以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の遮蔽装置における各実施例の速度調整装置を説明する。尚、本願明細書中、図1に示す遮蔽装置として構成される横型ブラインドの正面図に対して、図示上方及び図示下方を遮蔽材(スラット)の吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を横型ブラインドの左側、及び、図示右方向を横型ブラインドの右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、図1に示す横型ブラインドの正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
〔遮蔽装置〕
図1は、本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドの概略構成を示す正面図である。本実施形態の横型ブラインドは、ヘッドボックス1の左右両端部の近傍及び略中央部から吊下するラダーコード2を介して多数段のスラット3が支持され、そのラダーコード2の下端にボトムレール4が吊下支持されている。
また、ヘッドボックス1の左右両端部の近傍から、それぞれ室外側のラダーコード2に併設して昇降コードC1,C3が垂下され、ヘッドボックス1の略中央部から、室内側のラダーコード2に併設して昇降コードC2が垂下される。その昇降コードC1,C2,C3の下端にボトムレール4が取着されている。
ヘッドボックス1内にはラダーコード2及び昇降コードC1,C2,C3を支持する支持部材5が配設され、この支持部材5には六角棒状の駆動軸13が挿通されている。
支持部材5にはチルトドラム51が回転可能に支持され、このチルトドラム51に駆動軸13が相対回転不能に挿通されている。従って、駆動軸13が回転されると、当該チルトドラム51が回転し、ラダーコード2により吊下支持された多数段のスラット3の角度が同位相で調節されるようになっている。尚、支持部材5には、ボトムレール4に一端をそれぞれ取着する昇降コードC1,C2,C3の各他端をヘッドボックス1内の長手方向へ案内するよう転向させる転向滑車52を設けるのが好適である。
ヘッドボックス1内の右端側には、チルト操作グリップ10に一端を取着したチルト操作棒9を垂下するチルト窓部11が形成されている。このチルト窓部11を介して、チルト操作棒9の他端は、ヘッドボックス1内のギヤ機構12に連結されている。また、ギヤ機構12は駆動軸13を連結しており、チルト操作棒9の回転が駆動軸13の回転へと伝達するよう構成されている。従って、チルト操作グリップ10を回転操作することで、駆動軸13にその回転を伝達し、支持部材5を介してラダーコード2により吊下支持された多数段のスラット3の角度を調節することができる。
ボトムレール4に一端を取着する昇降コードC1,C2,C3の各他端は、支持部材5を介してヘッドボックス1内の右端側に案内され、ヘッドボックス1内のストッパー装置15を介した後、ヘッドボックス1内に設置される本発明に係る速度調整装置6に挿通されると、コード出口14から垂下されて、コードイコライザー8に連結される。
図1に示す例では、コード出口14から垂下される複数の昇降コードC1,C2,C3の各末端を連結するコードイコライザー8の下端には操作コード7の一端が取着されている。操作コード7の他端はボトムレール4に取着されている。
ただし、複数の昇降コードC1,C2,C3の垂下に係る変形例として、複数の昇降コードC1,C2,C3の各末端をコード出口14から垂下せずに、チルト操作棒9内に案内しその下端部において、つまみに接続される構成とすることもできる。
図1に示す例では、操作コード7やコードイコライザー8、或いは複数の昇降コードC1,C2,C3を操作してコード出口14から昇降コードC1,C2,C3をヘッドボックス1から引き出せば、ボトムレール4が引き上げられて、スラット3が上昇する。従って、昇降コードC1,C2,C3は、スラット3及びボトムレール4の上昇に伴う牽引を行う牽引コードとして作用する。
昇降コードC1,C2,C3の引出し操作を停止すれば、ストッパー装置15が作動して、スラット3及びボトムレール4の自重降下が防止される。また、ストッパー装置15の作動を解除すれば、スラット3及びボトムレール4はその自重に基づいて下降する。
このように、ストッパー装置15の作動解除でボトムレール4及びスラット3の自重でスラット3を自重降下させ、昇降コードC1,C2,C3を直接的に引くことでスラット3の上昇させる構成の横型ブラインドでは、そのスラット3の下降を円滑にかつ適当な速度で行い得るよう速度調整装置6を設けるのが好適である。
速度調整装置6は、速度調整対象のコード(図1に示す例では昇降コードC1,C2,C3)の移動速度を制限してスラット3の移動速度を一定値以下に制動する装置である。
仮に、速度調整装置6を設置しない場合、下降操作時にコード出口14から垂下される昇降コードC1,C2,C3等から手を放すと、ストッパー装置15の作動解除でボトムレール4及びスラット3の自重により自由落下することになり、その際の下降音やボトムレール4の床面との衝突音が操作者に不快感を生じさせる。このため、本実施形態のように、速度調整装置6を設けることで、下降時のみ減速して制動力を働かせ減速して降下させることができる。
尚、スラット3の上昇操作時にも一定の制動力が働いてしまうと、その際の手引き負荷が増大してしまう点や、当該一定の制動力が常時働くことになるため、コード劣化の要因になる点でも好ましくない。
このため、速度調整装置6は、速度調整対象のコード(図1に示す例では昇降コードC1,C2,C3)について、その一方向の移動のみ制動力を生じさせ、尚且つ、他方向の移動時における当該コードの負荷を軽減可能となっている。
また、速度調整装置6は、各実施例について詳細に後述するが、一対のローラーが昇降コードC1,C2,C3を挟み込み、その昇降コードC1,C2,C3の移動方向に応じて昇降コードC1,C2,C3に対する狭圧/非狭圧の状態を切り替えるようになっており、その一対のローラーにおけるいずれか一方又は双方のローラーの回転軸(ローラー軸)に対し制動トルクを発生させるブレーキ部が設けられている(後述する実施例では一方のローラー軸に対してのみブレーキ部が設けられる)。
そして、速度調整装置6は、スラット3の下降時には、速度調整装置6が備えるブレーキ部によって円滑にかつ適当な速度で行い得るよう当該昇降コードの移動に対し高摩擦となる制動力を発生させるとともに、スラット3の上昇時には、当該昇降コードの移動に対し低摩擦となるほぼ制動力の発生がゼロとなるよう円滑操作可能に構成されている。
特に、本発明に係る速度調整装置6では、そのブレーキ部が設けられているローラー軸が所定の制動力を発生させる設定速度を超える速度で回転した場合、即ち過剰速度の回転が生じた際に、そのローラー軸の回転をブレーキ部のブレーキ軸に対して連動回転させるのを抑制する過負荷制限機構が設けられている。以下、速度調整装置6を大型化させることなく過負荷制限機構を設ける好適例として、本発明に係る各実施例の速度調整装置6を順に説明する。
〔実施例1の速度調整装置〕
図2は、本発明に係る実施例1の速度調整装置6の斜視図である。また、図3は、その本発明に係る実施例1の速度調整装置6の分解斜視図である。図2及び図3に示すように、本発明に係る実施例1の速度調整装置6は、整列部材60、ケース61、スライダー62、コイルスプリングSP、アイドルローラー63、ドライブローラー64、内歯付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67、ウェイト68及びベース69を備える。内歯付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67及びウェイト68は、ドライブローラー64の回転に対し制動トルクを発生させるブレーキ部6aとして構成される。
