JP4930511B2 - 分子力場割り当て方法、分子力場割り当て装置、および分子力場割り当てプログラム - Google Patents

分子力場割り当て方法、分子力場割り当て装置、および分子力場割り当てプログラム Download PDF

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Description

本発明は、所望の分子構造を有する分子に分子力場を割り当てるために、その分子を構成する原子対の原子種と結合種の組合せを特定する方法に関し、特に、分子軌道法によって算出された原子間距離と所定の閾値とを比較して原子種と結合種の組合せを特定する方法に関する。
分子力場とは、分子を構成する各原子が受ける力の場のことを言う。従って、分子力場が分かっていれば、分子の幾何学的構造・電子的性質・物性・反応性をシミュレーションすることができる。例えば、新薬の候補物質が、人体やウイルスを構成する既知のタンパク質とどの様な反応をするかシミュレーションすることができる。
このようなシミュレーションは、計算に用いられる力場が量子力学に基づく関数で表される場合には分子軌道法計算と呼ばれる。一方、計算に用いられる力場が古典物理に基づく関数で表される場合には、分子力学計算または分子力場法と呼ばれる。
分子軌道法計算では、シュレーデインガー方程式を解いて分子軌道関数を求める。従って、量子効果を考慮した精度の高い解が得られる。しかし、分子を構成する原子数が増えると計算量が急激に増加し、計算が困難になる。
このため有機化合物のように構成原子数の多い分子の構造をシミュレーションするために生み出されたのが、分子力場計算である。分子力場計算で用いる関数は、古典的なポテンシャル関数である。主なものとしては、バネの様な弾性力が原子間に働くと仮定して得られる結合の伸縮エネルギー、同様に同一原子の結合手間に弾性力が働くと仮定した結合角の変角エネルギー、二面角間に弾性力が働くと仮定したトーションエネルギー、ファンデルワールス(van der Waals)非結合相互作用エネルギー、及びイオン間の静電相互作用エネルギーなどがある(非特許文献1)。
分子力場計算が威力を発揮するシミュレーションとしては、配座解析がある。有機化合物は分子式が同じであっても、可能な立体構造が複数存在する場合がある。このような場合、分子力場計算を用いると安定な構造がどれであるか知ることができる(配座解析)。
一方、分子間に古典力学的な力が働くと仮定して、分子間の相互作用をニュートンの運動方程式に従って解析する分子動力学計算は、分子間の反応性や分子集団の平衡状態や物性を予測する上で有効である。分子動力学計算は分子の相互作用や時間経過を解析するので、計算量は分子力学計算より更に膨大である。従って、分子力場を表す関数としては、分子力場法と同様、計算が容易な古典的ポテンシャル関数が用いられる。但し、分子動力学計算で取り扱う対象は、分子間に働く相互作用が非結合相互作用のみからなる分子集団である。すなわち、分子動力学計算では、静電相互作用エネルギーやファンデルワールス非結合相互作用エネルギーのみを考慮する。
コンピュータの演算速度の著しい向上によって、かなり大きな分子に対しても分子軌道法計算が適用できるようになっている。従って、分子力場計算に頼らなければならない分子構造計算は減少しつつある。しかし、高速化された現在のコンピュータをもってしても、分子の相互作用や時間経過を量子力学的に解析することは困難である。従って、分子動力学計算は、現在でもその重要性は全く衰えていない。
むしろ、高速化したコンピュータを利用して、生物化学分野では分子動力学計算による分子シミュレーションが活発化している。新薬の開発を開発するためには、新薬の候補物質を網羅的に製造し、薬を作用させようとするタンパク質との反応(主に、分子を構成する原子間のクーロン相互作用による反応)を試験する必要がある。しかし、分子動力学計算によって、新薬の候補物質と目標とするタンパク質との反応を予測することができれば、開発費用と時間を大幅に短縮することができる。従って、新薬の開発では、分子動力学計算は極めて重要になっている。
尚、分子力場と言った場合には、通常は分子力場計算または分子動力学計算に用いられ古典的なポテンシャルのことを言う。従って、以後、分子力場(又は力場)とは、分子力場計算または分子動力学計算に用いられ古典的なポテンシャルのことをいうものとする。
「コンピュータで分子の形をみる」、裳華房、2005年、p.31. "Fast, EfficientGeneration of High-Quality Atomic Charge.AM1-BCC Model:II. Parameterization andValidation", Journal of Computational Chemistry, Vol.23, p.1623-1641,2002.
