A.第1実施形態:
A−1.静電チャック10の構成:
図1は、第1実施形態における静電チャック10の外観構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、第1実施形態における静電チャック10のXZ断面構成を概略的に示す説明図であり、図3は、第1実施形態における静電チャック10のXY断面構成を概略的に示す説明図である。図2には、図3のII−IIの位置における静電チャック10のXZ断面構成が示されており、図3には、図2のIII−IIIの位置における静電チャック10のXY断面構成が示されている。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、静電チャック10は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
静電チャック10は、対象物(例えばウェハW)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば半導体製造装置の真空チャンバー内でウェハWを固定するために使用される。静電チャック10は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向(Z軸方向))に並べて配置されたセラミックス板100およびベース部材200を備える。セラミックス板100とベース部材200とは、セラミックス板100の下面S2(図2参照)とベース部材200の上面S3とが上記配列方向に対向するように配置される。
セラミックス板100は、上述した配列方向(Z軸方向)に略直交する略円形平面状の上面(以下、「吸着面」という)S1を有する板状部材であり、セラミックス(例えば、アルミナや窒化アルミニウム等)により形成されている。セラミックス板100の直径は例えば50mm〜500mm程度(通常は200mm〜350mm程度)であり、セラミックス板100の厚さは例えば1mm〜10mm程度である。セラミックス板100の吸着面S1は、特許請求の範囲における第1の表面に相当し、上述した配列方向(Z軸方向)は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。また、本明細書では、Z軸に直交する方向(すなわち、吸着面S1に平行な方向)を「面方向」という。
図2に示すように、セラミックス板100の内部には、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成されたチャック電極400が設けられている。Z軸方向視でのチャック電極400の形状は、例えば略円形である。チャック電極400に電源(図示せず)から電圧が印加されると、静電引力が発生し、この静電引力によってウェハWがセラミックス板100の吸着面S1に吸着固定される。
また、図2および図3に示すように、セラミックス板100の内部には、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成された抵抗発熱体で構成された複数の(2つの)ヒータ電極500(第1のヒータ電極500Aおよび第2のヒータ電極500B)が設けられている。第1のヒータ電極500Aは、例えば、Z軸方向視でセラミックス板100における外周側の領域に配置され、第2のヒータ電極500Bは、例えば、セラミックス板100における中心側の領域に配置される。Z軸方向視での各ヒータ電極500の形状は、例えば、略螺旋形である。各ヒータ電極500に電源(図示せず)から電圧が印加されると、各ヒータ電極500が発熱することによってセラミックス板100が温められ、セラミックス板100の吸着面S1に保持されたウェハWが温められる。これにより、ウェハWの温度制御が実現される。
ベース部材200は、例えばセラミックス板100と同径の、または、セラミックス板100より径が大きい円形平面の板状部材であり、例えば金属(アルミニウムやアルミニウム合金等)により形成されている。ベース部材200の直径は例えば220mm〜550mm程度(通常は220mm〜350mm)であり、ベース部材200の厚さは例えば20mm〜40mm程度である。
ベース部材200の内部には冷媒流路210が形成されている。冷媒流路210に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)が流されると、ベース部材200が冷却され、後述する接着層300を介したベース部材200とセラミックス板100との間の伝熱によりセラミックス板100が冷却され、セラミックス板100の吸着面S1に保持されたウェハWが冷却される。これにより、ウェハWの温度制御が実現される。
セラミックス板100とベース部材200とは、セラミックス板100の下面S2とベース部材200の上面S3との間に配置された接着層300によって互いに接合されている。接着層300は、例えばシリコーン系樹脂やアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の接着材により構成されている。接着層300の厚さは、例えば0.1mm〜1mm程度である。
A−2.各ヒータ電極500への給電のための構成:
図4は、各ヒータ電極500への給電のための構成を模式的に示す説明図である。以下、図2から図4を参照して、各ヒータ電極500への給電のための構成について説明する。
図2に示すように、静電チャック10には、ベース部材200の下面S4からセラミックス板100の内部に至る一対の端子用孔11,12が形成されている。各端子用孔11,12は、ベース部材200を上下方向に貫通する貫通孔220と、接着層300を上下方向に貫通する貫通孔320と、セラミックス板100の下面S2側に形成された凹部120とが、互いに連通することにより構成された一体の孔である。
一対の端子用孔11,12の一方である第1の端子用孔11には、柱状の第1の給電端子21が収容されている。また、第1の端子用孔11を構成するセラミックス板100の凹部120の底面には、第1の電極パッド31が設けられている。第1の給電端子21は、例えばろう付け等により第1の電極パッド31に接合されている。また、第1の電極パッド31は、Z軸方向に延びる第1の給電側ビア41を介して、ドライバ電極50における第1の導電領域51に導通している。ドライバ電極50の第1の導電領域51は、Z軸方向において第1の電極パッド31と各ヒータ電極500との間に配置され、面方向に平行な所定の領域を有するパターンである。なお、第1の給電端子21、第1の電極パッド31、第1の給電側ビア41、および、第1の導電領域51は、すべて、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成されている。
同様に、一対の端子用孔11,12の他方である第2の端子用孔12には、柱状の第2の給電端子22が収容されている。また、第2の端子用孔12を構成するセラミックス板100の凹部120の底面には、第2の電極パッド32が設けられている。第2の給電端子22は、例えばろう付け等により第2の電極パッド32に接合されている。また、第2の電極パッド32は、Z軸方向に延びる第2の給電側ビア42を介して、ドライバ電極50における第2の導電領域52に導通している。ドライバ電極50の第2の導電領域52は、Z軸方向において第2の電極パッド32と各ヒータ電極500との間に配置され、面方向に平行な所定の領域を有するパターンである。なお、第2の給電端子22、第2の電極パッド32、第2の給電側ビア42、および、第2の導電領域52は、すべて、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成されている。
図2から図4に示すように、各ヒータ電極500は、Z軸方向に延びる第1のヒータ側ビア61および第2のヒータ側ビア62を介して、上述したドライバ電極50における一対の導電領域(第1の導電領域51および第2の導電領域52)に互いに並列に接続されている。具体的には、第1のヒータ電極500Aの一端は、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成された第1のヒータ側ビア61Aを介して、ドライバ電極50における第1の導電領域51に導通しており、第1のヒータ電極500Aの他端は、導電性材料により形成された第2のヒータ側ビア62Aを介して、ドライバ電極50における第2の導電領域52に導通している。同様に、第2のヒータ電極500Bの一端は、導電性材料により形成された第1のヒータ側ビア61Bを介して、ドライバ電極50における第1の導電領域51に導通しており、第2のヒータ電極500Bの他端は、導電性材料により形成された第2のヒータ側ビア62Bを介して、ドライバ電極50における第2の導電領域52に導通している。
一対の給電端子(第1の給電端子21および第2の給電端子22)は、電源(図示せず)に接続されている。電源からの電圧は、一対の給電端子(第1の給電端子21および第2の給電端子22)、一対の電極パッド(第1の電極パッド31および第2の電極パッド32)、および、一対の給電側ビア(第1の給電側ビア41および第2の給電側ビア42)を介して、ドライバ電極50の一対の導電領域(第1の導電領域51および第2の導電領域52)に供給され、さらに、各ヒータ電極500について設けられた一対のヒータ側ビア(第1のヒータ側ビア61および第2のヒータ側ビア62)を介して、各ヒータ電極500に印加される。これにより、各ヒータ電極500が発熱する。
