他に記載されていなければ、様々な基又は置換基の以下の定義が使用される。ラジカル、置換基、及び範囲について以下に列挙される特定の値及び一般的な値は説明のためのみのものであり;ラジカル及び置換基について他の定義された値又は定義された範囲内の他の値を排除しない。他に記載されていなければ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシなどは、直鎖、分枝、及び環状の基、さらにはそれらの組み合わせを示す。
用語「炭化水素」は、炭素及び水素原子を含有するラジカル又は基を指す。炭化水素ラジカルの例としては、限定することなく、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリール-アルキル、アルキル-アリール、及びそれらのいずれかの組み合わせ(例えば、アルキル-アリール-アルキルなど)が挙げられる。別の指示がなければ、本明細書で使用される炭化水素は、一価又は多価(例えば、二価、三価など)の炭化水素ラジカルであり得る。メチレンラジカル、すなわち、-CH-を含む形式-(CH-のラジカルは、それが炭素原子間に不飽和結合を有していない場合はアルキルラジカルとみなされる。他に特定されていなければ、全ての炭化水素ラジカル(置換及び非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリール-アルキル、アルキル-アリールなどを含む)は、1~45個の炭素原子を有し得る(例えば、C-C30、C-C20、C-C10、C-C15、C-C30、C-C40、C10-C40、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、C30、C31、C32、C33、C34、C35、C36、C37、C38、C39、C40、C41、C42、C43、C44、C45)。特定の実施態様において、炭化水素は5~35又は1~20又は1~12又は1~8又は1~6又は1~3個の炭素原子を有し、これらとしては例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の炭素原子を有する実施態様が挙げられる。例えば、炭化水素は、約2~約70個の原子又は4~約60個の原子又は4~約20個の原子を有し得る。
「置換(された)」炭化水素は、置換基として1つもしくはそれ以上の炭化水素ラジカル、置換炭化水素ラジカルを有し得、又は1つもしくはそれ以上のヘテロ原子を含み得る。本明細書に開示されるいずれの炭化水素置換基も場合により1~20(例えば、1~10、1~5など)のヘテロ原子を含み得る。置換炭化水素ラジカルの例としては、限定することなく、複素環、例えばヘテロアリールが挙げられる。他に特定されていなければ、1つ又はそれ以上のヘテロ原子で置換された炭化水素は、1~20のヘテロ原子を含む。他の実施態様において、1つ又はそれ以上のヘテロ原子で置換された炭化水素は、1~12又は1~8又は1~6又は1~4又は1~3又は1~2のヘテロ原子を含む。ヘテロ原子の例としては、限定されないが、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)、ホウ素、ケイ素等が挙げられる。いくつかの実施態様において、ヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、及びハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)からなる群より選択される。好ましい実施態様において、ヘテロ原子は、O、N、又はSから選択され得る。いくつかの実施態様において、ヘテロ原子又は基は炭素を置換し得る。いくつかの実施態様において、ヘテロ原子又は基は水素を置換し得る。いくつかの実施態様において、置換された炭化水素は、分子の骨格又は鎖に1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含み得る(例えば、「オキサ」として、2つの炭素原子の間に入る)。いくつかの実施態様において、置換炭化水素は、分子の骨格又は鎖からぶら下がった(pendant)1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含み得る(例えば、「オキソ」として、鎖又は骨格における炭素原子に共有結合で結合される)。
さらに、本明細書で使用される句「[n]で置換された」は、特定の基が、指名された置換基のいずれか又は全ての1つ又はそれ以上で置換されていてもよいということを意味する。例えば、アルキル又はヘテロアリール基のような基が「非置換C-C20アルキル、又は非置換2~20員ヘテロアルキルで置換されている」場合、その基は1つもしくはそれ以上の非置換C-C20アルキル、及び/又は1つもしくはそれ以上の非置換2~20員ヘテロアルキルを含有し得る。さらに、部分がR置換基で置換される場合、その基は「R置換されている」と呼ばれ得る。部分がR置換されている場合、その部分は少なくとも1つのR置換基で置換され、そして各R置換基は場合により異なる。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるいずれの炭化水素又は置換炭化水素も、1つ又はそれ以上(例えば、1~6又は1~4又は1~3又は1もしくは2もしくは3)の置換基Xsubで置換され得、ここで、Xsubは、それぞれ独立して、1つもしくはそれ以上(例えば、1~20)のヘテロ原子もしくは1つもしくはそれ以上(例えば、1~10)のヘテロ原子含有基から選択され、又はXsubは、それぞれ独立して、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-OR、-NH、-NHR、-N(R、-N(R 、-N(R)-OH、-N(→O)(R、-O-N(R、-N(R)-O-R、-N(R)-N(R、-C=N-R、-N=C(R、-C=N-N(R、-C(=NR)(-N(R)、-C(H)(=N-OH)、-SH、-SR、-CN、-NC、-CHF、-CCl、-CFCl、-CFCl、-C(=O)-R、-CHO、-COH、-C(O)CH、-CO 、-CO、-C(=O)-S-R、-O-(C=O)-H、-O-(C=O)-R、-S-C(=O)-R、-(C=O)-NH、-C(=O)-N(R、-C(=O)-NHNH、-O-C(=O)-NHNH、-C(=S)-NH、-(C=S)-N(R、-N(R)-CHO、-N(R)-C(=O)-R、-C(=NR)-OR、-O-C(=NR)-R、-SCN、-NCS、-NSO、-SSR、-N(R)-C(=O)-N(R、-CH、-CH-CH、-CH-CH-CH、-C(H)(CH2、-C(CH、-N(R)-C(=S)-N(R、-S(=O)1-2-R、-O-S(=O)-R、-S(=O)-OR、-N(R)-S(=O)-R、-S(=O)-N(R、-O-SO、-O-S(=O)-OR、-O-S(=O)-OR、-O-S(=O)-R、-S(=O)-OR、-S(=O)-R、-NO、-NO、-NO、-O-NO、-O-NO、-N、-N-R、-N(C)、-Si(R、-CF、-O-CF、-O-CHF、-O-CH、-O-(CH1-6CH、-OC(H)(CH -OC(CH、-PR 、-O-P(=O)(OR、又は-P(=O)(ORから選択され;ここで、それぞれ独立して、RはH又はC1-10もしくはC1-8もしくはC1-6もしくはC1-4非置換炭化水素であり得、これらとしては、限定することなく、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール(例えば、フェニル)、アルキル-アリール(例えば、ベンジル)、アリール-アルキル(例えば、トルイル)が挙げられる。いくつかの実施態様において、XsubはC-C又はC-C又はC-Cペルフルオロアルキルを含み得る。いくつかの実施態様において、Xは、C-C又はC-C又はC-C複素環(例えば、ヘテロアリールラジカル)を含み得る。用語「ハロ」又は[ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素のいずれかのラジカルを指す。特定の実施態様において、Xsubは、それぞれ独立して、-OH、-SH、-NH、-N(R、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(O)NR、-C(O)OH、-C(O)NH、F、又は-Clから選択される。いくつかの実施態様において、XsubはFである。いくつかの実施態様において、Rは水素、又は低級アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルのようなC-C直鎖又は分枝アルキル)である。いくつかの実施態様において、Rは水素、又は低級アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、又はイソプロポキシのようなC1-C5直鎖又は分枝アルコキシ)である。いくつかの実施態様において、Xsubは-CF又は-O-CFである。いくつかの実施態様において、Xsubは、アニオン電荷を提供して、直接又は間接的に共有結合で結合されたいずれかのカチオン電荷を相殺し、そして双性イオン(例えば、双性イオン連結基-Z-又は双性イオン基-Z)を形成し得る。いくつかの実施態様において、Xsubは、カルボキシレート(-C(O)O)、スルホナート(-SO )、サルフェート(-OSO )、ホスフェート(-OP(O)(OR)O)、又はオキシド(-O)であり得、そしてRP-は、水素又は、10個までのヘテロ原子で場合により置換されたC1-12炭化水素である。
