JP7084607B2 - 蓄電デバイス用非水電解液 - Google Patents
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Description
しかし、従来の非水電解液は、コストの点も含めて必ずしも十分に満足できものではなく、蓄電デバイス用の非水電解液には、そのためのさらなる技術が求められている。
(1)非水溶媒に電解質を溶解してなる蓄電デバイス用非水電解液であって、前記電解質が前記非水溶媒に溶解するリチウム塩であり、かつ下記式(1)又は/及び下記式(2)で表されるリチウムホウ素化合物を含有することを特徴とする蓄電デバイス用非水電解液。
(Li)m(B)n(O)p (1)
(nは1~8であり、m、pは、それぞれ独立して、2~20であり、m、pはnより大きく、かつ、p/mは、2~0.5の範囲である。)
(Li)m(B)n(O)x(OR)y (2)
(nは、1~4であり、 m、x、yは、それぞれ独立して、1~12であり、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基、カルボニル基、スルホニル基、シリル基、含ホウ素基、又は含リン基であり、これらの基はフッ素原子、酸素原子及び他の置換基を有していてもよい。)
(3)前記式(2)中、Rが、アルキル基、カルボニル基、スルホニル基、シリル基、含ホウ素基又は含リン基である請上記(1)に記載の蓄電デバイス用非水電解液。
(4)前記式(2)で表されるリチウムホウ素化合物が、LiBO(OCH3)2、LiBO(OCH2CH3)2、LiBO(OCH2CF3)2、LiBO(OC(=O)CH3)2、LiBO(OC(=O)CF3)2、LiBO(OSO2CH3)2、LiBO(OSO2CF3)2、Li2B2O3(OCH3)2、Li2B2O3(OCH2CH3)2、Li2B2O3(OCH2CF3)2、Li2B2O3(OC(=O)CH3)2、Li2B2O3(OC(=O)CF3)2、Li2B2O3(OSO2CH3)2、Li2B2O3(OSO2CF3)2、Li2B2O3(OSi(CH3)3)2、Li2B2O2(OBF3)2、Li4B2O(OBF3)4、Li3B(OBF3)3、Li6B4O3(OBF3)6、Li5B3O2(OBF3)5、Li2B2O2(OPF5)2、又はLi4B2O(OPF5)4である上記(1)~(3)のいずれかに記載の蓄電デバイス用非水電解液。
(5)前記リチウム塩を0.5~3モル/リットル含有する上記(1)~(4)のいずれかに記載の蓄電デバイス用非水電解液。
(6)前記式(1)又は/及び下記式(2)で表されるリチウムホウ素化合物を、0.01~10質量%含有する上記(1)~(5)のいずれかに記載の蓄電デバイス用非水電解液。
(7)前記非水溶媒が、鎖状炭酸エステル、飽和環状炭酸エステル、及び不飽和環状炭酸エステルを含有する上記(1)~(6)のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用非水電解液。
(8)鎖状炭酸エステル、飽和環状炭酸エステル、及び不飽和環状炭酸エステルの含有量が、それぞれ、30~80質量%、10~50質量%、及び0.01~5質量%である上記(7)に記載の蓄電デバイス用非水電解液。
(9)さらに、含硫黄化合物、環状酸無水物、カルボン酸化合物、及び含ホウ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加物を含有する上記(1)~(8)のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用非水電解液。
(10)前記リチウム塩が、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO 3 、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)(C2F5SO2)、及びLiN(CF3SO2)(C4F9SO2)からなる群より選ばれる少なくとも1種のリチウム塩である上記(1)~(9)のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用非水電解液。
(11)上記(1)~(10)のいずれかに記載の非水電解液を使用する蓄電デバイス。
(12)蓄電デバイスがリチウム二次電池である上記(1)~(11)に記載の畜電デバイス。
本発明の非水電解液が上記のような効果を奏するかについては必ずしも明らかではないが、本発明で使用されるリチウムホウ素化合物は、カチオンとなるリチウムイオンと、ホウ素と酸素と、又は置換基を導入した酸素からなるアニオンとで構成されているため、電解液中で解離しやすく、解離したアニオンの分解により、電極表面にリチウムイオンが通りやすい被膜を形成すると考えられる。また、ホウ素と酸素と、又は置換基を導入した酸素からなるアニオンは電解液中又は電極表面の水分と反応しやすく、電池性能に影響しやすい水分が効果的に除去されるためと考えられる。