A−3.ドライバ電極50と各ビアとの関係:
次に、ドライバ電極50と各ビアとの関係について、さらに詳細に説明する。図5は、ドライバ電極50における第1の導電領域51のXY断面構成を示す説明図である。上述したように、ドライバ電極50の第1の導電領域51には、1つの第1の給電側ビア41と、2つの第1のヒータ側ビア61(第1のヒータ電極500A用の第1のヒータ側ビア61Aおよび第2のヒータ電極500B用の第1のヒータ側ビア61B)とが接続されている。
本実施形態の静電チャック10では、第1の給電側ビア41の中心点から第1のヒータ電極500A用の第1のヒータ側ビア61Aの中心点に向かうベクトルVE11と、第1の給電側ビア41の中心点から第2のヒータ電極500B用の第1のヒータ側ビア61Bの中心点に向かうベクトルVE12とのなす角θ1が、60度以下となっている。すなわち、1つの第1の給電側ビア41と2つの第1のヒータ側ビア61との位置関係が、上記2つのベクトルVE11,VE12の向きが比較的近くなるような関係となっている。
また、図5に示すように、ドライバ電極50における第1の導電領域51は、Z軸方向視で、略矩形の仮想的な領域(以下、「仮想矩形領域VR」という)から一部の領域(以下、「非導電領域Rx」という)が除外された形状となっている。より詳細には、第1の導電領域51は、Z軸方向視で略C字形状である。その結果、Z軸方向視で、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ電極500A用の第1のヒータ側ビア61Aの中心点とを結ぶ線分SL11の一部は、第1の導電領域51と重ならず、非導電領域Rxと重なっている。同様に、Z軸方向視で、第1の給電側ビア41の中心点と第2のヒータ電極500B用の第1のヒータ側ビア61Bの中心点とを結ぶ線分SL12の一部は、第1の導電領域51と重ならず、非導電領域Rxと重なっている。換言すれば、本実施形態では、非導電領域Rxの位置や形状が、非導電領域Rxが上記線分SL11,SL12の一部と重なるように設定されている。なお、このような構成の第1の導電領域51は、例えば、アルミナを主成分とするセラミックスグリーンシート用の原料粉末にタングステン粉末を混合してスラリー状としたメタライズインクをスクリーン印刷することにより形成可能である。
以上のことから、本実施形態の静電チャック10は、2つの第1のヒータ側ビア61の組合せについて、以下に示す条件C1aを満たしていると言える。
・条件C1a:
「第1の給電側ビア41の中心点から一の第1のヒータ側ビア61の中心点に向かうベクトルと、第1の給電側ビア41の中心点から他の第1のヒータ側ビア61の中心点に向かうベクトルとのなす角が、60度以下であり、かつ、
Z軸方向視で、第1の給電側ビア41の中心点と上記一の第1のヒータ側ビア61の中心点とを結ぶ線分と、第1の給電側ビア41の中心点と上記他の第1のヒータ側ビア61の中心点とを結ぶ線分と、の少なくとも一方が、第1の導電領域51と重ならない部分を有する。」
また、本実施形態の静電チャック10は、上記条件C1aを満たしているため、必然的に以下の条件C1を満たしている。
・条件C1:
「Z軸方向視で、第1の給電側ビア41の中心点と各第1のヒータ側ビア61の中心点とを結ぶ各線分の少なくとも1つが、第1の導電領域51と重ならない部分を有する。」
なお、本実施形態では、上述したように、条件C1a,C1に規定された2つの線分(線分SL11,SL12)の両方が、第1の導電領域51と重ならない部分を有している。また、線分SL11における第1の導電領域51と重ならない部分と線分SL12における第1の導電領域51と重ならない部分とは、互いに独立した非導電領域に位置するのではなく、一体の(連続した)非導電領域(図5の非導電領域Rx)に位置している。上記条件C1a,C1は、特許請求の範囲における第1の条件に相当する。
また、図5に示すように、本実施形態の静電チャック10では、Z軸方向視で、2つの第1のヒータ側ビア61A,61Bの中心点間を結ぶ線分SL21の一部は、第1の導電領域51と重ならず、非導電領域Rxと重なっている。換言すれば、本実施形態では、非導電領域Rxの位置や形状が、非導電領域Rxが上記線分SL21の一部と重なるように設定されている。このことから、本実施形態の静電チャック10は、2つの第1のヒータ側ビア61の組合せについて、以下に示す条件C3を満たしていると言える。条件C3は、特許請求の範囲における第3の条件に相当する。
・条件C3:
「Z軸方向視で、一の第1のヒータ側ビア61の中心点と他の第1のヒータ側ビア61の中心点とを結ぶ線分が、第1の導電領域51と重ならない部分を有する。」
また、図示しないが、本実施形態の静電チャック10では、ドライバ電極50における第2の導電領域52の構成も、上述した第1の導電領域51と同様の構成となっている。そのため、本実施形態の静電チャック10は、ドライバ電極50における第2の導電領域52に関し、以下に示す条件C2a(および条件C2)と条件C4とを満たしている。条件C2a,C2は、特許請求の範囲における第2の条件に相当し、条件C4は、特許請求の範囲における第4の条件に相当する。
・条件C2a:
「第2の給電側ビア42の中心点から一の第2のヒータ側ビア62の中心点に向かうベクトルと、第2の給電側ビア42の中心点から他の第2のヒータ側ビア62の中心点に向かうベクトルとのなす角が、60度以下であり、かつ、
Z軸方向視で、第2の給電側ビア42の中心点と上記一の第2のヒータ側ビア62の中心点とを結ぶ線分と、第2の給電側ビア42の中心点と上記他の第2のヒータ側ビア62の中心点とを結ぶ線分と、の少なくとも一方が、第2の導電領域52と重ならない部分を有する。」
・条件C2:
「Z軸方向視で、第1の給電側ビア41の中心点と各第2のヒータ側ビア62の中心点とを結ぶ各線分の少なくとも1つが、第2の導電領域52と重ならない部分を有する。」
・条件C4:
「Z軸方向視で、一の第2のヒータ側ビア62の中心点と他の第2のヒータ側ビア62の中心点とを結ぶ線分が、第2の導電領域52と重ならない部分を有する。」
なお、本実施形態では、条件C2a,C2に規定され2つの線分の両方が、第2の導電領域52と重ならない部分を有している。また、一方の線分における第2の導電領域52と重ならない部分と他方の線分における第2の導電領域52と重ならない部分とは、互いに独立した非導電領域に位置するのではなく、一体の(連続した)非導電領域に位置している。
A−4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の静電チャック10は、Z軸方向に略直交する略平面状の吸着面S1を有するセラミックス板100と、セラミックス板100の内部に配置された線状の抵抗発熱体である複数のヒータ電極500と、セラミックス板100の内部に配置され、第1の導電領域51と第2の導電領域52とを含むドライバ電極50と、一対の給電端子21,22とを備える。また、本実施形態の静電チャック10は、一対の給電端子21,22の一方である第1の給電端子21とドライバ電極50の第1の導電領域51とを電気的に接続する第1の給電側ビア41と、一対の給電端子21,22の他方である第2の給電端子22とドライバ電極50の第2の導電領域52とを電気的に接続する第2の給電側ビア42と、各ヒータ電極500の一端とドライバ電極50の第1の導電領域51とを電気的に接続する第1のヒータ側ビア61(61A,61B)と、各ヒータ電極500の他端とドライバ電極50の第2の導電領域52とを電気的に接続する第2のヒータ側ビア62(62A,62B)とを備える。また、本実施形態の静電チャック10は、2つの第1のヒータ側ビア61に関し、上述した条件C1a(および条件C1)を満たしている。
本実施形態の静電チャック10は、上述した構成であるため、以下に説明するように、吸着面S1における温度分布の均一性の低下を抑制することができる。
図6は、第1の比較例の静電チャック10におけるドライバ電極50Xの第1の導電領域51XのXY断面構成を概略的に示す説明図である。図6に示す第1の比較例の静電チャック10では、上述した第1実施形態の静電チャック10と同様に、上記条件C1aにおいて規定されたベクトルVE11とベクトルVE12とのなす角θ1が60度以下となっている。しかし、図6に示す第1の比較例の静電チャック10では、上記条件C1aにおいて規定された2つの線分(線分SL11,SL12)の両方が、全長にわたって第1の導電領域51Xと重なっており、第1の導電領域51Xと重ならない部分を有していない。すなわち、図6に示す第1の比較例の静電チャック10は、上記条件C1aを満たしていない。
