JP7084038B6 - 導電性ペースト、導電性膜、及び電子部品 - Google Patents

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本発明は、導電性ペースト、導電性膜、及び電子部品に関する。
近年、フレキシブル基板(FPC)、ディスプレイ、ロボット、ウェアラブルセンサー、ヘルスケアセンサー、Radio Frequency Identification(RFID)タグ等の分野では、電極、配線、アンテナなどに対して、伸長性が求められている。
従来用いられてきた方法で形成された電極、配線、アンテナなどは、屈曲性は有するものの、伸長に対しては十分に適応できていなかった。例えば、樹脂中に導電性粉末として銀粉を分散させた導電性ペーストを用いて、スクリーン印刷、グラビアオフセット印刷を行うことなどにより形成された電極は、伸長時に破断したり比抵抗値が大きく増加したりする場合がある。そのため、伸長時の破断や比抵抗値の増加を抑制するためには、導電性ペースト中の樹脂の含有量を多くすることが考えられるが、樹脂比率が高くなると、比抵抗値が高くなり、微細配線や長い配線回路を必要とする用途では回路抵抗値も高くなり、使用に適さない場合がある。
そこで、低抵抗で伸長性と繰返し伸縮性を有する電極を形成可能である技術として、フレーク状粉の銀粉とニトリル基を含有するゴムとを含む導電性銀ペーストが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このフレーク状粉の銀粉については、平均粒子径(50%D)が0.5~15μmであるものが好ましいとしているが、十分な樹脂成分を含むことができず、優れた導電性が得られなかった。
また、柔軟性を有する導電性の硬化性組成物を用いて平板状の基材に回路パターンを形成して当該回路パターンを硬化させたのち、回路パターンが形成された基材を所定の型を用いて立体形状に成型したとしても、立体成型されることに伴って伸長した回路パターンの抵抗の変化率を低くすることができる技術として、熱可塑性樹脂と導電性フィラーとを含み、熱可塑性樹脂の軟化点と成型体の成型温度との差が±30℃以下である導電性ペーストが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、この導電性フィラーとしてフレーク状の銀粉を用いる場合には、球状銀粉及び/又は塊状銀粉等の銀粉をジェットミル、ロールミル、若しくはボールミル等の装置を用いて機械的に粉砕等して製造しているため、フレーク状の銀粉の平均厚さを100nm以下の超薄膜にすることは困難であり、十分な導電性が得られなかった。
国際公開第2016/114279号 特開2018-198133号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ペースト中に樹脂成分を多く含むとしても低い比抵抗値が得られるとともに、繰り返しの伸縮や熱成形を受けたとしても優れた導電性を維持できる導電性ペースト、導電性膜、及び電子部品を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 伸長されて用いられる導電性膜を形成するための導電性ペーストであって、平均厚さが20nm~60nm、50%累積体積粒子径D50が2μm以上20μm以下、及びアスペクト比が20以上である薄片状銀粒子と、切断時伸びが200%を超えるポリマーと、溶剤とを含有することを特徴とする導電性ペーストである。
<2> 変形した表面に配される導電性膜を形成するための導電性ペーストであって、平均厚さが20nm~60nm、50%累積体積粒子径D50が2μm以上20μm以下、及びアスペクト比が20以上である薄片状銀粒子と、切断時伸びが200%を超えるポリマーと、溶剤とを含有することを特徴とする導電性ペーストである。
<3> 前記薄片状銀粒子と前記ポリマーの合計体積に対する前記薄片状銀粒子の体積比率が15体積%~80体積%である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の導電性ペーストである。
<4> 伸長されて用いられる導電性膜であって、平均厚さが20nm~60nm、50%累積体積粒子径D50が2μm以上20μm以下、及びアスペクト比が20以上である薄片状銀粒子と、切断時伸びが200%を超えるポリマーとを含むことを特徴とする導電性膜である。
<5> 変形した表面に配される導電性膜であって、平均厚さが20nm~60nm、50%累積体積粒子径D50が2μm以上20μm以下、及びアスペクト比が20以上である薄片状銀粒子と、切断時伸びが200%を超えるポリマーとを含むことを特徴とする導電性膜である。
<6> 導電性膜の厚さ方向において、前記薄片状銀粒子を平均単位厚さ1μm当たり4層以上の積層状態で有する領域を含む、前記<4>から<5>のいずれかに記載の導電性膜である。
<7> 導電性膜の比抵抗値が5×10-4Ω・cm以下であり、かつ、導電性膜の変形率が50%であるときの比抵抗換算値が1.0×10-2Ω・cm以下である、前記<4>から<6>のいずれかに記載の導電性膜である。
<8> 前記<4>から<7>のいずれかに記載の導電性膜を基材上に有することを特徴とする電子部品である。
