JP7074346B2 - 植栽土壌の灌水装置 - Google Patents

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Description

この発明は、毛細管現象を利用した灌水ガイド部材を介して植栽土壌に灌水する植栽土壌の灌水装置に関する。
毛細管現象を利用した灌水ガイド部材を介して植栽土壌に灌水する植栽土壌の灌水装置としては、例えば、底面給水鉢ないし底面給水プランタが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2005-40009 特開2015-19661
しかし、このような従来の植栽土壌の灌水装置にあっては、灌水ガイド部材として、不織布やスポンジと言った柔軟性ないし非保形性の材料が採用されていたため、灌水対象となる植栽土壌と灌水ガイド部材との位置関係を適切に維持することが難しく、そのため、植栽土壌に対する灌水程度が不均一になりやすいと言う問題点があった。
この発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、植栽土壌に対する適正な灌水を可能とする植栽土壌の灌水装置を提供することにある。
上述の技術課題は、本発明に係る植栽土壌の灌水装置により解決することができるものと考えられる。
すなわち、本発明に係る栽培土壌の灌水装置は、植栽土壌へと灌水するための灌水ガイド部材の素材として、毛細管現象による多方向通水を可能とする通水性剛体材料を使用してなるものである。
このような構成によれば、植栽土壌へと灌水するための灌水ガイド部材の素材として、毛細管現象による多方向通水を可能とする通水性剛体材料が使用されているため、灌水ガイド部材の形状を任意の平面ないし立体形状に成形することにより、灌水ガイド部材と植栽土壌との接触面積を可及的に増大させることで、植栽土壌に対する適正な灌水が可能となる。
好ましい実施の態様にあっては、前記灌水ガイド部材が、前記植栽土壌を収容する鉢等の植栽容器そのものを兼ねる、ものであってもよい。
このような構成によれば、植栽容器に収容された植栽土壌は独りでにその周囲を灌水ガイド部材からなる容器の周側壁にて取り囲まれることとなるため、植栽土壌に対して、全深さに亘り、その周側壁の表面から滲み出る水により適正なる灌水を行うことが可能となる。
好ましい実施の態様にあっては、前記通水性剛体材料が、大部分の気泡が互いに連通する連続気泡構造を有する多孔体であってもよい。
このような構成によれば、この種の多孔体は、種々のマトリクス材料を用いて発泡処理により容易に製造することができ、大部分の気泡が互いに連通する連続気泡構造を有することから、毛細管現象を有効に発現するものであり、穴明けや切削加工も容易で一般に軽量であるから、この種の灌水ガイド部材として好適なものとなる。
好ましい実施の態様にあっては、前記多孔体が、セメントコンクリート多孔体であってもよい。
このような構成によれば、上述の気泡連通多孔体としての特長(毛細管現象など)を有することに加えて、セメントは安価かつ容易に入手し得る工業材料であって、耐候性にも優れることから、この種の灌水ガイド部材として一層好適なものとなる。
好ましい実施の態様にあっては、
前記植栽容器が、
前記植栽土壌を受け入れるための、上面に開口する凹部と、
前記植栽容器を構成する通水性剛体材料に対して水の染みこみを許容する接水口とを有し、
それにより、前記接水口から染み込ませた水を前記吸水性剛体材料がもたらす毛細管現象を利用して前記栽培容器中を拡散させ、前記凹部の内表面から滲み出させることにより、前記栽培土壌へと灌水する、ものであってもよい。
このような構成によれば、前記凹部に植栽土壌を満たしたのち、容器の所定位置(例えば、底部、側部、上部)に設けられた接水口へと水を供給すると、接水口から染み込まれた水は、通水性剛体材料がもたらす毛細管現象を利用して前記栽培容器中を拡散し、前記凹部の内表面から滲み出すから、植栽土壌に対して、全深さに亘り、その周側壁の表面から滲み出る水により適正なる灌水を行うことが可能となる。
好ましい実施の態様にあっては、前記植栽容器の外表面の大部分には、前記凹部の内表面以外からの水の滲み出し漏洩を防止すべく通水阻止層が設けられていてもよい。
このような構成によれば、前記植栽容器の外表面の大部分には、前記凹部の内表面以外からの水の滲み出し漏洩を防止すべく通水阻止層が設けられていることから、接水口から染み込まれた水は、外部に漏洩することなく、前記凹部の内周面から集中的に滲み出すこととなるため、植栽土壌に対してより効率的に灌水を行うことが可能となる。
好ましい実施の態様にあっては、前記通水阻止層は、前記植栽容器の外表面から通水性剛体材料中へと撥水剤を所定深さに含浸させることにより形成される、ものであってもよい。
このような構成によれば、例えば、植栽容器を撥水剤溶液中に一定時間浸漬したのち、これを取り出して乾燥工程に移行させると言った簡単な作業により、通水阻止層の形成が可能となる。
好ましい実施の態様にあっては、前記接水口は、灌水用水溜まりの水に接するように構成されていてもよい。
このような構成によれば、前記接水口は常時に水と接することとなるため、接水口からの水の染み込み量(吸水量)は通水性剛体材料の吸水能力及び植栽土壌の乾燥度に応じて決まることとなり、吸水能力を調整すべく素材を適宜に選定することで、最適な灌水状態を実現することできる。
