JP7077099B2 - オレフィン重合用触媒 - Google Patents

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本発明は、特定の構造を有する錯体を含む新規な触媒組成物に関するものであり、より詳しくは、窒素原子を含む複素環構造を有する三座配位子による錯体を必須成分とした触媒組成物と、それによるオレフィン重合に関するものである。
オレフィン重合体は、樹脂材料の中でも物性や成形性などの諸性質に優れ、経済性や環境問題適合性なども高く、非常に汎用されかつ重要な産業資材である。
更なる性能向上を目的に近年において、いわゆるポストメタロセンと称される金属錯体触媒の開発及びこれによるオレフィン重合体の物性制御が行われてきている。これらの金属錯体の設計においては、中心金属種だけでなく配位子の構造も反応場の構築のために重要である。一方、光学活性なオキサゾリル基を有する置換アミド三座配位子は、中心金属近傍にC2対称な反応場を構築することが可能であり、これまでに、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウムなどの金属錯体が報告されてきた(特許文献1、非特許文献1~3)。
中国特許出願公開第102872914号明細書
Inagaki, Tomohiko; Phong, Le Thanh; Furuta, Akihiro; Ito, Jun-ichi; Nishiyama, Hisao Chemistry-A European Journal, Volume: 16, Issue: 10, Pages: 3090-3096 Buslov, Ivan; Keller, Sebastien Carlos; Hu, Xile Organic Letters, Volume: 18, Issue: 8, Pages: 1928-193 He, Jianyun; Liu, Zhanxiong; Du, Gaixia; Fu, Yinxia; Zhang, Shaowen; Li, Xiaofang Organometallics, Volume: 33, Issue: 21, Pages: 6103-6112
これらの金属錯体は、上記のような報告がなされており、クロスカップリング反応やヒドロシリル化反応などの不斉触媒として使用されてきた。しかしながら、これまでにα-オレフィン重合に用いられた例は無く、新たな触媒の創出が望まれている。
したがって本発明の目的、すなわち課題は、前記した従来技術の問題点を鑑み、オレフィン系重合体を製造可能であり、かつ、従来のメタロセン錯体に比して簡易な合成経路により安価に合成可能な、三座配位子を有する遷移金属錯体を開発することであり、そのために、そのような金属錯体を形成しうる配位子化合物、それによるポリオレフィン重合用触媒及びそれを用いたオレフィンの重合方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題の解決を目指して、金属錯体触媒における三座配位子を有する遷移金属錯体に使用し得る配位子化合物を種々探索した結果、α-オレフィン重合触媒として今までに報告されていない、置換アミン化合物に由来する置換アミド部分構造を有する錯体に注目して、錯体構造の特異的な、化学的かつ立体的及び電子的な環境の構築を成し、かかる特定の構造を有する置換アミン化合物が、上記の目的に適う重合用触媒の成分として機能することを見出し、本発明を創出するに至った。
そして、本発明の基本発明(第一発明)を構成する触媒は、下記一般式(1)で示される置換アミン化合物と、4族の遷移金属化合物である錯体前駆体との反応物である遷移金属錯体を含むことを特徴とする、α-オレフィン重合用触媒組成物である。
Figure 0007077099000001

[式中、
、R、R11、R12、R~Rは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2~30の炭化水素基、及び炭素数1~30の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選択される置換基を示し、
又はZは、不飽和結合を含んでいてもよい炭素数2~30の2価の炭化水素基であり、該炭化水素基は、R1’(ここでR1’は、Rと同義である)で示される置換基で1つ以上置換されていてもよく、
20、R21は、各々独立して、炭素数1~30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2~30の炭化水素基、及び炭素数1~30の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選択される置換基を示し、
Qは酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を表し、Qを含む環状構造内には、不飽和結合を含んでいてもよく、
Yは、窒素原子又はリン原子であり、
mは、1から3の整数であり、
pは、0又は1であり、
Wは、水素原子、ハロゲン、アルカリ金属、ハロゲンを一つ有するアルカリ土類金属又は炭素数1~30の炭化水素基を一つ有するアルカリ土類金属を示す。]
より具体的には、前記置換アミン化合物が一般式(2)で示される化合物であることを特徴とする、α-オレフィン重合用触媒組成物である。
Figure 0007077099000002

[式(2)中、R~R、R11~R16は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2~30の炭化水素基、及び炭素数1~30の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選択される置換基を示す。]
そしてさらにより具体的には、下記一般式(3)で示される遷移金属錯体を含むことを特徴とする、α-オレフィン重合用触媒組成物である。
Figure 0007077099000003

[式(3)中、
~R、R11~R16は、先に定義したとおりであり、
Mは、4族の遷移金属原子を示し、
nは、1から3より選択される任意の整数であり、
Xは、炭素数1~20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数6~20のアリーロキシ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数2~10のアシルオキシ基、カルボキシル基、炭素数2~10のエステル基、アミノ基、炭素数1~12の置換アミノ基、及びハロゲンからなる群より選択される置換基を示す。]
本発明により、オレフィン系重合体を製造可能であり、かつ、従来のメタロセン錯体に比して簡易な合成経路により安価に合成可能な、三座配位子を有する遷移金属錯体が提供される。本発明のオレフィン重合用触媒組成物、及び、それを用いたオレフィンの重合方法は、工業的な観点から、非常に有用である。
以下においては、本発明の触媒組成物及びそれを用いたオレフィン重合体の製造方法について、項目ごとに、詳細に説明する。
<遷移金属錯体>
(1)基本構成
本発明における触媒組成物は、前記一般式(1)で示される置換アミン化合物と、4族遷移金属化合物との反応物である遷移金属錯体を含むものである。ここで、当該置換アミン化合物は、2つの窒素原子、窒素原子及び酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群より選択されるヘテロ原子の組を有する環構造を2箇所に有している、複素環含有化合物である。環構造の種類としては、当該ヘテロ原子の組が、炭素原子を1つ介して存在する5~7員の環であれば特に制限はない。窒素原子のうち1つは、隣接する炭素原子と二重結合を形成していてもよい。そのような環構造の非限定的な基として、ジヒドロオキサゾリル基、オキサゾリル基、ジヒドロ-1,3-オキサジニル基、テトラヒドロ-1,3-オキサゼピニル基(以上窒素原子と酸素原子の組合せ);ジヒドロイミダゾリル基、テトラヒドロピリミジニル基、ヘキサヒドロピリミジニル基(以上2つの窒素原子);ジヒドロチアゾリル基、ジヒドロ1,3-チアジニル基、テトラヒドロ-1,3-チアゼピニル基(以上窒素原子と硫黄原子の組合せ)等が挙げられる。
