JP7075952B2 - 回転切削工具 - Google Patents

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Description

本発明は、チップブレーカ溝を有する回転切削工具に関するものである。
ルーターを用いたプリント配線板の加工形態は、主に溝加工であるため、外周切れ刃と被削材との接触面積が大きくなり、したがって、これに伴い切削抵抗も大きくなるから、工具本体の折損や加工精度が悪化する問題がある。従来、このような問題を解決するものとして、例えば特許文献1,2に示すような工具本体の外周逃げ面に外周切れ刃を分断するチップブレーカ溝(ニック溝とも言う)が設けられたルーターが提案されている。
実願昭51-165218号(実全昭53-81987号)のマイクロフィルム 実開平5-78421号公報
ところで、プリント配線板の加工においては、加工効率を向上させる目的で複数の素材板を重ねた状態での加工が行われることがあり、近年は、さらなる効率改善を目的として、さらに素材板の重ね枚数を増やしたり、送り速度を上げた条件での加工が広く行われるようになり、このような行為によって切削抵抗が増大し、ルーターの折損、加工経路上での切り屑残り、加工精度の悪化などの問題が再び生じるようになった。
切り屑排出溝の深さを工具本体の先端側に対して基端側で浅くなるようにすれば工具本体の剛性を向上させることはできると考えられるが、その場合、工具本体の先端側と基端側とですくい角や逃げ角が異なる外周切れ刃が形成されることとなり、安定的な加工が損なわれてしまう問題が生じてしまう。
また、特許文献1に記載された技術のように、チップブレーカ溝の深さを工具本体の基端側から先端側に向かって漸減するように構成した場合、工具本体の基端側におけるチップブレーカ溝が深くなって、加工時に最も負荷が掛かる工具本体の基端部の剛性が低下する懸念があり、また、特許文献2に記載されるもののように、チップブレーカ溝が設けられるピッチを工具本体の先端側から基端側に向かって漸増するように構成した場合は、工具本体の基端部の剛性は確保できるものの、チップブレーカ溝のピッチの拡大に伴い外周切れ刃の一つ一つの長さが長くなり、外周切れ刃と被削材との接触面積が増大し、その結果、チップブレーカ溝を有するものでも大きな切削抵抗が生じ、加工精度の悪化などの問題が生じてしまう。
前述の問題を解決するには、耐折損性及び切り屑排出性に優れ且つ切削抵抗が小さく加工精度が良好な回転切削工具が要求されるが、現状、これらの要求をすべて満足するような回転切削工具は存在しない。
本発明は、このような現状に鑑みなされたものであり、耐折損性及び切り屑排出性に優れ、且つ切削抵抗が小さく高精度な加工を実現可能とする回転切削工具を提供することを目的とする。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
工具本体1の外周に該工具本体1の先端から基端側に向かう螺旋状の切り屑排出溝2が形成され、この切り屑排出溝2のすくい面と前記工具本体1の外周面若しくは前記工具本体1の外周に形成された外周逃げ面との交差稜線部に外周切れ刃3が形成され、この外周切れ刃3を分断するようにチップブレーカ溝4が設けられている回転切削工具であって、前記工具本体1の直径は、0.4mm以上1.8mm以下であり、また、前記外周切れ刃3のねじれ角は、15度以上35度以下であり、また、前記チップブレーカ溝4は、溝先端部から溝基端部に向かって深さが所定範囲一定な溝先端側深さ一定領域部Xを有し、この溝先端側深さ一定領域部Xから前記溝基端部に向かって深さが所定の漸減率で浅くなるように構成され、さらに、前記チップブレーカ溝4は、単位長さあたりの深さの変化量が切り替わる位置となる変化点の前記工具本体1の先端からの位置が、前記工具本体1の先端から前記チップブレーカ溝4と前記外周切れ刃3との交点のうち最も基端側に位置する点までの長さで規定されるチップブレーカ溝長の42%以上90%以下の範囲内に設けられ、また、前記溝先端部における深さと前記溝基端部における深さの差が0.030mm以上0.050mm以下となるように構成されていることを特徴とする回転切削工具に係るものである。
また、請求項1記載の回転切削工具において、前記チップブレーカ溝4は、前記溝先端側深さ一定領域部Xから前記溝基端部に向かって深さが所定の漸減率で浅くなると共に、この所定の漸減率で浅くなる領域に連続して前記溝基端部に向かって深さが前記所定の漸減率と異なる漸減率でさらに浅くなるように構成されていることを特徴とする回転切削工具に係るものである。
また、工具本体1の外周に該工具本体1の先端から基端側に向かう螺旋状の切り屑排出溝2が形成され、この切り屑排出溝2のすくい面と前記工具本体1の外周面若しくは前記工具本体1の外周に形成された外周逃げ面との交差稜線部に外周切れ刃3が形成され、この外周切れ刃3を分断するようにチップブレーカ溝4が設けられている回転切削工具であって、前記チップブレーカ溝4は、溝先端部から溝基端部に向かって深さが一定の漸減率で浅くなるように構成されていることを特徴とする回転切削工具に係るものである。
