JP7311894B2 - 地山補強工法 - Google Patents
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Description
ここで、図7(a)は、トンネル掘削箇所の縦方向の断面を示し、前方地山3に対して、トンネルの掘削における山側の面位置31、トンネル側の面位置21、切羽2であり、支保工4が建て込み形成されている。
それぞれの支保工4の間隔(1掘削長)Wは、通常略1mである。また、支保工4は、吹付コンクリート5により覆設されている。なお、図示しないが、通常、吹付コンクリート5の上に更に覆工コンクリート、鏡吹付コンクリートを順次覆設する。
図7(a)に示すように、トンネル掘削後に立て込んだ支保工4bとその1基分手前に立て込んだ支保工4aの間から、前方地山3に向かって削孔10を形成する。
次にこの削孔10内に中空の芯材1を挿入し、芯材1の後端部1bの削孔10と芯材1の隙間にコーキング剤9を充填し、芯材1を通じて地山内に注入する地山改良材の漏洩を防止する。
芯材1の長さは3~4mであり、トンネル外周の前方地山3に形成される削孔10の長さは芯材1の長さと略同じである。
その後、図7(b)に示すように、芯材1の後端部1bに注入アダプターを設置し、芯材1内にセメントやウレタンなどの地山改良材8を注入する。
芯材1内に注入された地山改良材8は、芯材1の外周部に設けられた吐出孔から芯材周辺の地山内に吐出され、地山の空隙や亀裂に充填される。
そのため、例えば図8(a)に示すように、芯材の長さLを3m、トンネルの1掘削長Wを1mとした場合には、施工後に掘削した箇所から前方地山3に残置した芯材1の水平方向の長さD(先受長)は1.2m以下となる。このように芯材の長さLに対して先受長Dが半分以下となり、崩壊性の高い地山などでは芯材1の前方地山3が緩んでいるため、地山の崩壊が見られる。
また、従来技術においては、トンネル掘削後に立て込んだ支保工4bとその1基分手前に立て込んだ支保工4aの間から前方地山3に向かって削孔10を形成するが、この場合削岩機のガイドセルやドリフターが1基分手前の支保工4bに干渉することを避けるために、削孔10の角度を大きくする必要がある。
そうすると、図8(a)に示すように、従来技術では、削孔10の口元部からの芯材1の仰角θは略25°となり、施工後の掘削時には芯材1と支保工4b、4cの間の地山からの剥落箇所35が生ずる。
なお、図8(b)に示すように、1掘削進めた後は、支保工4cを設置し、次の掘削のための削孔11を形成して、前記の施工手順による工法を繰り返して掘削を進めていく。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、簡易な方法で、前方地山の補強効果を改善する地山補強工法を提供することを目的とする。
前記前方地山に前記芯材の長さより長い削孔を形成し、該芯材を該削孔内に押し込むことを要旨とする。
請求項2に記載の地山補強工法の発明は、請求項1の記載において、前記削孔は、前記前方地山の直近に敷設した支保工より内側のトンネル断面内から該前方地山に向けて形成されることを要旨とする。
請求項3に記載の地山補強工法の発明は、請求項1又は2の記載において、前記削孔の長さは、前記芯材の長さよりトンネルの1掘削長以上長いことを要旨とする。
請求項4に記載の地山補強工法の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載において、前記芯材を前記削孔内に押し込むための押し込み治具を備え、該芯材を押し込んだ後に回収することを要旨とする。
また、削孔が、前方地山の直近に敷設した支保工より内側のトンネル断面内から前方地山に向けて形成される場合には、施工後の掘削時に芯材と支保工の間の地山からの剥落を少なくすることができる。
更に、削孔の長さが、芯材の長さよりトンネルの1掘削長以上長い場合には、施工後に掘削した箇所から前方地山に残置した芯材の長さをより長くすることができ、より適切に前方地山の補強効果を改善することができる。
芯材を削孔内に押し込むための押し込み治具を備え、芯材を押し込んだ後に回収するものである場合には、トンネル掘削の支障にならず、また、押し込み治具を繰り返し使用できるため作業効率を高めることができる。
図1~4は、実施形態に係るトンネル掘削箇所の縦方向の断面を示す。ここで、「断面」とは、トンネルの軸方向に略直交する断面を意図する。
また、支保工4は、吹付コンクリート5により覆設されている。なお、図示しないが、通常、吹付コンクリート5の上に更に覆工コンクリート、鏡吹付コンクリートを順次覆設する。
図1(a)に示すように、前方地山3に向かって掘削箇所の直近に敷設した支保工4bの内側のトンネル断面40内から、ドリルジャンボ(穿孔重機)により、前方地山3に向けて削孔10を形成する。
次いで、穿孔用のロッド、ビットを回収し、図1(b)に示すように、芯材1を削孔10内に挿入する。
