JP7077006B2 - 保持装置 - Google Patents

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Description

本明細書に開示される技術は、対象物を保持する保持装置に関する。
例えば半導体を製造する際にウェハを保持する保持装置として、静電チャックが用いられる。静電チャックは、所定の方向(以下、「第1の方向」という)に略垂直な略平面状の表面(以下、「吸着面」という)を有するセラミックス部材と、ベース部材と、セラミックス部材とベース部材とを接合する接合部と、セラミックス部材の内部に設けられたチャック電極とを備えている。静電チャックは、チャック電極に電圧が印加されることにより発生する静電引力を利用して、セラミックス部材の吸着面にウェハを吸着して保持する。
静電チャックの吸着面に保持されたウェハの温度分布が不均一になると、ウェハに対する各処理(成膜、エッチング等)の精度が低下するおそれがあるため、静電チャックにはウェハの温度分布をできるだけ均一にする性能が求められる。そのため、ベース部材には、下面(セラミックス部材に対向する側とは反対側の表面)に開口する供給口および排出口と、供給口と排出口との間を結ぶ冷媒流路とが形成されており、冷媒流路に冷媒を供給することによってセラミックス部材の吸着面の温度制御が行われる(例えば、特許文献1参照)。
特開2004-071647号公報
ベース部材の下面に形成された供給口から供給された冷媒は、その流れの向きを変えて冷媒流路内を進み、さらに流れの向きを変えて、ベース部材の下面に形成された排出口から排出される。そのため、冷媒は、冷媒流路における供給口の付近において、比較的滞留時間が長くなる。また、冷媒流路内の冷媒の温度は、供給口付近において最も低くなる。そのため、従来の静電チャックでは、上記第1の方向視でセラミックス部材の吸着面における供給口に重なる位置が温度特異点となりやすく、吸着面の温度分布の均一性を十分に向上させることができない、という課題がある。
なお、このような課題は、静電引力を利用してウェハを保持する静電チャックに限らず、セラミックス部材と、ベース部材と、接合部とを備え、セラミックス部材の表面上に対象物を保持する保持装置一般に共通の課題である。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される保持装置は、第1の方向に略垂直な略平面状の第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を有するセラミックス部材と、第3の表面と、前記第3の表面とは反対側の第4の表面と、を有し、前記第3の表面が前記セラミックス部材の前記第2の表面に対向するように配置されたベース部材と、前記セラミックス部材の前記第2の表面と前記ベース部材の前記第3の表面との間に配置され、前記セラミックス部材と前記ベース部材とを接合する接合部と、を備え、前記セラミックス部材の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、前記ベース部材には、前記ベース部材の前記第4の表面に開口する供給口および排出口と、前記供給口と前記排出口との間を結ぶ冷媒流路と、が形成されており、前記第1の方向視で、前記供給口の全体が、前記セラミックス部材の前記第1の表面の外周縁より外側に配置されている。本保持装置では、第1の方向視で、冷媒流路のうち冷媒の滞留時間が比較的長い供給口の全体が、セラミックス部材の第1の表面の外周縁より外側に配置されている。そのため、本保持装置によれば、供給口の存在に起因してセラミックス部材の第1の表面に温度特異点が発生することを抑制することができ、セラミックス部材の第1の表面における温度分布の均一性を十分に向上させることができる。
(2)上記保持装置において、前記冷媒流路は、前記供給口と前記排出口とのそれぞれから前記第3の表面に交差する方向に延びる第1の流路と、前記第3の表面に略平行な方向に延び、2つの前記第1の流路の間を結ぶ第2の流路と、を有し、前記第1の方向視で、前記供給口から延びる前記第1の流路に隣接する前記第2の流路の一部分が、前記セラミックス部材の前記第1の表面の外周縁より外側に配置されている構成としてもよい。供給口から延びる第1の流路に隣接する第2の流路の一部分では、冷媒流路内の冷媒の温度が、供給口付近に準ずる程度に非常に低くなる。そのため、第1の方向視で、セラミックス部材の第1の表面における第2の流路の上記一部分に重なる位置も、温度特異点となりやすい。本保持装置では、第1の方向視で、供給口から延びる第1の流路に隣接する第2の流路の一部分が、セラミックス部材の第1の表面の外周縁より外側に配置されている。そのため、本保持装置によれば、第2の流路の該一部分の存在に起因してセラミックス部材の第1の表面に温度特異点が発生することを抑制することができ、セラミックス部材の第1の表面における温度分布の均一性を極めて効果的に向上させることができる。
