JP7075265B2 - 補助工法 - Google Patents

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Description

本発明は、地下構造物の側方に拡幅部を設けるための補助工法に関するものである。
従来、トンネル同士の接合やトンネルの拡幅などを行う際には、予め地盤改良を行って地山を補強した後、掘削部を掘削していた。地盤補強の方法として、例えば、トンネル内から直線で放射状にボーリング削孔を行い、ボーリング孔に凍結管を設置して地盤を凍結することにより、地盤を改良する方法があった。
また、シールドトンネルのセグメントを開口して、曲管である注入用外管と、注入用外管に挿入した内管の先方に設けられた掘削装置とを設置し、掘削装置の先端ビットの回転によって地盤を掘削しつつ注入用外管を送り出して円弧状に地盤に挿入した後、内管と掘削装置とを引き抜き、注入用外管にコンクリートを充填して、拡幅部の周囲の地盤を改良する方法があった(例えば、特許文献1参照)。
他に、先端に案内刃を付けた曲がり鋼管の内部に先端にジェットノズルを取り付けた内管を挿入した装置を用い、ジェットノズルから噴出させたジェット水で地山を掘削しつつ内管から泥土を排出するとともに、曲がり鋼管と内管とを同時に地山に挿入した後、曲がり鋼管から内管を取り出して注入管を挿入し、地盤固化材を注入して地山を改良する方法があった(例えば、特許文献2参照)。
特許第2770112号公報 特許第4057440号公報
しかしながら、放射状にボーリング削孔を行う方法では、ボーリングの延長距離が長いため凍結管の盛り替え作業に手間がかかる、掘削範囲に凍結管が存在するため掘削し難いなどの問題点があった。
曲管を用いたボーリングは、曲率が一定であり、小さい径の円弧の削孔が困難であった。また、地盤が硬い条件では適用できなかった。さらに、地盤の硬さが変化する条件でも、削孔方向が柔らかい地盤の方向にずれてしまうため、適用が困難であった。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすることは、削孔の曲率を調整することができ、工期を短縮し工費を縮減できる補助工法を提供することである。
前述した課題を解決するための第1の発明は、地下構造物の側方に拡幅部を設けるための補助工法であって、削孔ロッドに振動を、ないしは前記削孔ロッドの先端ビットに打撃を加えつつ、前記削孔ロッドの回転と非回転を制御することにより、前記地下構造物の拡幅予定範囲の外側に曲線状の孔を削孔する工程aを具備し、前記孔が、前記拡幅予定範囲の延長方向に所定の間隔をおいて形成され、前記工程aの後、前記削孔ロッドの内部に凍結管を配置し、前記孔から前記削孔ロッドを撤去する工程bと、前記凍結管内に凍結冷媒を循環させて、前記拡幅予定範囲の外側に凍土を造成する工程cと、をさらに具備することを特徴とする補助工法である。
本発明によれば、削孔ロッドの回転と非回転を制御することで、計画された方向に削孔を行うことができる。また、曲線状の孔を削孔することにより、放射状に削孔する場合と比較して、工程を短縮でき、工費を縮減できる。本発明で削孔ロッドに加える振動成分は、軸方向であってもよいし、複数方向であってもよい。複数方向の振動成分を加えることにより、地盤が硬い場合や、地盤の硬さが変化する場合にも、削孔方向がぶれることなく、計画された方向に削孔を行うことができる。また、シールドのセグメントや鉄筋コンクリート構造物等の地下構造物を直接切削して削孔ロッドを発進させることができる。
また、拡幅予定範囲の外側に、拡幅予定範囲の延長方向に連続する凍土を容易に造成できる。凍土は連続アーチ形状となるため、土圧に対してアーチ効果が期待できる。
前記工程cでは、前記凍結管内にマイクロチャンネルを設置し、前記マイクロチャンネルの内部に前記凍結冷媒として二酸化炭素を循環させてもよい。
マイクロチャンネルは、軽量で熱伝導性に優れているため、削孔ロッド内への配置が容易であり、効率良く凍土を造成できる。