まず、整列部材60は、概ね4つの縦壁で囲まれて上下に貫通する空洞部601を内側に持つ略四角箱状に構成され、この空洞部601に、ケース61の上部に位置するスライダー収容部611を貫通係合させ、ケース61の下部に位置するブレーキ収容部612の上部に載置される。整列部材60にて左右方向に対向する各縦壁には、それぞれ略四角孔状のコード挿通孔602,603が設けられている。そして、整列部材60がケース61に載置された状態では、各コード挿通孔602,603によって昇降コードC1,C2,C3を確実に分離させてコード同士が絡み合うことが無いよう、本例では図2に示すように昇降コードC1,C2,C3を、ケース61のスライダー収容部611の左右方向の各壁部に設けられるコード挿通孔614に対し案内させるようになっている。尚、コード挿通孔602,603を利用して昇降コードC1,C2,C3をコード挿通孔614に分離案内させる配列は、図示する例に限定する必要はなく用途によって変更可能である。
ケース61は、スライダー62とコイルスプリングSPとを収容するスライダー収容部611、及び、ブレーキ部6aを収容するブレーキ収容部612が連なって下方が開口した箱状の形状を有している。尚、ケース61のブレーキ収容部612の内周壁には、内周ギヤ612aが形成されている(図4参照)。また、ケース61におけるブレーキ収容部612の下端は四隅に嵌合受部615を持つ略四角板状に形成され、同じく四隅に嵌合突起片693を持つ略四角板状に形成されるベース69により、ケース61のそれぞれの嵌合受部615とベース69のそれぞれの嵌合突起片693が嵌合して、蓋着されるようになっている。尚、前述したように、ケース61には、昇降コードC1,C2,C3を挿通可能なコード挿通孔614がスライダー収容部611の左右方向の各壁部に設けられている。
ところで、ケース61におけるスライダー収容部611の上面には、略左右方向に延び僅かに前後方向に屈曲するハの字溝613が形成されており、ハの字溝613におけるそれぞれの溝が、スライダー62に収容されるアイドルローラー63及びドライブローラー64の上側の各ローラー軸631,641をその溝形状に沿って移動可能に軸支するようになっている。
一方、スライダー62は、左右の縦壁と天壁及び底壁で囲まれて前後方向に貫通する空洞部620を内側に持つ略四角箱状に構成され、アイドルローラー63のローラー部632及びドライブローラー64のローラー部642を空洞部620で収容し、各ローラー部632,642の上側の各ローラー軸631,641については当該天壁にそれぞれ前後方向に延びるよう形成される一対の天壁溝621によって軸支し、各ローラー部632,642の下側の各ローラー軸631,641については一対の天壁溝621に平行して当該底壁にそれぞれ前後方向に延びるよう形成される一対の下壁溝622によって軸支している。これにより、スライダー62は、上記のハの字溝613とは交差する方向となる前後方向で、アイドルローラー63及びドライブローラー64を移動可能に軸支するようになっている。
また、スライダー62がケース61におけるスライダー収容部611に収容された状態では、そのスライダー収容部611の内壁に一端を係止するコイルスプリングSPの他端がスライダー62の係合凹部623に係合するよう載置され、圧縮バネによるコイルスプリングSPによって、常に、スライダー62は、ケース61におけるスライダー収容部611内で一方向(図示左方向)に付勢された状態で左右方向に相対移動(相対スライド移動)可能となっている。
そして、スライダー62の左右の縦壁にはそれぞれ、コード挿通孔624が形成されている。従って、スライダー62がケース61におけるスライダー収容部611に収容された状態では、ケース61におけるコード挿通孔614と、スライダー62のコード挿通孔624とが互いに、左右・前後・上下に相対的にずれることなく配設される状態となり、ケース61におけるコード挿通孔614を通じスライダー62のコード挿通孔624を介して挿通される昇降コードC1,C2,C3は、いずれもスライダー62内で、アイドルローラー63のローラー部632及びドライブローラー64のローラー部642に挟み込まれた状態になる。
そして、スライダー62によりスライド可能に軸支されるアイドルローラー63及びドライブローラー64は、ケース61のハの字溝613と協働して、その昇降コードC1,C2,C3の移動方向に応じて昇降コードC1,C2,C3に対する狭圧/非狭圧の状態を切り替えることができるようになる(詳細は後述する)。
アイドルローラー63は、ローラー軸631を軸芯とするローラー部632を有している。ローラー部632より上部のローラー軸631は、スライダー62の一方の天壁溝621とケース61のハの字溝613の一方の溝に軸支され、ローラー部632より下部のローラー軸631は、スライダー62の一方の底壁溝622に軸支された後、ブレーキ部6aとして構成される内歯付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67及びウェイト68と干渉することなく、これら各部材の中空部を経て、ベース69の略中央で円状に隆起する隆起部691に設けられるハの字溝692の一方の溝に軸支される。
ドライブローラー64は、本発明に係る過負荷制限機構が設けられている部材であるが、過負荷制限機構については詳細に後述するものとし、ここでは速度調整装置6として機能する構造部分についてのみ説明する。
ドライブローラー64は、ローラー軸641を軸芯とするローラー部642と、このローラー軸641の下端部にて同軸上で伝達分離可能なセレーション構造で連結する上端部を持つギヤ軸を軸芯とするピニオンギヤ644と、ローラー部642とピニオンギヤ644のそれぞれの軸(ローラー軸641と当該ギヤ軸)を保持する軸保持部643と、ローラー部642とピニオンギヤ644のそれぞれの軸(ローラー軸641と当該ギヤ軸)を連結させるよう付勢する圧縮バネ(図3では図示略)を有しそのピニオンギヤ644のギヤ軸の下端部を支持する軸支持部を有する支持軸645と、を備える。
ドライブローラー64のローラー部642より上部のローラー軸641は、スライダー62の他方の天壁溝621とケース61のハの字溝613の他方の溝に軸支され、ローラー部642より下部のローラー軸641は、スライダー62の他方の底壁溝622に軸支される。また、ドライブローラー64の軸保持部643はスライダー62より下方に位置して、軸保持部643より下方のピニオンギヤ644は内歯付キャリア65の内側の内周面に形成される内歯車652と噛合される。そして、ピニオンギヤ644のギヤ軸の下端部を支持する軸支持部を有する支持軸645は、ブレーキ部6aとして構成される内歯付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67及びウェイト68と干渉することなく、これら各部材の中空部を経て、ベース69の略中央で円状に隆起する隆起部691に設けられるハの字溝692の他方の溝に軸支される。
尚、本例では、ドライブローラー64のローラー部642の周面にローレットが刻設され、アイドルローラー63のローラー部632の周面にはローレットが刻設されず平周面としているが、ローラー部632の周面にもローレットを刻設してもよい。また、ドライブローラー64及びアイドルローラー63の各軸部には適宜、ワッシャー(図示せず)を介在させることができる。