「炭化水素基」は、特定された数の炭素原子を有する炭素骨格からなる構造を意味し、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ベンジルやビフェニルなどこれらの基が2つ以上結合してなる構造が含まれる。また、本明細書において「炭化水素基」は通常1価の基を指すが、2価以上の価数を有することが特記されている場合は、当該「炭化水素基」は、上記の基又は構造中の水素原子が価数に応じて少なくとも1個、結合手で置き換わった構造であることを示す。
炭素数1~30の炭化水素基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基である。アルキル基、シクロアルキル基の例は、メチル基、エチル基、1-プロピル基、イソプロピル基、1-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、1-ペンチル基、1-ヘキシル基、1-ヘプチル基、1-オクチル基、1-ノニル基、1-デシル基、トリシクロヘキシルメチル基、1,1-ジメチル-2-フェニルエチル基、1-ジメチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジエチルプロピル基、1-フェニル-2-プロピル基、1,1-ジメチルブチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-ヘプチル基、3-ヘプチル基、4-ヘプチル基、2-プロピルヘプチル基、2-オクチル基、3-ノニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、exo-ノルボルニル基、endo-ノルボルニル基、2-ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ノピニル基、デカヒドロナフチル基、メンチル基、ネオメンチル基、ネオペンチル基、及び5-デシル基などである。これらの中で、好ましい置換基としては、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基である。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シンナミル基、スチリル基が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基が挙げられ、これらのアリール基の芳香環に置換基が存在していてもよい。存在させうる置換基の例としては、アルキル基、アリール基、融合アリール基、フェニルシクロヘキシル基、フェニルブテニル基、トリル基、キシリル基、p-エチルフェニル基などである。これらの中で、好ましいアリール基としては、フェニル基、置換フェニル基であり、置換フェニル基の置換基として、好ましい具体例は、メチル基、エチル基、フェニル基であり、更に、特に好ましくは、メチル基である。
「ハロゲン」は、周期表第17族に属する元素を意味し、具体的にはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、好ましくは塩素である。ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の炭化水素基は、好ましくは、前述の炭素数1~30の炭化水素基上の水素原子を、1つ以上ハロゲン原子で置換した構造が挙げられる。具体的に好ましい例として、トリフルオロメチル基又はペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
「アルコキシ基」は、末端に酸素原子が結合した炭化水素基のうち、芳香環に当該酸素原子が結合していないものを意味する。好ましくは、炭素数1~4のアルコキシ基であり、好ましい具体例は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、1-プロポキシ基、1-ブトキシ基、及びt-ブトキシ基などである。これらの中で、更に好ましい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基又はイソプロポキシ基であり、特に好ましくは、メトキシ基である。
アルコキシ基で置換された炭素数2~30の炭化水素基は、好ましくは、前述の炭素数1~30の炭化水素基を、アルコキシ基で置換した構造が挙げられる。具体的に好ましい例として、メトキシメチル基又はメトキシエチル基等が挙げられる。
「シリル基」は、ケイ素を末端に有する置換基を意味し、炭素数1~30の炭化水素基で置換されたシリル基は、好ましくは、炭素数3~18のシリル基であり、好ましい具体例は、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基である。これらの中で、更に好ましい置換基としては、トリメチルシリル基又はジメチルフェニルシリル基であり、特に好ましくは、トリメチルシリル基である。
一般式(1)におけるZ及びZは、各々独立して、炭素数2~30の2価の炭化水素基である。Z及びZは、構造上は後述する一般式(3)においてMで示される金属原子の配位座となるヘテロ原子のリンカーとして、一般式(3)で示される遷移金属錯体の配位子部分を三座の配位子とするように存在している。配位子設計の観点からは、Z及びZは、エチレン基や1,2-フェニレン基のように、炭素原子2つがY及び複素環との間に介在するように設計されることが好ましい。該炭化水素基上には、Rの定義と同様の範囲を有する置換基が1つ以上置換されていてもよい。また、Z又はZは環を形成していてもよく、不飽和結合を含んでいてもよい。
一般式(1)におけるYは、窒素原子又はリン原子である。すなわち、一般式(1)で示される遷移金属錯体は、窒素原子3つ又は窒素原子2つ及びリン1つの組から選択される3個のヘテロ原子で、Mで示される金属原子に三座配位する配位子を有する。前記一般式(3)で示されるMは4族に属する前周期遷移金属であり、前周期遷移金属に対しては電荷密度の大きい原子の配位能が良好となる傾向があるため、Yは窒素原子であることがより好ましい。
Qは、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を表し、複素環が窒素原子以外に有するヘテロ原子の種類を特定する。mは、複素環の環員数を特定する整数であり、1~3の範囲である。したがって、前記一般式(1)で示されるアミン化合物は、5~7員の複素環構造を2つ有する。また、当該複素環は、不飽和結合を有していてもよい。好ましくは、不飽和結合は、Z又はZが結合する炭素原子と、当該複素環が必ず有する窒素原子との間に存在する。
20及びR21は、前記Qが窒素原子のときに存在する基である。よってQが窒素原子のとき、一般式(1)におけるpの値は1であり、Qが酸素原子又は硫黄原子であるときは、pの値は0である。
Wは、水素原子、ハロゲン、アルカリ金属、ハロゲンを一つ有するアルカリ土類金属又は炭素数1~30の炭化水素基を一つ有するアルカリ土類金属を示す。ハロゲン及び炭素数1~30の炭化水素基の種類は前述のとおりである。