分子力場計算および分子動力学計算のためのプログラムは、精度の高いものが既に開発されている。代表的なものとしては、生物化学用のAMBER、有機化学用のMM3,MM4、及びどの様な物質にでも適用可能なCHARMなどがある。これらのプログラムでは、夫々の目的にあった分子力場を備えている。例えば、MM3,MM4では、有機物質を精密に解析するため、伸縮エネルギー、変角エネルギー、トーションエネルギー等の分子力場の他にも面外変角エネルギー、伸縮・変角エネルギー、変角・変角エネルギー等の補正項も考慮する。更に、伸縮エネルギー、変角エネルギー、トーションエネルギー等も複雑で精密な関数を使用する(非特許文献1)。
この様なソフトウエアが整備されているので、分子力場計算および分子動力学計算を行うこと自体は容易である。しかし、新しい化合物のシミュレーションを行おうとする場合、どのような分子力場を、その化合物を構成する原子又は原子間の結合に割り当てるべきかが問題となる。この割り当てが適当でないと、現実とはかけ離れた結果が得られてしまう。以下、この問題に対処するため、AMBERで行われている処理について説明する。
原子(および原子間の結合)に割り当てられるべき分子力場は、原子種(atom type)および結合種(bond type)が特定できれば、その情報に基づいて特定できることが知られている。結合種とは結合の種類のことであり、例えば炭素では、sp3混成軌道に相当する一重結合、sp2混成軌道に相当する二重結合、sp混成軌道に相当する三重結合、芳香族一重結合、および芳香族二重結合などである。一方、原子種とは、同種の原子の“結合状態の違い”による分類のことである。例えば窒素原子は、アミン窒素、二配位アニオン性窒素、三配位窒素、中性の二配位窒素、一配位窒素、カチオン性二配位窒素等に分類される(非特許文献2)。
新しい化合物を考え出すということは、分子構造すなわち構成原子と、どの構成原子とどの構成原子とを結びつけるのかを考え出すことに他ならない。すなわち最初の段階で、化合物を構成する原子の種類(元素)と、どの原子とどの原子を結合させるのかは決まっている。各原子の原子種および結合種は、この分子構造に基づいて、自動的に決まってしまう場合が多い。しかし、どうしても一通りに決まらない場合もある。
例えば、化学式がCHN2で表される、図4のよう構造を持った化合物を考え出したとする。この図では、まだ原子種および原子間の結合種は特定されていない。従って、原子間の結合は破線で表している。図4の分子構造に基づいて、原子種および結合種の割り当てとして可能なものは、図5(a)および図5(b)の二通りしかないことが直ぐ分かる。左端の窒素原子対に割り当てられた原子種および結合種を除けば、原子種および結合種として可能な割り当ては一通りしかない。従って、窒素原子対およびその結合を除いた原子および結合に対しては、直ちに分子力場を割り当てることができる。
しかし、このままでは、左端の窒素原子対して分子力場を割り当てることができない。
この様な場合、左端の原子対に対して、どのように分子力場を割り当てるか、上記化合物CHN2ついて説明する。
まず説明の都合上、図5(a)および(b)の構造について少し説明しておく。図5(a)では、第1の窒素原子1は、電気的に中性であり原子価は3である。図5(b)では、第1の窒素原子1はアニオンにイオン化しており、原子価は2である。また、図5(a)では、第2の窒素原子3はカチオンにイオン化しており、原子価は4である。図5(b)では、第2の窒素原子3は、電気的に中性であり原子価は3である。一方、窒素原子間の結合2の種類は図5(a)では三重結合、図5(b)は二重結合である。
この様な窒素原子間の結合種は、図5(a)の結合に対しては三重結合(Triple
bond)、図5(b)の結合に対しては二重結合(Double bond)に分類される。一方、原子種に関しては、図5(a)の第1の窒素原子は、一配位窒素(Univalent
nitrogen)に、図5(a)の第2の窒素原子はカチオン性二配位窒素(Cation divalent nitrogen)に分類される。図5(b)の第1の窒素原子は一配位窒素(Univalent
nitrogen)に、図5(b)の第2の窒素原子は中性の二配位窒素(Neutral divalent nitrogen)に分類される。
AMBERでは、更に、結合種および原子種にコードを付している。異なった結合種および原子種には、異なったコードが付されるのが原則である。しかし、同じコードが付される場合もある。これは、最終的に割り当てられる分子力場に相違がない場合には、同じコードを割り当てることによって、分子力場の割り当て処理を効率化するためである(非特許文献2)。
AMBERでは、このコードを用いて、種々の原子対に対する、原子種及び結合種の組合せを特定する。例えば、図5(a)の窒素原子対に対しては、一配位窒素に対するコード25、三重結合に対するコード03、およびカチオン性二配位窒素に対するコード25とを組合せて、25-03-25を対応させる。一方、図5(b)の窒素原子対に対しては、一配位窒素に対するコード25、二重結合に対するコード02、および中性の二配位窒素に対するコード24を組合わせて25-02-24を対応させる。
AMBERは、この様なコードの組合せに対して、夫々の原子対に対して割り当てるべき分子力場関数を、データベース化し記録している。従って、図4の窒素原子対に対する「原子種と結合種の組合せ」が、例えば25−03−25であると特定されれば、このデータベースから25−03−25に対応する分子力場を読み出し、窒素原子対(二つの窒素及び窒素間結合)に割り当てる。25-03-24または25−03−25何れのコードを窒素原子対に割り当てるべきかは、以下のようにして決定する。
