JP7072890B2 - 立体圧密木材 - Google Patents
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Description
特に、本発明の立体圧密木材は、羽目板、羽目板壁、羽目板天井、羽目板腰壁、巾木等に有用な技術である。
ところが、杉等の針葉樹の材木は、ラワン等の広葉樹の材木と比較して軟質であり強度が低いことから、そのままではラワン材等の代替材料として使用することは困難である。
そこで、杉材のように低密度で強度や硬度が不足しているものにあっては、例えば、本発明者が先に特許を取得している特許文献1等で開示したように、圧縮して高密度化することによる強度特性の改良を行うことで、建築材料、家具材料等として実用化している。
したがって、節が高比重で硬いことに加え、例えば、木材の繊維方向に対して垂直方向に圧縮力を加える圧縮(放射方向圧縮、板目面の加圧)では、加える圧縮力の方向に節の繊維が走向しており、年輪の木目と節部の繊維走向の相違による圧縮強度の異方性からしても、節の部分は、極めて圧縮され難いものとなっている。
このため、1対の熱板プレス等を用いて板目材の厚み全体をその年輪の繊維方向に対して垂直方向に圧縮(放射方向圧縮、板目面の加圧)したとき、その圧縮方向に繊維が走向する硬い節が存在していると、その節の部分では圧縮され難いことで大きな圧縮応力が生じる可能性がある。また、節周辺においても年輪の木目の繊維走向に乱れ、傾斜があることで比較的大きな圧縮応力が生じ易くなる。したがって、節の繊維方向に無理な圧縮力が加えられると、節の繊維やその周辺の木材の繊維が座屈して或いは破壊されて、節部に割れ(クラック、亀裂)等が発生する可能性がある。更に、節及びその周辺の割れ(クラック、亀裂)が広がることで板目面の繊維方向にも割れが生じる可能性がある。
このため、1対の熱板プレス等を用いて板目材の厚み全体をその年輪の繊維方向に対して垂直方向に圧縮(放射方向圧縮、板目面方向の加圧)したとき、硬い節の部分では圧縮され難いことで比較的大きな圧縮応力が生じ、また、節周辺においても年輪の木目の繊維走向に乱れ、傾斜が生じていることで比較的大きな圧縮応力が生じ易い。したがって、節部に無理な圧縮力が加えられると、節の繊維の傾斜が大きくなって木材内部に割れ(クラック、亀裂)等が発生する。特に、高い圧縮力を加えた際には、木材表面にまでクラック、亀裂が達する。
加工前の木材NU,NDの節部Kは、木目の長さ方向に対し垂直方向、つまり、圧縮方向にその繊維が走向するから圧縮に強くなる。
こうして節部Kが高比重で硬くなっていることに加え、その周囲の節付近部Lも高比重で硬くなっている。年輪線RLと節部Kの繊維走向の方向性の相違からしても、節部Kは非常に圧縮され難いものとなっている。
更に、木材の厚み全体を高圧縮した場合には、節部K及びその周囲の比重が高まることで、木材表面の節部Kの濃色化、黒色化が顕著になり、意匠性を損ねてしまう問題もあった。
また、これにより、木材に節部Kが存在する場合でも、木材内部で節部Kの繊維に過剰なストレスを掛けないようにすることで、節部Kの繊維が潰され難くなり、割れ(クラック、亀裂)を生じさせることなく機械的強度を強めることができると思慮される。
特に、木材に節部Kが存在する場合でも、その節部K全体に無理な圧縮力、ストレスが掛からず、特に、木材内部で節部Kの繊維に過剰なストレスが掛からないことで、節部Kの繊維の座屈、潰れ、破壊等が生じ難いものとなり、クラック、亀裂等の木材の割れが生じ難くなる。
特に、節部Kの組織は、木材の木表側から木裏側にかけてサイズが縮小する傾向にあることで、木材の表裏面側から内部に向かって節部Kが押圧されても、サイズが大きい木表側の節部Kの組織の変化をサイズが小さい木裏側の節部K組織の周囲の木材組織の軟化変形によって節部Kの変形、動き、移動を吸収できる。このため、圧縮力を加えても節部Kに発生する応力は小さく、節部Kの破壊等を生じさせない対応となる。