当然のことながら、本明細書における化合物の記載は、当業者に公知の化学結合の原理により限定される。したがって、基が多数の置換基の1つ又はそれ以上により置換され得る場合、このような置換は、原子価などに関して化学結合の原理に適合し、そして本質的に不安定ではない化合物を生じるように選択される。例えば、いずれの炭素原子も、炭素の4つの原子価電子と一致する2、3、又は4つの他の原子に結合される。
一般に、そして別の指示がなければ、置換基(ラジカル)の前に付いた名称は、(i)「アン(ane)」を、もしくは親ヒドリドにおいて接尾語「イル(yl)」、「ジイル(diyl)」、「トリイル(triyl)」、「テトライル(tetrayl)」などで置き換えることにより;又は(ii)親ヒドリドにおける「e」を接尾語「イル(yl)」、「ジイル(diyl)」、「トリイル(triyl)」、「テトライル(tetrayl)」などで置き換えることにより、親ヒドリドから誘導される(ここで自由原子価を有する原子は、特定されている場合、親ヒドリドいずれかの確立されたナンバリングと一致する程度に低い数を与えられる)。許容されている短縮名、例えば、アダマンチル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、フリル、ピリジル、イソキノリル、キノリル、及びピペリジル、並びに慣用名、例えば、ビニル、アリル、フェニル、及びチエニルもまた本明細書全体を通して使用される。ステロイド類のラジカルもまた、「イル(yl)」、「ジイル(diyl)」、「トリイル(triyl)」、「テトライル(tetrayl)」などの接尾語を用いて指定される。従来のナンバリン/レタリングシステムはまた、縮合、スピロ、二環式、三環式、多環式環の置換基ナンバリング及び命名法に従う。
用語「アルキル」は、示された数の炭素原子を含有する直鎖でも分枝鎖でもよい飽和炭化水素鎖を指す。例えば、C-Cアルキルは、その基が1~6(両端を含めて)個の炭素原子を有し得るということを示す。いずれの原子も1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換され得る。アルキル基の例としては、限定することなく、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、及びtert-ブチルが挙げられる。本明細書において言及されるいずれのアルキル基(例えば、R、R’、R’’、R、R、R、R、R)も1~45個の炭素原子を有し得る。他の実施態様において、アルキル基は、1~30又は1~20又は1~12又は1~8又は1~6又は1~3個の炭素原子を有し、これらとしては、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の炭素原子を有する実施態様が挙げられる。
用語「ハロアルキル」は、少なくとも1つの水素原子がハロで置き換えられているアルキル基を指す。いくつかの実施態様において、1つより多くの水素原子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14など)がハロで置き換えられている。これらの実施態様において、水素原子は、それぞれ同じハロゲン(例えば、フルオロ)で置換されていてもよく、又は水素原子は異なるハロゲン(例えば、フルオロ及びクロロ)の組み合わせで置換されていてもよい。「ハロアルキル」はまた、全ての水素がハロで置き換えられているアルキル部分を含む(ペルハロアルキル、例えば、トリフルオロメチルのようなペルフルオロアルキルと本明細書で呼ばれることもある)。いずれの原子も、例えば、1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換され得る。
本明細書において言及される用語「アルコキシ」は、式-O(アルキル)の基を指す。アルコキシは、例えばメトキシ(-OCH)、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、iso-ブトキシ、sec-ブトキシ、ペントキシ、2-ペントキシ、3-ペントキシ、又はヘキシルオキシであり得る。同様に、用語「チオアルコキシ」は式-S(アルキル)の基を指す。最後に、用語「ハロアルコキシ」及び「ハロチオアルコキシ」は、それぞれ-O(ハロアルキル)及び-S(ハロアルキル)を指す。本明細書で使用される、単独で又は他の用語と組み合わされて使用される用語「ヒドロキシル」は、式-OHの基を指す。ヒドロキシアルキルは、ヒドロキシで置換されたアルキル基(例えば、-(アルキル)-OH)を指す。本明細書において言及されるいずれのアルコキシ、チオアルコキシ、又はハロアルコキシ基(例えば、R、R’、R’’、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12)も1~35個の炭素原子を有し得る。他の実施態様において、アルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、又はハロアルコキシ基は、1~30又は1~20又は1~12又は1~8又は1~6又は1~3個の炭素原子を有し、これらとしては、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の炭素原子を有する実施態様が挙げられる。
用語「アラルキル」は、アルキル水素原子がアリール基(例えば、フェニル、ナフチル)で置き換えられたアルキル部分を指す。アルキル部分の炭素のうちの1つは、アラルキル基の別の部分への結合点として役立つ。いずれの環又は鎖原子も、例えば1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換され得る。「アラルキル」の非限定的な例としては、ベンジル、2-フェニルエチル、及び3-フェニルプロピル基が挙げられる。
用語「アルケニル」は、示された数の炭素原子を含有し、かつ1つ又はそれ以上の炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分枝炭化水素鎖を指す。いずれの原子も、例えば1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換され得る。アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、1-ブテニル、及び2-ヘキセニルが挙げられる。二重結合炭素のうちの1つは、場合によりアルケニル置換基の結合点になり得る。本明細書において言及されるいずれのアルケニル基(例えば、R、R’、R’’、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12)も、1~35個の炭素原子を有し得る。他の実施態様において、アルケニル基は、1~20又は1~12又は1~8又は1~6又は1~3個の炭素原子を有し、これらとしては、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の炭素原子を有する実施態様が挙げられる。
用語「アルキニル」は、示された数の炭素原子を含有し、かつ1つ又はそれ以上の炭素-炭素三重結合を有する直鎖又は分枝炭化水素鎖を指す。アルキニル基は、例えば1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換され得る。アルキニル基としては、例えば、エチニル、プロパルギル、及び3-ヘキシニルが挙げられ得る。三重結合炭素のうちの1つは、場合によりアルキニル置換基の結合点であり得る。
用語「ヘテロシクリル」は、O、N(他の指示がなければ、1つ又は2つのさらなる基(例えば、R)が第三級窒素原子価を完成させ、かつ/又は塩を形成するように存在し得るということが理解される)、又はSから独立して選択される1つ又はそれ以上の構成ヘテロ原子環原子を有する、完全に飽和した、部分的に飽和した、又は芳香族の単環式、二環式、三環式、又は他の多環式環系を指す。ヘテロ原子又は環炭素は、ヘテロシクリル置換基の別の部分への結合点になり得る。いずれの原子も、例えば、1つ又はそれ以上の置換基(例えばヘテロ原子又は基Xsub)で場合により置換され得る。ヘテロシクリル基としては、例えば、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ピペリジル(ピペリジノ)、ピペラジニル、モルホリニル(モルホリノ)、ピロリニル、及びピロリジニルが挙げられ得る。例として、句「環原子の1~2個がN、NH、N(C-Cアルキル)、NC(O)(C-Cアルキル)、O、及びSから独立して選択され;そして、1~3個の独立して選択されるR’’で場合により置換される、5~6個の環原子を含有する複素環としては、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ピペリジル(ピペリジノ)、ピペラジニル、モルホリニル(モルホリノ)、ピロリニル、及びピロリジニルが挙げられる(がこれらに限定されない)だろう。