ブレーキ部6aは、本例ではブレーキ量を多段階で調節可能な遠心ブレーキ構造となっており、内歯付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67及びウェイト68によって構成される。特に、ブレーキ部6aは、ピニオンギヤ644の回転に基づく制動トルク増幅機能と、遠心ブレーキによる制動トルクを多段階で調節可能とする制動トルク調節機能を有するように構成される。
内歯付キャリア65は、略円板状のキャリア本体651の中央に中空部を有し下方に突出する円筒部654が設けられ、円筒部654の内周面に内歯車652が形成されている。この内歯車652がドライブローラー64のピニオンギヤ644と噛合される。また、内歯付キャリア65の略円板状のキャリア本体651の下面には、円筒部654の外周上で所定間隔に対称配置される複数(本例では4つ)の遊星歯車653が回転可能に支持されている。
各遊星歯車653は、太陽歯車付ウェイトホルダー67における太陽歯車672と、ケース61のブレーキ収容部612の内周壁に形成される内周ギヤ612aと互いに歯合するようになっている(図4参照)。
そして、内歯付キャリア65の下方に突出する円筒部654の内周面が内歯車652の下方にて、ベース69の略中央で円状に隆起する隆起部691の外周壁に係合して回転可能に支持され、内歯車652の中心部を中心軸として回転(公転)することが可能となっている。従って、ドライブローラー64のピニオンギヤ644の回転が内歯車652に伝達されることにより、内歯付キャリア65が回転し、これに伴い内歯付キャリア65のキャリア本体651に回転可能に支持された各遊星歯車653が回転することで、ピニオンギヤ644の回転を太陽歯車付ウェイトホルダー67に回転伝達することが可能となる。
太陽歯車付ウェイトホルダー67は、略円筒状のホルダー本体671の下方外周から放射状に突出する突出片673が本例では8つ形成されており、この突出片673が形成されている上方の略円筒状のホルダー本体671の外周面に、太陽歯車672が形成されている。ホルダー本体671の内周面は、内歯付キャリア65の下方に突出する円筒部654の外周面に係合して回転可能に支持され、太陽歯車672の中心部を中心軸として回転(公転)することが可能となっている。
(制動トルク増幅機能)
遠心力は、回転半径が大きいほど、回転速度が大きいほど、質量(ウェイト68自体の重さや個数)が重くなるほど増大するが、実施例1の速度調整装置6では、図4に示すように、ピニオンギヤ644の回転は、内歯付キャリア65を介して太陽歯車付ウェイトホルダー67へ回転半径を増加させて回転伝達するようになっているため、制動トルクを増幅する作用が生じ、これにより実施例1の速度調整装置6の小型化を実現して効率の良い制動力を発生させることができる。
略円筒状のホルダー本体671の下方外周から放射状に突出するように形成される本例では8つの突出片673は、8つの凹部を形成することになり、この8つの凹部にそれぞれ略台形板状のウェイト68を配置することができ、従って、8つの突出片673はケース61におけるブレーキ収容部612の内壁と協働して各ウェイト68を保持することができる。
(制動トルク調節機能)
即ち、実施例1の速度調整装置6は、このウェイト68を配置する個数を調節可能とすることで、ピニオンギヤ644にかかる遠心ブレーキによる制動トルクを調節することができ、ウェイト68を全く配置しない場合を含み本例では合計9段階の調節ができるようになっている。太陽歯車付ウェイトホルダー67にて配置可能とするウェイト68の最大個数を増加(突出片673の数の増加)で、より細かい多段階の遠心ブレーキによる制動トルクの調節が可能となる。
尚、内歯付キャリア65と太陽歯車付ウェイトホルダー67との間には、環状プレート66を介在させている。環状プレート66は、太陽歯車付ウェイトホルダー67における8つの突出片673の先端を含むホルダー本体671の外周径より僅かに縮径した円板形状の中央に、太陽歯車付ウェイトホルダー67における太陽歯車672を含むホルダー本体671の外周径より僅かに拡径してホルダー本体671を挿通する中空部を持つ形状を有している。このため、環状プレート66は、内歯付キャリア65と太陽歯車付ウェイトホルダー67とを係合させたときに、各遊星歯車653の傾きを防止するとともに、各遊星歯車653とウェイト68との干渉を防ぐ機能を有する。
(コード移動検知機能)
また、実施例1の速度調整装置6は、スライダー62によりケース61に対しスライド可能に軸支されるアイドルローラー63及びドライブローラー64による一対のローラー部632,642が、ケース61のハの字溝613(更にはベース69のハの字溝692)により各軸が案内されるようになっているため、昇降コードC1,C2,C3の移動の有無及び移動方向を検知することができる。そして、昇降コードC1,C2,C3が一方向に移動する際には一対のローラー部632,642により当該昇降コードC1,C2,C3を狭圧し、昇降コードC1,C2,C3が他方向に移動する際には一対のローラー部632,642による狭圧状態を緩和して(非狭圧として)当該昇降コードC1,C2,C3を挟み込むようになっている。
即ち、本実施形態の例では、アイドルローラー63及びドライブローラー64による一対のローラー部632,642が、スライダー62の天壁溝621及び底壁溝622にそれぞれ軸支され、尚且つケース61のハの字溝613(更にはベース69のハの字溝692)により案内されるようになっているため、図5(a)に示すように、昇降コードC1,C2,C3が左方向(ボトムレール4によるレール支持側)に移動する際には、スライダー62も同方向にスライド移動し、一対のローラー部632,642の間の距離が狭まるよう案内されることで一対のローラー部632,642が狭圧して当該昇降コードC1,C2,C3を挟み込むようになる。
一方、図5(b)に示すように、昇降コードC1,C2,C3が右方向(操作側)に移動する際には、スライダー62が右方向(操作側)にスライド移動し、一対のローラー部632,642の間の距離が離れるよう案内されることで一対のローラー部632,642による狭圧状態を緩和して(非狭圧として)当該昇降コードC1,C2,C3を挟み込むようになる。従って、図5(a)及び図5(b)に示す例では、スライダー62がケース61に対しΔdだけ相対移動している。
従って、この実施例1の速度調整装置6の動作について図6を参照して説明する。図6では、その動作の理解を高めるために、図5に示す平面図に対応付けた配置で速度調整装置6を簡略図示している。尚、昇降コードC1,C2,C3の配列や位置、及び速度調整装置6の配置角度は、上下・前後に傾けて配置するなど任意である。
(スラット下降時)
まず、図6(a)に示すように昇降コードC1,C2,C3の移動によってスラット3を下降させるときには、図5(a)に示したように、この昇降コードC1,C2,C3の移動に起因して、スライダー62も同方向にスライド移動し、一対のローラー部632,642の間の距離が狭まるよう案内されることで一対のローラー部632,642が狭圧して当該昇降コードC1,C2,C3を挟み込み、昇降コードC1,C2,C3の一方向の移動速度を制限可能とする狭圧状態となる。
これにより、図6(a)に示すように、昇降コードC1,C2,C3(或いは操作コード7やコードイコライザー8)の引き操作を停止しストッパー装置15の作動が解除されてスラット3が自重降下する時には、速度調整装置6における一対のローラー部632,642の間の距離が近接して狭圧状態、即ち高摩擦状態となり、制動力を生じさせ、スラット3の下降を円滑にかつ適当な速度で行うことが実現される。
(スラット上昇時)
一方、図6(b)に示すように昇降コードC1,C2,C3の移動によってスラット3を上昇させるときには、図5(b)に示したように、昇降コードC1,C2,C3の移動に起因して、一対のローラー部632,642による狭圧状態を緩和して(非狭圧として)当該昇降コードC1,C2,C3を挟み込むようになる。