また、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸部と、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹部は、前記対向する面に対して垂直に外力を加える圧密加工によって、各板材のうちの少なくとも2面に、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸部、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹部を形成したものである。
また、前記節部が形成された面とは、凸に形成された節自体及び節部の周囲の節付近部、及び前記凸節自体によって形成される凹からなる凹節転写体を有する。
即ち、直方体の板材の1面には節部があり、前記凸節自体の凸が対向しない位置には凹に形成された前記凸節自体に押圧されて変形された凹節転写体がある。
そして、重ね合わせた2枚の各対向面に対し、互いに厚みが薄くなるように圧縮し、かつ、圧密加工の固定化とは、2枚の各対向面が圧密加工をすることを意味し、形状が変化しないように、固定化するものである。
更に、2枚の板材は鋸挽きした隣接の板材で対を形成するものではなく、2枚の板材は表裏の面相互を突き合わせるか、1枚ずつ2か所に振り分けて、振り分けた2枚によって対とするのが望ましい。
即ち、前記重ね合わせた2枚の板面の互いの対向面側にサンドブラストの吹付けを行うことにより、布研磨または不織布研磨、回転ブラシのうちの何れか1つを行ったことにより、表面処理を行うものであるから、2枚の板面の互いの対向面に磨きをかけることになる。
また、特定部位に歪、ストレスが入りやすくなり、加熱圧縮の処理時にクラック、亀裂等の割れが生じやすくなっても、接着剤を先に刷り込み、その後にサンドブラスト、布研磨、不織布研磨、回転ブラシのうちの何れか1つを行ったことにより、仕上げ面を良好に処理できる。
ここで、立体圧密木材は表層部を最も高い圧縮率とし、表層部と裏層部の間に介在する内層部を最も低い圧縮率とするものである。
このように、表層部を最も高い圧縮率とし、前記表層部とは反対面側の裏層部を表層部よりも低い圧縮率とし、更に、表層部と裏層部の間に介在する内層部を最も低い圧縮率とする塑性加工としたものを節部K及びその周囲付近Lの周囲に形成すると、全体の圧縮率により、その圧縮にあった緩衝効果が得られる。また、本実施の形態のように、表層部、裏層部、内層部を有しないものでも、圧縮率を少なくすれば、高圧縮で凹部、凸部となり実現できる。
また、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸部と、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹部は、前記対向する面に対して垂直に外力を加える圧密加工によって、各板材のうちの少なくとも2面に、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸部、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹部を形成したものである。
即ち、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹部、圧密加工された位置であるが徐々に厚みを厚く形成した凸部は、本発明の実施の形態とすることができる。
したがって、その節の凸節自体は、相手材の衝突部分を押圧する。しかも、節は固いから、特定部位に歪、ストレスが入ることがない。加熱圧縮の処理時にクラック、亀裂等の割れが、生じることがない。特に、節は相手材の衝突部分を押圧するから、当該場所に窪みが形成される。よって、前記節が形成された面には、凸に形成された凸節自体と、他の節に押圧された凹に形成されて変形された凹節転写体とが立体的に形成される。
しかし、1対の鉄板により、両側から1対の木材を挟み込むものであるから、型彫成型加工機等とは基本的に相違する。1対の鉄板により両側から1対の木材を挟み込み、その弾性によって3次元形状を生じさせるものである。
なお、本発明は、表層部、裏層部、内層部を有しないものであるが、圧縮率の設定によって実施できるものである。
