JP6119411B2 - 特定プログラム、特定装置、および特定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特定プログラム、特定装置、および特定方法に関する。
従来、分子について分子構造を決定する技術がある。関連する技術として、分子に分子力場を割り当てる方法において、分子軌道法という量子科学計算によって計算された原子間の結合距離が所定の閾値を超えるか否かによって、原子間の結合の種別を表す結合種を決定して、分子力場を割り当てる技術がある。(たとえば、下記特許文献1を参照。)
国際公開第2008/041304号
しかしながら、従来技術によれば、分子に対して適切な分子力場を割り当てることが難しい。たとえば、原子間の結合距離に基づいて結合種を決定する場合、結合種の違いによる原子間の結合距離の差が小さいので、量子科学計算の計算精度が粗いと誤った結合種を決定する場合があり、誤った結合種により誤った分子力場を割り当てることがある。
1つの側面では、本発明は、分子力場の割当精度を向上できる特定プログラム、特定装置、および特定方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面によれば、構造的に安定な状態における分子から、第1の原子に結合する第2の原子および第3の原子を選択し、分子内の各原子の位置情報を記憶する第1の記憶部を参照して、第1の原子および選択した第2の原子を通る第1の直線と第1の原子および選択した第3の原子を通る第2の直線とがなす第1の角度を算出し、原子の混成軌道の種別に対応して、原子と原子に結合する2つの原子とにより形成する結合角が満たす条件を記憶する第2の記憶部を参照して、算出した第1の角度に基づいて、第1の原子の混成軌道の種別を特定する、特定プログラム、特定装置、および特定方法が提案される。
本発明の一態様によれば、分子力場の割当精度の向上を図ることができるという効果を奏する。
図1は、本実施の形態にかかる特定装置の動作例を示す説明図である。 図2は、特定装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。 図3は、特定装置の機能構成例を示すブロック図である。 図4は、電子密度による結合種決定条件テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。 図5は、結合角条件テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。 図6は、混成軌道の種別に対応する結合種の条件の一例を示す説明図である。 図7は、窒素原子の原子種および結合種の一例を示す説明図である。 図8は、分子構造テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。 図9は、モデリングソフトによる分子構造初期値の生成例を示す説明図である。 図10は、電子密度による原子種の決定方法の一例を示す説明図である。 図11は、電子密度による芳香族結合の決定方法の一例を示す説明図である。 図12は、電子密度による電荷を有する結合種の決定方法の一例を示す説明図である。 図13は、電子密度による原子種の決定結果の一例を示す説明図である。 図14は、結合角による原子種の決定方法の一例を示す説明図である。 図15は、結合角による原子種の決定結果の一例を示す説明図(その1)である。 図16は、結合角による原子種の決定結果の一例を示す説明図(その2)である。 図17は、結合角による原子種の決定結果の一例を示す説明図(その3)である。 図18は、力場テーブルの一例を示す説明図である。 図19は、分子力場関数の一例を示す説明図である。 図20は、分子力場割当処理手順の一例を示すフローチャートである。 図21は、電子密度による結合種決定処理手順の一例を示すフローチャートである。 図22は、電子密度による芳香族結合決定処理手順の一例を示すフローチャートである。 図23は、電子密度によるアニオン性単結合決定処理手順の一例を示すフローチャートである。 図24は、結合角による原子種決定処理手順の一例を示すフローチャート(その1)である。 図25は、結合角による原子種決定処理手順の一例を示すフローチャート(その2)である。
以下に図面を参照して、開示の特定プログラム、特定装置、および特定方法の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態にかかる特定装置の動作例を示す説明図である。図1では、原子の原子種を決定し、分子力場を割り当てる特定装置101の動作例について説明する。特定装置101は、新しい分子や分子集合体のシミュレーションを行う場合、どのような分子力場を割り当てるべきかを支援する処理を行う。分子は、同一種類の原子により形成される単体でもよいし、複数種類の原子により形成される化合物でもよい。分子力場を定義することができれば、分子の幾何学的構造、電子的性質、物性などのシミュレーションが可能になる。たとえば、創薬分野において、シミュレートする装置が、分子力場を利用して、薬剤候補物質が人体やウイルスを構成する既知のタンパク質とどの様な反応をするかシミュレートすることが可能である。
分子力場の割当が適切でない場合、シミュレーション結果の精度は落ち、現実とはかけ離れた結果となってしまう。分子力場は、原子種により一意に特定できるため、本実施の形態にかかる特定装置101では、適切な原子種を決定することにより、適切な分子力場が割り当てられるようにする。
原子の原子種は、対象の原子の種別と、原子の結合状態の違いによって特定される情報である。分子力場には、たとえば、静電相互作用エネルギーに関する力場があり、より詳細な定義については、下記参考文献1に記載される。以下、静電相互作用エネルギーに関する力場を、「AM1BCC電荷」と称する。また、静電相互作用エネルギーに関する原子種を「AM1BCC原子種」と称する。AM1BCC原子種についても、参考文献1に記載される。
(参考文献1:ARAZ JAKALIAN、他2名、「Fast, Efficient Generation of High−Quality Atomic Charges.AM1−BCC Model:II. Parameterization and Validation」、2002、Journal of Computational Chemistry、Vol.23、p.1623−1641)
また、AM1BCC電荷以外の力場として、たとえば、GAFF(General Amber Force Field)力場がある。GAFF力場では、GAFF原子種が決まれば一意に分子力場を割り当てることができる、GAFF力場については、下記参考文献2に記載される。また、GAFF原子種に応じた力場については、下記参考文献3に記載される。
(参考文献2:JUNMEI WANG、他4名、「Development and Testing of a General Amber Force Field」、Journal of Computational Chemistry、Vol 25、2004、p.1157−1174)
(参考文献3:Wendy D.Cornell、他9名、「A Second Generation Force Field for the Simulation of Proteins, Nucleic Acids, and Organic Molecules」、Journals−American Chemical Society、Vol 117、1995、p.5179−5197)
次に、原子種を決定する方法について、第1の方法〜第3の方法を示す。原子種を決定する第1の方法は、原子価を用いて結合種を決定する方法である。原子価から、2つの原子を結びつける結合の種別を表す結合種を決定することにより、第1の方法を実行する装置は、原子種が結合種から一意に決定できるため、結合種に対応する原子種を決定することができる。結合種として、たとえば、静電相互作用エネルギーに関する力場が定義する結合種の分類は、たとえば、単結合、二重結合、三重結合、芳香族結合、配位結合、非局在結合がある。
しかしながら、第1の方法では、結合種の割当に曖昧性が残る場合があり、現実と異なる分子力場を割り当ててしまう場合がある。具体的には、窒素原子は、1配位から4配位まであり、さらに原子の状態もカチオン、中性、アニオンの3種類があり、これから生じる結合種は、単結合、二重結合、三重結合、芳香族結合、配位結合、非局在結合などがあるため、選択可能な結合種が膨大となる。シミュレーションの対象となる対象分子には、数十、数百の原子が含まれる場合があり、この場合、処理量が指数関数的に増大してしまう。
原子種を決定する第2の方法は、量子科学計算による原子間の結合距離に基づいて、結合種を決定する方法である。具体的に、第2の方法を実行する装置は、原子間の距離を算出し、予め求めた閾値と比較することにより、結合種を決定する。
しかしながら、第2の方法では、量子科学計算手法によって閾値の値が異なってしまう。たとえば、第2の方法を実行する装置が、Aという量子科学計算手法で計算した分子の構造にBという量子科学計算手法で決定した閾値を適用すると、誤った結合種を割り当ててしまう場合がある。
原子種を決定する第3の方法は、量子科学計算による原子間の電子密度に基づいて、結合種を決定する方法である。具体的に、第3の方法を実行する装置は、原子間の電子密度を算出し、予め求めた閾値と比較することにより、結合種を決定する。
電子密度についてより詳細に述べると、第3の方法を実行する装置は、MullikenやLoewdinによる方法を用いて、2つの原子間の電子密度を算出する。また、第3の方法を実行する装置は、電子密度として、ボンドオーダーを用いてもよい。たとえば、第3の方法を実行する装置は、Mayerによるボンドオーダーや、Coulsonによるボンドオーダーを用いてもよい。Mayerのボンドオーダーについては、下記参考文献4に詳細に記載される。
(参考文献4:I MAYER、「Charge.Bond Order and Valence in the ab Initio SCF Theory」、Chemical Physics Letters、Vol 97、1983、p.270−274)
Mayerのボンドオーダーは、結合の種別が単結合、共役結合、二重結合、三重結合の場合、それぞれ、1、1.5、2、3程度の値を示す。また、結合がない場合、Mayerのボンドオーダーは、ほぼ0を示す。詳細には、下記参考文献5に記載される。
(参考文献5:Jaroslaw A.Kalinowski、他4名、「Class IV Charge Model for the Self−Consistent Charge Density−Functional Tight−Binding Method」、Journal of Physical Chemistry A、Vol.108、2004、p.2545−2549)
しかしながら、第3の方法では、共役系を持つ分子に電子供与性あるいは電子受容性を有する官能基が結合して、分子内で電子の移動が生じると、正確に結合種を判別できない場合がある。
そこで、本実施の形態にかかる特定装置101は、原子の混成軌道に応じて結合角が大きく異なることを利用して、量子科学計算で得られる結合角から原子の混成軌道を特定する。これにより、特定装置101は、量子科学計算の計算精度が粗くとも混成軌道を高精度に判別することができ、分子力場の割当精度を向上させることができる。
以下、図1〜図25に括弧に囲まれた符号付きで表示した原子について、表示上の都合から、「原子_(符号)」にて示す。たとえば、図面上、水素原子「H」に符号「(1)」が付与された場合、H_(1)として示す。また、図1〜図25にて、表示上の都合から、原子種を、[]に括られた文字にて示す。
図1の(1)にて示すように、特定装置101は、対象分子としてエチレン分子C24の3次元構造が与えられたとする。3次元構造は、分子軌道法、密度汎関数法、原子価結合法などといった量子科学計算にて算出された、エネルギー的に安定な構造である。
次に、図1の(2)にて示すように、特定装置101は、エチレン分子から選択された第1の原子に結合する第2の原子および第3の原子を選択する。さらに、特定装置101は、第1の原子に3つの原子が結合する場合、さらに、分子から、第1の原子に結合する第4の原子を選択してもよい。ここで、特定装置101は、結合する原子として、共有結合半径やイオン半径、ファンデルワールス半径といった距離内にある原子を選択する。図1の(2)の例では、第1の原子をC_(1_1)とし、第2の原子をC_(1_2)とし、第3の原子をH_(1_3)とし、第4の原子をH_(1_4)とする。
