WO2015046438A1 - イミン化合物及び新規オレフィン重合用触媒並びにオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

イミン化合物及び新規オレフィン重合用触媒並びにオレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

 下記の一般式(1)で表される化合物。 [式中、Xは窒素原子、Yは窒素原子またはリン原子を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~30の炭化水素基であって、R及びRの少なくとも一方は、ヘテロ原子含有基を2個以上含有する炭化水素基であり、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子を表し、また、R~Rから選択される複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環または酸素、窒素もしくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよく、このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。]

Description

イミン化合物及び新規オレフィン重合用触媒並びにオレフィン重合体の製造方法
 本発明は、新規なイミン化合物、それを用いて得られる金属錯体、及びそれらによるα-オレフィン系重合用触媒、並びにα-オレフィン系重合体の製造方法に関するものである。
 ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂は、ポリオレフィン樹脂における主要ポリマーとして各種の産業分野において汎用され、卓越した重要な産業資材であるがゆえに更なる諸性能の向上が常に求められている。
 このようなポリオレフィン樹脂の製造過程においては、使用される触媒は、チーグラーナッタ触媒やフィリップス触媒のような不均一系固体触媒と、メタロセン触媒のように溶媒可溶な金属錯体を使用する均一系触媒が専ら利用されている。
 近年においては、メタロセン触媒の急激な発展に触発されて、メタロセン錯体とは異なる錯体、いわゆる、ポストメタロセン錯体の開発が盛んに進められている。このポストメタロセン錯体の一群において、後周期遷移金属錯体が注目され、主に二座配位子を有する後周期遷移金属錯体が多数報告されている。
 代表的な二座配位子を持つ後周期遷移金属錯体には、Brookhartらのジイミン錯体(非特許文献1)やGrubbsらのサリチルアルジミン錯体(非特許文献2)などがある。これらの発見を契機に、非対称イミノピリジン、ピリジンカルボキシアミド、イミノホスフィンなど多様な二座配位子を有する後周期遷移金属錯体が報告され、エチレンの重合触媒としての有用性が報告されている。これらの中で、イミノホスフィン型後周期遷移金属錯体は、ドナー性の異なる窒素原子とリン原子を有することから、産学の両面から多く研究されている。
 しかしながら、イミノホスフィン二座配位子を有する高周期金属錯体の特許文献(特許文献1、2、3、4)や非特許文献(非特許文献3、4)には、エチレンのオリゴマーあるいはポリマーの重合例しかなく、エチレン以外のα-オレフィンの重合報告例はない。
日本国特開平11-158213号公報 日本国特表2001-519841号公報 日本国特表2002-541275号公報 日本国特表2003-517062号公報
Johnson, L. K.; Killian, C. M.; Brookhart, M. J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 6414. Chunming Wang, Stefan Friedrich, Todd R. Younkin, Robert T. Li,Robert H. Grubbs,, Donald A. Bansleben, and Michael W. Day, Organometallics 1998, 17, 3149. Ping-Yung Shi, Yi-Hong Liu,Shie-Ming Peng and Shiuh-Tzung Liu, Journal of the Chinese Chemical Society, 2003, 50, 89. Esther K. van den Beuken, Wilberth J. J. Smeets, Anthony L. Spek and Ben L. Feringa, Chem. Commun. 1998, 223.
 本願比較例に示す通り、従来知られているイミノホスフィン後周期金属錯体は、α-オレフィン、とりわけプロピレンのオリゴマー化しか進行せず、α-オレフィン重合用触媒としてはさらなる改良が求められていた。
 本発明の目的すなわち課題は、前記したイミノホスフィン二座配位子を有する後周期遷移金属錯体における従来技術の問題点を鑑み、α-オレフィンの高分子量体が製造可能であり、α-オレフィンとアクリル酸エステルとの共重合も製造可能とする金属錯体を形成しうる配位子化合物、それによるポリオレフィン重合用触媒及びそれを用いたα―オレフィンの重合方法を提供することにある。
 本発明者らは、上記の課題の解決を目指して、鋭意研究した結果、二座配位子のリン原子あるいは窒素原子(本発明ではYと記載)上の2個の置換基RおよびRの少なくとも一方が、ヘテロ原子含有基を2個以上含有する炭化水素基である特定の構造を有するリガンドを用いた遷移金属錯体を触媒成分に用い、α-オレフィンの重合を行うと格段に分子量の高い重合体が得られ、さらにはα-オレフィンとアクリル酸エステルとの共重合を行うことができることを見出し、本発明に到達した。
 かくして、本発明の基本構成を成すイミン化合物は、特異な構造を有するがゆえに二座配位子として新規であり、錯体構造の化学的かつ立体的及び電子的な環境の構築に特徴を有し、それらによってα-オレフィンの望ましい重合を可能とする触媒機能が顕現される。
 そして、本発明の基本発明(第一発明)を構成するイミン化合物は、下記の一般式(1)で表されるイミン化合物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 一般式(1)において、Xは窒素原子、Yは窒素原子またはリン原子を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~30の炭化水素基であって、R及びRの少なくとも一方は、ヘテロ原子含有基を2個以上含有する炭化水素基である。R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子を表す。また、R~Rから選択される複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環または酸素、窒素もしくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよく、このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。
 なおここで、本願発明で規定の錯体構造により、なぜ所望の触媒性能が発現できるかの理論的な推測を提示する。
 本発明の基本的構成を成すイミン化合物は、二座配位子として新規であり、その配位子の電子的かつ立体的な構造に特徴を有し、それによって、α-オレフィンの重合において触媒機能が顕現される。すなわち、そのイミン化合物は、構造が上記の一般式(1)で表されるものであって、本発明においてオレフィン重合用触媒の触媒成分として使用され、助触媒などと組み合わされてα-オレフィン重合用触媒を形成する。
 本発明における一般式(1)で示されるイミン化合物は、R及びRにヘテロ原子含有基を有することを特徴とする。R及びRのヘテロ原子により、Yの中心金属Mへのドナー性が増大し、ヘテロ原子を経由した中心金属Mへの配位効果が生まれると考えられる。さらに、中心金属近傍に置換基があることで、重合体の分子量低下を招くβ-水素基脱離反応が起こりにくくなると考えられる。結果として一般式(2)で表される金属錯体が安定化し、重合体の連鎖移動反応が抑制されるため、こうした特徴が本発明の特異性をもたらすものと推定することができる
 ところで、既に前述したが、本発明は特許文献及び非特許文献として前掲した各文献による、従来発明とは、構成要件(発明の特定事項)において顕著な差異が見られ、本発明はそれらの従来文献からは窺えない。すなわち、本発明においては、特異で新規な二座配位子を形成しうるイミン化合物であることを、顕著な特徴とするものである。
 以上において、本発明の創作の経緯と発明の基本的な構成と特徴について、概括的に記述したので、ここで本発明の全体的な構成を俯瞰して総括すると、本発明は次の発明単位群からなるものである。
 一般式(1)で表されるイミン化合物が、前記したとおり、基本発明(1)として構成され、更に、基本発明(1)のイミン化合物と周期表の第8~10族の遷移金属化合物である錯体前駆体とを反応させて得られる金属錯体、すなわち下記の一般式(2)で表される金属錯体が基本発明(2)として構成され、それ以下の各発明は、基本発明に付随的な要件を加え、或いはその実施の態様を示すものである。なお、全発明単位をまとめて発明群と称す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 一般式(2)において、Mは、周期表の8~10族に属する遷移金属を表す。Xは窒素原子、Yは窒素原子またはリン原子を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~30の炭化水素基であって、R及びRの少なくとも一方は、ヘテロ原子含有基を2個以上含有する炭化水素基である。R~R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子を表す。また、R~R、RまたはRから選択される複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環または酸素、窒素もしくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよく、このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。
