JP7072890B2 - 立体圧密木材 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、杉材、檜材等の軟質な木材に対して、その厚み方向に圧縮力が加えられ、2枚の木材に凹凸を形成してなる立体圧密木材に関するもので、特に、節が存在する場合でも割れ(クラック、亀裂)が入ることなく機械的強度が高められた立体圧密木材に関するものである。
特に、本発明の立体圧密木材は、羽目板、羽目板壁、羽目板天井、羽目板腰壁、巾木等に有用な技術である。
近年の熱帯雨林の減少による地球温暖化の問題、地球環境の保護の観点から、特に、従来の木質合板に使用されてきたラワン等の広葉樹資源の乱伐採による深刻な枯渇化を受けて、ラワン材以外の木質材料の開発が要望されているところ、我が国では、杉、檜等の針葉樹が適宜計画伐採や間伐等で比較的安定に入手し易いことから、ラワン材等の代替材料として、それら杉、檜等の針葉樹の有効活用の検討が活発に試みられている。
ところが、杉等の針葉樹の材木は、ラワン等の広葉樹の材木と比較して軟質であり強度が低いことから、そのままではラワン材等の代替材料として使用することは困難である。
そこで、杉材のように低密度で強度や硬度が不足しているものにあっては、例えば、本発明者が先に特許を取得している特許文献1等で開示したように、圧縮して高密度化することによる強度特性の改良を行うことで、建築材料、家具材料等として実用化している。
ここで、建築材料、家具材料等として木材を利用する場合、従来においては、加工性や外観性から節のない木材が好まれる傾向にあった。ところが、近年、消費者の嗜好性の多様化等により、節のある木材こそ自然の木材らしくて自然な模様、風合いを醸しだしており、本来の木を感じる良さがあるとして、節のある木材を選択する消費者も増えている。特に、杉、檜等の針葉樹の原木にあっては、従来の合板等に使用されてきた広葉樹の原木と比較して、節が多く存在することから、枝打ち処理の労力等を考慮すると、節のある木材を選択的に排除するよりも節のある木材を活用できる技術の確立が望まれる。
木材の節の部分は高比重で非常に硬いものとなっている。そのうえ、木材の圧縮強度には異方性が存在し、特に、木材の繊維方向の圧縮(縦圧縮、木口面の加圧)と木材の繊維方向に対して垂直方向の圧縮(放射方向圧縮、板目面の加圧)とでは圧縮応力に対するひずみの大きさが大きく異なっており、木材の繊維方向(縦圧縮、木口面の加圧)は圧縮され難いが、木材の繊維方向に対して垂直方向(放射方向圧縮、板目面の加圧)は圧縮され易くなっているところ、木材の節は、その繊維走向が木目の繊維方向に対して垂直方向に存在する。
したがって、節が高比重で硬いことに加え、例えば、木材の繊維方向に対して垂直方向に圧縮力を加える圧縮(放射方向圧縮、板目面の加圧)では、加える圧縮力の方向に節の繊維が走向しており、年輪の木目と節部の繊維走向の相違による圧縮強度の異方性からしても、節の部分は、極めて圧縮され難いものとなっている。
例えば、図1(a)乃至(c)に示すように、板目材において年輪に対して略接線を成している木目側(板目材の中央寄り)にある節の場合、その節は、年輪の木目の繊維方向に対して垂直方向(板目面に対して直交方向)に存在し、節の繊維が木口面で山形状に表れる木材の年輪に対して直交方向に走向している。
このため、1対の熱板プレス等を用いて板目材の厚み全体をその年輪の繊維方向に対して垂直方向に圧縮(放射方向圧縮、板目面の加圧)したとき、その圧縮方向に繊維が走向する硬い節が存在していると、その節の部分では圧縮され難いことで大きな圧縮応力が生じる可能性がある。また、節周辺においても年輪の木目の繊維走向に乱れ、傾斜があることで比較的大きな圧縮応力が生じ易くなる。したがって、節の繊維方向に無理な圧縮力が加えられると、節の繊維やその周辺の木材の繊維が座屈して或いは破壊されて、節部に割れ(クラック、亀裂)等が発生する可能性がある。更に、節及びその周辺の割れ(クラック、亀裂)が広がることで板目面の繊維方向にも割れが生じる可能性がある。
また、例えば、板目材において年輪が略並行をなしている木目側(板目面の端部寄りの追柾部分)にある節の場合、その節は、年輪の木目の繊維方向に対して垂直方向(板目面に対して直交方向)に存在するも、節の繊維走向に傾斜がある。
このため、1対の熱板プレス等を用いて板目材の厚み全体をその年輪の繊維方向に対して垂直方向に圧縮(放射方向圧縮、板目面方向の加圧)したとき、硬い節の部分では圧縮され難いことで比較的大きな圧縮応力が生じ、また、節周辺においても年輪の木目の繊維走向に乱れ、傾斜が生じていることで比較的大きな圧縮応力が生じ易い。したがって、節部に無理な圧縮力が加えられると、節の繊維の傾斜が大きくなって木材内部に割れ(クラック、亀裂)等が発生する。特に、高い圧縮力を加えた際には、木材表面にまでクラック、亀裂が達する。
そこで、節のある木材の活用に関し、特許文献2では、節が存在する木材の裏面側であって節部分の下位位置を切除して凹部を形成し、節のある部分とそれ以外の部分で圧縮量を相違させることで、節に過大な圧縮力を加えないようにする圧密処理の提案がなされている。
特許第5138080号公報 特開2010-042529号公報
ところが、特許文献2の技術においては、木材の節に対応する裏面側の一部を切除することから、その切除部位、態様によっては、熱板でプレスした際に、厚み全体に均一に圧縮力が掛かり難くなり、内部の応力に偏りが生じて、特定部位に歪、ストレスが入りやすくなる。このため、加熱圧縮の処理時にクラック、亀裂等からなる割れが生じやすくなる。また、木材の幅方向(木材の厚み方向に対して直角方向)で、節がある木材組織の領域と節がない木材組織の領域との圧密度が異なることで、周囲環境条件の変化による膨張収縮率に差が生じる。このため、周囲環境条件の変化によって歪みや変形等の寸法形状変化が生じやすくなることが予測され、更に、強度等の木材特性の品質の一定化も困難である。しかも、節の寸法形状は一定でなく木材によって相違することから、木材毎に節の寸法形状の測定、その節に対応する凹部の切除寸法の特定等に煩雑な作業を必要とする。
そこで、例えば、図1に示すように、針葉樹等の原木を板目取り、追柾取り等して製材された木材に節部Kが存在する場合、その節部Kの周囲付近Lは節部K以外の組織に比して高比重で硬いことから、木材の強度特性を高めるための圧縮力を加えても節部K及びその節付近部Lは圧縮され難い。
加工前の木材NU,NDの節部Kは、木目の長さ方向に対し垂直方向、つまり、圧縮方向にその繊維が走向するから圧縮に強くなる。
こうして節部Kが高比重で硬くなっていることに加え、その周囲の節付近部Lも高比重で硬くなっている。年輪線RLと節部Kの繊維走向の方向性の相違からしても、節部Kは非常に圧縮され難いものとなっている。
したがって、例えば、特許文献1の技術で、年輪線RLに対して略接線を成している木目側(板目材の中央寄り)にある節部Kでは、その繊維が木目の長さ方向に対し垂直方向に略直線的に走向しているところ、加工前の木材NU,NDの強度特性を高めるために、1対の熱板プレス等を用いて加工前の木材NU,NDの厚み方向の両面側から圧縮力を加えて木材の厚み全体を高圧縮しようとすると、その圧縮方向に節部Kの繊維が走向することで、その節部Kに大きな圧縮応力が生じ、節部Kの繊維が座屈して破壊、割れ等が生じる。更に、節部Kの周囲付近Lにおいても年輪の木目の繊維走向に乱れ、傾斜があることで割れ等が生じることもある。
特に、従来、加工前の木材NU,NDを圧密化して塑性加工するための十分な化学変化を得るために、木材を繊維飽和点以下の所定の含水率に乾燥させてから圧密加工を行っているところ、一般的に、木材の乾燥は、その表面側から水分が蒸発する。このため、表面側と同じくらいに内部を十分に乾燥させようとした場合には表面側で乾燥割れが生じ易くなる。したがって、表面側よりも内部の含水率が高い状態で圧密加工の加熱圧縮処理に供されることになる。特に、木材に節部Kが存在する場合には、節部K周囲の水分の吸放湿特性が高いことで、乾燥過程で、節部Kのクラック、亀裂等の割れ、節抜け等が生じ易く、節部Kの割れ、節抜け等を生じさせない程度に乾燥させた木材で、節部Kの周囲の節付近部Lも、内部の含水率が表面側よりもずっと高いものとなってしまう。
そして、このように表面側よりも内部の含水率が高い木材に対し、例えば、1対の熱板プレス等を用いて面接触による加熱圧縮処理を行うと、木材の内部に荷重が掛かり易くて内部に局部的な圧縮変形が発生し易くなる。即ち、木材の内部にストレスが入り易い。このため、木材に節部Kが存在していると、木材の内部で節部Kに過剰なストレスが掛かり、節部Kの繊維の座屈変形、潰れ、破壊等が生じ易くなり、木材内部に割れが生じ易くなる。この木材の内部割れは木材の表面側にまで広がることもある。
加えて、節部K及び節部Kの周囲付近Lには、豊富な樹脂分が存在することで、1対の熱板プレス等を用いて木材の厚み全体を高圧縮した際には、節部K及びその周囲から多量のヤニが析出し、それが熱板プレスに付着して熱板プレスを汚染する。熱板プレスに対し多くのヤニが付着した際には、熱板プレスに木材が接着して圧縮後に熱板プレスが木材から離れ難くなることもある。
更に、木材の厚み全体を高圧縮した場合には、節部K及びその周囲の比重が高まることで、木材表面の節部Kの濃色化、黒色化が顕著になり、意匠性を損ねてしまう問題もあった。
そこで、本発明者らは、板材NDU,NDDの木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、その加熱圧縮方向の両面側のうち表層部Fで最も圧縮率を高め、表層部Fとは反対面側の裏層部Rを表層部Fよりも低い圧縮率とし、そして、表層部Fと裏層部Rの間に表層部F及び裏層部Rよりも低い圧縮率の内層部Iを設けて、木材の厚さ方向で圧縮率、つまり、密度を変化させた圧密加工によって、木材全体に圧縮によるストレスが入り難いようにすることを案出した。特に、木材内部に圧縮ストレスが掛かり難いようになる推定した。