第2の発明は、地下構造物の側方に拡幅部を設けるための補助工法であって、削孔ロッドに振動を、ないしは前記削孔ロッドの先端ビットに打撃を加えつつ、前記削孔ロッドの回転と非回転を制御することにより、前記地下構造物の拡幅予定範囲の外側に曲線状の孔を削孔する工程aを具備し、前記孔が、前記拡幅予定範囲の延長方向に所定の間隔をおいて形成され、前記削孔ロッドは、靭性を有する管状材であり、前記先端ビットに、削孔方向決定部材が、前記削孔ロッドの軸方向に対して所定の角度をなすように取付けられ、前記削孔方向決定部材は開口部を有し、前記削孔ロッドの先端部には詰め物が設けられることを特徴とする補助工法である。
第3の発明は、地下構造物の側方に拡幅部を設けるための補助工法であって、削孔ロッドに複数方向の振動を加えつつ、前記削孔ロッドの回転と非回転を制御することにより、前記地下構造物の拡幅予定範囲の外側に曲線状の孔を削孔する工程aを具備し、前記孔が、前記拡幅予定範囲の延長方向に所定の間隔をおいて形成されることを特徴とする補助工法である。
第4の発明は、地下構造物の側方に拡幅部を設けるための補助工法であって、削孔ロッドに振動を、ないしは前記削孔ロッドの先端ビットに打撃を加えつつ、前記削孔ロッドの回転と非回転を制御することにより、前記地下構造物の拡幅予定範囲の外側に曲線状の孔を削孔する工程aを具備し、前記孔が、前記拡幅予定範囲の延長方向に所定の間隔をおいて形成され、前記曲線状の孔は、前記拡幅予定範囲の外側を、螺旋状に削孔して形成されることを特徴とする補助工法である。
本発明によれば、削孔の曲率を調整することができ、工期を短縮し工費を縮減できる補助工法を提供することができる。
地盤1に孔15を削孔する工程を示す図 削孔ロッド11の先端ビット13付近の断面図 孔15に凍結管25を配置する方法を示す図 孔15に凍結管25を配置した状態を示す図 削孔ロッド11の発進位置および削孔方向を示す図 拡幅予定範囲17を掘削する工程を示す図 拡幅部41を構築する工程を示す図 孔の曲率を変化させた例を示す図 孔を2方向から削孔している例を示す図 マイクロチャンネル27aを螺旋状に配置した例を示す図 トンネル3の全周に拡幅予定範囲55が存在する例を示す図
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、地盤1に孔15を削孔する工程を示す図である。図1(a)は、削孔ロッド11で地盤1を削孔している状態を示す図、図1(b)は、削孔ロッド11がトンネル3に到達した状態を示す図である。図2は、削孔ロッド11の先端ビット13付近の断面図である。
図1に示すように、トンネル3は、地盤1に埋設された地下構造物である。トンネル3の側方の地盤1には、拡幅予定範囲17が存在する。拡幅予定範囲17は、トンネル3と連通する空間を構築する予定の範囲である。
トンネル3内には、ガイドレール7、作業床9が設けられる。ガイドレール7は、トンネル3の内壁に沿って設けられ、作業床9はトンネル3の底部付近に設けられる。トンネル3内には、削孔ロッド11を駆動するためのボーリングマシン5が設置される。ボーリングマシン5は、ガイドレール7によって支持される。
図2に示すように、削孔ロッド11は、管状材であり、先端ビット13に削孔方向決定部材19が設けられる。削孔ロッド11は、大きな靱性を有する。削孔方向決定部材19は、削孔ロッド11の軸方向(図2に示す矢印Xの方向)に対して所定の角度をなすように取り付けられる。削孔ロッド11の先端付近には詰め物21が設けられる。削孔ロッド11の先端ビット13には、位置探査のための図示しない発信器が設置される。また、ボーリングマシン5には、図示しないジャイロ挿入引き込み装置が一体化される。
ボーリングマシン5は、削孔ロッド11の全体を矢印Aに示すように回転させることができる。さらに、必要に応じて削孔ロッド11を先端ビット13の方向に押し出すことが可能である。削孔ロッド11は、ボーリングマシン5によって軸方向に振動が加えられるような構成、ないしは、先端ビット13の基端部側に設置された図示しないハンマー等で先端ビット13に打撃が加えられるような構成とする。
