図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<1.飲料製造装置の概要>
図1は飲料製造装置1の外観図である。図1に示す飲料製造装置1は、焙煎コーヒー豆と液体(ここでは水)からコーヒー飲料を自動製造する装置であり、一回の製造動作につき、カップ一杯分のコーヒー飲料を製造可能である。原料となる焙煎コーヒー豆は、キャニスタ40に収容可能である。飲料製造装置1の下部にはカップの載置部110が設けられており、製造されたコーヒー飲料は注ぎ部10cからカップへ注がれる。
飲料製造装置1は、その外装を形成して内部機構を囲包するハウジング100を備える。ハウジング100は、本体部101と、飲料製造装置1の正面の一部及び側面の一部を覆うカバー部102とに大別される。カバー部102には情報表示装置12が設けられている。図1に示す情報表示装置12は、タッチパネル式のディスプレイであり、各種の情報の表示の他、装置の管理者や飲料の需要者の入力を受け付けることが可能である。情報表示装置12は、移動機構12aを介してカバー部102に取付けられており、移動機構12aによって上下方向に一定の範囲で移動可能である。
カバー部102には、また、豆投入口103と、豆投入口103を開閉する開閉扉103aが設けられている。開閉扉103aを開放して豆投入口103へ、キャニスタ40に収容されている焙煎コーヒー豆とは別の焙煎コーヒー豆を、投入することが可能となっている。これにより飲料の需要者に特別な一杯を提供することが可能である。
図1に示すカバー部102は、アクリルやガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明カバーを構成している。このため、カバー部102に覆われたその内側の機構が外部から視認可能となっている。図1に示す飲料製造装置1では、コーヒー飲料を製造する製造部の一部がカバー部102を透して視認可能となっている。図1に示す本体部101は、その全体が非透過部とされており、その内部を外部から視認困難である。
図2は、飲料製造装置1の部分正面図であって、飲料製造装置1の正面視でユーザが視認可能な製造部の一部を示す図である。カバー部102や情報表示装置12は想像線で図示されている。
飲料製造装置1の正面部におけるハウジング100は、本体部101と、その外側(前方側)のカバー部102との二重構造となっている。前後方向で本体部101とカバー部102との間に製造部の一部の機構が配置されており、ユーザがカバー部102を介して視認可能である。
カバー部102を介してユーザが視認可能な製造部の一部の機構は、集合搬送部42、第1グラインダ5A、第2グラインダ5B、分離装置6、抽出容器9等である。本体部101の正面部には、奥側に窪んだ矩形状の凹部101aが形成されており、抽出容器9等はこの凹部101a内の奥側に位置している。
カバー部102を介して外部からこれらの機構が視認可能であることにより、管理者にとっては点検や動作確認が容易になる場合がある。また、飲料の需要者にとってはコーヒー飲料の製造過程を楽しむことができる場合がある。
なお、カバー部102は、その右端部においてヒンジ102aを介して本体部101に横開き式に開閉自在に支持されている。カバー部102の左端部には、本体部101とカバー部102とを閉状態に維持する係合部102bが設けられている。係合部102bは例えば磁石と鉄の組合せである。管理者はカバー部102を開放することで、その内側の上述した製造部の一部の点検等を行うことができる。
なお、図1に示すカバー部102は横開き式であるが、縦開き式(上下開き式)であってもよく、スライド式であってもよい。また、カバー部102が開閉不能な構成であってもよい。
図3は飲料製造装置1の機能の概要図である。飲料製造装置1は、コーヒー飲料の製造部として、豆処理装置2及び抽出装置3を含む。
豆処理装置2は、焙煎コーヒー豆から挽き豆を生成する。抽出装置3は豆処理装置2から供給される挽き豆からコーヒー液を抽出する。抽出装置3は、流体供給ユニット7、後述する駆動ユニット8(図5参照)、抽出容器9及び切替ユニット10を含む。豆処理装置2から供給される挽き豆は、抽出容器9に投入される。流体供給ユニット7は、抽出容器9にお湯を投入する。抽出容器9内で挽き豆からコーヒー液が抽出される。抽出されたコーヒー液を含むお湯が切替ユニット10を介してコーヒー飲料としてカップCに送出される。
<2.流体供給ユニット及び切替ユニット>
流体供給ユニット7及び切替ユニット10の構成について図3を参照して説明する。まず、流体供給ユニット7について説明する。流体供給ユニット7は、抽出容器9へのお湯の供給や、抽出容器9内の気圧の制御等を行う。なお、本明細書において、気圧を数字で例示している場合、特に断わらない限り絶対圧を意味し、ゲージ圧とは大気圧を0気圧とする気圧である。大気圧とは、抽出容器9の周囲の気圧、又は、飲料製造装置1の気圧を指し、例えば、飲料製造装置1が海抜0mの地点に設置されている場合は、国際民間航空機関(=「International Civil Aviation Organization」〔[略]ICAO〕)が1976年に制定した国際標準大気(=「International Standard Atmosphere」〔[略]ISA〕)の海抜0mでの基準気圧(1013.25hPa)である。
流体供給ユニット7は配管L1~L3を含む。配管L1は空気が流通する配管であり、配管L2は水が流通する配管である。配管L3は空気と水の双方が流通可能な配管である。
流体供給ユニット7は、加圧源としてコンプレッサ70を含む。コンプレッサ70は大気を圧縮して送出する。コンプレッサ70は例えばモータ(不図示)を駆動源として駆動される。コンプレッサ70から送出される圧縮空気は、逆止弁71aを介してリザーブタンク(アキュームレータ)71に供給される。リザーブタンク71内の気圧は圧力センサ71bにより監視され、所定の気圧(例えば、7気圧(ゲージ圧で6気圧))に維持されるよう、コンプレッサ70が駆動される。リザーブタンク71には排水用のドレイン71cが設けられており、空気の圧縮により生じる水を排水可能となっている。
水タンク72にはコーヒー飲料を構成するお湯(水)が蓄積される。水タンク72には、水タンク72内の水を加温するヒーター72a及び水の温度を計測する温度センサ72bが設けられている。ヒーター72aは温度センサ72bの検出結果に基づいて、蓄積されるお湯の温度を所定の温度(例えば、摂氏120度)に維持する。ヒーター72aは例えばお湯の温度が摂氏118度でONとされ、摂氏120度でOFFとされる。
水タンク72には、また、水位センサ72cが設けられている。水位センサ72cは水タンク72内のお湯の水位を検出する。水位センサ72cにより所定の水位よりも水位が下がったことが検出されると、水タンク72に水が供給される。図3に示す水タンク72には、不図示の浄水器を介して水道水が供給される。浄水器からの配管L2の途中には電磁弁72dが設けられており、水位センサ72cにより水位の低下が検出されると電磁弁72dが開放されて水が供給され、所定の水位に到達すると電磁弁72dが閉鎖されて水の供給が遮断される。こうして水タンク72内のお湯が一定の水位に維持される。なお、水タンク72への給水は一回のコーヒー飲料の製造に使用するお湯を排出する度に行ってもよい。
水タンク72には、また、圧力センサ72gが設けられている。圧力センサ72gは水タンク72内の気圧を検出する。水タンク72には調圧弁72e及び電磁弁72fを介してリザーブタンク71内の気圧が供給される。調圧弁72eはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。例えば、3気圧(ゲージ圧で2気圧)に減圧する。電磁弁72fは調圧弁72eで調圧された気圧の、水タンク72への供給と遮断とを切り替える。電磁弁72fは、水タンク72への水道水の供給時を除き、水タンク72内の気圧が3気圧に維持されるように開閉制御される。水タンク72への水道水の供給時には、水道水の水圧によって水タンク72に円滑に水道水が補給されるように、電磁弁72hにより水タンク72内の気圧を水道水の水圧よりも低い圧力(例えば2.5気圧未満)に減圧する。電磁弁72hは水タンク72内を大気に解放するか否かを切り替え、減圧時には水タンク72内を大気に解放する。また、電磁弁72hは水タンク72への水道水の供給時以外に、水タンク72内の気圧が3気圧を超える場合に水タンク72内を大気に解放し、水タンク72内を3気圧に維持する。
水タンク72内のお湯は、逆止弁72j、電磁弁72i及び配管L3を介して抽出容器9へ供給される。電磁弁72iを開放することで抽出容器9へお湯が供給され、閉鎖することでお湯の供給が遮断される。抽出容器9へのお湯の供給量は、電磁弁72iの開放時間で管理することができる。しかし、供給量を計測して電磁弁72iの開閉を制御してもよい。配管L3にはお湯の温度を計測する温度センサ73eが設けられており、抽出容器9へ供給される湯温が監視される。
リザーブタンク71の気圧は、また、調圧弁73a、電磁弁73bを介して抽出容器9へ供給される。調圧弁73aはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。例えば、5気圧(ゲージ圧で4気圧)に減圧する。電磁弁73bは調圧弁73aで調圧された気圧の、抽出容器9への供給と遮断とを切り替える。抽出容器9内の気圧は圧力センサ73dで検出される。抽出容器9内の加圧時、圧力センサ73dの検出結果に基づいて電磁弁73bが開放され、抽出容器9内を所定の気圧(例えば、最大で5気圧(ゲージ圧で4気圧))に加圧する。抽出容器9内の気圧は電磁弁73cで減圧可能である。電磁弁73cは抽出容器9内を大気に解放するか否かを切り替え、圧力異常時(例えば抽出容器9内が5気圧を超える場合)には抽出容器9内を大気に解放する。
一回のコーヒー飲料の製造が終わると、抽出容器9内を水道水で洗浄する。電磁弁73fは洗浄時に開放され、抽出容器9に水道水を供給する。
次に切替ユニット10について説明する。切替ユニット10は抽出容器9から送出される液体の送出先を注ぎ部10cと廃棄タンクTとのいずれかに切り替えるユニットである。切替ユニット10は、切替弁10aと切替弁10aを駆動するモータ10bを含む。切替弁10aは、抽出容器9内のコーヒー飲料を送出する場合は注ぎ部10cへ流路を切り替える。コーヒー飲料は注ぎ部10cからカップCへ注がれる。洗浄時の廃液(水道水)及び残渣(挽き豆)を排出する場合は廃棄タンクTへ流路を切り替える。図3に示す切替弁10aは、3ポートのボール弁である。洗浄時には切替弁10aを残渣が通過することから、切替弁10aはボール弁が好適であり、モータ10bはその回転軸を回転することで、流路を切り替える。
<3.豆処理装置>
図1、図2を参照して豆処理装置2について説明する。豆処理装置2は、貯留装置4及び粉砕装置5を含む。
<3-1.貯留装置>
貯留装置4は、焙煎後のコーヒー豆が収容される複数のキャニスタ40を含む。図1に示すキャニスタ40は三つ設けられている。キャニスタ40は、焙煎コーヒー豆を収容する筒状の本体40aと、本体40aに設けられた取手40bとを含み、飲料製造装置1に対して着脱自在に構成されている。
各キャニスタ40は、互いに異なる種類の焙煎コーヒー豆を収容し、情報表示装置12に対する操作入力によって、コーヒー飲料の製造に用いる焙煎コーヒー豆の種類を選択できるようにしてもよい。種類が異なる焙煎コーヒー豆とは例えばコーヒー豆の品種が異なる焙煎コーヒー豆である。また、種類が異なる焙煎コーヒー豆とは、同じ品種のコーヒー豆であるが、焙煎度が異なる焙煎コーヒー豆であってもよい。また、種類が異なる焙煎コーヒー豆とは、品種も焙煎度も異なる焙煎コーヒー豆でもよい。また、三つのキャニスタ40の少なくともいずれか一つには、複数種類の品種の焙煎コーヒー豆が混合された焙煎コーヒー豆が収容されてもよい。この場合、各品種の焙煎コーヒー豆は、焙煎度が同程度であってもよい。
なお、図1に示す飲料製造装置1では複数のキャニスタ40を設けたが、一つのキャニスタ40のみが設けられる構成であってもよい。また、複数のキャニスタ40を設けた場合に、同じ種類の焙煎コーヒー豆が全部又は複数のキャニスタ40に収容されてもよい。
各キャニスタ40は、計量搬送装置であるコンベア41に着脱自在に装着される。コンベア41は、例えば、電動スクリューコンベアであり、キャニスタ40に収容された所定の量の焙煎コーヒー豆を自動計量して下流側に送出する。
各コンベア41は下流側の集合搬送部42に焙煎コーヒー豆を排出する。集合搬送部42は中空の部材で構成されており、各コンベア41から粉砕装置5(特に第1グラインダ5A)への焙煎コーヒー豆の搬送通路を形成する。各コンベア41から排出された焙煎コーヒー豆は集合搬送部42の内部を自重によって移動し、粉砕装置5へ流れ落ちる。
集合搬送部42には、豆投入口103に対応する位置に案内部42aが形成されている。案内部42aは豆投入口103から投入された焙煎コーヒー豆を粉砕装置5(特に第1グラインダ5A)へ案内する通路を形成する。これにより、キャニスタ40に収容された焙煎コーヒー豆以外に、豆投入口103から投入される焙煎コーヒー豆を原料としたコーヒー飲料も製造できる。
<3-2.粉砕装置>
図2及び図4を参照して粉砕装置5を説明する。図4は分離装置6の一部破断斜視図である。粉砕装置5は、第1グラインダ5A、第2グラインダ5B及び分離装置6を含む。第1グラインダ5A及び第2グラインダ5Bは、貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆を挽く機構である。貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は、第1グラインダ5Aで挽かれた後、第2グラインダ5Bで更に挽かれて粉状にされ、排出管5Cから抽出容器9へ投入される。
第1グラインダ5A及び第2グラインダ5Bは、豆を挽く粒度が異なっている。第1グラインダ5Aは粗挽き用のグラインダであり、第2グラインダ5Bは細挽き用のグラインダである。第1グラインダ5Aおよび第2グラインダ5Bはそれぞれ電動グラインダであり、駆動源であるモータと、モータにより駆動される回転刃等を含む。回転刃の回転数を変化させることで粉砕される焙煎コーヒー豆の大きさ(粒度)を変化可能である。
分離装置6は挽き豆から不要物を分離する機構である。分離装置6は第1グラインダ5Aと第2グラインダ5Bとの間に配置された通路部63aを含む。通路部63aは第1グラインダ5Aから自由落下してくる挽き豆が通過する分離室を形成する中空体である。通路部63aには、挽き豆の通過方向(例えば、上下方向。)と交差する方向(例えば、左右方向。)に延びる通路部63bが接続されており、この通路部63bには吸引ユニット60が接続されている。吸引ユニット60が通路部63a内の空気を吸引することで、チャフや微粉といった軽量な物体が吸引される。これにより、挽き豆から不要物を分離できる。
吸引ユニット60は遠心分離方式の機構である。吸引ユニット60は、送風ユニット60A及び回収容器60Bを含む。図4に示す送風ユニット60Aは、ファンモータであり、回収容器60B内の空気を上方へ排気する。
回収容器60Bは、分離可能に係合する上部61と下部62とを含む。下部62は上方が開放した有底の筒型をなしており、不要物を蓄積する空間を形成する。上部61は下部62の開口に装着される蓋部を構成する。上部61は、円筒形状の外周壁61aと、これと同軸上に形成された排気筒61bとを含む。送風ユニット60Aは排気筒61b内の空気を吸引するように排気筒61bの上方において上部61に固定されている。上部61には通路部63bが接続されている。通路部63bは排気筒61bの側方に開口している。
送風ユニット60Aの駆動により、図4において矢印d1~d3で示す気流が発生する。この気流により、通路部63aから不要物を含んだ空気が通路部63bを通って回収容器60B内に吸引される。通路部63bは排気筒61bの側方に開口しているため、不要物を含んだ空気は排気筒61bの周囲を旋回する。空気中の不要物Dは、その重量によって落下し、回収容器60Bの一部に集められる(下部62の底面上に堆積する)。空気は排気筒61bの内部を通って上方に排気される。
排気筒61bの周面には複数のフィン61dが一体に形成されている。複数のフィン61dは排気筒61bの周方向に配列されている。個々のフィン61dは、排気筒61bの軸方向に対して斜めに傾斜している。このようなフィン61dを設けたことで、不要物Dを含んだ空気の排気筒61bの周囲の旋回を促進する。
図4に示す下部62はアクリル、ガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明容器を構成している。また、下部62はカバー部102で覆われた部分である(図2)。管理者や飲料の需要者は、カバー部102、下部62の周壁を透して、下部62内に蓄積された不要物Dを視認可能である。管理者にとっては、下部62の清掃タイミングを確認し易い場合があり、飲料の需要者にとっては不要物Dが除去されていることが視認できることで、製造中のコーヒー飲料の品質に対する期待感が高まる場合がある。
このように、貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は、まず、第1グラインダ5Aで粗挽きされ、その粗挽き豆が通路部63aを通過する際に、分離装置6によって不要物が分離される。不要物が分離された粗挽き豆は、第2グラインダ5Bにより細挽きされる。分離装置6で分離する不要物は、代表的にはチャフや微粉である。これらはコーヒー飲料の味を低下させる場合があり、挽き豆からチャフ等を除去することで、コーヒー飲料の品質を向上できる。
焙煎コーヒー豆の粉砕は、一つのグラインダ(一段階の粉砕)であってもよい。しかし、第1グラインダ5Aおよび第2グラインダ5Bによる二段階の粉砕とすることで、挽き豆の粒度が揃い易くなり、コーヒー液の抽出度合を一定にすることができる。豆の粉砕の際にはカッターと豆との摩擦により、熱が発生する場合がある。二段階の粉砕とすることで、粉砕時の摩擦による発熱を抑制し、挽き豆の劣化(例えば風味が落ちる)を防止することもできる。
また、粗挽き→不要物の分離→細挽きという段階を経ることで、チャフなどの不要物を分離する際、不要物と挽き豆(必要部分)との質量差を大きくできる。これは不要物の分離効率を上げることができるとともに、挽き豆(必要部分)が不要物として分離されてしまうことを防止することができる。また、粗挽きと細挽きとの間に、空気の吸引を利用した不要物の分離処理が介在することで、空冷によって挽き豆の発熱を抑えることができる。これにより挽き豆の劣化(例えば風味が落ちる)を防止することもできる。
<4.駆動ユニット及び抽出容器>
<4-1.概要>
抽出装置3の駆動ユニット8及び抽出容器9について図5を参照して説明する。図5は駆動ユニット8及び抽出容器9の斜視図である。駆動ユニット8の大部分は本体部101に囲包されている。
駆動ユニット8はフレームFに支持されている。フレームFは、上下の梁部F1、F2及び梁部F1、F2を支持する柱部F3を含む。駆動ユニット8は、上部ユニット8A、中部ユニット8B及び下部ユニット8Cの三つのユニットに大別される。上部ユニット8Aは梁部F1に支持されている。中部ユニット8Bは梁部F1と梁部F2との間において、梁部F1及び柱部F3に支持されている。下部ユニット8Cは梁部F2に支持されている。
抽出容器9は、容器本体90及び蓋ユニット91を含むチャンバである。抽出容器9のことをチャンバと呼ぶ場合がある。中部ユニット8Bは、容器本体90を着脱自在に保持するアーム部材820を備える。アーム部材820は、保持部材820aと、左右に離間した一対の軸部材820bとを含む。保持部材820aは、Cの字型のクリップ状に形成された樹脂等の弾性部材であり、その弾性力により容器本体90を保持する。保持部材820aは容器本体90の左右の側部を保持し、容器本体90の前方側は露出させている。これにより容器本体90の内部を、正面視で視認し易くなる。
保持部材820aに対する容器本体90の着脱は手動操作で行い、保持部材820aに容器本体90を前後方向後方へ押し付けることで容器本体90が保持部材820aに装着される。また、容器本体90を保持部材820aから前後方向前側へ引き抜くことで、容器本体90を保持部材820aから分離可能である。
一対の軸部材820bは、それぞれ、前後方向に延設されたロッドであり、保持部材820aを支持する部材である。なお、軸部材820bの数を二本としたが、一本でもよいし、三本以上であってもよい。保持部材820aは、一対の軸部材820bの前側の端部に固定されている。後述する機構により、一対の軸部材820bは前後方向に進退され、これにより保持部材820aが前後に進退し、容器本体90を前後方向に平行移動する移動動作を行うことができる。中部ユニット8Bは、また、後述するように、抽出容器9の上下を反転させる回動動作を行うことも可能である。
<4-2.抽出容器>
図6を参照して抽出容器9について説明する。図6は抽出容器9の閉状態及び開状態を示す図である。上記のとおり、抽出容器9は中部ユニット8Bにより上下が反転される。図6の抽出容器9は、蓋ユニット91が上側に位置している基本姿勢を示している。以下の説明において上下の位置関係を述べる場合、特に断らない限りは基本姿勢における上下の位置関係を意味するものとする。
容器本体90は有底の容器であり、ネック部90b、肩部90d、胴部90e及び底部90fを有するボトル形状を有している。ネック部90bの端部(容器本体90の上端部)には、容器本体90の内部空間と連通する開口90aを画定するフランジ部90cが形成されている。
ネック部90b及び胴部90eは、いずれも円筒形状を有している。肩部90dは、ネック部90bと胴部90eとの間の部分であり、その内部空間の断面積が胴部90e側からネック部90b側へ向かって徐々に小さくなるようにテーパ形状を有している。
蓋ユニット91は開口90aを開閉するユニットである。蓋ユニット91の開閉動作(昇降動作)は上部ユニット8Aにより行われる。
容器本体90は、本体部材900及び底部材901を含む。本体部材900は、ネック部90b、肩部90d、胴部90eを形成する上下が開放した筒部材である。底部材901は底部90fを形成する部材であり、本体部材900の下部に挿入されて固定される。本体部材900と底部材901との間にはシール部材902が介在し、容器本体90内の気密性を向上する。
図6に示す本体部材900はアクリル、ガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明容器を構成している。管理者や飲料の需要者は、カバー部102、容器本体90の本体部材900を透して、容器本体90内でのコーヒー飲料の抽出状況を視認可能である。管理者にとっては、抽出動作を確認し易い場合があり、飲料の需要者にとっては抽出状況を楽しめる場合がある。
底部材901の中心部には凸部901cが設けられ、この凸部901cには、容器本体90内を外部に連通させる連通穴や、この連通穴を開閉する弁(図8の弁903)が設けられている。連通穴は、容器本体90内を洗浄する際の廃液及び残渣の排出に用いられる。凸部901cにはシール部材908が設けられており、シール部材908は、上部ユニット8Aまたは下部ユニット8Cと底部材901との間を気密に維持するための部材である。
蓋ユニット91は、帽子状のベース部材911を備える。ベース部材911は、凸部911d、及び、閉時にフランジ部90cと重なる鍔部911cを有する。凸部911dには、容器本体90における凸部901cと同じ構造とされており、容器本体90内を外部に連通させる連通穴や、この連通穴を開閉する弁(図8の弁913)が設けられている。凸部911dの連通穴は、主に、容器本体90内へのお湯の注入とコーヒー飲料の送出に用いられる。凸部911dにはシール部材918aが設けられている。シール部材918aは、上部ユニット8Aまたは下部ユニット8Cとベース部材911との間を気密に維持するための部材である。蓋ユニット91には、また、シール部材919が設けられている。シール部材919は、蓋ユニット91の閉時に蓋ユニット91と容器本体90との気密性を向上する。蓋ユニット91には濾過用のフィルタが保持される。
<4-3.上部ユニット及び下部ユニット>
上部ユニット8A及び下部ユニット8Cについて図7、図8を参照して説明する。図7は上部ユニット8A及び下部ユニット8Cの一部の構成を示す正面図であり、図8は図7の縦断面図である。
上部ユニット8Aは、操作ユニット81Aを含む。操作ユニット81Aは容器本体90に対する蓋ユニット91の開閉操作(昇降)及び凸部901c及び911dの弁の開閉操作を行う。操作ユニット81Aは、支持部材800、保持部材801、昇降軸802及びプローブ803を含む。
支持部材800はフレームFに対する相対位置が変化しないように固定して設けられており、保持部材801を収容する。支持部材800は、また、配管L3と支持部材800内を連通させる連通部800aを備える。配管L3から供給されるお湯、水道水および気圧が連通部800aを介して支持部材800内に導入される。
保持部材801は、蓋ユニット91を着脱自在に保持可能な部材である。保持部材801は蓋ユニット91の凸部911d又は底部材901の凸部901cが挿入される円筒状の空間を有すると共に、これらを着脱自在に保持する機構を備える。この機構は、例えば、スナップリング機構であり、一定の押圧力により係合し、一定の分離力により係合が解除される。配管L3から供給されるお湯、水道水および気圧は、連通部800a及び保持部材801の連通穴801aを介して抽出容器9内へ供給可能である。
保持部材801は支持部材800内を上下方向にスライド自在に設けられた可動部材でもある。昇降軸802はその軸方向が上下方向となるように設けられている。昇降軸802は支持部材800の天部を上下方向に気密に貫通し、支持部材800に対して上下に昇降自在に設けられている。
昇降軸802の下端部には保持部材801の天部が固定されている。昇降軸802の昇降によって保持部材801が上下方向にスライドし、凸部911dや凸部901cへの保持部材801の装着と分離を行うことができる。また、容器本体90に対する蓋ユニット91の開閉を行うことができる。
昇降軸802の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ802aが形成されている。このねじ802aにはナット804bが螺着されている。上部ユニット8Aは、モータ804aを備えており、ナット804bはモータ804aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転される。ナット804bの回転によって昇降軸802が昇降する。
昇降軸802は、中心軸に貫通穴を有する管状の軸であり、この貫通穴にプローブ803が上下にスライド自在に挿入されている。プローブ803は保持部材801の天部を上下方向に気密に貫通し、支持部材800及び保持部材801に対して上下に昇降自在に設けられている。
プローブ803は、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903を開閉する操作子であり、プローブ803の降下により弁913、903を閉状態から開状態とし、プローブ803の上昇により弁を開状態から閉状態(不図示のリターンばねの作用による)とすることができる。
プローブ803の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ803aが形成されている。このねじ803aにはナット805bが螺着されている。上部ユニット8Aは、モータ805aを備えており、ナット805bはモータ805aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転するように設けられている。ナット805bの回転によってプローブ803が昇降する。
下部ユニット8Cは、操作ユニット81Cを含む。操作ユニット81Cは、操作ユニット81Aを上下に反転した構成であり、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903の開閉操作を行う。操作ユニット81Cも蓋ユニット91の開閉が可能な構成であるが、操作ユニット81Cを蓋ユニット91の開閉には用いない。
以下、操作ユニット81Aの説明と略同じであるが、操作ユニット81Cについて説明する。操作ユニット81Cは、支持部材810、保持部材811、昇降軸812及びプローブ813を含む。
支持部材810はフレームFに対する相対位置が変化しないように固定して設けられており、保持部材811を収容する。支持部材810は、また、切替ユニット10の切替弁10aと支持部材810内を連通させる連通部810aを備える。容器本体90内のコーヒー飲料、水道水、挽き豆の残渣が連通部810aを介して切替弁10aに導入される。
保持部材811は、蓋ユニット91の凸部911d又は底部材901の凸部901cが挿入される円筒状の空間を有すると共に、これらを着脱自在に保持する機構を備える。この機構は、例えば、スナップリング機構であり、一定の押圧力により係合し、一定の分離力により係合が解除される。容器本体90内のコーヒー飲料、水道水、挽き豆の残渣が連通部810a及び保持部材811の連通穴811aを介して切替弁10aに導入される。
保持部材811は支持部材810内を上下方向にスライド自在に設けられた可動部材でもある。昇降軸812はその軸方向が上下方向となるように設けられている。昇降軸812は支持部材800の底部を上下方向に気密に貫通し、支持部材810に対して上下に昇降自在に設けられている。
昇降軸812の下端部には保持部材811の底部が固定されている。昇降軸812の昇降によって保持部材811が上下方向にスライドし、凸部901cや凸部911dへの保持部材811の装着と分離を行うことができる。
昇降軸812の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ812aが形成されている。このねじ812aにはナット814bが螺着されている。下部ユニット8Cは、モータ814aを備えており、ナット814bはモータ814aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転される。ナット814bの回転によって昇降軸812が昇降する。
昇降軸812は、中心軸に貫通穴を有する管状の軸であり、この貫通穴にプローブ813が上下にスライド自在に挿入されている。プローブ813は保持部材811の底部を上下方向に気密に貫通し、支持部材810及び保持部材811に対して上下に昇降自在に設けられている。
プローブ813は、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903を開閉する操作子であり、プローブ813の上昇により弁913、903を閉状態から開状態とし、プローブ813の降下により弁を開状態から閉状態(不図示のリターンばねの作用による)とすることができる。
プローブ813の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ813aが形成されている。このねじ813aにはナット815bが螺着されている。下部ユニット8Cは、モータ815aを備えており、ナット815bはモータ815aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転するように設けられている。ナット815bの回転によってプローブ813が昇降する。
<4-4.中部ユニット>
中部ユニット8Bについて図5及び図9を参照して説明する。図9は中部ユニット8Bの模式図である。中部ユニット8Bは抽出容器9を支持する支持ユニット81Bを含む。支持ユニット81Bは上述したアーム部材820の他、ロック機構821を支持するユニット本体81B’を含む。
ロック機構821は、蓋ユニット91を容器本体90に対して閉状態に維持する機構である。ロック機構821は、蓋ユニット91の鍔部911cと容器本体90のフランジ部90cとを上下に挟持する一対の把持部材821aを含む。一対の把持部材821aは、鍔部911cとフランジ部90cとを挟み込んで嵌合するC字型の断面を有しており、モータ822の駆動力により左右方向に開閉される。一対の把持部材821aが閉状態の場合、図9の囲み図において実線で示すように、各把持部材821aは鍔部911cとフランジ部90cとを上下に挟み込むようにしてこれらに嵌合し、蓋ユニット91が容器本体90に対して気密にロックされる。このロック状態においては、保持部材801を昇降軸802によって上昇させて蓋ユニット91を開放しようとしても、蓋ユニット91は移動しない(ロックは解除されない)。つまり、保持部材801を用いて蓋ユニット91を開放する力よりもロック機構821によるロックの力の方が強く設定されている。これにより異常時に容器本体90に対して蓋ユニット91が開状態になることを防止することができる。