また、これにより、木材に節部Kが存在する場合でも、木材内部で節部Kの繊維に過剰なストレスを掛けないようにすることで、節部Kの繊維が潰され難くなり、割れ(クラック、亀裂)を生じさせることなく機械的強度を強めることができると思慮される。
具体的には、表層部Fよりは低いが内層部Iよりは高い圧縮率により気乾比重、繊維密度が高くなり濃色化した中密度塑性加工領域の裏層部Rを形成し、更に、表層部Fと裏層部Rの間で表層部F及び裏層部Rよりも低い圧縮率、例えば、元の木材である加工前の木材NU,NDの気乾密度に対する圧縮率で表層部Fと裏層部Rよりも薄色の色調を呈した低密度塑性加工領域の内層部Iを形成した塑性加工の木材PU,PDとする方法が採用される。
このように、特許文献1においては、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向、即ち、木材の厚み方向で圧縮率を相異させて密度を変化させた塑性加工では、木材全体に加熱圧縮によるストレスが入り難く、節部Kが存在してもその節部Kに加えた節部Kの周囲付近Lからなる全体に無理な圧縮力、ストレスがかからないようにしている。
特に、木材に節部Kが存在する場合でも、その節部K全体に無理な圧縮力、ストレスが掛からず、特に、木材内部で節部Kの繊維に過剰なストレスが掛からないことで、節部Kの繊維の座屈、潰れ、破壊等が生じ難いものとなり、クラック、亀裂等の木材の割れが生じ難くなる。
即ち、表層部Fを最も高い圧縮率とし、表層部Fとは反対面側の裏層部Rを表層部Fよりも低い圧縮率とし、更に、表層部Fと裏層部Rの間に介在する内層部Iを最も低い圧縮率とする塑性加工は、内層部Iが最も低い圧縮率であることで木材内部が圧縮され難い状態とされ、また、表裏で圧縮率が相違することで特定方向の圧縮力による木材内部に生じる内部の応力の集中が緩和されたことから、木材内部に入る圧縮ストレスが少ない状態で強度特性が高められたものである。このように、表層部Fを最も高い圧縮率とし、表層部Fとは反対面側の裏層部Rを表層部Fよりも低い圧縮率とし、更に、表層部Fと裏層部Rの間に介在する内層部Iを最も低い圧縮率とする塑性加工によれば、木材内部に過剰なストレスが掛からないから、図1に示したように、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向に略直線的に節部Kの繊維が走向している場合でも、また、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向に節部Kが斜めに走向している場合でも、木材内部で節部Kやその周囲の繊維に過剰なストレスが掛からないことで、節部Kやその周囲の繊維の傾き、座屈変形、潰れ、破壊等が生じない。
そして、このように加熱圧縮処理時に、木材内部に加熱圧縮によるストレスが掛かり難い状態としても、節部K周囲ではその高い吸放湿特性によって、木材組織が軟化し変形しやすく、木材の厚さ方向の両面側からの加熱圧縮力により、節部Kが木材内部側に押圧されても、節部K周囲の木材組織の軟化変形によって節部Kの動きを規制しない。即ち、節部Kの動きが拘束され難い。よって、節部Kに生じる加熱圧縮力に対する応力も小さく、内部の応力の発生も少ないものである。
特に、節部Kの組織は、木材の木表側から木裏側にかけてサイズが縮小する傾向にあることで、木材の表裏面側から内部に向かって節部Kが押圧されても、サイズが大きい木表側の節部Kの組織の変化をサイズが小さい木裏側の節部K組織の周囲の木材組織の軟化変形によって節部Kの変形、動き、移動を吸収できる。このため、圧縮力を加えても節部Kに発生する応力は小さく、節部Kの破壊等を生じさせない対応となる。
そこで、本発明は上記問題点を解消すべく、木材に節部がある場合、比重が異なる場合もクラック、亀裂等の割れが入ることなく圧密加工でき、特に、節による凹凸を形成でき、しかも、木材の圧密加工の対向面に節部が配置される確率が低く、圧密加工の際に節がその環境に従うものであるから、成型加工が容易な立体圧密木材の提供を課題とするものである。
請求項1の発明の立体圧密木材は、各6面の板面として形成した2枚の板材のうち、対向する面には少なくとも部分的(1cm3単位)に比重が異なる箇所があり、前記対向する面に対して垂直に外力を加える圧密加工によって、各板材のうちの少なくとも2面には、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸部と、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹部とを具備する。
ここで、各6面の板面として形成した2枚の板材においては、対向する面の部分的(1cm3単位)に比重が異なる材料を使用する。
また、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸部と、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹部は、前記対向する面に対して垂直に外力を加える圧密加工によって、各板材のうちの少なくとも2面に、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸部、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹部を形成したものである。
請求項2の発明の立体圧密木材は、各6面の板面として形成した2枚の板材のうち、少なくとも対向する面には1ヶ所以上の節部が形成されており、前記対向する面に対して垂直に外力を加える圧密加工によって、各板材のうちの少なくとも1面には節部の露出面を平面とする前記節の周囲を徐々に厚みを薄く形成した凸節自体及びその周囲の節付近部と、前記凸節自体の圧密で、凹に形成された前記節自体に押圧されて変形された凹節転写体を形成し、それを固定化した。
ここで、各6面の板面として形成した少なくとも前記2枚の板材とは、略直方体に形成したもので、加工前木材の直方体の板材を意味する。
また、前記節部が形成された面とは、凸に形成された節自体及び節部の周囲の節付近部、及び前記凸節自体によって形成される凹からなる凹節転写体を有する。
即ち、直方体の板材の1面には節部があり、前記凸節自体の凸が対向しない位置には凹に形成された前記凸節自体に押圧されて変形された凹節転写体がある。
そして、重ね合わせた2枚の各対向面に対し、互いに厚みが薄くなるように圧縮し、かつ、圧密加工の固定化とは、2枚の各対向面が圧密加工をすることを意味し、形状が変化しないように、固定化するものである。
更に、2枚の板材は鋸挽きした隣接の板材で対を形成するものではなく、2枚の板材は表裏の面相互を突き合わせるか、1枚ずつ2か所に振り分けて、振り分けた2枚によって対とするのが望ましい。
請求項3の発明の立体圧密木材は、前記重ね合わせた2枚の板面の互いの対向面側にサンドブラストの吹付け、布研磨または不織布研磨、回転ブラシのうちのいずれか1つの仕上げ加工を行ったものである。
即ち、前記重ね合わせた2枚の板面の互いの対向面側にサンドブラストの吹付けを行うことにより、布研磨または不織布研磨、回転ブラシのうちの何れか1つを行ったことにより、表面処理を行うものであるから、2枚の板面の互いの対向面に磨きをかけることになる。
また、特定部位に歪、ストレスが入りやすくなり、加熱圧縮の処理時にクラック、亀裂等の割れが生じやすくなっても、接着剤を先に刷り込み、その後にサンドブラスト、布研磨、不織布研磨、回転ブラシのうちの何れか1つを行ったことにより、仕上げ面を良好に処理できる。
請求項4の発明の立体圧密木材は、前記対向する面に対して垂直に外力を加える圧密加工は、表層部を最も高い圧縮率とし、前記表層部とは反対面側の裏層部を表層部よりも低い圧縮率とし、更に、表層部と裏層部の間に介在する内層部を最も低い圧縮率とする塑性加工としたものである。
ここで、立体圧密木材は表層部を最も高い圧縮率とし、表層部と裏層部の間に介在する内層部を最も低い圧縮率とするものである。
このように、表層部を最も高い圧縮率とし、前記表層部とは反対面側の裏層部を表層部よりも低い圧縮率とし、更に、表層部と裏層部の間に介在する内層部を最も低い圧縮率とする塑性加工としたものを節部K及びその周囲付近Lの周囲に形成すると、全体の圧縮率により、その圧縮にあった緩衝効果が得られる。また、本実施の形態のように、表層部、裏層部、内層部を有しないものでも、圧縮率を少なくすれば、高圧縮で凹部、凸部となり実現できる。
請求項1の発明の立体圧密木材は、各6面の板面とする2枚の対向する面には、少なくとも部分的(1cm3単位)に比重が異なる箇所が存在する。前記対向する面に対して垂直に外力を加える圧密加工によって、各板材のうちの少なくとも2面には、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸部と、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹部とを具備する。
ここで、各6面の板面として形成した2枚の板材においては、対向する面の部分的(1cm3単位)に比重が異なる材料を使用する。ここでは粗密を比重として表現している。ここで比重とは、ある物質の密度(単位体積当たり質量)と、基準となる物質との比で表現する。固体については水、気体については、同温度及び同圧力での空気を基準とする密度との比である。
また、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸部と、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹部は、前記対向する面に対して垂直に外力を加える圧密加工によって、各板材のうちの少なくとも2面に、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸部、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹部を形成したものである。