用語「ヘテロシクロアルケニル」は、O、N(1つ又は2つのさらなる基が窒素原子価を完成させ、かつ/又は塩を形成するために存在していてもよいということが理解される)、又はSから独立して選択される1つ又はそれ以上(例えば、1~4)のヘテロ原子環原子を有する、部分的に不飽和の単環式、二環式、三環式、又は他の多環式炭化水素基を指す。環炭素(例えば、飽和又は不飽和)又はヘテロ原子は、ヘテロシクロアルケニル置換基の結合点になり得る。いずれの原子も、例えば、1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換され得る。ヘテロシクロアルケニル基としては、例えば、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ジヒドロピラニル、4,5-ジヒドロオキサゾリル、4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾリル、1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジニル、及び5,6-ジヒドロ-2H-[1,3]オキサジニルが挙げられ得る。
用語「シクロアルキル」は、完全に飽和した単環式、二環式、三環式、又は他の多環式炭化水素基を指す。いずれの原子も、例えば、1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換され得る。環炭素は、シクロアルキル基の別の部分への結合点として役立つ。シクロアルキル部分としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、及びノルボルニル(ビシクロ[2.2.1]ヘプチル)が挙げられ得る。
用語「シクロアルケニル」は、部分的に不飽和の単環式、二環式、三環式、又は他の多環式炭化水素基を指す。環炭素(例えば、飽和又は不飽和)はシクロアルケニル置換基の結合点である。いずれの原子も、例えば、1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換され得る。シクロアルケニル部分としては、例えば、シクロヘキセニル、シクロヘキサンジエニル、又はノルボルネニルが挙げられ得る。
本明細書で使用される用語「シクロアルキレン」は、示された数の環原子を有する二価単環式シクロアルキル基を指す。
本明細書で使用される用語「ヘテロシクロアルキレン」は、示された数の環原子を有する二価単環式ヘテロシクリル基を指す。
用語「アリール」は、単環式、二環式(2つの縮合した環)、又は三環式(3つの縮合した環)、又は多環式(>3つの縮合した環)の芳香族炭化水素環系を指す。1つ又はそれ以上の環原子が、例えば、1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換され得る。アリール部分としては、例えば、フェニル及びナフチルが挙げられる。
用語「ヘテロアリール」は、O、N(1つ又は2つのさらなる基が、窒素原子価を完成させ、かつ/又は塩を形成するために存在していてもよいということが理解される)、又はSから独立して選択される1つ又はそれ以上のヘテロ原子環原子を環中に有する、単環式、二環式(2つの縮合した環)、又は三環式(3つの縮合した環)、又は多環式(>3つの縮合した環)の芳香族炭化水素基を指す。1つ又はそれ以上の環原子が、例えば、1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換され得る。ヘテロアリール基の例としては、限定されないが、2H-ピロリル、3H-インドリル、4H-キノリジニル、アクリジニル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾチアゾリル、β-カルボリニル、カルバゾリル、クマリニル、クロメニル、シンノリニル、ジベンゾ[b,d]フラニル、フラザニル、フリル、イミダゾリル、イミジゾリル(imidizolyl)、インダゾリル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサゾリル、ペリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル(phenarsazinyl)、フェナジニル、ヘノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、及びキサンテニルが挙げられる。
一般に、特定の変数についての定義が水素及び非水素(例えば、ハロ、アルキル、アリール)の両方の可能性を含む場合、用語「水素以外の置換基」は、その特定の変数について非水素の可能性を集合的に言及するものである。
一般に、本明細書において列挙されるいずれかの範囲の限界(終点)は、本発明の範囲内であり、そして開示される実施態様であると理解されるべきである。例えば、0~4の範囲は、0、1、2、3、4、及びその範囲内のいずれのサブセット(例えば、0~2、0~3、0~4、1~2、1~3、1~4、2~3、2~4、3~4)も明示的に開示する。
用語「置換基」は、例えば、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルケニル、シクロアルケニル、アリール又はヘテロアリール基上でその基のいずれかの原子においてその1つ又はそれ以上の水素原子を置き換えて「置換されている」基を指す。一局面において、基上の置換基は、独立して、その基について記述されている許容される原子又は原子の群のうちの1つの単一のもの、又は2つもしくはそれ以上のいずれかの組み合わせである。別の局面において、置換基自体が上記置換基のいずれか1つで置換されていてもよい。さらに、本明細書で使用される句「場合により置換される」は、非置換である(例えば、Hで置換されている)か又は置換されていることを意味する。所定の原子での置換は原子価により限定されるということが理解される。一般的な置換基としては、ハロ(例えばF)、C1-12直鎖又は分枝鎖アルキル、C2-12アルケニル、C2-12アルキニル、C3-12シクロアルキル、C6-12アリール、C3-12ヘテロアリール、C3-12ヘテロシクリル、C1-12アルキルスルホニル、ニトロ、シアノ、-COOR、-C(O)NRR’、-OR、-SR、-NRR’、及びオキソ、トリフルオロメトキシ、塩素、臭素、フッ素、メチル、メトキシ、ピリジル、フリル、トリアジル、ピペラジニル、ピラゾイル、イミダゾイルなどのような部分での例えば一置換、又は二置換、又は三置換が挙げられ、それぞれハロ、N、O、S、及びPのような1つ又はそれ以上のヘテロ原子を場合により含有する。R及びR’は独立して、水素、C1-12 アルキル、C1-12ハロアルキル、C2-12アルケニル、C2-12アルキニル、C3-12シクロアルキル、C4-24シクロアルキルアルキル、C6-12アリール、C7-24アラルキル、C3-12ヘテロシクリル、C3-24ヘテロシクリルアルキル、C3-12ヘテロアリール、又はC4-24ヘテロアリールアルキルである。他に示されていなければ、本明細書に記載される全ての基は、原子価により許容される程度まで、1つ又はそれ以上の一般的な置換基を場合により含有する。本明細書で使用される用語「置換される」は、水素及び/又は炭素原子が除去され、そして置換基(例えば、一般的な置換基)で置き換えられていることを意味する。修飾語「場合により置換された」又は「置換された」を伴わないアルキルのような置換基(ラジカル)接頭辞の使用は、特定の置換基が非置換であることを意味すると理解される。しかし、修飾語「場合により置換された」又は「置換された」を伴わない「ハロアルキル」は、少なくとも1つの水素原子がハロにより置き換えられたアルキル基を意味するとなお理解される。同様に、修飾語「場合により置換された」を伴わない「ヘテロアルキル」及び他の「ヘテロ」修飾炭化水素の使用は、炭化水素における炭素原子がO、N、又はSで置き換えられているということを意味するとなお理解される。
いくつかの実施態様において、炭化水素(例えば、R、R’、R’’、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12)は基-L又は-R-Lを含み、ここでLは、検体、検体アナログ、又は検体の結合パートナーと結合体を形成するための脱離基、求電子性基、又は求核性基を含む誘導体化可能な官能基である。いくつかの実施態様において、Lは:
Figure 0007085654000010
からなる群より選択され;
ここで、Rはそれぞれ独立して、水素又はC-C10炭化水素(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル)であり;そして
は、二価C-C10炭化水素(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル)である。