また、一対の把持部材821aが開状態の場合、図9の囲み図において破線で示すように、鍔部911cとフランジ部90cから各把持部材821aが離間した状態となり、蓋ユニット91と容器本体90とのロックが解除される。
保持部材801が蓋ユニット91を保持した状態にあり、かつ、保持部材801を降下位置から上昇位置に上昇する場合、一対の把持部材821aが開状態の場合には容器本体90から蓋ユニット91が分離される。逆に一対の把持部材821aが閉状態の場合には蓋ユニット91に対する保持部材801の係合が解除され、保持部材801だけが上昇することになる。
中部ユニット8Bは、また、モータ823を駆動源としてアーム部材820を前後方向に水平移動する機構を含む。これにより、アーム部材820に支持された容器本体90を後側の抽出位置(状態ST1)と、前側の豆投入位置(状態ST2)との間で移動することができる。豆投入位置は、容器本体90に挽き豆を投入する位置であり、蓋ユニット91が分離された容器本体90の開口90aに、第2グラインダ5Bで挽かれた挽き豆が図2に示す排出管5Cから投入される。換言すると、排出管5Cの位置は、豆投入位置に位置している容器本体90の上方である。
抽出位置は、容器本体90が操作ユニット81A及び操作ユニット81Cによる操作が可能となる位置であり、プローブ803、813と同軸上の位置であって、コーヒー液の抽出を行う位置である。抽出位置は豆投入位置よりも奥側の位置である。図5、図7及び図8はいずれも容器本体90が抽出位置にある場合を示している。このように、挽き豆の投入と、コーヒー液の抽出及び水の供給とで、容器本体90の位置を異ならせることにより、コーヒー液抽出時に発生する湯気が、挽き豆の供給部である排出管5Cに付着することを防止できる。
中部ユニット8Bは、また、モータ824を駆動源として支持ユニット81Bを前後方向の軸825回りに回転させる機構を含む。これにより、容器本体90(抽出容器9)の姿勢をネック部90bが上側の正立姿勢(状態ST1)からネック部90bが下側の倒立姿勢(状態ST3)へ変化させることができる。抽出容器9の回動中は、ロック機構821により容器本体90に蓋ユニット91がロックされた状態が維持される。正立姿勢と倒立姿勢とで抽出容器9は上下が反転される。正立姿勢における凸部901cの位置に、倒立姿勢では凸部911dが位置する。また、正立姿勢における凸部911dの位置に、倒立姿勢では凸部901cが位置する。このため、倒立姿勢では弁903に対する開閉操作を操作ユニット81Aが行うことができ、また、弁913に対する開閉操作を操作ユニット81Cが行うことができる。
<5.制御装置>
図10を参照して飲料製造装置1の制御装置11について説明する。図10は制御装置11のブロック図である。
制御装置11は飲料製造装置1の全体を制御する。制御装置11は、処理部11a、記憶部11b及びI/F(インタフェース)部11cを含む。処理部11aは例えばCPU等のプロセッサである。記憶部11bは例えばRAMやROMである。I/F部11cは外部デバイスと処理部11aとの間の信号の入出力を行う入出力インタフェースを含む。I/F部11cは、また、インターネットなどの通信ネットワーク15を介してサーバ16とデータ通信が可能な通信インタフェースを含む。サーバ16は、通信ネットワーク15を介してスマートフォン等の携帯端末17との通信が可能であり、例えば、飲料の需要者の携帯端末17から飲料製造の予約や、感想などの情報を受信可能である。
処理部11aは記憶部11bに記憶されたプログラムを実行し、情報表示装置12からの指示或いはセンサ群13の検出結果若しくはサーバ16からの指示に基づいて、アクチュエータ群14を制御する。センサ群13は飲料製造装置1に設けられた各種のセンサ(例えばお湯の温度センサ、機構の動作位置検出センサ、圧力センサ等)である。アクチュエータ群14は飲料製造装置1に設けられた各種のアクチュエータ(例えばモータ、電磁弁、ヒーター等)である。
<6.動作制御例>
処理部11aが実行する飲料製造装置1の制御処理例について図11A(A)及び(B)を参照して説明する。図11(A)は一回のコーヒー飲料製造動作に関わる制御例を示している。製造指示前の飲料製造装置1の状態を待機状態と呼ぶ。待機状態における各機構の状態は以下の通りである。
抽出装置3は図5の状態にある。抽出容器9は正立姿勢で、かつ、抽出位置に位置している。ロック機構821は閉状態であり、蓋ユニット91は容器本体90の開口90aを閉鎖している。保持部材801は降下位置にあり、凸部911dに装着されている。保持部材811は上昇位置にあり、凸部901cに装着されている。弁903及び913は閉状態にある。切替弁10aは操作ユニット81Cの連通部810aを廃棄タンクTと連通させる。
待機状態において、コーヒー飲料の製造指示があると、図11(A)の処理が実行される。S1では予熱処理が実行される。この処理は容器本体90内にお湯を注ぎ、容器本体90を事前に加温する処理である。まず、弁903及び913を開状態とする。これにより、配管L3、抽出容器9、廃棄タンクTが連通状態となる。
電磁弁72iを所定時間(例えば1500m秒)だけ開放したのちに閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。続いて電磁弁73bを所定時間(例えば500m秒)だけ開放したのちに閉鎖する。これにより、抽出容器9内の空気が加圧され、廃棄タンクTへのお湯の排出を促進する。以上の処理により、抽出容器9の内部及び配管L2が予熱され、これに続くコーヒー飲料の製造において、お湯が冷めることを低減できる。
S2ではグラインド処理を行う。ここでは焙煎コーヒー豆を粉砕し、その挽き豆を容器本体90に投入する。まず、ロック機構821を開状態とし、保持部材801が上昇位置に上昇する。蓋ユニット91は保持部材801に保持され、保持部材801と共に上昇する。この結果、蓋ユニット91は容器本体90から分離する。保持部材811は降下位置に降下する。容器本体90を豆投入位置に移動する。続いて、貯留装置4及び粉砕装置5を作動する。これにより、貯留装置4から一杯分の焙煎コーヒー豆が第1グラインダ5Aに供給される。第1グラインダ5A及び第2グラインダ5Bで焙煎コーヒー豆が二段階で挽かれ、かつ、分離装置6で不要物が分離される。挽き豆は容器本体90に投入される。
容器本体90を抽出位置に戻す。保持部材801が降下位置に降下して容器本体90に蓋ユニット91を装着する。ロック機構821を閉状態とし、蓋ユニット91が容器本体90に対して気密にロックされる。保持部材811は上昇位置に上昇する。弁903、913のうち、弁903は閉状態とし、弁913は開状態とする。
S3では抽出処理を行う。ここでは容器本体90内の挽き豆からコーヒー液を抽出する。図11(B)はS3の抽出処理のフローチャートである。
S41では抽出容器9内の挽き豆を蒸らすため、一杯分のお湯よりも少ない量のお湯を抽出容器9に注入する。ここでは、電磁弁72iを所定時間(例えば500m秒)開放して閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。その後、所定時間(例えば、5000m秒)待機してS41の処理を終了する。この処理によって挽き豆を蒸らすことができる。挽き豆を蒸らすことで、挽き豆に含まれる炭酸ガスを放出させ、その後の抽出効果を高めることができる。
S42では、一杯分のお湯が抽出容器9に収容されるよう、残りの量のお湯を抽出容器9へ注入する。ここでは、電磁弁72iを所定時間(例えば7000m秒)開放して閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。
S42の処理によって抽出容器9内を、1気圧で摂氏100度を超える温度(例えば摂氏110度程度)の状態とすることができる。続いてS43により抽出容器9内を加圧する。ここでは電磁弁73bを所定時間(例えば1000m秒)開放して閉鎖し、抽出容器9内をお湯が沸騰しない気圧(例えば4気圧程度(ゲージ圧で3気圧程度))に加圧する。その後、弁913を閉状態とする。
続いて、この状態を所定時間(例えば7000m秒)維持して浸漬式のコーヒー液抽出を行う(S44)。これにより高温高圧下での浸漬式によるコーヒー液の抽出が行われる。高温高圧下での浸漬式の抽出では、以下の効果が見込める。一つ目は、高圧にすることで、挽き豆の内部にお湯を浸透させ易くし、コーヒー液の抽出を促進させることができる。二つ目は、高温にすることで、コーヒー液の抽出が促進される。三つ目は、高温にすることで挽き豆に含まれるオイルの粘性が下がり、オイルの抽出が促進される。これにより香り高いコーヒー飲料を製造できる。
お湯(高温水)の温度は、摂氏100度を超えていればよいが、より高温である方がコーヒー液の抽出の点で有利である。一方、お湯の温度を高くするためには一般にコストアップとなる。したがって、お湯の温度は、例えば、摂氏105度以上、または、摂氏110度以上、或いは、摂氏115度以上とし、また、例えば、摂氏130度以下、または、摂氏120度以下としてもよい。気圧はお湯が沸騰しない気圧であればよい。
S45では抽出容器9内を減圧する。ここでは、抽出容器9内の気圧をお湯が沸騰する気圧に切り替える。具体的には、弁913を開状態とし、電磁弁73cを所定時間(例えば1000m秒)開放して閉鎖する。抽出容器9内が大気に解放される。その後、弁913を再び閉状態とする。
抽出容器9内が沸点圧よりも低い気圧に急激に減圧され、抽出容器9内のお湯が一気に沸騰する。抽出容器9内のお湯、挽き豆は、抽出容器9内で爆発的に飛散する。これにより、お湯を均一に沸騰させることができる。また、挽き豆の細胞壁の破壊を促進させることができ、その後のコーヒー液の抽出を更に促進させることができる。また、この沸騰により挽き豆とお湯を撹拌させることもできるため、コーヒー液の抽出を促進させることができる。こうしてコーヒー液の抽出効率を向上することができる。
S46では抽出容器9を正立姿勢から倒立姿勢へ反転する。ここでは、保持部材801を上昇位置に、保持部材811を降下位置にそれぞれ移動する。そして、支持ユニット81Bを回転させる。その後、保持部材801を降下位置に、保持部材811を上昇位置にそれぞれ戻す。倒立姿勢の抽出容器9は、ネック部90bや蓋ユニット91が下側に位置することになる。
S47では透過式のコーヒー液抽出を行い、カップCにコーヒー飲料を送出する。ここでは、切替弁10aを切り替えて注ぎ部10cと操作ユニット81Cの通路部810aとを連通させる。また、弁903、913をいずれも開状態とする。更に、電磁弁73bを所定時間(例えば10000m秒)開放し、抽出容器9内を所定気圧(例えば1.7気圧(ゲージ圧で0.7気圧))にする。抽出容器9内において、コーヒー液がお湯に溶け込んだコーヒー飲料が蓋ユニット91に設けたフィルタを透過してカップCに送出される。フィルタは挽き豆の残渣が漏出することを規制する。以上により抽出処理が終了する。
S44での浸漬式の抽出とS47での透過式の抽出とを併用することによりコーヒー液の抽出効率を向上できる。抽出容器9が正立姿勢の状態では、挽き豆が胴部90eから底部90fに渡って堆積する。一方、抽出容器9が倒立姿勢の状態では、挽き豆が肩部90dからネック部90bに渡って堆積する。ネック部90bの断面積よりも胴部90eの断面積の方が大きく、倒立姿勢での挽き豆の堆積厚さは正立姿勢での堆積厚さよりも厚くなる。つまり、挽き豆は抽出容器9が正立姿勢の状態では相対的に薄く、広く堆積し、倒立姿勢の状態では相対的に厚く、狭く堆積する。
S44の浸漬式抽出は抽出容器9が正立姿勢の状態で行われるので、お湯と挽き豆とを広範囲にわたって接触させることができ、コーヒー液の抽出効率を向上できる。但し、この場合はお湯と挽き豆とが部分的に接触する傾向にある。一方、S47の透過式抽出は抽出容器9が倒立姿勢の状態で行われるので、お湯がより多くの挽き豆と接触しながら堆積した挽き豆を通過することになる。お湯がより万遍なく挽き豆と接触することになり、コーヒー液の抽出効率を更に向上することができる。
図11(A)に戻り、S3の抽出処理の後は、S4の排出処理を行う。ここでは抽出容器9内の清掃に関する処理を行う。抽出容器9の清掃は、抽出容器9を倒立姿勢から正立姿勢に戻し、抽出容器9に水道水(浄水)を供給することで行う。そして、抽出容器9内を加圧し、抽出容器9内の水を挽き豆の残渣と共に廃棄タンクTへ排出する。
以上により一回のコーヒー飲料製造処理が終了する。以降、同様の処理が製造指示毎に繰り返される。一回のコーヒー飲料の製造に要する時間は、例えば、60~90秒程度である。
<7.装置構成についての小括>
上述のとおり、飲料製造装置1は、豆処理装置2および抽出装置3を製造部として備え、より詳細には、豆処理装置2は、貯留装置4及び粉砕装置5を含み、抽出装置3は、流体供給ユニット7、駆動ユニット8、抽出容器9及び切替ユニット10を含む(図2、図3等参照)。粉砕装置5は、一杯分の焙煎コーヒー豆を貯留装置4から受け取り、第1グラインダ5A及び第2グラインダ5Bにより二段階の豆挽きを行う。このとき、挽き豆からチャフ等の不要物が分離装置6により分離される。該挽き豆が抽出容器9に投入された後、流体供給ユニット7による抽出容器9への注湯、駆動ユニット8による抽出容器9の姿勢の反転、切替ユニット10による抽出容器9からカップCへの液体の送出等を経て、一杯分の飲料が提供される。
上記製造部の一部は、全体が透過部である透明カバーとして構成されたカバー部102により覆われており、ユーザ(例えば飲料製造装置1の管理者、飲料の需要者等)が飲料製造装置1外部から視認可能となっている。上記製造部のうち、貯留装置4の一部である複数のキャニスタ40が露出され、他の要素は実質的にハウジング100内に収容されているものとするが、製造部の全部がハウジング100内に収容されていてもよい。換言すると、カバー部102は、製造部の少なくとも一部を覆うように設けられればよい。
製造部の少なくとも一部がカバー部102により飲料製造装置1外部から視認可能に覆われていることで、例えば、ユーザが飲料製造装置1の管理者の場合には、該管理者は飲料の製造準備と共に装置の動作点検を行うことも可能な場合がある。ユーザが飲料の購入者の場合には、該購入者は飲料に対する期待感を高めながら該飲料の製造完了を待機可能な場合がある。例えば、抽出装置3の抽出容器9がカバー部102を介して飲料製造装置1外部から視認可能であり、飲料を製造する幾つかのプロセスのうちユーザにとって比較的関心度の高い抽出工程が観察可能である。駆動ユニット8は抽出容器9の姿勢を変化させる姿勢変化ユニットとして作用し、前述のとおり、抽出容器9は、製造部において上下反転が可能な可動部分となっている。よって、この抽出容器9の反転動作は、ユーザの興味を比較的惹きやすく、これをユーザにより観察可能とすることで、ユーザを楽しませることが可能な場合がある。
続いて、粉砕装置5の変型例について説明する。以下の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して説明する。ここで説明する粉砕装置5は、図2に示す粉砕装置と外観は異なるが機能的には同じものである。
図12は、粉砕装置5の斜視図であり、図13は、図12に示す粉砕装置5の縦断面図である。
図12に示す粉砕装置5も、図2に示す粉砕装置と同じく、第1グラインダ5A、第2グラインダ5B及び分離装置6を含む。第1グラインダ5A及び第2グラインダ5Bは、図2に示す貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆を挽く機構である。第1グラインダ5Aは、コーヒー豆に付着している不要物を分離しやすくするために、ある程度(例えば1/4程度)の大きさに砕くためのグラインダである。また第2グラインダ5Bは、第1グラインダ5Aで砕かれた状態のコーヒー豆を所望の粒度のコーヒーの挽き豆にするためのグラインダである。このため、これらの第1グラインダ5A及び第2グラインダ5Bは、豆を挽く粒度が異なっており、第1グラインダ5Aよりも第2グラインダ5Bの方がより細かい粒度のグラインダとなっている。なお、第2グラインダ5Bにおける挽き豆の粒度については、誤差(±5μm程度)が生じる場合があるものの、回転刃58bと固定刃57bとの間隔を調整することによって調整可能である。
第1グラインダ5Aは、モータ52a(図12参照)及び本体部53aを含む。モータ52aは第1グラインダ5Aの駆動源である。本体部53aはカッターを収容するユニットであり、図13に示すように回転軸54aが内蔵されている。回転軸54aにはギア55aが設けられており、モータ52aの駆動力がギア55aを介して回転軸54aに伝達される。
図13に示すように、回転軸54aには、カッターである回転刃58aが設けられている。また、回転刃58aの周囲には、カッターである固定刃57aが設けられている。本体部53aの内部は投入口50a(図12参照)及び排出口51a(図13参照)と連通している。図2に示す貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は本体部53aの上部に形成されている投入口50aから本体部53aへ進入し、図13に示す回転刃58aと固定刃57aとの間に挟まれるようにして粉砕される。また、図13に示すように、回転軸54aの回転刃58aよりも上側には抑制板56aが設けられており、抑制板56aは焙煎コーヒー豆が上側に逃げることを抑制する。第1グラインダ5Aでは焙煎コーヒー豆が例えば1/4程度に粉砕される。粉砕された挽き豆は排出口51aから分離装置6へ排出される。
なお、投入口50aに供給された焙煎コーヒー豆は、回転刃58aの上方からではなく、側面に当たるような高さに供給されてもよい。その場合は、回転刃58aにより焙煎コーヒー豆が上側へ逃げることが抑制されるため、抑制板56aを設けなくてもよい。
第1グラインダ5Aは、回転刃58aの回転数を変化させることで、粉砕された後に排出される焙煎コーヒー豆の大きさを変化させてもよい。また、回転刃58aと固定刃57aとの間の距離を手動で調整することで変化させてもよい。
図12に示す分離装置6は、図4を用いて説明した分離装置6と同じ構成であり、第1グラインダ5Aと第2グラインダ5Bとの間に配置され、挽き豆からチャフや微粉といった不要物を空気の吸引力により分離する機構である。貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は、まず、第1グラインダ5Aで粗挽きされ、その粗挽き豆から分離装置6によって不要物が分離される。不要物が分離された粗挽き豆は、第2グラインダ5Bにより細挽きされる。
第2グラインダ5Bは、モータ52b(図12参照)及び本体部53bを含む。モータ52bは第2グラインダ5Bの駆動源である。本体部53bは、カッターを収容するユニットであり、図13に示すように回転軸54bが内蔵されている。回転軸54bにはプーリ55bが設けられており、モータ52bの駆動力がベルト59b及びプーリ55bを介して回転軸54bに伝達される。
図13に示すように、回転軸54bには、また、回転刃58bが設けられており、回転刃58bの上側には固定刃57bが設けられている。本体部53bの内部は、図12に示す投入口50b及び同じく図12に示す排出口51bと連通している。分離装置6から落下してくる挽き豆は投入口50bから本体部53bへ進入し、回転刃58bと固定刃57bとの間に挟まれるようにして更に粉砕される。粉状に粉砕された挽き豆は排出口51bから排出される。なお、第2グラインダ5Bにおける挽き豆の粒度は、回転刃58bと固定刃57bとの間隔を調整することによって調整可能である。
続いて、分離装置6について、これまでの説明と重複する部分もあるが、改めて説明する。図14は分離装置6の一部破断斜視図である。分離装置6は、吸引ユニット6A及び形成ユニット6Bを含む。形成ユニット6Bは、第1グラインダ5Aから自由落下してくる挽き豆が通過する分離室SC(図13参照)を形成する中空体である。吸引ユニット6Aは、挽き豆の通過方向(この例では上下方向)と交差する方向(この例では左右方向)で分離室SCと連通し、分離室SC内の空気を吸引するユニットである。分離室SC内の空気を吸引することで、チャフや微粉といった軽量な物体が吸引される。これにより、挽き豆から不要物を分離できる。
吸引ユニット6Aは遠心分離方式の機構である。吸引ユニット6Aは、送風ユニット60A及び回収容器60Bを含む。送風ユニット60Aは、ファンモータであり、回収容器60B内の空気を上方へ排気する。
回収容器60Bは、分離可能に係合する上部61と下部62とを含む。下部62は上方が開放した有底の筒型をなしており、不要物を蓄積する空間を形成する。上部61は下部62の開口に装着される蓋部を構成する。図14に示すように、上部61は、円筒形状の外周壁61aと、これと同軸上に形成された排気筒61bとを含む。送風ユニット60Aは排気筒61b内の空気を吸引するように排気筒61bの上方において上部61に固定されている。上部61は、また、径方向に延設された筒状の接続部61cを含む。接続部61cは形成ユニット6Bと接続され、分離室SCと回収容器60Bとを連通させる。接続部61cは排気筒61bの側方に開口している。
送風ユニット60Aの駆動により、図14において矢印d1~d3で示す気流が発生する。この気流により、分離室SCから不要物を含んだ空気が接続部61cを通って回収容器60B内に吸引される。接続部61cは排気筒61bの側方に開口しているため、不要物を含んだ空気は排気筒61bの周囲を旋回する。空気中の不要物Dは、その重量によって落下し、回収容器60Bの一部に集められる(下部62の底面上に堆積する)。空気は排気筒61bの内部を通って上方に排気される。
排気筒61bの周面には複数のフィン61dが一体に形成されている。複数のフィン61dは排気筒61bの周方向に配列されている。個々のフィン61dは、排気筒61bの軸方向に対して斜めに傾斜している。このようなフィン61を設けたことで、不要物Dを含んだ空気の排気筒61bの周囲の旋回を促進する。また、フィン61により不要物Dの分離が促進される。この結果、吸引ユニット6Aの上下方向の長さを抑えることができ、装置の小型化に寄与する。
また、第1グラインダ5A及び第2グラインダ5Bによる挽き豆の落下経路に形成ユニット6Bが配置され、落下経路の側方に遠心分離方式の吸引ユニット6Aが配置されている。遠心分離方式の機構は上下方向に長くなり易いが、吸引ユニット6Aを落下経路からずらして側方に配置することで、吸引ユニット6Aを第1グラインダ5A及び第2グラインダ5Bに対して横方向に並設することができる。これは装置の上下方向の長さを抑えることに寄与する。特に、第1グラインダ5A及び第2グラインダ5Bにより二段階の粉砕を行う場合、装置の上下方向の長さが長くなる傾向になるため、吸引ユニット6Aのこのような配置が装置の小型化に有効である。
図12~図17を参照して形成ユニット6Bを説明する。図15は形成ユニット6Bの縦断面図である。図16は形成ユニット6Bの斜視図及び部分拡大図である。図17は形成ユニット6Bの平面図であって、断面積の比較説明図である。
図15に示す形成ユニット6Bは、上下に半割された二部材を結合して形成されている。形成ユニット6Bは、管部63及び分離室形成部64を含み、平面視でスプーン形状を有している。管部63は、吸引ユニット6Aとの連通路63aを形成する筒体であり、横方向(後述する中心線CLと交差する方向)に延設されている。分離室形成部64は管部63に接続され、分離室SCを形成する、中央が上下方向に開口した円環形状の中空体である。
図14に示す分離装置6では、挽き豆から不要物を分離するにあたり、第1グラインダ5Aから落下してくる挽き豆に横方向の風圧を作用させて不要物を吸引する方式を採用している。これは、遠心分離方式よりも鉛直方向の長さを短くできる点で有利である。
図15に示す分離室形成部64は、上下方向に延設された筒状部65を含む。筒状部65はその上下方向の中央部から下部にかけて分離室SC内に突出している。筒状部65は上側の一端に開口部65aを有し、開口部65aは分離室SCに連通した、挽き豆の投入口を形成している。開口部65aは分離室SC外に位置しており、第1グラインダ5Aの排出口51a(図13参照)に接続されている。これにより、排出口51aから落下する挽き豆が漏れなく分離室形成部64に導入される。筒状部65は下側の他端に開口部65bを有する。開口部65bは分離室SC内に位置している。開口部65bが分離室SCに臨んでいるため、排出口51aから落下する挽き豆が漏れなく分離室SCに導入される。
筒状部65は、円筒形状を有しており、開口部65a及び開口部65bは中心線CL上に位置する同心の円形状を有している。これにより、排出口51aから落下する挽き豆が筒状部65を通過し易くなる。筒状部65は内部空間の断面積が開口部65a側から開口部65b側へ向かって徐々に小さくなるテーパ形状を有している。筒状部65の内壁がすり鉢形状となるため、落下してくる挽き豆が内壁に衝突し易くなる。第1グラインダ5Aから落下してくる挽き豆は、粒同士が密着して塊となって落下してくる場合がある。挽き豆が塊の状態であると、不要物の分離効率が低下する場合がある。図15に示す筒状部65では、塊となった挽き豆が筒状部65の内壁に衝突することで、塊を崩し、不要物を分離し易くすることができる。
なお、挽き豆の塊を崩す点では、筒状部65の内壁はすり鉢形状に限られない。筒状部65の途中部位に開口部65aよりも内部空間の断面積が小さい箇所があり、それにより、中心線CLに対して傾斜した(水平ではない)内壁があれば、塊との衝突を促進しつつ、挽き豆を円滑に落下させることができる。また、筒状部65は分離室SC内に突出している必要はなく、分離室形成部64の外面から上側に突出した部分のみを有するものであってもよい。但し、筒状部65を分離室SC内に突出させたことで、筒状部65の周囲の風速を向上できる。このため、管部63から相対的に遠い領域R1において、風圧による不要物の分離効果を高めることができる。
分離室形成部64は、不要物を分離した後の挽き豆が排出される、分離室SCに連通した排出口66を有している。図15に示す排出口66は、開口部65bの下方に位置しており、筒状部65を通った挽き豆は、分離室SCを通過して排出口66から自由落下する。排出口66は中心線CL上に位置する円形の開口であり、開口部65a及び開口部65bと同心円の開口である。このため、挽き豆が分離室形成部64を自由落下により通過し易くなり、分離室形成部64内に挽き豆が堆積することを防止することができる。
図17に示すように、開口部65bの断面積SC1よりも排出口66の断面積SC2の方が大きい。開口部65bと排出口66とは上下方向で見て、互いに重なっている。したがって、排出口66に対して、上下方向に開口部65bを投影すると、排出口66の内側に開口部65bが収まることになる。換言すると、開口部65bは、排出口66を上下方向に延長した領域内に収まる。開口部65bと排出口66とが同一中心線上にないが重なっている構成や、少なくとも一方が円形でないが重なっている構成も採用可能である。
断面積SC2に対する断面積SC1の比率は、例えば、95%以下、あるいは、85%以下であり、また、例えば、60%以上、あるいは、70%以上である。開口部65b、排出口66は同心円であるため、中心線CL方向に見ると互いに重なっている。このため、開口部65bから自由落下する挽き豆が排出口66から排出され易くなる。また、落下する挽き豆が排出口66の縁に衝突して管部63側へ跳ねることを防止し、必要な挽き豆が吸引ユニット6Aに吸引されてしまうことも抑制できる。排出口(例えば66)の開口面積よりも一端開口部(例えば65a)の開口面積の方が小さいと例示してきたが、排出口(例えば66)の開口面積と一端開口部(例えば65a)の開口面積は同じであってもよいし、排出口(例えば66)の開口面積よりも一端開口部(例えば65a)の開口面積の方が大きくてもよい。排出口(例えば66)の開口面積よりも他端開口部(例えば65b)の開口面積の方が小さいと例示してきたが、排出口(例えば66)の開口面積と他端開口部(例えば65b)の開口面積は同じであってもよいし、排出口(例えば66)の開口面積よりも他端開口部(例えば65b)の開口面積の方が大きくてもよい。吸引ユニット(例えば6A)によって排出口66及び投入口(例えば65a,65a’)から空気が吸引されることを例示したが、投入口(例えば65a,65a’)から吸引される空気の量よりも排出口66から吸引される空気の量の方が多くなるようにしてもよい。これは、分離室内に他端開口部(例えば65b)が突出していることや、一端開口部(例えば65a)の開口面積の大きさよりも排出口66の断面積の大きさが大きいことで実現してもよいし、他端開口部(例えば65b)の開口面積の大きさよりも排出口66の断面積の大きさが大きいことで実現してもよいし、一端開口部(例えば65a)から分離室までの距離よりも排出口66から分離室までの距離が近いことで実現してもよいし、一端開口部(例えば65a)から排気筒61bまでの距離よりも排出口66から排気筒61bまでの距離が近いことで実現してもよいし、一端開口部(例えば65a)から送風ユニット60Aまでの距離よりも排出口66から送風ユニット60Aまでの距離が近いことで実現してもよい。形成ユニット6Bや分離室SCを構成する部材(63~65)の内壁部のいずれかや筒状部65や他端開口部(例えば65b)であるが、グラインダ(5A及び5Bのうちの少なくとも一方)と直接又は他の部材を介して間接的に接触して、当該グラインダの回転による振動が伝わって、振動するように構成されていてもよい。例えば、実施例におけるコーヒー豆挽き機1の場合、それらは直接的又は間接的に接触していることから、グラインダの動作中は、形成ユニット6Bや分離室SCを構成する部材(63~65)の内壁部のいずれかや筒状部65や他端開口部(例えば65b)が振動し、振動により当該分離室SC内に生じる乱れた空気によって、他端開口部(例えば65b)から分離室SCに進入する軽い不要物にブレーキを与えて、当該不要物を吸引ユニット(例えば6A)によって吸引しやすくしている。特に、実施例におけるコーヒー豆挽き機1のように形成ユニット6Bは、第1グラインダ5A及び第2グラインダ5Bのうちの第1グラインダ5Aと直接接触しているが、このように一のグラインダに直接接触させることで形成ユニット6Bに適度な振動を与えて、軽い不要物を吸引しやすくしてもよい。
吸引ユニット6Aにより吸引される空気は、主に、排出口66から吸引される。このため、図13に示すように、排出口66と第2グラインダ5Bの投入口50bとの間には隙間が設けられており、空気の吸引が促進される。図15に示す矢印d4は吸引ユニット6Aにより吸引される空気の気流の向きを模式的に示している。排出口66から空気を吸引することで不要物が排出口66から排出されにくくなり、挽き豆と不要物との分離性能を向上できる。なお、吸引ユニット6Aにより吸引される空気は、開口部65aからも吸引される。
排出口66を画定する周囲壁には、乱流促進部67が形成されている。乱流促進部67は排出口66から分離室SCへ吸引される空気に乱流を生じさせる。乱流促進部67を形成したことにより、特に、開口部65bとの排出口66との間の領域R2において、乱流が生じやすくなる。また、図15に示す形成ユニット6Bでは、筒状部65の周囲で風速が向上するので、領域R2での乱流の発生を相乗的に促進させることができる。
投入口65aに投入された挽き豆は領域R2を通過する際に乱流の影響を受けて攪拌される。特に、上記のとおり開口部65bの断面積SC1よりも排出口66の断面積SC2の方が大きいため、挽き豆は領域R2を必ず通過する。乱流によって、チャフや微粉といった不要物が、挽き豆から分離されやすくなる。よって、分離室SCが小さい空間であっても、不要物の分離効率を向上することができ、特に、分離室SCの上下方向の長さを小さくすることに寄与し、第1グラインダ5Aおよび第2グラインダ5Bで二段階の粉砕を行う場合の装置の小型化に有利である。
図15及び図16に示すように、乱流促進部67は複数の乱流促進要素67aを含む。乱流促進要素67aは、上下方向で下向きに突出した突起である。乱流促進要素67aの突出方向は、どの方向であってもよいが、分離室SC内に乱流をより発生させ易くする点で、下方向から径方向内側方向の範囲内の方向が好適である。突出方向が下方向であれば、落下してきた挽き豆が引っ掛かることがなく、より好ましい。
乱流促進要素67aの断面形状は、台形形状の四角柱を断面の上底が中心線CL方向に向くように配置され、かつ、図16に示すように、先端部の内側に面取り67bを施された形状となっている。乱流促進要素67aの形状は、この形状に限られないが、排出口66の形状を三次元的に複雑にする形状が好適である。