更に、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸部と、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹部は、圧密加工された位置であるが徐々に厚みを厚く形成した凸部、徐々に厚みを薄く形成した凹部は、圧密加工により比重、質量が小さい箇所が外力の変化が大きくなる場合と、逆になる場合もある。2枚の板材を所定の圧力で押圧すれば原理的には、均一になる。しかし、弾性による変化による戻りがあるので、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹部、圧密加工された位置であるが徐々に厚みを厚く形成した凸部は、一義的に特定できない。
即ち、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹部、圧密加工された位置であるが徐々に厚みを厚く形成した凸部は、本発明の実施の形態とすることができる。
請求項2の発明に係る立体圧密木材によれば、各6面の板面として形成した、前記2枚の板材のうち、少なくとも前記1枚の板材には節を有し、前記節を有する面を互いに対向させて重ね合わせ、重ね合わせた2枚の各対向面に対し、互いに厚みが少なくなるように圧縮し、かつ、それを固定化するものである。
したがって、その節の凸節自体は、相手材の衝突部分を押圧する。しかも、節は固いから、特定部位に歪、ストレスが入ることがない。加熱圧縮の処理時にクラック、亀裂等の割れが、生じることがない。特に、節は相手材の衝突部分を押圧するから、当該場所に窪みが形成される。よって、前記節が形成された面には、凸に形成された凸節自体と、他の節に押圧された凹に形成されて変形された凹節転写体とが立体的に形成される。
特に、本発明は、欄間、羽目板、羽目板壁、羽目板天井、羽目板腰壁、巾木に有用である。節部及びその周囲の節付近部とは、凸節自体の凸状として形成され、節部及びその周囲の節付近部も、凸節自体の凸状として形成されているから、凹節転写体はそれによって成形された孔(凹)である。
しかし、1対の鉄板により、両側から1対の木材を挟み込むものであるから、型彫成型加工機等とは基本的に相違する。1対の鉄板により両側から1対の木材を挟み込み、その弾性によって3次元形状を生じさせるものである。
なお、本発明は、表層部、裏層部、内層部を有しないものであるが、圧縮率の設定によって実施できるものである。
請求項3の発明に係る立体圧密木材によれば、重ね合わせた2枚の板面の対向面側には、サンドブラストの吹付けを行ったもの、布研磨または不織布研磨、回転ブラシのうちの何れか1つを行ったことにより、表面処理を行うものであるから、2枚の板面の互いの対向面に磨きをかけることになる。また、特定部位に歪、ストレスが入りやすくなり、加熱圧縮の処理時に割れ(クラック、亀裂)等が生じやすくなっても、接着剤を先に刷り込み、その後にサンドブラスト、布研磨、不織布研磨、回転ブラシのうちの何れか1つを行ったことにより、仕上げ面を良好に処理できるから、対向面側表面の平滑面を意匠面とすることができる。また、欄間、羽目板、羽目板壁、羽目板天井、羽目板腰壁に使用しても、人が触れることによる棘が刺さる等のトラブルが生じない。
請求項4の発明に係る立体圧密木材の対向面に対して垂直に外力を加える圧密加工は、表層部を最も高い圧縮率とし、前記表層部とは反対面側の裏層部を表層部よりも低い圧縮率とし、更に、表層部と裏層部の間に介在する内層部を最も低い圧縮率とする塑性加工としたものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、節部及び節部の周囲の付近に対して、圧縮率を急激に高くしているものではないから、節部及び節部の周囲を内層部及び表層部、内層部及び裏層部で囲み節部の緩衝とするから、節部に歪、ストレスが入り難くなり、加熱圧縮の処理時にクラック、亀裂等の割れが生じ難くなる。
このように、表層部を最も高い圧縮率とし、前記表層部とは反対面側の裏層部を表層部よりも低い圧縮率とし、更に、表層部と裏層部の間に介在する内層部を最も低い圧縮率とする塑性加工としたものを節部及びその周囲の節付近部の周囲に形成すると、緩衝効果が得られる。しかし、表層部、裏層部、内層部を有しないものでも、圧縮率を少なくすれば、実現できる。
このように、表層部を最も高い圧縮率とし、前記表層部とは反対面側の裏層部を表層部よりも低い圧縮率とし、更に、表層部と裏層部の間に介在する内層部を最も低い圧縮率とする塑性加工としたものを節部及びその周囲の節付近部の周囲に形成すると、全体の圧縮率により、その圧縮にあった緩衝効果が得られる。
念のため記載するが、本実施の形態のように、表層部、裏層部、内層部を有しないものでも、圧縮率を少なくすれば実現できる。
図1は6面の木材と節部との関係を示す説明図で、(a)は圧密加工前の木材、(b)は圧密加工後の木材、(c)は圧密加工後の拡大断面図である。 図2は本発明の実施の形態に係る立体圧密木材としての塑性加工前の斜視図で示す説明図である。 図3は本発明の実施の形態に係る立体圧密木材としての塑性加工時における斜視図の説明図である。 図4は本発明の実施の形態に係る立体圧密木材の図3の切断線A-Aの切断図である。 図5は本発明の実施の形態に係る立体圧密木材製造装置の表層部と裏層部の関係を示す説明図である。 図6は本発明の実施の形態に係る立体圧密木材における圧密加工前との圧密加工後の木材との関係を示す説明図で、(a)は圧密加工前の木材、(b)は圧密加工後の木材、(c)は圧密加工後の拡大断面図である。 図7月は本発明の実施の形態に係る立体圧密木材製造装置の全体動作を説明する説明図である。 図8は本発明の実施の形態に係る立体圧密木材製造装置の加工途中を説明する説明図である。 図9は本発明の実施の形態に係る立体圧密木材製造装置の前処理及び加工途中の要部を説明する説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図9を参照しながら説明する。
なお、図1乃至図6は立体圧密木材よって節を安定させる実施例であり、図7乃至図9は単純化した立体圧密木材の実施例である。
なお、本実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は、同一または相当する部分及び機能を意味するものであるから、ここでは重複する説明を省略する。
まず、図1乃至図6の6面を板面として形成した2枚の板材NU及び板材NDは、圧密加工前に均一な厚みを持つ木材で、杉、檜等の針葉樹からなる。使用する用途の羽目板、羽目板壁、羽目板天井、羽目板腰壁、欄間、巾木等のサイズに合わせて切断されている。
ここでは、2枚の板材NU及び板材NDを重ね合わせた圧密加工木材として説明するが、少なくとも、2枚の板材NU及び板材NDから形成することを前提とし、本発明を実施する場合には、2枚以上の板材NU及び板材NDであればよい。但し、羽目板腰壁に使用する場合等では、板材NU及び板材NDとの間に形成された中間材は、両面が3次元変化をするので取付け難くなるが、使用は可能である。
凸節自体Pとは、板材NUと板材ND対向する面に対して垂直に外力を加える圧密加工によって形成したものである。具体的には、各板材NU及び板材NDのうちの少なくとも1面には節の露出面を平面とする節部Kを有し、また、その周囲の厚みを徐々に薄く形成する節部Kの周囲付近Lを有している。即ち、凸節自体Pとは、自己の節による節部Kが形成する凸状の節自体を意味する。なお、ここで凸節自体Pに限らず、凹節転写体Mも同様に、他の場合も同様に、その添え字(a,b,c・・・)は、凸節自体Pの機能が同一でその位置が異なる事例を示すものである。
また、節の中心となる凸節自体P及びその周囲近部Lの凸によって、反転した形態の凹の凹節転写体M及びその木型近部Rと呼ぶが、基本的に節の中心となる凸節自体P及びその節部Kの硬さに準じた周囲近部Lと、凹節転写体M及びその木型近部Rは、凹凸の反転したものであるが、凸節自体Pを一義的に決めることはできない。また。凹節転写体M及びその木型近部Rについても同様に、両者を一義的に区別できるものではない。
塑性加工圧力を加えていない板材NUの凸節自体Na,Nb,Ncは、板材NUに形成されていた節部Kによって、板材NDの平面にその切断平面が露出している。板材NUの節のない箇所は規則正しい早材間または晩材間からなる1年輪が弧状となっており、節よりも柔らかくなっている。その流れを変えるように、表裏、厚みの両側に貫通する節がある。凸節自体Ndは板材NU,NDの厚み方向に節が形成されたもので、殆ど、板材NUの表裏の年輪が乱れていない(柾目)ものである。しかし、凸節自体Ne、凸節自体Nfは、節が小さく、表面に露出されている裏面には出ていないものである。特に、凸節自体Ndは板材NDUの厚み方向に出ているが、表裏には表れていない。
また、凸節自体NUまたは凸節自体NDを反転して形成される凹節転写体Mは、節部Kと同様に木型の節部K及びその周囲の木型K近部の周囲付近Lが圧縮率の影響を受けて徐々に変化している。
節部K及び周囲近部Lは、固いためにその凸部の変化が凹部の変化となって圧密加工される。その後、固定されて温度変化等に基づく自己の変化が行われなくする。
板材NUの凸節自体Na,Nb,Ncは、表裏に圧縮率が高く形成されている節が形成されているから、図1(c)に記載の、表層部Fを最も高い圧縮率とし、その反対面側の裏層部Rを表層部Fよりも低い圧縮率とし、表層部Fと裏層部Rの間に介在する内層部Iを最も低い圧縮率とする塑性加工は、内層部Iが最も低い圧縮率であることで木材内部が圧縮され難い状態としてもよい。
