JP7077099B2 - オレフィン重合用触媒 - Google Patents
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Description
更なる性能向上を目的に近年において、いわゆるポストメタロセンと称される金属錯体触媒の開発及びこれによるオレフィン重合体の物性制御が行われてきている。これらの金属錯体の設計においては、中心金属種だけでなく配位子の構造も反応場の構築のために重要である。一方、光学活性なオキサゾリル基を有する置換アミド三座配位子は、中心金属近傍にC2対称な反応場を構築することが可能であり、これまでに、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウムなどの金属錯体が報告されてきた(特許文献1、非特許文献1~3)。
[式中、
R1、R2、R11、R12、Ra~Rdは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2~30の炭化水素基、及び炭素数1~30の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選択される置換基を示し、
Z1又はZ2は、不飽和結合を含んでいてもよい炭素数2~30の2価の炭化水素基であり、該炭化水素基は、R1’(ここでR1’は、R1と同義である)で示される置換基で1つ以上置換されていてもよく、
R20、R21は、各々独立して、炭素数1~30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2~30の炭化水素基、及び炭素数1~30の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選択される置換基を示し、
Qは酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を表し、Qを含む環状構造内には、不飽和結合を含んでいてもよく、
Yは、窒素原子又はリン原子であり、
mは、1から3の整数であり、
pは、0又は1であり、
Wは、水素原子、ハロゲン、アルカリ金属、ハロゲンを一つ有するアルカリ土類金属又は炭素数1~30の炭化水素基を一つ有するアルカリ土類金属を示す。]
[式(2)中、R1~R6、R11~R16は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2~30の炭化水素基、及び炭素数1~30の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選択される置換基を示す。]
[式(3)中、
R1~R6、R11~R16は、先に定義したとおりであり、
Mは、4族の遷移金属原子を示し、
nは、1から3より選択される任意の整数であり、
Xは、炭素数1~20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数6~20のアリーロキシ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数2~10のアシルオキシ基、カルボキシル基、炭素数2~10のエステル基、アミノ基、炭素数1~12の置換アミノ基、及びハロゲンからなる群より選択される置換基を示す。]
(1)基本構成
本発明における触媒組成物は、前記一般式(1)で示される置換アミン化合物と、4族遷移金属化合物との反応物である遷移金属錯体を含むものである。ここで、当該置換アミン化合物は、2つの窒素原子、窒素原子及び酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群より選択されるヘテロ原子の組を有する環構造を2箇所に有している、複素環含有化合物である。環構造の種類としては、当該ヘテロ原子の組が、炭素原子を1つ介して存在する5~7員の環であれば特に制限はない。窒素原子のうち1つは、隣接する炭素原子と二重結合を形成していてもよい。そのような環構造の非限定的な基として、ジヒドロオキサゾリル基、オキサゾリル基、ジヒドロ-1,3-オキサジニル基、テトラヒドロ-1,3-オキサゼピニル基(以上窒素原子と酸素原子の組合せ);ジヒドロイミダゾリル基、テトラヒドロピリミジニル基、ヘキサヒドロピリミジニル基(以上2つの窒素原子);ジヒドロチアゾリル基、ジヒドロ1,3-チアジニル基、テトラヒドロ-1,3-チアゼピニル基(以上窒素原子と硫黄原子の組合せ)等が挙げられる。
[式(2)中、R1~R6、R11~R16は、先に定義したとおりである]
これらの中で、更に好ましい置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、(4-ヒドロキシブトキシ)カルボニル基、スクシン酸無水物基が挙げられ、特に好ましくは、メトキシカルボニル基、スクシン酸無水物基である。
(1)基本的な合成経路
