JP7078242B2 - オゾン水濃度センサーおよびオゾン水濃度測定装置 - Google Patents

オゾン水濃度センサーおよびオゾン水濃度測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、オゾンが溶存した水中のオゾン濃度を測定するためのオゾン水濃度センサーおよびオゾン水濃度測定装置に関する。
オゾン水は、その殺菌性および脱臭性、さらに細胞に与える活性などの、多くの分野に寄与する特性が認められている。さらに水に溶解したオゾンは呼吸器への影響がないことから、オゾン水は、産業用を初め、医療および介護などの分野で広く利用されている。しかしながら、オゾン水の濃度は短時間で減衰することから、使用する現場においての濃度の指示と確認が強く要求されている。
従来、オゾン水の濃度検量法としては、ヨウ化カリウム等の検定薬の色変化を見る滴定法が正規の測定法であった。このような検量法は薬品および精密なピペットを必要とし、実験室等では利用することはできるが、一般のオゾン水利用現場では煩雑で実用的ではなかった。上記検量法を機械化した電量測定法が実用化されており、濃度測定値をデジタル表示する測定法が提案されている。このような測定法も、ヨウ化カリ液等の試薬を必要とした回分測定法である。その他インジゴ等の色素を使用した変色試薬法も提案されているが、同様に試薬を必要とした回分測定法であること、オゾン濃度の測定に時間を要し、オゾン水の使用現場での利用には不向きであることに変わりはない。また、オゾン水中にエアーをバブリングして脱気したオゾンを検知管で測定する方法も提案されているが、消耗品として検知測定管が必要である。いずれの方法も回分測定法であり、連続測定には対応できない。
そのため、オゾン水の紫外線吸収率を調べる紫外線吸収法およびイオン化傾向の異なる一対の電極を用いる電極方式が利用されている。
紫外線吸収法は、連続測定が可能で最も信頼性の高い濃度計として使用されているが、極めて高価である。
電極方式では、オゾン透過メンブレンを使用した隔膜式と隔膜を使用せず直接オゾン水中に電極を浸漬して測定する裸電極方式とがあるが、いずれも電解質等を必要とし、かつ連続測定が不可能であった。特に裸電極法は短時間でオゾン濃度が測定できることから、例えば特許文献1および特許文献2に測定装置が示されている。しかしながら、前述の通り電解質を必要としており連続測定ができない。特に特許文献2の測定装置は、測定操作においても人により振られることが必要で、かつその振る速度により測定結果が影響されるため、測定結果に個人差が生じるという欠点がある。
また特許文献3には、導電率の極端に低い精製水あるいは純水に溶存しているオゾン水であっても、オゾン水濃度を正確に測定するセンサーとして、検出電極と比較電極の間にマイクロメッシュ状あるいは布状の絶縁体を挟んだ3層構造の「裸電極式」のオゾン水濃度センサーが提案されている。3層構造の「裸電極式」オゾン水濃度センサー200は、図9に示すように、検出電極201が比較電極202の内側に配置されている。詳しくは、オゾン水濃度センサー200は、比較電極202が検出電極201との間に絶縁体203を挟んで検出電極201の外側を覆った構造であって、比較電極202が検出電極201の端部で折り返されて断面がU字形状を有する構造を有している。
特開平8-304334号公報 特開2005-134135号公報 特開2012-127889号公報
本発明の発明者等は、上記オゾン水濃度センサー200において、以下の課題を見出した:
(1)検出電極が比較電極に覆われているため、検出電極へのオゾン水の供給が制限され、オゾン水量が少流量の場合には、特に十分な出力を得ることができない。
(2)検出電極へのオゾン水の供給が制限されると、検出電極表面での連続的なオゾン水の供給が不足するため、オゾン水濃度が低下し、所謂分極が起こり、センサー出力が低下する。
(3)センサー出力が低下すると、再現性が悪くなったり、測定値にバラツキが生じたりして、オゾン濃度を精度よく測定できない。
本発明は、少量のオゾン水量でも、電解質および試薬等を必要とせずに、オゾン水濃度をより精度よく測定でき、かつ回分測定方式でも連続測定方式も使用できる裸電極式のオゾン水濃度センサーおよびそれを用いたオゾン水濃度測定装置を提供することを目的とする。
本発明は、
イオン化傾向が互いに異なる金属から構成される検出電極および比較電極を備え、
前記比較電極が前記検出電極の内側に配置され、
前記検出電極が前記比較電極を包囲するように配置されている、オゾン水濃度センサーに関する。
本発明はまた、上記オゾン水濃度センサーを有する、オゾン水濃度測定装置に関する。
本発明のオゾン水濃度センサーおよびオゾン水濃度測定装置によれば、オゾン水量が少ないときでも、オゾン水濃度をより精度よく測定することができる。さらに、電極での反応速度の低下により、センサー出力が低下するような、水温が低いときでも、またはオゾン水濃度が低いときでも、オゾン水濃度をより精度よく測定することができる。
本発明のオゾン水濃度センサーは裸電極式に属するものであり、電解質溶液および試薬を使用せずに、回分測定方式および連続測定方式でもオゾン濃度の測定が可能である。
本発明の第1実施態様に係るオゾン水濃度センサーの概略斜視図である。 本発明の第1実施態様に係るオゾン水濃度センサーの概略側面図および一部拡大図である。 本発明の第1実施態様に係るオゾン水濃度センサーの使用状態を示す概略断面図である。 本発明の第2実施態様に係るオゾン水濃度センサーの概略斜視図である。 本発明の第2実施態様に係るオゾン水濃度センサーの概略側面図である。 本発明の第2実施態様に係るオゾン水濃度センサーの概略正面図である。 本発明の第2実施態様に係るオゾン水濃度センサーの使用状態を示す概略断面図である。 本発明の第1実施態様に係るオゾン水濃度測定装置の概略断面図である。 本発明の第2実施態様に係るオゾン水濃度測定装置の概略断面図である。 本発明の第3実施態様に係るオゾン水濃度測定装置の概略断面図である。 実施例で測定されたセンサー出力と水温との関係を示すグラフである。 実施例で測定されたセンサー出力とオゾン水濃度との関係を示すグラフである。 実施例で測定されたセンサー出力とオゾン水濃度とオゾン水量との関係を示すグラフである。 従来技術におけるオゾン水濃度センサーの概略斜視図である。