また、図1(c)に記載の表裏で圧縮率が相違するので特定方向の圧縮力による板材NU及び板材NDの内部に生じる応力の集中が緩和されることから、木材内部に入る圧縮ストレスが少ない状態で強度特性が高められたものである。
このように、表層部Fを最も高い圧縮率とし、表層部Fとは反対面側の裏層部Rを表層部Fよりも低い圧縮率とし、更に、表層部Fと裏層部Rの間に介在する内層部Iを最も低い圧縮率とする塑性加工によれば、木材内部に過剰なストレスが掛からないから、図1に示したように、板材NU,NDの木目の長さ方向に対して垂直方向に略直線的に節部Kの繊維が走向している場合でも、また、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向に節部Kが斜めに走向している場合でも、木材内部で節部Kやその周囲の繊維に過剰なストレスが掛からないことで、節部Kやその周囲付近Lの繊維の傾き、座屈変形、潰れ、破壊等が生じ難い。
ここで、図2乃至図5で示したような本実施の形態の塑性加工木材の原材料となる加工前の木材NU,NDが、前以って所定の寸法に製材されることについて説明する。
この加工前の木材NU,NDの厚み、幅、長さは、それを圧密加工してなる塑性加工の木材PU,PDの用途、目的等によって相違するが、通常、断面正方形または長方形の角材として製材されたものが使用される。なお、塑性加工の木材PU,PDは、板目材として製材された加工前の木材NU,NDの塑性加工の例であり、塑性加工の木材PU,PDは、柾目材として製材された加工前の木材NU,NDの塑性加工の例である。
ここで、加熱圧縮による割れを防止する図9に示す前処理の在り方から説明する。
図9(a)に示す加工前の木材NU,NDとしては、木口面10aと木裏側板目面(樹心側板目面)10bまたは柾目面10cとが直角に交じわる境界線Bと木口面10aの年輪線RLとがなす鋭角側の交差角度α(年輪角α)が60度以下の範囲内である板目材または柾目材を用いるのが好ましい。境界線Bと木口面10aの年輪線RLとがなす鋭角側の交差角度αが60度以下であれば、加熱圧縮により年輪の座屈変形による早材部の割れが生じ難くなる。特に、節部Kが存在し、節部Kの周囲で年輪線RLの乱れがあっても、それ以外の部分の年輪角αが60度以下であれば、節部Kやその周囲の節付近部Lで割れ等を生じることのない加熱圧縮が可能である。
なお、この加工前の木材NU,NDについて、辺材(白太・白身)または心材(赤身)を問うものではないが、一般的にスギ等の針葉樹においてはヤ二の量が多いところ、心材に比べ辺材の部分では加熱圧縮によるヤ二の表出量が少ないことから、辺材の占有量が多いほど好適に用いることができる。また、辺材は心材に比べ明るい色彩であることから、圧密したときの濃色変化が心材よりも抑制され、良好な外観が保持される。
加工前の木材NU,NDは、間伐材、風害・水害・雪害・森林火災・凍害・虫害等の自然災害によって倒れたり芯割れを起こしたりして丸太の状態では使えなくなった傷害木材、端材等を用いてもよい。これによって、低コスト化を図ることができ、また、環境美化にも貢献することができる。
所定厚みの木材に製材された加工前の木材NU,NDは、塑性加工木材製造装置100を用いて所定の圧密加工を行う前に、繊維飽和点以下の含水率となるように乾燥される。繊維飽和点以下の含水率、好ましくは、気乾状態以下の含水率となるように一旦乾燥させることで木材の内部側で強度を持たせ、また、木材の表面側で後の加熱圧縮より十分な化学変化を起こさせることができる。なお、木材の含水率とは、水分を含まない木材重量(全乾重量,ドライベース)に対する水分重量の割合であり、例えば、高周波含水率計等の測定器を用いて測定が可能である。一般的に、その木材の表面側から水分が蒸発することから、木材の含水率は、その表面に近くなるほど低くなるが、ここでの含水率は木材全体の含水率として測定される値を示す。
このときの含水率が低いほど木材の表裏面側で圧縮を集中させて圧縮率を高めることが可能であるが、木材の含水率を必要以上に低くし過ぎると、木材の収縮により強度が損なわれ乾燥過程で割れ等が生じる。また、木材に節部Kが存在する場合には、節部K及びその周囲の節付近部Lの水分の吸放湿性特性が高く、水分が蒸発しやすいことで、乾燥過程で節部K及びその周辺の節付近部Lに割れ、亀裂等が発生しやすくなる。
そこで、本発明者らの実験研究によれば、スギ等の針葉樹であれば、加工前の木材NU,NDを全体の含水率が5%~15%の範囲内となるように乾燥させて乾燥木材DWとするのが好ましい。より好ましくは、含水率が8%~10%の範囲内である。
木材全体の含水率として測定される含水率が、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下であれば、木材の内部側の含水率が極めて低い状態となり木材の内部側が高い繊維強度を持って圧縮され難い状態となる。これより、後に水分付加される木材の表裏面側に後の加熱圧縮による圧縮が集中することになり、木材の内部側に圧縮ストレスが掛かり難くなる。よって、節部Kが存在する場合でも、後の加熱圧縮で木材の内部に圧縮ストレスが掛かり難いことで、節部Kに無理な圧縮力が加えられないから、節部Kの繊維の座屈、破壊等が生じ難い。
また、このように木材内部の含水率を極めて低い状態としても、節部Kが存在すると、その節部Kの周囲の節付近部Lでは高い吸湿特性によって後の加熱圧縮時に組織が適度に柔らかくなるから、節部Kが外力を受けたときでも節部Kの動きに追従して組織を変形させることができ、節部Kやその周辺に大きな応力、ストレスが掛かることがない。そして、木材全体の含水率として測定される含水率が、好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上であれば、木材内部で圧縮され難い強度を確保でき、節部Kが存在する場合でも、節抜けが生じ難く、また、その後の寸法変化も生じにくい状態となる。
加工前の木材NU,NDを所望の含水率にする乾燥は、図9(b)に示すように、公知の乾燥装置、例えば、公知の高温蒸気を熱源とし、冷凍機等を内蔵する人工乾燥機D等により所定条件に乾燥することができる。この際、加工前の木材NU,NDの全体含水率が予め測定され、このときの含水率や加工前の木材NU,NDの樹種、その厚み等をパラメータとし、乾燥後に所定の含水率となるように、人工乾燥機D等の乾燥装置における乾燥条件、即ち、所定の温度、湿度、乾燥時間(スギ材の場合には、例えば、乾燥温度が約40~100℃、乾湿球温度差が約1~30℃、乾燥期間が3~10日程度)等が設定される。なお、通常、乾燥期間中において乾燥温度は徐々に上昇させ、湿度は徐々に下降させるように設定される。
なお、加工前の木材NU,NDを所定の含水率に乾燥させる手段は、人工的な乾燥に限定されることなく、自然乾燥との併用であってもよい。また、上記では原木、丸太から切り出した木材を所定の寸法に製材してから乾燥させる説明としたが、本発明を実施する場合には、原木、丸太から切り出した木材を所定の含水率まで乾燥させてから所定の寸法に製材してもよい。
続いて、本実施の形態においては、木材の厚み方向の表裏側を加熱圧縮し易くするために、加工前の木材NU,NDを所定の含水率となるように乾燥させることで形成された乾燥木材DWの表面側に対して水分付加、即ち、図9(c)に示すように、加湿を行う。
例えば、水Wが張られた水槽5内の水Wの中に乾燥木材DW全体を浸漬することにより、乾燥木材DWの表面側に対して水分付加を行うことができる。なお、乾燥木材DWを浸漬するための水槽5内の水Wの中に乾燥木材DWを浸漬するに際しては、枠体や金網状の容器等に入れ、乾燥木材DWが浮力で浮き上がらないようにするため、乾燥木材DWの上面側に、ストッパー、蓋等が設けられる。
このときの水分付加は、例えば、浸漬時間を30秒~60秒程度とし、表面側から内部に向かって水分が浸透しても上記含水率を調整した乾燥木材DWと比して全体の含水率が3%以下の上昇に抑えられる程度で行われる。即ち、一般的に、水分の浸透は、木材の板目方向や柾目方向からに比して、導管の通路口がある木材の木口面側からの浸透が高いところ、ここでの水分付加は、木材の目方向に関係なく木材の表面全体が水分で濡れて加湿される程度であり、木材内部に浸透するとしてもその深さは1mm以内であり、木材全体の水中への浸漬によって加熱圧縮される面(木材の厚み方向の表裏面)以外に水分が付加されていても、それが1mm以内の深さであれば所定の圧縮率とする圧縮に実質的に問題がない。
なお、本発明を実施する場合には、後の加熱圧縮で木材内部の圧縮変形を抑えて木材の表裏側に圧縮を集中させることができればよいから、乾燥木材DWの全表面に水分を付加させなくても、加熱圧縮される面のみを選択的に付加してもよい。即ち、乾燥木材DWの少なくとも加熱圧縮される面である板材NU,NDの厚み方向の表裏面に水分を付加できればよい。乾燥木材の表面側に水分を付加する手段も、水中への木材の浸漬に限らず、特定の面に水をスプレー等で噴霧、吹き付けをしても良いし、刷毛等で水を塗布しても良い。
そして、所定の含水率とした乾燥木材DWであれば、それを水中に短時間浸漬させるだけで、乾燥木材の表面側に水分が直ぐに付加され、特に、全体を水中に浸漬させる場合であっても、短時間の浸漬では、木材の目方向(木口面または板目面または柾目面)で浸透率の差も殆ど見られず、表面側の水分付加による材強度の低下により、後の加熱圧縮で表面側が加熱圧縮され易くなるという効果が得られる。
次に、このようにして乾燥木材DWの表面側に水分が付加されることで形成された表面含水木材WWに対し、加熱圧縮及び圧縮固定化による圧密加工を行う。