 そして、それ以下の発明としては、上記の金属錯体を含むオレフィン重合用触媒成分、下記の成分(A)及び(B)、更に必要に応じて(C)を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒である。
成分(A):上記の金属錯体、成分(B):成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩、成分(C):有機アルミニウム化合物
 更に、その他の発明として、成分(B)がアルミノキサンであるオレフィン重合用触媒、成分(B)がホウ素化合物であるオレフィン重合用触媒であり、また、前記のいずれかの重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合又は共重合する、オレフィン重合体の製造方法である。
 さらに、前記の重合用触媒の存在下に、(a)α-オレフィンと(b)極性基含有コモノマーを共重合するα-オレフィン・極性基含有コモノマー共重合体の製造方法である。
 またさらに、前記(b)極性基含有コモノマーが(メタ)アクリル酸エステルであるα-オレフィン・極性基含有コモノマー共重合体の製造方法である。
 本発明により、高分子量のオレフィン重合体が製造可能であり、α-オレフィンとアクリル酸エステルとの共重合も製造可能とする金属錯体を形成しうる配位子化合物、それによるポリオレフィン重合用触媒及びそれを用いたα-オレフィンの重合方法を提供することができる。
 なお、後記する各実施例のデータ及び各実施例と各比較例との対照により、本発明により製造されたポリマーでは、従来のイミン錯体によるポリマーよりも分子量の高いことが実証されている。
 これにより、高い分子量を有するオレフィン系重合体を効率的に製造することが期待され、本発明の金属錯体によるポリオレフィン重合用触媒、及び、それを用いたオレフィンの重合方法は、工業的な観点から、非常に有用である。
 以下においては、本発明のイミン化合物、金属錯体、及び、それによる重合用触媒並びにそれを用いたオレフィン重合体の製造方法について、項目毎に、詳細に説明する。
1.イミン化合物
(1)基本構成
 本発明におけるイミン化合物は、下記の一般式(1)で示される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
 式中、Xは窒素原子、Yは窒素原子またはリン原子を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~30の炭化水素基であって、R及びRの少なくとも一方は、ヘテロ原子含有基を2個以上含有する炭化水素基である。R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~20の炭化水素基、またはハロゲン原子を表す。また、R~Rから選択される複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環または酸素、窒素もしくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよく、このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。 
(2)RおよびRについて
 本発明において、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1ないし20のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基であって、RおよびRの少なくとも一つは、ヘテロ原子含有基を2個以上含有する炭化水素基である。RおよびRは金属Mの近傍にあって、立体的および/または電子的に金属Mに相互作用を及ぼす。こうした効果を及ぼすためには、RおよびRはかさ高い方が好ましい。RおよびRの好ましい炭素数は3~20、さらに好ましくは6~20である。
 RおよびRにおいて、ヘテロ原子含有基中に含まれるヘテロ原子としては、酸素、窒素、リン、硫黄、セレン、ケイ素、フッ素、ホウ素が挙げられる。これらのヘテロ原子のうち、酸素、窒素、硫黄、ケイ素が好ましい。また、これらのヘテロ原子を含むヘテロ原子含有基としては、酸素含有基として、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アロイル基、カルボキシレート基が挙げられ、窒素含有基としては、アミノ基、アミド基が挙げられ、硫黄含有基としては、チオアルコキシ基やチオアリーロキシ基が挙げられ、リン含有置換基としては、ホスフィノ基が挙げられ、セレン含有基としては、セレニル基が挙げられ、ケイ素含有基としては、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基が挙げられ、フッ素含有基としては、フルオロアルキル基、フルオロアリール基が挙げられ、ホウ素含有基としては、アルキルホウ素基、アリールホウ素基が挙げられる。これらのヘテロ原子含有基のうち、もっとも好ましいのは、アルコキシ基またはアリーロキシ基である。
 前記したヘテロ原子含有基に含まれるヘテロ原子としては、遷移金属に配位可能なものが好ましい。こうした遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含むヘテロ原子含有基の具体的な例としては以下のようなものが挙げられる。すなわち、酸素含有基として、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基、フェノキシ基、p-メチルフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アセトキシ基、エチルカルボキシレート基、t-ブチルカルボキシレート基、フェニルカルボキシレート基などを挙げることができる。窒素含有基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基などを挙げることができる。硫黄含有基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオ-n-プロポキシ基、チオイソプロポキシ基、チオ-n-ブトキシ基、チオ-t-ブトキシ基、チオフェノキシ基、p-メチルチオフェノキシ基、p-メトキシチオフェノキシ基などを挙げることができる。リン含有置換基としては、ジメチルフォスフィノ基、ジエチルフォスフィノ基、ジ-n-プロピルフォスフィノ基、シクロヘキシルフォスフィノ基などを挙げることができる。セレン含有基としては、メチルセレニル基、エチルセレニル基、n-プロピルセレニル基、n-ブチルセレニル基、t-ブチルセレニル基、フェニルセレニル基などを挙げることができる。
 RおよびRにおいては、少なくとも1つが2個以上のヘテロ原子含有基を有していればよいが、特に、RおよびRが2個のヘテロ原子含有基を含有しているものが好ましい。また、RおよびRの組み合わせとしては、RおよびRが両者とも2個以上のヘテロ原子含有基を有している場合、RおよびRの一方が2個以上のヘテロ原子含有基を有しており、残りの一方が1個以下のヘテロ原子含有基を有している場合の2つの場合があるが、RおよびRの両方が2個以上のヘテロ原子含有基を有していることが好ましい。
 本発明において、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基であるが、より具体的には、水素原子またはヘテロ原子を含有していてもよい直鎖状炭化水素基、ヘテロ原子を含有していてもよい分岐鎖状炭化水素基、ヘテロ原子を含有していてもよい脂肪環式炭化水素基、ヘテロ原子を含有していてもよいアリール基が挙げられる。前記したように、RおよびRはかさ高い方が好ましい。したがって、これらのうち、ヘテロ原子を含有していてもよい脂環式炭化水素基、または、ヘテロ原子を含有していてもよいアリール基が好ましく、ヘテロ原子を含有していてもよいアリール基がもっとも好ましい。こうしたアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスラセニル基などを挙げることができる。
 本発明のRおよびRにおいて、これらアリール基の芳香族骨格に前記したヘテロ原子含有基が結合する場合、結合様式としては、ヘテロ原子含有基が芳香族骨格に直接結合してもよいし、メチレン基のようなスペーサーを介して芳香族骨格に結合してもよい。なお、メチレン基を介してヘテロ原子含有基が芳香族骨格に結合する場合、メチレン基の数は1個が好ましい。また、置換位置としては、RおよびR中の芳香族骨格のうち、Yに結合した炭素に対してオルト位が好ましい。このようにすることによって、RおよびR中のヘテロ原子がMと相互作用を持つように空間的配置をとることができる。
 好ましいRおよびRの具体的な例示として、2,6-ジメトキシフェニル基、2,4,6-トリメトキシフェニル基、4-メチル-2,6-ジメトキシフェニル基、4-t-ブチル-2,6-ジメトキシフェニル基、1,3-ジメトキシ-2-ナフチル基、2,6-ジエトキシフェニル基、2,4,6-トリエトキシフェニル基、4-メチル-2,6-ジエトキシフェニル基、4-t-ブチル-2,6-ジエトキシフェニル基、1,3-ジエトキシ-2-ナフチル基、2,6-ジフェノキシフェニル基、2,4,6-トリフェノキシフェニル基、4-メチル-2,6-ジフェノキシフェニル基、4-t-ブチル-2,6-ジフェノキシフェニル基、1,3-ジフェノキシ-2-ナフチル基、2,6-ジメトキシメチルフェニル基、2,4,6-トリメトキシメチルフェニル基、4-メチル-2,6-ジメトキシメチルフェニル基、4-t-ブチル-2,6-ジメトキシメチルフェニル基、1,3-ジメトキシメチル-2-ナフチル基、2,6-ジフェノキシメチルフェニル基、2,4,6-トリフェノキシメチルフェニル基、4-メチル-2,6-ジフェノキシメチルフェニル基、4-t-ブチル-2,6-ジフェノキシメチルフェニル基、1,3-ジフェノキシメチル-2-ナフチル基、2,6-ジ(2-メトキシエチル)フェニル基、2,4,6-トリ(2-メトキシエチル)フェニル基、4-メチル-2,6-ジ(2-メトキシエチル)フェニル基、4-t-ブチル-2,6-ジ(2-メトキシエチル)フェニル基、1,3-ジ(2-メトキシエチル)-2-ナフチル基、2,6-ジ(2-フェノキシエチル)フェニル基、2,4,6-トリ(2-フェノキシエチル)フェニル基、4-メチル-2,6-ジ(2-フェノキシエチル)フェニル基、4-t-ブチル-2,6-ジ(2-フェノキシエチル)フェニル基、1,3-ジ(2-フェノキシエチル)-2-ナフチル基などを挙げることができる。
