以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、記録媒体上に形成された画像の位置を検知するための位置検知マークを読み取った読取画像に基づいて、記録媒体上の目的とする位置に画像が出力されるように、画像の位置を調節するための画像位置検知装置を含む画像形成装置について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置5の全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置5は、制御装置1000、プリントエンジン300、画像位置検知装置400を含む。制御装置1000は、画像形成装置5が受信した印刷ジョブに基づいて印刷出力する画像データ、すなわち、出力対象画像であるビットマップデータを生成し、生成したビットマップデータに基づいてプリントエンジン300を制御して画像形成出力を実行させる。
プリントエンジン300は、制御装置1000からの制御に従い、ビットマップデータに基づいて、印刷用紙Mなどの記録媒体に画像形成出力を実行する画像形成部である。画像位置検知装置400は、印刷用紙M上に印刷された位置検知マークを読み取り、読取画像に基づいて、印刷用紙M上の目的とする位置にビットマップデータが出力されるように補正をするための補正値を算出する。
画像位置検知装置400によって算出された補正値は、制御装置1000に送信され、ビットマップデータの生成を生成する際の補正値、および、プリントエンジン300に印刷用紙Mを搬送する際の補正値として用いられる。
本実施形態に係る画像位置検知装置400は、上述した読取画像において、印刷用紙Mの端部の座標、および、印刷用紙M上の位置検知マークの中心座標に基づいて補正値を算出する。印刷用紙Mの裁断形状や紙厚によって、印刷用紙Mの端部の座標や印刷用紙Mに印刷される画像の位置ずれが生じるが、これらの位置ずれを解消するために、画像形成出力に際して用いる補正値を算出することが本実施形態に係る要旨である。詳細については、後述する。
ここで、本実施形態に係る制御装置1000、プリントエンジン300、画像位置検知装置400の機能ブロックを構成するハードウェア構成について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る画像位置検知装置400のハードウェア構成を示すブロック図である。図2においては、画像位置検知装置400のハードウェア構成を示すが、制御装置1000およびプリントエンジン300のハードウェア構成についても画像位置検知装置400と同様に構成される。
図2に示すように、本実施形態に係る画像位置検知装置400は、一般的なPC(Personal Computer)やサーバなどの情報処理装置と同様の構成を有する。すなわち、本実施形態に係る画像位置検知装置400は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40およびI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50には、LCD(Liquid Crystal Display)60、操作部70および専用デバイス80が接続される構成であってもよい。
CPU10は演算手段であり、画像位置検知装置400全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェアなどのプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラムなどが格納されている。
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワークなどを接続し制御する。LCD60は、例えば、ユーザが制御装置1000を介して画像形成装置5の動作状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウスなどのユーザが制御装置1000に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
専用デバイス80は、制御装置1000、プリントエンジン300および画像位置検知装置400において、専用の機能を実現するためのハードウェアであり、プリントエンジン300の場合は、画像形成出力対象の用紙を搬送する搬送機構や、紙面上に画像形成出力を実行するプロッタ装置である。
また、制御装置1000、画像位置検知装置400の場合は、高速に画像処理を行うための専用の演算装置である。このような演算装置は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成される。また、紙面上に出力された画像を読み取るためのセンサなどの読取装置も含まれる。
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40もしくは光学ディスクなどの記録媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10がそれらのプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る制御装置1000、プリントエンジン300、画像位置検知装置400の機能を実現する機能ブロックが構成される。
図3は、本実施形態に係る制御装置1000、プリントエンジン300、画像位置検知装置400の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態に係る制御装置1000は、画像処理部100、エンジンコントローラ200を含む。また、プリントエンジン300は、印刷処理部310を含む。また、画像位置検知装置400は、読取部401、センサ画像取得部410、補正値算出部420、座標変換部430を含む。
画像処理部100は、RIP処理部110、ジョブ情報処理部120を含む。ジョブ情報処理部120は、図4に示すように、オフセット処理部121、倍率調整処理部122、斜行補正処理部123を含む。オフセット処理部121、倍率調整処理部122、斜行補正処理部123のそれぞれによって、印刷用紙Mに形成される画像の位置を補正するための補正処理が実行される。補正処理の具体的な態様については、後述する。
外部からネットワークを介して入力される印刷ジョブや、オペレータの操作により制御装置1000内部に格納された画像データから生成される印刷ジョブに基づいて画像形成出力の実行を制御する。RIP処理部110は、画像形成出力の実行に際して、印刷ジョブに含まれる画像データに基づいてビットマップデータを生成し、生成したビットマップデータをエンジンコントローラ200に送信する。
