JP7084058B2 - リン酸八カルシウムの製造方法およびそれにより製造されたリン酸八カルシウム - Google Patents

リン酸八カルシウムの製造方法およびそれにより製造されたリン酸八カルシウム Download PDF

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Description

本明細書は、2017年10月20日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2017-0136721号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては、本発明に含まれる。
本発明は、リン酸八カルシウムの製造方法およびそれにより製造されたリン酸八カルシウムに関する。
ハイドロキシアパタイト(Hydroxyapatite,HA)は、体の中にある歯と骨から主に発見されるものである。したがって、HAは、折損した骨の代わりにするためのフィラーまたは人工インプラントの分野において、骨の内部成長(ingrowth)を促進するためのコーティング剤または骨細胞の増殖を向上させるために主に用いられる。ただし、HAは、折損した部位に骨が再生した後でも体内で再吸収され難いという問題点がある。
そこで、HAの前駆体であるリン酸八カルシウム(Octacalcium Phosphate;OCP)を用いて体内の再吸収率を高め、骨細胞の生体親和性を高めようとする研究が進められている。
ただし、従来のOCPの合成方法は、高純度のOCPを得難く、生産コストが高く、また、収率が低いという問題点を有している。したがって、上記の問題点を解決するための最適なOCPの合成(製造)方法についての研究が継続的に必要な実情にある。
Materials Science and Engineering:C、2010、Vol.30、p.245-254
本発明は、多量のリン酸八カルシウムを迅速に製造することができる方法およびそれにより製造されたリン酸八カルシウムを提供しようとする。
ただし、本発明が解決しようとする課題は、上記した課題に制限されず、言及されていないまた別の課題は、下記の記載から当業者が明確に理解することができるだろう。
本発明の一実施形態は、リン酸カルシウム溶液を製造するステップと、前記リン酸カルシウム溶液のpHが増加する時点で酸性溶液を用いて前記リン酸カルシウム溶液のpHを5以上6以下に調節する初期pH調節ステップと、前記リン酸カルシウム溶液を60℃以上90℃以下の温度まで加熱するステップと、加熱された前記リン酸カルシウム溶液のpHが減少する時点で塩基性溶液を用いて前記リン酸カルシウム溶液のpHを5以上6以下に調節する後期pH調節ステップと、を含むリン酸八カルシウムの製造方法を提供する。
また、本発明の一実施形態は、前記製造方法によって製造されたリン酸八カルシウムを提供する。
本発明の一実施形態によるリン酸八カルシウムの製造方法は、高純度のリン酸八カルシウムを提供することができる利点がある。
本発明の一実施形態によるリン酸八カルシウムの製造方法は、短時間内にリン酸八カルシウムを製造することができる利点がある。
本発明の一実施形態によるリン酸八カルシウムの製造方法は、生産コストが低いので、工程上の経済性を確保することができる利点がある。
本発明の一実施形態によるリン酸八カルシウムの製造方法は、高いリン酸八カルシウムの収率を有する利点がある。
本発明の一実施形態によるリン酸八カルシウムの製造方法のフローチャートを示す図である。 実施例1(Controlled pH)と比較例2(Uncontrolled pH)の時間に応じたpHの変化を示す図である。 実施例1、実施例2、比較例1および比較例2のX線回折(X-ray Diffraction;XRD)の分析結果を示す図である。 実施例1、実施例2、比較例1および比較例2内に各成分の相対含有量を示す図である。 実施例1、実施例2、比較例1および比較例2を走査型電子顕微鏡(Scanning Elctron Microscope;SEM)で撮影した画像を示すものである。
本願明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
本願明細書の全体において使用される程度の用語「~(する)ステップ」または「~のステップ」は「~のためのステップ」を意味しない。
本発明者らは、従来のリン酸八カルシウムの合成方法、例えば、細胞培養液にカルシウムを含む粉末およびリンを含む粉末をそれぞれ混合してリン酸八カルシウムを製造する場合の、純度が低い問題、収率が低い問題を解決するために多くの研究を行った結果、下記のような発明をするに至った。