(3)R~Rについて
 R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子を表す。
 R~Rにおいて、ハロゲン原子の好ましい具体例は、フッ素、塩素、臭素である。これらの中で、更に好ましい置換基は、塩素である。
 R~Rにおいて、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~20の炭化水素基のヘテロ原子としては、酸素、窒素、リン、硫黄、セレン、ケイ素、フッ素、ホウ素が挙げられる。これらのヘテロ原子のうち、酸素、窒素、硫黄、ケイ素が好ましい。また、これらのヘテロ原子を含むヘテロ原子含有基としては、酸素含有基として、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アロイル基、カルボキシレート基が挙げられ、窒素含有基としては、アミノ基、アミド基が挙げられ、硫黄含有基としては、チオアルコキシ基やチオアリーロキシ基が挙げられ、リン含有置換基としては、ホスフィノ基が挙げられ、セレン含有基としては、セレニル基が挙げられ、ケイ素含有基としては、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基が挙げられ、フッ素含有基としては、フルオロアルキル基、フルオロアリール基が挙げられ、ホウ素含有基としては、アルキルホウ素基、アリールホウ素基が挙げられる。
 ヘテロ原子含有基の具体例としては、酸素含有基として、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基、フェノキシ基、p-メチルフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アセトキシ基、エチルカルボキシレート基、t-ブチルカルボキシレート基、フェニルカルボキシレート基などを挙げることができる。窒素含有基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基などを挙げることができる。硫黄含有基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオ-n-プロポキシ基、チオイソプロポキシ基、チオ-n-ブトキシ基、チオ-t-ブトキシ基、チオフェノキシ基、p-メチルチオフェノキシ基、p-メトキシチオフェノキシ基などを挙げることができる。リン含有置換基としては、ジメチルフォスフィノ基、ジエチルフォスフィノ基、ジ-n-プロピルフォスフィノ基、シクロヘキシルフォスフィノ基などを挙げることができる。セレン含有基としては、メチルセレニル基、エチルセレニル基、n-プロピルセレニル基、n-ブチルセレニル基、t-ブチルセレニル基、フェニルセレニル基などを挙げることができる。
 R~Rにおいて、炭素数1~20の炭化水素基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基である。
 ここで、アルキル基、シクロアルキル基の例は、メチル基、エチル基、1-プロピル基、イソプロピル基、1-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、1-ペンチル基、1-ヘキシル基、1-ヘプチル基、1-オクチル基、1-ノニル基、1-デシル基、トリシクロヘキシルメチル基、1,1-ジメチル-2-フェニルエチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジエチルプロピル基、1-フェニル-2-プロピル基、1,1-ジメチルブチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-ヘプチル基、3-ヘプチル基、4-ヘプチル基、2-プロピルヘプチル基、2-オクチル基、3-ノニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、エキソ-ノルボルニル基、エンド-ノルボニル基、2-ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ノピニル基、デカヒドロナフチル基、メンチル基、ネオメンチル基、ネオペンチル基、及び5-デシル基などである。
 これらの中で、好ましい置換基としては、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基である。
 アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シンナミル基、スチリル基が挙げられる。
 アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基が挙げられ、これらのアリール基の芳香環に存在させうる置換基の例としては、アルキル基、アリール基、融合アリール基、フェニルシクロヘキシル基、フェニルブテニル基、トリル基、キシリル基、p-エチルフェニル基などである。
 これらの中で、好ましい置換基としては、フェニル基である。これらの具体例の中で、特に好ましい置換基としては、メチル基、エチル基、フェニル基であり、更に、特に好ましくは、メチル基である。これらは例示であり、これらに限定されないのは、自明である。
 また、R~Rにおいて好ましく用いられるものとしては、RとRとが互いに連結し、脂環式環、芳香族環または酸素、窒素若しくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成しているものが挙げられ、このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。より好ましくは、RとRとが互いに連結し、芳香族環を形成しているものであり、該環上に置換基を有していてもよい。
2.金属錯体
(1)基本構成について
 本発明における金属錯体は、イミン化合物と、8~10族の遷移金属化合物である錯体前駆体とを反応させて得られる金属錯体又は具体的には下記の一般式(2)で示される金属錯体である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
 一般式(2)において、Mは、周期表の8~10族に属する遷移金属を表す。Xは窒素原子、Yは窒素原子またはリン原子を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~30の炭化水素基であって、R及びRの少なくとも一方は、ヘテロ原子含有基を2個以上含有する炭化水素基である。R~R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子を表す。また、R~R、RまたはRから選択される複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環または酸素、窒素もしくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよく、このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。
 ここで、R~Rは、前述の一般式(1)で表されるイミン化合物における置換基と同様である。
 8~10族の遷移金属からなる群より選択された金属原子であるMは、好ましくは、10族の遷移金属である。
 好ましい具体例は、ニッケルおよびパラジウムである。
(2)RおよびRについて
 RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~20の炭化水素基、ハロゲン原子を表す。
 ハロゲン原子であるRおよびRの好ましい具体例は、フッ素、塩素、臭素である。これらの中で、更に好ましい置換基は、塩素および臭素である。
 RおよびRにおいて、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~20の炭化水素基のヘテロ原子としては、酸素、窒素、リン、硫黄、セレン、ケイ素、フッ素、ホウ素が挙げられる。これらのヘテロ原子のうち、酸素、ケイ素、フッ素が好ましい。また、これらのヘテロ原子を含むヘテロ原子含有基としては、酸素含有基として、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アロイル基、カルボキシレート基が挙げられ、窒素含有基としては、アミノ基、アミド基が挙げられ、硫黄含有基としては、チオアルコキシ基やチオアリーロキシ基が挙げられ、リン含有置換基としては、ホスフィノ基が挙げられ、セレン含有基としては、セレニル基が挙げられ、ケイ素含有基としては、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基が挙げられ、フッ素含有基としては、フルオロアルキル基、フルオロアリール基が挙げられ、ホウ素含有基としては、アルキルホウ素基、アリールホウ素基が挙げられる。
 ヘテロ原子含有基の具体例としては、酸素含有基として、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基、フェノキシ基、p-メチルフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アセトキシ基、エチルカルボキシレート基、t-ブチルカルボキシレート基、フェニルカルボキシレート基などを挙げることができる。窒素含有基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基などを挙げることができる。硫黄含有基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオ-n-プロポキシ基、チオイソプロポキシ基、チオ-n-ブトキシ基、チオ-t-ブトキシ基、チオフェノキシ基、p-メチルチオフェノキシ基、p-メトキシチオフェノキシ基などを挙げることができる。リン含有置換基としては、ジメチルフォスフィノ基、ジエチルフォスフィノ基、ジ-n-プロピルフォスフィノ基、シクロヘキシルフォスフィノ基などを挙げることができる。セレン含有基としては、メチルセレニル基、エチルセレニル基、n-プロピルセレニル基、n-ブチルセレニル基、t-ブチルセレニル基、フェニルセレニル基などを挙げることができる。
