本発明の第1の態様によれば、
車体と、
車体に連結される操向およびサスペンション組立体と、を含み、操向およびサスペンション組立体が、
それぞれのサスペンションアップライトが、それぞれの上部ジョイントおよびそれぞれの下部ジョイントを含む、左サスペンションアップライトおよび右サスペンションアップライトと、
それぞれの左サスペンションアップライトおよび右サスペンションアップライトに回転可能に連結される向かい合う左端部および右端部を有するブリッジであって、左端部と右端部の間のブリッジ車体マウントによって車両の本体に枢動可能に連結される、ブリッジと、
主として横方向に延び、左サスペンションアップライトに連結される連結リンク左端部および右サスペンションアップライトに連結される連結リンク右端部を提供する少なくとも1つの連結リンクであって、その連結リンクまたは各連結リンクが1つのまたはそれぞれの連結リンク車体マウントで車体に回転可能に連結される、連結リンクと、
左サスペンションアップライトおよび右サスペンションアップライトをブリッジまたは少なくとも1つの連結リンクのうちの一方のそれぞれ(すなわち、左または右)の端部に回転可能に連結する左サスペンションアップライトおよび右サスペンションアップライトのそれぞれの上部ジョイントと、
左サスペンションアップライトおよび右サスペンションアップライトをブリッジおよび少なくとも1つの連結リンクのうちの他方のそれぞれ(すなわち、左または右)の端部に回転可能に連結する左サスペンションアップライトおよび右サスペンションアップライトのそれぞれの下部ジョイントと、
それぞれの左サスペンションアップライトおよび右サスペンションアップライトと関連付けられる左車輪ハブ組立体および右車輪ハブ組立体と、
左車輪ハブ組立体および右車輪ハブ組立体に取り付けられた左車輪および右車輪であって、サスペンションの反発および圧縮作用の間、車輪が、ブリッジに対して直線的に移動できるように、それぞれ、各左車輪ハブ組立体または右車輪ハブ組立体が、それぞれの左サスペンションアップライトまたは右サスペンションアップライトに対して移動可能である、左車輪および右車輪と、
それぞれの操向アップライトジョイントで各またはそれぞれのサスペンションアップライトに連結されて、自動車両を操向する操向要素の動きに伴いサスペンションアップライトを操向軸の周りに枢動させる少なくとも1つの操向要素と、を備え、
自動車両が、サスペンションの反発および圧縮作用と関連付けられる車輪および車輪ハブ組立体の動きならびに傾斜作用に関連付けられる車体に対するブリッジの回転が両方とも実質的に操向要素の動きから独立しているように配置される、自動車両が提供される。
本発明の実施形態は、非常に実用的に有利である。
本発明の実施形態により、比較的大きい傾斜角度、例えば、三輪または四輪車両の二輪車のような操向、サスペンションの圧縮および反発運動によるバンプステアの回避、ならびに傾動運動による望まない操向の回避も可能になる。
操向アップライトジョイントは、球面ジョイントであってもよい。右サスペンションアップライトおよび左サスペンションアップライトは、右前輪サスペンションアップライトおよび左前輪サスペンションアップライトであってもよい。
各サスペンションアップライト上の上部ジョイントおよび下部ジョイントは、実質的にそれぞれの車輪の回転の軸に垂直な第1の平面内にあってよく、第1の平面は、それぞれの操向軸を含む。それぞれのサスペンションアップライトの上部ジョイントおよび下部ジョイントは、少なくとも40mm~250mm間隔を空けることができる。好ましくは、上部ジョイントおよび下部ジョイントは、少なくとも50mmまたは少なくとも70mm間隔を空ける。好ましくは、上部ジョイントおよび下部ジョイントは、200mm以下、150mm以下、または90mm以下だけ間隔を空ける。
上部ジョイントおよび下部ジョイントならびに操向アップライトジョイントは、第1の平面に対して垂直に100mmより小さく、または70mmより小さく、または好ましくは50mmより小さく、より好ましくは30mmより小さくオフセットされてもよい。操向アップライトジョイントは、少なくとも2軸の回転方向軸、傾斜方向軸および操向方向軸を提供できる。傾斜方向軸は、第1の平面の上部ジョイントおよび下部ジョイントのオフセットから10mmより小さくオフセットされてもよいが、好ましくは、上部ジョイントおよび下部ジョイントと同じ第1の平面からのオフセットを有する。操向方向軸は、操向軸に対して平行であり得る。
付勢部材は、アップライトとハブ組立体との間にばね軸に沿って付勢力を与えるばねを含むことができる。ばね軸は、第1の平面に対して垂直に100mmより小さく、または70mmより小さく、または好ましくは50mmより小さく、より好ましくは30mmより小さくオフセットされて、横荷重力による摩擦が、確実に比較的低くなるのを助ける。ばね軸が、第1の平面に対して角度付けられる場合、ハブ組立体のばねマウントの中心点およびアップライトばねマウントの中心点は、両方とも第1の平面の100mm以内であるか、または70mm以内であるのが好ましく、より好ましくは、第1の平面の50mm以内である。
本明細書を通して、「操向軸」という用語は、操向行動の間、その周りでそれぞれの車輪が回転する軸に対して使用される。
1つの特定の実施形態では、操向およびサスペンション組立体は、中心に配設されたそれぞれの車輪の径方向軸近くの車輪を通るなどそれぞれの操向軸がそれぞれの車輪を貫通するように、かつそれぞれの車輪の径方向軸に平行に配置される。さらに、操向およびサスペンション組立体は、それぞれの操向軸が、中心に配設されたそれぞれの車輪の径方向軸からオフセットでそれぞれの車輪を貫通するように、かつそれに平行に配置されてよく、オフセットは、車輪の回転の軸に対して垂直な平面内にあり、操向軸は、通常使用に際して、車輪の回転軸より後方にあってよい。オフセットは、約35mmなど、10~100mm、15~70mmまたは30~45mmの範囲内であってもよい。
少なくとも1つの操向要素は、左操向アップライトジョイントと右操向アップライトジョイントとの間に連結された単一の操向要素であってもよい。代替で、少なくとも1つの操向要素は、左操向要素および右操向要素を備えてもよく、左操向要素は、左操向アップライトジョイントに連結され、右操向要素は、右操向アップライトジョイントに連結されてもよい。
第1のサスペンションアップライトおよび第2のサスペンションアップライト上の各上部ジョイントおよび各下部ジョイントは、多重軸ジョイントまたは球面ジョイントであってもよい。そして、この例では、操向軸は、アップライト上の上部ジョイントおよび下部ジョイントを貫通する。
代替で、各左サスペンションアップライトまたは右サスペンションアップライトは、
それぞれの(すなわち、左または右の)ブリッジの端部と少なくとも1つまたはそれぞれの連結リンクとの間に枢動可能に連結されるそれぞれの連結部材、および
操向軸の周りの連結部材に枢動可能に連結されるそれぞれの操向部材を含んでもよく、
各車輪ハブ組立体は、それぞれの操向部材に対して直線的に移動できる。
この配置は、サスペンションの圧縮および反発作用の間、車輪が自動車両の車体に対して上方および/または下方に確実に移動できるようにする。左連結部材の左上部ジョイントおよび左下部ジョイントならびに右連結部材の右上部ジョイントおよび右下部ジョイントはそれぞれ、左上部、左下部、右上部または右下部の傾斜軸をそれぞれ有する枢動ジョイントであってもよい。
1つの特定の実施形態では、左アップライトおよび右アップライトはそれぞれ、それぞれのスリーブを含み、左車輪ハブ組立体および右車輪ハブ組立体はそれぞれ、それぞれのスリーブを貫通するそれぞれのロッドを含む。この場合、ハブ組立体は、「空間フレームハブ」と呼ばれてもよく、すなわち、車輪の荷重が車輪の中心のハブ組立体上に位置する枢動連結またはスタブ軸に伝達される。中心に位置する枢動連結から、ハブ組立体は、車輪の荷重を径方向に車輪リムに向けて(の方向に)移転する。ハブ組立体のロッドは、ハブ組立体の中心から径方向に間隔を空けた場所でハブ組立体の残りの部分によって保持されるか、またはそれに固定される。横揺れおよび縦揺れ方向荷重(すなわち、キャンバ方向またはブレーキ方向の)は、ハブ組立体のロッドからアップライトのスリーブに伝達される。さらに、この実施形態では、アップライトの上部ジョイントおよび下部ジョイント(左サスペンションアップライトおよび右サスペンションアップライトをブリッジまたは少なくとも1つの連結リンクのうちの一方のそれぞれの端部に連結する)は、車輪の回転軸に垂直でそれを貫通して操向軸が延びる平面内にあってよい。これにより、モータバイクのような操向および傾斜が可能になる。この実施形態にあるように、各ガイドロッドは、それぞれの車輪ハブ組立体の一部であり、対応するスリーブ(ガイドロッドによって案内される)は、それぞれのアップライトの一部であり、ブリッジを一緒に比較的近く位置付けることが可能で、それにより、比較的大きい傾斜角度が可能になり、それと同時に比較的大きいサスペンションの移動も可能になる。
1つの代替の実施形態では、左車輪ハブ組立体および右車輪ハブ組立体はそれぞれ、それぞれのスリーブを含み、左アップライトおよび右アップライトはそれぞれ、それぞれのスリーブを貫通するそれぞれのロッドを含む。自動車両は、各車輪に関連付けられ、それぞれのサスペンションアップライトに対して所定の位置の方にそれぞれの車輪ハブ組立体を付勢するように配置された付勢部材をさらに備えてもよい。各付勢部材は、それぞれのロッドの軸に対して平行にばね軸に沿って付勢力を課すように位置付けられるばねを含んでもよい。サスペンションアップライトの上部ジョイント、下部ジョイントおよび操向ジョイントならびにそれぞれの車輪ハブ組立体のそれぞれのばね軸、それぞれのスリーブおよびロッドは、それぞれの車輪の中心線から横方向オフセット距離内にすべて位置することができ、ブリッジの左端部と右端部の間の距離は、横方向ブリッジ長であってよく、横方向オフセット距離は、横方向ブリッジ長の10%未満、または好ましくは横方向ブリッジ長の5%未満、またはより好ましくは、横方向ブリッジ長の2%未満であってよい。代替で、横方向オフセット距離は、100mm未満、好ましくは、50mm未満、より好ましくは、30mm未満、さらにより好ましくは20mm未満および最も好ましくは10mm未満であってよい。
代替で、サスペンションアップライトの上部ジョイント、下部ジョイントおよび操向ジョイントは、すべてそれぞれの車輪の中心線から横方向オフセット距離内に位置することができ、ブリッジの左端部と右端部の間の距離は、横方向ブリッジ長であってよく、横方向オフセット距離は、横方向ブリッジ長の10%未満、または好ましくは横方向ブリッジ長の5%未満、またはより好ましくは、横方向ブリッジ長の2%未満であってよい。代替で、横方向オフセット距離は、100mm未満、好ましくは、50mm未満、より好ましくは、30mm未満、さらにより好ましくは20mm未満および最も好ましくは10mm未満であってよい。
車両の傾斜角が、0である場合、左サスペンションアップライトの左上部ジョイントは、右サスペンションアップライトの右上部ジョイントと実質的に同じ高さであってよく、左サスペンションアップライトの左下部ジョイントは、右サスペンションアップライトの右下部ジョイントと実質的に同じ高さであってもよい。例えば、サスペンションアップライトの左上部ジョイント、左下部ジョイント、右上部ジョイントおよび下部ジョイントは、仮想平行四辺形の頂点を形成してもよく、その結果、傾斜作用の間、車体がブリッジに対して回転するので、車およびサスペンションアップライトは、平行のままである。好ましくは、左上部ジョイントは、左下部ジョイントと車体の中心線から実質的に同じ距離であってよく、右上部ジョイントは、右下部ジョイントと車体の中心線から実質的に同じ距離であってもよい。
少なくとも1つの連結リンクは、連結リンク左端部および連結リンク右端部を含む単一連結リンク(すなわち、第2のブリッジ)であってよく、車体に連結リンク車体マウントで連結され、ブリッジ車体マウントの中心は、少なくとも縦方向に連結リンク車体マウントの中心から縦方向車体マウント間距離だけ間隔を空け、各サスペンションアップライトの上部ジョイントおよび下部ジョイントは、距離を空ける縦方向車体マウントによって縦方向に間隔を空ける。例えば、ブリッジおよび連結リンクは、両方とも左サスペンションアップライトと右サスペンションアップライトとの間に実質的に剛性のブリッジを形成できる。
代替で、少なくとも1つの連結リンクは、頂部連結リンクおよび下部連結リンクを備えることができ、それぞれ、それぞれの左端部および右端部を含み、頂部連結リンクの左端部および右端部は、左アップライトおよび右アップライトそれぞれの頂部ジョイントに連結され得る。頂部連結リンクおよび下部連結リンクのうちの少なくとも一方は、それぞれの連結リンク車体マウントで車体に連結され得る。頂部連結リンクは、ブリッジより高く(または、上に)位置付けることができ、下部連結リンクは、ブリッジより低く(または、下に)位置付けることができる。頂部連結リンクおよび下部連結リンクは、それぞれ張力が負荷されて、圧縮荷重をブリッジにかけてもよい。
代替で、少なくとも1つの連結リンクは、左連結リンクおよび右連結リンクを備えてもよく、左連結リンクは、連結リンク左端部および車体マウント端部を含んでもよく、右連結リンクは、連結リンク右端部および車体マウント端部を含んでもよく、それぞれ左連結リンクおよび右連結リンクの車体マウント端部は、それぞれの連結リンク車体マウントに連結されてもよい。左連結リンクおよび右連結リンクは、それぞれの車体マウントに枢軸によって連結されてもよく、それぞれ、それぞれの枢動軸を有する。
左連結リンク車体マウントおよび右連結リンク車体マウントの枢動軸は、一致してもよい。代替で、左連結リンク車体マウントおよび右連結リンク車体マウントは、横方向に分離してもよい。
少なくとも1つの傾斜ダンパが、提供されて、直接または間接的にブリッジと車体との間または少なくとも1つの連結リンクと車体との間で連結されてもよい。
少なくとも1つの傾斜ダンパは、車両がブリッジの車体に対する制動運動によって傾くとき、左車輪または右車輪のうちの他方に移動することからの道路の起伏による左車輪または右車輪のいずれかが経験したサスペンションの圧縮および反発運動の影響を低減するように配置され得る。代替でまたは追加で、少なくとも1つの傾斜ダンパは、傾動運動中に車体のブリッジに対する制動運動による車体の横揺れ速度および/または車体の横揺れ振幅を低減するように配置され得る。
それぞれのブレーキロータが、提供されて、左車輪および右車輪それぞれと関連付けられてもよい。それぞれのブレーキロータは、それぞれの車輪のリムに強固に取り付けられたブレーキリングであってもよい。代替で、それぞれのブレーキロータは、ハブの部品に連結されたブレーキディスクであってもよい。車輪は、ボルト留めされるか、その他の方法でハブの部品に固定されてもよい。
ブレーキシステムは、摩擦力をそれぞれのブレーキロータに加えるように配置された少なくとも1つのそれぞれのキャリパを含んで、提供されてもよく、少なくとも1つのキャリパが、それぞれのアップライトに連結される。
傾斜ブレーキは、ブリッジ(または少なくとも1つの連結リンクのうちの1つ)と車体の間に提供されて、車体のブリッジ(または連結リンク)に対する傾斜運動を選択的に可能にするか、または制限することができる。
傾斜ブレーキは、ロックモードであって、車両が静止しているとき、車体の傾斜運動を防止することができる。追加で、または代替で、傾斜率または予測された傾斜率が所定の率を越える場合、傾斜ブレーキは、車体のブリッジに対する傾斜運動を制限するように制御可能であってもよい。
傾斜モータは、ブリッジ(または少なくとも1つの連結リンクのうちの1つ)と車体との間に提供されて、車体の傾斜姿勢をブリッジ(または連結リンク)に対して調整できるようにしてもよい。例えば、車体の傾斜運動は、ブリッジに対してなされ得る。