<9> フレキシブル基板である、前記<8>に記載の電子部品である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、ペースト中に樹脂成分を多く含むとしても低い比抵抗値が得られるとともに、繰り返しの伸縮や熱成形を受けたとしても優れた導電性を維持できる導電性膜を形成することができる導電性ペースト、導電性膜、及び電子部品を提供することができる。
図1は、実施例4の導電性ペーストを用いて作製した導電性膜の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)写真である。 図2は、導電性膜が形成されたウレタンシートを伸長させる様子の一例を示す図である。 図3は、変形した表面に配される導電性膜の一例を示す図である。
(導電性ペースト)
本発明の導電性ペーストは、伸長されて用いられる導電性膜、又は変形した表面に配される導電性膜を形成するための導電性ペーストであって、平均厚さが20nm~60nm、50%累積体積粒子径D50が2μm以上20μm以下、及びアスペクト比が20以上である薄片状銀粒子と、切断時伸びが200%を超えるポリマーと、溶剤とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
<薄片状銀粒子>
本発明の導電性ペーストに用いる薄片状銀粒子は、平均厚さが20nm~60nm、50%累積体積粒子径D50が2μm以上20μm以下、及びアスペクト比が20以上である。
本発明における薄片状銀粒子は、例えば、物理蒸着法(PVD法)(特に真空蒸着法)で製造される。このことにより、平均厚さが20nm~60nm、50%累積体積粒子径D50が2μm以上20μm以下の薄片状銀粒子が得られる。また、一つの薄片状銀粒子は銀微粒子が複数集合してなる集合体を有しており、集合体同士の界面に粒界が存在する。また、一つの薄片状銀粒子の中に少なくとも1つの銀結晶の格子欠陥が存在する。即ち、本発明の薄片状銀粒子は、銀微粒子が複数集合してなる集合体同士の界面に粒界を有し、また、銀結晶の格子欠陥が存在することで銀原子の拡散が促進されて、薄片状銀粒子の焼結が進行し、薄片状銀粒子間の面接触による導電性パスラインが形成しやすくなる。
これに対して、機械的粉砕で球状粒子から得られる従来のフレーク状銀粒子は、平均厚さを100nm以下にすることが困難であり、粒界や格子欠陥が見られず、導電性パスラインが形成されにくくなる。
なお、本明細書中で述べる粒界とは、純粋な多結晶体同士の界面だけを指すのではなく、異なるアモルファス状態の部分同士の界面や、多結晶体とアモルファス状態の部分との界面も含むものとする。
また、所定の条件のPVD法(特に真空蒸着法)により、平均厚さが100nm以下の銀を薄膜形成し、この銀薄膜を剥がして薄片状銀粒子を作製することにより、100nm以下の厚さであっても、薄片状銀粒子表面に有機不揮発分量が少なく、表面粗度Raが小さい表面平滑性に優れる薄片状銀粒子が得られる。
本発明の薄片状銀粒子を含有する導電性ペーストを基板上に塗布することにより、乾燥後の導電性膜中の薄片状銀粒子間の接触面積を増やすことができ、導電性が大幅に向上する。
本発明の銀粒子は、薄片状粒子である。前記薄片状粒子は、鱗片状粒子、平板状粒子、フレーク状粒子などと称されることもある。
本発明において、薄片状粒子とは、略平坦な面を有し、かつ該略平坦な面に対して垂直方向の厚さが略均一である粒子を意味する。また、前記薄片状粒子とは、前記厚さが非常に薄く、その厚さに比較して略平坦な面の長さが非常に長い形状の粒子を意味する。なお、略平坦な面の長さは、前記薄片状粒子の投影面積と同じ投影面積を持つ円の直径である。
略平坦な面の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、略円形、略楕円形、略三角形、略四角形、略五角形、略六角形、略七角形、略八角形等の多角形、ランダムな不定形などが挙げられる。
なお、薄片状銀粒子は純度95重量%以上の銀からなり、微量の不純物を含んでいてもよい。
薄片状銀粒子の平均厚さは20nm以上60nm以下であり、20nm以上50nm以下が好ましく、20nm以上45nm以下がより好ましい。前記薄片状銀粒子の平均厚さが20nm未満では、薄片状銀粒子の平坦性低下と薄片状銀粒子の平坦面における銀膜欠損のポーラス部が多くなる。それによって、導電性ペーストの乾燥後の粒子間接触性が悪くなり、導電性を低下させる。一方、前記薄片状銀粒子の平均厚さが60nmを超えると、薄片状銀粒子の格子欠陥が少なくなり、導電性ペーストの乾燥後の薄片状銀粒子間の接触部における銀原子の拡散を抑制することになり、導電性を低下させる。
本発明における薄片状銀粒子の「平均厚さ」とは、薄片状銀粒子の3次元方向において、最も短い部分の長さであると定義する。
前記平均厚さは、例えば、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)を用いて、観察される画像から任意に5個の粒子を抽出し、厚さを測定した後、5個の粒子の厚さを平均することにより、薄片状銀粒子の平均厚さを求めることができる。
なお、所定の条件のPVD法(特に真空蒸着法)により、平均厚さが100nm以下の銀を薄膜形成し、この銀薄膜を剥がして作製された薄片状銀粒子においては、20nm以上60nm以下の範囲でほぼ同じ厚さに形成することができるため、バラツキが小さい。