削孔ロッド11は、回転と、削孔ロッド11への軸方向の振動ないしは先端ビット13への打撃とを組み合わせることで直進する。また、削孔ロッド11の回転を停止して非回転の状態で削孔ロッド11への軸方向の振動ないしは先端ビット13への打撃を加えることで、削孔方向決定部材19の方向への削孔が行われ、削孔方向を任意の方向に曲げることができる。なお、掘削対象となる地盤の状況に応じて単位時間あたりの打撃回数を増減するなどして、振動ないしは打撃の加え方と押し出し力を調整することによって、削孔の曲率を調整することもできる。
図1(a)に示す工程では、ボーリングマシン5を用いて削孔ロッド11に軸方向に振動を加えつつ、ないしは先端ビット13に打撃を加えつつ削孔ロッド11の回転と非回転を制御することにより、トンネル3の一部から削孔ロッド11を発進させて、削孔ロッド11で地盤1に孔15を削孔する。削孔ロッド11は、トンネル3のセグメントに予め開口部を設けて発進する。孔15は、トンネル3の拡幅予定範囲17の外側に曲線状に削孔される。
図1(b)に示す工程では、削孔ロッド11による孔15の削孔をさらに進め、削孔ロッド11をトンネル3の他部に到達させる。図1(b)では、削孔ロッド11の先端ビット13がセグメントに設けた開口部からトンネル3内に進入する例を示しているが、削孔ロッド11はトンネル3の他部に到達すればよく、トンネル3内への進入は必須ではない。孔15は、拡幅予定範囲17の外側に、拡幅予定範囲17の3辺を囲むように円弧状に削孔される。孔15の削孔を終了した後、トンネル3内のボーリングマシン5およびガイドレール7は、適切な時期に撤去される。
図1(a)、図1(b)に示す工程では、削孔ロッド11による地盤1の削孔中に、削孔ロッド11の先端ビット13に設置した図示しない発信器の位置を、地上部もしくはトンネル3からリアルタイムで探査する。また、削孔中の適切な時期に、ボーリングマシン5と一体化された図示しないジャイロ挿入引き込み装置を用いて、削孔ロッド11の先端ビット13付近に図示しないジャイロスコープを挿入して引き込むことにより、削孔ロッド11の削孔軌跡を計測する。
図3は、孔15に凍結管25を配置する方法を示す図である。図3(a)は、削孔ロッド11に撤去用部材23を挿入した状態を示す図、図3(b)は、詰め物21を撤去した状態を示す図、図3(c)は、削孔ロッド11に凍結管25を挿入した状態を示す図、図3(d)は、孔15から削孔ロッド11を撤去した状態を示す図である。図4は、孔15に凍結管25を配置した状態を示す図である。
図4に示すように、孔15に凍結管25を配置するには、まず、図1(b)に示す状態の削孔ロッド11の内部に、図3(a)に示すように、撤去用部材23を挿入し、撤去用部材23と詰め物21とを連結する。そして、図3(b)に示すように、撤去用部材23および詰め物21を削孔ロッド11から撤去する。
次に、図3(c)に示すように、削孔ロッド11の内部に凍結管25を挿入して配置する。さらに、図3(d)に示すように、削孔ロッド11を孔15から撤去する。また、凍結管25の内部に、マイクロチャンネル27を帯状に配置する。
撤去用部材23、凍結管25、マイクロチャンネル27は、トンネル3内から孔15に挿入される。また、撤去用部材および詰め物21、削孔ロッド11は、孔15からトンネル3内に引き込んで撤去される。
マイクロチャンネル27は、アルミ製の押し出し成形品であり、内部に複数の冷媒循環路を有する。マイクロチャンネル27は、先端側にソケット51を有し、後端側にソケット53を有する。ソケット53には供給管49aと戻り管49bとが接続される。
図5は、削孔ロッド11の発進位置および削孔方向を示す図である。本実施の形態では、図5に示すように、トンネル3の側方に、複数の孔をトンネル3の長手方向に所定の間隔31をおいて形成する。このとき、トンネル3の長手方向に隣接する孔の削孔方向が互いに反対の方向となるように削孔を繰り返す。すなわち、発進位置29aからは矢印D1に示す方向に孔を削孔し、発進位置29bからは矢印D2に示す方向に孔を削孔する。これにより、周方向の同一の位置に、孔が並ぶことによるトンネルの強度低下を抑制することができる。
