本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
以下の実施の形態においては、加湿装置の一例として、加湿空気清浄機1について説明する。加湿装置は、加湿空気清浄機1に限られず、たとえば、加湿機能を有するイオン発生機、空気調和機、ファンヒータまたはその他の機器であってもよい。加湿装置は、家屋の室内、ビルの一室または病院の病室などの空気を加湿するために、好適に用いることができる。加湿装置は、室内の適所で床上に置かれて使用される。
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1における加湿空気清浄機を示す正面図である。図2は、図1中の加湿空気清浄機を示す左側面図である。図3は、図1中の加湿空気清浄機を示す背面図である。図4は、図1中の加湿空気清浄機を示す平面図である。まず、本実施の形態における加湿空気清浄機1の全体構成について説明する。
図1から図4を参照して、加湿空気清浄機1は、加湿空気清浄機1の外筐をなす筐体2を有する。筐体2は、前面2Aと、前面2Aとは反対側に配置される背面2Bと、前面2Aおよび背面2Bを繋ぐ右側面2Cと、前面2Aおよび背面2Bを繋ぐとともに、右側面2Cとは反対側に配置される左側面2Dと、加湿空気清浄機1が設置される床面と対向する上面2Eとを有する。筐体2は、全体として、垂直方向に縦長となる略直方体形状を有する。
前面2Aの上部には、前吹き出し口3が設けられている。上面2Eには、後吹き出し口4が設けられている。前吹き出し口3および後吹き出し口4は、加湿空気清浄機1からの空気を外部空間に吹き出すための、筐体2に設けられた開口である。この加湿空気清浄機1からの空気を外部空間に吹き出すための開口は、加湿空気清浄機1の上部に設けられている。
前吹き出し口3には、前ルーバー7が設けられている。前ルーバー7は、手動または自動で移動可能に設けられている。前ルーバー7は、その位置を変えることにより、前吹き出し口3から吹き出す空気の流れ方向を変更(調整)することが可能に設けられている。
後吹き出し口4には、後ルーバー8が設けられている。後ルーバー8は、手動または自動で移動可能に設けられている。後ルーバー8は、後吹き出し口4を閉じる位置に配置可能である。後ルーバー8は、後吹き出し口4を閉じる位置から任意の角度開いた状態で停止可能である。後ルーバー8は、後吹き出し口4を開閉可能、および、後吹き出し口4から吹き出す空気の流れ方向を変更(調整)することが可能に設けられている。加湿空気清浄機1の停止中には、上方に開口する後吹出し口4を閉じるように後ルーバー8を移動させることができ、これにより、後吹き出し口4から筐体2内部への埃および異物の侵入が抑制される。
上面2Eには、操作部5が設けられている。操作部5は、複数の操作ボタンを有する。ユーザは、操作部5の操作ボタンを適宜押すことにより、加湿空気清浄機1の運転、停止、風量切替などの操作を行なうことができる。
操作部5は、加湿空気清浄機1の運転状態をユーザに通知するための通知部を有する。通知部は、たとえば、複数の表示ランプを有し、表示ランプの点灯および消灯によって加湿空気清浄機1の運転状態を視覚的にユーザに通知することができる。通知部は、後述する加湿トレイ30における水位が最下レベルに達したことを知らせる表示ランプ(給水ランプ)を有してもよい。通知部は、後述する加湿フィルタ41または抗菌ユニット71の交換時期を知らせる表示ランプをさらに有してもよい。
前面2Aは、前パネル10により構成されている。前パネル10は、加湿空気清浄機1の外筐の一部を構成している。
背面2Bには、開口が設けられており、この開口を塞ぐように後パネル20が取り付けられている。後パネル20には、複数の通気口21が形成されている。通気口21は、略平板状の後パネル20をその厚み方向に貫通している。通気口21は、外部空間の空気を筐体2の内部に導入するための小孔である。後パネル20には、窪み部22が設けられている。ユーザは、窪み部22に手指を挿し入れ、後パネル20を後方へ引くことにより、後パネル20を背面2Bから取り外すことができる。
右側面2Cには、窪み部24が形成されている。左側面2Dには、窪み部25が形成されている。加湿空気清浄機1のユーザは、片手の指を窪み部24に挿し入れ、同時に他の片手の指を窪み部25に挿し入れて、筐体2を持ち上げることができる。これにより、加湿空気清浄機1を床上から離れた位置に移動させ、室内の適所へ加湿空気清浄機1を容易に移動することができる。
左側面2Dには、カバー26が設けられている。カバー26は、左側面2Dに対して着脱可能に設けられている。カバー26を取り外した状態で、後述する高圧発生ユニット100の、加湿空気清浄機1からの取り外しまたは加湿空気清浄機1への取り付けが可能になる。加湿空気清浄機1の下部には、加湿トレイ30が設けられている。加湿トレイ30は、左側面2Dから着脱可能に設けられている。
図5は、図1中の加湿空気清浄機の内部構造を示す縦断面図である。図5中には、左側方から見た加湿空気清浄機1の断面が示されている。
図1から図5を参照して、後パネル20の前方には、フィルタ18が設けられている。フィルタ18は、微細な集塵を捕集するとともに、空気中の臭い成分を吸着する集塵・脱臭一体型のフィルタである。一体型のフィルタ18に替えて、集塵フィルタと脱臭フィルタとが、互いに重ね合わされて設けられてもよい。
フィルタ18は、筐体2の内部に収容されており、後パネル20によって後方から覆われている。後パネル20を取り外すことにより、フィルタ18に容易にアクセス可能な配置とされている。これにより、フィルタ18の清掃または交換などのメンテナンス作業が容易になっている。
フィルタ18の前方、すなわちフィルタ18よりも筐体2の内部には、中空の下降風路150が形成されている。
加湿トレイ30には、水が貯留されている。加湿トレイ30には、加湿フィルタ41、抗菌ユニット71および水位検知部81が設けられている。