好ましい実施の態様にあっては、前記接水口は、噴霧される水に接するように構成されていてもよい。
このような構成によれば、前記接水口は、常時、噴霧口から噴霧される霧水(ミスト)に接することとなるため、噴射口の噴射量を制御して、霧水の濃度を適宜に設定することにより、接水口からの吸水量と霧水の供給量とをバランスさせることで、灌水量を可能な限り節水することが可能となる。
好ましい実施の態様にあっては、前記凹部の深さは、根菜類の成長完了時の全長に合わせて設定されていてもよい。
このような構成によれば、そもそも、前記凹部に満たされる植栽土壌は、凹部の内周面から滲み出す水によって、その深さ方向の全長に亘り灌水されるものであるから、根菜類のように、植栽土壌中に深く根が延在するものであっても、その周囲から均一に灌水されることとなり、従前の植栽容器のように、底面のみから灌水するものに比べて、根菜類の栽培に有利となる。
好ましい実施の態様にあっては、前記栽培容器は、透明な保湿カバーよりなる密閉空間に置かれており、前記密閉空間の天井に相当する前記保湿カバーの天井面には、前記保湿カバー内面に付着した凝縮水を所定位置に集めて栽培植物に降り注ぐための断面V字状の案内傾斜面が形成されている、ものであってもよい。
このような構成によれば、前記凹部の内周壁面から滲み出る水による植栽土壌への灌水により植物を育成すると共に、植物の葉などから蒸散する水は、保湿カバーの天井領域にて凝縮されたのち、栽培植物の上に降り注ぐこととなるため、密閉空間内における水の再利用により、灌水の節約を図ることが可能となる。
好ましい実施の態様にあっては、前記密閉空間の底部には、前記接水口が浸漬されるべき水溜まりを形成するための、又は前記接水口に向けて噴霧された余剰水を溜めるための貯水皿が設けられていてもよい。
このような構成によれば、前記栽培容器の底部に接水口を設けて、前記貯水皿に溜まった水の中に接水口を常時に浸漬させたり、或いは前記栽培容器の底部に接水口を設けて、前記貯水皿に溜まった水を噴霧口から噴霧させて、接水口に接触させる等の構成を採用することにより、水の循環再利用による節水を一層に図ることができる。
好ましい実施の態様にあっては、
前記植栽容器が、
前面と背面とを有する直立壁状の通水性剛体材料からなる基体を有する壁面緑化用の植栽容器であり、
前記基体には、
それぞれ前面に開口しかつ前後方向へと延在し、前記栽培土壌を受け入れる、上下多段の凹部と、
前記基体を構成する通水性剛体材料に対して水の染みこみを許容する接水口とが設けられ、
それにより、前記接水口から染み込ませた水を前記吸水性剛体材料がもたらす毛細管現象を利用して前記基体中を拡散させ、前記凹部のそれぞれの内表面から滲み出させることにより、前記各段の凹部に受け入れられた前記栽培土壌のそれぞれへと灌水する、ものであってもよい。
このような構成によれば、直立壁状の基体そのものを通水性剛体材料にて形成することにより、格段の凹部に受け入れられる植栽土壌への灌水を基体そのものを介して効率よく実施することが可能となる。
好ましい実施の態様にあっては、前記基体には、上下方向へと延在し、前記上下多段の凹部同士を互いに連通する、噴霧用通路が設けられており、各段の前記凹部に受け入れられた前記栽培土壌のそれぞれは、前記噴霧用通路に噴霧された水に接することによっても灌水されるものであってもよい。
このような構成によれば、格段の凹部に受け入れられる植栽土壌への灌水を、基体そのものからだけではなく、噴霧用通路に満たされる霧水によっても、実施することが可能となり、平面緑化壁の高層化度化にも容易に対応可能となる。
好ましい実施の態様にあっては、先に述べた理由により、前記基体の外表面の大部分には、水の滲み出し漏洩を阻止すべく通水阻止層が設けられていてもよい。
好ましい実施の態様にあっては、先に述べた理由により、前記通水阻止層は、前記基体の外表面から通水性剛体材料中へと撥水剤を所定深さに含浸させることにより形成されるものであってもよい。
本発明によれば、植栽土壌へと灌水するための灌水ガイド部材の素材として、毛細管現象による多方向通水を可能とする通水性剛体材料が使用されているため、灌水ガイド部材の形状を任意の平面ないし立体形状に成形することにより、灌水ガイド部材と植栽土壌との接触面積を可及的に増大させることで、植栽土壌に対する適切な灌水が可能となる。
図1は、第1実施例装置の外観斜視図である。 図2は、第1実施例装置の縦断面図である。 図3は、第2実施例装置の構成図である。 図4は、第2実施例装置の作用説明図(その1)である。 図5は、第2実施例装置の作用説明図(その2)である。 図6は、第2実施例装置の応用例を示す図(その1)である。 図7は、第2実施例装置の応用例を示す図(その2)である。 図8は、第2実施例装置の応用例を示す図(その3)である。 図9は、第2実施例装置の応用例を示す図(その4)である。 図10は、第3実施例装置の外観斜視図である。 図11は、第3実施例装置の三面投影図である。 図12は、第3実施例装置の分解斜視図である。
以下に、本発明に係る植栽土壌の灌水装置の好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
<本発明装置の基本構成>