これにより、図6(b)に示すように、昇降コードC1,C2,C3(或いは操作コード7やコードイコライザー8)の引き操作に基づくスラット3の上昇時には、速度調整装置6における一対のローラー部632,642の間の距離が離間して解放状態、即ち非狭圧状態となり、スラット3のスムーズな上昇が実現される。
これにより、速度調整対象のコード(本例では昇降コードC1,C2,C3)について、その一方向の移動のみ制動力を生じさせ、尚且つ、他方向の移動時における当該コードの負荷を軽減することができ、コード劣化の増大や操作性の悪化を抑制することができる。
(過負荷制限機能)
ところで、実施例1の速度調整装置6では、上述した制動トルク増幅機能、制動トルク調節機能、及びコード移動検知機能に加えて、従来技法とは異なり、ドライブローラー64に、図7(a)に示すような過負荷制限機能を実現する機構が設けられている。
即ち、図7(b)に示す比較例のように、ローラー軸641上にローラー部642とピニオンギヤ644とを設けたドライブローラー64aを図2及び図3に示すドライブローラー64の代わりに設ける構成では、上述した制動トルク増幅機能、制動トルク調節機能、及びコード移動検知機能を実現可能であるが、ドライブローラー64aではローラー軸641に過剰速度の回転が生じると、そのローラー軸641やブレーキ部6aに過負荷が掛かり、破損又はコード(本例では昇降コードC1,C2,C3)やブレーキ部6aの摩耗が生じるおそれがある。そこで、実施例1の速度調整装置6では、ドライブローラー64に、図7(a)に示すような過負荷制限機構を設けている。
より具体的には、図7(a)に示すように、実施例1の速度調整装置6におけるドライブローラー64は、ローラー軸641を軸芯とするローラー部642と、このローラー軸641の下端部641aにて同軸上で伝達分離可能なセレーション構造で連結する上端部644bを持つギヤ軸644aを軸芯とするピニオンギヤ644と、ローラー部642とピニオンギヤ644のそれぞれの軸(ローラー軸641とギヤ軸644a)を保持する軸保持部643と、ローラー軸641の下端部641aとギヤ軸644aの上端部644bとを連結させるよう付勢する圧縮バネ645bをバネ収容部645bにより収容してギヤ軸644aの下端部を支持する軸支持部645aを有する支持軸645と、を備える。
支持軸645は、ローラー軸641の下端部641aとギヤ軸644aの上端部644bとを連結させるよう付勢する圧縮バネ645bを取着し、ギヤ軸644aの下端部を支持する形状であれば任意の形状とすることができ、支持軸645はギヤ軸644aに対し相対回転不能としてもよいし相対回転可能であってもよい。
下端部641a及び上端部644bの各軸面には軸中心から軸周面に向かうほど互いに噛合する歯たけ(歯の大きさ)が大きくなる噛合歯が形成されており、これによって対向する各軸の軸端面同士の当接摩擦によりセレーション係合させることで、ローラー軸641の下端部641aとギヤ軸644aの上端部644bとは互いに伝達分離可能なセレーション構造を構成している。ただし、本発明に利用可能なセレーション係合は、このような対向する軸端面同士の当接摩擦により伝達分離可能に係合させる構造に必ずしも限定する必要はなく、互いの軸周面の当接摩擦により伝達分離可能に係合させるセレーション係合や、一方の軸周面と他方の軸端面との当接摩擦により伝達分離可能に係合させるセレーション係合とすることもできる。
図8(a)の通常時(非過負荷制限時)として例示する動作図に示すように、実施例1の速度調整装置6におけるドライブローラー64は、圧縮バネ645bの付勢力により、ローラー軸641の下端部641aにギヤ軸644aの上端部644bが押圧されるため、ローラー軸641の回転が、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)以内の回転速度Vaであれば、ローラー軸641の回転はギヤ軸644aに対し同速度Vaで伝達されるよう、ローラー軸641の下端部641aはギヤ軸644aの上端部644bと連結されて連動回転する。
一方、図8(b)の過負荷制限時として例示する動作図に示すように、実施例1の速度調整装置6におけるドライブローラー64は、ローラー軸641が、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を超える速度Vaで回転した場合、即ち過剰速度の回転が生じた際に、ローラー軸641の下端部641aとギヤ軸644aの上端部644bの互いの噛合歯が滑り、噛合ずれが生じて、ローラー軸641の回転はギヤ軸644aに同速度で伝達されなくなる。このため、ローラー軸641が速度閾値Vthを超える回転速度Vaで回転している場合には、常に、ギヤ軸644aは速度閾値Vth以下の回転速度Vbに抑制されるようになり、ギヤ軸644aを軸芯とするピニオンギヤ644の回転が抑制される。
従って、当該セレーション構造は、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を基準に、ローラー軸641の回転をブレーキ部6aのブレーキ軸となるギヤ軸644aに対し連動回転させるのを抑制する過負荷制限機構として機能する。
これにより、例えば図9に示す本実施形態の横型ブラインドにおいて、ボトムレール4に対する過剰な外力が生じるような場合に、実施例1の速度調整装置6におけるドライブローラー64のローラー軸641が所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を超える速度Vaで回転し、即ち過剰速度の回転が生じたとしても、常に、ギヤ軸644aは速度閾値Vth以下の回転速度Vbに抑制されるようになり、ギヤ軸644aを軸芯とするピニオンギヤ644の回転が抑制され、各部材の破損、又はコード(本例では昇降コードC1,C2,C3)やブレーキ部6aの摩耗を防止することができる。
〔実施例2の速度調整装置〕
図10(a)は本発明による実施例2の速度調整装置6における過負荷制限機構を備えるドライブローラー64の概略構成を示す図であり、図10(b),(c)はそのA‐A’断面でそれぞれ通常動作時及び過負荷制限時における概略動作を示す図である。尚、実施例1と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
実施例2の速度調整装置6は、ドライブローラー64の構造が異なる点を除き、図2及び図3に示す実施例1の速度調整装置6とほぼ同様に構成することができる。このため、図10を参照して、実施例2の速度調整装置6に係るドライブローラー64について説明する。
実施例2の速度調整装置6では、実施例1と同様に、上述した制動トルク増幅機能、制動トルク調節機能、及びコード移動検知機能に加えて、従来技法とは異なり、ドライブローラー64に、図10(a)に示すような過負荷制限機能を実現する機構が設けられている。
(過負荷制限機能)
より具体的には、図10(a)に示すように、実施例2の速度調整装置6におけるドライブローラー64は、ローラー軸641を軸芯とするローラー部642と、このローラー軸641の下端部641aを四角軸とし、このローラー軸641と同軸上で分離した四角軸の上端部644bを持つギヤ軸644aを軸芯とするピニオンギヤ644と、ローラー部642とピニオンギヤ644のそれぞれの軸(ローラー軸641とギヤ軸644a)を保持し、ローラー軸641の回転速度が速度閾値Vthを超えると、弾性変形を許容して、ローラー軸641とギヤ軸644aの連動回転を解除する軸保持部643と、を備える。
本実施例では、ピニオンギヤ644より下方のギヤ軸644aが、図2に示すベース69の略中央で円状に隆起する隆起部691に設けられるハの字溝692の対応する溝に軸支される。