「アルカリ金属」は、周期表第1族に属する元素を意味し、具体的にはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムであり、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウムであり、特に好ましくはリチウムである。
「アルカリ土類金属」は、周期表第2族に属する元素を意味し、具体的にはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムであり、好ましくはマグネシウムである。
式(1)で示される、置換アミン化合物の好ましい具体例として、以下の化合物が挙げられる。これらは例示であり、これらに限定されないのは自明である。
Figure 0007077099000004
前記一般式(1)で示されるアミン化合物の更なる一態様として、本発明のα-オレフィン重合用触媒組成物は、下記一般式(2)で示される置換アミン化合物を含むことが、より好ましい。
Figure 0007077099000005

[式(2)中、R~R、R11~R16は、先に定義したとおりである]
前記一般式(1)又は(2)で示される置換アミン化合物を配位子として、錯体前駆体である4族遷移金属化合物と反応させることで、本発明の触媒組成物の一成分である遷移金属錯体が得られる。具体的には、前記一般式(3)で示される遷移金属錯体を含むものである。
前記一般式(3)において、Mは、4族の遷移金属からなる群より選択された金属原子を示し、具体的には、チタン、ジルコニウム、ハフニウムである。好ましくは、ジルコニウムである。
nは、Mで示される金属原子の価数によって決まる値であり、1、2又は3の整数である。4族の遷移金属であるMは6配位の正八面体型錯体を形成しやすいことから、nは3であることが好ましい。
Xは、中心金属に結合する1価の基であり、炭素数1~20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数6~20のアリーロキシ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数2~10のアシルオキシ基、カルボキシル基、炭素数2~10のエステル基、アミノ基、炭素数1~12の置換アミノ基、ハロゲンからなる群より選択された置換基を示す。
「酸素原子若しくは窒素原子を含む」とは、炭化水素基の末端以外のメチレン基(-CH-)が1つ以上、酸素原子若しくは窒素原子により置き換えられたことを意味する。但し、隣接する2以上の炭素原子が置き換えられることはない。窒素原子で置き換えられた場合は、2級アミノ基又は3級アミノ基を構成することができる。
炭素数1~10のアルコキシ基は、好ましくは、炭素数1~4のアルコキシ基であり、好ましい具体例は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、1-プロポキシ基、1-ブトキシ基、及びt-ブトキシ基などである。これらの中で、更に好ましい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基又はイソプロポキシ基であり、特に好ましくは、メトキシ基である。
炭素数6~20のアリーロキシ基は、好ましくは、炭素数6~12のアリーロキシ基であり、好ましい具体例は、フェノキシ基、4-メチルフェノキシ基、4-メトキシフェノキシ基、2,6-ジメチルフェノキシ基、3,5-ジ-t-ブチルフェノキシ基及び2,6-ジ-t-ブチルフェノキシ基が挙げられる。これらの中で、更に好ましい置換基としては、フェノキシ基、3,5-ジ-t-ブチルフェノキシ基又は2,6-ジメチルフェノキシ基であり、特に好ましくは、フェノキシ基、3,5-ジ-t-ブチルフェノキシ基である。
炭素数2~10のアシル基は、好ましくは、炭素数2~8のアシル基であり、好ましい具体例は、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ヴァレリル基、イソヴァレリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基が挙げられる。これらの中で、更に好ましい置換基としては、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基であり、特に好ましくは、ベンゾイル基である。
炭素数2~10のアシルオキシ基は、RC(=O)O-(ここで、Rは炭素数1~9の炭化水素基を表す)で表される基であり、好ましくは、炭素数2~8のアシルオキシ基である。この場合、好ましいRとして炭素数1~7の炭化水素基が例示される。
炭素数2~10のエステル基は、好ましくは、炭素数2~8のエステル基であり、好ましい具体例は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、(4-ヒドロキシブトキシ)カルボニル基、(4-グリシジルブトキシ)カルボニル基、フェノキシカルボニル基、スクシン酸無水物基、スクシン酸イミド基が挙げられる。
これらの中で、更に好ましい置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、(4-ヒドロキシブトキシ)カルボニル基、スクシン酸無水物基が挙げられ、特に好ましくは、メトキシカルボニル基、スクシン酸無水物基である。
炭素数1~12の置換アミノ基の好ましい具体例は、モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノイソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、モノフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、モルホリニル基が挙げられる。これらの中で、更に好ましい置換基は、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基である。
式(3)で示される、オキサゾリル基含有三座配位子を有する遷移金属錯体の好ましい具体例として、以下の化合物が挙げられる。これらは例示であり、これらに限定されないのは自明である。
Figure 0007077099000006
<金属錯体の合成>
(1)基本的な合成経路
一般式(3)で示される遷移金属錯体の合成は、当業者に公知の方法を用いて行うことができる。すなわち、配位子である複素環含有化合物を、遷移金属を含有する錯体前駆体と反応させて、得ることができる。配位子の合成方法も、当業者に公知の方法を用いることができる。具体例として、複素環の構造がオキサゾリル基である場合は、2-アミノベンゾニトリルを原料としてオキサゾリン環を形成する手法などが挙げられる。具体的な合成例は、実施例における配位子の合成例として、詳細に記述されている。錯体前駆体と配位子を反応させて得られる金属錯体の合成経路は、目的化合物の構造から任意に定めることができる。
(2)錯体前駆体
錯体前駆体は、4族の遷移金属化合物である。具体例は、チタン、ジルコニウム若しくはハフニウム化合物又は錯体であり、特に、フッ化チタン(IV)、塩化チタン(IV)、臭化チタン(IV)、ヨウ化チタン(IV)、テトラベンジルジルコニウム、ジルコニウム(IV)アセチルアセトナート、ジルコニウム(IV)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、ジルコニウム(IV)トリフルオロアセチルアセトナート、フッ化ジルコニウム(IV)、塩化ジルコニウム(IV)、臭化ジルコニウム(IV)、ヨウ化ジルコニウム(IV)、テトラベンジルハフニウム、ハフニウム(IV)アセチルアセトナート、フッ化ハフニウム(IV)、塩化ハフニウム(IV)、臭化ハフニウム(IV)、ヨウ化ハフニウム(IV)錯体である。
(3)錯体前駆体との反応
