JP7081927B2 - 繰り返し屈曲デバイス用粘着剤、粘着シート、繰り返し屈曲積層部材および繰り返し屈曲デバイス - Google Patents
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Description
ΔlogG(t)=logG(t)max-logG(t)min …(I)
ΔlogJ(t)=logJ(t)max-logJ(t)min …(II)
〔繰り返し屈曲デバイス用粘着剤〕
本実施形態に係る繰り返し屈曲デバイス用粘着剤(以下、単に「粘着剤」という場合がある。)は、繰り返し屈曲デバイスを構成する一の屈曲性部材と他の屈曲性部材とを貼合するための粘着剤である。繰り返し屈曲デバイスおよび屈曲性部材については、後述する。
ΔlogG(t)=logG(t)max-logG(t)min …(I)
ΔlogJ(t)=logJ(t)max-logJ(t)min …(II)
なお、緩和弾性率G(t)の測定方法およびクリープコンプライアンスJ(t)の測定方法の詳細は、後述する試験例に示す通りである。また、「粘着剤に3000Paの応力を印加した時」とは、粘着剤に応力を印加し、その応力が3000Paに達した時点のことをいう。
(1-1)(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、分子内に反応性官能基を有するモノマー(反応性官能基含有モノマー)とを含有することが好ましい。
架橋剤(B)は、当該架橋剤(B)を含有する粘着性組成物Pの加熱等をトリガーとして、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を架橋し、三次元網目構造を形成する。これにより、得られる粘着剤の凝集力が向上し、粘着剤層が耐久性に優れたものとなる。
粘着性組成物Pには、所望により、アクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤、例えば、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、粘着付与剤、酸化防止剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、屈折率調整剤などを添加することができる。なお、後述の重合溶媒や希釈溶媒は、粘着性組成物Pを構成する添加剤に含まれないものとする。
粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を製造し、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、架橋剤(B)とを混合するとともに、所望により添加剤を加えることで製造することができる。
本実施形態に係る粘着剤は、好ましくは粘着性組成物Pを架橋してなるものである。粘着性組成物Pの架橋は、通常は加熱処理により行うことができる。なお、この加熱処理は、所望の対象物に塗布した粘着性組成物Pの塗膜から希釈溶剤等を揮発させる際の乾燥処理で兼ねることもできる。
本実施形態に係る粘着剤の25℃における貯蔵弾性率(G’)は、下限値として、0.01MPa以上であることが好ましい。また、上記貯蔵弾性率(G’)の上限値は、0.25MPa以下であることが好ましく、特に0.20MPa以下であることが好ましい。
本実施形態に係る粘着シートは、繰り返し屈曲デバイスを構成する一の屈曲性部材と他の屈曲性部材とを貼合するための粘着剤層を有し、当該粘着剤層が、前述した粘着剤からなるものである。
図1に示すように、一実施形態に係る粘着シート1は、2枚の剥離シート12a,12bと、それら2枚の剥離シート12a,12bの剥離面と接するように当該2枚の剥離シート12a,12bに挟持された粘着剤層11とから構成される。なお、本明細書における剥離シートの剥離面とは、剥離シートにおいて剥離性を有する面をいい、剥離処理を施した面および剥離処理を施さなくても剥離性を示す面のいずれをも含むものである。
(1-1)粘着剤層
粘着剤層11は、前述した実施形態に係る粘着剤から構成され、好ましくは、粘着性組成物Pを架橋してなる粘着剤から構成される。
剥離シート12a,12bは、粘着シート1の使用時まで粘着剤層11を保護するものであり、粘着シート1(粘着剤層11)を使用するときに剥離される。本実施形態に係る粘着シート1において、剥離シート12a,12bの一方または両方は必ずしも必要なものではない。
粘着シート1の一製造例として、上記粘着性組成物Pを使用した場合について説明する。一方の剥離シート12a(または12b)の剥離面に、粘着性組成物Pの塗布液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成した後、その塗布層に他方の剥離シート12b(または12a)の剥離面を重ね合わせる。養生期間が必要な場合は養生期間をおくことにより、養生期間が不要な場合はそのまま、上記塗布層が粘着剤層11となる。これにより、上記粘着シート1が得られる。加熱処理および養生の条件については、前述した通りである。
図2に示すように、本実施形態に係る繰り返し屈曲積層部材2は、第1の屈曲性部材21(一の屈曲性部材)と、第2の屈曲性部材22(他の屈曲性部材)と、それらの間に位置し、第1の屈曲性部材21および第2の屈曲性部材22を互いに貼合する粘着剤層11とを備えて構成される。
本実施形態に係る繰り返し屈曲デバイスは、上記の繰り返し屈曲積層部材2を備えたものであり、繰り返し屈曲積層部材2のみからなってもよいし、一または複数の繰り返し屈曲積層部材2と、他の屈曲性部材とを備えて構成されてもよい。一の繰り返し屈曲積層部材2と他の繰り返し屈曲積層部材2とを積層するとき、または繰り返し屈曲積層部材2と他の屈曲性部材とを積層するときには、前述した粘着シート1の粘着剤層11を介して積層することが好ましい。
1.(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の調製
アクリル酸ブチル60質量部、アクリル酸メチル20質量部およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル20質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)60万であった。