前記薄片状銀粒子の50%累積体積粒子径D50としては、2μm以上20μm以下であり、2μm以上15μm以下が好ましく、2μm以上10μm以下がより好ましい。
50%累積体積粒子径D50が20μm以下であれば、導電性ペースト中の銀粒子の相互作用が大きくなりすぎず、導電性ペーストの粘性体としての流動性を保持できるので、基材上への塗布性に優れる。一方、薄片状銀粒子の製造上の観点から、累積50%体積粒子径D50の下限値は2μm程度である。2μm未満では、銀粒子の厚さに対する平坦さの比が小さくなる。それによって、導電性ペーストの乾燥後の銀粒子配向性が悪くなり、銀粒子間の接触面積が少なくなることで、導電性膜の導電性が低下する場合がある。
前記50%累積体積粒子径D50は、レーザー回折法により得られる粒径分布曲線の体積分布累積量の50%に相当する粒径であり、非球形の銀粒子を完全な球体と仮定して測定した場合の、銀粒子の長径及び短径を平均化した長さである。しかし、実際の銀粒子は、球形ではなく、長辺及び短辺を有する薄片状である。したがって、前記D50は、銀粒子の実際の長辺方向の長さ(長径)及び短辺方向の長さ(短径)とは異なる値である。
前記レーザー回折法を用いた手段としては、例えば、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器などが挙げられる。
薄片状銀粒子のアスペクト比(50%累積体積粒子径D50/平均厚さ)は20以上が好ましく、25以上がより好ましい。前記薄片状銀粒子のアスペクト比が20以上であれば、導電性膜の伸長によって薄片状銀粒子が移動したとしても、薄片状銀粒子どうしの接点が得られやすく、伸長によって高い配向性が得られやすくなり、安定した導電性を維持できる。また、アスペクト比の高い薄片状銀粒子を用いることで、導電性ペースト中のポリマー成分を多くしたとしても、単位厚さ当たりに含まれる薄片状銀粒子の層数を多く確保でき、伸長時でも安定した膜構成と導電性が維持できる。
<<薄片状銀粒子の製造方法>>
本発明における薄片状銀粒子の製造方法は、剥離層形成工程と、真空蒸着工程と、剥離工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
<<<剥離層形成工程>>>
前記剥離層形成工程は、基材上に剥離層を設ける工程である。
-基材-
基材としては、平滑な表面を有するものであれば特に制限はなく、各種のものを用いることができる。これらの中でも、可撓性、耐熱性、耐溶剤性、及び寸法安定性を有する樹脂フィルム、金属、金属と樹脂フィルムの複合フィルムを適宜使用できる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。また金属としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、鉄箔、合金箔などが挙げられる。また金属と樹脂フィルムの複合フィルムとしては、上記樹脂フィルムと金属をラミネートしたものが挙げられる。
-剥離層-
剥離層としては、後の剥離工程で溶解可能な各種の有機物を用いることができる。また、剥離層を構成する有機物材料を適切に選択すれば、蒸着膜表面に付着・残留した有機物を、薄片状銀粒子の保護層として機能させることができるので、好適である。
保護層とは、薄片状銀粒子の凝集、酸化、溶媒への溶出等を抑制する機能を有する。特に、剥離層に用いた有機物を保護層として利用することにより、表面処理工程を別途設ける必要がなくなるので好ましい。
剥離層を構成する有機物としては、例えば、セルロースアセテートブチレート(CAB)、その他のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルブチラール、アクリル酸共重合体、変性ナイロン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保護層としての機能の高さから、セルロースアセテートブチレート(CAB)が好ましい。
前記剥離層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクジェット法、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本ロールコート法、5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<<真空蒸着工程>>>
前記真空蒸着工程は、前記剥離層上に薄片状銀粒子を含有する金属層を真空蒸着する工程である。
前記金属層の蒸着平均厚さは10nm以上80nm以下が好ましく、15nm以上50nm以下が好ましく、20nm以上45nm以下がより好ましい。
銀蒸着薄膜の蒸着平均厚さは、薄片状銀粒子の平均厚さと同じであり、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、断面観察を行い、複数箇所の厚さ計測し、その平均値である。
薄片状銀粒子にするための金属層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、めっき法などの各種の方法によって形成することができる。これらの中でも、真空蒸着法が好ましい。