図6は、拡幅予定範囲17を掘削する工程を示す図である。図6(a)は、拡幅予定範囲17の外側に凍土33を造成した状態を示す図、図6(b)は、拡幅予定範囲17を掘削した状態を示す図である。図7は、拡幅部41を構築する工程を示す図である。図7(a)は、拡幅部41を構築した状態を示す図、図7(b)は、凍土を解凍した状態を示す図である。
図6(a)に示す工程では、凍結管25に配置したマイクロチャンネル27に凍結冷媒を循環させて、孔15の周囲に凍土33を造成する。凍結冷媒は、二酸化炭素とする。凍結冷媒は、図3(d)に示す供給管49aからソケット53を介してマイクロチャンネル27内の供給用の冷媒循環路に流入し、ソケット51を介してマイクロチャンネル27内の戻り用の冷媒循環路に流入し、ソケット53を介して戻り管49bに戻る。なお、ソケット51、53を用いずに、マイクロチャンネルの一方の端部から冷媒を送り、他方の端部から戻してもよい。
前述したように、拡幅予定範囲17の外側の3辺を囲むように円弧状孔15が形成されるため、拡幅予定範囲17の外側を囲むようにアーチ状の凍土33が形成される。また、トンネル3の拡幅予定範囲17の外側には、拡幅予定範囲17の延長方向に所定の間隔をおいて孔15が形成されている。そのため、隣接する孔15に配置した凍結管25によって造成された複数の凍土33が一体となることにより、凍土33は、拡幅予定範囲17の延長方向にも連続するアーチ状に造成される。なお、交互に形成された孔15の一方に凍結管25を配置し、凍結管25同士の間の孔15を、光ファイバセンサなどによる測温用の孔としてもよい。このようにすることで、凍土33の成長を確認することができる。
図6(b)に示す工程では、トンネル3のセグメントのうち、図6(a)に示す撤去部35を撤去して、開口部37を形成する。そして、開口部37を介して、アーチ状に造成された凍土33の内側を掘削し、掘削部39を形成する。掘削部39は、少なくとも拡幅予定範囲17を含むものとする。
図7(a)に示す工程では、拡幅予定範囲17に、拡幅部41を構築する。また、必要に応じて、拡幅部41の外側を埋め戻す。図7(b)に示す工程では、凍土33を融解させて、地盤1を元の状態に戻す。この際、凍結管25に温水などを流して、融解を促進させてもよい。また、凍結管25は撤去してもよいし、地盤1内に残置してもよい。
このように、第1の実施の形態では、靱性の大きい削孔ロッド11を用い、削孔ロッド11に軸方向に振動を加えつつ、ないしは先端ビット13に打撃を加えつつ、削孔ロッド11の回転と非回転を制御することにより、削孔方向がぶれることなく、計画された方向に曲線状に削孔を行うことができる。削孔ロッド11の先端ビット13に設置した図示しない発信器や、削孔ロッド11内に挿入して取り込まれる図示しないジャイロスコープを用いて削孔ロッド11の位置や削孔軌跡を把握すれば、より正確に削孔を行うことができる。
第1の実施の形態では、削孔ロッド11を、トンネル3の一部から発進させて他部に到達させることにより、拡幅予定範囲17の外側を囲む孔15を容易に削孔できる。
第1の実施の形態では、複数の孔15をトンネル3の長手方向に所定の間隔をおいて形成するにあたり、トンネル3の長手方向に隣接する孔15の削孔方向が互いに反対の方向となるようにする。これにより、削孔ロッド11の発進位置29a、29bに形成される開口部を互い違いに配置することができ、周方向の同一の位置に、孔が並ぶことによるトンネルの強度低下を抑制することができる。また、隣接する孔15を施工するためのボーリングマシン5同士がトンネル3内で干渉することがないため、同時に複数の孔15を削孔でき、工期を短縮できる。