本発明に係る植栽土壌の灌水装置は、先に説明したように、植栽土壌へと灌水するための灌水ガイド部材の素材として、毛細管現象による多方向通水を可能とする通水性剛体材料を使用することを主たる特徴とするものである。
このような構成によれば、植栽土壌へと灌水するための灌水ガイド部材の素材として、毛細管現象による多方向通水を可能とする通水性剛体材料が使用されているため、灌水ガイド部材の形状を任意の形状に成形することにより、灌水ガイド部材と植栽土壌との接触面積を適切に設定することで、土壌との接触面から滲み出す水により、植栽土壌全体に対して可能な限り均一な灌水を可能とするものであります。
ここで、通水性剛体材料からなる灌水ガイド部材は、例えば、植栽土壌の下に敷設したり、植栽土壌中に任意の方向(例えば、水平方向又は垂直方向、任意の傾斜方向等々)に差し込まれたり、植栽容器内の底面、側面、内周面等々にあてがわれるものであって、その形態としては、図示は省略するが、例えば
1)矩形、円形、楕円形、等々の幾何学的な輪郭形状を有しかつ任意の肉厚を有する平板状のもの、
2)矩形、円形、楕円形、等々の幾何学的な断面形状を有しする棒状、管状ないし柱状のもの、
3)任意の曲率を持って曲成された板状ないし波板状のもの、
4)以上の3つが互いに交差した格子状のもの等々、
植栽土壌との接触面積を十分に確保するべく様々な平面的乃至立体的な形態を採用することができる。
通水性剛体材料からなる灌水ガイド部材は、植栽土壌を収容する鉢等の植栽容器(別名「プランタ」)そのものを兼ねる、ものであってもよい。このような植栽容器は、植栽土壌を受け入れるための、上面に開口する凹部と、この植栽容器を構成する通水性剛体材料に対して水の染みこみを許容する接水口とを少なくとも有する。そして、植栽容器の適宜位置(例えば、底部、側部、上部)に設けられた接水口から染み込ませた水を通水性剛体材料がもたらす毛細管現象を利用して栽培容器中を拡散させ、凹部の内表面から滲み出させることにより、栽培土壌へと灌水する、ように構成される。
なお、上述の「通水性剛体材料」としては、そのような作用を奏する公知の材料を適宜に選択して採用することができる。そのような「通水性剛体材料」としては、一般に、大部分の気泡が互いに連通する連続気泡構造を有する多孔体を採用することができる。このような連続気泡構造が、多方向への毛細管現象を発現するからである。上述の「多孔体」としては、マトリクス材料として種々の金属、プラスチック、ガラス、セメント、その他、を使用したものが存在する。いずれも、本発明の「通水性剛体材料」として採用することができる。
尤も、植栽容器としての適性(多方向通水性、軽量性、耐候性、保形性、低価格性、等々)を考慮した場合には、いわゆる「セメントコンクリート多孔体」が最も好適であると考えられる。セメントは、安価かつ容易に入手しうる工業材料であって、強度、耐久性、耐火性などに優れるという特長を有する。
斯かるセメントコンクリート多孔体の一例としては、特公昭58-18340号公報に開示の製法よりなるものを採用することができる。すなわち、同公報には、第1の製法と第2の製法とが開示されている。いずれの製法による多孔体も本発明に適用することができる。
第1の製法は、急結性セメント又は急結性セメントを含む結合材、骨材、及びスルホン酸塩型アニオン界面活性剤又は(及び)硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤を含んでなる気泡コンクリートスラリーを成形し、硬化させることによって嵩比重0.5以下のセメントコンクリート多孔体を製造する方法において、急結性セメント又は急結性セメントを含む結合材として上記気泡コンクリートスラリーの凝結反応が40℃以下の温度で15分以内に完了するものを選び、また上記した界面活性材料気泡コンクリートスラリー中の固形物重量に対して0.2ないし0.3%用いることを特徴とする相互に連続した気泡を含むセメントコンクリート多孔体の製造方法である。
一方、第2の製法は、急結性セメント又は急結性セメントを含む結合材、骨材、及びスルホン酸塩型アニオン界面活性剤又は(及び)硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤を含んでなる気泡コンクリートスラリーを成形し、硬化させることによって嵩比重0.5以下のセメントコンクリート多孔体を製造する方法において、急結性セメント又は急結性セメントを含む結合材として上記気泡コンクリートスラリーの凝結反応が40℃以下の温度で15分以内に完了するものを選び、また上記した界面活性材料気泡コンクリートスラリー中の固形物重量に対して0.2ないし0.3%用い、さらに上記気泡コンクリートスラリー中にその固形物重量に対して0.02ないし0.5%の凝結遅延剤を含有せしめて該スラリーの硬化時期を該スラリー中の気泡の連続化時期と適合させることを特徴とする相互に連続した気泡を含むセメントコンクリート多孔体の製造方法である。
また、植栽容器の凹部に満たされるべき植栽土壌については、任意の基本用土(例えば、黒土、赤玉土、荒木田土、鹿沼土、山砂、川砂、水苔、庭土)並びに任意の補助用土(腐葉土、ピートモス、ココナツピート、堆肥、パーライト、パーミキュライト)を使用することができる。尤も、栽培土壌を含む植栽容器全体の重量、長期防腐性、生育助長性、等々を考慮した場合には、特開平2017-29127号公報において、本出願人により提案された、牛糞を主にして木材チップと有益菌(白神菌等)を混合し有機堆肥を作り、ココナッツ繊維等とバインダーとして海藻のり等を混合し固形化してなる有機堆肥培地を採用することができる。なお、ここで、「白神菌」とは、特開平2009-227559号公報において、吉田嘉明氏等により同定された一連の菌種のことを意味するものである。