真空蒸着法は、樹脂製基材にも成膜可能である点、廃液が出ない点等においてめっき法より好ましい。
真空蒸着法における蒸着レートは、10nm/sec以上が好ましい。
真空蒸着法における真空度は、5×10-4Torr以下が好ましい。
<<<剥離工程>>>
前記剥離工程は、前記剥離層を溶解することにより前記金属層を剥離する工程である。
前記剥離層を溶解可能な溶剤としては、剥離層を溶解可能な溶剤であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、銀分散液の溶剤としてそのまま用いることができるものが好ましい。
前記剥離層を溶解可能な溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、ドデカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;テトラヒドロン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸フェニル等のエステル類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類;エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビアトールアセテート等のグリコールエーテルアセテート類;フェノール、クレゾール等のフェノール類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、オクタデセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメシン、ニトロベンゼン、アニリン、メトキシベンゼン、トリメシン等の脂肪族もしくは芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の脂肪族もしくは芳香族塩化炭化水素;ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等の含窒素化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
剥離層を溶解することによって、基材から蒸着膜を剥離し、薄片状銀粒子となる。これにより、特に粉砕工程を経ることなく銀分散液が得られるが、必要に応じて粉砕、分級を行ってもよい。また、薄片状銀粒子の一次粒子が凝集している場合には、必要に応じてこれを解砕してもよい。
更に必要に応じて、薄片状銀粒子の回収や物性の調整のために種々の処理を行ってもよい。例えば、分級によって薄片状銀粒子の粒度を調整してもよいし、遠心分離、吸引ろ過などの方法で薄片状銀粒子を回収することや、分散液の固形分濃度を調整してもよい。また、溶媒置換を行ってもよいし、添加剤を用いて粘度調整等を行ってもよい。
<<<その他の工程>>>
前記その他の工程としては、例えば、剥離した薄片状銀粒子を含む金属層を分散液として取り出す工程、銀分散液から薄片状銀粒子を回収する工程などが挙げられる。
<ポリマー>
本発明の導電性ペーストに用いるポリマーとしては、切断時伸びが200%を超えればよく、切断時伸びが300%以上であることが、より好ましい。切断時伸びが200%を超えることで、薄片状銀粒子が入ることによりポリマーが100%の時よりも伸び性が落ちたとしても、導電性ペーストとして実使用上、十分な伸び性を確保することが可能となる。ポリマーの例としては、例えば、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、必要に応じて切断時伸びが200%以下の熱可塑性・熱硬化性の樹脂を、上記熱可塑性樹脂に加えて導電性ペースト中のポリマーの体積比率(体積%)中の30%以下の範囲で添加できる。
本発明において、切断時伸びはJIS K 6251で定義された試験片が切断したときの伸びの値である。
<溶剤>
溶剤としては、上記剥離層を溶解可能な溶剤と同様のものを用いることができるが、ターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが好ましい。更に、必要に応じて置換することで溶剤を変えることもできる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤などが挙げられる。
<導電性ペーストの製造方法>
前記導電性ペーストの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の薄片状銀粒子を、前記ポリマー、及び必要に応じて前記その他の成分を、例えば、超音波分散、ディスパー、三本ロールミル、ボールミル、ビーズミル、二軸ニーダー、自公転式撹拌機などを用い、混合することにより作製することができる。
<組成比>
本発明の導電性ペーストにおいて、薄片状銀粒子とポリマーの合計体積に対する薄片状銀粒子の体積比率としては、15~80体積%が好ましく、15~70体積%がより好ましい。薄片状銀粒子とポリマーの合計体積に対する薄片状銀粒子の体積比率が15~80体積%であると、薄片状銀粒子の含有量が少なくなりすぎず、十分な導電性が得られる。また、ポリマーの含有量が多くなりすぎず、ペーストの流動性が得られる。