図16に示すように、乱流促進要素67aは、排出口66の周囲方向d5に繰り返し形成されている。これにより、領域R2へ多方向から空気が吹き込み、乱流の発生が促進される。隣接する乱流促進要素67aのピッチは、等ピッチであるが、異ピッチであってもよい。また、乱流促進要素67aは12個形成されているが、乱流促進要素67aの数は任意である。
以上、図12~図17を用いて説明した粉砕装置5は、図1に示す飲料製造装置1に組み込まれるものであったが、粉砕装置5単体でコーヒー豆挽き機として使用することもできる。この場合には、焙煎後のコーヒー豆を収容し投入口50aにそのコーヒー豆を供給する貯留装置や、粉砕装置5の制御を行う制御装置や、情報表示装置が追加される。
図18は、コーヒー豆挽き機の外観斜視図であり、図19は、コーヒー豆挽き機の制御装置のブロック図である。図18に示すコーヒー豆挽き機の基本構成は、図12~図17を用いて説明した粉砕装置5の基本構成とほぼ同じである。以下、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して、図12~図17を用いて説明した粉砕装置5との相違点を中心に説明する。
図18に示すコーヒー豆挽き機GMは、貯留装置4及び粉砕装置5と、これらを制御する図19に示す制御装置11を有する。また、コーヒー豆挽き機GMは、制御装置11と無線接続された情報表示装置12(図19参照)も有する。情報表示装置12は、コーヒー豆挽き機GMの各種制御の指示や設定値等の入力を行うためのタッチパネル式のディスプレイであり、各種の情報の表示の他、管理者や使用者の入力を受け付けることが可能である。また、情報表示装置12にはスピーカやカメラが設けられている。
制御装置11はコーヒー豆挽き機GMの全体を制御する。制御装置11は、処理部11a、記憶部11b及びI/F(インタフェース)部11cを含む。処理部11aは例えばCPU等のプロセッサである。記憶部11bは例えばRAMやROMである。この記憶部11bには、レシピが記憶されている。レシピは、コーヒー豆を挽くための各種の条件の情報や、豆情報や、レシピ作成者情報や、レシピ作成者のコメント等を含むものである。I/F部11cは外部デバイスと処理部11aとの間の信号の入出力を行う入出力インタフェースを含む。I/F部11cは、また、インターネットなどの通信ネットワーク15を介してサーバ16、携帯端末17等の外部端末とデータ通信が可能な通信インタフェースを含む。サーバ16は、通信ネットワーク15を介してスマートフォン等の携帯端末17との通信が可能であり、例えば、需要者の携帯端末17からコーヒーの挽き豆製造の予約や、感想などの情報を受信可能である。コーヒー豆挽き機1と、サーバ16と、携帯端末17とを含んで、コーヒー豆を挽くためのコーヒー豆挽きシステムGSを構成する。
処理部11aは記憶部11bに記憶されたプログラムを実行し、レシピに従って貯留装置4や粉砕装置5を制御する。より細かく見れば、処理部11aは、アクチュエータ群14をレシピに従って制御したり、そのアクチュエータ群14を、情報表示装置12からの指示やセンサ群13の検出結果若しくはサーバ16からの指示に基づいて制御する。センサ群13は貯留装置4や粉砕装置5に設けられた各種のセンサ(例えば、機構の動作位置検出センサ等)である。アクチュエータ群14は、貯留装置4や粉砕装置5に設けられた各種のアクチュエータ(例えばモータ等)である。
図18に示す貯留装置4は、円筒状のキャニスタ収納ユニット401と、そのキャニスタ収納ユニット401の上端部に螺合しキャニスタ収納ユニット401の上面を覆う取り外し自在なキャップ401cとを有する。キャニスタ収納ユニット401の内側には不図示のキャニスタ収納室が設けられている。キャニスタ収納室は周方向に複数に設けられており、キャニスタ収納ユニット401の内側には、複数のキャニスタを収納可能である。ここでは不図示のキャニスタは、図1や図2に示すキャニスタと、取手40bが設けられていない点を除けば同じ構造のものである。貯留装置4では、収納されている複数のキャニスタを選択的に使用することができる。したがって、品種の異なる焙煎コーヒー豆や、焙煎度が異なる焙煎コーヒー豆を選んでグラインド処理を行うこともできるし、品種や焙煎度が異なる複数種類の焙煎コーヒー豆を混ぜてグラインド処理を行うこともできる。
また、キャニスタ収納ユニット401は、コーヒー豆挽き機GMのセンターケーシングGM10の上部に設けられたオプション取付部GM11に着脱自在に取り付けられている。このオプション取付部GM11には、キャニスタ収納ユニット401の他、複数種類のユニットが取り付け可能である。センターケーシングGM10の上部は、オプション取付部GM11に取り付けられたユニットの下部を覆うことになる。なお、コーヒー豆挽き機GMと通信可能な携帯端末17等の外部端末に、オプション取付部GM11に取り付けられたユニットの種類が表示されるように構成されていてもよい。
図20(a)は、図18に示すキャニスタ収納ユニット401に代えて、ホッパユニット402が取り付けられたコーヒー豆挽き機GMを示す図であり、同図(b)は、ファンネルユニット403が取り付けられたコーヒー豆挽き機GMを示す図である。
図18は、コーヒー豆挽き機GMを左斜め手前から見た斜視図であったが、図20は、コーヒー豆挽き機GMを右斜め手前から見た斜視図になる。
図18に示すオプション取付部GM11は、センターケーシングGM10の内周面に設けられたものである。このオプション取付部GM11への各ユニットの取付方式は、螺合方式であってもよいし、各ユニットに設けられた係止爪がオプション取付部GM11に係止する方式であってもよいし、オプション取付部GM11に設けられた係止爪が各ユニットに係止する方式であってもよい。
図20(a)に示すホッパユニット402は透明な容器であり、内部に焙煎コーヒー豆が収容され、上面は、取り外し自在なキャップ402cによって覆われている。このホッパユニット402は、大きな単体のキャニスタに相当する。
一方、図20(b)に示すファンネルユニット403は、内側がオプション取付部GM11側に向けて先細になった漏斗状のものであり、上端は開口している。このファンネルユニット403にも、焙煎コーヒー豆が収容される。ファンネルユニット403では、キャニスタやホッパユニット402に比べて、下流側への焙煎コーヒー豆の供給がスムーズである。キャニスタ収納ユニット401にしても、ホッパユニット402にしても、ファンネルユニット403にしても、焙煎コーヒー豆を貯留可能な貯留ユニットである。これらの貯留ユニット(401~403)には、焙煎コーヒー豆を下流側に供給する供給口が設けられている。
また、オプション取付部GM11には、計量ユニットも取り付け可能である。
図21(a)は、オプション取付部GM11に、計量ユニット404が取り付けられた状態を模式的に示す図である。
図21(a)に示すコーヒー豆挽き機GMは、オプション取付部GM11に取り付けられた計量ユニット404に、さらに図20に示すキャニスタ収納ユニット401が取り付けられている。計量ユニット404には、焙煎コーヒー豆を貯留可能な貯留ユニット(401~403)が着脱自在に取り付け可能である。計量ユニット404への貯留ユニットの取付方式は、オプション取付部GM11への各ユニットの取付方式と同じく、螺合方式であってもよいし、各ユニットに設けられた係止爪が計量ユニット404に係止する方式であってもよいし、計量ユニット404に設けられた係止爪が貯留ユニットに係止する方式であってもよい。図21(a)に示す例では、計量ユニット404に設けられた係止爪404kがオプション取付部GM11の突起部GM11tに係止している。また、キャニスタ収納ユニット401に設けられた係止爪401kは計量ユニット404の内周壁上部に設けられた突起部404tに係止している。
計量ユニット404は、受入口4040と、案内通路4041と、搬送通路4042と、送出口4043を有する。貯留ユニット(401~403)が計量ユニット404に取り付けられると、貯留ユニットの供給口USPが、計量ユニット404の受入口4040に接続し、貯留ユニットに貯留されていた焙煎コーヒー豆が受入口4040に供給される。受入口4040と搬送通路4042の上流側は案内通路4041によって接続されている。図21(a)に示す搬送通路4042では、右側が上流側になり左側が下流側になる。搬送通路4042内には電動スクリューコンベアESCが配置されており、搬送通路4042内を焙煎コーヒー豆が搬送され、送出口4043から粉砕装置5へ向けて送り出される。すなわち、受入口4040に供給された焙煎コーヒー豆は、案内通路4041を通って搬送通路4042に導かれ、図21(a)に示す搬送通路4042の右側から左側に向けて搬送される。図21(a)に示す搬送経路4042は水平に設けられたものであるが、搬送経路4042の下流端開口4042oは斜め上方を向いて開口するように形成されている。なお、搬送経路4042は、上流側よりも下流側の方が高くなるよう傾斜したものであってもよい。
図21(b)は、電動スクリューコンベアESCを示す斜視図である。
図21(b)に示す電動スクリューコンベアESCでは、右奥側が上流側になり、左手前側が下流側になる。電動スクリューコンベアESCは、スクリュー軸ESC1と、そのスクリュー軸ESC1の外周面に螺旋状に設けられたスクリュー羽根ESC2を有する。また、電動スクリューコンベアESCの上流端部には、スクリュー軸ESC1を回転駆動するモータESC3が内蔵されている。搬送通路4042へ導かれた焙煎コーヒー豆は、回転するスクリュー羽根ESC2によって、搬送通路4042内を搬送される。制御装置11は、モータESC3の回転を制御しており、スクリュー軸ESC1の回転量によって、焙煎コーヒー豆の量が自動計量される。電動スクリューコンベアESCは、貯留ユニット(401~403)に収容されていた焙煎コーヒー豆を自動計量して下流側へ向けて搬送する。
図21(a)に示すように、搬送通路4042の下流端開口4042oには覆い部材460が設けられている。上述のごとく下流端開口4042oは斜め上方を向いて形成されており、覆い部材460も斜めに配置されている。覆い部材460は、覆い板461と帯状部材451を有する。
図22は、搬送通路4042の下流端開口4042oに配置された覆い部材460のいくつかの態様を示す図である。
図22(a)に示す下流端開口4042oは、上半分が覆い板461によって覆われている。覆い板461は、樹脂製の剛体である。
また、搬送通路4042の下流端には出口部45が設けられている。この出口部45は、可撓性を有する帯状部材451が間隔W1をあけて横方向に並べられたものである。帯状部材451は、覆い板461よりも可撓性を有するものである。帯状部材451の間隔W1は、一般的な焙煎コーヒー豆Bの大きさよりも狭い。また、帯状部材451の上端は覆い板461の下縁部に固定されているが、帯状部材451の下端は自由端である。また、帯状部材451の下端は、下流端開口4042oを画定する縁4042eよりも、焙煎コーヒー豆Bの大きさよりも短い長さ分、内側に位置している。帯状部材451は、下流端開口4042oの面積を狭めるものであるが、回転するスクリュー羽根ESC2によって搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの通過を可撓性によって許容する。すなわち、そもそも、下流端開口4042oの面積は覆い板461によって半分程度にまで狭められ、スクリュー羽根ESC2の回転が止まった時点から焙煎コーヒー豆Bは下流端開口4042oから落下しにくくなっている。しかも、帯状部材451によって下流端開口4042oの面積はさらに狭められ、焙煎コーヒー豆Bは下流端開口4042oからより落下しにくくなっている。したがって、焙煎コーヒー豆Bが不用意に下流側に入り込んでしまうことが抑えられている。一方、帯状部材451は可撓性を有し、下端が自由端であることから、回転するスクリュー羽根ESC2によって搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの押出力(搬送力に相当)によって外側にめくれる。この結果、帯状部材451の間隔W1や、帯状部材451の下端と下流端開口4042oを画定する縁4042eとの隙間が拡がり、拡がった間隔や隙間から焙煎コーヒー豆Bが送出される。
また、斜め上方を向いて配置された覆い部材460では、帯状部材451も傾斜しており、出口部45も斜め上方を向いている。図22(a)~同図(f)に示す出口部45は、斜め上方を向いている。このように出口部45が斜め上方を向いていることによっても、焙煎コーヒー豆Bが出口部45から落下しにくくなっている。ただし、図22(a)~同図(f)に示す出口部45は、真横を向いたものであってもよい。
図22(a)に示す下流端開口4042oは、上半分が覆い板461によって覆われている。覆い板461は、樹脂製の剛体である。
図22(b)および同図(c)に示す覆い部材460は、同図(a)に示す覆い部材460に比べて、帯状部材451が長い以外は同じである。図22(b)に示す帯状部材451は、下流端開口4042oを画定する縁4042eを超えて下方へ延在したものであり、その帯状部材451の下端は、縁4042eよりも外側に位置している。図22(c)に示す帯状部材451は、ちょうど、下流端開口4042oを画定する縁4042eまで下方へ延在したものであり、その帯状部材451の下端は、縁4042eに重なっている。したがって、図22(b)および同図(c)に示す覆い部材460ではいずれも、同図(a)に示す覆い部材460に比べて、下流端開口4042oの面積をより狭めることができ、焙煎コーヒー豆Bの通過の許容性が低くなる。しかしながら、図22(b)に示す帯状部材451にしても、同図(c)に示す帯状部材451にしても、可撓性を有し、下端が自由端であることから、回転するスクリュー羽根ESC2によって搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの押出力によって外側にめくれる。これにより、図22(b)に示す出口部45からも同図(c)に示す出口部45からも、焙煎コーヒー豆Bが押出力によって送出される。
図22(d)および同図(e)に示す覆い部材460は、同図(a)に示す覆い部材460に比べて、覆い板461の大きさが異なる以外は同じである。図22(d)に示す覆い部材460では、下流端開口4042oの1/3の大きさに相当する上方部分を覆い板461によって覆っている。図22(e)に示す覆い部材460では、下流端開口4042oの2/3の大きさに相当する上方から中間にかけての部分を覆い板461によって覆っている。したがって、図22(d)に示す覆い部材460では、同図(a)に示す覆い部材460に比べて、下流端開口4042oの面積を狭めておらず、焙煎コーヒー豆Bの通過の許容性が高くなる。ただし、帯状部材451も合わせれば、下流側開口41hの面積を半分以上は狭めており、スクリュー羽根ESC2の回転が止まった時点から焙煎コーヒー豆Bは出口部45から落下しにくくなっている。また、図22(e)に示す覆い部材460では、同図(a)に示す覆い部材460に比べて、下流端開口4042oの面積をより狭めており、焙煎コーヒー豆Bの通過の許容性はかなり低い。このため、図22(a)に示す帯状部材451よりも可撓性に優れた帯状部材を用いることが好ましい。
図22(f)に示す覆い部材460は、覆い板461をなくし、帯状部材451からなる出口部45だけで構成されている。帯状部材451は、両端が下流端開口4042oを画定する縁4042eに固定されている。図22(f)に示す覆い部材460では、帯状部材451によって、下流端開口4042oの面積を狭めている。また、帯状部材451は両端が固定されたものであるため、一方側の端部が外側にめくれることはない。ただし、回転するスクリュー羽根ESC2によって搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの押出力によって、帯状部材451の間隔W2は拡がる。図22(f)に示す帯状部材451は、同図(a)に示す帯状部材451よりも細い。また、図22(f)に示す帯状部材451の間隔W2は、一般的な焙煎コーヒー豆Bの大きさよりは狭いものの、同図(a)に示す帯状部材451の間隔W1よりは広い。このため、図22(f)に示す帯状部材451は、同図(a)に示す帯状部材451に比べて、搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの押出力によって間隔W2が拡がりやすく、また、拡がった後の間隔も大きい。よって、図22(f)に示す出口部45からも、焙煎コーヒー豆Bが押出力によって送出される。
図23は、覆い部材460のさらに別の態様を示す概要図である。
図23(a)に示す覆い部材460は、図22(a)に示す覆い部材460に比べて、出口部45の構成が異なる以外は、同じである。すなわち、下流端開口4042oの上半分を覆い板461によって覆っており、下半分に出口部45が設けられている。図23(a)に示す出口部45は、水平方向に延びた回動軸452と、その回動軸452を回動中心にして上下方向に回動する蓋部材453で構成されている。蓋部材453は、下流端開口4042oの下半分全部を覆うもので、外形は矩形である。図23(a)に示す蓋部材453は、下流端開口4042oの下半分全部を覆った状態であり、スクリュー羽根ESC2の回転が止まった時点から焙煎コーヒー豆Bは出口部45から落下しにくくなっている。しかも、図23に示す各出口部45も斜め上方を向いている。このため、蓋部材453も斜め上方を向いており、上方向に回動しにくくなっている。しかしながら、回転するスクリュー羽根ESC2によって搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの押出力によって、蓋部材453は図中の矢印が示すように上方に回動し、図23(a)に示す出口部45からも、焙煎コーヒー豆Bが送出される。
図23(b)に示す覆い部材460は、同図(a)に示す覆い部材460に比べて、蓋部材453の大きさと形状が異なる以外は、同じである。図23(b)に示す蓋部材453は、下流端開口4042oの下半分のうちの一部を覆うものであって、外形は半円である。したがって、下流端開口4042oを画定する縁4042eと蓋部材453の間には隙間W3が生じているが、その隙間W3は、一般的な焙煎コーヒー豆Bの大きさよりも狭い。図23(b)に示す覆い部材460でも、スクリュー羽根ESC2の回転が止まった時点から焙煎コーヒー豆Bが落下しにくくなっている。一方、搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの押出力によって、蓋部材453は図中の矢印が示すように上方に回動し、図23(b)に示す出口部45からも、焙煎コーヒー豆Bが送出される。特に、図23(b)に示す出口部45では、隙間W3があるため、焙煎コーヒー豆Bの通過の許容性は、同図(a)に示す出口部45よりも高い。
図23(c)に示す覆い部材460は、覆い板461をなくし、2本の回動軸452L,452Rと、左右一対の蓋部材453L,453Rを有する出口部45だけで構成されている。2本の回動軸452L,452Rは、下流端開口4042oが斜め上方を向いている関係で垂直方向から傾斜したものになっている。左側の蓋部材453Lは、下流端開口4042oの左半分全部を覆うもので、外形は半円である。右側の蓋部材453Lは、下流端開口4042oの左半分全部を覆うもので、外形は半円である。図23(c)に示す出口部45でも、スクリュー羽根ESC2の回転が止まった時点から焙煎コーヒー豆Bが落下しにくくなっている。一方、搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの押出力によって、図中の矢印が示すように、左側の蓋部材453Lは左側に回動し、右側の蓋部材453Rは右側に回動し、図23(c)に示す出口部45からも、焙煎コーヒー豆Bが送出される。
なお、図23に示す各出口部45も斜め上方を向いていたが、真横を向いたものであってもよい。
以上の記載では、
『 コーヒー豆を用いた調製を行うコーヒーマシンであって、
コーヒー豆を開口[例えば、下流端開口4042o]に向けて搬送する搬送機構[例えば、電動スクリューコンベアESC]と、
前記開口の面積を狭めつつ前記搬送機構によって搬送されてきた前記コーヒー豆の通過を許容する出口部[例えば、出口部45]と、
を有することを特徴とするコーヒーマシン[例えば、飲料製造装置1、コーヒー豆挽き機GM]。』
について説明した。
なお、前記搬送機構は筒体の中に配置されたものであり、前記筒体は、上流側が前記コーヒー豆を貯留した貯留側になり、下流側に前記開口を有するものであってもよい。
ここで、コーヒー豆を貯留した貯留部と、前記貯留部からの前記コーヒー豆を開口に向けて搬送する搬送機構と、前記開口の面積を狭めつつ前記搬送機構によって搬送されてきた前記コーヒー豆の通過を許容する出口部と、を有することを特徴とするコーヒーマシン。であってもよい。
また、
『 前記出口部は、可撓性を有する帯状部材[例えば、帯状部材451]が間隔[例えば
、間隔W1,W2]をあけて一方向[例えば、横方向]に並べられたものである、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
なお、前記一方向は、横方向であってもよいし、縦方向であってもよいし、斜め方向で
あってもよい。
また、前記出口部は、櫛歯状のものであってもよい。
また、前記帯状部材は、両端が固定されているものであってもよい[例えば、図22(f)に示す帯状部材451]。
また、
『 前記帯状部材は、一端が固定端であり、他端が自由端である[例えば、図22(a)~同図(e)に示す帯状部材451]、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
また、
『 前記他端は、前記開口を画定する縁よりも内側に位置するものである[例えば、図22(a)、同図(d)、および同図(e)に示す帯状部材451]、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
なお、前記他端は、前記開口を画定する縁[例えば、縁4042e]から内側に第一の長さだけ離れたものであり、前記第一の長さは、コーヒー豆の大きさよりも短い長さであってもよい。
また、
『 前記帯状部材は、前記他端になる側[例えば、自由端側]の一部が、前記開口を画定する縁[例えば、縁4042e]に重なったものである[例えば、図22(b)および同図(c)に示す帯状部材451]、
ことを特徴とする飲料製造装置。』
についても説明した。
すなわち、前記他端は、前記縁よりも外側に位置するもの[例えば、図22(b)に示す帯状部材451における先端]であってもよいし、前記縁に位置するもの[例えば、図22(c)に示す帯状部材451における先端]であってもよい。
また、
『 前記間隔[例えば、間隔W1,W2]は、前記コーヒー豆の大きさよりも狭い、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
また、
『 前記出口部とは別に、前記開口の一部を覆った覆い部[例えば、覆い板461]を備えたことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
なお、前記覆い部は、前記開口の外周に沿って固定配置されたものであってもよい。また、前記覆い部は、板状のものであってもよい。
また、
『 前記出口部は、前記搬送機構によるコーヒー豆の搬送力[例えば、回転するスクリュー羽根ESC2によって搬送されてくる焙煎コーヒー豆Bの押出力]によって開く蓋部材[例えば、図23に示す蓋部材453、左側の蓋部材453Lと右側の蓋部材453R]である、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
また、
『 前記出口部は、斜め上方を向いたものである[例えば、図21(a)に示す下流端開口4042o参照]、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
続いて、豆取出口について説明する。
図24(a)は、コーヒー豆挽き機GMのセンターケーシングGM10に設けられた豆取出口GM20を開閉する蓋ユニットGM21が閉じた状態を示す図であり、同図(b)はその蓋ユニットGM21が開いた状態を示す図である。
上述のごとく、コーヒー豆挽き機GMのセンターケーシングGM10の上部は、オプション取付部GM11が設けられている。また、このセンターケーシングGM10の高さ方向中間部分には、押下することでグラインド処理の開始を指示するスタートボタンGM15が設けられている。さらに、センターケーシングGM10の下部は、第1グラインダ5Aを覆っている。図24(b)に示す豆取出口GM20は、オプション取付部GM11よりも下流であって、第1グラインダ5Aよりは上流に設けられている。すなわち、豆取出口GM20の位置は、オプション取付部GM11に計量ユニット404が取り付けられている場合には、計量ユニット404の送出口4043(図21(a)参照)よりも下流側の位置であり、オプション取付部GM11に貯留ユニット(401~403)が取り付けられている場合には、貯留ユニットの供給口USP(図21(a)参照)よりも下流側の位置である。豆取出口GM20からは、貯留ユニット(401~403)に貯留されていた焙煎コーヒー豆が排出される。また、オプション取付部GM11に計量ユニット404が取り付けられている場合には、豆取出口GM20からは、計量の結果、余った豆が排出される場合もある。豆取出口GM20から排出された焙煎コーヒー豆が飛び散らかることがないように、センターケーシングGM10には案内路形成部材GM22が取り付けられている。図24(b)に示すように、豆取出口GM20から排出された焙煎コーヒー豆Bは、この案内路形成部材GM22に案内されて斜め下方へ滑り落ちる。案内路形成部材GM22の先端付近に回収容器を宛がっておけば、排出された焙煎コーヒー豆を回収容器に容易に回収することができる。
図24(b)に示すように、蓋ユニットGM21は、内蓋GM211と外蓋212を有する。内蓋GM211は、図24(a)に示す閉じた状態では、センターケーシングGM10の内側に設けられた不図示の豆搬送路の周壁を構成する一部である。一方、外蓋GM212は、図24(a)に示す閉じた状態では、センターケーシングGM10の一部を構成する部材である。センターケーシングGM10に設けられた豆取出口GM20は、この外蓋GM212によって塞がれている。
蓋ユニットGM21は、例えば、計量ユニット404による計量が終了し、計量した焙煎コーヒー豆を第1グラインダ5Aへ送り込んだ後、制御装置11の制御によって閉状態から自動で開状態になる。蓋ユニットGM21が開状態になると、スクリュー羽根ESC2が回転を再開し、余った焙煎コーヒー豆が搬送され、第1グラインダ5Aへ到達する前に、豆取出口GM20から排出される。電動スクリューコンベアESC内に焙煎コーヒー豆が残っていると、次に種類の異なる焙煎コーヒー豆をグラインド処理する際に、種類が異なる焙煎コーヒー豆が混ざってしまう。このため、余った焙煎コーヒー豆を電動スクリューコンベアESC内から外部に取り出す必要がある。また、計量ユニット404が装着されておらず、同じ種類の焙煎コーヒー豆を挽く場合であっても、豆取出口GM20は有効に機能する。通常、第1グラインダ5Aの第1モータの回転速度が定速に達するまでは、焙煎コーヒー豆は第1グラインダ5Aに供給しないが、第1グラインダ5Aの手前にある残った豆は、第1グラインダ5Aに挽かれてしまい捨てるしかない。しかしながら、豆取出口GM20があると、豆取出口GM20から第1グラインダ5Aの手前にある残った豆を回収することができ、豆の無駄が生じない。蓋ユニットGM21は、第1グラインダ5Aの駆動が停止すると、制御装置11の制御によって閉状態から自動で開状態になる。なお、自動で開状態になる場合は、予め開状態になることが報知される。また、余った焙煎コーヒー豆に限らず、グラインド処理を途中で中止する場合にも、蓋ユニットGM21が開き、コーヒー豆挽き機GM内部から焙煎コーヒー豆を外部に取り出すことができる。さらに、蓋ユニットGM21は、手動で開状態にすることができるようにしてもよい。例えば、第1グラインダ5Aが駆動中の場合は蓋ユニットGM21にオートロックがかかり開くことができないが、第1グラインダ5Aが停止中の場合は、そのオートロックが解除され、いつでも手動で開くことができる態様であってもよい。あるいは、携帯端末17等の外部端末からの指示によっても蓋ユニットGM21を開くことができるようにしてもよい。
以上説明したコーヒー豆挽き機GMにおけるグラインド方法では、まず、第1グラインダ5Aの上流に設けられたオプション取付部GM11に、コーヒー豆を貯留可能な貯留ユニット(401~403)を取付ける(取付ステップ)。次いで、オプション取付部GM11に取付けられた貯留ユニットに貯留されているコーヒー豆を第1グラインダ5Aに供給する(供給ステップ)。そして、供給されたコーヒー豆を第1グラインダ5Aで挽く(グラインドステップ)。最後に、貯留ユニット(401~403)と、第1グラインダ5Aとの間に残っているコーヒー豆を豆取出口GM20から外部に取出す(取出ステップ)。
なお、豆取出口GM20およびその豆取出口GM20を開閉する外蓋212は、図1に示す飲料製造装置1にも適用可能である。豆取出口GM20は、情報表示装置12の取り付け位置を変更し、粉砕装置5よりも上流になる、豆投入口103の下方の位置に設けてもよい。
以上の記載によれば、
『 コーヒー豆を挽くグラインダ[例えば、粉砕装置5]を備えたコーヒー豆挽き機であって、
前記グラインダの上流に、オプション取付部[例えば、オプション取付部GM11]を備え、
前記オプション取付部に、コーヒー豆を貯留可能な貯留ユニット[例えば、図18に示すキャニスタ収納ユニット401、図20(a)に示すホッパユニット402]を取り付け可能である、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機[例えば、図18に示すコーヒー豆挽き機GM]。』
について説明した。
このコーヒー豆挽き機によれば、前記オプション取付部に様々なオプションユニットを取り付け可能であり、発展性に優れている。オプションユニットの一例としては、前記グラインダに供給する焙煎コーヒー豆を貯留可能な貯留ユニットがあげられる。
また、
『前記オプション取付部に、コーヒー豆を導入する漏斗ユニット[例えば、図20(b)に示すファンネルユニット403]を取り付け可能である、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
また、
『 前記オプション取付部に、コーヒー豆を計量して下流側へ向けて搬送する計量ユニット[例えば、図21に示す計量ユニット404]を取り付け可能である、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
また、
『 前記グラインダの上流であり前記オプション取付部の下流に、コーヒー豆を外部に取出可能な取出口[例えば、豆取出口GM20]を設けた、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
また、
『 前記取出口を開閉する蓋[例えば、外蓋212]を設けた、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
さらに、
「 前記コーヒー豆挽き機と通信可能な外部装置(例えば、サーバ16、携帯端末17)を備えたことを特徴とするコーヒー豆挽きシステム(例えば、図10や図19)。」
についても説明した。
また、
「 コーヒー豆を挽くグラインダにおけるコーヒー豆のグラインド方法であって、
前記グラインダの上流に設けられたオプション取付部[例えば、オプション取付部GM11]にコーヒー豆を貯留可能な貯留ユニット[例えば、図18に示すキャニスタ収納ユニット401、図20(a)に示すホッパユニット402、図20(b)に示すファンネルユニット403]を取付ける取付ステップと、
前記オプション取付部に取付けられた貯留ユニットに貯留されているコーヒー豆を前記グラインダで挽くグラインドステップと、
を有することを特徴とするコーヒー豆のグラインド方法。」
についても説明した。
以上の記載によれば、
『 コーヒー豆を挽くグラインダ[例えば、粉砕装置5]を備えたコーヒー豆挽き機であって、
前記グラインダの上流に、コーヒー豆を外部に取出可能な取出口[例えば、豆取出口GM20]を備えた、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機[例えば、図1に示す飲料製造装置1や図18に示すコーヒー豆挽き機GM]。』