ビットマップデータの生成に際して、RIP処理部110は、印刷ジョブに含まれる画像データに基づいてプリントエンジン300が画像形成出力を実行するためのビットマップデータを生成する。ビットマップデータは、画像形成出力するべき画像を構成する各画素の情報である。
本実施形態に係るプリントエンジン300は、CMYK(Cyan、Magenta、Yellow、Key plate)ごとの二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する。これに対して、一般的に、印刷ジョブに含まれる画像のデータは、一画素が256階調などの多階調で表現された多値画像である。そのため、RIP処理部110は、印刷ジョブに含まれる画像データを多値画像から少値画像に変換して、CMYKごとに二値のビットマップデータを生成する。
データ取得部210は、画像処理部100から印刷ジョブおよびビットマップデータを取得し、エンジン制御部220を動作させる。エンジン制御部220は、データ取得部210から転送された印刷ジョブおよびビットマップデータに基づいてプリントエンジン300に画像形成出力を実行させる。また、エンジン制御部220は、データ取得部210から転送された印刷ジョブに基づいて読取部401に読み取り動作を実行させる。
印刷処理部310は、エンジンコントローラ200から入力されるビットマップデータを取得し、印刷用紙Mに対して画像形成出力を実行して画像が印刷された印刷用紙Mを出力する画像形成部である。本実施形態に係る印刷処理部310は、電子写真方式の一般的な画像形成機構によって実現されるが、インクジェット方式等の他の画像形成機構を用いることも可能である。
読取部401は、画像位置検知装置400内部における印刷用紙Mの搬送経路に配置されたラインセンサなどによって構成され、エンジン制御部220から入力される印刷ジョブなどの制御情報に基づいて、読取部401の近傍を搬送される印刷用紙Mの紙面上を走査し、印刷用紙M上に形成された位置検知マークを読み取る。
読取画像は、位置検知マークが出力された印刷用紙Mを読取部401が読み取って生成された画像であるため、画像形成装置5による出力結果を示す画像となる。センサ画像取得部410は、印刷用紙Mの紙面が読取部401によって読み取られて生成された読取画像を取得する。センサ画像取得部410が取得した読取画像は、読取部401が読取画像を生成した際の印刷ジョブとともに、補正値算出部420および座標変換部430に入力される。
補正値算出部420は、センサ画像取得部410から取得した読取画像に含まれる位置検知マーク7の中心座標および印刷用紙Mの端部の座標に基づいて、画像形成出力に際して、印刷用紙M上に形成される画像の位置を補正するための補正値を算出する。
補正値算出部420は、読取画像および当該読取画像を生成した際の印刷ジョブの情報に基づいて、印刷用紙Mの第1面(表面)1回目の補正値C1、印刷用紙Mの第2面(裏面)の補正値C2、印刷用紙Mの第2面(裏面)2回目の補正値C3をそれぞれ算出する。なお、補正値C1は第1補正値として、補正値C2は第2補正値として、補正値C3は第3補正値である。
補正値C1、補正値C2、補正値C3は、それぞれジョブ情報処理部120、エンジン制御部220に送信され、画像形成出力に際して、印刷用紙M上に形成される画像の位置を補正するための補正値として用いられる。補正処理の具体的な態様については、後述する。
座標変換部430は、印刷用紙Mの第1面に形成された位置検知マークを読み取って検知した位置検知マークの中心座標および印刷用紙Mの端部の座標を、第2面に対して画像形成出力を実行する際の第1面における座標系に変換する。
変換後の座標の情報は、補正値算出部420に出力され、印刷用紙Mの第2面(裏面)2回目の補正値C3を算出するために用いられる。座標変換処理の具体的な態様については、後述する。このような機能構成によって、本実施形態に係る画像形成装置5においては、印刷用紙Mに形成される画像の位置を補正する処理が実行される。
次に、画像形成装置5におけるプリントエンジン300および画像位置検知装置400の機械的な構成および印刷用紙Mの搬送経路Rについて図5を参照して説明する。図5に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン300に含まれる印刷処理部310は、無端状移動手段である搬送ベルト11に沿って各色の感光体ドラム12Y、12M、12C、12K(以降、総じて感光体ドラム12とする)が並べられた構成を備えるものであり、いわゆる、タンデムタイプといわれるものである。
すなわち、給紙トレイ13から給紙される印刷用紙Mに転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト11に沿って、この搬送ベルト11の搬送方向の上流側から順に、複数の感光体ドラム12Y、12M、12C、12Kが配列されている。
各色の感光体ドラム12の表面において着色剤であるトナーにより現像された各色の画像が、搬送ベルト11に重ね合わせられ、転写されることによりフルカラーの画像が形成される。このようにして搬送ベルト11上に形成されたフルカラー画像は、図5において破線で示す用紙の搬送経路Rと最も接近する位置において、転写ローラ14の機能により、印刷用紙Mの紙面上に転写される。
転写ローラ14は、搬送ベルト11を挟みこむように配置された一対のローラ14a、14bによって構成される。搬送ベルト11の上側に配置されたローラ14aは、搬送ベルト11の動作に従動して回転する従動ローラである。
一方で、搬送ベルト11の下側に配置されたローラ14bは、搬送ベルト11の動作とは独立してエンジン制御部220によって駆動するローラである。したがって、エンジン制御部220は、ローラ14aの速度を制御する速度制御部として機能する。
したがって、搬送ベルト11上に形成された画像が印刷用紙Mに転写されるタイミングにおいて、転写ローラ14、特に、搬送ベルト11の下側に配置されたローラ14bの回転速度を調節することによって、搬送ベルト11上に形成された画像の副走査方向の倍率が調節されて印刷用紙Mに転写される。
紙面上に画像が形成された印刷用紙Mはさらに搬送され、定着ローラ15にて画像を定着された後、画像形成装置5の筐体外に搬送される前に読取部401に搬送される。また、両面印刷の場合、第1面上(表面上)に画像が形成され、定着された印刷用紙Mは、反転パス16を経由して搬送される。
このようにして、印刷用紙Mは、第2面上(裏面上)に画像形成が可能になるような状態、すなわち、搬送ベルト11上に形成された画像が印刷用紙Mの第2面に転写されるような状態で、転写ローラ14の転写位置に再度搬送される。