いくつかの実施態様において、炭化水素は双性イオン基を含んでいてもよい。双性イオン基は、形式:
Figure 0007085654000011
を有し得、式中、Xはそれぞれ独立して、結合、-CH-、酸素、硫黄、-NR-、アミド(-NR(CO)-)、カルバメート(-NRC(O)O-)、又は尿素(-NRC(O)NR-)から選択され;
R’及びR’’は、それぞれ独立して、それぞれ20個までのヘテロ原子を含有する、C1-35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、又はアラルキルから選択され;
は基-R-Xであり、ここでXは、カルボキシラート(-COO)、スルホナート(-SO )、サルフェート(-OSO )、ホスフェート(-OP(O)(OR)(O))、又はオキシド(-Oのようなアニオン基であり、
nは、それぞれ独立して、1と12との間の整数であり;
は、それぞれ独立して、それぞれ20個までのヘテロ原子を含有する、C1-35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、又はアラルキル基から選択され;
は、存在していなくても(すなわち、結合である)、それぞれ20個までのヘテロ原子を場合により含有する、C1-35アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、又はアラルキル基から選択される二価ラジカルであってもよく;そして
は、低級アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルのようなC-C直鎖又は分枝アルキル)である。より詳細には、Zは基:
Figure 0007085654000012
[ここでnは1~12の整数であり、そしてmは0~3の整数である]
であってもよい。
いくつかの実施態様において、炭化水素(例えば、-R-、R、R’、R’’、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12)は、双性イオンリンカー又は双性イオン連結部分を有する二価炭化水素リンカーを含んでいてもよい。双性イオンリンカーは、構造:
Figure 0007085654000013
[ここで、「m」は0(すなわち、結合である)又は1であり;
「n」及び「p」は、それぞれ独立して、0(すなわち結合である)から10の整数であり;
はアニオン基であり;そして
R’は、水素又は低級アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルなどである)である]を有し得る。好ましい双性イオンリンカーは、式:
Figure 0007085654000014
を有する。
本発明は、化学発光アクリジニウム化合物の合成のための化合物及び方法を提供する。これらのN-スルホプロピル基を含有する商業的に有用な高光収率の電子豊富化学発光アクリジニウム標識(例えば、アクリジニウムジメチルフェニルエステル、アクリジニウムエステル、アクリジニウムスルホンアミド類)の合成において、このような化合物を、発がん性試薬1,3-プロパンスルトンを用いることなく製造することが可能である。さらに、これらの合成プロトコルは、アクリジニウム環系の中央窒素に結合した様々な官能基を有する様々なアクリジニウム化合物の合成を提供する。
検体、検体アナログ又は他の結合パートナーと結合体を形成することができる例となる高光収率の電子豊富アクリジニウムエステルとしては、アクリジニウムエステル1、2、3、及び4が挙げられる。C-2イソプロポキシ基を含有するアクリジニウムエステル1及び2について、化合物5は、これらのアクリジニウムエステルの最終構築のために使用される共通の改良型合成中間体である。ジアルコキシ化合物3及び4について、化合物6及び7は、それぞれ改良型合成中間体を表す。本発明は、化合物1~4の重要な前駆体である化合物5、6、及び7の製造のために有用な化合物及び方法を含む。化合物1~4は全て、非置換アクリジニウムエステル(すなわち、C(2)及びC(7)の位置に置換基を有していない化合物)と比較して2~3倍の増加した光出力を示し、イムノアッセイの感受性を改善するために有用な標識である。さらに、これらの製造方法は1,3-プロパンスルトンのような発がん性物質を使用することなく起こる。さらに、本明細書に記載される試薬及びプロトコルの使用は、1,3-プロパンスルトンを使用することなく、化合物7の2つのエーテル酸素にスルホプロピル基を結合させることを可能にする。
Figure 0007085654000015
Figure 0007085654000016
アクリダン類は、式(R1):
Figure 0007085654000017
[式中、Gは酸に不安定な保護基であり;そして
-R-は、それぞれ独立して、1つ又はそれ以上(例えば、1~5、1、2、3、4、5)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、I)、及びそれらの組わせで場合により置換されたC1-20直鎖又は分枝二価炭化水素ラジカルから選択され;そしてここでRは双性イオンリンカー基(例えば、-Z-)を場合により含む]の構造を有する保護されたスルホナートトリフラート化合物とアクリダンを反応させることによりN-アルキル化され得る。いくつかの実施態様において、該スルホナートトリフラート化合物のRは、低級アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルのようなC-C直鎖又は分枝アルキル)である。いくつかの実施態様において、スルホナートトリフラート化合物は、式(R2):
Figure 0007085654000018
の構造を有する。
典型的に、スルホナートトリフラートにおけるスルホナートの保護基は、酸性条件でスルホナートからの切断を受ける。このような保護基は、Adamczyk et al、J.Org.Chem.63 (1998):5636-5639; Miller、J.Org.Chem.75 (2010):4632-4635;及びPauff and Miller、J.Org.Chem.78 (2013):711-716に記載されており、これらはそれら全体として、そしてスルホナート保護基及び切断反応に関連して具体的に、参照により本明細書に加入される。いくつかの実施態様において、Gは、
Figure 0007085654000019
から選択される。
より好ましい実施態様において、Gは、
Figure 0007085654000020
から選択される。
典型的に、ネオペンチル保護基は、それらの除去のために強い酸を必要とする。さらに、これらの基の合成は、毒性のオキシラン及び有機金属試薬ブチルリチウム(Adamczykら)を使用することを必要とする。α-トリフルオロメチルベンジル(TFMB)スルホナート、TFMB及びその4’-メチルバージョン(4’-Me-TFMB)は弱酸に対して安定であり、そしてAllen et al、J.Am.Chem.Soc.105(1983):2343-2354により報告されるように、類似化合物の加溶媒分解研究に基づいてMillerらにより記載された(これらはそれぞれそれら全体により、及びスルホナート保護基及び切断反応に関連して具体的に参照により本明細書に加入される)。保護基は、アクリダンのN-アルキル化の後に切断され得る。好ましくは、保護基は、N-アルキル化アクリダンの酸化から形成されたアクリジニウム化合物から切断される。
当業者は、これらの保護されたスルホナートトリフラートを合成することができる。例えば、ヨードプロピルスルホナート4’-メチルTFMBエステルは、このヨウ化物をトルエン中銀トリフルオロメタンスルファナート(silver trifluoromethanesulfanate)とともに撹拌することによりより反応性のトリフラートへと変換され得る。いくつかの実施態様において、本発明は、構造:
Figure 0007085654000021
を有する化合物をトリフルオロメタンスルホン酸銀と反応させて、式(R1):
Figure 0007085654000022
[式中、Rは二価炭化水素(例えば、プロピル)であり、そして
subはハロゲン(例えば、-I)である]
の構造を有する保護されたスルホナートトリフラートを生成することを含む、保護されたスルホナートトリフラートの合成を提供する。特定の実施態様において、Gは:
Figure 0007085654000023
である。
N-スルホプロピル基の導入のために好ましいアルキル化試薬は、式:
Figure 0007085654000024
により表され得る。
大部分の実施態様において、Gは以下:
Figure 0007085654000025
から選択される。
好ましい実施態様において、Gは4’-Me-TFMBである。