(3)上記保持装置において、前記冷媒流路は、前記供給口と前記排出口とのそれぞれから前記第3の表面に交差する方向に延びる第1の流路と、前記第3の表面に略平行な方向に延び、2つの前記第1の流路の間を結ぶ第2の流路と、を有し、前記第1の方向に平行であり、前記供給口の中心を通り、かつ、前記供給口から延びる前記第1の流路に隣接する前記第2の流路の一部分を通る断面において、前記第2の流路の内の前記第1の方向において前記供給口に対向する部分の表面はR形状であることを特徴とする構成としてもよい。本保持装置では、第2の流路の内の第1の方向において供給口に対向する部分の表面がR形状である。そのため、第2の流路の該部分における冷媒の流れが促進されることによって、該部分での滞留が抑制され、供給口の付近における冷媒の滞留時間を短くすることができる。従って、本保持装置によれば、供給口の存在に起因してセラミックス部材の第1の表面に温度特異点が発生することを効果的に抑制することができ、セラミックス部材の第1の表面における温度分布の均一性を極めて効果的に向上させることができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、保持装置、静電チャック、CVDヒータ等のヒータ装置、真空チャック、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
第1実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図である。 第1実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。 第1実施形態における静電チャック100のXY断面構成を概略的に示す説明図である。 第1実施形態における静電チャック100の一部分の断面構成を概略的に示す説明図である。 第1実施形態における静電チャック100の一部分の断面構成を概略的に示す説明図である。 第2実施形態の静電チャック100aの構成を概略的に示す説明図である。 第3実施形態の静電チャック100bの構成を概略的に示す説明図である。
A.第1実施形態:
A-1.静電チャック100の構成:
図1は、第1実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、第1実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図であり、図3は、第1実施形態における静電チャック100のXY断面構成を概略的に示す説明図である。図2には、図3のII-IIの位置における静電チャック100のXZ断面構成が示されており、図3には、図2のIII-IIIの位置における静電チャック100のXY断面構成が示されている。また、図4および図5は、第1実施形態における静電チャック100の一部分の断面構成を概略的に示す説明図である。図4には、図3のIV-IVの位置における静電チャック100の一部分のZ軸に平行な断面構成が示されており、図5には、図3のV-Vの位置における静電チャック100の一部分のZ軸に平行な断面構成が示されている。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、静電チャック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。上下方向は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
静電チャック100は、対象物(例えばウェハW)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば半導体製造装置の真空チャンバー内でウェハWを固定するために使用される。静電チャック100は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向(Z軸方向))に並べて配置されたセラミックス部材10およびベース部材20を備える。セラミックス部材10とベース部材20とは、セラミックス部材10の下面S2とベース部材20の上面S3とが上記配列方向に対向するように配置されている。静電チャック100は、さらに、セラミックス部材10の下面S2とベース部材20の上面S3との間に配置された接合層30を備える。静電チャック100の下面S2は、特許請求の範囲における第2の表面に相当し、ベース部材20の上面S3は、特許請求の範囲における第3の表面に相当する。また、接合層30は、特許請求の範囲における接合部に相当する。
セラミックス部材10は、例えば円形平面の板状部材であり、セラミックスにより形成されている。セラミックス部材10の直径は、例えば50mm~500mm程度(通常は200mm~350mm程度)であり、セラミックス部材10の厚さは、例えば1mm~10mm程度である。