[オゾン水濃度センサー]
本発明のオゾン水濃度センサーは、通水路や水槽内を流動するオゾン水のオゾン濃度を検出するセンサーである。本発明のオゾン水濃度センサーは、イオン化傾向が互いに異なる金属から構成される一対の電極、すなわち検出電極および比較電極を備えている。
本発明のオゾン水濃度センサーにおいては、図1Aおよび図2Aに示すように、検出電極1、11は比較電極2、12を包囲するように配置されている。検出電極は比較電極を包囲するように配置されているとは、検出電極が相対的に外側に、比較電極が相対的に内側に配置されているという意味であり、本発明においては、検出電極と比較電極との非接触の状態が保持されつつ、検出電極が比較電極を取り囲むまたは覆うように配置されていればよい。例えば、比較電極が図1Aに示すような平板形状を有する場合は、検出電極1は、比較電極2の比較的大きな2つ面のうち、少なくとも一方の面、好ましくは両方の面を覆うように配置されていればよい。また例えば、比較電極が図2Aに示すような線形状を有する場合は、検出電極11は、当該線形状の少なくとも一部を取り囲むように配置されていればよい。詳しくは、比較電極2、12は検出電極1、11の内側に配置され、検出電極1、11はその内側で比較電極2、12の外側を取り囲むまたは覆うように配置されている。本発明のセンサーがこのような電極構造を有することにより、検出電極表面への測定対象濃度のオゾン水が連続供給でき、電極表面でのオゾン水の還元反応が連続して効率よく実施できる。それらの結果、センサー出力の増大を達成できるため、オゾン濃度をより十分に精度よく測定することができる。図1Aおよび図2Aはそれぞれ本発明の第1実施態様および第2実施態様に係るオゾン水濃度センサーの概略斜視図である。
オゾン水濃度センサーの電極構造は、検出電極が比較電極を包囲するように配置される限り、特に限定されず、例えば、以下の構造を有していてもよい:
第1実施態様;
図1Aに示すように、検出電極1が比較電極2との間に絶縁体3を挟んで比較電極2の外側を覆った構造;および
第2実施態様;
図2Aに示すように、検出電極11の内側に比較電極12が当該検出電極11から離間して配置される構造。
センサー出力のさらなる増大の観点から好ましい電極構造は、第1実施態様に係る構造である。
以下、本発明のオゾン水濃度センサーについて、幾つかの実施態様により図面を用いて詳しく説明するが、図面における各種の要素は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観および寸法比などは実物と異なり得る。本明細書で直接的または間接的に用いる“上下方向”、“左右方向”および“表裏方向”はそれぞれ、図中における上下方向、左右方向および表裏方向に対応した方向に相当する。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材または同じ意味内容を示すものとする。
(第1実施態様)
第1実施態様に係るオゾン水濃度センサー10においては、図1Aに示すように、検出電極1は比較電極2を包囲するように配置されている。詳しくは、比較電極2は検出電極1の内側に配置され、検出電極1はその内側で比較電極2の外側を覆うように配置されている。図1Aは本発明の第1実施態様に係るオゾン水濃度センサーの概略斜視図である。
オゾン水濃度センサー10においては、図1Aに示すように、検出電極1は、比較電極2の両面を覆うように、折り畳んで設けられている。折り畳まれた検出電極1の内部に比較電極2が配置され、すなわち検出電極1が比較電極2の端部で折り返されてU字形状を有している。本実施態様はこのような検出電極の折り畳み構造に限定されるものではなく、比較電極2の両面において検出電極1が非連続で別々に配置されることを妨げるものではない。
オゾン水濃度センサー10は、検出電極1と比較電極2との接触を防止するための通水性を有する絶縁体3をさらに備えている。絶縁体3は、検出電極1と比較電極2との間を狭い均一な間隔に保持して、検出電極1と比較電極2との非接触の状態を確保している。オゾン水濃度センサー10は、検出電極1が比較電極2との間に絶縁体3を挟んで比較電極2の外側を覆った構造を有している。
検出電極1は、平板形状を有し、図1Bに示すように、電極の表面積を大きくとれることから、複数の金属製マイクロメッシュが積層されてなる多層構造をなしているが、本発明は、検出電極が1枚の金属製マイクロメッシュから構成されること、および金属製マイクロメッシュの代わりにメッシュのない金属製シートを用いることを妨げるものではない。図1B中では、検出電極1はマイクロメッシュを3重積層しているが、十分な出力を得るためにも金属製マイクロメッシュを2~5重程度、積層することが好ましい。図1Bは本発明の第1実施態様に係るオゾン水濃度センサーの概略側面図および一部拡大図である。本明細書中、金属製マイクロメッシュとは、網目の最大寸法が約1mm以下、例えば100μm~1mmの網目構造を有する金網のことである。
検出電極1を構成する金属は、比較電極2を構成する金属よりもイオン化傾向が小さい金属であり、例えば、検出電極1は、少なくとも表面が金もしくは金めっき層または白金もしくは白金めっき層から構成される。検出電極1はいわゆる導電性ダイヤモンド電極であってもよい。
