JP2017087314A - コンロッドの破断分割方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】分割予定面Dの半径方向外側の部位における引張応力の低下を抑制し、予定した破断面を好適に得る。【解決手段】本発明の一態様に係るコンロッドの破断分割方法は、コンロッド1の大端部2に形成された大端穴4内に、長手方向Aの破断分割荷重を付与するための一対の破断用治具10,20を配置するステップと、大端穴内に、大端穴の内周面4Cに面接触して長手直角方向Bの保持荷重を付与するための一対の保持用治具40,50を配置するステップと、一対の破断用治具を長手拡張方向に押圧し、大端部を長手方向に破断分割するステップと、破断分割ステップの最中に、一対の保持用治具を長手直角拡張方向に押圧し、大端穴の長手直角方向の縮径を制限するステップとを備える。【選択図】図6

Description

本発明はコンロッドの破断分割方法に係り、特に、コンロッドの大端部を所謂クラッキング製法もしくはフラクチャー法により破断分割する方法に関する。
コンロッドの大端部に割り軸受を形成すべく、大端部に形成された大端穴内に一対の破断用治具を配置し、これら破断用治具の間にくさび部材を挿入し、一対の破断用治具を長手拡張方向に押圧し、大端部を長手方向に破断分割する工法が知られている。
特開平6−91438号公報
しかし、コンロッドや大端部の形状等によっては、大端部を破断分割する際に大端部が長手直角方向に縮径し、分割予定面の半径方向外側の部位において引張応力が低下する結果、予定した破断面が得られないという問題がある。
そこで本発明は、かかる事情に鑑みて創案され、その目的は、分割予定面の半径方向外側の部位における引張応力の低下を抑制し、予定した破断面を好適に得ることができるコンロッドの破断分割方法を提供することにある。
本発明の一の態様によれば、
A.コンロッドの大端部に形成された大端穴内に、長手方向の破断分割荷重を付与するための一対の破断用治具を配置するステップと、
B.前記大端穴内に、前記大端穴の内周面に面接触して長手直角方向の保持荷重を付与するための一対の保持用治具を配置するステップと、
C.前記一対の破断用治具を長手拡張方向に押圧し、前記大端部を長手方向に破断分割するステップと、
D.前記ステップCの最中に、前記一対の保持用治具を長手直角拡張方向に押圧し、前記大端穴の長手直角方向の縮径を制限するステップと、
を備えたことを特徴とするコンロッドの破断分割方法が提供される。
好ましくは、前記ステップCと前記ステップDが、各破断用治具と各保持用治具との間にくさび部材を挿入することにより実行される。
好ましくは、前記一対の破断用治具の少なくとも一方が破断用傾斜面を有し、
前記一対の保持用治具の両方が保持用傾斜面を有し、
前記くさび部材が、前記破断用傾斜面に接触する破断用くさび傾斜面と、前記保持用傾斜面に接触する保持用くさび傾斜面とを有し、前記保持用くさび傾斜面が前記破断用くさび傾斜面より小さい傾斜角を有する。
好ましくは、前記ステップCと前記ステップDが、各破断用治具と各保持用治具との間に共通の油圧を印加することにより実行される。
好ましくは、前記方法は、E.前記ステップCの前に、各破断用治具と各保持用治具との間に油圧装置を挿入するステップをさらに備え、
前記油圧装置は、前記一対の破断用治具の少なくとも一方を押圧する破断用ピストンと、前記一対の保持用治具の両方をそれぞれ押圧する一対の保持用ピストンとを備え、前記保持用ピストンの押圧面が前記破断用ピストンの押圧面より小さい面積を有する。
本発明によれば、分割予定面の半径方向外側の部位における引張応力の低下を抑制し、予定した破断面を好適に得ることができるという、優れた効果が発揮される。
比較例の構成を示す平面図である。 比較例のくさび部材を示す斜視図である。 比較例の破断分割方法を説明するための図であり、図1のIII−III断面図である。 比較例における大端部の変形モードを示す平面図である。 比較例における分割予定面の応力分布を示し、図4のV拡大図である。 本発明の第1実施形態の構成を示す平面図である。 第1実施形態のくさび部材を示す斜視図である。 第1実施形態の破断分割方法を説明するための図であり、図6のVIII−VIII断面図である。 本発明の第2実施形態の構成を示す平面図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