第1の実施の形態では、拡幅予定範囲17の延長方向に所定の間隔をおいて複数の曲線状の孔15を削孔し、孔15に凍結管25を配置して、拡幅予定範囲17の外側に連続するアーチ状に凍土33を造成する。これにより、放射状に削孔する場合と比較して、凍結管25の盛り替え作業が不要となって、工程を短縮でき、工費を縮減できる。また、連続アーチ形状に凍土33を造成することにより、土圧に対してアーチ効果が期待できる。さらに、凍結管25内に軽量で熱伝導性に優れたマイクロチャンネル27を設置し、凍結冷媒として二酸化炭素を循環させることにより、効率良く凍土33を造成できる。
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なる点について説明し、同様の構成については図等で同じ符号を付すなどして説明を省略する。
第2の実施の形態では、図1に示すボーリングマシン5が、図2に示す削孔ロッド11に複数方向の振動を加えるとともに、削孔ロッド11の全体を図2に示す矢印Aに示すように回転させる。ボーリングマシン5は、削孔ロッド11に、例えば、図2に示す矢印Yの方向などに振動成分を加えてもよく、三次元的に振動を付与してもよい。さらに、必要に応じて削孔ロッド11を先端ビット13の方向に押し出すことが可能である。
削孔ロッド11は、回転と振動とを組み合わせることで直進する。また、削孔ロッド11の回転を停止して非回転状態として振動を加えることで、削孔方向決定部材19の方向への削孔が行われ、削孔方向を任意の方向に曲げることができる。なお、振動の加え方と押し出し力を調整することによって、削孔の曲率を調整することもできる。
第2の実施の形態では、図1(a)に示す工程で、ボーリングマシン5を用いて削孔ロッド11に振動を加えつつ削孔ロッド11の回転と非回転を制御することにより、トンネル3の一部から削孔ロッド11を発進させて、削孔ロッド11で地盤1に孔15を削孔する。削孔ロッド11は、セグメントを切削してトンネル3から発進するため、トンネル3のセグメントに予め開口部を設ける必要はない。
図1(b)に示す工程では、削孔ロッド11による孔15の削孔をさらに進め、トンネル3の他部に到達させる。このとき、削孔ロッド11でセグメントを切削してトンネル3内に進入させてもよい。
第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。加えて、第1の実施の形態で削孔ロッド11に加えられる振動や先端ビット13に加えられる打撃は、軸方向への衝撃であるため、ロッドが長い場合には衝撃力が減衰するが、第2の実施の形態の削孔ロッド11の振動は、複数方向に加えられ、ロッドが長い場合にも減衰せずに伝播するため、長距離の削孔が可能である。
第1の実施の形態では、軸方向への振動や打撃で前方の掘削と掘進を行うため、硬さが固い地盤の掘削は困難である。しかし、第2の実施の形態では、削孔ロッド11が、複数方向の振動によって地盤を破壊して削孔し、後方からの軸方向への押し出し力は、削孔にほとんど寄与せずにロッドの前進にのみ利用される。このため、固い地盤やコンクリートなどであっても、振動によって前方の地盤等の削孔が可能である。また、固い地盤と軟らかい地盤との境界部近傍を削孔する際にも、第1の実施の形態では、軸方向への振動や打撃で前方への掘進を行うため、ロッド先端が軟らかい地盤側に逃げてしまうが、第2の実施の形態では、削孔ロッド11が、複数方向の振動によって前方の地盤を破壊して削孔するため、進行方向がぶれることがない。このように、第2の実施の形態によれば、地盤が硬い場合や、地盤の硬さが変化する場合にも、削孔方向がぶれることなく、計画された方向に曲線状に削孔を行うことができる。また、セグメントを直接切削してトンネル3から削孔ロッド11を発進させることができる。さらに、複数方向の振動を付与することで、排泥が促進されるとともに、孔15の孔壁を安定させることができる。