ここで、図9(d)に示すように、表面含水木材WWに対して圧密加工を行う塑性加工木材製造装置100は、主として、上プレス盤PAと下プレス盤PBとの2分割された構造体によって内部空間ISを形成するプレス盤10Xと、下プレス盤PBの周縁部10bに対向する上プレス盤PAの周縁部1aに配設され、上プレス盤PAの所定の上下動の範囲で内部空間ISを密閉状態とするシール部材11と、上プレス盤PAの上面側から内部空間IS内に連通され、内部空間IS内に蒸気を供給するための配管口12aを有する配管12と、その上流側のバルブV4と、下プレス盤PBの側面側から内部空間IS内に連通され、内部空間IS内から水蒸気を排出するための配管口13aを有する配管13と、配管13内の蒸気圧を検出する圧力計P2と、その下流側のバルブV5と、バルブV5に接続されたドレン配管14等から構成されている。
プレス盤10Xの上プレス盤PA及び下プレス盤PB内には、それらを高温の水蒸気を通すことによって所望の温度に昇温するための配管路15,16が形成されており、これら配管路15,16には蒸気供給側の配管ST1から分岐された配管ST2,ST3、蒸気排出側の配管ET1,ET2がそれぞれ接続されている。そして、蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3の途中にはバルブV1,V2,V3、配管ST1内の蒸気圧を検出する圧力計P1が配設されており、蒸気排出側の配管ET1,ET2は、バルブV6を介してドレン配管14に接続されている。
更に、プレス盤10Xには、上プレス盤PA及び下プレス盤PB内に形成された配管路15,16に水蒸気に換えて低温の冷却水を通すことによって所望の温度に冷却する冷却水供給側の配管ST11から分岐された配管ST12,ST13が、上記配管ST2,ST3にそれぞれ接続されている。また、冷却水供給側の配管ST11,ST12,ST13の途中にはバルブV11,V12,V13が配設されている。
なお、図において、配管ST1に水蒸気を供給するボイラ装置、配管ST11に冷却水を供給する冷却水供給装置、プレス盤10Xの固定側の下プレス盤PBに対して上プレス盤PAを上昇/下降させ加圧するための油圧機構を含むプレス昇降装置は省略されている。
本実施の形態では、プレス盤10の上プレス盤PA及び下プレス盤PBの加熱に高温の水蒸気を導入しているが、本発明を実施する場合、プレス盤10Xの加熱媒体は高温の水蒸気に限定されず、油等を用いてもよいし、木材を高周波加熱、マイクロ波加熱、加熱ヒータ等の加熱手段で加熱することも可能である。特に、木材に対する高周波加熱は、マイクロ波による誘電過熱よりも、マイクロ波よりも若干周波数の低い高周波で、木材の中心から加熱する方法が好適である。
プレス盤10Xにおいては、木材の厚み方向の表裏面全体をプレス可能な平面サイズの平面金型が使用され、その材質は特に問われるものでないが、木材が鉄イオン汚染により黒色化しないように、例えば、ステンレス、アルミニウム等の鋼材を使用したり、表面含水木材WWとの接触表面にメッキ加工を施したりする。特に、ステンレス鋼、アルミニウム鋼等からなるプレス盤10Xや、メッキ処理が施されたプレス盤10Xによれば、表裏面に節部Kが存在する表面含水木材WWに対しプレス盤10Xで加熱圧縮する場合であっても、節部Kから溶出したヤニ等の樹脂分がプレス盤10Xに付着することによる木材への変色汚染を防止でき、また、節部Kに対してプレス盤10Xに傷や凹み等が生じ難い強度を有する。更に、内部空間ISを密閉状態とするためのシール部材11も、その材質は特に問われるものでないが、通常、耐熱性や耐水性に優れたシリコンゴム、シリコン樹脂等が使用される。
このように構成された塑性加工木材製造装置100を用いて表面含水木材WWを圧密化するにあたっては、まず、図8(a)に示すように、プレス盤10Xを構成する固定側の下プレス盤PBに対して、可動側の上プレス盤PBを上昇させておき、固定側の下プレス盤PBに表面含水木材WWを載置する。
ここで、本実施の形態において、上プレス盤PAと下プレス盤PBとの2分割されたプレス盤10Xによってプレス圧縮される方向は、表面含水木材WWの木目の長さ方向に対して垂直方向の面(木材の厚み方向の表裏面)に対し直角方向に圧縮力が加えられる。
例えば、図8(d)に示すように、表面含水木材WWが板目材の場合には、その木目の長さ方向に対して垂直方向の板目面のうち木裏側(年輪の内側)をプレス盤10Xの下プレス盤PBに載置する。即ち、板目面の木裏側を下プレス盤PBに対向させて、板目面の木表側を上プレス盤PAに対向させて配置し、表面含水木材WWの木目の長さ方向に対して垂直な板目面側がプレス盤10Xにてプレス圧縮される面となる。
図9(d)に示すように、表面含水木材WWが柾目材の場合には、その木目の長さ方向に対して垂直方向の柾目面をプレス盤10Xの下プレス盤10Bに載置し、表面含水木材WWの木目の長さ方向に対して垂直な追柾面側がプレス盤10Xにてプレス圧縮される面となる。
表面含水木材WWの影響は、乾燥木材DWに対して圧縮率が高められた領域が図6(b)及び図6(c)で示したように、圧密加工による密度の高まりによって表層部F及び裏層部Rの濃色領域とされる。つまり、圧密加工により表層部Fと、表層部Fとは反対側の裏層部Rと、それらの間の内層部Iとの3層構造が形成された塑性加工の木材PU,PDの隙間に入り込むから、塑性加工の木材PU,PDの上面と下面も表層部Fと裏層部Rと同様に硬い面となる。硬さは表層部Fと裏層部Rよりも弱いと推定されるが、表面の硬度を上げることができる。
圧密加工、即ち、加熱圧縮処理を行うにあたり、このように表面含水木材WWの木目の長さ方向に対して垂直な面側をプレス盤10Xの上プレス盤PA及び下プレス盤PBに対向させ、固定側の下プレス盤PBに載置した表裏層含水木材WWに対し、図8(b)に示すように、まず、上プレス盤PAを所定圧力(例えば、0.05~0.3〔MPa〕)にて下降させて表面含水木材WWの上面、即ち、木目の長さ方向に対して垂直方向の上面側に所定時間(例えば、10秒~120秒)当接させる。このとき、上プレス盤PAの配管路15及び下プレス盤10Bの配管路16に所定温度(例えば、110~210〔℃〕、昇温処理時間10~25[分])の水蒸気を通して上プレス盤PA及び下プレス盤PBは所定温度(例えば、110~210〔℃〕)に加熱されている。
そして、固定側の下プレス盤PBに対して上プレス盤PAの圧縮圧力が所定圧力(例えば、2~5〔MPa〕、20~50kg/cm2)に設定され上プレス盤PAを下降させていき(例えば、処理時間0.5~3〔分〕、圧縮スピード15~100〔mm/分〕)、上プレス盤PA及び下プレス盤PBにて表面含水木材WWを加熱圧縮していく。上プレス盤PAが下降し、上プレス盤PA及び下プレス盤PBにより表面含水木材WWが加熱圧縮されて、上プレス盤PAの周縁部1aが下プレス盤10Bの周縁部10bに当接したとき、図8(c)に示すように、上プレス盤PAの周縁部1aに配設されたシール部材11によって、上プレス盤PA及び下プレス盤PBにて形成される内部空間ISが密閉状態となる。
このとき、表面含水木材WWの内部が低含水率で高強度状態とされているのに対し、高温状態とされた上プレス盤PA及び下プレス盤PBが当接される表面含水木材WWの表裏面(上面及び下面)には水分が付加されて表裏面が濡れていることで、その表裏面は圧縮されやすく、また、木材の表裏面に上プレス盤PA及び下プレス盤PBが当接されているために木材の表裏面側の余剰水分が水蒸気化されても表裏面側から逃げることなく内側に浸透していき、その水分が浸透した範囲で圧縮率が高まることになる。よって、内層側に掛かるストレスを少なくできる。このため、内側に節部Kの組織が存在してもその節部Kに掛かるストレスを少なくできる。そして、このときに圧縮率が高められた領域が、図2(b)及び(c)等で示したように、圧密加工による密度の高まりによって表層部F及び裏層部Rの濃色領域とされる。つまり、圧密加工により表層部Fと、表層部Fとは反対側の裏層部Rと、それらの間の内層部Iとの3層構造が形成された塑性加工の木材PU,PDとなる。
ここで、木材の含水率、プレス盤10Xの圧力、加熱温度、加熱時間、圧縮スピード等の調節によって、可動側の上プレス盤PAに対向し水分付加された上層側で45%~65%の範囲内の圧縮率とする高密度濃色領域となる表層部F、固定側の下プレス盤PBに対向する下層側で上層側(表層部F)より低い圧縮率の15%~40%の範囲内の圧縮率とする中密度濃色領域となる裏層部R、上層側及び下層側よりも低い圧縮率の10%~30%の範囲内の圧縮率とする低密度淡色領域となる内層部Iを形成できるように、木材の樹種や乾燥木材の含水率等をパラメータとして予め実験等によって最適値が設定される。
特に、乾燥によって表面含水木材WWの内側が所定の低含水率で高強度状態とされ、また、表面含水木材WWの表面側に水分が付加されていることで、所定温度に加熱したプレス盤10Xについて、下プレス盤PBを固定し、上プレス盤PAを可動させて表面含水木材WWの上面に所定の圧力で当接し所定の圧縮スピードで下降させると、木材内層側の高い繊維強度といった力学的特性から、また、表面側の水分及び高熱による木材成分の化学特性変化による強度低下(ヘミセルロースやリグニン等の非晶成分等の加水分解、軟化点の低下)から、上面側が最も圧縮されやすく、次いで下面側が圧縮されやすくなっている一方で、それらの内側では圧縮ストレスが掛かり難く上層側及び下層側よりも低い圧縮率となる。
なお、本実施の形態において、プレス盤10Xの上プレス盤PA及び下プレス盤PBによって形成される内部空間ISがシール部材11を介して密閉状態となったときにおける内部空間ISの上下方向の寸法間隔は、プレス盤10Xによって表面含水木材WWが厚みに対して所定圧縮率の塑性加工の木材PU,PDとなるときの厚み方向の仕上がり寸法に設定されている。このため、表面含水木材WWの厚み全体の圧縮率、即ち、表面含水木材WWの圧縮による板厚の変化(圧縮量)は、上プレス盤PAの周縁部1aが下プレス盤PBの周縁部10bに当接することで決まることとなる。