加湿フィルタ41は、加湿トレイ30に貯留された水に部分的に浸されている。加湿フィルタ41は、加湿フィルタ41を通過する空気を加湿するように構成されている。抗菌ユニット71は、加湿トレイ30に貯留された水に浸されている。抗菌ユニット71は、抗菌成分を含む抗菌剤を有し、加湿トレイ30に貯留された水に細菌またはカビが発生することを抑制する。
水位検知部81は、加湿トレイ30における水位を検知するように構成されている。水位検知部81は、加湿トレイ30における水位の最下レベルを検知するように構成されている。水位検知部81により加湿トレイ30における水位が最下レベルに達したことが検知された場合、制御装置(不図示)は、加湿空気清浄機1における加湿運転を停止させるとともに、操作部5における給水ランプを点灯させる。
なお、加湿トレイ30と、加湿トレイ30に設けられる加湿フィルタ41、抗菌ユニット71および水位検知部81とについては、後で詳細に説明する。
筐体2内には、送風機50が配置されている。加湿トレイ30は、送風機50の下方に配置されている。送風機50は、フィルタ18から離隔して、フィルタ18の前方に配置されている。下降風路150は、前後方向において、送風機50とフィルタ18との間に設けられている。
送風機50は、空気を送風するファン52と、ファン52を回転駆動する電動機としてのファンモータ53と、ファン52およびファンモータ53を収容するファンケーシング54とを有する。ファンケーシング54は、前パネル10と対向する対向面56を有する。対向面56は、前パネル10と離隔して配置されている。
前パネル10と対向面56との間には、空気がファン52に向けて流れる通路である中空の上流風路160が設けられている。上流風路160は、ファン52によって送風される空気が流れる通路において、ファン52よりも上流側の通路の一部を構成している。前パネル10は、ファン52により送風される気体の送風路である上流風路160の壁面の一部を構成している。
ファン52の上方には、ファン52から流出する空気が流れる通路である下流風路170が設けられている。下流風路170は、ファン52によって送風される空気が流れる通路において、ファン52よりも下流側の通路の一部を構成している。分岐部180において、空気の通路が、前吹き出し口3に繋がる前方風路183と、後吹き出し口4に繋がる後方風路184との二つの通路に分岐している。前吹き出し口3は、前方風路183の上端に設けられている。後吹き出し口4は、後方風路184の上端に設けられている。前吹き出し口3と後吹き出し口4とは、ファン52によって送風される空気の流れの下流端に設けられている。
下流風路170には、高圧発生ユニット100が設けられている。高圧発生ユニット100は、下流風路170の壁面から下流風路170内に突出している。高圧発生ユニット100は、放電によりイオンなどの活性種を発生する。これにより、高圧発生ユニット100を通過して流れる空気中に、活性種が含まれる。
フィルタ18を通過して筐体2の内部に流入した空気は、下降風路150を経由して、加湿空気清浄機1の下方に設けられた加湿トレイ30へと送風される。吸水した加湿フィルタ41を空気が通過することにより、空気が加湿される。その後、加湿された空気が、上流風路160を通って送風機50へと送風される。ファン52の回転により空気が通流される。下流風路170において、空気中に活性種が含まれる。そして、前吹き出し口3および後吹き出し口4から、加湿され、かつ、活性種を含む空気が、外部空間(室内)に放出される。
続いて、加湿トレイ30と、加湿トレイ30に設けられる加湿フィルタ41および抗菌ユニット71とについて詳細に説明する。
図6は、図1中の加湿空気清浄機の内部構造を示す別の縦断面図である。図7は、加湿トレイの装着時における加湿空気清浄機を示す正面図である。図8は、加湿トレイの装着時における加湿空気清浄機を示す縦断面図である。図6および図8中には、前方から見た加湿空気清浄機1の断面が示されている。
図6から図8を参照して、加湿空気清浄機1は、装置本体12と、加湿トレイ30とを有する。装置本体12は、加湿空気清浄機1の主要部をなし、前述の筐体2、前パネル10、後パネル20、フィルタ18、送風機50および高圧発生ユニット100などから構成されている。加湿トレイ30は、装置本体12に対して着脱可能に設けられている。
装置本体12は、トレイ挿入口13を有する。トレイ挿入口13は、水平方向を向いて開口している。トレイ挿入口13は、左側面2Dに開口している。装置本体12に対する加湿トレイ30の装着時、加湿トレイ30は、トレイ挿入口13を通じて一方向(図7および図8中の矢印301に示す方向、以下において、「加湿トレイ30の挿入方向」ともいう)に挿入される。
図9は、図5中の2点鎖線IXで囲まれた範囲の加湿空気清浄機を示す縦断面図である。図10は、図9中の加湿トレイを示す上面図である。図11は、図9中の加湿トレイを示す側面図である。図12は、図9中の加湿トレイを示す斜視図である。
図9から図12を参照して、加湿トレイ30は、トレイ本体部31と、ハンドル部42とを有する。トレイ本体部31は、その内部に水を貯留可能なように構成されている。ハンドル部42は、ユーザが把持可能なハンドル形状を有し、主に、加湿トレイ30を持ち運ぶ際に用いられる。
トレイ本体部31は、上方を向いて開口する、浅底の容器からなる。トレイ本体部31は、その構成部位として、トレイ底部32と、トレイ側部33(33A,33B,33C,33D)とを有する。
トレイ底部32は、トレイ本体部31の底部をなしている。トレイ側部33は、トレイ本体部31の側部をなしている。トレイ側部33は、トレイ底部32の周縁から立ち上がり、トレイ本体部31における水の貯留空間を取り囲むように設けられている。