本実施例では、軸保持部643が、ローラー部642とピニオンギヤ644のそれぞれの軸(ローラー軸641とギヤ軸644a)を保持し、ローラー軸641の回転速度が速度閾値Vthを超えると弾性変形を許容するゴム材等の緩衡部材により構成されている。特に、軸保持部643は、図10(b),(c)におけるA‐A’断面に示すように、ローラー軸641の下端部641a(四角軸)と面係合し、且つギヤ軸644aの上端部644b(四角軸)と面係合する四角孔643aが形成されている。
従って、図10(b)の通常時(非過負荷制限時)として例示するA‐A’断面の動作図に示すように、実施例2の速度調整装置6におけるドライブローラー64は、ローラー軸641の回転が、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)以内の回転速度Vaであれば、ローラー軸641の下端部641a(四角軸)が軸保持部643の四角孔643aとの面係合を維持して軸保持部643も同速度で回転し、尚且つギヤ軸644aの上端部644b(四角軸)が軸保持部643の四角孔643aとの面係合を維持することで、ローラー軸641の回転はギヤ軸644aに対し同速度Vaで伝達されピニオンギヤ644が連動回転する。
一方、図10(c)の過負荷制限時として例示するA‐A’断面の動作図に示すように、実施例2の速度調整装置6におけるドライブローラー64は、ローラー軸641が、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を超える速度Vaで回転した場合、即ち過剰速度の回転が生じた際に、軸保持部643の四角孔643aが弾性変形し、ローラー軸641の下端部641a(四角軸)が軸保持部643の四角孔643aとの面係合が損なわれる状態が生じて(或いは、ギヤ軸644aの上端部644b(四角軸)が軸保持部643の四角孔643aとの面係合が損なわれる状態が生じて)、ローラー軸641の回転はギヤ軸644aに同速度で伝達されなくなる。このため、ローラー軸641が速度閾値Vthを超える回転速度Vaで回転している場合には、常に、ギヤ軸644aは速度閾値Vth以下の回転速度Vbに抑制されるようになり、ギヤ軸644aを軸芯とするピニオンギヤ644の回転が抑制される。
従って、当該緩衡部材により構成された軸保持部643でローラー軸641及びギヤ軸644aを保持する構造は、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を基準に、ローラー軸641の回転をブレーキ部6aのブレーキ軸となるギヤ軸644aに対し連動回転させるのを抑制する過負荷制限機構として機能する。
尚、図10に示す例では、軸保持部643の四角孔643aが、ローラー軸641の下端部641a(四角軸)と、ギヤ軸644aの上端部644b(四角軸)の双方との面係合を可能とする例を説明したが、ローラー軸641の下端部641a(四角軸)と、ギヤ軸644aの上端部644b(四角軸)のいずれか一方と面係合を可能とする構造とし、他方は四角孔643aに固着させてもよい。
これにより、上述した図9に例示する一実施形態の横型ブラインドにおいて、ボトムレール4に対する過剰な外力が生じるような場合に、実施例2の速度調整装置6におけるドライブローラー64のローラー軸641が所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を超える速度Vaで回転し、即ち過剰速度の回転が生じたとしても、常に、ギヤ軸644aは速度閾値Vth以下の回転速度Vbに抑制されるようになり、ギヤ軸644aを軸芯とするピニオンギヤ644の回転が抑制され、各部材の破損、又はコード(本例では昇降コードC1,C2,C3)やブレーキ部6aの摩耗を防止することができる。
〔実施例3の速度調整装置〕
図11(a)は本発明による実施例3の速度調整装置6における過負荷制限機構を備えるドライブローラー64の概略構成を示す図であり、図11(b),(c)はそのA‐A’断面でそれぞれ通常動作時及び過負荷制限時における概略動作を示す図である。尚、実施例1と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
実施例3の速度調整装置6は、実施例2の変形例として構成され、ドライブローラー64の構造が異なる点を除き、図2及び図3に示す実施例1の速度調整装置6とほぼ同様に構成することができる。このため、図11を参照して、実施例3の速度調整装置6に係るドライブローラー64について説明する。
実施例3の速度調整装置6では、実施例1と同様に、上述した制動トルク増幅機能、制動トルク調節機能、及びコード移動検知機能に加えて、従来技法とは異なり、ドライブローラー64に、図11(a)に示すような過負荷制限機能を実現する機構が設けられている。
(過負荷制限機能)
より具体的には、図11(a)に示すように、実施例3の速度調整装置6におけるドライブローラー64は、ローラー軸641を軸芯とするローラー部642と、このローラー軸641の下端部641aを四角軸とし、このローラー軸641と同軸上で分離した筒状の上端部644bを持つギヤ軸644aを軸芯とするピニオンギヤ644と、当該筒状の上端部644bに固着収容される軸保持部643であって、ローラー部642とピニオンギヤ644のそれぞれの軸(ローラー軸641とギヤ軸644a)を保持し、ローラー軸641の回転速度が速度閾値Vthを超えると、弾性変形を許容して、ローラー軸641とギヤ軸644aの連動回転を解除する軸保持部643と、を備える。
本実施例では、ピニオンギヤ644より下方のギヤ軸644aが、図2に示すベース69の略中央で円状に隆起する隆起部691に設けられるハの字溝692の対応する溝に軸支される。
本実施例では、ピニオンギヤ644におけるギヤ軸644aの筒状の上端部644bに固着収容される軸保持部643が、ローラー部642とピニオンギヤ644のそれぞれの軸(ローラー軸641とギヤ軸644a)を保持し、ローラー軸641の回転速度が速度閾値Vthを超えると弾性変形を許容するゴム材等の緩衡部材により構成されている。特に、図11(b),(c)におけるA‐A’断面に示すように、ピニオンギヤ644におけるギヤ軸644aの筒状の上端部644bに固着収容される軸保持部643は、ローラー軸641の下端部641a(四角軸)と面係合する四角孔643aが形成されている。
従って、図11(b)の通常時(非過負荷制限時)として例示するA‐A’断面の動作図に示すように、実施例3の速度調整装置6におけるドライブローラー64は、ローラー軸641の回転が、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)以内の回転速度Vaであれば、ローラー軸641の下端部641a(四角軸)が軸保持部643の四角孔643aとの面係合を維持することで、ローラー軸641の回転はギヤ軸644aに対し同速度Vaで伝達されピニオンギヤ644が連動回転する。
一方、図11(c)の過負荷制限時として例示するA‐A’断面の動作図に示すように、実施例3の速度調整装置6におけるドライブローラー64は、ローラー軸641が、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を超える速度Vaで回転した場合、即ち過剰速度の回転が生じた際に、軸保持部643の四角孔643aが弾性変形し、ローラー軸641の下端部641a(四角軸)が軸保持部643の四角孔643aとの面係合が損なわれる状態が生じて、ローラー軸641の回転はギヤ軸644aに同速度で伝達されなくなる。このため、ローラー軸641が速度閾値Vthを超える回転速度Vaで回転している場合には、常に、ギヤ軸644aは速度閾値Vth以下の回転速度Vbに抑制されるようになり、ギヤ軸644aを軸芯とするピニオンギヤ644の回転が抑制される。