<非水溶媒>
本発明の非水電解液で使用する非水溶媒は、種々のものを用いることができる。例えば、非プロトン性極性溶媒が好ましい。その具体例は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート及び4,5-ジフルオロエチレンカーボネートになどの環状カーボネート;γープチロラクトン及びγーバレロラクトンなどのラクトン;スルホランなどの環状スルホン;テトラヒドロフラン及びジオキサンなどの環状エーテル;エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロビルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート及びメチルトリフルオロエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;アセトニトリルなどのニトリル;ジメチルエーテルなどの鎖状エーテル;プロピオン酸メチルなどの鎖状カルボン酸エステル;ジメトキシエタンなどの鎖状グリコールエーテル;1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル(CF2HCF2CH2OCF2CF2H)、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル(CF3CF2CH2OCF2CF2H)、エトキシ-2,2,2-トリフルオロエトキシ-エタン(CF3CH2OCH2CH2OCH2CH3)等の含フッ素エーテルが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明で使用される別の不飽和環状炭酸エステルとしては、下記の一般式(II)で表されるアルケニルエチレンカーボネートが挙げられる。
本発明の非水電解液の溶質としては、リチウム塩が用いられる。リチウム塩については、上記非水溶媒に溶解しうるものであれば特に限定はされない。その具体例として例えば、以下の通りである。
(A)無機リチウム塩:
LiPF6、LiAsF6、LiBF4等の無機フッ化物塩、LiClO4、LiBrO4、LiIO4、等の過ハロゲン酸塩など。
LiCF3SO3等の有機スルホン酸塩;LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等のパーフルオロアルキルスルホン酸イミド塩;LiC(CF3SO2)3等のパーフルオロアルキルスルホン酸メチド塩;LiPF(CF3)5、LiPF2(CF3)4、LiPF3(CF3)3、LiPF2(C2F5)4、LiPF3(C2F5)3、LiPF(n-C3F7)5、LiPF2(n-C3F7)4、LiPF3(n-C3F7)3、LiPF(iso-C3F7)5、LiPF2(iso-C3F7)4、LiPF3(iso-C3F7)3、LiB(CF3)4、LiBF(CF3)3、LiBF2(CF3)2、LiBF3(CF3)、LiB(C2F5)4、LiBF(C2F5)3、LiBF2(C2F5)2、LiBF3(C2F5)、LiB(n-C3F7)4、LiBF(n-C3F7)3、LiBF2(n-C3F7)2、LiBF3(n-C3F7)、LiB(iso-C3F7)4、LiBF(iso-C3F7)3、LiBF2(iso-C3F7)2、LiBF3(iso-C3F7)等の一部のフッ素をパーフルオロアルキル基で置換した無機フッ化物塩フルオロホスフェートや、パーフルオロアルキルの含フッ素有機リチウム塩が挙げられる。
本発明の非水電解液には、下記式(1)又は/及び下記式(2)で表されるリチウムホウ素化合物が含有される。
(Li)m(B)n(O)p (1)
式(1)中、nは、1~8であり、m、pは、それぞれ独立して、2~20であり、m、pはnより大きく、かつ、p/mは、2~0.5の範囲である。
(Li)m(B)n(O)x(OR)y (2)
式(2)中、nは、1~4であり、 m、x、yは、それぞれ独立して、1~12であり、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基、カルボニル基、スルホニル基、フェニル基、シリル基、含ホウ素基又は含リン基であり、これらの基はフッ素原子、酸素原子及び他の置換基を有していてもよい。
また、式(2)中、なかでも、nは、1~4が好ましく、1~3が特に好ましい。m、x、yは、1~12が好ましく、1~10が特に好ましい。
Rとしては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、カルボニル基、スルホニル基、フェニル基、シリル基、含ホウ素基、又は含リン基が好ましく、アルキル基、カルボニル基、スルホニル基、フェニル基、シリル基、含ホウ素基、又は含リン基が特に好ましい。