以下に、通水性剛体材料からなる灌水ガイド部材が、植栽土壌を収容する鉢等の植栽容器(別名「プランタ」)そのものを兼ねる場合について、いくつかの実施例を添付図面を参照しつつ詳述する。
<第1実施例装置>
第1実施例装置の外観斜視図が図1に、使用状態における同装置の縦断面図が図2に、それぞれ、示されている。それらの図において、符号1にて示されるのは、本発明に係る灌水ガイド部材を兼ねる植栽容器であって、この例にあっては、小規模園芸(例えば、草花、根菜を含む野菜等々の家庭園芸など)向けに製作されている。
図示の植栽容器1は、上面1a,下面1b,右側面1c,左側面1d,前面1e及び後面1dを有し、角部にやや丸みを帯びた略直方体状の外観を呈するもので、そのサイズは、例えば、長辺aが250mm、短辺bが120mm、高さhが110mm程度に設定されている。
植栽容器1には、その上面1aに開口するようにして、それぞれ植栽土壌3を満たすための2個の凹部2,2が適当な距離を隔てて設けられている。図示の凹部2,2は、それぞれ平断面が円形(例えば、直径D1=70mm)で適当な深さ(例えば、深さd=80mm)の垂直な円形凹部とされている。それらの凹部2,2は、それぞれ、内周面2aと内底面2bとを有する。凹部2の内底面2bと植栽容器1の下面1bとの間には、それらを連通する平断面が円形(例えば、直径D2=35mm)の円形孔4が、凹部2の中心と同心に整合するようして設けられている(図2参照)。この円形孔4は、成長根回避孔として機能する。
植栽容器の凹部2に満たされるべき植栽土壌3については、先に説明したように、任意の基本用土(例えば、黒土、赤玉土、荒木田土、鹿沼土、山砂、川砂、水苔、庭土)並びに任意の補助用土(腐葉土、ピートモス、ココナツピート、堆肥、パーライト、パーミキュライト)を使用することができる。尤も、栽培土壌3を含む植栽容器全体の重量、長期防腐性、生育助長性、等々を考慮した場合には、特開平2017-29127号公報において、先に本出願人により提案された、牛糞を主にして木材チップと有益菌(白神菌等)を混合し有機堆肥を作り、ココナッツ繊維等とバインダーとして海藻のり等を混合し固形化してなる有機堆肥培地を採用することができる。なお、ここで、「白神菌」とは、特開平2009-227559号公報において、吉田嘉明氏等により同定された一連の菌種のことを意味するものである。
植栽容器1の材質としては、多方向への毛細管現象を発現するよう、相互に連続した気泡を含むセメントコンクリート多孔体が使用される。このようなセメントコンクリート多孔体は、公知であって、例えば、特公昭58-18340号公報記載の方法により製造することができる。先に説明したように、同公報には、第1の製法と第2の製法とが開示されており、いずれの製法によるセメントコンクリート多孔体も本発明に適用することができる。
このようなセメントコンクリート多孔体のより具体的な一例としては、日本コンクリート工業株式会社が「ポアセル(登録商標)」の名の下に販売する剛体多孔質材料を挙げることができる。ポアセルは、元々、吸音材として製造されたものであるが、気泡壁が部分的に破泡連通していることで、毛細管現象による多方向への高い通水性能を発現する。加えて、ポアセルは、セメント及びシリカを原料とする発泡体のため、軽量であるとともに、耐候性及び加工性にも優れ、例えば、木工用具(カッター等)で容易に加工することができる。
植栽容器1は、その全体がセメントコンクリート多孔体5からなるもの(中実体)であるが、その表面については、植栽土壌3が満たされるべき凹部2の内周面2a及び接水口となるべき部分(詳細は後述)を少なくとも除いて、その大部分が所定厚さT(例えば、7~8mm程度)を有する通水阻止層5aにより覆われている。より具体的には、図示例の場合、植栽容器1は、上面1a,右側面1c、左側面1d,前面1e及び後面1fを通水阻止層5aにより覆われており、接水口となるべき下面1dの全体、並びに、植栽土壌3と接するべき凹部2の内周面2a及び内底面2b、さらに、成長根回避孔として機能する円形孔4の内周面4aについては、通水阻止層5aには覆われず、セメントコンクリート多孔体5の素材が剥き出しの状態とされている。
ここで、「通水阻止層」とは、毛細管現象による水の流通を阻止する層のことを意味するものであり、この例にあっては、通水を阻止すべき表面の素材を非通水性を帯びるように改質することにより形成される。そのような改質処理としては、例えば、非通水性とすべき領域の外表面から一定深さまで撥水剤を含浸させる処理を挙げることができる。このような目的に使用可能な撥水剤としては、公知の撥水剤から任意に選択可能であり、具体的には、例えばモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のメチルハイドロジェンシリコーンオイルTSF484を使用することができる。TSF484は、ポリジメチルシロキサンのメチル基の一部を水素原子で置換した、無色透明、低粘度のメチルハイドロジェンシリコーンオイルで、撥水処理用オイルとして用いられる。