検出電極1を構成する金属製マイクロメッシュの1枚の厚さは、0.05mm~0.2mmが好ましく、複数の金属製マイクロメッシュを重ねて用いる場合には検出電極1の厚さは、0.3mm~1mmが好ましい。
比較電極2は、平板形状を有し、電極の表面積を大きくとれることから、金属製マイクロメッシュが複数枚積層されてなる多層構造をなしているが、本発明は、比較電極が1枚の金属製マイクロメッシュから構成されること、および金属製マイクロメッシュの代わりにメッシュのない金属製シートを用いることを妨げるものではない。図1B中では、比較電極2は金属製マイクロメッシュを4重積層しているが、十分な出力を得るためにも金属製マイクロメッシュを3~5重程度、積層することが好ましい。
比較電極2を構成する金属は検出電極を構成する金属よりもイオン化傾向が大きい金属であり、例えば、銀である。比較電極2は、少なくとも表面が銀、塩化銀または酸化銀から構成されてもよい。すなわち比較電極2は、銀であってもよいし、あるいは銀の表面を導電性被膜で被膜保護したものであってもよい。導電性被膜として、例えば、塩化銀、酸化銀、およびナフイオン膜(陽イオン交換膜)が挙げられる。
比較電極2を構成する金属製マイクロメッシュの1枚の厚さは、0.05mm~0.5mmが好ましく、複数の金属製マイクロメッシュを重ねて用いる場合には比較電極2の厚さは、0.3mm~2mmが好ましい。
オゾン水濃度センサー10の寸法は、オゾン水濃度を測定できる限り特に限定されず、例えば、幅w1(図1A参照)は通常、5~20mmであり、好ましくは5~10mmである。また例えば、高さh1(図1A参照)は通常、5~20mmであり、センサー出力のさらなる増大の観点から好ましくは5~10mmである。
絶縁体3はマイクロメッシュ形態または布形態を有し、検出電極1の内面に接するとともに比較電極2の外面に接して検出電極1と比較電極2との間に挟み込まれている。マイクロメッシュ形態とは、網目の最大寸法が約1mm以下、例えば100μm~1mmの網目構造を有する形態のことである。
絶縁体3を構成する材料としては、例えば、テフロン(登録商標)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等を使用することができる。特に、耐オゾン性の点でテフロン、PFAが好ましい。
絶縁体3の厚さは、絶縁体3の入手性およびセンサー出力のさらなる増大の観点から、通常は1mm以下、特に0.05~1mmであり、好ましくは0.05~0.5mm、より好ましくは0.05~0.3mmである。この絶縁体3を使用することにより、オゾン水濃度センサーにおける検出電極1と比較電極2との間隔を制御できる。オゾン水濃度センサー10における検出電極1と比較電極2との間隔(距離)は通常、1mm以下であり、好ましくは0.5mm以下である。当該間隔の下限値は検出電極1と比較電極2と非接触が確保されれば特に限定されず、当該間隔は通常0.01mm以上、好ましくは0.05mm以上である。
検出電極1は、その下端部の一部が下方に延出しており、この延出部1aにリード線4が接続され、リード線4は電流計(図示しない)の正極に結線されている。なお、電流計としては、マイクロ・アンペア電流計を使用することができる。
比較電極2は、その下端部の一部が下方に延出しており、この延出部2aにリード線5が接続され、リード線5は電流計の負極に結線されている。
検出電極1の延出部1aおよび比較電極2の延出部2aは、基台6内に埋設されるとともに基台6の下面を貫通している。つまり、基台6の上面から検出電極1、比較電極2および絶縁体3が突出するような構成となっている。
基台6の外周面の一部には、当該外周面に沿ってシール部材7が設けられている。シール部材7としては、例えば、Oリング、ゴムパッキン、リップシール、シーラント等が挙げられる。シール部材7は、例えば、図1Cに示すように、オゾン水の通路となる通水路を形成する壁面100に貫通穴101を形成し、貫通穴101に基台6を嵌めこむことによってオゾン水濃度センサー10を取り付けた場合に、貫通穴101と基台6との間の水密性を確保するためのものである。図1Cは本発明の第1実施態様に係るオゾン水濃度センサーの使用状態を示す概略断面図である。
以上の構成からなるオゾン水濃度センサー10を、例えば通水路内を流れるオゾン水や、水槽内のオゾン水を流動させながら浸して検出電極1および比較電極2をオゾン水に接触させる。これによって起電力が発生し、オゾン水濃度に比例した強さの安定した電気信号を得て、オゾン水の濃度を測定する。
オゾン水濃度センサー10の設置方向とオゾン水の流れ方向との関係は特に限定されず、オゾン水濃度センサー10が図1Aに示す方向で配置されているとき、オゾン水の流れ方向はD1~D4のいずれの方向であってもよい。図1Aにおいて、例えば、オゾン水の流れ方向がD1またはD3のとき、検出電極1はオゾン水の流れ方向と略垂直の関係にある。また例えば、オゾン水の流れ方向がD2またはD4のとき、検出電極1はオゾン水の流れ方向と略平行の関係にある。
オゾン水濃度センサー10は、センサー出力のさらなる増大の観点から、検出電極が比較電極によりオゾン水との接触を阻害されないように、設置されることが好ましい。検出電極が比較電極によりオゾン水の流れとの接触を阻害されないとは、オゾン水の流れ方向において、検出電極の最上流部分が比較電極の最上流部分と同等の位置に配置されているか(例えば、図1AにおいてD2またはD4)、または検出電極の最上流部分が比較電極の最上流部分よりも上流側の位置に配置されている(例えば、図1AにおいてD1またはD3)、という意味である。オゾン水濃度センサー10が図1Aに示す方向で設置されるとき、オゾン水の流れ方向は、好ましくはD2またはD4である。なお、図1Aにおいてオゾン水の流れ方向がD2のときの、オゾン水濃度センサーの使用状態を示す概略断面図が図1Cである。