読取部401は、画像形成装置5内部における印刷用紙Mの搬送経路Rにおいて、印刷処理部310から搬送された印刷用紙Mのそれぞれの面を読み取り、読取画像を生成して画像位置検知装置400内部の情報処理装置によって構成されるセンサ画像取得部410に出力する。また、読取部401によって読み取られた印刷用紙Mは画像形成装置5内部をさらに搬送され、排紙トレイ500に排出される。印刷用紙Mの第1面および第2面をそれぞれ読み取る際の具体的な態様については後述する。
次に、本実施形態に係る画像位置検知装置400の構成について、図6から図8を参照して説明する。図6は、画像位置検知装置400の機械的な構成の要部を示す図、図7および図8は、対向部材93の斜視図である。
図5に示すように、読取部401は、定着ローラ15よりも、印刷用紙Mの搬送方向の下流側であって、かつ、画像が形成された印刷用紙Mを画像形成装置5の筐体の外部に排出するか、もしくは、反転パス16に印刷用紙Mを搬送するための分岐部17よりも、印刷用紙Mの搬送方向の上流側に配置されている。
読取部401は、印刷用紙M上に形成された位置検知マークなどの画像を光学的に読み取って、読取画像を生成する。そして、補正値算出部420は、生成された読取画像に基づいて補正値C1、補正値C2、補正値C3を算出する。このため、本実施形態に係る画像位置検知装置400においては、印刷用紙Mの紙厚や色などに応じて、対向部材93の色や、コンタクトガラス94との間のギャップを変更することができる。
画像位置検知装置400は、図6に示すように、照明光源91と、読取部401と、対向部材93と、コンタクトガラス94と、支持部材95とを備えている。
照明光源91は、搬送されてきた印刷用紙Mにおいて、画像が形成された画像形成面側に配置されている。そして、印刷用紙Mの搬送経路Rのうち、印刷用紙Mが画像位置検知装置400を通過する部分の搬送経路Rにおいて、印刷用紙Mに形成された画像を読み取る読取位置に対して光を当てる。読取位置とは、搬送経路R上において、読取部401が印刷用紙Mを読取可能な位置のことである。
読取部401は、反射鏡、結像レンズ、および、撮像素子を有するイメージセンサによって構成されるものや、撮像素子が配列されたラインセンサなどを用いることができ、撮像素子によって印刷用紙Mの画像形成面に形成された画像を読み取る。また、読取部401は、印刷用紙Mが読取位置にない際には、対向部材93の外周面931a、932a、933a、934aや対向部材93の基準面部材などを読み取る。そして、読取部401は、撮像素子が受光した光の受光量に基づいて読取画像を生成する。
対向部材93は、搬送されてきた印刷用紙Mにおいて、画像が形成された画像形成面の裏側に配置されている。対向部材93は、図7および図8に示すように、ローラ931、932、933、934が、ローラブラケット935によって回転可能に保持されて構成される。ローラ931、932、933、934はそれぞれ、凸状に湾曲した基準面である外周面931a、932a、933a、934aを有する回転可能な回転体であって、ローラブラケット935とは独立して回転する。
また、ローラブラケット935は、ローラブラケット軸936に締結されており、このローラブラケット軸936が回転することで、ローラ931、932、933、934を保持した状態で回転する。このようにして、外周面931a、932a、933a、934aは、ローラ931、932、933、934を選択的に切り替えることによって、印刷用紙Mが通過可能な間隙でコンタクトガラス94に対向する所定の読取位置に配置される。
なお、読取位置は、例えば、外周面931a、932a、933a、934aのうち、コンタクトガラス94に対向して配置されるローラの外周面のコンタクトガラス94に最も近い位置に設定される。また、読取位置は、例えば、コンタクトガラス94に対向して配置されるローラの外周面のコンタクトガラス94に最も近い位置から、印刷用紙Mの厚さに相当する位置に、コンタクトガラス94側に近接して設定されてもよい。
コンタクトガラス94は、光透過部材からなり、読取位置に搬送されて印刷用紙Mの画像形成面に対面する位置に配置される。
支持部材95は、照明光源91および読取部401が固定された部材である。そして、印刷用紙Mの搬送経路Rのうち、印刷用紙Mが読取部401を通過する部分の経路が、上流の部分および下流の搬送経路Rから分離されて支持部材95に支持されている。印刷用紙Mが読取部401を通過する部分の経路以外の搬送経路Rの上流の部分および下流の部分には、搬送ローラ96および搬送ローラ97が配置されている。
そして、印刷用紙Mを搬送すると、読取部401はコンタクトガラス94を通して、矢印940側から画像形成面を読み取る。ローラ931の外周面931aがコンタクトガラス94に対向する位置に配置されており、印刷用紙Mの搬送と連動して回転する。このように、ローラ931は、印刷用紙Mの搬送機能を有しており、印刷用紙Mが移動しない程度の狭いギャップであっても、紙詰まり等が発生しにくくなる。
ローラ931、932、933、934はそれぞれ、色および直径の少なくとも一方が異なるローラである。例えば、ローラ931は黒色で通常径、ローラ932は白色で小径、ローラ933は白色で通常径、ローラ934は黒色で小径である。
したがって、印刷用紙Mの色に応じて、ローラを切り替えることで、読取画像において印刷用紙Mとローラとの境界を認識しやすくすることができる。また、ローラの直径は印刷用紙Mの紙厚やシェーディング動作時に使用するかどうかによってローラを切り替えることによって変更可能になる。さらに、ローラを切り替えることで、印刷用紙Mと対向部材93とのギャップの大きさを変更することもできる。
さらに、ローラ931、932、933、934を回転駆動する駆動手段を設けてもよい。このようにすると、ローラ931、932、933、934のうち、コンタクトガラス94に対向して配置されたローラと、コンタクトガラス94との間のギャップがより狭くなった場合であっても記録材Pの搬送が可能となる。
図7は、ローラ931、932、933、934を回転駆動することができる対向部材93の斜視図である。また、図8は、図7の対向部材93の斜視断面拡大図である。
ローラ931、932、933、934にはそれぞれ、ローラギヤ931b、932b、933b、934bが配設され、ローラブラケット935と回転中心を共有するローラ駆動ギヤ937aが駆動連結されている。
これにより、ローラ駆動ギヤ937aが回転することによって、ローラギヤ931b、932b、933b、934bを介して、ローラ931、932、933、934が回転駆動する。ローラ駆動ギヤ937aにはローラ駆動プーリ937bが一体で構成されており、搬送ローラ96、97を駆動させるプーリと駆動ベルトにより駆動連結されている。この駆動系は、ローラ931、932、933、934を回転駆動する回転駆動手段としての機能を有する。
