JP2017200969A - 新規固体担持オレフィン重合触媒及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 共重合性や活性が高く、かつ取扱い容易でプロセス製造向きの、粒子状のオレフィン(共)重合体を得るためのオレフィン(共)重合体製造用の新規な触媒を提供する。【解決手段】 M1Rc3で示される化合物及びB(ORb)nRc3−nで示される化合物(ここで、M1、Rb、Rc及びnは、明細書に定義されたとおりである)を接触させた固体担体(1)、並びに反応性基Ra(ここで、Raは、明細書に定義されたとおりである)を有し、周期表9族、10族又は11族に属する遷移金属Mを含む遷移金属化合物を含有する金属触媒成分(2)を含有する、オレフィン重合触媒である。【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な固体担持オレフィン重合触媒及びその製造方法に関する。
オレフィン(共)重合体やオレフィンと極性モノマーとの共重合体は、産業資材として非常に重要な役割を果たしている。特にオレフィンと極性モノマーとの共重合体は、接着性、酸化防止機能、光安定化効果等の、添加剤で賄われる必須の機能がポリマー分子に直結した分子を設計できるため、重要である。この重要な(共)重合体を効率よく製造するため、また、プラントの保全のために、プラントで製造されるポリマーは粒子状で得られることが望まれる(非特許文献1)。オレフィン(共)重合体はチーグラー系触媒又はメタロセン担持触媒を用いて粒子化された状態で製造されるが、触媒の活性化や被毒物質の除去のために非常に高価な助触媒(メチルアルミノキサン、有機アルミニウム化合物やホウ素化合物)を大量に使用するという欠点を有している(例えば、非特許文献1参照)。更に、これらの重合触媒は極性モノマーに被毒されるために、オレフィンと極性モノマーとの共重合体を製造することはできない(例えば、非特許文献2参照)。前周期遷移金属触媒のビス(フェノキシイミン)(FI)触媒を用いることも知られているが、被毒物質を無毒化するために比較的多量の助触媒が必要であるか、又はオレフィン部分と極性部とが比較的離れている極性モノマーとの共重合体しか合成することができず、ポリマーの設計に制限がある(例えば、非特許文献3参照)。
これに対して、ブルックハルトやギブソンらが最近見出した、中心金属にニッケル、パラジウム、鉄、コバルト等の後周期遷移金属を有するジイミン系錯体やビス(イミノ)ピリジン系錯体触媒は、高価な助触媒を用いることなくオレフィンを重合することができ、更にはオレフィンと極性モノマーとの共重合体を製造できることも報告されている(例えば、非特許文献4参照)。更に、それらの触媒を固体に担持した不均一系触媒を用いることにより、粒子状の重合体が製造できるという報告がある(例えば、非特許文献5、6参照)。
ジイミン系触媒やビス(イミノ)ピリジン系触媒に対して、最近、ホスフィン−スルホナート系パラジウム触媒やホスフィン−フェノール系触媒を用いることで、力学的・熱的物性に優れたオレフィン重合体やオレフィン・極性モノマー共重合体が製造されるという報告がある(例えば、非特許文献7、特許文献1、2参照)。そして、ホスフィン−フェノール系触媒を、特定の処理を施した担体に担持することで、粒子状のオレフィン(共)重合体が製造できることもまた報告されている(例えば、特許文献3、4参照)。
国際公開2010/050256号 特表2011−525211号公報 特開2016−017134号公報 特開2016−029170号公報
Chem.Rev.2005年、105巻、p4073. Chem.Rev.2000年、100巻、p1479. J.Am.Chem.Soc.2008年、130巻,p17636. Chem.Rev.2000年、100巻、p1169. Maromolecules、2010年、43巻、p3624. Maromolecules、2002年、35巻、p6074. Chem.Rev.2009年、109巻、p5215.
粒子状の(共)重合体を得るために、主に固体に担持した不均一系の触媒が開発されている。しかしながら、例えば、非特許文献6記載のジイミン系担持触媒から製造される重合体はメチル分岐が多いため、その重合体の融点は低い。また、例えば特許文献4記載のようなこれまで報告されている触媒は、担持触媒を含めて、共重合性や重合活性は必ずしも高くなく、極性官能基を高い割合で有する高分子鎖を得ることはできていなかった。このため、共重合性や活性が高く、粒子状のオレフィン(共)重合体を得るためのオレフィン(共)重合触媒の技術についての開発が求められている。
かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、共重合性や活性が高く、かつ取扱い容易でプロセス製造向きの、粒子状のオレフィン(共)重合体を得るためのオレフィン(共)重合体製造用の新規な触媒及びそれを用いたオレフィン(共)重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究した結果、特定の構造を有する後周期遷移金属の触媒混合物と、特定の処理を施した固体担体とを含むオレフィン重合触媒を用いることにより、共重合性及び重合活性が高く、かつ粒子状のオレフィン(共)重合体を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の各項の発明に関する。
[1]M で示される化合物及びB(OR 3−nで示される化合物(ここで、Mは、アルミニウム又はホウ素を表し、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、nは1〜3の整数を表す)を接触させた固体担体(1)、並びに、
OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、P(O)(OR2−y(R、P(OR3−x(R、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、SOM’、POM’、POM”、P(O)(ORM’及びエポキシ含有基(ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウム又はホスホニウムを表し、M”はアルカリ土類金属を表し、xは0〜3の整数を表し、yは0〜2の整数を表す)からなる群より選択される反応性基Rを有し、周期表9族、10族又は11族に属する遷移金属Mを含む遷移金属化合物を含有する金属触媒成分(2)を含有する、オレフィン重合触媒である。
[2]前記金属触媒成分(2)が、下記一般式(A)又は(B):
Figure 2017200969

[式中、Zは、水素であり、mはZの価数を表し、Eは、リン、砒素又はアンチモンであり、Xは、酸素又は硫黄であり、R及びRは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基又は基−Q−Rを含有し、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基(ここで、Qは、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは、先に定義されたとおりである)であるか、又はR及びRは、互いに結合してEとともに環を形成していてもよく、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、又は基−Q−Rであり、Rは、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基であり、ただし、R、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つは基−Q−Rを含む置換基である]
で示される化合物と、周期表9族、10族又は11族に属する遷移金属Mを含む遷移金属化合物(C)とを含有する、前記[1]記載のオレフィン重合触媒である。
[3]前記金属触媒成分(2)が、下記一般式(D):
Figure 2017200969
[式中、E、X、R、R、R、R、R及びRは、先に定義したとおりであり、Mは周期表9族、10族又は11族に属する遷移金属であり、Lは、Mに配位することができるリガンドであり、Rは、水素原子又はヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である]
で示される金属錯体を含む、前記[2]記載のオレフィン重合触媒である。
[4]前記一般式(D)中、Mが、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト又はロジウムである、前記[3]記載のオレフィン重合触媒である。
[5]前記固体担体(1)が、無機酸化物又はポリマー担体である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のオレフィン重合触媒である。
[6]Rが、OR、CO、C(O)N(R、C(O)R、SR、P(R、NHR、N(R又はSi(OR3−x(R(ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基である)である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のオレフィン重合触媒である。
[7]固体担体(1)をM 及びB(OR 3−nで処理する工程、及び、該処理された固体担体(1)を、金属触媒成分(2)で処理する工程を含む、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のオレフィン重合触媒の製造方法である。
[8]固体担体(1)をM 及びB(OR 3−nで処理する工程、該処理された固体担体(1)を、一般式(A)又は(B)で示される化合物を接触させて混合物を調製する工程、及び、得られた該混合物に前記遷移金属化合物(C)を接触させる工程を含む、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のオレフィン重合触媒の製造方法である。
[9]固体担体(1)をM で処理した後、更にB(OR 3−nで処理する工程を含む、前記[7]又は[8]記載のオレフィン重合触媒の製造方法である。
[10]更に、前記[7]〜[9]のいずれか記載の方法で得られたオレフィン重合触媒を、α−オレフィンで予備重合する工程を含む、オレフィン予備重合触媒の製造方法である。
[11]前記予備重合がルイス塩基の存在下で行われる、前記[10]記載のオレフィン予備重合触媒の製造方法である。
[12]前記α−オレフィンがエチレン又はプロピレンである、前記[10]又は[11]記載のオレフィン予備重合触媒の製造方法である。
[13]前記[1]〜[6]のいずれかに記載のオレフィン重合触媒又は前記[7]〜[12]のいずれか記載の方法により得られるオレフィン重合触媒若しくはオレフィン予備重合触媒の存在下、オレフィンを単独重合又は共重合する工程を含む、オレフィン重合体の製造方法である。
[14]前記[1]〜[6]のいずれかに記載のオレフィン重合触媒又は前記[7]〜[12]のいずれか記載の方法により得られるオレフィン重合触媒若しくはオレフィン予備重合触媒の存在下、オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルを共重合する工程を含む、α−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法である。
本発明によれば、高価な助触媒を大量に使用することなく、活性が高く、粒子状のオレフィン(共)重合体を製造することが出来るため、安価にオレフィン(共)重合体を製造することが出来る。
本発明の一つの態様は、特定のアルミニウム又はホウ素化合物M 及びアルコキシ基を含有するホウ素化合物B(OR 3−nを接触させた固体担体と、周期表9族、10族又は11族に属する遷移金属M及び反応性基Rを有する金属触媒成分を含有する、オレフィン重合触媒及びその製造方法である。また、本発明の別の一態様は、該重合触媒が予備重合されたオレフィン予備重合触媒及びその製造方法である。また本発明の別の一態様は、前記重合触媒又は予備重合触媒の存在下に行う、オレフィン重合体又はオレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとを共重合したα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法である。
以下、重合体の構成モノマー、重合触媒、重合触媒の製造方法、重合方法等について詳細に説明する。なお、以下の説明において、「重合」という用語は、1種類のモノマーの単独重合と複数種のモノマーの共重合を総称するものであり、特に両者を区別する必要がない場合には、総称して単に「重合」と記載する。また、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタアクリル酸(メタクリル酸)を意味する。
1.共重合体の構成モノマー
本発明のオレフィン重合触媒は、モノマーをα−オレフィン(a)とした単独重合又は共重合や、α−オレフィン(a)と(メタ)アクリル酸エステル(b)との共重合の際に好適に使用される。
(a)α−オレフィン
(共)重合に用いられるモノマーである成分(a)は、一般式:CH=CHR11で表されるα−オレフィンである。ここで、R11は、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基であり、分岐、環及び/又は不飽和結合を有していてもよい。R11の炭素数が20より大きいと、十分な重合活性が発現しない傾向がある。このため、好ましい(a)成分としては、R11が水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であるα−オレフィンが挙げられる。更に好ましい(a)成分としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキセン、スチレンが挙げられる。重合に際しては、一種類の(a)成分を単独で使用してもよいし、複数種の(a)成分を併用してもよい。
(b)(メタ)アクリル酸エステル