上述のとおり、化学結合に関する知識を駆使しても、ある分子中に存在する原子対に対して割り当てるべき「原子種および結合種の組合せ」が、一つに特定できない場合がある。しかし、そのような原子対がある程度大きなフラグメント(分子を構成する原子団)に属している場合には、当該フラグメントの属する当該原子対の「原子種および結合種の組合せ」は一通りしかないことが経験的に知られている。この事実を利用してAMBERでは、上記フラグメントとそこに属する原子対の「原子種および結合種の組合せ」とを、予めデータベース化して記録している。
ある原子対に対する「原子種及び結合種の組合せ」を特定する時は、まず上記データベースからこの原子対を含むフラグメントを読み出し、そのフラグメントが、力場を割り当てようとしている分子中に存在するか確認する。もし、読み出したフラグメントがこの分子中に存在しなければ、別のフラグメントを読み出す。この手順を繰返し、上記分子中に読み出したフラグメントを見出すことができたら、そのフラグメントと共に上記データベースに記録されていた「原子種及び結合種の組合せ」を、上記原子対に割り当てる。
例えば、図4に示された分子の左端に存在する窒素原子対に対する、「原子種及び結合種の組合せ」の割り当て手順は以下のようになる。上記データベースには、図6のようなフラグメントN2C2H2-と、このフラグメント中の窒素原子対に対する原子種/結合種コードの組合せ25-03-25とが記録されている。
AMBERのプログラムは、このデータベ−スから窒素原子対を含むフラグメントを順次読み出す。N2C2H2-の以外の(窒素対を含む)フラグメントを読み出した場合には、図4の分子中に対応するフラグメントが存在しないので、別のフラグメントを読み出して再度分子中にそのフラグメントが存在しないか調べる。プログラムは、このような試験を繰り返しているうちに、N2C2H2-辿り着く。N2C2H2-フラグメントは確かに図4の分子中に存在するので、図4の窒素原子対に、上記データベースに記録された原子種/結合種コードの組合せ25-03-25を割り当てる。
このようにして、図4の窒素対に、原子種/結合種コードの組合せ25-03-25が割り当てられる。
しかし、上記データベースに記録される「原子種および結合種の組合せ」は、現実に存在する分子の性質を色々と調べた上で、個々のフラグメント毎に実験的に特定しなければならない。しかも、「原子種及び結合種の組合せ」を一通りに特定するためには、例えば図6の様に、母体となるフラグメントがある程度の大きさを有していなければならならい。例えば、図6の示したフラグメントには、窒素原子対から2つ離れた位置に存在する原子も含まれている。
従って、新規な化合物に分子力場を割り当てようとした場合、化合物中の原子対を含むフラグメントが全くデータベ−スに存在しなかったり、たとえその様なフラグメントが存在したとしても、当該フラグメントが上記化合物中に存在しない場合が頻繁に起こる。
そこで、本発明の目的は、新規な化合物に対しても適切な分子力場の割り当が可能な分子力場割り当て方法、分子力場割り当て装置、および分子力場割り当てプログラムを提供することである。
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、所望の分子構造を有する分子に分子力場を割り当てる分子力場割り当て方法において、前記分子を構成する、相互に結合する第1および第2の原子それぞれの原子種と第1および第2の原子を結びつける結合の結合種とからなる組合せが一つに特定できない場合に、第1の原子に結合する原子の種類と第1の原子の配位数と第1の原子が取り得る原子価とからなる第1のフラグメント情報と、第2の原子に結合する原子の種類と第2の原子の配位数と第2の原子が取り得る原子価とからなる第2のフラグメント情報との双方を満たす、前記組合せの候補を特定する第1のステップと、前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の原子の原子間距離が所定の閾値を超えるか否かによって、第1のステップによって特定された前記候補の中から前記組合せを特定する第2のステップと、第2のステップによって特定された前記組合せに基づいて、第1および第2の原子並びに前記結合に分子力場を割り当てる第3のステップを有することを特徴とする。
第1の側面によれば、新規な化合物に対しても適切な分子力場の割り当が可能な分子力場割り当て方法を提供することができる。
本発明の第2の側面は、第1の側面において、前記所定の閾値が、前記組合せが特定されている第1及び第2の原子を有する分子の分子構造を分子軌道法で解析して得た前記原子間距離に基づいて定められたものであることを特徴とする。
本発明の第3の側面は、第1および第2の側面において、前記所望の分子構造が、第1及び第2の原子が窒素原子であり、第1の原子が第2の原子とのみ結合し、且つ第2の原子が炭素原子とのみ結合する構造である場合に、前記第2のステップが、前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の原子の原子間距離が0.112nmより小さい場合には、第1及び第2の原子の原子種がそれぞれ中性一配位窒素及びカチオン性二配位窒素で且つ第1及び第2の原子を結びつける結合の結合種が三重結合である前記候補を前記組合せとして特定し、前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の原子の原子間距離が0.112nmより大きく0.115nmより小さい場合には、第1及び第2の原子の原子種がそれぞれアニオン性一配位窒素及びカチオン性二配位窒素で且つ第1及び第2の原子を結びつける結合の結合種が二重結合である前記候補を前記組合せとして特定し、前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の原子の原子間距離が0.115nmより大きい場合には、第1及び第2の原子の原子種がアニオン性一配位窒素及び中性二配位窒素で且つ第1及び第2の原子結びつける結合の結合種が二重結合である前記候補を前記組合せとして特定することを特徴する。