そして、駆動プーリが回転すると、駆動ベルトを介して、搬送ローラ96、97を駆動させるプーリおよびローラ駆動プーリ937bが同時に回転駆動する。このようにして、搬送ローラ96、97が回転駆動すると同時に、ローラ駆動ギヤ937aおよびローラギヤ931b、932b、933b、934bを介してローラ931、932、933、934が回転駆動する。このとき、コンタクトガラス94に対向する位置に配置されたローラ931の表面は、印刷用紙Mが搬送される方向と同じ方向に移動する。
なお、エンジン制御部220は、4本のローラ931、932、933、934、基準面部材991、992、993またはガイド部材994を選択的に切り替えて読取位置に配置するように、ローラブラケット935の回転駆動位置を制御する。
次に、第1面の印刷時における印刷用紙Mの搬送経路Rについて図9を参照して説明する。図9は、本実施形態に係る第1面の印刷時における印刷用紙Mの搬送経路Rを示す図である。
第1面に対する画像形成に際して、印刷用紙Mは、搬送経路R上を、給紙トレイ13から搬送ベルト11に向かって図9中の矢印で示す経路に従って搬送される。そして、転写ローラ14の機能により、印刷用紙Mの第1面(表面)に、搬送ベルト11に形成された画像が転写される。
画像が転写された印刷用紙Mは、定着ローラ15によって画像が定着される。定着ローラ15は、印刷用紙Mを加熱したり押圧することによって、印刷用紙Mに画像を定着させる。
画像が定着されると、印刷用紙Mは読取部401に搬送され、図10に示すように、印刷用紙Mの第1面に形成された画像G1が読み取られる。読取部401を通過すると、印刷用紙Mは反転パス16に搬送される。
次に、第2面の印刷時における印刷用紙Mの搬送経路Rについて、図11を参照して説明する。図11は、本実施形態に係る第2面の印刷時における印刷用紙Mの搬送経路を示す図である。
第2面に対する画像形成に際して、印刷用紙Mは、搬送経路R上を、反転パス16から搬送ベルト11に向かって図11中の矢印で示す経路に従って搬送される。そして、転写ローラ14の機能により、印刷用紙Mの第2面(裏面)に、搬送ベルト11に形成された画像が転写される。
画像が転写された印刷用紙Mは、定着ローラ15によって画像が定着される。画像が定着されると、印刷用紙Mは読取部401に搬送され、図12に示すように、印刷用紙Mの第2面に形成された画像G2が読み取られる。読取部401を通過すると、印刷用紙Mは排紙トレイ500に向かって搬送される。
このように、本実施形態に係る画像形成装置5は、定着ローラ15と分岐部17との間に読取部401を設けることにより、両面印刷を行う場合であっても、印刷用紙Mを装置外に取り出すことなく印刷用紙Mに形成された画像を両面とも読み取ることができる。
次に、印刷用紙Mに形成される画像の位置を検知するために、印刷用紙Mに形成される位置検知マーク7について、図13を参照して説明する。図13は、本実施形態に係る位置検知マーク7の構成を例示した図である。本実施形態において、位置検知マーク7は、印刷用紙Mの中心側に、印刷用紙Mの端部から所定の距離Dだけ離れた位置に形成される。
具体的には、位置検知マーク7a、7b、7c、7dが、それぞれ、印刷用紙Mの主走査方向および副走査方向の端部から距離Dだけ離れて形成される。そして、それぞれの位置検知マーク7を読み取って、位置座標8a、8b、8c、8dの座標を得ることができる。なお、位置座標8は、位置検知マーク7の中心座標に相当する。
補正値算出部420および座標変換部430は、位置座標8a、8b、8c、8dの座標および印刷用紙Mの四隅の端部の座標に基づいて、印刷用紙Mに形成される画像の位置を補正するための処理を実行する。
次に、印刷用紙Mに形成される画像の位置を補正する補正値の算出態様について、図14から図16を参照して説明する。図14から図16は、本実施形態に係る印刷用紙Mに形成される画像の位置を調整するための補正値C1および補正値C2を算出する態様を示す図である。
なお、補正値C1は、第1面の印刷用紙Mに形成される画像の位置を調整するための補正値であり、補正値C2は、第2面(第1面の裏面)の印刷用紙Mに形成される画像の位置を調整するための補正値である。また、補正値C1および補正値C2は同じ態様で算出されるため、図14から図16の説明では、補正値C1の算出態様についてのみ説明を行い、重複する説明を省略する。
読取部401による印刷用紙Mの読取結果は、センサ画像取得部410に送信され、センサ画像取得部410は、位置検知マーク7a、7b、7c、7dが含まれた読取画像を取得する。補正値算出部420は、センサ画像取得部410から読取画像を取得し、印刷用紙Mにおける位置座標8a、8b、8c、8dの座標および印刷用紙Mの端部の座標を取得する。
図14は、印刷用紙Mにおける位置座標8a、8b、8c、8dの座標であるP1、P2、P3、P4を示す図である。P1からP4は、それぞれ、P1は位置座標8a、P2は位置座標8b、P3は位置座標8c、P4は位置座標8dと、印刷用紙Mの端部の座標とに基づいて、位置検知マーク7a、7b、7c、7dがそれぞれ印刷用紙Mのどの位置に形成されたかを示す座標である。
画像形成装置5の動作状況や印刷用紙Mの裁断形状によっては、図15に示すように、印刷用紙Mにおける位置座標8a、8b、8c、8dが、本来、印刷用紙M上に形成されるべき理想位置P1´、P2´、P3´、P4´とは異なることがある。ここで、本来、印刷用紙M上に形成されるべき理想位置とは、印刷ジョブにおいて、印刷用紙Mの端部からの余白などを設定する情報に基づいて定められる位置である。
補正値算出部420は、位置座標8a、8b、8c、8dを、それぞれ、P1からP1´に、P2からP2´に、P3からP3´に、P4からP4´に移動させたときの移動量を補正値C1として算出する。なお、補正値算出部420は、補正値C2についても、補正値C1と同様にして算出する。
図16は、図14のP1、P2、P3、P4を補正値C1だけ移動させた座標であるP1´、P2´、P3´、P4´を示す図である。算出した補正値C1を図14のP1、P2、P3、P4に対して適用することによって、理想位置P1´、P2´、P3´、P4´に補正された画像を得ることができる。
次に、印刷用紙Mの両面に形成される画像の相対的な位置を補正する補正値の算出態様について、図17から図20を参照して説明する。図17から図20は、本実施形態に係る印刷用紙Mに形成される画像の位置を調整するための補正値C3を算出する態様を示す図である。
補正値C3は、補正値C2を反映させることにより、画像形成を行う際の理想位置として補正された第2面に形成される画像の位置を第1面における位置検知マーク7の読取結果に基づく位置座標8a、8b、8c、8dに対応する位置となるように調節するための補正値である。