そして、特定装置101は、分子内の各原子の位置情報を記憶する第1の記憶部を参照して、第1の原子および第2の原子を通る第1の直線と第1の原子および選択した第3の原子を通る第2の直線とがなす第1の角度を算出する。第1の記憶部は、エネルギー的に安定な構造となる分子の各原子の位置情報を記憶する。また、2つの直線がなす角度は、180度以下となる角度と、180度以上となる角度と、の2つがあるが、特定装置101は、180度以下となる角度を算出する。
第1の角度は、図1の(2)では、∠Aに相当する。さらに、特定装置101は、第4の原子を選択した場合、第1の直線と第1の原子および第4の原子を通る第3の直線とがなす第2の角度と、第2の直線と前記第3の直線とがなす第3の角度と、を算出してもよい。第2の角度は、図1の(2)では、∠Bに相当する。第3の角度は、図1の(2)では、∠Cに相当する。角度の算出方法は、原子の位置情報から、余弦定理により求められる。
続けて、特定装置101は、原子の混成軌道の種別に対応して、原子と原子に結合する2つの原子とにより形成する結合角が満たす条件を記憶する第2の記憶部を参照して、算出した第1の角度に基づいて、第1の原子の混成軌道の種別を特定する。また、特定装置101は、第4の原子を選択した場合、第2の記憶部を参照して、第1の角度と第2の角度と第3の角度との和に基づいて、第1の原子の混成軌道の種別を特定してもよい。
第2の記憶部は、図3と図5にて後述する。また、結合角とは、ある原子を中心として、ある原子と、ある原子に結合する2つの原子のうちの一方の原子とを通る直線と、ある原子と他方の原子とを通る直線と、がなす角度のうち、180度以下となる角度のことである。以下、第1の原子と原子に結合する第2の原子および第3の原子により形成する結合角を、「第2の原子−第1の原子−第3の原子の結合角」と称する場合がある。
混成軌道とは、原子の化学結合を説明するために導入された方法であり、電子の軌道のうち、s軌道とp軌道とが混成して結合種を作る場合の軌道である。s軌道1つとp軌道1つとが混成するとsp軌道となり、s軌道1つとp軌道2つとが混成するとsp2軌道となり、s軌道1つとp軌道3つとが混成するとsp3軌道となる。
以下、混成軌道の種別がspとなる原子を、「sp原子」と呼称する場合がある。また、混成軌道の種別がsp2となる原子を、「sp2原子」と呼称する場合がある。さらに、混成軌道の種別がsp3となる原子を、「sp3原子」と呼称する場合がある。たとえば、混成軌道の種別がspとなる炭素原子を、「sp炭素原子」と呼称する。
図1の例では、∠A+∠B+∠Cが360度付近となり、∠A+∠B+∠Cが360度付近となることはsp2原子となる条件を満たすため、特定装置101は、C_(1_1)をsp2炭素原子であると特定する。
続けて、図1の(3)にて示すように、特定装置101は、第1の原子の混成軌道の種別と、第1の原子に結合する複数の原子の各々の原子の原子種と、に基づいて、第1の原子の原子種を決定する。具体的に、特定装置101は、AM1BCC力場を割り当てる場合には参考文献1の表1、GAFF力場を割り当てる場合には参考文献2の表1を記憶しておく。そして、特定装置101は、それぞれの表を参照して、混成軌道の種別と第1の原子に結合する複数の原子の各々の原子の原子種に対応する第1の原子の原子種を決定する。
図1の例では、C_(1_2)のGAFF原子種は、[c2](sp2 carbon)であり、H_(1_3)とH_(1_4)のGAFF原子種は、いずれも[ha](hydrogen on aromatic carbon)である。ここで、C_(1_2)のGAFF原子種と、H_(1_3)とH_(1_4)のGAFF原子種とは、原子種を決定する方法する第1〜第3の方法のいずれかによって決定したとする。なお、GAFF原子種[ha]は、sp炭素原子またはsp2炭素原子に結合する水素原子であることを示す。特定装置101は、参考文献2の表1を参照して、C_(1_1)がsp2炭素原子であり、C_(1_2)が芳香族炭素でなく、C_(1_1)に結合する原子が酸素原子や硫黄原子でもないため、C_(1_1)のGAFF原子種を[c2]に決定する。以下、図2〜図25を用いて、特定装置101について説明する。
(特定装置のハードウェア)
図2は、特定装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。図2において、特定装置101は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read‐Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、を含む。また、記憶装置として特定装置101は、磁気ディスクドライブ204と、磁気ディスク205と、光ディスクドライブ206と、光ディスク207と、を含む。また、利用者や特定装置101以外の機器との入出力装置として特定装置101は、ディスプレイ208と、I/F(Interface)209と、キーボード210と、マウス211と、を含む。また、各部はバス212によってそれぞれ接続される。
ここで、CPU201は、特定装置101の全体の制御を司る演算処理装置である。ROM202は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶する不揮発性メモリである。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される揮発性メモリである。磁気ディスクドライブ204は、CPU201の制御にしたがって磁気ディスク205に対するデータのリード/ライトを制御する制御装置である。磁気ディスク205は、磁気ディスクドライブ204の制御で書き込まれたデータを記憶する不揮発性メモリである。また、特定装置101は、ソリッドステートドライブを有してもよい。
光ディスクドライブ206は、CPU201の制御にしたがって光ディスク207に対するデータのリード/ライトを制御する制御装置である。光ディスク207は、光ディスクドライブ206の制御で書き込まれたデータを記憶する不揮発性メモリである。また、光ディスク207は、光ディスク207に記憶されたデータをコンピュータに読み取らせたりする。
ディスプレイ208は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する表示装置である。たとえば、ディスプレイ208は、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
I/F209は、ネットワーク213と内部のインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する制御装置である。I/F209は、通信回線を通じてLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどのネットワーク213に接続され、ネットワーク213を介して他の装置に接続される。I/F209は、たとえば、モデムやLANアダプタなどを採用することができる。
キーボード210は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを有し、データの入力を行う装置である。また、キーボード210は、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。マウス211は、カーソルの移動や範囲選択、あるいはウィンドウの移動やサイズの変更などを行う装置である。また、特定装置101は、マウス211の代わりとして、ポインティングデバイスとして同様に機能を有するものであれば、トラックボールやジョイスティックなどを有していてもよい。
(特定装置101の機能構成例)
次に、特定装置101の機能構成例について説明する。図3は、特定装置の機能構成例を示すブロック図である。特定装置101は、選択部301と、算出部302と、特定部303と、判断部304と、更新部305と、決定部306と、を含む。制御部となる選択部301〜決定部306は、記憶装置に記憶されたプログラムをCPU201が実行することにより、選択部301〜決定部306の機能を実現する。記憶装置とは、具体的には、たとえば、図2に示したROM202、RAM203、磁気ディスク205、光ディスク207などである。または、I/F209を経由して他のCPUが実行することにより、選択部301〜決定部306の機能を実現してもよい。
また、特定装置101は、位置情報テーブル311、結合角条件テーブル312、結合種条件テーブル313にアクセス可能である。位置情報テーブル311、結合角条件テーブル312、結合種条件テーブル313は、RAM203、磁気ディスク205、光ディスク207といった記憶装置に格納される。また、本実施の形態にかかる特定装置101は、電子密度による結合種の決定方法を実行するため、図3に図示していないが、量子科学計算結果と、電子密度による結合種決定条件テーブルと、にアクセス可能である。量子科学計算結果と、電子密度による結合種決定条件テーブルとは、RAM203、磁気ディスク205、光ディスク207といった記憶装置に格納される。
量子科学計算結果は、構造的に安定な状態における分子内の各原子に属する電子の電子密度と分子内の原子間の原子軌道の重なりの度合いとを記憶する。構造的に安定な状態における分子内の各原子に属する電子の電子密度は、たとえば、電子の密度行列である。また、分子内の原子間の原子軌道の重なりの度合いは、たとえば、重なり積分行列である。電子の密度行列、重なり積分行列については、図9にて後述する。
電子密度による結合種決定条件テーブルは、原子間の結合の種別を表す結合種と結合種で結合する原子間の電子密度に関する条件とを対応付けて記憶する。電子密度による結合種決定条件テーブルは、図4にて後述する。
位置情報テーブル311は、構造的に安定な状態における分子内の各原子の位置情報を記憶する。具体的に、位置情報テーブル311は、分子がエチレン分子であれば、2つの炭素原子のXYZ空間の位置情報と、4つの水素原子のXYZ空間の位置情報と、を記憶する。
結合角条件テーブル312は、原子の混成軌道の種別に対応して、ある原子と、ある原子に結合する2つの原子とにより形成する結合角が満たす条件を記憶する。結合角条件テーブル312は、図1で説明した第2の記憶部に相当する。
また、結合角条件テーブル312は、原子の混成軌道の種別に対応して、ある原子と、ある原子に結合する3つの原子から選ばれた2つの原子とにより形成されるそれぞれの結合角の和が満たす条件を記憶してもよい。
結合種条件テーブル313は、原子の混成軌道の種別に対応して、ある原子と、ある原子に結合する他の原子との間の結合を表す結合種が満たす条件を記憶する。結合角条件テーブル312と結合種条件テーブル313とは、2つのテーブルを結合した1つのテーブルでもよい。結合種条件テーブル313の詳細は、図6にて後述する。
選択部301は、構造的に安定な状態における分子から、第1の原子に結合する第2の原子および第3の原子を選択する。また、選択部301は、第1の原子に3つの原子が結合する場合、さらに、分子から、第1の原子に結合する第4の原子を選択してもよい。なお、選択された原子の識別情報は、RAM203、磁気ディスク205、光ディスク207などの記憶領域に記憶される。
算出部302は、位置情報テーブル311を参照して、第1の原子および選択部301が選択した第2の原子を通る第1の直線と第1の原子および選択部301が選択した第3の原子を通る第2の直線とがなす第1の角度を算出する。具体的な算出例として、算出部302は、第1の原子と第2の原子と第3の原子とを頂点とする三角形とみなす。そして、算出部302は、第1の原子から第2の原子までの辺と、第1の原子から第3の原子までの辺と、第2の原子から第3の原子までの辺と、第1の角度とに対し、余弦定理を適用して、第1の角度を算出する。また、算出部302は、さらに、位置情報テーブル311を参照して、第1の直線と第1の原子および選択部301が選択した第4の原子を通る第3の直線とがなす第2の角度と、第2の直線と第3の直線とがなす第3の角度と、を算出してもよい。なお、算出した角度の値は、RAM203、磁気ディスク205、光ディスク207などの記憶領域に記憶される。