典型的に、保護されたスルホナート保護基の切断反応は、アクリダン、アクリジン、又はアクリジニウム反応物と適合性の酸中で起こる。いくつかの実施態様において、酸はブレンステッド酸であり、塩酸、臭化水素酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸(p-TSA)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸(TFMSA)、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリクロロ酢酸(TCA)、ジクロロ酢酸(DCA)、クロロ酢酸、ギ酸及び酢酸から選択され得る。いくつかの実施態様において、酸は、ルイス酸又はケイ素化合物又は2つもしくはそれ以上の上記酸及び/もしくはケイ素化合物の組み合わせであってもよい。酸は、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化すず、塩化チタン、四塩化ケイ素、クロロトリメチルシランMeSiCI(TMSCI)、ブロモトトリメチルシランMeSiBr(TMSBr)及びトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート(TMSOTf)から選択され得る。好ましい実施態様において、スルホナート保護基の切断のための酸は、トリフルオロ酢酸(TFA)、塩酸又は硫酸などであり得る。
本発明は、アクリダン類、及び特に電子豊富アクリダン類をN-アルキル化する方法を提供する。したがって、これらの方法は、(a)還元剤を使用してアクリジンエステル前駆体を対応するアクリダンに変換すること;(b)2つの成分を溶媒中不活性雰囲気下で撹拌することによりスルホプロピルトリフラート[ここでスルホナートは酸に不安定な保護基を含有する]を用いてアクリダンエステルをN-アルキル化すること;(c)保護されたスルホナートを有するN-スルホプロピルアクリダンをN-スルホプロピルアクリジニウムエステルに酸化すること、及び;(d)酸加水分解によるスルホナート保護基の切断により、1つ又はそれ以上のアルコキシ基をアクリジニウム環中に含有する高光収率電子豊富化学発光アクリジニウムエステルに親水性N-スルホプロピル基を導入することを可能にする。アクリダンは、式(A1):
Figure 0007085654000026
[式中、「m」及び「n」は独立して0~4であり、そして「m」又は「n」の少なくとも1つは0より大きく;
及びRは電子供与基から独立して選択され;そして
は、水素又は1つもしくはそれ以上(例えば、1~20)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、I)で場合により置換されたC-C45炭化水素ラジカル(例えば、C-C30、C-C20、C-C10、C-C15、C-C30、C-C40、C10-C40)であり、そしてここでRは双性イオン基(例えば-Z)及び/又は双性イオンリンカー基(例えば、-Z-)を場合により含んでいてもよい]
に従う構造を有し得る。いくつかの実施態様において、R及び/又はRはアルコキシである。いくつかの実施態様において、R及びRはそれぞれ同じアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどのような低級アルコキシ)である。他の実施態様において、R又はRは水素であり、そしてR又はRの他方はアルコキシ(例えばメチル、エトキシ、イソプロポキシ、イソプロポキシなどのような低級アルコキシ)である。R1及び/又はR2は、構造:
Figure 0007085654000027
[ここで、Rは、それぞれ独立して、メチル、イソプロピル、又は-(CHCHO)1-10CH (例えば、-(CHCHO)CHなど)から選択される]を有するアルコキシ基から独立して選択され得る。いくつかの実施態様において、アクリダンは式(A2):
Figure 0007085654000028
の構造を有する。
特定の実施態様において、アクリダンは式(A3):
Figure 0007085654000029
[式中、ΩはO又はNであり;
は、ΩがOの場合は存在せず、又は水素、もしくはその1つもしくはそれ以上(例えば、1~15)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、I)で場合により置換されたC-C40(例えば、C-C30、C-C20、C-C10、C-C15、C-C40)炭化水素ラジカルであり、そしてここでR及びRは、双性イオン基(例えば-Z)及び/又は双性イオンリンカー基(例えば、-Z-)を場合により含んでいてもよく;そして
、水素又は1つもしくはそれ以上(例えば、1-15)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、I)、及びそれらの組み合わせで場合により置換されたC-C40炭化水素ラジカル、そしてここでR及びRは、双性イオン基(例えば-Z)及び/又は双性イオンリンカー基(例えば、-Z-)を場合により含んでいてもよい]
を有する。双性イオンリンカー-Z-は、構造:
Figure 0007085654000030
[ここで、「m」は0(すなわち結合である)又は1であり;
「n」及び「p」はそれぞれ独立して0(すなわち結合である)から10の整数であり;
はアニオン基であり;そして
R’は水素又は低級アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチルなどである)である]
を有し得る。
好ましい実施態様において、アクリダンは式(A4):
Figure 0007085654000031
[式中、R-R10は独立して、水素又は1つもしくはそれ以上(例えば、1~15)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、I)で場合により置換されたC-C25(例えば、C-C20、C-C10、C-C15、C-C25)炭化水素ラジカル(例えば、メチル、エチル、又はプロピルのようなアルキル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、又はイソプロポキシのようなアルコキシ)から選択され、そしてここでR-R10は、双性イオン基(例えば-Z)及び/又は双性イオンリンカー基(例えば、-Z-)を場合により含んでいてもよい]
の構造を有する。典型的に、R-R10の少なくとも1つは水素ではない。いくつかの実施態様において、R及びRはアルキル(例えば、メチル)である。いくつかの実施態様において、R-R10の少なくとも1つは、検体、検体アナログ、又は検体の結合パートナーと結合体を形成するための脱離基を含む。いくつかの実施態様において、R-R10の少なくとも1つはアルコキシである。好ましい実施態様において、アクリダンは、式(A5)、(A6)、又は(A7):
Figure 0007085654000032
[式中、R11は1つ又はそれ以上(例えば、1~15)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、I)で場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、又はアラルキルである]の構造を有する。
アクリダンはまた、式(A8):
Figure 0007085654000033
[式中、R12はC-C20炭化水素(例えば、メチルなど)である]
の構造を有し得る。
いくつかの実施態様において、R-R12は、検体、検体アナログ、又は検体の結合パートナーと結合体を形成するための脱離基を含み得る。例えば、R-R12は:
Figure 0007085654000034
から選択される基Lを含んでいてもよく;
ここでRは、それぞれ独立して、水素又はC-C10炭化水素(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル)であり;そして
は、二価C-C10炭化水素(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル)である。好ましい実施態様において、R-R12は水素、アルキル、-C(O)OH、-C(O)アルコキシ、及びアルコキシから選択される。
いくつかの実施態様において、アクリダンは対応するアクリジンを還元することにより製造され得る。例えば、構造
Figure 0007085654000035
を有するアクリジンは、還元されて式(A1)の構造を有するアクリダンを形成し得る。同様の対応するアクリジン類は、還元されて式(A1)~(A8)の構造を有するアクリダンを形成し得る。一実施態様において、アクリジンエステルは、式:
Figure 0007085654000036
[式中、R又はRの一方は水素又はORであり、そしてR又はRの他方はORであり;
、R、及びR11はRであり;そして
Rはそれぞれ独立して、1~20個のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、I)で場合により置換されたC-C40(例えば、C-C30、C-C20、C-C10、C-C15、C-C40)炭化水素ラジカル(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル)である。他の実施態様において、R及びRは両方ともORである。特定の実施態様において、R及びRはメチル基であり、そしてR11は、メチル、エチル、又はイソプロピル基から選択される。いくつかの実施態様において、R及びRは低級アルコキシから選択され、そしてR、R及びR11は低級アルキルである。