このように、図6に示す第1の比較例の静電チャック10は、上記条件C1a(および条件C1)を満たしていないため、第1の導電領域51Xにおいて、第1の給電側ビア41と一の第1のヒータ側ビア61Aとの間の電流経路IP(A)と、第1の給電側ビア41と他の第1のヒータ側ビア61Bとの間の電流経路IP(B)とが、共に直線状の経路となる。また、上述したように、2つのベクトルVE11,VE12のなす角θ1は60度以下であることから、直線状の2つの電流経路IP(A),IP(B)は互いに近接した経路である。2つの電流経路IP(A),IP(B)が互いに近接していると、第1の導電領域51Xにおける2つの線分SL11,SL12に挟まれた箇所を中心とする領域(以下、「特定領域SR1」という)において電流が集中し、これによって局所的に発熱量が増加するおそれがある。第1の導電領域51Xの特定領域SR1において局所的に発熱量が増加すると、セラミックス板100の吸着面S1の内、第1の導電領域51Xの特定領域SR1の直上にあたる領域において局所的に温度が上昇し、吸着面S1における温度分布の均一性が低下するおそれがある。
これに対し、本実施形態の静電チャック10は、上記条件C1aを満たしている。すなわち、図5に示すように、条件C1aに規定された2つの線分(線分SL11,SL12)の少なくとも一方が、ドライバ電極50の第1の導電領域51と重ならない部分を有している。そのため、第1の導電領域51において、第1の給電側ビア41と一の第1のヒータ側ビア61Aとの間の電流経路IP(A)と、第1の給電側ビア41と他の第1のヒータ側ビア61Bとの間の電流経路IP(B)との少なくとも一方が、直線状ではなく、第1の導電領域51以外の領域(非導電領域Rx)を迂回するような経路となる。その結果、第1の導電領域51における2つの電流経路IP(A),IP(B)が互いに近接することを抑制することができる。従って、本実施形態の静電チャック10では、第1の導電領域51における2つの線分SL11,SL12に挟まれた箇所を中心とする特定領域SR1において電流集中により局所的に発熱量が増加することを抑制することができ、吸着面S1における温度分布の均一性の低下を抑制することができる。
なお、図5に示すように、本実施形態の静電チャック10では、上記条件C1aに規定された2つの線分SL11,SL12の両方が、ドライバ電極50の第1の導電領域51と重ならない部分を有している。そのため、上述した2つの電流経路IP(A),IP(B)の両方が、直線状ではなく、第1の導電領域51以外の領域(非導電領域Rx)を迂回するような経路となる。その結果、第1の導電領域51における2つの電流経路IP(A),IP(B)が互いに近接することをより確実に抑制することができる。従って、本実施形態の静電チャック10では、第1の導電領域51における電流集中による局所的な発熱量の増加をより確実に抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下をより確実に抑制することができる。
また、図5に示すように、本実施形態の静電チャック10では、上記条件C1aに規定された一方の線分SL11における第1の導電領域51と重ならない部分と、他方の線分SL12における第1の導電領域51と重ならない部分とが、一体の(連続した)非導電領域(具体的には非導電領域Rx)に位置している。そのため、上述した2つの電流経路IP(A),IP(B)のそれぞれが、第1の導電領域51以外の領域(非導電領域Rx)を互いに遠ざかる方向に迂回するような経路となる。例えば、図5に示された電流経路IP(A)は、第1の給電側ビア41からY軸正方向に非導電領域Rxを迂回するような経路となっており、電流経路IP(B)は、第1の給電側ビア41からY軸負方向に非導電領域Rxを迂回するような経路となっている。その結果、第1の導電領域51における2つの電流経路IP(A),IP(B)が互いに近接することを一層確実に抑制することができる。従って、本実施形態の静電チャック10では、第1の導電領域51における電流集中による局所的な発熱量の増加を一層確実に抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を一層確実に抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック10では、上記条件C1a(および条件C1)と同様の内容の条件であって、ドライバ電極50の第2の導電領域52に関する条件である上記条件C2a(および条件C2)も満たしている。そのため、ドライバ電極50の第2の導電領域52においても、2つの電流経路が互いに近接することを抑制することができ、第2の導電領域52における電流集中による局所的な発熱量の増加を抑制することができる。従って、本実施形態の静電チャック10では、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を極めて効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック10は、さらに、上記条件C3を満たしている。ここで、上記条件C3を満たさない構成(例えば、図5に示す第1の導電領域51において、2つの第1のヒータ側ビア61A,61Bの間に非導電領域Rxが存在しない構成)では、例えば、第1の給電側ビア41と一の第1のヒータ側ビア61Aとの間の電流経路として、図5に示された電流経路IP(A)が主要な経路となるものの、その他に、第1の給電側ビア41から他の第1のヒータ側ビア61Bを経て上記一の第1のヒータ側ビア61Aに至る従たる経路も存在することとなる。そのため、そのような構成では、2つの電流経路が近接する(一部重複する)おそれが残っていると言える。しかし、本実施形態の静電チャック10は、上記条件C3を満たすため、例えば第1の給電側ビア41と一の第1のヒータ側ビア61Aとの間の電流経路として、上述した従たる経路(第1の給電側ビア41から他の第1のヒータ側ビア61Bを経て上記一の第1のヒータ側ビア61Aに至る経路)は存在しないこととなり、2つの電流経路が互いに近接することを極めて確実に抑制することができる。従って、本実施形態の静電チャック10では、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を極めて効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態の静電チャック10では、上記条件C3と同様の内容の条件であって、ドライバ電極50の第2の導電領域52に関する条件である上記条件C4も満たしている。そのため、ドライバ電極50の第2の導電領域52においても、2つの電流経路が互いに近接することを極めて確実に抑制することができ、第2の導電領域52における電流集中による局所的な発熱量の増加を確実に抑制することができる。従って、本実施形態の静電チャック10では、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を極めて効果的に抑制することができる。
A−5.第1実施形態の変形例:
図7は、第1実施形態の変形例の静電チャック10におけるドライバ電極50の第1の導電領域51のXY断面構成を概略的に示す説明図である。図7に示す変形例における第1の導電領域51は、図5に示す第1実施形態における第1の導電領域51と同様に、Z軸方向視で、仮想矩形領域VRから非導電領域Rxを除外した形状となっている。ただし、図7に示す変形例では、非導電領域Rxの形状が細いスリット状である点が、図5に示す第1実施形態と異なっている。なお、図示しないが、図7に示す変形例では、ドライバ電極50における第2の導電領域52の構成も、第1の導電領域51と同様の構成となっている。
図7に示す変形例の静電チャック10は、第1実施形態の静電チャック10と同様に、ドライバ電極50の第1の導電領域51および第2の導電領域52に関する条件である上記条件C1(C1a),C2(C2a),C3,C4を満たすように構成されている。そのため、図7に示す変形例の静電チャック10では、ドライバ電極50の第1の導電領域51および第2の導電領域52における電流集中による局所的な発熱量の増加を抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を抑制することができる。
B.第2実施形態:
図8は、第2実施形態の静電チャック10におけるドライバ電極50の第1の導電領域51のXY断面構成を概略的に示す説明図である。以下では、第2実施形態の静電チャック10の構成の内、上述した第1実施形態の静電チャック10の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図示しないが、第2実施形態の静電チャック10は、ドライバ電極50の一対の導電領域(第1の導電領域51および第2の導電領域52)に対して、4つのヒータ電極500が互いに並列に接続されている。そのため、図8に示すように、ドライバ電極50の第1の導電領域51には、1つの第1の給電側ビア41に加えて、4つのヒータ電極500のそれぞれの一端との導通のための4つの第1のヒータ側ビア61(61A〜61D)が接続されている。なお、第2実施形態では、4つの第1のヒータ側ビア61は、X方向に沿って互いに並ぶように配置されている。また、図示しないが、ドライバ電極50の第2の導電領域52には、1つの第2の給電側ビア42に加えて、4つのヒータ電極500のそれぞれの他端との導通のための4つの第2のヒータ側ビア62が接続されている。