以上、本実施態様によれば、検出電極1は比較電極2を包囲するように設けられ、かつこれら両電極間に挟んで絶縁体3が設けられる。このため、オゾン水が比較電極に遮られることなく検出電極に連続的かつ有効に接触し、オゾンの検出電極での還元反応を連続的に効率よく引き起こすことができる。しかも、絶縁体3の厚さを薄くすることによって、両電極間の間隔を簡単に狭くすることができる。それらの結果として、センサー出力を有意に増大できる。このため、センサー性能の非常に高い、裸電極式のオゾン水濃度センサー10を得ることができる。したがって、少流量のオゾン水に対しても効率よくオゾン水濃度を測定できる。
(第2実施態様)
第2実施態様に係るオゾン水濃度センサーは、検出電極が比較電極を包囲するように配置されている点で第1実施態様に係るオゾン水濃度センサーと同様であるが、検出電極および比較電極の形状が異なるものである。第2実施態様に係るオゾン水濃度センサーは、以下に特記すること以外、第1実施態様に係るオゾン水濃度センサーと同様である。
第2実施態様に係るオゾン水濃度センサー20においては、図2Aに示すように、検出電極11は比較電極12を包囲するように配置されている。詳しくは比較電極12は検出電極11の内側に配置され、検出電極11はその内側で比較電極12を取り囲むまたは覆うように配置されている。図2Aは本発明の第2実施態様に係るオゾン水濃度センサーの概略斜視図である。
オゾン水濃度センサー20においては、図2Aに示すように、検出電極11の内側に比較電極12が該検出電極11から離間して配置され、検出電極11と比較電極12との非接触の状態が確保されている。図2A~図2Cにおいて、検出電極11は円筒形状を有しているが、筒形状を有する限り特に限定されるものではなく、例えば四角筒形状等の多角筒形状であってもよい。比較電極12はコイル形状(螺旋形状)を有しているが、線形状を有する限り特に限定されるものではなく、例えば、直線形状であってもよい。センサー出力のさらなる増大の観点から、検出電極11は円筒形状を有し、かつ比較電極12はコイル形状を有することが好ましい。図2Bは本発明の第2実施態様に係るオゾン水濃度センサーの概略側面図である。図2Cは本発明の第2実施態様に係るオゾン水濃度センサーの概略正面図である
検出電極11は、図2A~図2Cに示すように、1枚の金属製マイクロメッシュを筒形状に加工してなる構造をなしているが、本発明は、検出電極が複数の金属製マイクロメッシュの積層体から構成されること、および金属製マイクロメッシュの代わりにメッシュのない金属製シートを用いることを妨げるものではない。検出電極11は、例えば金属製マイクロメッシュを2~5重程度、積層したものを加工してなっていてもよい。
検出電極11の寸法は、オゾン水濃度を測定できる限り特に限定されず、例えば、幅w2(円筒形状の軸方向長さ)(図2Aおよび図2C参照)は通常、5~15mmであり、センサー出力のさらなる増大の観点から好ましくは5~10mmである。また例えば、内寸t2(円筒形状の内径)(図2Aおよび図2B参照)は通常、3~10mmであり、センサー出力のさらなる増大の観点から好ましくは3~8mmである。また例えば、検出電極11の筒形状部における検出電極11と比較電極12との間隔(距離)t3(図2B参照)は通常、3mm以下であり、好ましくは2mm以下、特に0.5~2mmである。
検出電極11を構成する金属は、第1実施態様における検出電極1と同様に、比較電極12を構成する金属よりもイオン化傾向が小さい金属であり、例えば、検出電極11は、少なくとも表面が金もしくは金めっき層または白金もしくは白金めっき層から構成される。検出電極11はいわゆる導電性ダイヤモンド電極であってもよい。
検出電極11を構成する金属製マイクロメッシュの1枚の厚さは、0.05mm~0.2mmが好ましく、複数の金属製マイクロメッシュを重ねて用いる場合には検出電極1の厚さは、0.3mm~1mmが好ましい。
比較電極12は、線形状を有し、その線径は特に限定されず、例えば、0.1~2mmであり、センサー出力のさらなる増大の観点から好ましくは0.5~1mmである。比較電極12がコイル形状を有する場合、その外径t4(図2B参照)は、検出電極11の内寸t2(mm)より小さい限り特に限定されないが、好ましくは0.5×t2~0.8×t2である。比較電極12がコイル形状を有する場合、その軸方向長さw3(図2C参照)は、通常、検出電極11の幅w2(mm)より小さく、好ましくは0.4×w2~0.8×w2である。比較電極12のコイルピッチは特に限定されず、通常0.5~2mmであり、好ましくは0.8~1.2mmである。
比較電極12を構成する金属は、第1実施態様における比較電極2と同様に、検出電極を構成する金属よりもイオン化傾向が大きい金属であり、例えば、銀である。比較電極12は、銀の表面を導電性被膜で被膜保護したものであってもよい。導電性被膜としては、例えば、第1実施態様において比較電極2の導電性被膜として例示した同様のものが挙げられる。
検出電極11は、その下端部の一部が下方に延出しており、この延出部11aにリード線4が接続され、リード線4は電流計(図示しない)の正極に結線されている。なお、電流計としては、マイクロ・アンペア電流計を使用することができる。
比較電極12は、その下端部の一部が下方に延出しており、この延出部12aにリード線5が接続され、リード線5は電流計の負極に結線されている。
検出電極11の延出部11aおよび比較電極12の延出部12aは、基台6内に埋設されるとともに基台6の下面を貫通している。つまり、基台6の上面から検出電極11および比較電極12が突出するような構成となっている。
シール部材7は、例えば、図2Dに示すように、オゾン水の通路となる通水路を形成する壁面100に貫通穴101を形成し、貫通穴101に基台6を嵌めこむことによってオゾン水濃度センサー20を取り付けた場合に、貫通穴101と基台6との間の水密性を確保するためのものである。図2Dは本発明の第2実施態様に係るオゾン水濃度センサーの使用状態を示す概略断面図である。
