JP7073196B2 - 切断補助器具及び構造物の切断方法 - Google Patents
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このシールドトンネルなどのように圧縮力が導入されて、圧縮力がかかっている構造物を解体するのに切断しようとしても、切断機の刃が構造物の切断面間に挟まれてしまい、切断作業効率が低下することがあったり、場合によっては切断不能になったりすることがあった。
そこで、本発明者らが鋭意検討して、高い圧縮力がかかる構造物であっても切断するのを可能にする技術を開発するに至った。
圧縮力がかかる構造物を切断する際に用いる切断補助器具であって、
前記構造物を切断する仮想線上に形成された孔に挿入され、前記仮想線を挟むように配置される一対の外側くさび部材と、
前記一対の外側くさび部材の間に挿入され、前記一対の外側くさび部材を前記孔の内壁面に向けて押圧する内側くさび部材と、
を備えるようにした。
圧縮力がかかる構造物を切断機の刃で切断する際に用いる切断補助器具であって、
前記構造物を切断する仮想線上に形成された孔に挿入され、前記仮想線を挟むように配置される一対の外側くさび部材と、
前記一対の外側くさび部材の間に挿入され、前記一対の外側くさび部材を前記孔の内壁面に向けて押圧する内側くさび部材と、
を備え、
前記内側くさび部材によって前記一対の外側くさび部材が前記孔の内壁面に向けて押圧されて、前記仮想線部分にかかる圧縮力が緩和された状態で、前記切断機を用い、前記仮想線に沿って前記構造物を切断することを可能にするように構成されているようにした。
前記一対の外側くさび部材は、前記内側くさび部材を挟む内側面の間隔が先端側ほど狭くなるように、前記孔の奥側に配される先端側ほど厚く形成されており、
前記一対の外側くさび部材の外側面は、前記孔の内壁面の形状に対応する形状を有し、その内壁面に密接可能に形成されているようにする。
請求項1又は2に記載の切断補助器具を用いた構造物の切断方法であって、
構造物を切断する仮想線上に複数の孔を形成する工程と、
前記複数の孔に前記一対の外側くさび部材を設置する工程と、
前記一対の外側くさび部材の間に前記内側くさび部材を圧入する工程と、
前記仮想線に沿って前記構造物を切断する工程と、
を有するようにした。
前記仮想線に沿って前記構造物を切断する過程で前記孔部分を切断する場合、前記孔から前記切断補助器具を一旦外し、前記孔部分を切断した後、再度その孔に前記切断補助器具を設置するようにする。
前記仮想線に沿って移動しつつ前記構造物を切断する切断機を使用する場合、
前記切断機の移動方向前方に近付いた前記孔から前記切断補助器具を一旦外し、前記切断機が通過した後、再度その孔に前記切断補助器具を設置するようにする。
本実施形態では、シールド工法によって複数のセグメントを組み上げて構築した構造物であるシールドトンネルTを切断する場合を例に説明する。図6(a)は、シールドトンネルTを示す概略斜視図であり、図6(b)は、シールドトンネルTをその軸方向と交差する方向にウォールソーCで切断する場合の一例を示す説明図である。
シールドトンネルTには、そのトンネル軸方向に高い圧縮力が導入されているので、図6(a)に示す仮想線Lに沿って、シールドトンネルTをその軸方向(長手方向)と交差する方向に切断する場合に、切断補助器具をシールドトンネルTに設置して使用する。シールドトンネルTをその軸方向に切断する場合(図6(a)に示す仮想線Laに沿って切断する場合)には切断補助器具を使用しなくてもよい。
なお、シールドトンネルTをその軸方向と交差する方向に2箇所の仮想線Lで切断し、その間の切断ピースを撤去すれば、シールドトンネルTに導入されていた圧縮力(軸力)が抜けるので、少なくともこの2箇所の切断に切断補助器具を使用することになる。
つまり、シールドトンネルTをその軸方向と交差する方向に切断する場合でも、2箇所の仮想線L間の切断ピースを撤去した後であれば、図6(a)に示す仮想線Lbに沿って切断する場合には切断補助器具を使用しなくてもよい。
また、一対の外側くさび部材10の外側面は、孔Hの内壁面に密接する形状に形成されている。
具体的には、図1(c)に示すように、外側くさび部材10は、その外側面が円筒状の孔Hの内壁面に密接可能な曲面に形成された断面視略半円形状を呈する部材であり、その先端側ほど断面積が大きくなる態様に形成されている。
なお、外側くさび部材10の内側面は、平坦な傾斜面に形成されている。
一対の板状脚部32は、復元可能な可撓性を有しており、その下端の連結部33を接近/離間させることができる。
連結部33には、外側くさび部材10がボルト33aによって固定されている。
この連結部33を介して一対の板状脚部32に連結されている一対の外側くさび部材10は、互いに接離可能になっている。
この内側くさび部材20は、その両側面を一対の外側くさび部材10の内側面に密接させて、一対の外側くさび部材10の間に嵌合するようになっている。
なお、内側くさび部材20の上端部には、後述する引き抜きボルト51を螺着するためのボルト穴20aが設けられている。
具体的には、図1(a)に示すように、シールドトンネルTに形成された孔Hに一対の外側くさび部材10を挿入した後、図1(b)に示すように、一対の外側くさび部材10の間に内側くさび部材20をハンマーなどで打ち込むように挿入して設置される。