ゆえに、座標変換部430は、補正値C3を算出する際に、印刷用紙Mを透かして第2面側から第1面を見たときのように、第1面に形成された位置検知マーク7a、7b、7c、7dの位置座標8a、8b、8c、8dの第2面上における座標を変換する。
図17は、第1面の印刷用紙Mにおける位置座標8a、8b、8c、8dの座標であるP1、P2、P3、P4を示す図である。補正値C3の算出においては、上述したように、印刷用紙Mを透かして第2面側から第1面を見たときのように、補正値C1が反映された第1面の位置座標8a、8b、8c、8dの座標(P1、P2、P3、P4)を第2面上の位置に変換する処理が実行される。なお、補正値C3は、補正値C1が反映されて第1面に形成された位置検知マーク7の読取結果に基づいて定められた第1面の位置座標8a、8b、8c、8dの座標(P1、P2、P3、P4)に基づいて算出される。
図18は、座標変換後のP1、P2、P3、P4を示す図である。座標変換部430は、図17のP1、P2、P3、P4が、印刷用紙Mの主走査方向、すなわち、印刷用紙Mの搬送方向Xと直交する方向について反転された位置になるように、P1、P2、P3、P4の座標を変換する。
そして、補正値算出部420は、補正値C2が適用された後の第2面に形成される画像の位置を調整するための補正値C3を算出する。補正値算出部420は、図19に示すように、補正値C2が適用された後の第2面に形成される画像の位置P1´、P2´、P3´、P4´が、それぞれ、P3、P4、P1、P2と対応するように、画像の位置を調節するための補正値C3を算出する。
すなわち、補正値算出部420は、第2面における画像の位置P1´からP3に、P2´からP4に、P3´からP1に、P4´からP2に移動させたときの移動量を補正値C3として算出する。
図20は、図19のP1´、P2´、P3´、P4´を補正値C3だけ移動させた座標であるP1´´、P2´´、P3´´、P4´´を示す図である。算出した補正値C3を図19のP1´、P2´、P3´、P4´に対して適用することによって、理想位置P1´´、P2´´、P3´´、P4´´に補正された画像を得ることができる。
次に本実施形態に係る印刷用紙Mに形成される画像の位置を補正する補正値を算出する処理の流れについて、図21を参照して説明する。図21は、本実施形態に係る印刷用紙Mに形成される画像の位置を補正する補正値を算出する処理の流れを示すフローチャートである。
本実施形態においては、まず、画像形成装置5のユーザによって、印刷用紙Mに形成される画像の位置を補正するための動作モードを実行する操作が行われ、制御装置1000に対して印刷用紙Mに形成される画像の位置を補正する動作モード(画像位置調整モード)を実行するためのジョブが入力される。すなわち、制御装置1000は、画像位置調整モードを印刷ジョブのひとつとして取り扱う。
画像位置調整モードを実行する印刷ジョブが制御装置1000に入力されると、ジョブ情報処理部120は、位置検知マーク7を印刷用紙Mに形成するためのビットマップデータをRIP処理部110に生成させる。エンジン制御部220は、データ取得部210を介して位置検知マーク7が含まれたビットマップデータを受信し、印刷処理部310に入力して、印刷用紙Mに位置検知マーク7の画像形成を実行させる(S2101)。
位置検知マーク7が形成されると、エンジン制御部220は、位置検知マーク7が形成された面が、読取部401によって読み取られるように、印刷用紙Mを読取部401に搬送する。読取部401は、印刷用紙Mを走査して読取画像を生成し、センサ画像取得部410は、位置検知マーク7が含まれた読取画像を取得する(S2102)。なお、S2102で生成された読取画像が第1面の印刷用紙Mの読取画像として用いられる。
補正値算出部420は、第1面の読取画像に含まれる位置検知マーク7の座標および印刷用紙Mの端部の座標に基づいて、上述したように補正値C1を算出する(S2103)。
このとき、補正値C1について任意の枚数分、印刷用紙Mの読取画像を取得し、それらの位置検知マーク7の座標および印刷用紙Mの端部の座標に基づいて算出した補正値を平均化してもよい。平均化する場合、任意の枚数分の印刷用紙Mの読取画像における補正値C1が得られるまでS2101からS2103の動作を繰り返し実行し、補正値算出部420は、得られた補正値C1の平均値を算出する(S2104)。複数枚の読取画像による補正値C1の平均化を行わない場合には、S2104の処理は省略する。
なお、画像形成装置5には、画像形成に際して画像の位置を調整するための補正値の範囲である限界補正値が定められている。この限界補正値は、上限値と下限値とが定められた補正値であって、画像形成装置5の動作状態や性能、印刷用紙Mのサイズや用紙の特性などにより、算出した補正値C1を適用して画像形成を行わない場合に、画像形成に際して画像の位置を調整するための補正値として用いられる。
補正値算出部420は、算出した補正値C1もしくは限界補正値のいずれかを用いるかを図22に示すフローチャートに従って決定する。図22は、本実施形態に係る画像形成において用いる補正値を決定する処理の流れを示すフローチャートである。なお、図22のフローチャートは、S2105において、補正値を反映させる処理として実行される。
補正値算出部420は、算出した補正値C1が限界補正値の範囲内にあるか否かを判定する(S2201)。算出した補正値C1が限界補正値の範囲内である場合(S2201/YES)、補正値算出部420は、算出した補正値C1をジョブ情報処理部120およびエンジン制御部220に送信する(S2202)。
算出した補正値C1が限界補正値の範囲内ではない場合(S2201/NO)、補正値算出部420は、算出した補正値C1が、限界補正値以上であるか否かを判定する(S2203)。算出した補正値C1が限界補正値以上である場合(S2203/YES)、補正値算出部420は、限界補正値の上限値をジョブ情報処理部120およびエンジン制御部220に送信する(S2204)。
一方、算出した補正値C1が限界補正値以上ではない場合(S2203/NO)、補正値算出部420が算出した補正値C1は、限界補正値に満たない値である。よって、補正値算出部420は、算出した補正値C1が限界補正値以上ではない場合には、限界補正値の下限値をジョブ情報処理部120およびエンジン制御部220に送信する(S2204)。
ジョブ情報処理部120およびエンジン制御部220は、受信した補正値C1、もしくは、限界補正値に基づいて第1面の印刷用紙Mにおける画像の位置を調節する。この処理によって、印刷用紙Mの第1面に形成される画像の位置が理想位置に調整される。