 RおよびRにおいて、炭素数1~20の炭化水素基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基である。
 ここで、アルキル基、シクロアルキル基の例は、メチル基、エチル基、1-プロピル基、イソプロピル基、1-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、1-ペンチル基、1-ヘキシル基、1-ヘプチル基、1-オクチル基、1-ノニル基、1-デシル基、トリシクロヘキシルメチル基、1,1-ジメチル-2-フェニルエチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジエチルプロピル基、1-フェニル-2-プロピル基、1,1-ジメチルブチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-ヘプチル基、3-ヘプチル基、4-ヘプチル基、2-プロピルヘプチル基、2-オクチル基、3-ノニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、エキソ-ノルボルニル基、エンド-ノルボニル基、2-ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ノピニル基、デカヒドロナフチル基、メンチル基、ネオメンチル基、ネオペンチル基、及び5-デシル基などである。
 これらの中で、好ましい置換基としては、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基である。
 アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シンナミル基、スチリル基が挙げられる。
 アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基が挙げられ、これらのアリール基の芳香環に存在させうる置換基の例としては、アルキル基、アリール基、融合アリール基、フェニルシクロヘキシル基、フェニルブテニル基、トリル基、キシリル基、p-エチルフェニル基などである。
 これらの中で、好ましい置換基としては、フェニル基である。これらの具体例の中で、特に好ましい置換基としては、メチル基、エチル基、フェニル基であり、更に、特に好ましくは、メチル基である。これらは例示であり、これらに限定されないのは、自明である。
(3)金属錯体の具体例
 本発明の金属錯体の好ましい具体例として、以下のニッケル錯体が挙げられる。これらは例示であり、これらに限定されないのは自明である。なお、下記例示において、Meはメチル基を、Etはエチル基を、iPrはイソプロピル基を、tBuはターシャリーブチル基を、Phはフェニル基を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008

 
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
3.イミン化合物及びイミンを反応させて得られる金属錯体の合成
(1)基本的な合成経路
 本発明におけるイミン化合物の合成は、任意のイミン合成経路により行うことができる。イミンを反応させて得られる金属錯体の合成経路は、目的化合物の構造から任意に定めることができるが、そのうちの具体例として、原料であるイミン化合物と錯体前駆体を反応させる経路が挙げられる。
(2)錯体前駆体
 本発明における8~10族の遷移金属化合物である錯体前駆体は、好ましくは、10族の遷移金属錯体である。
 好ましい具体例は、フッ化ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)、臭化(ニッケル)、ヨウ化ニッケル(II)、ジクロロ(1,2-ジメトキシエタン)ニッケル(II)、ジブロモ(1,2-ジメトキシエタン)ニッケル(II)、ニッケルアセテート(II)、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)、ジクロロ(ビスアセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロ(ビスベンゾニトリル)パラジウム(II)、アリルパラジウムクロリド(II)、パラジウムアセテート(II)、パラジウムトリフルオロアセテート(II)、塩化白金(II)、臭化白金(II)、ヨウ化白金(II)などである。
(3)錯体前駆体との反応
 本発明における錯体前駆体の使用量は、一般式(1)で示されるイミン化合物1モルに対して、通常、0.5~3モル、好ましくは0.7~1.5モルの範囲である。
 錯体合成反応は、α-オレフィンとの共重合に使用する反応器中で行ってもよいし、該反応器とは別の容器中で行ってもよい。錯形成後に、金属錯体を単離抽出して触媒に用いてもよいし、単離せずに触媒に用いてもよい。
4.オレフィン重合用触媒
 本発明の、イミンを反応させて得られる金属錯体は、オレフィン重合用触媒成分を形成し、該触媒成分は、オレフィン重合用触媒に用いることができる。例えば、該金属錯体を成分(A)として含む、次に説明するオレフィン重合用触媒として、用いることが好ましい。
(1)オレフィン重合用触媒の成分
 本発明のオレフィン重合用触媒としては、下記(A)、(B)及び任意に(C)成分を含むものである。
 成分(A):一般式(1)で示されるイミン化合物を錯体前駆体と反応させて得られる金属錯体又は一般式(2)で示される金属錯体
 成分(B):成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩
 成分(C):有機アルミニウム化合物
(2)各成分について
成分(A)
 成分(A)は、一般式(1)で示されるイミン化合物を錯体前駆体と反応させて得られる金属錯体又は一般式(2)で示される金属錯体であり、同一又は異なる二種以上を用いてもよい。
成分(B)
 成分(B)としては、成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩である。
 成分(B)の一つとして、有機アルミニウムオキシ化合物が挙げられる。上記有機アルミニウムオキシ化合物は、分子中に、Al-O-Al結合を有し、その結合数は通常1~100、好ましくは1~50個の範囲にある。このような有機アルミニウムオキシ化合物は、通常、有機アルミニウム化合物と水とを反応させて得られる生成物である。
 有機アルミニウムと水との反応は、通常、不活性炭化水素(溶媒)中で行われる。不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及び芳香族炭化水素が使用できるが、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素を使用することが好ましい。
 有機アルミニウムオキシ化合物の調製に用いる有機アルミニウム化合物は、下記一般式(3)で表される化合物がいずれも使用可能であるが、好ましくはトリアルキルアルミニウムが使用される。
(RAl(Z(3-t)・・・一般式(3)
(一般式(3)中、Rは、炭素数1~18、好ましくは1~12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等の炭化水素基を示し、Zは、水素原子又はハロゲン原子を示し、tは、1≦t≦3の整数を示す。)
 トリアルキルアルミニウムのアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のいずれでも差し支えないが、メチル基であることが特に好ましい。上記有機アルミニウム化合物は、2種以上混合して使用することもできる。
 水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は、0.25/1~1.2/1、特に、0.5/1~1/1であることが好ましく、反応温度は、通常-70~100℃、好ましくは-20~20℃の範囲にある。反応時間は、通常5分~24時間、好ましくは10分~5時間の範囲で選ばれる。反応に要する水として、単なる水のみならず、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物等に含まれる結晶水や反応系中に水が生成しうる成分も利用することもできる。
 なお、上記した有機アルミニウムオキシ化合物のうち、アルキルアルミニウムと水とを反応させて得られるものは、通常、アルミノキサンと呼ばれ、特にメチルアルミノキサン(実質的にメチルアルミノキサン(MAO)からなるものを含む)は、有機アルミニウムオキシ化合物として、好適である。
 もちろん、有機アルミニウムオキシ化合物として、上記した各有機アルミニウムオキシ化合物の2種以上を組み合わせて使用することもでき、また、前記有機アルミニウムオキシ化合物を前述の不活性炭化水素溶媒に溶解又は分散させた溶液としたものを用いても良い。
 また、成分(B)の他の具体例として、ボラン化合物やボレート化合物が挙げられる。上記ボラン化合物をより具体的に表すと、トリフェニルボラン、トリ(o-トリル)ボラン、トリ(p-トリル)ボラン、トリ(m-トリル)ボラン、トリ(o-フルオロフェニル)ボラン、トリス(p-フルオロフェニル)ボラン、トリス(m-フルオロフェニル)ボラン、トリス(2,5-ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(3,5―ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロアントリル)ボラン、トリス(パーフルオロビナフチル)ボランなどが挙げられる。