共重合に用いられるモノマーである成分(b)は、一般式:CH=C(R12)CO(R13)で表される(メタ)アクリル酸エステルである。ここで、R12は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、分岐、環、及び/又は不飽和結合を有していてもよい。R13は、炭素数1〜30の炭化水素基であり、分岐、環、及び/又は不飽和結合を有していてもよい。更に、R13内の任意の位置にヘテロ原子を含有していてもよい。R12の炭素数が11以上であると、十分な重合活性が発現しない傾向がある。好ましい(b)成分としては、R12が水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基である(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。より好ましい(b)成分としては、R12がメチル基であるメタクリル酸エステル又はR12が水素原子であるアクリル酸エステルが挙げられる。また、R13の炭素数が30を超えると、重合活性が低下する傾向がある。R13は、好ましくは炭素数1〜12であり、更に好ましくは炭素数1〜8である。また、R13内に含まれていてもよいヘテロ原子としては、酸素、硫黄、セレン、リン、窒素、ケイ素、フッ素、ホウ素等が挙げられる。これらのヘテロ原子のうち、酸素、ケイ素、フッ素が好ましく、酸素が更に好ましい。また、R13は、ヘテロ原子を含まないものも好ましく使用することができる。
更に好ましい(b)成分としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸エチレンオキサイド、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジメチルアミド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。重合に際しては、一種類の(b)成分を単独で使用してもよいし、複数種の(b)成分を併用してもよい。
2.固体担体
固体担体は、無機又は有機の化合物からなり、通常5μm以上、好ましくは10μm以上であって、通常5mm以下、好ましくは2mm以下の粒径を有する。使用可能な担体としては、本発明の主旨をそこなわない限りにおいて、任意の担体を用いることができる。一般に、無機酸化物、ポリマー担体を好適に使用することができる。無機酸化物としては、具体的には、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等の金属酸化物、SiO−Al、SiO−V、SiO−TiO、SiO−MgO、SiO−Cr等の混合酸化物、無機ケイ酸塩又はこれらの混合物が挙げられる。ポリマー担体としては、ポリエチレン担体、ポリプロピレン担体、ポリスチレン担体、ポリアクリル酸担体、ポリメタクリル酸担体、ポリアクリル酸エステル担体、ポリエステル担体、ポリアミド担体、ポリイミド担体等が使用可能である。これらの担体については、上記範囲の粒径を有するものであれば、粒径分布、細孔容積、比表面積等に特に制限はなく、任意のものが使用可能である。
無機ケイ酸塩の具体例としては、粘土、粘土鉱物、ゼオライト、珪藻土等が使用可能である。これらは、合成品を用いてもよいし、天然に産出する鉱物を用いてもよい。粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェン等のアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パイゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。人工合成物としては、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライト等が挙げられる。
これら具体例のうち好ましくは、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロサイト、ハロサイト等のハロサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられ、特に好ましくはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられる。
これらの担体は、そのまま用いてもよいが、塩酸、硝酸、硫酸等による酸処理及び/又はLiCl、NaCl、KCl、CaCl、MgCl、LiSO、MgSO、ZnSO、Ti(SO、Zr(SO、Al(SO等の塩類処理を行ってもよい。該処理において、対応する酸と塩基を混合して反応系内で塩を生成させて処理を行ってもよい。また粉砕や造粒等の形状制御処理や乾燥処理を行ってもよい。
3.アルミニウム又はホウ素化合物
本発明の重合触媒は、前記固体担体にM 及びB(OR 3−nを接触させた固体担体(1)を含有する。ここで、Mは、アルミニウム又はホウ素を表し、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、nは、1〜3の整数を表す。金属Mは、アルミニウムであることが好ましい。
具体的なR及びRにおいて、炭素数1〜20の炭化水素基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基である。ここで、アルキル基やシクロアルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、トリシクロヘキシルメチル基、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、1,1−ジメチルブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基、2−プロピルヘプチル基、2−オクチル基、3−ノニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、エキソ−ノルボルニル基、エンド−ノルボルニル基、2−ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ノピニル基、デカヒドロナフチル基、メンチル基、ネオメンチル基、ネオペンチル基、及び5−デシル基等が挙げられる。メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、オクチル基が好ましい。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シンナミル基、スチリル基が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基が挙げられ、これらのアリール基は、芳香環上に置換基を有していてもよく、存在しうる置換基の例としては、アルキル基、アリール基、融合アリール基、フェニルシクロヘキシル基、フェニルブテニル基、トリル基、キシリル基、p−エチルフェニル基等である。これらの中で、好ましい置換基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基である。これらは例示であり、これらに限定されない。
好ましいM の具体例としては、トリメチルアルミニウム(AlMe)、トリエチルアルミニウム(AlEt:TEAL)、トリイソブチルアルミニウム(AlBu:TIBA)、トリn−オクチルアルミニウム(TNOA)等が挙げられる。入手の容易性等の観点から、トリエチルアルミニウム又はトリイソブチルアルミニウムがより好ましい。
好ましいB(OR 3−nの具体例としては、BMeBHT、BMeBHT、BEtBHT、BEtBHT、BPrBHT、BPrBHT、BBuBHT、BBuBHT、BEt(OEt)、BEt(OEt)、BEt(OPr)、BEt(OPr)、BBu(OEt)、BBu(OEt)、BBu(OPr)、BBu(OPr)、B(OMe)、B(OEt)、B(OBu)等が挙げられる。ここで、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはイソプロピル基、Buはブチル基(n−ブチル基、イソブチル基)、BHTは2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノレート基を表す。入手の容易性等の観点から、B(OEt)がより好ましい。
本明細書において、固体担体と「接触する」という語は、M 又はB(OR 3−nのような対象化合物の少なくとも一部が、固体担体表面との相互作用を形成することを意味する。相互作用の実態は物理吸着、静電気的な作用、共有結合の形成、配位結合等があり、特に制限されない。
及びB(OR 3−nを接触させた固体担体(1)は、固体担体表面の官能基が接触させた前記化合物との化学反応により別の官能基に置換されていたり、接触させた前記化合物が固体担体表面に物理吸着していたりする等、様々な状態になっていることが考えられる。このため、M 及びB(OR 3−nを接触させた後の固体担体(1)の構造を一義に特定することは難しい。しかし、特定の理論に束縛されるものではないが、固体担体表面がこのような様々な状態をとっていることにより、反応性基Rを有する金属触媒成分(2)が固体担体(1)上に担持可能となると考えられる。M 又はB(OR 3−nを接触させない場合には、固体担体(1)の表面の官能基が、金属触媒成分(2)を担持させるに十分な性質を有しておらず、金属触媒成分(2)の担持ができないか、不十分となる。
4.金属触媒成分
金属触媒成分(2)は、周期表9族、10族又は11族に属する遷移金属Mを含む遷移金属化合物(C)と、反応性基Rとを有する。金属触媒成分(2)は、遷移金属Mを含む遷移金属化合物(C)と反応性基Rを有する化合物とを含んでいてもよく、遷移金属Mを含みかつ反応性基Rを有する化合物を含んでいてもよく、それらの混合物であってもよい。
<金属種>
金属触媒成分(2)において、遷移金属Mは、周期律表の9族、10族又は11族に属する金属元素であるが、好ましくは、10族のニッケル、パラジウム、白金、9族のコバルト、ロジウム、11族の銅であり、更に好ましくは、10族のニッケル、パラジウム又は白金であり、最も好ましくは10族のニッケル又はパラジウムである。
遷移金属化合物(C)については、後述する一般式(A)、(B)等で示される化合物と反応して、重合能を有する錯体を形成可能なものが使用される。これらは、プリカーサー、前駆体とも呼ばれることがある。
例えば、ニッケルを含む遷移金属化合物(C)としては、Ni(COD)(COD:1,5−シクロオクタジエン)、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル(II)、一般式(CHCR17CHNi、Ni(CHSiR17 又はNiR17 で表される錯体等を使用することができる。ここでR17は、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、OR、又はCOであり、Lはニッケルに配位したリガンドであり、Rは水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。
また、9族、10族又は11族の遷移金属Mを含む遷移金属化合物(C)については、一般式:MR17 (ここで、Mは、周期表9族、10族又は11族の遷移金属であり、R17及びLは、先に定義した通りであり、p及びqは、0以上の整数であり、遷移金属錯体の18電子則を満たすように選択される)を使用することができる。
これらの遷移金属化合物(C)のうち、好ましく用いられるものは、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、一般式:(CHCR17CHNiで表される錯体、一般式:Ni(CHSiR17 で表される錯体、一般式:NiR17 で表される錯体(これらの式中、R17、Lは、先に定義した通りである)、Pd(dba)、Pd(dba)、Pd(dba)(ここで、dbaは、ジベンジリデンアセトンを表す)、Pd(OCOCH、(1,5−シクロオクタジエン)Pd(メチル)(クロリド)である。特に好ましくは、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、(CHCHCHNi、(CHCMeCHNi、Ni(CHSiMe(Py)(以下Pyは、ピリジンを表す)、Ni(CHSiMe(Lut)(以下Lutは、2,6−ルチジンを表す)、NiPh(Py)(以下Phは、フェニルを表す)、Ni(Ph)(Lut)、Pd(dba)、Pd(dba)、Pd(dba)、Pd(OCOCH、(1,5−シクロオクタジエン)Pd(メチル)(クロリド)である。
<反応性基R
金属触媒成分(2)には、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、P(O)(OR2−y(R、P(OR3−x(R、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、SOM’、POM’、POM”、P(O)(ORM’及びエポキシ含有基からなる群より選択される、反応性基Rが含まれる。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウム又はホスホニウムを表し、M”はアルカリ土類金属を表し、xは0〜3の整数を表し、yは0〜2の整数を表す。これらのうち、配位子及び錯体合成を考慮すると、Rは、OR、CO、C(O)N(R、C(O)R、SR、P(R、NHR、N(R又はSi(OR3−x(Rであることが好ましい。
の具体的な構造の例としては、−OH、−OMe、−COH、−COMe、−C(=O)NMe、−CHO、−C(=O)Me、−SH、−SMe、−PPh、−NH、−NMe、−Si(OMe)が挙げられる。
金属触媒成分(2)は、具体的な構造として、下記一般式(A)又は(B):
Figure 2017200969

[式中、Zは、水素であり、mはZの価数を表し、Eは、リン、砒素又はアンチモンであり、Xは、酸素又は硫黄であり、R及びRは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基又は基−Q−Rを含有し、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基(ここで、Qは、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは、先に定義したとおりである)であるか、又はR及びRは、互いに結合してEとともに環を形成していてもよく、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、又は基−Q−Rであり、Rは、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基であり、ただし、R、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つは基−Q−Rを含む置換基である]