また、工具本体1の外周に該工具本体1の先端から基端側に向かう螺旋状の切り屑排出溝2が形成され、この切り屑排出溝2のすくい面と前記工具本体1の外周面若しくは前記工具本体1の外周に形成された外周逃げ面との交差稜線部に外周切れ刃3が形成され、この外周切れ刃3を分断するようにチップブレーカ溝4が設けられている回転切削工具であって、前記チップブレーカ溝4は、溝基端部から溝先端部に向かって深さが所定範囲一定な溝基端側深さ一定領域部Yを有し、この溝基端側深さ一定領域部Yから前記溝先端部に向かって深さが所定の漸増率で深くなるように構成されていることを特徴とする回転切削工具に係るものである。
また、請求項4記載の回転切削工具において、前記チップブレーカ溝4は、溝先端部から溝基端部に向かって深さが所定範囲一定な溝先端側深さ一定領域部Xを有し、この溝先端側深さ一定領域部Xの深さは前記溝基端側深さ一定領域部Yの深さよりも深くなっていることを特徴とする回転切削工具に係るものである。
また、請求項~5いずれか1項に記載の回転切削工具において、前記チップブレーカ溝4は、溝先端部における深さと溝基端部における深さとの差が0.020mm以上0.055mm以下となるように構成されていることを特徴とする回転切削工具に係るものである。
本発明は上述のように構成したから、耐折損性及び切り屑排出性に優れ、且つ切削抵抗が小さく高精度な加工を実現可能とする回転切削工具となる。
したがって、プリント配線板の加工において、素材板の重ね枚数を増やしたり送り速度を上げた条件で加工しても切削抵抗の増大による影響が可及的に抑制され、高精度な加工を効率的に行うことができる。
本実施例を示す正面図である。 本実施例のチップブレーカ溝の深さを定義する説明図である。 本実施例のチップブレーカ溝を示す概略説明図である。 本実施例のチップブレーカ溝を示す概略説明図である。 本実施例のチップブレーカ溝を示す概略説明図である。 従来例のチップブレーカ溝を示す概略説明図である。 実験1の実験条件及び実験結果を示す表である。 実験1の実験結果を示すグラフである。 実験2の実験条件及び実験結果を示す表である。 実験2の実験結果を示すグラフである。 実験3の実験結果を示す写真である。 実験4の倒れ量評価に関する概略説明図である。 実験4の実験結果を示すグラフである。
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
チップブレーカ溝4の溝基端部における深さを溝先端部における深さよりも浅くすることで、このチップブレーカ溝4による切削抵抗の増大抑制効果を保ちつつも、工具本体1の剛性が改善され、工具本体1の折損を防止することができ、また、加工精度の向上も図ることができる。
さらに、剛性の改善により切り屑排出溝2の体積を大きく設計することが可能となるから、切り屑排出性も向上させることができる実用的な回転切削工具となる。
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
本実施例は、工具本体1の外周に該工具本体1の先端から基端側に向かう螺旋状の切り屑排出溝2が形成され、この切り屑排出溝2のすくい面と前記工具本体1の外周面若しくは前記工具本体1の外周に形成された外周逃げ面との交差稜線部に外周切れ刃3が形成され、この外周切れ刃3を分断するようにチップブレーカ溝4が設けられている回転切削工具である。
具体的には、本実施例は、図1に示すように、前述した工具本体1の外周に設けられた切り屑排出溝2、すくい面、外周逃げ面、外周切れ刃3及びチップブレーカ溝4に加え、工具本体1の先端部に先端形成面6を形成することにより底刃5が設けられ、基端部にプリント配線板用切削加工装置の工具取り付け部に連結するシャンク部(図示省略)が設けられた、主としてプリント配線板の外形加工や長穴加工などの切削加工に用いられるルーターである。なお、本実施例においては、工具回転軸Cの周りに180度の間隔で配置される一対の先端形成面6を形成することで2つの底刃5が設けられている。このため、図1においては一方の先端形成面6のみが視認できるように示されている。また、夫々の先端形成面6は先端形成逃げ面6aと先端形成壁面6bとで構成され、一対の先端形成面6のうち、一方の先端形成面6の先端形成逃げ面6aと他方の先端形成面6の先端形成壁面6bとの交差稜線部に底刃5が設けられている。
以下、本実施例に係る主要構成各部について詳述する。
外周切れ刃3は4枚以上(本実施例では6枚乃至7枚)設けられ、円周方向に等分され、それぞれ右ねじれに設けられている。なお、外周切れ刃3の枚数は、この外周切れ刃3がチップブレーカ溝4により分断される前の枚数であり、本実施例においては切り屑排出溝2の条数と同数になっている。
また、この外周切れ刃3のねじれ角の設定角度については、15度未満では切り屑の排出性が低下し、また、35度を超えると被削材のルーター加工端部にて被削材(プリント配線板)に含まれる樹脂とガラスクロスが剥離して白く見える症状(所謂ハローイング)が起き易くなることから、本実施例は、このような不具合が生じないように、外周切れ刃3のねじれ角は、15度以上35度以下に設定されている。