セラミックス部材10の形成材料としては、種々のセラミックスが用いられ得るが、強度や耐摩耗性、耐プラズマ性等の観点から、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ、Al)または窒化アルミニウム(AlN)を主成分とするセラミックスが用いられることが好ましい。なお、ここでいう主成分とは、含有割合(重量割合)の最も多い成分を意味する。
セラミックス部材10の内部には、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成された一対のチャック電極40が設けられている。一対のチャック電極40に電源(図示せず)から電圧が印加されると、静電引力が発生し、この静電引力によってウェハWがセラミックス部材10の上面(Z軸方向に略垂直な略平面状の表面であり、以下、「吸着面S1」という)に吸着固定される。吸着面S1は、特許請求の範囲における第1の表面に相当する。
また、セラミックス部材10の内部には、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)を含む抵抗発熱体により構成されたヒータ50が設けられている。ヒータ50に電源(図示せず)から電圧が印加されると、ヒータ50が発熱することによってセラミックス部材10が温められ、セラミックス部材10の吸着面S1に保持されたウェハWが温められる。これにより、ウェハWの温度制御が実現される。
接合層30は、例えばシリコーン系樹脂やアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の接着剤を含んでおり、セラミックス部材10とベース部材20とを接合している。接合層30の厚さは例えば0.1mm~1mm程度である。
ベース部材20は、セラミックス部材10より径が大きい略円形平面の板状部材であり、例えば金属(アルミニウムやアルミニウム合金等)により形成されている。ベース部材20の直径は、例えば220mm~550mm程度(通常は220mm~350mm程度)であり、ベース部材20の厚さは、例えば20mm~40mm程度である。
ベース部材20の内部には冷媒流路200が形成されている。冷媒流路200に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)が供給されると、ベース部材20が冷却される。上述したヒータ50によるセラミックス部材10の加熱と併せてベース部材20の冷却が行われると、接合層30を介したセラミックス部材10とベース部材20との間の伝熱により、セラミックス部材10の吸着面S1に保持されたウェハWの温度が一定に維持される。さらに、プラズマ処理中にプラズマからの入熱が生じた際には、ヒータ50に加える電力を調整することにより、ウェハWの温度制御が実現される。
ベース部材20の冷媒流路200に関する構成について、さらに詳細に説明する。ベース部材20の下面S4には、供給口201と排出口202とが開口している。図3に示すように、供給口201と排出口202とは、Z軸方向視で、ベース部材20の外周縁付近に配置されている。より詳細には、供給口201と排出口202とは、Z軸方向視で、その全体が、セラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より外側に配置されている。本実施形態におけるベース部材20の下面S4は、特許請求の範囲における第4の表面に相当する。
冷媒流路200は、供給口201と排出口202とを結ぶように形成されている。より詳細には、冷媒流路200は、供給口201からベース部材20の上面S3に交差する方向(本実施形態ではZ軸方向)に延びる供給側流路211と、排出口202からベース部材20の上面S3に交差する方向(本実施形態ではZ軸方向)に延びる排出側流路212と、ベース部材20の上面S3に略平行な方向に延び、供給側流路211と排出側流路212との間を結ぶ主流路220とを有する。図3に示すように、Z軸方向視で、主流路220は、ベース部材20の中心付近で折り返された螺旋形状に形成されている。供給側流路211および排出側流路212は、特許請求の範囲における第1の流路に相当し、主流路220は、特許請求の範囲における第2の流路に相当する。
また、図3に示すように、Z軸方向視で、主流路220の一部分は、セラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より外側に配置されている。具体的には、供給口201から延びる供給側流路211に隣接する(つながる)主流路220の一部分(図3のX1部)と、排出口202から延びる排出側流路212に隣接する(つながる)主流路220の一部分(図3のX2部)とが、セラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より外側に配置されている。なお、本実施形態では、供給側流路211と主流路220との接続箇所、および、排出側流路212と主流路220との接続箇所も、セラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より外側に配置されている。