具体的に、本発明者らは、細胞培養液ではない、水系溶媒に、リンとカルシウムの両方が含まれたリン酸カルシウム溶液を使用するリン酸八カルシウムの製造方法を発明するに至った。本発明によるリン酸八カルシウムの製造方法は、高純度のリン酸八カルシウムを得ることができ、製造時間が短く、製造コストが低減され、リン酸八カルシウムの収率が高い利点がある。
以下、本明細書についてさらに詳細に説明する。
本発明の一実施形態は、リン酸カルシウム溶液を製造するステップと、前記リン酸カルシウム溶液のpHが増加する時点で酸性溶液を用いて前記リン酸カルシウム溶液のpHを5以上6以下に調節する初期pH調節ステップと、前記リン酸カルシウム溶液を60℃以上90℃以下の温度まで加熱するステップと、加熱された前記リン酸カルシウム溶液のpHが減少する時点で塩基性溶液を用いて前記リン酸カルシウム溶液のpHを5以上6以下に調節する後期pH調節ステップと、を含むリン酸八カルシウムの製造方法を提供する。
以下では、前記製造方法の各ステップ別に詳細に説明する。
リン酸カルシウム溶液を製造するステップ
本発明の一実施形態によると、前記リン酸八カルシウムの製造方法は、リン酸カルシウム溶液を製造するステップを含む。図1を参照すると、前記リン酸カルシウム溶液を製造するステップは、図1の(S1)に対応する。
本発明の一実施形態によると、前記リン酸カルシウム溶液を製造するステップは、リン酸カルシウム水和物および溶媒を混合することを含み、前記リン酸カルシウム水和物の含有量は、例えば、前記溶媒1Lに対して1g超過10g未満である。具体的に、前記リン酸カルシウム水和物の含有量は、前記溶媒1Lに対して3g以上10g未満、1g超過8g以下、3g以上8g以下、3g以上6g以下、4g以上8g以下、4g以上6g以下であり、望ましくは、5gである。
前記リン酸カルシウム水和物の含有量を前述した範囲に調節することにより、一定の析出速度でリン酸八カルシウムを得ることができ、リン酸八カルシウムの生成量を最大化することができる。具体的に、前記リン酸カルシウム水和物の含有量が前述した範囲内である場合、リン酸八カルシウム、すなわち、リン酸八カルシウム鉱物の析出量または生成量を向上させることができる。
本明細書において、「析出」という用語は、例えば、液体内で固体状態の物質が生成されることを意味する。
本発明の一実施形態によると、前記リン酸カルシウム水和物は、第二リン酸カルシウム二水和物(Dicalcium Phosphate Dihydrate,DCPD)を含むことができる。具体的に、前記第二リン酸カルシウム二水和物は、リン酸八カルシウムの前駆体として、前記リン酸カルシウム溶液に含まれた第二リン酸カルシウム二水和物からリン酸八カルシウムを析出することができる。すなわち、前記リン酸八カルシウムは、例えば、前記リン酸カルシウム溶液内で生成された固体状態(solid state)の結晶である。
本発明の一実施形態によると、前記リン酸カルシウム水和物の密度は、2g/cm以上2.5g/cm以下、具体的に2.32g/cmである。また、前記リン酸カルシウム水和物は、単斜晶系(monoclinic system)の結晶構造を有することができ、製造されるリン酸八カルシウムは三斜晶系(triclinic system)の結晶構造を有することができる。
本発明の一実施形態によると、前記リン酸カルシウム水和物内のカルシウム(Ca)およびリン(P)のモル比は、例えば、1:0.75~1:1.1である。
本発明の一実施形態によると、前記溶媒は、水系溶媒であり、具体的に、水または水とアルコール系溶媒の混合溶媒であり、より具体的には、水である。また、前記溶媒は、蒸留水(Distilled Water)または脱イオン水(Deionized Water)である。また、前記溶媒は、中性の溶媒であり、具体的に溶媒のpHは約7である。
従来は、前記溶媒としてDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Medium)などの細胞培養液を用いたが、これは高価であるという欠点があり、これを用いてリン酸八カルシウムを製造してもその収率が低いという問題点があった。
一方、本発明の一実施形態によるリン酸八カルシウムの製造方法は、前記溶媒として水系溶媒、望ましくは蒸留水または脱イオン水を用いることにより、従来の製造方法に比べて、比較的低価でありながら、高い収率でリン酸八カルシウムを製造することができる利点がある。