で示される化合物と、周期表9族、10族又は11族に属する遷移金属Mを含む遷移金属化合物(C)とを含有することが好ましい。
一般式(A)又は(B)において、Zは、水素原子である。
一般式(B)はアニオンの形で表されているが、そのカウンターカチオンは、遷移金属化合物(C)との反応を阻害しない限りにおいて、任意のものを用いることができる。
カウンターカチオンとしては、具体的には、アンモニウム(NH )、4級アンモニウム(R15 )又はホスホニウム(R16 )(ここで、R15及びR16は、炭素数1〜20の炭化水素基であり、各々のR15及びR16は、同じであっても異なっていてもよい)、周期表1族〜14族の金属イオンを挙げることができる。これらのうち好ましくは、NH 、R15 、R16 、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Al3+であり、更に好ましくは、R15 、Li、Na、Kである。
一般式(A)又は(B)において、Xは、酸素原子又は硫黄原子である。これらのうち、酸素原子が好ましい。Eは、リン原子、砒素原子又はアンチモン原子である。これらのうち、リン原子が好ましい。R及びRは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基又は基−Q−Rを含有し、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基(ここで、Q及びRは、先に定義したとおりである)であるか、又はR及びRは、互いに結合してEとともに環を形成していてもよい。R及びRは、遷移金属Mの近傍にあって、立体的及び/又は電子的に遷移金属Mに相互作用を及ぼす。こうした効果を及ぼすためには、R及びRは、嵩高い置換基である方が好ましい。R及びRの好ましい炭素数は3〜30、更に好ましくは6〜30である。
及びRのより具体的な構造は、それぞれ独立に、水素原子又はヘテロ原子を含有していてもよい直鎖状炭化水素基、ヘテロ原子を含有していてもよい分岐鎖状炭化水素基、ヘテロ原子を含有していてもよい脂肪環式炭化水素基、ヘテロ原子を含有していてもよいアリール基が挙げられる。前に述べたように、R及びRは、嵩高い方が好ましいので、ヘテロ原子を含有していてもよい脂環式炭化水素基、又は、ヘテロ原子を含有していてもよいアリール基が好ましく、ヘテロ原子を含有していてもよいアリール基が最も好ましい。こうしたアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスラセニル基等を挙げることができる。これらの中で、フェニル基やナフチル基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。
及びRにおいて、ヘテロ原子含有基中に含まれるヘテロ原子としては、酸素、窒素、リン、硫黄、セレン、ケイ素、フッ素、ホウ素が挙げられる。前記ヘテロ原子含有基に含まれるヘテロ原子としては、遷移金属に配位可能なものが好ましい。こうした遷移金属可能なヘテロ原子を含むヘテロ原子含有基の具体的な例としては、以下のようなものが挙げられる。
すなわち、酸素含有基として、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基等のアリーロキシ基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、エチルカルボキシレート基、t−ブチルカルボキシレート基、フェニルカルボキシレート基等のカルボキシレート基等を挙げることができる。
窒素含有基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のジアルキルアミノ基等を挙げることができる。
硫黄含有基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオ−n−プロポキシ基、チオイソプロポキシ基、チオ−n−ブトキシ基、チオ−t−ブトキシ基、チオフェノキシ基等のチオアルコキシ基、p−メチルチオフェノキシ基、p−メトキシチオフェノキシ基等のチオアリーロキシ基等を挙げることができる。
リン含有置換基としては、ジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジ−n−プロピルホスフィノ基、シクロヘキシルホスフィノ基等のジアルキルホスフィノ基等を挙げることができる。
セレン含有基としては、メチルセレニル基、エチルセレニル基、n−プロピルセレニル基、n−ブチルセレニル基、t−ブチルセレニル基、フェニルセレニル基等のセレニル基を挙げることができる。
これらの中で、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基等のアリーロキシ基や、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のジアルキルアミノ基や、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオ−n−プロポキシ基、チオイソプロポキシ基、チオ−n−ブトキシ基、チオ−t−ブトキシ基、チオフェノキシ基等のチオアルコキシ基、p−メチルチオフェノキシ基、p−メトキシチオフェノキシ基等のチオアリーロキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基等のアリーロキシ基が更に好ましい。
又はRがヘテロ原子を含有していてもよいアリール基であり、アリール基の芳香族骨格に前記ヘテロ原子含有基が結合する場合、結合様式としては、ヘテロ原子含有基が芳香族骨格に直接結合してもよいし、アルキレン基のようなスペーサーを介して芳香族骨格に結合してもよい。なお、アルキレン基を介してヘテロ原子含有基が芳香族骨格に結合する場合、炭素数は1個であること、すなわちメチレン基であることが好ましい。また、置換位置としては、R又はRの芳香族骨格のうち、Eに結合した炭素に対してオルト位であることが好ましい。このようにすることによって、R又はRのヘテロ原子がMと相互作用を持つように空間的配置をとることができる。
好ましいR及びRの具体的な例示として、2,6−ジメトキシフェニル基、2,4,6−トリメトキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジメトキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジメトキシフェニル基、1,3−ジメトキシ−2−ナフチル基、2,6−ジエトキシフェニル基、2,4,6−トリエトキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジエトキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジエトキシフェニル基、1,3−ジエトキシ−2−ナフチル基、2,6−ジイソプロポキシフェニル基、2,4,6−トリイソプロポキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジイソプロポキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジイソプロポキシフェニル基、1,3−ジイソプロポキシ−2−ナフチル基、2,6−ジフェノキシフェニル基、2,4,6−トリフェノキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジフェノキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジフェノキシフェニル基、1,3−ジフェノキシ−2−ナフチル基、2,6−ジ(メトキシメチル)フェニル基、2,4,6−トリ(メトキシメチル)フェニル基、4−メチル−2,6−ジ(メトキシメチル)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジ(メトキシメチル)フェニル基、1,3−ジ(メトキシメチル)−2−ナフチル基、2,6−ジ(エトキシメチル)フェニル基、2,4,6−トリ(エトキシメチル)フェニル基、4−メチル−2,6−ジ(エトキシメチル)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジ(エトキシメチル)フェニル基、1,3−ジ(エトキシメチル)−2−ナフチル基、2,6−ジ(イソプロポキシメチル)フェニル基、2,4,6−トリ(イソプロポキシメチル)フェニル基、4−メチル−2,6−ジ(イソプロポキシメチル)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジ(イソプロポキシメチル)フェニル基、1,3−ジ(イソプロポキシメチル)−2−ナフチル基、2,6−ジ(フェノキシメチル)フェニル基、2,4,6−トリ(フェノキシメチル)フェニル基、4−メチル−2,6−ジ(フェノキシメチル)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジ(フェノキシメチル)フェニル基、1,3−ジ(フェノキシメチル)−2−ナフチル基等を挙げることができる。
これらのうち、好ましいものとしては、2,6−ジメトキシフェニル基、2,4,6−トリメトキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジメトキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジメトキシフェニル基、2,6−ジエトキシフェニル基、2,4,6−トリエトキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジエトキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジエトキシフェニル基、2,6−ジイソプロポキシフェニル基、2,4,6−トリイソプロポキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジイソプロポキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジイソプロポキシフェニル基、2,6−ジフェノキシフェニル基、2,4,6−トリフェノキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジフェノキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジフェノキシフェニル基、2,6−ジ(メトキシメチル)フェニル基、2,4,6−トリ(メトキシメチル)フェニル基、4−メチル−2,6−ジ(メトキシメチル)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジ(メトキシメチル)フェニル基、2,6−ジ(エトキシメチル)フェニル基、2,4,6−トリ(エトキシメチル)フェニル基、4−メチル−2,6−ジ(エトキシメチル)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジ(エトキシメチル)フェニル基、2,6−ジ(イソプロポキシメチル)フェニル基、2,4,6−トリ(イソプロポキシメチル)フェニル基、4−メチル−2,6−ジ(イソプロポキシメチル)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジ(イソプロポキシメチル)フェニル基、2,6−ジ(フェノキシメチル)フェニル基、2,4,6−トリ(フェノキシメチル)フェニル基、4−メチル−2,6−ジ(フェノキシメチル)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジ(フェノキシメチル)フェニル基が挙げられ、特に好ましいものとしては、2,6−ジメトキシフェニル基、2,4,6−トリメトキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジメトキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジメトキシフェニル基、2,6−ジエトキシフェニル基、2,4,6−トリエトキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジエトキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジエトキシフェニル基、2,6−ジイソプロポキシフェニル基、2,4,6−トリイソプロポキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジイソプロポキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジイソプロポキシフェニル基、2,6−ジフェノキシフェニル基、2,4,6−トリフェノキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジフェノキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジフェノキシフェニル基が挙げられる。
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、又は基−Q−Rである。R〜Rにおいて、ヘテロ原子含有基中に含まれるヘテロ原子としては、酸素、ケイ素、フッ素が挙げられる。
これらのうち、R、R及びRとして好ましいものは、水素原子、フッ素原子、クロロ原子、ブロモ原子のハロゲン原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、トリフルオロメチル基等のパーフルオロアルキル基、ペンタフルオロフェニル基等のパーフルオロアリール基、トリメチルシリル基等のトリアルキルシリル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリーロキシ基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。特に好ましいものとしては、水素原子、フッ素原子、メチル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、トリメチルシリル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
