JP4465217B2 - リン酸カルシウムウィスカーの製造方法 - Google Patents
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請求項1は、
80〜250℃でオルトリン酸とプロトンとを生成するリン酸カルシウムゲル化合物を、親水性有機溶媒、或いは、水と親水性有機溶媒との混合物に、分散させて分散液を得る分散工程と、密閉容器内で前記分散液を80〜250℃で加熱する加熱工程とを有し、加熱前の分散液のpHを9以下とし、加熱後の分散液のpHを3.9〜9にすることを特徴とするリン酸カルシウムウィスカーの製造方法であり、
請求項2は、
80〜250℃でオルトリン酸とプロトンとを生成するリン酸カルシウムゲル化合物及び酸化チタンを、水及び親水性有機溶媒の少なくとも一方を含む溶媒に、分散させて分散液を得る分散工程と、密閉容器内で前記分散液を80〜250℃で加熱する加熱工程とを有し、加熱前の分散液のpHを9以下とし、加熱後の分散液のpHを3.9〜9にすることを特徴とするリン酸カルシウムウィスカーの製造方法であり、
請求項3は、
前記分散工程において、pH調整剤を前記分散液に含有させる請求項1又は2に記載のリン酸カルシウムウィスカーの製造方法であり、
請求項4は、
前記加熱工程において、pH調整剤を前記分散液に含有させる請求項1〜3の何れか1項に記載のリン酸カルシウムウィスカーの製造方法であり、
請求項5は、
前記pH調整剤が、酸を含むpH調整剤である請求項3又は4に記載のリン酸カルシウムウィスカーの製造方法であり、
請求項6は、
前記pH調整剤が、尿素を含有するpH調整剤である請求項3〜5の何れか1項に記載のリン酸カルシウムウィスカーの製造方法であり、
請求項7は、
前記親水性有機溶媒が、少なくともアルコールを含む溶媒である請求項1〜6の何れか1項に記載のリン酸カルシウムウィスカーの製造方法であり、
請求項8は、
前記アルコールが、少なくとも2−プロパノールである請求項7に記載のリン酸カルシウムウィスカーの製造方法であり、
請求項9は、
前記リン酸カルシウムゲル化合物が、縮合リン酸カルシウムゲル化合物である請求項1〜8の何れか1項に記載のリン酸カルシウムウィスカーの製造方法であり、
請求項10は、
前記縮合リン酸カルシウムゲル化合物が、ピロリン酸カルシウムゲル、トリポリリン酸カルシウムゲル、およびヘキサメタリン酸カルシウムゲルより成る群から選択される少なくとも1種を含む請求項9に記載のリン酸カルシウムウィスカーの製造方法である。
また、酸化チタンの添加により副生成物であるリン酸水素カルシウムの生成を抑えることができるので、大きな生産効率でアパタイトウィスカーを製造することができる。
この発明に係るリン酸カルシウムウィスカーの製造方法(以下において、単に、「この発明の方法」と略称することがある。)においては、先ず、80〜250℃でオルトリン酸とプロトンとを生成するリン酸カルシウムゲル化合物を、水及び親水性有機溶媒の少なくとも一方を含む溶媒に、分散させて分散液を得る分散工程を採用する。
この発明に係るリン酸カルシウムウィスカーの製造方法における酸化チタンとしては、その結晶型についての制限がなく、例えばブルッカイト型、アナターゼ型、及びルチル型等のいずれの結晶型であってもよい。また、二酸化チタンは一般にTiO2と言う一般式で表記されるのであるが、この発明における酸化チタンとしてはTinO2n−1の一般式で示される結晶相を含んでいても良い。
この発明の方法においては、前記分散工程で得られたところの、pHが9以下に調整された分散液を、80〜250℃に加熱し、しかもその加熱後の分散液のpHを3.9〜9に調整する。
トリポリリン酸ナトリウム水溶液と硝酸カルシウム水溶液とをCa/P=1.67となるように混合したトリポリリン酸カルシウムゲルに表1に示す種類の溶媒を表1に示す添加量で添加し、次いで所定の濃度の尿素とアンモニアと硝酸とを添加し、その溶液を耐圧密閉用器内に充填し、140℃で24時間処理を行った。この時、加熱前の溶媒のpHは2〜7であり、加熱中の溶媒のpHは3.9〜7であった。得られた生成物は、XRD(X線回折分析)により主成分がリン酸カルシウムウィスカー(ヒドロシキアパタイト、HAp)であることを確認した。実施例1及び4〜6における、リン酸カルシウムウィスカーのSEM(走査型電子顕微鏡)写真を図1〜4に示す。これらにより、リン酸カルシウムウィスカーの結晶の長軸長さが10〜100μm程度であることが分かる。さらに、図6に示す実施例1、下記比較例4で得られたリン酸カルシウムウィスカー結晶のFT−IRスペクトル測定の結果により得られた炭酸イオンのピーク面積の比較により、従来の製造方法よりも、実施例1の方がアパタイトウィスカーの結晶中に炭酸イオンが、多く取り込まれていることが分かる。
硝酸カルシウム水溶液とリン酸水素アンモニウム水溶液をCa/P=1.67となるように混合し、低結晶性アパタイトゲルを形成させた水溶液を耐圧密閉容器内に充填し、140℃で24時間処理を行った。得られた生成物は、XRDでアパタイト単一相であることを確認した。また、SEMによりリン酸カルシウムウィスカーの結晶の長軸長さが150nm程度であることが分かった。