本発明の第3の側面によれば、炭素原子と結合した窒素原子対に対して、新規な化合物に対しても適切な分子力場の割り当が可能な分子力場割り当て方法を提供することができる。
本発明の第4の側面は、所望の分子構造を有する分子に分子力場を割り当てる分子力場割り当て装置において、前記分子を構成する、相互に結合する第1および第2の原子それぞれの原子種と第1および第2の原子を結びつける結合の結合種とからなる組合せが一つに特定できない場合に、第1の原子に結合する原子の種類と第1の原子の配位数と第1の原子が取り得る原子価とからなる第1のフラグメント情報と、第2の原子に結合する原子の種類と第2の原子の配位数と第2の原子が取り得る原子価とからなる第2のフラグメント情報との双方を満たす、前記組合せの候補を特定する第1の手段と、前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の原子の原子間距離が所定の閾値を超えるか否かによって、第1の手段によって特定された前記候補の中から前記組合せを特定する第2のステップと、第2の手段によって特定された前記組合せに基づいて、第1および第2の原子並びに前記結合に分子力場を割り当てる第3の手段を有することを特徴とする。
第4の側面によれば、新規な化合物に対しても適切な分子力場の割り当が可能な分子力場割り当て装置を提供することができる。
本発明の第5の側面は、第4の側面において、前記所定の閾値が、前記組合せが特定されている第1及び第2の原子を有する分子の分子構造を分子軌道法で解析して得た前記原子間距離に基づいて定められたものであることを特徴とする。
本発明の第6の側面は、第4および第5側面において、前記所望の分子構造が、第1及び第2の原子が窒素原子であり、第1の原子が第2の原子とのみ結合し、且つ第2の原子が炭素原子とのみ結合する構造である場合に、前記第2の手段が、前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の原子の原子間距離が0.112nmより小さい場合には、第1及び第2の原子の原子種がそれぞれ中性一配位窒素及びカチオン性二配位窒素で且つ第1及び第2の原子を結びつける結合の結合種が三重結合である前記候補を前記組合せとして特定し、前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の原子の原子間距離が0.112nmより大きく0.115nmより小さい場合には、第1及び第2の原子の原子種がそれぞれアニオン性一配位窒素及びカチオン性二配位窒素で且つ第1及び第2の原子を結びつける結合の結合種が二重結合である前記候補を前記組合せとして特定し、 前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の原子の原子間距離が0.115nmより大きい場合には、第1及び第2の原子の原子種がアニオン性一配位窒素及び中性二配位窒素で且つ第1及び第2の原子結びつける結合の結合種が二重結合である前記候補を前記組合せとして特定することを特徴する。
本発明の第6の側面によれば、炭素原子と結合した窒素原子対に対して、新規な化合物に対しても適切な分子力場の割り当が可能な分子力場割り当て装置を提供することができる。
第7の側面は、所望の分子構造を有する分子に分子力場を割り当てる分子力場割り当て処理を、コンピュータに行わせるためのプログラムにおいて、前記分子を構成する、相互に結合する第1および第2の原子それぞれの原子種と第1および第2の原子を結びつける結合の結合種とからなる組合せが一つに特定できない場合に、第1の原子に結合する原子の種類と第1の原子の配位数と第1の原子が取り得る原子価とからなる第1のフラグメント情報と、第2の原子に結合する原子の種類と第2の原子の配位数と第2の原子が取り得る原子価とからなる第2のフラグメント情報との双方を満たす、前記組合せの候補を特定する第1のステップと、前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の原子の原子間距離が所定の閾値を超えるか否かによって、第1のステップによって特定された前記候補の中から前記組合せを特定する第2のステップと、第2のステップによって特定された前記組合せに基づいて、第1および第2の原子並びに前記結合に分子力場を割り当てる第3のステップを、コンピュータに実行させることを特徴とする。
第7の側面によれば、新規な化合物に対しても適切な分子力場の割り当が可能な分子力場割り当てプログラムを提供することができる。
第8の側面は、第7の側面において、前記所定の閾値が、前記組合せが特定されている第1及び第2の原子を有する分子の分子構造を分子軌道法で解析して得た前記原子間距離に基づいて定められたものであることを特徴とする。
第9の側面は、第8および第7の側面において、前記所望の分子構造が、第1及び第2の原子が窒素原子であり、第1の原子が第2の原子とのみ結合し、且つ第2の原子が炭素原子とのみ結合する構造である場合に、前記第2のステップが、前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の原子の原子間距離が0.112nmより小さい場合には、第1及び第2の原子の原子種がそれぞれ中性一配位窒素及びカチオン性二配位窒素で且つ第1及び第2の原子を結びつける結合の結合種が三重結合である前記候補を前記組合せとして特定し、前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の原子の原子間距離が0.112nmより大きく0.115nmより小さい場合には、第1及び第2の原子の原子種がそれぞれアニオン性一配位窒素及びカチオン性二配位窒素で且つ第1及び第2の原子を結びつける結合の結合種が二重結合である前記候補を前記組合せとして特定し、前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の原子の原子間距離が0.115nmより大きい場合には、第1及び第2の原子の原子種がアニオン性一配位窒素及び中性二配位窒素で且つ第1及び第2の原子結びつける結合の結合種が二重結合である前記候補を前記組合せとして特定することを特徴とする。
