JP5552145B2 - 銀粒子分散液、導電性膜および銀粒子分散液の製造方法 - Google Patents

銀粒子分散液、導電性膜および銀粒子分散液の製造方法 Download PDF

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本発明は、銀粒子の分散液、より詳しくは鱗片状銀粒子および銀ナノ粒子を含む分散液に関する。また、本発明はかかる銀粒子分散液を用いて形成される導電性膜、およびかかる銀粒子分散液の製造方法に関する。
導電性を有する膜や配線を印刷によって形成するための材料として、従来より銀粉末を用いた導電性インク・ペーストが用いられている。
このような導電性用途では、粉末同士の接触面積を広くして導電性を上げるために、フレーク状の銀粉末が用いられることがある。特許文献1には、平均粒径が2μm〜8μmで、アスペクト比(平均長径/平均厚さ)が10〜30であるフレーク状の銀粉およびこれを用いた導電性ペーストが記載されている。
さらに、熱硬化性樹脂の硬化収縮により銀粉末同士を接触させて導電性を発現させる導電ペースト用銀粉末として、形状・大きさの異なる銀粒子、例えばフレーク状銀粉末と粒径が数〜数十nmの微粒子、を混合して用いるものが開発されている。特許文献2には、銀粉末と熱硬化性樹脂を有する導電ペーストが記載されており、銀粉末として鱗片状等の大きな銀粒子と球状等の小さな粒子を混合使用することが記載されている。その実施例には、平均粒径が2.6〜7.1μmの銀の鱗片状粒子と一次粒子の平均径が30nmの銀ナノ粒子を含む導電性ペーストが記載されている。特許文献3には、導電性物質と熱硬化性樹脂を有する導電性インキが記載されており、導電性物質として平均円相当径3.7μmのフレーク状銀粉と平均粒子径0.05μmの銀微粒子分散体を含む導電性インキが記載されている。
また、特許文献4には、ミクロンオーダーの球状粒子を主成分とするものであるが、平均粒径D50が1μmの銀ナノ粒子、平均粒径D50が1.5μmのフレーク状銀粒子、粒径10nmの単分散銀微粒子を含む熱硬化性の樹脂金属複合導電材料を、スクリーン印刷法で配線パターンを形成し、150℃、1時間熱処理して導電性配線を作製したことが記載されている。
一方、フレーク状の粒子のみを用いる場合でも、その厚さを小さくしていくことによって、熱処理温度や導電性を改良できることが報告されている。特許文献2〜4に記載されたフレーク状銀粒子の厚さは、開示がないか、比表面積の値から数百nmと計算されるが、これに対して、特許文献5には、ナノサイズと呼べる厚みと高アスペクト比(平均長径/厚み)を有する鱗片状微粉末を含有する溶液が記載されている。そして、これを用いて、熱処理温度を低くしても良好な導電性膜が得られることが記載されている。
特開2010−236039号公報 特開2005−294254号公報 WO06/095611号公開パンフレット 特開2006−339057号公報 特開2008−202076号公報
しかしながら、薄い鱗片状銀粒子を用いる場合、その厚さが約100nm以下になると、熱処理温度が低くても導電性の良い膜が得られるが、得られた導電性膜と基板との密着性や導電性膜の表面平滑性が劣ることが、本発明者らの研究によって分かった。
本発明は以上の点を考慮してなされたものであり、熱処理温度を低くしても導電性の良い導電性膜や導電性配線の作製が可能であり、かつ基板との密着性や表面の平滑性が改良された導電性膜等の作製が可能な銀粒子分散液を提供することを目的とする。併せて、そのような銀粒子分散液を用いて形成される導電性膜、およびそのような銀粒子分散液の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の銀粒子分散液は、厚さが10〜100nmで、少なくとも片方の面に有機物層が形成された鱗片状銀粒子と、広い粒度分布を有する多分散系の粒子であって、表面の少なくとも一部に有機物層が形成された銀ナノ粒子と、溶媒とを有する。
ここで鱗片状粒子とは、粒子が対向する2つの主表面を有し、主表面の平均径と粒子の平均厚さ(2つの主表面間の距離)との比がおよそ3以上であるものをいう。ナノ粒子とは、径がおよそ100nm以下のものをいう。多分散系粒子とは、粒度が揃った単分散系粒子に対する概念で、粒度が不揃いで広い粒度分布を有する粒子をいうが、その粒度分布が複数のピークを含むことまでは要しない。
このような構成によって、本発明の分散液を導電性インク・ペーストに用いた場合に、熱処理温度を低くしても導電性および基板との密着性の良い導電性膜等の作製が可能となる。厚さが10〜100nmであるような薄い鱗片状銀粒子を用いることによって銀粒子同士が広く面で接触することにより、より低温での熱処理が可能となる。さらに、粒度が不揃いな銀ナノ粒子を混合して用いることによって、より緻密で、基板との密着性が良く、表面の平滑性に優れる導電性膜等が得られる。また、有機物層によって、分散液中の鱗片状銀粒子および/または銀ナノ粒子の凝集が防止される。