について説明した。
このコーヒー豆挽き機によれば、前記グラインダに供給する必要のないコーヒー豆を前記取出口から外部に取出すことができるようになる。この結果、グラインド処理する必要のないコーヒー豆を回収することができる。
また、
『 前記取出口を開閉する蓋[例えば、外蓋212]を備えた、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
また、
『 前記グラインダの上流に、コーヒー豆を貯留可能な貯留部[例えば、貯留装置4]を備え、
前記取出口から前記貯留部に貯留されていたコーヒー豆を取出可能である、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
また、
『 前記グラインダの少なくとも一部を覆うカバー体[例えば、センターケーシングGM10]を備え、
前記蓋が開状態である場合に、前記カバー体の一部も開状態となり、コーヒー豆が取出可能となる、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
また、
『 前記貯留部の少なくとも一部を覆うカバー体[例えば、センターケーシングGM10]を備え、
前記蓋が開状態である場合に、前記カバー体の一部も開状態となり、コーヒー豆が取出可能となる、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
また、
『 前記取出口から取出されたコーヒー豆を案内する案内路[例えば、案内路形成部材GM22によって形成された案内路]を備えた、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
さらに、
「 前記コーヒー豆挽き機と通信可能な外部装置(例えば、サーバ16、携帯端末17)を備えたことを特徴とするコーヒー豆挽きシステム(例えば、図10や図19)。」
についても説明した。
また、
「 コーヒー豆を挽くグラインダにおけるコーヒー豆のグラインド方法であって、
前記グラインダにコーヒー豆を供給する供給ステップと、
前記供給ステップで供給されたコーヒー豆を前記グラインダで挽くグラインドステップと、
前記グラインダの上流に設けられた取出口からコーヒー豆を外部に取出す取出ステップと、
を有することを特徴とするコーヒー豆のグラインド方法。」
についても説明した。
次に、コーヒー豆挽き機GMの粉砕装置5について説明する。この粉砕装置5の基本構成は、図12~図17を用いて説明した粉砕装置5の基本構成と同じであり、第1グラインダ5A、第2グラインダ5B及び分離装置6を有する。以下、図12~図17を用いて説明した粉砕装置5との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する場合がある。
図25は、図24に示す案内路形成部材GM22が正面を向いた姿勢のコーヒー豆挽き機GMに内蔵された粉砕装置5の主要構成を示す図である。
この図25には、上流側から、第1グラインダ5A、形成ユニット6Bおよび第2グラインダ5Bが配置されている。すなわち、形成ユニット6Bは、第1グラインダ5Aの下流であり第2グラインダ5Bの上流に設けられている。第1グラインダ5A及び第2グラインダ5Bは、キャニスタ収納ユニット401、ホッパユニット402、あるいはファンネルユニット403といった貯留ユニットから供給される焙煎コーヒー豆を挽く機構である。また、図21(a)に示す計量ユニット404が取り付けられている場合には、第1グラインダ5A及び第2グラインダ5Bは、電動スクリューコンベアESCによって搬送されてくる焙煎コーヒー豆を挽く機構になる。第1グラインダ5Aと形成ユニット6Bの接続構造は、図13を用いて説明した接続構造と同じである、すなわち、形成ユニット6Bには、ここでは不図示の筒状部65(図13参照)が設けられ、その筒状部65の上端の開口部65a(図13参照)に第1グラインダ5Aの排出口51a(図13又は図26参照)が接続している。
形成ユニット6Bの排出口66には、連結ダクト661の上端が接続している。図25では、この連結ダクト661の下側部分が、手動設定用円盤ダイアル695によって見えなくなっている。連結ダクト68および手動設定用円盤ダイアル695は、コーヒー豆挽き機GMにのみ設けられたものであり、詳細については後述する。
また、図25には、第2グラインダ5Bを構成する、上側に配置された固定刃57bと下側に配置された回転刃58bが示されている。
また、固定刃57bは回転刃58bに対して昇降可能なものであり、回転刃58bと固定刃57bとの間隔を調整することによって、挽き豆の粒度を調整可能である。図25には、固定刃57bの昇降機構の一部として、ウォームホイール691と、ウォームホイール691に噛合したウォームギヤ692も示されている。固定刃57bの昇降機構につても詳細は後述する。
まず、第1グラインダ5Aについて説明する。
図26は、第1グラインダ5Aを示す斜視図である。
図26に示す第1グラインダ5Aは、コーヒー豆に付着している不要物を分離しやすくするために、ある程度(例えば1/4程度)の大きさに砕くためのグラインダである。図26では図示省略した回転軸が上方から延在しており、その回転軸にカッターである回転刃58aが設けられている。また、回転刃58aの周囲には、カッターである固定刃57aが設けられている。図26に示す固定刃57aは、本体部53aの内周面に設けられたものである。回転軸は、不図示の第1モータ(図12に示すモータ52a参照)によって回転し、回転刃58aが回転する。
センターケーシングGM10の内側に設けられた豆搬送路に導入された焙煎コーヒー豆は、図24(b)に示す内蓋GM211によって塞がれた部分を通過し、第1グラインダ5Aに到達する。
図27は、図19に示す処理部11aによって実行される、第1グラインダ5Aのグラインド処理を示すフローチャートである。
図27に示す第1グラインダ5Aのグラインド処理は、図24に示すスタートボタンGM15の押下に応じて開始される。また、図21に示す計量ユニット404がオプション取付部GM11に取り付けられている場合は、スクリュー羽根ESC2の回転開始に応じて開始されてもよい。一方、設定量の焙煎コーヒー豆を電動スクリューコンベアESCが搬送し終えてから所定時間が経過すると、終了条件が満足され、第1グラインダ5Aのグラインド処理は終了する。なお、第1グラインダ5Aの投入口を通過する焙煎コーヒー豆を検知するセンサを設けておき、このセンサの検知結果に応じて、第1グラインダ5Aのグラインド処理を開始したり終了するようにしてもよい。
まず、処理部11aは第1モータの正回転を開始させ(ステップS11)、回転刃58aが正回転を開始する。次いで、上記終了条件が満足しているか否かにより第1モータの正回転を継続させるか否かを判定し(ステップS12)、終了条件が満足していれば、Noの判定結果になり、第1モータの正回転を停止させ(ステップS17)、第1グラインダ5Aのグラインド処理は終了する。一方、終了条件を満足していなければ、Yesの判定結果になり、ステップS13に進み、第1モータの正回転は継続される。
回転刃58aの上面58a1は、正回転方向下流側へ向けて下方へ傾斜している。少なくとも、回転刃58aの上面58a1の最も高い位置は、固定刃57aよりも上の位置になる。第1グラインダ5Aに到達した焙煎コーヒー豆は、回転する回転刃58aの上面58a1に案内されるとともに遠心力によって固定刃57aへ向かい、あるいは回転刃58aの上面58a1に案内されずとも固定刃57aへ向かい、固定刃57aと回転する回転刃58aとの間に挟まれるようにして粉砕される。粉砕された挽き豆は排出口51a(図26(a)参照)から形成ユニット6Bへ排出される。
稀ではあるが、第1グラインダ5Aに到達した焙煎コーヒー豆Bの中に、石や釘といった、焙煎コーヒー豆Bよりも硬い異物が混ざり込んでいることがある。このような異物は、固定刃57aと回転刃58aの間で挽くことができず、その間に挟まれたままになって回転刃58aが正常に回転できなくなってしまう。
図26(a)では、固定刃57aと回転刃58aの間に石Stが挟まっており、回転刃58aが正常に正回転できなくなっている。すなわち、回転が停止したり、回転速度が大幅に遅くなっている。図19に示す処理部11aは、第1モータに流れる電流値を監視している。回転刃58aが正常に正回転できなくなると電流値が異常値(基準値を超えた値)になる。図27に示すステップS13では、処理部11aは、その電流値が異常値であるか否かの判定を行い、電流値が正常値であればステップS12に戻る。一方、電流値が異常値であると判定した場合には、第1モータを逆回転させ(ステップS14)、回転刃58aが逆回転を開始する。
図26(b)は、第1モータが逆回転を開始し、固定刃57aと回転刃58aの間に挟まっていた石Stが落下している。なお、処理部11aは、電流値の他に、回転トルクを監視し、回転トルクの値が異常値であるか否かの判定を行ってもよい。あるいは、処理部11aは、第1モータを監視するのではなく、回転刃58aの回転数や回転速度を監視し、それらの値が異常値であるか否かの判定を行ってもよい。
図27に示すステップS14に続くステップS15では、異常値が検出されたことに関する報知の出力を指示する。ここでの報知は、情報表示装置12の表示画面に表示されるエラー表示(例えば、「第1グラインダ5Aで豆詰まりエラーが発生しました」という文字表示)であるが、情報表示装置12に設けられたスピーカから、エラー報知音を出力してもよい。また、処理部11aは、記憶部11bに異常値が検出されたことを表すログを記録する(ステップS16)。なお、異常報知と異常ログ記録はどちらか先に実行されてもよいし、同時に実行されてもよい。あるいは、いずれか一方のみしか実行されなくてもよいし、両方とも実行されなくてもよい。
ステップS16の実行が完了すると、ステップS11に戻り、処理部11aは第1モータの正回転開始の指示を出力する。
図26(c)では、第1モータの回転が正回転に復帰し、焙煎コーヒー豆Bが正常に粉砕された様子が示されている。図26(b)に示す第1モータの逆回転は一瞬であり、正回転への復帰は即座に行われる。なお、第1モータの逆回転をある程度の時間継続するようにしてもよい。例えば、異常報知が行われている間は第1モータの逆回転を続け、正回転に復帰すると、「豆詰まりエラーが解消されました」というエラー解消報知を出力するようにしてもよい。
なお、図26(b)で落下していった石Stは第2グラインダ5Bに到達する。第2グラインダ5Bは細挽き用のグラインダであるため固定刃57bと回転刃58bの隙間は狭く、この隙間に入り込む可能性は低く、固定刃57bの上に載ったままになる。ステップS15におけるエラー報知やステップS16の異常ログの記憶により、この後、粉砕装置5のメンテンナンスが行われ、その際に石Stは除去される。
以上説明したように、処理部11aが実行する第1グラインダ5Aのグラインド処理の中で、第1モータの逆回転は行われるが、図19に示す携帯端末17等の外部端末から第1モータの逆回転開始の指示が出力可能であってもよい。あるいは、外部端末から第1モータの回転停止の指示が出力可能であってもよい。さらには、外部端末からコーヒー豆挽き機GM全体の動作停止の指示が出力可能であってもよい。処理部11aは、このような外部端末からの指示に応じてアクチュエータ群14の制御を行う。
また、図26を用いた説明では、固定刃57aと回転刃58aの間に石が挟まれてしまった場合の例であったが、場合によっては、非常に硬い変質した焙煎コーヒー豆が挟まれてしまう場合もあり、このような場合であってもステップS14の逆回転制御が行われることで第1グラインダ5Aのグラインド処理を継続することができる。また、第1モータや固定刃57aや回転刃58aを痛めずにすむ。
なお、第1モータを逆回転させる逆回転スイッチを設けておき、異常値が検出されたら、ステップS14の逆回転制御は行わずに、ステップS15の異常報知の指示を行い、第1モータの逆回転は、このコーヒー豆挽き機GMの使用者が、逆回転スイッチを操作することで行われるようにしてもよい。
また、図21に示す計量ユニット404を用いれば、焙煎コーヒー豆の計量はより正確に行うことができるが、この計量ユニット404を用いなくても、第1グラインタ5Aに単位時間当たり所定量の焙煎コーヒー豆が供給され続けることを前提にすれば、第1グラインタ5Aで計量することができる。すなわち、第1グラインタ5Aの第1モータの電流値が、豆を挽き始めて高くなってからの時間を計測することで、第1グラインタ5Aが豆を挽いた量を算出することができる。
以上、図26及び図27を用いて説明した第1グラインダ5Aのグラインド処理は、図1に示す飲料製造装置1における第1グラインダ5Aのグラインド処理としても適用可能である。さらに、図26及び図27を用いて説明した第1グラインダ5Aのグラインド処理は、第2グラインダ5Bのグラインド処理にも適用可能である。
以上の記載によれば、
『 コーヒー豆を挽くグラインダ[例えば、第1グラインダ5A]を備えたコーヒーマシンであって、
前記グラインダは、所定の回転動作が可能な挽き部[例えば、回転刃58a]を含むものであり、
前記挽き部が正常な回転動作を行える正常状態かどうかを判定する判定装置[例えば、図27に示すステップS13を実行する処理部11a]を備えた、
ことを特徴とするコーヒーマシン[例えば、図1に示す飲料製造装置1や図18に示すコーヒー豆挽き機GM]。』
について説明した。
このコーヒーマシンによれば、前記判定装置の判定結果によって、前記挽き部が正常な回転動作を行えていないといった異常状態を検知することができる。
また、
『 前記グラインダを制御する制御装置[例えば、図10や図19に示す処理部11a]を備え、
前記制御装置は、前記判定装置が前記挽き部が前記正常状態ではないと判定した場合に、所定の回転動作とは逆向きの回転動作を前記挽き部に行わせることが可能なものである[例えば、図27に示すステップS14]、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
また、
『 前記挽き部を駆動する駆動部[例えば、図12に示すモータ52aや第1モータ]を備え、
前記判定装置は、前記駆動部に流れる電流が所定値を超えるかどうかによって、前記挽き部が前記正常状態かどうかを判定するものである[例えば、図27に示すステップS13]、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
また、
『 前記判定装置が前記挽き部が前記正常状態ではないと判定した場合に、異常状態である旨を報知[例えば、エラー表示やエラー報知音の出力]する報知装置[例えば、情報表示装置12]を備えた、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
また、
『 前記判定装置が前記挽き部が前記正常状態ではないと判定した場合に、異常状態である旨[例えば、異常ログ]を記憶可能な記憶装置[例えば、図10や図19に示す記憶部11b]を備えた、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
さらに、
「 前記コーヒーマシンと通信可能な外部装置(例えば、サーバ16、携帯端末17)を備えたことを特徴とするコーヒーマシンシステム(例えば、図10や図19)。」
についても説明した。
また、
「 コーヒー豆を挽く挽き部の回転動作を開始する開始ステップ[例えば、図27に示すステップS11]と、
前記挽き部が正常な回転動作を行える正常状態かどうかを判定する判定ステップ[例えば、図27に示すステップS13]と
を有することを特徴とするコーヒー豆のグラインド方法。」
についても説明した。
続いて、図25では不図示であった吸引ユニット6Aについて説明する。
図28(a)は、分離装置6を示す図である。この図28(a)には、分離装置6を構成する、吸引ユニット6Aと形成ユニット6Bが示されている。
図28(a)に示す形成ユニット6Bの構成は、図13~図17を用いて説明した形成ユニット6Bの構成と同じであり、ここでは詳しい説明は省略する。
図28(a)に示す吸引ユニット6Aは、挽き豆の通過方向BP(この例では上下方向)と交差する方向(この例では左右方向)で分離室SC(図13及び図15も参照)と連通し、分離室SC内の空気を吸引するユニットである。分離室SC内の空気を吸引することで、チャフや微粉といった軽量な物体が吸引される。これにより、挽き豆から不要物を分離することができる。
吸引ユニット6Aは遠心分離方式の機構である。吸引ユニット6Aは、送風ユニット60A及び回収容器60Bを有する。送風ユニット60Aは、ファンモータであり、このファンモータが駆動することで、分離室SC内の空気が吸引され、チャフや微粉といった軽量な物体が、回収容器60B内に集められる。この送風ユニット60Aは、図18に示すケーシング60Cで覆われており、図18に示すコーヒー豆挽き機GMの外観斜視図では送風ユニット60Aは見えていない。ケーシング60Cの裏面側には、不図示の排気スリットが設けられており、送風ユニット60Aで吸引された空気はその排気スリットからコーヒー豆挽き機GMの外へ排気される。送風ユニット60Aの上方には、風量ダイヤル60D(図18参照)が設けられている。この風量ダイヤル60Dを操作することで、送風ユニット60Aのファンモータの吸込量を変えることができる。
図28(a)に示す回収容器60Bは、図13及び図14を用いて説明した回収容器60Bと同じく、上部61と下部62によって構成されている。
図28(b)は、回収容器60Bの上部61の外周壁61a(同図(a)参照)を取り除いた様子を示す図である。
図28(b)には、取り除いた外周壁61aに取り付けられていた送風ユニット60Aが示されている。また、上部61の排気筒61bも示されている。図28(b)に示す排気筒61bも、図14に示す排気筒61bと同じく、周面に複数のフィン61dが形成されている。複数のフィン61dは排気筒61bの周方向に配列されている。個々のフィン61dは、排気筒61bの軸方向に対して斜めに傾斜している。このようなフィン61dを設けたことで、不要物を含んだ空気の排気筒61bの周囲の旋回を促進する。
また、図28(b)には、回収容器60Bの下部62の内部構造が見えている。図28(b)に示す下部62は、図14に示す下部62とは異なり、外側ケース60Boと内側ケース60Biによる二重構造である。図28(b)では、外側ケース60Boの内側に配置された内側ケース60Biの一部が見えている。内側ケース60Biは上方向けて開口した上端開口6uoを有しており、その上端開口6uoの内側上方に排気筒61bが位置している。
図29(a)は、外側ケース60Boを取り外した分離装置6を斜め下方から見た斜視図である。
この図29(a)には、内側ケース60Biが示されている。内側ケース60Biの周壁6iwにおける下部分には、周方向に間隔をあけて複数(この例では4個)の開口6ioが設けられている。各開口6ioを画定する縁のうち下縁6ioeは、内側ケース60Biの底面6ibsの外周縁の一部になる。
図29(b)は、外側ケース60Boと内側ケース60Biの位置関係を外側ケース60Boを透視することで示した図である。
図29(b)に示すように外側ケース60Boの高さ方向中間位置付近に内側ケース60Biの底面6ibsは位置している。また、外側ケース60Boの内周面6oisと内側ケース60Biの外周面6iosとの間にはある程度の隙間が設けられている。
図30(a)は、図29に示す分離装置内における空気の流れ等の現象を模式的に示す図である。図30(a)及び後述する同図(b)では、チャフや微粉といった不要物を含んだ空気の流れを実線又は点線の矢印で示し、不要物の動きを1点鎖線の矢印で示し、不要物が分離された空気の流れを2点鎖線の矢印で示す。
送風ユニット60Aの駆動により、図29(a)に示す形成ユニット6B内の分離室SCから、チャフや微粉といった不要物を含んだ空気が、接続部61cを通って回収容器60Bの上部61の内部に到達する。接続部61cは、排気筒61bの側方に開口しており、不要物を含んだ空気は、図30(a)に実線及び点線の矢印で示すように排気筒61bの周囲を旋回し、やがて、内側ケース60Biの上端開口6uoから内側ケース60Bi内に入り込む。内側ケース60Bi内の上方部分では、チャフや微粉といった不要物がその重量によって落下し(1点鎖線の矢印参照)、内側ケース60Biの底面6ibs近傍に設けられた複数の開口6ioから、外側ケース60Bo内にさらに落下し(1点鎖線の矢印参照)、外側ケース60Boの底面6obsに堆積する。内側ケース60Bi内で不要物が落下し不要物が分離された空気は、2点鎖線の矢印で示すように内側ケース60Bi内から上昇気流になって排気筒61bの中心軸に沿って上昇し、図18に示すケーシング60Cの裏面側に設けられた不図示の排気スリットからコーヒー豆挽き機GMの外へ排気される。この結果、チャフや微粉といった不要物が堆積しているケース(外側ケース60Bo)と、上昇気流が生じるケース(内側ケース60Bi)とは異なるケースになり、不要物の舞い上がりが生じにくく、不要物が逆流することが低減される。
なお、外側ケース60Boも内側ケース60Biも全体が透明であり、内部の様子を外から確認することができる。したがって、チャフや微粉といった不要物の堆積状況や、気流の流れを外から確認することができる。なお、全体が透明でなくても一部が透明であってもよく、また、透明の代わりに半透明であってもよい。
図30(b)は、変形例の分離装置内における空気の流れ等の現象を模式的に示す図である。
この変形例では、内側ケース60Biの上端は開口しておらず、ドーナツ状の天板6ubで塞がれている。排気筒61bの周囲を旋回する、チャフや微粉といった不要物を含んだ空気は、続けて、内側ケース60Biの外周面6iosに沿って旋回を続け、内側ケース60Biの底面6ibsへ向かう(実線及び点線の矢印参照)。やがて、内側ケース60Biの底面6ibs近傍に設けられた複数の開口6ioから、内側ケース60Biに入り込む。この際、チャフや微粉といった不要物が、その重量によって落下し(1点鎖線の矢印参照)、外側ケース60Boの底面6obsに堆積する。不要物が落下し不要物が分離された空気は、2点鎖線の矢印で示すように、内側ケース60内で上昇気流になって、内側ケース60の中心軸に沿って上昇し、排気筒61bの内側を通って上方へと向かい、図18に示すケーシング60Cの裏面側に設けられた不図示の排気スリットからコーヒー豆挽き機GMの外へ排気される。この変形例でも、チャフや微粉といった不要物が堆積しているケース(外側ケース60Bo)と、上昇気流が生じるケース(内側ケース60Bi)とは異なるケースになり、不要物の舞い上がりが生じにくく、不要物が逆流することが低減される。
以上、図28~図30を用いて説明した分離装置6は、図1に示す飲料製造装置1の分離装置としても適用可能である。
以上の記載によれば、
『 コーヒー豆を挽くグラインダ[例えば、第1グラインダ5A]と、
コーヒー豆から不要物[例えば、チャフや微粉]を分離する分離部[例えば、分離室SC]と、
前記分離部においてコーヒー豆から分離された前記不要物を貯留する貯留部[例えば、回収容器60Bの下部62]と、
を備えたコーヒーマシンであって、
前記貯留部は、外側ケース体[例えば、図28や図29(b)に示す外側ケース60Bo]及び該外側ケース体の内部に内側ケース体[例えば、図29に示す内側ケース60Bi]を有するものであり、
前記内側ケース体は、周壁[例えば、図29(a)に示す周壁6iw]に前記外側ケース体の内部につながる開口[例えば、開口6io]が設けられたものである、
ことを特徴とするコーヒーマシン[例えば、図1に示す飲料製造装置1や図18に示すコーヒー豆挽き機GM]。』
について説明した。
前記開口は、前記不要物が通過する場合があってもよいし、気流が通過する場合があってもよい。
また、
『 前記貯留部よりも上方に吸引部[例えば、送風ユニット60A]を備え、
前記内側ケース体は、前記周壁よりも内側に前記不要物を含んだ気流が入り込み、該内側で、前記不要物が自重で落下する[例えば、図30(a)に示す1点鎖線]一方、前記吸引部によって吸引されて上昇する気流[例えば、図30(a)に示す2点鎖線]が生じるものであり、
前記外側ケース体は、前記開口を通過した前記不要物[例えば、図30(a)に示す1点鎖線]を貯留するものである、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
なお、前記内側ケース体は、前記周壁に沿って前記不要物を含んだ気流が旋回し、前記開口付近で、前記不要物が自重で落下する[例えば、図30(b)に示す1点鎖線の矢印]一方、前記吸引部によって吸引されて上昇する気流[例えば、図30(b)に示す2点鎖線の矢印]が生じるものであり、前記外側ケース体は、前記開口付近から落下してきた前記不要物[例えば、図30(b)に示す1点鎖線の矢印]を貯留するものであってもよい。
また、
『 前記外側ケース体は、透明部[例えば、全体が透明]が設けられている、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
また、
『 前記内側ケース体は、透明部[例えば、全体が透明]が設けられている、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
また、
『 前記貯留部よりも上方に、該貯留部の空気を外に排出する排出部[例えば、ケーシング60Cの裏面側に設けられた排気スリット]が設けられている、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』についても説明した。
また、
『 前記グラインダは、第一のグラインダ[例えば、第1グラインダ5A]及び第二のグラインダ[例えば、第2グラインダ5B]を有するものであり、
前記分離部は、前記第一のグラインダの下流であり前記第二のグラインダの上流に設けられたものである、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
さらに、
「 前記コーヒーマシンと通信可能な外部装置(例えば、サーバ16、携帯端末17)を備えたことを特徴とするコーヒーマシンシステム(例えば、図10や図19)。」
についても説明した。
また、
「 コーヒー豆をグラインド処理する際にそのコーヒー豆から生じる不要物の回収方法であって、
コーヒー豆から不要物を分離する分離ステップと、
外側ケース体の内部に配置され周壁に該外側ケース体の内部につながる開口が設けられた内側ケース体の該周壁よりも内側に前記不要物を含んだ気流を向かわせる第1ステップと、
前記周壁よりも内側を上方より吸引することで該内側において上昇気流を生じさせる第2ステップと、
を有することを特徴とする不要物の回収方法。」
についても説明した。
この不要物の回収方法によれば、前記第2ステップにおいて前記不要物は前記内側ケース体の底壁に自重で落下し、さらには、前記開口から前記外側ケース体の底壁にまで落下する場合がある。
次いで連結ダクト661について説明する。
図31は、図25に示す手動設定用円盤ダイアル695を取り外し、連結ダクト661の全体が見えるようにした図である。
図31には、第2グラインダ5Bを構成する回転刃58bと、その回転刃58bに対して昇降可能な固定刃57bと、固定刃57bの昇降機構の一部として、ウォームホイール691と、ウォームホイール691に噛合したウォームギヤ692が示されている。ウォームホイール691は、ギア部691gと、接続部691cと、連結口691j(図32参照)を有する。また、図31には、固定刃57bとウォームホイール691の間に設けられたホルダ部693が示されている。固定刃57bは、ホルダ部693を介して、ウォームホイール691の接続部691cにネジ止めされている。したがって、ウォームホイール691のギア部691gが回転するとホルダ部693とともに固定刃57bも回転する。ホルダ部693の外周面にはネジ溝693sが設けられている。
また、ウォームホイール691の連結口691jは、連結ダクト661の下端と接続している。これにより、形成ユニット6Bの排出口66→連結ダクト661→ウォームホイール691→ホルダ部693→固定刃57b→回転刃58bといった焙煎コーヒー豆の通過経路が形成される。なお、図31に示すように連結ダクト661の下部には、空気吸込口661aが設けられている。この空気吸込口661aは、図13に示す、排出口66と第2グラインダ5Bの投入口50bとの間の隙間と同じ機能を有し、空気吸込口661aから空気を吸引することで挽き豆と不要物との分離性能が向上する。
図32は、第2グラインダ5Bの構成を模式的に示した図である。
第2グラインダ5Bは、第2モータ52b、モータベース502、ベース部505a及び粒度調整機構503を有する。
第2モータ52bは第2グラインダ5Bの駆動源であり、モータベース502の上方に支持されている。また、モータベース502の上には、第2モータ52bの出力軸に固定されるピニオンギア52b’と、このピニオンギアと噛み合うギア502aが配置されている。
ベース部505aの上には、ギア502aと噛み合うギア55b’が配置されている。ギア55b’には回転軸54bが固定されており、回転軸54bはベース部505aに回転自在に支持されている。ギア502aを介してギア55b’に伝達される第2モータ52bの駆動力が回転軸54bを回転させる。回転軸54bの端部には回転刃58bが設けられており、回転刃58bの上側には固定刃57bが設けられている。すなわち、固定刃57bは回転刃58bに対向して配置されている。
粒度調整機構503は、その駆動源であるモータ503aと、モータ503aの駆動力により回転されるウォームギア692を有する。ウォームホイール691のギア部691gは、ウォームギア692と噛み合っている。
また、この図32には、フレーム部材694が示されている。フレーム部材694は、不図示のケーシングに固定配置されたものであって、内周面にはネジ溝が設けられている。ホルダ部693の外周面に設けられたネジ溝693sは、このフレーム部材694のネジ溝と噛合している。上述のごとく、固定刃57bは、ホルダ部693を介して、ウォームホイール691の接続部にネジ止めされている。このため、ウォームホイール691のギア部691gが回転すると固定刃57bがその軸方向に昇降する。なお、ウォームホイール691の連結口691jは、連結ダクト661の下端とラップするように接続されており、ウォームホイール691が下降しても連結ダクト661の下端との接続は維持される。図32に示す固定刃57bは初期位置に位置し、回転刃58bと最も離れた状態にある。
図19に示す処理部11aは、モータ503aの回転量を制御し、回転刃58bと固定刃57bとの隙間を調節する。この隙間を調節することで、第2グラインダ5Bにおける挽き豆の粒度を調節することができる。
昇降する固定刃57bは、回転刃58bから所定長(例えば、0.7mm)離れた位置が検出位置になる。検出位置は、固定刃57bの初期位置よりも回転刃58bに近い位置である。第2グラインダ5Bには、固定刃57bが検出位置にあることを検出するセンサ57cが設けられている。
以上説明した第2グラインダ5Bは、コーヒー豆挽き機GMに電源が投入されると、初期動作が行われる。第2グラインダ5Bにおける初期動作では、キャリブレーションが実行される。
図33は、初期動作で実行されるキャリブレーションの工程を表したフローチャートである。また、図34は、キャリブレーションの様子を段階的に示す図である。
第2グラインダ5Bでは、焙煎コーヒー豆の粉砕が終了すると、固定刃57bは初期位置に戻る。
初期動作が開始される時点で、固定刃57bは初期位置に位置しており、キャリブレーションの最初の工程として図33に示す接触工程(ステップS51)が実行される。接触工程では、図19に示す処理部11aが、図32に示すモータ503aを駆動させる。モータ503aの駆動によってウォームホイール691のギア部691gが回転し、初期位置にある固定刃57bは回転刃58bに接触するまで下降する。図34(a)は、1回目の接触工程が実行されている様子を示す図である。この図34(a)では、初期位置に位置する固定刃57bを二点鎖線で表している。第2グラインダ5Bの組み立てにおいて、固定刃57bと回転刃58bを設計通りに取り付けたつもりでも、僅かな取付誤差が生じ、固定刃57bと回転刃58bの取付姿勢に狂いが生じている場合がある。また、長期間の使用等によっても、固定刃57bと回転刃58bの取付姿勢に狂いが生じる場合がある。さらには、フレーム部材694や回転軸54bが斜めに取り付けられている場合もある。図34では、固定刃57bと回転刃58bの取付姿勢に狂いが生じていることを誇張して示している。設計通りであれば、固定刃57bも回転刃58bも常に水平姿勢を保っているが、図34(a)に示す回転刃58bは右上方に向けて傾いた姿勢であり、固定刃57bは右下方に向けて傾いた姿勢である。接触工程が実行されると、固定刃57bは図中の矢印が示すように下降し、図34(a)に実線で示すように、固定刃57bは、傾いていることによって最も下方に位置する部分が、回転刃58bのうち、傾いていることによって最も上方に位置する部分に接触する。固定刃57bのどこか一部が、回転刃58bのどこか一部にでも接触すると、モータ503aの回転トルクや電流値が上昇する。処理部11aは、回転トルクの上昇または電流値の上昇を検知すると、モータ503aを停止させ、接触工程が終了になる。