上記工程1で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、架橋剤(B)としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(トーヨーケム社製,製品名「BHS8515」)1.88質量部とを混合し、十分に撹拌して、メチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより、粘着性組成物の塗布溶液(固形分濃度:30.0質量%)を得た。
上記工程2で得られた粘着性組成物の塗布溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した重剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP-PET382150」)の剥離処理面に、コンマコーター(登録商標)で塗布した。そして、塗布層に対し、90℃で1分間加熱処理して塗布層を形成した。
アクリル酸2-エチルヘキシル47.8質量部、アクリル酸n-ブチル47.8質量部、アクリル酸4質量部およびアクリル酸2-ヒドロキシプロピル0.4質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)60万であった。
アクリル酸2-エチルヘキシル60質量部、メタクリル酸メチル20質量部およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル20質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)60万であった。
アクリル酸2-エチルヘキシル65質量部、N-アクリロイルモルホリン5質量部、アクリル酸イソボニル15質量部およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル15質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)50万であった。
実施例3で調製した(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を使用し、架橋剤(B)の配合量を0.94質量部に変更する以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
実施例1で調製した(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を使用し、架橋剤(B)の配合量を0.94質量部に変更する以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
実施例1で調製した(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を使用し、架橋剤(B)の配合量を0.47質量部に変更する以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
実施例4で調製した(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を使用し、架橋剤(B)の配合量を0.60質量部に変更する以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
実施例3で調製した(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を使用し、架橋剤(B)の配合量を0.47質量部に変更する以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
実施例3で調製した(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を使用し、架橋剤(B)の配合量を0.23質量部に変更する以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
実施例4で調製した(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を使用し、架橋剤(B)の配合量を0.30質量部に変更する以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
イソブチレン-イソプレン共重合体(日本ブチル社製,製品名「Butyl365」)15質量部と、粘着付与剤(日本ゼオン社製,製品名「クイントンA100」)3質量部とを混合し、十分に撹拌して、トルエンで希釈することにより、ブチルゴムとしての粘着性組成物の塗布溶液(固形分濃度:15質量%)を得た。得られた粘着性組成物の塗布溶液を使用して、加熱処理温度を100℃とする以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
実施例4で調製した(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を使用し、架橋剤(B)の配合量を0.15質量部に変更する以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
BA:アクリル酸n-ブチル
MA:アクリル酸メチル
HEA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル
2EHA:アクリル酸2-エチルヘキシル
AA:アクリル酸
2HPA:アクリル酸2-ヒドロキシプロピル
MMA:メタクリル酸メチル
ACMO:N-アクリロイルモルホリン
IBXA:アクリル酸イソボルニル
実施例および比較例で作製した粘着シートの粘着剤層を複数層積層し、厚さ0.5mmの積層体とした。得られた粘着剤層の積層体から、直径8mmの円柱体(高さ0.5mm)を打ち抜き、これをサンプルとした。
測定温度:25℃
測定点:1000点(対数プロット)
ΔlogG(t)=logG(t)max-logG(t)min …(I)