トレイ側部33Aおよびトレイ側部33Bは、加湿トレイ30の挿入方向において、互いに対向して配置されている。加湿トレイ30が装置本体12に装着された状態において、トレイ側部33Aは、筐体2の左側面2Dの一部をなす(図2を参照)。トレイ側部33Cおよびトレイ側部33Dは、加湿トレイ30の挿入方向に直交する方向において、互いに対向して配置されている。トレイ底部32の上方であって、トレイ側部33A、トレイ側部33B、トレイ側部33Cおよびトレイ側部33Dに囲まれた位置に、水を貯留する空間が形成されている。
加湿トレイ30(トレイ本体部31)は、略矩形形状の上面視を有する。加湿トレイ30は、トレイ側部33Aおよびトレイ側部33Bが対向する方向が長手方向となり、トレイ側部33Cおよびトレイ側部33Dが対向する方向が短手方向となる略矩形形状の上面視を有する。
図12中に示すように、加湿トレイ30(トレイ本体部31)の内壁には、加湿トレイ30における水位の最上レベル216が示されている。ユーザは、最上レベル216を目安にして加湿トレイ30に水を補給する。
加湿空気清浄機1は、加湿フィルタ41を有する。加湿フィルタ41は、加湿トレイ30のうちのトレイ本体部31に設けられている。
加湿フィルタ41は、平板形状を有する。加湿フィルタ41は、筐体2の前面2Aと背面2Bとが対向する方向に直交する平面上で広がる平板形状を有する。加湿フィルタ41は、トレイ側部33Cとトレイ側部33Dとが対向する方向に直交する平面上で広がる平板形状を有する。加湿フィルタ41は、高さ方向においてトレイ底部32と当接して設けられている。
加湿フィルタ41は、吸水性および通気性を有する。加湿フィルタ41は、その下部が加湿トレイ30に貯留された水に浸漬されるように設けられている。加湿フィルタ41は、その上部が水面から上方に突き出し、空気中に配置されるように設けられている。加湿フィルタ41は、加湿トレイ30内の水に浸漬された浸水部を下部に有し、水に浸漬されない非浸水部を上部に有する。
加湿フィルタ41は、毛細管現象により加湿トレイ30内の水を吸い上げて、全体が水分を含んだ状態になる。加湿フィルタ41の上部の非浸水部は、水に浸漬されないが、下部の浸水部から水を吸い上げることにより、加湿トレイ30内の貯水量に関わらず非浸水部を含む加湿フィルタ41の全体に水分が行き渡る。
加湿フィルタ41は、筐体2の内部において、送風機50(ファン52)により送風される空気を加湿する。加湿フィルタ41は、筐体2の内部において、下降風路150から上流風路160に向けて流れる空気(図9および図10中の矢印201に示す方向に流れる空気)を加湿する。
加湿トレイ30は、第1貯留空間220と、第2貯留空間230とを形成している。第1貯留空間220および第2貯留空間230は、トレイ本体部31が形成する水を貯留する空間である。第1貯留空間220と、第2貯留空間230とは、加湿フィルタ41により区画されている。第1貯留空間220と、第2貯留空間230とは、下降風路150から上流風路160に向かう空気の流れ方向(図9および図10中の矢印201に示す方向)に並んで設けられている。
送風機50(ファン52)は、第1貯留空間220の側から第2貯留空間230の側に向けて空気を送風する。第1貯留空間220は、第2貯留空間230よりも、加湿トレイ30上に形成される空気流れの上流側に位置する。下降風路150は、第1貯留空間220に繋がり、上流風路160は、第2貯留空間230に繋がる。第1貯留空間220の直上に下降風路150が位置し、第2貯留空間230の直上に上流風路160が位置している。
加湿空気清浄機1は、抗菌ユニット71を有する。抗菌ユニット71は、加湿トレイ30のうちのトレイ本体部31に設けられている。
抗菌ユニット71は、抗菌剤74(図15を参照)を有する。本実施の形態では、抗菌剤74として、銀イオンを担持したゼオライト粉末をペレット状または円柱状に成型した抗菌剤が用いられている。抗菌剤74は、抗菌成分としての銀イオンを含む。銀イオンの担体として、ゼオライト以外に、シリカゲル、ガラスまたは活性炭などを用いることも可能である。また、銀イオンを含む無機系抗菌剤に替えて、有機系抗菌剤を用いることも可能である。
抗菌ユニット71は、第1貯留空間220に配置されている。抗菌ユニット71は、第1貯留空間220および第2貯留空間230のうちの第1貯留空間220にのみ配置されている。抗菌ユニット71は、第1貯留空間220に貯留された水に浸漬されている。
抗菌ユニット71による水の抗菌効果を十分に得るには、加湿トレイ30(トレイ本体部31)における抗菌ユニット71の配置場所が重要となる。抗菌ユニット71を第1貯留空間220に配置することによって、加湿トレイ20内の水における抗菌成分(銀イオン)の濃度を、抗菌効果が十分に得られる値以上に安定させることが可能となり、その結果、加湿トレイ20内の水を清浄な状態に保つことができる。
その理由について説明すると、第1貯留空間220は、加湿フィルタ41を通過する空気流れの上流側にあるため、加湿トレイ30にて加湿される空気は、まず、第1貯留空間220に向けて導入される。この際、第1貯留空間220に向けて導入される空気が、第1貯留空間220に貯留される水に動きを生じさせる。これにより、抗菌剤74と接触する水が活発に入れ替わるため、抗菌ユニット71による水の抗菌効果をより高めることができる。
また、下降風路150は、第1貯留空間220の直上から、第1貯留空間220に貯留された水に向けて空気を案内するダクトをなしている。このような構成により、下降風路150を流れる空気が第1貯留空間220に貯留された水に真正面から衝突するため、第1貯留空間220に貯留される水により大きい動きを生じさせることができる。これにより、抗菌ユニット71による水の抗菌効果をさらに高めることができる。
第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向と、高さ方向との双方に直交する方向(図10中の矢印202に示す方向)を、「加湿トレイ30の幅方向」という。抗菌ユニット71は、加湿トレイ30の幅方向における第1貯留空間220の中央に配置されている。より具体的には、加湿トレイ30の幅方向においてトレイ側部33Aおよびトレイ側部33Bの間の中心位置を通る仮想線を想定した場合に、抗菌ユニット71は、その仮想線に交わるように配置されている。