また、図4に示すように、Z軸方向に平行であり、供給口201の中心を通り、かつ、供給口201から延びる供給側流路211に隣接する(つながる)主流路220の一部分を通る断面(例えば、図4に示す断面)において、主流路220の内のZ軸方向において供給口201に対向する部分(以下、「供給口対向部分221」という)の表面は、R形状となっている。同様に、図5に示すように、Z軸方向に平行であり、排出口202の中心を通り、かつ、排出口202から延びる排出側流路212に隣接する(つながる)主流路220の一部分を通る断面(例えば、図5に示す断面)において、主流路220の内のZ軸方向において排出口202に対向する部分(以下、「排出口対向部分222」という)の表面は、R形状となっている。なお、上述したZ軸方向に平行であり、供給口201の中心を通り、かつ、供給口201から延びる供給側流路211に隣接する主流路220の一部分を通る断面は、供給側流路211から主流路220に流入する冷媒の流れ方向に略平行な断面であると言える。同様に、上述したZ軸方向に平行であり、排出口202の中心を通り、かつ、排出口202から延びる排出側流路212に隣接する主流路220の一部分を通る断面は、主流路220から排出側流路212に流入する冷媒の流れ方向に略平行な断面であると言える。
このような構成のベース部材20は、例えば、一の金属部材(例えば、アルミニウム部材)に、主流路220に対応する形状の溝を形成し、他の金属部材(例えば、アルミニウム部材)に、供給側流路211および排出側流路212に対応する形状の孔を形成し、両部材を例えば溶接により接合することにより、作製することができる。
A-2.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の静電チャック100は、Z軸方向に略垂直な略平面状の吸着面S1と、吸着面S1とは反対側の下面S2と、を有するセラミックス部材10と、上面S3と、上面S3とは反対側の下面S4と、を有し、上面S3がセラミックス部材10の下面S2に対向するように配置されたベース部材20と、セラミックス部材10の下面S2とベース部材20の上面S3との間に配置され、セラミックス部材10とベース部材20とを接合する接合層30とを備え、セラミックス部材10の吸着面S1上に対象物(例えば、ウェハW)を保持する装置である。また、本実施形態の静電チャック100では、ベース部材20には、ベース部材20の下面S4に開口する供給口201および排出口202と、供給口201と排出口202との間を結ぶ冷媒流路200と、が形成されている。また、本実施形態の静電チャック100では、Z軸方向視で、供給口201および排出口202の全体が、セラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より外側に配置されている。本実施形態の静電チャック100は、このような構成であるため、以下に説明するように、吸着面S1の温度分布の均一性を十分に向上させることができる。
すなわち、本実施形態の静電チャック100では、ベース部材20の下面S4に供給口201および排出口202が開口しており、かつ、供給口201と排出口202との間を結ぶ冷媒流路200がベース部材20に形成されている。ベース部材20の下面S4に形成された供給口201から供給された冷媒は、その流れの向きを変えて冷媒流路200内を進み、さらに流れの向きを変えて、ベース部材20の下面S4に形成された排出口202から排出される。そのため、冷媒は、供給口201および排出口202の付近において、比較的滞留時間が長くなる。また、冷媒流路200内の冷媒の温度は、供給口201付近において最も低くなり、排出口202付近において最も高くなる。そのため、従来の構成の静電チャックでは、Z軸方向視で、セラミックス部材10の吸着面S1における供給口201や排出口202に重なる位置が、温度特異点となりやすい。しかしながら、本実施形態の静電チャック100では、Z軸方向視で、供給口201および排出口202の全体が、セラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より外側に配置されている。そのため、本実施形態の静電チャック100によれば、供給口201や排出口202の存在に起因してセラミックス部材10の吸着面S1に温度特異点が発生することを抑制することができ、その結果、セラミックス部材10の吸着面S1における温度分布の均一性を十分に向上させることができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、冷媒流路200は、供給口201からベース部材20の上面S3に交差する方向に延びる供給側流路211、および、排出口202からベース部材20の上面S3に交差する方向に延びる排出側流路212と、ベース部材20の上面S3に略平行な方向に延び、供給側流路211と排出側流路212との間を結ぶ主流路220と、を有する。