本発明の導電性ペーストは、後述の電子部品に好適に用いることができる。
(導電性膜)
本発明の導電性膜は、伸長されて用いられる導電性膜、又は変形した表面に配される導電性膜であって、平均厚さが20nm~60nm、50%累積体積粒子径D50が2μm以上20μm以下、及びアスペクト比が20以上である薄片状銀粒子と、切断時伸びが200%を超えるポリマーとを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
薄片状銀粒子、ポリマー、及びその他の成分については、上記導電性ペーストで記載したものと同様であるため、詳細は省略する。
(伸長されて用いられる導電性膜の製造方法)
本発明の伸長されて用いられる導電性膜の製造方法は、例えば、スクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、フォトリソグラフィ法などにより、前記導電性ペーストを基材に印刷し、60~140℃で5~60間乾燥させて、導電性膜を得る。
基材としては、可撓性、耐熱性、耐溶剤性、及び寸法安定性を有する樹脂フィルムであれば特に制限はなく、各種のものを用いることができる。例えば、ポリウレタン、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、樹脂含侵紙基板、シリコーン樹脂、ポリアミド、ブチルゴム基板などが挙げられる。
(変形した表面に配される導電性膜の製造方法)
本発明の変形した表面に配される導電性膜の製造方法は、例えば、スクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、フォトリソグラフィ法などにより、前記導電性ペーストを基材に印刷し、60~140℃で5~60間乾燥させて、導電性膜を得る。導電性膜を得た後に、基材を変形可能な温度に温めて、所定の金型に押し当て、熱成形し、変形した表面に配される導電性膜を得る。
基材としては、耐熱性、耐溶剤性、及び寸法安定性を有する樹脂フィルムであれば特に制限はなく、各種のものを用いることができる。例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。
(比抵抗値及び比抵抗換算値)
本発明においては、導電性膜の比抵抗値が5×10-4Ω・cm以下であり、かつ、導電性膜の変形率が50%であるときの比抵抗換算値が1.0×10-2Ω・cm以下であることが好ましい。
ここで、変形率とは、導電性膜が伸長や熱成形によって変形した割合である。例えば、50mm×1mmの導電性膜を長径方向に75mmまで伸長させた場合、変形率は50%である。
変形後の導電性膜は、変形により導電性膜の厚みが変わるため、変形前と同様に比抵抗値を測定することができない。そのため、変形後の抵抗値を用いて、比抵抗換算値により評価する。
変形率が50%であるときの比抵抗換算値Rは、下記の式によって求めることができる。
R=R50/R×R
式中、R50は50%変形時の抵抗値、Rは変形前の初期抵抗値、Rは変形前の比抵抗値である。
本発明の伸長されて用いられる導電性膜、又は変形した表面に配される導電性膜においては、その厚さ方向において、薄片状銀粒子を平均単位厚さ1μm当たり4層以上、好ましくは5層以上の積層状態で有する領域を含むことが好ましい。
薄片状銀粒子が平均単位厚さ1μm当たり4層以上であれば、薄片状銀粒子間の接触点が多く、接触面積も大きいことから、伸長や変形が加わったとしても、銀粒子間の接触に対する悪影響を緩和することができる。
前記薄片状銀粒子の積層数の求め方としては、例えば薄片状銀粒子とポリマーの体積比が60:40である場合に、導電性膜の厚さが20μmとすると、薄片状銀粒子の厚さは12μmとなる。1つの薄片状銀粒子の厚さが40nmとすると、薄片状銀粒子からなる層が300層、積層していることになる。これを1μmあたりに平均すると、15層と求められる。
(電子部品)
本発明の電子部品は、前記伸長されて用いられる導電性膜、又は前記変形した表面に配される導電性膜を基材上に有するものであればよい。伸長されて用いられる導電性膜を基材上に有する電子部品としては、例えば、フレキシブル基板、スマートウェア、ヘルスセンサー、圧力センサなどが挙げられる。また、変形した表面に配される導電性膜を基材上に有する電子部品としては、例えば、ディスプレイ、タッチセンサ、RFIDなどのアンテナ、スマートフォンなどが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(薄片状銀粒子の分散液の調製例1)
まず、平均厚さが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、5質量%のセルロースアセテートブチレート(CAB)を含む溶液をグラビアコート法で塗工し、110℃以上120℃以下で乾燥して、剥離層を形成した。セルロースアセテートブチレート(CAB)の塗工量は0.06g/m±0.01g/mであった。
次に、剥離層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、蒸着レート50nm/secで平均蒸着厚さが35nm狙いで銀蒸着薄膜を形成した。
次に、剥離層及び銀蒸着薄膜を形成したPETフィルム面に酢酸ブチルを噴霧して剥離層を溶解し、銀蒸着薄膜をドクターブレードで掻き落とした。得られた銀粒子は薄片状であった。