このような構成によれば、抗菌ユニット71が、第1貯留空間220のうちでも水の動きがより大きくなる位置に配置されるため、抗菌ユニット71による水の抗菌効果をさらに高めることができる。
図13は、図10中のXIII-XIII線上に沿った加湿トレイおよび抗菌ユニットを示す側面図である。図14は、図12中の加湿トレイから抗菌ユニットおよび水位検知部が取り外された状態を示す斜視図である。
図9から図14を参照して、トレイ底部32には、第1凹部34が設けられている。第1凹部34は、下方に向けて凹む凹形状を有する。第1凹部34は、トレイ底部32を正面から見た場合に、略矩形形状を有する。第1凹部34の側壁は、トレイ底部32と斜めに交わるテーパ面からなる。第1凹部34を水平面により切断した場合に得られる開口面は、高さ方向においてトレイ底部32から遠ざかるほど(第1凹部34の底面に近づくほど)小さくなる。
抗菌ユニット71は、第1凹部34に配置されている。抗菌ユニット71は、その一部がトレイ底部32上に突出するように、第1凹部34に配置されている。抗菌ユニット71の最下位置は、加湿フィルタ41の最下位置よりも低い位置にある。
加湿装置としては、加湿フィルタが設けられる加湿トレイ、および、その加湿トレイに供給する水を貯留する給水タンクとを備えるタイプと、本実施の形態における加湿空気清浄機1のように、加湿フィルタが設けられる加湿トレイのみを備えるタイプとがある。加湿トレイのみを備えるタイプの加湿装置では、装置の小型化やコストダウンを実現できるメリットがある一方、加湿トレイおよび給水タンクを備えるタイプの加湿装置と比較して、貯留可能な水の容量が少ないというデメリットがある。このようなデメリットを解消すべく、水位検知部81により検知する加湿トレイ30における水位の最下レベルを、可能な限り低く設定したいという要望がある。
本実施の形態では、抗菌ユニット71が第1凹部34に配置されている。このような構成により、加湿トレイ30における水位の最下レベルを低く設定した場合にも、抗菌ユニット71が水に浸った状態が得られるため、安定して十分な抗菌効果を確保することができる。また、加湿トレイ30における水位が最下レベルとなった時、抗菌ユニット71の周りに水が存在するため、抗菌成分の濃度が高まる。このため、加湿トレイ30に水を補給した当初から、加湿トレイ30内の水を清浄にすることができる。
図15は、抗菌ユニットを示す断面図である。図16は、図15中の矢印XVIに示す方向から見た抗菌ユニットを示す端面図である。
図15および図16を参照して、抗菌ユニット71は、ケース体80と、抗菌剤74とを有する。ケース体80は、筒形状を有し、その両端で開口している。ケース体80は、中心軸241に沿って円筒状に延びる形状を有する。抗菌剤74は、ケース体80に収容されている。
ケース体80は、収容部72と、脚部73とを有する。収容部72は、有底の円筒形状を有する。収容部72は、その軸方向における一方端にて開口し、その軸方向における他方端に底部72sを有する。底部72sには、複数のスリット75が設けられている。複数のスリット75は、ケース体80のその一方端における開口をなしている。収容部72には、複数の係合孔72tが設けられている。複数の係合孔72tは、収容部72の開口端側に設けられている。複数の係合孔72tは、後述する複数の係合突起79tに対応して設けられている。
脚部73は、有底の円筒形状を有する。脚部73は、その軸方向における一方端に開口端76を有し、その軸方向における他方端に底部73sを有する。脚部73の開口端76が、ケース体80のその他方端における開口をなしている。底部73sには、複数の孔78が設けられている。複数の孔78は、底部73sを貫通している。
底部73sには、係合部79が設けられている。係合部79は、円筒形状を有し、底部73sから脚部73の軸方向に突出して設けられている。係合部79には、複数の係合突起79tが設けられている。複数の係合突起79tは、係合部79の外周面から、脚部73の径方向外側に向けて突出して設けられている。複数の係合突起79tは、脚部73の周方向に互いに間隔を隔てて設けられている。脚部73には、ネジ部77が設けられている。ネジ部77は、脚部73の開口端76側の内周面に設けられている。
脚部73が収容部72に組み合わされることによって、ケース体80が構成されている。この際、係合部79が、収容部72の開口端の側から収容部72内に挿入され、複数の係合突起79tが複数の係合孔72tにそれぞれ係合される。抗菌剤74は、収容部72に収容されている。抗菌剤74は、収容部72と、脚部73の底部73sとに囲まれた空間に収容されている。
図9から図16を参照して、抗菌ユニット71は、ケース体80が加湿トレイ30の幅方向(図10中の矢印202に示す方向)に沿って筒状に延びるように設けられている。抗菌ユニット71は、ケース体80の中心軸241が加湿トレイ30の幅方向と平行となるように、加湿トレイ30に設けられている。
複数のスリット75は、加湿トレイ30の幅方向において、トレイ側部33Aと対向して開口している。脚部73の開口端76は、加湿トレイ30の幅方向において、トレイ側部33Bと対向して開口している。抗菌ユニット71は、加湿トレイ30の幅方向において、トレイ側部33Aおよびトレイ側部33Bの双方から距離を隔てて配置されている。
ケース体80は、加湿トレイ30の幅方向が長手方向となる細長い形状を有する。抗菌ユニット71を、ケース体80が加湿トレイ30の幅方向に沿って筒状に延びるように設けることによって、第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向(本実施の形態では、筐体2の前面2Aと背面2Bとが対向する加湿空気清浄機1の奥行方向)において、加湿トレイ30をコンパクトに構成することができる。