本発明の一実施形態によると、前記リン酸カルシウム溶液は、例えば、溶媒内に前記リン酸カルシウム水和物の粉末または粒子が分散された懸濁液である。また、前記リン酸カルシウム溶液は、例えば、溶媒内に前記リン酸カルシウム水和物の粉末または異種核粒子が分散された懸濁液である。
本発明の一実施形態によると、前記カルシウム塩溶液およびリン酸塩溶液を混合して前記リン酸カルシウム溶液を製造することができる。前記カルシウム塩溶液のカルシウム塩は、クエン酸カルシウム(calcium salts of citric acid)、グルコン酸カルシウム(calcium gluconate)、グリセロリン酸カルシウム(calcium glycerophosphate)、酸化カルシウム(calcium oxide)、水酸化カルシウム(calcium hydroxide)、塩化カルシウム(calcium chloride)、乳酸カルシウム(calcium lactate)、第三リン酸カルシウム(calcium phosphate,tribasic)、第二リン酸カルシウム(calcium phosphate,dibasic)、第一リン酸カルシウム(calcium phosphate,monobasic)、炭酸カルシウム(calcium carbonate)および硫酸カルシウム(calcium sulfate)のうち少なくとも一つを含むことができるが、前記カルシウム塩の種類を限定するものではない。
また、前記リン酸溶液のリン酸塩は、(NHHPO、および(NH)HPOのうち少なくとも一つを含むことができるが、前記リン酸の種類を限定するものではない。
また、前記カルシウム塩溶液およびリン酸塩溶液は、水系溶媒を含むことができる。前記カルシウム塩溶液およびリン酸塩溶液に含まれた水系溶媒は、例えば、前述したリン酸カルシウム水和物と混合される溶媒と同じものである。
初期pH調節ステップ
本発明の一実施形態によると、前記リン酸八カルシウムの製造方法は、前記リン酸カルシウム溶液のpHが増加する時点で、酸性溶液を用いて前記リン酸カルシウム溶液のpHを5以上6以下に調節する初期pH調節ステップを含む。図1を参照すると、前記初期pH調節ステップは、図1の(S2)に対応する。
本発明の一実施形態によると、前記初期pH調節ステップは、前記リン酸カルシウム溶液のpHを5以上6以下、5以上5.5以下、または5以上5.2以下に調節することができる。
具体的に、前記pH調節ステップは、前記溶媒と前記リン酸カルシウム水和物を混合してリン酸カルシウム溶液を製造する過程、またはカルシウム塩溶液およびリン酸塩溶液を混合してリン酸カルシウム溶液を製造する過程において、前記リン酸カルシウム溶液のpHが増加する時点で酸性溶液を用いて前記リン酸カルシウム溶液のpHを前記範囲に調節することができる。
本発明の一実施形態によると、前記初期pH調節ステップで前記リン酸カルシウム溶液のpHを前述した範囲に調節することにより、速い析出速度でリン酸八カルシウムを得ることができる。具体的に、前記リン酸カルシウム溶液のpHが前記範囲から外れる場合には、後でリン酸カルシウム溶液を加熱し、そのpHを適切な範囲に維持してもリン酸八カルシウムを十分に製造することができないという問題が発生し得る。また、前記初期pH調節ステップでリン酸カルシウム溶液のpHを前述した範囲に維持することにより、ハイドロキシアパタイト(HA)の生成を防止することができ、後の後期pH調節ステップにおいて高い析出速度でリン酸八カルシウムを製造することができる。
本発明の一実施形態によると、前記初期pH調節ステップは、前記リン酸カルシウム水和物および前記溶媒を混合した後、またはカルシウム塩溶液およびリン酸溶液を混合した後に、酸性溶液を添加することができる。
具体的に、前記リン酸カルシウム水和物と前記溶媒を混合する場合、塩基性であるリン酸カルシウム水和物のために、前記リン酸カルシウム溶液のpHが増加することができる。また、カルシウム塩溶液およびリン酸塩溶液を混合する場合、例えば、カルシウム塩であるCa(CHCOO)は、水溶液内でOHイオンを増加させ、前記リン酸カルシウム溶液のpHが増加する場合がある。
前記リン酸カルシウム溶液のpHが増加する時点で酸性溶液を添加して前記リン酸カルシウム溶液のpHを前述した範囲に調節することにより、リン酸八カルシウムを効果的に製造することができる。
本発明の一実施形態によると、前記酸性溶液の濃度は、例えば、1mol/L以上3mol/L以下、または2mol/Lである。また、前記酸性溶液は、酢酸水溶液、塩酸水溶液などであるが、その種類は制限されない。