第2実施形態の静電チャック10では、互いに隣り合う2つの第1のヒータ側ビア61の組合せの少なくとも1つについて、第1の給電側ビア41の中心点から一の第1のヒータ側ビア61の中心点に向かうベクトルと、第1の給電側ビア41の中心点から他の第1のヒータ側ビア61の中心点に向かうベクトルとのなす角は、60度以下となっている。例えば、図8に示すように、2つの第1のヒータ側ビア61A,61Bの組合せについて、第1の給電側ビア41の中心点から一の第1のヒータ側ビア61Aの中心点に向かうベクトルVE11と、第1の給電側ビア41の中心点から他の第1のヒータ側ビア61Bの中心点に向かうベクトルVE12とのなす角θ1は、60度以下である。同様に、図8に示すベクトルVE12とベクトルVE13とのなす角θ2、および、ベクトルVE13とベクトルVE14とのなす角θ3は、共に60度以下である。
また、第2実施形態の静電チャック10では、第1実施形態の静電チャック10と同様に、ドライバ電極50における第1の導電領域51が、Z軸方向視で、仮想矩形領域VRから一部の領域(非導電領域Rx)が除外された形状となっており、第1の給電側ビア41の中心点と3つの第1のヒータ側ビア61(61A,61B,61D)のそれぞれの中心点とを結ぶ各線分(線分SL11,SL12,SL14)の一部は、第1の導電領域51と重ならず、非導電領域Rxと重なっている。換言すれば、第2実施形態では、非導電領域Rxの位置や形状が、非導電領域Rxが上記線分SL11,SL12,SL14の一部と重なるように設定されている。なお、第2実施形態では、Z軸方向視で、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61Cの中心点とを結ぶ線分SL13は、全長にわたって第1の導電領域51と重なっている。
以上のことから、第2実施形態の静電チャック10は、互いに隣り合う2つの第1のヒータ側ビア61の組合せの少なくとも1つについて、第1実施形態の項で示した上記条件C1aを満たしていると言える。また、第2実施形態の静電チャック10は、上記条件C1aを満たしているため、必然的に第1実施形態の項で示した上記条件C1も満たしている。
なお、第2実施形態では、2つの第1のヒータ側ビア61A,61Bの組合せに関しては、条件C1a,C1に規定された2つの線分SL11,SL12の両方が、第1の導電領域51と重ならない部分を有している。また、各線分SL11,SL12,SL14における第1の導電領域51と重ならない部分は、一体の(連続した)非導電領域に位置している。
このように、第2実施形態の静電チャック10は、互いに隣り合う2つの第1のヒータ側ビア61の組合せの少なくとも1つについて、上記条件C1a(および条件C1)を満たしているため、第1の給電側ビア41と上記2つの第1のヒータ側ビア61のそれぞれとを結ぶ2つの電流経路が互いに近接することを抑制することができる。例えば、図8に示すように、第1の給電側ビア41と一の第1のヒータ側ビア61Aとを結ぶ電流経路IP(A)と、第1の給電側ビア41と他の第1のヒータ側ビア61Bとを結ぶ電流経路IP(B)との少なくとも一方(本実施形態では両方)が、直線状ではなく、第1の導電領域51以外の領域(非導電領域Rx)を迂回するような経路となり、2つの電流経路IP(A),IP(B)が互いに近接することが抑制される。2つの電流経路IP(B),IP(C)の組合せ、および、2つの電流経路IP(C),IP(D)の組合せについても、同様に、互いに近接することが抑制される。従って、第2実施形態の静電チャック10では、第1の導電領域51における電流集中による局所的な発熱量の増加を抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を抑制することができる。
また、第2実施形態の静電チャック10では、2つの第1のヒータ側ビア61の組合せの少なくとも1つ(本実施形態では全部)について、Z軸方向視で、一の第1のヒータ側ビア61の中心点と他の第1のヒータ側ビア61の中心点とを結ぶ線分の一部は、第1の導電領域51と重ならず、非導電領域Rxと重なっている。例えば、図8に示すように、2つの第1のヒータ側ビア61A,61Bの中心点間を結ぶ線分SL21の一部は、第1の導電領域51と重ならず、非導電領域Rxと重なっている。このことから、第2実施形態の静電チャック10は、2つの第1のヒータ側ビア61の組合せの少なくとも1つについて、第1実施形態の項で示した上記条件C3を満たしていると言える。
このように、第2実施形態の静電チャック10は、2つの第1のヒータ側ビア61の少なくとも1つについて、上記条件C3を満たしているため、第1の給電側ビア41と上記2つの第1のヒータ側ビア61のそれぞれとを結ぶ2つの電流経路が互いに近接することを一層確実に抑制することができる。従って、第2実施形態の静電チャック10では、第1の導電領域51における電流集中による局所的な発熱量の増加を一層確実に抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を一層確実に抑制することができる。
また、図示しないが、第2実施形態の静電チャック10では、ドライバ電極50における第2の導電領域52の構成も、上述した第1の導電領域51と同様の構成となっている。そのため、第2実施形態の静電チャック10は、互いに隣り合う2つの第2のヒータ側ビア62の組合せの少なくとも1つについて、第1実施形態の項で示した上記条件C2a(および条件C2)と条件C4とを満たしている。そのため、第2実施形態の静電チャック10では、ドライバ電極50の第2の導電領域52においても、2つの電流経路が互いに近接することを極めて確実に抑制することができ、第2の導電領域52における電流集中による局所的な発熱量の増加を確実に抑制することができる。従って、第2実施形態の静電チャック10では、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を極めて効果的に抑制することができる。
図9は、第2実施形態の変形例の静電チャック10におけるドライバ電極50の第1の導電領域51のXY断面構成を概略的に示す説明図である。図9に示す変形例における第1の導電領域51は、図8に示す第2実施形態における第1の導電領域51と同様に、Z軸方向視で、仮想矩形領域VRから非導電領域Rxを除外した形状となっている。ただし、図9に示す変形例では、非導電領域Rxの形状が細いスリット状である点が、図8に示す第2実施形態と異なっている。なお、図示しないが、図9に示す変形例では、ドライバ電極50における第2の導電領域52の構成も、第1の導電領域51と同様の構成となっている。
図9に示す変形例の静電チャック10は、第2実施形態の静電チャック10と同様に、ドライバ電極50の第1の導電領域51および第2の導電領域52に関する条件である上記条件C1(C1a),C2(C2a),C3,C4を満たすように構成されている。そのため、図9に示す変形例の静電チャック10では、ドライバ電極50の第1の導電領域51および第2の導電領域52における電流集中による局所的な発熱量の増加を抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を抑制することができる。
C.第3実施形態:
図10は、第3実施形態の静電チャック10におけるドライバ電極50の第1の導電領域51のXY断面構成を概略的に示す説明図である。以下では、第3実施形態の静電チャック10の構成の内、上述した第1実施形態の静電チャック10の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図示しないが、第3実施形態の静電チャック10は、ドライバ電極50の一対の導電領域(第1の導電領域51および第2の導電領域52)に対して3つのヒータ電極500が互いに並列に接続されている。そのため、図10に示すように、ドライバ電極50の第1の導電領域51には、1つの第1の給電側ビア41に加えて、3つのヒータ電極500のそれぞれの一端との導通のための3つの第1のヒータ側ビア61(61A〜61C)が接続されている。なお、第3実施形態では、第1の給電側ビア41および3つの第1のヒータ側ビア61は、X方向に沿って互いに並ぶように配置されている。また、図示しないが、ドライバ電極50の第2の導電領域52には、1つの第2の給電側ビア42に加えて、3つのヒータ電極500のそれぞれの他端との導通のための3つの第2のヒータ側ビア62が接続されている。
第3実施形態の静電チャック10では、2つの第1のヒータ側ビア61の組合せの少なくとも1つ(本実施形態では全部)について、第1の給電側ビア41の中心点から一の第1のヒータ側ビア61の中心点に向かうベクトルと、第1の給電側ビア41の中心点から他の第1のヒータ側ビア61の中心点に向かうベクトルとのなす角は、60度以下となっている。例えば、図10に示すように、2つの第1のヒータ側ビア61A,61Bの組合せについて、第1の給電側ビア41の中心点から一の第1のヒータ側ビア61Aの中心点に向かうベクトルと、第1の給電側ビア41の中心点から他の第1のヒータ側ビア61Bの中心点に向かうベクトルとのなす角は、60度以下(具体的には、0度)である。