前記銀粒子分散液は、好ましくは、前記銀ナノ粒子が、個数ベースの粒度分布において、粒径が3nm未満の粒子の存在割合が10%以上である。ここで、銀ナノ粒子の粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)像で任意に選んだ適当な個数の粒子の定方向最大径である。この構成によって、より導電性が良く、基板との密着性にも優れる導電性膜等を得ることができる。
前記銀粒子分散液は、好ましくは、銀粒子中の前記鱗片状銀粒子の割合が重量基準で50重量%〜99重量%の範囲にある。これにより、より導電性が良く、基板との密着性にも優れる導電性膜等を得ることができる。
前記銀粒子分散液は、好ましくは、前記鱗片状銀粒子の厚さが均一である。ここで、厚さが均一であるとは、個々の鱗片状銀粒子について、対向する2つの主表面が局所的な凹み、穴、突起などを除いて実質的に平行であることをいう。このように厚さの均一な鱗片状銀粒子を用いることにより、導電性膜等を形成したときの比抵抗(抵抗率)、密度等の物性のばらつきが小さくなるなどの効果が得られる。
前記銀粒子分散液において、前記鱗片状銀粒子は、基体上に薄膜を形成した後、該薄膜を基体から剥離し、粉砕することによって製造されたものとすることができる。また、好ましくは、基体上に形成される薄膜は真空蒸着法によって形成されたものとすることができる。このような方法により、厚さがほぼ均一な鱗片状銀粒子を容易に得ることができる。
前記銀粒子分散液において、好ましくは、前記鱗片状銀粒子の少なくとも片方の面に形成された有機物層および前記銀ナノ粒子の表面の少なくとも一部に形成された有機物層は、いずれもセルロース・アセテート・ブチレート(CAB)である。有機物層としてCABを用いると、鱗片状銀粒子および銀ナノ粒子の凝集を抑制しながら、かつ熱処理温度を低くしても導電性の良い導電性膜等が得られる。
本発明の導電性膜は、上記いずれかの銀粒子分散液を用いて形成される。
本発明の銀粒子分散液製造方法は、上記いずれかの銀粒子分散液を製造する方法であって、前記銀ナノ粒子を製造する工程が、基体上に有機物からなる剥離層を形成する工程と、前記剥離層の直上に銀の島状構造膜を形成する工程と、前記剥離層を溶解して前記島状構造膜を剥離する工程とを有する。
このように島状構造膜を経て銀ナノ粒子を製造することによって、微小な多分散系の銀ナノ粒子が容易に得られる。また、前記有機物からなる剥離層が、銀ナノ粒子の表面の少なくとも一部に残留して、銀ナノ粒子の凝集を防止するための保護層として機能するという効果が得られる。
前記銀粒子分散液製造方法は、好ましくは、前記島状構造膜を形成する工程が真空蒸着工程である。島状構造膜を形成するには各種の成膜法を利用することができるが、中でも真空蒸着法は島状構造の形成および制御が容易であり、前記銀粒子分散液製造方法に特に適した方法である。
前記銀粒子分散液製造方法は、好ましくは、前記剥離層がセルロース・アセテート・ブチレートからなる。これにより、表面の少なくとも一部にセルロース・アセテート・ブチレート層が形成された銀ナノ粒子を、少ない工程で、簡便に製造することができる。
本発明の銀粒子分散液によれば、熱処理温度を低くしても導電性の良い導電性膜や導電性配線の作製が可能であり、かつ基板との密着性や表面の平滑性が改良された導電性膜等の作製が可能となる。また、本発明の銀粒子分散液製造方法は、本発明の銀粒子分散液の製造に特に適した方法であり、かかる銀粒子分散液を、安価で簡便に製造することができる。
実施例1の銀粒子分散液を用いて作製した導電性膜の走査電子顕微鏡(SEM)像である。 比較例1および2の鱗片状銀粒子のSEM像である。 比較例5〜7の銀ナノ粒子の透過電子顕微鏡(TEM)像である。 実施例2の銀粒子分散液を用いて作製した導電性膜のSEM像である。 比較例8および9の鱗片状銀粒子分散液を用いて作製した導電性膜のSEM像である。 比較例1の鱗片状銀粒子の熱分析結果である。 比較例5の銀ナノ粒子の熱分析結果である。 比較例5の銀ナノ粒子の粒度分布である。 比較例6の銀ナノ粒子の粒度分布である。 比較例7の銀ナノ粒子の粒度分布である。
まず、本発明にかかる銀粒子分散液の一実施形態について、その構成を説明する。
本実施形態の銀粒子分散液は、分散媒中に、鱗片状銀粒子と銀ナノ粒子を有する。鱗片状銀粒子の少なくとも片方の面には有機物層が形成されており、銀ナノ粒子の表面の少なくとも一部にも有機物層が形成されている。