N-アルキル化の前にアクリジンをアクリダンに変換するために好ましい還元試薬は、ピコリン-ボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、又はシアノ水素化ホウ素カリウムから選択されるヒドリド還元剤であり、あるいは、パラジウム又は炭素担持パラジウムから選択される金属触媒での接触水素化が還元のために使用され得る。
N-アルキル化アクリダンは、式(NA1):
Figure 0007085654000037
[式中、R及びRは電子供与基から独立して選択され;
は、水素又は1つもしくはそれ以上(例えば、1~20)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、I)で場合により置換されたC-C45炭化水素ラジカルであり、そしてここでRは、双性イオン基(例えば-Z)及び/又は双性イオンリンカー基(例えば、-Z-)を場合により含んでいてもよく;
-R-は、それぞれ独立して、1つ又はそれ以上(例えば、1~5)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、Iなど)、及びそれらの組み合わせで場合により置換されたC1-20直鎖又は分枝二価炭化水素ラジカルから選択されれ、そしてここでRは双性イオンリンカー基(例えば、-Z-)を場合により含み;そして
Gは酸に不安定な保護基である]
に従う構造を有し得る。これらの中間体化合物は、化学発光アクリジニウム化合物の合成において有用である。好ましくは、Rは低級アルキルである。
アクリダンのN-アルキル化の後に、N-アルキル化アクリダンを保護されたN-アルキルアクリジニウムに還元し得る。いくつかの実施態様において、保護されたN-アルキルアクリジニウムは、構造:
Figure 0007085654000038
[ここで、「m」及び「n」は独立して0~4であり、そして「m」又は「n」の少なくとも1つは0より大きく;
及びRは電子供与基から独立して選択され;
は、水素又は1つもしくはそれ以上(例えば、1~20)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、I)で場合により置換されたC-C45炭化水素ラジカルであり、そしてここでRは双性イオン基(例えば-Z)及び/又は双性イオンリンカー基(例えば、-Z-)を場合により含んでいてもよく;
-R-はそれぞれ独立して、1つ又はそれ以上(例えば、1~5)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、Iなど)、及びそれらの組み合わせで場合により置換されたC1-20直鎖又は分枝二価炭化水素ラジカルから選択され;そしてここでRは双性イオンリンカー基(例えば、-Z-)を場合により含み;そして
Gは酸に不安定な保護基である]
を有する。
N-アルキルアクリダンの酸化反応は、アクリジニウム化合物を製造するために使用され得る。いくつかの実施態様において、酸化は空気環境で起こる。他の実施態様において、N-アルキル化アクリダンの酸化は、分子酸素又はDDQ(2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン)を用いて達成され得る。大部分の実施態様において、次いで保護されたN-アルキルアクリジニウムを、切断反応を使用して脱保護し得る。しかし、他の実施態様では、スルホナートをN-アルキルアクリダンの酸化の前に脱保護する。典型的には、保護されたスルホナート保護基の切断反応は、N-アルキルアクリジニウム反応物と適合性の酸中で起こる。いくつかの実施態様において、酸は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸(p-TSA)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸(TFMSA)、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリクロロ酢酸(TCA)、ジクロロ酢酸(DCA)、クロロ酢酸、ギ酸及び酢酸から選択されるブレンステッド酸である。いくつかの実施態様において、酸はルイス酸又はケイ素化合物又はこのような酸及び/もしくはケイ素化合物の組み合わせであり得る。酸は、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化すず、塩化チタン、四塩化ケイ素、クロロトリメチルシランMeSiCI(TMSCI)、ブロモトリメチルMeSiBr(TMSBr)及びトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート(TMSOTf)から選択され得る。いくつかの実施態様において、スルホナート保護基の切断のための酸は、トリフルオロ酢酸(TFA)、塩酸、又は硫酸などであり得る。好ましい実施態様において、酸はTFAである。
反応(例えば、還元、N-アルキル化、酸化、保護基の切断又はそれらの組み合わせ)に好ましい溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、トルエンなどのような一般的な有機溶媒である。いくつかの実施態様において、N-アルキル化は、無水ジクロロメタン中で室温にて不活性雰囲気(例えば、アルゴン)下で起こる。
N-アルキル化アクリジニウム類の合成のための方法が提供され、該方法は:
(a) アクリジン化合物を還元して該アクリジン化合物をアクリダンに変換すること;
(b) 請求項1~24のいずれか1項に記載の方法に従って該アクリダンをN-アルキル化してN-アルキルアクリダンを生成すること;及び
(c) 該N-アルキルアクリダンを酸化して該N-アルキルアクリダンを該アクリジニウムに変換すること
を含み得る。
いくつかの実施態様において、該方法は、酸に不安定な保護基を切断することをさらに含む。いくつかの実施態様において、酸に不安定な保護基は、上記N-アルキル化工程後に酸加水分解によりアクリジニウムから切断される(すなわち、非保護N-アルキルアクリジニウムを生成する)。大部分の実施態様において、切断は酸化工程の後に起こり得る。
いくつかの実施態様において、化学発光アクリジニウム化合物の合成方法は:
(a) 構造:
Figure 0007085654000039
を有するアクリジン化合物を還元して、構造:
Figure 0007085654000040
を有するアクリダンを生成すること;
(b) 該アクリダンを、構造:
Figure 0007085654000041
を有する第一の保護されたナトリウムトリフラート化合物と反応させて、構造:
Figure 0007085654000042
を有するN-アルキルアクリダンを生成すること;及び
(c) 該N-アルキルアクリダンを酸化して、構造:
Figure 0007085654000043
を有するN-アルキルアクリジニウムを生成すること
を含み、ここで「m」及び「n」は独立して0~4であり、そして「m」又は「n」の少なくとも1つは0より大きく;
及びRは電子供与基から独立して選択され;
は、水素又は1つもしくはそれ以上(例えば、1~20)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、I)で場合により置換されたC-C45炭化水素ラジカルであり、そしてここでRは双性イオン基(例えば-Z)及び/又は双性イオンリンカー基(例えば、-Z-)を場合により含んでいてもよく;
-R-はそれぞれ独立して、1つ又はそれ以上(例えば、1~5)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、F、Cl、Br、Iなど)、及びそれらの組み合わせで場合により置換されたC1-20直鎖又は分子二価炭化水素ラジカルから選択され、そしてここでRは双性イオンリンカー基(例えば、-Z-)を場合により含み;そして
Gは酸に不安定な保護基である。
いくつかの実施態様において、アクリジンは、構造
Figure 0007085654000044
を有し、そして上記方法は、上記還元工程の前に該アクリジンを、構造
Figure 0007085654000045
を有する第二の保護されたスルホナートトリフラートとアクリジン還元の前に反応させて、構造
Figure 0007085654000046
を有するアクリジンを生成することを含む。
これらの方法は、構造:
Figure 0007085654000047
[ここで、N-アルキル化官能基上の保護基は、O-アルキル化官能基上の保護基と同じであっても異なっていてもよい]
を有するN-アルキルアクリジニウムを生成し得る。
いくつかの実施態様において、酸に不安定な保護基は除去されて、構造:
Figure 0007085654000048
を有するアクリジニウム化合物を生じ得る。
以下の実施例は、代表的な数のアクリダン及びアクリジニウム化合物の合成を説明する。したがって、実施例は説明することを意図されるが開示を限定することは意図されない。具体的に例示されていないさらなる化合物は、本明細書に記載される方法と組み合わせて従来の方法を使用して合成され得る。