本発明の第9の側面によれば、炭素原子と結合した窒素原子対に対して、新規な化合物に対しても適切な分子力場の割り当が可能な分子力場割り当てプログラムを提供することができる。
本発明によれば、新規な化合物に対しても、適切な分子力場を割り当てることができる。
本発明の実施に用いる解析装置の概略図 本発明の実施に用いる解析装置で実行される第1の処理のフロー 本発明の実施に用いる解析装置で実行される第2の処理のフロー 分子力場を割り当てる新規な化合物の例 原子種および結合種の組合せ候補 フラグメントの一例 小フラグメントの一例
符号の説明
1 第1の原子
2 第1および第2の原子を結びつける結合
3 第2の原子
5 第1の窒素原子
6 第2の窒素原子
7 中央処理装置
8 メインメモリ
9 ファイル装置
10 入力装置
11 出力装置
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
(1)原理
上述したように、従来の分子力場計算プログラム(または、分子動力学計算プログラム)は、既存の分子を構成するフラグメントと、そこに含まれる原子対の「原子種および結合種の組合せ」を実験的に解明しておき、この情報に基づいて、計算対象の分子中に存在する原子対の「原子種および結合種の組合せ」を特定している。
これに対して、本発明者は、「原子種および結合種の組合せ」の候補をある程度の範囲に絞り込ことができていれば、原子対間の結合種を特定することによって、原子種も自動的に特定できることに着目した。例えば、図4の化合物では、窒素間の結合種が三重結合と特定されれば、窒素対の「原子種および結合種の組合せ」は、図5(a)に示された組合せに直ちに特定される。しかしながら、原子対間の結合種を特定しようとすれば、従来は、現実にその物質を合成して実験的に結合種を特定するしかなかった。これでは、新規化合物の分子シミュレーションをする意味がなくなってしまう。
一方、分子軌道法を用いれば未知の化合物であっても、その構造を解析することは可能である。しかし、分子軌道法で得られる結果は電子密度関数であり、この電子密度関数から結合種を特定することは困難である。しかし、本発明者は、現在知られている多数の分子の構造を分子軌道法で解析し、解析結果と実験的に特定されている結合種を結びつけるパラメータが存在しないか鋭意検討した。その結果、分子軌道法で算出される原子間距離(原子核間の距離)と実験的に特定された結合種の間には、強い相関があることを見出した。
例えば、図7のようなN−N−Cからなるフラグメントを含む分子を分子軌道法で解析して、分子全体のエネルギーを最小とする原子配置が特定されたとする。得られた原子配置から、窒素原子5,6の間の距離を算出するのは簡単である。算出した窒素原子間距離が、0.112nmより短ければ、実験的に求められている窒素原子間の結合種は必ず三重結合であった。一方、算出した窒素原子間距離が0.112nmより長く0.115nmより短い場合には、窒素原子間の結合種は必ずアニオン・カチオンの二重結合であった。更に、算出した窒素原子間距離が0.115nmより長い場合は、窒素原子間の結合種は必ずアニオン・中性原子の二重結合であった。上記数値0.112nmや0.115nmのように結合種を特定するための数値を、以後閾値と呼ぶこととする。
尚、図7示された炭素Cの配位数(ある原子が結合している他の原子の数)は3になっている。しかし、上記閾値は、炭素Cの配位数が2又は4の場合でも成立する。
従って、分子軌道法で安定状態における原子間距離を算出し、その値と閾値を比較すれば、「原子種および結合種の組合せ」を特定することができる。
上記閾値は、原子対毎に定まるものではなく、フラグメント毎に定まるものである。例えば、図7の例では、上記閾値0.112nmおよび0.115nmは、窒素原子対N-Nに対して特定されたものではなく、N−N−Cなるフラグメントに対して特定されるものである。
しかし、このフラグメントは、窒素原子対に炭素原子が一つ追加されただけの小規模なものである。このように小規模であれば、考えうる殆どのフラグメントを、既存の化合物中に見出すことができる。従って、既存の結合種に関するデータと分子軌道法によって求めた原子間距離の比較から、殆どフラグメントに対して閾値を特定することができる。
従って、本発明によれば、新規な化合物中の原子対に対しても、上記閾値を見つけ出すことが可能である。従って、新規な化合物中の原子対に対しても、分子力場の割り当が可能になる。尚、以上のような閾値と関連付けられたフラグメントを、以後、小フラグメントと言うことにする。
一方、AMBERのプログラムでは、既知のフラグメントとそのフラグメント中の原子対に対する「原子種および結合種の組合せ」が特定されている。従って、解析しようとする分子中にそのフラグメントが運良く存在すれば、分子力場を割り当てることができる。しかし、上記フラグメントには、ある程度の大きさが必要である。従って、新しい化合物に対して分子力場を割り当てようとしても、データベースに記録されているフラグメントに一致するものが、分子力場を割り当てようとしている化合物中に存在しない場合がある。このような場合には、分子力場の割り当てることができず、分子力場計算(または、分子動力学計算)はできない。