上述の構成よりなる植栽容器1の製造方法の一例としては、先ず、第1のステップとして、所定サイズの略直方体状に成形されたセメントコンクリート多孔体のブロックを用意する。この多孔体ブロックには、上面1a,下面1b,右側面1c,左側面1d,前面1e,後面1fを有する(図1参照)。続いて、第2のステップでは、上記多孔体ブロックを、下面1bを上にしかつ上面1aを下にした姿勢で、撥水剤溶液中に、下面1eがギリギリ液面上に位置するようにして所定時間だけ浸漬する。続いて、第3のステップでは、上記多孔体ブロックを撥水剤溶液から引き上げて乾燥する。すると、多孔体ブロックの上面1a,右側面1c,左側面1d,前面1e,後面1fには、所定深さTの通水阻止層5aが形成される。続いて、第4のステップでは、多孔体ブロックの上面1aに、穴明け工具にて、大径の凹部2及び小径の円形孔4を同心に形成することで、上面に開口する凹部2及び成長根会費孔4を有する植栽容器1が完成する。なお、通水阻止層の形成は、該当する表面に撥水剤溶液を塗布したのち乾燥するものであってもよい。
以上の構成よりなる植栽容器1は、その使用にあたっては、比較的に底の浅い保水用受け皿6の中に配置される。保水用受け皿6は、植栽容器1の下面に対応する上面視矩形の受け皿であって、この受け皿には所定水位まで水が溜められる。
植栽容器1を、図2に示されるように、保水用受け皿6の上に載置したのち、保水用受け皿6へと適量の水を満たすと、接水口として機能する植栽容器1の下面1d並びに円形孔4の内周面4aからは、相互に連続した気泡により発現する多方向への毛細管現象により、植栽容器1を構成するコンクリート多孔体5内へと水の染み込みが始まり、染み込んだ水は、コンクリート多孔体5内部を拡散しつつ流通上昇し、最終的に、2つの凹部2,2の内周面2a及び内底面2bから染み出して、それらの凹部2,2に満たされた植栽土壌3,3へと灌水される。
このとき、特筆すべきは、栽培土壌3への灌水は、従前の底面給水鉢のように内底面2bのみから行われるのではなくて、内周面2aからも行われる点にある。そのため、栽培土壌3への灌水は、その深さ方向の全体にわたって、ほぼ均等に行われることとなり、のちに詳細に説明するように、例えば、根菜類などのように、根の深さ方向の全周から給水する植物の育成に好適なものとなる。
加えて、このような灌水方法によれば、保水用受け皿6から栽培土壌3への水の移動は、相互に連続した気泡により発現する毛細管現象に起因するものであるから、その灌水程度は栽培土壌3の湿り程度に応じて自動的に調整されることとなり、過度の灌水による根腐れを防止ししつつ、適度の節水を図ることもできる。
<第2実施例装置>
第2実施例装置の構成図が第3図に、同装置の作用説明図(その1)が図4に、さらに、同装置の作用説明図(その2)が第5図に、それぞれ示されている。この第2実施例装置にあっては、栽培容器1自体を細長鉢状に形成するとともに、栽培土壌3が満たされるべき凹部2をそれに合わせて平面視細長状の1個の凹部とすることで、収容可能な栽培土壌3の量を増加させ、それにより、多数の植物を一括栽培可能とするものである。
すなわち、この栽培容器1を構成する基体7にあっては、コンクリート多孔体よりなる右側壁板7a,左側壁板7b、前壁板7c,後壁板7d及び底壁板7eによって取り囲むことにより、上面が開口された細長状の凹部2が形成され、この凹部2内に、栽培土壌3が満たされることとなる。なお、図示を省略するが、右側壁板7a,左側壁板7b、前壁板7c,後壁板7d及び底壁板7eの外面側には、撥水剤の含浸により形成された通水阻止層5aが存在する。また、そのサイズは、例えば、家庭用の草花栽培用であれば、長辺(a=750mm)、短辺(b=120mm)、高さ(h=110mm)程度に設定されている。
また、底壁板7eの下面側には、長手方向に沿って延在する断面U字状の溝8が形成されており、この溝8の内周面は接水口として機能するもので、通水阻止層は存在せず、コンクリート多孔体の素材が剥き出し状態とされている。さらに、断面U字状の溝8と保水用受け皿6とにより形成される空所9は、成長根回避孔として機能する円形孔4同士を互いに連通する。そのため、溝8によって形成される空所9において、水を噴霧させることにより、その水霧を介して、成長根回避孔となる円形孔4から望む栽培土壌3へと、直接に灌水することも可能となっている。
以上の構成よりなる植栽容器1によれば、保水用受け皿6内に配置したのち、保水用受け皿1へと適量の水を溜めれば、接水口として機能する断面U字状の溝8の内面は、溜まり水内へと浸漬されるため、相互に連続した気泡により発現する多方向毛細管現象より、断面U字状の溝8の内面から染み込んだ水は、底壁板7eを経由して、左右前後の側壁板7a~7d内へと拡散しつつ、それらの側壁板7a~7dの内面及び底壁板7eの内面から染み出すから、栽培土壌3へと底部のみならず、その周囲からも栽培土壌3への灌水が可能となる。
一方、保水用受け皿6内に配置したのち、底壁板7eの下面に形成された断面U字状溝8と保水用受け皿6との間に形成される空所9において、図示しない噴霧ノズルから水を噴霧すれば、噴霧されて生じた霧水は、断面U字状の溝8の内面及び成長根回避孔として機能する円形孔4の内周面4aと接して、その内部に染み込むと共に、最終的には、先に述べたように、側壁板7a~7dの内面及び底壁板7eの内面から染み出す水により、栽培土壌へと底部からのみならず、その周囲からも灌水することが可能となる。