リン酸カルシウム溶液を加熱するステップ
本発明の一実施形態によると、前記リン酸八カルシウムの製造方法は、前記リン酸カルシウム溶液を60℃以上90℃以下の温度まで加熱するステップを含む。図1を参照すると、前記リン酸カルシウム溶液を加熱するステップは、図1の(S3)に対応する。
具体的に、前記リン酸カルシウム溶液を加熱するステップは、前記リン酸カルシウム溶液を攪拌しながら加熱することであり、より具体的に、前記リン酸カルシウム溶液を攪拌しながらホットプレートで加熱することである。
本発明の一実施形態によると、前記リン酸カルシウム溶液を加熱するステップは、前記リン酸カルシウム溶液を65℃以上90℃以下、60℃以上85℃以下、65℃以上85℃以下、65℃以上80℃以下、70℃以上85℃以下、または70℃以上80℃以下の温度に加熱することができる。リン酸カルシウム溶液を前述した範囲の温度に加熱することにより、前記リン酸カルシウム溶液の溶媒が蒸発することを防止し、溶媒の蒸発によって、前記リン酸カルシウム溶液の安定性が低下することを抑制することができる。また、リン酸カルシウム溶液の温度が前記範囲内である場合、前記リン酸カルシウム溶液からリン酸八カルシウムを速い速度で析出することができ、リン酸八カルシウムの生成量を増加させることができる。
また、リン酸カルシウム溶液を前述した範囲の温度に加熱することにより、リン酸カルシウム水和物のイオン化度を向上させることができ、これにより、前記リン酸カルシウム溶液に対するリン酸カルシウム水和物のイオン化度が減少することになってリン酸八カルシウムの生成反応が誘導されなくなることを防止することができる。
本発明の一実施形態によると、前記リン酸カルシウム溶液の温度を加熱する方法は、前記リン酸カルシウム溶液を撹拌しながらマントル(mantle)で加熱したり、前記リン酸カルシウム溶液を撹拌しながらホットプレートで加熱するものであるが、リン酸カルシウム溶液を加熱する方法を限定するものではない。
本発明の一実施形態によると、前記リン酸カルシウム溶液を加熱するステップは、前記リン酸カルシウム溶液の温度を常温から65℃以上90℃以下、60℃以上85℃以下、65℃以上85℃以下、65℃以上80℃以下、70℃以上85℃以下、または70℃以上80℃以下の温度まで加熱することである。
リン酸カルシウム溶液を常温で前述した温度範囲に加熱することにより、前記リン酸カルシウム水和物のリン酸八カルシウムを生成するためのイオン化過程を経ることができ、高エネルギー効率を達成することができる。具体的に、リン酸カルシウム溶液を常温で前述した温度範囲に加熱する場合、リン酸カルシウム水和物からリン酸八カルシウムが形成されるイオン化過程が違った方向へ進むことを防止することができ、加熱に必要な時間が長引いてエネルギーおよび経済的な面において効率が低下することを抑制することができる。
本明細書において、常温は20℃~30℃の温度のうちいずれか一地点の温度を意味することができ、具体的に25℃を意味することができる。
異種核を添加するステップ
本発明の一実施形態によると、前記リン酸八カルシウムの製造方法は、後期pH調節ステップの前に、加熱された前記リン酸カルシウム溶液に異種核を添加するステップをさらに含むことができる。図1を参照すると、前記リン酸八カルシウムを添加するステップは、図1の(S3’)に対応する。
本発明の一実施形態によると、加熱された前記リン酸カルシウム溶液に異種核を添加することにより、リン酸カルシウム溶液からリン酸八カルシウムを速い速度で析出することができ、析出されるリン酸八カルシウムの量を効果的に増加させることができる。前記異種核は、リン酸八カルシウムおよび第二リン酸カルシウム二水和物のうち少なくとも一つを含むことができる。
本発明の一実施形態によると、加熱された前記リン酸カルシウム溶液に添加される前記異種核は結晶核の役割をすることができる。前記リン酸カルシウム溶液に異種核が添加されることにより、前記異種核、すなわち結晶核を中心にリン酸八カルシウム結晶が速い速度で成長することができ、リン酸八カルシウムの生成量が安定的に増加することができる。
本発明の一実施形態によると、前記リン酸カルシウム溶液に添加される前記異種核の平均粒径は、例えば、1nm以上1μm以下である。具体的に、リン酸カルシウム溶液に添加される前記異種核の平均粒径は5nm以上900nm以下、10nm以上750nm以下、50nm以上600nm以下、100nm以上500nm以下、または200nm以上350nm以下である。前述した範囲の平均粒径を有する異種核を前記リン酸カルシウム溶液に添加することにより、リン酸カルシウム溶液からリン酸八カルシウムを速い速度で析出することができ、析出されるリン酸八カルシウムの量を効果的に増加させることができる。