 これらの中でも、トリス(3,5―ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロアントリル)ボラン、トリス(パーフルオロビナフチル)ボランがより好ましく、更に好ましくはトリス(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)ボランが好ましい化合物として例示される。
 また、ボレート化合物を具体的に表すと、第1の例は、次の一般式(4)で示される化合物である。
[L-H][B(R10)(R11)(Z)(Z)]・・・一般式(4)
 一般式(4)中、Lは中性ルイス塩基であり、Hは水素原子であり、[L-H]は、アンモニウム、アニリニウム、ホスフォニウム等のブレンステッド酸を示す。
 アンモニウムとしては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリ(n-ブチル)アンモニウムなどのトリアルキル置換アンモニウム、ジ(n-プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウムなどのジアルキルアンモニウムを例示できる。
 また、アニリニウムとしては、N,N-ジメチルアニリニウム、N,N-ジエチルアニリニウム、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムなどのN,N-ジアルキルアニリニウムが例示できる。
 更に、ホスフォニウムとしては、トリフェニルホスフォニウム、トリブチルホスホニウム、トリ(メチルフェニル)ホスフォニウム、トリ(ジメチルフェニル)ホスフォニウムなどのトリアリールホスフォニウム、トリアルキルホスフォニウムが挙げられる。
 また、一般式(4)中、R10およびR11は、6~20、好ましくは6~16の炭素原子を含む、同じか又は異なる芳香族又は置換芳香族炭化水素基で、架橋基によって互いに連結されていてもよく、置換芳香族炭化水素基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等に代表されるアルキル基やフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子が好ましい。更に、Z及びZは、ハイドライド基、ハライド基、1~20の炭素原子を含む炭化水素基、1個以上の水素原子がハロゲン原子によって置換された1~20の炭素原子を含む置換炭化水素基である。
 上記一般式(4)で表される化合物の具体例としては、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6-ジフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6-ジフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6-ジフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートなどを例示することができる。
 これらの中でも、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレートが好ましい。
 また、ボレート化合物の第2の例は、次の一般式(5)で表される。
[L[B(R10)(R11)(Z)(Z)] ・・・一般式(5)
 一般式(5)中、Lは、カルボカチオン、メチルカチオン、エチルカチオン、プロピルカチオン、イソプロピルカチオン、ブチルカチオン、イソブチルカチオン、tert-ブチルカチオン、ペンチルカチオン、トロピニウムカチオン、ベンジルカチオン、トリチルカチオン、ナトリウムカチオン、プロトン等が挙げられる。また、R10、R11、Z及びZは、前記一般式(4)における定義と同じである。
 上記化合物の具体例としては、トリチルテトラフェニルボレート、トリチルテトラ(o-トリル)ボレート、トリチルテトラ(p-トリル)ボレート、トリチルテトラ(m-トリル)ボレート、トリチルテトラ(o-フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(p-フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(m-フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5-ジフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トロピニウムテトラフェニルボレート、トロピニウムテトラ(o-トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(m-トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(o-フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(p-フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(m-フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5-ジフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、NaBPh、NaB(o-CH-Ph)、NaB(p-CH-Ph)、NaB(m-CH-Ph)、NaB(o-F-Ph)、NaB(p-F-Ph)、NaB(m-F-Ph)、NaB(3,5-F-Ph)、NaB(C、NaB(2,6-(CF-Ph)、NaB(3,5-(CF-Ph)、NaB(C10、HBPh・2ジエチルエーテル、HB(3,5-F-Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C・2ジエチルエーテル、HB(2,6-(CF-Ph)・2ジエチルエーテル、HB(3,5-(CF-Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C10・2ジエチルエーテルを例示することができる。
 これらの中でも、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、NaB(C、NaB(2,6-(CF-Ph)、NaB(3,5-(CF-Ph)、NaB(C10、HB(C・2ジエチルエーテル、HB(2,6-(CF-Ph)・2ジエチルエーテル、HB(3,5-(CF-Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C10・2ジエチルエーテルが好ましい。
 更に好ましくは、これらの中でもトリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、NaB(C、NaB(2,6-(CF-Ph)、HB(C・2ジエチルエーテル、HB(2,6-(CF-Ph)・2ジエチルエーテル、HB(3,5-(CF-Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C10・2ジエチルエーテルが挙げられる。
 更に、成分(B)の具体例として、イオン交換性層状珪酸塩が挙げられる。イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。珪酸塩は、各種公知のものが知られており、具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている。
 本発明において、成分(B)として好ましく用いられるものは、スメクタイト族に属するもので、具体的にはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどを挙げることができる。中でも、共重合体部分の重合活性、分子量を高める観点からモンモリロナイトが好ましい。
 大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英やクリストバライトなど)が含まれることが多く、本発明で用いられるスメクタイト族の珪酸塩に交雑物が含まれていてもよい。
 成分(B)として、前記の有機アルミニウムオキシ化合物と、ボラン化合物やボレート化合物、イオン交換性層状珪酸塩との混合物を用いることもできる。さらに、それぞれを単独でも用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
成分(C)
 成分(C)として使用される、有機アルミニウム化合物の一例は、次の一般式で表される。
  Al(R12 (3-a)・・・一般式(6)
 一般式(6)中、R12は、炭素数1~20の炭化水素基、Zは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基又はシロキシ基を示し、aは0より大きく3以下の数を示す。
 一般式(6)で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシドなどのハロゲン又はアルコキシ含有アルキルアルミニウムが挙げられる。
 これらの中では、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。また、上記の有機アルミニウム化合物を2種以上併用してもよい。また、上記のアルミニウム化合物をアルコール、フェノール等で変性して用いてもよい。これらの変性剤としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、フェノール、2,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノールなどが例示され、好ましい具体例は、2,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノールである。
(3)触媒の調製法
 本発明に係るオレフィン重合用触媒の調製法においては、成分(A)、(B)、更に必要に応じて(C)を接触させる方法は、特に限定されないが、次の様な方法を例示することができる。
(i)成分(A)と成分(B)とを接触させた後に、成分(C)を添加する方法