本発明における錯体前駆体の使用量は、配位子である複素環含有化合物1モルに対して、通常、0.5~3モル、好ましくは0.7~1.5モルの範囲である。錯体合成反応は、α-オレフィンとの共重合に使用する反応器中で行ってもよいし、該反応器とは別の容器中で行ってもよい。錯形成後に、金属錯体を単離抽出して触媒に用いてもよいし、単離せずに触媒に用いてもよい。
<第2成分>
さらなる一態様において、本発明の触媒組成物は、成分(A)として前記一般式(3)で示される遷移金属錯体に加えて、成分(B)として、成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩を含有する。
(1)成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物
成分(B)の一つである、成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物として、有機アルミニウムオキシ化合物が挙げられる。上記有機アルミニウムオキシ化合物は、分子中に、Al-O-Al結合を有し、その結合数は通常1~100、好ましくは1~50個の範囲にある。このような有機アルミニウムオキシ化合物は、通常、有機アルミニウム化合物と水とを反応させて得られる生成物である。
有機アルミニウムと水との反応は、通常、不活性炭化水素(溶媒)中で行われる。不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及び芳香族炭化水素が使用できるが、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素を使用することが好ましい。
有機アルミニウムオキシ化合物の調製に用いる有機アルミニウム化合物は、下記一般式で表される化合物がいずれも使用可能であるが、好ましくはトリアルキルアルミニウムが使用される。
(RAl(X(3-t)
(上記式中、Rは、炭素数1~18、好ましくは1~12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素基を示し、Xは、水素原子又はハロゲン原子を示し、tは、1≦t≦3の整数を示す。)
トリアルキルアルミニウムのアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などのいずれでも差し支えないが、メチル基、イソブチル基が好ましく、メチル基であることが特に好ましい。上記有機アルミニウム化合物は、2種以上混合して使用することもできる。
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は、0.25/1~1.2/1、特に、0.5/1~1/1であることが好ましく、反応温度は、通常-70~100℃、好ましくは-20~20℃の範囲にある。反応時間は、通常5分~24時間、好ましくは10分~5時間の範囲で選ばれる。反応に要する水として、単なる水のみならず、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物などに含まれる結晶水や反応系中に水が生成しうる成分も利用することもできる。なお、上記した有機アルミニウムオキシ化合物のうち、アルキルアルミニウムと水とを反応させて得られるものは、通常、アルミノキサンと呼ばれ、特にメチルアルミノキサン(実質的にメチルアルミノキサン(MAO)からなるものを含む)は、有機アルミニウムオキシ化合物として、好適である。MAO溶液を溶媒留去して得られた固体状のドライメチルアルミノキサン(DMAO)もまた好適である。
もちろん、有機アルミニウムオキシ化合物として、上記した各有機アルミニウムオキシ化合物の2種以上を組み合わせて使用することもでき、また、前記有機アルミニウムオキシ化合物を前述の不活性炭化水素溶媒に溶解又は分散させた溶液としたものを用いてもよい。
また、成分(B)の他の具体例として、ボラン化合物やボレート化合物が挙げられる。上記ボラン化合物をより具体的に表すと、トリフェニルボラン、トリ(o-トリル)ボラン、トリ(p-トリル)ボラン、トリ(m-トリル)ボラン、トリス(o-フルオロフェニル)ボラン、トリス(p-フルオロフェニル)ボラン、トリス(m-フルオロフェニル)ボラン、トリス(2,5-ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロアントリル)ボラン、トリス(パーフルオロビナフチル)ボランなどが挙げられる。
これらの中でも、トリス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロアントリル)ボラン、トリス(パーフルオロビナフチル)ボランがより好ましく、更に好ましくはトリス(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)ボランが好ましい化合物として例示される。
また、ボレート化合物を具体的に表すと、第1の例は、次の一般式で示される化合物である。
[L1-H][B(R2)(R3)(X4)(X5)]
上記式中、L1は中性ルイス塩基であり、[L1-H]は、アンモニウム、アニリニウム、ホスフォニウムなどのブレンステッド酸を示す。
アンモニウムとしては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリ(t-ブチル)アンモニウム、トリ(n-ブチル)アンモニウムなどのトリアルキル置換アンモニウム、ジ(n-プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウムなどのジアルキルアンモニウムを例示できる。また、アニリニウムとしては、N,N-ジメチルアニリニウム、N,N-ジエチルアニリニウム、N,N-ジメチル-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムなどのN,N-ジアルキルアニリニウムが例示できる。
更に、ホスフォニウムとしては、トリフェニルホスフォニウム、トリブチルホスホニウム、トリ(メチルフェニル)ホスフォニウム、トリ(ジメチルフェニル)ホスフォニウムなどのトリアリールホスフォニウム、トリアルキルホスフォニウムが挙げられる。
また、上記一般式中、R2及びR3は、6~20、好ましくは6~16の炭素原子を含む、同じか又は異なる芳香族又は置換芳香族炭化水素基で、架橋基によって互いに連結されていてもよく、置換芳香族炭化水素基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などに代表されるアルキル基やフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンが好ましい。更に、X4及びX5は、ハイドライド基、ハライド基、1~20の炭素原子を含む炭化水素基、1個以上の水素原子がハロゲン原子によって置換された1~20の炭素原子を含む置換炭化水素基である。
上記一般式で表される化合物の具体例としては、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6-ジフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6-ジフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6-ジフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートなどを例示することができる。
これらの中でも、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレートが好ましい。
また、ボレート化合物の第2の例は、次の一般式で表される。
[L2][B(R2)(R3)(X4)(X5)]