アルケニル基の好ましい例としては、二重結合が含有する炭素数が2~5のアルケニル基が好ましい。二重結合が含有する炭素数が2~5のアルケニル基が例えば、ビニル基、プロペニル基、ブブテニル基、ヘプテニル基等が挙げられる。
アリール基の好ましい例としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
スルホニル基の好ましい例としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ベンジルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロエチルスルホニル基等が挙げられる。
シリル基の好ましい例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。
含ホウ素基の好ましい例としては、ジメチルボリル基、ジメトキシボリル基、フッ化ホウ素、二フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素等が挙げられる。
本発明の非水電解液中には、蓄電デバイスの寿命性能や抵抗性能を改善するために、上記リチウム塩及びリチウムホウ素化合以外に、他の添加物質が含有されていてもよい。かかる他の添加物質としては、例えば、含硫黄化合物(前記式(1)で表される有機カルボン酸塩を除く)、環状酸無水物、カルボン酸化合物、及び含ホウ素化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物が使用できる。
本発明の非水電解液は、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ、正極又は負極の一方が電池であり、他方の電極が二重層であるハイブリッド型電池などの種々の蓄電デバイスにて使用できる。以下は、その代表例であるリチウムイオン二次電池について説明する。
本発明の非水電解液を使用したリチウムイオン二次電池の形状については特に限定されることはなく、円筒型、角型、アルミラミネート型、コイン型、ボタン型などの種々の形状にすることができる。
アルミニウム集電体に正極合剤を塗布してなる正極と、銅集電体に負極合剤を塗布してなる負極とが、厚みが23μmのセパレータ(F23DHA、東レバッテリセパレータフィルム社製))を介して巻回された扁平巻状電極群をケースに収納して、縦30mm×横30mm×厚さ2.0mmの直方体形状を有する電池セルを作製した。この電池セルを用いて、以下の手順で電池を作製した。
a.各種電解液を0.55g量り採り、電池セルの注液口に注液し、減圧した後、注液口を封口した。
b.封口した電池セルを25℃雰囲気下に保った状態で、4.2Vまで8mAで充電した後、3.0Vまで8mAで放電した。
c.3.0Vまで放電した電池セルの内部ガスを減圧除去し、電池を作製した。
上記で作製した電池について、以下のように充放電特性を測定した。
a.抵抗変化率
高温サイクル試験前、25℃にて、SOC(State of Charge)50%まで充電し、其々の環境下にて、それぞれ0.2C、0.5C、1.0C、2.0Cで10秒間放電して、初期直流抵抗値を求めた。
そして、45℃雰囲気中、1Cレートで4.2Vまで充電した後、同雰囲気下で、1Cレートで3.0Vまで放電し、200サイクルに達するまで繰り返した後、上記高温サイクル試験前と同様の条件でサイクル後の直流抵抗値を求めた。
抵抗変化率(%)=(サイクル後の抵抗値/初期抵抗値)×100 (2)
45℃雰囲気中、1Cレートで4.2Vまで充電した後、同雰囲気下で、1Cレートで3.0Vまで放電し、その放電容量値を初期容量値とした。次いで、同条件で、200サイクルに達するまで繰り返した。この初期容量値及びサイクル後の容量値より下記式(3)を用いて容量維持率(%)を求めた。
容量維持率(%)=(サイクル後の容量値/初期容量値)×100 (3)
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比が30:70)に対して、リチウム塩としてLiPF6を1mol/リットルの濃度になるように溶解させ、さらに、総質量が100gになるようにビニレンカーボネート(VC)を1g添加して基準電解液1を調製した。
次に、この基準電解液1に、表1に示すリチウムホウ素化合物を表1に示す添加量になるように添加し、実施例1~10及び比較例1で使用する電解液を調製した。表1中の添加量は、基準電解液1とリチウムホウ素化合物の総質量(100質量%)に対するリチウムホウ素化合物の質量(%)である。