当業界における粉末の平均粒径を測定する方法を制限なく採用して、前記リン酸カルシウム溶液に添加される前記異種核の平均粒径を測定することができる。例えば、目の大きさが異なる篩を用いて前記異種核を濾過する方法を用いて平均粒径を測定することができる。
本発明の一実施形態によると、前記リン酸カルシウム溶液に添加される前記異種核の含有量は、例えば、前記リン酸カルシウム溶液100重量部に対して0.01重量部以上0.5重量部以下である。具体的に、前記リン酸カルシウム溶液100重量部に対して0.05重量部以上0.45重量部以下、0.07重量部以上0.3重量部以下、0.1重量部以上0.2重量部以下、または0.25重量部以上0.45重量部以下である。前記リン酸カルシウム溶液に添加される前記異種核の含有量を前述した範囲に調節することにより、リン酸カルシウム溶液からリン酸八カルシウムを速い速度で析出することができ、析出されるリン酸八カルシウムの量を効果的に増加させることができる。
後期pH調節ステップ
本発明の一実施形態によると、前記リン酸八カルシウムの製造方法は、前記加熱されたリン酸カルシウム溶液のpHが減少する時点で塩基性溶液を用いて前記リン酸カルシウム溶液のpHを5以上6以下に調節する後期pH調節ステップを含む。図1を参照すると、前記後期pH調節ステップは、図1の(S4)に対応する。
本発明の一実施形態によると、前記後期pH調節ステップは、例えば、前記加熱されたリン酸カルシウム溶液のpHを5以上6以下、5以上5.5以下、または5以上5.2以下に調節することである。
具体的に、前記後期pH調節ステップは、前記加熱されたリン酸カルシウム溶液を攪拌する過程で、前記加熱されたリン酸カルシウム溶液のpHが減少する時点で塩基性溶液を用いて前記リン酸カルシウム溶液のpHを前記範囲に調節することである。
加熱されたリン酸カルシウム溶液のpHを前述した範囲に調節することにより、リン酸カルシウム溶液からリン酸八カルシウムを速い速度で析出することができる。また、加熱されたリン酸カルシウム溶液のpHが前記範囲内である場合、リン酸八カルシウムの析出量を効果的に増加させることができる。
本発明の一実施形態によると、前記後期pH調節ステップは、前記リン酸カルシウム溶液のpHが減少する時点で塩基性溶液を添加して行われることである。
本発明の一実施形態によると、前記リン酸カルシウム溶液内で酸性(acidic)であるリン酸八カルシウムが生成されながら、前記リン酸カルシウム溶液のpHが5未満に減少することになるが、このとき、塩基性溶液を適正量添加することにより、前記リン酸カルシウム溶液のpHが上記した範囲に維持されるように調節することができる。
本発明の一実施形態によると、前記塩基性溶液は、例えば、アンモニア水(ammonia water)であるが、その種類は制限されない。
本発明の一実施形態によると、前記後期pH調節ステップは、前記リン酸カルシウム溶液の温度を60℃以上90℃以下、具体的に65℃以上90℃以下、60℃以上85℃以下、65℃以上85℃以下、65℃以上80℃以下、70℃以上85℃以下、または70℃以上80℃以下に維持して行うことができる。
本発明の一実施形態によると、前記後期pH調節ステップは、リン酸八カルシウムを0.5g/L・min以上1.5g/L・min以下、または約1g/L・minの速度で生成することができる。前記範囲の速度でリン酸八カルシウムが生成されることにより、既存のリン酸八カルシウムの製造工程よりも速い時間内にリン酸八カルシウムを製造することができる。
本発明の一実施例形態によると、前記リン酸カルシウム水和物のリン酸八カルシウムへの析出率は85%以上、望ましくは99%以上である。
本明細書において、「析出率」という用語は、投入されたリン酸八カルシウムの前駆体の重量に対する析出されたリン酸八カルシウム結晶の重量をパーセンテージで示したものを意味することができる。すなわち、リン酸カルシウム水和物の重量、またはカルシウム塩溶液とリン酸溶液の重量に対して、析出されたリン酸八カルシウム結晶の重量をパーセンテージで示したものを意味することができる。
本発明の一実施形態によると、前記リン酸八カルシウムの製造方法は、前記pHが調節されたリン酸カルシウム溶液を濾過するステップをさらに含むことができる。図1を参照すると、前記濾過するステップは、図1の(S5)に対応する。