まず、本発明の実施形態を説明する前に、本発明の着想に至る前の比較例を図1〜3を参照して説明する。
図1には、コンロッド1の大端部2周辺の構成を示す。周知のようにコンロッド1は、本体部3の一端に大端部2を、他端に小端部(図示せず)を有し、大端部2にはクランクピン(図示せず)を挿入させるための円形の大端穴4が形成され、小端部にはピストンピン(図示せず)を挿入させるための円形の小端穴(図示せず)が形成されている。コンロッド1は長手軸Aを有し、長手軸Aは、図1に示すような平面視において、大端穴4の中心Cと小端穴の中心とを通過する。長手軸Aと直交する長手直角軸Bが大端穴中心Cを通過して延びている。
以下便宜上、長手軸Aの方向を「長手方向」、長手直角軸Bの方向を「長手直角方向」、大端穴中心Cを基準として長手方向に沿って小端部に向かう方向を「前」、大端穴中心Cを基準として長手方向に沿って小端部から離れる方向を「後」という。また、大端穴中心Cを基準とした半径方向および周方向をそれぞれ単に「半径方向」および「周方向」という。
大端部2は、図示するような破断分割前の状態(基本形状)では概ね円環状に形成され、すなわち、後に分割される予定の後半部の軸受キャップ部5が、分割後も大端部2に残される前半部の軸受部6に一体に形成されている。周知のように、大端穴4の長手直角方向両外側において、軸受部6にはボルトがねじ込まれるネジ穴(図示せず)が設けられ、軸受キャップ部5にはボルトが挿通されるボルト挿通穴(図示せず)が設けられる。
大端部2は、長手直角軸Bに沿った(長手直角軸B上の)分割予定面Dにおいて破断分割されることを予定されている。この破断分割を行うため、大端穴4内には、長手方向の破断分割荷重を付与するための一対の破断用治具が配置される。一対の破断用治具の一方は前側治具10であり、他方は後側治具20である。
前側治具10は、平面視において半円状に形成され、大端穴4の前側内周面4Aに面接触し且つ前側内周面4Aと等しい(あるいは実質的に等しい)曲率半径を有する湾曲した前側外周面11と、長手直角方向に(長手直角軸Bに沿って)平面的に延びる後端面12とを有する。後側治具20も、平面視において概ね半円状に形成され、大端穴4の後側内周面4Bに面接触し且つ後側内周面4Bと等しい(あるいは実質的に等しい)曲率半径を有する湾曲した後側外周面21と、後端面14に隣接され長手直角方向に平面的に延びる前端面22とを有する。
但し、後側治具20の前端面22には、図2に示すような破断用くさび部材30を挿入するための挿入溝23が設けられる。挿入溝23の後端面部は、破断用くさび部材30の傾斜面31が接触される傾斜面24とされている。この挿入溝23に破断用くさび部材30を上方(図1の紙面厚さ方向手前側)から挿入することにより、前側治具10および後側治具20が長手拡張方向に押圧され、大端部2に長手方向の破断分割荷重が付与され、大端部2が長手方向に破断分割される。
この際、大端部2は分割予定面Dに沿って半径方向内側から外側へと順次切れながら破断されることを予定されている。このときの破断開始点を正確に制御するため、大端穴4の内周面4Cにおける分割予定面Dの半径方向内側端には切欠き7が設けられている。なお切欠き7は分割予定面Dの半径方向外側端に設けてもよい。切欠き7の形状は任意であり、例えばV字溝状、U字溝状などとすることができる。
図3を参照して、比較例の破断分割方法をより詳細に説明する。基台140に、前側治具10および後側治具20が予めセットされる。後側治具20は、基台140に対し長手方向にスライド移動可能である。前側治具10は、基台140に対し、長手方向の位置が固定されているが、長手方向にスライド移動可能であってもよい。
このように前側治具10および後側治具20がセットされた基台140上に、コンロッド1が載置保持され、かつ前側治具10および後側治具20が大端穴4内に嵌合挿入される。なおコンロッド1は、図外の位置においてもある程度位置が拘束され、破断分割時に僅かに移動できるが大きくは移動できないようになっている。