は、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である。Rについては、嵩高い方が高分子量の重合体を与える傾向にあるので、嵩高い置換基が好ましい。このため、Rの炭素数は3〜30であることが好ましい。Rの例を具体的に挙げると、炭化水素基として、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスラセニル基、2−アンスラセニル基、9−アンスラセニル基、4−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、9−フルオレニル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、ヘテロ原子含有炭化水素基として、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリフェニルシリル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、カルバゾール基等を挙げることができる。
これらのうち、好ましいRとして、t−ブチル基、フェニル基、1−アンスラセニル基、2−アンスラセニル基、9−アンスラセニル基、4−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、9−フルオレニル基、シクロヘキシル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリフェニルシリル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、カルバゾール基が挙げられる。更に、特に好ましいものは、t−ブチル基、9−アンスラセニル基、トリメチルシリル基、ペンタフルオロフェニル基、カルバゾール基が挙げられる。
一般式(A)又は(B)において、R、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、基−Q−Rを含む置換基である。ここで、Rは、先に定義したとおりである。
基−Q−Rにおいて、Qは、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜20の二価の炭化水素基を表す。Qの2つある結合のうち一方はRと結合している。Qの例を具体的に挙げると、炭化水素基として−CH−、−CHCH−、−(CH−が挙げられる。
ヘテロ原子として挙げられるものとして、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が挙げられ、酸素原子を含有してもよい炭化水素基として−CH−O−CH−、−CH−(O−CH−、−CH−(O−CH−、−CH−O−CHCH−、−CH−(O−CHCH−、−CH−O−CHCHCH−、−CHCH−O−CH−、−CHCH−O−CHCH−、−CHCH−O−CHCHCH−が挙げられる。
また、硫黄原子を含有してもよい炭化水素基として−CH−S−CHCH−、−CH−(S−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−、−CH−S−CHCHCH−が挙げられる。
また、窒素原子を含有してもよい炭化水素基として−CH−N(CH)−CHCH−、−CH−(N(CH)−CHCH−、−CHCH−N(CH)−CHCH−、−CH−N(CH)−CHCHCH−が挙げられる。
Qがある程度の長さを有していると、担体に担持されやすくなる傾向がある。このため、好ましいQとしては、−CHCH−、−(CH−の炭化水素基、−CH−O−CHCH−、−CH−O−CHCHCH−、−CHCH−O−CHCH−、−CHCH−O−CHCHCH−が挙げられる。また、硫黄原子を含有してもよい炭化水素基として−CH−S−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−、−CH−S−CHCHCH−が挙げられる。また、窒素原子を含有してもよい炭化水素基として−CH−N(CH)−CHCH−、−CHCH−N(CH)−CHCH−、−CH−N(CH)−CHCHCH−が挙げられる。
配位子又は錯体成分の合成上の観点から更に好ましいQとしては、−CHCH−、−(CH−の炭化水素基、−CH−O−CHCH−、−CH−O−CHCHCH−が挙げられる。また、硫黄原子を含有してもよい炭化水素基として−CH−S−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−が挙げられる。また、窒素原子を含有してもよい炭化水素基として−CH−N(CH)−CHCH−が挙げられる。
基−Q−Rの具体的な構造としては、−CHCHOH、−(CHOH、−CHOCHCHOH、−CHOCHCHCHOH、−CHCHOMe、−(CHOMe、−CHOCHCHOMe、−CHOCHCHCHOMe、−CHCHCOH、−(CHCOH、−CHOCHCHCOH、−CHOCHCHCHCO、−CHCHCOMe、−(CHCOMe、−CHOCHCHCOMe、−CHOCHCHCHCOMe、−CHCHCONMe、−(CHCONMe、−CHOCHCHCONMe、−CHOCHCHCHCONMe、−CHCHCHO、−(CHCHO、−CHCHCOMe、−(CHCOMe、−CHOCHCHCOMe、−CHOCHCHCHCOMe、−CHCHSH、−(CHSH、−CHSCHCHSH、−CH(SCHCHSH、−CHCH−SCHCHSH、−CHCHSMe、−(CHSMe、−CHSCHCHSMe、−CHCHSCHCHSMe、−CHCHPPh、−(CHPPh、−CHOCHCHPPh、−CHOCHCHCHPPh、−CHCHNH、−(CHNH、−CHN(CH)CHCHNH、−CHCHNMe、−(CHNMe、−CHN(CH)CHCHNMe、−CHCHSi(OMe)、−(CHSi(OMe)が挙げられる。
このうち好ましいものは、−CHCHOH、−(CHOH、−CHOCHCHOH、−CHCHOMe、−(CHOMe、−CHCHCOH、−(CHCOH、−CHOCHCHCOH、−CHOCHCHCHCOH、−CHCHCOMe、−(CHCOMe、−CHOCHCHCOMe、−CHOCHCHCHCOMe、−CHCHCONMe、−(CHCONMe、−CHOCHCHCONMe、−CHOCHCHCHCONMe、−CHCHCHO、−(CHCHO、−CHCHCOMe、−(CHCOMe、−CHOCHCHCOMe、−CHOCHCHCHCOMe、−CHCHSH、−(CHSH、−CHSCHCHSH、−CH(SCHCHSH、−CHCH−SCHCHSH、−CHCHPPh、−(CHPPh、−CHOCHCHPPh、−CHOCHCHCHPPh、−CHCHNH、−(CHNH、−CHN(CH)CHCHNH、−CHCHSi(OMe)、−(CHSi(OMe)が挙げられる。
更に好ましいものとして、−(CHOH、−CHOCHCHOH、−CHCHCOMe、−(CHCOMe、−CHCHCONMe、−(CHCONMe、−CHCHCOMe、−(CHCOMe、−CHCHSi(OMe)、−(CHSi(OMe)が挙げられる。
一般式(A)又は(B)において、基−Q−Rの位置は特に限定されないが、基−Q−RはR若しくはRの一部、又はR若しくはRとして配置されることが好ましく、R若しくはRの一部又はRとして配置されることが特に好ましい。R及びRの特に好ましい基本骨格はフェニル基であるが、基−Q−Rはそのフェニル基の2位、3位又は4位に結合してもよい。好ましい結合位置はフェニル基の3位又は4位であり、更に好ましい結合位置はフェニル基の4位である。
以下、一般式(A)又は(B)で示される化合物として用いられる化合物の具体例を表1〜5に示すが、下記例示に限定されるものではない。ここで、Q=−(CHOH、Q=−CHOCHCHOH、Q=−CHCHCOMe、Q=−(CHCOMe、Q=−CHCHCONMe、Q=−(CHCONMe、Q=−CHCHCOMe、Q=−(CHCOMe、Q=−CHCHSi(OMe)、Q10=−(CHSi(OMe)、Meはメチル基、Phはフェニル基、Carbはカルバゾール基である。
Figure 2017200969
Figure 2017200969
Figure 2017200969
Figure 2017200969
Figure 2017200969
化合物の構造の理解のため、上記表1に記載の化合物番号7の化合物の構造式と名称を示す。この構造式の化合物は、2−ビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスファニル−4−(3−ブタノン−1−イル)−6−ペンタフルオロフェニルフェノール(B−195)と称する。
Figure 2017200969
金属触媒成分(2)には、前記一般式(A)又は(B)で表される化合物のほか、下記一般式(E)、(F)、(G)で表される化合物を用いてもよい。これらは例示であり、これらに限定されない。
Figure 2017200969
上記一般式(E)、(F)、(G)において、R20〜R26は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基又は基−Q−Rを表す。ただし、R20〜R26の内の少なくとも1個は、基−Q−Rを含む置換基である。Q及びRは、先に定義したとおりである。
20〜R26において、ハロゲン原子の好ましい具体例は、フッ素、塩素、臭素である。これらの中で、更に好ましいハロゲン原子は、塩素である。
20〜R26において、炭素数1〜30の炭化水素基に含まれていてもよいヘテロ原子としては、酸素、窒素、リン、硫黄、セレン、ケイ素、フッ素、ホウ素が挙げられる。これらのうち、酸素、窒素、硫黄、ケイ素が好ましい。また、これらのヘテロ原子を含むヘテロ原子含有基としては、酸素含有基として、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アロイル基、カルボキシレート基が挙げられる。窒素含有基としては、アミノ基、アミド基が挙げられる。硫黄含有基としては、チオアルコキシ基やチオアリーロキシ基が挙げられる。リン含有置換基としては、ホスフィノ基が挙げられる。セレン含有基としては、セレニル基が挙げられる。ケイ素含有基としては、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基が挙げられ、フッ素含有基としては、フルオロアルキル基、フルオロアリール基が挙げられる。ホウ素含有基としては、アルキルホウ素基、アリールホウ素基が挙げられる。
ヘテロ原子含有基の具体例としては、酸素含有基として、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、フェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アセトキシ基、エチルカルボキシレート基、t−ブチルカルボキシレート基、フェニルカルボキシレート基等を挙げることができる。
窒素含有基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等を挙げることができる。
硫黄含有基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオ−n−プロポキシ基、チオイソプロポキシ基、チオ−n−ブトキシ基、チオ−t−ブトキシ基、チオフェノキシ基、p−メチルチオフェノキシ基、p−メトキシチオフェノキシ基等を挙げることができる。
リン含有基としては、ジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジ−n−プロピルホスフィノ基、シクロヘキシルホスフィノ基等を挙げることができる。
セレン含有基としては、メチルセレニル基、エチルセレニル基、n−プロピルセレニル基、n−ブチルセレニル基、t−ブチルセレニル基、フェニルセレニル基等を挙げることができる。
20〜R26において、炭素数1〜30の炭化水素基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基である。ここで、アルキル基、シクロアルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、トリシクロヘキシルメチル基、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、1,1−ジメチルブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基、2−プロピルヘプチル基、2−オクチル基、3−ノニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、エキソ−ノルボルニル基、エンド−ノルボルニル基、2−ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ノピニル基、デカヒドロナフチル基、メンチル基、ネオメンチル基、ネオペンチル基、及び5−デシル基等である。これらの中で、好ましい置換基としては、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基である。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シンナミル基、スチリル基が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基が挙げられ、これらのアリール基の芳香環に存在させうる置換基の例としては、アルキル基、アリール基、融合アリール基、フェニルシクロヘキシル基、フェニルブテニル基、トリル基、キシリル基、p−エチルフェニル基等である。これらの具体例の中で、特に好ましい置換基としては、メチル基、エチル基、フェニル基であり、更に、特に好ましくは、メチル基である。これらは例示であり、これらに限定されないのは、自明である。
5.金属錯体
金属触媒成分(2)には、反応性基と遷移金属元素を共に有する成分として、下記一般式(D):
Figure 2017200969
[式中、E、X、R、R、R、R、R及びRは、先に定義したとおりであり、Mは周期表9族、10族又は11族に属する遷移金属であり、Lは、Mに配位することができるリガンドであり、Rは、水素原子又はヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である]
で示される金属錯体が含まれることが好ましい。一般式(D)で示される金属錯体は、例えば、一般式(A)又は(B)で表される化合物と遷移金属Mを含む遷移金属化合物(C)との接触により得ることができる。
Mは、周期律表の9族、10族又は11族に属する遷移金属であるが、好ましくは、10族のニッケル、パラジウム、白金及び9族のコバルト、ロジウム及び11族の銅であり、更に好ましくは、10族のニッケル、パラジウム、白金であり、最も好ましくは10族のニッケル又はパラジウムである。