また、第3実施形態の静電チャック10では、第1実施形態の静電チャック10と同様に、ドライバ電極50における第1の導電領域51が、Z軸方向視で、仮想矩形領域VRから一部の領域(非導電領域Rx)が除外された形状となっており、第1の給電側ビア41の中心点と2つの第1のヒータ側ビア61(61A,61B)のそれぞれの中心点とを結ぶ各線分(線分SL11,SL12)の一部は、第1の導電領域51と重ならず、非導電領域Rxと重なっている。換言すれば、第3実施形態では、非導電領域Rxの位置や形状が、非導電領域Rxが上記線分SL11,SL12の一部と重なるように設定されている。なお、第3実施形態では、Z軸方向視で、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61Cの中心点とを結ぶ線分SL13は、全長にわたって第1の導電領域51と重なっている。
以上のことから、第3実施形態の静電チャック10は、2つの第1のヒータ側ビア61の組合せの少なくとも1つについて、第1実施形態の項で示した上記条件C1aを満たしていると言える。また、第3実施形態の静電チャック10は、上記条件C1aを満たしているため、必然的に第1実施形態の項で示した上記条件C1も満たしている。
なお、第3実施形態では、2つの第1のヒータ側ビア61A,61Bの組合せに関しては、条件C1a,C1に規定された2つの線分SL11,SL12の両方が、第1の導電領域51と重ならない部分を有している。また、各線分SL11,SL12における第1の導電領域51と重ならない部分は、一体の(連続した)非導電領域に位置している。
このように、第3実施形態の静電チャック10は、2つの第1のヒータ側ビア61の組合せの少なくとも1つについて、上記条件C1a(および条件C1)を満たしているため、第1の給電側ビア41と上記2つの第1のヒータ側ビア61のそれぞれとを結ぶ2つの電流経路が互いに近接することを抑制することができる。例えば、図10に示すように、第1の給電側ビア41と一の第1のヒータ側ビア61Aとを結ぶ電流経路IP(A)と、第1の給電側ビア41と他の第1のヒータ側ビア61Bとを結ぶ電流経路IP(B)との少なくとも一方(本実施形態では両方)が、直線状ではなく、第1の導電領域51以外の領域(非導電領域Rx)を迂回するような経路となり、2つの電流経路IP(A),IP(B)が互いに近接することが抑制される。2つの電流経路IP(B),IP(C)の組合せ、および、2つの電流経路IP(C),IP(A)の組合せについても、同様に、互いに近接することが抑制される。従って、第3実施形態の静電チャック10では、第1の導電領域51における電流集中による局所的な発熱量の増加を抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を抑制することができる。
また、第3実施形態の静電チャック10では、2つの第1のヒータ側ビア61の組合せの少なくとも1つについて、Z軸方向視で、一の第1のヒータ側ビア61の中心点と他の第1のヒータ側ビア61の中心点とを結ぶ線分の一部は、第1の導電領域51と重ならず、非導電領域Rxと重なっている。例えば、図10に示すように、2つの第1のヒータ側ビア61B,61Cの中心点間を結ぶ線分SL21の一部は、第1の導電領域51と重ならず、非導電領域Rxと重なっている。このことから、第3実施形態の静電チャック10は、2つの第1のヒータ側ビア61の組合せの少なくとも1つについて、第1実施形態の項で示した上記条件C3を満たしていると言える。
このように、第3実施形態の静電チャック10は、2つの第1のヒータ側ビア61の組合せの少なくとも1つについて、上記条件C3を満たしているため、第1の給電側ビア41と上記2つの第1のヒータ側ビア61のそれぞれとを結ぶ2つの電流経路が互いに近接することを一層確実に抑制することができる。従って、第3実施形態の静電チャック10では、第1の導電領域51における電流集中による局所的な発熱量の増加を一層確実に抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を一層確実に抑制することができる。
また、図示しないが、第3実施形態の静電チャック10では、ドライバ電極50における第2の導電領域52の構成も、上述した第1の導電領域51と同様の構成となっている。そのため、第3実施形態の静電チャック10は、2つの第2のヒータ側ビア62のすべての組合せについて、第1実施形態の項で示した上記条件C2a(および条件C2)と条件C4とを満たしている。そのため、第3実施形態の静電チャック10では、ドライバ電極50の第2の導電領域52においても、2つの電流経路が互いに近接することを極めて確実に抑制することができ、第2の導電領域52における電流集中による局所的な発熱量の増加を確実に抑制することができる。従って、第3実施形態の静電チャック10では、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を極めて効果的に抑制することができる。
図11は、第3実施形態の変形例の静電チャック10におけるドライバ電極50の第1の導電領域51のXY断面構成を概略的に示す説明図である。図11に示す変形例における第1の導電領域51は、図10に示す第3実施形態における第1の導電領域51と同様に、Z軸方向視で、仮想矩形領域VRから非導電領域Rxを除外した形状となっている。ただし、図11に示す変形例では、非導電領域Rxの形状が細いスリット状である点が、図10に示す第3実施形態と異なっている。なお、図示しないが、図11に示す変形例では、ドライバ電極50における第2の導電領域52の構成も、第1の導電領域51と同様の構成となっている。
図11に示す変形例の静電チャック10は、第3実施形態の静電チャック10と同様に、ドライバ電極50の第1の導電領域51および第2の導電領域52に関する条件である上記条件C1(C1a),C2(C2a),C3,C4を満たすように構成されている。そのため、図11に示す変形例の静電チャック10では、ドライバ電極50の第1の導電領域51および第2の導電領域52における電流集中による局所的な発熱量の増加を抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を抑制することができる。
D.第4実施形態:
図12は、第4実施形態の静電チャック10におけるドライバ電極50の第1の導電領域51のXY断面構成を概略的に示す説明図である。以下では、第4実施形態の静電チャック10の構成の内、上述した第1実施形態の静電チャック10の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図示しないが、第4実施形態の静電チャック10は、ドライバ電極50の一対の導電領域(第1の導電領域51および第2の導電領域52)に対して4つのヒータ電極500が互いに並列に接続されている。そのため、図12に示すように、ドライバ電極50の第1の導電領域51には、1つの第1の給電側ビア41に加えて、4つのヒータ電極500のそれぞれの一端との導通のための4つの第1のヒータ側ビア61(61A〜61D)が接続されている。なお、第4実施形態では、3つの第1のヒータ側ビア61A,61B,61Dは、X方向に沿って互いに並ぶように配置されている。また、第1の給電側ビア41と2つの第1のヒータ側ビア61B,61Cは、Y方向に沿って互いに並ぶように配置されている。また、図示しないが、ドライバ電極50の第2の導電領域52には、1つの第2の給電側ビア42に加えて、4つのヒータ電極500のそれぞれの他端との導通のための4つの第2のヒータ側ビア62が接続されている。
第4実施形態の静電チャック10では、一の第1のヒータ側ビア61と上記一の第1のヒータ側ビア61の最も近くに位置する他の第1のヒータ側ビア61との組合せの少なくとも1つについて、第1の給電側ビア41の中心点から上記一の第1のヒータ側ビア61の中心点に向かうベクトルと、第1の給電側ビア41の中心点から上記他の第1のヒータ側ビア61の中心点に向かうベクトルとのなす角は、60度以下となっている。例えば、図12に示すように、第1のヒータ側ビア61Aと第1のヒータ側ビア61Aの最も近くに位置する第1のヒータ側ビア61Bとの組合せについて、第1の給電側ビア41の中心点から第1のヒータ側ビア61Aの中心点に向かうベクトルと、第1の給電側ビア41の中心点から第1のヒータ側ビア61Bの中心点に向かうベクトルとのなす角は、60度以下である。
また、第4実施形態の静電チャック10では、第1実施形態の静電チャック10と同様に、ドライバ電極50における第1の導電領域51が、Z軸方向視で、仮想矩形領域VRから一部の領域(非導電領域Rx)が除外された形状となっており、第1の給電側ビア41の中心点と3つの第1のヒータ側ビア61(61A,61C,61D)のそれぞれの中心点とを結ぶ各線分(線分SL11,SL13,SL14)の一部は、第1の導電領域51と重ならず、非導電領域Rxと重なっている。換言すれば、第4実施形態では、非導電領域Rxの位置や形状が、非導電領域Rxが上記線分SL11,SL13,SL14の一部と重なるように設定されている。なお、第4実施形態では、Z軸方向視で、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61Bの中心点とを結ぶ線分SL12は、全長にわたって第1の導電領域51と重なっている。