次いで、前側治具10および後側治具20の間に破断用くさび部材30が仮止め状態で上方から挿入される(図3の状態)。すなわち、後側治具20の挿入溝23と前側治具10の後端面12とによって画成された隙間ないし空間に、傾斜面31を後方に向けた状態で破断用くさび部材30が挿入される。これにより破断用くさび部材30の傾斜面31が後側治具20の傾斜面24に接触させられる。これら傾斜面31,24は、大端穴中心Cの方向に対し所定の傾斜角αで傾斜されている。破断用くさび部材30の前端面32も前側治具10の後端面12に接触させられるが、これら前端面32および後端面12は傾斜面ではなく、大端穴中心Cの方向に延びる鉛直面とされている。但し、前端面32および後端面12を、傾斜面31,24と逆向きに傾斜する(すなわち同様のくさび効果をもたらす)傾斜面としてもよい。
次に、破断用くさび部材30が大端穴中心Cの方向に沿って下向きに、プレス機械等(図示せず)により押圧される。このときの押圧荷重をP1で示す。これにより、大端部2には長手方向の破断分割荷重P2,P2’が付与される。このとき、長手方向の位置が固定される前側治具10に対し、後側治具20が後方に離れるように移動しようとし、前側治具10および後側治具20は全体的に長手方向に拡張する方向(「長手拡張方向」という)に移動しようとする。すなわち前側治具10および後側治具20は破断用くさび部材30により長手拡張方向に押圧される。こうなると前側治具10の前側外周面11は大端穴4の前側内周面4Aに密着し、後側治具20の後側外周面21は大端穴4の後側内周面4Bに密着し、大端部2には、分割予定面Dに沿って大端部2を破断させようとする破断分割荷重ないし引張力P2,P2’が付与される。
破断用くさび部材30への押圧荷重P1を増していくと、破断用くさび部材30は挿入溝23内により深く入ろうとし、大端部2への破断分割荷重P2,P2’は増していく。そしてやがて大端部2は、予定通りならば、分割予定面Dに沿って破断される。このとき、破断は瞬間的に一気に行われ、前述したように半径方向内側端の切欠き7から切れ始め、切れ目が半径方向外側に徐々に進行し、最終的に全体が切れる。
以上が比較例における破断分割方法であるが、これにおいては次のような欠点がある。
図4に示すように、大端部2に長手方向の破断分割荷重P2,P2’が付与されると、大端部2の変形モードとしては、図中仮想線で示すように、大端部2が長手方向に全体的に延びるものとなる。そして大端穴4は楕円状に変形し、長手直角方向に縮径する。
このとき図5に示すように、分割予定面Dにおける応力分布に関しては、分割予定面Dの半径方向内側の部位においては比較的十分な引張応力(+方向の応力)が作用しているものの、半径方向外側の部位においては引張応力が低下もしくは不足し、図示例ではむしろ圧縮応力(−方向の応力)が作用している。図示例の場合、引張応力ゼロの点を中心として半径方向内側の部位を伸長させ、半径方向外側の部位を圧縮するような曲げ力が働いていることとなる。
なお、前側治具10の前側外周面11および後側治具20の後側外周面21の曲率半径は、大端穴4の内周面4Cの曲率半径より僅かに(数100μmのオーダー)小さい。このため、前側治具10および後側治具20が破断分割時に大端穴4の前後の内周面4Cに密着したとき、分割予定面Dの半径方向内側端近傍では僅かな隙間ができ、これにより大端穴4の長手直角方向の僅かな縮径が可能である。
こうなると、半径方向外側の部位において破断が瞬間的に起こらず(材料が瞬間的に切れず)、むしろ塑性変形的に、比較的ゆっくりと行われ、材料が塑性変形的に延びた後で切れるという事態に陥り、予定した破断面が得られないという問題がある。材料が延びて切れた箇所では、その延びた材料が破断面に残ってしまい、これが破断面同士を正確に組み付けることを阻害してしまう。よって、半径方向外側の部位においても、破断を瞬間的に生じさせ、延びた材料を破断面に残さぬようにすることが重要である。