傾斜モータは、車体を実質的に0の傾斜角に戻すように制御可能であり得る。
代替でまたは追加で、傾斜モータは、計算された目標傾斜角までまたはそれに向けて車体を動作させるように制御可能であり得る。傾斜角は、例えば、受動的特性の車両より速くまたはより早くコーナに傾くためなど安全または運転スタイルのために計算された目標傾斜角まで、またはそれに向けて能動的に制御されてもよい。
代替で、または追加で、傾斜モータは、運転者からの入力に応じて車体の傾斜角を動作させるように制御可能であり得る。例えば、傾斜角は、運転者が必要とするように調整され得る。代替で、コーナに傾く割合またはコーナから外に傾く割合は、運転者の要望により調整され得る。
傾斜モータは、モータ発生器であってよく、車体のブリッジに対する傾斜運動を駆動および/または制動するように制御可能であり得る。
操向ダンパが提供されてもよい。例えば、操向ダンパは、車体と少なくとも1つの操向要素との間に直接または間接的に連結されてよい。
後輪サスペンション組立体は、第1のブリッジおよび第2のブリッジならびに第1のアップライトおよび第2のアップライトを備えてもよく、各ブリッジは、自動車両の長手方向軸に対して横方向に延び、第1のブリッジおよび第2のブリッジが、自動車両の長手方向軸に実質的に平行な軸の周りで枢動できるように枢動可能に取り付けられ、第1のブリッジおよび第2のブリッジの隣接する端部は、第1のアップライトおよび第2のアップライトのそれぞれ1つに枢動可能に結合され、後輪サスペンション組立体は、一対の車輪ハブおよびサスペンション要素をさらに備え、それぞれの車輪ハブはそれぞれの車輪を担持し、それぞれのアップライトに結合され、それぞれのサスペンション要素によって付勢され、車輪ハブがそれぞれの車輪の径方向軸に沿って移動できるように案内され、
後輪サスペンション組立体は、後輪サスペンションの車輪が、同様の方法でまたは前輪サスペンション組立体の車輪の方法に類似の方法で傾斜可能なように配置される。
前輪サスペンション組立体および後輪サスペンション組立体の両方とも、前輪サスペンション組立体の車輪および後輪サスペンション組立体の車輪も、10°~20°、10°~30°、10°~40°、10°~50°の範囲内の角度または50°より大きい角度で傾斜可能であるように配置され得る。
後輪サスペンション組立体は、各後輪が、その車輪を通る実質的に水平な径方向軸の周りで傾斜可能であるように配置され得る。
自動車両は、少なくとも1つの電気モータを備えることができ、少なくとも1つの電気モータは、車輪ハブ内または車輪ハブに位置するか、あるいはそれぞれの車輪ハブである。
各車輪ハブは、ロッドならびに少なくとも1つのロッドおよび少なくとも1つのスリーブを含むスリーブ構成によってそれぞれのサスペンションアップライトに結合されてもよく、そのまたは各ロッドは、車輪ハブに連結されてもよく、そのまたは各スリーブは、サスペンションアップライトに連結されてもよい。
本発明の第2の態様によれば、
車体と、
車体に連結される操向およびサスペンション組立体と、を含み、操向およびサスペンション組立体が、
向かい合う第1の端部および第2の端部を有する少なくとも1つのブリッジと、
少なくとも1つのブリッジそれぞれの向かい合う第1の端部および第2の端部に配設された第1の車輪ハブ組立体および第2の車輪ハブ組立体と、
第1の車輪ハブ組立体および第2の車輪ハブ組立体それぞれに取り付けられた第1の車輪および第2の車輪と、
第1の車輪ハブ組立体および第2の車輪ハブ組立体にそれぞれ関連付けられた第1のサスペンションガイドおよび第2のサスペンションガイドであって、各サスペンションガイドが少なくとも1つのブリッジのそれぞれの端部に取り付けられ、その結果サスペンションガイドが、少なくとも1つのブリッジに対して少なくとも傾斜軸の周りで回転可能であり、サスペンションの圧縮および反発作用の間、それぞれの車輪ハブ組立体が、車輪が少なくとも1つのブリッジに対して移動できるようにそれぞれのサスペンションガイドに沿ってまたはそれを横切って移動可能である、第1のサスペンションガイドおよび第2のサスペンションガイドと、
各またはそれぞれのサスペンションガイドに回転可能に連結され、自動車両を操向するため操向要素が動くとサスペンションガイドを少なくとも1つのブリッジに対してそれぞれの操向軸の周りに回転させる操向要素と、を備え、
自動車両が、サスペンションの圧縮および反発作用と関連付けられた車輪および車輪ハブ組立体の動きが操向要素の動きと独立しているように(実質的にバンプステアが無いように)配置される、自動車両が提供される。
1つの特定の実施形態では、操向およびサスペンション組立体は、中心に配設されたそれぞれの車輪の径方向軸近くの車輪を通るなどそれぞれの操向軸がそれぞれの車輪を貫通するように、かつそれに平行に配置される。さらに、操向およびサスペンション組立体は、それぞれの操向軸が、中心に配設されたそれぞれの車輪の径方向軸からオフセットでそれぞれの車輪を貫通するように、かつそれに平行に配置されてよく、オフセットは、車輪の回転の軸に対して垂直な平面内にあり、通常使用に際して、車輪の回転軸より後方にあってよい。オフセットは、約35mmなど、10~100mm、15~70mmまたは30~45mmの範囲内であってもよい。
各サスペンションガイドは、コネクタおよび操向部材を含んでもよい。サスペンションガイドのコネクタは、サスペンションガイドが、自動車両の長手方向軸に対して実質的に平行であり得るそれぞれの傾斜軸の周りの少なくとも1つのブリッジのそれぞれの端部に対して枢動自在であるように少なくとも1つのブリッジのそれぞれの端部に取り付けられてもよい。代替で、そのまたは各傾斜軸は、車両の長手方向軸の20°以内または好ましくは10°以内、より好ましくは5°以内であってもよい。操向部材は、操向部材が操向軸の周りで枢動自在であるようにコネクタに枢動可能に結合され得る。
代替で、各サスペンションガイドは、単一片のまたは一体的に形成されたアップライトを含んでもよく、少なくとも1つのブリッジのそれぞれの端部へのサスペンションガイドの取り付けは、多重軸ジョイント(ボールジョイントなど)であり、自動車両は、それぞれの傾斜軸およびそれぞれの操向軸の両方が多重軸ジョイントを貫通するように配置される。
各車輪ハブ組立体は、サスペンションの圧縮および反発作用の間、車輪が自動車両の車体に対して上方および/または下方に動くように、それぞれのサスペンションガイドに沿ってまたはそれを横切って(もしくは、提供される所で、サスペンションガイドの操向部材部を横切って)直線的に移動可能であってもよい。
各サスペンションガイドは、スリーブを備えてもよく、各車輪ハブ組立体は、それぞれのスリーブを貫通するロッドを備えてもよい。代替で、各車輪ハブ組立体は、スリーブを備え、各サスペンションガイドは、それぞれのスリーブを貫通するロッドを備える。
自動車両は、各車輪に関連付けられ、サスペンション作用の後それぞれのサスペンションガイドに対して所定の位置の方にそれぞれの車輪ハブ組立体を付勢するように配置された付勢部材をさらに備えてもよい。
各付勢部材は、それぞれのロッドの軸に対して平行な軸に沿って付勢力を課すように位置付けられるばねを備えてもよく、または、その形態で設けられてもよい。
少なくとも1つのブリッジの各端部は、サスペンションガイドの1つに枢動可能に連結されて、自動車両の車体に対して車輪の傾斜を可能にすることができる。
本発明の1つの特定の実施形態では、自動車両は、少なくとも2つのブリッジを備え、各ブリッジは、第1の向かい合う端部および第2の向かい合う端部を有し、各第1の端部は、第1の車輪に関連付けられたサスペンションガイドに取り付けられ、各第2の端部は、第2の車輪に関連付けられたサスペンションガイドに取り付けられる。一実施形態では、少なくとも2つのブリッジのうちの一方は、少なくとも2つのブリッジの一方または他方の上に位置する。
第1のサスペンションガイドおよび第2のサスペンションガイドは、第1のブリッジおよび第2のブリッジに取り付けるための上部ジョイントおよび下部ジョイントを有してもよく、それぞれのサスペンションガイドの上部ジョイントおよび下部ジョイントは、それぞれの車輪の回転軸に垂直な、それぞれの操向軸を含む平面内に実質的にあってよい。それぞれのサスペンションガイドの上部ジョイントおよび下部ジョイントは、少なくとも40mmであり且つ250mm以下の間隔を空けることができる。好ましくは、上部ジョイントおよび下部ジョイントは、少なくとも50mmまたは少なくとも70mm間隔を空ける。好ましくは、上部ジョイントおよび下部ジョイントは、200mm以下、150mm以下、または90mm以下だけ間隔を空ける。
自動車両は、少なくとも2つのブリッジの互いに対する動きを低減することにより、車両が傾くとき第2の車輪に移動することから第1の車輪が経験したサスペンションの影響を低減するように配置された傾斜ダンパをさらに備えてもよい。
自動車両は、第1の車輪および第2の車輪のうちの一方または両方に関連付けられた少なくとも1つのブレーキロータをさらに備えてもよい。少なくとも1つのブレーキロータは、それぞれの車輪のリムに強固に取り付けられたブレーキリングであってもよい。
自動車両は、少なくとも1つのブレーキリングに摩擦力を加えるように配置された少なくとも1つキャリパを含むブレーキシステムをさらに備えてもよく、そこで、少なくとも1つキャリパは、ブレーキリングの内部周囲縁の上に位置付けられる。
第1の車輪および第2の車輪は、車両の前輪であってもよい。代替でまたは追加で、第1の車輪および第2の車輪は、車両の後輪であってもよい。
操向およびサスペンション組立体は、前輪操向および前輪サスペンション組立体であってもよく、自動車両は、後輪サスペンション組立体をさらに備えてもよい。後輪サスペンション組立体は、単一の車輪を備えてもよい。代替で、後輪サスペンション組立体は、一対の車輪を備えてもよい。
後輪サスペンション組立体は、第1のブリッジおよび第2のブリッジならびに第1のアップライトおよび第2のアップライトを備えてもよく、各ブリッジは、自動車両の長手方向軸に対して横方向に延び、第1のブリッジおよび第2のブリッジが、自動車両の長手方向軸に実質的に平行な軸の周りで枢動できるように枢動可能に取り付けられ、第1のブリッジおよび第2のブリッジの隣接する端部は、第1のアップライトおよび第2のアップライトのそれぞれに枢動可能に結合され、後輪サスペンション組立体は、一対の車輪ハブおよびサスペンション要素をさらに備え、それぞれの車輪ハブはそれぞれの車輪を担持し、それぞれのアップライトに結合され、それぞれのサスペンション要素によって付勢され、車輪ハブがそれぞれの車輪の径方向軸に沿って移動できるように案内され、
後輪サスペンション組立体は、後輪サスペンションの車輪が、同様の方法でまたは前輪サスペンション組立体の車輪の方法に類似の方法で傾斜可能なように配置される。
前輪サスペンション組立体および後輪サスペンション組立体の両方とも、前輪サスペンション組立体の車輪および後輪サスペンション組立体の車輪も、10°~20°、10°~30°、10°~40°、10°~50°の範囲内の角度または50°より大きい角度で傾斜可能であるように配置され得る。
後輪サスペンション組立体は、各後輪が、その車輪を通る実質的に水平な径方向軸の周りで傾斜可能であるように配置され得る。
自動車両は、少なくとも1つの電気モータを備えることができ、少なくとも1つの電気モータは、車輪ハブ内または車輪ハブに位置するか、あるいはそれぞれの車輪ハブである。
各車輪ハブは、ロッドならびに少なくとも1つのロッドおよび少なくとも1つのスリーブを含むスリーブ構成によってそれぞれのサスペンションガイドに結合されてもよく、そのまたは各ロッドは、車輪ハブに連結されてもよく、そのまたは各スリーブは、サスペンションガイドに連結されてもよい。
本発明の特徴および利点は、例としてのみ、添付の図面を参照する、その実施形態の以下の説明から明らかになろう。
図1および図2を参照すると、本発明の実施形態による自動車両1が示される。車両1は、それぞれ車輪に関連付けられた向かい合う端部を有する少なくとも1つのブリッジを備える。より具体的には、この実施形態では、車両1は、2つのブリッジ12および14を備える。上部ブリッジ12は、向かい合う端部16aおよび16bを備える。同様に、下部ブリッジ14は、向かい合う端部18aおよび18bを備える。自動車両1はまた、(集合的に「1つまたは複数のハブ組立体40」と呼ばれ得る)第1の車輪ハブ組立体40aおよび第2の車輪ハブ組立体40bを備える。車両1の第1の車輪6aは、第1のハブ組立体40aに取り付けられる。第2の車輪6bは、第2のハブ組立体40bに取り付けられる。したがって、第1の車輪6aおよび第2の車輪6b(または集合的に、「車輪6」)は、ブリッジ12および14の向かい合う端部に配設される。図1に示す車両1は、2つの前輪6および1つの後輪7を備える。しかし、当業者なら、車両1は他の形態で具現化されてもよいことを理解するであろう。ハンドル8は、前輪6の操向位置の制御を可能にするため備えられる。
図2は、それぞれのハブ組立体40aおよび40bに関連付けられた第1のサスペンションガイドおよび第2のサスペンションガイドまたはアップライト20aおよび20b(または集合的に、「サスペンションアップライト20」)をさらに備える車両1の前輪サスペンション10の構成部品を示す。前輪サスペンション10は、圧縮、反発および操向機能に加えて、傾斜機能を可能にすることを理解されたい。各アップライト20は、今後の図に示すように単一片であってもよいが、2片のアップライトにさらに分離されると、傾斜および操向機能がより明確に理解され得るように、最初は2片のアップライトが示される。図2はまた、車輪6およびブレーキロータ62(以下に説明されるリングブレーキとして示す)を分解図の形態で示し、以下により詳細に説明される。
図3~図5に見ることができるように、各サスペンションアップライト20は、2つの主な本体を含んで、傾斜および操向機能を分離でき、それにより、操向軸がアップライトと上部ブリッジ12および下部ブリッジ14との間のジョイント28および29(図5に示す)を貫通する必要がない。この実施形態では、各サスペンションアップライト20は、連結部材22を含んで、サスペンションが傾斜機能を供給するのを支援する。各サスペンションアップライト20はまた、操向部材30aまたは30bを含んで、サスペンションが操向機能を提供するのを支援する。
より具体的には、図1および図2を再度参照すると、第1のサスペンションアップライト20aは、それぞれの第1のハブ組立体40aに関連付けられ、第2のサスペンションアップライト20bは、それぞれの第2のハブ組立体40bに関連付けられる。各サスペンションアップライト20aおよび20bはまた、上部ブリッジ12および下部ブリッジ14のそれぞれの端部16aおよび18aまたは16bおよび18bに取り付けられる。さらに、各車輪ハブ組立体40は、車輪6がサスペンションの作用(すなわち、圧縮および反発運動)の間、上部ブリッジ12および下部ブリッジ14に対して移動できるように、それぞれのサスペンションアップライト20に沿ってまたはそれを横切って移動できる。少なくとも1つの操向要素(左操向ロッド36aおよび右操向ロッド36bとして図1に示す)は、各またはそれぞれのサスペンションアップライト20に回転可能に連結されて、自動車両1を操向するための操向要素の動きに伴いサスペンションアップライト20を操向軸Yの周りに枢動させる。したがって、自動車両は、サスペンションの圧縮および反発作用と関連付けられた車輪6および車輪ハブ組立体40の動きが操向要素の動きと独立しているように配置される。すなわち、サスペンションの圧縮および反発作用は、操向構成のジオメトリ(リンケージの構成)がバンプステアを生じないように、操向作用と独立する。この実施形態では少なくとも1つの操向要素が、少なくとも1つの操向ロッド36として実装され、以下により詳細に説明される。