従って、当該緩衡部材により構成された軸保持部643でローラー軸641及びギヤ軸644aを保持する構造は、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を基準に、ローラー軸641の回転をブレーキ部6aのブレーキ軸となるギヤ軸644aに対し連動回転させるのを抑制する過負荷制限機構として機能する。
尚、図11に示す例では、ピニオンギヤ644におけるギヤ軸644aの筒状の上端部644bに固着収容される軸保持部643の四角孔643aが、ローラー軸641の下端部641a(四角軸)との面係合を可能とする例を説明したが、ローラー軸641の下端部641aとギヤ軸644aの上端部644bの形状として、図11(a)に示す構造とは逆構造としてもよい。
これにより、上述した図9に例示する一実施形態の横型ブラインドにおいて、ボトムレール4に対する過剰な外力が生じるような場合に、実施例3の速度調整装置6におけるドライブローラー64のローラー軸641が所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を超える速度Vaで回転し、即ち過剰速度の回転が生じたとしても、常に、ギヤ軸644aは速度閾値Vth以下の回転速度Vbに抑制されるようになり、ギヤ軸644aを軸芯とするピニオンギヤ644の回転が抑制され、各部材の破損、又はコード(本例では昇降コードC1,C2,C3)やブレーキ部6aの摩耗を防止することができる。
〔実施例4の速度調整装置〕
図12(a)は本発明による実施例4の速度調整装置6における過負荷制限機構を備えるドライブローラー64の概略構成を示す図であり、図12(b),(c)はそのA‐A’断面でそれぞれ通常動作時及び過負荷制限時における概略動作を示す図である。尚、実施例1と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
実施例4の速度調整装置6は、ドライブローラー64の構造が異なる点を除き、図2及び図3に示す実施例1の速度調整装置6とほぼ同様に構成することができる。このため、図11を参照して、実施例4の速度調整装置6に係るドライブローラー64について説明する。
実施例4の速度調整装置6では、実施例1と同様に、上述した制動トルク増幅機能、制動トルク調節機能、及びコード移動検知機能に加えて、従来技法とは異なり、ドライブローラー64に、図12(a)に示すような過負荷制限機能を実現する機構が設けられている。
(過負荷制限機能)
より具体的には、図12(a)に示すように、実施例4の速度調整装置6におけるドライブローラー64は、ローラー軸641を軸芯とするローラー部642と、このローラー軸641の下端部641aを丸凸軸とし、このローラー軸641と同軸上で分離して下端部641a(丸凸軸)と相対回転可能に係合する筒状の上端部644bを持つギヤ軸644aを軸芯とするピニオンギヤ644と、ローラー軸641の周面上で外方に部分突起する突起部641bに一端643cを係合可能とし、ギヤ軸644aの周面上で外方に部分突起する突起部644cに他端643dを係合可能とする圧縮バネによるクラッチスプリングにより構成される軸保持部643であって、ローラー部642とピニオンギヤ644のそれぞれの軸(ローラー軸641とギヤ軸644a)を保持し、ローラー軸641の回転速度が速度閾値Vthを超えると、クラッチスプリングの一端643c又は他端643dの当該係合の外れが生じて、ローラー軸641とギヤ軸644aの連動回転を解除する軸保持部643と、を備える。
本実施例では、ピニオンギヤ644より下方のギヤ軸644aが、図2に示すベース69の略中央で円状に隆起する隆起部691に設けられるハの字溝692の対応する溝に軸支される。
本実施例では、クラッチスプリングにより構成される軸保持部643が、ローラー部642とピニオンギヤ644のそれぞれの軸(ローラー軸641とギヤ軸644a)を保持し、ローラー軸641の回転速度が速度閾値Vthを超えるとクラッチスプリングの一端643c又は他端643dの当該係合の外れが生じるよう構成されている。特に、図12(b),(c)におけるA‐A’断面に示すように、クラッチスプリングにより構成される軸保持部643は、ローラー軸641の周面上で外方に部分突起する突起部641bに一端643cを係合可能とし、ギヤ軸644aの周面上で外方に部分突起する突起部644cに他端643dを係合可能とする圧縮バネによるクラッチスプリングにより構成される。
従って、図12(b)の通常時(非過負荷制限時)として例示するA‐A’断面の動作図に示すように、実施例4の速度調整装置6におけるドライブローラー64は、ローラー軸641の回転が、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)以内の回転速度Vaであれば、ローラー軸641の突起部641bに軸保持部643(クラッチスプリング)の一端643cを係合した状態、及びギヤ軸644aの突起部644cに軸保持部643(クラッチスプリング)の他端643dを係合した状態を維持することで、ローラー軸641の回転はギヤ軸644aに対し同速度Vaで伝達されピニオンギヤ644が連動回転する。
一方、図12(c)の過負荷制限時として例示するA‐A’断面の動作図に示すように、実施例4の速度調整装置6におけるドライブローラー64は、ローラー軸641が、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を超える速度Vaで回転した場合、即ち過剰速度の回転が生じた際に、ローラー軸641の突起部641bに軸保持部643(クラッチスプリング)の一端643cを係合した状態(或いは、ギヤ軸644aの突起部644cに軸保持部643(クラッチスプリング)の他端643dを係合した状態)の係合外れが生じて、ローラー軸641の回転はギヤ軸644aに同速度で伝達されなくなる。このため、ローラー軸641が速度閾値Vthを超える回転速度Vaで回転している場合には、常に、ギヤ軸644aは速度閾値Vth以下の回転速度Vbに抑制されるようになり、ギヤ軸644aを軸芯とするピニオンギヤ644の回転が抑制される。
従って、当該クラッチスプリングにより構成された軸保持部643でローラー軸641及びギヤ軸644aを保持する構造は、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を基準に、ローラー軸641の回転をブレーキ部6aのブレーキ軸となるギヤ軸644aに対し連動回転させるのを抑制する過負荷制限機構として機能する。
尚、図12に示す例では、ローラー軸641の突起部641bに軸保持部643(クラッチスプリング)の一端643cを係合可能とし、且つギヤ軸644aの突起部644cに軸保持部643(クラッチスプリング)の他端643dを係合可能とする軸保持部643(クラッチスプリング)の例を説明したが、軸保持部643(クラッチスプリング)の一端643cと他端643dのいずれか一方のみを係合可能とし、他方を固着した構造としてもよい。
これにより、上述した図9に例示する一実施形態の横型ブラインドにおいて、ボトムレール4に対する過剰な外力が生じるような場合に、実施例4の速度調整装置6におけるドライブローラー64のローラー軸641が所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を超える速度Vaで回転し、即ち過剰速度の回転が生じたとしても、常に、ギヤ軸644aは速度閾値Vth以下の回転速度Vbに抑制されるようになり、ギヤ軸644aを軸芯とするピニオンギヤ644の回転が抑制され、各部材の破損、又はコード(本例では昇降コードC1,C2,C3)やブレーキ部6aの摩耗を防止することができる。