続いて、移動工程(ステップS52)が実行される。移動工程では、処理部11aが、モータ503aを接触工程とは逆方向に回転させ、固定刃57bを検出位置まで上昇させる。図34(b)は、1回目の移動工程が実行されている様子を示す図である。移動工程が実行されると、固定刃57bは、図中の矢印が示すように上昇し、図32に示すセンサ57cに固定刃57bが検出されるまで固定刃57は上昇を続ける。処理部11aは、センサ57cからの検出信号を取得すると、モータ503aの回転を停止させる。モータ503aはステッピングモータであり、処理部11aは、移動工程においてモータ503aが回転を開始してから停止するまでのステップ数をカウントし、図19に示す記憶部11bに記憶する。図34(b)の移動工程では20150ステップであった。
次いで、回転工程(ステップS53)が実行される。回転工程では、処理部11aが、図32に示す第2モータ52bを所定の回転角度だけ回転させる。ここにいう所定の回転角度は、360度以外の角度であればよく、ここではわかりやすいように90度にするが、実際には、例えば、35度前後の所定の角度である。この結果、図34(c)に示す回転刃58bは、紙面奥側に向かって上方へ傾いた姿勢に状態が変化している。なお、第2モータ52bを所定時間(例えば、0.1秒)だけ回転させるようにしてもよい。
次に、ステップS54が実行され、キャリブレーションを開始してから回転刃58bが一回転したかを判定する。この例では、ステップS53の回転工程における所定の回転角度が360度未満であるため、ステップS54では回転刃58bが一回転したかを判定するが、ステップS54は、ステップ数のカウント値を複数回取得できたかを判定するためのステップである。また、精度を上げるため、ステップS54は、ステップ数のカウント値を所定回取得できたかを判定するためのステップであってもよい。所定回の回数が多ければ多いほど、キャリブレーションの精度は向上するが、キャリブレーションを終えるまでに時間がかかるようになる。所定回の回数の一例としては10回程度があげられる。
ステップS54の判定で「NO」の場合には、接触工程(ステップS51)、移動工程(ステップS52)、および回転工程(ステップS53)の3つの工程からなるデータ取得処理を再度実行する。図34(d)では、2回目の接触工程が実行され、固定刃57bは図中の矢印が示すように下降する。回転工程が実行されたことにより、1回目の接触工程のときとは、回転刃58bにおける最も上方にある部分の周方向の位置が異なっている。このため、図34(d)に示す固定刃57bと回転刃58bでは、1回目の接触工程のときとは異なる部分どうしが接触している。図34(e)では、2回目の移動工程が実行されている。この2回目の移動工程では20170ステップであった。図34(f)では、2回目の回転工程が実行され、回転刃58bは90度回転している。この結果、図34(f)に示す回転刃58bは、左上方に向けて傾いた姿勢に状態が変化している。
図34(f)における回転工程を終えた時点で、回転刃58bは、キャリブレーションを開始してから180度回転した状態であり、3回目のデータ取得処理を実行する。図34(g)では、3回目の接触工程が実行され、固定刃57bは図中の矢印が示すように下降する。2回目の回転工程が実行されたことにより、図34(g)に示す固定刃57bと回転刃58bでは、これまでの接触工程のときとは異なる部分どうしが接触している。図34(h)では、3回目の移動工程が実行されている。この3回目の移動工程では20160ステップであった。図34(i)では、3回目の回転工程が実行され、回転刃58bは90度回転している。この結果、図34(i)に示す回転刃58bは、紙面手前側に向かって上方へ傾いた姿勢に状態が変化している。
図34(i)における回転工程を終えた時点で、回転刃58bは、キャリブレーションを開始してから270度回転した状態であり、4回目のデータ取得処理を実行する。図34では、4回目のデータ取得処理の様子は図示省略するが、図34(d)~同図(f)に似たような様子になる。4回目の移動工程では20168ステップであった。また、4回目の回転工程が実行されると、回転刃58bは、キャリブレーションを開始してから360度回転した状態になり、図33に示すステップS54の判定で「Yes」となって、ステップS55に進む。
ステップS55では、図19に示す処理部11aが、較正値の算出工程を実行する。記憶部11bには、4回のデータ取得処理においてそれぞれ取得した、モータ503aのステップ数のカウント値が記憶されている。処理部11aは、これら4回のカウント値から較正値を算出する。較正値は、4回のカウント値の平均値であってもよいし、4回のカウント値の中央値(最小値と最大値を加えた値の1/2の値)であってもよい。図34に示す例であれば、平均値は20162ステップであり、中央値は20160ステップである。算出した較正値は記憶部11bに記憶される。較正値は、コーヒー豆挽き機GMに電源が投入され、初期動作が行われる度に更新される。ステップS55の実行が完了すると、キャリブレーションは終了になる。
図35は、グラインド処理における第2グラインダ5Bを示す図である。
図35(a)は、設計通りに、固定刃57bも回転刃58bも常に水平姿勢を保っている理想的な状態における例を示す図である。
図35(a)の左側に示す図は、固定刃57bが初期位置に位置する状態を示す図である。図19に示す処理部11aは、記憶部11bに記憶されている、焙煎コーヒー豆を挽くための各種の製造条件(レシピ)にしたがって、第2グラインダ5Bにおける挽き豆の粒度を、図32に示す粒度調整機構503を用いて調節する。上記レシピには、理想的な状態における製造条件が規定されており、第2グラインダ5Bにおける挽き豆の粒度調整では、モータ503aを20160ステップ分回転させ、固定刃57bを初期位置から下降させる。図35(a)の右側に示す図は、焙煎コーヒー豆Bの粉砕を行っている様子を模式的に示す図である。この右側の図における固定刃57bは、初期位置から、モータ503aを20160ステップ分回転させて下降させた、レシピで規定したとおりの位置にある。
図35(b)は、図34に示す、固定刃57bと回転刃58bの取付姿勢に狂いが生じた状態における例を示す図である。
図35(b)の左側に示す図も、固定刃57bが初期位置に位置する状態を示す図である。図35(b)に示す固定刃57bは、右下方に向けて傾いた姿勢である。一方、図35(b)に示す回転刃58bは、右上方に向けて傾いた姿勢である。ここでも、図35(a)に示す例と同じレシピが用いられる。そのため、モータ503aを20160ステップ分回転させることになるはずであるが、図33に示すステップS55で求めた較正値を用いて、モータ503aの回転量を補正する。図35(a)に示す理想的な場合に、固定刃57bが回転刃58bに接触した状態から固定刃57bを検出位置まで上昇させるのに必要なモータ503aのステップ数は、図19に示す記憶部11bに基準値として予め記憶されている。モータ503aの回転量の補正では、図33に示すステップS55で求めた較正値と記憶部11bに予め記憶されている基準値との比率から、補正後の回転量を算出する。この例では、補正後の回転量は20140ステップあった。図35(b)の右側に示す図も、焙煎コーヒー豆Bの粉砕を行っている様子を模式的に示す図である。この右側の図における固定刃57bは、初期位置から、モータ503aを20140ステップ分回転させて下降させた、補正後の位置にある。ただし、図35(b)に示す固定刃57bと回転刃58bの平均間隔は、図35(a)に示す固定刃57bと回転刃58bの間隔とほぼ同じである。このため、図35(b)の右側に示す状態で焙煎コーヒー豆Bの粉砕を行っても、同図(a)の右側に示す状態で焙煎コーヒー豆Bの粉砕を行った場合と同じ粒度の挽き豆を得ることができる。
以上の説明では、固定刃57bを検出位置まで上昇させる際のモータ503aのステップ数を用いて較正値を求めているが、検出位置から固定刃57bを下降させ固定刃57bが回転刃58bに接触するまでのステップ数を用いて較正値を求めることもできる。
また、固定刃57bと回転刃58bのうち固定刃57bのみが昇降する構成であったが、回転刃58bも昇降する構成であってもよく、この場合には、両方の刃のステップ数を用いて較正値を求めればよい。さらに、刃の移動は昇降に限られず、例えば、左右方向に移動してもよい。また、固定刃57bと回転刃58bの位置は反対であってもよく、固定刃57bが下方に配置され、回転刃58bが上方に配置されていてもよい。
また、焙煎コーヒー豆Bを粉砕する際に、固定刃57bは回転しないが、固定刃57bが回転する場合であっても、図33に示すキャリブレーションの方法を適用することができる。また、図33に示すキャリブレーションの方法は第2グラインダ5Bについての方法であったが、図33に示すキャリブレーションの方法を第1グラインダ5Aについても同様に行うことができる。
また、図33に示すステップS55の較正値算出工程はキャリブレーションの段階では実行せず、複数回分のカウント値のみ記憶部11bに記憶させ、使用するレシピが決定した段階で、較正値を算出してもよいし、記憶させておいた複数回分のカウント値から直接、回転量を補正してもよい。なお、較正値の算出や、回転量の補正は、図19に示す処理部11aに代わって、情報表示装置12の制御部が行ってもよい。
以上の記載では、
『 第一の粉砕部[例えば、回転刃58b]と、
第二の粉砕部[例えば、固定刃57b]と、
前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の少なくともいずれか一方の粉砕部[例えば、回転刃58b]を回転させる回転機構[例えば、第2モータ52b、ピニオンギア52b’、ギア502a、ギア55b’、回転軸54b]と、
前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部のうち少なくとも該第二の粉砕部を移動[例えば、昇降]させ、該第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の間隔を調整する移動機構[例えば、粒度調整機構503]と、
前記第一の粉砕部から所定長[例えば、0.7mm]離れた位置[例えば、検出位置]にある前記第二の粉砕部を検出するセンサ[例えば、センサ57c]と、
前記移動機構を制御する制御部[例えば、図19に示す処理部11a]と、
を備え、
抽出対象[例えば、貯留装置4に貯留されていた焙煎コーヒー豆、あるいは第1グラインダ5Aで挽かれた焙煎コーヒー豆B(挽き豆)]を、前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の間で粉砕し、
前記第二の粉砕部が前記第一の粉砕部に接触した状態[例えば、図34(a)、同図(d)、同図(g)に示す状態]から前記センサが該第二の粉砕部を検出するまで該第二の粉砕部を移動させる動作[例えば、図34(b)、同図(e)、同図(h)に矢印で示す動作]を、前記回転機構による回転によって粉砕部の状態[例えば、回転刃58bの向き]を変えて複数回行い、
前記制御部は、複数回の前記動作における前記第二の粉砕部の移動量に関する値[例えば、モータ503aのステップ数のカウント値]に基づいて、前記移動機構を制御する[例えば、較正値を求め、その較正値を用いて補正した回転量だけモータ503aを回転させる]ものである、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置[例えば、第2グラインダ5B]。』
について説明した。
なお、前記回転機構は、前記第一の粉砕部を回転させるものであってもよいし、前記第二の粉砕部を回転させるものであってもよいし、前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の両方の刃を回転させるものであってもよい。
また、前記移動機構は、前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部のうち該第二の粉砕部のみを移動させるものであってもよいし、該第一の粉砕部も移動させるものであってもよい。
また、前記動作は、前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部のうち該第二の粉砕部のみを移動させる動作であってもよいし、該第一の粉砕部と該第二の粉砕部の両方の刃を移動させる動作であってもよい。
また、前記動作における粉砕部の状態変更は、前記第一の粉砕部の状態変更であってもよいし、前記第二の粉砕部の状態変更であってもよいし、該第一の粉砕部と該第二の粉砕部の両方の粉砕部の状態変更であってもよい。また、ここにいう状態変更とは、向き変更であってもよいし姿勢変更であってもよい。
また、
「 第一の粉砕部[例えば、回転刃58b]及び第二の粉砕部[例えば、固定刃57b]と、
前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の少なくともいずれか一方の粉砕部[例えば、回転刃58b]を回転させる回転機構[例えば、第2モータ52b、ピニオンギア52b’、ギア502a、ギア55b’、回転軸54b]と、
前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部のうち少なくとも該第二の粉砕部を移動[例えば、昇降]させ、該第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の間隔を調整する移動機構[例えば、粒度調整機構503]と、
前記第一の粉砕部から所定長[例えば、0.7mm]離れた位置[例えば、検出位置]にある前記第二の粉砕部を検出するセンサ[例えば、センサ57c]と、
前記移動機構を制御する制御部[例えば、図19に示す処理部11a]と、
を備え、
抽出対象を、前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の間で粉砕し、
前記第二の粉砕部が前記第一の粉砕部から所定長離れた状態[例えば、図34(b)、同図(e)、同図(h)に示す状態]から該第一の粉砕部に接触するまで該第二の粉砕部を移動させる動作[例えば、図34(a)、同図(d)、同図(g)に矢印で示す動作]を、前記回転機構による回転[例えば、図34(c)、同図(f)、同図(i)に矢印で示す回転]によって粉砕部の状態[例えば、回転刃58bの向き]を変えて複数回行い、
前記制御部は、複数回の前記動作における前記第二の粉砕部の移動量に関する値[例えば、モータ503aのステップ数のカウント値]に基づいて、前記移動機構を制御する[例えば、較正値を求め、その較正値を用いて補正した回転量だけモータ503aを回転させる]ものである、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置[例えば、第2グラインダ5B]。」
についても説明した。
また、第一の粉砕部と、前記第一の粉砕部に対向して取り付けられた第二の粉砕部と、前記第一の粉砕部を回転させる回転機構と、前記第二の粉砕部を前記一の刃に対して接離する方向に移動させる移動機構と、前記第一の粉砕部から所定長離れた位置にある前記第二の粉砕部を検出するセンサと、前記移動機構を制御する制御部と、を備え、抽出対象を、前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の間で粉砕し、前記第二の粉砕部が前記第一の粉砕部に接触した状態から前記センサが該第二の粉砕部を検出するまで該第二の粉砕部を移動させる動作を、前記回転機構による回転によって該第一の粉砕部の向きを変えて複数回行い、前記制御部は、複数回の前記動作における前記第二の粉砕部の移動量に関する値に基づいて、前記移動機構を制御するものである、ことを特徴とする抽出対象粉砕装置であってもよい。
また、
『 前記制御部は、複数回の前記動作における前記第二の粉砕部の移動量に関する値の平均値又は中央値[例えば、最小値と最大値を加えた値の1/2の値]に基づいて、前記移動機構を制御するものである、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置。』
についても説明した。
また、
『 前記動作は、電源投入時の初期動作において行われる、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置。』
についても説明した。
また、
『 前記制御部は、前記抽出対象の粉砕後の所望の粒度[例えば、挽き豆の粒度]に応じて前記移動機構を制御し、該移動機構に前記間隔を調整させるものである、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置。』
についても説明した。
また、
『 前記移動機構は、駆動源をモータ[例えば、第2モータ52b]とするものであり、
前記第二の粉砕部の移動量に関する値とは、前記モータの回転量に関する値[例えば、モータ503aのステップ数のカウント値]のことである、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置。』
についても説明した。
また、
『 前記第一の粉砕部は、第一の刃[例えば、回転刃58b]であり、
前記第二の粉砕部は、第二の刃[例えば、固定刃57b]であり、
前記第二の粉砕部は、前記第一の粉砕部に対向して取り付けられたものである、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置。』
についても説明した。
また、
『 前記第二の粉砕部が前記第一の粉砕部に接触した状態から前記センサが該第二の粉砕部を検出するまで該第二の粉砕部を移動させる動作を、前記回転機構による回転によって粉砕部の向きを変えて複数回行う[例えば、図34に示す例]、
ことを特徴とする抽出対象粉砕装置。』
についても説明した。
以上の記載では、
『 抽出対象粉砕装置[例えば、第2グラインダ5B]において電源が投入されると実行されるキャリブレーション方法であって、
第一の粉砕部[例えば、回転刃58b]と第二の粉砕部[例えば、固定刃57b]が接触した状態から、該第一の粉砕部から該第二の粉砕部が所定長[例えば、0.7mm]離れた状態になるまで該第二の粉砕部を移動させる移動工程[例えば、ステップS52の移動工程、図34(b)、同図(e)、および同図(h)]と、
前記移動工程を実施した後に、前記第一の粉砕部と前記第二の粉砕部の少なくともいずれか一方の粉砕部[例えば、回転刃58b]の状態を変更する状態変更工程[例えば、ステップS53の回転工程、図34(c)、同図(f)、および同図(i)]と、
前記状態変更工程によって前記粉砕部の状態が変更された状態で、前記第一の粉砕部から所定長離れた前記第二の粉砕部を該第一の粉砕部に接触させる接触工程[例えば、ステップS51、図34(a)、同図(d)、および同図(g)]と、
前記移動工程、前記状態変更工程、および前記接触工程[例えば、図33に示すデータ取得処理]を繰り返し実行することで、前記粉砕部の状態[例えば、回転刃58bの向き]を変更して前記第二の粉砕部の移動量に関する値[例えば、モータ503aのステップ数のカウント値]を複数回取得する、
ことを有することを特徴とするキャリブレーション方法[例えば、図33に示すキャリブレーションの方法]。』
についても説明した。
なお、前記状態変更工程は、前記移動工程を実施した後に、該第一の粉砕部と該第二の粉砕部の少なくともいずれか一方の粉砕部を回転させ該粉砕部の向きを変える回転工程であって、前記移動工程、前記回転工程、および前記接触工程を繰り返し実行することで、前記粉砕部の向きを変えて前記第二の粉砕部の移動量に関する値を複数回取得する態様であってもよい。
また、前記第二の粉砕部の移動量に関する値は、前記移動工程における前記第二の粉砕部の移動量[例えば、上昇量]に関する値であってもよいし、前記接触工程における前記第二の粉砕部の移動量[例えば、下降量]に関する値であってもよい。あるいは、両者を併用してもよい。
また、複数回取得した前記第二の粉砕部の移動量に基づいて較正値を算出する較正値算出処理[例えば、ステップS55の較正値算出工程]を有してもよい。前記較正値は、複数回取得した前記第二の粉砕部の移動量の平均値であってもよいし、中央値であってもよい。
以上の説明では、固定刃57bは第2モータ52bの駆動によって昇降したが、手動でも固定刃57bを昇降させ、挽き豆の粒度を設定することができる。この手動による挽き豆の粒度設定は、手動設定用円盤ダイアルと、微調整用ツマミダイアルを用いて行うことができる。
図36(a)は、手動設定用円盤ダイアル695と、微調整用ツマミダイアル696を第2モータ503aとともに示した図であり、同図(b)は、手動設定用円盤ダイアル695および第2モータ503aを取り外し、連結ダイアル697と、微調整用ツマミダイアル696の回転軸6961とを示した図である。なお、図36には、連結ダクト661や形成ユニット6Bの一部が示されている。また、図36(b)には、詳しくは後述するハンマー部材GM32も示されている。
図36には、レバー部材698も示されている。図36(a)に示すように、ウォームホイール691のギア部691gに噛合したウォームギア692の回転軸6921は、このレバー部材698に軸支されている。また、図36(b)に示す微調整用ツマミダイアル696の回転軸6961に、レバー部材698は軸支されている。図36に示すレバー部材698の姿勢は初期姿勢である。レバー部材698が初期姿勢にある状態では、ウォームホイール691のギア部691gにウォームギア692が噛合した状態であり、ウォームギア692が回転することによって、ウォームホイール691が回転し、固定刃57bが昇降する。レバー部材698は、微調整用ツマミダイアル696の回転軸6961を回動中心にして同図(b)に示す矢印方向に回動可能である。レバー部材698は、矢印方向に回動することで持ち上げられ、解除姿勢に変化し、その解除姿勢を維持可能である。レバー部材698が持ち上げられて解除姿勢に変化すると、レバー部材698に軸支されているウォームギア692が、ウォームホイール691のギア部691gから離れ、そのギア部691gとの噛合が解除される。なお、レバー部材698は初期姿勢と解除姿勢の間で姿勢変化可能なものであるが、回転軸6961に設けられたバネ部材6981によって初期姿勢に戻る方向に付勢力が働いている。レバー部材698が解除姿勢にあると、ウォームホイール691は回動自在の状態であり、固定刃57bも回転自在な状態である。この状態でグラインド処理を行うと、回転刃58bの回転に伴って固定刃57bも回転してしまい、固定刃57bと回転刃58bの間隔が広がってしまう。このため、グラインド処理中はレバー部材698を初期姿勢に戻しておく必要がある。
図36(a)には、第2モータ503aの回転軸に取り付けられたピニオンギア503bが示されており、その第2モータ503aを取り除いた同図(b)にも、ピニオンギア503bは示されている。第2モータ503aの回転駆動力は、このピニオンギア503bから、後述する二段ギアおよび伝達ギア6962を経由してウォームギア692からウォームホイール691のギア部691gに伝わる。
図36(b)に示す連結ダイアル697は、手動設定用円盤ダイアル695とウォームギア692を結ぶものである。図36(b)には、ウォームホイール691に連結された連結ダイアル697が示されており、両者はともに回転する。連結ダイアル697の上面には連結ギア697gが設けられている。図36(a)に示す手動設定用円盤ダイアル695には、この連結ギア697gと噛合する不図示のギアが設けられており、手動設定用円盤ダイアル695を連結ダイアル697の上に載置すると不図示のギアと連結ギア697gが噛合する。
レバー部材698が初期姿勢の状態では、ウォームギア692がウォームホイール691のギア部691gに噛合しているため、手動設定用円盤ダイアル695を回転操作することはできない。一方、レバー部材698が解除姿勢の状態では、ウォームギア692がウォームホイール691のギア部691gに噛合していないため、手動設定用円盤ダイアル695を回転操作することが可能になる。手動設定用円盤ダイアル695を回転操作すると、連結ギア部697gを介してウォームギア692が回転し、固定刃57bを昇降させることができる。
手動設定用円盤ダイアル695の回転操作で調整することができる最小単位は、ウォームホイール691のギア部691gの一歯分になる。すなわち、ウォームホイール691のギア部691gを一歯分だけ回転させなければ、ウォームギア692がギア部691gに噛合することができず、レバー部材698が解除姿勢から初期姿勢に復帰することができない。したがって、その一歯分未満の調整は、手動設定用円盤ダイアル695では不可能である。
一方、第2モータ503aが回転してウォームギア692が回転する場合には、そのウォームギア692の減速比により、大きな調整(一歯分以上の調整)を行うには時間を要する。そこで、大きな調整を行うには、ウォームホイール691を直接回転操作することができる手動設定用円盤ダイアル695を操作することで素早い調整が可能になる。手動設定用円盤ダイアル695を用いた調整では、固定刃57bを下降させていき回転刃58bに当たった瞬間の固定刃57bの位置を基準点(ゼロ点)にする。この当たった瞬間は、刃の当たる音でわかる。手動設定用円盤ダイアル695には、図示省略されているが、周方向に0を含んだ目盛りが付されている。また、手動設定用円盤ダイアル695は、図18等に示すセンターケーシングGM10の下方で回転するものであり、センターケーシングGM10の下端部には、基準線GM10kが記されている。手動設定用円盤ダイアル695を回転操作させ固定刃57bを下降させていき、その固定刃57bが回転刃58bに当たると、その時点で回転操作を止める。手動設定用円盤ダイアル695を持ち上げて、0の目盛りをセンターケーシングGM10に記された基準線GM10kに合わせてから、持ち上げていた手動設定用円盤ダイアル695を真下に下ろす。こうすることで、基準点(ゼロ点)を記録することができる。挽き豆の粒度設定では、こうして記録した基準点(ゼロ点)を基準に固定刃57bを昇降させ、固定刃57bと回転刃58bの間隔を調整する。
また、微調整用ツマミダイアル696の回転軸6961の終端には伝達ギア6962が設けられている。この伝達ギア6962は、二段ギアの第2ギア503c2(図36(b)参照)に噛合するとともにウォームギア692にも噛合している。この二段ギアの第1ギア503c1は、ピニオンギア503bに噛合している。したがって、第2モータ503aが回転駆動すると、微調整用ツマミダイアル696も回転し、ウォームホイール691も回転する。また、第2モータ503aが停止している状態では、微調整用ツマミダイアル696を回転操作することができ、微調整用ツマミダイアル696を回転操作することでもウォームホイール691は回転する。微調整用ツマミダイアル696を1回転させるとウォームホイール691のギア部691gは一歯分だけ回転する。したがって、微調整用ツマミダイアル696を回転操作した場合には、第2モータ503aが回転駆動してウォームホイール691が回転する場合と同様に、ウォームギア692の一歯分未満の調整が可能である。手動による挽き豆の粒度設定では、手動設定用円盤ダイアル695により大まかな粒度の設定を行っておき、微調整用ツマミダイアル696によって設定粒度の微調整を行う。こうすることで、迅速かつ細かな粒度設定を行うことができる。
なお、手動設定用円盤ダイアル695および微調整用ツマミダイアル696による手動設定は、図1に示す飲料製造装置1の第2グラインダ5Bにも適用可能である。
続いて、第2グラインダ5Bへの挽き豆の投入量を制御する工夫について説明する。
上述のごとく、第1グラインダ5Aによって、焙煎コーヒー豆はある程度(例えば1/4程度)の大きさに砕かれる。以下、第1グラインダ5Aによってある程度の大きさに砕かれた豆のことを、挽き豆(特に粗挽き豆)と区別するために挽き割り豆と称する。第2グラインダ5Bは、第1グラインダ5Aで砕かれた挽き割り豆を所望の粒度の挽き豆にする。ここで、第2グラインダ5Bによるグラインド処理の適切な許容量を超えて、第1グラインダ5Aから挽き割り豆が大量に送られてくると、固定刃57bと回転刃58bとの間に挽き割り豆が過剰に入り込み、固定刃57bと回転刃58bとの間に挽き豆が滞留してしまう。滞留している挽き豆は回転する回転刃58bから摩擦熱を受け熱くなる。特に、細かく挽かれた状態では、熱の影響を受けやすく、挽き豆の表面に油分が必要以上に出やすくなる。こうやって挽かれた挽き豆から抽出されたコーヒー飲料は暗い味になりやすい。
第1グラインダ5Aが処理能力の上限で駆動している場合に、第1グラインタ5A用の第1モータの回転数を低下させれば、第1グラインタ5Aから送られる挽き割り豆の単位時間辺りの量は減少する。
図37は、グラインド処理における処理部11aの制御処理を示すフローチャートである。
図37に示す制御処理は、図24に示すスタートボタンGM15の押下に応じて開始される。また、図21に示す計量ユニット404がオプション取付部GM11に取り付けられている場合は、図21(b)に示すスクリュー羽根ESC2の回転開始に応じて開始されるようにしてもよい。
まず、処理部11aは第1グラインダ5A用の第1モータおよび第2グラインダ5B用の第2モータ503aの回転を開始させる(ステップS21)。このステップS21では、第1モータも第2モータ503aも、それぞれ予め設定された設定回転速度で回転を開始させる。その結果、第1グラインダ5Aでは回転刃58aが回転を開始し、第2グラインダ5Bでは回転刃58bが回転を開始する。なお、第1モータの回転と第2モータ503aの回転は同時に開始しなくてもよく、第1モータの回転を開始した後に、第2モータ503aの回転を開始してもよい。例えば、第1グラインダ5Aでグラインド処理が開始されれば、第1モータの回転トルクや電流値が上昇する。処理部11aは、第1モータの回転トルクの上昇または電流値の上昇を検知すると、第2モータ503aの回転を開始させてもよい。第1グラインダ5A用の第1モータが回転を開始することによって、第2グラインダ5Bに挽き割り豆が送られてくる。
続くステップS22では、第1モータの回転を継続させるか否かを判定する。例えば、電動スクリューコンベアESCが搬送し終えてから所定時間が経過したり、第1モータの回転トルクが低下してから所定時間が経過したり、第1モータの電流値が低下してから所定時間が経過すると、Noの判定結果になり、第1モータの回転を停止させる(ステップS27)。一方、Yesの判定結果の場合には、ステップS23へ進む。
第2グラインダ5Bの投入口付近に、挽き割り豆の通過を検知するセンサを設け、図19に示す処理部11aは、第2グラインダ5Bへ投入される挽き割り豆の単位時間当たりの投入量を監視する。ステップS23では、その単位時間当たりの投入量が基準値を超えているか否かを判定する。基準値は、コーヒー豆の種類や、挽き豆の粒度や、第2モータ503aに設定された回転速度等によって変わる変数であり、複数種類の基準値が図19に示す記憶部11bに記憶されている。例えば、硬いコーヒー豆ほど基準値は小さな値になる。レシピには、コーヒー豆の種類や、挽き豆の粒度等が指定されており、処理部11aは、レシピに応じて基準値を選択し、ステップS23の判定処理を実行したり、各種の設定値に応じて基準値を選択し、ステップS23の判定処理を実行する。単位時間当たりの投入量が基準値を超えている場合には、第1モータの回転速度を減速させ(ステップS24)、ステップS22に戻る。第1モータの回転速度を減速させる割合は、予め決められた割合であってもよいし、上記投入量が基準値を超えている程度に応じた割合であってもよい。第1モータの回転速度が遅くなると、第1グラインダ5Aから送り出されてくる、単位時間当たりの挽き割り豆の量は減少する。この結果、上記投入量も減少させることができ、固定刃57bと回転刃58bとの間に挽き豆が滞留してしまうことが抑えられ、挽き豆は熱の影響を受けにくくなる。こうやって挽かれた挽き豆から抽出されたコーヒー飲料は、油分の悪影響を受けずに明るい味になりやすい。