(ii)成分(A)と成分(C)とを接触させた後に、成分(B)を添加する方法
(iii)成分(B)と成分(C)とを接触させた後に、成分(A)を添加する方法
(iv)各成分(A)、(B)、(C)を同時に接触させる方法。
 更に、各成分中で別種の成分を混合物として用いてもよいし、別々に順番を変えて接触させてもよい。なお、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時又はオレフィンの重合時に行ってもよい。
 又、成分(B)と成分(C)とを接触させた後、成分(A)と成分(C)の混合物を加えるというように、成分を分割して各成分に接触させてもよい。
 上記の各成分(A)、(B)、(C)の接触は、窒素などの不活性ガス中において、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素溶媒中で行うことが好ましい。接触は、-20℃から溶媒の沸点の間の温度で行うことができ、特に室温から溶媒の沸点の間での温度で行うのが好ましい。
5.重合方法
(1)モノマー
(a)α-オレフィン
 本発明における成分(a)は、一般式:CH=CHR13で表されるα-オレフィンである。ここで、R13は、水素原子または炭素数1~20の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。R13の炭素数が20より大きいと、十分な重合活性が発現しない傾向がある。このため、なかでも、好ましい(a)成分としては、R13が水素原子または炭素数1~10の炭化水素基であるα-オレフィンが挙げられる。
 さらに好ましい(a)成分としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、ビニルシクロヘキセン、スチレンが挙げられる。なお、単独の(a)成分を使用してもよいし、複数の(a)成分を併用してもよい。
 また前記(a)成分の他に、モノマー成分として、環状オレフィンや内部オレフィンなどを含んでいても良い。好ましい成分としては、ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、ノルボルナジエン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロペンタジエンなどが挙げられる。
(b)極性基含有コモノマー
 本発明で用いられる極性基含有コモノマーは、分子中に炭素-炭素二重結合および炭素原子と異なった電気陰性度をもつ原子を含む置換基(極性基)を有する化合物をいう。ここで、極性基としては、例えば、ハロゲン類、水酸基(-OH)、アミノ基(-NH)、イミノ基(=NH)、ニトロ基(-NO)、カルボキシル基(-COOH)、ホルミル基(-CHO)、アルコキシ基(-OR)、エステル基(-COOR)、ニトリル基(-CN)、エーテル基(-O-)、シリル基(-SiH)、アルキルシリル基(-SiR)、アルコキシシリル基(-Si(OR))、カルボニル基(=CO)、エポキシ基、酸無水物基、アンモニウム基(-N)が挙げられる。
 本発明における好ましい(b)成分としては、一般式:CH=C(R14)CO(R15)で表される(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。ここで、R14は、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。R15は、炭素数1~30の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。さらに、R15内の任意の位置にヘテロ原子を含有していてもよい。
 R14の炭素数が11以上であると、十分な重合活性が発現しない傾向がある。したがって、R14は、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基であるが、好ましい(b)成分としては、R14が水素原子または炭素数1~5の炭化水素基である(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。より好ましい(b)成分としては、R14がメチル基であるメタクリル酸エステルまたはR14が水素原子であるアクリル酸エステルが挙げられる。同様に、R15の炭素数が30を超えると、重合活性が低下する傾向がある。よって、R15の炭素数は1~30であるが、R15は、好ましくは炭素数1~12であり、さらに好ましくは炭素数1~8である。
 また、R15内に含まれていても良いヘテロ原子としては、酸素、硫黄、セレン、リン、窒素、ケイ素、フッ素、ホウ素等が挙げられる。これらのヘテロ原子のうち、酸素、ケイ素、フッ素が好ましく、酸素が更に好ましい。また、R15は、ヘテロ原子を含まないものも好ましい。
 さらに好ましい(b)成分としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル(4-HBAGE)、3-(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールエステル(EEEA)、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸-2-アミノエチル、(メタ)アクリル酸-2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸エチレンオキサイド、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸-2-トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジメチルアミド、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。なお、単独の(b)成分を使用してもよいし、複数の(b)成分を併用してもよい。
(2)重合方法
 本発明において、重合反応は、前記した担持触媒の存在下、好ましくはスラリー重合又は気相重合にて、行うことができる。スラリー重合の場合、実質的に酸素、水等を断った状態で、イソブタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等から選ばれる不活性炭化水素溶媒の存在下又は不存在下で、エチレン等を重合させる。また、液状エチレンや液状プロピレン等の液体モノマーも溶媒として使用できることは言うまでもない。
 重合条件は、温度が好ましくは0~250℃、より好ましくは20~110℃、更に好ましくは50~100℃であり、圧力が好ましくは常圧~10MPa、より好ましくは常圧~4MPaの範囲にあり、重合時間としては好ましくは5分~10時間、より好ましくは5分~5時間が採用されるのが普通である。
 重合系中に、水分除去を目的とした成分、いわゆるスカベンジャーを加えても何ら支障なく実施することができる。なお、かかるスカベンジャーとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物、前記有機アルミニウムオキシ化合物、分岐アルキルを含有する変性有機アルミニウム化合物、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛などの有機亜鉛化合物、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウム等の有機マグネシウム化合物、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリドなどのグリニヤ化合物等が使用される。
 これらのなかでは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、エチルブチルマグネシウムが好ましく、トリエチルアルミニウムが特に好ましい。
 重合条件が互いに異なる2段階以上の多段階重合方式にも、支障なく適用することができる。
 以下において、本発明を実施例によって具体的に説明し、本発明の構成の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性を実証する。
1.評価方法
(1)重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnおよび分子量分布Mw/Mn:
 以下のGPC測定により求めた。
 はじめに、試料約20(mg)をポリマーラボラトリー社製高温GPC用前処理装置PL-SP260VS用のバイアル瓶に採取し、安定剤としてBHTを含有するo-ジクロロベンゼン(BHT濃度=0.5g/L)を加え、ポリマー濃度が0.1(重量%)になるように調整した。ポリマーを上記高温GPC用前処理装置PL-SP260VS中で135℃に加熱して溶解させ、グラスフィルターにて濾過して試料を調製した。
 なお、本発明におけるGPC測定において、グラスフィルターに捕捉されたポリマーはなかった。
 次に、カラムとして、東ソー社製TSKgel GMH-HT(30cm×4本)およびRI検出器を装着したウォーターズ社製GPCV2000を使用してGPC測定を行った。測定条件としては、試料溶液注入量:524.5(μl)、カラム温度:135℃、溶媒:o-ジクロロベンゼン、流量:1.0(ml/min)を採用した。分子量の算出は、以下のように行った。すなわち、標準試料として市販の単分散のポリスチレンを使用し、該ポリスチレン標準試料およびエチレン系重合体の粘度式から、保持時間と分子量に関する校正曲線を作成し、該校正曲線に基づいて分子量の算出を行った。
 なお、粘度式としては、[η]=K×Mαを使用し、ポリスチレンに対しては、K=1.38E-4、α=0.70を使用し、エチレン系重合体に対しては、K=4.77E-4、α=0.70を使用した。
[合成例1~3]イミン合成
 本発明におけるイミン化合物1、化合物2の合成経路を以下に示す。なお、以下の合成例で特に断りのない限り、操作は精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は脱水・脱酸素したものを用いた。
[合成例1]:(リガンドB-230の合成)
 下記のスキームにしたがって、リガンドB-230を合成した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