一般式(3)で示される遷移金属錯体の合成は、当業者に公知の方法を用いて行うことができる。すなわち、配位子である複素環含有化合物を、遷移金属を含有する錯体前駆体と反応させて、得ることができる。配位子の合成方法も、当業者に公知の方法を用いることができる。具体例として、複素環の構造がオキサゾリル基である場合は、2-アミノベンゾニトリルを原料としてオキサゾリン環を形成する手法などが挙げられる。具体的な合成例は、実施例における配位子の合成例として、詳細に記述されている。錯体前駆体と配位子を反応させて得られる金属錯体の合成経路は、目的化合物の構造から任意に定めることができる。
錯体前駆体は、4族の遷移金属化合物である。具体例は、チタン、ジルコニウム若しくはハフニウム化合物又は錯体であり、特に、フッ化チタン(IV)、塩化チタン(IV)、臭化チタン(IV)、ヨウ化チタン(IV)、テトラベンジルジルコニウム、ジルコニウム(IV)アセチルアセトナート、ジルコニウム(IV)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、ジルコニウム(IV)トリフルオロアセチルアセトナート、フッ化ジルコニウム(IV)、塩化ジルコニウム(IV)、臭化ジルコニウム(IV)、ヨウ化ジルコニウム(IV)、テトラベンジルハフニウム、ハフニウム(IV)アセチルアセトナート、フッ化ハフニウム(IV)、塩化ハフニウム(IV)、臭化ハフニウム(IV)、ヨウ化ハフニウム(IV)錯体である。
本発明における錯体前駆体の使用量は、配位子である複素環含有化合物1モルに対して、通常、0.5~3モル、好ましくは0.7~1.5モルの範囲である。錯体合成反応は、α-オレフィンとの共重合に使用する反応器中で行ってもよいし、該反応器とは別の容器中で行ってもよい。錯形成後に、金属錯体を単離抽出して触媒に用いてもよいし、単離せずに触媒に用いてもよい。
さらなる一態様において、本発明の触媒組成物は、成分(A)として前記一般式(3)で示される遷移金属錯体に加えて、成分(B)として、成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩を含有する。
成分(B)の一つである、成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物として、有機アルミニウムオキシ化合物が挙げられる。上記有機アルミニウムオキシ化合物は、分子中に、Al-O-Al結合を有し、その結合数は通常1~100、好ましくは1~50個の範囲にある。このような有機アルミニウムオキシ化合物は、通常、有機アルミニウム化合物と水とを反応させて得られる生成物である。
有機アルミニウムと水との反応は、通常、不活性炭化水素(溶媒)中で行われる。不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及び芳香族炭化水素が使用できるが、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素を使用することが好ましい。
(R1)tAl(X3)(3-t)
(上記式中、R1は、炭素数1~18、好ましくは1~12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素基を示し、X3は、水素原子又はハロゲン原子を示し、tは、1≦t≦3の整数を示す。)
トリアルキルアルミニウムのアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などのいずれでも差し支えないが、メチル基、イソブチル基が好ましく、メチル基であることが特に好ましい。上記有機アルミニウム化合物は、2種以上混合して使用することもできる。
もちろん、有機アルミニウムオキシ化合物として、上記した各有機アルミニウムオキシ化合物の2種以上を組み合わせて使用することもでき、また、前記有機アルミニウムオキシ化合物を前述の不活性炭化水素溶媒に溶解又は分散させた溶液としたものを用いてもよい。
[L1-H]+[B(R2)(R3)(X4)(X5)]-
上記式中、L1は中性ルイス塩基であり、[L1-H]は、アンモニウム、アニリニウム、ホスフォニウムなどのブレンステッド酸を示す。
アンモニウムとしては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリ(t-ブチル)アンモニウム、トリ(n-ブチル)アンモニウムなどのトリアルキル置換アンモニウム、ジ(n-プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウムなどのジアルキルアンモニウムを例示できる。また、アニリニウムとしては、N,N-ジメチルアニリニウム、N,N-ジエチルアニリニウム、N,N-ジメチル-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムなどのN,N-ジアルキルアニリニウムが例示できる。
更に、ホスフォニウムとしては、トリフェニルホスフォニウム、トリブチルホスホニウム、トリ(メチルフェニル)ホスフォニウム、トリ(ジメチルフェニル)ホスフォニウムなどのトリアリールホスフォニウム、トリアルキルホスフォニウムが挙げられる。
[L2]+[B(R2)(R3)(X4)(X5)]-