ステップS23における判定で、上記投入量が基準値以下である場合には、第1モータの回転速度を減速させた状態であるか否かを判定し、減速させた状態でなければ、ステップS22に戻り、減速させた状態であれば、上記設定回転速度に復帰させ(ステップS26)てから、ステップS22に戻る。
第1モータの回転を停止させるステップS27に続くステップS28では、今度は第2モータ503aの回転を停止させるか否かを判定する。例えば、第2モータ503aの回転トルクが低下してから所定時間が経過したり、第2モータ503aの電流値が低下してから所定時間が経過すると、Yesの判定結果になり、第2モータの回転を停止させ(ステップS29)、この制御処理は終了になる。
以上説明した制御処理では、第1グラインダ5A用の第1モータの回転速度を制御することで、第2グラインダ5Bへの挽き豆の投入量を制御したが、図21に示す計量ユニット404のスクリュー羽根ESC2を回転させるモータESC3の回転速度を制御することでも、第2グラインダ5Bへの挽き豆の投入量を制御することが可能である。また、第1モータの回転速度とモータESC3の回転速度の両方を制御することによっても、第2グラインダ5Bへの挽き豆の投入量を制御することが可能である。
なお、図37に示す制御処理は、図10に示す処理部11aによっても実行可能であり、図12に示す第1グラインダ5A用のモータ52aの回転速度を制御したり、あるいは図2に示すコンベア41の搬送速度を制御することで、図2に示す第2グラインダ5Bへの挽き豆の投入量を制御することができる。
また、焙煎コーヒー豆の硬さ等によって、第1グラインダ5Aの回転刃58aの回転速度が変化する場合がある。本来、第2グラインダ5Bによるグラインド処理の許容量を超えないように、第1グラインタ5Aの第1モータの回転速度は設定されているが、第1グラインタ5Aの回転刃58aもしくは第1モータの単位時間当たりの回転数(回転速度)を監視し、その単位時間当たりの回転数が基準値を超えている場合には、第1モータの回転速度を減速させるようにしてもよい。
以上、図37を用いて説明したグラインド処理における制御処理は、図1に示す飲料製造装置1の粉砕装置のグラインド処理における制御処理としても適用可能である。また、図19に示す携帯端末17等の外部端末から第1モータの回転速度を減速させたり復帰させる指示が出力可能であってもよい。
以上の記載によれば、
『 コーヒー豆を挽く第二のグラインダ[例えば、第2グラインダ5B]を備えたコーヒーマシンであって、
前記第二のグラインダに投入するコーヒー豆の投入量を制御する[例えば、図37に示すステップS24]、
ことを特徴とするコーヒーマシン[例えば、図18に示すコーヒー豆挽き機GMや図1に示す飲料製造装置1]。』
について説明した。
このコーヒーマシンによれば、グラインダにおけるコーヒー豆を挽く状態を考慮して前記投入量の制御が行われる。
なお、ここにいうコーヒー豆は、割られた豆であってもよいし、挽かれた豆であってもよいし、割られたり挽かれたりしていない豆であってもよい。
前記投入量を制御するのは、前記第二のグラインダに挽き豆が滞留する時間を必要以上に長くさせないようにするためである。前記第二のグラインダでは、挽き豆を送り出す量より投入されるコーヒー豆の量の方が多くなると、挽き豆は、前記第二のグラインダに滞留する時間が長くなり、挽き豆は熱による悪影響を受けやすくなる。そこで、上記コーヒーマシンでは、こうならないように、投入量を制御する。よって、グラインダにおけるコーヒー豆を挽く状態を考慮してマシンの制御が行われることになる。
また、
『 コーヒー豆の種類に応じて前記投入量を制御する、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
なお、前記コーヒー豆の種類とは、コーヒー豆の品種であったり、コーヒー豆の焙煎度であったり、品種と焙煎度の組み合わせであってもよい。
また、
『 前記第二のグラインダよりも上流に、コーヒー豆を挽く第一のグラインダ[例えば、第1グラインダ5A]を備え、
前記第一のグラインダがコーヒー豆を挽く速度[例えば、第1モータの回転速度]を制御することによって、前記第二のグラインダに投入するコーヒー豆の投入量を制御する、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
また、
『 前記第二のグラインダよりも上流に、コーヒー豆を下流に供給する供給装置[例えば、図21に示す計量ユニット404、図2に示すコンベア41]を備え、
前記供給装置によるコーヒー豆の供給速度を制御することによって、前記第二のグラインダに投入するコーヒー豆の投入量を制御する、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
また、
『 前記第二のグラインダよりも上流に配置された、コーヒー豆を挽く第一のグラインダ[例えば、第1グラインダ5A]と、
前記第一のグラインダよりも上流に配置された、コーヒー豆を下流に供給する供給装置[例えば、図21に示す計量ユニット404、図2に示すコンベア41]と、
を備え、
前記第一のグラインダおよび前記供給装置のうち少なくともいずれか一方を制御することで、前記第二のグラインダに投入するコーヒー豆の投入量を減少させる、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
例えば、前記第一のグラインダおよび前記供給装置の両方を制御することで、前記第二のグラインダに投入するコーヒー豆の投入量を減少させてもよい。
さらに、
「 前記コーヒーマシンと通信可能な外部装置(例えば、サーバ16、携帯端末17)を備えたコーヒーマシンシステム(例えば、図10や図19)。」
についても説明した。
また、
「 第二のグラインダへのコーヒー豆の投入を開始するステップ(図37に示すステップS21)と、
第二のグラインダに投入するコーヒー豆の投入量を制御するステップ(図37に示すステップS24)と、
を有することを特徴とするコーヒー豆のグラインド方法。」
についても説明した。
第2グラインダ5Bによって挽かれた挽き豆は、図18に示すシュートGM31から排出される。
図18に示すシュートGM31は略水平方向に送り出されてくる挽き豆を下向きに案内するものである。図18に示すコーヒー豆挽き機GMには、シュートGM31を叩くハンマー部材GM32が設けられている。このハンマー部材GM32は、上下方向に延びる回動軸GM321を中心に回動する。略水平方向に送り出されてくる挽き豆は、シュートGM31の内壁にぶつかりその内壁に付着してしまう場合がある。使用者は、ハンマー部材GM32を回動させてシュートGM31を叩き、その付着した挽き豆に衝撃を与えて落下させる。
続いて、コーヒー豆挽き機GMの外部(例えば、図19に示すサーバ16や携帯端末17)からのオーダー情報に従ってグラインド処理を実行する例について説明する。
図38は、オーダー情報に従ってグラインド処理を実行する場合の処理部11aが実行する制御処理を示すフローチャートである。
ステップS31では、オーダー情報を受け付けたか否かが判定される。オーダー情報を受け付けていない場合はこのステップS31が繰り返し実行される。そして、オーダー情報を受け付けた場合はステップS32に進む。なお、オーダー情報の具体的な内容については後述する。
ステップS32では、受信したオーダー情報が図19に示す情報表示装置12に表示され、ステップS33に進む。
ステップS33では、コーヒー豆のグラインド開始操作を受け付けたか否かが判定される。ここでのグラインド開始操作は、詳しくは後述するが、情報表示装置12の操作になる。グラインド開始操作を受け付けていない場合はステップS34に進み、グラインド開始操作を受け付けた場合はステップS36に進む。
ステップS34では、オーダー情報の変更操作を受け付けたか否かが判定される。ここでのオーダー情報の変更操作についても、詳しくは後述するが、情報表示装置12の操作になる。オーダー情報の変更操作を受け付けた場合はステップS35に進み、オーダー情報の変更操作を受け付けていない場合はステップS33に戻る。
ステップS35では、オーダー情報の変更操作に従って受け付けたオーダー情報が更新され、ステップS33に戻る。
オーダー情報を受け付けてからグラインド開始操作を受け付けるまでの間においては、ステップS34、ステップS35によって受け付けたオーダー情報を変更することができる。グラインド開始操作やオーダー情報の変更操作は、情報表示装置12の操作に限らず、携帯端末17からの操作を受け付けるようにしてもよく、また、この操作の情報はコーヒー豆挽き機GMに送信されるものであれば、その送信経路はどのような経路であってもよい。
ステップS36では、コーヒー豆のグラインド処理が実行される。まず、オーダー情報で指定された分量の焙煎コーヒー豆が貯留装置4から第1グラインダ5Bに供給される。第1グラインダ5Bでは砕かれた挽き割り豆は、分離装置6によって不要物が分離された後、第2グラインダ5Bに供給される。この第2グラインダ5Bでは、オーダー情報に従って固定刃57bと回転刃58bとの間隔を所定間隔(例えば、50μm刻み)で変更しつつコーヒー豆が挽かれ、コーヒーの挽き豆が図18に示すシュートGM31から排出される。このグラインド処理が終了すると、コーヒーの挽き豆の製造処理が終了する。
上記の例では、コーヒー挽き豆機GMの外部からのオーダー情報に従ってグラインド処理を実行する場合について説明したが、情報表示装置12を用いて直接コーヒー挽き豆機GMにオーダー情報を入力する構成としてもよい。この構成の場合には、図38に示すステップS32、ステップS34およびステップS35を削除した構成としてもよい。
また、上記の例では、オーダー情報を受け付けてからグラインド開始操作を受け付けるまでの間において、オーダー情報を変更することができるが、こうした変更の機会を設けずに、オーダー情報を受け付けたらそのままグラインド処理が開始されるようにしてもよい。
ここで、レシピについて詳述する。レシピには、コーヒー豆を挽くためのグラインド情報だけを含んだグラインドレシピと、グラインド情報の他にコーヒー飲料の抽出条件等、コーヒー飲料を製造するための各種の製造条件の情報を含んだ飲料製造レシピとがある。コーヒー豆挽き機GMでは、グラインドレシピさえあれば、グラインド処理を実行することができるが、飲料製造レシピが情報表示装置12に表示されれば、グラインド処理の後に実行されるコーヒー飲料の抽出処理の条件を鑑みて、グラインド条件を修正することができる場合があり、より良質なコーヒー飲料を得られる場合がある。
図19に示す記憶部11bは、レシピを記憶し続けるものであってもよいし、グラインド処理を開始する前にサーバ16からレシピを取得し、グラインド処理を実行している間に限って記憶し、グラインド処理を終了した後は、記憶部11bからレシピは消去されるようにしてもよい。あるいは、記憶部11bには、レシピのうち一部の情報(例えば、豆情報や、レシピ作成者情報)のみが記憶されており、グラインド処理を開始する前にサーバ16から、レシピの残りの情報(例えば、コーヒー豆を挽くための各種の条件の情報)を取得し、グラインド処理を終了した後は、記憶部11bから、残りの情報は消去されるようにしてもよい。なお、記憶部11bに記憶されたレシピは暗号化されている。
また、レシピは、サーバ16において、データベース化されて管理されている。
図39(A)~図39(C)は、サーバ16に記憶されるデータの一例を示す図である。図39(A)は、飲料情報データベースに格納されるデータ1500である。データ1500は、レシピID1501、レシピの考案者を示す考案者情報1502、過去にユーザによって飲料情報が選択され、製造した回数を示す製造回数情報1503、原材料情報、製造方法、タイプ1512、1513を含む。原材料情報は、豆の種類を示す豆情報1504、豆の産地を示す産地情報1505、豆の焙煎度を示す焙煎度情報1506を含む。また、製造方法は、1回の抽出で使用する豆の量1507、豆の挽き粒度1508、蒸らし湯量1509、蒸らし時間1510、抽出湯量1511を含む。これらの情報のうち、グラインド処理で最も必要になる情報は豆の挽き粒度1508であるが、その他の情報も、豆の挽き粒度1508を検討するにあたり必要になる場合がある。タイプ1(1512)は、飲料がホット飲料であるかアイス飲料であるかを示すタイプ情報、タイプ2(1513)は、飲料のフレーバーを示すタイプ情報である。なお、本実施形態では、製造回数情報1503は、製造回数情報1503に対応する飲料を複数の飲料製造装置が製造した回数であるものとして説明を行うが、飲料製造装置ごとに製造回数情報1503を格納してもよい。
図39(B)は、ユーザ情報データベースの例示的なデータ1520である。ユーザは、店舗であったり、その店舗の店員や客であったりする。データ1520は、ユーザ識別子を示すID情報1521、ユーザの氏名を示す氏名情報1522、ユーザの年齢を示す年齢情報1523、ユーザの性別を示す性別情報1524を含む。一例では、データ1520は、ユーザの住所に対応する情報や、ユーザのニックネーム情報、ユーザの写真データをさらに含んでもよい。
図39(C)は、グラインド履歴データベースの例示的なデータ1530である。データ1530は、グラインドを指示したユーザに関するユーザ情報1531、グラインド日時に関する日時情報1532、グラインド処理で用いられたレシピID1533、グラインド処理を行ったコーヒー豆挽き機GMに対応するマシンID1534、当該コーヒー豆挽き機GMが設置される店舗に対応する店舗ID1535を含む。一例では、データ1530は、グラインドしたコーヒーの挽き豆の価格に対応する価格情報などをさらに含んでもよい。また、グラインド履歴データベースと似たようにコーヒー飲料の製造履歴データベースも記憶されていてもよい。
以上説明したデータ1500、1510、1530は、コーヒー豆挽き機GMにおける制御装置11の記憶部11bにも記憶されていてもよい。
続いて、図38を用いて説明した制御処理のフローを参照しつつ、オーダー情報に対する動作の例について、図40~図45を用いて説明する。図40~図42は、オーダー情報の入力時の様子を示す図である。図43はオーダー情報の変更時の様子を示す図である。図44は、オーダーに対する第2グラインダ5Bの制御パラメータの一例を示す図である。図45は、グラインド処理の実行中における表示の一例を示す図である。
この例では、スマートフォン等の携帯端末17にコーヒーの挽き豆についてのオーダー情報を送信するためのアプリケーションがインストールされているものとする。図40には、このアプリケーションを用いたオーダー情報の入力画面の一例が示されている。この入力画面では、オーダーのタイトル入力欄170、希望するコーヒー豆の種類1711、コーヒー豆の量1712、コーヒー豆を挽く際の粒度に対する割合を指定する入力テーブル172、細挽き状態から粗挽き状態となる挽き方を指示する細→粗挽きボタン173aと粗挽き状態から細挽き状態となる挽き方を指示する粗→細挽きボタン173b、入力テーブル172に入力された内容をグラフで表示するためのグラフエリア174、オーダー情報を送信するための送信ボタン175およびオーダー情報をグラインドレシピとして登録するためのレシピ登録ボタン176が表示されている。希望するコーヒー豆の種類は、この携帯端末17が通信するコーヒー豆挽き機GMから、選択可能なコーヒー豆の種類が送信され、右端のプルダウンボタンをタップすることで、送信されてきた選択可能なコーヒー豆の種類が全て表示される。例えば、図18に示すキャニスタ収納ユニット401に現在収納されているキャニスタに貯留されている豆の種類が全て表示される。あるいは、そのコーヒー豆挽き機GMが設置された店舗で用意のある豆の種類が全て表示される場合があってもよい。コーヒー豆の種類は、コーヒー豆の品種の他、栽培された農園名でも区別される。また、焙煎度(極浅煎り、浅煎り、中浅煎り、中煎り、中深煎り、深煎り、極深煎り、極々深煎り)でも区別される。コーヒー豆の量1712も、プルダウンメニューによって5g刻みで指定することができる。なお、直接入力ができるようにしてもよい。コーヒー豆の挽き方については、詳しくは後述する。
図41には、オーダー情報が入力された状態の入力画面の一例が示されている。この入力画面では、タイトル入力欄170に「ゲイシャ フレンチプレス向け」との文字が入力されている。また、コーヒー豆の種類1711では、コペイ農園で栽培された品種名がゲイシャのコーヒー豆であって、極深煎りに焙煎されたものが選択され、コーヒー豆の量は60gが選択されている。入力テーブル172には、粒度200μmの割合を示す「40」と粒度800μmの割合を示す「60」が入力され、その合計割合が「100」%であることが示されている。また、粒度200μm、粒度800μm、合計のそれぞれに対応するコメントが入力されていることが示されている。また、細→粗挽きボタン173aが選択されている。グラフエリア174には、入力テーブル172に入力された内容がグラフで表示されている。このグラフでは2つのピークが示されているが、このうち左側のピークは200μmの粒度が40%の割合であることを示し、右側のピークは800μmの粒度が60%の割合であることを示している。
グラフエリア174では、グラフの一部をドラッグすることで、入力テーブル172に入力された内容を間接的に変更することができる。図42では、図41に示すグラフエリア174の2つのピークのうち、右側のピークを左に移動させている例が示されている。そしてこの操作により、入力テーブル172に入力されていた粒度800μmの割合を示す「60」が「0」になり、粒度600μmの割合を示す「0」が「60」に変更されていることが示されている。このようなグラフをドラッグすることによる入力方法は、粒度を変更させるものに限らず、割合を変更するものであってもよい。例えば、グラフの一部を上下にドラッグすることで、対応する粒度の割合を増減させたりすることができるようにしてもよい。
また、図42に示す例では入力テーブル172に値が入力された後に、グラフの一部をドラッグすることで入力テーブル172に入力された値を変更している。この構成に限らず、入力テーブル172に値を入力する前の状態(初期状態)からグラフエリア174に初期状態のグラフ(フラットな直線、図39では太線で示す)を表示するようにしておき、このグラフをドラッグすることで、入力テーブル172の値を設定することができるようにしてもよい。
上記のようなグラフを用いた入力方法によって、ユーザがより直感的に粒度の割合を設定することができる。
また、あるピークに対してその大きさを増加すると、他のピークの大きさが相対的に減少するといったように、一つのピークに対してその大きさを増減することで、他のピークの大きさが相対的に増減するようにしてもよい。グラフエリア174の大きさが限られているような場合には、グラフエリア174をより有効に利用することができる。
タイトル、コーヒー豆の種類と量、粒度の割合および挽き方(細→粗、粗→細)を設定した後、送信ボタン175をタップすることで、図19に示す通信ネットワーク15を介してコーヒー豆挽き機GMの制御装置11にオーダー情報が送信される。なお、一旦サーバ16に送信した後、サーバ16および通信ネットワーク15を介してコーヒー豆挽き機GMに送信されるものであってもよい。
またここでは、タイトル、コーヒー豆の種類と量、粒度の割合および挽き方(細→粗、粗→細)といったオーダー情報の設定を行ったが、これらのオーダー情報を保存し、グラインドレシピとして利用することも可能である。そうする場合には、レシピ登録ボタン176をタップすることで、通信ネットワーク15を介してサーバ16にオーダー情報が送信される。サーバ16では、グラインドレシピについてもデータベース化して管理しており、ここで送信されてきたオーダー情報にグラインドレシピIDが付与され、記憶される。サーバ16に送信する際、レシピの制限について設定することができるようにしてもよい。例えば、製造(グラインド)禁止、表示禁止、ダウンロード禁止、複製禁止、改変禁止といった各種の制限を選択する画面が携帯端末17に表示されてもよい。また、上記画面では、これらの制限の解除方法(課金、期間経過、課金による一定回数以上の使用等)も設定できるようにしてもよい。また、入力された作成者のコメントもグラインドレシピの一部として記憶され、レシピ表示の際にはコメント表示も可能である。
さらに、オーダー情報およびグラインドレシピとして、チャフ除去強さ(チャフの除去率)(%)を設定できるようにしてもよい。
オーダー情報を受信すると、情報表示装置12には受信したオーダー情報の内容が表示される(図38のステップS31でYes、ステップS32)。図43(A)には、図42に示す内容で送信されたオーダー情報を制御装置11が受信し、情報表示装置12にその内容が表示された例が示されている。具体的には、図42のタイトル入力欄170に入力されたタイトルと、入力テーブル172のうち、割合が0で且つコメント欄が空欄の粒度の行(図42では粒度400μm、1000μmの行)を除いた部分の内容が受信テーブル121に表示されている。さらに、挽き方指示欄122には、図42において細→粗挽きボタン173aが選択されたことで、細挽き状態から粗挽き状態となる挽き方が指示されたことが示されている。また、豆種類欄1231には、受信した豆の種類が示され、豆量欄123には、受信した豆の量が示されている。なお、豆の量については店側で別途設定できるようにしてもよい。
この状態でグラインド開始ボタン124をタップするとコーヒー豆のグラインド処理が実行される(詳細は後述)が、グラインド開始ボタン124をタップする前の状態では、オーダー情報を変更することができるようになっている(図38のステップS33でNo、ステップS34でYes、ステップS35)。オーダー情報を変更した場合には、この情報に従ってコーヒー豆のグラインド処理が実行される。グラインドの際の気温や湿度によっては、コーヒーの挽き豆の粒度が細目(あるいは粗目)になってしまう場合があるが、店側でオーダー情報を変更して調整することが可能となっている。
例えば、図43(A)のオーダー情報を受信したものの、湿度が低いためにコーヒーの挽き豆の粒度が細目になってしまう状況であったとする。このとき例えば図43(B)に示すように、受信テーブル121において、粒度200μmの割合を示す「40」を「45」に変更し、さらに粒度600μmの割合を示す「60」を「55」に変更することで、コーヒーの挽き豆の粒度を粗目にして所望の粒度になるように調整することができる。なお、この図43(B)の例ではコメント欄に「低湿度→割合増」の記載が追加されているが、このようなコメントがあることで、例えば修正理由のような情報を伝えることができる場合がある。以上説明したように、コーヒー豆挽き機GMの設置環境に応じて、オーダー情報(ここでは挽き豆の粒度)を調整可能である。
また、情報表示装置12の表示画面にもレシピ登録ボタン125が用意されており、情報表示装置12(コーヒー豆挽き機GM)からも、オーダー情報をグラインドレシピとしてサーバ16に登録させることができる。コーヒー豆挽き機GMの設置環境に応じて修正を行ったパラメータを含むグラインドレシピをサーバ16にコメント付きで保存することができる。また、グラインドレシピには、オーダー情報(レシピ)作成時の環境情報(温度、湿度、気圧等)も含ませてもよい。コーヒー豆挽き機GMに、温湿度センサや気圧センサを設けておき、レシピ登録ボタン125がタップされると、それらのセンサによって取得された環境情報がグラインドレシピに自動的に追加されるようにしてもよい。さらに、コーヒー豆挽き機GMからサーバ16に送信する際にも、情報表示装置12の表示画面に選択画面が表示され、レシピの制限について設定することができるようにしてもよい。また、上記選択画面では、これらの制限の解除方法も設定できるようにしてもよい。
加えて、コーヒー豆挽き機GMにおける制御装置11の記憶部11bにオーダー情報をグラインドレシピとして暗号化して記憶させることができるようにしてもよい。また、携帯端末17からも、その記憶部11bにグラインドレシピとして暗号化して記憶させることができるようにしてもよい。
また、こうして登録したグラインドレシピは、コーヒー豆挽き機GMとコーヒー抽出装置を搭載したコーヒー飲料製造装置でも使用することができる。
次に、グラインド開始ボタン124をタップした以降の動作について、図43(B)に示す状態でグラインド開始ボタン124がタップされた場合を例に説明する。グラインド開始ボタン124をタップすると、オーダー情報に従ってコーヒー豆のグラインド処理が実行される(図38のステップS33でYes、ステップS36)。なお、貯留装置4に貯留されているコーヒー豆以外が指定されている場合には、指定されたコーヒー豆を貯留装置4にセットしてからグラインド処理は開始される。
また、図33を用いて説明した、初期動作で実行されるキャリブレーションを行った後に、グラインド処理が開始されてもよい。このキャリブレーションの実行の有無は、オーダー情報とともに携帯端末17から送信されてくる。すなわち、携帯端末17で、オーダー情報に基づくグラインド処理を開始する前にキャリブレーションを実行することが指定可能である。
図44(A)には、図43(B)で指定された粒度およびその割合が示されている。このグラインド処理では、製造されるコーヒー挽き豆の粒度分布が、オーダー情報で指定されたコーヒー挽き豆の粒度に対してある程度の範囲(本実施形態では、±100~150μmの範囲)まで広がるように、第2グラインダ5Bの刃の間隔(固定刃57bと回転刃58bとの間隔)を所定間隔(例えば、50μm刻み)で変更しつつコーヒー豆を挽く制御が図19に示す処理部11aによって実行される。例えば、図44(B)には、図44(A)で指定されている粒度200μmの指定に対し、第2グラインダ5Bの刃の間隔を50~350μmの範囲で変更しつつ動作させるための動作時間が設定されていることが示されている。また、図44(B)には、図44(A)で指定されている粒度600μmの指定に対して第2グラインダ5Bの刃の間隔を450~700μmの範囲で変更しつつ動作させるための動作時間が設定されていることが示されている。さらに図44(D)には、図44(B)に示す第2グラインダ5Bの刃の間隔ごとの動作時間の長さがグラフで示されている。なお、ここで設定された第2グラインダ5Bの刃の間隔とその動作時間は、オーダー情報に基づいて処理部11aが算出したものであり、製造されるコーヒー挽き豆の粒度分布に対応するものであることから、粒度分布が設定されている、とも言える。また、グラインド処理開始前の初期動作でキャリブレーションが実行された場合には、処理部11aは、図33に示すステップS55で求めた較正値を用いてモータ503aの回転量を補正しつつ、第2グラインダ5Bの刃の間隔を変更していく制御を行う。
上記の例では、オーダー情報で指定された60gの分量のコーヒー挽き豆を製造するのに合計30秒かかるとした場合を想定している。そして、この動作時間のうち45%(13.5秒)を粒度200μmに対する動作に割り当てている。上記の例では、粒度200μmの指定に対して第2グラインダ5Bの刃の間隔を50~350μmの範囲で変更しつつ動作させることから、13.5秒の動作時間をこの範囲でのグラインダ動作に割り当てている。なお、図44(B)では、間隔50~350μmの範囲でのグラインダの動作時間の合計が13.5秒となっている。また、合計30秒の動作時間のうち55%(16.5秒)を粒度600μmに対する動作に割り当てている。上記の例では、粒度600μmの指定に対して第2グラインダ5Bの刃の間隔を450~700μmの範囲で変更しつつ動作させることから、16.5秒の動作時間をこの範囲でのグラインダ動作に割り当てている。なお、図44(B)では、間隔450~700μmの範囲でのグラインダの動作時間の合計が16.5秒となっている。上記説明したように図44(B)に示す動作時間は、コーヒー挽き豆の製造に要する時間から導出されたものである。なお、図44(B)では、二種類の粒度の指定に対する第2グラインダ5Bの刃の間隔の範囲が重複していない例について説明したが、これらの範囲が重複する場合には、その部分の動作時間が加算される。
図44(B)の例で説明したように、第2グラインダ5Bの刃の間隔を変更しつつコーヒー挽き豆を製造することで、コーヒー挽き豆の粒度を分散させることができる。粒度を分散させたコーヒー挽き豆から抽出されたコーヒーは、粒度を分散させていないコーヒー挽き豆から抽出されたコーヒーと比較して、様々な味を含ませることができる。なお、こうした味が好みでない人向けに、例えば図44(C)に示すような動作時間が設定される場合を設けてもよい。この図44(C)では、第2グラインダ5Bの動作時間が、オーダー情報で指定された粒度と同じ値の刃の間隔での動作に対してのみ設定されており、粒度の分散を抑えた粒度分布に対応したものになっている。これらの構成は一例であり、粒度の指定の際に粒度分布の範囲を指定できるようにしてもよい。
また図44(B)の例では、オーダー情報で指定された粒度と同じ値の刃の間隔での動作時間が最も長く、指定された粒度と第2グラインダ5Bの刃の間隔との差が大きくなるに従って動作時間が短くなっているが、例えば、指定された粒度に対して±50μmの第2グラインダ5Bの刃の間隔での動作について動作時間を同じ値に設定する、といったようにしてもよく、粒度分布のパターンを複数設けてそこから選択できるようにしてもよい。
また、図44(B)のような動作時間の情報をオーダー情報作成の際に入力できるようにし、オーダー情報に動作時間の情報が含まれている場合に、この情報に従ってグラインド処理を実行できるようにしてもよい。
さらに、図44(B)や同図(c)に示す動作時間の情報(第2グラインダ5Bの刃の間隔の変更パターン)もグラインドレシピの一部として、サーバ16や記憶部11bに保存されてもよい。すなわち、挽き豆の粒度と紐付けて各種情報がサーバ16や記憶部11bに保存されてもよい。加えて、記憶部11bに保存されたこれらの情報やグラインドレシピは、通信ネットワーク15を介してサーバ16や携帯端末17等の外部端末に出力可能であってもよい。
なお、図44(A)では二種類の粒度の値が設定されているが、値が指定される粒度の種類の数については複数でなく一種類であってもよい。例えば、一種類の粒度の値が設定されている場合には、この値に基づいて動作時間が設定される。
また、図40~図45を用いて説明した、外部端末(携帯端末17)からのオーダー情報の入力とそのオーダー情報に基づく第2グラインダ5Bの制御パラメータの算出は、図1に示す飲料製造装置1にも適用可能である。
以上の記載によれば、
『 設定された条件[例えば、図44(B)や同図(C)に示す、オーダー情報で指定された粒度に応じた刃の間隔と動作時間]でコーヒー豆を挽くグラインダ[例えば、第2グラインダ5B]と、
ユーザによる指定[例えば、スマートフォン等の携帯端末17からのオーダー情報]を受け付ける受付部[例えば、図10や図19に示すI/F部11c]と、
前記条件を設定可能な設定部[例えば、図10や図19に示す処理部11a]と、
を備えたコーヒー豆挽き機であって、
前記設定部は、前記受付部によって受け付けられた前記指定によって、前記条件を設定可能なものであり[例えば、処理部11aが、オーダー情報に基づいて図44(B)や同図(C)に示す制御データを算出し、該制御データに基づいて第2グラインダ5Bを制御する]、
前記受付部は、前記指定を含む信号を外部から入力可能なものである[例えば、図10や図19]、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機[例えば、図1に示す飲料製造装置1や図18に示すコーヒー豆挽き機GM]。』
について説明した。
このコーヒー豆挽き機によれば、ユーザによる指定を簡単に行うことができる。
なお、前記指定は、挽き豆の粒度の指定であったり、前記グラインダの初期動作においてキャリブレーションを実行する指定であったりする。また、前記指定は、グラインドレシピにおける各種の指定(例えば、使用するコーヒー豆の種類や量の指定、挽き方の指定)であってもよい。
また、
『 前記設定部は、前記受付部によって受け付けられた前記指定[例えば、第2グラインダ5Bの初期動作において固定刃57bと回転刃58bの間隔に関するキャリブレーションを行う指定]によって、前記条件を設定する際の較正値[例えば、図33に示すステップS55で算出される較正値]を取得可能なものである、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
また、
『 前記受付部で受け付けた指定[例えば、グラインドレシピや飲料製造レシピ]を記憶する記憶装置[例えば、図10や図19に示す記憶部11b]を備えた、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
また、
『 前記受付部は、前記指定として少なくとも、挽き豆の粒度の指定[例えば、図41に示す入力テーブル172における粒度の指定]を受け付けるものであり、