上述した実施例1乃至4では、包括的には、ローラー部642に係る軸を2つの軸(ローラー軸641とギヤ軸644a)で構成し、ローラー軸641とギヤ軸644aを伝達分離可能に軸保持する軸保持部643で過負荷を検知すると、ローラー軸641とギヤ軸644aが同期回転しないように回転分離する構造となっている。これにより、ローラー部642のローラー軸641と、制動力を付与するギヤ軸644aとを確実に分離させることができ、軸保持部643による過負荷制限に係る性能を高めることができる。
一方、ローラー部642に係る軸を1つの軸(ローラー軸641のみ)で構成し、ローラー部642とローラー軸641を伝達分離可能に軸保持する軸保持部643で過負荷を検知すると、ローラー部642とローラー軸641が同期回転しないように回転分離する構造とすることができる。この場合、単一軸となるローラー軸641でローラー部642体を支持することができ、軸保持部643による過負荷制限に係る安定性を高めることができる。
その典型例として、以下、実施例5,6,7の速度調整装置6における過負荷制限機構を備えるドライブローラー64の概略構成を順に説明する。
〔実施例5の速度調整装置〕
図13(a)は本発明による実施例5の速度調整装置6における過負荷制限機構を備えるドライブローラー64の概略構成を示す図であり、図13(b),(c)はそのA‐A’断面でそれぞれ通常動作時及び過負荷制限時における概略動作を示す図である。尚、実施例1と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
実施例5の速度調整装置6は、実施例1の変形例として構成され、ドライブローラー64の構造が異なる点を除き、図2及び図3に示す実施例1の速度調整装置6とほぼ同様に構成することができる。このため、図13を参照して、実施例5の速度調整装置6に係るドライブローラー64について説明する。
実施例5の速度調整装置6では、実施例1と同様に、上述した制動トルク増幅機能、制動トルク調節機能、及びコード移動検知機能に加えて、従来技法とは異なり、ドライブローラー64に、図13(a)に示すような過負荷制限機能を実現する機構が設けられている。
(過負荷制限機能)
より具体的には、図13(a)に示すように、実施例5の速度調整装置6におけるドライブローラー64は、ローラー軸641に対し伝達分離可能なローラー部642と、ローラー軸641を軸芯としローラー軸641と一体となって回転するピニオンギヤ644と、ローラー部642の内部にて、ローラー部642の回転速度が速度閾値Vthを超えると、弾性変形を許容して、ローラー部642とローラー軸641の連動回転を解除する軸保持部643と、を備える。
本実施例では、ピニオンギヤ644より下方のローラー軸641が、図2に示すベース69の略中央で円状に隆起する隆起部691に設けられるハの字溝692の対応する溝に軸支される。
本実施例のローラー軸641には、ローラー部642の内部に位置する領域で四角軸641cが形成されている。一方、ローラー部642の内周面には四角軸641cと面係合する四角孔643aが形成された軸保持部643が固着収容されている。
そして、本実施例の軸保持部643は、ローラー部642の回転速度が速度閾値Vthを超えると弾性変形を許容するゴム材等の緩衡部材により構成されている。
従って、実施例5におけるドライブローラー64は、いわば図10及び図11に示す実施例2,3の変形例として構成され、図13(b)の通常時(非過負荷制限時)として例示するA‐A’断面の動作図に示すように、ローラー部642の回転が、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)以内の回転速度Vaであれば、ローラー軸641の四角軸641cが軸保持部643の四角孔643aとの面係合を維持することで、ローラー部642の回転はローラー軸641に対し同速度Vaで伝達されピニオンギヤ644が連動回転する。
一方、図13(c)の過負荷制限時として例示するA‐A’断面の動作図に示すように、実施例5の速度調整装置6におけるドライブローラー64は、ローラー部642が、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を超える速度Vaで回転した場合、即ち過剰速度の回転が生じた際に、軸保持部643の四角孔643aが弾性変形し、ローラー軸641の四角軸641cが軸保持部643の四角孔643aとの面係合が損なわれる状態が生じて、ローラー部642の回転はローラー軸641に同速度で伝達されなくなる。このため、ローラー部642が速度閾値Vthを超える回転速度Vaで回転している場合には、常に、ローラー軸641は速度閾値Vth以下の回転速度Vbに抑制されるようになり、ローラー軸641を軸芯とするピニオンギヤ644の回転が抑制される。
従って、当該緩衡部材により構成された軸保持部643でローラー部642及びローラー軸641を保持する構造は、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を基準に、ローラー部642の回転をブレーキ部6aのブレーキ軸となるローラー軸641に対し連動回転させるのを抑制する過負荷制限機構として機能する。
尚、図13に示す例では、ゴム材等の緩衡部材により構成され四角孔643aを持つ軸保持部643をローラー部642に固着し、ローラー軸641がその四角孔643aとの面係合を可能とする四角軸641cを有する例を説明したが、この逆構造として、軸保持部643をローラー軸641に固着し、ローラー部642の内周面で軸保持部643の周囲に対する面係合又は摩擦で伝達分離可能とする構造としてもよい。
これにより、上述した図9に例示する一実施形態の横型ブラインドにおいて、ボトムレール4に対する過剰な外力が生じるような場合に、実施例5の速度調整装置6におけるドライブローラー64のローラー部642が所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を超える速度Vaで回転し、即ち過剰速度の回転が生じたとしても、常に、ピニオンギヤ644の回転が速度閾値Vth以下の回転速度Vbに抑制され、各部材の破損、又はコード(本例では昇降コードC1,C2,C3)やブレーキ部6aの摩耗を防止することができる。
〔実施例6,7の速度調整装置〕
図14(a),(b)はそれぞれ本発明による実施例6,7の速度調整装置6における過負荷制限機構を備えるドライブローラー64の概略構成を示す図である。尚、実施例1と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
実施例6,7の速度調整装置6は、ドライブローラー64の構造が異なる点を除き、図2及び図3に示す実施例1の速度調整装置6とほぼ同様に構成することができる。このため、図14(a),(b)を参照して、実施例6,7の速度調整装置6に係るドライブローラー64について説明する。
そして、実施例6,7の速度調整装置6では、実施例1と同様に、上述した制動トルク増幅機能、制動トルク調節機能、及びコード移動検知機能に加えて、従来技法とは異なり、ドライブローラー64に、図14(a),(b)に示すような過負荷制限機能を実現する機構が設けられている。
(過負荷制限機能)