具体的には、外周切れ刃3のねじれ角は20度以上30度以下が好ましく、本実施例の外周切れ刃3は、ねじれ角が24度若しくは30度に設定されている。
また、チップブレーカ溝4は、外周切れ刃3の螺旋方向に沿って等ピッチに設けられている。
具体的には、本実施例のチップブレーカ溝4は、溝形状が略矩形に形成され、一条溝として工具本体1の先端から始まる右ねじれ方向の螺旋状溝に形成されている。なお、チップブレーカ溝4の深さについては、後述する測定位置に存在する外周切れ刃3からこの外周切れ刃3に隣接するチップブレーカ溝4の底部までの工具径方向距離をチップブレーカ溝4の深さと定義し(図2参照)、本実施例においては、外周切れ刃3とこの外周切れ刃3の基端側に隣接するチップブレーカ溝4とを対象として、チップブレーカ溝4の深さを測定した。
より具体的には、本実施例のチップブレーカ溝4は、ねじれ角が79度~81度に設定されている。なお、チップブレーカ溝4のねじれ角はこのチップブレーカ溝4の回転軌跡に重なる外周切れ刃3の長さの割合に応じて適宜設定変更可能なものとする。また、チップブレーカ溝4のねじれ方向(並設方向)や溝形状(断面形状)、条数は本実施例に限定されるものではない。
また、本実施例のチップブレーカ溝4は、このチップブレーカ溝4の溝基端部における深さが溝先端部における深さよりも浅く設定されている。なお、この溝基端部とは、チップブレーカ溝4の基端近傍、すなわち工具本体1の基端側に位置するチップブレーカ溝4の終端部を意味し、また、溝先端部とは、チップブレーカ溝4の先端近傍、すなわち工具本体1の先端側に位置するチップブレーカ溝4の始端部を意味する。
具体的には、チップブレーカ溝4は、図3に示すような溝先端部から溝基端部に向かって深さが一定の漸減率(溝先端部から溝基端部に向かってチップブレーカ溝4の深さが漸減する場合の、工具回転軸C方向の単位長さ当たりの深さの変化量)で浅くなっている構成と、図4に示すような溝先端部から溝基端部に向かって深さが所定範囲一定であり、この深さが一定な溝先端側深さ一定領域部Xよりも溝基端部側における深さが溝基端部に向かって所定の漸減率で浅くなっている構成と、図5(a)に示すような溝基端部から溝先端部に向かって深さが所定範囲一定であり、この深さが一定な溝基端側深さ一定領域部Yよりも溝先端部側における深さが溝先端部に向かって所定の漸増率(溝基端側深さ一定領域部Y端部から溝先端部に向かってチップブレーカ溝4の深さが漸増する場合の、工具回転軸C方向の単位長さ当たりの深さの変化量)で深くなっている構成と、図5(b)に示すような溝先端部から溝基端部に向かって深さが所定範囲一定な溝先端側深さ一定領域部Xと、溝基端部から溝先端部に向かって深さが所定範囲一定な溝基端側深さ一定領域部Yとを有し、この溝先端側深さ一定領域部Xは溝基端側深さ一定領域部Yよりも深さが深くなっており、この溝先端側深さ一定領域部Xと溝基端側深さ一定領域部Yとの間において深さが溝先端部に向かって所定の漸増率で深くなっている構成とすることができる。
なお、チップブレーカ溝4の構成に関しては、上記に限らず、例えば、溝先端側深さ一定領域部Xや溝基端側深さ一定領域部Yにおいて他の領域と比較して単位長さあたりの深さの変化が小さくなるように深さが変化する構成としても良いし、また、単位長さあたりの深さの変化量が切り替わる位置(以下、変化点という。)が複数個所存在する構成としても良い。
また、変化点については、工具本体1の先端からチップブレーカ溝4と外周切れ刃3との交点のうち最も基端側に位置する点までの長さ(以下、チップブレーカ溝長という。)の96%より基端側の位置で変化量がさらに大きくなり工具本体1の基端にて急激にチップブレーカ溝4が浅くなると、被削材加工中の応力による工具本体1の突発的な折損が生じる可能性があり、本実施例は、このような不具合が生じないように、変化点はチップブレーカ溝長の96%以下(好ましくは90%以下)の位置に設定されている。
また、具体的なチップブレーカ溝4の深さについては、溝先端部における深さと溝基端部における深さとの差が0.020mm未満の場合は前述したようなチップブレーカ溝4の構成にしても、その効果が生じず従来品と変わらず、また、0.055mmを超える場合には基端側のチップブレーカ溝4の体積が小さくなり過ぎてチップブレーカ溝4に沿う切り屑の排出が阻害され、切り屑排出性が低下し、外周切れ刃3が加工経路上に滞留した切り屑を巻き込みながら被削材を加工することになるため、切削抵抗の増大に伴って工具本体1の折損などの不具合が生じ易くなったり、工具本体1の先端側でのチップブレーカ溝4が深くなり過ぎることで剛性が低下し、工具本体1の折損や加工精度不良などの不具合が生じ易くなることから、本実施例は、このような不具合が生じないように、チップブレーカ溝4は、溝先端部における深さと溝基端部における深さとの差が0.020mm以上0.055mm以下(好ましくは0.030mm以上0.050mm以下)となるように構成されている。