本発明の一実施形態によると、前記pHが調節されたリン酸カルシウム溶液を濾過するステップは、前記初期pH調節ステップに従ってpHが調節されたリン酸カルシウム溶液、および/または前記後期pH調節ステップに従ってpHが調節されたリン酸カルシウム溶液を濾過することである。
本発明の一実施形態によると、前記pHが調節されたリン酸カルシウム溶液を濾過するステップは、濾紙を用いて行うことができ、具体的に、濾紙に前記pHが調節されたリン酸カルシウム溶液を通過させて行うことができる。
本発明の一実施形態によると、前記pHが調節されたリン酸カルシウム溶液を濾過するステップによって、前記濾紙上に形成された残留物(residue)は前記リン酸カルシウム溶液から析出されたリン酸八カルシウム結晶を含み得る。
本発明の一実施形態によると、前記リン酸八カルシウムの製造方法は、前記濾過されたリン酸カルシウム溶液の残留物を洗浄するステップをさらに含むことができる。図1を参照すると、前記洗浄するステップは、図1の(S6)に対応する。
具体的に、前記残留物を洗浄するステップは、前記残留物を溶媒を用いて洗浄するものであるが、その方法は特に制限されない。また、前記溶媒についての説明は、前述した通りである。前記残留物を洗浄するステップによって、前記残留物に含まれたリン酸八カルシウム結晶以外の不純物を除去することができる。
本発明の一実施例によると、前記リン酸八カルシウムの製造方法は、前記洗浄された残留物を乾燥するステップをさらに含むことができる。図1を参照すると、前記乾燥するステップは、図1の(S7)に対応する。
本発明の一実施形態によると、前記洗浄された残留物を乾燥するステップは、前記洗浄された残留物を乾燥機を用いて行うことができる。また、前記乾燥機の種類は、特に制限されなく、当業界で一般的に知られている乾燥機から適切に選択することができる。
本発明の一実施形態によると、前記洗浄された残留物を乾燥するステップは、前記洗浄された残留物を70℃以上90℃以下、望ましくは80℃の温度で約24時間乾燥して行うことができる。ただし、乾燥温度および乾燥時間は、特に制限されなく、残留物の量に応じて適切に調節することができる。
本発明の一実施形態によると、前記洗浄された残留物を乾燥させることにより、高純度のリン酸八カルシウム結晶を得ることができる。
本発明の一実施形態は、前記製造方法によって製造されたリン酸八カルシウムを提供する。
本発明の一実施形態によると、製造された前記リン酸八カルシウムは、長さが10μm以上15μm以下、幅が2μm以上3μm以下である第1の結晶、および長さが1μm以上10μm以下、幅が0.5μm以上3μm以下である第2の結晶を含むことができる。従来知られている研究の結果とは異なり、本発明の一実施形態によると、不均一な大きさのリン酸八カルシウム結晶を得ることができ、二つの大きさの結晶を得ることができる。相対的に小さいリン酸八カルシウム結晶と大きいリン酸八カルシウム結晶の混合物を製造することができ、製造された混合物を機械的に破砕する方法によってリン酸八カルシウム結晶のサイズを所望の大きさに調節することができる。また、従来の方法で製造されたリン酸八カルシウム結晶は、一つの大きさを有するので、本発明の一実施形態によるリン酸八カルシウムに含まれる小さい結晶と大きい結晶は、電子顕微鏡写真で容易に区別することができる。
本発明の一実施形態は、前記製造方法によって製造され、リン酸カルシウム水和物のリン酸八カルシウムへの析出率が85%以上、望ましくは99%以上であるリン酸八カルシウムを提供する。
本発明の一実施形態によると、前記リン酸八カルシウムは、X線回折(XRD)分析の結果、JCPDS No.74-1301に該当するピークを示すものである。
(実施例)
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
pH7の蒸留水1Lに第二リン酸カルシウム二水和物(dicalcium phosphate dehydrate;DCPD,CaHPO・2HO)5gを添加してリン酸カルシウム溶液を製造した。このとき、リン酸カルシウム溶液に2mol/L濃度の酢酸標準溶液を添加してリン酸カルシウム溶液のpHを約5に維持した。リン酸カルシウム溶液の温度は25℃であった。
その後、pHが調節されたリン酸カルシウム溶液をホットプレートを用いて200rpmの速度で攪拌しながら80℃まで加熱した。その後、加熱されたリン酸カルシウム溶液に異種核として、平均粒径が約500nmであるリン酸八カルシウム粉末を、リン酸カルシウム溶液100重量部に対して0.5重量部を添加した。