例えば、製材された加工前の木材NU,NDの全体厚みが30mmである場合、その30mmの全体厚みに対して20%の圧縮率とする圧縮であると塑性加工の木材PU,PDの全体厚みが24mm、30%の圧縮率で圧縮すると塑性加工の木材PU,PDの全体厚みが21mm、圧縮率が40%で圧縮すると塑性加工の木材PU,PDの全体厚みが18mmとなる。製材された加工前の木材NU,NDの全体厚みが40mmである場合、その40mmの全体厚みに対して20%の圧縮率とする圧縮であると塑性加工の木材PU,PDの全体厚みが32mm、30%の圧縮率で圧縮すると塑性加工の木材PU,PDの全体厚みが28mm、圧縮率が40%で圧縮すると塑性加工の木材PU,PDの全体厚みが24mmとなる。製材された加工前の木材NU,NDの全体厚みが50mmである場合、その50mmの全体厚みに対し20%の圧縮率とする圧縮であると塑性加工の木材PU,PDの全体厚みが40mm、30%の圧縮率で圧縮すると塑性加工の木材PU,PDの全体厚みが35mm、圧縮率が40%で圧縮すると塑性加工能力の木材PU,PDの全体厚みが30mmとなる。
なお、上プレス盤PAの周縁部1aや下プレス盤PBの周縁部1bを、例えば、厚さを規制するための治具、型枠、ゲージ等で構成すると、塑性加工の木材PU,PDの所望とする仕上がり厚みに応じて上プレス盤PAの周縁部1aや下プレス盤PBの周縁部1bの高さが調整可能とされる。更に、このとき表面含水木材WWの側面側で、例えば、横方向(水平方向)への延びを規制するための図示しない規制具(スペーサ)を配置することも可能である。規制具によって表面含水木材WWが横方向(水平方向)に延びる変化、即ち、圧縮方向に対して直角方向の延び変化を規制しておけば、特定の寸法、比重に固定化しやすくなり、製品間のばらつきを防止でき高い品質を確保できる。このような規制をした場合には、木材の幅方向の端部でその密度が高まることもある。また、逆に、規制をしない場合には、木材の幅方向の端部が中央側よりも密度が低くなることもある。木材の幅方向の密度差によっては、圧密加工後に木材の幅方向の端部側の表面を切削加工することも可能である。
次に、図8(d)に示す内部空間ISの密閉状態で、上プレス盤PA及び下プレス盤PBの圧縮圧力が維持され、かつ、上プレス盤PA及び下プレス盤PBが所定温度(例えば、110~210〔℃〕)のまま、木材の加熱圧縮処理の定着、所謂、木材の固定化処理を行う。
例えば、バルブV4に接続された配管12、配管口12a(図7)を介して、密閉状態とされた内部空間ISに所定の蒸気圧を供給し、上プレス盤PA及び下プレス盤PBの圧縮圧力及び加熱温度を加熱圧縮の際の圧力及び加熱温度と同じ所定圧力及び温度に保持したまま、密閉状態の内部空間ISが所定の温度及び蒸気圧で所定時間(例えば、20分~90分)保持される。内部空間ISに所定温度(例えば、110~210〔℃〕)の高温水蒸気を導入し、密閉状態の内部空間ISを所定の温度及び蒸気圧とすることにより、高温高圧の蒸気の作用によって密閉状態の内部空間IS内に配置されている加熱圧縮された木材全体に対し十分な化学変化を生じさせ性状を一様化させる。これにより、この後の冷却圧縮を解除したときに戻りのない塑性加工の木材PU,PDを形成できる。
なお、このとき表面含水木材WWの周囲面とその内部とでは高温高圧の蒸気圧が出入り自在となっているが、加熱圧縮された木材の含水率によっては、上プレス盤PA及び下プレス盤PBで密閉状態とされている内部空間IS内が所定の蒸気圧となるように調節してもよい。例えば、表裏含水木材Wの表裏側の含水率に基づく内部空間IS内の余分な水分が除去され、内部空間IS内が所定の蒸気圧となるように調節される。この際、内部空間ISの密閉状態で加熱圧縮された木材の固定化処理が行われているときに、蒸気圧制御処理として圧力計P2で内部空間ISの蒸気圧が検出され、バルブV5が適宜、開閉される。これにより、配管口13a、配管13を通って内部空間ISからドレン配管14側に高温高圧の水蒸気を排出できる。また、必要に応じて、密閉状態とされている内部空間ISに所定の蒸気圧を適宜供給することもできる。
そして、図8(d)に示すように、上プレス盤PA及び下プレス盤PBによる加熱圧縮から冷却圧縮へと移行する直前に、蒸気圧制御処理としてバルブV5が開状態とされることで配管口13a、配管13を通って圧縮空間ISからドレン配管14側に高温高圧の水蒸気が排出される。これにより、木材の加熱圧縮処理、所謂、木材の固定化がより促進されることとなる。この際、上プレス盤PA及び下プレス盤PBを特定温度に維持するための水蒸気も一旦、供給停止される。
最後に、図8(e)に示すように、上プレス盤PAの配管路15及び下プレス盤PBの配管路16に常温の冷却水を通すことによって、上プレス盤PA及び下プレス盤PBを常温前後まで冷却し、所定時間(例えば、20~90〔分〕)保持される。なお、このときの固定側の下プレス盤PBに対する上プレス盤PAの圧縮圧力は、加熱圧縮の際の圧力と同じ所定圧力(例えば、2~5〔MPa〕)に保持したまま、上プレス盤PA及び下プレス盤PBを冷却する。
その後、図8(f)に示すように、固定側の下プレス盤PBに対して上プレス盤PAを上昇させ、内部空間ISから仕上がり品である塑性加工の木材PU,PDを取出して一連の処理工程が終了する。
この後、必要に応じて、平面性を確保するために、表層部Fの表面の片面のみを切削加工してもよいし、表層部F及び裏層部Rの両面(表裏面)や側面を切削加工してもよい。また、必要に応じて、水分や汚れ対策として樹脂等による表面コーティグが施されることもある。
以上説明してきた製造方法によって、木材NU,NDの木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により木材NU,NDが圧密化されてなる塑性加工能力木材PU,PDであって、加熱圧縮による圧縮率が高い高密度濃色領域である表層部Fと、表層部Fとは反対面側に形成され、加熱圧縮による圧縮率が表層部Fよりも低い中密度濃色領域である裏層部Rと、表層部Fと裏層部Rの間に形成され、加熱圧縮による圧縮率が表層部F及び裏層部Rよりも低く薄色の色調を呈する低密度薄色領域である内層部Iとからなり、密度分布が表層部F及び裏層部Rの表面から木材内部に向かって徐々に密度の高い状態から低い状態に変化している塑性加工の木材PU,PDを製造することが可能である。
このように、上プレス盤PA及び下プレス盤PBによる面接触で加熱圧縮し、密閉状態の内部空間ISに保持された木材の圧密化の固定では、熱効率よく圧縮変形して圧縮後の戻りも少ないから、安定して高品質の製品を提供できる。
しかし、本発明を実施する場合には、上述した製造方法に限定されることなく、例えば、圧縮ローラや圧延ロールを用いた製造であってもよい。
このときに圧縮率が高められた領域が、圧密加工による密度の高まりによって表層部F及び裏層部Rの領域とされる。つまり、圧密加工により表層部Fと、表層部Fとの裏層部Rと、それらの間の内層部Iとの3層構造が形成された塑性加工の木材PU,PDとなる。したがって、節部K及びその周囲の節付近部Lの水分の特性が、圧密加工による密度の高まりによって表層部F及び裏層部Rの濃色領域とされる。つまり、圧密加工により表層部Fと、表層部Fとは反対側の裏層部Rと、それらの間の内層部Iとの3層構造が形成された塑性加工の木材PU,PDとなる。
以上説明してきたように、上記実施の形態の塑性加工の木材PU,PDは、木材NU,NDの木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により木材NU,NDが塑性加工されてなる塑性加工の木材PU,PDであって、加熱圧縮された表層部F及びその反対側の裏層部Rが、表層部F及び裏層部Rの間に介在する内層部Iよりも高い圧縮率によって、表層部Fと裏層部Rと内層部Iの3層からなる表層圧縮材には、木材の木口面に表れる表層部Fと内層部Iの境界及び内層部Iと裏層部Rの境界に形成された年輪線RLの屈曲点f1,f2とを具備するものである。このときに圧縮率が高められた領域が、図1乃至図9等で示したように、圧密加工による密度の高まりによって表層部F及び裏層部Rの濃色領域とされる。つまり、圧密加工により表層部Fと、表層部Fとは反対側の裏層部Rと、それらの間の内層部Iとの3層構造が形成された塑性加工の木材PU,PDとなる。
また、上記実施の形態の塑性加工の木材PU,PDは、木材NU,NDの木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により木材NU,NDが塑性加工されてなる塑性加工の木材PU,PDであって、加熱圧縮による圧縮率が最も高い高密度濃色領域である表層部Fと、表層部Fとは反対面側に形成され、加熱圧縮による圧縮率が表層部Fよりも低い中密度濃色領域である裏層部Rと、表層部Fと裏層部Rの間に介在し、加熱圧縮による圧縮率が表層部F及び裏層部Rよりも低くて表層部F及び裏層部Rよりも薄色の色調を呈する低密度薄色領域である内層部Iを具備し、しかも、表層部Fを最も高い圧縮率とし、表層部Fとは反対面側の裏層部Rを表層部よりも低い圧縮率とし、更に、表層部Fと裏層部Rの間に介在する内層部Iを最も低い圧縮率とする塑性加工としたものを節部K及びその周囲の節付近部Lの周囲に形成すると、全体の圧縮率により、その圧縮にあった緩衝効果が得られる。
念のため記載するが、本実施の形態のように、表層部F、裏層部R、内層部Iを有しないものでも、圧縮率を少なくすれば実現できる。
このような上記実施の形態の塑性加工の木材PU,PDは、木材NU,NDの木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮で、表面側からその反対面側の裏面側までの厚み方向において、その表層部F及び裏層部Rで圧縮率を高くし、その間の内部を低い圧縮率とする塑性加工であるから、表層部F及び裏層部Rが圧縮され易く木材内部が圧縮し難い状態とされ、木材の内層部Iに圧縮によるストレスが掛かり難いようにされたものである。更に、表層部Fが最も高い圧縮率の高密度とされ、表層部Fとは反対側の裏層部Rが表層部Fよりも低い圧縮率であり、表層部Fと裏層部Rで圧縮率の差があるから、木材の厚み方向に対して加えた加熱圧縮力に対する木材内部の応力の集中が緩和されたものである。