なお、工具本体1の先端側(溝先端部)におけるチップブレーカ溝4の深さの測定位置は、工具本体1の先端部を除去することで形成される先端形成面6の影響を受けない位置となる先端形成面6よりも基端側の位置とすることが望ましく、本実施例では工具本体1の先端から1.5mmの位置としている。すなわち、工具本体1の先端から1.5mmの位置に存在する外周切れ刃3とこの外周切れ刃3の基端側に隣接するチップブレーカ溝4とを対象として、溝先端部におけるチップブレーカ溝4の深さを測定した。
また、チップブレーカ溝4は、外周切れ刃3を分断するように、且つ所定のチップブレーカ溝長となるように設けられるために、工具本体1の基端側においては、溝先端部でのチップブレーカ溝4の形状に対し不完全な(大きく変形した)形状で形成されることがある。このため、工具本体1の基端側(溝基端部)におけるチップブレーカ溝4の深さの測定位置は、工具本体1の基端側に位置し、且つ溝先端部におけるチップブレーカ溝4の形状と同等の形状を維持している位置、すなわちチップブレーカ溝長位置よりも先端側の位置とすることが望ましく、本実施例では工具本体1の先端から「チップブレーカ溝長-0.35mm」の位置としている。
すなわち、工具本体1の先端から「チップブレーカ溝長-0.35mm」の位置(例えば後述する実験1で用いた、チップブレーカ溝長が6mmのルーターにおいては、5.65mmの位置)に存在する外周切れ刃3とこの外周切れ刃3の基端側に隣接するチップブレーカ溝4とを対象として、溝基端部におけるチップブレーカ溝4の深さを測定した。
また、本実施例のようにチップブレーカ溝4の溝基端部における深さを溝先端部における深さよりも浅くして、このチップブレーカ溝4による切削抵抗の増大抑制効果を保ちつつも、工具本体1の剛性を改善する場合、工具本体1の直径が0.4mmよりも細い場合、直径が細くなり過ぎ工具本体1の剛性が低下し、チップブレーカ溝4の溝基端部における深さを溝先端部における深さよりも浅くしてもその効果が十分に発揮されないおそれがあり、また、直径を1.8mmより太くした場合、被削材に加工した溝の幅が大きくなり切り屑の排出が容易になることから、そもそもチップブレーカ溝4の溝基端部における深さを溝先端部における深さよりも浅くする必要がなくなる。したがって、チップブレーカ溝4を前述のように構成してこのチップブレーカ溝4による切削抵抗の増大抑制効果を保ちつつも、工具本体1の剛性を改善する効果が発揮される工具本体1の直径は、0.4mm以上1.8mm以下となる。
本実施例は上述のように構成したから、耐折損性及び切り屑排出性に優れ、且つ切削抵抗が小さく高精度な加工を実現可能とする回転切削工具となる。
すなわち、本実施例は、チップブレーカ溝4の溝基端部における深さが溝先端部における深さよりも浅くなるように深さが変化する構成としたから、切り屑排出溝2の深さを工具本体1の基端側と先端側とで変化させることなく工具本体1の基端側の剛性を改善することができ、耐折損性や加工精度を向上することができ、しかも、剛性が改善されることで切り屑排出溝2の体積を大きく設計することが可能となるため、切り屑排出性も向上させることができる。
したがって、本実施例の回転切削工具をプリント配線板の外形加工や長穴加工に用いることで、素材板の重ね枚数を増やしたり、送り速度を上げた条件で加工しても切削抵抗の増大による影響が可及的に抑制され、高精度な加工を効率的に行うことができる。
またさらに、本実施例は、チップブレーカ溝4の深さを適宜変更可能な構成としたから、特許文献2に記載されるもののように、チップブレーカ溝が設けられるピッチを工具本体の先端側から基端側に向かって漸増するように構成した場合に生じる問題、すなわち、チップブレーカ溝のピッチの拡大に伴い外周切れ刃の一つ一つの長さが長くなり、外周切れ刃と被削材との接触面積が増大し、チップブレーカ溝があっても大きな切削抵抗が生じ、工具本体の折損や加工精度の悪化の問題が生じることを防止することができる。
以下は、本実施例の効果を裏付ける実験(評価実験)である。
実験は、図6に示す従来例(チップブレーカ溝4の深さが一定若しくは溝基端部から溝先端部に向かって深さが一定の漸減率で浅くなっている構成(前述の特許文献1に記載の工具と同等の構成)、言い換えると溝先端部から溝基端部に向かって深さが一定の漸増率で深くなっている構成)と図3~5に示す本実施例(チップブレーカ溝4の溝基端部における深さが溝先端部における深さよりも浅く設定されている構成)との夫々における折損寿命(耐折損性)に関する評価(実験1,2)、切り屑排出性に関する評価(実験3)及び倒れ量(剛性)に関する評価(実験4)を行った。
実験1:折損寿命評価(1)
実験1では、従来例及び本実施例にいずれも、直径:1.0mm、刃長及びチップブレーカ溝長:6.0mmのルーターを用いた。また、切削条件及び評価方法は以下のとおりである。
〈切削条件〉
スピンドル回転数:60,000rpm
送り速度:0.8m/min(ラジアル方向(工具径方向)の送り速度として)
〈評価方法〉
厚さ1.6mmの耐熱性ガラス布基材エポキシ樹脂積層板を3枚重ねた被削材に対