トリポリリン酸ナトリウム水溶液と硝酸カルシウム水溶液をCa/P=1.67となるように混合し、トリポリリン酸カルシウムゲルを形成させた液に、反応で生成するプロトンを中和するのに必要な理論量と同じ濃度となるようにアンモニアを添加し、その液を耐圧密閉用器内に充填し、140℃で24時間処理を行った。この時、加熱前の溶媒のpHは、10.3であり、加熱後の溶媒のpHは5.5であった。得られた生成物は、XRDでアパタイト単一相であることを確認した。また、SEMによりリン酸カルシウムウィスカーの結晶の長軸長さが1〜8μm程度であることが分かった。
トリポリリン酸ナトリウム水溶液と硝酸カルシウム水溶液をCa/P=1.67となるように混合し、トリポリリン酸カルシウムゲルを形成させた液に、反応で生成するプロトンを中和するのに必要な理論量の20%濃度のアンモニアを添加し、その液を耐圧密閉用器内に充填し、140℃で24時間処理を行った。この時、加熱前の溶媒のpHは、10.1であり、加熱後の溶媒のpHは3.4であった。得られた生成物は、XRDでリン酸水素カルシウム(DCPA)が主成分であることが分かった。
トリポリリン酸ナトリウム水溶液と硝酸カルシウム水溶液をCa/P=1.67となるように混合し、トリポリリン酸カルシウムゲルを形成させた液に、2−プロパノールを30体積%添加し、反応で生成するプロトンを中和するのに必要な理論量と同じ濃度となるようにアンモニアを添加し、その液を耐圧密閉用器内に充填し、140℃で24時間処理を行った。この時、加熱前の溶媒のpHは、10.4であり、加熱後の溶媒のpHは7.9であった。得られた生成物は、XRDでアパタイト単一相であることを確認した。また、図4に示す、SEMによりアパタイトウィスカーの結晶の長軸長さが2〜5μm程度であることが分かり、FT−IRの結果によりより得られた炭酸イオンのピーク面積の比較により、リン酸カルシウムウィスカーの結晶に含まれる炭酸イオン量が低いことが分かった。
トリポリリン酸ナトリウム水溶液と硝酸カルシウム水溶液をCa/P=1.67となるように混合し、トリポリリン酸カルシウムゲルを形成させた液に、エタノールを10体積%添加し、その液を耐圧密閉用器内に充填し、140℃で24時間処理を行った。この時、加熱後の溶媒のpHは3.6以下であった。得られた生成物は、XRDでリン酸水素カルシウムが多量に存在していることを確認した。
平均一次粒子径が20nmである酸化チタンゾルを、表2に示す所定濃度に表2に示す所定の溶媒に分散させた液に、トリポリリン酸ナトリウム水溶液と硝酸カルシウム水溶液とをCa/Pモル比が1.67となるように添加し、トリポリリン酸カルシウムゲルを形成させ、この液に2−プロパノ-ルを所定量添加し、更に所定の濃度のアンモニアと硝酸とを添加して分散液を得た。その分散液を耐圧密閉用器内に充填し、140℃で24時間の加熱処理を行った。この時、加熱前の溶液のpHは0.9〜8.4であり、加熱後の溶液のpHは4.4〜4.5であった。得られた生成物は、XRD(X線回折分析)により主成分がヒドロキシアパタイト(HAp)であることを確認した。実施例18のXRDスペクトルチャートを図7に示す。また、実施例18で得られたヒドロキシアパタイトのSEM(走査型電子顕微鏡)写真を図8に示した。この図8により、長軸長さが30〜90μm程度のリン酸カルシウムウィスカーが生成していることが分かった。
Claims (10)
- 80〜250℃でオルトリン酸とプロトンとを生成するリン酸カルシウムゲル化合物を、親水性有機溶媒、或いは、水と親水性有機溶媒との混合物に、分散させて分散液を得る分散工程と、密閉容器内で前記分散液を80〜250℃で加熱する加熱工程とを有し、加熱前の分散液のpHを9以下とし、加熱後の分散液のpHを3.9〜9にすることを特徴とするリン酸カルシウムウィスカーの製造方法。
- 80〜250℃でオルトリン酸とプロトンとを生成するリン酸カルシウムゲル化合物及び酸化チタンを、水及び親水性有機溶媒の少なくとも一方を含む溶媒に、分散させて分散液を得る分散工程と、密閉容器内で前記分散液を80〜250℃で加熱する加熱工程とを有し、加熱前の分散液のpHを9以下とし、加熱後の分散液のpHを3.9〜9にすることを特徴とするリン酸カルシウムウィスカーの製造方法。
- 前記分散工程において、pH調整剤を前記分散液に含有させる請求項1又は2に記載のリン酸カルシウムウィスカーの製造方法。
- 前記加熱工程において、pH調整剤を前記分散液に含有させる請求項1〜3の何れか1項に記載のリン酸カルシウムウィスカーの製造方法。
- 前記pH調整剤が、酸を含むpH調整剤である請求項3又は4に記載のリン酸カルシウムウィスカーの製造方法。
- 前記pH調整剤が、尿素を含有するpH調整剤である請求項3〜5の何れか1項に記載のリン酸カルシウムウィスカーの製造方法。
- 前記親水性有機溶媒が、少なくともアルコールを含む溶媒である請求項1〜6の何れか1項に記載のリン酸カルシウムウィスカーの製造方法。
- 前記アルコールが、少なくとも2−プロパノールである請求項7に記載のリン酸カルシウムウィスカーの製造方法。
- 前記リン酸カルシウムゲル化合物が、縮合リン酸カルシウムゲル化合物である請求項1〜8の何れか1項に記載のリン酸カルシウムウィスカーの製造方法。
- 前記縮合リン酸カルシウムゲル化合物が、ピロリン酸カルシウムゲル、トリポリリン酸カルシウムゲル、およびヘキサメタリン酸カルシウムゲルより成る群から選択される少なくとも1種を含む請求項9に記載のリン酸カルシウムウィスカーの製造方法。
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