S2105の処理を終えると、ジョブ情報処理部120は、位置検知マーク7を印刷用紙Mに形成するためのビットマップデータをRIP処理部110に生成させる。エンジン制御部220は、データ取得部210を介して位置検知マーク7が含まれたビットマップデータを受信し、印刷処理部310に入力して、印刷用紙Mに位置検知マーク7の画像形成を実行させる(S2106)。
位置検知マーク7が形成されると、エンジン制御部220は、位置検知マーク7が形成された面が、読取部401によって読み取られるように、印刷用紙Mを読取部401に搬送する。読取部401は、印刷用紙Mを走査して読取画像を生成し、センサ画像取得部410は、位置検知マーク7が含まれた読取画像を取得する(S2107)。なお、S2107で生成された読取画像が第2面の印刷用紙Mの読取画像として用いられる。
補正値算出部420は、第2面の読取画像に含まれる位置検知マーク7の座標および印刷用紙Mの端部の座標に基づいて、上述したように補正値C2を算出する(S2108)。
このとき、補正値C2についても、任意の枚数分、印刷用紙Mの読取画像を取得し、それらの位置検知マーク7の座標および印刷用紙Mの端部の座標に基づいて算出した補正値を平均化してもよい。平均化する場合、任意の枚数分の印刷用紙Mの読取画像における補正値C2が得られるまでS2106からS2108の動作を繰り返し、補正値算出部420は、得られた補正値C2の平均値を算出する(S2109)。複数枚の読取画像による補正値C2の平均化を行わない場合には、S2109の処理は省略する。
また、補正値C2に対しても補正値C1と同様に、図22で説明した画像形成において用いる補正値を決定する処理がS2110において実行される。この処理の結果、補正値算出部420は、補正値C2、限界補正値の上限値、限界補正値の下限値のうち、どの補正値を用いるかを決定し、決定した補正値をジョブ情報処理部120およびエンジン制御部220に送信する。ジョブ情報処理部120およびエンジン制御部220は、受信した補正値C2もしくは限界補正値に基づいて第2面の印刷用紙Mにおける画像の位置を調節する。この処理によって、印刷用紙Mの第2面に形成される画像の位置が理想位置に調整される。
このとき、印刷用紙Mの形状が理想形状である場合、S2110の処理が終了した時点までに、画像形成に反映された補正値を用いることによって、印刷用紙Mに形成される第1面の画像および第2面側の画像は、印刷用紙Mを透かしてみた場合に第1面の画像および第2面側の画像の位置が対応する位置関係となっているはずである。
しかし、実際には印刷用紙Mの製造過程での裁断誤差などによる印刷用紙Mの形状のバラつきや、温湿度といった外環境により印刷用紙Mの形状が伸縮するために、印刷用紙Mの形状が理想形状になることはまれである。
そこで、本実施形態においては、第1面と第2面とに形成される画像の相対位置を調整するための補正値C3を算出する。ジョブ情報処理部120は、S2105で反映された補正値を用いて、位置検知マーク7を印刷用紙Mに形成するためのビットマップデータをRIP処理部110に生成させる。
エンジン制御部220は、データ取得部210を介して位置検知マーク7が含まれたビットマップデータを受信し、印刷処理部310に入力して、印刷用紙Mに位置検知マーク7の画像形成を実行させる(S2111)。
位置検知マーク7が形成されると、エンジン制御部220は、位置検知マーク7が形成された面が、読取部401によって読み取られるように、印刷用紙Mを読取部401に搬送する。読取部401は、印刷用紙Mを走査して読取画像を生成し、センサ画像取得部410は、位置検知マーク7が含まれた読取画像を取得する(S2112)。なお、S2112で生成された読取画像が補正値C3を算出する際の第1面の印刷用紙Mの読取画像として用いられる。
座標変換部430は、S2112で取得した第1面の読取画像に含まれる位置検知マーク7の座標および印刷用紙Mの端部の座標に基づいて、上述したように座標を変換する処理を実行する(S2113)。
そして、補正値算出部420は、第1面の読取画像に含まれる位置検知マーク7の座標および印刷用紙Mの端部の座標に基づいて、上述したように、第2面の理想位置と変換後の第1面における位置座標8との差分に基づいて補正値C3を算出する(S2114)。
このとき、補正値C3についても、任意の枚数分、印刷用紙Mの読取画像を取得し、それらの位置検知マーク7の座標および印刷用紙Mの端部の座標に基づいて算出した補正値を平均化してもよい。平均化する場合、任意の枚数分の印刷用紙Mの読取画像における補正値C3が得られるまでS2111からS2114の動作を繰り返した上で、補正値算出部420は、得られた補正値C3の平均値を算出する(S2115)。複数枚の読取画像による補正値C3の平均化を行わない場合には、S2115の処理は省略する。
また、補正値C3に対しても補正値C1および補正値C2と同様に、図22で説明した画像形成において用いる補正値を決定する処理がS2116において実行される。この処理の結果、補正値算出部420は、補正値C3、限界補正値の上限値、限界補正値の下限値のうち、どの補正値を用いるかを決定し、決定した補正値をジョブ情報処理部120およびエンジン制御部220に送信する。
ジョブ情報処理部120およびエンジン制御部220は、受信した補正値C3もしくは限界補正値に基づいて第2面の印刷用紙Mにおける画像の位置を調節する。この処理によって、印刷用紙Mの第2面に形成される画像の位置が第1面に印刷される画像の理想位置と対応する位置に調整される。
ジョブ情報処理部120は、受信した補正値C3もしくは限界補正値を反映させると、図23に示すような確認用のチャートCH1を印刷用紙Mに形成するためのビットマップデータをRIP処理部110に生成させる。エンジン制御部220は、データ取得部210を介してチャートCH1が含まれたビットマップデータを受信し、印刷処理部310に入力して、印刷用紙MにチャートCH1の画像形成を実行させる(S2117)。
チャートCH1は印刷用紙Mの搬送方向X、および、搬送方向Xに直交する方向にそれぞれ平行なラインが引かれており、透かしてズレ具合が確認できるものが望ましい。画像形成装置5のユーザは、チャートCH1を確認し、第1面および第2面に形成されたチャートCH1のズレが所定以下であって、印刷結果に問題がない場合には、その旨を制御装置1000に入力する操作を実行する。
制御装置1000から出力された第1面および第2面に形成されたチャートCH1の印刷結果に問題がないことを示す情報を受信した場合(S2118/YES)、補正値算出部420は、補正値C1、補正値C2、補正値C3を、記憶媒体によって構成される補正値格納部420aに格納し(S2119)、ジョブ情報処理部120は本処理を終了する。したがって、補正値算出部420は、チャートCH1の読取結果に基づいて補正値C1、補正値C2、補正値C3を補正値格納部420aに格納するか否か判定する。