特定部303は、結合角条件テーブル312を参照して、算出部302が算出した第1の角度に基づいて、第1の原子の混成軌道の種別を特定する。また、特定部303は、結合角条件テーブル312を参照して、第1の角度と算出部302が算出した第2の角度と算出部302が算出した第3の角度との和に基づいて、第1の原子の混成軌道の種別を特定してもよい。ここで、結合角が、直線がなす角度のうちの180度以下の角度であるから、結合角条件テーブル312に記憶される条件も、直線がなす角度のうちの180度以下の角度が満たす条件である。ここで、結合角が、直線がなす角度のうちの180度以上の角度であるとして、結合角条件テーブル312に記憶される条件が、直線がなす角度のうちの180度以上の角度が満たす条件でもよい。具体的な特定例については、図5にて後述する。なお、特定した混成軌道の種別は、RAM203、磁気ディスク205、光ディスク207などの記憶領域に記憶される。
判断部304は、第1の原子と第1の原子に結合する複数の原子の各々の原子との間の結合種が、結合種条件テーブル313を参照して、特定部303が特定した第1の原子の混成軌道の種別に対応する条件を満たすか否かを判断する。結合種は、原子価を用いて結合種を決定されたものでもよいし、原子間の結合距離に基づいて結合種を決定されたものでもよいし、原子間の電子密度に基づいて結合種を決定されたものでもよい。
たとえば、特定部303が特定した第1の原子の混成軌道の種別がsp3であり、結合種が全て単結合であれば、判断部304は、条件を満たすと判断する。なお、判断結果は、RAM203、磁気ディスク205、光ディスク207などの記憶領域に記憶される。
判断部304が第1の原子と各々の原子との間の結合種が第1の原子の混成軌道の種別に対応する条件を満たさないと判断したとする。この場合、更新部305は、第1の原子の混成軌道の種別に対応する条件と、第1の原子および各々の原子間の距離または電子密度同士の比較結果とに基づいて、第1の原子と各々の原子との間の結合種を更新する。具体的な更新例については、図17にて後述する。
決定部306は、特定部303が特定した第1の原子の混成軌道の種別と、第1の原子に結合する複数の原子の各々の原子の原子種と、に基づいて、第1の原子の原子種を決定する。具体的な決定方法は、図1に記載した通りである。なお、決定結果は、RAM203、磁気ディスク205、光ディスク207などの記憶領域に記憶される。
図4は、電子密度による結合種決定条件テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。結合種決定条件テーブル401は、結合種ごとに記憶する。結合種決定条件テーブル401は、レコード401−1〜401−6を記憶する。結合種決定条件テーブル401は、結合種、電子密度条件、原子条件、その他の条件、力場種別という5つのフィールドを含む。結合種フィールドには、結合の種別を表す識別情報が格納される。電子密度条件フィールドには、結合種で結合する原子の間の電子密度に関する条件が格納される。原子条件フィールドには、結合種で結合する原子の種別が格納される。その他の条件フィールドには、電子密度条件と原子条件以外の条件が格納される。力場種別フィールドには、原子種が定義される力場の種別が格納される。
たとえば、レコード401−1は、単結合となる条件として、電子密度が1.5未満であることを示す。また、レコード401−1は、単結合がAM1BCC電荷、GAFF力場とともに定義されることを示す。レコード401−1の電子密度条件フィールドの内容が、電子密度による第1の条件となる。
同様に、レコード401−2の電子密度条件フィールドの内容が、電子密度による第2の条件となり、レコード401−3の電子密度条件フィールドの内容が、電子密度による第3の条件となる。また、レコード401−4の電子密度条件フィールドの内容が、電子密度による第4の条件となる。さらに、レコード401−4の原子条件フィールドの内容が、電子密度による第5の条件となる。また、レコード401−5の原子条件フィールドの内容が、電子密度による第6の条件となる。なお、電子密度による第6の条件の詳細については、参考文献1の図1aに詳細に記述される。また、レコード401−5のその他の条件フィールドの内容が、電子密度による第7の条件となる。
図5は、結合角条件テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。図5に示す結合角条件テーブル312は、レコード501−1〜レコード501−7を有する。結合角条件テーブル312は、原子と、条件と、混成軌道の種別という3つのフィールドを含む。原子フィールドには、原子の種別が格納される。条件フィールドには、該当の原子を中心とする結合角が満たすべき条件が格納される。具体的に、条件フィールドには、結合角が、予め指定された閾値を用いて表現された条件が格納される。混成軌道の種別フィールドには、結合角が条件フィールドに格納された条件を満たす際の、結合角の中心の原子の混成軌道の種別が格納される。
予め指定された閾値は、2〜3度程度の刻みで指定しておけばよく、計算精度の依存性が小さい。本実施の形態では、2.5度刻みとする。なお、結合距離を用いて結合種を決定する方法では、閾値を、0.001[オングストローム]刻みで指定しなければならないため、計算精度の依存性が大きくなってしまう。
たとえば、レコード501−1は、炭素原子を中心とする結合角が180度付近であれば、炭素原子がsp原子であることを示す。また、レコード501−4は、3つの結合角の和が360度付近であれば、結合角の中心の炭素原子がsp2原子であることを示す。
レコード501−1〜レコード501−7に記載の「x度付近」について説明する。xは各レコードの条件フィールドに格納された角度を示す。第1の判断方法として、特定装置101は、たとえば、結合角または結合角の和が、x度から特定装置101の利用者等により指定された所定の範囲内であれば、条件を満たすと判断してもよい。
第2の判断方法として、特定装置101は、レコード501−1〜レコード501−3に示す結合角の条件について、結合角が、2つの閾値の平均値から求められる範囲に含まれる場合、条件を満たすと判断してもよい。たとえば、レコード501−1の条件として、特定装置101は、結合角が(180+120)/2=150度以上であれば、条件を満たすと判断してもよい。さらに、レコード501−2の条件として、特定装置101は、結合角が150度未満であり、かつ、結合角が(120+109.5)/2=114.8度以上であれば、条件を満たすと判断してもよい。そして、レコード501−3の条件として、特定装置101は、結合角が114.8度未満であれば、条件を満たすと判断してもよい。
同様の考え方を適用して、特定装置101は、レコード501−4、レコード501−5に示す結合角の和の条件について、結合角が、2つの閾値の平均値から求められる範囲に含まれる場合、条件を満たすと判断してもよい。たとえば、レコード501−4の条件として、特定装置101は、結合角が(360+330)/2=345度以上であれば、条件を満たすと判断してもよい。そして、レコード501−5の条件として、特定装置101は、結合角が345度未満であれば、条件を満たすと判断してもよい。
第3の判断方法として、特定装置101は、レコード501−1、レコード501−2に示す結合角の条件について、sp原子が極めて直線性が高くなることを考慮して、条件となる範囲を設定してもよい。たとえば、レコード501−1の条件として、特定装置101は、180−2.5×4=170度以上であれば、条件を満たすと判断してもよい。そして、レコード501−2の条件として、特定装置101は、結合角が170度未満であり、かつ、結合角が114.8度以上であれば、条件を満たすと判断してもよい。このとき、配位数が2であり、5員環の原子については、sp2でも108度となるため、本実施の形態にかかる結合角による原子種決定方法を実行する際には、5員環以下の環化合物の原子種については除外することが好ましい。ただし、配位数2でsp3の系は窒素アニオンなどの稀な系である。
また、第4の判断方法として、特定装置101は、窒素原子にベンゼンなど芳香族が結合した場合、窒素原子のローンペアー電子が芳香族環に非局在化し易くなることを考慮して、窒素原子がsp2原子かsp3原子かの条件となる範囲を設定してもよい。たとえば、sp2窒素原子となる条件として、特定装置101は、窒素原子を中心とする結合角の和が360−2.5×3=352.5度未満であれば、条件が満たされたとして、sp2窒素原子であると判断してもよい。そして、sp3窒素原子となる条件として、特定装置101は、窒素原子を中心とする結合角の和が352.5度以上であれば、条件が満たされたとして、sp3窒素原子であると判断してもよい。
図6は、混成軌道の種別に対応する結合種の条件の一例を示す説明図である。図6では、混成軌道の種別に対応する結合種の条件を記憶する結合種条件テーブル313を表示する。図6に示す結合種条件テーブル313は、レコード601−1〜レコード601−3を有する。
結合種条件テーブル313は、混成軌道の種別と、結合種の条件と、という2つのフィールドを含む。混成軌道の種別フィールドには、原子の混成軌道の種別として、sp、sp2、sp3が格納される。結合種の条件フィールドには、原子の混成軌道の種別が混成軌道の種別フィールドに格納された種別となる場合に、該当の原子に結合する複数の原子の各々の原子および該当の原子間の結合種が満たすべき条件が格納される。
たとえば、レコード601−1は、原子がsp原子となる場合に、該当の原子に結合する複数の原子の各々の原子および該当の原子間の結合種が満たす条件として、三重結合が存在する、または二重結合が存在することを示す。
また、レコード601−2は、原子がsp2原子となる場合に、該当の原子に結合する複数の原子の各々の原子および該当の原子間の結合種が満たす条件として、二重結合が1つ存在することを示す。
さらに、レコード601−3は、原子がsp3原子となる場合に、該当の原子に結合する複数の原子の各々の原子および該当の原子間の結合種が満たす条件として、全て単結合となることを示す。
次に、窒素原子が取り得る原子種および結合種の一覧について、図7を用いて説明する。
図7は、窒素原子の原子種および結合種の一例を示す説明図である。表701は、窒素原子の原子種および結合種を示す。図7に示す原子種は、全てAM1BCC原子種である。
窒素原子の配位数は、1から4まである。さらに、窒素原子の状態も原子価が4となるカチオン、原子価が3となる中性、原子価が2となるアニオンの3種類がある。配位数が1で窒素原子の状態が中性である場合、原子種が[25]となり、結合種が三重結合となる。配位数が1で窒素原子の状態がアニオンである場合、原子種が[25]となり、結合種が二重結合となる。
配位数が2で窒素原子の状態がカチオンである場合、窒素原子はsp原子となり、原子種が[25]となり、結合種が三重結合となる。配位数が2で窒素原子の状態が中性である場合、窒素原子はsp2原子となり、原子種が[24]となり、結合種が二重結合と、単結合となる。配位数が2で窒素原子の状態がアニオンである場合、窒素原子はsp3原子となり、原子種が[21]か[22]か[23]かのうちのいずれかとなり、結合種が単結合2つとなる。
配位数が3で窒素原子の状態がカチオンである場合、窒素原子はsp2原子となり、原子種が[23]となり、結合種が二重結合と、単結合となる。配位数が3で窒素原子の状態が中性である場合、窒素原子はsp3原子となり、原子種が[21]か[22]か[23]となり、結合種が単結合3つとなる。
配位数が4で窒素原子の状態がカチオンである場合、窒素原子はsp3原子となり、原子種が[21]となり、結合種が二重結合と、単結合となる。次に、分子構造を記憶するテーブルである分子構造テーブル801の記憶内容の一例について、図8を用いて説明する。
図8は、分子構造テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。図8の(A)および図8の(B)では、エチレン分子の分子構造が分子構造テーブル801に記憶される場合を例にして説明する。図8の(A)では、分子構造テーブル801の記憶内容の一例を示す。図8の(B)では、分子構造テーブル801の記憶内容に対応した原子の位置をxy座標上にて示す。