鱗片状銀粒子の厚さは、10〜100nm、好ましくは10〜50nm、さらに好ましくは10〜35nmである。厚さが100nmを超えると、ナノサイズ効果が得られないため、熱処理温度を低くすると鱗片状銀粒子間の電気抵抗が大きくなり、作製した膜の抵抗率が下がらない。また、厚さが50nmを超えると、所望の大きさの粒子に粉砕することが難しくなる。さらに、厚さが35nm以下であれば、作製した膜と基板との密着性が特に良くなる。一方、厚さが10nm未満になると、鱗片形状を保持することが難しくなる。
鱗片状銀粒子の厚さは、鱗片状銀粒子を塗工した膜の断面を走査電子顕微鏡(SEM)等で観察し、粒子100個以上についての個数平均値を取ることによって求めることができる。なお、鱗片状銀粒子の製造方法によっては、実施例に後述する、より簡便な測定法による値で代用することができる。
鱗片状銀粒子の厚さは、均一であることが好ましい。すなわち、個々の鱗片状銀粒子について、対向する2つの主表面が局所的な凹み、穴、突起などを除いて実質的に平行であることが好ましい。具体的には、周縁部を除く面部分の厚さが、局所的な凹み、穴、突起などを除いて実質的に±10%内であれば、厚さが均一であるとみなすことができる。
鱗片状銀粒子の径は、主表面の平均径が0.5〜30μmの範囲にあることが好ましく、1〜10μmの範囲にあることがさらに好ましい。鱗片状銀粒子が30μmより大きいと印刷精度の良いインクが得られない。一方、0.5μmより小さいと得られた膜の抵抗率が高くなるからである。
なお、鱗片状銀粒子の主表面の平均径は、鱗片状銀粒子を塗工した膜をSEMで観察して、粒子100個以上について径を測定することによって求めることができる。また、SEM観察によって求めた値と大きな違いがないことを予め確認しておけば、より簡易な方法で代用することができる。後述するように、実施例では、レーザー回折法によって、フラウンホーファーの近似法を用いた値で代用した。以下、鱗片状銀粒子について単に「粒径」というときは、主表面の平均径のことをいう。
鱗片状銀粒子の少なくとも片方の主表面には、有機物層が形成されている。この有機物層は、粒子が鱗片形状を維持することを助け、粒子が凝集することを抑制する機能を有している。この有機物層は、さらに、鱗片状銀粒子が酸化することを防止し、分散液中で鱗片状銀粒子の銀がイオン化することを抑制する機能を有している。
鱗片状銀粒子表面の有機物層を構成する有機物としては、セルロース・アセテート・ブチレート(CAB)、その他のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルブチラール、アクリル酸共重合体、変性ナイロン樹脂等を用いることができる。中でも、CABを用いることが特に好ましい。CABを用いることによって、本実施形態の銀粒子分散液を用いて導電性膜等を形成した場合に、熱処理温度を低くしても特に導電性の良い膜を得ることができる。
鱗片状銀粒子表面の有機物層の量は、銀に対する割合が高すぎると、製造される導電性膜等の導電性が損なわれる。一方、割合が低すぎると上記の各種保護機能が十分に発揮されない。そのため、鱗片状銀粒子表面の有機物層の量は、銀と有機物を合わせた鱗片状銀粒子全体に占める割合が0.01〜30重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがさらに好ましく、3〜10重量%であることが特に好ましい。有機物層の量は、熱重量−示差熱分析(TG−DTA)などによって求めることができる。
鱗片状銀粒子と銀ナノ粒子を混合して用いたときに、銀ナノ粒子の大きさは、鱗片状銀粒子の間隙や穴を埋めることができる程度に小さいことが好ましい。例えば、銀ナノ粒子の大部分が粒径100nm以下であることが好ましく、銀ナノ粒子の大部分が粒径45nm以下であることがさらに好ましい。
また、銀ナノ粒子は広い粒度分布を有する多分散系の粒子であり、個数ベースの粒度分布において、粒径が3nm未満の粒子の存在割合が10%以上であることが好ましい。これに加えて、粒径が13nm以上の粒子の存在割合が8%以上であることがさらに好ましい。これは、鱗片状銀粒子の間隙と穴は不揃いであるため、銀ナノ粒子の粒度が不揃いであることによって、鱗片状銀粒子と混合して用いたときに、より鱗片状銀粒子の間隙や穴を埋めることができ、基板との良好な密着性が得られるからである。
銀ナノ粒子の粒度分布は、TEM像で適当な個数、例えば300個の粒子を任意に選び、その定方向最大径を測定して求めることができる。定方向最大径とは一定の方向における粒子の最大さしわたし長さである。
銀ナノ粒子の表面の少なくとも一部には、有機物層が形成されている。この有機物層は、粒子が凝集することを抑制する機能を有しており、塊状粒子の表面全体でなくその一部に形成されていても、十分に機能を発揮する。銀ナノ粒子表面の有機物層を構成する有機物としては、鱗片状銀粒子の場合に例示した各種の有機物を用いることができる。また、鱗片状銀粒子の場合と同じく、セルロース・アセテート・ブチレート(CAB)を用いることが特に好ましい。