念のため記載するが、本実施の形態のように、表層部、裏層部、内層部を有しないものでも、圧縮率を少なくすれば実現できる。
なお、図1乃至図6は立体圧密木材よって節を安定させる実施例であり、図7乃至図9は単純化した立体圧密木材の実施例である。
なお、本実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は、同一または相当する部分及び機能を意味するものであるから、ここでは重複する説明を省略する。
ここでは、2枚の板材NU及び板材NDを重ね合わせた圧密加工木材として説明するが、少なくとも、2枚の板材NU及び板材NDから形成することを前提とし、本発明を実施する場合には、2枚以上の板材NU及び板材NDであればよい。但し、羽目板腰壁に使用する場合等では、板材NU及び板材NDとの間に形成された中間材は、両面が3次元変化をするので取付け難くなるが、使用は可能である。
節部K及び周囲近部Lは、固いためにその凸部の変化が凹部の変化となって圧密加工される。その後、固定されて温度変化等に基づく自己の変化が行われなくする。
また、図1(c)に記載の表裏で圧縮率が相違するので特定方向の圧縮力による板材NU及び板材NDの内部に生じる応力の集中が緩和されることから、木材内部に入る圧縮ストレスが少ない状態で強度特性が高められたものである。
このように、表層部Fを最も高い圧縮率とし、表層部Fとは反対面側の裏層部Rを表層部Fよりも低い圧縮率とし、更に、表層部Fと裏層部Rの間に介在する内層部Iを最も低い圧縮率とする塑性加工によれば、木材内部に過剰なストレスが掛からないから、図1に示したように、板材NU,NDの木目の長さ方向に対して垂直方向に略直線的に節部Kの繊維が走向している場合でも、また、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向に節部Kが斜めに走向している場合でも、木材内部で節部Kやその周囲の繊維に過剰なストレスが掛からないことで、節部Kやその周囲付近Lの繊維の傾き、座屈変形、潰れ、破壊等が生じ難い。
この加工前の木材NU,NDの厚み、幅、長さは、それを圧密加工してなる塑性加工の木材PU,PDの用途、目的等によって相違するが、通常、断面正方形または長方形の角材として製材されたものが使用される。なお、塑性加工の木材PU,PDは、板目材として製材された加工前の木材NU,NDの塑性加工の例であり、塑性加工の木材PU,PDは、柾目材として製材された加工前の木材NU,NDの塑性加工の例である。
図9(a)に示す加工前の木材NU,NDとしては、木口面10aと木裏側板目面(樹心側板目面)10bまたは柾目面10cとが直角に交じわる境界線Bと木口面10aの年輪線RLとがなす鋭角側の交差角度α(年輪角α)が60度以下の範囲内である板目材または柾目材を用いるのが好ましい。境界線Bと木口面10aの年輪線RLとがなす鋭角側の交差角度αが60度以下であれば、加熱圧縮により年輪の座屈変形による早材部の割れが生じ難くなる。特に、節部Kが存在し、節部Kの周囲で年輪線RLの乱れがあっても、それ以外の部分の年輪角αが60度以下であれば、節部Kやその周囲の節付近部Lで割れ等を生じることのない加熱圧縮が可能である。
加工前の木材NU,NDは、間伐材、風害・水害・雪害・森林火災・凍害・虫害等の自然災害によって倒れたり芯割れを起こしたりして丸太の状態では使えなくなった傷害木材、端材等を用いてもよい。これによって、低コスト化を図ることができ、また、環境美化にも貢献することができる。
木材全体の含水率として測定される含水率が、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下であれば、木材の内部側の含水率が極めて低い状態となり木材の内部側が高い繊維強度を持って圧縮され難い状態となる。これより、後に水分付加される木材の表裏面側に後の加熱圧縮による圧縮が集中することになり、木材の内部側に圧縮ストレスが掛かり難くなる。よって、節部Kが存在する場合でも、後の加熱圧縮で木材の内部に圧縮ストレスが掛かり難いことで、節部Kに無理な圧縮力が加えられないから、節部Kの繊維の座屈、破壊等が生じ難い。