以上のことから、第4実施形態の静電チャック10は、一の第1のヒータ側ビア61と上記一の第1のヒータ側ビア61の最も近くに位置する他の第1のヒータ側ビア61との組合せの少なくとも1つについて、第1実施形態の項で示した上記条件C1aを満たしていると言える。また、第4実施形態の静電チャック10は、上記条件C1aを満たしているため、必然的に第1実施形態の項で示した上記条件C1も満たしている。なお、第4実施形態では、上記各線分SL11,SL13,SL14における第1の導電領域51と重ならない部分は、一体の(連続した)非導電領域に位置している。
このように、第4実施形態の静電チャック10は、一の第1のヒータ側ビア61と上記一の該第1のヒータ側ビア61の最も近くに位置する他の第1のヒータ側ビア61との組合せの少なくとも1つについて、上記条件C1a(および条件C1)を満たしているため、第1の給電側ビア41と上記2つの第1のヒータ側ビア61のそれぞれとを結ぶ2つの電流経路が互いに近接することを抑制することができる。例えば、図12に示すように、第1の給電側ビア41と一の第1のヒータ側ビア61Aとを結ぶ電流経路IP(A)と、第1の給電側ビア41と他の第1のヒータ側ビア61Bとを結ぶ電流経路IP(B)との少なくとも一方が、直線状ではなく、第1の導電領域51以外の領域(非導電領域Rx)を迂回するような経路となり、2つの電流経路IP(A),IP(B)が互いに近接することが抑制される。2つの電流経路IP(B),IP(C)の組合せ、および、2つの電流経路IP(D),IP(B)の組合せ等についても、同様に、互いに近接することが抑制される。従って、第4実施形態の静電チャック10では、第1の導電領域51における電流集中による局所的な発熱量の増加を抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を抑制することができる。
また、第4実施形態の静電チャック10では、2つの第1のヒータ側ビア61の組合せの少なくとも1つについて、Z軸方向視で、一の第1のヒータ側ビア61の中心点と他の第1のヒータ側ビア61の中心点とを結ぶ線分の一部は、第1の導電領域51と重ならず、非導電領域Rxと重なっている。例えば、図12に示すように、2つの第1のヒータ側ビア61A,61Bの中心点間を結ぶ線分SL22の一部は、第1の導電領域51と重ならず、非導電領域Rxと重なっている。2つの第1のヒータ側ビア61A,61Cの中心点間を結ぶ線分SL21や、2つの第1のヒータ側ビア61B,61Dの中心点間を結ぶ線分SL23、2つの第1のヒータ側ビア61C,61Dの中心点間を結ぶ線分SL24等についても、同様に、その一部が第1の導電領域51と重ならず、非導電領域Rxと重なっている。このことから、第4実施形態の静電チャック10は、2つの第1のヒータ側ビア61の組合せの少なくとも1つについて、第1実施形態の項で示した上記条件C3を満たしていると言える。
このように、第4実施形態の静電チャック10は、2つの第1のヒータ側ビア61の少なくとも1つについて、上記条件C3を満たしているため、第1の給電側ビア41と上記2つの第1のヒータ側ビア61のそれぞれとを結ぶ2つの電流経路が互いに近接することを一層確実に抑制することができる。従って、第4実施形態の静電チャック10では、第1の導電領域51における電流集中による局所的な発熱量の増加を一層確実に抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を一層確実に抑制することができる。
また、図示しないが、第4実施形態の静電チャック10では、ドライバ電極50における第2の導電領域52の構成も、上述した第1の導電領域51と同様の構成となっている。そのため、第4実施形態の静電チャック10は、2つの第2のヒータ側ビア62の組合せの少なくとも1つについて、第1実施形態の項で示した上記条件C2a(および条件C2)と条件C4とを満たしている。そのため、第4実施形態の静電チャック10では、ドライバ電極50の第2の導電領域52においても、2つの電流経路が互いに近接することを極めて確実に抑制することができ、第2の導電領域52における電流集中による局所的な発熱量の増加を確実に抑制することができる。従って、第4実施形態の静電チャック10では、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を極めて効果的に抑制することができる。
図13は、第4実施形態の変形例の静電チャック10におけるドライバ電極50の第1の導電領域51のXY断面構成を概略的に示す説明図である。図13に示す変形例における第1の導電領域51は、図12に示す第4実施形態における第1の導電領域51と同様に、Z軸方向視で、仮想矩形領域VRから非導電領域Rxを除外した形状となっている。ただし、図13に示す変形例では、非導電領域Rxの形状が細いスリット状である点が、図12に示す第4実施形態と異なっている。なお、図示しないが、図13に示す変形例では、ドライバ電極50における第2の導電領域52の構成も、第1の導電領域51と同様の構成となっている。
図13に示す変形例の静電チャック10は、第4実施形態の静電チャック10と同様に、ドライバ電極50の第1の導電領域51および第2の導電領域52に関する条件である上記条件C1(C1a),C2(C2a),C3,C4を満たすように構成されている。そのため、図13に示す変形例の静電チャック10では、ドライバ電極50の第1の導電領域51および第2の導電領域52における電流集中による局所的な発熱量の増加を抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を抑制することができる。
E.第5実施形態:
図14は、第5実施形態の静電チャック10におけるドライバ電極50の第1の導電領域51のXY断面構成を概略的に示す説明図である。以下では、第5実施形態の静電チャック10の構成の内、上述した第1実施形態の静電チャック10の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図示しないが、第5実施形態の静電チャック10は、ドライバ電極50の一対の導電領域(第1の導電領域51および第2の導電領域52)に対して1つのヒータ電極500が接続されている。そのため、図14に示すように、ドライバ電極50の第1の導電領域51には、1つの第1の給電側ビア41に加えて、1つのヒータ電極500の一端との導通のための1つの第1のヒータ側ビア61が接続されている。
図14に示すように、第5実施形態の静電チャック10では、ドライバ電極50における第1の導電領域51が、Z軸方向視で、仮想矩形領域VRから一部の領域(非導電領域Rx)が除外された形状となっている。非導電領域Rxは、第1の給電側ビア41と第1のヒータ側ビア61との間に、1つの島状に配置されている。そのため、第5実施形態の静電チャック10では、Z軸方向視で、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61の中心点とを結ぶ線分SL11の一部は、第1の導電領域51と重ならず、非導電領域Rxと重なっている。また、Z軸方向視で、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61の中心点とを結ぶ直線RL11を挟んだ両側に、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61の中心点とを結び、かつ、全長にわたって第1の導電領域51と重なる経路(図14のIP(A1),IP(A2)参照)が存在している。
以上のことから、第5実施形態の静電チャック10は、第1実施形態の項で示した上記条件C1(Z軸方向視で、第1の給電側ビア41の中心点と各第1のヒータ側ビア61の中心点とを結ぶ各線分の少なくとも1つが、第1の導電領域51と重ならない部分を有する。)を満たしていると言える。さらに、第5実施形態の静電チャック10は、以下に示す条件C5を満たしていると言える。条件C5は、特許請求の範囲における第5の条件に相当する。
・条件C5:
「Z軸方向視で、各第1のヒータ側ビア61について、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61の中心点とを結ぶ直線を挟んだ両側に、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61の中心点とを結び、かつ、全長にわたって第1の導電領域51と重なる経路が存在する。」
また、図示しないが、第5実施形態の静電チャック10では、ドライバ電極50における第2の導電領域52の構成も、上述した第1の導電領域51と同様の構成となっている。そのため、第5実施形態の静電チャック10は、ドライバ電極50における第2の導電領域52に関し、第1実施形態の項で示した上記条件C2(Z軸方向視で、第2の給電側ビア42の中心点と各第2のヒータ側ビア62の中心点とを結ぶ各線分の少なくとも1つが、第2の導電領域52と重ならない部分を有する。)を満たしている。さらに、第5実施形態の静電チャック10は、以下に示す条件C6を満たしている。条件C6は、特許請求の範囲における第6の条件に相当する。
・条件C6:
「Z軸方向視で、各第2のヒータ側ビア62について、第2の給電側ビア42の中心点と第2のヒータ側ビア62の中心点とを結ぶ直線を挟んだ両側に、第2の給電側ビア42の中心点と第2のヒータ側ビア62の中心点とを結び、かつ、全長にわたって第2の導電領域52と重なる経路が存在する。」