微小な銀ナノ粒子の凝集を抑制するために表面に有機物層を設けると、これを用いて導電性膜等を形成する場合に、導電性が低下することが考えられる。実施例に後述するように、有機物層としてCABを用いた場合、表面にCAB層を備えた微小な銀ナノ粒子を単独で用いると、熱処理温度が120〜200℃では良好な導電性は得られなかった。これは、CABの分解温度が300℃以上であるため、CABが銀ナノ粒子間の導通を妨げたためと考えられる。しかし、同じ微小な銀ナノ粒子を、薄い鱗片状銀粒子と混合して用いると、作製した導電性膜は熱処理温度が120℃でも良好な導電性を示した。
銀ナノ粒子表面の有機物層の量は、銀に対する割合があまりに多いと製造される導電性膜等の導電性が損なわれるし、少なすぎると凝集防止機能が十分に発揮されない。そのため、銀ナノ粒子表面の有機物層の量は、銀と有機物を合わせた銀ナノ粒子全体に占める割合が0.01〜30重量%であることが好ましく、10〜25重量%であることがさらに好ましい。
本実施形態の銀粒子分散液は、銀粒子中の前記鱗片状銀粒子の割合が重量基準で、50重量%〜99重量%であることが好ましく、59重量%〜91重量%であることがさらに好ましく、77重量%〜91重量%であることがさらに好ましい。混合比をこのような範囲とすることによって、より導電性が良く、基板との密着性にも優れる導電性膜等を得ることができる。
分散媒である溶媒の種類は特に制限されないが、後に印刷用のインク・ペースト中に残留しても支障のないものを用いることが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、ドデカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ターピネオール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸フェニル等のエステル類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類;フェノール、クレゾール等のフェノール類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、オクタデセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ニトロベンゼン、アニリン、メトキシベンゼン等の脂肪族もしくは芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩化脂肪族もしくは塩化芳香族炭化水素;ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等の含窒素化合物;またはこれらの混合物を用いることができる。また、実際に印刷用のインク・ペーストに用いられる溶剤を用いることもできる。
次に、本実施形態の銀粒子分散液を製造する方法を説明する。
鱗片状銀粒子の製造法は特に限定されないが、基体上に有機物からなる剥離層と銀の薄膜を順次形成し、剥離層を溶解可能な溶剤を用いて銀薄膜を剥離した後、銀薄膜をさらに粉砕することによって製造することができる。この方法によれば、厚さが10〜100nmで均一である鱗片状粒子を製造することができる。
基体としては、平滑な表面を有する各種の基体を用いることができる。中でも、可撓性、耐熱性、耐溶剤性および寸法安定性を有する樹脂フィルムを、好適に用いることができる。
剥離層は必須ではないが、剥離層を形成することによって、銀薄膜を容易に剥離することができる。また、剥離層を構成する有機物材料を適切に選択することによって、銀薄膜表面に付着・残留した有機物を、鱗片状銀粒子の保護層として機能させることができるので、好適である。このとき、剥離層を構成する有機物としては、前述の各種有機物を用いることができ、CABを用いることが特に好ましい。剥離層は、各種のコーティング方法で形成することができる。
銀薄膜は、真空蒸着法、スパッタリング法、めっき法などの各種の方法によって形成することができる。中でも、真空蒸着法によることが好ましい。真空蒸着法は、樹脂基体にも成膜可能である点、廃液がない点等でめっき法より好ましく、真空度を高くできること、成膜速度が大きい点等でスパッタリング法より好ましい。
銀は凝集しやすい特性を有し、厚さが10〜100nmであるような薄い鱗片状銀粒子では、熱処理過程で、表面積が小さくなるよう、よりアスペクト比が小さい形に変形しやすい。真空蒸着法によって形成した銀薄膜から鱗片状銀粒子を作製した場合には、熱処理過程で、特に全体の形状を維持したまま、鱗片を貫通する穴が多数形成されやすいことが分かった。この現象は、銀薄膜の構造によるものと考えられる。すなわち、真空蒸着法では、まず基体(または剥離層)上に分散した核(銀クラスター)が形成され、この核が成長して最終的に薄膜を形成するに至る。その結果、銀薄膜は、原子配列の比較的揃った部分(元の核の部分)とその間の原子配列の比較的乱れた部分を有し、この微細な構造によって、熱処理過程で多数の穴が形成されやすいものと考えられる。