そこで本発明の実施形態では、こうした比較例の欠点を克服すべく、破断分割時に大端穴4の内周面4Cをその内側から長手直角方向に保持し、大端穴4の長手直角方向の縮径を制限することで、分割予定面Dの半径方向外側の部位における引張応力の低下を抑制するようにしている。
以下、本発明の第1実施形態を説明する。なお比較例と同様、共通もしくは対応する部分については可能な限り同一符号を用い、詳細な説明を割愛する。以下においては比較例との相違点を主に述べる。
図6に本実施形態の構成を示す。図示するように、前側治具10および後側治具20は比較例のものより長手直角方向に幅狭とされ、これによってできた大端穴4内の長手直角方向両外側のスペースに、一対の保持用治具、すなわち左側治具40および右側治具50がそれぞれ配置されている。これら左側治具40および右側治具50は、大端穴4の内周面4cに面接触して大端穴4に長手直角拡張方向の保持荷重を付与するためのものである。なお便宜上、長手直角方向(B方向)において図中下側を「左」、図中上側を「右」とする。本実施形態では結局、一対の破断用治具である前側治具10および後側治具20と、一対の保持用治具である左側治具40および右側治具50との計4つの治具が用いられることとなる。
前側治具10および後側治具20は、本実施形態では、比較例の挿入溝23と等しい長手直角方向の幅を有するよう変形されている。その結果、前側治具10および後側治具20は、平面視において略四角形状とされる。但し前側治具10の前端面は前記同様の湾曲した前側外周面11とされ、後側治具20の後端面は前記同様の湾曲した後側外周面21とされる。後側治具20の前端面はその全体が傾斜面24によって形成される。
前側治具10の後端面12、後側治具20の傾斜面24、左側治具40および右側治具50によって囲まれた空間が、図7に示すようなくさび部材30を挿入するための挿入スペース60となっている。
左側治具40は、大端穴4の左側内周面4Dに面接触し且つ左側内周面4Dと等しい(あるいは実質的に等しい)曲率半径を有する湾曲した左側外周面41と、長手方向に平面的に延び前側治具10および後側治具20に隣接する右端面42とを有する。右側治具50は、大端穴4の右側内周面4Eに面接触し且つ右側内周面4Eと等しい(あるいは実質的に等しい)曲率半径を有する湾曲した右側外周面51と、長手方向に平面的に延び前側治具10および後側治具20に隣接する左端面52とを有する。
図7に示すように、くさび部材30は、前述の破断用の後方の傾斜面31と前方の前端面32とを有する。これに加え、くさび部材30は、左側治具40および右側治具50を長手直角拡張方向に押圧するための左側くさび部33および右側くさび部34を有している。左側くさび部33は、くさび部材30の左側面35から突出して形成されると共に、破断分割時に左側治具40の傾斜面43(図6参照)に接触される傾斜面36を有している。右側くさび部34も同様に、くさび部材30の右側面37から突出して形成されると共に、破断分割時に右側治具50の傾斜面53(図6参照)に接触される傾斜面38(図8参照)を有している。なおこれら傾斜面31,36,38はいずれも、くさび部材30が下向きに押圧されたときに各治具を拡張方向に押圧するよう、上側ほど拡張方向の突出量が大きくなるように傾斜されている。
なお後側治具20の傾斜面24は破断用傾斜面をなし、左側治具40の傾斜面43および右側治具50の傾斜面53はそれぞれ保持用傾斜面をなす。またくさび部材30において、傾斜面31は破断用くさび傾斜面をなし、傾斜面36,38は保持用くさび傾斜面をなす。
図6に示すように、左側治具40の右端面42には、くさび部材30の左側くさび部33を挿入させるための挿入溝44が凹設され、この挿入溝44内に傾斜面43が形成されている。同様に、右側治具50の左端面52には、くさび部材30の右側くさび部34を挿入させるための挿入溝54が凹設され、この挿入溝54内に傾斜面53が形成されている。
次に、第1実施形態の破断分割方法をより詳細に説明する。長手方向の破断分割に関しては、図3を参照して説明した比較例の方法と同じであるので説明を割愛する。ここでは特に、破断分割の最中に行われる長手直角方向の縮径制限について詳しく述べる。