以上の構成からなるオゾン水濃度センサー20を、例えば通水路内を流れるオゾン水や、水槽内のオゾン水を流動させながら浸して検出電極11および比較電極12をオゾン水に接触させる。これによって起電力が発生し、オゾン水のオゾン濃度に比例した強さの安定した電気信号を得て、オゾン水の濃度を測定する。
オゾン水濃度センサー20の設置(方向)とオゾン水の流れ方向との関係は特に限定されず、オゾン水濃度センサー20が図2Aに示す方向で設置されているとき、オゾン水の流れ方向はD1~D4のいずれの方向であってもよい。図2Aにおいて、例えば、オゾン水の流れ方向がD1またはD3のとき、検出電極11が有する筒形状の軸方向はオゾン水の流れ方向と略垂直の関係にある。また例えば、オゾン水の流れ方向がD2またはD4のとき、検出電極11が有する筒形状の軸方向はオゾン水の流れ方向と略平行の関係にある。
オゾン水濃度センサー20は、センサー出力のさらなる増大の観点から、検出電極が比較電極によりオゾン水との接触を阻害されないように、設置されることが好ましい。検出電極が比較電極によりオゾン水の流れとの接触を阻害されないとは、オゾン水の流れ方向において、検出電極の最上流部分が比較電極の最上流部分と同等の位置に配置されているか、または検出電極の最上流部分が比較電極の最上流部分よりも上流側の位置に配置されている(例えば、図2AにおいてD1、D3またはD4)、という意味である。オゾン水濃度センサー20が図2Aに示す方向で設置されるとき、オゾン水の流れ方向は、好ましくはD1、D3またはD4であり、より好ましくはD4である。なお、図2Aにおいてオゾン水の流れ方向がD4のときの、オゾン水濃度センサーの使用状態を示す概略断面図が図2Dである。
以上、本実施態様によれば、検出電極11は比較電極12を包囲するように設けられる。検出電極11を円筒形にすることにより、サイズをコンパクトにしても、オゾン水が比較電極に遮られることなく検出電極に連続的かつ有効に接触できるので、センサー出力を有意に増大できる。特にセンサー出力が低下する15℃以下の水温においても、十分なセンサー出力を得ることができる。それらの結果、センサー性能の高い、裸電極式のオゾン水濃度センサー20を得ることができる。したがって、水道水レベルの導電率のオゾン水は勿論のこと、純水のような導電率の極小さいオゾン水であっても、オゾン濃度を正確に測定することができる。
本実施態様(図2A~図2D)において、検出電極11は筒形状を有し、かつ比較電極12は線形状を有しているが、検出電極11も比較電極12も筒形状(例えば、円筒形状)を有していてもよい。例えば、検出電極11および比較電極12が共に円筒形状を有する場合、そのようなオゾン水濃度センサーは、比較電極12がコイル部(螺旋部)の代わりに円筒部を有すること以外、図2A~図2Dのオゾン水濃度センサー20と同様である。図2A~図2Dにおける比較電極12のコイル部は比較電極12の曲線部のことである。比較電極12の円筒部は金属製マイクロメッシュから構成されていてもよい。当該円筒部の金属製マイクロメッシュは1枚で使用されてもよいし、または2枚以上で重ねて使用されてもよい。このように比較電極12が円筒部を有する場合における、比較電極12の円筒部の寸法、すなわち当該円筒部の外径および軸方向長さならびに検出電極11と比較電極12との間隔(距離)はそれぞれ、比較電極12がコイル形状を有する場合における外径t4(図2B参照)、軸方向長さw3(図2C参照)および検出電極11と比較電極12との間隔(距離)t3(図2B参照)と同様である。
(測定メカニズム)
本発明のオゾン水濃度センサーは、「ガルバニセル方式センサー」に分類されるものである。本発明のオゾン水濃度センサーにおいては、溶存オゾンが検出電極上で還元され、オゾン水濃度に比例して流れる両電極間の還元電流(出力電流)を測定することでオゾン水濃度を測定する。発生する出力電流は、下記の式に示す通り検出電極の面積とオゾン水濃度に比例する。
Figure 0007078242000001
I:出力電流の指示電流(μA)
n:電極反応に含まれる電子の数
F:ファラデー定数(96,500C/mol)
S:検出電極の面積(cm
C:試料水のオゾン水濃度(mg/L)
このことから、検出電極のオゾン水に接する面積を大きくし、検出電極をオゾン水に直接曝す。これによりセンサー出力を高くでき、オゾン水の量が少ないときでも、オゾン水の温度が低いときでも、またはオゾン水のオゾン濃度が低いときでも、オゾン濃度を精度よく測定することができる。
[オゾン水濃度測定装置]
本発明は、上記のオゾン水濃度センサーを有するオゾン水濃度測定装置も提供する。
以下、本発明のオゾン濃度測定装置について、幾つかの実施態様により図面を用いて詳しく説明するが、図面における各種の要素は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観および寸法比などは実物と異なり得る。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材または同じ意味内容を示すものとする。
(第1実施態様)
本実施態様のオゾン水濃度測定装置30は、例えば図3に示すように、少なくともオゾン水保有容器31、測定セル32および接続パイプ33を具備し、通常はさらに、オゾン濃度検出基板34、流量調整デバイス35および筐体36を含む。図3は本発明の第1実施態様に係るオゾン水濃度測定装置の概略断面図である。