剥離層を溶解可能な溶剤の種類は特に制限されないが、最終的に得られる本実施形態の銀粒子分散液の溶媒としてそのまま用いることができるものが好ましい。銀粒子分散液の溶媒として用いることができるものは前述のとおりである。
剥離した銀薄膜を溶剤中でさらに粉砕することによって、鱗片状銀粒子の分散液が得られる。粉砕には、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ジェットミル等の方法を用いることができる。
銀ナノ粒子の製造法は特に限定されないが、基体上に有機物からなる剥離層と銀の島状構造膜を順次形成し、剥離層を溶解可能な溶剤を用いて銀の島状構造膜を剥離することによって製造することができる。この方法によれば、微小で、多分散系の銀ナノ粒子を効率よく製造することができる。
基体および剥離層の材料および形成方法は、鱗片状銀粒子の場合と同じ材料および方法を用いることができる。すなわち、基体としては、平滑な表面を有する各種の基体を用いることができる。中でも、可撓性、耐熱性、耐溶剤性および寸法安定性を有する樹脂フィルムを、好適に用いることができる。また、剥離層は必須ではないが、剥離層を形成することによって、銀の島状構造膜を容易に剥離することができる。また、剥離層を構成する有機物材料を適切に選択することによって、島状構造膜表面に付着・残留した有機物を、銀ナノ粒子の保護層として機能させることができるので、好適である。このとき、剥離層を構成する有機物としては、前述の各種有機物を用いることができ、CABを用いることが特に好ましい。剥離層は、各種のコーティング方法で形成することができる。
銀の島状構造膜を形成する方法も、鱗片状銀粒子の場合と同じ方法を用いることができる。基体または剥離層上に銀薄膜を成膜すると、その初期には孤立・離散した核(島)が形成され、島が成長して大きくなるにつれて、やがていくつかの島が接触・連結された島状構造膜となり、最終的には連続した一様な薄膜が形成される。したがって、連続した一様な薄膜に至らない段階で成膜を終えることによって、島状構造膜を得ることができる。
どの程度の膜厚まで島状構造が維持できるかは、成膜方法、基体に飛来する銀原子・クラスターの運動エネルギー・温度、剥離層の材質・温度、基体の温度、成膜速度などに依存する。銀を成膜する場合には、島状構造膜と一様連続膜の境界は平均膜厚で概ね10〜20nmにある。真空蒸着法で銀を成膜する場合には、島状構造膜と一様連続膜の境界は平均膜厚で概ね9〜13nmにある。
特に真空蒸着法を用いると、島状構造を形成すること、その形状を制御することを容易に行うことができる。さらに、鱗片状銀粒子と銀ナノ粒子との作製に、いずれも真空蒸着法を用いる場合には、共通の設備を利用することができ、コスト面でもメリットが大きい。
島状構造膜形成後に剥離層を溶解可能な溶剤としては、鱗片状銀粒子の場合と同じものを用いることができる。
溶剤を用いて銀の島状構造膜を剥離すると、島状構造膜が分裂して個々の島が銀ナノ粒子となり、銀ナノ粒子分散液が得られる。このとき、特に粉砕処理を行う必要はないが、銀ナノ粒子の粒度の調整等のために粉砕処理を行ってもよい。また、島状構造膜が分裂した際にナノ粒子の一次粒子が凝集した状態となることがあるが、その場合には、必要に応じて溶液を撹拌するなどして銀ナノ粒子を解砕してもよい。また、剥離層を形成していた有機物の一部をナノ粒子表面に付着・残留させて、保護層として機能させることができる。
以上のようにして得られた鱗片状銀粒子分散液と銀ナノ粒子分散液を混合することによって、本実施形態の銀粒子分散液を得ることができる。両分散液を混合するに当たっては、必要に応じて各分散液の物性を事前に調整してもよい。例えば、分級によって鱗片状または銀ナノ粒子の粒度を調整してもよいし、遠心分離、吸引ろ過などの方法で分散液の固形分濃度を調整してもよい。また、溶媒置換を行ってもよいし、添加剤を用いて粘度調整等を行ってもよい。なお、各分散液中の鱗片状または銀ナノ粒子は、それぞれの銀粒子表面の有機物層の機能により凝集が抑制されるので、両分散液を混合するに当たって、新たな分散剤の添加や、鱗片状銀粒子に銀ナノ粒子を吸着させる操作などは特に必要ない。
次に、実施例に基づいて、上記実施形態の構成、製造方法および効果を詳細に説明する。
(比較例1)