さらに、図4を参照すると、各サスペンションアップライト20aまたは20bの連結部材22は、各サスペンションアップライト20aまたは20bが、上部ブリッジ12に対してそれぞれの上部傾斜ジョイント軸Tの周りで枢動自在であり、下部ブリッジ14に対してそれぞれの下部傾斜ジョイント軸T’の周りで枢動自在であるように、ブリッジ12およびブリッジ14両方のそれぞれの端部16aおよび18aまたは16bおよび18bに取り付けられる。ブリッジ12および14ならびにアップライトの連結部材22は、例えば、平行四辺形などの四辺形を一緒に形成する。より具体的には、図4および図5を参照すると、上部ブリッジ12および下部ブリッジ14の(第1の)端部16aおよび18aは、それぞれ、(第1の)サスペンションアップライトの連結部材22に取り付けられる。同様に、上部ブリッジ12および下部ブリッジ14の(第2の)端部16bおよび18bは、それぞれ、(第2の)サスペンションアップライトの連結部材22に取り付けられる。
図4に見ることができるように、各連結部材22は、大部分が管状の中空部(円筒孔)23を含む。ここでまた図6および図7を参照すると、操向部材30a、30b(または集合的に、操向部材30)はそれぞれ、2つのスリーブ31および32を含む。図14の断片に見られるように組み立てられると、操向部材30のスリーブ31は、操向軸Yの周りで枢動する連結部材22の管状部23の内側に位置する。図6および図7を詳細に参照すると、少なくとも1つの操向ロッド36を左右に動かし、左操向部材30aおよび右操向部材30bをそれぞれの操向軸Yの周りに回転して、操向ロッドシフタ38は、軸Sの周りで回転する。少なくとも1つの操向ロッド36は、操向部材30aおよび30bに回転可能に結合されるそれぞれがそれぞれの外側の端部37aまたは37b(集合的に、「外側の端部37」)を有する第1の操向ロッド36aおよび第2の操向ロッド36bとしてそれぞれのアップライト20のそれぞれに実装される。しかし、当業者なら、操向ロッド36は他の形態で構成されてもよいことを理解するであろう。各操向部材30は、ボール34を支持する剛性アーム33を備える。各操向ロッド36a、36bの外側の端部37は、対応するソケット35を備える。集合的に、ボール34およびソケット35は、今後「ボールジョイント39」と呼ばれてもよい。
図13~図18に見ることができるように、各車輪ハブ組立体40は、それぞれの操向部材30に摺動可能に連結される。したがって、図2に見ることができるように、操向部材30a、したがって、車輪ハブ組立体40aおよび車輪6aも、ブリッジ12および14に対して(第1のサスペンションアップライト20aを貫通して)操向軸Yの周りで枢動自在で、車輪6aの操向を可能にする。同時に、操向部材30b、したがって車輪ハブ組立体40bおよび車輪6bも、ブリッジ12および14に対して(第2のサスペンションアップライト20bを貫通して)操向軸Yの周りで枢動自在で、車輪6bの操向を可能にする。再度図1を参照すると、操向ロッド36a、36bは、ハンドル8によって作動され、図2に示す操向部材30a、30bに連結されて、操向部材の回転位置、したがって、車輪ハブ組立体40a、40bおよび車輪6a、6bを制御する。制御された操向部材30の枢動(例えば、図2のそれぞれの操向軸Yの周りの)は、それにより、車両1の操向を可能にするためサスペンションに操向機能を与える。
上述の通り、各車輪ハブ組立体40は、車輪6が、サスペンションの作用の間、ブリッジ12および14に対して移動できるように、それぞれのサスペンションアップライト20に沿ってまたはそれを横切って移動できる。具体的には、各車輪ハブ組立体40のそれぞれの操向部材30に対する摺動可能な連結は、各車輪ハブ組立体40aまたは40bが、それぞれの操向部材30aまたは30bに対して移動できるようにする。例えば、図8および図9に示すように、車輪ハブ組立体40は、ハブキャリア42aまたは42b(または集合的に、ハブキャリア42)および2つの間隔を空けたガイドロッド43、44を含むことができる。ガイドロッド43、44は、平行な軸、この場合YおよびY”に整列される。好ましいけれども、操向軸Yは使用される必要はなく、摺動運動は、操向軸に平行である必要はない。図13~図18に示すように、車輪ハブ組立体40は、したがって、アップライト20の操向部材30に対して直線方向に摺動できるが、アップライトの操向部材に対して回転しないようにされる。
それぞれのハブ組立体40に取り付けられた車輪6も、サスペンションの圧縮または反発作用の間、図13および図14に示す中間ストロークおよび/または乗車高位置で、図15および図16に示す圧縮位置で、および図17および図18に示す反発位置で、それぞれの軸Yに沿って移動できる。したがって、車輪6は、車両の本体に対して上方および下方に動くことができる。混乱を避けるため、「車両の本体に対して」という用語は、地面に対して垂直なままであるよりは、車体の傾斜を伴って上方および下方方向に回転することを意味する。したがって、一方または両方の車輪6によって経験されるいずれのサスペンションの圧縮または反発運動も、車輪6を操向する(操向部材30および操向ロッド36a、36bを含む)操向機構の能力に悪影響を与えない可能性がある。例えば、停止した車輪が操向ロッド36a、36bとブリッジ12および14との間で角度の変化を生じた場合、サスペンションの圧縮および反発運動の間または車両の傾動運動の間のいずれかを端面図で見たとき、操向ロッド36a、36bによる操向は、不要に変更されているかもしれない。しかし、ブリッジ12および14ならびに操向ロッド36a、36bの両方が、サスペンションアップライト20(アップライト20に対して移動できる車輪ハブ組立体40よりも)に取り付けられているので、操向ロッド36a、36bの位置は、車輪サスペンションの圧縮および反発運動の間、変更されないままであり得る。
左操向ロッド36aおよび右操向ロッド36bを、アップライトに端部で回転可能に連結される単一の操向ロッドおよび操向ロッドシフタに中心で回転可能に連結される単一の操向ロッドのどちらとも置き換えることができる。しかし、単一の操向ロッドは、操向部材30が操向運動中に回転するとき、アップライト20上の操向ジョイントのわずかな前後運動に順応するため平面図で見たときにいくらかの曲げ、または操向ロッドシフタ枢動軸に沿って摺動する自由のいずれかを必要とする。操向軸の傾向および操向ロッドシフタへの回転可能な連結の弧状運動により、さらにわずかな相対的な垂直方向の変位さえ操向運動中に起こる場合があり、再度、例えば、単一の操向ロッドの曲げが必要とされる。
別段の定めがない限り、1つのハブ組立体40、サスペンションアップライト20、ハブキャリア42、車輪6、操向部材30または連結部材22に対して説明されたいずれの特徴も他に当てはまることが理解されよう。図13および図14を詳細に参照すると、各車輪6(および車輪6のリム61)は、枢動連結41を介して(図2、図8および図9を参照)ハブ組立体40のハブキャリア42に取り付けられ、その周りで回転可能である。したがって、ハブキャリア42は、車輪6と一緒に回転しないが、車輪6は回転するとその回転位置を維持できる。
ハブ組立体40は、ハブ組立体40とサスペンションアップライト20との間のそれぞれのガイドに沿ってそれぞれのアップライト20に対して直線方向に移動できる。この実施形態によれば、直線方向の可動性は、スリーブ31を含む各アップライト20の操向部材30(図6および図7を参照)、およびそれぞれのスリーブ31を貫通するガイドロッド43(図8および図9を参照)を含む各ハブ組立体40を実装することによって達成される。各ロッド43は、リム61の内周内側に配設されるが、また固定的に取り付けられ、ハブ組立体40の残りに対して所定の位置に留まる。したがって、車輪6は、ハブキャリア42の周りで回転するようにも構成される。
ロッド43は、スリーブ31より長く、スリーブ31内を直線方向に移動するようにロッド43に隙間を提供する。付勢部材52はまた、サスペンションの圧縮または反発作用の後、それぞれのアップライト20に対して所定の位置方向にハブキャリア42を付勢するため各車輪6の周辺内側に位置付けられる。この実施形態では、付勢部材は、コイルばね52として実装される。ばね52は、軸Yに平行な軸Y’に沿って、圧縮可能かつ伸張可能である。これは、ハブ組立体40とアップライト20との間に、ガイドロッド43に平行に配設される別のロッドまたはこの例では、ダンパまたは「ショックアブソーバ」などのピストンロッド組立体54を導入することによって達成され得る。これは、軸方向に貫通し、「コイルオーバー」と一般に呼ばれる方法で、ばね52を支持するピストンロッド組立体54を備えるばねダンパ組立体50を形成する。
したがって、車輪6は、サスペンションの圧縮および反発作用の間、車両1の車体4に対して上方および/または下方に(すなわち、軸Yに沿って)移動できる。
図9に示すように、ハブ組立体40のこの構成は、「空間フレームハブ」と呼ばれてもよい。すなわち、車輪からの荷重は、車輪の中心のハブ組立体上に位置する枢動連結41またはスタブ軸に伝達され、そして、ハブキャリア42を介して径方向外側に向かい、その後ハブ組立体40のロッド43に沿って内側に戻る。より詳細には、中心に位置する枢動連結41から、ハブ組立体は、車輪の荷重を径方向外側の車輪リムに(の方向に)移転する。ハブ組立体の第1のロッド43および第2のロッド44は、ハブ組立体の中心から径方向に間隔を空けた場所でハブ組立体の残りの部分によって保持されるか、またはそれに固定される。横揺れおよび縦揺れ方向加重(すなわち、キャンバ方向またはブレーキ方向)の大部分は、枢動連結40またはスタブ軸の中心軸により近い内側径方向位置でハブ組立体40のロッド43からアップライトのスリーブ31に伝達される。
さらに図2を参照すると、操向ロッド36a、36bの軸移動を車輪6の操向に変えるため、操向部材30は、リム7の周辺内側の別の位置でハブ組立体40に結合される。具体的には、図8に示すように、車輪ハブ組立体40は、別のロッド、第2のガイドロッド44を備え、それは、軸Y、Y’に平行な軸Y”に沿って(図14を参照)操向部材30の別のスリーブ32内を直線方向に移動できる。操向ロッド36a、36bの操作(すなわち、操向車輪60(図1および図12を参照)および操向ロッドシフタ38(図7を参照)を回転することによる)は、したがって、ボールジョイント39を車両1の車体4の方へ押すか、または車両1の車体4から離れる方へ引いて、前輪6を操向軸Yの周りに枢動させる。
機能上、この実施形態では、ハブ組立体40は、アップライト20に対して自由に回転しない。これは、アップライトの操向回転(または、もし提供されるならば、アップライトの操向部材部の操向回転)が、ハブ組立体に伝達されるのを確実にし得るので、有利である。図示のように第1のガイドロッド43に平行な第2のガイドロッド44の使用は、この機能を達成するための単に1つの可能な方法である。平行な2つの円筒形ロッドの使用に対する1つの可能な代替(管状スリーブ内で動作する)は、一部のオートバイおよび自転車の前輪サスペンションで知られているように、単一の正方形断面のガイドロッドを使用することである。こうした正方形断面ガイドロッドは、典型的には間隔を空けた針状ころ軸受のセット内またはセット上を延び、他の支持軸受の構成も可能であるが、針状ころ軸受の各セットは、典型的には2つの直角方向に位置付けられた対の針状ころ軸受を備える。同様に他の摺動構成は、ハブ組立体とアップライトとの間で可能で、回転安定性または回転制約を有する摺動を提供する。
図3は、左サスペンションアップライトすなわち第1のサスペンションアップライト20aおよび右サスペンションアップライトすなわち第2のサスペンションアップライト20bである、前輪サスペンションのサスペンションアップライト20を示す。各サスペンションアップライトは、2つの主な部品、上部ブリッジと下部ブリッジの間をそれぞれの端部で連結するコネクタ22、およびコネクタ22に対して回転できるが摺動しない操向部材30(a、b)を含み、すなわち、アップライトは、サスペンションに順応性すなわち弾性を与えないが、傾斜位置および操向配向を与える。
図2を詳細に参照すると、ブリッジ12および14は、剛性ブリッジ構造であり、それぞれ1つの車輪6aから別の6bに及ぶ。図4および図5に示すように、上部ブリッジ12および下部ブリッジ14は、それぞれ、それぞれのジョイント28または29を介してアップライト20に連結され、車両1の傾斜を可能にする。ジョイント28および29がボールジョイントである場合、アップライト20はそれぞれ、連結部材22および操向部材30を備える単一片であってもよく、操向回転はボールジョイントによって受け入れられることが可能なので、連結部材と操向部材の間で相対回転は要求されない。しかし、この実施形態では、例えば図4に示すように、ジョイント28および29は、枢軸であり、アップライト20はそれぞれ連結部材22を備えて、図14に示すように操向部材30の一部のスリーブ31に枢動可能に連結される。より具体的には、連結部材22は、少なくとも部分的にスリーブ31に囲まれる方法でスリーブ31に取り付けられる管状部23を備える。
さらに、図4に示すように、連結部材22はまた、枢動連結を形成するため各ブリッジの端部16(a、b)および18(a、b)に設けられたそれぞれの開口17(a、b)および19(a、b)を貫通するように構成された少なくとも2つの突起24(a、b)および25(a、b)を備える。突起24(a、b)および25(a、b)は、実質的に管状部23の長さに沿って間隔を空ける。具体的には、ブリッジ12に関して、端部16aの開口17aは、第1のサスペンションアップライト20aの連結部材22の突起24aに連結され、向かい合う端部16bの開口17bは、第2のサスペンションアップライト20bの連結部材22の突起24bに連結される。同様に、ブリッジ14に関して、端部18aの開口19aは、第1のサスペンションアップライト20aの連結部材22の突起25aに連結され、向かい合う端部18bの開口19bは、第2のサスペンションアップライト20bの連結部材22の突起25bに連結される。したがって、図1および図12に具体的に示すように、連結部材22に連結されるとき、ブリッジ14は、車両1の車体4に対して、全体としてブリッジ12の下部および前方に位置付けられる。
車両1の傾き(例えば、車両1の車体4が片側に傾くとき)は、図19に示す概略図に示すようにブリッジ12および14に対する車輪6の傾きによって達成することができる。その場合、上部ブリッジ12は、全体的に下部ブリッジ14に対して水平方向にシフトするが、ブリッジ12および14は、完全な傾斜の間でさえ、全体的に平行なままである。ブリッジ12および14は、それぞれの上部ブリッジ車体マウント13または下部ブリッジ車体マウント15で車両1の車体4に対して、回転する。
操向ロッド36a、36bはまた、サスペンションアップライト20の一部である操向部材30に回転可能に連結されるので、ロッド36a、36bはまた、車両1の傾斜の間、ブリッジ12および14に対して全体的に平行なままであってよいことが理解されよう。したがって、操向ロッド36a、36bの動作は、車両1の傾きから独立していてもよい。さらに、図13および図14に示すように、サスペンションアップライト20およびハブキャリア42は、実質的に車輪6のそれぞれのリム61の周辺内側に配設されているので、アップライト20およびハブキャリア42はまた、車輪6と共に傾斜し得る。したがって、図20に示すように、車輪6によって経験されるいずれのサスペンションの圧縮および反発作用も車両1の傾きから独立していてもよい。言い換えると、本発明の実施形態は、独立したサスペンションの圧縮および反発、操向ならびに傾斜反応を有する車両1を提供できる。