Mの価数については2価が好ましい。ここでMの価数とは、有機金属化学で用いられる形式酸化数(formal oxidation number)を意味する。すなわち、ある元素が関与する結合中の電子対を電気陰性度の大きい元素に割り当てたとき、その元素の原子上に残る電荷の数を指す。例えば、一般式(D)において、Eがリン、Xが酸素、Mがニッケル、Rがフェニル基、Lがピリジンであり、ニッケルがリン、酸素、フェニル基の炭素、ピリジンの窒素と結合を形成している場合、ニッケルの形式酸化数、すなわちニッケルの価数は2価となる。上述の定義に基づき、これらの結合において、電子対は、ニッケルよりも電気陰性度の大きいリン、酸素、炭素、窒素に割り当てられ、電荷は、リンが0、酸素が−1、フェニル基が−1、ピリジンが0で、錯体は、全体として電気的に中性であるため、ニッケル上に残る電荷は+2となるからである。2価の遷移金属としては、例えば、ニッケル(II)、パラジウム(II)、白金(II)、コバルト(II)が好ましく、2価以外では、銅(I)又はロジウム(III)も好ましく用いることができる。
は、水素原子又は炭素数1〜20のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を表す。重合又は共重合反応は、MとRの結合に(a)α−オレフィン成分又は(b)(メタ)アクリル酸エステル成分が挿入することによって、開始されると考えられる。したがって、Rの炭素数が過度に多いと、この開始反応が阻害される傾向にある。このため、好ましいRとしては、炭素数1〜16、更に好ましくは炭素数1〜10である。
の具体的な例としては、ヒドリド基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、p−メチルフェニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。
は、Mに配位したリガンドを表す。リガンドLは、配位結合可能な原子として、酸素、窒素、硫黄を有する炭素数1〜20の炭化水素化合物である。また、Lとして、遷移金属に配位可能な炭素−炭素不飽和結合を有する炭化水素化合物(ヘテロ原子を含有していてもよい)も使用することができる。好ましくは、Lの炭素数は1〜16であり、更に好ましくは1〜10である。また一般式(D)中のMと配位結合するLとしては、電荷を持たない化合物が好ましい。
は、Mと配位結合を形成するが、(a)α−オレフィン成分の重合や(a)α−オレフィン成分と(b)(メタ)アクリル酸エステル成分の共重合を進行させるために、LをMから取り除く化合物を使用する必要がない。
なお、いわゆるSHOP系金属錯体においては、Lの代わりに、ホスフィン、例えば、トリメチルホスフィンやトリフェニルホスフィンを用いても、本発明と類似の錯体を合成することができる。しかしながら、こうしたリガンドを用いた場合には、該リガンドを遷移金属Mから取り除く化合物をスカベンジャーとして併用することが、オレフィンの重合能発現のために必須であることが知られている(例えば、U.Klabunde et al.、「J.Polym.Sci.:Part A:Polym.Chem.」、1987年、25巻、p1989.参照)。このような目的のために用いられるスカベンジャーとしては、Ni(COD)、B(C、アルミノキサン類、ロジウム錯体等が知られている。
好ましいLとしては、ピリジン類、ピペリジン類、アルキルエーテル類、アリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類、環状エーテル類、アルキルニトリル誘導体、アリールニトリル誘導体、アルコール類、アミド類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、アミン類、環状不飽和炭化水素類等を挙げることができる。更に好ましいLとしては、ピリジン類、環状エーテル類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、環状オレフィン類が挙げられ、特に好ましいLとして、ピリジン、ルチジン(ジメチルピリジン)、ピコリン(メチルピリジン)、RCO(R及びRは、先に定義したとおりである)を挙げることができる。なお、RとLが互いに結合して環を形成してもよい。そのような例として、シクロオクタ−1−エニル基を挙げることができ、これもまた好ましい態様である。
6.重合触媒
本発明の重合用触媒は、上記の固体担体(1)と金属触媒成分(2)を含む。中でも、金属触媒成分(2)に固体担体(1)を接触させて得られる重合触媒が好ましい。また、金属触媒成分(2)を構成する反応性基Rを有する配位性化合物と固体担体(1)とを接触させた混合物に、金属触媒成分(2)を構成する遷移金属化合物(C)を接触させて得られる重合触媒が好ましく、前記反応性基Rを有する化合物として、一般式(A)又は(B)で表される化合物と固体担体(1)とを接触させることがより好ましい。
即ち、本発明の一態様は、固体担体(1)をM 及びB(OR 3−nで処理する工程、及び、該処理された固体担体(1)を、金属触媒成分(2)で処理する工程を含む、オレフィン重合触媒の製造方法に関する。また別の一態様では、本発明は、固体担体(1)をM 及びB(OR 3−nで処理する工程、該処理された固体担体(1)を、一般式(A)又は(B)で示される化合物を接触させて混合物を調製する工程、及び、得られた該混合物に前記遷移金属化合物(C)を接触させる工程を含む、オレフィン重合触媒の製造方法に関する。更に別の一態様では、本発明は、固体担体(1)をM で処理した後、更にB(OR 3−nで処理する工程を含む、オレフィン重合触媒の製造方法に関する。
また、各成分の接触順序に特に制限はない。すなわち、
(1)反応性基Rを有する配位性化合物と遷移金属化合物(C)とを接触させたのち、M 及びB(OR 3−nを接触させた固体担体(1)と接触させてもよいし、
(2)M 及びB(OR 3−nを接触させた固体担体(1)と反応性基Rを有する配位性化合物とを接触させたのち、遷移金属化合物(C)を接触させてもよいし、
(3)反応性基Rを有する配位性化合物と遷移金属化合物(C)とを接触させたのち、M 及びB(OR 3−nと固体担体とを同時に接触させてもよいし、
(4)反応性基Rを有する配位性化合物と遷移金属化合物(C)とを接触させて一般式(D)で表される金属錯体を単離した後、M 及びB(OR 3−nと接触させてもよい。
なお、上記反応性基Rを有する配位性化合物の一例として、一般式(A)又は(B)で表される化合物が挙げられる。
また、触媒各成分の接触時、又は接触後にオレフィン重合体、シリカ、アルミナ等の無機酸化物の固体を共存させるか、もしくは接触させてもよい。更に、触媒各成分の接触時、又は接触後に、後述するルイス塩基を共存させるか、もしくは接触させてもよい。各接触圧力及び時間に特に制限はなく、加圧から減圧下、1秒〜24時間で重合触媒を得ることが出来る。
接触は窒素等の不活性ガス中で行ってもよいし、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。これらの溶媒は、水や硫黄化合物等の被毒物質を除去する操作を施したものを使用するのが好ましい。接触温度は、−20℃ないし使用する溶媒の沸点の間で行い、特には、室温から使用する溶媒の沸点の間で行うのが好ましい。
触媒各成分の使用比に特に制限はないが、固体担体として、ケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物、又は無機ケイ酸塩を用いる場合は、固体担体1gあたり、遷移金属化合物が0.0001〜10mmol、好ましくは0.001〜5mmolであり、M 又はB(OR 3−nが0.001〜10,000mmol、好ましくは0.01〜100mmolとなるように設定することにより、重合活性等の点で好適な結果が得られる。また、遷移金属化合物(C)中の遷移金属MとM 又はB(OR 3−n中のホウ素及びアルミニウム比がモル比で1:0.1〜100、好ましくは、1:0.5〜50となるように制御することが、同様に重合活性等の点で好ましい。ルイス塩基の量としては、触媒成分中の遷移金属Mに対して、0.0001当量〜1000当量、好ましくは0.1当量〜100当量、更に好ましくは0.3当量〜30当量である。
このようにして得られた触媒は、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒で洗浄して使用してもよいし、洗浄せずに用いてもよい。洗浄の際に、必要に応じて、新たに上述のM 及びB(OR 3−nを組合せて用いてもよい。この際に用いられるM 及びB(OR 3−nの量は、遷移金属化合物(C)中の遷移金属Mに対するホウ素及びアルミニウム比がモル比で1:0.1〜100になるようにするのが好ましい。
また、得られた触媒をα−オレフィンで予備重合して得られるオレフィン予備重合触媒を経て、オレフィン重合体を製造してもよい。すなわち、得られた触媒が、α−オレフィンで予備的に重合されることでオレフィン予備重合触媒が得られる。該予備重合触媒は、必要に応じて洗浄してもよい。この予備重合は窒素等の不活性ガス中、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。また用いるα−オレフィンは分子量が小さいものが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレンが好ましい。更に、オレフィン重合触媒を予備重合する際、後述するルイス塩基を含有させて、ルイス塩基の存在下にα−オレフィンで予備的に重合してもよい。得られた予備重合触媒は、必要に応じて洗浄してオレフィン重合体の製造に供することができる。
即ち、更に別の本発明の一態様では、更に、前記方法で得られたオレフィン重合触媒を、α−オレフィンで予備重合する工程を含む、オレフィン予備重合触媒の製造方法に関する。また別の一態様では、本発明は、前記予備重合がルイス塩基の存在下で行われる、オレフィン予備重合触媒の製造方法に関する。更に別の一態様では、本発明は、α−オレフィンがエチレン又はプロピレンである、オレフィン予備重合触媒の製造方法に関する。
なお、予備重合後のオレフィン予備重合触媒の構造は、予備重合前と比較して予備重合によって生成したポリマーが触媒成分の一部として含まれたものとなるが、その構造を一義的に定義することは困難である。重合触媒又は重合触媒成分は、含まれる金属成分や予備重合によって生成したポリマー種等、その構成成分としてマクロに分析できる。一方で、予備重合前触媒のどのような部位や部分構造で選択的に予備重合が進行し、その結果予備重合ポリマーがどのような触媒部位に偏在して存在しているか等、ミクロな構造については種々の形態をとり得ることができ、それらミクロ構造の形態を具体的に定義することは、現時点での分析技術を用いては困難である。
本発明の重合触媒は、例えば、一般式(A)又は(B)で表される化合物と遷移金属化合物(C)とを、((A)+(B)):(C)=1:99〜99:1(モル比)の量で、0〜100℃のトルエンやベンゼン等の有機溶媒中で、減圧〜加圧下で1〜86400秒間接触させることにより、得ることができる。遷移金属化合物(C)として、Ni(COD)のトルエン又はベンゼン溶液を用いる場合には、溶液の色が黄色から、例えば赤色に変化することにより、反応生成物の生成が確認できる。
反応後、遷移金属化合物(C)を構成している成分であって、遷移金属化合物(C)の遷移金属以外の成分は、一般式(A)で表される成分のZを除いた部分や一般式(B)で表される成分によって置換されて、一般式(D)で表される金属錯体が生成する。
この置換反応は、定量的に進行するほうが好ましいが、場合によっては完全に進行しなくてもよい。反応終了後、一般式(D)で表される金属錯体以外に、出発物質由来の他の成分が共存するが、重合反応又は共重合反応を行う際に、これらの他の成分は、除去してもよいし、除去しなくてもよい。一般的には、これらの他の成分は、除去した方が、高活性が得られるので好ましい。
反応を行う際に、遷移金属Mに配位したリガンドLを共存させてもよい。遷移金属Mとして、ニッケルやパラジウムを用いた場合には、ルイス塩基性のLを系内に共存させることによって、生成した一般式(D)で表される金属錯体の安定性が増す場合があり、このような場合には、Lが重合反応又は共重合反応を阻害しない限りにおいて、Lを共存させることが好ましい。
一般式(D)で表される金属錯体を調製する反応を、オレフィンの重合やオレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合に使用する反応器とは別の容器で予め行ったうえで、得られた一般式(D)で表される金属錯体をオレフィンの重合やオレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合に供してもよいし、反応をこれらのモノマーの存在下に行ってもよい。また、一般式(D)で表される金属錯体を調製する反応を、オレフィンの重合やオレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合に使用する反応器の中で行ってもよい。この際に、これらのモノマーは存在していてもよいし、存在していなくてもよい。また、一般式(A)又は(B)で示される成分については、それぞれ単独の成分を用いてもよいし、それぞれ複数種の成分を併用してもよい。特に、分子量分布やコモノマー含量分布を広げる目的には、こうした複数種の併用が有用である。
7.オレフィン重合
本発明の触媒を用いての重合反応は、その重合形式に特に制限はない。媒体中で少なくとも一部の生成重合体がスラリーとなるスラリー重合、液化したモノマー自身を媒体とするバルク重合、気化したモノマー中で行う気相重合、又は、高温高圧で液化したモノマーに生成重合体の少なくとも一部が溶解する高圧イオン重合等が好ましく用いられる。また、バッチ重合、セミバッチ重合、連続重合のいずれの形式でもよい。また、リビング重合であってもよいし、連鎖移動を併発しながら重合を行ってもよい。更に、いわゆるchain transfer agent(CSA)を併用し、chain shuttlingや、coordinative chain transfer polymerization(CCTP)を行ってもよい。