図8の(A)に示す分子構造テーブル801は、レコード801−1〜801−6を記憶する。分子構造テーブル801は、原子ID、x座標、y座標、z座標という4つのフィールドを含む。原子IDフィールドには、対象原子を識別する識別情報が格納される。x座標フィールドには、対象原子のx座標の値が格納される。y座標フィールドには、対象原子のy座標の値が格納される。z座標フィールドには、対象原子のz座標の値が格納される。たとえば、レコード801−1は、C_(8_1)が、x座標=0.66、y座標=0.0、z座標=0.0に位置することを示す。
図8の(B)では、レコード801−1〜801−6にて示す、C_(8_1)〜H_(8_6)を、xy座標上にて示す。図8の(B)では、C_(8_1)〜H_(8_6)のz座標の値は、全て0であるため、z軸を省略する。次に、図9〜図13を用いて、対象分子となるC1264における、分子構造の生成から、分子力場の割当を行う処理までを説明する。
図9は、モデリングソフトによる分子構造初期値の生成例を示す説明図である。図9では、モデリングソフトによって、分子構造テーブル801に格納されるデータが生成される様子を、図9の(A)、図9の(B)、および図9の(C)にて説明する。
図9の(A)にて、特定装置101は、利用者の操作により、ベンゼン環を表示する。たとえば、特定装置101は、利用者によるマウス211の操作により、ツールバーにあるベンゼン環アイコンが押下される。さらに、特定装置101は、利用者のマウス211のクリック操作により、作業用ウィンドウ上のいずれかの位置にベンゼン環を表示する。
次に、図9の(B)にて、特定装置101は、利用者によるマウス211の操作により、二つ目のベンゼン環を表示する。さらに、特定装置101は、利用者によるマウス211の操作により、1つ目のベンゼン環と2つ目のベンゼン環を結合した状態を表示する。
続けて、図9の(C)にて、特定装置101は、利用者によるマウス211の操作により、図9の(B)内のH_(9_1)〜H_(9_4)を、O_(9_5)〜O_(9_8)に置き換えた図である。さらに、特定装置101は、利用者によるマウス211の操作により、全体の電荷を−2に設定する。次に、特定装置101は、図9にて生成した対象分子となるC1264について、分子軌道法により、安定構造を求める。分子軌道法の計算方法は、NDDO(Neglect of Diatomic Differential Overlap)法に属するPM5(Parametric Method 5)法を用いることにする。特定装置101は、安定構造となった対象分子内の各原子の位置情報を、位置情報テーブル311に格納する。
続けて、特定装置101は、PM5法を用いて、結合のある部位のMayerのボンドオーダーを算出する。特定装置101は、下記(1)式を用いて、Mayerのボンドオーダーを算出する。
Figure 0006119411
ただし、BOkk'は原子kと原子k’との間のMayerのボンドオーダーを示す。P、Sは、それぞれ電子の密度行列、原子軌道の重なり積分行列を示す。λ、ωは、それぞれk、k’に属する基底関数を示す。密度行列Pと重なり積分行列Sは、量子科学計算でエネルギーを計算する際に行われるため、ボンドオーダーを求める場合に余分に行われるべき計算ではない。このため、ボンドオーダーの計算量は量子科学計算に対して無視できるほど小さい。なお、特定装置101は、密度行列Pの行列要素と重なり積分行列Sの行列要素を、下記(2)式、下記(3)式にて算出する。
Figure 0006119411
Figure 0006119411
ただし、μ、νは原子軌道に関する添え字を表す。また、Cμi、Cνiは分子が取り得るポテンシャルエネルギーのうちのi番目に低い分子軌道、あるいは密度汎関数法における軌道の軌道係数を示す。χμ、χνは分子軌道を展開するための基底関数である。たとえば、電子が10個ある場合、nは5となる。なお、i番目の軌道をΨiとすると、ΨiとCμi、χμとの関係は下記(4)式で表される。
Figure 0006119411
図10は、電子密度による原子種の決定方法の一例を示す説明図である。図10の(A)では、電子密度を用いた結合種の決定方法を示す。図10の(B)では、原子価を用いた結合種の決定方法を示す。
図10の(A)にて示す電子密度を用いる方法にて、特定装置101は、O_(10_1)とC_(10_2)の間の電子密度ρの値が、1.38であると算出する。続けて、特定装置101は、ρの値が単結合を示す条件となる電子密度ρ<1.5を満たすため、O_(10_1)とC_(10_2)の結合種を単結合に決定する。また、単結合となるため、特定装置101は、原子価が1であるアニオン性酸素に決定する。酸素原子の原子価が1である場合に酸素原子がアニオン性となり、酸素原子の原子価が2である場合に酸素原子が中性となる、という情報は、表として、RAM203、磁気ディスク205、光ディスク207に記憶されるものとする。
また、特定装置101は、O_(10_3)とC_(10_4)の間の電子密度ρの値が、1.62であると算出する。続けて、特定装置101は、ρが二重結合を示す条件1.5≦ρ<2.5を満たすため、O_(10_3)とC_(10_4)の結合種を二重結合に決定する。このように、特定装置101は、ρ<1.5を満たせば結合種を単結合に決定し、1.5≦ρ<2.5を満たせば結合種を二重結合に決定する。また、図10には表示されていないが、特定装置101は、2.5≦ρを満たせば結合種を三重結合に決定する。
図10の(B)にて示す原子価を用いる方法は、O-の原子価が1であり、Oの原子価が2であるため、図10の(B1)で示す構造と、図10の(B2)で示す構造と、の2パターンがあり、正しい方を判断することが難しい。このように、原子価を用いる方法は、判別に曖昧性を残すことになる。実際に取り得る構造としては、アニオン性酸素同士が対角にある図10の(A)および図10の(B1)で示す構造が安定である。したがって、特定装置101は、電子密度を用いた決定方法を用いることにより、原子価を用いて決定するより正確に結合種を決定することができる。
図11は、電子密度による芳香族結合の決定方法の一例を示す説明図である。図11の(A1)および図11の(A2)と、図11の(B1)および図11の(B2)を用いて、特定の環構造に含まれる原子間の結合種の決定方法を説明する。具体的に、図11の(A1)および図11の(A2)では、特定装置101は、C1264に含まれる原子間の結合種を決定する。また、図11の(B1)および図11の(B2)では、特定装置101は、C66に含まれる原子間の結合種を決定する。
図11の(A1)にて、特定装置101は、H_(11_1)とC_(11_2)の間の結合種を、単結合に決定したとする。次に、特定装置101は、H_(11_1)とC_(11_2)のいずれかが環に含まれるか否かを判断する。図11の(A1)の場合、C_(11_2)〜C_(11_7)が環を形成するため、C_(11_2)が環に含まれる。以下、C_(11_2)〜C_(11_7)にて形成される環を、環1101とする。C_(11_2)が環1101に含まれるため、特定装置101は、環1101を形成する原子群の組合せが特定の組合せか否かを判断する。ここで、特定の組合せとは、レコード401−5の原子条件である。この場合、環1101を形成する原子群は、全て炭素原子であり、特定の組合せとなる。
環1101が特定の組合せである場合、特定装置101は、続けて、環1101と環1101に結合する原子との間の結合種が単結合、または配位結合か否かを判断する。図11の(A1)の段階では、環1101と環1101に結合する原子との結合種、たとえばC_(11_7)とO-_(11_8)の結合種がまだ決定されていないため、特定装置101は、環1101に含まれる原子間の結合種が芳香族結合か否かの判断を行わない。
次に、図11の(A2)にて、特定装置101は、C_(11_7)とO-_(11_8)の結合種を、単結合に決定したとする。また、特定装置101は、環1101と環1101に結合する原子との結合種が全て決定済みであるとする。C_(11_7)が環1101に含まれるため、特定装置101は、続けて、環1101と環1101に結合する原子との結合種が単結合または配位結合か否かを判断する。環1101に接する結合種のうち、C_(11_3)とC_(11_9)間の結合種が二重結合であるように、単結合または配位結合でない結合種があるため、特定装置101は、環1101の各々の原子間の結合種を芳香族結合でないと判断する。なお、環1101の各々の原子間の結合種については、図10に記載した電子密度に用いた方法で行う。
また、図11の(B1)にて、特定装置101は、H_(11_11)とC_(11_12)の間の結合種を、単結合に決定したとする。次に、特定装置101は、H_(11_11)とC_(11_12)のいずれかが環に含まれるか否かを判断する。図11の(B1)の場合、C_(11_12)〜C_(11_17)が環を形成するため、C_(11_12)が環に含まれる。以下、C_(11_12)〜C_(11_17)にて形成される環を、環1102とする。図11の(B1)の段階では、環1102と環1102に結合する原子との結合種が決定されていないものがあるため、特定装置101は、環1102に含まれる原子間の結合種が芳香族結合か否かの判断を行わない。
次に、図11の(B2)にて、特定装置101は、C_(11_17)とH_(11_18)の結合種を、単結合に決定したとする。C_(11_17)が環1102に含まれるため、特定装置101は、続けて、環1102と環1102に結合する原子との結合種が単結合または配位結合か否かを判断する。環1102と環1102に結合する原子との結合種全てが単結合であるため、特定装置101は、環1102に含まれる原子間の結合種を芳香族結合であると判断する。
図12は、電子密度による電荷を有する結合種の決定方法の一例を示す説明図である。アニオン性原子を含む単結合の電子密度の値は、中性原子同士の単結合より高くなり、単結合と二重結合を判断する閾値1.5を超えてしまう場合も有り得る。図12の(A)と図12の(B)では、電子密度の値が閾値1.5を超えた場合における、アニオン性原子を含む単結合を決定する方法について説明する。
特定装置101は、対象分子となるC1264の原子間の組合せのうち、結合種が二重結合である組を抽出する。図12の(A)では、特定装置101は、C_(12_1)とO_(12_2)の組と、C_(12_3)とO_(12_4)の組と、C_(12_5)とO_(12_6)の組と、C_(12_7)とO_(12_8)の組とを抽出する。また、C_(12_1)とO_(12_2)の電子密度ρの値が1.51であるとし、C_(12_3)とO_(12_4)の電子密度ρの値が1.72であるとする。さらに、C_(12_5)とO_(12_6)の電子密度ρの値が1.71であるとし、C_(12_7)とO_(12_8)の電子密度ρの値が1.50であるとする。
なお、抽出された4つの組は、全て炭素原子と酸素原子の組合せとなったため、特定装置101は、そのまま4つの組を対象に処理を続ける。もし、抽出された組の2つの原子の組合せが異なる場合、特定装置101は、抽出された組合せを、2つの原子の種別ごとのグループに分割し、グループごとに処理を続行する。たとえば、抽出された組合せが、炭素原子と炭素原子の組合せと、炭素原子と酸素原子の組合せと、になった場合、特定装置101は、炭素原子と酸素原子の組合せを1つのグループに設定し、炭素原子と酸素原子の組合せをもう一つのグループに設定する。
次に、特定装置101は、4つの抽出された組の電子密度の値が同一か否かを判断する。同一か否かの判断としては、電子密度の値が完全同一でなく、たとえば、比較対象同士の電子密度の値の差が、所定の閾値以下であれば、同一とみなしてもよい。図12の(A)の例では、比較対象同士の電子密度の値が0.05未満であれば、同一とみなすことにする。たとえば、C_(12_1)とO_(12_2)の電子密度の値が1.51であり、C_(12_3)とO_(12_4)の電子密度の値が1.72であるので、1.72−1.51=0.21>0.05となるため、特定装置101は、同一でないと判断する。同様に、特定装置101は、C_(12_5)とO_(12_6)と、C_(12_7)とO_(12_8)との電子密度の値も同一でないと判断する。