抗菌ユニット71は、加湿トレイ30(トレイ本体部31)に対して着脱可能に設けられている。
加湿トレイ30(トレイ本体部31)は、リブ状部35pおよびリブ状部35qと、リブ状部36pおよびリブ状部36qと、リブ状部37pおよびリブ状部37qとを有する。
リブ状部35pおよびリブ状部35qは、第1凹部34の底面から立ち上がるリブ形状を有する。リブ状部35pおよびリブ状部35qは、第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向が厚み方向となり、加湿トレイ30の幅方向に沿って延在する薄板形状を有する。リブ状部35pおよびリブ状部35qは、第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向において、第1凹部34の中央に位置している。リブ状部35pおよびリブ状部35qは、加湿トレイ30の幅方向において互いに対向して設けられている。
リブ状部36pおよびリブ状部36qは、第1凹部34の底面から立ち上がるリブ形状を有する。リブ状部36pおよびリブ状部36qは、第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向が厚み方向となり、加湿トレイ30の幅方向に沿って延在する薄板形状を有する。リブ状部36pおよびリブ状部36qは、第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向において互いに対向して設けられている。
リブ状部37pおよびリブ状部37qは、第1凹部34の底面から立ち上がるリブ形状を有する。リブ状部37pおよびリブ状部37qは、第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向が厚み方向となり、加湿トレイ30の幅方向に沿って延在する薄板形状を有する。リブ状部37pおよびリブ状部37qは、第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向において互いに対向して設けられている。リブ状部37pは、加湿トレイ30の幅方向において、リブ状部36pと距離を隔てて設けられている。リブ状部37qは、加湿トレイ30の幅方向において、リブ状部36qと距離を隔てて設けられている。
抗菌ユニット71が加湿トレイ30に装着された状態において、抗菌ユニット71は、加湿トレイ30の幅方向において、リブ状部35pとリブ状部35qとの間に配置されている。リブ状部35pは、収容部72に当接し、リブ状部35qは、脚部73に当接している。抗菌ユニット71は、リブ状部35pおよびリブ状部35qによって、加湿トレイ30の幅方向における所定の装着位置に位置決めされている。
抗菌ユニット71が加湿トレイ30に装着された状態において、抗菌ユニット71は、第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向において、リブ状部37pとリブ状部37qとの間に配置されている。リブ状部37pおよびリブ状部37qは、収容部72に当接している。抗菌ユニット71は、リブ状部37pおよびリブ状部37qによって、第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向における所定の装着位置に位置決めされている。
抗菌ユニット71が加湿トレイ30に装着された状態において、抗菌ユニット71は、第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向において、リブ状部36pとリブ状部36qとの間に配置されている。リブ状部36pおよびリブ状部36qは、脚部73に当接している。リブ状部36pおよびリブ状部36qは、第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向において互いに離間するように弾性変形することによって、抗菌ユニット71を挟持する弾性力を発生している。抗菌ユニット71は、リブ状部36pおよびリブ状部36qによって、加湿トレイ30上に保持されている。
このような構成によれば、抗菌ユニット71を簡易な構成により加湿トレイ30上に保持することができる。また、抗菌ユニット71を適切な時期に交換することによって、抗菌ユニット71による水の抗菌効果を継続的に得ることができる。
図17は、加湿トレイおよび給水タンクを備えるタイプの加湿装置を示す分解組み立て図である。図18は、図17中の給水タンクに設けられる蓋部材と、蓋部材に装着される抗菌ユニットとを示す斜視図である。
図17および図18を参照して、加湿装置251は、装置本体252と、加湿トレイ254と、加湿フィルタ253と、給水タンク257と、抗菌ユニット71とを有する。
加湿トレイ254は、装置本体252に対して着脱可能に設けられている。加湿トレイ254は、貯水部255と、給水部256とを有する。貯水部255および給水部256は、水を貯留可能なトレイ形状を有し、互いに繋がって設けられている。給水タンク257は、加湿トレイ254に供給する水を蓄える容器からなる。給水タンク257は、給水部256に設けられている。加湿フィルタ253は、貯水部255に設けられている。
給水タンク257は、タンク部258と、蓋部259とを有する。タンク部258の底部には、開口部が設けられており、蓋部259は、その開口部を塞ぐようにタンク部258に取り付けられている。蓋部259は、給水口262を有する。給水口262には、給水タンク257が単独の状態である時に閉状態となり、給水タンク257が加湿トレイ254の給水部256に設けられた時に開状態となるバルブ機構(不図示)が設けられている。
抗菌ユニット71は、図15中に示す抗菌ユニット71と同一の構造を有する。抗菌ユニット71は、蓋部259に対して着脱可能に設けられている。蓋部259がタンク部258に取り付けられた状態において、抗菌ユニット71は、タンク部258の内側に配置される。