して、所定パターン(ヨコ10mm、タテ5mmの計40mmのつづら折パターン
)を繰り返し加工した際の折損寿命を実験No.1(従来例:深さ一定)と比較す
る。
図7は各実験No.のルーターのチップブレーカ溝4の各種設定値及び折損寿命判定結果を示す表であり、図8は各実験No.のルーターの折損寿命を示すグラフである。なお、図7の折損寿命判定結果については、実験No.1(チップブレーカ溝4の深さが一定な従来例)を基準として、この実験No.1の折損寿命に対して折損寿命が1倍以下であった場合は×、1倍を超え1.2倍未満であった場合は△、1.2倍以上1.5倍未満であった場合は○、1.5倍以上であった場合は◎とした。
図7に示すチップブレーカ溝の深さ区分について、図6(a)に示すようなチップブレーカ溝4の深さが溝先端部から溝基端部に向かって一定なもの(変化しないもの)(実験No.1:従来例)を「一定」、図6(b)に示すようなチップブレーカ溝4の深さが溝先端部から溝基端部に向かって一定の漸増率で深くなっているもの(実験No.2,3:従来例)を「漸増」、図3に示すようなチップブレーカ溝4の深さが溝先端部から溝基端部に向かって一定の漸減率で浅くなっているもの(実験No.4:本実施例)を「漸減」、図4(a)に示すようなチップブレーカ溝4の深さが溝先端部から溝基端部に向かって所定範囲一定であり、この深さが一定な溝先端側深さ一定領域部Xよりも溝基端部側における深さが溝基端部に向かって一定の漸減率で浅くなっているもの(実験No.5~15:本実施例)を「一定+漸減」、図4(b)に示すようなチップブレーカ溝4の深さが溝先端部から溝基端部に向かって所定範囲一定であり、この深さが一定な溝先端側深さ一定領域部Xよりも溝基端部側における深さが2つの異なる漸減率で溝基端部に向かって浅くなっているもの(実験No.16:本実施例)を「一定+漸減+漸減」と示している。
また、変化点について、溝先端側に位置する変化点を「第一変化点」、溝基端側に位置する変化点を「第二変化点」として表す。この点、後述する実験2(図9)においても同様である。なお、チップブレーカ溝4の深さ区分が「一定」、「漸増」及び「漸減」については変化点が存在せず、「一定+漸減」については第一変化点のみが存在し、「一定+漸減+漸減」については第一変化点と第二変化点の両方が存在する。図7においては、工具本体1の先端から第一変化点及び第二変化点までの距離と、この距離のチップブレーカ溝長に対する割合を示している。
図7及び図8に示すように、チップブレーカ溝4の深さが一定若しくは溝先端部から溝基端部に向かって漸増する従来例に対して、本実施例のいずれの条件も折損寿命が良好に改善(延命)されることが確認された。
具体的には、実験No.2(従来例:「漸増」)は、実験No.1に対してチップブレーカ溝4の溝基端部の深さは同じであるが溝先端部の深さが浅くなっており、これにより工具本体1の先端側のチップブレーカ溝4の体積が小さく、チップブレーカ溝4の中を通り基端側へ排出される切り屑の移動が阻害され易く、工具本体1の先端側での切り屑の詰まりが生じて切削抵抗が増大したため折損寿命が短かったと考える。
また、実験No.3(従来例:「漸増」)は、チップブレーカ溝4の溝基端部の深さが深く、工具本体1の剛性が低いため折損寿命が短かったと考える。
一方、実験No.4(本実施例:「漸減」)は、チップブレーカ溝4の深さを溝先端部から溝基端部に向かって漸減する構成としたことで工具本体1の基端部における基材体積が増加し(基材部分が太くなり)剛性が向上しているため、折損寿命の改善が見られたと考える。
また、実験No.5~15(本実施例:「一定+漸減」)は、チップブレーカ溝4の深さが溝先端部から溝基端部に向かって所定範囲一定であり、この深さが一定な溝先端側深さ一定領域部Xよりも溝基端部側における深さが溝基端部に向かって一定の漸減率で浅くなるように設計したことで、工具本体1の先端側における切り屑の移動の阻害が軽減され、且つ工具本体1の基端部にける剛性が向上して、実験No.1(従来例:「一定」)よりも折損寿命に高い改善効果が見られたと考える。
なお、溝先端部における深さと溝基端部における深さの差が0.020mm以上0.055mm以下の範囲で、且つ工具本体1の先端から第一変化点までの距離のチップブレーカ溝長に対する割合が90%以下である実験No.5~13が良好な結果を示すことが確認された。また、これらのうち、溝先端部における深さと溝基端部における深さの差が0.030mm以上0.050mm以下の範囲で、且つ工具本体1の先端から第一変化点までの距離のチップブレーカ溝長に対する割合が90%以下である実験No.5~11が特に良好な結果を示すことが確認され、特に実験No.8は、実験No.1(従来例:「一定」)に対して約1.8倍と大幅に折損寿命が改善されることが確認された。