図8に示すように、基台140に、前記前側治具10および後側治具20に加え、左側治具40および右側治具50が予めセットされる。これら左側治具40および右側治具50は、基台140に対し長手直角方向にスライド移動可能である。
このように四つの治具10,20,40,50がセットされた基台140上に、コンロッド1が載置保持され、かつ四つの治具10,20,40,50が大端穴4内に嵌合挿入される。コンロッド1が基台140上に僅かに移動可能に保持される点は前記同様である。
前側治具10および後側治具20と、左側治具40および右側治具50との間の挿入スペース60に(つまり各破断用治具と各保持用治具との間に)、単一のくさび部材30が仮止め状態で上方から挿入される(図8の状態)。これによりくさび部材30の傾斜面36が左側治具40の傾斜面43に接触させられ、くさび部材30の傾斜面38が右側治具50の傾斜面53に接触させられる。
これら傾斜面36,43および38,53は、大端穴中心Cの方向に対し所定の傾斜角βで傾斜されている。但しこの傾斜角βは、前述の破断用傾斜角α(図3参照)より小さく、くさび部材30が後工程で下向きに押圧された際、大端穴4の内周面4Cに、破断分割荷重P2,P2’より小さくかつ大端穴4の長手直角方向の縮径を制限するのに必要十分な程度の保持荷重P3,P3’を付与するようになっている。
次に、くさび部材30が大端穴中心Cの方向に沿って下向きに、プレス機械等(図示せず)により押圧される。このときの押圧荷重はP1である。これにより大端部2には、前述の長手方向の破断分割荷重P2,P2’に加え、長手直角方向の保持荷重P3,P3’が付与される。このようにくさび部材30は破断分割用としてだけでなく保持用としても使用される。このとき、左側治具40および右側治具50は、同時に大端穴中心Cから離れて左側および右側に移動しようとし、左側治具40および右側治具50は全体的に長手直角方向に拡張する方向(「長手直角拡張方向」という)に移動しようとする。すなわち左側治具40および右側治具50はくさび部材30により長手直角拡張方向に押圧される。こうなると左側治具40の左側外周面41は大端穴4の左側内周面4Dに密着し、右側治具50の右側外周面51は大端穴4の右側内周面4Eに密着し、大端部2には、大端穴4の長手直角方向の縮径を制限するような保持荷重P3,P3’が付与される。
くさび部材30への押圧荷重P1を増していくと、くさび部材30は挿入スペース60内により深く入ろうとし、大端部2への破断分割荷重P2,P2’は増していく。この破断分割荷重P2,P2’の増加に合わせて保持荷重P3,P3’も増していく。しかしながら、保持用傾斜角βが破断用傾斜角αより小さくされているので、長手直角方向の破断は生じず、むしろ長手直角方向において大端部2は縮径変形が抑制されるのみである。破断分割荷重P2,P2’が増加して縮径方向の荷重が増加しても、これに抵抗するように保持荷重P3,P3’が増加する。よって大端穴4の縮径を効果的に制限し、もしくは抑制ないし防止することができる。
このように保持荷重P3,P3’はあくまで大端穴4の縮径を制限し、大端穴4の基本形状をできるだけ保持するような大きさしか有さず、より積極的に大端穴4を長手直角方向に拡径させたり、大端穴4の内周面4Cに切り込みを入れたりする大きさは有しない。
やがて大端部2は、分割予定面Dに沿って破断される。このとき、大端穴4の縮径を制限しつつ破断分割が行われるので、分割予定面Dの半径方向外側の部位における引張応力の低下を抑制もしくは防止し、分割予定面Dにより均一な引張応力を作用させ、予定した破断面を好適に安定して得ることができる。半径方向外側の部位においても破断が瞬間的に起こり(材料が瞬間的に切れ)、延びた材料が破断面に残ることもないので、後の組立段階で破断面同士を正確に組み付けることが可能である。
以上述べたように本実施形態によれば、分割予定面Dの半径方向外側の部位における引張応力の低下を抑制し、予定した破断面を好適に得ることができる。
なお、本実施形態では図6に示すようにくさび部材30用の挿入スペース60の長手方向中心位置Eを長手直角軸Bに対し後方にオフセットしたが、このようなオフセットを行わず、長手直角軸B上に設定してもよい。