一般式中、L2は、カルボカチオン、メチルカチオン、エチルカチオン、プロピルカチオン、イソプロピルカチオン、ブチルカチオン、イソブチルカチオン、t-ブチルカチオン、ペンチルカチオン、トロピニウムカチオン、ベンジルカチオン、トリチルカチオン、ナトリウムカチオン、プロトンなどが挙げられる。また、R2、R3、X4及びX5は、先に定義したとおりである。
更に、成分(B)の具体例として、イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)が挙げられる。イオン交換性層状珪酸塩は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。珪酸塩は、各種公知のものが知られており、具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている。
本発明において、成分(B)のイオン交換性層状珪酸塩として好ましく用いられるものは、スメクタイト族に属するもので、具体的にはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどを挙げることができる。中でも、共重合体部分の重合活性、分子量を高める観点からモンモリロナイトが好ましい。
珪酸塩は酸処理及び/又は塩類処理を行ってもよい。該処理においては、対応する酸と塩基を混合して反応系内で塩を生成させて処理を行ってもよい。
本発明の更なる別の一態様は、前記成分(A)及び(B)に加えて、成分(C)として、アルキルアルミニウム化合物を含有する。成分(C)として使用されるアルキルアルミニウム化合物の一例は、次の一般式で表される。
Al(R4)aX(3-a)
一般式中、R4は、炭素数1~20の炭化水素基、Xは、水素原子、ハロゲン、アルコキシ基又はシロキシ基を示し、aは0より大きく3以下の数を示す。
一般式で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシドなどのハロゲン又はアルコキシ含有アルキルアルミニウムが挙げられる。
本発明に係るオレフィン重合用触媒組成物の調製法においては、例えば、成分(A)、必要に応じて(B)、(C)を接触させる方法がとられる。接触順序など具体的な方法は特に限定されないが、次の様な方法を例示することができる。
(i)成分(A)と成分(B)とを接触させた後に、成分(C)を添加する方法
(ii)成分(A)と成分(C)とを接触させた後に、成分(B)を添加する方法
(iii)成分(B)と成分(C)とを接触させた後に、成分(A)を添加する方法
(iv)各成分(A)、(B)、(C)を同時に接触させる方法。
更に、各成分中で別種の成分を混合物として用いてもよいし、別々に順番を変えて接触させてもよい。なお、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時又はオレフィンの重合時に行ってもよい。また、成分(B)と成分(C)とを接触させた後、成分(A)と成分(C)の混合物を加えるというように、成分を分割して各成分に接触させてもよい。
(1)モノマー
上記したオレフィン重合用触媒は、α-オレフィンの単独重合又は二種類以上のα-オレフィンの共重合に使用可能である。α-オレフィン類には、炭素数2~30、好ましくは2~8のものが包含され、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテンなどが例示される。更に好ましくは、エチレン、プロピレンが挙げられる。α-オレフィン類は、2種類以上のα-オレフィンを共重合させることも可能である。共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれであっても差し支えない。もちろん、α-オレフィン以外のコモノマーを少量使用することも可能であり、この場合、スチレン、4-メチルスチレン、4-ジメチルアミノスチレンなどのスチレン類、1,4-ブタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエンなどのジエン類、ノルボルネン、シクロペンテンなどの環状化合物、ヘキセノール、ヘキセン酸、オクテン酸メチルなどの含酸素化合物類の重合性二重結合を有する化合物を挙げることができる。
重合反応は、触媒の存在下、好ましくはスラリー重合、バルク重合又は気相重合にて、行うことができる。スラリー重合の場合、実質的に酸素、水などを断った状態で、イソブタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素から選ばれる不活性炭化水素溶媒の存在下又は不存在下で、エチレンなどを重合させる。また、液状エチレンや液状プロピレンなどの液体モノマーも溶媒として使用するバルク重合も好ましい様態の一つである。
(1)分子量及び分子量分布(Mw、Mn、Q値)
(測定条件)使用機種:ウォーターズ社製150C 検出器:FOXBORO社製MIRAN1A・IR検出器(測定波長:3.42μm)、測定温度:140℃、溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)、カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)、流速:1.0mL/分、注入量:0.2mL