このとき、図1(c)に示すように、一対の外側くさび部材10は、仮想線Lを挟む配置に設置されているので、一対の外側くさび部材10の間に内側くさび部材20が打ち込まれたことで、一対の外側くさび部材10は互いに離間し仮想線Lから離れる向きに付勢されており、孔Hの内壁面に向けて押圧されている。
この一対の外側くさび部材10が孔Hの内壁面を押圧する拡張力が、シールドトンネルTにかかっている圧縮力に抗するように作用し、シールドトンネルTにかかる圧縮力を緩和するようにしている。
一対の外側くさび部材10の間から内側くさび部材20を引き抜けば、孔Hから一対の外側くさび部材10を抜き出すことができる。
また、その仮想線Lに沿う位置にウォールソーCの走行レールRを設置する。
なお、ウォールソーCは、走行レールRに沿って移動しつつ対象物を切断する切断機であり、正確な切断が可能で、騒音、振動、粉塵が少ないものであるので、シールドトンネルTを切断するのに適している。
具体的には、複数の孔Hに一対の外側くさび部材10を設置した後、一対の外側くさび部材10の間に内側くさび部材20を圧入するようにして、複数の孔Hに切断補助器具100を設置する。
こうして孔Hに設置した切断補助器具100の一対の外側くさび部材10が孔Hの内壁面を押圧し、仮想線Lと交差する方向(図中、直交する方向)に孔Hを押し広げるような拡張力をかけることで、シールドトンネルTの仮想線L部分にかかる圧縮力を緩和することができる。
ここで、仮想線L上の複数の孔Hには切断補助器具100が設置されており、シールドトンネルTの仮想線L部分にかかる圧縮力が緩和されているので、好適にシールドトンネルTを切削し、切断することができる。
本実施形態では、仮想線Lに沿う走行レールRに沿って移動しつつシールドトンネルTを切断するウォールソーCを使用しているので、ウォールソーCの移動方向前方に近付いた孔Hから切断補助器具100を一旦外し、ウォールソーCが通過した後、再度その孔Hに切断補助器具100を設置するようにする。
こうすることで、シールドトンネルTを切断した箇所にかかる圧縮力を切断前と同様に緩和することができ、その切断面間にウォールソーCの刃(ブレード)が挟まれてしまうことを防ぎ易くなる。
その場合、少なくともウォールソーCの刃(ブレード)がシールドトンネルTを抜ける300mm切削用のウォールソーCを使用する3段階目に切断補助器具100を用いればよい。
もちろん100mm切削用のウォールソーCを使用する1段階目の切削や、200mm切削用のウォールソーCを使用する2段階目の切削に、切断補助器具100を用いてもよい。
20 内側くさび部材
20a ボルト穴
30 架台
31 支持台部
31a 貫通孔
32 板状脚部
33 連結部
33a ボルト
50 センターホールジャッキ
51 引き抜きボルト
100 切断補助器具
T シールドトンネル(構造物)
L 仮想線
H 孔
C ウォールソー(切断機)
R 走行レール
Claims (5)
- 圧縮力がかかる構造物を切断機の刃で切断する際に用いる切断補助器具であって、
前記構造物を切断する仮想線上に形成された孔に挿入され、前記仮想線を挟むように配置される一対の外側くさび部材と、
前記一対の外側くさび部材の間に挿入され、前記一対の外側くさび部材を前記孔の内壁面に向けて押圧する内側くさび部材と、
を備え、
前記内側くさび部材によって前記一対の外側くさび部材が前記孔の内壁面に向けて押圧されて、前記仮想線部分にかかる圧縮力が緩和された状態で、前記切断機を用い、前記仮想線に沿って前記構造物を切断することを可能にするように構成されていることを特徴とする切断補助器具。 - 前記一対の外側くさび部材は、前記内側くさび部材を挟む内側面の間隔が先端側ほど狭くなるように、前記孔の奥側に配される先端側ほど厚く形成されており、
前記一対の外側くさび部材の外側面は、前記孔の内壁面の形状に対応する形状を有し、その内壁面に密接可能に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の切断補助器具。 - 請求項1又は2に記載の切断補助器具を用いた構造物の切断方法であって、
構造物を切断する仮想線上に複数の孔を形成する工程と、
前記複数の孔に前記一対の外側くさび部材を設置する工程と、
前記一対の外側くさび部材の間に前記内側くさび部材を圧入する工程と、
前記仮想線に沿って前記構造物を切断する工程と、
を有することを特徴とする構造物の切断方法。 - 前記仮想線に沿って前記構造物を切断する過程で前記孔部分を切断する場合、前記孔から前記切断補助器具を一旦外し、前記孔部分を切断した後、再度その孔に前記切断補助器具を設置することを特徴とする請求項3に記載の構造物の切断方法。
- 前記仮想線に沿って移動しつつ前記構造物を切断する切断機を使用する場合、
前記切断機の移動方向前方に近付いた前記孔から前記切断補助器具を一旦外し、前記切断機が通過した後、再度その孔に前記切断補助器具を設置することを特徴とする請求項3に記載の構造物の切断方法。
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