厚さが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、5重量%のセルロース・アセテート・ブチレート(CAB)を含む溶液をグラビアコートで塗工し、100℃以下で乾燥して、剥離層を形成した。CABの塗工量は0.06±0.01g/mであった。剥離層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、平均厚さが15nmの銀の薄膜を形成した。この際、基板の冷却効果を高めるためにマスキングを施して蒸着を行った。銀薄膜の平均厚さは、成膜中に膜の干渉を利用して測定した値である。次に、剥離層および銀薄膜を形成したPETフィルム面に酢酸ブチルをスプレーして剥離層を溶解し、銀薄膜をドクターブレードで掻き落とした。さらに、得られた鱗片状銀粒子と溶剤である酢酸ブチルの混合物に対して超音波ホモジナイザーを用いて、鱗片状銀粒子の平均粒径が約10μmとなるように粉砕した。平均粒径はレーザー回折法によって、フラウンホーファーの近似法を用いて求めた。次いで、得られた鱗片状銀粒子分散液から遠心分離を用いて鱗片状銀粒子を回収し、回収した鱗片状銀粒子を新たに酢酸ブチルに分散させ、固形分濃度を15重量%として、比較例1の鱗片状銀粒子分散液を得た。
(比較例2)
銀の薄膜の平均厚さを35nmとした以外は、比較例1と同じ方法で、比較例2の鱗片状銀粒子分散液を作製した。
図2Aに比較例1の、図2Bに比較例2の鱗片状銀粒子のSEM像を示す。
(比較例3)
銀の薄膜の平均厚さを50nmとした以外は、比較例1と同じ方法で、比較例3の鱗片状銀粒子分散液を作製した。
(比較例4)
銀の薄膜の平均厚さを75nmとした以外は、比較例1と同じ方法で、比較例4の鱗片状銀粒子分散液を作製した。
(比較例5)
厚さが12μmのPETフィルム上に、5重量%のCABを含む溶液をグラビアコートで塗工し、110〜120℃で乾燥して、剥離層を形成した。CABの塗工量は0.06±0.01g/mであった。剥離層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、平均膜厚が7nmの銀の島状構造膜を形成した。この際、基板の冷却効果を高めるためにマスキングを施して蒸着を行った。平均膜厚は、成膜中に膜の干渉を利用して測定した。次に、剥離層および銀の島状構造膜を形成したPETフィルム面に酢酸ブチルをスプレーして剥離層を溶解し、銀の島状構造膜をドクターブレードで掻き落とした。これにより、銀の島状構造膜が分裂して個々の島が銀ナノ粒子となった。このようにして得られた銀ナノ粒子分散液から遠心分離を用いて銀ナノ粒子を回収し、回収した銀ナノ粒子を新たに酢酸ブチルに分散させ、固形分濃度を15重量%とした。この分散液を、超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所、US−300T)で処理して、銀ナノ粒子の一次粒子が一部凝集したものを解砕した。なお、この超音波処理条件では、銀ナノ粒子の一次粒子がさらに細かく粉砕されることはなかった。以上の方法によって、比較例5の銀ナノ粒子分散液を得た。
図3Aに、比較例5の銀ナノ粒子のTEM像を示す。図3Aより、比較例5の銀ナノ粒子は、略球状または複数の球状体が数珠状に結合した形状を有していた。図8に、比較例5の銀ナノ粒子の粒度分布を示す。粒度分布の測定は、前述の方法により行った。図8より、銀ナノ粒子の粒径は約100nm以下の範囲で広く分布していた。
(比較例6)
銀の島状構造膜の平均膜厚を5nmとした以外は、比較例5と同じ方法で、比較例6の銀ナノ粒子分散液を作製した。図3Bに、比較例6の銀ナノ粒子のTEM像を示す。図3Bより、比較例5の銀ナノ粒子は、略球状または複数の球状体が数珠状に結合した形状を有していた。図9に、比較例6の銀ナノ粒子の粒度分布を示す。図9より、銀ナノ粒子の粒径は約100nm以下の範囲で広く分布していた。
(比較例7)
銀の島状構造膜の平均膜厚を3nmとした以外は、比較例5と同じ方法で、比較例7の銀ナノ粒子分散液を作製した。図3Cに、比較例6の銀ナノ粒子のTEM像を示す。図3Cより、比較例5の銀ナノ粒子は、略球状または複数の球状体が数珠状に結合した形状を有していた。図10に、比較例6の銀ナノ粒子の粒度分布を示す。図10より、銀ナノ粒子の粒径は約50nm以下の範囲で広く分布していた。
(実施例1)
比較例1の鱗片状銀粒子分散液7gと比較例5の銀ナノ粒子分散液0.7gを混合して、実施例1の銀粒子分散液を得た。
(実施例2)
比較例2の鱗片状銀粒子分散液7gと比較例5の銀ナノ粒子分散液0.7gを混合して、実施例2の銀粒子分散液を得た。
(実施例3)
比較例3の鱗片状銀粒子分散液7gと比較例5の銀ナノ粒子分散液0.7gを混合して、実施例3の銀粒子分散液を得た。
(実施例4)
比較例4の鱗片状銀粒子分散液7gと比較例5の銀ナノ粒子分散液0.7gを混合して、実施例4の銀粒子分散液を得た。
(比較例8)
比較例1の鱗片状銀粒子分散液7gと、平均粒径が約1μmとなるように粉砕した以外は比較例1と同じ方法で作製した鱗片状銀粒子分散液7gとを混合して、比較例8の鱗片状銀粒子混合液を得た。
(比較例9)
比較例2の鱗片状銀粒子分散液7gと、平均粒径が約1μmとなるように粉砕した以外は比較例2と同じ方法で作製した鱗片状銀粒子分散液7gとを混合して、比較例9の鱗片状銀粒子混合液を得た。