その後、リン酸カルシウム溶液のpHが減少する時点ごとにアンモニア水を添加してリン酸カルシウム溶液のpHを約5に調節し、この状態を5分間維持した。
5分経過後、前記リン酸カルシウム溶液を濾紙(Whatman社製)を用いて濾過し、前記濾紙上に残った残留物を50mlのエタノールで洗浄した後、前記洗浄された残留物を乾燥機に入れ、80℃の温度で24時間乾燥してリン酸八カルシウムを得た。
pH7の蒸留水1Lに第二リン酸カルシウム二水和物(dicalcium phosphate dehydrate;DCPD,CaHPO・2HO)5gを添加してリン酸カルシウム溶液を製造した。このとき、リン酸カルシウム溶液に2mol/L濃度の酢酸標準溶液を添加してリン酸カルシウム溶液のpHを約6に維持した。リン酸カルシウム溶液の温度は25℃であった。
その後、pHが調節されたリン酸カルシウム溶液をホットプレートを用いて200rpmの速度で攪拌しながら80℃まで加熱した。その後、リン酸カルシウム溶液のpHが減少する時点ごとにアンモニア水を添加してリン酸カルシウム溶液のpHを約6に調節し、この状態を5分間維持した。
5分経過後、前記リン酸カルシウム溶液を濾紙(Whatman社製)を用いて濾過し、前記濾紙上に残った残留物を50mlのエタノールで洗浄した後、前記洗浄された残留物を乾燥機に入れ、80℃の温度で24時間乾燥してリン酸八カルシウムを得た。
比較例1
リン酸カルシウム溶液のpHを7に維持したことを除いては、実施例2と同様の方法で行ったが、リン酸八カルシウムは検出されなかった。
比較例2
リン酸カルシウム溶液のpHを調節しないことを除いては、実施例2と同様の方法で行ってリン酸八カルシウムを得た。
<実験例および評価>
1.時間に応じた溶液のpHの変化
実施例1および比較例2の製造過程において、時間に応じた溶液のpHの変化を図2に示した。
図2によると、蒸留水にDCPDを添加した後、別途の酸性溶液を投入しない比較例2は、pHが7以上に急激に増加し、約15分経過までは徐々にpHが低下したが、約15分経過後はpHが急減することが確認できた。また、約25分経過時、比較例2のpHは約5であり、その後からはpHが小幅減少することを確認することができた。
これを下記の転換率の測定結果と総合してみると、リン酸カルシウム溶液の温度およびpHが本発明の一実施形態による範囲に含まれる場合はリン酸八カルシウムが析出されるが、初期および後期にpHを調節しない場合には高い転換率でDCPDからOCPを得ることができないことが確認できた。
また、図2によると、蒸留水にDCPDを添加した直後に酸性溶液を投入してpHの範囲を約5に維持した実施例1の場合、約30分経過後にpHの急な変化があることが確認でき、これと同時に塩基性溶液を投入してpHを約5に維持していることを確認することができた。
すなわち、本発明の一実施形態による初期および後期のpHおよび温度条件でリン酸八カルシウムを製造することができ、前記pHの範囲を、初期および後期にそれぞれ酸性および塩基性溶液を添加して維持することにより、リン酸八カルシウムの転換率を向上させることができることを予測することができた。
2.X線回折の分析
実施例1(pH5)、実施例2(pH6)、比較例1(pH7)および比較例2(Uncontrolled)をX線回折分析機(X’pert hiscore plus,PANalytical社製)を用いてそれぞれに含まれた成分の種類および相対的含有量を測定してこれを図3に示した。
図3によると、実施例1は、リン酸八カルシウムに該当するJCPDS No.74-1301のピークを示すことを確認することができた。
また、図3によると、実施例2は、JCPDS No.74-1301のピークだけではなく、ハイドロキシアパタイトに該当するJCPDS No.72-1243のピークを示すことを確認することができた。
さらに、図3によると、比較例1は、DCPDに該当するJCPDS No.09-0077およびJCPDS No.72-1243のピークを示すことを確認することができた。
また、図3によると、比較例2は、JCPDS No.74-1301のピーク、JCPDS No.09-0077のピークおよびJCPDS No.72-1243のピークのすべてを示すことを確認することができた。
図3の結果を総合してみると、実施例1および実施例2は、多量のOCPの析出が可能であるが、pHを本発明の一実施形態による範囲から外れるように調節したり調節しない比較例1および比較例2の場合は、微量のOCPが析出されたり、析出されないことを確認することができた。
3.OCP析出率の測定