第5実施形態の静電チャック10は、上述した構成であるため、以下に説明するように、吸着面S1における温度分布の均一性の低下を抑制することができる。
図15は、第2の比較例の静電チャック10におけるドライバ電極50Yの第1の導電領域51YのXY断面構成を概略的に示す説明図である。図15に示す第2の比較例の静電チャック10では、第1の給電側ビア41と第1のヒータ側ビア61との間に非導電領域Rxが存在しない。そのため、上記条件C1において規定された線分SL11が、全長にわたって第1の導電領域51Yと重なっており、第1の導電領域51Yと重ならない部分を有していない。すなわち、図15に示す第2の比較例の静電チャック10は、上記条件C1を満たしていない。
このように、図15に示す第2の比較例の静電チャック10は、上記条件C1を満たしていないため、第1の導電領域51Yにおいて、第1の給電側ビア41と第1のヒータ側ビア61との間の電流経路IP(A)が、直線状の経路となる。このような構成において、第1の給電側ビア41と第1のヒータ側ビア61との間に大電流が流れると、該大電流は直線状の電流経路IP(A)に集中することとなり、第1の導電領域51Yにおける上記線分SL11を中心とする領域(以下、「特定領域SR2」という)において局所的に発熱量が増加するおそれがある。第1の導電領域51Yの特定領域SR2において局所的に発熱量が増加すると、セラミックス板100の吸着面S1の内、第1の導電領域51Yの特定領域SR2の直上にあたる領域において局所的に温度が上昇し、吸着面S1における温度分布の均一性が低下するおそれがある。
これに対し、第5実施形態の静電チャック10は、上記条件C1を満たしている。すなわち、条件C1に規定された各線分の少なくとも1つ(具体的には線分SL11)が、第1の導電領域51と重ならない部分を有している。また、第5実施形態の静電チャック10は、上記条件C5も満たしている。すなわち、Z軸方向視で、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61の中心点とを結ぶ直線RL11を挟んだ両側に、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61の中心点とを結び、かつ、全長にわたって第1の導電領域51と重なる経路が存在する。そのため、第1の導電領域51において、第1の給電側ビア41と第1のヒータ側ビア61とを結ぶ電流経路が、上記直線RL11を挟んで互いに独立した2つの電流経路(図14に示す電流経路IP(A1)および電流経路IP(A2))に分散され、各電流経路に流れる電流が低減される。従って、第5実施形態の静電チャック10では、特定の電流経路に大電流が流れることによって局所的に発熱量が増加することを抑制することができ、吸着面S1における温度分布の均一性の低下を抑制することができる。
また、第5実施形態の静電チャック10では、上記条件C1および条件C5と同様の内容の条件であって、ドライバ電極50の第2の導電領域52に関する条件である上記条件C2および条件C6も満たしている。そのため、ドライバ電極50の第2の導電領域52においても、第2の給電側ビア42と第2のヒータ側ビア62とを結ぶ電流経路を分散させることによって各電流経路に流れる電流を低減することができ、特定の電流経路に大電流が流れることによって局所的に発熱量が増加することを抑制することができる。従って、第5実施形態の静電チャック10では、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を極めて効果的に抑制することができる。
F.第6実施形態:
図16は、第6実施形態の静電チャック10におけるドライバ電極50の第1の導電領域51のXY断面構成を概略的に示す説明図である。以下では、第6実施形態の静電チャック10の構成の内、上述した第5実施形態の静電チャック10の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図示しないが、第6実施形態の静電チャック10は、ドライバ電極50の一対の導電領域(第1の導電領域51および第2の導電領域52)に対して2つのヒータ電極500が接続されている。そのため、図16に示すように、ドライバ電極50の第1の導電領域51には、1つの第1の給電側ビア41に加えて、2つのヒータ電極500のそれぞれの一端との導通のための2つの第1のヒータ側ビア61A,61Bが接続されている。
また、第6実施形態の静電チャック10では、第5実施形態の静電チャック10と同様に、ドライバ電極50における第1の導電領域51が、Z軸方向視で、仮想矩形領域VRから一部の領域(非導電領域Rx)が除外された形状となっている。非導電領域Rxは、第1の給電側ビア41と第1のヒータ側ビア61Aとの間と、第1の給電側ビア41と第1のヒータ側ビア61Bとの間とのそれぞれに、1つの島状に配置されている。そのため、第6実施形態の静電チャック10では、Z軸方向視で、第1の給電側ビア41の中心点と各第1のヒータ側ビア61の中心点とを結ぶ線分SL11,SL12の一部は、第1の導電領域51と重ならず、非導電領域Rxと重なっている。また、各第1のヒータ側ビア61について、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61の中心点とを結ぶ直線RL11,RL12を挟んだ両側に、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61の中心点とを結び、かつ、全長にわたって第1の導電領域51と重なる経路が存在している。例えば、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61Aの中心点とを結ぶ直線RL11を挟んだ両側に、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61Aの中心点とを結び、かつ、全長にわたって第1の導電領域51と重なる経路(IP(A1),IP(A2))が存在している。同様に、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61Bの中心点とを結ぶ直線RL12を挟んだ両側に、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61Bの中心点とを結び、かつ、全長にわたって第1の導電領域51と重なる経路(IP(B1),IP(B2))が存在している。
以上のことから、第6実施形態の静電チャック10は、各第1のヒータ側ビア61について、第1実施形態の項で示した上記条件C1および第5実施形態の項で示した上記条件C5を満たしていると言える。そのため、第6実施形態の静電チャック10では、第5実施形態の静電チャック10と同様に、第1の導電領域51において、第1の給電側ビア41と各第1のヒータ側ビア61とを結ぶ電流経路が、条件C5に規定された直線(直線RL11,RL12)を挟んで互いに独立した2つの電流経路(電流経路IP(A1)および電流経路IP(A2)、または、電流経路IP(B1)および電流経路IP(B2))に分散され、各電流経路に流れる電流が低減される。従って、第6実施形態の静電チャック10では、特定の電流経路に大電流が流れることによって局所的に発熱量が増加することを抑制することができ、吸着面S1における温度分布の均一性の低下を抑制することができる。
また、図示しないが、第6実施形態の静電チャック10では、ドライバ電極50における第2の導電領域52の構成も、上述した第1の導電領域51と同様の構成となっている。そのため、第6実施形態の静電チャック10は、第1実施形態の項で示した上記条件C2と第5実施形態の項で示した上記条件C6とを満たしている。そのため、第6実施形態の静電チャック10では、ドライバ電極50の第2の導電領域52においても、特定の電流経路に大電流が流れることによって局所的に発熱量が増加することを抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を極めて効果的に抑制することができる。
G.第7実施形態:
図17は、第7実施形態の静電チャック10におけるドライバ電極50の第1の導電領域51のXY断面構成を概略的に示す説明図である。以下では、第7実施形態の静電チャック10の構成の内、上述した第5実施形態の静電チャック10の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図示しないが、第7実施形態の静電チャック10は、ドライバ電極50の一対の導電領域(第1の導電領域51および第2の導電領域52)に対して3つのヒータ電極500が接続されている。そのため、図17に示すように、ドライバ電極50の第1の導電領域51には、1つの第1の給電側ビア41に加えて、3つのヒータ電極500のそれぞれの一端との導通のための3つの第1のヒータ側ビア61A,61B,61Cが接続されている。