こうして、上記実施の形態の塑性加工の木材PU,PDは、木材内部における圧縮ストレスを少なくしたものであるから、節部Kが存在する場合であっても、その節部Kの組織全体に無理な圧縮力が加えられず、特に、木材内部で節部Kの繊維に過剰なストレスが掛からないようにしたものである。そして、このように木材内部を圧縮し難い状態とされたものでも、加熱圧縮処理時に節部K及びその周囲の高い吸放湿特性によって節部Kの周囲は木材組織の繊維が軟化して変形しやすく、加熱圧縮力による節部Kの動きは規制されない。
よって、上記実施の形態の塑性加工の木材PU,PDによれば、節部Kが存在する場合であっても、木材内部で節部Kやその周囲の繊維に過剰なストレスが掛からず、加熱圧縮力による節部Kの応力の発生も少ないことで、節部Kやその周囲の繊維の傾き、座屈、潰れ、破壊等が生じ難く、木材の割れ(クラック、亀裂)が生じ難いものである。
特に、表層部Fは加熱圧縮により元の木材NU,NDの気乾密度に対する圧縮率で45%~65%の範囲内の圧縮率とされ、裏層部Rは、元の木材NU,NDの気乾密度に対する圧縮率で15%~40%の範囲内の圧縮率とされ、内層部Iは、加熱圧縮により元の木材NU,NDの気乾密度に対する圧縮率で10%~30%の範囲内の圧縮率とされることで、板目材や柾目材等の木取り、木目の相違を問わず、また、節部Kの占有率が10%~20%と高くても、クラック、亀裂等の割れがなく、例えば、床材等として使用しても傷跡や凹みが付き難い実用的に十分な硬度や強度を有し木材特性が安定した塑性加工の木材PU,PDとなる。
また、上記実施の形態の塑性加工の木材PU,PDによれば、表層部Fを最も高い圧縮率の高密度塑性加工領域として元の木材NU,NDの傷付き易さを解消でき、更に、内層部Iよりも高い圧縮率の表層部F及び裏層部Rで内層部Iを平行的に挟んだ3層構造により、機械的に安定した強度となるから、元の木材NU,NDよりも機械的強度を強くできる。そして、内層部Iよりも高い圧縮率の表層部F及び裏層部Rで内層部Iを挟んでいることで、表裏で膨張収縮率のバランスがよい。特に、膨張収縮率の大きい木表側を表層部Fとしたとき、そこを高密度の塑性加工とする一方で、膨張収縮率の小さい木裏側の裏層部Rを表層部Fよりも低い圧縮率とする塑性加工とするから、元の木材NU,NDの表裏の膨張収縮率の差が縮小、バランスされる。更に、節部K及びその周囲の高い吸放湿特性により周囲環境条件の変化でそこに収縮膨張力が生じても、内層部Iは圧縮率の低い低密度塑性加工領域であるから、そこが緩衝作用を持つ。よって、周囲環境条件が変化しても内部の応力の発生が少ないものとなる。
更に、上記実施の形態の塑性加工の木材PU,PDは、表層部F側からその反対面側の裏層部R側までの厚み方向の密度分布が、表層部Fの表面側及び裏層部Rの裏面側から内側に向かって徐々に密度の高い状態から低い状態に変化していることから、木材の厚み方向で密度差の急激な変化が生じないことで、収縮膨張力の相違による応力の集中も生じ難いものである。
したがって、上記実施の形態の塑性加工の木材PU,PDは、節部Kが存在する場合であっても、周囲環境条件の変化によって節部Kに掛かるストレスが少なく、節部Kやその周囲での割れ、木材のクラック、亀裂等の割れを生じさせない対応であり、また、全体の歪み等の発生も生じ難く、寸法形状安定性が高いものである。
特に、表層部Fの厚みに対し、内層部Iの厚みが2~5倍の範囲内であり、裏層部Rの厚みが0.5~1倍の範囲内であると、木表側板目面または追柾面での測定で、例えば、直径1cm以上の大きな節部Kが厚み方向に貫通して存在する場合でも、また、節部Kの占有率が10%~20%のものでも、節部Kに掛かる圧縮ストレスが少なく、節部Kの繊維の座屈、押し潰れ、破壊等が生じ難いものである。節部Kが厚み方向に貫通して存在する場合でも、圧縮による節部K及びその周囲の顕著な濃色化、黒色化が抑えられ、表面意匠性が確保される。更に、表裏の厚み、圧縮率のバランスもよくなるから、周囲環境条件が変化したときの膨張収縮率の相違による内部の応力集中を抑えることができる。
また、表層部Fの気乾密度に対し、内層部Iの気乾密度が0.35~0.65倍の範囲内であり、裏層部Rの気乾密度が0.6~0.8倍の範囲内であると、全体で膨張収縮率のバランスがよく、周囲環境条件が変化したときの木材の収縮膨張による内部の応力発生を少なくできる。
よって、木材に10%~20%の高い占有率で節部Kが存在している場合であっても、周囲環境条件が変化したときの収縮膨張率の違いによるストレスで節部Kやその周囲で割れ(亀裂、クラック)が生じることがなく、安定した品質が確保される。
また、複数の塑性加工の木材PU,PDをそれら木目の長さ方向を一致させて幅方向に横継ぎ接合して大きな寸法の木材(板材)を形成する場合にあっても、幅方向で収縮膨張率が略等しいから、周囲環境条件の変化によって接合面に負荷が掛かることはなく、大きな応力が生じ難いから、節部Kが存在する場合であっても、木材割れや歪み等が生じ難いものである。
加えて、このように節部K全体に過剰なストレスが入り難いことで、製品化後に周囲環境条件が変化した際でも、節部Kからヤニが多量に析出することもなく、ヤニの析出による商品価値の低下もない。更には、節部K全体が高圧縮されないから、節部K及びその周囲の顕著な濃色化、黒色化が抑えられ、良好な外観を保持できる。
当然、元の木材NU,NDの全体の体積低下や全体比重が高くなることの重量増加が抑えられ、歩留まりも良好である。
そして、本発明を実施する場合には、塑性加工の木材PU,PDとしては、例えば、杉、松(カラマツ、ドドマツ、リュウキュウマツ等)、檜、欅、ウォールナット(胡桃)、イエローポプラ等を用いることが可能である。特に、杉材は、我が国において広く分布しており、間伐材等を容易に大量に入手することができ、環境保全に貢献できるうえ、加工も施しやすい。また、圧密化によって高硬度を獲得でき、木材の厚み方向に加熱圧縮した際に、木材は幅方向の延びが少ないから、幅方向の密度分布のばらつきが生じ難く比重等の木材特性、品質の安定化が可能である。
上記実施の形態の立体圧密木材は、各6面の板面として形成した2枚の板材のうち、少なくとも対向する面には1ヶ所以上の節部Kが形成されており、前記対向する面に対して垂直に外力を加える圧密加工によって、各板材のうちの少なくとも1面には節部Kの露出面を平面とする節部Kの周囲を徐々に厚みを薄く形成した凸節自体Nと、前記凸節自体の圧密で、凹に形成された前記節部自体に押圧されて変形された凹節転写体Mとを具備するものである。
上記実施の形態の立体圧密木材によれば、各6面の板面として形成した、前記2枚の板材のうち、少なくとも前記1枚の板材には節部Kを有し、前記節部Kを有する面を互いに対向させて重ね合わせ、重ね合わせた2枚の各対向面に対し、互いに厚みが少なくなるように圧縮し、かつ、それを固定化するものである。
したがって、その節部の凸節自体Nは、相手材の衝突部分を押圧する。しかも、節部は固いから、特定部位に歪、ストレスが入ることがない。加熱圧縮の処理時にクラック、亀裂等の割れが、生じることがない。特に、節は相手材の衝突部分を押圧するから、当該場所に窪みが形成される。よって、前記節部が形成された面には、凸に形成された凸節自体Nと、他の節に押圧された凹に形成されて変形された凹節転写体Mとが立体的に形成される。特に、本発明は、欄間、羽目板、羽目板壁、羽目板天井、羽目板腰壁、巾木に有用である。
上記実施の形態の立体圧密木材は、重ね合わせた2枚の板面の対向面の各々には、サンドブラストによる吹付け、布研磨または不織布研磨、回転ブラシのうちのいずれか1つの仕上げを行うことを特徴とする。
上記実施の形態の立体圧密木材によれば、重ね合わせた2枚の板面の対向面側には、サンドブラストの吹付けを行ったもの、布研磨または不織布研磨、回転ブラシのうちの何れか1つを行ったことにより、表面処理を行うものであるから、2枚の板面の互いの対向面に磨きをかけることになる。また、特定部位に歪、ストレスが入りやすくなり、加熱圧縮の処理時に割れ(クラック、亀裂)等が生じやすくなっても、接着剤を先に刷り込み、その後にサンドブラスト、布研磨、不織布研磨、回転ブラシのうちの何れか1つを行ったことにより、仕上げ面を良好に処理できるから、対向面側表面の平滑面を意匠面とすることができる。また、欄間、羽目板、羽目板壁、羽目板天井、羽目板腰壁に使用しても、人が触れることによる棘が刺さる等のトラブルが生じない。
上記実施の形態の立体圧密木材は、前記対向する面に対して垂直に外力を加える圧密加工が、表層部Fを最も高い圧縮率とし、表層部Fとは反対面側の裏層部Rを表層部よりも低い圧縮率とし、更に、表層部Fと裏層部Rの間に介在する内層部Iを最も低い圧縮率とする塑性加工としたものである。
上記実施の形態の立体圧密木材の対向面に対して垂直に外力を加える圧密加工は、表層部Fを最も高い圧縮率とし、表層部Fとは反対面側の裏層部Rを表層部よりも低い圧縮率とし、更に、表層部Fと裏層部Rの間に介在する内層部Iを最も低い圧縮率とする塑性加工としたものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、節部及び節部の周囲の付近に対して、圧縮率を急激に高くしているものではないから、節部及び節部の周囲を内層部I及び表層部F、内層部I及び裏層部Rで囲み節部Kの緩衝とするから、節部Kに歪、ストレスが入り難くなり、加熱圧縮の処理時にクラック、亀裂等の割れ等が生じやすくなる。