(試料の調製)試料はODCB(0.3mg/mLの2,4,6-トリメチルフェノールを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させた。
(分子量の算出)標準ポリスチレン法により行い、保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行った。使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー社製の銘柄であり、F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000、である。各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.3mg/mLの2,4,6-トリメチルフェノールを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成した。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いた。分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いた。
PS:K=1.38×10-4、α=0.7
PE:K=3.92×10-4、α=0.733
PP:K=1.03×10-4、α=0.78
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200示差走査熱量測定装置又はセイコーインスツルメンツ社製DSC6200R示差走査熱量測定装置を使用した。セイコーインスツルメンツ社製DSC6200示差走査熱量測定装置を使用した際はシート状にしたサンプル片を5mgアルミパンに詰め、室温から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で20℃まで降温して結晶化させた後に、10℃/分で200℃まで昇温することにより融解曲線を得た。セイコーインスツルメンツ社製DSC6200R示差走査熱量測定装置を使用した際はシート状にしたサンプル片を4-6mgアルミパンに詰め、室温から一旦160℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、10分間保持した後に、10℃/分で10℃まで降温して10分間保持することで結晶化させた後に、10℃/分で160℃まで昇温することにより融解曲線を得た。
融解曲線を得るために行った最後の昇温段階における主吸熱ピークのピークトップ温度を融点Tmとし、該ピークのピーク面積をΔHmとした。
ジ(4-メチルフェニル)アミン30g(152mmol)の酢酸200mL溶液を0℃に冷却し、臭素46.9g(293mmol)を滴下した。反応液を20℃で1時間撹拌した後に、亜硫酸ナトリウム水溶液中に加えた。ろ過した固体をEtOHで洗浄し、ジクロロメタンに溶解した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去させることにより、ジ(2-ブロモ-4-メチルフェニル)アミンの粗精製物51.0gを白色固体として得た。
ジ(2-ブロモ-4-メチルフェニル)アミン51.0g(144mmol)のN-メチルピロリドン250mL溶液にシアン化銅(I)38.6g(430mmol)を加えた。その後、140℃で72時間加熱した。反応液をアンモニア水溶液中に加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。粗精製物を、シリカゲルカラムで精製し、目的のジ(2-シアノ-4-メチルフェニル)アミン18g(収率51%)を淡黄色固体として得た。
ジ(2-シアノ-4-メチルフェニル)アミン2g(8.1mmol)のクロロベンゼン15mL溶液に、(2S)-2-アミノ-3-メチルブタン-1-オール3.34g(32.4mmol)、塩化亜鉛2.8g(20.2mmol)を加えた。反応液を8日間、加熱還流を行った。反応液を冷却後、エチレンジアミンに加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムで精製して、ビス(2-(4-イソプロピル-4,5-ジヒドロオキサゾリル)-4-メチルフェニル)アミン1.3g(収率38%)を黄色固体として得た。
2,4-ジメチルアニリン 4.0g(33mmol)、1-ブロモ-2,4-ジメチルベンゼン6.1g(33mmol)、ナトリウム-t-ブトキサイド63mg(660μmol)と1,1’-(ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム580mg(790μmol)のトルエン100mL溶液を100℃で12時間撹拌した。