(i)化合物1(17.7g,100mmol)の臭化水素水溶液(200mL)に、亜硝酸ナトリウム(6.90g,100mmol)の水溶液(100mL)を-5℃にて滴下し、さらにCuBr(14.4g,100mmol)の臭化水素水溶液(100mL)を0℃にてゆっくりと加えた。反応溶液は0℃で30分、50℃に昇温して3時間撹拌した。その後20℃まで冷却し、飽和チオ硫酸ナトリム水溶液(200mL)を加え、酢酸エチル(500mLx3)で抽出した。それを飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した後、濃縮した。粗生成物は石油エーテルを展開液としてシリカゲルカラムで精製し、化合物2を得た。
(ii)化合物2(0.50g,2.10mmol)のTHF溶液(10mL)に、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.5M,0.84mL,2.10mmol)を-78℃にて加え、-78℃で30分撹拌した。そこにDMF(0.18g,6.00mmol)のTHF溶液(3mL)を-78℃にて滴下し、0℃まで昇温後2時間撹拌した。反応は氷水(10mL)を加えてクエンチし、溶媒は減圧下にて除去した。酢酸エチル(30mLx3)で抽出した有機層は、塩水(10mL)で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、化合物3を得た。
(iii)化合物4(2.64g,10.0mmol)の脱水THF溶液(30mL)にイソプロピルマグネシウムクロリドのTHF溶液(2.0M,5.0mL,10.0mmol)を-30℃にて加え、15℃に昇温後1時間撹拌した。反応溶液は―78℃に冷却し、三塩化リン(0.69g,5.0mmol)を加え、-78℃で1時間撹拌した。溶媒は減圧下で除去し、化合物5を得た。
(iv)化合物6(0.17g,1.00mmol)のトルエン溶液(30mL)に化合物5(0.31g,1.00mmol)とトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.10g,0.100mmmol)と2、2´-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル(0.09g,0.15mmmol)とナトリウム-t-ブトキシド(0.19g,2.00mmol)を25℃にて加えた。その後反応溶液は、12時間還流した。室温まで冷却後、氷水(30mL)を加えクエンチし、ろ過した。残渣を酢酸エチル(100mLx3)で抽出した後、有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。濃縮残渣は石油エーテル/酢酸エチル(10/1)を展開液としてシリカゲルカラムで精製し、化合物7を黄色固体として得た。
(v) 化合物7(5.90g,14.8mmol)のメタノール溶液(100mL)に、化合物3(2.80g,14.8mmol)と少量のホルムアルデヒドを25℃にて加え、14時間還流した。溶媒を減圧下にて除去し、残渣をジクロロメタン(150mLx3)で抽出した。有機層を塩水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した後、濃縮した。濃縮残渣は石油エーテル/ジクロロメタン(50/1)で再結晶し、B-230を黄色固体として得た(5.6g,9.8mmol,66%収率)。
HNMR(CDCl,δ,ppm):8.76(s,1H),7.26(t,J=7.8Hz,2H),7.19-7.11(m,5H),7.02(t,J=7.4Hz,1H),6.80(t,J=6.4Hz,1H),6.44(dd,J=8.2,2.6Hz,4H),3.41(s,12H),3.34-3.22(m,2H)1.08(d,J=6.8Hz12H);31PNMR(CDCl,δ,ppm)-52.6(s).
[合成例2]:(リガンドB-265の合成)
 下記のスキームにしたがって、リガンドB-265を合成した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
(i)化合物1(55.0g,0.5mol)のTHF溶液(500mL)に、炭酸カリウム(138g,1.0mol)を10℃にて加え、10℃で2時間撹拌した。そこに、ヨウ化イソプロピル(162g,1.0mol)を10℃にて加え、70℃に昇温後14時間撹拌した。反応溶液をろ過し、ろ液を濃縮した。濃縮残渣は石油エーテルを展開液としてシリカゲルカラムで精製し、化合物2を得た。
(ii)化合物2(19.4g,100mmmol)のTHF溶液(10mL)に、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.5M,40mL,100mmol)を0℃にて加え、15℃で2時間撹拌した。再び0℃まで冷却し、ヨウ素(25.4g,100mmol)を加え、10℃で16時間撹拌した。反応溶液に飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(50mL)を加えクエンチし、有機溶媒を減圧除去した後、酢酸エチル(50mLx3)で抽出した。有機層は硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。濃縮残渣は石油エーテルを展開液としてシリカゲルカラムで精製し、化合物3を得た。
(iii)化合物3(4.60g,20.0mmol)のTHF溶液(25mL)にイソプロピルマグネシウムクロリドのTHF溶液(2.0M,10.0mL,20.0mmol)を-30℃にて加え、25℃に昇温後1時間撹拌した。反応溶液は―78℃に冷却し、三塩化リン(0.88g,10.0mmol)を加え、25℃で1時間撹拌し、化合物4を含む溶液を得た。
(iv)水酸化リチウムアルミニウム(0.38g,10.0mmol)のTHF懸濁溶液(30mL)に上記(iii)で得た化合物4を含む溶液を-78℃で加え、20℃まで昇温後16時間撹拌した。反応は氷水(50mL)を加えてクエンチし、有機溶媒は減圧下で除去し、ジクロロメタン(100mLx3)で抽出した。有機層は塩水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した後に、濃縮した。濃縮残渣は石油エーテルを展開液としてシリカゲルカラムで精製し、化合物5を得た。
(v)化合物5(1.67g,4.00mmol)のトルエン溶液(30mL)に2-ブロモアニリン(0.68g,4.00mmol)とトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.37g,0.40mmmol)と2、2´-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル(0.43g,0.80mmmol)とナトリウム-t-ブトキシド(0.75g,8.00mmol)を15℃にて加えた。その後反応溶液は、12時間還流した。15℃まで冷却後、氷水(30mL)を加えクエンチし、ろ過した。残渣を酢酸エチル(100mLx3)で抽出した後、有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。濃縮残渣は石油エーテル/酢酸エチル(10/1)を展開液としてシリカゲルカラムで精製し、化合物6を得た。 
(vi)化合物6(1.85g,3.65mmol)のメタノール溶液(20mL)に、2,6-ジイソプロピルベンズアルデヒド(0.70g,3.65mmol)と少量のホルムアルデヒドを25℃にて加え、14時間還流した。溶媒を減圧下にて除去し、残渣をジクロロメタン(150mLx3)で抽出した。有機層を塩水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した後、濃縮した。濃縮残渣をn-ヘプタン洗浄し、B-265(1.10g,1.5mmol,41%収率)を得た。
HNMR(CDCl,δ,ppm):8.50(s,1H),7.48-6.16(m,13H),4.64(t,J=6.0Hz,1H),4.52(t,J=5.8Hz,1H),4.41-4.38(m,1H),3.36-3.27(m,1H),2.46-2.43(m,1H),1.45-0.41(m,36H);31PNMR(CDCl,δ,ppm)-48.7(s).
[合成例3]:(リガンドB-275の合成)
 下記のスキームにしたがって、リガンドB-275を合成した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
(i)化合物1(7.50g,43.8mmol)とジフェニルホスフィン(8.10g,43.8mmol)と2、2´-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル(4.70g,8.8mmmol)とナトリウム-t-ブトキシド(8.20g,20.0mmol)のトルエン溶液(200mL)にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(4.00g,4.4mmmol)を加え、12時間還流した。室温まで冷却後、氷水(30mL)を加えクエンチし、ろ過した。残渣を酢酸エチル(100mLx3)で抽出した後、有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。濃縮残渣は石油エーテル/酢酸エチル(50/1)を展開液としてシリカゲルカラムで精製し、化合物2を白色固体として得た。
(ii)化合物2(1.80g,6.5mmol)のメタノール溶液(20mL)に、2,6-ジイソプロピルベンズアルデヒド(2.47g,13.0mmol)と少量のホルムアルデヒドを25℃にて加え、80℃で16時間撹拌した。反応液をろ過し、化合物B-275をろ物として回収した(1.30g,2.7mmol,収率42%)。
HNMR(CDCl,δ,ppm):8.81(s,1H),7.48-6.90(m,17H),3.33-3,29(m,2H),1.14(d,J=6.8Hz,12H);31PNMR(CDCl,δ,ppm)-16.2(s).