この実験No.8は、工具本体1の先端から5mmの位置にある第一変化点までのチップブレーカ溝4が0.105mmで一定となっており、チップブレーカ溝4の深さの溝先端側測定位置(工具本体1の先端から1.5mmの位置)と第一変化点の中間である、工具本体1の先端から基端側へ3.25mmの位置でのチップブレーカ溝4の深さも0.105mmであり、また、このチップブレーカ溝4は、第一変化点(工具本体1の先端から5.0mm)と溝基端部における深さ測定位置(工具本体1の先端から5.65mm)との間で深さが0.045mm浅くなるように構成され(漸減率が6.9%に設定されている。)、溝基端側のチップブレーカ溝4の深さ測定位置(工具本体1の先端から5.65mm)では0.06mm、第一変化点と溝基端側測定位置との中間にあたる工具本体1の先端から5.3mmの位置では、チップブレーカ溝4の深さは0.084mmとなることが確認された。
なお、実験No.8以外の実施例及び従来例においても、チップブレーカ溝4の深さ区分が一定で示される領域では、溝先端側から溝基端側までチップブレーカ溝4の深さに変化はなく、漸減若しくは漸増で示される領域では、所定の漸減率、漸増率でチップブレーカ溝4が形成されていることが確認された。
また、実験No.16(本実施例:「一定+漸減+漸減」)は、実験No.5~15(本実施例:「一定+漸減」)と同様の改善効果が見られ、この実験No.16のようにチップブレーカ溝4の深さの漸減率、すなわち、長さ単位あたりの変化量が複数個所で変化する構成であっても、折損寿命が改善されることが確認された。
実験2:折損寿命評価(2)
実験2では、従来例及び本実施例にいずれも、直径:1.0mm、刃長及びチップブレーカ溝長:6.5mmのルーターを用いた。なお、切削条件及び評価方法は実験1と同様である。
図9は各実験No.のルーターのチップブレーカ溝4の各種設定値及び折損寿命判定結果を示す表であり、図10は各実験No.のルーターの折損寿命を示すグラフである。なお、図9の折損寿命判定結果については、実験1と同様、実験2の実験No.17(チップブレーカ溝4の深さが一定な従来例)を基準として、この実験No.17の折損寿命に対して折損寿命が1倍以下であった場合は×、1倍を超え1.2倍未満であった場合は△、1.2倍以上1.5倍未満であった場合は○、1.5倍以上であった場合は◎とした。
図9に示すチップブレーカ溝の深さ区分について、実験1と同様、図6(a)に示すようなチップブレーカ溝4の深さが溝先端部から溝基端部に向かって一定なもの(変化しないもの)(実験No.17:従来例)を「一定」、図6(b)に示すようなチップブレーカ溝4の深さが溝先端部から溝基端部に向かって一定の漸増率で深くなっているもの(実験No.18,19:従来例)を「漸増」、図3に示すようなチップブレーカ溝4の深さが溝先端部から溝基端部に向かって一定の漸減率で浅くなっているもの(実験No.20:本実施例)を「漸減」、図4(a)に示すようなチップブレーカ溝4の深さが溝先端部から溝基端部に向かって所定範囲一定であり、この深さが一定な溝先端側深さ一定領域部Xよりも溝基端部側における深さが溝基端部に向かって一定の漸減率で浅くなっているもの(実験No.21:本実施例)を「一定+漸減」と示し、また、図5(a)に示すようなチップブレーカ溝4の深さが溝基端部から溝先端部に向かって所定範囲一定であり、この深さが一定な溝基端側深さ一定領域部Yよりも溝先端部側における深さが溝先端部に向かって一定の漸増率で深くなっているもの、言い換えると、チップブレーカ溝4の深さが溝先端部から溝基端部に向かう所定範囲において一定の漸減率で浅くなり、その後溝基端部まで深さが一定となっているもの(実験No.22~31:本実施例)を「漸減+一定」、図5(b)に示すようなチップブレーカ溝4の深さが溝先端部から溝基端部に向かって深さが所定範囲一定な溝先端側深さ一定領域部Xと、溝基端部から溝先端部に向かって深さが所定範囲一定な溝基端側深さ一定領域部Yとを有し、この溝先端側深さ一定領域部Xは溝基端側深さ一定領域部Yよりも深さが深くなっており、この溝先端側深さ一定領域部Xと溝基端側深さ一定領域部Yとの間において深さが溝先端部に向かって一定の漸増率で深くなっているもの、言い換えると、溝先端側深さ一定領域部Xと溝基端側深さ一定領域部Yとの間において深さが溝基端部に向かって一定の漸減率で浅くなっているもの(実験No.32:本実施例)を「一定+漸減+一定」と示している。
また、変化点について、チップブレーカ溝の深さ区分が「一定」、「漸増」及び「漸減」については実験1と同様に変化点は存在せず、「一定+漸減」及び「漸減+一定」については第一変化点のみが存在し、「一定+漸減+一定」については第一変化点及び第二変化点の両方が存在する。図7と同様に図9においては、工具本体1の先端から第一変化点及び第二変化点までの距離と、この距離のチップブレーカ溝長に対する割合を示している。
図9及び図10に示すように、実験2においても実験1と同様、チップブレーカ溝4の深さが一定若しくは溝先端部から溝基端部に向かって漸増する従来例に対して、本実施例のいずれの条件も折損寿命が良好に改善(延命)されることが確認された。すなわち、チップブレーカ溝4の深さ区分が図3に示すような「漸減」となる構成や図4(a)に示すような「一定+漸減」となるような構成だけでなく、図5(a),(b)に示すような「漸減+一定」若しくは「一定+漸減+一定」となる構成であっても、折損寿命が改善されることが確認された。