特許文献1には、大端穴の内周面に、鋭利な尖頭状の先端を有した左右の破断用チップを長手直角方向に押し込み、長手直角方向の荷重を破断分離予定部位に集中させて付与することで、破断起点をコントロールすることが開示されている。しかし、特許文献1のものは、破断用チップの先端が大端穴内周面に面接触ではなく線接触する点、破断用チップが応力を集中させて積極的に大端部に切り込みを入れようとする点、および大端穴の縮径を制限する程度以上に長手直角方向の荷重を付与する点で、本実施形態と相違する。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は、各治具10,20,40,50の間に共通の油圧を印加して前側治具10および後側治具20を長手拡張方向に押圧し、左側治具40および右側治具50を長手直角拡張方向に押圧する点で、第1実施形態と相違する。
図9に本実施形態の構成を示す。本実施形態ではくさび部材30の代わりに油圧装置80を用いるので、後側治具20、左側治具40および右側治具50に傾斜面は設けられていない。
油圧装置80は、前側治具10の後端面12、後側治具20の前端面22、左側治具の右端面42、および右側治具50の左端面52によって画成された挿入スペース60内に嵌合挿入され、配置される。油圧装置80は、ハウジング81と、ハウジング81内の後端部に長手方向移動可能に設けられた破断用後側ピストン82と、ハウジング81内の左端部に長手直角方向移動可能に設けられた保持用の左側ピストン83と、ハウジング81内の右端部に長手直角方向移動可能に設けられた保持用の右側ピストン84と、ハウジング81内に形成され、各ピストン82,83,84に油圧を印加するためのオイルを保持するオイル室85とを備える。オイル室85は図示しない油圧供給装置に接続され、油圧供給装置から油圧が供給されたときに当該油圧が各ピストン82,83,84に作用するようになっている。
後側ピストン82は、その後端に、後側治具20に接触してこれを押圧する押圧面86を有する。後側ピストン82の前端部には、ハウジング81の鍔部87に接触して後側ピストン82の抜けを防止するための鍔部88が設けられる。こうした押圧面と鍔部の構成は左側ピストン83と右側ピストン84についても同じであるので説明を割愛する。左側ピストン83の押圧面を89で示し、右側ピストン84の押圧面を90で示す。
特に、左側ピストン83の押圧面89および右側ピストン84の押圧面90は、後側ピストン82の押圧面86よりも小さい面積(押圧面積)を有する。具体的には、油圧供給時に各ピストン82,83,84に同一の大きさの共通の油圧が印加され、前側治具10および後側治具20が大端部2に破断分割荷重P2,P2’を付与するとき、左側治具40および右側治具50は、破断分割荷重P2,P2’より小さくかつ大端穴4の長手直角方向の縮径を制限するのに必要十分な程度の保持荷重P3,P3’しか大端部2に付与せぬよう、押圧面89,90の面積が定められている。
なお、前側治具10が長手方向に可動の場合、前側治具10を前方に押圧するための前側ピストンを追加してもよい。
この第2実施形態の破断分割方法および作用効果は、くさび力に代わって油圧を用いること以外、第1実施形態とほぼ同様である。以下、第2実施形態の破断分割方法を概略的に述べる。
四つの治具10,20,40,50が予めセットされた基台140上に、コンロッド1が載置保持され、かつ四つの治具10,20,40,50が大端穴4内に嵌合挿入される。そして各治具の間の挿入スペース60に油圧装置80が挿入配置される(図9の状態)。
次いで、油圧供給装置からオイル室85に油圧が供給されると、後側ピストン82、左側ピストン83および右側ピストン84が油圧の作用を受けてハウジング81外に突出しようとし、後側治具20、左側治具40および右側治具50をそれぞれ押圧する。これにより大端部2には、長手方向の破断分割荷重P2,P2’と長手直角方向の保持荷重P3,P3’とが付与される。