その後、得られた反応溶液を減圧留去し、ジクロロメタンで再溶解した。有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒を留去した。ビス(2,4-ジメチルフェニル)アミン7.4gの粗精物を濃茶色固体として得た。
ビス(2,4-ジメチルフェニル)アミン3.0g(13mmol)の酢酸25mL溶液に、臭素4.36g(27mmol)を25℃で滴下した。その後、反応溶液を20℃で12時間撹拌した。反応液を水に加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムで精製してビス(2-ブロモ-4,6-ジメチルフェニル)アミン 2.0g(収率39%)を黄色固体として得た。
ビス(2,4-ジメチルフェニル)アミン 2.0g(5.2mmol)のN-メチルピロリドン30mL溶液に、シアン化銅 1.4g(16mmol)を加えた。その後、反応溶液を140℃で12時間撹拌した。反応液をセライトでろ過した後、ろ過液をアンモニア水に加え、ろ過後、ろ過固体をジクロロメタンに溶解した。有機層をアンモニア水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムで精製してビス(2-シアノ-4,6-ジメチルフェニル)アミン 0.18g(収率13%)を黄色固体として得た。
ビス(2-シアノ-4,6-ジメチルフェニル)アミン 5.0g(18mmol)のクロロベンゼン100mL溶液に、(2R)-2-アミノ-2-フェニルエタノール 10.0g(73mmol)、塩化亜鉛9.9g(73mmol)を加えた。反応液を144時間加熱還流した。
反応液を冷却後、エチレンジアミンに加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムで精製してビス(2-(4-フェニル-4,5-ジヒドロオキサゾリル)-4,6-ジメチルフェニル)アミン 2.6g(収率28%)を黄色固体として得た。
充分に窒素置換した30mLフラスコに、テトラベンジルジルコニウムと置換アミン化合物1をそれぞれ50マイクロモル秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを室温で5分間混合撹拌して錯体溶液を調製した。次に、内容積1.5Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン、MAO(20mmol、日本アルキルアルミ社製)を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した(全量1000mL)。70℃、エチレン圧2.0MPaに保持した後、先に調製した錯体溶液を圧入して重合を開始した。反応中は温度を一定に保ち、圧力が保持されるように連続的にエチレンを供給した。
重合開始から30分後にエタノール(10mL)を圧入することで重合を終了した後、エチレンをパージ、オートクレーブを室温まで冷却した。得られたポリマーをエタノール(1L)を用いて再沈させ、濾過により得られた固形物をエタノールで洗浄後、80℃で3時間減圧乾燥し、最終的にポリマーを21.8g回収した。触媒活性は8.7×105g/mol/hであった。得られた共重合体の分子量Mwは904,000、Mw/Mnは183.4、融点は133.0℃であった。
充分に窒素置換した50mLフラスコに、テトラベンジルジルコニウムと置換アミン化合物2をそれぞれ80マイクロモル秤量し、脱水トルエン(16mL)を加えた後、これを室温で5分間混合撹拌して錯体溶液を調製した。次に、内容積2.0Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン、MAO(20mmol、日本アルキルアルミ社製)を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した(全量1000mL)。70℃、エチレン圧2.0MPaに保持した後、先に調製した錯体溶液2mLと精製トルエン8mLを圧入して重合を開始した。反応開始5分後、さらに8mLの錯体溶液と精製トルエン10mLを圧入した。反応中は温度を一定に保ち、圧力が保持されるように連続的にエチレンを供給した。
重合開始から30分後にエタノール(10mL)を圧入することで重合を終了した後、エチレンをパージ、オートクレーブを室温まで冷却した。得られたポリマーをエキネン(登録商標)F1(1L、日本アルコール販売社製)を用いて再沈させ、濾過により得られた固形物を塩酸水溶液(2M、30mL)で脱灰、エキネン(登録商標)F1で洗浄後、80℃で3時間減圧乾燥し、最終的にポリマーを0.24g回収した。触媒活性は9.6×103g/mol/hであった。得られた共重合体の分子量Mwは400,000、Mw/Mnは16.7、融点は132.4℃であった。