表1に、比較例1〜9および実施例1〜4の製造条件の一覧を示す。表1において、鱗片状銀粒子の厚さは、上記真空蒸着による成膜中に膜の干渉を利用して測定した平均膜厚である。平均粒径はレーザー回折法によって、フラウンホーファーの近似法を用いて求めた値である。銀ナノ粒子の平均膜厚とは、上記真空蒸着による成膜中に膜の干渉を利用して測定した島状構造膜の平均膜厚である。
表2に、比較例5〜7に含まれる銀ナノ粒子の粒径の分布割合を示す。表2より、いずれも、粒径が3nm未満の粒子から、13nm以上の粒子までが高い割合で存在し、広い粒度分布を有していることが分かった。
比較例1〜3および5〜7に含まれる銀粒子について、熱重量−示差熱分析(TG−DTA)を行った。分析は、各分散液を秤量し、1週間自然乾燥して酢酸ブチルを蒸発させた後に行った。試料を示差熱熱重量同時測定装置(セイコーインスツル株式会社、TG/DTA320)にセットし、乾燥空気を300mL/分で流しながら、室温から600℃まで約1時間で昇温して行った。
いずれの試料についても、150℃付近までは重量減少はなだらかで、150℃を超えた辺りから重量減少が速くなり、300℃に近づくにつれて重量が急激に減少し、約300〜360℃で発熱反応のピークを示すとともに重量減少が完了した。発生したガスをガスクロマトグラフ質量分析(GC−MASS)によって分析したところ、CABの分解物が観測された。このことから、前記発熱反応はCABの分解および燃焼によるものと判断できる。例として、図6に比較例1の測定結果、図7に比較例5の測定結果を示す。
表3にTG−DTAの測定結果の概要を示す。熱重量測定で観測された重量減少のうち、150℃までの重量減少が試料に残留していた酢酸ブチルの蒸発によるもの、それ以上の温度での重量減少がCABの分解によるものと仮定し、後者の値を150℃における重量で除した値をCABの含有量として表3に示した。仮定により、これは銀とCABの重量の合計に対するCABの重量の割合を意味する。比較例1〜3(鱗片状銀粒子)では、CABの含有量は4重量%強であった。比較例5〜7(銀ナノ粒子)では、CABの含有量は13.6〜23.9重量%であった。
次に、比較例1〜9および実施例1〜4の銀粒子分散液を塗工・熱処理して、膜を作製して、その導電性、基板との密着性、表面の平滑性を評価した。
大きさが76mm×26mmのスライドガラス上に、中央に50mm×10mmの部分を残して周縁部をテープでマスキングし、この中央部分に銀粒子分散液をコーティングロッドを用いて塗工し、自然乾燥させた。次に、スライドガラスを室内で60分間放置して、またはガス雰囲気炉(株式会社デンケン、KDF S−90)で熱処理した。ガス雰囲気炉を用いた場合は、スライドガラスを炉に入れ、大気雰囲気中で、所定温度まで10分間で昇温し、その温度で所定時間保持し、室温まで自然冷却した。
このように作製した膜の厚さは、微細形状測定器(株式会社小坂研究所、ET3000)を用いて段差を測定して求めた。膜の厚さは、銀ナノ粒子のみを含むもの(比較例5〜7)は2.8〜4μm、厚さ15nmの鱗片状銀粒子を含むもの(比較例1、8、実施例1)は1.5〜2.9μm、厚さ35nmの鱗片状銀粒子を含むもの(比較例2、9、実施例2)は15〜23μm、厚さ50nmの鱗片状銀粒子を含むもの(比較例3、実施例3)は25〜35μm、厚さ75nmの鱗片状銀粒子を含むもの(比較例4、実施例4)は21〜51μmであった。膜の抵抗率は抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック、ロレスタGP MCP−T600、ロレスタEP MCP−T360)を用いて、4端子4探針法(JIS K7194)により抵抗を求め、前記膜の厚さを用いて膜の抵抗率を算出した。
膜と基板との密着性は、熱処理条件が室温×60分間である膜と120℃×5分間である膜について、テープ剥離試験によって評価した。テープ剥離試験の方法はJIS K5600−5−6:1999(ISO2409:1992)に従い、膜にカッターで直角の格子パターン(格子間隔1mm、25マス)を切り込み、透明粘着テープを格子パターン上にしっかりと貼った後に剥がし、膜の状態を0〜5の6段階で評価した。なお、評価の分類は、0が最も良く(カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがない)、5が最も悪い。
膜表面の平滑性は、熱処理条件が室温×60分間である膜について、表面粗さ測定器(KLA−Tencor Corp.、P−6)を用い、100μm×100μmの範囲の算術平均表面粗さRaによって評価した。
表4に、膜の作製に用いた分散液、熱処理条件、抵抗率、テープ剥離試験結果、表面粗さの結果を示す。