なお、上述した実施の形態では、孔15の曲率を一定としたが、孔の曲率を変化させてもよい。また、孔を2方向から削孔して地盤1内で突き合わせてもよい。図8は、孔の曲率を変化させた例を示す図、図9は、孔を2方向から削孔している例を示す図である。後述する各例では、上述した実施の形態と異なる点について説明し、同様の点については図等で同じ符号を付すなどして説明を省略する。各例で説明する構成は、必要に応じて上述した実施の形態と組み合わせることができる。
図8に示す例では、トンネル3の側方に、拡幅予定範囲47が存在する。拡幅予定範囲47の断面は、図1等に示す拡幅予定範囲17の断面よりもやや扁平な形状である。図8に示す例では、図1に示す例よりも水平な角度でトンネル3から削孔ロッド11を発進させる。そして、拡幅予定範囲47の隅部47aの外側で、振動ないしは打撃の加え方と押し出し力を調整することによって、曲率を変化させて、略U字形状の孔43を削孔し、削孔ロッド11をトンネル3に到達させる。
図8に示すように、削孔の途中で孔43の曲率を変化させることにより、急曲線を削孔できる。そのため、拡幅予定範囲47の断面形状に応じて、最適な位置に孔を削孔することが可能となる。
図9に示す例では、トンネル3の異なる2ケ所から、第1の削孔ロッド11a、第2の削孔ロッド11bをそれぞれ発進させる。ボーリングマシン5a、5bは、それぞれ、削孔ロッド11a、11bの回転と非回転を制御する。削孔ロッド11a、11bは、ボーリングマシン5によって振動が加えられるような構成、ないしは、ハンマー等で先端ビット13a、13bに打撃が加えられるような構成とする。そして、削孔ロッド11aでトンネル3の拡幅予定範囲17の上半部の外側に曲線状の孔45aを削孔し、削孔ロッド11bでトンネル3の拡幅予定範囲17の下半部の外側に曲線状の孔45bを削孔した後、矢印E1、矢印E2に示すように削孔ロッド11aの先端ビット13aと削孔ロッド11bの先端ビット13bとを、拡幅予定範囲17の外側で突き合わせる。
図9に示すように、第1の削孔ロッド11aおよび第2の削孔ロッド11bを、トンネル3の異なる箇所からそれぞれ発進させ、拡幅予定範囲17の外側で突き合わせることにより、拡幅予定範囲17が広範囲である場合にも、拡幅予定範囲17の外側を囲む孔を短期間で削孔することができる。
また、上述した実施の形態では、凍結管25の中にマイクロチャンネル27を設置したが、凍土33の造成方法はこれに限らない。マイクロチャンネル27を用いずに二重管を用いても良いし、凍結管25内にマイクロチャンネルを帯状以外の形状に配置してもよい。図10は、マイクロチャンネル27aを螺旋状に配置した例を示す図である。
図10に示す例では、マイクロチャンネル27aを、凍結管25の内壁59に沿うように螺旋状に配置する。マイクロチャンネル27aは、マイクロチャンネル27と同様に、内部に複数の冷媒循環路を有する。マイクロチャンネル27aを、凍結管25の内壁59に沿うように螺旋状に配置することにより、凍結管25を介して凍結冷媒の冷熱を効率良く地盤1に伝えることができる。
さらに、上述した実施の形態では、トンネル3の側方の一部に拡幅予定範囲が存在する場合について説明したが、拡幅予定範囲の位置は、地下構造物の側方の一部に限らない。図11は、トンネル3の全周に拡幅予定範囲55が存在する例を示す図である。
図11に示す例では、トンネル3の周囲に存在する拡幅予定範囲55の外側を、削孔ロッド11で螺旋状に削孔し、曲線状の孔を、拡幅予定範囲55の延長方向に所定の間隔57をおいて形成する。図11に示すように孔を削孔することにより、拡幅予定範囲55がトンネル3の全周に存在する場合にも、拡幅予定範囲55の外側の地盤1を効率良く改良することができる。
上述した実施の形態では、トンネル3の拡幅予定範囲17の外側に曲線状の孔15を削孔し、孔15に凍結管25を設置して凍土33を造成することにより地盤1を改良したが、地盤1の改良方法はこれに限らない。例えば、削孔ロッド11で掘削した孔15に注入管を設置し、薬液注入によって地盤1を改良しても良い。また、削孔ロッド11を孔15から撤去しつつ硬化材や高圧水からなるジェットを噴射することによって地盤1を改良してもよい。