蓋部259には、ネジ部260と、ネジ部261とが設けられている。ネジ部260は、蓋部259の内周面に設けられている。タンク部258に対する蓋部259の取り付け時に、ネジ部260は、タンク部258の開口部に設けられたネジ部(不図示)と螺合される。ネジ部261は、給水口262の外周面に設けられている。蓋部259に対する抗菌ユニット71の装着時に、ネジ部261は、抗菌ユニット71のネジ部77と螺合される。
給水タンク257に蓄えられた水が、給水口262を通じて給水部256に供給される。このとき、水が抗菌ユニット71を通過することにより、給水部256に供給される水に抗菌成分(銀イオン)が溶出する。給水部256に供給された水は、貯水部255に移って加湿フィルタ253を浸す。
図9から図18を参照して、抗菌ユニット71は、本実施の形態における加湿空気清浄機1と、加湿トレイ254および給水タンク257を備えるタイプの加湿装置251との間で兼用されている。これにより、部品共通化によるコストダウンを図ることができる。兼用を表す構成として、抗菌ユニット71(ケース体80)は、加湿トレイ30に対する抗菌ユニット71の装着に用いられていないネジ部77を有する。
図19は、加湿トレイにおける抗菌ユニットの配置方法の第1変形例を示す上面図である。
図15および図19を参照して、本変形例では、抗菌ユニット71が、ケース体80が第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向(図19中の矢印201に示す方向)に沿って筒状に延びるように設けられている。抗菌ユニット71は、ケース体80の中心軸241が第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向と平行となるように、加湿トレイ30に設けられている。
複数のスリット75は、第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向において、加湿フィルタ41と対向して開口している。脚部73の開口端76は、第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向において、トレイ側部33Cと対向して開口している。抗菌ユニット71は、第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向において、加湿フィルタ41およびトレイ側部33Cの双方から距離を隔てて配置されている。
抗菌ユニット71を、ケース体80が第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向に沿って筒状に延びるように設けることによって、加湿トレイ30に貯留された水が効率よくケース体80内を通過する。このため、抗菌ユニット71による水の抗菌効果をさらに高めることができる。
図20は、加湿トレイにおける水の動きと、銀イオン濃度との関係を示す表である。図20を参照して、両端が開口する円筒形状のケース体に20gの抗菌剤を収容した抗菌ユニットを準備し、その抗菌ユニットを試験用トレイに配置した。試験用トレイに2000mLの純水を投入した。加湿空気清浄機1の送風モードを切り替えることによって、水の動きなし、水の動き(弱)、水の動き(中)および水の動き(強)の状態を作り出した。各状態での、トレイ内の水の銀イオン濃度を測定した。
図20中に示すように、トレイ内における水の動きが強いほど、安定かつ高い銀イオン濃度を得ることができた。
図21から図23は、試験用トレイにおける抗菌ユニットの配置条件を模式的に示す図である。図24は、図21から図23中の各配置条件におけるトレイ内の水の銀イオン濃度を示す表である。
図21および図22を参照して、円筒形状のケース体を用いた抗菌ユニット171を、試験用トレイに配置した。この際、図21中の条件Aでは、抗菌ユニット171の一方の開口端をトレイの内壁に取り付け、図22中の条件Bでは、抗菌ユニット171の円筒外周面をトレイの内壁に取り付けた。図23を参照して、条件Cでは、円筒形状のケース体に替えて、メッシュ状の袋を用いた抗菌ユニット271を、試験用トレイの適当な場所に配置した。各条件において、水の動きがない時のトレイ内の水の銀イオン濃度を測定した。
図24中に示すように、ケース体の両端が開口する図22中の条件Bにおいて、銀イオン濃度が最も高くなった。抗菌剤を収容するケース体としてメッシュ状の袋を用いた図23中の条件Cでは、抗菌ユニットとトレイの内壁との位置関係にかかわらず、比較的高い銀イオン濃度を得ることができた。
図25および図26は、加湿トレイにおける抗菌ユニットの配置方法の第2変形例を示す側面図である。図25中には、加湿トレイ30における水位が高い場合が示され、図26中には、加湿トレイ30における水位が低い場合が示されている。
図25および図26を参照して、本変形例では、抗菌ユニット71に、浮き具282が設けられている。抗菌ユニット71は、浮き具282によって、加湿トレイ30における水面の直下に配置されている。加湿トレイ30には、ガイド部材281が設けられている。ガイド部材281は、トレイ底部32から上方に向けて突出している。ガイド部材281は、加湿トレイ30における水位の変動に合わせて、抗菌ユニット71を上下方向に案内している。
加湿トレイ30における水の動きは、水面付近の位置でより大きくなる。このため、加湿トレイ30における水位の変動に合わせて、抗菌ユニット71を水面の直下に移動させることによって、抗菌ユニット71による水の抗菌効果をさらに高めることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、加湿トレイ30に設けられる水位検知部81について詳細に説明する。