比較例1〜4の鱗片状銀粒子分散液では、熱処理温度が室温〜120℃のいずれの条件でも、得られた膜の抵抗率は10−5Ωcmの桁にあり、良い導電性を示した。これに対して比較例5〜7の銀ナノ粒子分散液では、いずれの熱処理条件でも得られた膜の抵抗率は高く、導電性は悪かった。これは、銀ナノ粒子表面のCAB層による影響と考えられる。
鱗片状銀粒子と銀ナノ粒子を含む実施例1〜4の分散液では、ほとんどの熱処理条件でそれぞれ比較例1〜4よりも優れた導電性を有する膜が得られた。つまり、島状構造膜の平均膜厚が7nmのときの銀ナノ粒子を単独で用いると良い導電性膜は得られなかったが(比較例5)、この銀ナノ粒子を厚さ15〜75nmの鱗片状銀粒子と混合して用いることにより(実施例1〜4)、鱗片状銀粒子を単独で用いた場合(比較例1〜4)と同等以上の導電性が得られたことが分かる。
なお、粒径の異なる鱗片状銀粒子を混合した場合(比較例8、9)は、特に熱処理温度が低いときに抵抗率が高くなった。
テープ剥離試験結果によると、銀ナノ粒子のみを用いた比較例5〜7と比べて、鱗片状銀粒子を含む膜は、全体に基体との密着性が劣ることが分かる。しかし、実施例1および2では、それぞれ同じ厚さの鱗片状銀粒子を用いた比較例1および2よりも密着性が改善されたことが分かる。
また、膜の表面粗さRaの測定結果から、鱗片状銀粒子と銀ナノ粒子を混合することによって、鱗片状銀粒子を単独で用いる場合よりも膜表面の平滑性を改善できることが分かった。
次に、熱処理後の膜のSEM像を確認すると、興味深い事実が確認できた。図1は実施例1の銀粒子分散液を、図4は実施例2の銀粒子分散液を、それぞれ塗工して120℃×5分の熱処理をした膜のSEM像である。図5は、比較例8および9の鱗片状銀粒子分散液を塗工して120℃×5分の熱処理をした膜のSEM像である。薄い鱗片状銀粒子分散液を塗工・熱処理した図5では、銀粒子は、全体として鱗片形状を保ちながら、しかし鱗片を貫通する穴が多数形成されていた。これに対して、薄い鱗片状銀粒子と微小な銀ナノ粒子を含む分散液を塗工・熱処理した図1および図4では、全体として鱗片形状を保ちながら、かつ鱗片を貫通する穴が小さくかつ少ないことが分かった。特に図1では、鱗片表面が滑らかであることが分かった。この構造の違いによって、薄い鱗片状銀粒子と微小な銀ナノ粒子を混合した場合には、導電性が良く、かつ緻密で基板との密着性に優れる膜が得られたものと考えられる。
なお、本発明は上記の各実施形態、実施例に限定されるものではない。例えば、鱗片状銀粒子として、厚さの異なる2種以上のものを用いてもよいし、その他種々の変更が可能である。

Claims (10)

  1. 厚さが10〜100nmで、少なくとも片方の面に有機物層が形成された鱗片状銀粒子と
    面の少なくとも一部に有機物層が形成された銀ナノ粒子と、
    溶媒とを有する銀粒子分散液であって、
    前記銀ナノ粒子は、個数ベースの粒度分布において、粒径が3nm未満の粒子の存在割合が10%以上、かつ粒径が13nm以上の粒子の存在割合が8%以上である
    銀粒子分散液。
  2. 前記銀粒子分散液は、銀粒子中の前記鱗片状銀粒子の割合が50重量%〜99重量%の範囲にある、
    請求項1に記載の銀粒子分散液。
  3. 前記鱗片状銀粒子の厚さが均一である、
    請求項1または2のいずれか一項に記載の銀粒子分散液。
  4. 前記鱗片状銀粒子が、基体上に薄膜を形成した後、該薄膜を基体から剥離し、粉砕することによって製造されたものである、
    請求項に記載の銀粒子分散液。
  5. 前記薄膜が、真空蒸着法によって形成されたものである、
    請求項に記載の銀粒子分散液。
  6. 前記有機物層がセルロース・アセテート・ブチレートである、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の銀粒子分散液。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の銀粒子分散液を用いて形成された導電性膜。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の銀粒子分散液を製造する方法であって、
    前記銀ナノ粒子を製造する工程が、
    基体上に有機物からなる剥離層を形成する工程と、
    前記剥離層の直上に銀の島状構造膜を形成する工程と、
    前記剥離層を溶解して前記島状構造膜を剥離する工程とを有する、
    銀粒子分散液製造方法。
  9. 前記島状構造膜を形成する工程が真空蒸着工程である、
    請求項に記載の銀粒子分散液製造方法。
  10. 前記剥離層がセルロース・アセテート・ブチレートからなる、
    請求項またはに記載の銀粒子分散液製造方法。
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