油圧を増していくと、大端部2への破断分割荷重P2,P2’が増していき、この増加に合わせて保持荷重P3,P3’も増していく。しかしながら、左側および右側ピストン83,84の押圧面89,90の面積が、後側ピストン82の押圧面86の面積より小さいので、保持荷重P3,P3’は破断分割荷重P2,P2’より小さく、従って長手直角方向の破断は生じず、むしろ長手直角方向において大端部2は縮径変形が抑制されるのみである。破断分割荷重P2,P2’が増加して縮径方向の荷重が増加しても、これに抵抗するように保持荷重P3,P3’が増加する。よって大端穴4の縮径を効果的に制限し、もしくは抑制ないし防止することができる。
やがて大端部2は、分割予定面Dに沿って破断される。このとき、大端穴4の縮径を制限しつつ破断分割が行われるので、分割予定面Dの半径方向外側の部位における引張応力の低下を抑制もしくは防止し、予定した破断面を好適に得ることができる。延びた材料が破断面に残ることがないので、後の組立段階で破断面同士を正確に組み付けることが可能である。
以上述べたように本実施形態によっても、分割予定面Dの半径方向外側の部位における引張応力の低下を抑制し、予定した破断面を好適に得ることができる。
なお、挿入スペース60の長手方向中心位置を長手直角軸B上に設定してもよい点は前記同様である。
以上、本発明の実施形態を詳細に述べたが、本発明は他の実施形態も可能である。例えば、上述した各治具、各部材等の形状、寸法等は適宜変更可能である。また各治具10,20,40,50およびくさび部材30を分割構造としてもよい。但し、例えば一つの治具を分割構造とした場合、各分割片の組み合わせが当該一つの治具を形成する。
前述の各実施形態の構成は、特に矛盾が無い限り、部分的にまたは全体的に組み合わせることが可能である。本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 コンロッド
2 大端部
4 大端穴
4C 内周面
10 前側治具
20 後側治具
30 くさび部材
40 左側治具
50 右側治具
24,43,53 傾斜面
31,36,38 傾斜面
α,β 傾斜角
80 油圧装置
82 後側ピストン
83 左側ピストン
84 右側ピストン
86,89,90 押圧面

Claims (5)

  1. A.コンロッドの大端部に形成された大端穴内に、長手方向の破断分割荷重を付与するための一対の破断用治具を配置するステップと、
    B.前記大端穴内に、前記大端穴の内周面に面接触して長手直角方向の保持荷重を付与するための一対の保持用治具を配置するステップと、
    C.前記一対の破断用治具を長手拡張方向に押圧し、前記大端部を長手方向に破断分割するステップと、
    D.前記ステップCの最中に、前記一対の保持用治具を長手直角拡張方向に押圧し、前記大端穴の長手直角方向の縮径を制限するステップと、
    を備えたことを特徴とするコンロッドの破断分割方法。
  2. 前記ステップCと前記ステップDが、各破断用治具と各保持用治具との間にくさび部材を挿入することにより実行される
    ことを特徴とする請求項1に記載のコンロッドの破断分割方法。
  3. 前記一対の破断用治具の少なくとも一方が破断用傾斜面を有し、
    前記一対の保持用治具の両方が保持用傾斜面を有し、
    前記くさび部材が、前記破断用傾斜面に接触する破断用くさび傾斜面と、前記保持用傾斜面に接触する保持用くさび傾斜面とを有し、前記保持用くさび傾斜面が前記破断用くさび傾斜面より小さい傾斜角を有する
    ことを特徴とする請求項2に記載のコンロッドの破断分割方法。
  4. 前記ステップCと前記ステップDが、各破断用治具と各保持用治具との間に共通の油圧を印加することにより実行される
    ことを特徴とする請求項1に記載のコンロッドの破断分割方法。
  5. E.前記ステップCの前に、各破断用治具と各保持用治具との間に油圧装置を挿入するステップをさらに備え、
    前記油圧装置は、前記一対の破断用治具の少なくとも一方を押圧する破断用ピストンと、前記一対の保持用治具の両方をそれぞれ押圧する一対の保持用ピストンとを備え、前記保持用ピストンの押圧面が前記破断用ピストンの押圧面より小さい面積を有する
    ことを特徴とする請求項4に記載のコンロッドの破断分割方法。
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