以下の実施例は、本発明の方法を使用する化合物5、6及び7の合成を記載する。これらの化合物は、アクリジニウムエステル1~4の改良型前駆体である。
実施例1:化合物5の合成
Figure 0007085654000049
還元: 2-イソプロポキシアクリジンメチルエステル、化合物i(Natrajan et al、Org.Biomol.Chem.10 (2012):3432-3447)(0.1g、0.225mmole)の溶液を、テトラヒドロフラン(THF、9mL)及び1N HCl(1mL)の混合物中に溶解した。この黄色溶液に、固形ピコリン-ボラン錯体(29mg、1.2当量)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、その時までに反応混合物の色は淡黄色になった。Phenomenex bondclone C18、3.9 x 30mmカラム及び流量1mL/分での10→100% MeCN/水(それぞれ0.05%TFAを含む)の30分グラジエント並びに260及び220nmでのUV検出を使用したHPLC分析は、23.8分で溶出する非常に少ない出発物質iとともに、22.8分で溶出する生成物2-イソプロポキシアクリダンメチルエステルを示した。反応混合物を減圧下で濃縮してTHFを除去し、そして残留水層を酢酸エチル(25mL)で希釈し、その後5%炭酸水素ナトリウム溶液、続いて5%NaCl水溶液で洗浄した。酢酸エチル溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮して化合物iiを淡黄色固体として得た。収量=116mg(定量的)。この物質をN-アルキル化反応にそのまま使用した。
N-アルキル化:2-イソプロポキシアクリダンメチルエステル(化合物ii)(0.1g、0.225mmole)、トリフラートb(0.686g、0.00155mole)、及び2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(0.1mL、0.450mmole)の溶液を無水ジクロロメタン(2~3mL)中室温にてアルゴン雰囲気下(バルーン)下で光から保護して1週間撹拌した。TLC分析(1:4、酢酸エチル/ヘキサン)は、より極性の低い生成物への完全な変換を示した。上記のHPLC分析は、26.8分で溶出する生成物を示した。反応混合物を減圧下で濃縮し、そして生成物iiiを酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。収量=107mg(64%、粘着性固形物)。MALDI-TOF MS 738観測。
保護されたヨウ化スルホプロピル化合物aを、文献の手順(Pauff and Miller、J.Org.Chem.、2013、78、711-716)を使用して合成した。化合物a(0.775g、0.00184mole)の無水トルエン(10mL)中の溶液をトリフルオロメタンスルホン酸銀(0.47g、0.00184mole)で処理した。反応混合物を室温で窒素雰囲気下にて光から保護して撹拌した。16時間後に、黄色沈殿物が反応中に形成した。反応混合物を酢酸エチル(25mL)で希釈し、そして濾過した。ろ液を冷水で洗浄し、次いで5%NaCl水溶液(それぞれ25mL)で洗浄した。次いでこれを無水硫酸マグネシウムで乾燥し、そして減圧下で濃縮して淡褐色油状物を得、これをそのまま次の反応に使用した。収量=0.686g(化合物b、84%)。
酸化:N-アルキル化アクリダンエステル(化合物iii)(66mg、0.089mmole)のメタノール(5mL)中の溶液を、DDQ(24.3mg、0.0089mmole)で処理した。反応混合物を室温で撹拌した。30分後に、上記のHPLC分析は、22分に溶出するアクリジニウムエステルへの完全な変換を示した。溶媒を減圧下で除去した。
脱保護:残留物をTFA(1mL)及び水(0.02mL)中で室温にて撹拌した。1時間後に、HPLC分析は17.3分に溶出する生成物5への完全な変換を示した。反応混合物をメタノール(5mL)で希釈し、そして減圧下で濃縮した。酸化を化合物iiiに対して最初に行い、続いてスルホナート保護基を脱ブロックして粗生成物5を得る同様の一連の反応も成功した。これらの反応からの合わせた粗生成物5(2-イソプロプキシアクリダンii 100mgから開始した)を、酢酸エチル/メタノールを使用するシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。図1に示されるように生成物を優れた純度で単離した。収量=37mg(iiiから46%、2段階)。
実施例2:化合物6の合成
Figure 0007085654000050
還元:アクリダンviへのPEGアクリジンエステル(化合物v)前駆体は以前に記載されている(US 7,309,615、その全体として並びにアクリジニウムエステル及びそれらの合成に関して具体的に参照により本明細書に加入される)。化合物v(95mg、0.098mmole)をTHF(9mL)及び1N HCl(1mL)に溶解した。ピコリンボラン(21mg、2当量)を一度に加え、そして反応混合物を室温で撹拌した。4時間後に、最初の暗黄色溶液の色は薄くなり淡黄色となった。以前に記載されたとおりの反応のHPLC分析は、18.7分に溶出するアクリダン生成物viを、21分の非常に少ない出発物質とともに示した。次いで反応混合物を減圧下で濃縮してTHFを除去し、そして水性残留物を酢酸エチル(25mL)と冷1N HCl(25mL)との間で分配した。酢酸エチル層を分離し、そして5%塩化アンモニウム水溶液、5%炭酸水素ナトリウム及び5%NaClで続けて洗浄した。次いで硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。アクリダンviを白色粘着性固形物として回収した。収量=90mg(95%)。
N-アルキル化:アクリダンvi(90mg、0.092mmole)、トリフラートb(0.45g、1mmole)及び2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(0.04mL、2当量)のジクロロメタン(3mL)中溶液を、窒素の不活性雰囲気下(バルーン)で光から保護して室温で1週間撹拌した。反応混合物のHPLC分析は、22.5分に溶出するN-アルキル化アクリダンviiへの>90%変換を示した。反応混合物を減圧下で濃縮した。生成物をシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより酢酸エチル及びメタノールの混合物を使用して精製した。収量=0.1g(85%、粘着性固形物)、MALDI TOF MS 1268観測。
酸化:N-アルキル化アクリダンvii(0.1g、0.078mmole)のメタノール(10mL)中の溶液をDDQ(18mg、1当量)で処理した。反応混合物を室温で撹拌した。30分後に、HPLC分析は20.2分に溶出するアクリジニウムエステルへの完全な酸化を示した。
脱保護:次いで溶媒を減圧下で除去し、そしてアクリジニウムエステルを水(0.02mL)を含むTFA(1mL)中で室温にて撹拌した。1時間後に、HPLC分析は、16.5分に溶出する生成物6への>90%変換を示した。反応混合物をヘキサン(30mL)で処理して生成物を沈殿させた。ヘキサンをデカンテーションし、そして残留物をヘキサン(2x15mL)でリンスした。次いで生成物を減圧下で乾燥し、次いでシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより酢酸エチル/メタノールを使用して精製した。図2はこの合成後に得られた生成物6のHPLCトレースを示す。収量=46mg(50%)。MALDI TOF MS 1097観測。
実施例3:化合物7の合成
Figure 0007085654000051
化合物viii(US 7,309,615、その全体として、並びにアクリジニウムエステル及びそれらの合成に関して具体的に、参照により本明細書に加入される)(50mg、0.12mmole)、無水炭酸カリウム(36mg、2.2当量)、18-クラウン-6(1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロオクタデカン)(70mg、2.2当量)の混合物を、ヨウ化物a(127mg、2.5当量)のMeCN溶液(10mL)で処理した。反応混合物を油浴で85℃に加熱した。最初の暗赤色溶液の色は3時間後に淡褐色まで薄くなった。以前に記載されたとおりのHPLC分析は、28分に溶出する主要な生成物の形成を示した。反応混合物を室温まで冷却し、そして減圧下で濃縮した。同様のスケールであるがクラウンエーテルを添加しない反応により、同様の反応プロフィールが得られたが、生成物形成は6時間の加熱を必要とした。両方の反応からの粗生成物を合わせて、酢酸エチル/ヘキサンの混合物を使用するシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。収量=0.1g(42%)。MALDI TOF MS 1006.4観測。