車両の傾動運動は、例えば、図10および図11に示す構成部品を使用して制御または制動され得る。傾斜中の車輪6のサスペンションにおける衝撃力の吸収を助けるため、図21に示し以下に説明するように、さらなる実施形態による車両1は、図2、図10および図11に示すように、傾斜ダンパ55を組み込む。傾斜ダンパは、単一回転式ダンパまたは少なくとも1つの、任意で2つの直線状ダンパであり得る。例えば、図10および図11に示す特定の実施形態による傾斜ダンパ55は、シリンダ57内を摺動可能なピストンロッド56を含むピストン/シリンダ組立体を備える。ダンパ組立体は、貫通ロッド型のラムを備えてもよく、すなわち、ピストンロッド56は、シリンダ57の内側のピストンの両側から伸びてシリンダ57の両端部から出て延びるロッドを備える。組立体の1つの端部(すなわち、シリンダ57に連結されていないが、代わりにシリンダから突出するピストンロッド56の1つの端部)は、(下部)ブリッジ12(図2および図5も参照)から延びる突起すなわちボール59に枢動可能に連結されるマウントポイント58aである。シリンダ57の本体は、シリンダ57上のマウントポイント58bによって車両1の下側(図示せず)に枢動可能に連結される。
傾斜ダンパ55は、車輪6がアップライト位置にある場合、傾斜ダンパ55が傾いて配設されるように配置される。この位置では、ダンパ55は、非圧縮位置と圧縮位置とのほぼ間にある。これにより、両方向での傾きが可能になる(すなわち、ブリッジに対する本体の回転)。傾斜ダンパ組立体の長さ対傾斜角の変化の特性に影響を及ぼす傾斜ダンパ組立体のマウントの位置などの傾斜ダンパ構成のジオメトリは、線形傾斜ダンパ組立体から所望の非線形特性を与えるように選択され得る。
好ましくは、第2のダンパ(図示せず)は、制動力の非対称さを防ぐため(すなわち、右に傾くときと比べて左に傾くときに)、ダンパ55とは反対の方向に傾くように配置され得ることが理解されよう。
傾斜ブレーキ構成70および/または傾斜調整構成75は、好ましくは、図2、図10および図11に示すように備えられる。傾斜ブレーキ構成70は、下部ブリッジ14に連結された湾曲要素すなわち傾斜ブレーキディスク部71および車両の本体に連結された締付け要素または係止要素72を含む。傾斜ブレーキ構成70は、選択的にブレーキをかけられるかまたは動けなくされるように前輪サスペンションに対する本体の傾斜運動を可能にする。湾曲要素すなわち傾斜ブレーキディスク部71は、環状ブレーキディスク、すなわち、リングブレーキ部、の一部であってよい。締付けまたは係止要素72は、ブレーキキャリパであってよい。
傾斜調整構成75は、下部ブリッジ14に連結された部分ギヤ要素76などの湾曲要素を含む。部分ギヤ要素は、車両本体に接続されたモータ77によって駆動されて、不適切に傾いている場合車体を右に、または受動的に起きるよりもより速い速度でもしくはより早い時間に、車体の傾きをコーナの方に動かすように、前輪サスペンションに対して車体の傾斜姿勢が調整されるのを可能にし得る。代替で、モータ77は、モータ発生器であってもよく、傾斜調整に加えて、傾斜ダンパ55の代わりかまたはそれに加えるか、いずれかを、前輪サスペンションに対する車体の傾斜運動を制動するため使用することができる。好ましくは、車体4の傾きは、オートバイのように受動的で、オートバイと同様に、コーナへの傾きは、例えば、カウンタステアによって初期化することができる。しかし、傾斜調整構成の使用は、初期カウンタステアなしで駆動された場合でも、車両が常に適切に傾いていることを確実にするために使用することができる。
図2および図14を参照すると、この実施形態による車両の各車輪6は、従来のブレーキディスクの代わりがリングブレーキであるブレーキロータ62を備える。リングブレーキ型ブレーキロータ62は、車輪6のリム61に同心的に強固に取り付けられる。好ましくは、ブレーキロータ62の外周縁は、リム61の内側表面に取り付けられ、ブレーキキャリパ49(図8および図9にも示す)は、ブレーキロータ62の裏側表面および表側表面上に選択的にリングブレーキをつかむように配置される。また好ましくは、ブレーキロータ62は、リングブレーキの形状の場合、車輪6の外側63近くのリム61の一部64に取り付けられ、外側は、車両の本体(図示せず)から離れる方向に向いている。この方法で、ブレーキロータ62は、サスペンションアップライト20の構成部品(操向部材30および連結部材22を含む)および車輪ハブ組立体40(それぞれの車輪6のリム61の周辺の内側に位置するハブキャリア42および枢動連結41(スタブ軸など))用の空間を提供できる。
さらなる実施形態の追加の操向部品は、例えば、車両1を貫通する長手方向区分を示す図12に見ることができる。車体4に座った、運転者2の位置を見ることができる。ステアリングコラム81の運転者の方の端部は、ハンドル8であり、ステアリングコラムの他方の端部は、操向機構80のギヤ82のセットによって決定された比で操向ロッドシフタ38へステアリングコラム81の、したがって、ハンドル8の回転を移す1組のギヤ82または部分的なギヤである。操向ロッドシフタの回転軸は、Sで示され、上部ブリッジおよび下部ブリッジ本体の枢動軸が、それぞれUおよびLで示される。ギヤ82のセットは、ステアリングコラムギヤ83、中間ギヤ84および操向ロッドシフタ部分ギヤ85を含む。しかし、当業者であれば、操向コラムから操向ロッドシフタへ回転運動を移転する他の配置が、構成されてもよいことが理解されよう。図示されていないが、操向ダンパもまた、操向運動を制動するように構成できる。
車両1のフロントノーズコーン90は、車両1の前方クランプルゾーンの少なくとも一部を提供でき、後輪の両側の車体構造91は、後方クランプルゾーンを提供できる。バッテリパックまたは燃料タンクなどの動力源92は、車体の前方および後方クランプルゾーンから離れて、図示の通り、実質的に運転者2の下に位置するのが好ましい。内燃機関およびハイブリッドドライブトレインも想定されるが、動力源92は、電気モータ93などの推進モータ用のエネルギーを提供する。電気モータ93は、スイングアーム94のそばに位置する後輪7を駆動する。荷物室96は、運転者2、電気モータ93および後輪ホイールアーチ95の間に図示される。カバー97は、荷物室96用に装備される。
図19~図22を参照して、上述の1つまたは複数の実施形態による車両1の様々な利点をここで論じる。
図19は、前方から見た場合の、左折方向に傾く車両を示す概略図である。左折の方向は、コーナリングの方向を示す矢印Cによって示される。前述の通り、上部ジョイント28は、上部ブリッジ12とアップライト20のコネクタとの間に枢動連結を提供する。同様に、下部ジョイント29は、下部ブリッジ14とアップライト20のコネクタとの間に枢動連結を提供する。しかし、各アップライトが、任意にそれぞれのコネクタおよび操向部材を1つの実質的に剛性の本体に組み合わせる場合、上部ジョイント28および下部ジョイント29は、組み合わせた傾斜および操向に必要とされる回転を与えるためすべての3つが相互に垂直な軸に、効果的に回転を与える。
上部ジョイント28および下部ジョイント29は、一緒に仮想平行四辺形の頂点を画定する。上部ブリッジ12および下部ブリッジ14が、両方とも単一線として概略的に示されているとき、上部ブリッジ車体マウント13および下部ブリッジ車体マウント15は、上部ジョイント28または下部ジョイント29と同じ高さに、すなわち、仮想平行四辺形の一辺上に位置していると示される。しかし、上部ブリッジ車体マウント13および下部ブリッジ車体マウント15は、必ずしも上部ジョイント28または下部ジョイント29と同じ高さに位置しないので、仮想平行四辺形の(実質的に水平な)辺上に位置する必要はないことを理解されたい。
図19の正面図などの端面図で見た場合、操向ロッド36a、36bは、上部ジョイントと下部ジョイントとの間の仮想平行四辺形の上線および下線に対して平行であるように配向されるのが好ましい。好ましくは、操向ロッドは、その内側端部37c、37dで、共通の軸で操向ロッドシフタに枢動されるかまたは回転可能に接合される。好ましくは、外側端部37a、37bは、ブリッジの上部ジョイントと下部ジョイントとの間の仮想平行四辺形の辺上にあり、すなわち、理想的には操向ロッドの外側端部の間の長さは、上部ジョイント28の間と下部ジョイント29の間の長さに等しい。
車両が傾くかまたは傾斜するとき、サスペンションアップライト20を車体4に平行に保つことによって提供され得る顕著な利点は、ハブキャリア42したがって、前輪6a、6bが車体に対して平行に維持されることである。これにより、少なくとも2つの利点が与えられ得る。
第1に、車輪6aまたは6bの相対運動は、車両1の傾きに関わらず車体に対して平行であり、車体の傾きは、一般にコーナリングによる水平な力Hと重力による垂直な力Vとの間の関係性によって決められるので、車輪と車体との間の相対運動は、好ましくは、水平方向成分Hおよび垂直方向成分Vの結果としての力Fの方向に揃う。
第2に、図示の実施形態の単一の後輪7の圧縮運動および反発運動はまた、通常、後方スイングアーム94(図12を参照)の使用によって車体に対して平行に維持されるので、図20に示すように、車両が傾いているときでさえ、前輪および後輪の圧縮運動は、すべて車体および互いに対して平行である。これは、例えば、前輪および後輪のすべては、車両の傾きに関わらず車体に対して平行に動くので、加速または制動による縦揺れ運動は、運転者が感じるヨー運動を生じないことを意味する。比較してみると、ダブルウィッシュボーン式前輪サスペンションおよびスイングアクスル式後輪サスペンションを有する車両は、地面に対して実質的に垂直な前輪運動および車両の傾きに対して平行な後輪運動を有し、その組み合わせは、こうした車両でコーナリングする間、加速または制動による縦揺れからヨーを生じる。
図20は、方向Cにさらにコーナリングする車両1を示すが、ここでまた前輪が急な隆起Bに遭遇し(その直後、後輪が)サスペンションを圧縮しながら上方に動き、その後車体4は、対応する量だけ上方に動く。隆起前の地面ならびに車輪6a、6bおよび7の位置を破線で示す。隆起後の地面ならびに車輪6a’、6b’および7’の位置を実線で示す。ハブキャリア42’上の対応する枢動連結(またはスタブ軸)41’と共に車輪6a’および6b’はすべて、車体4、車輪6a、6bおよびアップライト20の角度に平行な方向Dに移動している。車体4の慣性により、車体は大きく動いてなく、それにより、ブリッジ12、14、操向ロッド36a、36bおよびアップライト20も、大きく動いていない。操向部品が動いていないとき、幾何学的バンプステアにより、コーナCの円弧で車両の前方軌道を維持するために操向は必要ない。
図示のサスペンション構成によって提供され得る別の利点は、前輪および後輪の圧縮運動により、車両が傾いているときでさえ、すべてが車体および互いに対し平行であり、コーナでの隆起による車体のヨー運動は、防がれるか、少なくとも最小化される。オートバイのような性能を備える車両では、後輪のグリップロスにより車体のヨー運動を感じる運転者の能力、例えば、コーナでの隆起からの不要なヨー運動を経験しないことは大きな利点である。
図21は、再び方向Cでコーナリングする車両1を示すが、この例では、前輪6bのうちの1つだけで隆起B’に遭遇している。隆起B’の前の車輪6bおよび地面の位置は破線で示され、隆起B’直後の車輪6b’の位置が実線で示される。点線は、隆起に漸次遭遇したとき、3つの中間点での車輪および地面の位置を示すために使用される。車輪での力の方向は、Fで示され、コーナリングからの遠心力による車輪に作用する水平方向の力Hおよび重力による垂直方向の力Vの結果として生じる。車体に対する車輪6bの変位の方向D’は、結果として生じる力Fの方向とほぼ揃い、図13~図18に示すハブ組立体40とアップライト20との間のコイルばねなどの弾力性付勢部材52の圧縮で変動する。したがって、サスペンション構成は、例えば、ダブルウィッシュボーン式サスペンションを有する従来の車両と比較して、横方向の摺動が、車両に大きな横揺れモーメントを生じる間、隆起からの横方向荷重に遭遇する「トリップ動作」または「ハイサイディング」イベントにあまり影響を受けない可能性がある。追加で、傾斜ダンパおよび/または傾斜ブレーキを使用して、こうしたトリップイベントで車両の本体の回転を制限できる。
傾斜ダンパおよび/または傾斜ブレーキもしくは傾斜上昇を使用して、図21に示すコーナでの隆起などの単一車輪入力イベントに対する車両の応答も調整できる。例えば、(ハブ組立体とアップライトとの間の)車輪ダンパの特性を調整すること、および/または(ブリッジのうちの1つと車体との間の)傾斜ダンパの特性を調整することは、ブリッジに対する車輪の力と変位と、車体に対するブリッジの力と変位との間のつり合いを調整する。この方法で、車体への単一車輪の隆起の伝達を調整できる。例えば、傾斜制動および車輪の反発制動より高い車輪の圧縮制動は、より大きいブリッジの回転および所与の入力に対する低いまたは主に垂直方向の車体への力をもたらし得る。反対に、車輪の圧縮および反発制動より高い傾斜制動は、より少ないブリッジの回転および同じ所与の入力に対して車体への増加した回転力をもたらし得る。最後に、高車輪圧縮および反発制動を備える高い傾斜制動は、ブリッジの最も低い回転および車体への最も高い垂直方向力をもたらし得る。
図22は、側面図で車体に対する(図示せず)車輪の変位の方向D”を示し、車両の移動の方向が矢印Xによって示される。破線を使用して、元の地面のレベルの継続ならびに隆起B”以前の車輪ハブ組立体の車輪6およびガイドロッド42の対応する相対位置を示す。隆起の直後、大きな垂直方向の車体の変位前の車輪6”、ガイドロッド43”、操向部材のスリーブ31およびアップライトのコネクタの管状部23の位置が実線で示される。見ることができるように、車体に対する(図示せず)車輪6”の変位の方向D”は、操向軸Yのすくい角Rにより後方でありならびに上方である。方向D”の変位はハブ組立体とアップライトとの間の付勢部材の弾性により適合するので、方向D”の動きのこの後方の成分は、隆起に遭遇したとき車両への長手方向の衝撃力を低減する点で、有益であり得る。
すくい角は、モータバイクのすくい角に類似してもよく、好ましくは、少なくとも10°、より好ましくは15°~30°で、理想的には19°~26°である。オートバイと同様に、低いすくい角Rは、操向の入力に対して車両をより影響を受けやすくするので、駆動に対してより良く反応し、より大きいすくい角は、車両を操向の入力に影響を受けにくくするので、駆動に対して鈍感になる。
図23は、少なくとも一実施形態の操向軸Yに沿った図である。操向のボールジョイント39、下部ブリッジ14の下部ジョイント29、上部ブリッジ12の上部ジョイント28、コネクタの管状部23、操向部材のスリーブ31およびハブ組立体のガイドロッド43はすべて、中心線Wが示す車輪6aまたは6bの中央平面上にある。多くの点で、前輪サスペンションの前輪は、オートバイの前輪を機能的に複製する。例えば、操向軸Yは、車輪の中心線W上にある。コイルばねおよび第2のガイドロッド44などの付勢部材52は、包装のため、車輪の中心線W上の中心に置かれるより裏側表面にオフセットされる。
前方から見たとき操向軸Yは垂直であり、車両1の車体4がアップライトであるとき、2つの硬いブリッジを使用すると(すなわち、正面図で、上部ジョイント28と下部ジョイント29との間の実質的に横方向の線は、仮想平行四辺形の2つの辺を形成し、上部ジョイントと下部ジョイントとの間の実質的に縦方向の線は、他の2つの辺を形成し、操向軸と整列する)、タイヤまたは車輪6の中心線からの操向軸の逸脱は、スクラブ半径を生じる。小さいスクラブ半径(例えば、100mmまで)は、一部の用途で有用であり得るが、大きいスクラブ半径は、通常不要である。