このように、接水口での霧水を介する水との接触の場合には、噴霧濃度の調整により、接水口から染み込む水の量を必要最小限に制限することができることに加えて、このとき噴霧により生ずる霧水は、成長根回避孔として機能する円形根4から望む栽培土壌3にも接するから、この噴霧給水方式によれば、コンクリート多孔体5を経由する間接灌水と霧水を経由する直接灌水とが相俟って、より効果的な灌水制御を実現することができる。
次に、中東砂漠地域のような極度の乾燥地帯における適用について説明する。なお、図4は葉物野菜(例えば、ホウレン草、小松菜など)の栽培用の例であり、図5は根物野菜(例えば、大根や人参など)の栽培用の例である。サイズは、家庭用の場合よりも、かなり大型となるであう。
いずれの場合の例にあっても、本発明に係る植栽容器1は、保水用受け皿6上に配置されると共に、その上方空間は、太陽光を透過する透明な硬質樹脂製の保湿用カバー10により覆われる。保湿用カバー10の天井面に相当する領域には、植栽土壌3に植えられた植物(葉物植物11、根物植物12)の主として葉から蒸散した水蒸気が凝縮して生じた凝縮水を一箇所に集めて落下させるためのV字状案内面10aが設けられている。
このような構成によれば、保水用受け皿6に溜められた水は、断面U字状凹部8の内面から適量が毛細管現象により吸い上げられたのち、凹部2の内周面2a及び内底面2bから滲み出すことで、植栽土壌3への灌水が周囲から緩やかに行われる一方、植物11、12の葉から蒸散した水蒸気は、保湿用カバー10の天井面に接して凝縮したのち、そうして生じた凝縮水はV字状案内面10aに沿って下降移動しつつ、最終的には一箇所に集められて、植物11、12へと降り注がれる一方、栽培土壌3に戻されたのち、植物の根で吸われることなく余った余剰水については、再び、保水用受け皿6へと還流される。このようにして、保水用受け皿6の水は、繰り返し再利用されることで、節水効果を高めて、乾燥地帯における適用を可能とするものである。
なお、本発明の係る植栽容器1にあっては、植栽土壌3に対する灌水は、植栽土壌3の下部からのみならず、植栽土壌3を取り巻くその周囲からも行われる。そのため、図5に示されるように、側壁板7a~7dの長さ(L)を想定される根物野菜(例えば、大根や人参など)の根部12aの成長後の長さに合わせて設定しておくことにより、この種の根物野菜を効率よく生産することが可能となる。
以上述べた第2実施例装置の大規模化に適する応用例が、図6~図9に示されている。この例にあっては、複数本の支柱13,13,・・・を一列に配置すると共に、隣接する支柱同士間に棚板14を多段に掛け渡してなる両面棚部材15を構築し、この両面棚部材15の前面側と背面側とに、それぞれ棚板14に載置されるようにして、本発明に係る保水用受け皿付きの植栽容器1A,1Bを載置するようにしたものである。
なお、植栽容器1Aは葉物野菜栽培用に構築されたものであり(図4参照)、植栽容器1Bは根物野菜栽培用に構築されたものである(図5参照)。図から明らかなように、根物野菜栽培用に構築された植栽容器1Bは、葉物野菜栽培用に構築された植栽容器1Aに比べて、植栽土壌が深くなるように、側壁板の高さがより高く設計されている。
次に、中東砂漠地域のような極度の乾燥地帯における第2実施例装置の適用について、図8及び図9を参照して説明する。この例にあっては、植栽容器1をその前後両側に装着された両面棚部材15は、互いに平行に2列配置されており、それらはさらに、太陽光を透過する透明な樹脂シート16からなる横断面三角形状の植栽ハウス17に収容されている。なお、図において、符号18は適宜に着脱可能な日除けシートである。植栽ハウス17内の適当な高さには、室内を上下に仕切る樹脂シート製の天井部材19が張設されており、この天井部材19には、多数の断面V字状の案内面19aが一連に設けられている。
以上の構成によれば、個々の植栽容器1A,1Bにおいては、先に説明したように、保水用水受け皿6に溜められた水が、毛細管現象により吸い上げられたのち、凹部2の内周面2a及び内底面1bから滲み出ることにより、植栽土壌3へとその周囲から灌水されて、植物11,12へと供給される一方、一連の植栽容器1A,1Bの植物の主として葉から蒸散される水蒸気は天井部材19の内面に接して凝縮し、そうして生ずる凝縮水は断面V字状の案内面の作用で、植栽ハウス17内の植栽容器1A,Bの上にへと降り注ぐことととなる。これにより、土壌中の植物根で吸収されなかった余剰水は保水用受け皿6へと還流を繰り返すこととなる。
<第3実施例装置>
第3実施例装置の外観斜視図が図10図に、同装置の三面投影図が図11に、同装置の分解斜視図が図12に、それぞれ示されている。この第3実施例装置は、本発明を壁面緑化用の植栽容器1Cとして構成したものである。
植栽容器1Cは、壁面緑化用に構成されたものであり、前面20aと背面20bとを有する直立壁状の基体20を有する。基体20の材質としては、毛細管現象を発現する通水性剛体材料(例えば、セメントコンクリート多孔体など)が採用される。