一般式中、L2は、カルボカチオン、メチルカチオン、エチルカチオン、プロピルカチオン、イソプロピルカチオン、ブチルカチオン、イソブチルカチオン、t-ブチルカチオン、ペンチルカチオン、トロピニウムカチオン、ベンジルカチオン、トリチルカチオン、ナトリウムカチオン、プロトンなどが挙げられる。また、R2、R3、X4及びX5は、先に定義したとおりである。
上記化合物の具体例としては、トリチルテトラフェニルボレート、トリチルテトラ(o-トリル)ボレート、トリチルテトラ(p-トリル)ボレート、トリチルテトラ(m-トリル)ボレート、トリチルテトラ(o-フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(p-フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(m-フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5-ジフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トロピニウムテトラフェニルボレート、トロピニウムテトラ(o-トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(m-トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(o-フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(p-フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(m-フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5-ジフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、NaBPh、NaB(o-CH-Ph)、NaB(p-CH-Ph)、NaB(m-CH-Ph)、NaB(o-F-Ph)、NaB(p-F-Ph)、NaB(m-F-Ph)、NaB(3,5-F-Ph)、NaB(C、NaB(2,6-(CF-Ph)、NaB(3,5-(CF-Ph)、NaB(C10、HBPh・2ジエチルエーテル、HB(3,5-F-Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C・2ジエチルエーテル、HB(2,6-(CF-Ph)・2ジエチルエーテル、HB(3,5-(CF-Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C10・2ジエチルエーテルを例示することができる。
これらの中でも、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、NaB(C、NaB(2,6-(CF-Ph)、NaB(3,5-(CF-Ph)、NaB(C10、HB(C・2ジエチルエーテル、HB(2,6-(CF-Ph)・2ジエチルエーテル、HB(3,5-(CF-Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C10・2ジエチルエーテルが好ましい。
更に好ましくは、これらの中でもトリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、NaB(C、NaB(2,6-(CF-Ph)、HB(C・2ジエチルエーテル、HB(2,6-(CF-Ph)・2ジエチルエーテル、HB(3,5-(CF-Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C10・2ジエチルエーテルが挙げられる。
以上例示した化合物群のなかでも、成分(B)としては、アルミノキサン又はホウ素化合物であることが好ましい。
(2)イオン交換性層状珪酸塩
更に、成分(B)の具体例として、イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)が挙げられる。イオン交換性層状珪酸塩は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。珪酸塩は、各種公知のものが知られており、具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている。
本発明において、成分(B)のイオン交換性層状珪酸塩として好ましく用いられるものは、スメクタイト族に属するもので、具体的にはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどを挙げることができる。中でも、共重合体部分の重合活性、分子量を高める観点からモンモリロナイトが好ましい。
大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英やクリストバライトなど)が含まれることが多く、本発明で用いられるスメクタイト族の珪酸塩に夾雑物が含まれていてもよい。
珪酸塩は酸処理及び/又は塩類処理を行ってもよい。該処理においては、対応する酸と塩基を混合して反応系内で塩を生成させて処理を行ってもよい。
成分(B)として、前記の有機アルミニウムオキシ化合物と、ボラン化合物やボレート化合物、イオン交換性層状珪酸塩との混合物を用いることもできる。更に、それぞれを単独で用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
<第3成分>
本発明の更なる別の一態様は、前記成分(A)及び(B)に加えて、成分(C)として、アルキルアルミニウム化合物を含有する。成分(C)として使用されるアルキルアルミニウム化合物の一例は、次の一般式で表される。
Al(R4)(3-a)
一般式中、R4は、炭素数1~20の炭化水素基、Xは、水素原子、ハロゲン、アルコキシ基又はシロキシ基を示し、aは0より大きく3以下の数を示す。
一般式で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシドなどのハロゲン又はアルコキシ含有アルキルアルミニウムが挙げられる。
これらの中では、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。また、上記の有機アルミニウム化合物を2種以上併用してもよい。また、上記のアルミニウム化合物をアルコール、フェノールなどで変性して用いてもよい。これらの変性剤としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、フェノール、2,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノールなどが例示され、好ましい具体例は、2,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノールである。
<触媒組成物の調製方法>
本発明に係るオレフィン重合用触媒組成物の調製法においては、例えば、成分(A)、必要に応じて(B)、(C)を接触させる方法がとられる。接触順序など具体的な方法は特に限定されないが、次の様な方法を例示することができる。
(i)成分(A)と成分(B)とを接触させた後に、成分(C)を添加する方法
(ii)成分(A)と成分(C)とを接触させた後に、成分(B)を添加する方法
(iii)成分(B)と成分(C)とを接触させた後に、成分(A)を添加する方法
(iv)各成分(A)、(B)、(C)を同時に接触させる方法。