重合反応は、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素溶媒や液化α−オレフィン等の液体、また、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、安息香酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、ホルムアミド、アセトニトリル、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等のような極性溶媒の存在下あるいは非存在下に行ってもよい。また、ここで記載した液体化合物の混合物を溶媒として使用してもよい。更に、イオン液体も溶媒として使用可能である。なお、高い重合活性や高い分子量を得る観点からは、上述の炭化水素溶媒やイオン液体がより好ましい。
公知の添加剤の存在下又は非存在下で重合反応を行うことができる。添加剤としては、ラジカル重合を禁止する重合禁止剤や、生成共重合体を安定化する作用を有する添加剤が好ましい。例えば、キノン誘導体やヒンダードフェノール誘導体等が好ましい添加剤の例として挙げられる。具体的には、モノメチルエーテルハイドロキノンや、2,6−ジ−t−ブチル4−メチルフェノール(BHT)、トリメチルアルミニウムとBHTとの反応生成物、4価チタンのアルコキサイドとBHTとの反応生成物等が使用可能である。また、添加剤として、無機及び又は有機フィラーを使用し、これらのフィラーの存在下で重合を行ってもよい。更に、先に定義したとおりであるリガンドLやイオン液体を添加剤として用いてもよい。
好ましい添加剤として、ルイス塩基が挙げられる。適切なルイス塩基を選択することにより、活性、分子量、アクリル酸エステルの共重合性を改良することができる。ルイス塩基の量としては、重合系内に存在する触媒成分中の遷移金属Mに対して、0.0001当量〜1000当量、好ましくは0.1当量〜100当量、更に好ましくは、0.3当量〜30当量である。ルイス塩基を重合系に添加する方法については、特に制限はなく、任意の手法を用いることができる。例えば、本発明の触媒成分と混合して添加してもよいし、モノマーと混合して添加してもよいし、触媒成分やモノマーとは独立に重合系に添加してもよい。また、複数のルイス塩基を併用してもよい。また、本発明に係るL1と同じルイス塩基を用いてもよいし、異なっていてもよい。
ルイス塩基としては、芳香族アミン類、脂肪族アミン類、アルキルエーテル類、アリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類、環状エーテル類、アルキルニトリル類、アリールニトリル類、アルコール類、アミド類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、フォスフェート類、フォスファイト類、チオフェン類、チアンスレン類、チアゾール類、オキサゾール類、モルフォリン類、環状不飽和炭化水素類等を挙げることができる。これらのうち、特に好ましいルイス塩基は、芳香族アミン類、脂肪族アミン類、環状エーテル類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類であり、なかでも好ましいルイス塩基は、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピペリジン誘導体、イミダゾール誘導体、アニリン誘導体、ピペリジン誘導体、トリアジン誘導体、ピロール誘導体、フラン誘導体、脂肪族エステル誘導体である。
具体的なルイス塩基化合物としては、ピリジン、ペンタフルオロピリジン、2,6−ルチジン、2,4−ルチジン、3,5−ルチジン、ピリミジン、N、N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール、2,2′−ビピリジン、アニリン、ピペリジン、1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ピリジル)−s−トリアジン、キノリン、8−メチルキノリン、フェナジン、1,10−フェナンスロリン、N−メチルピロール、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ−[2,2,2]−オクタン、トリエチルアミン、ベンゾニトリル、ピコリン、トリフェニルアミン、N−メチル−2−ピロリドン、4−メチルモルフォリン、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、フラン、2,5−ジメチルフラン、ジベンゾフラン、キサンテン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、ジベンゾチオフェン、チアンスレン、トリフェニルホスホニウムシクロペンタジエニド、トリフェニルフォスファイト、トリフェニルフォスフェート、トリピロリジノフォスフィン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酪酸メチル、サリチル酸メチル、ぎ酸エチル、酪酸エチル、カプロン酸エチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、吉草酸ペンチル、酪酸ペンチル、酢酸オクチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸エチレンオキサイド、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジメチルアミド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等を挙げることができる。
好ましい添加剤として、ルイス酸も挙げられる。適切なルイス酸を選択することにより、活性、分子量、アクリル酸エステルの共重合性を改良することができる。ルイス酸の量としては、重合系内に存在する触媒成分中の遷移金属Mに対して、0.0001当量〜100当量、好ましくは0.1当量〜50当量、更に好ましくは、0.3当量〜30当量である。ルイス酸を重合系に添加する方法については、特に制限はなく、任意の手法を用いることができる。例えば、本発明の触媒成分と混合して添加してもよいし、モノマーと混合して添加してもよいし、触媒成分やモノマーとは独立に重合系に添加してもよいし、モノマーやルイス塩基と混合して添加してもよい。また、複数のルイス酸を併用してもよい。
添加するルイス酸は、モノマーやルイス塩基と混合することによって生成する変性ルイス酸を用いてもよいが、その混合の順序に特に制限はなく、ルイス酸にモノマーやルイス塩基を添加してもよいし、モノマーやルイス塩基にルイス酸を添加してもよい。
変性ルイス酸の調製条件、例えば接触圧力及び時間に特に制限はなく、加圧から減圧下、1秒〜24時間で変性ルイス酸を得ることが出来る。接触は窒素等の不活性ガス中で行ってもよいし、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。これらの溶媒は、水や硫黄化合物等の被毒物質を除去する操作を施したものを使用するのが好ましい。接触温度は、−20℃ないし使用する溶媒の沸点の間で行い、特には、室温から使用する溶媒の沸点の間で行うのが好ましい。
ルイス酸とモノマーやルイス塩基の使用比に特に制限はないが、ルイス酸とモノマーやルイス塩基とのモル比が1:0.5〜10,000、好ましくは1:0.8〜1,000となるように制御することが、重合活性等の点で好ましい。
具体的なルイス酸として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ペンチルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウム、トリn−デシルアルミニウムが挙げられる。
未反応モノマーや媒体は、生成共重合体から分離し、リサイクルして使用してもよい。リサイクルの際、これらのモノマーや媒体は、精製して再使用してもよいし、精製せずに再使用してもよい。生成共重合体と未反応モノマー及び媒体との分離には、従来公知の方法が使用できる。例えば、濾過、遠心分離、溶媒抽出、貧溶媒を使用した再沈等の方法が使用できる。
重合温度、重合圧力及び重合時間に、特に制限はないが、通常は、以下の範囲から生産性やプロセスの能力を考慮して、最適な設定を行うことができる。すなわち、重合温度は、通常−20℃〜290℃、好ましくは0℃〜250℃、共重合圧力は、0.1MPa〜300MPa、好ましくは、0.3MPa〜250MPa、重合時間は、0.1分〜10時間、好ましくは、0.5分〜7時間、更に好ましくは1分〜6時間の範囲から選ぶことができる。重合は、一般に不活性ガス雰囲気下で行われる。例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素雰囲気が使用でき、窒素雰囲気が好ましく使用される。なお、少量の酸素や空気の混入があってもよい。
重合反応器への触媒とモノマーの供給に関しても特に制限はなく、目的に応じてさまざまな供給法をとることができる。たとえばバッチ重合の場合、あらかじめ所定量のモノマーを重合反応器に供給しておき、そこに触媒を供給する手法をとることが可能である。この場合、追加のモノマーや追加の触媒を重合反応器に供給してもよい。また、連続重合の場合、所定量のモノマーと触媒を重合反応器に連続的に、又は間歇的に供給し、重合反応を連続的に行う手法をとることができる。
共重合体の組成の制御に関しては、複数のモノマーを反応器に供給し、その供給比率を変えることによって制御する方法を一般に用いることができる。その他、触媒の構造の違いによるモノマー反応性比の違いを利用して共重合組成を制御する方法や、モノマー反応性比の重合温度依存性を利用して共重合組成を制御する方法が挙げられる。
重合体の分子量制御には、従来公知の方法を使用することができる。すなわち、重合温度を制御する方法、モノマー濃度を制御する方法、連鎖移動剤を使用する方法、遷移金属錯体中のリガンド構造の制御による方法等が挙げられる。連鎖移動剤を使用する場合には、従来公知の連鎖移動剤を用いることができる。例えば、水素、メタルアルキル等を使用することができる。
また、(b)(メタ)アクリル酸エステル成分自身が一種の連鎖移動剤となる場合には、(b)(メタ)アクリル酸エステル成分の(a)α−オレフィン成分に対する比率や、(b)成分の濃度を制御することによっても、分子量調節が可能である。遷移金属錯体中のリガンド構造を制御して、分子量調節を行う場合には、前記R、R中のヘテロ原子含有基の種類、数、配置を制御したり、遷移金属Mのまわりに嵩高い置換基を配置したり、前記したR中にヘテロ原子を導入したりすることによって、一般に分子量が向上する傾向を利用することができる。なお、遷移金属Mに対して、アリール基やヘテロ原子含有置換基等の電子供与性基が相互作用可能となるように電子供与性基を配置することが好ましい。こうした電子供与性基が金属Mと相互作用可能であるかどうかは、一般に、分子模型や分子軌道計算で電子供与性基と金属Mとの距離を測定することによって判断できる。
本発明の共重合体は、極性基を有するモノマー単位を多く含むため、共重合体の極性基にもとづく効果により、良好な塗装性、印刷性、帯電防止性、無機フィラー分散性、他樹脂との接着性、他樹脂との相溶化能等がより強く発現する。こうした性質を利用して、本発明の共重合体は、さまざまな用途に使用することができる。例えば、フィルム、シート、接着性樹脂、バインダー、相溶化剤、ワックス等として使用可能である。
以下の実施例及び比較例において本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。以下の合成例では、特に断りのない限り、操作は精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は脱水・脱酸素したものを用いた。
1.評価法
(1)重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn及び分子量分布Mw/Mn:
以下のGPC測定により求めた。
はじめに、試料(約20mg)をポリマーラボラトリー社製高温GPC用前処理装置PL−SP260VS用のバイアル瓶に採取し、安定剤としてBHTを含有するo−ジクロロベンゼン(BHT濃度=0.5g/L)を加え、ポリマー濃度が0.1wt%になるように調整した。ポリマーを上記高温GPC用前処理装置PL−SP260VS中で135℃に加熱して溶解させ、グラスフィルターにて濾過して試料を調製した。なお、GPC測定において、グラスフィルターに捕捉されたポリマーはなかった。次に、カラムとして、東ソー社製TSKgel GMH−HT(30cm×4本)及びRI検出器を装着したウォーターズ社製GPCV2000を使用してGPC測定を行った。測定条件としては、試料溶液注入量:約520μL、カラム温度:135℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン、流量:1.0mL/分を採用した。分子量の算出は以下のように行った。すなわち、標準試料として市販の単分散のポリスチレンを使用し、該ポリスチレン標準試料及びエチレン系重合体の粘度式から、保持時間と分子量に関する校正曲線を作成し、該校正曲線に基づいて分子量の算出を行った。なお、粘度式としては、[η]=K×Mαを使用し、ポリスチレンに対しては、K=1.38E−4、α=0.70を使用し、エチレン系重合体に対しては、K=4.77E−4、α=0.70を使用した。
(2)IR分析:
熱プレスによってシートにしたサンプルをIR測定することでコモノマー含量([RA])を求めた。その際、エチレン/アクリル酸エステル共重合体は1,740〜1,690cm−1/730〜720cm−1の面積比を、以下の式を用いて換算した値である。
[RA]=1.3503(面積比)−0.2208
(3)ポリマー嵩密度(BD)の測定:JIS K 7365に準拠して測定した。
2.配位子の合成
合成例1:2−ビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスファニル−4−(3−ブタノン−1−イル)−6−ペンタフルオロフェニルフェノール配位子(B−195)の合成
[1]1,3−ジメトキシ−2−ヨードベンゼン(2)の合成
脱水テトラヒドロフラン(500mL)に1,3−ジメトキシベンゼン(50g,0.36mol)を溶解させた。ここに、窒素雰囲気下でn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(166mL,2.5M,0.42mol)を0℃で徐々に加えた。ここで得られた溶液に、脱水テトラヒドロフラン(200mL)に溶解させたヨウ素(96.5g,0.38mol)の溶液を0℃で40分間かけて滴下した。得られた溶液を室温で終夜攪拌した。終了後、メタノール(80mL)を滴下し、得られた混合物を減圧下に濃縮し、水(200mL)を加えた後、酢酸エチル(250mL)で3回抽出した。抽出液をチオ硫酸ナトリウム水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮したところ、1,3−ジメトキシ−2−ヨードベンゼン(2)が黄色の固体として得られた(63g,66%収率)。