具体的には、この図5(a),(b)に示すような「漸減+一定」若しくは「一定+漸減+一定」となる構成において、溝先端部における深さと溝基端部における深さの差が0.020mm以上0.055mm以下の範囲で、且つ工具本体1の先端から第一変化点までの距離のチップブレーカ溝長に対する割合が96%以下である実験No.22~30及びNo.32が良好な結果を示すことが確認された。また、これらのうち、溝先端部における深さと溝基端部における深さの差が0.045mm以上0.050mm以下の範囲で、且つ工具本体1の先端から第一変化点までの距離のチップブレーカ溝長に対する割合が90%以下である実験No.21~27及びNo.32が特に良好な結果を示すことが確認され、特に実験No.23では、実験No.17(従来例:「一定」)に対して約1.8倍と大幅に折損寿命が改善されることが確認された。
この実験No.23のチップブレーカ溝は、溝先端部から第一変化点までの漸減率が1.14%に設定されており、溝先端側のチップブレーカ溝の深さ測定位置(工具本体1の先端から1.5mm)では0.115mm、溝先端側のチップブレーカ溝の深さ測定位置と第一変化点との中間にあたる工具本体1の先端から3.48mmの位置では0.092mmとなり、また、工具本体1の先端から5.45mmの位置にある第一変化点より溝基端側ではチップブレーカ溝は0.045mmで一定となっており、第一変化点とチップブレーカ溝4の深さの溝基端側測定位置(工具本体1の先端から6.15mm)との中間である、工具本体1の先端から基端側へ5.8mmの位置でのチップブレーカ溝4の深さも0.045mmとなることが確認された。
なお、実験No.23以外の実施例及び従来例においても、チップブレーカ溝の深さ区分が一定で示される領域では、溝先端側から溝基端側までチップブレーカ溝の深さに変化はなく、漸減若しくは漸増で示される領域では、所定の漸減率、漸増率でチップブレーカ溝4が形成されていることが確認された。
実験3:切り屑排出性評価
実験3では、実験2で用いた実験No.17(従来例:「一定」)と実験No.23(本実施例:「漸減+一定」)のルーターを用いて、同一加工条件で同距離を加工した際の切り屑排出性を比較した。
図11は各ルーターを各3本(夫々#1~#3の3本)評価した際の加工後の被削材(プリント配線板)を示す図であり、図中、加工経路にて切り屑が排出されている箇所は黒く、切り屑が残っている箇所は白く示されている。
実験No.17(従来例:「一定」)と実験No.23(本実施例:「漸減+一定」)の結果を比較すると、3本共に実験No.23(本実施例:「漸減+一定」)のほうが黒く示されている箇所が多く、良好な切り屑排出性が発揮されていることが確認された。
被削材の加工により生じた切り屑部は切り屑排出溝2を通じて加工した溝の外部へ排出される他、その一部はチップブレーカ溝4を通じて工具本体1の基端側へ移動し、最終的には加工した溝の外部へ排出される。実験No.23(本実施例:「漸減+一定」)は、実験No.17(従来例:「一定」)に対して工具本体1の先端側のチップブレーカ溝4が深く設定され、また、工具本体1の基端側ではチップブレーカ溝4の深さが一定となるように設定されて、過度にチップブレーカ溝4の体積が小さくなりチップブレーカ溝4を通る切り屑の流れが阻害されないように設定されているため、実験No.17(従来例:「一定」)と比較してチップブレーカ溝4を通じて排出される切り屑の排出性が良くなり、総じて切り屑排出性が向上したと考える。
実験4:倒れ量(剛性)評価
図12は被削材を加工途中のルーターについての模式図である。(a)は工具軸方向基端側から図示したものであり、(b)は工具径方向にしてルーターの進行方向後方側から図示したものである。ルーターによる被削材加工中には工具剛性や切削抵抗の影響により図12(b)に示すような工具本体1の撓みが生じ、その際に倒れ量δで示される被削材の最上位と最下位での加工寸法差が発生する。実験4では、実験2で用いた実験No.17(従来例:「一定」)、実験No.23(本実施例:「漸減+一定」)及び実験No.32(本実施例:「一定+漸減+一定」のルーターを用いて、所定の加工距離(本実験では6.4mとした。)を加工した際の倒れ量δを測定し、各ルーターの剛性を評価した。
図13は各ルーターの加工距離6.4mまでの所定の加工位置(本実施例では0.08m、1.28m、3.84m及び6.4m)における倒れ量δを測定した結果を示すグラフである。
図13に示されるように、加工開始時点から実験No.17(従来例:「一定」)に対して、実験No.23(本実施例:「漸減+一定」)及び実験No.32(本実施例:「一定+漸減+一定」)の倒れ量δが小さく、特に実験No.32(本実施例:「一定+漸減+一定」)は良好な結果を示すことが確認された。