基体20には、植栽土壌3を受け入れるために、前面に開口する多数の凹部21,21・・・が縦横に配列して整然と設けられている。各凹部21は、それぞれ前後方向に延在するものであって、正確には、図11(b)に示されるように、水平よりは、やや後下がりの傾斜姿勢に設定されている。これは、植栽土壌3を収容したときの安定性を考慮したものである。
植栽土壌3としては、先に説明したように、任意の基本用土(例えば、黒土、赤玉土、荒木田土、鹿沼土、山砂、川砂、水苔、庭土)並びに任意の補助用土(腐葉土、ピートモス、ココナツピート、堆肥、パーライト、パーミキュライト)を使用することができる。尤も、栽培土壌3を含む植栽容器全体の重量、長期防腐性、生育助長性、等々を考慮した場合には、特開平2017-29127号公報において、先に本出願人により提案された、牛糞を主にして木材チップと有益菌(白神菌等)を混合し有機堆肥を作り、ココナッツ繊維等とバインダーとして海藻のり等を混合し固形化してなる有機堆肥培地を採用することができる。なお、ここで、「白神菌」とは、特開平2009-227559号公報において、吉田嘉明氏等により同定された一連の菌種のことを意味するものである。
図示の基体20は、図12に示されるように、凹部21に相当する空洞が前後方向へと貫通される前側基体22と、前側基体22の背後に設けられる後側基体23とから分割構成され、両者はボルト等の適宜な結合具又は接着剤により一体に結合されている。
前側基体22は、凹部21の内面及び基体22の背面並びに接水口となる下面を除き、図示しない通水阻止層(例えば、撥水剤含浸層)により覆われている。同様にして、後側基体23は、前側基体21と対向する前面並びに接水口となる下面を除き、図示しない通水阻止層(例えば、撥水剤含浸層)により覆われている。
植栽容器1Cを構成する基体20は、図示を省略するが、その下面に接水口となる素材露出面(毛細管現象より水の染み込み可能)が設けられており、この接水口を介して保水用受け皿(図示せず)の上に載置される。なお、基体20のどこに接水口を配置するかは設計事項であって、例えば、上面、側面、背面、等々のように、給水の便宜などを考慮して、適宜位置に配置することができる。また、その個数についても、1つに限ることなく、必要に応じて任意の個数だけ設けることができる。
前側基体22の背面22aには、図12に示されるように、いずれも上下方向へと延在される2本の凹条24a,25bが形成されている。幅広の凹条24aは、上下方向に配列された一連の凹部列21,21・・・を連通するように配列されている。幅狭の凹条24bは、それぞれ上下方向へと配列された一連の2本の隣接凹部列の間を通過するようにして配列されている。
後側基体23の前面23aには、互いに平行な複数本の比較的に幅広の凹条25,25・・・が形成されている。それらの凹条25,25・・・の中心線と前側基体22の背面22a上の凹条24aの中心線とは整合するように設定されている。また、前側基体22の背面22a上の凹条24bの中心線は、後側基体23の前面23a上の平坦面と整合するように設定されてする。
そのため、前側基体22の背面22aと後側基体23の前面23aとを向かい合わせて結合すると、両者の間には、上下方向へ配列された一連の凹部列21,21・・を連通して上下方向へと延在する第1の噴霧通路26と、上下方向へ配列された一連の凹部21,21・・・を避けて、上下方向へと延在する第2の噴霧通路27とが形成される(図10参照)。
以上の構成よりなる壁面緑化用の植栽容器1Cにおいて、基体20の下部にもうけた図示しない保水用受け皿へと水を供給すると、供給された水は接水口から基体20内へと染み込まれ、セメントコンクリート多孔体の有する多方向毛細管現象により、基体20の全体へと通水拡散され、最終的には、各凹部21の内面から少しずつ滲み出す。これにより、当該凹部21に収容された栽培土壌に植えられた緑化植物へとその周囲から素材の有する多方向毛細管現象を利用した灌水が行われる。
凹部21の上下方向の段数や蒸散傾向により、多方向毛細管現象だけでは灌水が不足するような場合には、図示しない噴霧ノズルから水を噴霧して、第2の噴霧用通路27内を水霧(ミスト)で満たす。すると、第2の噴霧用通路27に隣接するセメントコンクリート多孔体へと水の染み込みが行われて、各凹部21への滲み出し灌水が補われることとなる。
なおも、多方向毛細管現象だけでは、各凹部21への滲み出し灌水が不足する場合には、さらに、図示しない噴霧ノズルから水を噴霧して、第1の噴霧用通路26内を水霧(ミスト)で満たす。すると、当該第1の噴霧用通路26により連通する上下一連の凹部21,21・・・内に収容された栽培土壌自体に直接的に水霧が接触して、当該栽培土壌に植えられた緑化植物に対する直接灌水が行われることとなる。
このように、上述の第3実施例装置によれば、直立壁状の基体20それ自体をセメントコンクリート多孔体により構成することにより、その各凹部21へと多方向毛細管現象を利用して灌水を成す一方、さらに、必要に応じて、第1の噴霧用通路26および/または第2の噴霧用通路27を介して、灌水不足を補うことにより、上下多段に設けられた植栽用の凹部21に対する適量灌水を行うことができる。
<その他>
以上の各実施例装置において、多孔体の発泡程度によっては、若干表面脆性に問題が生じ得るが、そのような場合には、その脆性に劣る外表面については、適宜な樹脂を含浸させる等の表面硬化処理を行ってもよいであろう。