例えば、水Wが張られた水槽5内の水Wの中に乾燥木材DW全体を浸漬することにより、乾燥木材DWの表面側に対して水分付加を行うことができる。なお、乾燥木材DWを浸漬するための水槽5内の水Wの中に乾燥木材DWを浸漬するに際しては、枠体や金網状の容器等に入れ、乾燥木材DWが浮力で浮き上がらないようにするため、乾燥木材DWの上面側に、ストッパー、蓋等が設けられる。
ここで、図9(d)に示すように、表面含水木材WWに対して圧密加工を行う塑性加工木材製造装置100は、主として、上プレス盤PAと下プレス盤PBとの2分割された構造体によって内部空間ISを形成するプレス盤10Xと、下プレス盤PBの周縁部10bに対向する上プレス盤PAの周縁部1aに配設され、上プレス盤PAの所定の上下動の範囲で内部空間ISを密閉状態とするシール部材11と、上プレス盤PAの上面側から内部空間IS内に連通され、内部空間IS内に蒸気を供給するための配管口12aを有する配管12と、その上流側のバルブV4と、下プレス盤PBの側面側から内部空間IS内に連通され、内部空間IS内から水蒸気を排出するための配管口13aを有する配管13と、配管13内の蒸気圧を検出する圧力計P2と、その下流側のバルブV5と、バルブV5に接続されたドレン配管14等から構成されている。
本実施の形態では、プレス盤10の上プレス盤PA及び下プレス盤PBの加熱に高温の水蒸気を導入しているが、本発明を実施する場合、プレス盤10Xの加熱媒体は高温の水蒸気に限定されず、油等を用いてもよいし、木材を高周波加熱、マイクロ波加熱、加熱ヒータ等の加熱手段で加熱することも可能である。特に、木材に対する高周波加熱は、マイクロ波による誘電過熱よりも、マイクロ波よりも若干周波数の低い高周波で、木材の中心から加熱する方法が好適である。
例えば、図8(d)に示すように、表面含水木材WWが板目材の場合には、その木目の長さ方向に対して垂直方向の板目面のうち木裏側(年輪の内側)をプレス盤10Xの下プレス盤PBに載置する。即ち、板目面の木裏側を下プレス盤PBに対向させて、板目面の木表側を上プレス盤PAに対向させて配置し、表面含水木材WWの木目の長さ方向に対して垂直な板目面側がプレス盤10Xにてプレス圧縮される面となる。
表面含水木材WWの影響は、乾燥木材DWに対して圧縮率が高められた領域が図6(b)及び図6(c)で示したように、圧密加工による密度の高まりによって表層部F及び裏層部Rの濃色領域とされる。つまり、圧密加工により表層部Fと、表層部Fとは反対側の裏層部Rと、それらの間の内層部Iとの3層構造が形成された塑性加工の木材PU,PDの隙間に入り込むから、塑性加工の木材PU,PDの上面と下面も表層部Fと裏層部Rと同様に硬い面となる。硬さは表層部Fと裏層部Rよりも弱いと推定されるが、表面の硬度を上げることができる。
特に、乾燥によって表面含水木材WWの内側が所定の低含水率で高強度状態とされ、また、表面含水木材WWの表面側に水分が付加されていることで、所定温度に加熱したプレス盤10Xについて、下プレス盤PBを固定し、上プレス盤PAを可動させて表面含水木材WWの上面に所定の圧力で当接し所定の圧縮スピードで下降させると、木材内層側の高い繊維強度といった力学的特性から、また、表面側の水分及び高熱による木材成分の化学特性変化による強度低下(ヘミセルロースやリグニン等の非晶成分等の加水分解、軟化点の低下)から、上面側が最も圧縮されやすく、次いで下面側が圧縮されやすくなっている一方で、それらの内側では圧縮ストレスが掛かり難く上層側及び下層側よりも低い圧縮率となる。
例えば、バルブV4に接続された配管12、配管口12a(図7)を介して、密閉状態とされた内部空間ISに所定の蒸気圧を供給し、上プレス盤PA及び下プレス盤PBの圧縮圧力及び加熱温度を加熱圧縮の際の圧力及び加熱温度と同じ所定圧力及び温度に保持したまま、密閉状態の内部空間ISが所定の温度及び蒸気圧で所定時間(例えば、20分~90分)保持される。内部空間ISに所定温度(例えば、110~210〔℃〕)の高温水蒸気を導入し、密閉状態の内部空間ISを所定の温度及び蒸気圧とすることにより、高温高圧の蒸気の作用によって密閉状態の内部空間IS内に配置されている加熱圧縮された木材全体に対し十分な化学変化を生じさせ性状を一様化させる。これにより、この後の冷却圧縮を解除したときに戻りのない塑性加工の木材PU,PDを形成できる。