相対的に大きい傾斜角(例えば、約50°の)がスポーツ車両で望ましい場合、車輪の中心線Wから上部ジョイント28および下部ジョイント29の任意の大きいオフセット(例えば、100mm)は、下部ジョイントの地面の隙間がひどく犠牲になり得る程度に傾斜中のブリッジ12、14の動きの角度の大きな増加を生じる。
操向軸Yからの操向ボールジョイント39の横方向のオフセットは、操向が中心から離れると、左車輪および右車輪の異なる操向角を提供するであろう。非傾斜車両では、これを使用して、一般に「アッカーマン効果」と呼ばれるある角度を与えてもよく、真のアッカーマン操向ジオメトリでは、各車輪は、車輪の中心から回転する円の中心に引かれた線に対して垂直である。しかし、傾いている車両で、操向ボールジョイント39を横方向に上部枢動軸Tから下部枢動軸T’にオフセットすると、傾いて操向させ、左車輪および右車輪の操向は異なり、事実上傾いてトー角変化を与える、間違った操向ロッドの長さを与える可能性がある。適宜、操向ロッドは長さが変更可能であってよく、アッカーマン角度およびアッカーマン効果を非常に遅い速度で提供できるが、例えば、時速数kmを越えると、0°または0のオフセットに戻る。代替で、左操向ロッドの内側端部37cおよび右操向ロッドの内側端部37dのジョイントは、操向ロッドシフタ上を別々に移動して、例えば、図50および図51に示すように、左右前輪の操向角におけるアッカーマン効果あるいはアッカーマン効果の近似または程度を達成することができる。
上記の理由で、操向のボールジョイント39、ブリッジ12の上部ジョイント28およびブリッジ14の下部ジョイント29、ならびに車輪の中心線Wからの操向軸Yのいずれのオフセットも制限することが望ましい。これは、第2のガイドロッド44および例えば、車輪のリム内に少なくとも部分的にパッケージ化されるコイルばね52を含む車輪用ばねダンパ組立体にも必要とされる。
しかし、上述の通り、車輪の中心線Wからのサスペンションの一部の構成部品の小さい横方向のオフセットを提供することが望ましくてもよい。このため、図24は、操向のボールジョイント39、下部ブリッジ14の下部ジョイント29、上部アーム12aおよび12bの上部ジョイント28、コネクタの管状部23、操向部材のスリーブ31およびハブ組立体のガイドロッド43はすべて、中心線Wで示される車輪6aまたは6bの中央平面からわずかにオフセットされる代替の実施形態の操向軸Yに沿った図である。オフセットの量および方向は変動し、いずれのオフセットもサスペンション構成の理想的な動作を損ねるが、一部のオフセットは、受け入れ可能な機能で可能であり、適用車両の潜在的な性能が上昇すると、可能なオフセットの程度は、一般的に低減される。
図24では、上部ブリッジは、例えば、図25でも示すように2つの上部アーム、左上部アーム12aおよび右上部アーム12bに取り替えられる。両方の上部アームは、前述の図の単一ブリッジ12と同様に共通の上部マウント13の周りで枢動する。図25aは、各アーム12aまたは12bが、長手方向に間隔を空けた複数のブッシングを有する「ピアノヒンジ」構成を示す。図24に示すように上部ジョイント28と下部ジョイント29との間に異なる距離を有することは、ブリッジの一方は、図示のように2つのアームと置き換えられることを必要とする。なぜなら異なる長さの2つの単一片ブリッジを使うと平行四辺形を形成しないので、車体が傾いたとき、自由に回転するようにならないからである。上部ブリッジまたは下部ブリッジのいずれかは、2つのこうしたアームと置き換えられてもよい。上部ジョイントおよび下部ジョイントの異なるオフセットを有するこうした構成を利用して、各車輪のキャンバは、車両が傾くとき、車体に対して変動できる。これは、大部分は正しい横方向のオフセットまたは操向ボールジョイントの配置で打ち消されるが、望ましくあり得る一方、車両の傾いている車輪の操向を生じる場合もある。図24に示す特定の組み合わせおよびオフセットの方向は、例としてのみ示され、有益な組み合わせを示すことを意図しないことに留意されたい。
図25bは、車両がアップライト位置にある、図25aの2つの上部アーム12a、12bを利用する車両の概略正面図を示す。上部車体マウント13は、それぞれのアップライトへのそれぞれの上部ジョイント28と同じ高さにある。上部ジョイント28が下部ジョイント29と同じ幅であるこの構成では、車両が傾き、左右の車輪が車体に対して平行のままであるとき、2つの上部アーム12a、12bは、一線に並んだままである。しかし、車体4への各上部アーム12a’、12b’の上部マウント13’が、アップライトへの上部ジョイント28より高く位置付けられる場合、図25cに示すように、車体および車輪が傾くと、前輪6a、6bは車体より大きい角度に傾く。このように、上部車体マウント13の高さを上げると車体の傾斜角に対する前輪の傾斜角が増す。
しかし、車体4への各上部アーム12a”、12b”の上部マウント13”が、アップライトへの上部ジョイント28より低く位置付けられる場合、図25dに示すように、車体および車輪が傾くと、前輪6a、6bは、車体より少なく傾く。このように、上部車体マウント13の高さを下げると、車体の傾斜角に対する前輪の傾斜角が下がる。
上部マウント13が、同じ高さにあるか、アップライトへの上部ジョイント28より高いかまたは低いかに関わらず、操向ロッド36a、36bの内側端部37c、37d(または図25cの37c’、37d’もしくは図25dの37c”、37d”)と操向ロッドシフタ38との間の操向ジョイントは、車両がアップライトかまたは傾斜してないとき、操向ジョイント39が、アップライトの上部ジョイント28と下部ジョイント29との間にあるように、上部車体マウント13(または図25cの13’もしくは図25dの13”)および下部車体マウント15との間と同じ割合である高さにあるのが好ましい。
図25eは、横方向に分離した上部車体マウント13a”’および13b”’を備える2つの上部アーム12a”’、12b”’を利用する車両の概略正面図を示し、このように、上部アーム12a”’、12b”’は、図26に示す下部アーム14a、14bに似ていてもよい。車輪6aのアップライトで上部車体マウント13a”’と上部ジョイント28との間の距離を短くすると、上部アーム12a”’の長さが短くなる。同様に、車輪6bのアップライトで上部車体マウント13b”’と上部ジョイント28との間の距離を短くすると、上部アーム12b”’の長さが短くなる。図25fに示すように、これにより、車体および車輪が傾くと、前輪6a、6bが車体4に対して上部が内側に傾くようになる。こうした上部車体マウント13a”’、13b”’の外向きの位置付けにより、傾いている車体に対する前輪のキャンバが減少する。反対に、上部車体マウント13a””と車輪6aのアップライトの上部ジョイント28との間の距離を増やすと上部アーム12a””の長さが増し、上部車体マウント13b””と車輪6bのアップライトの上部ジョイント28との間の距離を増やすと上部アーム12b””の長さが増す。図25gに示すように、これにより、車体および車輪が傾くと、前輪6a、6bが車体4に対して上部が外側に傾くようになる。こうした上部車体マウント13a””、13b””の重なり位置は、傾いている車体に対する前輪のキャンバを増やす。
左右の操向ロッドは、操向ロッドシフタ38の端部に操向ジョイント37c、37dを有するが、各操向ジョイント37c’’’、37d’’’または37c’’’’、37d’’’’は、下部ブリッジ車体マウント15とそれぞれの上部アーム12a’’’、12b’’’または12a’’’’、12b’’’’の上部アーム車体マウント13a’’’、13b’’’または13a’’’’、13b’’’’との間の仮想線上にある。操向ジョイント37c’’’、37d’’’または37c’’’’、37d’’’’と下部車体マウント15との間の距離に対する上部アーム車体マウント13a’’’、13b’’’または13a’’’’、13b’’’’と操向ジョイント37c’’’、37d’’’または37c’’’’、37d’’’’との間の距離は、操向ジョイント39とアップライト上の下部ジョイント29との間の距離に対する操向ジョイント39とアップライト上の上部ジョイント28との間の距離と同じ割合であるのが好ましい。
傾いている前輪のキャンバを低減することにより、図25fに示すように、回転の外側の車輪のリーン角を増やす。これは、例えば、前輪の地面とのトラック幅が増加し、安定性の利点をもたらすように有利であり得る。また、車両が、縁石を避けるため十分に小回りするのを失敗した場合、より車輪を傾けて縁石に応対することにより、アップライトと車輪のハブキャリアとの間の圧縮の順応性を可能にして、外側の車輪がより垂直であった場合より縁石の衝撃のより横方向の吸収をもたらす。追加で、車輪のリムの外側63が、図25fに示すように外側に突出する場合、傾いているキャンバを低減することは、回転の内側の車輪のリーン角を減らし、車輪リムの突出部と地面との間の隙間を増加させる。
上部車体マウント間の距離の増減と上部車体マウントの高さの増減との組み合わせを使用してもよい。例えば、上部フロント車体マウントが、図25dと同様の方法で低下されて、運転者の足を低くできる場合、各車輪の傾斜角は、車体の傾斜角に比べて低減され、このように回転の間、車輪の外側の傾斜角の低下を最小化し、無効または逆にさえするため、車体マウントはまた、外側に移動して、図25fと同様の方法で各上部アームの長さを短くすることもできる。これにより、回転の間、車輪内側のリーン角をさらに低減するであろう。
図26は、2つのアーム14a、14bが、下部ブリッジを交換して示され、上部ブリッジが、この場合、上部ジョイント間で実質的に強固であるさらなる代替を示す。ここで、2つの下部アームがブリッジのうちの1つの代わりに使用され、アームは、図26に示すように横方向に分離できる個々の下部車体マウント15を有し得る。図25a~25gで上部車体マウントに対して説明したように、下部車体マウントはまた、上下方向どちらにもおよび/また外側にもしくは重なっていずれにも移動でき、車体が傾いている前輪の所望の傾斜角特性を提供できる。
図27は、前輪サスペンション10、リヤサスペンション200および車体4の代替の実施形態を組み込む本発明による代替の車両を示す。車体4は、フロントガラス110および様々な適合を組み入れて、今後の図でより詳細に説明する代替の前後輪サスペンション、様々な位置の操向および蓄電部品を収容する。リヤサスペンション200は、後方左車輪(表示せず)および後方右車輪7bを含む。
図27の前輪サスペンションは、図28により詳細に示される。図2に示す前輪サスペンションには多くの類似点があり、図28の等価部品には、図2と同様の参照符号が割り当てられる。最も重要な相違は、第1のハブ組立体40aおよび第2のハブ組立体40bは、図29~図31により詳細に示すように1片のアップライト20a、20bを含み、操向機構80は、図42により詳細に示すように、ギヤの代わりにレバーおよびロッドを利用し、傾斜ブレーキ構成70および傾斜上昇構成75は統合されて、図33により詳細に示すようによりコンパクトになり、ブレーキキャリパ49は、移動できハブ部品45が含まれることである。ブレーキライン121の経路は、図33、36、39および42により詳細に示される。
図28に示すように、各前輪6a、6b用のハブ部品45は、ハブキャリア42aまたは42bのスタブ軸41上の車輪のベアリングのそばに取り付けられ、車輪を従来の自動車の車輪の固定方法でハブ部品にボルト留めできる。
上部ブリッジ12と第1のアップライト20aとの間のジョイント28は、ボールジョイントであり、傾斜運動および操向運動の回転ができ、同様に下部ブリッジ14と第1のアップライト20aとの間のジョイント29はボールジョイントである。したがって、操向軸Yは、ここでジョイント28および29のボールの中心を貫通する。これも図29で見ることができるように、上部傾斜ジョイント軸Tは、ジョイント28のボール111およびソケット113の中心を貫通し、下部傾斜ジョイント軸T’は、ジョイント29のボール112およびソケット114の中心を貫通する。2つの傾斜軸TおよびT’は、上部ブリッジ本体枢動軸Uおよび下部リッジ本体枢動軸Lに対して両方とも平行である。
図29の分解図に示すように、下部ブリッジ前後枢動シャフト115、116は、下部ブリッジ14の内側から組み立てられる。枢動シャフト115、116は一度組み立てられ、その後、車体に固定され得るか、車体の一部を形成し得る図32に示すサブフレーム120内の下部ブリッジ枢動孔122内など車体のベアリング内に突出する。図29では、傾斜ブレーキディスク部71は、この例では、外周に歯を備える単一傾斜制御ディスク78内の傾斜上昇の部分ギヤ要素76と組み合わされる。傾斜制御ディスクは、ブリッジに隣接するサブフレームの内側、またはサブフレームの後ろに位置することができるが、この例では、図33に示すように、下部ブリッジ14およびフロントサブフレーム120の前に位置し、下部ブリッジ14に本質的に強固に連結され、下部ブリッジ14と共に駆動されるフロント枢動シャフト112によって下部ブリッジに連結される。例えば、枢動シャフト116の端部および傾斜制御ディスク78の中心は、スプラインまたは角ドライブであってもよい。下部ブリッジ車体マウント15の孔122を介してサブフレームの基部を分割するなど、下部ブリッジを車体に対して枢動する他の方法が使用されてもよい。
傾斜ダンパのブリッジマウント59が、図29の下部ブリッジ14の前方に見える。
図30は、上部傾斜ジョイント軸Tおよび下部傾斜ジョイント軸T’とアップライト位置に組み立てられた図29の構成部品を示し、第1のアップライト20aの操向軸Yが示される。図5ですでに示した実施形態で背後にあるものと対照的に、この例では、上部ブリッジ12は、下部ブリッジ14の内側に入れ子になる。図31は、傾斜位置にある図30の組立体を示し、上部ブリッジ12は、下部ブリッジ14の枢動軸Lの周りで横方向下方に移動している。見ることができるように、アップライト20a、20bが、傾いたとき、上部ジョイント28および下部ジョイント29を通る操向軸Yは、同様に傾いている。ばねダンパ組立体の上部シート117は、図31の傾いたアップライト20a、20b上に見える。アップライトの第1のスリーブ31および第2のスリーブ32も、図31の第2のアップライト20bに見える。
図32は、前輪サスペンションの構成部品を取り付けるためのいくつかの特徴を含むフロントサブフレーム120を示す。上部ブリッジ車体マウント13は、ちょうど見ることができ、下部ブリッジ車体マウント15は、この例では、両方ともサブフレーム120内にある孔122を含む。図33に示す傾斜ブレーキ構成の締付けまたは係止要素72は、サブフレームにボルト留めされるか、または図32に示す傾斜ブレーキ凹部123内に部分的に受け入れられてもよい。同様に、傾斜上昇構成のモータまたはモータ発生器要素77は、サブフレームにボルト留めされるか、または傾斜上昇モータ凹部124に部分的に受け入れられてもよい。傾斜制御ディスク78は、車体またはサブフレームと干渉する可能性があり、このように凹部が設けられて、滞りなくそれを収容する。また、フロントサブフレーム120の前後低部領域には、操向レバーアーム枢動取り付け穴126がある。図33に見られるように、サブフレームを穴127で貫通するブレーキライン141は、その後操向レバーアーム枢動取り付け穴126の内側を上に進む。
傾斜ダンパ55も図33に示され、その頂部は、凹部128内に見える。傾斜ダンパが図示のように直線状であるが、前輪サスペンションのブリッジの後ろまたはフロントフレームの後ろに移動する場合、運転者の足元スペースと摩擦を起こしそうである。回転型ダンパを使用することは、より広い範囲の傾斜ダンパの可能な配置を可能にし得る。