充分に窒素置換した50mLフラスコに、テトラベンジルジルコニウムと置換アミン化合物3をそれぞれ80マイクロモル秤量し、脱水トルエン(16mL)を加えた後、これを室温で5分間混合撹拌して錯体溶液を調製した。次に、内容積2.0Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン、MAO(20mmol、日本アルキルアルミ社製)を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した(全量1000mL)。70℃、エチレン圧2.0MPaに保持した後、先に調製した錯体溶液2mLと精製トルエン8mLを圧入して重合を開始した。反応中は温度を一定に保ち、圧力が保持されるように連続的にエチレンを供給した。
重合開始から30分後にエタノール(10mL)を圧入することで重合を終了した後、エチレンをパージ、オートクレーブを室温まで冷却した。得られたポリマーをエキネン(登録商標)F1(1L)を用いて再沈させ、濾過により得られた固形物を塩酸水溶液(2M、50mL)で脱灰、エキネン(登録商標)F1で洗浄後、80℃で3時間減圧乾燥し、最終的にポリマーを5.52g回収した。触媒活性は1.1×106g/mol/hであった。得られた共重合体の分子量Mwは638,000、Mw/Mnは161.0、融点は133.1℃であった。
Claims (9)
- 下記一般式(1)で示される置換アミン化合物と、4族の遷移金属化合物である錯体前駆体との反応物である遷移金属錯体を含むことを特徴とする、α-オレフィン重合用触媒組成物。
[式中、
R1、R2、R11、R12、Ra~Rdは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2~30の炭化水素基、及び炭素数1~30の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選択される置換基を示し、
Z1及びZ2は、それぞれ独立して、不飽和結合を含んでいてもよい炭素数2~30の2価の炭化水素基であり、かつ炭素原子2つがYおよび複素環との間に介在しており、Z1及びZ2の少なくとも一方は、R1’(ここでR1’は、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2~30の炭化水素基、及び炭素数1~30の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選択される)で示される置換基で1つ以上置換されており、
R20、R21は、各々独立して、炭素数1~30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2~30の炭化水素基、及び炭素数1~30の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選択される置換基を示し、
Qは酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を表し、Qを含む環状構造内には、不飽和結合を含んでいてもよく、
Yは、窒素原子であり、
mは、1から3の整数であり、
pは、0又は1であり、
Wは、水素原子、ハロゲン、アルカリ金属、ハロゲンを一つ有するアルカリ土類金属又は炭素数1~30の炭化水素基を一つ有するアルカリ土類金属を示す。] - 下記一般式(3)で示される遷移金属錯体を含むことを特徴とする、α-オレフィン重合用触媒組成物。
[式(3)中、
R1~R6、R11~R16は、請求項2に定義したとおりであり(ただし、R3~R6の少なくとも一つ、または、R13~R16の少なくとも一つは、水素原子ではない)、
Mは、4族の遷移金属原子を示し、
nは、1から3より選択される任意の整数であり、
Xは、炭素数1~20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数6~20のアリーロキシ基、炭素数2~10のアシル基、炭素数2~10のアシルオキシ基、カルボキシル基、炭素数2~10のエステル基、アミノ基、炭素数1~12の置換アミノ基、及びハロゲンからなる群より選択される置換基を示す。] - 前記Mがジルコニウムであることを特徴とする、請求項3に記載のα-オレフィン重合用触媒組成物。
- 前記一般式(3)において、nが3であることを特徴とする、請求項3に記載のα-オレフィン重合用触媒組成物。
- 下記の(A)、(B)の各成分を含むことを特徴とする、α-オレフィン重合用触媒。
成分(A):請求項1~5のいずれか1項の記載のα-オレフィン重合用触媒組成物
成分(B):該成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩 - 前記成分(B)がアルミノキサン又はホウ素化合物であることを特徴とする、請求項6に記載のα-オレフィン重合用触媒。
- さらに成分(C):トリアルキルアルミニウムを含むことを特徴とする、請求項6又は7に記載のα-オレフィン重合用触媒。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載のα-オレフィン重合用触媒組成物又はα-オレフィン重合用触媒を用いて、α-オレフィンを重合させることを特徴とする、α-オレフィン重合体の製造方法。
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