実施例および比較例で作製した粘着シートの粘着剤層を複数層積層し、厚さ0.5mmの積層体とした。得られた粘着剤層の積層体から、直径8mmの円柱体(高さ0.5mm)を打ち抜き、これをサンプルとした。
測定温度:25℃
測定点:1000点(対数プロット)
ΔlogJ(t)=logJ(t)max-logJ(t)min …(II)
試験例1で得られたΔlogG(t)と、試験例2で得られたΔlogJ(t)との積値(ΔlogG(t)×ΔlogJ(t))を算出した。結果を表1に示す。
実施例および比較例で作製した粘着シートの粘着剤層を複数層積層し、厚さ0.5mm程度の積層体とした。得られた粘着剤層の積層体から、直径8mmの円柱体(高さ0.5mm)を打ち抜き、これをサンプルとした。
測定周波数:1Hz
測定温度範囲:-20~150℃
23℃、50%RHの環境下にて、実施例および比較例で作製した粘着シートから軽剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製,製品名「S10ルミラー」,厚さ:12μm)の一方の面に貼合した。次いで、重剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層を、別のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製,製品名「S10ルミラー」,厚さ:12μm)の一方の面に貼合した。そして、栗原製作所社製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した後、23℃、50%RHの条件下で24時間放置した。このようにして得たPETフィルム/粘着剤層/PETフィルムからなる積層体を、200mm×50mmに裁断し、これを試験片とした。
◎:変形量が1mm以下
〇:変形量が1mm超、3mm以下
△:変形量が3mm超、6mm以下
×:変形量が6mm超
11…粘着剤層
12a,12b…剥離シート
2…繰り返し屈曲積層部材
21…第1の屈曲性部材
22…第2の屈曲性部材
S…試験片
P…保持プレート
Claims (11)
- 繰り返し屈曲されるデバイスを構成する一の屈曲性部材と他の屈曲性部材とを貼合するための繰り返し屈曲デバイス用粘着剤であって、
JIS K7244-1に準拠して、前記粘着剤を10%ひずませたときに測定される最大の緩和弾性率値を最大緩和弾性率G(t)max(MPa)とし、当該最大緩和弾性率G(t)maxが測定されてから3757秒後まで前記粘着剤を10%ひずませ続け、その間に測定される最小の緩和弾性率値を最小緩和弾性率G(t)min(MPa)とし、以下の式(I)から算出される緩和弾性率変動値ΔlogG(t)と、
前記粘着剤に3000Paの応力を印加した時に測定されるクリープコンプライアンス値を最小クリープコンプライアンスJ(t)min(MPa-1)とし、当該最小クリープコンプライアンスJ(t)minが測定されてから3757秒後まで3000Paの応力を印加し続け、その間に測定される最大のクリープコンプライアンス値を最大クリープコンプライアンスJ(t)max(MPa-1)とし、以下の式(II)から算出されるクリープコンプライアンス変動値ΔlogJ(t)と
の積値が、1.8以下であり、
25℃における貯蔵弾性率(G’)が、0.01MPa以上、0.098MPa以下であり、
前記粘着剤が、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、架橋剤(B)とを含有する粘着性組成物を架橋してなる粘着剤であり、
前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである、ホモポリマーとしてのガラス転移温度(Tg)が0℃を超えるモノマーを含有する
ことを特徴とする繰り返し屈曲デバイス用粘着剤。
ΔlogG(t)=logG(t)max-logG(t)min …(I)
ΔlogJ(t)=logJ(t)max-logJ(t)min …(II) - 前記緩和弾性率変動値ΔlogG(t)が、1.1以下であることを特徴とする請求項1に記載の繰り返し屈曲デバイス用粘着剤。
- 前記クリープコンプライアンス変動値ΔlogJ(t)が、2.82以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の繰り返し屈曲デバイス用粘着剤。
- 25℃における損失弾性率(G”)が、0.005MPa以上、0.1MPa以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の繰り返し屈曲デバイス用粘着剤。
- 25℃における損失正接(tanδ)が、0.25以上、0.85以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の繰り返し屈曲デバイス用粘着剤。
- 繰り返し屈曲されるデバイスを構成する一の屈曲性部材と他の屈曲性部材とを貼合するための粘着剤層を有する粘着シートであって、
前記粘着剤層が、請求項1~5のいずれか一項に記載の繰り返し屈曲デバイス用粘着剤からなる
ことを特徴とする粘着シート。 - 前記粘着シートが、2枚の剥離シートを備えており、
前記粘着剤層が、前記2枚の剥離シートの剥離面と接するように前記剥離シートに挟持されている
ことを特徴とする請求項6に記載の粘着シート。 - 前記粘着剤層の厚さが、2μm以上、70μm以下であることを特徴とする請求項6または7に記載の粘着シート。
- 繰り返し屈曲されるデバイスを構成する一の屈曲性部材および他の屈曲性部材と、
前記一の屈曲性部材と前記他の屈曲性部材とを互いに貼合する粘着剤層と
を備えた繰り返し屈曲積層部材であって、
前記粘着剤層が、請求項6~8のいずれか一項に記載の粘着シートの粘着剤層である
ことを特徴とする繰り返し屈曲積層部材。 - 前記一の屈曲性部材および前記他の屈曲性部材の少なくとも一方が、表示素子であることを特徴とする請求項9に記載の繰り返し屈曲積層部材。
- 請求項9または10に記載の繰り返し屈曲積層部材を備えたことを特徴とする繰り返し屈曲デバイス。
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