図34は、分解形態の第1の車輪ハブ組立体40aおよび第2の車輪ハブ組立体40bを示し、図35は、組み立てられた車輪ハブ組立体を示す。各車輪ハブ組立体の第1のガイドロッド43および第2のガイドロッド44は、それぞれのハブキャリア42a、42bに固定される。使用に際しては、各第1のガイドロッド43は、図29の分解図に見られるそれぞれのアップライトのそれぞれの第1のスリーブ31を貫通する。同様に、図34および図35のそれぞれの第2のガイドロッド44は、使用に際しては、図29に見られるそれぞれのアップライトのそれぞれの第2のスリーブ32を貫通する。これにより、アップライトから車輪ハブ組立体へ操向の配向を伝達しながら、各車輪ハブ組立体40a、40bがサスペンションの圧縮および反発運動と共にそれぞれのアップライトに対して移動することを可能にする。車輪ハブ組立体の上のばねダンパ組立体マウント131は、図34にハブキャリア42a上に見える。
移動可能ブレーキキャリパ(図示せず)用マウントも、図34のハブキャリア42a、42b上に見える。上部枢動マウント132が、ハブキャリア42a、42b上に、下部係止ピンマウント133と同様に、ブレーキキャリパ用に備えられる。下部係止ピンマウント133に隣接するのは、凹部134で、図36および図37に詳述するようにキャリパ上の取り付けアームが、車輪内に移動して位置を変えることができるようにする。
図36および図37は、前輪サスペンションの車輪6を通る区域を示す。外側に、車輪リム61上のタイヤ65のトレッドがある。リングブレーキ型ブレーキロータ62は、車輪リム内側に取り付けられる。車輪リムは、枢動連結41のハブキャリア42に回転可能に取り付けられる。区域は、環状ブレーキディスクすなわちリングブレーキ型ブレーキロータ62を通るので、ブレーキロータと係合するブレーキキャリパ49も、区分される。ブレーキキャリパは、上部枢動マウント132でハブキャリア42に枢動可能に連結される上部アーム47を含む。ブレーキキャリパは、ピン135によってハブキャリア42に下部係止ピンマウント133で押し付けられる下部アーム48をさらに含む。図36で、ブレーキキャリパは、動作位置に示される。
ブレーキラインのいくつかの部分を、図36および図37に見ることができる。ブレーキライン部145は、車体から操向機構を介して生じ、傾斜および操向運動の間に変形する。ブラケット136、137は、ハブキャリアに対してブレーキラインを制限する。ブレーキライン部147は、車輪ハブ組立体の圧縮および反発運動の間、アップライトに対して変形し、ブレーキライン部149は変形して、キャリパがハブ組立体に対して動くことができるようにする。
ロッキングピン135が取り除かれると、ブレーキキャリパは、内側に車輪の中心の方に回転し、ブレーキロータを係脱し、ブレーキリング型ブレーキロータ62が固定される車輪6が、簡単に取り外されるようにできる。キャリパが、図36の必要とされる動作位置よりも図37のサービス位置にある場合、車両のパワートレインに対する連結が、車両が駆動されるのを防ぐように備えられてもよい。図37に見られるように、ブレーキライン部149は、キャリパ49が図示の点検位置に回転できるように偏る。
代替で、キャリパは、内側に摺動して、図示のように回転せずに、ブレーキリング型ブレーキロータを係脱することができる。そして、ブレーキラインは、直線運動に順応する必要がある。
図38および図39は、再びブレーキリング型ブレーキロータ62での車輪組立体を通る区域を示すが、内側に車両の中心に向かって見え、したがって、動作位置でブレーキロータの周りに係合するキャリパ49の他の半分がここで示される。ハブキャリア42の上部および下部の小さい区域のみが見える。図38では、車輪6は、アップライト20に対して下方に延びる反発位置にある。ブレーキライン部147は、図39に示す圧縮位置より、より湾曲される。図38のブレーキライン部145は、直線操向位置にあることを示すが、仮想線は、ブレーキライン部145が、車輪が左に操向されるときに動く位置を示す。操向ジョイント39は、操向ロッドおよび操向ジョイントをアップライトの主本体に連結する剛性アーム33に連結される。
図39では、車輪6は、アップライト20に対して上方に移動した圧縮位置にある。ブレーキライン部146は、真っすぐに伸びてアップライト20とハブキャリア42との間の相対運動を可能にする。車輪も、ブレーキライン部145を操向により上方に曲げられて、右に操向されて示される。仮想線は、ブレーキライン部145が直線位置に移動する位置を示す。
図40は、操向機構80の部分分解図を示す。ステアリングコラム81は、自在継手またはカルダン継手もしくは同様の物を有して、ステアリングコラムの傾きの変更を可能にする。ステアリングコラムの端部のレバー87は、操向レバーアーム枢動軸の周りで枢動するレバー89に連結する下方に伸びるロッドまたはドロップリンク88に駆動する。レバー87および89とドロップリンク88との間の連結は、通常ボールジョイントであるが、この例では、レバーの回転軸が平行なので、ピン型ジョイントであってもよい。レバー89は、操向ロッドシフタ38に強固に連結され、操向ロッドシフタ38は、前述の実施形態の通り、左操向ロッド36aおよび右操向ロッド36bを駆動するように機能する。レバーの長さは、操向比を変更するように調整され得る。例では、例示の頂部レバー87は、底部レバー89の有効長の半分で、2:1の操向比を生じる。操向比は、約1.8:1または2:1であるのが好ましいが、例えば、1:1以下または3:1もしくは4:1以上、すなわち、1:1~2:1または3:1もしくは少なくとも4:1などの範囲内であってよい。操向支援が、例えば、サーボ機構を用いるのに必要な操向入力力に対応するため与えられてもよい。支援の量は、速度、操向角、傾斜角および/または操向入力力などの多くのパラメータで変更できる。例えば、支援の最も大きい量は、低速に与える可能性があり、より少ないか、0でさえある支援は、高速の車両に与えられる。
操向機構80は、図41で組み立てられ、右に操向される。破線は、操向が直線位置にあるときに、操向ロッド36a、36bがある位置を示す。ステアリングコラムの回転は、レバー87を回転させ、レバー89をドロップリンク88によって駆動する。操向ロッドシフタ38は、円筒形部材151によってレバー89に固定され、そうして、図12に示す操向機構と同様の結果を与えるよう操向軸Sの周りで回転するように駆動される。しかし、レバー87、89およびドロップリンク88の使用により、これらの部品は、例えば、運転者の脚の間のフロントサブフレームの後ろなど後方に移動でき、車体の重心を上げて、バッテリパックなどの動力源が運転者の脚の上に少なくとも部分的に位置することを可能にし得る。
円筒形部材は、後方突出シャフト152および図32のサブフレームに示す操向レバーアーム枢動取り付け穴126で動作する前方突出管153を有する。
図42は、車体からキャリパへのブレーキラインの経路を示す。ブレーキライン部141は、図33に示すように車体またはサブフレームから出て、操向ロッドシフタ38に連結される前方突出管153に入る。ブレーキラインは、操向ロッドシフタ38の内側の短い距離を進んで上がり、ブレーキラインループ部143で操向ロッドシフタ38を出て、左操向ロッド36aおよび右操向ロッド36bにそれらの内部端部で曲がって入り、これらブレーキラインループ部143は、操向および傾斜運動を可能にするよう偏る。ブレーキラインは、代替として外部から操向ロッドにつなぐこともできる。操向ロッドの外部端部で、ブレーキライン部145は、上述の通り、傾斜および操向運動に順応する変形を可能にするよう周囲に曲がる。ブレーキライン部147は、車輪ハブ組立体の圧縮および反発運動の間、アップライトに対して変形し、ブレーキライン部149は変形して、キャリパ49がハブ組立体に対して動くことができるようにする。図42では、キャリパ49をその動作位置に示す。
ブレーキラインは、部材を貫通して示されてきたが、代わりにそれらにつながれてもよい。同様に、ブラケットが定位置でブレーキラインを締付けているのを示す場合、こうしたブラケットは、ブラケット内にブレーキラインが軸摺動できるよう設計されるか、またはブラケットが、旋回するように、または可能な自由度の組み合わせを提供するように設計されてもよい。代替で、クリップを使用して、ブレーキラインを、例えばサスペンションの構成部品または車輪リムもしくはタイヤに偏らないように保持できるが、こうしたクリップは、クリップによって制限された方向の垂直方向の軸運動およびブレーキラインの回転ならびに径方向運動さえ可能にする。ブレーキラインがいくつかの方法でつながれる構成部品は、異なるブレーキライン経路が可能であるように、異なってもよく、傾斜、操向、圧縮および反発の間、構成部品間の様々な相対運動に順応するため異なるループを必要とする可能性がある。
変更されたブレーキライン経路およびつなぎを図43に示す。例えば、ブレーキラインは、再び操向ロッド36a、36bの一部の内側を通るが、操向ロッドから出て、その後、ブラケットと操向ロッドの間隔を空けるスペーサによって操向ロッドに連結され得る保持ブラケット146を貫通し、回転外側部またはローラを含んで、いくつかの状況でブレーキラインに対する摩擦を低減できる。ブラケット144の後を進むブレーキライン部145は、操向運動の間、アップライト20a、20b、操向部材30a、30bおよびハブキャリア40a、40bがブリッジに対して傾くと、正面図で大小の振幅波形状を形成する場合があり、ブレーキラインが操向ロッド36a、36bから離れて大きな前方への動きをするのを制限しながら、ブラケット146は、ブレーキラインの摺動および回転を可能にする。この例のブレーキラインは、操向ボールの端部のクリップ146によっても制限され、その結果、クリップおよびクリップ146内のブレーキライン部は、操向部材30a、30bに連結されて、傾いている車輪と共に動く。また、保持ループ148は、主として、操向部材30a、30bを含むサスペンションアップライト20a、20bに対する車輪ハブ組立体40a、40bの圧縮および反発運動に順応するブレーキライン部147を案内するように示される。この例では、保持ループは、ブレーキキャリパ49に連結される。
図36~図39、図42および図43に示される様々なブレーキライン経路およびつなぎが説明するように、ブレーキラインの経路への多くの変更が可能であり、つなぎの数および種類も変動してもよい。
図43は、本発明による多くの他の特徴を組み入れる前輪サスペンション10を示す。例えば、図45により詳細に示すように、ブレーキロータ62は、ハブキャリア42bの内側に位置し、ハブキャリアの外側でハブ部品45に連結される、より従来型のブレーキディスクであり、ブレーキキャリパ49を取り外さず車輪(図示せず)を取り外すことができる。したがって、キャリパ、ハブ部品およびブレーキディスクはすべて、ハブ部品を備えるハブ組立体40aの一部であり得る。
サスペンションアップライト20a、20bは、2片であり、図46および図47により詳細に示される。各サスペンションアップライト20a、20bは、好ましくは、部品が組み立てられたとき、所定の位置にねじ止めされ得る上部スピゴット171および下部スピゴット172を使用して、コネクタ22に枢動可能に取り付けられる操向部材30a、30bを備える。スピゴット171、172などの枢軸は、操向軸Yを定義する。
図47に示すように、アップライト20a、20bのコネクタ22は、上部ブリッジ12の端部16a、16および下部ブリッジ14の端部18a、18bに枢動可能に連結される。この例では、下部ブリッジ14は、上部ブリッジ12より断面でかなりより頑丈で、下部ブリッジが支持による垂直および長手方向の力、制動からの衝撃および制動荷重および回転モーメントの大部分を分解できるようにし、コネクタの下部ブリッジの外側端部18a、18bから下部車体マウント15へこうした分解された力およびモーメントを移動できる。これにより、重量および包装の利点を有し得るより小さい上部ブリッジ12を使用することが可能になる。上部ブリッジ12は、図24~図26に示すように、2つの上部アームで交換できる。
ハブ部品45およびディスク型ブレーキロータ62は、互いに連結され、共にハブキャリア42a、42bおよびブレーキキャリパ49に対して回転できる。ハブ組立体40a、40bは、ハブ部品45、ブレーキロータ62、ハブキャリア42a、42bおよびブレーキキャリパ49を備える。ハブキャリアのガイドロッド43、44は、操向部材30a、30bのスリーブ31、32内を摺動する。
図44に示すように、ばねダンパは、アップライトに対してハブ組立体40aが動くように機能して、すなわち、サスペンションに持ち上げの応諾および車輪の制動を与えて、ハブキャリア42aのガイドロッド43、44および操向部材30aのスリーブ31、32と一体化され得る。ピストンまたはばね座162は、ガイドロッド43上に設けられ、ばね座161は、間にばね52を備えてスリーブ31の端部に設けられる。スリーブ31は、円筒163内に形成され、ばね52を収容する。
他方のガイドロッド44は、スリーブ32内に形成される車輪ダンパシリンダ165内に収容されるピストンロッド54上の車輪ダンパピストン167で車輪に制動を与えるダンパすなわち「ショックアブソーバ」のピストンロッド54として使用される。制動は、ピストン内の弁および/またはダンパの圧縮および反発室に連結するバイパス導管内の弁など外部の弁によって提供され得る。ロッド43、44は、ピストン162、167で分割されてもよく、各スリーブの端部は、組立の間、各ロッドの端部と一緒にハブキャリア42aに覆われてもよい。ピストン162、167を有するロッド43、44は、図45に示される車輪ハブ組立体40aに示される。
図44の断面図では、上部ブリッジ、下部ブリッジおよびコネクタ22の間のジョイント28および29は、上部傾斜軸Tおよび下部傾斜軸T’と整列する。操向軸Yを提供するスピゴット171、172も見ることができる。
下部ブリッジ14および傾斜ダンパ55、傾斜ブレーキ構成70および傾斜上昇構成75は、図48に組み立てられて示され、図49に分解図で示される。傾斜ブレーキディスク71および傾斜上昇ギヤ要素76は、図28の例と同様の方法で組み合わされる。しかし、図49に示すように、傾斜ダンパ55の構成は、湾曲部材175およびフォロア構成177を利用して、直線ピストンロッド56およびシリンダ57が傾いている車体に対する下部ブリッジの回転を制動できるようにする。湾曲部材175は、ブリッジ14にボルト留めされるのが好ましく、例えば、回転運動を直線運動に変換するのを助ける螺旋の一部または任意の他の形状であってよい。フォロア177は、ピストンロッド56に固定され、車両が傾くと、ブリッジが車体に対して回転して、ローラを使用して、湾曲部材の表面と係合してピストンロッドをシリンダ57に対して駆動するのが好ましい。左への傾斜および傾斜ダンパ55の圧縮のため少なくとも1つのローラがあり、右への傾斜および傾斜ダンパの延長のため1つがあるのが好ましい。2つのローラも、湾曲部材175の下部面と係合し、安定性を改善するため長手方向に向いて示される。ローラは、低摩擦材料のブロックなど他の手段と置き換えてもよい。
図43に示す前輪サスペンション構成10はまた、アッカーマンまたは同様の操向ジオメトリを提供する代替の構成を示す。操向部品が、図50に分解して示される。従来のアッカーマン操向ジオメトリを使用して、操向ロッドが、操向軸の後にある場合、左操向ロッドの端部37aと右操向ロッドの端部37bの間隔を操向軸より狭くする、または操向ロッドが操向軸の前にある場合、操向軸より間隔を広くするが、これにより、各車輪の望まない傾斜操向を生じる場合がある。また、ブリッジ、車輪リムおよびアップライトを貫通するハブ組立体ロッドの位置は、アップライト上の操向ボールの可能な位置を制限し得る。したがって、操向ロッドシフタでまたは操向ロッドシフタの近くで操向する所望のトー調整のための機構を提供することが好ましい場合がある。