オゾン水保有容器31は、オゾン水を収容し、保有するための容器である。オゾン水保有容器31は、図3中、オゾン水濃度測定装置の上面垂直上方に突き出して設置されており、すなわち後述する筐体36の上面に取り付けられている。オゾン水保有容器31は、例えば、図3に示されるように、その深さ方向が筐体36の上面の概略垂直方向に略平行になるように取り付けられてもよい。オゾン水保有容器31は、後述の接続パイプ33を経て測定セル32にオゾン水を供給できる限り、これに限定されるものではなく、例えば、筐体36の内部に収納されていてもよい。オゾン水保有容器31の容量は50mLであっても、オゾン水の濃度を精度よく測定することができる。測定精度の観点から好ましい当該容量は100~300mLである。勿論、当該容量が300mL以上でも良い。オゾン水保有容器31は装置30から取り外し可能であってもよいし、または装置30から取り外し不可能であってもよい。
測定セル32は、上記したオゾン水濃度センサー(10、20)が組み込まれた電気化学セルである。測定セル32により、オゾン水の流路内にオゾン水濃度センサーが所定の方向で設置される。図3において、オゾン水濃度センサー(10、20)は測定セル32の底面から上方に向けて挿入されているが、オゾン水濃度センサーの検出電極および比較電極とオゾン水との接触が達成される限り特に限定されず、例えばオゾン水濃度センサー(10、20)は測定セル32の側面または上面から挿入されてもよい。測定精度のさらなる向上の観点から、オゾン水濃度センサーは測定セル32の底面から上方に向けて挿入されることが好ましい。電極表面での気泡の滞留によるオゾン還元反応の阻害を防止できるためである。
接続パイプ33は、オゾン水保有容器31と測定セル32とを連通し、測定セル32にオゾン水を供給するための配管である。接続パイプ33の内径は特に限定されず、通常は3~10mmであり、オゾン水を自重落下させる観点からは好ましくは3~7mmである。
オゾン濃度検出基板34は、測定セル32における検出電極と比較電極との間に流れた出力電流をオゾン濃度に変換する機能を有している。オゾン濃度検出基板34により決定されたオゾン濃度は通常、表示デバイスにより、表示されるようになっている。表示デバイスはデジタル表示デバイス、またはアナログ表示デバイス、さらには複数個の発光ダイオードによる濃度表示が利用できる。表示デバイスによる表示は通常、外部の電源に基づいている。
流量調整デバイス35は通常、測定セル32の下流側に連結された接続パイプ37に連結されている。流量調整デバイス35は、流路を開閉することにより、オゾン水の流量を調整できるあらゆるデバイスが使用されてもよい。例えば、手動バルブ、電磁バルブ等が挙げられる。また、流量調整デバイス35は、測定セル32の上流側に設置されてもよく、すなわち前記オゾン水保有容器31と測定セル32の間に設置されても良い。なお、測定セル32と流量調整デバイス35との間にオリフィスを挿入して、流量を調整してもよい。
筐体36は、上記した部品を収容して持ち運びできる程度の剛性を有していれば特に限定されるものではない。筐体36は、図3に示すように、蓋部361および収容部(本体部)362から構成されていてもよい。
オゾン水濃度測定装置30においては、流量調整デバイス35を閉めた状態で、オゾン水保有容器31にオゾン水を供給する。供給終了後に流量調整デバイス35を開くことで、オゾン水は、オゾン水保有容器31から、オゾン水の自重落下(自由落下)により接続パイプ33を通って、測定セル32に供給される。測定セル32のオゾン水濃度センサー(10、20)(ガルバニセル方式センサー)においては、検出電極にオゾン水が接触することでオゾンが還元され、比較電極との間に電流が流れ、その電流を、オゾン濃度検出基板34によりオゾン水濃度に変換し、複数個の発光ダイオード等でオゾン水濃度が表示される。
本実施態様のオゾン水濃度測定装置30は、オゾン水を自重落下により測定セル32に供給するタイプのものであり、このため、当該装置の内部にも外部にも(例えば、接続パイプ33にも接続パイプ37にも)ポンプ等の動力機構は設けられていない。具体的には、測定セル32の上流側(オゾン水保有容器31と測定セル32との間)にも、測定セル32の下流側にも、動力機構は設けられていない。このため、オゾン水濃度測定装置30においては、オゾン水保有容器31内のオゾン水の水面は通常、測定セル32の流入口よりも高い位置にある。すなわち、オゾン水保有容器31のオゾン水の流出口は通常、測定セル32の流入口よりも高い位置にある。本明細書中、「自重落下」とは、位置エネルギーのみによりオゾン水を測定セル32に搬送および供給する方式のことであり、ポンプ等の機械的エネルギーを使用することなくオゾン水を供給する方式である。
本実施態様においては、オゾン水を自重落下により測定セル32に供給しても、オゾン濃度を精度よく測定することができる。詳しくは、オゾン水の自重落下による測定セルへの供給流量は通常、500mL/分以下、特に50~500mL/分、好ましくは50~350mL/分である。本実施態様においては、このような少量のオゾン水供給流量であっても、オゾン水濃度を精度よく測定することができる。
本実施態様のオゾン水濃度測定装置30は、オゾン水の自重落下による測定セルへの供給が可能なため、必ずしも電源を要さず、オゾン水濃度測定装置の軽量化およびポータブル化が容易に達成できる。
本実施態様のオゾン水濃度測定装置30は、オゾン水の量が少ないときでも、オゾン水の温度が低いときでも、またはオゾン水濃度が低いときでも、オゾン水濃度を精度よく測定することができる。
裸電極方式のオゾン水濃度センサーは、水温の影響を受けるため、水温切替スイッチにより、水温に対応したオゾン濃度の表示を行うことが好ましい。例えば、水温が15℃以下のときと、15℃以上のときとの切替が可能である。
オゾン濃度の測定が終了したのち、オゾン水保有容器31に、水道水あるいは精製水などの、オゾン水濃度がゼロの所謂ゼロ水を測定セル32に通水し電極表面に残留する不純物を洗浄することで、応答の早い測定が可能となる。