また、本実施形態の静電チャック100では、Z軸方向視で、供給口201から延びる供給側流路211に隣接する主流路220の一部分(図3のX1部)と、排出口202から延びる排出側流路212に隣接する主流路220の一部分(図3のX2部)とが、セラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より外側に配置されている。上述した供給口201から延びる供給側流路211に隣接する主流路220の一部分では、冷媒流路200内の冷媒の温度が、供給口201付近に準ずる程度に非常に低くなる。また、上述した排出口202から延びる排出側流路212に隣接する主流路220の一部分では、冷媒流路200内の冷媒の温度が、排出口202付近に準ずる程度に非常に高くなる。そのため、従来の構成の静電チャックでは、Z軸方向視で、セラミックス部材10の吸着面S1における主流路220の上記各一部分に重なる位置も、温度特異点となりやすい。しかしながら、本実施形態の静電チャック100では、Z軸方向視で、主流路220の上記各一部分がセラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より外側に配置されている。そのため、本実施形態の静電チャック100によれば、主流路220の上記各一部分の存在に起因してセラミックス部材10の吸着面S1に温度特異点が発生することを抑制することができ、セラミックス部材10の吸着面S1における温度分布の均一性を極めて効果的に向上させることができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、冷媒流路200は、供給口201からベース部材20の上面S3に交差する方向に延びる供給側流路211、および、排出口202からベース部材20の上面S3に交差する方向に延びる排出側流路212と、ベース部材20の上面S3に略平行な方向に延び、供給側流路211と排出側流路212との間を結ぶ主流路220と、を有する。また、本実施形態の静電チャック100では、Z軸方向に平行であり、供給口201の中心を通り、かつ、供給口201から延びる供給側流路211に隣接する主流路220の一部分を通る断面(すなわち、供給側流路211から主流路220に流入する冷媒の流れ方向に略平行な断面)において、主流路220の内のZ軸方向において供給口201に対向する部分(供給口対向部分221)の表面はR形状である。同様に、本実施形態の静電チャック100では、Z軸方向に平行であり、排出口202の中心を通り、かつ、排出口202から延びる排出側流路212に隣接する主流路220の一部分を通る断面(すなわち、主流路220から排出側流路212に流入する冷媒の流れ方向に略平行な断面)において、主流路220の内のZ軸方向において排出口202に対向する部分(排出口対向部分222)の表面はR形状である。そのため、本実施形態の静電チャック100では、主流路220の供給口対向部分221および排出口対向部分222における冷媒の流れが促進されることによって、供給口対向部分221および排出口対向部分222での冷媒の滞留が抑制され、供給口201および排出口202の付近における冷媒の滞留時間を短くすることができる。従って、本実施形態の静電チャック100によれば、供給口201や排出口202の存在に起因してセラミックス部材10の吸着面S1に温度特異点が発生することを効果的に抑制することができ、セラミックス部材10の吸着面S1における温度分布の均一性を極めて効果的に向上させることができる。
B.第2実施形態:
図6は、第2実施形態の静電チャック100aの構成を概略的に示す説明図である。図6には、上述した図3の断面に対応する第2実施形態の静電チャック100aのXY断面構成が示されている。以下では、第2実施形態の静電チャック100aの構成の内、上述した第1実施形態の静電チャック100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図6に示すように、第2実施形態の静電チャック100aの構成は、上述した第1実施形態の静電チャック100の構成と比較して、排出口202(および排出側流路212)の位置、および、主流路220の形状が異なっている。具体的には、第2実施形態の静電チャック100aでは、排出口202(および排出側流路212)が、Z軸方向視で、ベース部材20の中心付近に配置されている。そのため、第2実施形態の静電チャック100aでは、排出口202(および排出側流路212)は、Z軸方向視で、セラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より内側に配置されている。なお、供給口201については、第1実施形態の静電チャック100と同様に、Z軸方向視で、セラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より外側に配置されている。