前記X線回折分析を行った後、前記X線回折分析機のRietveld機能を利用して実施例1(pH5)、実施例2(pH6)、比較例1(pH7)および比較例2(Uncontrolled pH)内に含まれたDCPD、OCPおよびハイドロキシアパタイト(Hydroxyapatite;HA)の相対的含有量を測定し、その結果を下記表1および図4に示した。
Figure 0007084058000001
前記表1により、リン酸八カルシウムの生成前・後に溶液のpHをそれぞれ5および6に維持した実施例1および実施例2は、DCPDがほとんど消耗され、85%以上のOCPの高い析出率を得られることが確認できた。
ただし、溶液のpHを7に維持した比較例1の場合はすぐにHAが生成されたことが確認でき、pHを調節しない比較例2の場合は60%以下の低い析出率でOCPを製造できることが確認できた。
4.走査型電子顕微鏡の撮影
実施例1、実施例2、比較例1および比較例2を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)を用いて撮影し、その画像を図5に示した。
図5によると、SEM撮影断面の画像において相対的に小さい板状の物質がOCPに該当し、実施例1および実施例2が比較例1および比較例2よりもOCPの検出量が高いことを確認することができた。
前記実験結果を総合してみると、リン酸八カルシウムの生成反応の収率を高めるためには、初期リン酸カルシウム溶液のpHを本発明の一実施形態による範囲に維持し、初期溶液の温度を本発明の一実施形態による範囲まで加熱した後、リン酸カルシウム溶液のpHを本発明の一実施形態による範囲に維持しなければならないことを確認することができる。
また、図5を参照すると、従来の方法でリン酸八カルシウムを製造した例は、単一の大きさを有するリン酸八カルシウムのリボンタイプの結晶が形成されることを確認したが、加熱したリン酸カルシウム溶液に異種核を添加した実施例1で製造したリン酸八カルシウムは、大きさが互いに異なる二種類のリボンタイプの結晶を含んでいることを確認した。具体的に、実施例1で製造したリン酸八カルシウムは、長さが10μm以上15μm以下、幅が2μm以上3μm以下である第1の結晶、および長さが1μm以上10μm以下、幅が0.5μm以上3μm以下である第2の結晶を含むことを確認した。

Claims (6)

  1. 長さが10μm以上15μm以下、幅が2μm以上3μm以下である第1の結晶、および長さが1μm以上10μm以下、幅が0.5μm以上3μm以下である第2の結晶を含むリン酸八カルシウムの製造方法であって、
    第二リン酸カルシウム二水和物および溶媒を混合することを含む、リン酸カルシウム溶液を製造するステップと、
    前記リン酸カルシウム溶液のpHが増加する時点で酸性溶液を用いて前記リン酸カルシウム溶液のpHを5以上6以下に調節する初期pH調節ステップと、
    前記リン酸カルシウム溶液を70℃以上90℃以下の温度まで加熱するステップと、
    加熱された前記リン酸カルシウム溶液にリン酸八カルシウムおよび第二リン酸カルシウム二水和物のうち少なくとも一つを含む異種核を添加することにより、異種核粒子が分散したリン酸カルシウム懸濁液を製造するステップと、
    前記リン酸カルシウム懸濁液のpHが減少する時点で塩基性溶液を用いて前記リン酸カルシウム懸濁液のpHを5以上6以下に調節する後期pH調節ステップと、を含むリン酸八カルシウムの製造方法。
  2. 前記リン酸カルシウム溶液を製造するステップにおける、前記第二リン酸カルシウム二水和物の含有量は、前記溶媒1Lに対して1gより多く10g未満である請求項1に記載のリン酸八カルシウムの製造方法。
  3. 前記リン酸カルシウム溶液に添加される前記異種核の平均粒径は、1nm以上1μm以下である請求項に記載のリン酸八カルシウムの製造方法。
  4. 前記リン酸カルシウム溶液に添加される前記異種核の含有量は、前記リン酸カルシウム溶液100重量部に対して0.01重量部以上0.5重量部以下である請求項に記載のリン酸八カルシウムの製造方法。
  5. 前記後期pH調節ステップは、前記リン酸カルシウム懸濁液の温度を70℃以上90℃以下に維持して行う請求項1に記載のリン酸八カルシウムの製造方法。
  6. 前記後期pH調節ステップは、リン酸八カルシウムが0.5g/L・min以上1.5g/L・min以下の速度で生成される請求項1に記載のリン酸八カルシウムの製造方法。
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