その後、図8(f)に示すように、固定側の下プレス盤PBに対して上プレス盤PAを上昇させ、内部空間ISから仕上がり品である塑性加工の木材PU,PDを取出して一連の処理工程が終了する。
しかし、本発明を実施する場合には、上述した製造方法に限定されることなく、例えば、圧縮ローラや圧延ロールを用いた製造であってもよい。
このときに圧縮率が高められた領域が、圧密加工による密度の高まりによって表層部F及び裏層部Rの領域とされる。つまり、圧密加工により表層部Fと、表層部Fとの裏層部Rと、それらの間の内層部Iとの3層構造が形成された塑性加工の木材PU,PDとなる。したがって、節部K及びその周囲の節付近部Lの水分の特性が、圧密加工による密度の高まりによって表層部F及び裏層部Rの濃色領域とされる。つまり、圧密加工により表層部Fと、表層部Fとは反対側の裏層部Rと、それらの間の内層部Iとの3層構造が形成された塑性加工の木材PU,PDとなる。
念のため記載するが、本実施の形態のように、表層部F、裏層部R、内層部Iを有しないものでも、圧縮率を少なくすれば実現できる。
また、表層部Fの気乾密度に対し、内層部Iの気乾密度が0.35~0.65倍の範囲内であり、裏層部Rの気乾密度が0.6~0.8倍の範囲内であると、全体で膨張収縮率のバランスがよく、周囲環境条件が変化したときの木材の収縮膨張による内部の応力発生を少なくできる。
よって、木材に10%~20%の高い占有率で節部Kが存在している場合であっても、周囲環境条件が変化したときの収縮膨張率の違いによるストレスで節部Kやその周囲で割れ(亀裂、クラック)が生じることがなく、安定した品質が確保される。
当然、元の木材NU,NDの全体の体積低下や全体比重が高くなることの重量増加が抑えられ、歩留まりも良好である。
したがって、その節部の凸節自体Nは、相手材の衝突部分を押圧する。しかも、節部は固いから、特定部位に歪、ストレスが入ることがない。加熱圧縮の処理時にクラック、亀裂等の割れが、生じることがない。特に、節は相手材の衝突部分を押圧するから、当該場所に窪みが形成される。よって、前記節部が形成された面には、凸に形成された凸節自体Nと、他の節に押圧された凹に形成されて変形された凹節転写体Mとが立体的に形成される。特に、本発明は、欄間、羽目板、羽目板壁、羽目板天井、羽目板腰壁、巾木に有用である。
上記実施の形態の立体圧密木材によれば、重ね合わせた2枚の板面の対向面側には、サンドブラストの吹付けを行ったもの、布研磨または不織布研磨、回転ブラシのうちの何れか1つを行ったことにより、表面処理を行うものであるから、2枚の板面の互いの対向面に磨きをかけることになる。また、特定部位に歪、ストレスが入りやすくなり、加熱圧縮の処理時に割れ(クラック、亀裂)等が生じやすくなっても、接着剤を先に刷り込み、その後にサンドブラスト、布研磨、不織布研磨、回転ブラシのうちの何れか1つを行ったことにより、仕上げ面を良好に処理できるから、対向面側表面の平滑面を意匠面とすることができる。また、欄間、羽目板、羽目板壁、羽目板天井、羽目板腰壁に使用しても、人が触れることによる棘が刺さる等のトラブルが生じない。
念のため記載するが、本実施の形態のように、表層部F、裏層部R、内層部Iを有しないものでも、圧縮率を少なくすれば実現できる。
また、節の中心となる凸節自体P及びその周囲近部Lの凸は、反転した形態の凹の凹節転写体M及びその木型近部Rと、基本的に節の中心となる凸節自体P及びその節の硬さに準じた節付近部Lとは、乾燥木材の板材NU及び板材NDの弾性、厚みによって深さが決定されるものであり、その塑性加工の一義的に決定されるものではない。