本実施態様のオゾン水濃度測定装置30は、裸電極方式に限らず、検出電極と比較電極との間に一定の電圧を加え、検出電極でのオゾン水の還元により生じる限界電流を測定することでオゾン水濃度を測定するポーラログラフ方式のオゾン水濃度測定にも適用できる。
(第2実施態様)
本実施態様のオゾン水濃度測定装置30aは、図4に示すように、オゾン水保有容器31aが装置30aから取り外し可能であり、かつ必要に応じて容量を変えることができること以外、第1実施態様のオゾン水濃度測定装置と同様である。図4は本発明の第2実施態様に係るオゾン水濃度測定装置の概略断面図である。
オゾン水保有容器31aは、測定に供するオゾン水の量に応じて容量を変えてもよい。なお、容量を大きくする場合、容器の高さを極端に高くすると、保有水の水頭が大きく変化し、測定セルへのオゾン水の供給流量が多くなり、センサー出力を高くすることになるため、容器の高さを変えず断面積を大きくすることが望ましい。
(第3実施態様)
本実施態様のオゾン水濃度測定装置30cは、図5に示すように、吸引ポンプ38を使用してオゾン水を測定セル32へ供給すること以外、第1実施態様のオゾン水濃度測定装置と同様である。図5は本発明の第3実施態様に係るオゾン水濃度測定装置の概略断面図である。
吸引ポンプ38は、図5中、オゾン水の流れ方向において、オゾン水保有容器31の下流側であって測定セル32の上流側に配置されているが、測定セル32の下流側に配置されてもよい。図5においては、吸引ポンプ38はオゾン水濃度測定装置30cに内蔵されているが、外置きしても構わない。吸引ポンプ38により連続的にオゾン水のオゾン濃度を測定することも可能である。
本実施態様においては、オゾン水保有容器を介さず、オゾン水の利用ポイントから、吸引ポンプで直接吸引し、測定セル32に供給しても構わない。
第1~第3実施態様のオゾン水濃度測定装置30、30a、30cは、回分測定方式または連続測定方式のいずれの測定方式で測定する場合においても、測定セル32にオゾン水を供給することにより流動するオゾン水のオゾン濃度を検出および測定することができる。回分測定方式とは、予め分配された量のオゾン水のオゾン濃度を測定する測定方式のことである。このため、回分測定方式は、オゾン水保有容器31、31aの容量以下の比較的少量のオゾン水をビーカー等に採取してオゾン水保有容器31、31aに移し替えてオゾン濃度を測定するのに適している。連続測定方式とは、連続的に供給されるオゾン水のオゾン濃度を測定する測定方式のことである。このため、連続測定方式は、オゾン水保有容器31、31aの容量を超える量のオゾン水についてオゾン水濃度の経時的な変化を測定するのに適している。
[オゾン水濃度センサーの製造]
(実施例1(参考例)
本実施例は図1Aに示すオゾン水濃度センサー10を製造した。
検出電極1として白金メッキマイクログレーチング積層体を使用した。詳しくは、白金メッキマイクログレーチングは、厚さ0.1mmのチタンの薄板を、菱形格子状(1mm×0.46mm)にグレイチング加工したもので、さらに表面に2μm厚の白金メッキを施したものである。このような白金メッキマイクログレーチングを3枚重ねて検出電極とした。なお、グレイチング加工の前後で厚さは変わらない。
比較電極2として銀マイクログレーチング積層体を使用した。詳しくは、銀マイクログレーチングは、厚さ0.1mmの銀の薄板を、菱形格子状(1mm×0.46mm)にグレイチング加工したものである。このような銀マイクログレーチングを4枚重ねて比較電極とした。
絶縁体3としては、厚さ0.1mmのポリエステルクロスを使用した。
比較電極2の両面を覆うように絶縁体3を折り重ね、さらに絶縁体3の両面を覆うように検出電極1を折り重ね、オゾン水濃度センサー10を得た。なお、絶縁体3および検出電極1は、比較電極2の先端部でU字に折り曲がっている。
オゾン水濃度センサー10の寸法は、幅w1(図1A参照)が概略12mm、高さh1(図1A参照)が概略12mmであった。
オゾン水濃度センサー10は、図1Cに示すように検出電極1および比較電極2がオゾン水の流れ方向と略平行になるように設置して用いた。
(実施例2)
本実施例は図2Aに示すオゾン水濃度センサー20を製造した。
検出電極11として白金メッキマイクログレーチングを重ねることなく1枚で使用した。詳しくは、白金メッキマイクログレーチングは、厚さ0.1mmのチタンの薄板を、菱形格子状(1mm×0.46mm)にグレイチング加工したもので、さらに表面に2μm厚の白金メッキを施したものである。このような白金メッキマイクログレーチングを図2A~図2Cに示すような円筒形状に加工し、検出電極とした。
比較電極12として銀線を使用した。詳しくは、直径0.8mmの銀線を、図2A~図2Cに示すような外径4mmおよびピッチ1mmのコイル状(螺旋状)に加工し、比較電極とした。
円筒形状の検出電極11の内側にコイル状比較電極12を、検出電極11から離間して配置させて、オゾン水濃度センサー20を得た。
検出電極11の幅w2(円筒形状の軸方向長さ)は概略8mmであり、内寸t2(円筒形状の内径)は概略6mmであった。コイル形状の外径t4は概略4mmであり、軸方向長さw3(図2C参照)は概略4mmであり、コイルピッチは概略1mmであった。
検出電極11の筒形状部における検出電極11と比較電極12との間隔(距離)t3は概略1mmであった。
オゾン水濃度センサー20は、図2Dに示すように、オゾン水の流れ方向において、検出電極11の最上流部分が比較電極12の最上流部分よりも上流側の位置に配置されるように、設置して用いた。コイル状比較電極は、オゾン水の流れ方向において、円筒状の検出電極における下流側1/2の位置に配置した
(比較例1)
本比較例は図9に示すオゾン水濃度センサー200を製造した。
検出電極201として白金メッキマイクログレーチング積層体を使用した。詳しくは、白金メッキマイクログレーチングは、厚さ0.1mmのチタンの薄板を、菱形格子状(1mm×0.46mm)にグレイチング加工したもので、さらに表面に2μm厚の白金メッキを施したものである。このような白金メッキマイクログレーチングを3枚重ねて検出電極とした。