図27および図28は、図10中のXXVII-XXVII線上に沿った加湿トレイおよび水位検知部を示す断面図である。図27中には、加湿トレイ30における水位が高い場合が示され、図28中には、加湿トレイ30における水位が最下レベルに達した場合が示されている。
図10、図27および図28を参照して、水位検知部81として、加湿トレイ30における水位の変動に応じて浮動するフロートを用いたフロート式の水位センサが用いられている。
より具体的には、水位検知部81は、フロート部87と、磁石83と、回路基板84と、ホールIC85とを有する。フロート部87には、発泡スチロール等の浮き具が内蔵されており、フロート部87は、水に浮くことが可能である。フロート部87は、加湿トレイ30に対して、回動軸82を中心に回動可能に設けられている。フロート部87には、面取り部86が設けられている。面取り部86は、回動軸82から半径方向外側に離れた位置であって、後述する第2凹部38の底面と対向する角部に設けられている。磁石83は、フロート部87に設けられている。磁石83は、トレイ側部33Dと対向して設けられている。
トレイ側部33Dは、当接部33jを有する。当接部33jは、加湿トレイ30の内側に向けて突出する凸形状を有する。当接部33jは、加湿トレイ30を上面視した場合にフロート部87と重なるように設けられている。回路基板84およびホールIC85は、加湿トレイ30の外側に設けられている。ホールIC85は、回路基板84に実装されている。ホールIC85は、加湿トレイ30における水位が高い場合の磁石83と対向する位置に設けられている。
図27中に示すように、加湿トレイ30における水位が高い時、フロート部87は、自らの浮力により、当接部33jに当接して略水平な姿勢となる。このとき、磁石83がホールIC85と対向することにより、回路基板84上に設けられた水位検知回路がオン信号を出力する。
図28中に示すように、加湿トレイ30における水位が最下レベルに達した時、フロート部87は、自重により、回動軸82から斜め下方向に傾く姿勢となる。このとき、磁石83がホールIC85から遠ざかることにより、回路基板84上に設けられた水位検知回路がオフ信号を出力する。制御部(不図示)は、水位検知回路からのオフ信号の出力を受けて、加湿運転を停止させるとともに、通知部における給水ランプを点灯させる。
水位検知部81は、第2貯留空間230に設けられている。送風機50の稼動に伴って、第2貯留空間230には負圧が発生するため、第2貯留空間230における水位は、第1貯留空間220における水位よりも高くなる。水位検知部81をその第2貯留空間230に設けることによって、水位検知部81により加湿トレイ30における水位の最下レベルが検知され、加湿運転が停止された時の、加湿トレイ30における残水を少なくすることができる。これにより、加湿トレイのみを備えるタイプであって、貯留可能な水の容量が少ない加湿空気清浄機1において、加湿トレイ30に貯留された水をより有効に利用することができる。
水位検知部81は、加湿トレイ30の幅方向における第2貯留空間230の中央に配置されている。より具体的には、加湿トレイ30の幅方向におけるトレイ側部33Aおよびトレイ側部33Bの間の中心位置を通る仮想線を想定した場合に、水位検知部81は、その仮想線に交わるように配置されている。
このような構成によれば、水位検知部81が、第2貯留空間230のうちでも水位がより高くなる位置に配置されるため、水位検知部81により加湿トレイ30における水位の最下レベルが検知され、加湿運転が停止された時の、加湿トレイ30における残水をさらに少なくすることができる。
トレイ底部32には、第2凹部38が設けられている。第2凹部38は、下方に向けて凹む凹形状を有する。第2凹部38には、水位検知部81が配置されている。
このような構成によれば、水位検知部81により、加湿トレイ30におけるより低い水位を検知することが可能となる。このため、加湿トレイ30における水位の最下レベルをより低く設定することができる。なお、フロート部87に面取り部86を設けることによって、水位検知回路におけるON信号出力時とオフ信号出力時との間において、磁石83の高さにより大きい差を設けることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、水位検知部81を用いて、加湿フィルタ41または抗菌ユニット71の交換時期を特定する方法について説明する。
図29は、加湿フィルタまたは抗菌ユニットの交換時期を特定するための構成を示すブロック図である。
図29を参照して、加湿空気清浄機1は、水位検知部81にて検知された加湿トレイ30における水位変化の情報を蓄積することにより、加湿フィルタ41または抗菌ユニット71の交換時期を特定する制御装置291を有する。
より具体的には、制御装置291は、制御部292と、カウント部293とを有する。カウント部293は、水位検知部81による加湿トレイ30内の水位の検知に伴って、水位検知回路からの出力がオフからオンに転じた回数をカウントする。制御部292は、カウント部293にてカウントされた回数が所定回数に達した時を、加湿フィルタ41または抗菌ユニット71の交換時期として特定する。このとき、制御部292は、通知部294における加湿フィルタ41または抗菌ユニット71の交換時期を知らせる表示ランプを点灯させる。
加湿装置における通電されない水回りの消耗品として、加湿フィルタおよび抗菌ユニットがある。従来、このような消耗品の交換時期の特定は、製造メーカーが目安の使用時間を表記することによって行なわれていた。このため、消耗品が実際に交換時期に達していても、ユーザが交換を忘れることがあり、期待する効果が得られていないという課題があった。
一方、本実施の形態においては、水位検知回路からの出力がオフからオンに転じた回数を、ユーザが加湿トレイ30に水を補給した回数とみなし、その補給回数に、加湿トレイ30の容量を乗じることにより、加湿フィルタ41または抗菌ユニット71の寿命計算を行なうことができる。さらに、その寿命計算から加湿フィルタ41または抗菌ユニット71の交換時期を特定し、加湿フィルタ41または抗菌ユニット71が交換時期に達していることをユーザに知らせる。