同一でないと判断した場合、特定装置101は、電子密度の値が低い方の結合種を単結合に決定する。設定した後の図として、図12の(B)に示す。特定装置101は、C_(12_1)とO_(12_2)との間の結合種を単結合に決定し、さらに、O_(12_2)を、O-_(12_2)に決定する。同様に、特定装置101は、C_(12_7)とO_(12_8)との間の結合種を単結合に決定し、さらに、O_(12_8)を、O-_(12_8)に設定する。次に、図10〜図12に示した決定した結合種を用いた原子種の決定の例について、図13にて説明する。
図13は、電子密度による原子種の決定結果の一例を示す説明図である。図13では、対象分子となるC1264について、図10の(A)で示した構造における原子種を図13の(A)として示し、図10の(B2)で示した構造における原子種を図13の(B)として示す。
原子種は、結合種から1対1で特定できる。また、図13の(A)および図13の(B)では、GAFF原子種を用いた場合の例を示す。なお、図13の(A)および図13の(B)の水素原子の表記を省略するが、全ての水素原子のGAFF原子種が、[ha]となる。
図13の(A)では、特定装置101は、C_(13_1)〜C_(13_6)のGAFF原子種を、それぞれ、[c]、[cd]、[cc]、[cc]、[cd]、[cd]に決定する。
また、図13の(B)では、特定装置101は、C_(13_11)〜C_(13_16)のGAFF原子種を、全て[ca]に決定する。GAFF原子種が異なると、割り当てられる分子力場が異なるため、物性などのシミュレーションに影響を与える。
図13にて示したように、原子種が異なると、割り当てられる力場が異なるため、シミュレーションが不正確となってしまう。本実施の形態にかかる特定装置101は、新規の分子についても、適切な分子力場を割り当てることができる。
図10〜図13では、電子密度による原子種の決定方法を説明した。次に、図14を用いて、結合角による原子種の決定方法の一例を示す。
図14は、結合角による原子種の決定方法の一例を示す説明図である。図14では、対象分子をC39Nとして、結合角による原子種を決定する方法について説明する。
図14の(A)にて、特定装置101は、対象分子の構造的に安定な状態を探索する。構造的に安定な状態が検出できた後、特定装置101は、検出した構造的に安定な状態におけるN_(14)を中心とする3つの結合角となる、図14の(A)の∠Aと∠Bと∠Cとを算出する。算出した結果、図14の(A)の∠Aと∠Bと∠Cともに、113度となり、図14の(A)の∠A+∠B+∠C=339度<352.5度であるため、特定装置101は、N_(14)がsp3窒素原子であると判断する。
続けて、図14の(B)にて、特定装置101は、N_(14)が、GAFF原子種が[c3]となる炭素原子を有するメチル基と結合することから、N_(14)のGAFF原子種を[n3]に決定する。次に、図15〜図17を用いて、結合角による原子種の決定結果の一例を示す。
図15は、結合角による原子種の決定結果の一例を示す説明図(その1)である。図15では、4つの対象分子に対して、結合角による、結合角の中心にある原子の原子種の決定の様子を示す。図15では、結合角の中心が炭素原子である場合について説明を行う。
図15の(A)では、特定装置101は、対象分子をC762として、C_(15A)を中心とする結合角により、C_(15A)の原子種を決定する。特定装置101は、対象分子の構造的に安定な状態を探索する。構造的に安定な状態が検出できた後、特定装置101は、検出した構造的に安定な状態におけるC_(15A)を中心とする3つの結合角となる、図15の(A)の∠Aと∠Bと∠Cとを算出する。算出した結果、図15の(A)の∠Aと∠Bと∠Cは、それぞれ、115.4度、116.0度、128.6度となり、∠A+∠B+∠C=360.0度≧352.5度であるため、特定装置101は、C_(15A)がsp2炭素原子であると判断する。
続けて、特定装置101は、C_(15A)が酸素原子と結合することから、C_(15A)がカルボニル炭素であることが判断できる。よって、特定装置101は、C_(15A)のGAFF原子種を、[c]に決定する。
図15の(B)では、特定装置101は、対象分子をC77ONとして、C_(15B)を中心とする結合角により、C_(15B)の原子種を決定する。特定装置101は、対象分子の構造的に安定な状態を探索する。構造的に安定な状態が検出できた後、特定装置101は、検出した構造的に安定な状態におけるC_(15B)を中心とする3つの結合角となる、図15の(B)の∠Aと∠Bと∠Cとを算出する。算出した結果、図15の(B)の∠Aと∠Bと∠Cは、それぞれ、121.9度、119.7度、118.3度となり、∠A+∠B+∠C=359.9度≧352.5度であるため、特定装置101は、C_(15B)がsp2炭素原子であると判断する。
続けて、特定装置101は、C_(15B)が酸素原子および窒素原子と結合することから、C_(15B)がアミド炭素であることが判断できる。よって、特定装置101は、C_(15B)のGAFF原子種を、[c]に決定する。
図15の(C)では、特定装置101は、対象分子をC88Oとして、C_(15C)を中心とする結合角により、C_(15C)の原子種を決定する。特定装置101は、対象分子の構造的に安定な状態を探索する。構造的に安定な状態が検出できた後、特定装置101は、検出した構造的に安定な状態におけるC_(15C)を中心とする3つの結合角となる、図15の(C)の∠Aと∠Bと∠Cとを算出する。算出した結果、図15の(C)の∠Aと∠Bと∠Cは、それぞれ、120.9度、116.4度、122.7度となり、∠A+∠B+∠C=360.0度≧352.5度であるため、特定装置101は、C_(15C)がsp2炭素原子であると判断する。
続けて、特定装置101は、C_(15C)が炭素原子および水素原子と結合することから、C_(15C)のGAFF原子種を、[c2]に決定する。
図15の(D)では、特定装置101は、対象分子をC87Nとして、C_(15D)を中心とする結合角により、C_(15D)の原子種を決定する。特定装置101は、対象分子の構造的に安定な状態を探索する。構造的に安定な状態が検出できた後、特定装置101は、検出した構造的に安定な状態におけるC_(15D)を中心とする結合角となる、図15の(D)の∠Aを算出する。算出した結果、図15の(D)の∠Aは、178.3度となり、∠A=178.3度≧170.0度であるため、特定装置101は、C_(15D)がsp炭素原子であると判断する。続けて、特定装置101は、C_(15D)のGAFF原子種を、[c1]に決定する。
図16は、結合角による原子種の決定結果の一例を示す説明図(その2)である。図16では、6つの対象分子に対して、結合角による、結合角の中心にある原子の原子種の決定の様子を示す。図16では、結合角の中心が窒素原子である場合について説明を行う。
図16の(A)では、特定装置101は、対象分子をC811Nとして、N_(16A)を中心とする結合角により、N_(16A)の原子種を決定する。特定装置101は、対象分子の構造的に安定な状態を探索する。構造的に安定な状態が検出できた後、特定装置101は、検出した構造的に安定な状態におけるN_(16A)を中心とする3つの結合角となる、図16の(A)の∠Aと∠Bと∠Cとを算出する。算出した結果、図16の(A)の∠Aと∠Bと∠Cは、それぞれ、115.6度、113.4度、116.4度となり、∠A+∠B+∠C=345.4度<352.5度であるため、特定装置101は、N_(16A)がsp3窒素原子であると判断する。
続けて、特定装置101は、N_(16A)が芳香族環と結合することから、N_(16A)のGAFF原子種を、[nh]に決定する。
図16の(B)では、特定装置101は、対象分子をC810NOとして、N_(16B)を中心とする結合角により、N_(16B)の原子種を決定する。さらに、図16の(B)の対象分子は、電荷が+1であるとする。特定装置101は、対象分子の構造的に安定な状態を探索する。構造的に安定な状態が検出できた後、特定装置101は、検出した構造的に安定な状態におけるN_(16B)を中心とする3つの結合角となる、図16の(B)の∠Aと∠Bと∠Cとを算出する。算出した結果、図16の(B)の∠Aと∠Bと∠Cは、それぞれ、121.3度、117.4度、121.3度となり、∠A+∠B+∠C=360.0度≧352.5度であるため、特定装置101は、N_(16B)がsp2窒素原子であると判断する。
続けて、特定装置101は、N_(16B)の配位数が3であるからイミニウムイオンであると判断する。また、特定装置101は、AM1BCC原子種を[23]と決定する。イミニウムイオンとなる場合のGAFF原子種は未定義である。
図16の(C)では、特定装置101は、対象分子をC45Nとして、N_(16C)を中心とする結合角により、N_(16C)の原子種を決定する。特定装置101は、対象分子の構造的に安定な状態を探索する。構造的に安定な状態が検出できた後、特定装置101は、検出した構造的に安定な状態におけるN_(16C)を中心とする3つの結合角となる、図16の(C)の∠Aと∠Bと∠Cとを算出する。算出した結果、図16の(C)の∠Aと∠Bと∠Cは、それぞれ、125.6度、125.6度、108.8度となり、∠A+∠B+∠C=360.0度≧352.5度であるため、特定装置101は、N_(16C)がsp2窒素原子であると判断する。
続けて、特定装置101は、N_(16C)の配位数が3であり、芳香族5員環であることから、N_(16C)が芳香族sp2窒素原子であり、GAFF原子種を[na]と判断する。
図16の(D)では、特定装置101は、対象分子をC79NOとして、N_(16D)を中心とする結合角により、N_(16D)の原子種を決定する。特定装置101は、対象分子の構造的に安定な状態を探索する。構造的に安定な状態が検出できた後、特定装置101は、検出した構造的に安定な状態におけるN_(16D)を中心とする3つの結合角となる、図16の(D)の∠Aと∠Bと∠Cとを算出する。算出した結果、図16の(D)の∠Aと∠Bと∠Cは、それぞれ、115.3度、116.8度、127.9度となり、∠A+∠B+∠C=360.0度≧352.5度であるため、特定装置101は、N_(16D)がsp2窒素原子であると判断する。
続けて、特定装置101は、N_(16D)の配位数が3であり、カルボニル炭素と結合することから、N_(16D)がアミドsp2窒素原子であり、GAFF原子種を[n]と判断する。
図16の(E)では、特定装置101は、対象分子をCH32として、N_(16E)を中心とする結合角により、N_(16E)の原子種を決定する。特定装置101は、対象分子の構造的に安定な状態を探索する。構造的に安定な状態が検出できた後、特定装置101は、検出した構造的に安定な状態におけるN_(16E)を中心とする結合角となる、図16の(E)の∠Aを算出する。算出した結果、図16の(E)の∠Aは、122.1度となり、114.8度≦∠A=122.1度<170.0度であるため、特定装置101は、N_(16E)がsp2窒素原子であると判断する。
続けて、特定装置101は、N_(16E)のGAFF原子種を[n2]と判断する。また、特定装置101は、N_(16E)のAM1BCC原子種を[24]と判断する。
図16の(F)では、特定装置101は、対象分子をCH32として、N_(16F)を中心とする結合角により、N_(16F)の原子種を決定する。特定装置101は、対象分子の構造的に安定な状態を探索する。構造的に安定な状態が検出できた後、特定装置101は、検出した構造的に安定な状態におけるN_(16F)を中心とする結合角となる、図16の(F)の∠Aを算出する。算出した結果、図16の(F)の∠Aは、180.0度となり、∠A=180.0度≧170.0度であるため、特定装置101は、N_(16F)がsp窒素原子であると判断する。
続けて、特定装置101は、N_(16F)のGAFF原子種を[n1]と判断する。また、特定装置101は、N_(16F)のAM1BCC原子種を[25]と判断する。
図17は、結合角による原子種の決定結果の一例を示す説明図(その3)である。図17では、結合距離または電子密度を用いて決定した結合種に矛盾が発生した場合に、結合角による原子の混成軌道の種別を用いて、結合種を決定する例について説明を行う。図17の(A)では、対象分子をC554として、結合aの結合種と結合bの結合種とを決定する。ここで、結合aの結合種と結合bの結合種とを決定する装置は、特定装置101でもよいし、特定装置101とは異なる他の装置でもよい。他の装置が結合aの結合種と結合bの結合種とを決定する場合、特定装置101は、他の装置から決定結果を取得することになる。図17では、結合aの結合種と結合bの結合種とを決定する装置が特定装置101であるとして説明を行う。