(2)装置構成
図1に本発明の実施に用いる解析装置の概略図を示します。この装置は、分子力場の割り当てだけではなく、分子動力学計算(または分子力場計算)も行うことができる。
この装置は、演算処理のための中央処理装置7と、メインメモリ8と、ファイル装置9と、入力装置10と、出力装置11とを備えている。
メインメモリ8には、制御プログラムと、分子軌道法計算プログラムと、分子力場割り当てのための分子力場割り当てプログラムと、分子動力学計算(または、分子力場計算)のための分子動力学計算プログラム(または、分子力場計算プログラム)が記録されている。
一方、ファイル装置9には、分子力場割り当てプログラムで使用する、原子種の分類と、結合種の分類と、フラグメントの分類と、小フラグメントの分類と、閾値と、分子力場パラメータ(分子力場関数で使用するパラメータ)が記録さている。
(3)計算手順
図2および図3は、図1に示した装置で実行される処理のフローである。図2は、処理フロー全体を示している。図3は、分子力場の割り当て処理の詳細を示したものである。
まず、入力装置10から、解析しようとする分子の分子構造が入力される(S1)。入力されるデータは、例えば、図4に示すような、原子の種類(元素)とどの原子とどの原子が結びついているかという情報で構成されている。
中央処理装置7は、メインメモリ内8の制御プログラムの指令を受け、分子軌道法計算プログラムを読み出し、入力された分子構造に対する分子軌道法計算を行って、入力された分子構造に対して分子の全エネルギーが最小となる軌道関数や原子配置を算出する(S2)。
次に、中央処理装置7は、メインメモリ内8の制御プログラムの指令を受け、分子力場割り当てプログラムを読み出し、上記処理(S2)の結果と入力された分子構造に基づいて分子力場の割り当て行う。この処理には、ファイル装置9に記録された各ファイルが利用される(S3)。
更に、中央処理装置7は、メインメモリ内8の制御プログラムの指令を受け、分子動力学計算プログラム(または、分子力場計算プログラム)を読み出して、分子力場割り当てプログラムの処理結果と入力された分子構造に基づいて、分子動力学計算(または、分子力場計算)を行い、その結果を出力装置11に出力する(S4)。
以上で、図1に示した装置の処理は終了する(S5)。
図3は、上記分子力場割り当て処理(S3)の詳細を示したものである。
まず、中央処理装置7は、分子力場割り当てプログラムの指令を受けて、ファイル装置9からフラグメントの分類を読み出し、入力された分子構造から該当するフラグメントを抽出する。抽出するフラグメントは、ニトロ基、リン酸基、スルホン基、アミド、ラクタン、ラクトンなどで、所属する原子の原子種や結合の結合種が分かっているものである(S6)。
次に、中央処理装置7は、分子力場割り当てプログラムの指令を受けて、上記フラグメント内の原子および結合に、実験結果に基づいて決定されている原子種および結合種を割り当てる(S7)。なお、割り当てられる原子種および結合種が何であるかは、上記フラグメント分類と共に上記ファイル装置に記録されている。
以上の割り当て処理によって、入力された分子構造内の総ての原子および結合に対する「原子種および結合種」の割り当て処理が完了した場合(S8)には、中央処理装置7は分子力場割り当てプログラムの指令を受け、割り当てられた上記原子種および結合種に基づいて、入力された分子構造に対して分子力場を割り当てる(S13)。分子力場の割り当て処理のために、中央処理装置7は、ファイル装置9から力場パラメータを読み出して、このパラメータを各原子または結合に割り当てる。
「原子種および結合種」の割り当てが完了していない場合(S8)には、中央処理装置7は分子力場割り当てプログラムの指令を受けて、ファイル装置8の小フラグメントの分類から、割り当ての出来ない原子対を含み且つ入力された分子構造にフィットする小フラグメントを抽出する(S9)。
次に、中央処理装置7は、分子力場割り当てプログラムの指令を受けて、入力された分子構造から、上記原子対に対する「原子種および結合種」の組合せ候補を特定する(S10)。組合せ候補の特定は、上記原子対を構成する各原子に結合する原子の種類(元素)と各原子の配位数と各原子が取り得る原子価とからなるフラグメント情報に基づいて実行される。
次に、中央処理装置7は、分子力場割り当てプログラムの指令を受けて、抽出された小フラグメントに関連付けられた閾値をファイル装置8から読み出し、分子軌道法で算出した原子間距離と当該閾値を比較することによって上記原子対間の結合の結合種を特定する(S11)。
次に、中央処理装置7は、分子力場割り当てプログラムの指令を受けて、特定された上記結合種と上記組合せ候補に基づいて、上記原子対に対する「原子種および結合種の組合せ」を特定する(S12)。
最後に、中央処理装置7は、分子力場割り当てプログラムの指令を受けて、上記割り当てられた「原子種および結合種」(S7)および上記特定された「原子種および結合種」(S12)に基づいて、入力された分子構造に分子力場を割り当てる(S13)。
分子力場の割り当ては、ファイル装置9から力場パラメータを読み出し、これを各原子または結合に割り当てることによって行われる。
(4)割り当て例
次に、上記フラグメント抽出処理(S6)から上記原子種/結合種割り当て処理(S13)に至る処理の具体例を示す。
入力される分子構造は、図4に示されたものと同じとする。
まず、図4の分子構造からエチレン基(C2H5-)を抽出する(S6)。
次に、エチレン基内の原子および結合に、実験結果に基づいて特定されている原子種および結合種を割り当てる(S7)。
この段階では、図4の左端に位置する窒素原子対に対する「原子種/結合種の割り当て」がまだ済んでいないので、分子力場を割り当てることはできない(S8)。