前記記憶装置は、前記挽き豆の粒度と紐付けて各種情報[例えば、図44(B)や同図(C)に示す制御データ]を記憶可能なものである、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
なお、前記粒度とは、粒度分布におけるピークが表す粒度のことであってもよい。また、前記各種情報とは、前記グラインダでコーヒー豆を前記粒度に挽くために該グラインダに設定する条件のことであってもよい。
また、
『 前記記憶装置に記憶された情報を外部[例えば、サーバ16や携帯端末17]に出力可能である、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
さらに、
「 前記コーヒー豆挽き機と通信可能な外部装置(例えば、サーバ16、携帯端末17)を備え、
前記外部装置は、ユーザによる指定操作が行われるものである、
ことを特徴とするコーヒー豆挽きシステム(例えば、図10や図19)。」
についても説明した。
また、
「 設定された条件でコーヒー豆を挽くグラインダにおけるコーヒー豆のグラインド方法であって、
ユーザによる指定[例えば、スマートフォン等の携帯端末17からのオーダー情報]を受け付ける受付ステップ[例えば、図38に示すステップS31の前提になる処理]と、
前記受付ステップによって受け付けられた前記指定によって、前記条件を設定する条件設定ステップ[例えば、図38に示すステップS32とステップS33の間において行われる処理あるいはステップS34とステップS33の間において行われる処理]と、
を有することを特徴とするコーヒー豆のグラインド方法。」
についても説明した。
また、以上の記載によれば、
『 設定された条件[例えば、図44(B)や同図(C)に示す、オーダー情報で指定された粒度に応じた刃の間隔と動作時間]でコーヒー豆を挽くグラインダ[例えば、第2グラインダ5B]と、
前記条件を設定可能な設定部[例えば、図10や図19に示す処理部11a]と、
ユーザが操作可能な操作部[例えば、手動設定用円盤ダイアル695、微調整用ツマミダイアル696]と、
を備えたコーヒー豆挽き機であって、
前記設定部は、入力情報に基づいて前記条件を設定可能なものであり[例えば、処理部11aが、オーダー情報に基づいて図44(B)や同図(C)に示す制御データを算出し、該制御データに基づいて第2グラインダ5Bを制御する]、
前記操作部は、前記条件のうち、挽き豆の粒度に関する条件[例えば、固定刃57bと回転刃58bの間隔]を、操作に応じて変更可能なものである、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機[例えば、図1に示す飲料製造装置1や図18に示すコーヒー豆挽き機GM]。』
について説明した。
このコーヒー豆挽き機によれば、入力情報に基づいて前記条件が設定される上に、手動でも挽き豆の粒度に関する条件を調整することができる。
なお、前記粒度とは、粒度分布におけるピークが表す粒度のことであってもよい。また、前記入力情報は、挽き豆の粒度の情報であったり、前記グラインダの初期動作においてキャリブレーションの実行を指示する情報であったりする。また、前記入力情報は、グラインドレシピにおける各種の情報(例えば、使用するコーヒー豆の種類や量の情報、挽き方の情報)であってもよい。
また、
『 前記設定部は、前記条件を設定する際の較正値[例えば、図33に示すステップS55で算出される較正値]を取得可能なものである、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
また、
『 前記入力情報[例えば、グラインドレシピや飲料製造レシピ]を記憶する記憶装置[例えば、図10や図19に示す記憶部11b]を備えた、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
また、
『 前記設定部は、前記入力情報[例えば、図41に示す入力テーブル172における粒度の指定]に基づいて、挽き豆の粒度に関する条件[例えば、図44(B)や同図(C)に示す、オーダー情報で指定された粒度に応じた刃の間隔と動作時間]を設定可能なものであり、
前記記憶装置は、前記挽き豆の粒度と紐付けて各種情報[例えば、図44(B)や同図(C)に示す制御データ]を記憶可能なものである、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
なお、前記各種情報とは、前記グラインダでコーヒー豆を前記粒度に挽くために該グラインダに設定する条件のことであってもよい。
また、
『 前記記憶装置に記憶された情報を外部[例えば、サーバ16や携帯端末17]に出力可能である、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
さらに、
「 前記コーヒー豆挽き機と通信可能な外部装置(例えば、サーバ16、携帯端末17)を備え、
前記外部装置は、前記条件を指定するユーザによる操作が行われるものである、
ことを特徴とするコーヒー豆挽きシステム(例えば、図10や図19)。」
についても説明した。
また、
「 設定された条件でコーヒー豆を挽くグラインダにおけるコーヒー豆のグラインド方法であって、
入力情報に基づいて前記条件を自動設定する自動設定ステップと、
前記条件のうち、挽き豆の粒度に関する条件を、操作に応じて変更する手動変更ステップと、
を実行可能なことを特徴とするコーヒー豆のグラインド方法。」
についても説明した。
なお、前記自動設定ステップと前記手動変更ステップは、どちらが先に実行されてもよく、いずれか一方のみしか実行されない場合があってもよい。
また、本実施形態での第2グラインダ5Bにおける挽き方は、細挽き状態から粗挽き状態となる挽き方と、粗挽き状態から細挽き状態となる挽き方の二種類があり、図40で説明した細→粗挽きボタン173aと粗→細挽きボタン173bを用いていずれかの挽き方が指定される。細挽き状態から粗挽き状態となる挽き方が指定されている場合には、第2グラインダ5Bの刃の間隔を50μmから1000μmまで広げつつ、各間隔に対して設定された動作時間だけ第2グラインダ5Bを動作させる。一方、粗挽き状態から細挽き状態となる挽き方が指定されている場合には、第2グラインダ5Bの刃の間隔を1000μmから50μmまで狭めつつ、各間隔に対して設定された動作時間だけ第2グラインダ5Bを動作させる。この挽き方によっては、製造されるコーヒー挽き豆の粒度分布に微妙な違いが生じる場合があり、味に違いが生じる可能性があることから、本実施形態ではこれらの挽き方を設定可能な構成を採用している。
図43(B)では、細挽き状態から粗挽き状態となる挽き方が指定されているため、第2グラインダ5Bの刃の間隔を50μmから1000μmまで広げつつ、各間隔に対して設定された動作時間だけ第2グラインダ5Bを動作させる。このとき、情報表示装置12には、図44(D)に示すグラフが表示され、この動作の進行に合わせてグラフ内の領域の色が変化する。図45(A)には、グラインド開始から12.4秒が経過したときの様子が示されている。このとき、第2グラインダ5Bの刃の間隔は250μmに設定された状態となっており、図45(A)では、この250μmを境に左側の領域の色が変化したことがハッチングによって示されている。このハッチングは、該当する領域のグラインド処理が終了していることを示す一例である。また、図45(B)には、グラインド開始から30秒が経過してグラインド処理が終了したときの様子が示されている。この図45(B)においては、すべての領域がハッチングされているのは、すべてのグラインド処理が完了していることを示す一例である。図45(A)(B)の例のように、グラインド処理の進行具合が表示されることで、顧客の待ち時間を退屈しないようにしたり、店員がその間別の作業を行うといったような効率的な作業が可能となる場合がある。
図46(a)は、エスプレッソ飲料を製造する際に使用されるポーターフィルターの一例を示す図である。図46(a)に示すポーターフィルターPFは、ネイキッドタイプのものであり、底面がフィルタ構造の金属製のバスケットPFb(図46(c)参照)に挽き豆が充填され、そのバスケットPFbを円筒状の保持部PFrで保持する。保持部PFhにはハンドルPFhが設けられている。
図46(b)は、ハンドルPFhを持ってコーヒー豆挽き機のシュートGM31に、保持部PFrに保持されたバスケットPFbを宛がっている様子を示す図である。シュートGM31からは挽き豆が排出され、バスケットPFbに挽き豆が詰められていく。この作業はドーシングと称される。なお、操作者がハンドルPFhを持って宛がっている手間を省くため、バスケットPFbをシュートGM31の排出口に固定できるようにしてもよい。次いで、バスケットPFbに、挽き豆が均一に詰められているように、均す作業(レベリング)を行う。最後に、均一に詰められた挽き豆を押し固めていくタンピングという作業を行う。
図46(c)は、細挽き状態から粗挽き状態となる挽き方で挽かれた挽き豆をバスケットPFbに詰め、レベリングとタンピングを施した様子を模式的に示す図である。
図46(c)には、保持部PFrに保持されたバスケットPFbが示されている。このバスケットPFbの底面PFfはフィルタ構造になっており、図46(c)には、フィルタの目Fiが模式的に示されているが、実際には、もっと細かな目である。この底面PFf側の領域には、粒度分布で200μmの粒度をピークに持つ極細挽き豆Bvtが充填されている。図46(c)では、極細挽き豆Bvtが充填されている様子を目の細かなクロスハッチングで示している。また、その領域の上の領域には、粒度分布で600μmの粒度をピークに持つ中細挽き豆Bmtが充填されている。図46(c)では、中細挽き豆Bmtが充填されている様子を目の粗いクロスハッチングで示している。すなわち、フィルタに近い領域に相対的に細かな挽き豆が収容され、フィルタから遠い領域に相対的に粗い挽き豆が収容されている。
こうして準備されたポーターフィルターPFを用いて抽出作業を行えば、粒度が大きな領域ではお湯の抜けが良好であり、味の出方の指標である抽出効率は低下する。一方、粒度が小さな領域ではお湯の抜けが悪くなり、抽出効率は上昇する。上方(フィルタとは反対側)から注がれたお湯は、最初に抽出効率が低い領域を通過し、最後に抽出効率が高い粒度を通過する。ここで、この反対を考えてみると、注がれたお湯は、最初の領域で濃いコーヒー飲料になり、最後の領域では粒度が大きな挽き豆からはコーヒー成分が抽出されにくくなり、最後の領域にあった挽き豆が無駄になりやすいことが予想される。この予想は、お湯に対してはコーヒー成分は抽出しやすいが、コーヒー飲料に対してはコーヒー成分は抽出しにくくなる傾向にあることに基づくものである。注がれたお湯が、最初に抽出効率が低い領域を通過することで、その領域の挽き豆からコーヒー飲料が十分に抽出される。ただし、薄いコーヒー飲料である。しかしながら、薄いコーヒー飲料であるからこそコーヒー飲料の濃度に余裕があり、抽出効率が高い領域を通過してもコーヒー飲料がしっかりと抽出される。このように、ポーターフィルターPF内の挽き豆全てを有効活用するには、フィルタに近い領域ほど細かな挽き豆であることが好ましいと考えられる。特に、エスプレッソのような濃いコーヒー飲料を抽出する際に有効である。
また、図1に示す飲料製造装置1における第2グラインダ5Bでも同様に細挽き状態から粗挽き状態となる挽き方や、粗挽き状態から細挽き状態となる挽き方を行うことができる。図1に示す飲料製造装置1では、挽き豆は、抽出容器9に収容される。この抽出容器9は反転するものであり、挽き豆の収容時点(抽出容器9の反転前)では、下方の領域に相対的に粗い挽き豆が収容され、上方の領域に相対的に細かな挽き豆が収容され、抽出容器9が反転することによって、下方の領域に相対的に細かな挽き豆が位置し、上方の領域に相対的に粗い挽き豆が位置することになる。ただし、図6等に示す蓋ユニット91に設けられたフィルタを基準に見れば、バスケットPFbと同様に、フィルタに近い領域に相対的に細かな挽き豆が収容され、フィルタから遠い領域に相対的に粗い挽き豆が収容されていることになる。
なお、1回のグラインド開始操作で複数回分の抽出用の挽き豆を挽けるよう、複数セットのグラインド処理が行われるようにしてもよい。こうすることで、バスケットPFbを複数個用意しておき、1セットごとに新しいバスケットPFbをシュートGM31に宛がうようにすればよい。
また、図45(A)(B)の例では細挽き状態から粗挽き状態となる挽き方が指定されている場合に、グラフの左側から右側に向かってハッチングが広がっていく表示例について説明したが、粗挽き状態から細挽き状態となる挽き方が指定されている場合には、図45(A)(B)の例とは異なり、グラフの右側から左側に向かってハッチングが広がっていく表示になる。
さらに、上記の例では情報表示装置12にグラインド処理の進行具合が表示される構成について説明したが、オーダー情報を送信した携帯端末17においてグラインド処理の進行具合が表示される構成としてもよい。
以上の記載によれば、
『 コーヒー豆を挽くグラインダ[例えば、第2グラインダ5B]と、
前記グラインダによってひかれた挽き豆を収容する容器[例えば、バスケットPFbや抽出容器9]と、
を備えたコーヒー豆挽き機であって、
ユーザによるスタート操作[例えば、グラインド開始ボタン124のタップやスタートボタンGM15の押下、あるいはコーヒー飲料の製造指示]に応じて、1セットの挽き動作を実行可能であり、
前記1セットの挽き動作とは、前記容器の第一の領域[例えば、フィルタに相対的に近い領域あるいは下方の領域]に第一の粒度[例えば、相対的に細かな粒度あるいは粗い粒度]の挽き豆が収容され、該容器の第二の領域[例えば、フィルタから相対的に遠い領域あるいは上方の領域]に第二の粒度[例えば、相対的に粗い粒度あるいは細かな粒度]の挽き豆が収容されるようにコーヒー豆を異なる粒度に挽く動作のことである、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機[例えば、図18に示すコーヒー豆挽き機GMや図1に示す飲料製造装置1]。』
について説明した。
挽き豆の粒度が細かくなればなるほど、お湯の抜けは悪くなって抽出効率は高まる傾向にある。このコーヒーマシンによれば、この傾向を利用して、異なる粒度の挽き豆が収容された領域を設け、領域によって抽出効率を異ならせてコーヒー飲料の味を向上させることができる。
なお、前記1セットの挽き動作で挽かれるコーヒー豆の量は、1杯分のコーヒー飲料を抽出するのに必要な量であってもよいし、1回分の抽出に必要な量であってもよい。また、前記第一の粒度とは、前記第二の粒度よりも粗い粒度のことであってもよい。
また、
『 前記第一の粒度とは、前記第二の粒度よりも細かい粒度のことである、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
また、
『 前記容器は、フィルタ[例えば、図46(c)に示す底面PFfに設けられたフィルタの目Fi、あるいは図6等に示す蓋ユニット91に設けられたフィルタ]を有するものであり、
前記第一の領域とは、前記容器における前記第二の領域よりも前記フィルタに近い領域のことである、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
なお、前記第一の領域とは、前記容器における前記第二の領域よりも下の領域であってもよい。
また、
『 前記1セットの挽き動作をレシピとして記憶可能な記憶装置[例えば、図10や図19に示す記憶部11b]を備えた、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
また、
『 ユーザによるスタート操作に応じて、前記1セットの挽き動作を複数回実行可能[例えば、複数回分の抽出用の挽き豆を挽くことが可能]である、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
さらに、
「 前記コーヒー豆挽き機と通信可能な外部装置(例えば、サーバ16、携帯端末17)を備えたことを特徴とするコーヒー豆挽き機システム(例えば、図10や図19)。」
についても説明した。
また、
「 容器[例えば、バスケットPFbや抽出容器9]の第一の領域[例えば、フィルタに相対的に近い領域あるいは下方の領域]に第一の粒度[例えば、相対的に細かな粒度あるいは粗い粒度]の挽き豆を収容する第1ステップと、
前記容器の第二の領域[例えば、フィルタから相対的に遠い領域あるいは上方の領域]に第二の粒度[例えば、相対的に粗い粒度あるいは細かな粒度]の挽き豆を収容する第2ステップと、
を有することを特徴とするコーヒー豆のグラインド方法。」
についても説明した。
次に、第1グラインダ5Aと第2グラインダ5Bの組み合わせについて説明する。
図25等に示すように、第1グラインダ5Aと第2グラインダ5Bはコーヒー豆の搬送方向から見れば上流と下流に設けられた直列の関係にある。第1グラインダ5Aは、第2グラインダ5Bよりも精度良く粗い粒度のコーヒー豆を挽くことが可能なものであり、第2グラインダ5Bは、第1グラインダ5Aよりも精度良く細かい粒度のコーヒー豆を挽くことが可能なものである。より具体的には、第1グラインダ5Aは、焙煎コーヒー豆を、ある程度(例えば1/4程度)の大きさに砕き、挽き割り豆にする。第2グラインダ5Bは、第1グラインダ5Aで砕かれた挽き割り豆を所望の粒度の挽き豆にする。例えば、第2グラインダ5Bは、粗挽き、中挽き、中細挽き、細挽き、極細挽きを行うことができ、第1グラインダ5Aは、粗挽きほど細かくは挽くことができない。ただし、コーヒー豆に付着している不要物を分離しやすくするためには、第1グラインダ5Aである程度の大ききまで砕いておくことが好ましい。
しかしながら、分離装置6による、チャフや微粉といった不要物の分離のしやすさを無視すれば、第1グラインダ5Aを駆動せず、第2グラインダ5Bのみによってコーヒー豆のグラインド処理を行うことも可能である。
図47(a)は、第1グラインダ5Aを構成する回転刃58aを単体で示す斜視図である。
回転刃58aには、4枚の刃58a1~58a4それぞれから、回転軸58as回りに斜め下に延びる案内路58agが設けられている。図47(a)に示すように、回転刃58aが回転しない場合には、貯留装置4から送られてきた焙煎コーヒー豆Bは、この案内路58agを通って、形状及び大きさを維持したまま第2グラインダ5Bに送り込まれる。そして、第2グラインダ5Bで、所望の粒度に挽かれる。この場合には、第1グラインダ5A及び第2グラインダ5Bによる二段階の粉砕ではなく、第2グラインダ5Bのみによる一段階の粉砕になる。
なお、第1グラインダ5Aに代えて、第2グラインダ5Bと同じグラインダを設け、上流側のグラインダでも、粗挽き、中挽き、中細挽き、細挽き、極細挽きを行うことができるようにしてもよい。この場合、例えば、上流側のグラインダで粗挽きを行い、分離装置6による不要物の分離を行った上で、第2グラインダ5Bで中挽き以下の細かい挽き方を行うようにしてもよい。あるいは、上流側のグラインダで中細挽きを行い、分離装置6による不要物の分離を行った上で、第2グラインダ5Bではグラインド処理は行わずに、シュートGM31から中細挽きされた挽き豆を排出するようにしてもよい。
図47(b)は、図25等に示す粉砕装置5の変形例を示す図である。
図25等に示す粉砕装置5は、2つのグラインダが直列に配置されたものであったが、この変形例の粉砕装置5’では、3つのグラインダのうち、下流側の2つのグラインダは並列に配置されている。図47(b)に示す貯留装置4の下流側には、第1グラインダ5Aが配置されている。図25等に示す粉砕装置5では、第1グラインダ5Aの下流には、形成ユニット6Bが設けられているが、この変形例では、形成ユニット6Bは省略され、筒状の案内通路6Cが設けられている。案内通路6Cの下流側には、連結ダクト661がそれぞれ接続した第2グラインダ5Bが2つ配置されている。案内通路6Cは、これら2つの第2グラインダ5Bのうちのいずれか一方に、第1グラインダ5Aでグラインド処理された挽き割り豆を振り分ける通路である。なお、第2グラインダ5Bの数は2つに限らず3つ以上であってもよい。図19に示す処理部11aによって、案内通路6Cの通路切り替えが実行される。また、案内通路6Cの通路切り替えは手動でも行えるようにしてもよい。あるいは、携帯端末17等の外部端末からの指示によって通路切り替えが行われるようにしてもよい。この変形例では、1台の第1グラインダ5Aおよび2台の第2グラインダ5Bといった合計3台のグラインダを備えたコーヒー豆挽き機GMにおいてコーヒー豆を挽くグラインダを、それら3台のグラインダの中から選択する選択ステップと、選択したグラインダにコーヒー豆を供給する供給ステップと、供給ステップで供給されたコーヒー豆をグラインダで挽くグラインドステップが実行される。供給ステップでは、2台の第2グラインダ5Bのうちいずれか一方の第2グラインダ5Bが選択された場合には、その選択された第2グラインダ5Bに案内通路6Cによってコーヒー豆が供給される。なお、選択ステップでは、1台の第1グラインダ5Aの選択は任意であるが、2台の第2グラインダ5Bの選択ではいずれか一方の第2グラインダ5Bが必ず選択されるようにしてもよい。あるいは、2台の第2グラインダ5Bが選択されない場合は、案内通路6Cからコーヒー豆が直接排出されるようにしてもよい。
この変形例によれば、第2グラインダ5Bが複数設置されていることによって、第2グラインダ5Bによるグラインド処理を並行して行うことができる。例えば、図37を用いて説明した、第2グラインダ5Bへの挽き豆の投入量制御において、1つ目の第2グラインダ5Bへの投入量を減少させる必要が生じた場合には、案内通路6Cの通路切り替えを行い、2つ目の第2グラインダ5Bへの投入を開始すれば、投入量を減少させる必要がなくなり、グラインド処理の効率低下を避けることができる。
なお、図47(b)に示す変形例では、形成ユニット6Bは省略されているが、案内通路6Cの上流端に形成ユニット6Bを設けておき、通路切り替えが完了してから不要物の分離を行うようにしてもよい。また、切り替え可能な案内通路6Cの代わりに固定通路を設け、複数用意された第2グラインダ5Bが、その固定通路の下流端に移動してくることでグラインダの切り替えが行われる態様であってもよい。さらには、同機能のグラインダを複数台並列に設けておくのではなく、異なる機能のグラインダを複数台並列に設けておいてもよい。例えば、粗挽き専用のグラインダと、中挽き専用のグラインダと、中細挽き専用のグラインダと、細挽き専用のグラインダと、極細挽き専用のグラインダを並列に設けておいて、選択することができるようにしてもよい。また、上流側の第1グラインダ5Aを省略してもよい。あるいは、第2グラインダ5Bよりも下流にさらにグラインダを設けてもよい。第2グラインダ5Bよりも下流に設けられるグラインダは、1台であってもよく、複数台であってもよい。複数台である場合は、直列に配置されていてもよいし、並列に配置されていてもよい。
以上、図47を用いて説明した粉砕装置5の態様は、図1に示す飲料製造装置1の粉砕装置としても適用可能である。
以上の記載によれば、
『 複数のグラインダ[例えば、直列関係の第1グラインダ5Aおよび第2グラインダ5Bあるいは並列関係の複数の第2グラインダ5B]を備えたコーヒー豆挽き機であって、
コーヒー豆を挽くグラインダを前記複数のグラインダから選択可能である[例えば、直列関係の第1グラインダ5Aおよび第2グラインダ5Bの両方を選択、第2グラインダ5Bのみを選択、あるいは並列関係の複数の第2グラインダ5Bを1台ずつ選択]、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機[例えば、図18に示すコーヒー豆挽き機GMや図1に示す飲料製造装置1]。』
について説明した。
このコーヒー豆挽き機によれば、コーヒー豆を挽くグラインダを複数のグラインダから選択可能であるため、従来のコーヒー豆挽き機よりも多くのグラインド処理の要望に応じやすい。
なお、選択するグラインダは、一つであってもよいし複数であってもよい。
また、
『 前記複数のグラインダは、第一のグラインダ[例えば、第1グラインダ5A]及び第二のグラインダ[例えば、第2グラインダ5B]を含むものであり、
前記第一のグラインダ及び前記第二のグラインダのうちの一方[例えば、第2グラインダ5Bのみ]又は両方[例えば、第1グラインダ5Aおよび第2グラインダ5B]によってコーヒー豆を挽くかどうかを選択可能である、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
また、
『 前記第二のグラインダよりも前記第一のグラインダの方がコーヒー豆を精度よく粗く挽く[例えば、焙煎コーヒー豆を、ある程度(例えば1/4程度)の大きさに砕く]ことが可能であり、
前記第一のグラインダよりも前記第二のグラインダの方がコーヒー豆を精度よく細かく挽くことが可能[例えば、粗挽き、中挽き、中細挽き、細挽き、極細挽きを行うことができる]である、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
また、
『 前記第一のグラインダ[例えば、第1グラインダ5A]及び前記第二のグラインダ[例えば、第2グラインダ5B]の両方のグラインダによってコーヒー豆を挽く場合、該第一のグラインダ[例えば、上流側の第1グラインダ5A]によって挽いたコーヒー豆を該第二のグラインダ[例えば、下流側の第2グラインダ5B]によってさらに細かく挽く、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
また、
『 前記第一のグラインダ[例えば、図47(b)に示す左側の第2グラインダ5B]及び前記第二のグラインダ[例えば、図47(b)に示す右側の第2グラインダ5B]の一方のグラインダによってコーヒー豆を挽く場合、コーヒー豆が該一方のグラインダに案内される[例えば、案内通路6Cによって案内される]、
ことを特徴とするコーヒー豆挽き機。』
についても説明した。
すなわち、前記第一のグラインダ及び前記第二のグラインダのうちのいずれか一方のグラインダに、コーヒー豆を案内する案内通路[例えば、図47(b)に示す案内通路6C]を備えた態様であってもよい。前記一方のグラインダに対して前記案内通路が動くことで、該一方のグラインダに、コーヒー豆を案内する態様であってもよいし、前記案内通路に対して前記一方のグラインダが移動することで、該一方のグラインダに、コーヒー豆が案内される態様であってもよいし、前記案内通路が動くとともに前記一方のグラインダも移動することで、該一方のグラインダに、コーヒー豆が案内される態様であってもよい。
さらに、
「 前記コーヒー豆挽き機と通信可能な外部装置(例えば、サーバ16、携帯端末17)を備えたことを特徴とするコーヒー豆挽き機システム(例えば、図10や図19)。」
についても説明した。
また、
「複数のグラインダを備えたコーヒー豆挽き機においてコーヒー豆を挽くグラインダを該複数のグラインダから選択する選択ステップと、
選択したグラインダにコーヒー豆を供給する供給ステップと、
前記供給ステップで供給されたコーヒー豆を前記グラインダで挽くグラインドステップと、
を有することを特徴とするコーヒー豆のグラインド方法。」
についても説明した。
なお、選択するグラインダは、一つであってもよいし複数であってもよい。
続いて、図18に示すハンマー部材GM32の変形例について説明する。以下の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して説明する。
図48は、変形例のハンマー機構をシュートとともに模式的に示した図である。この図48は、正面図であって、紙面手前側が正面側になり、右側がコーヒー豆挽き機の左側になる。
ハンマー機構H1は、シュートGM31に対して、コーヒー豆挽き機の左側、すなわち操作者の右手側に配置されている。したがって、図18に示すハンマー部材GM32とは反対側に配置されていることになる。図48に示すハンマー機構H1は、ハンマーH10と、シャフトH20と、ねじりコイルバネH30を備えている。シャフトH20は、不図示のフロントカバーに固定されている。ハンマーH10は初期位置から手動で回動するものであり、シャフトH20は、ハンマーH10の回動中心を貫通している。このシャフトH20には、ねじりコイルバネH30が嵌められており、初期位置から手動で回動させられたハンマーH10は、ねじりコイルバネH30の弾性力によって初期位置に復帰する。ハンマーH10の回動動作については詳しくは後述する。ハンマーH10は、ガラス繊維が含有されたナイロン樹脂を一体成形することで得られたものである。このハンマーH10は、シャフト貫通部H11と、シャフト貫通部H11から下方に延びた保持アームH12と、シャフト貫通部H11からシュートGM31側に延びた打撃アームH13と、シャフト貫通部H11からシュートGM31側とは反対側に延びた操作アームH14を有する。
図48には、固定保持部材GM33が示されており、さらにその下方には、シュートGM31から排出される挽き豆を収容するカップCPも示されている。このカップCPは、コーヒー豆挽き機を構成する要素ではなく、操作者が手に持っている状態である。
図48では、固定保持部材GM33は1つしか示されていないが、固定保持部材GM33はコーヒー豆挽き機の奥行き方向に2つ並んで設けられており、図48では同図に示す固定保持部材GM33の奥側にもう一つの固定保持部材が配置されている。固定保持部材GM33は、ハンマーH10の保持アームH12とシュートGM31との間に位置している。固定保持部材GM33は、不図示のフロントカバーに固定されたシャフトGM331と、シャフトGM331の下端に取り付けられたゴムキャップGM332を有する。
ハンマーH10の保持アームH12の先端部には、固定保持部材GM33側に突出した保持部H121が設けられており、図48に示す保持部H121は、固定保持部材GM33のゴムキャップGM332に当接している。また、図48に示すハンマーH10の打撃アームH13の先端部には、打撃部H131が設けられており、図48に示す打撃部H131は、シュートGM31の左側壁部分に当接している。さらに、図48に示すハンマーH10の操作アームH14は、操作者の右手側に延びている。図48に示すハンマーH10は初期状態にある。すなわち、ハンマーH10は、ねじりコイルバネH30の弾性力によって時計回りの矢印方向に付勢されており、打撃部H131がシュートGM31に当接するとともに保持部H121が固定保持部材GM33に当接することで矢印方向の回動が止められている。
図49は、ハンマーH10の打撃動作を段階的に示した図である。この図49には、図48に示したカップCPは示されていない。また、ねじりコイルバネH30は図示省略されている。
図49(A)は、図48に示すハンマーH10と同じく初期状態にあるハンマーH10を示す図である。すなわち、打撃部H131がシュートGM31の左側壁部分に当接するとともに保持部H121が固定保持部材GM33のゴムキャップGM332に当接した状態である。この初期状態のハンマーH10の操作アームH14は、操作者の右手側に延びており、操作者は、操作アームH14先端の指かけ部H141の裏側に指を当て、指かけ部H141を持ち上げる。ハンマーH10は、図48に示すねじりコイルバネH30の付勢力に抗して反時計回りの矢印方向に回動し、ハンマーH10は打撃準備状態になる。
図49(B)は、打撃準備状態にあるハンマーH10を示す図である。打撃準備状態にあるハンマーH10は、打撃部H131がシュートGM31から十分に離間した状態にある。なお、図49(B)では、打撃アームH13が、固定保持部材GM33のゴムキャップGM332に当接し、それ以上のハンマーH10の反時計回りの回動が妨げられている。ただし、奥行き方向に2つ並んだ固定保持部材GM33の間を打撃アームH13が通過できるようにして、さらにハンマーH10が反時計回りに回動できるようにしてもよい。この図49(B)では、指かけ部H141が操作者によってまだ持ち上げられている。
図49(C)では、操作者が指かけ部H141から指を離した後の状態が示されている。ハンマーH10は、図48に示すねじりコイルバネH30の弾性力によって時計回りの矢印方向に勢いよく回動し、打撃部H131がシュートGM31の左側壁部分を叩き、シュートGM31に衝撃を与える。この衝撃によって、シュートGM31の内周壁に付着していた挽き豆Bdpが剥がれ、シュートGM31の排出口GM311から排出される。シュートGM31の左側壁部分を叩いたハンマーH10は、図49(A)に示す初期状態に復帰する。
図50は、ハンマーH10の保持部H121と固定保持部材GM33とによってカップCPを保持する保持動作を段階的に示した図である。この図50でも、ねじりコイルバネH30は図示省略されている。