第1の結合種の決定方法として、結合距離を用いた結合種を決定する例について説明する。特定装置101は、結合aの距離を1.357[オングストローム]と算出するとともに、結合bの距離を1.367[オングストローム]と算出する。
一方、炭素−窒素の結合種を判断する閾値を決定するために、特定装置101は、図17の(B)で示すC_(17B_1)とN_(17B_2)の結合cの距離と、図17の(C)で示すC_(17C_1)とN_(17C_2)の結合dの距離とを算出する。特定装置101は、結合cの距離を、1.480[オングストローム]と算出するとともに、結合dの距離を1.294[オングストローム]と算出する。そして、特定装置101は、炭素−窒素の結合種が単結合か二重結合かを判断する閾値として用いる値を、結合cと結合dの平均値(1.480+1.294)/2=1.387に設定する。
続けて、特定装置101は、設定した閾値と、結合a、結合bそれぞれの距離とを比較して、単結合か二重結合かを判断する。結合a、結合bともに、設定した閾値より小さいため、特定装置101は、結合a、結合bともに二重結合と判断する。ここで、表701が示すように、配位数2であり、中性の窒素原子の結合種は、二重結合と単結合となるため、表701と矛盾する結果となる。
次に、第2の結合種の決定方法として、電子密度を用いた結合種を決定する例について説明する。特定装置101は、結合aの電子密度を1.449と算出するとともに、結合bの電子密度を1.264と算出する。
レコード401−1、レコード401−2により、単結合か二重結合かを判断する閾値は1.5であるから、特定装置101は、結合a、結合bともに単結合と判断する。ここで、表701が示すように、配位数2であり、中性の窒素原子の結合種は、二重結合と単結合となるため、表701と矛盾する結果となる。
そこで、図17の(A)の例について、特定装置101は、結合角によって特定した混成軌道の種別を用いて、混成軌道の種別に対応する結合種の条件を満たすか否かを判断することによって、結合種を決定する。
具体的に、特定装置101は、N_(17A)を中心とする結合角となる、図17の(A)の∠Aを算出する。算出した結果、図17の(A)の∠Aは、119.1度となり、114.8度≦∠A=119.1度<170.0度であるため、特定装置101は、N_(17A)がsp2窒素原子であると判断する。結合種条件テーブル313を参照するとsp2原子は、二重結合が1つあり、配位数が2であることから、特定装置101は、N_(17A)の結合種を、二重結合1つと単結合1つと特定する。
次に、結合aと結合bについて、どちらが二重結合となり、どちらが単結合となるかについて、特定装置101は、結合距離または電子密度を用いて決定する。結合距離を用いる場合、結合bの方が結合aに比べて結合距離が長いため、特定装置101は、結合bの方が結合aに比べて単結合に近いと判断して、距離が長い結合bの結合種を二重結合から単結合に更新する。また、電子密度を用いる場合、結合aの方が結合bに比べて電子密度が大きいため、特定装置101は、結合aの方が結合bに比べて二重結合に近いと判断して、電子密度が大きい結合aの結合種を単結合から二重結合に更新する。
図18は、力場テーブルの一例を示す説明図である。図9〜図17にて示す処理を行って、対象分子内の各原子の原子種を特定した後、特定装置101は、力場テーブルを参照して、原子種に対応する力場情報を割り当てる。力場テーブルは、たとえば、参考文献3に記載された原子種ごとのばね定数等が格納されたテーブルである。力場テーブルとして、結合パラメータ1801、結合角パラメータ1802、二面角パラメータ1803、非結合パラメータ1804とがある。
図18に示す結合パラメータ1801は、レコード1801−1〜レコード1801−5を有する。また、図18に示す結合角パラメータ1802は、レコード1802−1〜レコード1802−4を有する。さらに、図18に示す二面角パラメータ1803は、レコード1803−1〜レコード1803−4を有する。さらに、図18に示す非結合パラメータ1804は、レコード1804−1〜レコード1804−5を有する。
結合パラメータ1801〜非結合パラメータ1804の各フィールドのRk、Req、Tk、Teq、Pk、p、n、vdw、wdについては、図19にて説明する。また、結合パラメータ1801〜二面角パラメータ1803の第1フィールドには、結合する原子種の組合せが格納される。同様に、非結合パラメータ1804の第1フィールドには、原子種が格納される。
たとえば、レコード1801−1は、原子種[c]の原子と原子種[c]の原子が結合した際のRkが290.1、Reqが1.55であることを示す。
図19は、分子力場関数の一例を示す説明図である。特定装置101は、図18で割り当てたパラメータの値を図19に示す関数に代入して、分子力場を算出する。図19では、GAFF力場を算出する関数を下記(5)式として示す。(5)式は、下記参考文献6や下記参考文献7に記載される。
(参考文献6:Junmei Wang、他3名、「Automatic atom type and bond type perception in molecular mechanical calculations」Journal of Molecular Graphics and Modelling、Vol.25、2006、p.247−260)
(参考文献7:Hideaki Fujitani、他2名、「Massively parallel computation of absolute binding free energy with well−equilibrated states」Physical Review E、Vol.79、2009)
Figure 0006119411
ここで、(5)式の各項が示すものを説明する。(5)式の第1項は、結合に関するエネルギーを示す。(5)式の第2項は、結合角に関するエネルギーを示す。(5)式の第3項は、二面角に関するエネルギーを示す。(5)式の第4項は、非結合に関するエネルギーを示す。(5)式の第5項は、電荷に関するエネルギーを示す。
次に、(5)式に出現する変数について説明する。kr、kθ、vnは、力場の定数である。また、krは、結合パラメータ1801のRkに相当する。さらに、kθは、結合角パラメータ1802のTkに相当する。同様に、vnは、二面角パラメータ1803のPkに相当する。
rは、2つの原子間の距離を示す。reqは、2つの原子間の平衡距離である。また、reqは、結合パラメータ1801のReqに相当する。
θは、結合角を示す。θeqは、平衡結合角を示す。平衡結合角は、最も安定な結合角の値である。さらに、θeqは、結合角パラメータ1802のTeqに相当する。
φは、二面角を示す。nは、プログラム上用いる値である。さらに、nは、二面角パラメータ1803のnに相当する。たとえば、レコード1803−1とレコード1803−2には、[n]−[c3]−[c]−[n]のnが1から2まで処理する。なお、nがマイナスの場合、次のレコードがあることを示す。γは、位相を示す。さらに、γは、二面角パラメータ1803のpに相当する。
iとjとは、原子に付与した識別番号である。εijは、非結合パラメータ1804の、識別番号iの原子の原子種に対応するwdの値と、識別番号jの原子の原子種に対応するwdの値と、を乗算した値の平方根となる。σijは、非結合パラメータ1804の、識別番号iの原子の原子種に対応するvdwの値と、識別番号jの原子の原子種に対応するvdwの値との和となる。rijは、非結合パラメータ1804の、識別番号iの原子と、識別番号jの原子との距離となる。
iは、識別番号iの原子の電荷である。qjは、識別番号jの原子の電荷である。次に、図20〜図25を用いて、分子力場割当処理の一例を示すフローチャートを示す。
図20は、分子力場割当処理手順の一例を示すフローチャートである。分子力場割当処理は、新たな分子に力場を割り当てる処理である。特定装置101は、分子構造初期値と対象分子全体の電荷を与えて、量子科学計算による安定構造探索を行う(ステップS2001)。安定構造探索にて、電子の密度行列P、原子軌道の重なり積分行列Sが算出される。次に、特定装置101は、原子間の結合の有無を探索する(ステップS2002)。続けて、特定装置101は、結合が存在する原子間について、結合種を決定していない2つの原子を選択する(ステップS2003)。次に、特定装置101は、電子密度による結合種決定処理を実行する(ステップS2004)。電子密度による結合種決定処理の詳細は、図21にて後述する。続けて、特定装置101は、2つの原子の少なくとも一つの原子が、環に含まれるか否かを判断する(ステップS2005)。
環に含まれる場合(ステップS2005:Yes)、特定装置101は、電子密度による芳香族結合決定処理を実行する(ステップS2006)。電子密度による芳香族結合決定処理の詳細は、図22にて後述する。ステップS2006の実行後、または、環に含まれない場合(ステップS2005:No)、特定装置101は、決定された結合種から原子種を決定する(ステップS2007)。
続けて、特定装置101は、原子種が決定した原子に矛盾があるか否かを判断する(ステップS2008)。矛盾がある例としては、たとえば、原子種が決定した原子価と、結合の手の数が不一致である場合である。
原子種が決定した原子に矛盾がある場合(ステップS2008:Yes)、特定装置101は、結合角による原子種決定処理を実行する(ステップS2009)。結合角による原子種決定処理は、図24および図25にて後述する。ステップS2009の処理終了後、または、原子種が決定した原子に矛盾がない場合(ステップS2008:No)、特定装置101は、対象分子内の全ての結合種と原子種が決定されたか否かを判断する(ステップS2010)。未決定である結合種、原子種がある場合(ステップS2010:No)、特定装置101は、ステップS2003の処理に移行する。
全ての結合種と原子種が決定した場合(ステップS2010:Yes)、特定装置101は、電子密度によるアニオン性単結合決定処理を実行する(ステップS2011)。電子密度によるアニオン性単結合決定処理の詳細については、図23にて後述する。電子密度によるアニオン性単結合決定処理は、アニオン性原子を有する単結合があるか否かを探索する処理である。なお、アニオン性原子を有する単結合は、AM1BCC電荷で定義されており、GAFF力場では定義されていない。したがって、GAFF力場を用いる場合には、特定装置101は、ステップS2011の処理を実行しなくてもよい。
ステップS2011の実行後、特定装置101は、力場テーブルと、決定した原子種と結合種から、力場情報を割り当てる(ステップS2012)。ステップS2012の具体的処理として、たとえば、特定装置101は、決定した原子種と結合種を他の装置に出力してもよい。出力後、他の装置が、決定した原子種と結合種に対応した力場情報を割り当てる。ステップS2012の終了後、特定装置101は、分子力場割当処理を終了する。分子力場割当処理を実行することにより、特定装置101は、新たな分子に適切な力場を割り当てることができる。
また、図20において、特定装置101は、結合角による原子種決定処理を、原子種が決定した原子に矛盾があるときに行う。別の方法として、特定装置101は、原子価による原子種の決定法と、結合距離による原子種の決定法と、電子密度による原子種の決定法と、結合角による原子種の決定法のうち、原子ごとに確実な方法を選択して、原子種を決定してもよい。たとえば、特定装置101は、水素原子に対しては原子価による原子種の決定法を行い、窒素原子に対しては結合角による原子種の決定法を行う。
図21は、電子密度による結合種決定処理手順の一例を示すフローチャートである。電子密度による結合種決定処理は、電子密度を用いて結合種を決定する処理である。特定装置101は、2つの原子の種別の組合せが、非局在結合を示す組合せか否かを判断する(ステップS2101)。非局在結合を示す組合せでない場合(ステップS2101:No)、特定装置101は、電子密度BOkk'を算出する(ステップS2102)。なお、ステップS2102の処理について、電子密度を算出する処理量は、電子の密度行列Pと原子軌道の重なり積分行列SがステップS2101の処理にて算出されるため、ステップS2101にて行われた処理量に対して無視できるほど小さい。