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比が30:70) に対して、リチウム塩としてLiPF6を1mol/リットルの濃度になるように溶解させ、さらに、総質量が100gになるように1,3-プロパンスルトンを0.5g添加して基準電解液2を調製した。
次に、この基準電解液2に、表2に示すリチウムホウ素化合物を表2に示す添加量になるように添加し、実施例11~18及び比較例2で使用する電解液を調製した。表2中の添加量は、基準電解液2とリチウムホウ素化合物の総質量(100質量%)に対するリチウムホウ素化合物の質量(%)である。
Claims (12)
- 非水溶媒に電解質を溶解してなる蓄電デバイス用非水電解液であって、前記電解質が前記非水溶媒に溶解するリチウム塩であり、かつ下記式(1)又は/及び下記式(2)で表されるリチウムホウ素化合物を含有することを特徴とする蓄電デバイス用非水電解液。
(Li)m(B)n(O)p (1)
(式中、nは、1~8であり、m、pは、それぞれ独立して、2~20であり、m、pはnより大きく、かつ、p/mは、2~0.5の範囲である。)
(Li)m(B)n(O)x(OR)y (2)
(式中、nは、1~4であり、m、x、yは、それぞれ独立して、1~12であり、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基、カルボニル基、スルホニル基、シリル基、含ホウ素基、又は含リン基であり、これらの基はフッ素原子、酸素原子及び他の置換基を有していてもよい。) - 前記式(1)で表されるリチウムホウ素化合物が、Li3BO3、Li4B2O5、Li5B3O7、Li6B4O9、Li8B2O7、又はLi8B6O13である請求項1に記載の蓄電デバイス用非水電解液。
- 前記式(2)中、Rが、アルキル基、カルボニル基、スルホニル基、シリル基、含ホウ素基又は含リン基である請求項1に記載の蓄電デバイス用非水電解液。
- 前記式(2)で表されるリチウムホウ素化合物が、LiBO(OCH3)2、LiBO(OCH2CH3)2、LiBO(OCH2CF3)2、LiBO(OC(=O)CH3)2、LiBO(OC(=O)CF3)2、LiBO(OSO2CH3)2、LiBO(OSO2CF3)2、Li2B2O3(OCH3)2、Li2B2O3(OCH2CH3)2、Li2B2O3(OCH2CF3)2、Li2B2O3(OC(=O)CH3)2、Li2B2O3(OC(=O)CF3)2、Li2B2O3(OSO2CH3)2、Li2B2O3(OSO2CF3)2、Li2B2O3(OSi(CH3)3)2、Li2B2O2(OBF3)2、Li4B2O(OBF3)4、Li3B(OBF3)3、Li6B4O3(OBF3)6、Li5B3O2(OBF3)5、Li2B2O2(OPF5)2又はLi4B2O(OPF5)4である請求項1~3のいずれかに記載の蓄電デバイス用非水電解液。
- 前記リチウム塩を0.5~3モル/リットル含有する請求項1~4のいずれかに記載の蓄電デバイス用非水電解液。
- 前記式(1)又は/及び下記式(2)で表されるリチウムホウ素化合物を、0.01~10質量%含有する請求項1~5のいずれかに記載の蓄電デバイス用非水電解液。
- 前記非水溶媒が、鎖状炭酸エステル、飽和環状炭酸エステル、及び不飽和環状炭酸エステルを含有する請求項1~6のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用非水電解液。
- 鎖状炭酸エステル、飽和環状炭酸エステル、及び不飽和環状炭酸エステルの含有量が、それぞれ、30~80質量%、10~50質量%、及び0.01~5質量%である請求項7に記載の蓄電デバイス用非水電解液。
- さらに、含硫黄化合物、環状酸無水物、カルボン酸化合物、及び含ホウ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加物を含有する請求項1~8のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用非水電解液。
- 前記リチウム塩が、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO 3 、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)(C2F5SO2)、及びLiN(CF3SO2)(C4F9SO2)からなる群より選ばれる少なくとも1種のリチウム塩である請求項1~9のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用非水電解液。
- 請求項1~10のいずれかに記載の非水電解液を使用する蓄電デバイス。
- 蓄電デバイスがリチウム二次電池である請求項11に記載の畜電デバイス。
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