図50(A)は、図48に示すハンマーH10と同じく初期状態にあるハンマーH10を示す図である。したがって、保持部H121が固定保持部材GM33のゴムキャップGM332に当接した状態である。この初期状態のハンマーH10の指かけ部H141を、打撃動作のときと同様に持ち上げる。ただしここでは、打撃動作ほど高く持ち上げる必要はなく、保持部H121とゴムキャップGM332の間に、カップCPの周壁CP1が入る程度の隙間ができればよい。この図50(A)では、ハンマーH10の下方にカップCPが用意されている。
図50(B)に示すように、保持部H121とゴムキャップGM332の間にそのような隙間ができれば、カップCPを持ち上げ、保持部H121とゴムキャップGM332の間に、カップCPの周壁CP1を差し込む。差し込みが完了すると、カップCPを持ったまま、指かけ部H141から指を離す。
図50(C)では、操作者が指かけ部H141から指を離した後の状態が示されている。ハンマーH10は、図48に示すねじりコイルバネH30の弾性力によって時計回りの方向に戻り、ゴムキャップGM332に対して保持部H121が近づき、図50(C)に示すように、ゴムキャップGM332と保持部H121の間でカップCPの周壁CP1を挟み込んだ状態になる。すなわち、ここでは1つしか示されていないがコーヒー豆挽き機の奥行き方向に2つ並んで設けられた固定保持部材GM33が、カップCPの周壁CP1の内側からその周壁CP1に2箇所で接し、ハンマーH10の保持部H121が、その周壁CP1の外側からその周壁CP1に1箇所で接する。図50(C)に示すハンマーH10の状態を保持状態と称する。この保持状態のハンマーH10では、カップCPから手を離してもコイルバネH30の弾性力によってカップCPが保持されている。しかも、固定保持部材GM33に設けられたゴムキャップGM332がカップCPの滑り止めとして機能し、カップCPはより安定して保持される。なお、保持部H121は、ガラス繊維が含有されたナイロン樹脂製であり、滑り止め防止材料が付加されていないが、固定保持部材GM33のゴムキャップGM332のように、保持部H121にも滑り止め防止材料を付加してもよい。
以上説明したように、初期状態から保持状態への移行は指かけ部H141を操作することで行ったが、指かけ部H141を操作せずに、保持部H121とゴムキャップGM332の間にカップCPを持ち上げる力でその周壁CP1を入り込ませることも可能である。特に、カップCPが金属製等の割れる恐れが少ないものであれば、後述するように、ねじりコイルバネH30の弾性力を必要以上に強いものにすることが不要であるため、カップCPを持ち上げる力だけで初期状態から保持状態へ容易に移行させることができる。
図50(C)に示すカップCPの口CP2は、シュートGM31の排出口GM311よりも上方に位置しており、その排出口GM311から排出される挽き豆がカップCP内に確実に収容される。
図50(D)は、保持状態にあるハンマーH10の保持部H121とゴムキャップGM332の間からカップCPを取り外す様子を示した図である。
シュートGM31からの挽き豆の排出が終了すると、カップCPを取り外す。まず、カップCPを左手で持ち、右手の指で、保持状態にあるハンマーH10の指かけ部H141を同図(A)のときと同様に少し持ち上げる。すると、保持部H121とゴムキャップGM332の間に隙間ができ、カップCPを下方に引けば、カップCPを取り外すことができる。この後、図49を用いて説明したハンマーH10の打撃動作を行い、シュートGM31の内周壁に付着した挽き豆を叩き落とせばよい。
従来のコーヒー豆挽き機では、グラインド処理の最中に、カップCPを常に持っておかなければならず、他の作業を行うことが困難である。しかしながら、この変形例では、コーヒー豆挽き機によってカップCPが保持されるため、グラインド処理の最中に、他の作業を行うことが容易になる。しかも、ハンマーH10を、カップCPの保持とシュートGM31の打撃といった二つの用途に兼用するため、これら二つの用途のために別々の部材を設けるよりも部材の設置スペースがコンパクトになりコストも安価になる。また、シュートGM31の打撃を手動にしたことにより、電動にする場合よりも設置スペースがコンパクトになりコストも安価になっている。さらに、シュートGM31の打撃を手動にするにあたり、ねじりコイルバネH30を用いたことによって、そのねじりコイルバネH30の弾性力を利用することでカップCPの保持が可能になっている。このように、シュートGM31の打撃とカップCPの保持に共通のねじりコイルバネH30を利用する場合、打撃と保持は異なる場面で行われることからハンマーG10の共通の部位で打撃と保持を行うことが考えられる。例えば、シュートGM31と打撃部H131の間でカップCPを挟み込むことが考えられる。こうする場合、シュートGM31と打撃部H131のうちの少なくとも一方にゴムキャップGM332のような滑り止め部材を設ける必要が生じる。ところが、ゴムキャップGM332のような滑り止め部材は、一般的に衝撃を弱める機能もあり、シュートGM31の打撃の際には、その打撃による衝撃を弱めてしまう。このため、ねじりコイルバネH30の弾性力を強いものにする必要が生じ、操作アームH14の操作が大変になる恐れがある。これに対して、上述した変形例では、打撃部H131と保持部H121とを別の部位にすることで、ねじりコイルバネH30の弾性力を必要以上に強いものにすることが不要になり、操作アームH14の操作が容易になる。
続いて、図18に示すコーヒー豆挽き機を第1実施形態のコーヒー豆挽き機とした場合の、第2実施形態のコーヒー豆挽き機について説明する。以下の説明でも、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して説明する。また、図18に示すコーヒー豆挽き機との相違点について説明し、重複する説明は省略する。
図51は、第2実施形態のコーヒー豆挽き機の斜視図である。図51(A)は、カップCPを保持した状態のコーヒー豆挽き機GMを、機械の左斜め前、すなわち操作者からすると右斜め前から見たときの斜視図であり、同図(B)は、カップCPを取り外したコーヒー豆挽き機GMを、機械の右斜め前、すなわち操作者からすると左斜め前から見たときの斜視図である。
図51に示す第2実施形態のコーヒー豆挽き機GMは、図48~図50を用いて説明したハンマー機構H1と似た機構を備えており、図51には、ハンマーH10の操作アームH14が示されている。また、図51(A)には、それぞれの下端にゴムキャップGM332が取り付けられた2つの固定保持部材GM33が示されている。さらに、図51(B)には、ハンマーH10の保持部H121が示されている。図51(A)に示すハンマーH10は保持状態にあり、同図(B)に示すハンマーH10は初期状態にある。
図18に示すコーヒー豆挽き機GMでは、機械の右側にハンマー部材GM32が設けられ、操作者は左手でそのハンマー部材GM32を操作しなければならなかったが、図51に示すコーヒー豆挽き機GMでは、機械の左側に操作アームH14が延びており、操作者は右手で操作アームH14を操作することができる。また、シュートGM31は、左半分の多くがフロントカバーGM40に覆われており、ハンマーH10の打撃部H131もフロントカバーGM40によって見えない。なお、排出口GM311はフロントカバーGM40によって覆われていない。
次に、図51に示すコーヒー豆挽き機GMのハンマー機構H1について詳しく説明する。なお、図48~図50を用いて説明したハンマー機構H1との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する場合がある。
図52(A)は、図51に示すコーヒー豆挽き機GMからフロントカバーGM40を取り外した様子を拡大して示す図であり、同図(B)は、ハンマー機構H1の分解斜視図である。
図52(B)に示すように、ハンマー機構H1は、ハンマーH10と、シャフトH20を備えている。シャフトH20は、取り外したフロントカバーGM40に固定されている。また、図52には、固定保持部材GM33のシャフトGM331も示されている。このシャフトGM331の上端部分も取り外したフロントカバーGM40に固定されている。
ハンマーH10は、ガラス繊維が含有されたナイロン樹脂を一体成形することで得られたものであって、シャフト貫通部H11と、保持アームH12と、打撃アームH13と、操作アームH14を有する。また、ハンマー機構H1は、ねじりコイルバネHも備えている。ねじりコイルバネHは、コイル状に券回したコイル部分と、コイル部分から2方向に延在した腕部を有する。このねじりコイルバネHは、シャフト貫通部H11の内部に嵌め込まれ、上記コイル部分にはシャフトH20が貫通している。図52では、上記コイル部分から2方向に延在したうちの一方の腕部H31が見えている。また、図52(B)には、シャフトH20の先端に取り付けられる抜け止め防止部材H21も示されている。
保持アームH12の先端部には、固定保持部材GM33側に突出した保持部H121が設けられており、図52(A)では、その保持部H121が固定保持部材GM33のゴムキャップGM332に当接している。
図52(A)には、初期状態にあるハンマーH10が示されている。この第2実施形態のコーヒー豆挽き機GMに搭載されたハンマー機構H1では、コイルバネH30の弾性力による付勢方向が、図48に示すハンマー機構H1とは逆方向である。すなわち、図52(A)に示すハンマーH10は、反時計回りの方向に付勢されており、打撃部H131がシュートGM31に当接するとともに保持部H121が固定保持部材GM33のゴムキャップGM332に当接することで反時計回りの方向の回動が止められている。図52(A)では、シュートGM31の、打撃部H131が当接する箇所が見えないが、同図(B)では、その箇所が見える。シュートGM31の、打撃部H131が当接する箇所には、L字状の受け部GM312が設けられている。シュートGM31も、ハンマーH10と同じく、ガラス繊維が含有されたナイロン樹脂を、射出成形によって一体成形することで得られたものである。この受け部GM312も筒部GM313等とともに一体成形されたものである。受け部GM312は、強度を高めるため肉厚になっている。この受け部GM312にはスリットが設けられているが、スリットは、製造上の引け防止のための肉抜きになる。
ここで、図52(B)を用いて、シュートGM31の構造についてさらに説明する。この図52(B)には、図36に図示したフレーム部材694と同じ部材になるフレーム部材694が示されている。シュートGM31は、上下方向に延びた回動軸GM314を回動中心にして横方向に開閉可能である。シュートGM31を横方向に開けると、第2グラインダ5Bでグラインド処理された挽き豆の排出口にアクセスすることができ、その排出口周りの掃除等のメンテナンスが行いやすくなる。図52(B)に示すシュートGM31は、上部接合部GM315の箇所でフレーム部材694側と磁力により接合しており、シュートGM31が不用意に開くことが防止されている。シュートGM31の筒部GM313では、上部接合部GM315の真横辺りの位置が入口3130(図53(B)参照)になる。第2グラインダ5Bでグラインド処理された挽き豆の排出口は、フレーム部材694に設けられており、この排出口に入口3130が接続し、その排出口から挽き豆が勢いよく飛び出してくる。挽き豆は、この入口3130と受け部GM312の間の高さ位置で筒部313の内周壁にぶつかり、放っておくと、ぶつかった位置に挽き豆が堆積し、シュートGM31からの挽き豆の排出に支障をきたす場合がある。そのため、ハンマーH10の打撃動作を行う。
図52に示すハンマーH10の打撃動作では、初期状態にあるハンマーH10の操作アームH14の先端部分になる指かけ部H141に指を載せ、下方向に押し込む(図52(A)に示す矢印参照)。ハンマーH10は、打撃部H131が持ち上がるように回動し、打撃準備状態になる。この状態で指かけ部H141から指を離すと、ハンマーH10は、ねじりコイルバネH30の弾性力によって反時計回りの方向に勢いよく回動する。すなわち、9時側の位置に設けられた受け部GM312に向けて、打撃部H131が10時側の位置から勢いよく回動し、打撃部H131が受け部GM312を叩くことでシュートGM31に衝撃を与える。この衝撃によって、筒部GM313の内周壁に付着していた挽き豆が剥がれ、シュートGM31の排出口GM311から排出される。受け部GM312は、下方に向かうほどハンマーH10側にせり出すように傾斜した傾斜面3121と、傾斜面3121の下端からハンマーH10側に突出した突出面3122を有する。
図53(A)は、ハンマーH10の側面図であり、同図(B)は、ハンマーH10とシュートGM31を下方から示した斜視図である。この図53(B)では、シュートGM31の排出口GM311が紙面手前側に向かって開口している。また、図53(B)では図の下方が第2グラインダ5B側になり、シュートGM31の、第2グラインダ5Bの排出口に接続する入口3130も示されている。
図53(A)には、打撃部H131における、受け部GM312の傾斜面3121に当接する第1打撃面1311が示されている。この第1打撃面1311は、ハンマーH10が初期状態である場合には、傾斜面3121全体に当接している。また、図53(A)には、打撃部H131における、受け部GM312の突出面3122に当接する第2打撃面1312も示されている。さらに、図53(B)に示すように、第2打撃面1312も、ハンマーH10が初期状態である場合には、突出面3122全体に当接している。また、図53(B)では、各部の横幅の長さは矢印Wtで表す上下方向の長さになる。図53(B)に示す突出面3122の横幅よりも第2打撃面1312の横幅の方が広く、傾斜面3121の横幅よりも第1打撃面1311の横幅の方が広い。すなわち、打撃部H131の横幅の方が受け部GM312の横幅よりも広く、打撃部H131が受け部GM312に確実に当接する構造になっている。
回動してきた打撃部H131は、最初は第1打撃面1311が傾斜面3121に衝突しながらさらに回動を続け、最後は第2打撃面1312が突出面3122に衝突して止まる。この結果、シュートGM31は斜めに叩かれたようになる。すなわち、シュートGM31には、下方向の衝撃と横方向の衝撃が加わり、複数方向の振動が生じ、内周壁に付着していた挽き豆がより剥がれやすくなる。なお、図52に示すハンマー機構H1でも、コイルバネH30の弾性力は必要以上に強くないため、初期状態にあるハンマーH10の指かけ部H141を下方に少し強めに弾くようにすることで、打撃動作を簡単に行わせることができる。この弾く操作を繰り返し連続で行えば、シュートGM31への打撃がより有効に機能するようになる。
次に、カップCPの保持動作について、図51等を用いて説明する。
図51(B)に示す初期状態にあるハンマーH10の指かけ部H141に右手の指を載せて軽く押し、保持部H121とゴムキャップGM332の間に、カップCPの周壁CP1が入る程度の隙間を作る。左手でカップCPを持って、保持部H121とゴムキャップGM332の間に、カップCPの周壁CP1を差し込む。差し込みが完了すると、カップCPを持ったまま、指かけ部H141から指を離す。ハンマーH10は、ねじりコイルバネH30の弾性力によって反時計回りの方向に戻り、ゴムキャップGM332と保持部H121の間でカップCPの周壁CP1を挟み込んだ、図51(A)に示す状態(保持状態)になる。すなわち、2つ並んで設けられた固定保持部材GM33が、カップCPの周壁CP1の外側からその周壁CP1に2箇所で接し、ハンマーH10の保持部H121が、その周壁CP1の内側からその周壁CP1に1箇所で接する。この状態でカップCPから手を離してもコイルバネH30の弾性力によってカップCPが保持されている。しかも、ゴムキャップGM332がカップCPの滑り止めとして機能し、カップCPはより安定して保持されている。
コーヒー豆挽き機GMではグラインド処理が実行され、シュートGM31から挽き豆が排出され、コーヒー豆挽き機GMに保持されたカップCPに挽き豆が収容される。シュートGM31からの挽き豆の排出が終了すると、カップCPを左手で持ち、右手の指を、保持状態にあるハンマーH10の指かけ部H141に載せて軽く押す。すると、保持部H121とゴムキャップGM332の間に隙間ができ、カップCPを下方に引けば、カップCPを取り外すことができる。この後、ハンマーH10の打撃動作を行い、シュートGM31の内周壁に付着した挽き豆を叩き落とせばよい。
なお、この第2実施形態におけるハンマー機構H1でも、ねじりコイルバネH30の弾性力を必要以上に強いものにすることが不要であるため、初期状態から保持状態への移行や、保持状態から初期状態への移行は、指かけ部H141を操作せずに、カップCPを操作する力だけでも可能である。
以上の記載によれば、
『 コーヒー豆を挽くグラインダ[例えば、粉砕装置5]と、
前記グラインダで挽かれた挽き豆を排出するシュート[例えば、シュートGM31]と、
を備えたコーヒーマシンであって、
回動可能なハンマー[例えば、ハンマーH10]と、
第一の保持部材[例えば、固定保持部材GM33]と、
を備え、
前記ハンマーは、初期状態[例えば、図48、図49(A)、図50(A)、図51(B)、図52(A)]では前記シュートに弾性力により当接する打撃部材[例えば、打撃部H131]と、該シュートから排出される挽き豆を収容するカップ[例えば、カップCP]を該弾性力により前記第一の保持部材との間に挟んで保持する第二の保持部材[例えば、保持部H121]とを有し、該初期状態から回動することで該打撃部材が該シュートから一旦離間した打撃準備状態[例えば、図49(B)]になるものであり、
前記第二の保持部材は、前記初期状態では前記第一の保持部材との間隔が前記カップの周壁[例えば、周壁CP1]の厚みよりも小さくなる位置に配置されるものであり、
前記打撃部材は、前記ハンマーが前記打撃準備状態から前記初期状態に前記弾性力により復帰する際、前記シュートに衝撃を与えるものである[例えば、図49(C)]、
ことを特徴とするコーヒーマシン[例えば、飲料製造装置1、コーヒー豆挽き機GM]。』
について説明した。
このコーヒーマシンによれば、弾性力を利用して前記シュートに衝撃を与える仕組みであるため、該シュートの内周壁に挽き豆が堆積することを抑える機構をコンパクトかつ安価に搭載することができる。しかも、前記ハンマーは、前記カップを保持する部材としても機能するため、操作性が良くなるばかりか、打撃部材と保持部材を別々に設けるよりもコンパクトになりコストも抑えることができる。
なお、コーヒーマシンは、コーヒー豆を用いた調整を行う機器であれば広く適用することができ、コーヒー飲料製造装置であってもよいし、コーヒー豆挽き機であってもよい。
また、前記弾性力を付与する弾性力付与部材(例えば、バネ部材)を有する態様であってもよい。
前記ハンマーは、前記第一の保持部材と前記第二の保持部材の間に該カップを入れると保持状態になるものであってもよい。前記保持状態は、前記打撃部材と前記シュートとの間に隙間ができる状態であってもよい。
前記第二の保持部材は、前記初期状態では前記第一の保持部材に接した位置に配置されるものであってもよい。
前記ハンマーは、異なる箇所に前記打撃部材と前記第二の保持部材とを有するものである。例えば、前記打撃部材と前記第二の保持部材は、分岐した箇所に設けられたものであってもよい。すなわち、前記ハンマーは第一のアーム部[例えば、打撃アームH13]と該第一のアーム部とは別の第二のアーム部[例えば、保持アームH12]を有するものであり、前記第一アーム部は、前記打撃部材[例えば、打撃部H131]が設けられたものであり、前記第二のアーム部は前記第二の保持部材[例えば、保持部H121]が設けられたものであってもよい。より具体的には、前記ハンマーは、前記初期状態では前記シュートに当接する第一のアーム部と、前記保持状態では前記カップの前記周壁に当接する第二のアーム部を有するものであり、前記第一アーム部は、前記初期状態において前記シュートに当接する部位に前記打撃部材が設けられたものであり、前記第二のアーム部は、前記保持状態において前記カップの前記周壁に当接する部位に前記第二の保持部材が設けられたものであってもよい。
また、
『 前記第一の保持部材と前記第二の保持部材のうちの少なくとも一方は、滑り止め部[例えば、ゴムキャップGM332]を有するものである、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
前記滑り止め部を備えることで、前記カップがより安定して保持される。また、前記打撃部材は前記第二の保持部材とは別部材であることから、前記滑り止め部を設けたとしても、該打撃部材による前記シュートの打撃に影響が出ることはない。
なお、両方が滑り止め部を有していてもよい。
また、
『 前記第一の保持部材と前記第二の保持部材のうちの一方の保持部材[例えば、図51に示す保持部H121]は、前記周壁[例えば、周壁CP1]の内側から該周壁に1箇所で接するものであり、
前記第一の保持部材と前記第二の保持部材のうちの、前記一方に対する他方の保持部材[例えば、図51に示す固定保持部材GM33]は、前記周壁[例えば、周壁CP1]の外側から該周壁に2箇所で接するものである、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
前記周壁を3箇所で保持することで、前記カップがより一層安定して保持される。
さらに、
『 前記第一の保持部材は、固定配置され、前記他方の保持部材に相当するもの[例えば、図51に示す固定保持部材GM33]であり、
前記第二の保持部材は、前記一方の保持部材に相当するもの[例えば、図51に示す保持部H121]である、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
この態様によれば、回動可能なハンマーが有する前記第二の保持部材が前記周壁に1箇所で接するものであることから、該ハンマーを軽量化することができ、該ハンマーの操作が容易になる利点がある。
また、
『 前記ハンマーは、前記初期状態から前記打撃準備状態へ移行する際に操作される操作部[例えば、指かけ部H141]を有するものであり、
前記操作部は、操作者の右手側に位置するものである、
ことを特徴とするコーヒーマシン。』
についても説明した。
右利きの操作者には前記操作部が操作しやすい。
なお、前記操作部は、前記初期状態から前記保持状態へ移行する際にも、該保持状態から前記初期状態へ戻す際にも操作されるものである。
続いて、第2実施形態のコーヒー豆挽き機GMに搭載された第2グラインダ5Bが備える固定刃57bと回転刃58bについて詳述する。固定刃57bは回転はしないが、回転刃58bに対して昇降する。回転刃58bは、回転はするが上下方向の位置は固定されている。
図54(A)は、回転刃58bと、初期位置に位置しその回転刃58bと最も離れた状態にある固定刃57bを示す斜視図であり、同図(B)は、同図(A)に示す状態から固定刃57bを取り除き回転刃58bのみを示した斜視図である。
図54(A)に示す固定刃57bの中心部分には、貫通孔571が設けられている。また、周方向に120度間隔で取付孔579も設けられている。
固定刃57bと回転刃58bそれぞれが対向する面(以下、刃面と称する)は、両者とも同じ構成であるため、以下では回転刃58bを例にあげて説明する。
刃面は、最外周の縁部に、コーヒー豆を設定した粒度に磨り潰すための摩砕部582が一周連続して設けられており、この摩砕部582は外側と内側で深さが変わるものではない。一方、刃面における、摩砕部582よりも内側は、中心に向かうほど深くなる皿状に形成された傾斜面583になっている。
図55(A)は、回転刃58bの平面図を示す図である。
図55(A)に示す回転刃58bの回転方向は、図中に矢印で示した反時計回りの方向である。この回転刃58bの中心部分にも、貫通孔581が設けられており、回転刃58bは、平面視でドーナツ状である。また、周方向に120度間隔で取付孔589も設けられている。これらの取付孔589を利用して、回転刃58bは回転土台に回転不能に固定される。
図54(C)は、回転土台59を示す図である。
図54(C)に示す回転土台59には、周方向に120度間隔でボルト受け孔591が設けられており、回転刃58bの取付孔589に挿通された不図示のボルトが、これらのボルト受け孔591に螺合する。また、回転土台59の中心部分には、図32に示す回転軸54bが嵌合する嵌合孔592も設けられている。回転軸54bが回転すると回転土台59は、矢印方向に回転し、回転土台59に取り付けられた回転刃58bが回転する。さらに、回転土台59の外周部分には、周方向に間隔をあけて6本のブレード593が立設している。これら6本のブレード593は、回転刃54bと図52(B)に示すフレーム部材694の内周壁との間の排出空間に位置し、回転刃58bとともに回転することにより上記排出空間内を周方向に移動する。回転刃54bの刃面と固定刃57bの刃面の間で挽かれた挽き豆は、上記排出空間に排出され、これら6本のブレード593によって周方向に移動する。ブレード593によって移動する挽き豆が、フレーム部材694に設けられた排出口に到達すると、挽き豆はその排出口からシュートGM内に勢いよく飛び出す。
図54(C)では、手前に示された2本のブレード593が特に形状がわかりやすく、回転方向下流側の挽き豆を押す第1面5931は円弧状の曲面(下流側が凹の曲面)で形成されている。一方、第1面5931から回転方向上流側につながった第2面5932は、第1面5931を乗り越えてしまった挽き豆が上流側に移動しやすくなるように波形の形状(下流側が外側に向けて凸で上流側が内側に向けて凹になるようにうねった形状)を斜めに配置したものになっている。
図55(A)には、貫通孔581よりも内側に1点鎖線で仮想円が示されている。この仮想円の中心と回転刃58bの中心(貫通孔581の中心)は一致している。刃面全体には、多数の刃580が設けられている。これらの刃580は、その仮想円の点線で示す接線方向に延びたものであり、厳密には、矢印で示す回転方向の上流側に傾斜するようにわずかに湾曲している。また、各刃580は、取付孔589が設けられた箇所を除き、最外周の摩砕部582まで延びている。
傾斜面583は、刃580が設けられていない複数の平滑部584~587を有する。これら複数の平滑部584~587は、貫通孔581から外周側(摩砕部582側)に向けて、矢印で示す回転方向の上流側に傾斜するように設けられており、外周に向かうほど先細になっている。以下、最も面積の広い平滑部を第1平滑部584と称し、2番目に面積の広い平滑部を第2平坦部585と称し、3番目に面積の広い平滑部を第3平坦部586と称し、最も面積の狭い平滑部を第4平滑部587と称する。傾斜面583は、第1平滑部584~第4平滑部587の組を2組有する。すなわち、各平滑部584~587は、周方向に180度間隔で設けられており、平滑部は全部で8つ存在する。なお、各平滑部584~587のことを内刃と称し、各平滑部584~587より外側の部分を外刃と称する場合もある。
第1平滑部584~第3平滑部586は周方向に連続して設けられており、第4平滑部587だけが周方向に間隔をあけて設けられている。また、平滑部は、面積が大きくなるほど、矢印で示す回転方向の上流側に傾斜する傾斜角度が小さくなる。したがって、第1平滑部584が最も傾斜角度が小さく、寝ている。一方、第4平滑部587が最も傾斜角度が大きく、立っている。なお、各平滑部(内刃)584~587の外側の縁、すなわち外刃の内側の縁は、各刃580ごとに見ればジグザグの形状である。
さらに、平滑部は、面積が大きくなるほど外周側に延びている。したがって、第1平滑部584が最も外周側まで延び、図55(A)に示す第1平滑部584の先端は、摩砕部582に達している。なお、第1平滑部584であっても摩砕部582には達しないようにしてもよい。
また、図55(B)は、第1平滑部584~第3平坦部586が見えるように断面したときの図であり、同図(C)は、第3平滑部586および第4平坦部587が見えるように断面したときの図である。
第1平滑部584~第4平滑部587のいずれの平滑部も、矢印で示す回転方向の上流側に向かうほど深くなっており、図55(A)の平面図に示すように、各平滑部の回転方向上流端部は外周に向かって直線状に延びる溝5841~5861になっている。この溝5841~5861のことを破砕刃と称する場合もある。
また、刃面の最も内側の位置(貫通孔581の縁の位置)では、第1平滑部584が最も深い位置まで落ち込んでおり、以下、深いものほど先に記せば、第2平滑部585、第3平滑部586、第4平滑部587の順になる。貫通孔581の縁のうち、各平滑部584~587が設けられている領域よりも、設けられていない領域の方が狭い。この設けられていない領域とは、貫通孔581の縁のうち、回転方向に見て隣合う第1平滑部584と第4平滑部587の間の第1領域αと、同様に隣合う第4平滑部587と第3平滑部586の間の第2領域βになる。第1領域αおよび第2領域βでは、貫通孔581の縁から刃580が存在している。
固定刃57bにも、同様に第1平滑部574、第2平滑部575、第3平滑部576、および第4平滑部577が設けられている。図54(A)には、固定刃57bの一部が示されており、第1平滑部574、第2平滑部575および第3平滑部576それぞれの縁が見えている。図54(A)に示す回転刃58bは、固定刃57bに対して周方向に少しズレている。
第2グラインダ5Bには、固定刃57bと回転刃58bの中心側に第1グラインダ5Aから挽き割り豆が供給される。供給された挽き割り豆は、固定刃57bの刃面と回転刃58bの刃面の間で挽かれる。固定刃57bの刃面と回転刃58bの刃面の間における豆の動きは複雑であり、一概に説明することは困難であるが、以下、回転刃58bの刃面における一例としての豆の動きを説明する。固定刃57bの刃面と回転刃58bの刃面の間に供給された豆のうち、いずれかの平滑部584~587に入り込んだ豆は、遠心力により、平滑部584~587の回転方向下流側かつ外側に向かう。平滑部584~587では、回転方向下流側に向かうにつれて平滑部584~587の面積が漸次狭くなっている。このため、平滑部584~587に入り込んだ豆は、回転方向下流側に向かうにつれて平滑部584~587から外側の刃580(外刃)に移動しやすくなる。外側の刃580(外刃)に移動した豆は外刃で挽かれ、最終的には、図32に示す粒度調整機構503によって調整された粒度あるいは図36に示す手動設定用円盤ダイアル695や微調整用ツマミダイアル696を用いて設定した粒度(以下、これらの粒度を総称して所望粒度という。)に摩砕部582によって仕上げられ、上述のシュートGM31から排出される。一方、回転方向下流側の隣の平滑部における溝(破砕刃)5851,5861に落ちた豆は、この溝(破砕刃)5851,5861に案内されて外周に向かう豆もあれば、遠心力によりこの溝(破砕刃)5851,5861から抜け出て回転方向下流側かつ外側に向かい、上述と同じような動きを繰り返す豆もある。また、溝(破砕刃)5851,5861に案内され、摩砕部582との間の外刃に到達した豆は、その外刃で挽かれて、最終的には、摩砕部582によって所望粒度に仕上げられ、シュートGM31から排出される。また、第3平滑部586よりも回転方向下流側に移動した豆は、第2領域βの刃580によって挽かれた後、回転方向下流側の隣の第4平滑部587における溝(破砕刃)5871に落ちる場合がある。この場合にも、溝(破砕刃)5871に案内され、摩砕部582との間の外刃に到達した豆は、その外刃で挽かれて、最終的には、摩砕部582によって所望粒度に仕上げられ、シュートGM31から排出される。第4平滑部587よりも回転方向下流側に移動した豆は、第1領域αの刃580によって挽かれた後、摩砕部582に到達し、その摩砕部582によって所望粒度に仕上げられ、シュートGM31から排出される。あるいは、回転方向下流側の隣の第1平滑部584における溝(破砕刃)5841に落ちる場合もある。この溝(破砕刃)5841に落ちた豆は、そのまま摩砕部582まで案内されて、摩砕部582によって所望粒度に仕上げられ、シュートGM31から排出される。
以上説明したコーヒー豆挽き機GMの構成は、図1に示す飲料製造装置1にも適用することができる。
本発明は、以上に示された幾つかの態様および例に限られるものではなく、これらの内容は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で相互に組み合わせ可能であり、また、目的等に応じて部分的に変更されてもよい。また、本明細書に記載された個々の用語は、本発明を説明する目的で用いられたものに過ぎず、本発明は、その用語の厳密な意味に限定されるものでないことは言うまでもなく、その均等物をも含みうる。例えば、「装置」、「部」等の表現は「ユニット」、「モジュール」等と言い換え可能な場合がある。