比較電極202として銀マイクログレーチング積層体を使用した。詳しくは、銀マイクログレーチングは、厚さ0.1mmの銀の薄板を、菱形格子状(1mm×0.46mm)にグレイチング加工したものである。このような銀マイクログレーチングを4枚重ねて比較電極とした。
絶縁体203としては、厚さ0.1mmのポリエステルクロスを使用した。
検出電極201の両面を覆うように絶縁体203を折り重ね、さらに絶縁体203の両面を覆うように比較電極202を折り重ね、オゾン水濃度センサー200を得た。なお、絶縁体203および比較電極202は、検出電極201の先端部でU字に折り曲がっている。
オゾン水濃度センサー200の寸法は、幅w’(図9参照)が概略12mm、高さh’(図9参照)が概略12mmであった。
オゾン水濃度センサー200は、実施例1のオゾン水濃度センサー10と同様に検出電極201および比較電極202がオゾン水の流れ方向と略平行になるように設置して用いた。
[評価1]
実施例1または比較例1のオゾン水濃度センサーを図5に示すオゾン水濃度測定装置30cの測定セル32に組み込んで、オゾン水濃度センサーの評価を行った。水温の影響を調べるため、オゾン水に代わり水道水を通水して、センサーの出力特性を調べた。詳しくは、水道水が400mL/分の流量で流れる通水路にオゾン水濃度センサーを配置し、水道水の温度を変化させて、センサー出力を測定した。結果を表1、表2および図6に示した。表1、表2および図6において、センサー出力は相対的な値であり、比較例1の11℃でのセンサー出力を10としたときの値である。
Figure 0007078242000002
Figure 0007078242000003
実施例1のオゾン水濃度センサーでは、オゾン水が直接検出電極と接触してオゾンが還元されるため、比較例1のような検出電極が比較電極で覆われているセンサーに比べ、高いセンサー出力が得られた。このため、実施例1のオゾン水濃度センサーでは、少量のオゾン水、低濃度のオゾン水、および低温のオゾン水に対してもオゾン濃度をより十分に精度よく測定可能となる。
比較例1では、比較電極で検出電極が覆われているため検出電極とオゾン水の直接接触が制限され、特に少流量条件ではセンサー出力が低くなる。
[評価2]
実施例1、2または比較例1のオゾン水濃度センサーを図5に示すオゾン水濃度測定装置30cの測定セル32に組み込んで、オゾン水濃度センサーの評価を行った。詳しくは、19℃で生成した各濃度のオゾン水が400mL/分の流量で流れる通水路にオゾン水濃度センサーを配置し、センサー出力を測定した。結果を表3、表4、表5および図7に示した。
Figure 0007078242000004
Figure 0007078242000005
Figure 0007078242000006
[評価3]
実施例1のオゾン水濃度センサーを図3に示すオゾン水濃度測定装置30の測定セル32に組み込んで、オゾン水濃度センサーの評価を行った。詳しくは、19℃で生成した各濃度および所定量のオゾン水を自重落下で流れる通水路にオゾン水濃度センサーを配置し、センサー出力を測定した。結果を表6および図8に示した。
Figure 0007078242000007
本発明のオゾン水濃度センサーおよびオゾン水濃度測定装置は、オゾン水中のオゾン濃度の測定に有用である。
1:11:検出電極
2:12:比較電極
3:絶縁体
10:20:オゾン水濃度センサー
30:30a:30c:オゾン水濃度測定装置
31:オゾン水保有容器
32:測定セル
33:接続パイプ
34:オゾン濃度検出基板
35:流量調整デバイス
36:筐体

Claims (8)

  1. イオン化傾向が互いに異なる金属から構成される検出電極および比較電極を備え、
    前記比較電極が前記検出電極の内側に配置され、
    前記検出電極が前記比較電極を包囲するように配置されている、オゾン水濃度センサーであって、
    前記検出電極は少なくとも表面が金もしくは金めっき層または白金もしくは白金めっき層から構成され、円筒形状を有し、かつ金属製マイクロメッシュから構成され、
    前記比較電極は少なくとも表面が銀、塩化銀または酸化銀から構成され、線形状を有し、かつコイル形状を有し、
    前記オゾン水濃度センサーは、前記検出電極の内側に前記比較電極が該検出電極から0.5~3mmの距離で離間して配置される構造を有する、裸電極式オゾン水濃度センサー。
  2. 前記検出電極と前記比較電極との距離が0.5~2mmである、請求項1に記載のオゾン水濃度センサー。
  3. 前記検出電極は少なくとも表面が白金もしくは白金めっき層から構成され、
    前記比較電極は少なくとも表面が銀から構成される、請求項1または2に記載のオゾン水濃度センサー。
  4. 前記オゾン水濃度センサーはオゾン水に浸される、請求項1~3のいずれかに記載のオゾン水濃度センサー。
  5. 前記オゾン水濃度センサーは、オゾン水の流れ方向において、前記検出電極の最上流部分が前記比較電極の最上流部分と同等の位置に配置されるか、または前記検出電極の最上流部分が前記比較電極の最上流部分よりも上流側の位置に配置されるように、設置される、請求項1~4のいずれかに記載のオゾン水濃度センサー。
  6. 前記金属製マイクロメッシュは金属製マイクログレーチングである、請求項1~5のいずれかに記載のオゾン水濃度センサー。
  7. 請求項1~のいずれかに記載のオゾン水濃度センサーを有する、オゾン水濃度測定装置。
  8. 動力機構が設けられていない、請求項7に記載のオゾン水濃度測定装置
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