また、第2実施形態の静電チャック100aでは、Z軸方向視で、主流路220は、螺旋形状に形成されている。第2実施形態の静電チャック100aでは、第1実施形態の静電チャック100と同様に、供給口201から延びる供給側流路211に隣接する(つながる)主流路220の一部分(図6のX1部)が、セラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より外側に配置されている。ただし、排出口202側については、主流路220の一部分がセラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より外側に配置されていることはない。
以上説明したように、第2実施形態の静電チャック100aでは、Z軸方向視で、供給口201の全体がセラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より外側に配置されているため、供給口201の存在に起因してセラミックス部材10の吸着面S1に温度特異点が発生することを抑制することができ、その結果、セラミックス部材10の吸着面S1における温度分布の均一性を十分に向上させることができる。
また、第2実施形態の静電チャック100aでは、Z軸方向視で、供給口201から延びる供給側流路211に隣接する主流路220の一部分(図6のX1部)がセラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より外側に配置されているため、主流路220の上記一部分の存在に起因してセラミックス部材10の吸着面S1に温度特異点が発生することを抑制することができ、セラミックス部材10の吸着面S1における温度分布の均一性を極めて効果的に向上させることができる。
C.第3実施形態:
図7は、第3実施形態の静電チャック100bの構成を概略的に示す説明図である。図7には、上述した図4の断面に対応する第3実施形態の静電チャック100bの断面構成が示されている。以下では、第3実施形態の静電チャック100bの構成の内、上述した第1実施形態の静電チャック100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図7に示すように、第3実施形態の静電チャック100bの構成は、上述した第1実施形態の静電チャック100の構成と比較して、供給側流路211の延伸方向が異なっている。具体的には、第3実施形態の静電チャック100bでは、Z軸方向に平行であり、供給口201の中心を通り、かつ、供給口201から延びる供給側流路211に隣接する(つながる)主流路220の一部分を通る断面(例えば、図7に示す断面)において、供給側流路211の延伸方向が、Z軸方向ではなく、供給口201側から主流路220側に向かってベース部材20の中心側に傾いた方向となっている。なお、第3実施形態の静電チャック100bでは、供給口対向部分221の表面は、R形状とされていない。
また、図示しないが、第3実施形態の静電チャック100bでは、排出側流路212の延伸方向についても、供給側流路211と同様となっている。すなわち、Z軸方向に平行であり、排出口202の中心を通り、かつ、排出口202から延びる排出側流路212に隣接する(つながる)主流路220の一部分を通る断面において、排出側流路212の延伸方向が、Z軸方向ではなく、排出口202側から主流路220側に向かってベース部材20の中心側に傾いた方向となっている。なお、第3実施形態の静電チャック100bでは、排出口対向部分222の表面は、R形状とされていない。
以上説明したように、第3実施形態の静電チャック100bでは、供給側流路211および排出側流路212の延伸方向が、Z軸方向ではなく、供給口201側または排出口202側から主流路220側に向かってベース部材20の中心側に傾いた方向となっている。そのため、第3実施形態の静電チャック100bでは、供給側流路211から主流路220に流入する冷媒の流れが促進されると共に、主流路220から排出側流路212に流入する冷媒の流れが促進されることによって、供給口対向部分221および排出口対向部分222での冷媒の滞留が抑制され、供給口201および排出口202の付近における冷媒の滞留時間を短くすることができる。従って、第3実施形態の静電チャック100bによれば、供給口201や排出口202の存在に起因してセラミックス部材10の吸着面S1に温度特異点が発生することを効果的に抑制することができ、セラミックス部材10の吸着面S1における温度分布の均一性を極めて効果的に向上させることができる。