次に、得られた銀粒子と酢酸ブチルの混合物に対して、ジェットミルを用いて50%累積体積粒子径D50が3.5μmになるまで粉砕し、調製例1の薄片状銀粒子の分散液を得た。
(薄片状銀粒子の分散液の調製例2)
調製例1において、平均蒸着厚さが20nm狙いで銀蒸着薄膜を形成し、50%累積体積粒子径D50が3μmとなるようにした以外は、調製例1と同様にして、調製例2の薄片状銀粒子の分散液を得た。
(薄片状銀粒子の分散液の調製例3)
調製例1において、平均蒸着厚さが40nm狙いで銀蒸着薄膜を形成し、50%累積体積粒子径D50が3.2μmとなるようにした以外は、調製例1と同様にして、調製例3の薄片状銀粒子の分散液を得た。
(薄片状銀粒子の分散液の調製例4)
調製例1において、平均蒸着厚さが35nm狙いで銀蒸着薄膜を形成し、50%累積体積粒子径D50が15.7μmとなるようにした以外は、調製例1と同様にして、調製例4の薄片状銀粒子の分散液を得た。
(フレーク状銀粉の比較調製例1)
市販のフレーク状銀粉(福田金属箔粉工業株式会社製、品番:AgC-201Z)を用意した。この品番:AgC-201Zは、機械的粉砕法によるフレーク状銀粉である。
(薄片状銀粒子の分散液の比較調製例2)
調製例1において、平均蒸着厚さが35nm狙いで銀蒸着薄膜を形成し、50%累積体積粒子径D50が1.7μmとなるようにした以外は、調製例1と同様にして、比較調製例2の薄片状銀粒子の分散液を得た。
次に、得られた銀粒子について、以下のようにして、諸特性を測定した。結果を表1に示す。
<銀粒子の平均厚さ>
各金属粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM、S-4700、日立ハイテクノロジー社製)を用いて、観察される画像から任意に5個の粒子を抽出し、厚さを測定した後、5個の粒子の厚さを平均することにより、作製した金属粒子の平均厚さを求めた。
<50%累積体積粒子径D50
各銀粒子の50%累積体積粒子径D50は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器(装置名:レーザーマイクロンサイザーLMS-2000e、株式会社セイシン企業製、湿式分散ユニット)を用いて、エタノールを分散媒とし、スターラーで撹拌しながら、金属粒子を含むサンプルを測定セルへ送り、銀粒子の50%累積体積粒子径D50を測定した。
<アスペクト比>
各薄片状銀粒子のアスペクト比は、50%累積体積粒子径D50を平均厚さで除することにより求めた。
Figure 0007084038000001
表1の結果から、調製例1~4の薄片状銀粒子は、比較調製例1のフレーク状銀粒子に比べて、平均厚さが極めて薄く、アスペクト比が高いものであることがわかった。
<銀粒子分散液の調製>
得られた各銀粒子を、酢酸ブチルに分散させ、固形分を45.0質量%以上に調整して、各銀分散液を調製した。
<導電性ペーストの調製>
(実施例1)
ポリウレタン樹脂(コートロン KYU-1、三洋化成工業株式会社製、切断時伸びが1000%)を準備した。
薄片状銀粒子とポリマーの合計体積を100とした時、薄片状銀粒子とポリマーの体積比率を60体積%:40体積%になるように、銀粒子分散液とポリマー溶液を用いて下記表2に示すペースト組成に調整し、ハンドミキシングにより均一になるまで混合して、自転公転ミキサー「錬太郎」(株式会社シンキー製)にて2,000rpmで1分間撹拌した。ロールミルで3パス処理し、導電性ペーストを調製した。
(実施例2)
薄片状銀粒子とポリマーの体積比率を50体積%:50体積%になるように、下記表2に示すペースト組成に調整したこと以外は、実施例1と同様に操作を行い、導電性ペーストを得た。
(実施例3)
薄片状銀粒子とポリマーの体積比率を40体積%:60体積%になるように、下記表2に示すペースト組成に調整したこと以外は、実施例1と同様に操作を行い、導電性ペーストを得た。
(実施例4)
薄片状銀粒子とポリマーの体積比率を30体積%:70体積%になるように、下記表2に示すペースト組成に調整したこと以外は、実施例1と同様に操作を行い、導電性ペーストを得た。
(実施例5)
薄片状銀粒子とポリマーの体積比率を20体積%:80体積%になるように、下記表2に示すペースト組成に調整したこと以外は、実施例1と同様に操作を行い、導電性ペーストを得た。
(実施例6)
薄片状銀粒子とポリマーの体積比率を15体積%:85体積%になるように、下記表2に示すペースト組成に調整したこと以外は、実施例1と同様に操作を行い、導電性ペーストを得た。
(比較例1)
比較調製例1のフレーク状銀粒子を用いて、フレーク状銀粒子とポリマーの体積比率を60体積%:40体積%になるように、下記表2に示すペースト組成に調整したこと以外は、実施例1と同様に操作を行い、導電性ペーストを得た。
(比較例2)
フレーク状銀粒子とポリマーの体積比率を50体積%:50体積%になるように、下記表2に示すペースト組成に調整したこと以外は、比較例1と同様に操作を行い、導電性ペーストを得た。
(比較例3)
フレーク状銀粒子とポリマーの体積比率を40体積%:60体積%になるように、下記表2に示すペースト組成に調整したこと以外は、比較例1と同様に操作を行い、導電性ペーストを得た。