続けて、特定装置101は、2つの原子の間の電子密度BOkk'を確認する(ステップS2103)。BOkk'が1.5未満となる場合(ステップS2103:BOkk'<1.5)、特定装置101は、続けて、2つの原子の種別の組合せが、配位結合を示す組合せか否かを判断する(ステップS2104)。なお、ステップS2104の処理にて、配位結合は、AM1BCC電荷で定義されており、GAFF力場では定義されていない。したがって、GAFF力場を用いる場合には、特定装置101は、ステップS2104の処理を行わず、ステップS2106の処理に移行する。配位結合を示す組合せとなる場合(ステップS2104:Yes)、特定装置101は、結合種を配位結合に決定する(ステップS2105)。
配位結合を示す組合せではない場合(ステップS2104:No)、特定装置101は、結合種を単結合に決定する(ステップS2106)。BOkk'が1.5以上2.5未満となる場合(ステップS2103:1.5≦BOkk'<2.5)、特定装置101は、結合種を二重結合に決定する(ステップS2107)。BOkk'が2.5以上となる場合(ステップS2103:2.5≦BOkk')、特定装置101は、結合種を三重結合に決定する(ステップS2108)。非局在結合を示す組合せである場合(ステップS2101:Yes)、特定装置101は、結合種を非局在結合に決定する(ステップS2109)。ステップS2105〜ステップS2109のうちのいずれかの処理終了後、特定装置101は、電子密度による結合種決定処理を終了する。電子密度による結合種決定処理を実行することにより、特定装置101は、適切な結合種を決定することができる。
図22は、電子密度による芳香族結合決定処理手順の一例を示すフローチャートである。電子密度による芳香族結合決定処理は、電子密度を用いて結合種を芳香族結合に決定する処理である。特定装置101は、環を形成する原子群の種別の組合せが、特定の組合せか否かを判断する(ステップS2201)。特定の組合せである場合(ステップS2201:Yes)、特定装置101は、環に結合する原子があるか否かを判断する(ステップS2202)。環に結合する原子がある場合(ステップS2202:Yes)、特定装置101は、環と環に結合する原子との結合種が単結合または配位結合か否かを判断する(ステップS2203)。単結合または配位結合である場合(ステップS2203:Yes)、特定装置101は、環を形成する原子間の結合種を、芳香族結合に決定する(ステップS2204)。
ステップS2204の終了後、特定の組合せでない場合(ステップS2201:No)、結合する原子がない場合(ステップS2202:No)、または、単結合または配位結合以外の結合種である場合(ステップS2203:No)、特定装置101は、電子密度による芳香族結合決定処理を終了する。電子密度による芳香族結合決定処理を実行することにより、特定装置101は、芳香族結合で結合する原子群に対して、適切な結合種を決定することができる。
図23は、電子密度によるアニオン性単結合決定処理手順の一例を示すフローチャートである。電子密度によるアニオン性単結合決定処理は、電子密度を用いて、アニオン性原子を含む単結合となる可能性のある結合種を検索して、条件を満たした場合にアニオン性原子を含む単結合に決定する処理である。特定装置101は、各原子について、原子価と結合する原子の数が全て一致するか否かを判断する(ステップS2301)。一致する場合(ステップS2301:Yes)、特定装置101は、続けて、対象分子全体の電荷と、各原子の電荷の和が一致するか否かを判断する(ステップS2302)。一致する場合(ステップS2302:Yes)、特定装置101は、電子密度によるアニオン性単結合決定処理を終了する。
原子価と結合する原子の数が一致していない場合(ステップS2301:No)、または、電荷の和が一致しない場合(ステップS2302:No)、特定装置101は、対象分子のうち、結合種が二重結合となった組を抽出する(ステップS2303)。続けて、特定装置101は、抽出した組のうち、2つの原子の種別ごとのグループに分類する(ステップS2304)。次に、特定装置101は、分類されたグループのうち、未選択のグループを選択する(ステップS2305)。なお、選択されたグループに含まれる組が1つである場合、特定装置101は、後述するステップS2309の処理に移行する。続けて、特定装置101は、選択されたグループ内のBOkk'が全て同一の値か否かを判断する(ステップS2306)。
同一の値ではない場合(ステップS2306:No)、特定装置101は、低いBOkk'となる2つの原子の間の結合種を、単結合に決定する(ステップS2307)。さらに、特定装置101は、単結合に決定した2つの原子のうち、原子価に対し、結合する原子の数が少ない原子をアニオン性に決定する(ステップS2308)。
ステップS2308の処理終了後、または同一の値である場合(ステップS2306:Yes)、特定装置101は、全てのグループについて選択したか否かを判断する(ステップS2309)。未選択のグループがある場合(ステップS2309:No)、特定装置101は、ステップS2305の処理に移行する。全てのグループが選択済みである場合(ステップS2309:Yes)、特定装置101は、電子密度によるアニオン性単結合決定処理を終了する。電子密度によるアニオン性単結合決定処理を実行することにより、特定装置101は、より正確な結合種を決定することができるため、より正確な分子力場を割り当てることができる。
図24は、結合角による原子種決定処理手順の一例を示すフローチャート(その1)である。また、図25は、結合角による原子種決定処理手順の一例を示すフローチャート(その2)である。結合角による原子種決定処理は、結合角を用いて原子種を決定する処理である。図24および図25において、第1の原子とは、ステップS2008において、矛盾があった原子である。
特定装置101は、第1の原子に結合する原子の数が次に示す値のいずれに一致するかを判断する(ステップS2401)。次に示す値は、2と、3と、である。なお、第1の原子に結合する数が1である場合、結合角を形成することができないため、図24および図25で示す処理を終了する。第1の原子に結合する原子の数が2である場合(ステップS2401:2)、特定装置101は、第1の原子に結合する第2の原子および第3の原子を選択する(ステップS2402)。次に、特定装置101は、位置情報を用いて、第2の原子―第1の原子―第3の原子の結合角を算出する(ステップS2403)。位置情報から結合角を求める方法としては、初等関数の演算により求めることができる。
続けて、特定装置101は、結合角が次に示す条件のいずれに一致するかを判断する(ステップS2404)。次に示す条件として、図5で説明した第3の判断方法を採用した場合について説明する。
結合角が114.8度未満である場合(ステップS2404:結合角<114.8度)、特定装置101は、第1の原子をsp3原子に特定する(ステップS2405)。また、結合角が114.8度以上170度未満である場合(ステップS2404:114.8度≦結合角<170度)、特定装置101は、第1の原子を、sp2原子に特定する(ステップS2406)。さらに、結合角が170度以上である場合(ステップS2404:結合角≧170度)、特定装置101は、第1の原子をsp原子に特定する(ステップS2407)。
第1の原子に結合する原子の数が3である場合(ステップS2401:3)、特定装置101は、第1の原子に結合する第2の原子、第3の原子および第4の原子を選択する(ステップS2408)。次に、特定装置101は、第2の原子―第1の原子―第3の原子の第1の結合角と、第3の原子―第1の原子―第4の原子の第2の結合角と、第4の原子―第1の原子―第2の原子の第3の結合角とを算出する(ステップS2409)。続けて、特定装置101は、第1の結合角と第2の結合角と第3の結合角の和が次に示す条件のいずれに一致するかを判断する(ステップS2410)。次に示す条件として、図5で説明した第4の判断方法を採用した場合について説明する。
結合角の和が352.5度未満である場合(ステップS2410:結合角の和<352.5度)、特定装置101は、第1の原子をsp3原子に特定する(ステップS2411)。また、結合角の和が352.5度以上である場合(ステップS2410:結合角の和≧352.5度)、特定装置101は、第1の原子をsp2原子に特定する(ステップS2412)。
ステップS2405〜ステップS2407、ステップS2411、ステップS2412のうちのいずれかの処理を実行後、特定装置101は、図25に示すステップS2501の処理を実行する。
図25において、特定装置101は、第1の原子と第1の原子と結合する複数の原子の各々の原子との結合種が、特定した第1の原子の混成軌道の種別に対応する条件を満たすか否かを判断する(ステップS2501)。第1の原子と結合する複数の原子の各々の原子を、以下、単に、「各々の原子」と称する。
特定した第1の原子の混成軌道の種別に対応する条件を満たさない場合(ステップS2501:No)、特定装置101は、第1の原子の混成軌道の種別に対応する条件を満たすような結合種の種別ごとの個数を特定する(ステップS2502)。具体的には、特定装置101は、結合種条件テーブル313を参照して、結合種の種別ごとの個数を特定する。たとえば、第1の原子がsp原子であり、原子価が3であれば、第1の原子は、三重結合1つを有するか、二重結合1つと単結合1つを有する。また、第1の原子がsp2原子であり、原子価が3であれば、第1の原子は、二重結合1つと、単結合1つとを有する。さらに、第1の原子がsp原子であり、原子価が3であれば、第1の原子は、単結合3つを有する。
次に、特定装置101は、結合種の種別ごとの個数を満たすように、原子間の結合距離または原子間の電子密度同士の比較結果を用いて、第1の原子と各々の原子との結合種を更新する(ステップS2503)。ステップS2503の処理終了後、または、特定した第1の原子の混成軌道の種別に対応する条件を満たす場合(ステップS2501:Yes)、特定装置101は、第1の原子の混成軌道の種別と、各々の原子の原子種とから、第1の原子の原子種を決定する(ステップS2504)。ステップS2504の処理終了後、特定装置101は、結合角による原子種決定処理を終了する。結合角による原子種決定処理を実行することにより、特定装置101は、原子価を用いて結合種を決定する方法、原子間の結合距離に基づき結合種を決定する方法、原子間の電子密度に基づき結合種を決定する方法のいずれよりも決定精度を向上することができる。
以上説明したように、特定装置101によれば、原子の混成軌道に応じて結合角が大きく異なることを利用して、量子科学計算で得られる結合角から原子の混成軌道を特定する。これにより、特定装置101は、量子科学計算の計算精度が粗くとも混成軌道を高精度に判別することができ、分子力場の割当精度を向上させることができる。
また、特定装置101によれば、結合角条件テーブル312に記憶された条件に基づいて、第1の原子の混成軌道の種別を、結合角の和が満たした条件に対応する混成軌道の種別に特定してもよい。これにより、特定装置101は、sp2原子がほぼ同一平面上となることを利用するため、sp2原子か、sp3原子かということを高い精度で判定することができる。
また、特定装置101によれば、原子間の結合種が、結合種条件テーブル313を参照して、特定した第1の原子の混成軌道の種別に対応する条件を満たすか否かを判断してもよい。これにより、特定装置101は、原子価を用いて結合種を決定する方法、原子間の結合距離に基づき結合種を決定する方法、原子間の電子密度に基づき結合種を決定する方法のいずれにより決定された結合種の決定精度を向上させることができる。また、特定装置101は、条件を満たさないと判断した際の第1の原子の識別情報を出力してもよい。特定装置101の利用者は、出力結果を閲覧して、特定装置101の利用者の経験により結合種を修正してもよい。または、特定装置101は、原子価を用いて結合種を決定する方法、原子間の結合距離に基づき結合種を決定する方法、原子間の電子密度に基づき結合種を決定する方法のうち、実行しなかった他の方法を実行してもよい。