本発明によれば、植栽土壌へと灌水するための灌水ガイド部材の素材として、毛細管現象による多方向通水を可能とする通水性剛体材料が使用されているため、灌水ガイド部材の形状を任意の平面ないし立体形状に成形することにより、灌水ガイド部材と植栽土壌との接触面積を可及的に増大させることで、植栽土壌に対する適切な灌水が可能となる。
1 植栽容器
1A 葉物野菜用の植栽容器
1B 根物野菜用の植栽容器
1C 壁面緑化用の植栽容器
1a 植栽容器の上面
1b 植栽容器の下面
1c 植栽容器の右側面
1d 植栽容器の左側面
1e 植栽容器の前面
1f 植栽容器の後面
2 凹部
3 植栽土壌
4 円形孔(成長根回避孔)
4a 円形孔の内周面
5 セメントコンクリート多孔体
5a 通水阻止層
6 保水用受け皿
7 植栽容器を構成する基体
7a 右側壁板
7b 左側壁板
7c 前壁板
7d 後壁板
7e 底壁板
8 断面U字状溝
9 空所
10 保湿カバー
10a 断面V字状案内面
11 葉物野菜
12 根物野菜
12a 根部
13 支柱
14 棚板部材
15 両面棚部材
16 透明な樹脂シート
17 植栽ハウス
18 遮蔽部材
19 天井部材
20 基体
20a 前面
20b 背面
21 凹部
22 前側基体
23 後側基体
24a 幅広凹条
24b 幅狭凹条
25 凹条
26 第1の噴霧用通路
27 第2の噴霧用通路

Claims (10)

  1. 植栽土壌へと灌水するための灌水ガイド部材の素材として、毛細管現象による多方向通水を可能とする通水性剛体材料を使用してなる植栽土壌の灌水装置であって、前記灌水ガイド部材が、前記植栽土壌を収容する鉢等の植栽容器そのものを兼ねるように構成されており、
    前記植栽容器は、細長鉢状に形成されるとともに、栽培土壌が満たされるべき凹部(2)は、それに合わせて平面視細長状の凹部とされ、
    前記植栽容器の底壁板(7e)の下面側には、長手方向に沿って延在する断面凹状の溝(8)が形成され、この溝の内周面は接水口として機能するもので、通水阻止層は存在せず、前記潅水ガイド部材の素材が剥き出し状態とされており、
    前記植栽容器の底壁板には、長手方向に沿って、成長根回避孔として機能する複数の透孔(4)が適当な間隔で配列されており、
    さらに、前記断面凹状の溝により形成される空所(9)は、成長根回避孔として機能する各透孔(4)と連通する、植栽土壌の灌水装置。
  2. 前記通水性剛体材料が、大部分の気泡が互いに連通する連続気泡構造を有する多孔体である、請求項1に記載の植栽土壌の灌水装置。
  3. 前記多孔体が、セメントコンクリート多孔体である、請求項2に記載の植栽土壌の灌水装置。
  4. 前記植栽容器の外表面の大部分には、前記凹部の内表面以外からの水の滲み出し漏洩を防止すべく通水阻止層が設けられている、請求項1に記載の植栽土壌の灌水装置。
  5. 前記通水阻止層は、前記植栽容器の外表面から通水性剛体材料中へと撥水剤を所定深さに含浸させることにより形成される、請求項4に記載の植栽土壌の灌水装置。
  6. 前記植栽容器は、透明な保湿カバーよりなる密閉空間に置かれており、前記密閉空間の天井に相当する前記保湿カバーの天井面には、前記保湿カバー内面に付着した凝縮水を所定位置に集めて栽培植物に降り注ぐための断面V字状の案内傾斜面が形成されている、請求項1に記載の植栽土壌の灌水装置。
  7. 前記密閉空間の底部には、前記接水口が浸漬されるべき水溜まりを形成するための、又は前記接水口に向けて噴霧された余剰水を溜めるための貯水皿が設けられている、請求項6に記載の植栽土壌の灌水装置。
  8. 植栽土壌へと灌水するための灌水ガイド部材の素材として、毛細管現象による多方向通水を可能とする通水性剛体材料を使用してなる植栽土壌の灌水装置であって、前記灌水ガイド部材が、前記植栽土壌を収容する鉢等の植栽容器そのものを兼ねるように構成されており、
    前記植栽容器が、
    前面と背面とを有する直立壁状の通水性剛体材料からなる基体を有する壁面緑化用の植栽容器であり、
    前記基体には、
    それぞれ前面に開口しかつ前後方向へと延在し、前記植栽土壌を受け入れる、上下多段の凹部と、
    前記基体を構成する通水性剛体材料に対して水の染みこみを許容する接水口とが設けられ、
    それにより、前記接水口から染み込ませた水を前記通水性剛体材料がもたらす毛細管現象を利用して前記基体中を拡散させ、前記凹部のそれぞれの内表面から滲み出させることにより、前記各段の凹部に受け入れられた前記植栽土壌のそれぞれへと灌水する、ものであり、さらに
    前記基体には、上下方向へと延在し、前記上下多段の凹部同士を互いに連通する、噴霧用通路が設けられており、各段の前記凹部に受け入れられた前記植栽土壌のそれぞれは、前記噴霧用通路に噴霧された水に接することによっても灌水される、植栽土壌の灌水装置。
  9. 前記基体の外表面の大部分には、水の滲み出し漏洩を阻止すべく通水阻止層が設けられている請求項8に記載の植栽土壌の灌水装置。
  10. 前記通水阻止層は、前記基体の外表面から通水性剛体材料中へと撥水剤を所定深さに含浸させることにより形成される請求項9に記載の植栽土壌の灌水装置。
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