また、第7実施形態の静電チャック10では、第5実施形態の静電チャック10と同様に、ドライバ電極50における第1の導電領域51が、Z軸方向視で、仮想矩形領域VRから一部の領域(非導電領域Rx)が除外された形状となっている。非導電領域Rxは、第1の給電側ビア41と第1のヒータ側ビア61Aとの間と、第1の給電側ビア41と第1のヒータ側ビア61Bとの間と、第1の給電側ビア41と第1のヒータ側ビア61Cとの間とのそれぞれに、1つの島状に配置されている。そのため、第7実施形態の静電チャック10では、Z軸方向視で、第1の給電側ビア41の中心点と各第1のヒータ側ビア61の中心点とを結ぶ線分SL11,SL12,SL13の一部は、第1の導電領域51と重ならず、非導電領域Rxと重なっている。
また、各第1のヒータ側ビア61について、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61の中心点とを結ぶ直線を挟んだ両側に、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61の中心点とを結び、かつ、全長にわたって第1の導電領域51と重なる経路が存在している。例えば、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61Aの中心点とを結ぶ直線RL11を挟んだ両側に、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61Aの中心点とを結び、かつ、全長にわたって第1の導電領域51と重なる経路(IP(A1),IP(A2))が存在している。同様に、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61Bの中心点とを結ぶ直線RL12を挟んだ両側に、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61Bの中心点とを結び、かつ、全長にわたって第1の導電領域51と重なる経路(IP(B1),IP(B2))が存在し、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61Cの中心点とを結ぶ直線RL13を挟んだ両側に、第1の給電側ビア41の中心点と第1のヒータ側ビア61Cの中心点とを結び、かつ、全長にわたって第1の導電領域51と重なる経路(IP(C1),IP(C2))が存在している。
以上のことから、第7実施形態の静電チャック10は、各第1のヒータ側ビア61について、第1実施形態の項で示した上記条件C1および第5実施形態の項で示した上記条件C5を満たしていると言える。そのため、第7実施形態の静電チャック10では、第5実施形態の静電チャック10と同様に、第1の導電領域51において、第1の給電側ビア41と各第1のヒータ側ビア61とを結ぶ電流経路が、条件C5に規定された直線(直線RL11,RL12,RL13)を挟んで互いに独立した2つの電流経路(電流経路IP(A1)および電流経路IP(A2)、電流経路IP(B1)および電流経路IP(B2)、または、電流経路IP(C1)および電流経路IP(C2))に分散され、各電流経路に流れる電流が低減される。従って、第7実施形態の静電チャック10では、特定の電流経路に大電流が流れることによって局所的に発熱量が増加することを抑制することができ、吸着面S1における温度分布の均一性の低下を抑制することができる。
また、図示しないが、第7実施形態の静電チャック10では、ドライバ電極50における第2の導電領域52の構成も、上述した第1の導電領域51と同様の構成となっている。そのため、第7実施形態の静電チャック10は、第1実施形態の項で示した上記条件C2と第5実施形態の項で示した上記条件C6とを満たしている。そのため、第7実施形態の静電チャック10では、ドライバ電極50の第2の導電領域52においても、特定の電流経路に大電流が流れることによって局所的に発熱量が増加することを抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を極めて効果的に抑制することができる。
H.その他の変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記各実施形態における静電チャック10の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記各実施形態の静電チャック10は、条件C1(および条件C1a)と条件C2(および条件C2a)との両方を満たしているが、上記各実施形態の静電チャック10が、それらの内の一方のみを満たしているとしてもよい。このようにしても、ドライバ電極50が有する一対の導電領域(第1の導電領域51および第2の導電領域52)の内、該条件を満たす側の導電領域において局所的に発熱量が増加することを抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を抑制することができる。
同様に、上記第1〜第4実施形態の静電チャック10は、条件C3と条件C4との両方を満たしているが、上記第1〜第4実施形態の静電チャック10が、それらの内の一方のみを満たしているとしてもよい。このようにしても、ドライバ電極50が有する一対の導電領域(第1の導電領域51および第2の導電領域52)の内、該条件を満たす側の導電領域において局所的に発熱量が増加することを抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を抑制することができる。また、上記第1〜第4実施形態の静電チャック10は、条件C1(および条件C1a)と条件C2(および条件C2a)との少なくとも一方を満たしていれば、条件C3と条件C4との両方を満たしていなくてもよい。
同様に、上記第5〜第7実施形態の静電チャック10は、条件C5と条件C6との両方を満たしているが、上記第5〜第7実施形態の静電チャック10が、それらの内の一方のみを満たしているとしてもよい。このようにしても、ドライバ電極50が有する一対の導電領域(第1の導電領域51および第2の導電領域52)の内、該条件を満たす側の導電領域において局所的に発熱量が増加することを抑制することができ、吸着面S1の温度分布の均一性の低下を抑制することができる。
また、上記各実施形態におけるドライバ電極50の導電領域(第1の導電領域51および第2の導電領域52)の形状(非導電領域Rxの形状を含む)や各ビアとの接続位置等は、あくまで一例であり、種々変形可能である。また、上記各実施形態では、ドライバ電極50が一対の導電領域(第1の導電領域51および第2の導電領域52)を有し、該一対の導電領域51,52に1つまたは複数のヒータ電極500が接続されているが、ドライバ電極50がそれぞれ一対の給電端子21,22に導通する複数対の導電領域を有し、該複数対の導電領域のそれぞれに1つまたは複数のヒータ電極500が接続されているとしてもよい。また、上記各実施形態では、静電チャック10が1つの(1層の)ドライバ電極50を備えているが、静電チャック10が互いにビアを介して導通する複数の(複数層)のドライバ電極50を備えていてもよい。
また、上記実施形態において、第1の給電側ビア41、第2の給電側ビア42、第1のヒータ側ビア61、および、第2のヒータ側ビア62は、それぞれ、単数のビアにより構成してもよいし、複数のビアのグループにより構成してもよい。図18は、変形例における各ヒータ電極500への給電のための構成を模式的に示す説明図である。図18に示す変形例では、第1の給電側ビア41、第2の給電側ビア42、第1のヒータ側ビア61、および、第2のヒータ側ビア62が、それぞれ、3つのビアのグループにより構成されている。第1の給電側ビア41、第2の給電側ビア42、第1のヒータ側ビア61、または、第2のヒータ側ビア62が、複数のビアのグループにより構成されている場合には、該グループを構成する少なくとも1つのビアに関して上記条件(条件C1〜C6の少なくとも1つ)が満たされていればよい。
また、上記実施形態において、第1の導電領域51や第2の導電領域52が、Z軸方向における位置が互いに異なる複数の層から構成されているとしてもよい。図19は、変形例におけるドライバ電極50の第1の導電領域51のXY断面構成を示す説明図である。図19に示す変形例では、第1の導電領域51が、第1層511と第2層512との2つの層により構成されている。図19のB欄に示す第1層511は、C欄に示す第2層512より上側(Z軸正方向側)に配置されている。Z軸方向視では、図19のA欄に示すように、第1層511の一部と第2層512の一部とが重なっており、その結果、図5に示す上記実施形態の第1の導電領域51と同様の構成となっている。第1の導電領域51または第2の導電領域52が複数の層から構成されている場合には、該複数の層の内の少なくとも1つの層に関して上記条件(条件C1〜C6の少なくとも1つ)が満たされていればよい。
また、上記各実施形態では、セラミックス板100の内部に1つのチャック電極400が設けられた単極方式が採用されているが、セラミックス板100の内部に一対のチャック電極400が設けられた双極方式が採用されてもよい。また、上記各実施形態の静電チャック10における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。
また、本発明は、静電引力を利用してウェハWを保持する静電チャック10に限らず、セラミックス板の表面上に対象物を保持する他の保持装置(例えば、CVDヒータ等のヒータ装置や真空チャック等)にも適用可能である。