(比較例4)
フレーク状銀粒子とポリマーの体積比率を30体積%:70体積%になるように、下記表2に示すペースト組成に調整したこと以外は、比較例1と同様に操作を行い、導電性ペーストを得た。
(比較例5)
フレーク状銀粒子とポリマーの体積比率を20体積%:80体積%になるように、下記表2に示すペースト組成に調整したこと以外は、比較例1と同様に操作を行い、導電性ペーストを得た。
(比較例6)
薄片状銀粒子とポリマーの体積比率を10体積%:90体積%になるように、下記表2に示すペースト組成に調整したこと以外は、実施例1と同様に操作を行い、導電性ペーストを得た。
(比較例7)
比較調製例2の銀分散液を用いて、薄片状銀粒子とポリマーの体積比率を20体積%:80体積%になるように、下記表2に示すペースト組成に調整したこと以外は、実施例1と同様に操作を行い、導電性ペーストを得た。
(実施例7)
調製例2の銀分散液を用いて、薄片状銀粒子とポリマーの体積比率を20体積%:80体積%になるように、下記表2に示すペースト組成に調整したこと以外は、実施例1と同様に操作を行い、導電性ペーストを得た。
(実施例8)
調製例3の銀分散液を用いて、薄片状銀粒子とポリマーの体積比率を20体積%:80体積%になるように、下記表2に示すペースト組成に調整したこと以外は、実施例1と同様に操作を行い、導電性ペーストを得た。
(実施例9)
調製例4の銀分散液を用いて、薄片状銀粒子とポリマーの体積比率を20体積%:80体積%になるように、下記表2に示すペースト組成に調整したこと以外は、実施例1と同様に操作を行い、導電性ペーストを得た。
Figure 0007084038000002
ポリマー溶液:ポリウレタン樹脂(コートロン KYU-1、三洋化成工業株式会社製)の40%溶液
溶剤:ターピオネール、日本テルペン化学株式会社製
<導電性膜の作製>
次に、スライドガラス(S1111、松波硝子工業社製)上にテープで10mm×50mmのパターンをマスキングした後、上記各導電性ペーストをドクターブレードで塗布し、テープを剥がした。得られた膜を120℃で30分間乾燥させて、各導電性膜を作製した。
得られた各導電性膜について、以下のようにして、導電性膜の厚さ、比抵抗値、及び平均単位厚さ1μm当たりの銀粒子積層数を測定した。結果を表3に示す。
<導電性膜の厚さ>
導電性膜の厚さは、接触式段差測定器(P-6、KLA-Tencor社製)を用いて、任意の5箇所の厚さを測定し、5箇所の厚さの平均値を求めた。
<導電性膜の比抵抗値>
抵抗率計(三菱ケミカルアナリテック株式会社製、ロレスタ-GP、MCP-T610)を用いて、導電性膜の比抵抗値を測定した。
<平均単位厚さ1μm当たりの銀粒子積層数>
図1は、実施例4の導電性ペーストを用いて作製した導電性膜のSEM写真の斜視図である。例えば、実施例4では、薄片状銀粒子とポリマーの体積比が30:70であり、導電性膜の厚さが21.83μmであるから、薄片状銀粒子の厚さは6.55μmとなる。1つの薄片状銀粒子の厚さが35nmであるから、187層の薄片状銀粒子が積層していることになる。これを1μmあたりに平均すると、8.6層と求められる。
Figure 0007084038000003
表3の結果から、比較例4~5のフレーク状銀粒子に比べて実施例4~6の薄片状銀粒子は、薄片状銀粒子とポリマーの合計体積に対する薄片状銀粒子の体積比率が30体積%以下でも比抵抗値が10-4Ω・cm台と低い値であることがわかった。また、薄片状銀粒子の体積比率が20体積%で、D50が15.7μmである実施例9は、比抵抗値が10-5Ω・cm台であったが、D50が1.7μmである比較例7は、5×10-4Ω・cmを大きく上回った。
<ポリマーの切断時伸び>
薄片状銀粒子とポリマーの合計体積を100とした時、薄片状銀粒子とポリマーの体積比率を50体積%:50体積%になるように、銀粒子分散液とポリマー溶液を用いて表4に示すペースト組成に調整し、ハンドミキシングにより均一になるまで混合して、自転公転ミキサー「錬太郎」(株式会社シンキー製)にて2,000rpmで1分間撹拌して、実施例10~16及び比較例8の導電性ペーストを得た。
フッ素基材上にバーコートで実施例10~16及び比較例8の導電性ペーストを塗工し、120度で10分間乾燥した。
<<評価>>
フッ素基材上から塗膜をはがし、10mm×50mmになるようにはさみで切って、試験片を準備した。試験片を手でひっぱり、長辺の50mmを100%伸長するまで引っ張り、試験片が破断しないか確認した。結果を表4に示す。
表4の100%伸長時の切断確認において、「〇」は破断しなかったことを表し、「×」は破断したことを表す。また、ポリマーの切断時伸びはJIS K 6251で定義された試験片が切断したときの伸びの値である。
切断時伸びが200%の比較例8では、100%伸長時に破断してしまったが、切断時伸びが420%では破断しなかった。
このことから、破断時伸びが200%を超えるものがよいことがわかる。
Figure 0007084038000004
ポリマー:
コートロンKYU-1(ポリウレタン樹脂、三洋化成工業社製)
サンプレンIB-465(ポリウレタン樹脂、三洋化成工業社製)
サンプレンIB-1700D(ポリウレタン樹脂、三洋化成工業社製)、
バイロンUR-3500(ポリエステルウレタン樹脂、東洋紡社製)