還元:アクリジンエステルix(0.1g、0.096mmole)のTHF(18mL)及び1N HCl(2mL)中の溶液を、固形ピコリンボラン(21.3mg、2当量)で処理した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。HPLC分析は、28分の非常に少ない出発物質とともに26.3分に溶出するアクリダンxを示した。THFを減圧下で除去し、そして残留物を冷1N HCl(25mL)と酢酸エチル(50mL)との間で分配した。酢酸エチル抽出物を、5%塩化アンモニウム水溶液、5%炭酸水素ナトリウム及び5%塩化ナトリウムのそれぞれ25mLで続けて洗浄した。次いでこれを無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。粗製収量=0.13g。この物質をそのままN-アルキル化反応に使用した。
N-アルキル化:アクリダン化合物x(0.13g粗製、0.1mmole)を無水ジクロロメタン(4mL)に溶解し、そしてトリフラートb(0.43g、0.97mmole)及び2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(0.057mL、2.5当量)で処理した。反応混合物を不活性窒素雰囲気下で室温にて1週間撹拌した。HPLC分析は、28.3分に溶出する生成物xiへの約80%の変換を示した。(アクリダンx 44mgスケールで行われた同様の反応は、2週間後に生成物への完全な変換を示した) 反応混合物を減圧下で濃縮し、そして生成物を、酢酸エチル及びヘキサンの混合物を使用するシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。収量=73mg(56%)。MALDI TOF MS 1300観測。
酸化:N-アルキル化アクリダンxi(73mg、0.056mmole)の1:1メタノール/酢酸エチル(10mL)中の溶液をDDQ(14mg、1.1当量)で処理した。反応混合物を室温で撹拌した。10分後に、HPLC分析は、25分に溶出するアクリジニウムエステルへの完全な変換を示した。
脱保護:溶媒を減圧下で除去し、そして残留物をTFA(2mL)及び水(0.04mL)中で撹拌した。1.5時間後に、HPLC分析は、11.3分に溶出する主要な生成物化合物6を示した。溶媒を減圧下で除去し、そして残留物をエーテル(50mL)、続いて1:1エーテル/ヘキサン、次いで1:1ヘキサン/酢酸エチルでリンスした。次いで粗生成物を減圧下で乾燥した。粗製収量=60mg。MALDI TOF MS 784観測。
本明細書において引用される特許出願及び刊行物を含む全ての参考文献は、それぞれの個々の刊行物又は特許又は特許出願が、具体的かつ個別にその全体としてあらゆる目的のために参照により加入されると示されると同じ程度まで、参照によりあらゆる目的のために本明細書に加入される。当業者には当然のことながら、本発明の多くの改変及び変形が、その精神及び範囲から逸脱することなくなされ得る。本明細書に記載される特定の実施態様は、例としてのみ提供されるものであり、本発明は、添付の特許請求の範囲が権利を付与される等価物の範囲全体とともに、添付の特許請求の項目によってのみ限定されるべきである。

Claims (13)

  1. アクリダン化合物のN-アルキル化のための方法であって、該アクリダン化合物を、式(R1):
    Figure 0007085654000052
    [式中、Gは酸に不安定な保護基であり;そして
    -R-は、1つ又はそれ以上のヘテロ原子及びそれらの組み合わせで場合により置換されたC1-20直鎖又は分枝二価炭化水素ラジカルであり、そしてここでRは場合により双性イオンリンカー基を含む]
    の構造を有する保護されたスルホナートトリフラート化合物と反応させることを含む、上記方法。
  2. スルホナートトリフラート化合物のRは、 1 -C 4 直鎖又は分枝アルキルである、請求項1に記載の方法。
  3. Gは、
    Figure 0007085654000053
    から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. アクリジニウムの合成のための方法であって:
    (a) 構造:
    Figure 0007085654000054
    を有するアクリジン化合物を還元して、構造:
    Figure 0007085654000055
    を有するアクリダン化合物を生成すること;
    (b) 該アクリダン化合物を、構造:
    Figure 0007085654000056
    を有する第一の保護されたスルホナートトリフラート化合物と反応させて、構造:
    Figure 0007085654000057
    を有するN-アルキルアクリダン化合物を生成すること;及び
    (c) 該N-アルキルアクリダン化合物を酸化して、構造:
    Figure 0007085654000058
    を有するN-アルキルアクリジニウム化合物を生成すること
    を含み、
    ここで、「m」及び「n」は独立して0~4であり、そして「m」又は「n」の少なくとも1つは0より大きく;
    及びRは電子供与基から独立して選択され;
    は、水素、又は1つもしくはそれ以上のヘテロ原子で場合により置換されたC-C45炭化水素ラジカルであり、そしてここでRは、双性イオン基及び/又は双性イオンリンカー基を場合により含んでいてもよく;
    -R-は、それぞれ独立して、1つ又はそれ以上のヘテロ原子、及びそれらの組み合わせで場合により置換されたC1-20直鎖又は分枝二価炭化水素ラジカルから選択され;そしてここでRは双性イオンリンカー基を場合により含み;そして
    Gは酸に不安定な保護基である、上記方法。
  5. 酸に不安定な保護基を除去して、構造:
    Figure 0007085654000059
    を有する化合物を生成することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記アクリジン化合物は、構造:
    Figure 0007085654000060
    を有する、請求項4又は5に記載の方法。
  7. 式(NA1):
    Figure 0007085654000061
    に従う構造を有するN-アルキル化アクリダン化合物であって、
    ここで、「m」及び「n」は独立して0~4であり、そして「m」又は「n」の少なくとも1つは0より大きく;
    1及びR2は電子供与基から独立して選択され;
    3は、水素、又は1つもしくはそれ以上のヘテロ原子で場合により置換されたC1-C45炭化水素ラジカルであり、そしてここでR3は、双性イオン基及び/又は双性イオンリン
    カー基を場合により含んでいてもよく;
    -RL-は、1つ又はそれ以上のヘテロ原子、及びそれらの組み合わせで場合により置換
    されたC1-20直鎖又は分枝二価炭化水素ラジカルであり;そしてここでRLは双性イオン
    リンカー基を場合により含み;そして
    Gは酸に不安定な保護基である、化合物。
  8. 式中、-R-は 1 -C 4 直鎖又は分枝アルキルである、請求項7に記載のN-アルキル化アクリダン化合物。
  9. 式(NA2):
    Figure 0007085654000062
    に従う構造を有するN-アルキル化アクリジニウム化合物であって、
    ここで、「m」及び「n」は独立して0~4であり、そして「m」又は「n」の少なくとも1つは0より大きく;
    1及びR2は電子供与基から独立して選択され;
    3は、水素、又は1つもしくはそれ以上のヘテロ原子で場合により置換されたC1-C45炭化水素ラジカルであり、そしてここでR3は、双性イオン基及び/又は双性イオンリン
    カー基を場合により含んでいてもよく;
    -RL-は、1つ又はそれ以上のヘテロ原子、及びそれらの組み合わせで場合により置換
    されたC1-20直鎖又は分枝二価炭化水素ラジカルであり;そしてここでRLは双性イオン
    リンカー基を場合により含み;そして
    Gは
    Figure 0007085654000063
    から選択される酸に不安定な保護基である、化合物。
  10. 1 -C 4 直鎖又は分枝アルキルである、請求項に記載のN-アルキル化アクリジニウム化合物。
  11. 前記アクリダン化合物は電子豊富である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  12. Gが、
    Figure 0007085654000064
    から選択される、請求項4に記載の方法。
  13. Gが、
    Figure 0007085654000065
    から選択される、請求項7または8に記載のN-アルキル化アクリダン化合物。
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