図50に示すように、追加の操向改良アーム181、182は、車体に固定され、傾いている車体と動く操向改良アームブラケット183、184に枢動可能に連結される。操向改良アーム181、182の他の端部は、操向ロッドシフタ38のそれぞれのリング187内を回転する操向改良輪185、186に連結される。ハンドルは、ステアリングコラム81を回転するので、頂部レバー87は回転され、ドロップリンク88は、操向ロッドシフタ38に連結された底部操向レバー89を動かす。操向ロッドシフタ38が、車体に対しておよび2つの操向改良アームブラケット183、184に対して回転されると、操向改良輪185、186が、操向改良アーム181、182によって反対方向に回転するように駆動される。操向ボール188が、各操向改良輪185、186に備えられると、反対方向の輪の回転により、操向ロッドの端部37a、37bの間の距離がわずかに増えるかわずかに減る。
また、パワー操向構成190がカルダン継手86の後ステアリングコラム81に示される。操向のための動力支援の供給により、操向比は、いくらかの動力支援を必要とする範囲にあって、運転者が必要とされる最大操向力を制限することができる。ステアリングコラムと車体との間は、それが提供される場合、ドロップリンク88または操向ロッドシフタ38など操向機構の一部と車体(図示せず)との間など他の場所も可能であるが、操向ダンパのための場所であるのが好ましい場合がある。
図51は、図50の操向改良構成のギヤ版を示す。操向改良傾斜ギヤブラケット183a、184aは、車体に固定された傾斜ギヤである。181aなどの操向改良傾斜ギヤシャフトは、傾斜ギヤを両方の端部に持ち、操向ロッドシフタ38上スリーブ内を回転し、それにより、操向ロッドシフタは回転され、操向改良傾斜ギヤシャフトは回転されて操向改良傾斜ギヤ輪185a、186aを駆動する。図50の操向改良ギヤ輪185、186と同様に、操向輪が回転すると、操向ロッドシフタ38の回転を駆動するステアリングコラム81が回転され、操向ロッドシフタ上のリング内で、操向改良傾斜ギヤ輪185a、186aは回転し、輪185a、186a上の操向ボールを動かして、操向ロッドの位置を調整してトー角度調整をもたらす。
図52は、車両1の車体4が直立しているとき(すなわち、傾斜せずまたは回転する方にもたれていないこと)の図50および図51の操向改良構成のジオメトリを示す。操向ロッドシフタ38が、実線で直線位置に示され、左操向ロッド36aおよび右操向ロッド36b、アップライトのアーム33およびその間のボールジョイント39も同様である。操向ロッドシフタの端部の操向改良輪185、186はそれぞれ、図50に示す操向ボール188などそれぞれの操向ボール188、189を担持する。図52に見られるように、操向ロッドシフタ38’が破線で示すように左に回転する場合、操向ボール188’、189’は、それ以上整列しない。これは、操向が側面に向けられたときの、図50の操向改良輪185、186または図51の操向改良傾斜ギヤ輪185a、186aなどの操向改良回転レバーの動作によるものである。同様に、図52で、操向ロッドシフタ38”が破線で示すように右に回転する場合、操向ボール188”、189”は、それ以上整列しない。この効果は、上述の通り、操向する前輪のトー角度に変化を生むことである。
各操向部材アーム33の端部は、操向軸の傾きまたは傾斜により、正面図の楕円形である軌跡198上にある。したがって、操向が左に向けられるとき(この正面図のページの右手側方向に)、操向ボールジョイント39’は、操向ロッド36a’または36b’の長さによって決定される円弧199’が、それぞれの操向アーム33’の楕円軌跡198と交差する点にある。同様に、操向が右に向けられるとき(この正面図のページの左手側方向に)、操向ボールジョイント39”は、操向ロッド36a”または36b”の長さによって決定される円弧199”が、それぞれの操向アーム33”の楕円軌跡198と交差する点にある。
図53は、車両1の車体4がコーナの方に傾いている、またはもたれているとき、同じ操向構成部品の位置を示す。車体が傾くと、車輪(図示せず)は傾くので、各操向アーム33の軌跡198は回転する。
車輪の圧縮および反発運動が、アップライトに対するとき、図20に関連して説明したように、アップライトの一部である操向アーム33は、隆起および反発運動によって影響を受けない。したがって、隆起による、すなわちバンプステアではない、トー角度の変更および操向の変更はない。また、図52および図53で説明するように、各車輪の操向角は、調整されて、望ましい方法で、望まない操向または操向運動を伴うトー変化なしで操向運動を有するトーを変更することができる。
図54は、実線での直線位置内の操向ロッド36a、36b、操向アーム33、操向ボールジョイント188、189および39の上面図である。操向が左に向けられると、操向アーム33’の端部の軌跡198は、操向軸の傾斜により再度楕円であり、傾斜した操向軸の傾きにより楕円は回転する。
図55は、図27のリヤサスペンション200を示す。リヤサスペンションは、2つの車輪7a、7bを有するとき、好ましくは、前輪サスペンションと同様の傾斜機能を有し、前輪サスペンションが、傾斜できる構成であるとき、構成部品の多くは同様である。2つの車輪傾斜リヤサスペンション200のこの例では、上部後輪ブリッジ212および下部後輪ブリッジ214が、リヤサブフレーム280によって担持される。傾斜ブレーキ構成270および傾斜上昇構成は示されるが、同じ機能が、前輪サスペンションで提供される場合、これらのいずれかは任意選択であってもよい。後方ブリッジ212、214の車体に対する、またはリヤサブフレーム280に対する回転が、タイヤの弾力および車輪のばねの弾力で可能なブリッジ振動モードにより、好ましくは制御される、傾斜ダンパ255が、提供される。
図56は、上部ブリッジの枢軸用の孔281および下部ブリッジの枢軸用の孔282を有する、リヤサブフレーム280を示す。凹部283は、傾斜ブレーキを配置するために示され、傾斜上昇モータ用マウント284を形成するため3つのアップスタンドが設けられる。3つの隣接する穴285は、後方右車輪モータ用の3つのパワーケーブルおよび4つの溝286を見ることができ、通常、車輪ハブに位置する電気モータを冷却する水用の2つの左冷却ホースおよび2つの右冷却ホースを収容するため示される。パワーケーブルの数または車輪モータの水冷の必要性は変化し得るが、それらは通常明るい気分になる車両性能を提供して、運転者に傾斜運転経験の喜びを添えることができる高性能電気モータに必要とされる。穴287はブレーキライン用に備えられ、凹部288は傾斜ダンパ用に備えられる。
図57は、サブフレームのないリヤサスペンションを示し、追加で車輪7a、7bおよび車輪ハブ部品245が分解位置に示される。車輪7a、7bは、タイヤ265を担持する車輪リム261に連結されたリング型ブレーキロータ262を含む。ハブ部品245は、スタブ軸などの枢動連結241上に取り付けられ、各ハブ部品の外部端部内側のリングギヤを含み、リングギヤは、第1の車輪ハブ組立体240aまたは第2の車輪ハブ組立体240bのハブキャリア242a、242b内のモータのピニオンギヤによって駆動される。ハブ部品は、枢動連結241の周りの空洞への埃の侵入を制限または防止して、その中のピニオンギヤおよびリングギヤの摩耗特性を保護および改良する方法でハブキャリア242a、242bに取り付けられるのが好ましい。
モータパワーケーブル340は、巻きつき、つながれて、しっかり固定されるか、その他の方法でハブキャリア242bの溝部などに位置する。ブレーキキャリパ249はまた、第2の車輪ハブ組立体240bのハブキャリア242bに目に見えて取り付けられる。
冷却ホース320は、下部ブリッジ214を貫通するが、その他の方法で下部ブリッジまたは上部ブリッジに取り付けられてもよい。
上部ブリッジ212および下部ブリッジ214の組立体ならびに第1の後輪サスペンションアップライト220aおよび第2の後輪サスペンションアップライト220bが、図58に分解された形態で示され、図59に組み立てられた形態で示される。上部ブリッジ212は、枢動軸U’を有する後輪上部ブリッジ枢動シャフト213によってサブフレームまたは車体に枢動可能に連結される。同様に、下部ブリッジ214は、枢動軸L’を有する後輪下部ブリッジ枢動シャフト215によってサブフレームまたは車体に枢動可能に連結される。傾斜制御ディスク278は、図示の角ドライブなどその間の相対回転を防止する方法で、後輪下部ブリッジ枢動シャフト215の一端部に連結される。下部ブリッジ枢動シャフト215はまた、シャフト215と下部ブリッジ214との間にピン279を使用するなど、相対回転を防止する方法で下部ブリッジ214に連結される。前輪構成と同様に、傾斜制御構成は任意であり、後輪傾斜ブレーキディスク271が、部分ディスクまたは作動プレートであり、後輪傾斜上昇ギヤ要素276は、少なくとも部分ギヤであるように、傾斜制御ディスク278は部分ディスクであってよい。
組み立てられたとき、モータ冷却ホースは、下部ブリッジの凹部331に位置し、ブリッジは、サブフレームまたは車体にブリッジとサブフレームの間のホースと共に枢動可能に連結される。そして、傾斜制御ディスク278は(使用される場合)、枢動シャフト215の端部に固定される。凹部331から、冷却ホースは、ブリッジ214に凹部の周囲にある穴332を通って進む。ホースは、固定具333を通ってブリッジから出る。同様の凹部、孔および固定具は、後輪下部ブリッジの後方にパワーケーブル用に設けられるが、固定具353以外、図58にこれらは見えない。
第1の後輪サスペンションアップライト220aは、アップライト220aと上部ブリッジ212の端部216aとの間に上部枢動連結の一部を形成する上部突起224aを含み、第2の後輪サスペンションアップライト220bは、アップライト220bと上部ブリッジ212の端部216bとの間に上部突起224bを含む。同様に、下部突起225aは、アップライト220aと下部ブリッジ214の端部218aとの間に、および下部突起225bは、アップライト220bと下部ブリッジ214の端部218bとの間に下部枢動連結の一部を形成するように備えられる。しかし、下部枢動連結は、下部ブリッジの各端部218aまたは218b上の2つの点にあり、したがって、下部突起225a、225bは、アップライトの凹部225a’、225b’に受け入れられる2つのピンとしてそれぞれ示される。ピンは、アップライトに対して回転しないのが好ましく、したがって、ピンおよび凹部225a’、225b’の端部は、図示の角ドライブ形状を有するなどの形状であってよい。
ばねダンパマウント251は、アップライトに備えられて、ばねおよびダンパまたはショックアブソーバ組立体の頂部を受け入れる。穴231は、2つのガイドロッドの前方を受け入れるためであり、穴232は、図60および図61の車輪ハブ組立体の2つのガイドロッドの後方を受け入れるためである。溝233は、各アップライト220a、220bに備えられて車輪ハブ組立体(図示せず)内のモータに接続されたセンサの動きに順応する。
ブラケット314、315などの固定具は、アップライト220a、220bに備えられて、ブレーキライン(図示せず)を配置する。同様に、固定具313が、上部ブリッジ212に備えられ、穴312は、ブレーキラインを上部ブリッジ内に進むことができるようにする。ブリッジ頂部のスロットすなわち開口311は、ブレーキラインのループを収容できるようにする。
図59の組立体に示すように、ジョイント228の上部枢動連結およびジョイント229の下部枢動連結は、それぞれの上部傾斜軸Tまたは下部傾斜軸T’を提供する。
図60および図61は、図55および図57の後輪サスペンション構成の車輪ハブ組立体240a、240bを示す。各車輪ハブ組立体は、それぞれの第1のハブキャリア242aまたは第2のハブキャリア242bならびに第1のガイドロッド243および第2のガイドロッド244を含む。第1のガイドロッドおよび第2のガイドロッドは、スリーブの内側または図58に示すアップライトの穴231、232の内側を摺動する。ばねダンパ組立体250は、ハブキャリア242a、242b上の下部ばねダンパマウント247と図58のアップライト上の上部ばねダンパマウント251との間に位置付けられる。
ブレーキキャリパ凹部248は、ブレーキキャリパを車輪の中心に向かって内側に摺動または移動でき、環状ブレーキディスクをそれが固定されている車輪から取り除くことができるようにするのが好ましい。
ハブキャリア242a、242bはそれぞれ、モータ凹部294を含んで、図63に示す電気モータ293などの電気モータを収容する。再度図60を参照すると、分解器などのセンサ295は、モータ制御入力用に必要とされる場合があり、したがって、ブラケット296は、モータ(図示せず)に対してセンサを必要な位置に保持するため備えられる。ハブ組立体が、アップライトに対して圧縮および反発で動くと、図60のセンサ295は、図58に示すアップライトの溝233に沿って動く。
ハブキャリア242bもハブ組立体内に担持されるモータ用のパワーケーブルを配置するための保持溝356を示す。各ハブ組立体の前のロッド335は、図63に詳述される冷却ホース内のコイルを制約するのを支援するため備えられる。
図62は、ブレーキキャリパ249に対するブレーキライン300を示す。車体からブレーキラインは、ループ302に進み、車体に対する上部ブリッジの傾斜運動に順応する。ループ302は、図57および図58に示すように上部ブリッジの頂部のスロットすなわち開口311に収容される。部分303は、上部ブリッジを貫通し、固定具313で上部ブリッジに固定されるか、または緩くつながれる部分304として現れる。それを越えて、ループ306は、ブリッジに対するアップライトの傾斜運動に順応し、固定具314および315がアップライトに対してブレーキラインを配置する。固定具315の後、ループ308は、アップライトに対するハブ組立体の圧縮および反発運動に順応する。
図63は、冷却ホース320およびパワーケーブル340を示す。車体からの冷却ホースは、321で連結される。ループ322は、下部ブリッジの凹部内に形成されて、車体に対する下部ブリッジの傾きに順応する。部分323は、下部ブリッジ内にあり、図58に示す凹部331の穴332を通って入り、固定具333に出る。図63に戻ると、部分324は、ブリッジに対するアップライトおよびハブ組立体の傾斜運動に順応する。コネクタ334は、図58に示す突起225a、225bの端部に固定され、その結果、コネクタは、アップライトと回転して部分324が曲がり、図64に描写するように車輪リムとの接触を確実に回避する。再度図63に戻ると、ホースのコイル部分325は、アップライトに対するハブ組立体の圧縮および反発運動に順応し、図60に示すハブキャリア上のロッド335の周りに配置される。部分326は、ハブキャリアの周りで通り、冷却構成に入るか、モータ293の周りで通る。モータ用センサ295は、図63にも示される。
本例のパワーケーブルは、主に下部ブリッジの後に配置される。車体からのパワーケーブルは、341で接続される。ブリッジと車体との間の傾斜運動に順応するループ342は、その後の冷却ホースと同様に下部ブリッジの凹部内に形成され、部分323は、下部ブリッジを貫通し、部分324を通じてアップライトと傾いているブリッジとの間の相対運動を可能にするため現れる。コネクタ354は、図58に示す突起225a、225bの端部に固定され、その結果、コネクタは、アップライトと回転し、部分344が曲がって、図64に描写するようにブリッジに対するアップライトの傾斜運動と車輪リムとの接触を確実に回避する。コネクタ354は、図58の突起225a、225bの端部に示される角凹部と係合する角ドライブと共に示される。コイル345は、アップライトに対するハブ組立体の圧縮および反発運動に順応するように意図される。部分346は、ハブ組立体の周りで進み、図60に示すハブキャリア内の溝を通って、ケーブルが、モータ293に接続される。