S2119で格納された補正値C1、補正値C2、補正値C3は、画像形成出力を行う際に常に反映される。なお、補正値格納部420aは、印刷用紙Mの種類ごとに、用紙設定情報と関連付けて、補正値C1、補正値C2、補正値C3を格納してもよい。このとき、印刷用紙Mの種類ごとに補正値C1、補正値C2、補正値C3を関連付けて格納した場合、用紙トレイごとの設定情報としてもよい。なお、印刷用紙Mの種類とは、例えば、紙種、メーカごとに付けられた商品名、用紙の特性などを示す。
また、補正値C1、補正値C2、補正値C3を補正値格納部420aに格納した後、画像形成装置5のユーザによって、補正値C1、補正値C2、補正値C3が微調整された場合、補正値算出部420は、制御装置1000からの制御情報に基づいて、補正値格納部420aに格納されている補正値C1、補正値C2、補正値C3の値を更新する構成であってもよい。
また、ジョブ情報処理部120は、補正値C1、補正値C2、補正値C3、限界補正値に基づいて、図24から図26に示すように、印刷用紙Mに形成される画像の位置を調整してRIP処理部110にビットマップデータを生成させる。
図24は、印刷用紙Mに形成される画像の実際の位置(P1、P2、P3、P4)から理想位置(P1´、P2´、P3´、P4´)に、画像を移動させるオフセット処理の態様を示す図である。オフセット処理は、オフセット処理部121によって実行される処理である。
オフセット処理部121は、補正値C1、補正値C2、補正値C3、限界補正値を座標の移動量として実際の位置(P1、P2、P3、P4)の座標から理想位置(P1´、P2´、P3´、P4´)に画像を移動させる。
図25は、印刷用紙Mに形成される画像の実際の位置(P1、P2、P3、P4)から理想位置(P1´、P2´、P3´、P4´)に、画像を拡大させる倍率処理の態様を示す図である。倍率処理は、倍率調整処理部122によって実行される処理である。なお、図25においては、実際の画像を拡大して理想位置に調整する場合について示しているものの、実際の画像を縮小して理想位置に調整することもできる。
倍率調整処理部122は、補正値C1、補正値C2、補正値C3、限界補正値を座標の倍率として用い、実際の位置(P1、P2、P3、P4)の座標を乗じることによって、理想位置(P1´、P2´、P3´、P4´)に画像を移動させる。
図26は、印刷用紙Mに形成される画像の実際の位置(P1、P2、P3、P4)から理想位置(P1´、P2´、P3´、P4´)に、画像を傾斜させる斜行補正処理の態様を示す図である。斜行補正処理は、斜行補正処理部123によって実行される処理である。
斜行補正処理部123は、補正値C1、補正値C2、補正値C3、限界補正値を、座標を移動させる角度として用い、実際の位置(P1、P2、P3、P4)の座標に対して三角関数によって移動量を求めて、理想位置(P1´、P2´、P3´、P4´)に画像を移動させる。
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置は、印刷用紙の端部の座標、および、印刷用紙上の位置検知マークの中心座標に基づいて補正値を算出する。また、算出された補正値を反映させて画像形成を行うことにより、印刷用紙に印刷される画像の位置ずれを解消することができる。さらに、印刷用紙に対して両面印刷を行う場合には、表面に形成される画像の位置と裏面に形成される画像の位置との相対的な位置関係を精度よく調整することが可能である。
なお、位置検知マーク7の検知結果に基づいて算出された補正値によって副走査方向の位置ずれを解消する際に、限界補正値を反映させた後、さらに転写ローラ14の回転速度を調整することによって副走査方向の倍率を変更することができる。
図28は、転写ローラ14の回転速度を調整することによって副走査方向の倍率を変更する処理の流れを示すフローチャートである。なお、図28で説明する処理は、図21で説明した処理の付加的な処理である。したがって、図21のフローチャートと同じ処理を行う処理ブロックについては、同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
S2115の処理のあと、補正値算出部420は、補正値C3を画像形成において用いる補正値とするか否かを決定する処理を実行する(S2801)。図29は、補正値C3を画像形成において用いる補正値とするか否かを決定する処理の流れを示すフローチャートである。
算出した補正値C3が、限界補正値の範囲内である場合(S2901/YES)、補正値算出部420は、算出した補正値C3をジョブ情報処理部120およびエンジン制御部220に送信する(S2902)。
算出した補正値C3が、限界補正値の範囲内ではない場合(S2901/NO)、補正値算出部420は、限界補正値の下限値もしくは上限値をジョブ情報処理部120およびエンジン制御部220に送信する(S2903)。
S2903の処理において、算出した補正値C3が、限界補正値の上限値を超えている場合、補正値算出部420は、限界補正値の上限値をジョブ情報処理部120およびエンジン制御部220に送信する。
一方で、S2903の処理において、算出した補正値C3が、限界補正値の下限値を下回っている場合、補正値算出部420は、限界補正値の下限値をジョブ情報処理部120およびエンジン制御部220に送信する。
そして、エンジン制御部220は、ローラ14bの回転速度を調整し、印刷用紙Mに転写される画像の副走査方向の倍率を調節する(S2904)。ローラ14bの回転速度が調整されると、エンジン制御部220は、再度S2101からの処理を実行する。
算出した補正値C3がジョブ情報処理部120およびエンジン制御部220に送信された場合(S2902)、エンジン制御部220は、データ取得部210を介してチャートCH1が含まれたビットマップデータを受信し、印刷処理部310に入力して、印刷用紙MにチャートCH1の画像形成を実行させる(S2802)。
画像形成装置5のユーザは、チャートCH1を確認し、第1面および第2面に形成されたチャートCH1の副走査方向の倍率のズレが所定以下である場合には、その旨を制御装置1000に入力する操作を実行する(S2803/NO)。
一方で、画像形成装置5のユーザは、チャートCH1を確認し、第1面および第2面に形成されたチャートCH1の副走査方向の倍率のズレが所定以上である場合には、その旨を制御装置1000に入力する操作を実行する(S2803/YES)。
制御装置1000から出力された、第1面および第2面に形成されたチャートCH1の副走査方向の倍率のズレが所定以下であることを示す情報を受信した場合(S2803/NO)、補正値算出部420は、補正値C1、補正値C2、補正値C3を、記憶媒体によって構成される補正値格納部420aに格納し(S2804)、ジョブ情報処理部120は本処理を終了する。