削孔10は、その口元部10bから10~20度の仰角で形成することが好ましく、12~18度の仰角であることが更に好ましく、14~16度の仰角であることが特に好ましい。10度未満であると、削孔10の形成に際して、ドリルジャンボが支保工4bに干渉するおそれがある。
また、20度を超えると、削孔10に押し込んだ芯材1の水平方向の長さが短くなり前方地山3の十分な補強効果が得られないおそれがある。
本実施例においては、1掘削長Wは1mであり、削孔10の長さを4m、芯材1の長さを3mに設定した。
芯材1は、中空の管材であれば材質は特に限定はなく、鋼製、炭素繊維強化樹脂製、ガラス繊維強化樹脂製、その他の各種繊維強化樹脂製などとすることができる。
芯材1を削孔10内に押し込む方法は、特に限定はされず種々の方法を採用することができる。例えば、押し込み治具を用いる方法を採用することもできる。
例えば、図2(a)及び図5(c)に示すように、芯材1の後端部1bに押し込み治具6を装着し、この押し込み治具6を押し込むことで、図2(b)及び図5(d)に示すように、芯材1を削孔10内に挿着することができる。押し込み治具6は、芯材1を押し込むことができれば、その形状、装着方法については、特に限定はない。
芯材1の後端部1bに押し込み治具6の先端部6aを螺合により着脱自在としてもよく、芯材1に被せるようにすることもできる。更に、押し込み治具6を単なる円柱状の棒状部材のみからなるものでもよい。
なお、押し込み治具6の材質は特に限定はなく、木製、樹脂製、鋼製などから好適なものを選択することができる。
押し込み治具6によって芯材1を削孔10の最奥10aまで押し込むには、人力もしくは削岩機の油圧などによることができる。
押し込み治具8を引き抜くための方法は特に限定はなく、そのまま、人力で引き抜いてもよく、押し込み治具6の後端部6b近傍に貫通孔などを設けて、その貫通孔にフック金具などを掛け止めして、人力又は引抜き機で引き抜いてもよい。
具体的には、図6(a)に示すように、削孔10の後端部10bから芯材1内に地山改良材8を注入するための注入治具7を挿入する。
注入治具7の長さは、地山改良材8の種類によって仕様が異なるが、注入口7bが削孔10の口元部10bから、突出する長さであることが好ましい。
また、注入治具7の材質は特に限定はないが、ナイロン製、塩化ビニル製などのように軽量なものが好ましい。
コーキング剤の材質に特に限定はなく、ウレタン系、シリコーン系、変性シリコーン系、ポリサルファイド系のコーキング剤やモルタルなどから好適なものを適宜選択できる。
そして、図4(b)に示すように、1掘削進めた後は、支保工4cを設置し、次の掘削のための削孔11を形成して、前記の手順に従う工法を繰り返して掘削を進めていく。
図4(a)に示すように、芯材の長さLを3m、トンネルの1掘削長Wを1mとした場合には、削孔10の水平方向の角度θを15度としているため、前方地山3に残置した芯材1の水平方向の長さD(先受長)は2.8m以上を確保することができる。
一方、図8(a)に示すように、従来技術では、削孔10の口元部10bからの仰角θは略25度必要であり、芯材1が削孔10の口元部から残置されていたため、同様に芯材の長さLを3m、1掘削長Wを1mとした場合には、掘削した断面から前方地山内に残置している芯材1の長さDは1.2m以下となっている。
このように本発明では従来技術と同一の長さの芯材を使用しても、施工後に掘削した箇
所から前方地山に残置した芯材の水平方向の長さを従来技術よりも長くすることが可能となり、前方地山の補強効果が改善される。
利用される。
5;吹き付けコンクリート、6;押し込み治具、7;注入管、8、地山改良材、
10、11;削孔、40;支保工より内側のトンネル断面、
D;先受長、L;芯材の長さ、W;1掘削長。
Claims (5)
- トンネルの掘削に先立ってトンネル外周の前方地山に放射状に複数の中空の芯材を打設し、該芯材の内部に地山改良材を注入して地山を補強する地山補強工法において、
前記前方地山に前記芯材の長さより長い削孔を形成し、1本の該芯材を該削孔内に押し込んで該削孔の口元部に空洞部を形成し、
前記削孔は、前記前方地山の直近に敷設した支保工の内周面より内側のトンネル断面内から該前方地山に向けて形成されることを特徴とする地山補強工法。 - 前記芯材の下端がトンネル掘削面と略同じ高さとなるように1本の前記芯材を前記削孔内に押し込むことを特徴とする請求項1に記載の地山補強工法。
- 前記削孔は、その口元部から12~20度の仰角で形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の地山補強工法。
- 前記削孔の長さは、前記芯材の長さよりトンネルの1掘削長以上長いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の地山補強工法。
- 前記芯材を前記削孔内に押し込むための押し込み治具を備え、該芯材を押し込んだ後に回収することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の地山補強工法。
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