このように、表層部Fを最も高い圧縮率とし、表層部Fとは反対面側の裏層部Rを表層部よりも低い圧縮率とし、更に、表層部Fと裏層部Rの間に介在する内層部Iを最も低い圧縮率とする塑性加工としたものを節部K及びその周囲の節付近部Lの周囲に形成すると、全体の圧縮率により、その圧縮にあった緩衝効果が得られる。
念のため記載するが、本実施の形態のように、表層部F、裏層部R、内層部Iを有しないものでも、圧縮率を少なくすれば実現できる。
また、節の中心となる凸節自体P及びその周囲近部Lの凸は、反転した形態の凹の凹節転写体M及びその木型近部Rと、基本的に節の中心となる凸節自体P及びその節の硬さに準じた節付近部Lとは、乾燥木材の板材NU及び板材NDの弾性、厚みによって深さが決定されるものであり、その塑性加工の一義的に決定されるものではない。
本実施の形態では、塑性加工としたものを節部K及びその周囲の節付近部Lの周囲と特定し、節によって圧縮率を少なくすれば実現できる発明について説明した。
本発明を実施する場合、図5に示す節部K及びその周囲の節付近部Lの周囲に特定されるものではない。即ち、節部K及びその周囲の節付近部Lは圧密加工からすれば、2枚の板材には節部K及びその周囲の節付近部Lによって、図5に示す凸節自体(図5のPa,Pb,Pc・・Pe参照)の圧密で、図5に示す凹(Ma,Mb,Mc・・Me)に形成された前記節自体に押圧されて変形された凹(Ma,Mb,Mc・・Me)節転写体を形成し、それを固定化したものである。しかし、同じ強さであれば、密度差、比重、弾性によって、凸(図5のPa,Pb,Pc・・Pe参照)節自体及び凹(図5のMa,Mb,Mc・・Me参照)節転写体が変化する。但し、生物界では、これら密度差、比重、弾性の変化する要件は、早材間または晩材間、繊維長等で違いが出てくるので、比較的安定な比重が異なる部分的(1cm3単位)範囲をとらえている。
本実施の形態の立体圧密木材は、各6面の板面として形成した2枚の板材のうち、対向する面には少なくとも部分的(1cm3単位)に比重が異なる箇所があり、前記対向する面に対して垂直に外力を加える圧密加工によって、各板材のうちの少なくとも2面には、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸部(Pa,Pb,Pc・・Pe)と、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹部(Ma,Mb,Mc・・Me)とを具備する。
ここで、各6面の板面として形成した2枚の板材においては、対向する面の部分的(1cm3単位)に比重が異なる材料を使用する。
また、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸(Pa,Pb,Pc・・Pe)部と、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹(Ma,Mb,Mc・・Me)部は、前記対向する面に対して垂直に外力を加える圧密加工によって、各板材のうちの少なくとも2面に、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸(Pa,Pb,Pc・・Pe)部、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹(Ma,Mb,Mc・・Me)部を形成したものである。
本実施の形態の立体圧密木材は、各6面の板面とする2枚の対向する面には、少なくとも部分的(1cm3単位)に比重が異なる箇所が存在する。前記対向する面に対して垂直に外力を加える圧密加工によって、各板材のうちの少なくとも2面には、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸(Pa,Pb,Pc・・Pe)部と、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹(Ma,Mb,Mc・・Me)部とを具備する。
ここで、各6面の板面として形成した2枚の板材においては、対向する面の部分的(1cm3単位)に比重が異なる材料を使用する。ここでは粗密を比重として表現している。ここで比重とは、ある物質の密度(単位体積当たり質量)と、基準となる物質との比で表現する。固体については水、気体については、同温度及び同圧力での空気を基準とする密度との比である。
また、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸(Pa,Pb,Pc・・Pe)部と、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹(Ma,Mb,Mc・・Me)部は、前記対向する面に対して垂直に外力を加える圧密加工によって、各板材のうちの少なくとも図2に示す2面に、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸(Pa,Pb,Pc・・Pe)部、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹(Ma,Mb,Mc・・Me)部を形成したものである。
更に、図4に示すように、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸(Pa,Pb,Pc・・Pe)部と、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹(Ma,Mb,Mc・・Me)部は、圧密加工された位置であるが徐々に厚みを厚く形成した凸(Pa,Pb,Pc・・Pe)部、徐々に厚みを薄く形成した凹(Ma,Mb,Mc・・Me)部は、質量が小さい箇所が外力の変化が大きくなる場合と、逆になる場合もある。2枚の板材を所定の圧力で押圧すれば原理的には、均一になる。しかし、弾性による変化による戻りがあるので、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹(Ma,Mb,Mc・・Me)部、圧密加工された位置であるが徐々に厚みを厚く形成した凸(Pa,Pb,Pc・・Pe)部は、一義的に特定できない。
即ち、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹(Ma,Mb,Mc・・Me)部、圧密加工された位置であるが徐々に厚みを厚く形成した凸(Pa,Pb,Pc・・Pe)部は、本発明の実施の形態とすることができる。
本発明の実験の作業者からは、前記露出面を平面とする徐々に厚みを厚く形成した凸部と、前記露出面と異なる面を平面とする徐々に厚みを薄く形成した凹(Ma,Mb,Mc・・Me)部は、密度差、比重、弾性の変化する要件、早材間または晩材間、繊維長等で違いが出てくるので、部分的(1cm3単位)比重に変えて検討したが、結果、比重で計算するのが正確に凸(Pa,Pb,Pc・・Pe)部及び凹(Ma,Mb,Mc・・Me)部を表現されることが確認された。
部分的(1cm3単位)構成に対して、比重結果を検討するには、節の存在が大きく比重に作用するから、比重から全体の形態を見出してもよいが、節の存在から算出してもよい。
また、圧縮させている露出面は、サンドブラスト、布研磨、不織布研磨、廻転ブラシのうちの何れか1つを行うことにより、仕上げ面を良好に処理でき、機械的な安定が得られるばかりか、対向面側表面の平滑面を意匠面とすることができる。そして、割れ(クラック、亀裂)が生じても、その面を木材の粉体で埋め込むことができるから、意匠面の見栄えが綺麗に処理できる。
各6面の板面として形成した2枚の板材、即ち、2枚の対向する面には、少なくとも部分的(1cm3単位)に比重が異なる箇所が存在するから、両者間を一体に圧密加工を行なうことにより、2枚の板材が得られる。
この際、1枚の板材を堅い材料として使用することにより、2枚の板材の一方を2回以上の圧密加工に使用することができる。即ち、樫等の木を使用して2回以上の圧密加工の型を得ることができる。
F 表層部
R 裏層部
I 内層部
U,PD 塑性加工木材
U,ND 加工前木材
RL 年輪線
K 節部
L 節付近部
Pa,Pb,Pc・・Pe 凸節自体
Ma,Mb,Mc・・Me 凹節転写体
PA 上プレス盤
PB 下プレス盤

Claims (4)

  1. 各6面の板面として形成し、重ね合わせて圧密加工した2枚の板材のうち、前記重ね合わせていた対向面には少なくとも部分的に比重が異なる箇所があり、
    前記対向面に対して垂直に外力を加えた前記圧密加工によって、前記対向面の2面には、一方面の徐々に厚みを厚く形成した凸部と、
    他方面の徐々に厚みを薄く形成した凹部と
    を具備することを特徴とする立体圧密木材。
  2. 各6面の板面として形成し、重ね合わせて圧密加工した2枚の板材のうち、少なくとも前記重ね合わせていた対向面には1ヶ所以上の節部が形成されており、
    前記対向面に対して垂直に外力を加えた前記圧密加工によって、前記対向面の2面には、前記節部の露出面前記節部の周囲を徐々に厚みを薄く形成した凸節自体と、
    他方面に前記凸節自体の圧密で、前記凸節自体に押圧されて凹に変形された凹節転写体と
    を具備することを特徴とする立体圧密木材。
  3. 前記重ね合わせた2枚の板面の対向面の各々は、サンドブラストによる吹付け、布研磨または不織布研磨、回転ブラシのうちのいずれか1つの仕上げ加工されたものであることを特徴とする請求項2に記載の立体圧密木材。
  4. 前記対向面に対して垂直に外力を加えた前記圧密加工は、表層部を最も高い圧縮率とし、前記表層部とは反対面側の裏層部を前記表層部よりも低い圧縮率とし、更に、前記表層部と前記裏層部の間に介在する内層部を最も低い圧縮率とする塑性加工としたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の立体圧密木材。
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