より具体的には、まず実施例6の速度調整装置6におけるドライブローラー64は、図14(a)に示すように、ローラー軸641に対し伝達分離可能なローラー部642と、ローラー軸641を軸芯としローラー軸641と一体となって回転するピニオンギヤ644と、ローラー部642とピニオンギヤ644との間に配置され、ローラー部642の周面上で下方に部分突起する突起部642aに一端643cを係合可能とし、ローラー軸641の周面上で部分突起する突起部641dに他端643dを係合可能とする圧縮バネによるクラッチスプリングにより構成される軸保持部643であって、ローラー部642の回転速度が速度閾値Vthを超えると、クラッチスプリングの一端643c又は他端643dの当該係合の外れが生じて、ローラー部642とローラー軸641の連動回転を解除する軸保持部643と、を備える。
また、実施例7の速度調整装置6におけるドライブローラー64は、図14(b)に示すように、ローラー軸641に対し伝達分離可能なローラー部642と、ローラー軸641を軸芯としローラー軸641と一体となって回転するピニオンギヤ644と、ローラー部642の内部の空洞部642bに配置され、空洞部642bの周面上で部分突起する突起部642aに一端643cを係合可能とし、ローラー軸641の周面上で外方に部分突起する突起部641dに他端643dを係合可能とする圧縮バネによるクラッチスプリングにより構成される軸保持部643であって、ローラー部642の回転速度が速度閾値Vthを超えると、クラッチスプリングの一端643c又は他端643dの当該係合の外れが生じて、ローラー部642とローラー軸641の連動回転を解除する軸保持部643と、を備える。
即ち、実施例6と実施例7との相違点は、クラッチスプリングにより構成される軸保持部643が、ローラー部642とピニオンギヤ644との間に配置されるか(図14(a)参照)、ローラー部642の内部の空洞部642bに配置されるか(図14(b)参照)の点のみであり、実質的な構造は同様である。
尚、実施例6,7において、ピニオンギヤ644より下方のローラー軸641が、図2に示すベース69の略中央で円状に隆起する隆起部691に設けられるハの字溝692の対応する溝に軸支される。
従って、図14(a),(b)にそれぞれ示す実施例6,7におけるドライブローラー64は、いわば図14に示す実施例4の変形例として構成されており、ローラー部642の回転が、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)以内の回転速度Vaであれば、ローラー部642の突起部642aに軸保持部643(クラッチスプリング)の一端643cを係合した状態、及びローラー軸641の突起部641dに軸保持部643(クラッチスプリング)の他端643dを係合した状態を維持することで、ローラー部642の回転はローラー軸641に対し同速度Vaで伝達されピニオンギヤ644が連動回転する。
一方、実施例6,7におけるドライブローラー64では、ローラー部642が、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を超える速度Vaで回転した場合、即ち過剰速度の回転が生じた際に、ローラー部642の突起部642aに軸保持部643(クラッチスプリング)の一端643cを係合した状態(或いは、ローラー軸641の突起部641dに軸保持部643(クラッチスプリング)の他端643dを係合した状態)の係合外れが生じて、ローラー部642の回転はローラー軸641に同速度で伝達されなくなる。このため、ローラー部642が速度閾値Vthを超える回転速度Vaで回転している場合には、常に、ローラー軸641は速度閾値Vth以下の回転速度Vbに抑制されるようになり、ローラー軸641を軸芯とするピニオンギヤ644の回転が抑制される。
従って、当該クラッチスプリングにより構成された軸保持部643でローラー部642及びローラー軸641を保持する構造は、所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を基準に、ローラー部642の回転をブレーキ部6aのブレーキ軸となるローラー軸641に対し連動回転させるのを抑制する過負荷制限機構として機能する。
尚、図14(a),(b)に示す例では、ローラー部642の突起部642aに軸保持部643(クラッチスプリング)の一端643cを係合可能とし、且つローラー軸641の突起部641dに軸保持部643(クラッチスプリング)の他端643dを係合可能とする軸保持部643(クラッチスプリング)の例を説明したが、軸保持部643(クラッチスプリング)の一端643cと他端643dのいずれか一方のみを係合可能とし、他方を固着した構造としてもよい。
これにより、上述した図9に例示する一実施形態の横型ブラインドにおいて、ボトムレール4に対する過剰な外力が生じるような場合に、実施例6,7の速度調整装置6におけるドライブローラー64のローラー部642が所定の制動力を発生させる設定速度(速度閾値Vth)を超える速度Vaで回転し、即ち過剰速度の回転が生じたとしても、常に、ピニオンギヤ644の回転が速度閾値Vth以下の回転速度Vbに抑制され、各部材の破損、又はコード(本例では昇降コードC1,C2,C3)やブレーキ部6aの摩耗を防止することができる。
尚、実施例1のセレーション構造を有するドライブローラー64についても、その変形例として、ローラー部642とローラー軸641との間でセレーション係合させる構造とすることで、ローラー部642に係る軸を1つの軸(ローラー軸641のみ)で構成し、ローラー部642とローラー軸641を伝達分離可能に軸保持する軸保持部643で過負荷を検知すると、ローラー部642とローラー軸641が同期回転しないように回転分離する構造とすることができる。
以上の各実施例では、大別して、実施例1の軸保持部643で軸支する各軸のセレーション係合に基づく過負荷制限機構と、実施例2,3,5の軸保持部643を構成する緩衡部材に基づく過負荷制限機構と、実施例4,6,7の軸保持部643を構成するクラッチスプリングに基づく過負荷制限機構について説明したが、同様な機能を有する他の構造の過負荷制限機構を設けてもよい。
ただし、セレーション係合に基づく過負荷制限機構であれば、速度調整装置6を大型化させることなく、セレーション係合に係る歯たけや歯数等の設定のみで制動トルクの付与と過負荷の制限が調整容易に実現される。また、上述した制動トルク増幅機能、制動トルク調節機能、及びコード移動検知機能を損なうことなく速度調整装置6を構成できる。
また、緩衡部材に基づく過負荷制限機構であれば、速度調整装置6を大型化させることなく、複雑な構造を回避して低廉なゴム材等を緩衡部材として利用できるため低コスト(少ない部品数)で実現される。そして、上述した制動トルク増幅機能、制動トルク調節機能、及びコード移動検知機能を損なうことなく速度調整装置6を構成できる。
また、クラッチスプリングに基づく過負荷制限機構であれば、速度調整装置6を大型化させることなく、その付勢力の調整のみで制動トルクの付与と過負荷の制限の閾値設定が容易に実現される。そして、上述した制動トルク増幅機能、制動トルク調節機能、及びコード移動検知機能を損なうことなく速度調整装置6を構成できる。
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した実施形態の例では、引き操作に係るコードとして移動する昇降コードを速度変換対象とした横型ブラインドの例に説明したが、遮蔽材を移動させるためのコードの移動により、遮蔽材の開閉方向のうち一方向を速度調整する機構的な自動操作とし他方向を手動操作として遮蔽材の開閉を可能とする横型ブラインド、プリーツスクリーン、ローマンシェード、縦型ブラインドアコーディオンカーテン、或いはロールスクリーン等の遮蔽装置であれば、本発明に係る速度調整装置6を適用することができる。
また、上述した実施形態の例では、速度調整装置6において、遠心ブレーキにより制動トルクを発生させる構成例を説明したが、オイル式や空気式のダンパーで制動トルクを発生させる構成としてもよい。