従来、ユーザ自身に任せられていた加湿フィルタ41または抗菌ユニット71の交換時期の特定を、加湿空気清浄機1の装置側が行なうことにより、加湿フィルタ41または抗菌ユニット71の性能が低下していることをユーザが気付かないという事態を回避することができる。
なお、加湿フィルタ41または抗菌ユニット71の交換時期を知らせる手段は、上記の表示ランプに限られない。たとえば、Wi-Fi等の通信技術を加湿空気清浄機1に搭載し、ユーザのスマートフォンやパーソナルコンピューターを通じて、加湿フィルタ41または抗菌ユニット71の交換時期をユーザに知らせるようにしてもよい。また、事前にユーザ情報を登録しておき、加湿フィルタ41または抗菌ユニット71の交換時期の特定を受けて、必要な消耗品を自動発注するようにしてもよい。
以下に、本開示の構成および作用効果についてまとめる。
本開示に従った加湿装置は、水を貯留可能な加湿トレイと、加湿トレイに設けられ、空気を加湿する加湿フィルタと、抗菌剤を有し、加湿トレイに設けられる抗菌ユニットとを備える。加湿トレイは、第1貯留空間と、加湿フィルタにより第1貯留空間と区画される第2貯留空間とを形成する。加湿装置は、第1貯留空間の側から第2貯留空間の側に向けて空気を送風する送風機をさらに備える。抗菌ユニットは、第1貯留空間に配置される。
このように構成された加湿装置によれば、加湿トレイにおける空気流れの下流側の第2貯留空間よりも上流側の第1貯留空間において、加湿トレイに貯留された水の動きが大きくなる。このため、水の動きがより大きくなる第1貯留空間に抗菌ユニットを配置することによって、加湿トレイに貯留された水の抗菌効果を高めることができる。
また好ましくは、加湿装置は、第1貯留空間の直上から、第1貯留空間に貯留された水に向けて空気を案内するダクトをさらに備える。
このように構成された加湿装置によれば、第1貯留空間における水の動きがより大きくなるため、加湿トレイに貯留された水の抗菌効果をさらに高めることができる。
また好ましくは、第1貯留空間および第2貯留空間の並び方向と、高さ方向との双方に直交する方向を、加湿トレイの幅方向という。この場合に、抗菌ユニットは、加湿トレイの幅方向における第1貯留空間の中央に配置される。
このように構成された加湿装置によれば、抗菌ユニットが、第1貯留空間のうちでも水の動きがより大きくなる位置に配置されるため、加湿トレイに貯留された水の抗菌効果をさらに高めることができる。
また好ましくは、抗菌ユニットは、第1貯留空間および第2貯留空間の並び方向に沿って筒状に延び、その両端で開口し、抗菌剤を収容するケース体をさらに有する。
このように構成された加湿装置によれば、水が、抗菌剤を収容するケース体内を効率よく通過するため、加湿トレイに貯留された水の抗菌効果をさらに高めることができる。
また好ましくは、第1貯留空間および第2貯留空間の並び方向と、高さ方向との双方に直交する方向を、加湿トレイの幅方向という。この場合に、抗菌ユニットは、加湿トレイの幅方向に沿って筒状に延び、その両端で開口し、抗菌剤を収容するケース体をさらに有する。
このように構成された加湿装置によれば、第1貯留空間および第2貯留空間の並び方向において、加湿トレイをコンパクトに構成することができる。
また好ましくは、加湿トレイは、抗菌ユニットを着脱可能に保持するリブ状部を含む。
このように構成された加湿装置によれば、抗菌ユニットを交換することにより、高い抗菌効果を継続して得ることができる。
また好ましくは、加湿トレイは、トレイ底部を有する。トレイ底部には、下方に向けて凹み、抗菌ユニットが配置される第1凹部が設けられる。
このように構成された加湿装置によれば、貯留トレイにおける水位が低い場合にも、抗菌ユニットによる抗菌効果を得ることができる。
また好ましくは、加湿装置は、加湿トレイに設けられ、加湿トレイにおける水位の最下レベルを検知する水位検知部をさらに備える。水位検知部は、第2貯留空間に配置される。
このように構成された加湿装置によれば、加湿トレイにおける空気流れの上流側の第1貯留空間よりも下流側の第2貯留空間において、加湿トレイに貯留された水の水位が高くなる。このため、水位がより高くなる第2貯留空間に水位検知部を配置することによって、水位検知部により加湿トレイにおける水位の最下レベルが検知された時の実際の水位をより低くすることができる。
また好ましくは、第1貯留空間および第2貯留空間の並び方向と、高さ方向との双方に直交する方向を、加湿トレイの幅方向という。この場合に、水位検知部は、加湿トレイの幅方向における第2貯留空間の中央に配置される。
このように構成された加湿装置によれば、水位検知部が、第2貯留空間のうちでも水位がより高くなる位置に配置されるため、水位検知部により加湿トレイにおける水位の最下レベルが検知された時の実際の水位をさらに低くすることができる。
また好ましくは、加湿装置は、加湿トレイに設けられ、加湿トレイにおける水位の最下レベルを検知する水位検知部をさらに備える。加湿トレイは、トレイ底部を有する。トレイ底部には、下方に向けて凹み、水位検知部が配置される第2凹部が設けられる。
このように構成された加湿装置によれば、水位検知部により、加湿トレイにおけるより低い水位を検知することが可能となるため、加湿トレイにおける水位の最下レベルをより低く設定することができる。
また好ましくは、加湿装置は、加湿トレイに設けられ、加湿トレイにおける水位を検知する水位検知部と、水位検知部にて検知された加湿トレイにおける水位変化の情報を蓄積することにより、加湿フィルタまたは抗菌ユニットの交換時期を特定する制御装置とをさらに備える。
このように構成された加湿装置によれば、加湿フィルタまたは抗菌ユニットの交換時期をより正確に特定することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。