更に、各成分中で別種の成分を混合物として用いてもよいし、別々に順番を変えて接触させてもよい。なお、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時又はオレフィンの重合時に行ってもよい。また、成分(B)と成分(C)とを接触させた後、成分(A)と成分(C)の混合物を加えるというように、成分を分割して各成分に接触させてもよい。
上記の各成分(A)(B)(C)の接触は、窒素などの不活性ガス中において、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素溶媒中で行うことが好ましい。接触は、-20℃から溶媒の沸点の間の温度で行うことができ、特に室温から溶媒の沸点の間での温度で行うのが好ましい。
<重合方法>
(1)モノマー
上記したオレフィン重合用触媒は、α-オレフィンの単独重合又は二種類以上のα-オレフィンの共重合に使用可能である。α-オレフィン類には、炭素数2~30、好ましくは2~8のものが包含され、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテンなどが例示される。更に好ましくは、エチレン、プロピレンが挙げられる。α-オレフィン類は、2種類以上のα-オレフィンを共重合させることも可能である。共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれであっても差し支えない。もちろん、α-オレフィン以外のコモノマーを少量使用することも可能であり、この場合、スチレン、4-メチルスチレン、4-ジメチルアミノスチレンなどのスチレン類、1,4-ブタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエンなどのジエン類、ノルボルネン、シクロペンテンなどの環状化合物、ヘキセノール、ヘキセン酸、オクテン酸メチルなどの含酸素化合物類の重合性二重結合を有する化合物を挙げることができる。
(2)重合方法
重合反応は、触媒の存在下、好ましくはスラリー重合、バルク重合又は気相重合にて、行うことができる。スラリー重合の場合、実質的に酸素、水などを断った状態で、イソブタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素から選ばれる不活性炭化水素溶媒の存在下又は不存在下で、エチレンなどを重合させる。また、液状エチレンや液状プロピレンなどの液体モノマーも溶媒として使用するバルク重合も好ましい様態の一つである。
重合条件は、温度が0~250℃、好ましくは20~110℃、更に好ましくは60~100℃であり、圧力が常圧~10MPa、好ましくは常圧~4MPa、更に好ましくは0.5~2MPaの範囲にあり、重合時間としては5分~10時間、好ましくは5分~5時間が採用されるのが普通である。
重合系中に、水分除去を目的とした成分、いわゆるスカベンジャーを加えても何ら支障なく実施することができる。なお、かかるスカベンジャーとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物、前記有機アルミニウムオキシ化合物、分岐アルキルを含有する変性有機アルミニウム化合物、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛などの有機亜鉛化合物、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウムなどの有機マグネシウム化合物、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリドなどのグリニヤ化合物が使用される。これらのなかでは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、エチルブチルマグネシウム、トリ-n-オクチルアルミニウムが好ましく、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが特に好ましい。
本発明の触媒組成物は、重合条件が互いに異なる2段階以上の多段階重合方式にも、支障なく適用することができる。
以下において、本発明を実施例によって具体的に説明し、本発明の構成の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性を実証する。
<評価方法>
(1)分子量及び分子量分布(Mw、Mn、Q値)
(測定条件)使用機種:ウォーターズ社製150C 検出器:FOXBORO社製MIRAN1A・IR検出器(測定波長:3.42μm)、測定温度:140℃、溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)、カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)、流速:1.0mL/分、注入量:0.2mL
(試料の調製)試料はODCB(0.3mg/mLの2,4,6-トリメチルフェノールを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させた。
(分子量の算出)標準ポリスチレン法により行い、保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行った。使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー社製の銘柄であり、F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000、である。各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.3mg/mLの2,4,6-トリメチルフェノールを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成した。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いた。分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いた。
PS:K=1.38×10-4、α=0.7
PE:K=3.92×10-4、α=0.733
PP:K=1.03×10-4、α=0.78
(2)融点(T
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200示差走査熱量測定装置又はセイコーインスツルメンツ社製DSC6200R示差走査熱量測定装置を使用した。セイコーインスツルメンツ社製DSC6200示差走査熱量測定装置を使用した際はシート状にしたサンプル片を5mgアルミパンに詰め、室温から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で20℃まで降温して結晶化させた後に、10℃/分で200℃まで昇温することにより融解曲線を得た。セイコーインスツルメンツ社製DSC6200R示差走査熱量測定装置を使用した際はシート状にしたサンプル片を4-6mgアルミパンに詰め、室温から一旦160℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、10分間保持した後に、10℃/分で10℃まで降温して10分間保持することで結晶化させた後に、10℃/分で160℃まで昇温することにより融解曲線を得た。
融解曲線を得るために行った最後の昇温段階における主吸熱ピークのピークトップ温度を融点Tとし、該ピークのピーク面積をΔHとした。
本発明における遷移金属錯体の合成経路を以下に示す。なお、以下の合成例で特に断りのない限り、操作は不活性ガス雰囲気下で行い、溶媒は脱水・脱酸素したものを用いた。
[合成例1]ビス(2-(4-イソプロピル-4,5-ジヒドロオキサゾリル)-4-メチルフェニル)アミン(置換アミン化合物1)の合成
Figure 0007077099000007