[実施例1]リガンドB-230を用いるプロピレン重合
(1)B-230ニッケル錯体の合成
 以下の操作は、すべて高純度アルゴン雰囲気下で行った。以下、ジブロモ(1,2-ジメトキシエタン)ニッケル(II)をNiBr(DME)と称する。
 初めに100mlのナスフラスコに、NiBr(DME)(123mg)を100mlのナスフラスコに秤り取った。次に、合成例1で得られたB-230(278mg)を秤り取り、THF(49ml)に溶解させ、0.05mMのB-230THF溶液を調製した。ここで、得られたB-230THF溶液(8ml)を、NiBr(DME)を有するナスフラスコに加え、3時間攪拌し、溶液を得た。未反応NiBr(DME)をろ過した後、溶媒を減圧除去し、ジクロロメタンおよびトルエンで洗浄し、B-230ニッケル錯体を得た。錯体(79mg)をトルエン(10mL)に溶解し、深緑色の錯体溶液を以後の重合操作に使用した。
(2)プロピレン重合
 内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブに、助触媒及びプロピレン(500mL)を導入した。上記(1)で得られたB-230ニッケル錯体を窒素ガスでオートクレーブに導入し、攪拌しながらオートクレーブを所定温度に昇温した。所定温度に達した時点から所定時間重合させた。未反応モノマーを除去した後、オートクレーブを開放し、エタノールを添加し、濾過、加熱乾燥を行い、重合体を得た。得られた重合体に含まれるアルミ残渣は塩酸/メタノール溶液で洗浄し、除去した。
 表1において、活性Vpは、重合に用いた錯体1molあたり、重合時間1時間あたりの共重合体収量(kg)を表す。得られた重合体に関するGPC測定結果についても、表1に記載した。
[実施例2]リガンドB-265を用いるプロピレン重合
(1)錯体の形成
 リガンドとして合成例2で得られたB-265(333mg)を用いた以外は、実施例1と同様にして、錯体の形成を行った。
(2)プロピレン重合
 錯体として上記(1)で得られた化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン重合を行った。結果を表1に示す。
[実施例3、4]リガンドB-230を用いるプロピレン・アクリル酸エステル共重合
(1)プロピレン・アクリル酸エステル共重合
 内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブに、コノモノマーとして所定量のアクリル酸エステル、助触媒およびプロピレン(500mL)を導入した。B-230ニッケル錯体を窒素ガスでオートクレーブに導入し、攪拌しながらオートクレーブを所定温度に昇温した。所定温度に達した時点から所定時間重合させた。未反応ガスを除去した後、オートクレーブを開放し、濾過、溶媒洗浄、加熱乾燥を行い、共重合体を得た。
 共重合に用いたコモノマーの種類と量については、表1に記載した。なお、コモノマーは、Aldrich社製のAldrichInhibitorRemoverを充填したカラムを用いて、高純度アルゴン雰囲気下、室温で精製した後に使用した。また、重合に用いたトルエン量、重合温度、重合中のオートクレーブ内圧についても、表1に記載した。
 表1において、MAはメチルアクリレート、tBAはアクリル酸tブチルを示す。また、活性Vpは、重合に用いた錯体1molあたり、重合時間1時間あたりの共重合体収量(g)を表す。GPCについても、表1に記載した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000013
[比較例1]リガンドB-275を用いるプロピレン重合
(1)錯体の形成
 リガンドとして合成例3で得られたB-275(219mg)を用いた以外は、実施例1と同様にして、錯体の形成を行った。
(2)プロピレン重合
 錯体として上記(1)で得られた化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、プロピレン重合を行った。結果を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000014
[実施例と比較例の結果の対照による考察]
 実施例1及び実施例2では、生成ポリプロピレンの分子量Mwが10,000を超えたのに対し、比較例1により得られた生成物はオリゴマーであり、分子量が非常に低かった。本実施例により、従来知られている触媒を使用するよりも、はるかに分子量が高いプロピレン生成物が得られることが分かった。
 以上のように、本発明の金属錯体を使用することにより、高い分子量を有するポリプロピレンを得ることができ、さらにプロピレン・アクリル酸エステル共重合が可能であり、本発明における構成の要件の合理性と有意性、及び本発明の従来技術に対する卓越性を明らかにした。
 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2013年9月27日出願の日本特許出願(特願2013-201474)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
 本発明による、簡易に合成できる金属錯体及びそれを含む触媒並びにオレフィンの重合方法により、従来の金属錯体よりも分子量の高いオレフィン系重合体を経済的に製造することができ、ポリオレフィンの工業的生産において産業上非常に有用である。

Claims (11)

  1.  下記の一般式(1)で表される化合物。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    [式中、Xは窒素原子、Yは窒素原子またはリン原子を表し、
    及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~30の炭化水素基であって、R及びRの少なくとも一方は、ヘテロ原子含有基を2個以上含有する炭化水素基であり、
    ~Rは、それぞれ独立に、水素原子、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~20の炭化水素基、またはハロゲン原子を表し、また、R~Rから選択される複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環または酸素、窒素もしくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよく、このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。]
  2.  RとRとが互いに連結し、芳香族環を形成している請求項1に記載の化合物。
  3.  請求項1又は2に記載の化合物と、周期表の第8~10族の遷移金属化合物である錯体前駆体とを反応させて得られる金属錯体。
  4.  下記一般式(2)で表されることを特徴とする、請求項3に記載の金属錯体。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002

     
    [式中、Mは、周期表の第8~10族に属する遷移金属を表し、
    Xは窒素原子、Yは窒素原子またはリン原子を表し、
    及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~30の炭化水素基であって、R及びRの少なくとも一方は、ヘテロ原子含有基を2個以上含有する炭化水素基であり、
    ~R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~20の炭化水素基、またはハロゲン原子を表し、また、R~R、RまたはRから選択される複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環または酸素、窒素もしくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよく、このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。]
  5.  前記一般式(2)において、Mは、周期表第10族に属する遷移金属である請求項4に記載の金属錯体。
  6.  請求項3~5のいずれか1項に記載の金属錯体を含むオレフィン重合用触媒成分。
  7.  下記の成分(A)及び(B)、更に必要に応じて(C)を含む、オレフィン重合用触媒。
     成分(A):請求項3~5のいずれか1項に記載の金属錯体
     成分(B):成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩
     成分(C):有機アルミニウム化合物
  8.  成分(B)がアルミノキサンである、請求項7に記載のオレフィン重合用触媒。
  9.  請求項7又は8に記載の重合用触媒の存在下に、(a)α-オレフィンを重合又は共重合するα-オレフィン重合体の製造方法。
  10.  請求項7又は8に記載の重合用触媒の存在下に、(a)α-オレフィンと(b)極性基含有コモノマーを共重合するα-オレフィン・極性基含有コモノマー共重合体の製造方法。
  11.  前記(b)極性基含有コモノマーが(メタ)アクリル酸エステルである請求項10に記載のα-オレフィン・極性基含有コモノマー共重合体の製造方法。
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