次に、窒素原子対を含む小フラグメントをファイル装置9から読み出し、その中から図4の分子構造にフィットする小フラグメントN2C-を見つけ出す(S9)。
次に、入力された分子構造から、図5(a)および(b)に示された「原子種および結合種」の組合せ候補を特定する(S10)。
「原子種および結合種」の組合せ候補は、表1に示す「窒素原子の原子種/結合種分類」に基づいて行われる。表1の第1列目には、上記小フラグメントN2C-中の窒素原子がとり得る帯電状態(カチオン性窒素、中性窒素、アニオン性窒素)及び原子価が記載されている。表1の第1行目には、窒素原子が取り得る配位数が記載されている。
Figure 0004930511
表1中に記載されたフラグメントは、各セルに該当する窒素原子種から構成されるフラグメントの一例である。例えば、第2行第3列には、カチオン性二配位窒素を含むフラグメントが3つ例示されている。また、第2行第3列には、カチオン性二配位窒素に対するコードすなわち25も記載されている。また、表1の最下行には、夫々の列に記載された原子種がとり得る結合種が記載されている。
この表に基づいて、図4の左端の窒素原子対に対する「原子種および結合種」の組合せ候補を特定する。
第1の窒素原子1は、図4より一配位であることが分かる。従って、表1より、第1の窒素原子1の原子種としては、一配位中性窒素(25)またはアニオン性一配位窒素(25)の何れかであることが分かる。尚、括弧内の数字は、AMBERでも用いられている上記コードである。以下、同様に記載する。
また、第2の窒素原子3は、図4より二配位であることが分かる。また、第1の窒素の原子種が一配位中性窒素(原子価3)またはアニオン性一配位窒素(原子価2)であること及び第2の窒素原子に結合するエチレン基の原子価が1でることから、第2の窒素原子3の原子価として可能なものは4又は3であることが分かる。以上の情報と表1より、第2の窒素原子3の原子種としては、カチオン性二配位窒素(25)と二配位中性窒素(24)の何れかであることが分かる。
尚、窒素原子の帯電状態は、分子軌道法計算の結果から得られるマリケン電荷から分かる。従って、マリケン電荷を、表1から原子種を特定する際の基礎とすることもできる。
以上の結果に基づくと、「原子種および結合種」の組合せ候補としては、一配位中性窒素(25)と三重結合とカチオン性二配位窒素(25)からなる図5(a)の分子構造と、アニオン性一配位窒素(25)と二重結合と二配位中性窒素(24)からなる図5(b)の分子構造が導き出される。
次に、小フラグメントN2C-に付随した閾値(0.112nmと0.115nm)と分子軌道法計算によって算出さえた原子間距離から結合種を特定する(S11)。
分子軌道法計算によると、図4の分子構造に対する窒素原子間距離は0.11093nmであることが分かる。この値は、三重結合とアニオン・カチオンの二重結合を識別する閾値0.112nmより小さいので、窒素原子1,3の結合種が三重結合(03)であることが分かる。従って、窒素原子間の結合種は三重結合(03)と特定される。次に、この結果と図5に記載された組合せ候補から、「原子種および結合種の組合せ」を特定する(S12)。
図5に記載された組合せ候補のうち、三重結合を持つ分子構造は、図5(a)に記載されたものである。従って、組合せとしては、一配位中性窒素(25)―三重結合(03)―カチオン性二配位窒素(25)が割り当てられる。
最後に、上記ステップにより特定された組合せ(25−03−25)に基づいて、図4の窒素原子対に対して、分子力場を割り当てる(S12)。
以上説明した窒素原子対への分子力場の割り当ては、最も困難な割り当ての一つである。従って、他の原子対に対する割り当ても上記実施形態と同様に行うことができる。
本発明は、化学産業、特に製薬業において、新規な化合物の性質をシミュレーションする際に利用可能である。

Claims (9)

  1. 第1及び第2の窒素原子を含み第1の窒素原子が第2の窒素原子に結合し第2の窒素原子が炭素原子と結合する分子構造を有する分子に分子力場を割り当てる分子力場割り当て方法において、
    第1及び第2の窒素原子それぞれの原子種と第1及び第2の窒素原子を結びつける結合の結合種とからなる組合せの候補が複数存在する場合に、
    中央処理装置が、前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の窒素原子の原子間距離が所定の閾値を超えるか否かによって前記結合種を特定し、複数の前記候補の中から前記特定された結合種を有する前記組合せを特定する第1のステップと
    中央処理装置が、第1のステップによって特定された前記組合せに基づいて、第1および第2の窒素原子並びに前記結合に分子力場を割り当てる第2のステップを有することを特徴とする分子力場割り当て方法。
  2. 前記所定の閾値が、前記組合せが特定されている第1及び第2の窒素原子を有する分子の分子構造を分子軌道法で解析して得た前記原子間距離に基づいて定められたものであることを特徴とする請求項1に記載の分子力場割り当て方法。
  3. 前記第1のステップが、
    中央処理装置が、前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の窒素原子の原子間距離が0.112nmより小さい場合には、第1及び第2の窒素原子の原子種がそれぞれ中性一配位窒素及びカチオン性二配位窒素で且つ第1及び第2の窒素原子を結びつける結合の結合種が三重結合である前記候補を前記組合せとして特定
    中央処理装置が、前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の窒素原子の原子間距離が0.112nmより大きく0.115nmより小さい場合には、第1及び第2の窒素原子の原子種がそれぞれアニオン性一配位窒素及びカチオン性二配位窒素で且つ第1及び第2の窒素原子を結びつける結合の結合種が二重結合である前記候補を前記組合せとして特定し、