工程1:ジ(2-ブロモ-4-メチルフェニル)アミンの合成
ジ(4-メチルフェニル)アミン30g(152mmol)の酢酸200mL溶液を0℃に冷却し、臭素46.9g(293mmol)を滴下した。反応液を20℃で1時間撹拌した後に、亜硫酸ナトリウム水溶液中に加えた。ろ過した固体をEtOHで洗浄し、ジクロロメタンに溶解した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去させることにより、ジ(2-ブロモ-4-メチルフェニル)アミンの粗精製物51.0gを白色固体として得た。
工程2:ジ(2-シアノ-4-メチルフェニル)アミンの合成
ジ(2-ブロモ-4-メチルフェニル)アミン51.0g(144mmol)のN-メチルピロリドン250mL溶液にシアン化銅(I)38.6g(430mmol)を加えた。その後、140℃で72時間加熱した。反応液をアンモニア水溶液中に加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。粗精製物を、シリカゲルカラムで精製し、目的のジ(2-シアノ-4-メチルフェニル)アミン18g(収率51%)を淡黄色固体として得た。
工程3:ビス(2-(4-イソプロピル-4,5-ジヒドロオキサゾリル)-4-メチルフェニル)アミン(置換アミン化合物1)の合成
ジ(2-シアノ-4-メチルフェニル)アミン2g(8.1mmol)のクロロベンゼン15mL溶液に、(2S)-2-アミノ-3-メチルブタン-1-オール3.34g(32.4mmol)、塩化亜鉛2.8g(20.2mmol)を加えた。反応液を8日間、加熱還流を行った。反応液を冷却後、エチレンジアミンに加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムで精製して、ビス(2-(4-イソプロピル-4,5-ジヒドロオキサゾリル)-4-メチルフェニル)アミン1.3g(収率38%)を黄色固体として得た。
[合成例2]ビス(2-(4-メチル-4,5-ジヒドロオキサゾリル)-4-メチルフェニル)アミン(置換アミン化合物2)の合成
Figure 0007077099000008
ジ(2-シアノ-4-メチルフェニル)アミン8.0g(32mmol)のクロロベンゼン150mL溶液に、(2R)-2-アミノ-プロパン-1-オール9.7g(129mmol)、塩化亜鉛17.6g(129mmol)を加えた。反応液を192時間加熱還流した。反応液を冷却後、エチレンジアミンに加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムで精製してビス(2-(4-メチル-4,5-ジヒドロオキサゾリル)-4-メチルフェニル)アミン 5.0g(収率42%)を黄色固体として得た。
[合成例3]ビス(2-(4-フェニル-4,5-ジヒドロオキサゾリル)-4,6-ジメチルフェニル)アミン(置換アミン化合物3)の合成
Figure 0007077099000009
工程1:ビス(2,4-ジメチルフェニル)アミンの合成
2,4-ジメチルアニリン 4.0g(33mmol)、1-ブロモ-2,4-ジメチルベンゼン6.1g(33mmol)、ナトリウム-t-ブトキサイド63mg(660μmol)と1,1’-(ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム580mg(790μmol)のトルエン100mL溶液を100℃で12時間撹拌した。
その後、得られた反応溶液を減圧留去し、ジクロロメタンで再溶解した。有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒を留去した。ビス(2,4-ジメチルフェニル)アミン7.4gの粗精物を濃茶色固体として得た。
工程2:ビス(2-ブロモ-4,6-ジメチルフェニル)アミンの合成
ビス(2,4-ジメチルフェニル)アミン3.0g(13mmol)の酢酸25mL溶液に、臭素4.36g(27mmol)を25℃で滴下した。その後、反応溶液を20℃で12時間撹拌した。反応液を水に加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムで精製してビス(2-ブロモ-4,6-ジメチルフェニル)アミン 2.0g(収率39%)を黄色固体として得た。
工程3:ビス(2-シアノ-4,6-ジメチルフェニル)アミンの合成
ビス(2,4-ジメチルフェニル)アミン 2.0g(5.2mmol)のN-メチルピロリドン30mL溶液に、シアン化銅 1.4g(16mmol)を加えた。その後、反応溶液を140℃で12時間撹拌した。反応液をセライトでろ過した後、ろ過液をアンモニア水に加え、ろ過後、ろ過固体をジクロロメタンに溶解した。有機層をアンモニア水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムで精製してビス(2-シアノ-4,6-ジメチルフェニル)アミン 0.18g(収率13%)を黄色固体として得た。
工程4:ビス(2-(4-フェニル-4,5-ジヒドロオキサゾリル)-4,6-ジメチルフェニル)アミン(置換アミン化合物3)の合成
ビス(2-シアノ-4,6-ジメチルフェニル)アミン 5.0g(18mmol)のクロロベンゼン100mL溶液に、(2R)-2-アミノ-2-フェニルエタノール 10.0g(73mmol)、塩化亜鉛9.9g(73mmol)を加えた。反応液を144時間加熱還流した。
反応液を冷却後、エチレンジアミンに加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムで精製してビス(2-(4-フェニル-4,5-ジヒドロオキサゾリル)-4,6-ジメチルフェニル)アミン 2.6g(収率28%)を黄色固体として得た。
[実施例1] 触媒調製とエチレン重合
充分に窒素置換した30mLフラスコに、テトラベンジルジルコニウムと置換アミン化合物1をそれぞれ50マイクロモル秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを室温で5分間混合撹拌して錯体溶液を調製した。次に、内容積1.5Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン、MAO(20mmol、日本アルキルアルミ社製)を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した(全量1000mL)。70℃、エチレン圧2.0MPaに保持した後、先に調製した錯体溶液を圧入して重合を開始した。反応中は温度を一定に保ち、圧力が保持されるように連続的にエチレンを供給した。
重合開始から30分後にエタノール(10mL)を圧入することで重合を終了した後、エチレンをパージ、オートクレーブを室温まで冷却した。得られたポリマーをエタノール(1L)を用いて再沈させ、濾過により得られた固形物をエタノールで洗浄後、80℃で3時間減圧乾燥し、最終的にポリマーを21.8g回収した。触媒活性は8.7×10g/mol/hであった。得られた共重合体の分子量Mwは904,000、Mw/Mnは183.4、融点は133.0℃であった。
[実施例2]
充分に窒素置換した50mLフラスコに、テトラベンジルジルコニウムと置換アミン化合物2をそれぞれ80マイクロモル秤量し、脱水トルエン(16mL)を加えた後、これを室温で5分間混合撹拌して錯体溶液を調製した。次に、内容積2.0Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン、MAO(20mmol、日本アルキルアルミ社製)を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した(全量1000mL)。70℃、エチレン圧2.0MPaに保持した後、先に調製した錯体溶液2mLと精製トルエン8mLを圧入して重合を開始した。反応開始5分後、さらに8mLの錯体溶液と精製トルエン10mLを圧入した。反応中は温度を一定に保ち、圧力が保持されるように連続的にエチレンを供給した。