D.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における静電チャック100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記第1実施形態では、Z軸方向視で、供給口201および排出口202の両方について、その全体がセラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より外側に配置されているが、供給口201のみについて、その全体がセラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より外側に配置されているとしてもよい。
また、上記第1実施形態では、Z軸方向視で、供給口201から延びる供給側流路211に隣接する主流路220の一部分(図3のX1部)と、排出口202から延びる排出側流路212に隣接する主流路220の一部分(図3のX2部)との両方が、セラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より外側に配置されているが、これらの一部分の一方または両方が、セラミックス部材10の吸着面S1の外周縁より内側に配置されているとしてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、供給口対向部分221および排出口対向部分222の表面はR形状であるが、供給口対向部分221および排出口対向部分222の一方または両方の表面がR形状ではないとしてもよい。
また、上記第1および第2実施形態において、供給側流路211と排出側流路212との少なくとも一方の延伸方向が、Z軸方向ではなく、他の方向(例えば、図7に示す第3実施形態と同様の方向)であるとしてもよい。
また、上記実施形態では、セラミックス部材10の内部に1つのチャック電極40が設けられた単極方式が採用されているが、セラミックス部材10の内部に一対のチャック電極40が設けられた双極方式が採用されてもよい。また、上記実施形態の静電チャック100における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。
また、本発明は、静電引力を利用してウェハWを保持する静電チャック100に限らず、セラミックス部材の表面上に対象物を保持する他の保持装置(例えば、CVDヒータ等のヒータ装置や真空チャック等)にも適用可能である。
10:セラミックス部材 20:ベース部材 30:接合層 40:チャック電極 50:ヒータ 100:静電チャック 200:冷媒流路 201:供給口 202:排出口 211:供給側流路 212:排出側流路 220:主流路 221:供給口対向部分 222:排出口対向部分

Claims (2)

  1. 第1の方向に略垂直な略平面状の第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を有するセラミックス部材と、
    第3の表面と、前記第3の表面とは反対側の第4の表面と、を有し、前記第3の表面が前記セラミックス部材の前記第2の表面に対向するように配置されたベース部材と、
    前記セラミックス部材の前記第2の表面と前記ベース部材の前記第3の表面との間に配置され、前記セラミックス部材と前記ベース部材とを接合する接合部と、
    を備え、前記セラミックス部材の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、
    前記ベース部材には、前記ベース部材の前記第4の表面に開口する供給口および排出口と、前記供給口と前記排出口との間を結ぶ冷媒流路と、が形成されており、
    前記第1の方向視で、前記供給口の全体が、前記セラミックス部材の前記第1の表面の外周縁より外側に配置されており、
    前記冷媒流路は、
    前記供給口と前記排出口とのそれぞれから前記第3の表面に交差する方向に延びる第1の流路と、
    前記第3の表面に略平行な方向に延び、2つの前記第1の流路の間を結ぶ第2の流路と、
    を有し、
    前記第1の方向に平行であり、前記供給口の中心を通り、かつ、前記供給口から延びる前記第1の流路に隣接する前記第2の流路の一部分を通る断面において、前記第2の流路の内の前記第1の方向において前記供給口に対向する部分の表面はR形状であることを特徴とする、保持装置。
  2. 請求項1に記載の保持装置において、
    前記冷媒流路は、
    前記供給口と前記排出口とのそれぞれから前記第3の表面に交差する方向に延びる第1の流路と、
    前記第3の表面に略平行な方向に延び、2つの前記第1の流路の間を結ぶ第2の流路と、
    を有し、
    前記第1の方向視で、前記供給口から延びる前記第1の流路に隣接する前記第2の流路の一部分が、前記セラミックス部材の前記第1の表面の外周縁より外側に配置されていることを特徴とする、保持装置。
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