[2]ビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィンクロリド(3)の合成
化合物(2)(19.4g,73.5mmol)を脱水テトラヒドロフラン(50mL)に溶解させ、イソプロピルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液(36.8mL,2.0M,73.6mmol)を−30℃で徐々に添加し、得られた混合物を15℃で1時間攪拌した。次に、その混合物を−78℃に冷却し、そこに三塩化リン(5.0g,36.4mmol)をゆっくり添加した。徐々に15℃まで昇温し、15℃で1時間攪拌した後、溶媒を真空除去した。得られたビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィンクロリド(3)を含む反応中間体に脱水テトラヒドロフラン(150mL)を添加し、次の反応に使用した。
[3]4−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン(B−195_5)の合成
4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン(150g,0.91mol)のアセトン(1L)/水(1L)混合溶液に臭化ナトリウム(231g,2.25mol)とオキソン(登録商標)(一過硫酸塩化合物)(843g,1.37mol)をアルゴン雰囲気下0℃で添加した後、その混合物を14時間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ別物を酢酸エチルで洗浄した(500mL×3)。ろ液と洗浄液を減圧濃縮し、得られた濃縮物を酢酸エチルで抽出した(800mL×3)。その抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水した後ろ過し、ろ液を濃縮することで目的化合物(B−195_5)を得た(250g,0.78mol,86%収率)。
[4]2−メチル−2−(2−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エチル)−1,3−ジオキサラン(B−195_6)の合成
化合物(B−195_5)(430g,1.34mol)とエチレングリコール(415g,6.69mol)との混合溶液にオルトギ酸トリメチル(709g,6.68mol)とp−トルエンスルホン酸(43g,0.20mol)をアルゴン雰囲気下15℃で添加し、混合物を14時間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水(500mL)を添加し、酢酸エチルで抽出を行った(1L×3)。抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水してろ過した後、ろ液を濃縮することで粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)することで、白色固体として目的化合物(B−195_6)を得た(420g,1.15mol,86%収率)。
[5]2−メチル−2−(2−(3,5−ジブロモ−4−(メトキシメトキシ)フェニル)エチル)−1,3−ジオキサラン(B−195_7)の合成
水素化ナトリウム(54.4g,1.36mol,ミネラルオイル40wt%)の脱水テトラヒドロフラン(500mL)懸濁液に化合物(B−195_6)(246g,0.67mol)をアルゴン雰囲気0℃で添加した後、混合物を1時間撹拌した。クロロメチルメチルエーテル(112g,1.39mol)をアルゴン雰囲気下0℃で添加した後、混合物を4時間撹拌した。混合物に氷水(500mL)を添加した後、酢酸エチルで抽出した(500mL×3)。得られた抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過した後、ろ液を濃縮することで粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)することで、無色透明液体の目的化合物(B−195_7)を得た(250g,0.61mol,90%収率)。
[6]2−メチル−2−(2−(3−ブロモ−4−(メトキシメトキシ)−5−ビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスファニルフェニル)エチル)−1,3−ジオキサラン(B−195_8)の合成
化合物(B−195_7)(30.2g,73.6mmol)の脱水テトラヒドロフラン(75mL)溶液にアルゴン雰囲気下−78℃でn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(29.4mL,2.5M,73.5mmol)を滴下し、混合物を1時間撹拌した。−78℃に冷やした反応混合物に、[2]で得られた化合物(3)の溶液(73.5mmol)を滴下し、徐々に15℃まで昇温した後、14時間撹拌した。反応混合物に氷水(100mL)を添加した後、塩化メチレンで抽出した(150mL×3)。抽出液を飽和食塩水(50mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水した。脱水抽出液を濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)することで目的化合物(B−195_8)を無色透明液体として得た(15.0g,23.6mmol,32%収率)。
[7]2−メチル−2−(2−(3−(ペンタフルオロフェニル)−4−(メトキシメトキシ)−5−ビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスファニルフェニル)エチル)−1,3−ジオキサラン(B−195_9)の合成
化合物(B−195_8)(8.0g,12.6mmol)の脱水テトラヒドロフラン(40mL)溶液にアルゴン雰囲気下−78℃でn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(5.0mL,2.5M,12.5mmol)を滴下した後、その混合物を−78℃で1時間撹拌した。−78℃の反応混合物に、ヘキサフルオロベンゼン(7.7g,41.4mmol)を滴下し、徐々に15℃まで昇温した後、14時間撹拌した。その反応混合物に氷水(50mL)を添加した後、塩化メチレンで抽出した(75mL×3)。抽出液を飽和食塩水(50mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水した。脱水抽出液を濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)することで目的化合物(B−195_9)を無色の液体として得た(4.0g,5.5mmol,44%収率)。
[8]2−ビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスファニル−4−(3−ブタノン−1−イル)−6−ペンタフルオロフェニルフェノール配位子(B−195)の合成
化合物(B−195_9)(4.0g,5.5mmol)の酢酸エチル(20mL)溶液にアルゴン雰囲気下0℃で、塩化水素の酢酸エチル溶液(4M,40mL)を加えた。その混合物を徐々に25℃まで昇温し、1時間攪拌を行った。その反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水(50mL)を添加し、酢酸エチルで抽出した(60mL×2)。抽出液を飽和塩化ナトリウム水(30mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水した。脱水した抽出液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)することで目的化合物(B−195)を白色粉末として得た(1.3g,2.1mmol,38%収率)。
HNMR(C,δ,ppm):7.72(dd,J=14.0,2.0Hz,1H),7.73(s,1H),6.99(t,J=8.4Hz,2H),6.89(s,1H),6.20(dd,J=8.4,2.4Hz,4H),3.17(s,12H),2.73(t,J=7.6Hz,2H),2.16(t,J=7.6Hz,2H),1.55(s,3H);31PNMR(C,δ,ppm):−58.4(s).
合成例2:2−(2,6−ジメトキシフェニル)(2,6−ジフェノキシフェニル)ホスファニル−4−(3−ブタノン−1−イル)−6−ペンタフルオロフェニルフェノール配位子(B−203)の合成
[1]2−メチル−2−(2−(3−ブロモ−4−(メトキシメトキシ)−5−(2,6−ジメトキシフェニル)(2,6−ジフェノキシフェニル)ホスファニルフェニル)エチル)−1,3−ジオキサラン(B−203_11A)の合成
(1−1)1,3−ジメトキシ−2−ヨードベンゼン(13.2g,50.0mmol)を脱水テトラヒドロフラン(60mL)に溶解させ、イソプロピルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液(25.0mL,2.0M,50.0mmol)を−30℃で徐々に添加し、得られた混合物を15℃で1時間攪拌した。次に、その混合物を−78℃に冷却し、そこに三塩化リン(8.40g,61.2mmol)を添加し、更に1時間撹拌した。その後、溶媒と過剰の三塩化リンを真空除去した後、残渣に脱水テトラヒドロフラン(80mL)を添加し、次の反応に使用した。
(1−2)1,3−ジフェノキシベンゼン(13.1g,49.9mmol)の脱水テトラヒドロフラン(40mL)溶液にアルゴン雰囲気下0℃でn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(20.0mL,2.50M,50.0mmol)を滴下した後、徐々に15℃まで昇温して2時間撹拌した。その混合溶液を、(1−1)で得たテトラヒドロフラン溶液に−78℃で滴下した後、徐々に15℃まで昇温して1時間撹拌した。
(1−3)2−メチル−2−(2−(3,5−ジブロモ−4−(メトキシメトキシ)フェニル)エチル)−1,3−ジオキサラン(B−195_7)(20.5g,50.0mmol)の脱水テトラヒドロフラン(50mL)溶液にアルゴン雰囲気下−78℃でn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(20.0mL,2.50M,50.0mmol)を滴下した後、更に1時間撹拌した。その混合物を、(1−2)で得られた混合物の溶液に−78℃で滴下した後、徐々に15℃まで昇温して16時間撹拌した。その反応混合物に氷水(300mL)を添加した後、有機溶媒を減圧下で留去し、酢酸エチルで抽出した(150mL×3)。抽出液を飽和食塩水(300mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水してろ過した。その後、ろ液を濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(石油エーテル/酢酸エチル=20/1)することで目的化合物(B−203_11A)を白色固体として得た(13.8g,18.2mmol,36%収率)。
[2]2−メチル−2−(2−(3−(ペンタフルオロフェニル)−4−(メトキシメトキシ)−5−(2,6−ジメトキシフェニル)(2,6−ジフェノキシフェニル)ホスファニルフェニル)エチル)−1,3−ジオキサラン(B−203_12A)の合成
化合物(B−203_11A)(13.8g,18.2mmol)の脱水テトラヒドロフラン(50mL)溶液にアルゴン雰囲気下−78℃でn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(7.3mL,2.5M,18.3mmol)を滴下した後、その混合物を−78℃で1時間撹拌した。そこにヘキサフルオロベンゼン(12.5g,67.2mmol)を滴下した後、徐々に15℃まで昇温して16時間撹拌した。その反応混合物に氷水(100mL)を添加した後、有機溶媒を減圧下で留去した。その残渣を酢酸エチルで抽出した(150mL×3)。抽出液を飽和食塩水(150mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水してろ過した。そのろ液を濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(石油エーテル/酢酸エチル=20/1)することで目的化合物(B−203_12A)を白色固体として得た(9.50g,11.2mmol,62%収率)。
(3)2−(2,6−ジメトキシフェニル)(2,6−ジフェノキシフェニル)ホスファニル−4−(3−ブタノン−1−イル)−6−ペンタフルオロフェニルフェノール配位子(B−203)の合成
化合物(B−203_12A)(0.403g,0.486mmol)の酢酸エチル(8mL)溶液にアルゴン雰囲気下0℃で、塩化水素の酢酸エチル溶液(4M,15mL)に滴下した。その混合物を徐々に25℃まで昇温し、1時間攪拌した後、有機溶媒を減圧下で留去した。得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水(30mL)を添加し、その後酢酸エチルで抽出した(30mL×2)。その抽出液を飽和塩化ナトリウム水(30mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水してろ過した。そのろ液を減圧下で濃縮したところ、目的化合物(B−203)を白色粉末として得た(0.36g,0.474mmol,98%収率)。
HNMR(CDCl,δ,ppm):7.68(s,1H),7.64(dd,J=13.2,2.0Hz,1H),6.99−6.94(m,4H),6.90(t,J=8.4Hz,1H),6.80−6.71(m,8H),6.50(dd,J=8.0,2.8Hz,2H),6.09(dd,J=8.0,2.8Hz,2H),3.17(s,6H),2.53(t,J=7.6Hz,2H),1.98(t,J=7.6Hz,2H),1.53(s,3H);31PNMR(CDCl,δ,ppm):−59.2(s).