重合開始から30分後にエタノール(10mL)を圧入することで重合を終了した後、エチレンをパージ、オートクレーブを室温まで冷却した。得られたポリマーをエキネン(登録商標)F1(1L、日本アルコール販売社製)を用いて再沈させ、濾過により得られた固形物を塩酸水溶液(2M、30mL)で脱灰、エキネン(登録商標)F1で洗浄後、80℃で3時間減圧乾燥し、最終的にポリマーを0.24g回収した。触媒活性は9.6×10g/mol/hであった。得られた共重合体の分子量Mwは400,000、Mw/Mnは16.7、融点は132.4℃であった。
[実施例3]
充分に窒素置換した50mLフラスコに、テトラベンジルジルコニウムと置換アミン化合物3をそれぞれ80マイクロモル秤量し、脱水トルエン(16mL)を加えた後、これを室温で5分間混合撹拌して錯体溶液を調製した。次に、内容積2.0Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン、MAO(20mmol、日本アルキルアルミ社製)を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した(全量1000mL)。70℃、エチレン圧2.0MPaに保持した後、先に調製した錯体溶液2mLと精製トルエン8mLを圧入して重合を開始した。反応中は温度を一定に保ち、圧力が保持されるように連続的にエチレンを供給した。
重合開始から30分後にエタノール(10mL)を圧入することで重合を終了した後、エチレンをパージ、オートクレーブを室温まで冷却した。得られたポリマーをエキネン(登録商標)F1(1L)を用いて再沈させ、濾過により得られた固形物を塩酸水溶液(2M、50mL)で脱灰、エキネン(登録商標)F1で洗浄後、80℃で3時間減圧乾燥し、最終的にポリマーを5.52g回収した。触媒活性は1.1×10g/mol/hであった。得られた共重合体の分子量Mwは638,000、Mw/Mnは161.0、融点は133.1℃であった。
本発明の触媒組成物は、α-オレフィンに対して有効な重合触媒として作用することが明らかとなった。すなわち、本発明の触媒組成物は、諸性質に優れたポリオレフィンを製造可能とする触媒であるため、フィルム成形などのポリオレフィンの製造、適用分野において非常に有用である。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で示される置換アミン化合物と、4族の遷移金属化合物である錯体前駆体との反応物である遷移金属錯体を含むことを特徴とする、α-オレフィン重合用触媒組成物。
    Figure 0007077099000010

    [式中、
    、R、R11、R12、R~Rは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2~30の炭化水素基、及び炭素数1~30の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選択される置換基を示し、
    及びZは、それぞれ独立して、不飽和結合を含んでいてもよい炭素数2~30の2価の炭化水素基であり、かつ炭素原子2つがYおよび複素環との間に介在しており、及びZの少なくとも一方は、R1’(ここでR1’は、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2~30の炭化水素基、及び炭素数1~30の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選択される)で示される置換基で1つ以上置換されており、
    20、R21は、各々独立して、炭素数1~30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2~30の炭化水素基、及び炭素数1~30の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選択される置換基を示し、
    Qは酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を表し、Qを含む環状構造内には、不飽和結合を含んでいてもよく、
    Yは、窒素原子であり、
    mは、1から3の整数であり、
    pは、0又は1であり、
    Wは、水素原子、ハロゲン、アルカリ金属、ハロゲンを一つ有するアルカリ土類金属又は炭素数1~30の炭化水素基を一つ有するアルカリ土類金属を示す。]
  2. 前記置換アミン化合物が一般式(2)で示される化合物であることを特徴とする、請求項1記載のα-オレフィン重合用触媒組成物。
    Figure 0007077099000011

    [式(2)中、R~R、R11~R16は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2~30の炭化水素基、及び炭素数1~30の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選択される置換基を示す(ただし、R~Rの少なくとも一つ、または、R13~R16の少なくとも一つは、水素原子ではない)。]
  3. 下記一般式(3)で示される遷移金属錯体を含むことを特徴とするα-オレフィン重合用触媒組成物。
    Figure 0007077099000012

    [式(3)中、
    ~R、R11~R16は、請求項2に定義したとおりであり(ただし、R~Rの少なくとも一つ、または、R13~R16の少なくとも一つは、水素原子ではない)、
    Mは、4族の遷移金属原子を示し、
    nは、1から3より選択される任意の整数であり、
    Xは、炭素数1~20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数6~20のアリーロキシ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数2~10のアシルオキシ基、カルボキシル基、炭素数2~10のエステル基、アミノ基、炭素数1~12の置換アミノ基、及びハロゲンからなる群より選択される置換基を示す。]
  4. 前記Mがジルコニウムであることを特徴とする、請求項に記載のα-オレフィン重合用触媒組成物。
  5. 前記一般式(3)において、nが3であることを特徴とする、請求項3に記載のα-オレフィン重合用触媒組成物。
  6. 下記の(A)、(B)の各成分を含むことを特徴とする、α-オレフィン重合用触媒。
    成分(A):請求項1~5のいずれか1項の記載のα-オレフィン重合用触媒組成物
    成分(B):該成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩
  7. 前記成分(B)がアルミノキサン又はホウ素化合物であることを特徴とする、請求項6に記載のα-オレフィン重合用触媒。
  8. さらに成分(C):トリアルキルアルミニウムを含むことを特徴とする、請求項6又は7に記載のα-オレフィン重合用触媒。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載のα-オレフィン重合用触媒組成物又はα-オレフィン重合用触媒を用いて、α-オレフィンを重合させることを特徴とする、α-オレフィン重合体の製造方法。
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