    中央処理装置が、前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の窒素原子の原子間距離が0.115nmより大きい場合には、第1及び第2の窒素原子の原子種がアニオン性一配位窒素及び中性二配位窒素で且つ第1及び第2の窒素原子結びつける結合の結合種が二重結合である前記候補を前記組合せとして特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の分子力場割り当て方法。
  4. 第1及び第2の窒素原子を含み第1の窒素原子が第2の窒素原子に結合し第2の窒素原子が炭素原子と結合する分子構造を有する分子に分子力場を割り当てる分子力場割り当て装置において、
    第1及び第2の窒素原子それぞれの原子種と第1及び第2の窒素原子を結びつける結合の結合種とからなる組合せの候補が複数存在する場合に、
    前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の窒素原子の原子間距離が所定の閾値を超えるか否かによって前記結合種を特定し、複数の前記候補の中から前記特定された結合種を有する前記組合せを特定する第1の手段と
    第1の手段によって特定された前記組合せに基づいて、第1および第2の窒素原子並びに前記結合に分子力場を割り当てる第2の手段を有することを特徴とする分子力場割り当て装置。
  5. 前記所定の閾値が、前記組合せが特定されている第1及び第2の窒素原子を有する分子の分子構造を分子軌道法で解析して得た前記原子間距離に基づいて定められたものであることを特徴とする請求項4に記載の分子力場割り当て装置。
  6. 前記第1の手段が、
    前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の窒素原子の原子間距離が0.112nmより小さい場合には、第1及び第2の窒素原子の原子種がそれぞれ中性一配位窒素及びカチオン性二配位窒素で且つ第1及び第2の窒素原子を結びつける結合の結合種が三重結合である前記候補を前記組合せとして特定し、
    前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の窒素原子の原子間距離が0.112nmより大きく0.115nmより小さい場合には、第1及び第2の窒素原子の原子種がそれぞれアニオン性一配位窒素及びカチオン性二配位窒素で且つ第1及び第2の窒素原子を結びつける結合の結合種が二重結合である前記候補を前記組合せとして特定し、
    前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の窒素原子の原子間距離が0.115nmより大きい場合には、第1及び第2の窒素原子の原子種がアニオン性一配位窒素及び中性二配位窒素で且つ第1及び第2の窒素原子結びつける結合の結合種が二重結合である前記候補を前記組合せとして特定することを特徴とする請求項4又は5に記載の分子力場割り当て装置。
  7. 第1及び第2の窒素原子を含み第1の窒素原子が第2の窒素原子に結合し第2の窒素原子が炭素原子と結合する分子構造を有する分子に分子力場を割り当て処理を、コンピュータに行わせるためのプログラムにおいて、
    第1及び第2の窒素原子それぞれの原子種と第1及び第2の窒素原子を結びつける結合の結合種とからなる組合せの候補が複数存在する場合に、
    前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の窒素原子の原子間距離が所定の閾値を超えるか否かによって前記結合種を特定し、複数の前記候補の中から前記特定された結合種を有する前記組合せを特定する第1のステップと、
    第1のステップによって特定された前記組合せに基づいて、第1および第2の窒素原子並びに前記結合に分子力場を割り当てる第2のステップを、コンピュータに実行させることを特徴とする分子力場割り当てプログラム。
  8. 前記所定の閾値が、前記組合せが特定されている第1及び第2の窒素原子を有する分子の分子構造を分子軌道法で解析して得た前記原子間距離に基づいて定められたものであることを特徴とする請求項7に記載の分子力場割り当てプログラム。
  9. 前記第1のステップが、
    前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の窒素原子の原子間距離が0.112nmより小さい場合には、第1及び第2の窒素原子の原子種がそれぞれ中性一配位窒素及びカチオン性二配位窒素で且つ第1及び第2の窒素原子を結びつける結合の結合種が三重結合である前記候補を前記組合せとして特定し、
    前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の窒素原子の原子間距離が0.112nmより大きく0.115nmより小さい場合には、第1及び第2の窒素原子の原子種がそれぞれアニオン性一配位窒素及びカチオン性二配位窒素で且つ第1及び第2の窒素原子を結びつける結合の結合種が二重結合である前記候補を前記組合せとして特定し、
    前記分子構造を分子軌道法で解析して得た、第1及び第2の窒素原子の原子間距離が0.115nmより大きい場合には、第1及び第2の窒素原子の原子種がアニオン性一配位窒素及び中性二配位窒素で且つ第1及び第2の窒素原子結びつける結合の結合種が二重結合である前記候補を前記組合せとして特定することを特徴とする請求項7又は8に記載の分子力場割り当てプログラム。
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