また、特定装置101によれば、条件を満たさないと判断した場合、第1の原子の混成軌道の種別に対応する条件と、原子間の距離または電子密度同士の比較結果とに基づいて、前記第1の原子と前記各々の原子との間の結合種を更新してもよい。これにより、特定装置101は、原子価を用いて結合種を決定する方法、原子間の結合距離に基づき結合種を決定する方法、原子間の電子密度に基づき結合種を決定する方法のいずれにより決定された結合種の決定精度を向上させることができる。さらに、特定装置101は、原子価を用いて結合種を決定する方法、原子間の結合距離に基づき結合種を決定する方法、原子間の電子密度のいずれも正しく判別できなかった結合種も、正しく判断することができる。
また、特定装置101によれば、特定した第1の原子の混成軌道の種別と、第1の原子に結合する複数の原子の各々の原子の原子種と、に基づいて、第1の原子の原子種を決定してもよい。原子価を用いて結合種を決定する方法、原子間の結合距離に基づき結合種を決定する方法、原子間の電子密度に基づき結合種を決定する方法では、結合種を特定して対応する原子種を特定するが、本実施の形態では、結合種を求めなくてよい。
また、特定装置101は、原子価を用いて結合種を決定する方法、原子間の結合距離に基づき結合種を決定する方法、原子間の電子密度の少なくともいずれか一つを併用して実行できるため、高精度、高効率となる。また、結合角の算出は、余弦定理といった初等関数により容易に求められるため、計算量は量子科学計算に対して無視できるほど小さい。
なお、本実施の形態で説明した特定方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本特定プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また本特定プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)コンピュータに、
構造的に安定な状態における分子から、第1の原子に結合する第2の原子および第3の原子を選択し、
前記分子内の各原子の位置情報を記憶する第1の記憶部を参照して、前記第1の原子および選択した前記第2の原子を通る第1の直線と前記第1の原子および選択した前記第3の原子を通る第2の直線とがなす第1の角度を算出し、
原子の混成軌道の種別に対応して、前記原子と前記原子に結合する2つの原子とにより形成する結合角が満たす条件を記憶する第2の記憶部を参照して、算出した前記第1の角度に基づいて、前記第1の原子の混成軌道の種別を特定する、
処理を実行させることを特徴とする特定プログラム。
(付記2)前記第2の記憶部は、
原子の混成軌道の種別に対応して、前記原子と前記原子に結合する3つの原子から選ばれた2つの原子とにより形成されるそれぞれの結合角の和が満たす条件を記憶しており、
前記選択する処理は、
前記第1の原子に3つの原子が結合する場合、さらに、前記分子から、前記第1の原子に結合する第4の原子を選択し、
前記算出する処理は、
さらに、前記第1の記憶部を参照して、前記第1の直線と前記第1の原子および選択した前記第4の原子を通る第3の直線とがなす第2の角度と、前記第2の直線と前記第3の直線とがなす第3の角度と、を算出し、
前記特定する処理は、
前記第2の記憶部を参照して、前記第1の角度と算出した前記第2の角度と算出した前記第3の角度との和に基づいて、前記第1の原子の混成軌道の種別を特定する、
ことを特徴とする付記1に記載の特定プログラム。
(付記3)前記第2の記憶部は、
さらに、前記原子の混成軌道の種別に対応して、前記原子と前記原子に結合する他の原子との間の結合を表す結合種が満たす条件を記憶しており、
前記コンピュータに、
前記第2の記憶部を参照して、前記第1の原子と前記第1の原子に結合する複数の原子の各々の原子との間の結合種が、特定した前記第1の原子の混成軌道の種別に対応する条件を満たすか否かを判断する、
処理を実行させることを特徴とする付記1または2に記載の特定プログラム。
(付記4)前記コンピュータに、
前記第1の原子と前記各々の原子との間の結合種が前記第1の原子の混成軌道の種別に対応する条件を満たさないと判断した場合、前記第1の原子の混成軌道の種別に対応する条件と、前記第1の原子および前記各々の原子間の距離または電子密度同士の比較結果とに基づいて、前記第1の原子と前記各々の原子との間の結合種を更新する、
処理を実行させることを特徴とする付記3に記載の特定プログラム。
(付記5)前記コンピュータに、
特定した前記第1の原子の混成軌道の種別と、前記第1の原子に結合する複数の原子の各々の原子の原子種と、に基づいて、前記第1の原子の原子種を決定する、
処理を実行させることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の特定プログラム。
(付記6)構造的に安定な状態における分子から、第1の原子に結合する第2の原子および第3の原子を選択し、
前記分子内の各原子の位置情報を記憶する第1の記憶部を参照して、前記第1の原子および選択した前記第2の原子を通る第1の直線と前記第1の原子および選択した前記第3の原子を通る第2の直線とがなす第1の角度を算出し、
原子の混成軌道の種別に対応して、前記原子と前記原子に結合する2つの原子とにより形成する結合角が満たす条件を記憶する第2の記憶部を参照して、算出した前記第1の角度に基づいて、前記第1の原子の混成軌道の種別を特定する、
処理を実行させる特定プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。
(付記7)構造的に安定な状態における分子から、第1の原子に結合する第2の原子および第3の原子を選択する選択部と、
前記分子内の各原子の位置情報を記憶する第1の記憶部を参照して、前記第1の原子および前記選択部が選択した前記第2の原子を通る第1の直線と前記第1の原子および前記選択部が選択した前記第3の原子を通る第2の直線とがなす第1の角度を算出する算出部と、
原子の混成軌道の種別に対応して、前記原子と前記原子に結合する2つの原子とにより形成する結合角が満たす条件を記憶する第2の記憶部を参照して、前記算出部が算出した前記第1の角度に基づいて、前記第1の原子の混成軌道の種別を特定する特定部と、
を有することを特徴とする特定装置。
(付記8)構造的に安定な状態における分子から、第1の原子に結合する第2の原子および第3の原子を選択する選択部と、
前記分子内の各原子の位置情報を記憶する第1の記憶部を参照して、前記第1の原子および前記選択部が選択した前記第2の原子を通る第1の直線と前記第1の原子および前記選択部が選択した前記第3の原子を通る第2の直線とがなす第1の角度を算出する算出部と、
原子の混成軌道の種別に対応して、前記原子と前記原子に結合する2つの原子とにより形成する結合角が満たす条件を記憶する第2の記憶部を参照して、前記算出部が算出した前記第1の角度に基づいて、前記第1の原子の混成軌道の種別を特定する特定部と、
を有するコンピュータを含むことを特徴とする特定装置。
(付記9)コンピュータが、
構造的に安定な状態における分子から、第1の原子に結合する第2の原子および第3の原子を選択し、
前記分子内の各原子の位置情報を記憶する第1の記憶部を参照して、前記第1の原子および選択した前記第2の原子を通る第1の直線と前記第1の原子および選択した前記第3の原子を通る第2の直線とがなす第1の角度を算出し、
原子の混成軌道の種別に対応して、前記原子と前記原子に結合する2つの原子とにより形成する結合角が満たす条件を記憶する第2の記憶部を参照して、算出した前記第1の角度に基づいて、前記第1の原子の混成軌道の種別を特定する、
処理を実行することを特徴とする特定方法。
101 特定装置
301 選択部
302 算出部
303 特定部
304 判断部
305 更新部
306 決定部
311 位置情報テーブル
312 結合角条件テーブル
313 結合種条件テーブル

Claims (7)

  1. コンピュータに、
    構造的に安定な状態における分子から、第1の原子に結合する第2の原子および第3の原子を選択し、
    前記分子内の各原子の位置情報を記憶する第1の記憶部を参照して、前記第1の原子および選択した前記第2の原子を通る第1の直線と前記第1の原子および選択した前記第3の原子を通る第2の直線とがなす第1の角度を算出し、
    原子の混成軌道の種別に対応して、前記原子と前記原子に結合する2つの原子とにより形成する結合角が満たす条件を記憶する第2の記憶部を参照して、算出した前記第1の角度に基づいて、前記第1の原子の混成軌道の種別を特定する、
    処理を実行させることを特徴とする特定プログラム。
  2. 前記第2の記憶部は、
    原子の混成軌道の種別に対応して、前記原子と前記原子に結合する3つの原子から選ばれた2つの原子とにより形成されるそれぞれの結合角の和が満たす条件を記憶しており、
    前記選択する処理は、
    前記第1の原子に3つの原子が結合する場合、さらに、前記分子から、前記第1の原子に結合する第4の原子を選択し、
    前記算出する処理は、
    さらに、前記第1の記憶部を参照して、前記第1の直線と前記第1の原子および選択した前記第4の原子を通る第3の直線とがなす第2の角度と、前記第2の直線と前記第3の直線とがなす第3の角度と、を算出し、
    前記特定する処理は、
    前記第2の記憶部を参照して、前記第1の角度と算出した前記第2の角度と算出した前記第3の角度との和に基づいて、前記第1の原子の混成軌道の種別を特定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の特定プログラム。
  3. 前記第2の記憶部は、
    さらに、前記原子の混成軌道の種別に対応して、前記原子と前記原子に結合する他の原子との間の結合を表す結合種が満たす条件を記憶しており、
    前記コンピュータに、
    前記第2の記憶部を参照して、前記第1の原子と前記第1の原子に結合する複数の原子の各々の原子との間の結合種が、特定した前記第1の原子の混成軌道の種別に対応する条件を満たすか否かを判断する、
    処理を実行させることを特徴とする請求項1または2に記載の特定プログラム。
  4. 前記コンピュータに、
    前記第1の原子と前記各々の原子との間の結合種が前記第1の原子の混成軌道の種別に対応する条件を満たさないと判断した場合、前記第1の原子の混成軌道の種別に対応する条件と、前記第1の原子および前記各々の原子間の距離または電子密度同士の比較結果とに基づいて、前記第1の原子と前記各々の原子との間の結合種を更新する、
    処理を実行させることを特徴とする請求項3に記載の特定プログラム。
  5. 前記コンピュータに、
    特定した前記第1の原子の混成軌道の種別と、前記第1の原子に結合する複数の原子の各々の原子の原子種と、に基づいて、前記第1の原子の原子種を決定する、
    処理を実行させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の特定プログラム。
  6. 構造的に安定な状態における分子から、第1の原子に結合する第2の原子および第3の原子を選択する選択部と、
    前記分子内の各原子の位置情報を記憶する第1の記憶部を参照して、前記第1の原子および前記選択部が選択した前記第2の原子を通る第1の直線と前記第1の原子および前記選択部が選択した前記第3の原子を通る第2の直線とがなす第1の角度を算出する算出部と、
    原子の混成軌道の種別に対応して、前記原子と前記原子に結合する2つの原子とにより形成する結合角が満たす条件を記憶する第2の記憶部を参照して、前記算出部が算出した前記第1の角度に基づいて、前記第1の原子の混成軌道の種別を特定する特定部と、
    を有することを特徴とする特定装置。
  7. コンピュータが、
    構造的に安定な状態における分子から、第1の原子に結合する第2の原子および第3の原子を選択し、
    前記分子内の各原子の位置情報を記憶する第1の記憶部を参照して、前記第1の原子および選択した前記第2の原子を通る第1の直線と前記第1の原子および選択した前記第3の原子を通る第2の直線とがなす第1の角度を算出し、
    原子の混成軌道の種別に対応して、前記原子と前記原子に結合する2つの原子とにより形成する結合角が満たす条件を記憶する第2の記憶部を参照して、算出した前記第1の角度に基づいて、前記第1の原子の混成軌道の種別を特定する、
    処理を実行することを特徴とする特定方法。
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