図64は、車体からコネクタへの冷却ホース320およびパワーケーブル340を備えた下部ブリッジ214を示し、シリンダが車輪リム261の内径を表す。車輪リムは左に傾き、冷却ホースのコネクタ321も同様である。アップライトの傾きによって(図示せず)駆動されるコネクタ334および354の回転の効果は、はっきりと見ることができ、ホース324およびパワーケーブル344を左側上方および右側下方に向けて、車輪リム261との接触を回避する。
図65は、前輪ブリッジと後輪ブリッジ、この場合、下部前輪ブリッジ14と下部後輪ブリッジ214との間の可能な相互連結360を示す。相互連結は、強固にまたは弾力的に前輪ブリッジを後輪ブリッジに連結し、車体に直接または前輪ブリッジおよび後輪ブリッジと車体との間の枢動連結により枢動可能に連結される管状または他の相互連結部材を含み得る。傾斜ダンパ、傾斜ブレーキおよび傾斜上昇配置が、相互連結部材と車体との間で連結され得る。しかし、好ましくは、こうした相互連結360が提供された場合、その相互連結は、前部361、後部362および前部を後部に相互連結する中心デバイス363を含む。中心デバイス363は、傾斜ダンパ、傾斜ブレーキおよび傾斜上昇配置が相互連結360と車体との間で連結される点であってよい。中心デバイス363は、例えば、レバーまたはギヤ構成などの回転反転構成を含んで、平らでないかまたは歪んだ面を移動する場合に望ましくあり得るように反対の方向に前輪ブリッジおよび後輪ブリッジの回転を可能にすることができ、その回転反転構成を制動してひずみ制動を提供できる。
図66は、ブリッジおよびリンクの代替の構成を示す。その構成は、前輪サスペンションに最も適しているが、後輪サスペンションにも適用可能である。主ブリッジ410は、車体マウント411で車体に枢動可能に取り付けられ、ジョイント412a、ジョイント412bは、主ブリッジの端部に備えられて、それを枢動可能にそれぞれのアップライトに連結する。一対のテンションケーブルまたはロッドであってもよい2つの小さい横方向リンク420、430は、車輪の傾斜角制御を提供する。横方向リンクの少なくとも一方はまた、それぞれの車体マウントを有する。この例では、上部横方向リンク420だけが、上部車体マウント421で車体に枢動可能に取り付けられる。上部横方向リンク420の端部で、ジョイント422a、422bが、それぞれのアップライトに枢動連結を提供する。下部横方向リンクは、任意に車体に枢動可能に取り付けられ得るが、それは、過剰な制限をもたらすので、下部横方向リンクの端部のジョイント432a、432bは、枢動連結をそれぞれのアップライトに提供するのが好ましい。下部横方向リンク430は、任意に主ブリッジ下の溝または凹部内側に位置付けられ得るが、この例では、主ブリッジ410の前に示される。
図67は、バッテリパックまたは他の動力源92が運転者2の脚の間に配置できるように修正され、車体4の頂部を通って持ち上げることにより取り除かれた、または置き換えられた操向機構80を有する本発明の車両を貫通する断面図を示す。ステアリングコラムは短く、ドロップリンク88は、円筒形部材151または他のこうしたねじり部材を駆動するバッテリパックの後ろにあって、操向ロッドシフタ38を駆動する。これにより、電池または他の電源の質量の一部を持ち上げられるようになり、車両の取り扱いおよび反応を改良できる。この実施形態では、自動車両は、三輪車両で電気モータ93を備える。この例では、電気モータ93は、車輪ハブ内に位置付けられないが、図67に示すように後輪の前の位置にある。また、モータ冷却(もしあれば)用の冷却ラジエータなどの比較的重いまたは密度の高い部品は、特にラジエータが良い空気流をもつ場合には良い横転保護フープ98など車両本体の高い位置に配置できる。
本発明の当技術分野の当業者には、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正がなされてもよいことが理解されるであろう。
例えば、車両の反応を変えるため、例えば、構成部品の位置を移動する、かつ/または車体に屋根を追加するなどにより重心の中心を移動してもよい。一般に、重心を低くすれば高速で安定が増すが、重心が高いとコーナリングの反応を助ける。重心の高さが許容できる安定性をもたらせば、運転者はより直立して座ることができ、いくらか包装の長さを解放でき、したがって、わずかながらホイールベースを延ばして運転者の後に乗員を乗せることが可能になる。
高速での安定のため重心が低ければ、車体が自然に完全な傾斜に到達する横方向の加速が横方向の加速を越える場合に、傾斜ブレーキを制御して、完全な傾斜でロックできるようになるか、または傾斜ダンパを使用して、完全傾斜位置近くに傾斜ダンパを増加して、ロール速度の突然の変化を防ぐことができる。そして、運転者は、縦方向および横方向の(遠心力の)加速の合力を有するのではなく、横方向の加速の成分を感じ始め(シート基部を介して)、運転者に関して縦方向のままである。
傾斜上昇は、自動的な制御で、かつ/またはオートバイでハンドスロットルおよびブレーキレバーが使用されるように2つのペダルを使用して傾斜を運転できる。代替で、操向車輪ペダルを使用して、自動車のように足で操作するスロットルとブレーキペダルを使用して傾斜上昇を運転できる。傾斜上昇を使用して、コーナで傾いて加速できるか、またはコーナに備える従来の自動二輪車の乗り手の体重移動をシミュレーションできる。傾斜上昇は、中心の周りで最も強く駆動できるか、速度、傾斜角、操向角、ヨーレートなどで変化する場合がある。例えば、運転者が曲がる際にカウンタステアをしないか、カウンタステアを好まない場合(すなわち、自動車の運転者のうち直接の操向方法を使用したいだけの人に対して)傾斜上昇を制御して、コーナへ傾斜を開始することもできる。
傾斜上昇または傾斜ブレーキの使用のいずれの運転も、傾斜ダンパがブリッジの移動を制御するのを防いでコーナの隆起の荷重のバランスを取るが、衝撃は洗練された制御で上手く扱うことができる。アンチロックブレーキシステムを、傾斜上昇または傾斜制動と一体化するか、それと通信できるようにして、傾斜上昇/制動が作動すると、負荷のない車輪の過剰制動を防ぐことができる。同様に安定制御プログラム(ESP)は、ブレーキシステムおよび/または制御可能傾斜ダンパ、傾斜上昇配置または傾斜ブレーキ構成に組み込むことができる。三輪車両で、ESPは、モータのコントローラと必ずしも有利に協働できる必要はないが、四輪車両の実施形態では、ESPは、モータおよびブレーキシステムを利用して、車両の安定性を改善できる。好ましくは、傾斜制御(傾斜上昇用)は、トルク制御であるべきである。傾斜上昇機能は、オートバイの乗り手の体重移動の代わりとして使用できるだけでなく、電子安定制御プログラムに貢献する傾斜角の安全なオーバーライドとして使用され得る。好ましくは、運転者の楽しみを最大化するため、こうした人工的な支援の使用を最小化し、そうして、傾斜上昇を主に使用して、コーナへの傾斜を始めることができ、そして、自然の自由の効果を最も自然な感覚に働かせて、傾斜ブレーキを主に使用して、例えば横方向の移動により、車体が非常に危険な横揺れ速度で外側に回転する「ハイサイド」イベントを防ぐことができる。
本発明の構成の大きな利点は、少なくとも40°の傾斜角が容易に達成でき、50°の傾斜角が通常図面の実施形態に示され、52°以上などの50°より大きい角度が可能なことである。
2つの操向ロッド36a、36bの代わりに、別の実施形態による車両1は、第1の車輪のアップライトと第2の車輪のアップライトとの間に直接連結された1つの操向ロッドを組み入れてもよい。追加でまたは代替で、操向ロッドは、ロッドに似ていなくてもよく、実質的に合成リンクの任意の他の形態であってもよい。1つの操向ロッドが、第1の車輪のアップライトと第2の車輪のアップライトとの間で使用される場合、操向ロッドは、充分に弾力的で横方向および縦方向の操向ロッドシフタ上の操向ジョイントに対するアップライト上の操向ジョイントの変位の違いに通常の動作で曲がることなく順応可能である。1つの操向ロッドと第1の車輪および第2の車輪のそれぞれのアップライトとの間の操向ジョイントはそれぞれ、2軸ジョイントを含むことができ、第1の軸は、操向軸に実質的に平行で、第2の軸は、傾斜軸に実質的に平行である。2つの軸の中心は、横方向に分離されて、アッカーマン効果および最小傾斜操向など所望の操向特性を提供できる。好ましくは、2つの軸は、傾斜配向(操向ジョイント)軸および操向配向(操向ジョイント)軸である。左車輪組立体および右車輪組立体の傾斜配向軸は、好ましくは、上部ジョイントおよび下部ジョイントと同じ横方向に間隔を空ける、すなわち、平面図では、各アップライトの傾斜軸および傾斜配向軸はすべて整列される。操向配向軸は、好ましくは、アップライトの操向軸に平行であり、アップライトの操向軸よりわずかに広いか、または狭い間隔を空けて、必要ならば、アッカーマン型トー効果を提供できる。
別の例として、別の実施形態による車両1は、回転ダンパの形態の傾斜ダンパ55を組み入れることができる。可能な傾斜ダンパのいずれかは、変動可能ダンパであってもよく、変動弁を使用して制御されるか、または磁性流体の使用を含み電磁的に制御されてもよい。
さらに、第1の車輪および第2の車輪は、2つの前輪の代わりに2つの後輪であってもよい。異なる実施形態による車両1はまた、三輪車両の代わりに四輪車両であってもよい。
さらに、車両1のシートは、車両の本体内にあるように示されているが、異なる実施形態によれば、シートは、運転者が車両の本体にまたがるように配置されてもよい。代替で、運転席は、図示のようにオープンではなく閉じられていてもよい。
図示のように単一シータであるより、車両はツーシータであってよく、好ましくは、運転者の後ろに乗客が座っているのがよい。
前輪および後輪サブフレームは、任意で、ブリッジ、傾斜ダンパおよび傾斜制御構成(傾斜ブレーキ締付け要素および傾斜上昇モータなど)などのサスペンション構成部品が、完全なサブフレームを使用せずに車体に連結される。
コイルオーバー型である代わりに、ばねダンパ組立体50が、オートバイに使用されているのと同様の構成でロッド内またはシリンダ内ばねを含んでもよい。
操向軸の仮想キングピンの傾きがゼロの場合、すなわち、車体の傾斜がゼロのとき、操向軸が正面図において垂直方向である場合、ブリッジマウントおよびジョイントの位置が車体に平行なアップライトのキャンバを維持する場合、サスペンションの圧縮-反発作用は、車両の傾斜角に対して常に平行である。これは、オートバイと同じ特性であり、コーナリングの間、全体のまたは結果としての車輪の荷重を増す遠心力によるばねダンパ組立体のいくらかの圧縮をもたらす。
車輪ハブ組立体とアップライトの間でガイドロッドおよびスリーブ構成を使用すると、すくい角が操向軸の角度から独立していることが可能になり、それぞれを最適に位置付けることができる。また、傾斜軸が操向軸に対して垂直であることから変更して、水平から10°以内の傾斜軸を有するか、または好ましくは、実質的に水平な傾斜軸を備えることによる利点を提供できるようになる。操向軸のすくい角は、ハンドリングに影響を及ぼす車輪での3つの主な特徴のうちの一つであり、他の2つの特徴は、オフセットおよび軌跡であり、したがって、傾斜軸から独立に操向軸のすくい角を調整できることは、きわめて有益である。傾斜軸の傾きは、傾斜の自由に影響を及ぼし、傾斜軸の傾きが好ましい水平の配向から増すに連れ、傾斜運動が妨げられる。
さらに別の変形では、スリーブおよびそれぞれのスリーブを貫通するロッドを備える各車輪ハブ組立体を備える各操向部材またはアップライトの代わりに、車両は、各車輪ハブ組立体が、スリーブ、および各サスペンションガイド(すなわち、アップライトの操向部材)を備えるか、または各アップライトが、それぞれのスリーブを貫通するロッドを備えるように、配置されてもよい。
好ましい実施形態では、少なくとも1つのガイドロッドが、ハブ組立体の一部であり、対応する少なくとも1つのスリーブが、アップライトの一部である。上述の通り、ブリッジのそれぞれの端部とアップライトのそれぞれの端部との間のジョイントが、車輪の回転軸に垂直でそれを貫通して操向軸が延びる平面内にあるのが好ましい。これにより、モータバイクのような操向および傾斜が可能になる。この場合、それぞれのガイドロッドが、ハブ組立体の一部であり、対応するスリーブ(ガイドロッドによって案内される)がアップライトの一部である場合、ブリッジを比較的一緒に近く位置付けることが可能で、それにより、比較的大きい傾斜角度が可能になる。さらに、比較的大きいサスペンションの移動が実現され得る。例えば、上部ジョイントおよび下部ジョイントを貫通する傾斜軸は、わずか40mmだけ間隔を空けることができるが、一方で一般に使用されるオートバイのサイズの車輪リムでは60mm~90mm間隔を空けるのが好ましく、車輪リムが狭く、直径が大きい場合、150mm、200mm、または250mmまで間隔を空けることができる。サスペンションの移動は、好ましくは、100mmの圧縮および35mmの反発であるが、サスペンションの圧縮および反発の移動の合計は、特にオートバイのサイズの車輪リムが使用された場合、好ましくは100mmまたは120mmより大きく、より好ましくは130mmより大きい。しかし、より大きい直径の車輪リムが使用される場合、サスペンションの圧縮および反発の移動の合計は、140mmより大きいか、または160mmより大きく180mm以下の場合がある。
代替では、ガイドロッドがアップライトの一部であり、対応するスリーブがハブ組立体の一部である(かつ、ブリッジのそれぞれの端部とアップライトのそれぞれの端部との間のジョイントが、上述のように位置付けられる)場合、ブリッジのジョイントは、達成可能なサスペンションの移動を制限する。その結果、ブリッジのジョイントがさらに離れて(その結果、ブリッジがさらに離れる)場合、比較的大きいサスペンションの移動が可能であるが、達成可能な傾斜角は制限される(車輪のリムがブリッジとぶつかるため)。ブリッジのジョイントが一緒に近くにある場合、比較的大きい傾斜角度が可能であるが、サスペンションの移動は制限される。要約すると、(i)車輪の回転軸に垂直でそれを貫通して操向軸が延びる平面内にある、ブリッジのそれぞれの端部とそれぞれのアップライトとの間のジョイント、(ii)ガイドロッドを備える各アップライト、および(iii)対応するスリーブを備える各ハブ組立体の組み合わせは、大きいサスペンションの移動が可能であり得るか、または大きい傾斜角度であり得る、しかし大きくないサスペンションの移動および大きい傾斜角度のいずれかという不利を有する。
反対に、上述の本発明の好ましい実施形態は、モータバイクのような操向および傾斜を可能にし、比較的大きいサスペンションの移動と同時に比較的大きい傾斜角度を可能にする。例えば、傾斜軸は、傾きの間、ブリッジと車輪リムとの間のより大きい間隙が、車輪の中心線に近い傾斜軸および操向軸を維持しながら、より大きく車輪の移動を伴うより大きい傾斜角を可能にする場合、共により近くてもよい。上述の通り、傾斜軸、操向軸を維持する利点ならびに多くの場合、ばねダンパ力および車輪の中心線上のまたはそれに非常に近い操向ジョイントは、オートバイのそれに対するのと同様に高く、歪められていないかまたは誠実な感覚の一因となる。典型的には40°~55°の大きい傾斜角度に傾く能力と組み合わされた、不要な意見のない運転者の感覚の純粋さは、並ぶものがない安全および楽しい運転者の経験を与える。
本明細書で従来技術の公開が参照される場合、こうした参照により、公開が、その技術における共通の一般知識の一部を形成するという許可を構成するものではないことを、オーストラリアまたはいずれの他の国においても理解されたい。
以下の特許請求の範囲および上述の本発明の説明において、別段の定めがある場合を除き、明示的な文言または必要な示唆により、「備える(comprise)」という用語または「備える(comprises)」または「備えている(comprising)」などの変形は、包括的な意味で使用される、すなわち、明記した特徴の存在を特定するが、本発明の様々な実施形態における存在またはさらなる特徴の追加を排除しない。