バイロンUR-5537(ポリエステルウレタン樹脂、東洋紡社製)
架橋剤:
コロネートHL(日本ポリウレタン工業社製)
銀粒子:
薄片状銀粒子(平均厚さ:35nm、50%累積体積粒子径D50:2μm、分散溶剤:酢酸ブチル、固形分濃度:37.4質量%)
<伸長されて用いられる導電性膜の抵抗変化>
<<伸長試験>>
ウレタンシート(エスマーURS#10、日本マタイ株式会社製)上にテープで1mm×50mmのパターンをマスキングした後、実施例1~5及び比較例1~4の導電性ペーストをドクターブレードで塗布し、テープを剥がした。得られた膜を80℃で5分間乾燥させて、各導電性膜を作製した。
図2に示すように、ウレタンシートを50%伸長させて、その時の抵抗値をマルチメーター(VOAC7411、岩崎通信機株式会社製)を用いて測定した。また、下記式により、変形率が50%であるときの比抵抗換算値Rを求めた。結果を表5に示す。
R=R50/R×R
式中、R50は50%変形時の抵抗値、Rは変形前の初期抵抗値、Rは変形前の比抵抗値である。
Figure 0007084038000005
表5の結果から、実施例1~5の薄片状銀粒子の体積比率が20~60体積%の範囲に関して、薄片状銀粒子の体積%が同等の場合、比較例1~4に比べて、すべての抵抗値が低くなっている。かつ、実施例1~5に関して、50%伸長時の比抵抗換算値も1.0×10-2Ω・cm以下となっている。
<変形した表面に配される導電性膜の抵抗変化>
アクリルフィルム(パラピュアHIフィルム、株式会社クラレ製)上にテープで5mm×140mmのパターンを複数本形成した後、実施例4及び比較例4の各導電性ペーストをドクターブレードで塗布し、テープを剥がした。得られた膜を80℃で5分間乾燥させて、各導電性膜を作製した。導電性膜を得た後に、基材を120℃に温めて、カーシェイプの金型に押し当て、熱成形機(卓上真空成形機V.former 100、ラマヤパック社製)で熱成形し、変形した表面に配される導電性膜を得た。得られた変形した表面に配される導電性膜を図3に示す。
上記マルチメーターを用いて、熱成形前後の導電性膜の導通確認を行った。結果を表6に示す。
Figure 0007084038000006
表6の結果から、実施例4の導電性ペーストを用いて得られた変形した表面に配される導電性膜は、その熱成形前後において導通が確認され、上記式により、熱成型後の比抵抗換算値を計算しても、R=3.5/7.2×2.11×10-5=1.0×10-5Ω・cmと低い値であることがわかった。
一方、比較例4のペーストを用いて得られた導電性膜は、熱成形後には導通がみられず、導電性に劣るものであることがわかった。

Claims (8)

  1. 伸長されて用いられる導電性膜を形成するための導電性ペーストであって、
    平均厚さが20nm以上60nm以下、50%累積体積粒子径D50が2μm以上20μm以下、及びアスペクト比が20以上である薄片状銀粒子と、切断時伸びが200%を超えるポリマーと、溶剤とを含有し、
    前記薄片状銀粒子と前記ポリマーの合計体積に対する前記薄片状銀粒子の体積比率が30体積%以上80体積%以下であることを特徴とする導電性ペースト。
  2. 変形した表面に配される導電性膜を形成するための導電性ペーストであって、
    平均厚さが20nm以上60nm以下、50%累積体積粒子径D50が2μm以上20μm以下、及びアスペクト比が20以上である薄片状銀粒子と、切断時伸びが200%を超えるポリマーと、溶剤とを含有し、
    前記薄片状銀粒子と前記ポリマーの合計体積に対する前記薄片状銀粒子の体積比率が30体積%以上80体積%以下であることを特徴とする導電性ペースト。
  3. 伸長されて用いられる導電性膜であって、
    平均厚さが20nm以上60nm以下、50%累積体積粒子径D 50 が2μm以上20μm以下、及びアスペクト比が20以上である薄片状銀粒子と、切断時伸びが200%を超えるポリマーとを含み、
    前記薄片状銀粒子と前記ポリマーの合計体積に対する前記薄片状銀粒子の体積比率が30体積%以上80体積%以下であることを特徴とする導電性膜。
  4. 変形した表面に配される導電性膜であって、
    平均厚さが20nm以上60nm以下、50%累積体積粒子径D 50 が2μm以上20μm以下、及びアスペクト比が20以上である薄片状銀粒子と、切断時伸びが200%を超えるポリマーとを含み、
    前記薄片状銀粒子と前記ポリマーの合計体積に対する前記薄片状銀粒子の体積比率が30体積%以上80体積%以下であることを特徴とする導電性膜。
  5. 導電性膜の厚さ方向において、前記薄片状銀粒子を平均単位厚さ1μm当たり4層以上の積層状態で有する領域を含む、請求項3から4のいずれかに記載の導電性膜。
  6. 導電性膜の比抵抗値が5×10 -4 Ω・cm以下であり、かつ、導電性膜の変形率が50%であるときの比抵抗換算値が1.0×10 -3 Ω・cm以下である、請求項3から5のいずれかに記載の導電性膜。
  7. 請求項3から6のいずれかに記載の導電性膜を基材上に有することを特徴とする電子部品。
  8. フレキシブル基板である、請求項7に記載の電子部品。
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