この実験No.23(本実施例:「漸減+一定」)及び実験No.32(本実施例:「一定+漸減+一定」)は、実験No.17(従来例:「一定」)よりも工具本体1の先端側のチップブレーカ溝4が深く設定され、工具本体1の基端側のチップブレーカ溝4の深さが浅く設定されている。すなわち、工具本体1の先端側のチップブレーカ溝4が深く設定されているだけでは、工具本体1の剛性は低下し倒れ量δは大きくなるが、実験No.23(本実施例:「漸減+一定」)及び実験No.32(本実施例:「一定+漸減+一定」)のように工具本体1の基端側のチップブレーカ溝4の深さを浅く設定することで剛性が確保され、倒れ量δが小さくなる。
また、実験No.23(本実施例:「漸減+一定」)及び実験No.32(本実施例:「一定+漸減+一定」)は、工具本体1の基端側ではチップブレーカ溝4の深さが一定となるように設定されているため、実験3で示したように切り屑排出性が良く切り屑の詰まりによる切削抵抗の増大が抑制され、この切削抵抗が小さいことと、剛性が確保されることの相乗効果により倒れ量δが小さくなると考える。
また、実験No.32(本実施例:「一定+漸減+一定」)は、工具本体1の先端にてチップブレーカ溝4の深さが一定となる溝先端側深さ一定領域部Xが設けられており、実験No.23(本実施例:「漸減+一定」)より工具本体1の先端側において剛性が優れる。そのため、工具本体1の先端側での撓みが抑えられ、工具本体1の全体の剛性が実験No.23(本実施例:「漸減+一定」)よりも優れたものとなり、この実験No.23(本実施例:「漸減+一定」)より倒れ量δが小さくなったと考える。
なお、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
1 工具本体
2 切り屑排出溝
3 外周切れ刃
4 チップブレーカ溝
X 溝先端側深さ一定領域部
Y 溝基端側深さ一定領域部

Claims (6)

  1. 工具本体の外周に該工具本体の先端から基端側に向かう螺旋状の切り屑排出溝が形成され、この切り屑排出溝のすくい面と前記工具本体の外周面若しくは前記工具本体の外周に形成された外周逃げ面との交差稜線部に外周切れ刃が形成され、この外周切れ刃を分断するようにチップブレーカ溝が設けられている回転切削工具であって、前記工具本体の直径は、0.4mm以上1.8mm以下であり、また、前記外周切れ刃のねじれ角は、15度以上35度以下であり、また、前記チップブレーカ溝は、溝先端部から溝基端部に向かって深さが所定範囲一定な溝先端側深さ一定領域部を有し、この溝先端側深さ一定領域部から前記溝基端部に向かって深さが所定の漸減率で浅くなるように構成され、さらに、前記チップブレーカ溝は、単位長さあたりの深さの変化量が切り替わる位置となる変化点の前記工具本体の先端からの位置が、前記工具本体の先端から前記チップブレーカ溝と前記外周切れ刃との交点のうち最も基端側に位置する点までの長さで規定されるチップブレーカ溝長の42%以上90%以下の範囲内に設けられ、また、前記溝先端部における深さと前記溝基端部における深さの差が0.030mm以上0.050mm以下となるように構成されていることを特徴とする回転切削工具。
  2. 請求項1記載の回転切削工具において、前記チップブレーカ溝は、前記溝先端側深さ一定領域部から前記溝基端部に向かって深さが所定の漸減率で浅くなると共に、この所定の漸減率で浅くなる領域に連続して前記溝基端部に向かって深さが前記所定の漸減率と異なる漸減率でさらに浅くなるように構成されていることを特徴とする回転切削工具。
  3. 工具本体の外周に該工具本体の先端から基端側に向かう螺旋状の切り屑排出溝が形成され、この切り屑排出溝のすくい面と前記工具本体の外周面若しくは前記工具本体の外周に形成された外周逃げ面との交差稜線部に外周切れ刃が形成され、この外周切れ刃を分断するようにチップブレーカ溝が設けられている回転切削工具であって、前記チップブレーカ溝は、溝先端部から溝基端部に向かって深さが一定の漸減率で浅くなるように構成されていることを特徴とする回転切削工具。
  4. 工具本体の外周に該工具本体の先端から基端側に向かう螺旋状の切り屑排出溝が形成され、この切り屑排出溝のすくい面と前記工具本体の外周面若しくは前記工具本体の外周に形成された外周逃げ面との交差稜線部に外周切れ刃が形成され、この外周切れ刃を分断するようにチップブレーカ溝が設けられている回転切削工具であって、前記チップブレーカ溝は、溝基端部から溝先端部に向かって深さが所定範囲一定な溝基端側深さ一定領域部を有し、この溝基端側深さ一定領域部から前記溝先端部に向かって深さが所定の漸増率で深くなるように構成されていることを特徴とする回転切削工具。
  5. 請求項4記載の回転切削工具において、前記チップブレーカ溝は、溝先端部から溝基端部に向かって深さが所定範囲一定な溝先端側深さ一定領域部を有し、この溝先端側深さ一定領域部の深さは前記溝基端側深さ一定領域部の深さよりも深くなっていることを特徴とする回転切削工具。
  6. 請求項~5いずれか1項に記載の回転切削工具において、前記チップブレーカ溝は、溝先端部における深さと溝基端部における深さとの差が0.020mm以上0.055mm以下となるように構成されていることを特徴とする回転切削工具。
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