本発明を実施する場合、図5に示す節部K及びその周囲の節付近部Lの周囲に特定されるものではない。即ち、節部K及びその周囲の節付近部Lは圧密加工からすれば、2枚の板材には節部K及びその周囲の節付近部Lによって、図5に示す凸節自体(図5のPa,Pb,Pc・・Pe参照)の圧密で、図5に示す凹(Ma,Mb,Mc・・Me)に形成された前記節自体に押圧されて変形された凹(Ma,Mb,Mc・・Me)節転写体を形成し、それを固定化したものである。しかし、同じ強さであれば、密度差、比重、弾性によって、凸(図5のPa,Pb,Pc・・Pe参照)節自体及び凹(図5のMa,Mb,Mc・・Me参照)節転写体が変化する。但し、生物界では、これら密度差、比重、弾性の変化する要件は、早材間または晩材間、繊維長等で違いが出てくるので、比較的安定な比重が異なる部分的(1cm3単位)範囲をとらえている。
また、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸(Pa,Pb,Pc・・Pe)部と、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹(Ma,Mb,Mc・・Me)部は、前記対向する面に対して垂直に外力を加える圧密加工によって、各板材のうちの少なくとも2面に、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸(Pa,Pb,Pc・・Pe)部、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹(Ma,Mb,Mc・・Me)部を形成したものである。
即ち、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹(Ma,Mb,Mc・・Me)部、圧密加工された位置であるが徐々に厚みを厚く形成した凸(Pa,Pb,Pc・・Pe)部は、本発明の実施の形態とすることができる。
また、圧縮させている露出面は、サンドブラスト、布研磨、不織布研磨、廻転ブラシのうちの何れか1つを行うことにより、仕上げ面を良好に処理でき、機械的な安定が得られるばかりか、対向面側表面の平滑面を意匠面とすることができる。そして、割れ(クラック、亀裂)が生じても、その面を木材の粉体で埋め込むことができるから、意匠面の見栄えが綺麗に処理できる。
この際、1枚の板材を堅い材料として使用することにより、2枚の板材の一方を2回以上の圧密加工に使用することができる。即ち、樫等の木を使用して2回以上の圧密加工の型を得ることができる。
R 裏層部
I 内層部
PU,PD 塑性加工木材
NU,ND 加工前木材
RL 年輪線
K 節部
L 節付近部
Pa,Pb,Pc・・Pe 凸節自体
Ma,Mb,Mc・・Me 凹節転写体
PA 上プレス盤
PB 下プレス盤
Claims (4)
- 各6面の板面として形成し、重ね合わせて圧密加工した2枚の板材のうち、前記重ね合わせていた対向面には少なくとも部分的に比重が異なる箇所があり、
前記対向面に対して垂直に外力を加えた前記圧密加工によって、前記対向面の2面には、一方面の徐々に厚みを厚く形成した凸部と、
他方面の徐々に厚みを薄く形成した凹部と
を具備することを特徴とする立体圧密木材。 - 各6面の板面として形成し、重ね合わせて圧密加工した2枚の板材のうち、少なくとも前記重ね合わせていた対向面には1ヶ所以上の節部が形成されており、
前記対向面に対して垂直に外力を加えた前記圧密加工によって、前記対向面の2面には、前記節部の露出面に前記節部の周囲を徐々に厚みを薄く形成した凸節自体と、
他方面に前記凸節自体の圧密で、前記凸節自体に押圧されて凹に変形された凹節転写体と
を具備することを特徴とする立体圧密木材。 - 前記重ね合わせた2枚の板面の対向面の各々は、サンドブラストによる吹付け、布研磨または不織布研磨、回転ブラシのうちのいずれか1つの仕上げ加工されたものであることを特徴とする請求項2に記載の立体圧密木材。
- 前記対向面に対して垂直に外力を加えた前記圧密加工は、表層部を最も高い圧縮率とし、前記表層部とは反対面側の裏層部を前記表層部よりも低い圧縮率とし、更に、前記表層部と前記裏層部の間に介在する内層部を最も低い圧縮率とする塑性加工としたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の立体圧密木材。
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