上述した実施の形態では、地下構造物としてトンネル3を例にあげて説明したが、地下構造物はトンネルに限らない。また、第2の実施の形態では、削孔ロッド11に複数方向の振動を加えるとしたが、これに軸方向の振動を含んでもよい。
上述した実施の形態では、図2等に示すように削孔ロッド11の先端ビット13に削孔方向決定部材19を設けたが、第2の実施の形態のように複数方向の振動を加える場合、削孔方向決定部材19の設置は必須ではない。また、図1等に示すガイドレール7は、円形状に限らず、必要な範囲に円弧状に設けてもよい。
以上、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………地盤
3………トンネル
5、5a、5b………ボーリングマシン
7………ガイドレール
9………作業床
11、11a、11b………削孔ロッド
13、13a、13b………先端ビット
15、43………孔
17、47、55………拡幅予定範囲
19………削孔方向決定部材
21………詰め物
23………撤去用部材
25………凍結管
27、27a………マイクロチャンネル
29a、29b………発進位置
31、57………間隔
33………凍土
35………撤去部
37………開口部
39………掘削部
41………拡幅部
45a、45b………孔
47a………隅部
49a………供給管
49b………戻り管
51、53………ソケット
59………内壁

Claims (5)

  1. 地下構造物の側方に拡幅部を設けるための補助工法であって、
    削孔ロッドに振動を、ないしは前記削孔ロッドの先端ビットに打撃を加えつつ、前記削孔ロッドの回転と非回転を制御することにより、前記地下構造物の拡幅予定範囲の外側に曲線状の孔を削孔する工程aを具備し、
    前記孔が、前記拡幅予定範囲の延長方向に所定の間隔をおいて形成され
    前記工程aの後、
    前記削孔ロッドの内部に凍結管を配置し、前記孔から前記削孔ロッドを撤去する工程bと、
    前記凍結管内に凍結冷媒を循環させて、前記拡幅予定範囲の外側に凍土を造成する工程cと、
    をさらに具備することを特徴とする補助工法。
  2. 前記工程cで、前記凍結管内にマイクロチャンネルを設置し、前記マイクロチャンネルの内部に前記凍結冷媒として二酸化炭素を循環させることを特徴とする請求項記載の補助工法。
  3. 地下構造物の側方に拡幅部を設けるための補助工法であって、
    削孔ロッドに振動を、ないしは前記削孔ロッドの先端ビットに打撃を加えつつ、前記削孔ロッドの回転と非回転を制御することにより、前記地下構造物の拡幅予定範囲の外側に曲線状の孔を削孔する工程aを具備し、
    前記孔が、前記拡幅予定範囲の延長方向に所定の間隔をおいて形成され
    前記削孔ロッドは、靭性を有する管状材であり、
    前記先端ビットに、削孔方向決定部材が、前記削孔ロッドの軸方向に対して所定の角度をなすように取付けられ、
    前記削孔方向決定部材は開口部を有し、前記削孔ロッドの先端部には詰め物が設けられることを特徴とする補助工法。
  4. 地下構造物の側方に拡幅部を設けるための補助工法であって、
    削孔ロッドに複数方向の振動を加えつつ、前記削孔ロッドの回転と非回転を制御することにより、前記地下構造物の拡幅予定範囲の外側に曲線状の孔を削孔する工程aを具備し、
    前記孔が、前記拡幅予定範囲の延長方向に所定の間隔をおいて形成されることを特徴とする補助工法。
  5. 地下構造物の側方に拡幅部を設けるための補助工法であって、
    削孔ロッドに振動を、ないしは前記削孔ロッドの先端ビットに打撃を加えつつ、前記削孔ロッドの回転と非回転を制御することにより、前記地下構造物の拡幅予定範囲の外側に曲線状の孔を削孔する工程aを具備し、
    前記孔が、前記拡幅予定範囲の延長方向に所定の間隔をおいて形成され
    前記曲線状の孔は、前記拡幅予定範囲の外側を、螺旋状に削孔して形成されることを特徴とする補助工法。
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