重合触媒1の調製
固体担体1の調製:シリカ1.03g(グレースGrace948)を採取し、これにトルエン4mLを添加した。その後、撹拌しながらAlBuのトルエン溶液(0.4M、5.0mL、2.0mmol)を室温で加え、1時間反応させた。得られた混合物に、B(OEt)のトルエン溶液(0.245M、8.2mL、2.0mmol)を撹拌しながら室温で加え、70℃で1時間撹拌した。シリカを含むトルエン溶液を、トルエン20mLで3回洗浄した後に減圧乾燥し、固体担体1を1.10g得た。
重合触媒1の調製:固体担体にB−195(0.20mmol)のトルエン溶液(5.0mL)を加え、室温で30分間撹拌した。そこにNi(COD)(55.0mg、0.20mmol)のトルエン溶液5.0mLを添加し、60℃で1時間撹拌した。トルエン20mLで3回、ヘキサン20mLで2回洗浄した後に減圧乾燥し、重合触媒1を1.20g得た。
重合触媒2の調製
固体担体2の調製:シリカ1.01g(グレースGrace948)を採取し、これにトルエン4mLを添加した。その後、撹拌しながらAlBuのトルエン溶液(0.4M、5.0mL、2.0mmol)を室温で加え、1時間反応させた。得られた混合物に、B(OEt)のトルエン溶液(0.410M、4.9mL、2.0mmol)を撹拌しながら室温で加え、1時間撹拌した。シリカを含むトルエン溶液は、トルエン20mLで3回洗浄した後に減圧乾燥し、固体担体2を1.10g得た。
重合触媒2の調製:固体担体2(1.10g)にB−195(0.20mmol)のトルエン溶液(5.0mL)を加え、室温で30分間撹拌した。そこにNi(COD)(55.0mg、0.20mmol)のトルエン溶液5.0mLを添加し、60℃で1時間撹拌した。トルエン20mLで3回、ヘキサン20mLで2回洗浄した後に減圧乾燥し、重合触媒2を1.18g得た。
重合触媒3の調製
重合触媒3の調製:B(OEt)のトルエン溶液(0.410M、4.0mL、2.0mmol)とB−195(0.20mmol)のトルエン溶液(5.0mL)とを混合し、室温で30分間撹拌した。得られた溶液と固体担体1(1.12g)とを混合し室温で30分撹拌した後、Ni(COD)(55.0mg、0.20mmol)のトルエン溶液5.0mLを添加し、室温で30分撹拌した。トルエン20mLで3回、ヘキサン20mLで2回洗浄した後に減圧乾燥し、重合触媒3を1.18g得た。
重合触媒4の調整
重合触媒4の調製:固体担体2(1.11g)にB−195(0.20mmol)のトルエン溶液(5.0mL)を加え、室温で30分間撹拌した。得られた混合物にNi(COD)(55.0mg、0.20mmol)のトルエン溶液5.0mLを添加し、60℃で1時間撹拌した。トルエン20mLで3回、ヘキサン20mLで2回洗浄した後に減圧乾燥し、重合触媒4を1.19g得た。
予備重合触媒4の調製:内容積2Lの誘導撹拌式オートクレーブに、乾燥ヘキサン(200mL)、トリn−オクチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.1M、1mL、0.1mmol)、n−ブチルアクリレート(nBA)(0.2mmol)を導入した。40℃に加温した後、エチレン(0.1MPa)を導入して、重合触媒4(1.0g)を添加した。エチレンの圧が0になる度にエチレンを0.1MPa導入し、合計4回繰り返した。この操作により重合触媒1gあたりポリエチレンを6.63g含む予備重合触媒4が得られた。
重合触媒5の調製
固体担体3の調製:シリカ1.02g(グレースGrace948)を採取し、これにトルエン4mLを添加した。その後、撹拌しながらAlEtのトルエン溶液(0.4M、5.0mL、2.0mmol)を室温で加え、1時間反応させた。その混合物に、B(OEt)のトルエン溶液(0.245M、8.2mL、2.0mmol)を撹拌しながら室温で加え、1時間撹拌した。シリカを含むトルエン溶液を、トルエン20mLで3回洗浄した後に減圧乾燥し、固体担体3を1.09g得た。
重合触媒5の調製:固体担体3(1.09g)にB−203(0.20mmol)のトルエン溶液(8.0mL)を加え、室温で30分間撹拌した。得られた混合物にNi(COD)(55.0mg、0.20mmol)のトルエン溶液5.0mLを添加し、60℃で1時間撹拌した。トルエン20mLで3回、ヘキサン20mLで2回洗浄した後に減圧乾燥し、重合触媒5を1.12g得た。
[実施例1〜7]
重合触媒1〜5を用いるエチレン・アクリル酸エステルの共重合及びエチレンのホモ重合
(1)エチレン・アクリル酸エステルの共重合
[実施例1〜5]
内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブに、乾燥ヘキサン(0.6L)及びコノモノマーとして所定量のアクリル酸エステルを導入した。攪拌しながらオートクレーブを90℃に昇温した後、エチレンをオートクレーブに3.0MPa供給した。調整終了後、重合触媒のヘキサンスラリーを供給し、共重合を開始させた。1時間重合させた後、未反応ガスを除去した後、オートクレーブを開放し、濾過、溶媒洗浄、加熱乾燥を行い、共重合体を得た。
共重合に用いたコモノマーの種類と量については、表6に記載した。なお、コモノマーは、Aldrich社製のAldrichInhibitorRemoverを充填したカラムを用いて、高純度窒素雰囲気下、室温で精製した後に使用した。
[比較例1及び2]
比較例1では、AlBuに代えてAlBu(OEt)を用い、トリエトキシホウ素を用いなかったこと以外は重合触媒1と同様にして、重合触媒6を得た。比較例2では、トリエトキシホウ素に代えてトリイソプロポキシアルミニウムを用いたこと以外は重合触媒1と同様にして、重合触媒7を得た。実施例1と同様にエチレン・アクリル酸エステル共重合を実施した。比較例1では触媒量を260mg、比較例2では触媒量を130mgとした。
Figure 2017200969
表6から、実施例1〜5と比較例1〜2を対比することで、本発明の重合触媒は、共重合性が高く、比較的高い重合活性で、粒子状態の良好な重合体が得られることが分かる。アルコキシ基を有するアルミニウム化合物を用いた比較例1では十分な活性を得ることができなかった。ホウ素化合物を用いなかった比較例2ではコモノマーとしてのアクリル酸ブチルの含有量が少なくなった。
(2)エチレンのホモ重合
[実施例6及び7]
内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブに、乾燥ヘキサン(1L)、トリn−オクチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.01mL、1mL)を導入した。攪拌しながらオートクレーブを70℃に昇温した後、エチレンをオートクレーブに3.0MPa供給した。調整終了後、重合触媒のヘキサンスラリーを供給し、重合を開始させた。1時間重合させた後、未反応ガスを除去した後、オートクレーブを開放し、濾過、溶媒洗浄、加熱乾燥を行い、重合体を得た。
活性は、重合に用いた重合触媒1gあたり、重合時間1時間あたりの重合体収量(g)を表す。嵩密度(BD)は、体積既知の容器に最もゆるやかな状態で紛体を入れた場合の見掛け密度である。得られた重合体に関するGPC測定結果についても、表7に記載した。
[比較例3]
比較例3では、ホウ素化合物を用いなかったこと以外は重合触媒2と同様にして重合触媒を調製し、実施例6と同様にしてエチレンホモ重合を実施した。触媒量は表7に示す通りの量を用いた。
Figure 2017200969
表7から明らかなように、実施例6〜7と比較例3を対比することで、アルミニウムとホウ素を共に有する本発明の重合触媒は、エチレンのホモ重合においても重合性が高く、粒子状態の良好な重合体が得られることが分かる。
本発明の触媒を用いることにより、高価な助触媒を大量に使用することなく、活性が高く、粒子状のオレフィン(共)重合体を製造することが出来るため、安価にオレフィン(共)重合体を製造することが出来る。よって、本発明は工業的にきわめて価値が高い。

Claims (14)

  1. で示される化合物及びB(OR 3−nで示される化合物(ここで、Mは、アルミニウム又はホウ素を表し、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、nは1〜3の整数を表す)を接触させた固体担体(1)、並びに、
    OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、P(O)(OR2−y(R、P(OR3−x(R、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、SOM’、POM’、POM”、P(O)(ORM’及びエポキシ含有基(ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウム又はホスホニウムを表し、M”はアルカリ土類金属を表し、xは0〜3の整数を表し、yは0〜2の整数を表す)からなる群より選択される反応性基Rを有し、周期表9族、10族又は11族に属する遷移金属Mを含む遷移金属化合物を含有する金属触媒成分(2)を含有する、オレフィン重合触媒。
  2. 前記金属触媒成分(2)が、下記一般式(A)又は(B):
    Figure 2017200969

    [式中、Zは、水素であり、mはZの価数を表し、Eは、リン、砒素又はアンチモンであり、Xは、酸素又は硫黄であり、R及びRは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基又は基−Q−Rを含有し、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基(ここで、Qは、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、Rは、請求項1に定義されたとおりである)であるか、又はR及びRは、互いに結合してEとともに環を形成していてもよく、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、又は基−Q−Rであり、Rは、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基であり、ただし、R、R、R、R及びRのうちの少なくとも1つは基−Q−Rを含む置換基である]
    で示される化合物と、周期表9族、10族又は11族に属する遷移金属Mを含む遷移金属化合物(C)とを含有する、請求項1に記載のオレフィン重合触媒。
  3. 前記金属触媒成分(2)が、下記一般式(D):
    Figure 2017200969
    [式中、E、X、R、R、R、R、R及びRMは、請求項2で定義したとおりであり、Mは周期表9族、10族又は11族に属する遷移金属であり、Lは、Mに配位することができるリガンドであり、Rは、水素原子又はヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である]
    で示される金属錯体を含む、請求項2に記載のオレフィン重合触媒。
  4. 前記一般式(D)中、Mが、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト又はロジウムである、請求項3に記載のオレフィン重合触媒。
  5. 前記固体担体(1)が、無機酸化物又はポリマー担体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレフィン重合触媒。
  6. が、OR、CO、C(O)N(R、C(O)R、SR、P(R、NHR、N(R又はSi(OR3−x(R(ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基である)である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のオレフィン重合触媒。
  7. 固体担体(1)をM 及びB(OR 3−nで処理する工程、及び、該処理された固体担体(1)を、金属触媒成分(2)で処理する工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のオレフィン重合触媒の製造方法。
  8. 固体担体(1)をM 及びB(OR 3−nで処理する工程、該処理された固体担体(1)を、一般式(A)又は(B)で示される化合物を接触させて混合物を調製する工程、及び、得られた該混合物に前記遷移金属化合物(C)を接触させる工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のオレフィン重合触媒の製造方法。
  9. 固体担体(1)をM で処理した後、更にB(OR 3−nで処理する工程を含む、請求項7又は8記載のオレフィン重合触媒の製造方法。
  10. 更に、請求項7〜9のいずれか1項記載の方法で得られたオレフィン重合触媒を、α−オレフィンで予備重合する工程を含む、オレフィン予備重合触媒の製造方法。
  11. 前記予備重合がルイス塩基の存在下で行われる、請求項10に記載のオレフィン予備重合触媒の製造方法。
  12. 前記α−オレフィンがエチレン又はプロピレンである、請求項10又は11に記載のオレフィン予備重合触媒の製造方法。
  13. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のオレフィン重合触媒又は請求項7〜12のいずれか1項記載の方法により得られるオレフィン重合触媒若しくはオレフィン予備重合触媒の存在下、オレフィンを単独重合又は共重合する工程を含む、オレフィン重合体の製造方法。
  14. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のオレフィン重合触媒又は請求項7〜12のいずれか1項記載の方法により得られるオレフィン重合触媒若しくはオレフィン予備重合触媒の存在下、オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルを共重合する工程を含む、α−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法。
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