制御装置1000から出力された、第1面および第2面に形成されたチャートCH1の副走査方向の倍率のズレが所定以上であることを示す情報を受信した場合(S2803/YES)、ジョブ情報処理部120は本処理を終了する。
このように、図28に示すフローチャートに従って処理を実行した場合、ビットマップデータを再生成して印刷用紙Mに形成される画像の位置を調節することに加え、ローラ14bの回転速度を調整して、印刷用紙Mに転写される画像の副走査方向の倍率を調節することができる。
なお、図28のフローチャートにおいては、補正値C3を反映させるか否かを決定した後でチャートCH1を確認した。ここで、図30に示すように、補正値C3を反映させる前にチャートCH1を確認し、印刷用紙Mに転写される画像の副走査方向の倍率を調節するようにしてもよい。
図30は、転写ローラ14の回転速度を調整することによって副走査方向の倍率を変更する他の処理の流れを示すフローチャートである。なお、図30で説明する処理についても、図21で説明した処理の付加的な処理である。したがって、図21のフローチャートと同じ処理を行う処理ブロックについては、同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
S2115の処理のあと、エンジン制御部220は、データ取得部210を介してチャートCH1が含まれたビットマップデータを受信し、印刷処理部310に入力して、印刷用紙MにチャートCH1の画像形成を実行させる(S3001)。
S3001で生成されるチャートCH1に用いられるビットマップデータは、補正値C1、補正値C2もしくは、それぞれの限界補正値が反映されたものである。すなわち、補正値C3はS3001で生成されるチャートCH1には反映されていない。
画像形成装置5のユーザは、チャートCH1を確認し、第1面および第2面に形成されたチャートCH1の副走査方向の倍率のズレが所定以下である場合には、その旨を制御装置1000に入力する操作を実行する(S3002/NO)。
一方で、画像形成装置5のユーザは、チャートCH1を確認し、第1面および第2面に形成されたチャートCH1の副走査方向の倍率のズレが所定以上である場合には、その旨を制御装置1000に入力する操作を実行する(S3002/YES)。
制御装置1000から出力された、第1面および第2面に形成されたチャートCH1の副走査方向の倍率のズレが所定以上であることを示す情報を受信した場合(S3002/YES)、ジョブ情報処理部120は本処理を終了する。
制御装置1000から出力された、第1面および第2面に形成されたチャートCH1の副走査方向の倍率のズレが所定以下であることを示す情報を受信した場合(S3002/NO)、補正値算出部420は、補正値C1、補正値C2、補正値C3を、記憶媒体によって構成される補正値格納部420aに格納する(S3003)。
そして、補正値算出部420は、算出した補正値C3が、限界補正値の範囲内である場合(S3004/YES)、算出した補正値C3をジョブ情報処理部120およびエンジン制御部220に送信する。
そして、算出した補正値C3がジョブ情報処理部120およびエンジン制御部220に送信された場合(S3004/YES)、エンジン制御部220は、データ取得部210を介してチャートCH1が含まれたビットマップデータを受信し、印刷処理部310に入力して、再度、印刷用紙MにチャートCH1の画像形成を実行させる(S3005)。
算出した補正値C3が、限界補正値の範囲内ではない場合(S3004/NO)、補正値算出部420は、ジョブ情報処理部120にその旨を通知し、ジョブ情報処理部120は本処理を終了する。
画像形成装置5のユーザは、チャートCH1を確認し、第1面および第2面に形成されたチャートCH1の副走査方向の倍率のズレが所定以上である場合には、その旨を制御装置1000に入力する操作を実行する(S3006/YES)。
制御装置1000から出力された、第1面および第2面に形成されたチャートCH1の副走査方向の倍率のズレが所定以上であることを示す情報を受信した場合(S3006/YES)、エンジン制御部220は、ローラ14bの回転速度を調整し、印刷用紙Mに転写される画像の副走査方向の倍率を調節する(S2904)。ローラ14bの回転速度が調整されると、エンジン制御部220は、再度S2101からの処理を実行する。
制御装置1000から出力された、第1面および第2面に形成されたチャートCH1の副走査方向の倍率のズレが所定以下であることを示す情報を受信した場合(S3006/NO)、ジョブ情報処理部120は本処理を終了する。
このように、図30に示すフローチャートにおいては、ユーザの目視によって第1面および第2面に形成されたチャートCH1の副走査方向の倍率のズレを確認させ、ローラ14bの回転速度を調整するか否かを判定する。したがって、よりユーザの感覚を反映させて印刷用紙Mに転写される画像の副走査方向の倍率を調節することができる。
なお、本実施形態に係る画像形成装置として、電子写真方式の画像形成装置を例に取り上げて説明を行ったが、例えば、インクジェット方式の画像形成装置5においても同様に適用することができる。インクジェット方式の画像形成装置5において、読取部401は、図27に示すように、印刷用紙Mの搬送経路Rにおいて、インクジェットヘッド2およびドラム3からなる画像形成部において画像形成が行われた印刷用紙Mを乾燥する乾燥部31の下流側であって、かつ、印刷用紙Mを反転させるための反転搬送部51の上流側に配置される。
また、本実施形態においては、印刷用紙Mの形状を長方形として説明したが、図31に示すように、例えば、円形や多角形に対しても本発明を同様に適用することができる。たとえな、図31に示すように、円形の印刷用紙Mに対して複数の接線を引き、接線を印刷用紙Mの端部とみなすことで、位置検知マーク7を印刷してもよい。なお、位置検知マーク7は、印刷用紙Mに形成されていなければならない。他の多角形や他の形状の印刷用紙Mについても同様にして、位置検知マーク7を形成することにより、画像の位置を調整することができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置では、画像形成装置の内部に読取部を設けている。ゆえに、印刷物を読み取るために画像形成装置のユーザが行わなければならない操作を少なくすることが可能であるため、画像の位置を調整するために必要な時間を少なくするといった効果が期待できる。加えて、画像形成装置の外部にスキャナ機構を設ける必要がないため、外部スキャナが実装されていない場合でも適用することができる。