JP7068087B2 - 誘電体材料の製造方法および積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents

誘電体材料の製造方法および積層セラミックコンデンサの製造方法 Download PDF

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本発明は、誘電体材料の製造方法および積層セラミックコンデンサの製造方法に関する。
小型大容量タイプの積層セラミックコンデンサ(MLCC)の誘電体材料に用いられるチタン酸バリウムには、少量の添加物が添加されている。近年、焼成の急速化・低温化により、焼成時に添加物が十分に拡散・固溶し難く、狙いの微構造を得ることが困難になっている。その解決策として、添加物の高分散化が求められている。例えば、その一手段として、予め添加物をチタン酸バリウム内に固溶させた材料の開発が進められている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016-127120号公報
しかしながら、固溶する添加物の存在状態が不均一では、添加物が十分に固溶していないチタン酸バリウム、添加物が不均一に固溶したチタン酸バリウムなどが合成されてしまう。この場合、狙いの微構造は得られないことになる。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、主添加物を十分に固溶させ、主添加物の固溶状態の均一化を図ることができる誘電体材料の製造方法および積層セラミックコンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る誘電体材料の製造方法は、TiO 粉末と主添加物源とを混合し、700℃以下の加熱処理を行うことで、主添加物と反応したTiO 粉末を得る加熱工程を含む、前記主添加物と反応したTiOを用意する工程と、前記主添加物と反応したTiO粉末とBa材料とを混合し、700℃~1100℃の範囲で仮焼を行う工程と、を含むことを特徴とする。
上記誘電体材料の製造方法において、前記主添加物は、Mo、Mg、Mn、V、Cr、希土類元素(Y、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、TmおよびYb)の酸化物、Co又はNiのいずれかであってもよい
上記誘電体材料の製造方法において、前記加熱工程において、70℃以上の温度まで加熱してもよい。
上記誘電体材料の製造方法において、前記主添加物を反応させる前のTiO粉末の比表面積は、10m/g以上としてもよい。
本発明に係る積層セラミックコンデンサの製造方法は、上記いずれかの誘電体材料の製造方法で得られた誘電体材料を含む誘電体層グリーンシートと、内部電極形成用導電ペーストと、を交互に積層することでセラミック積層体を得る工程と、前記セラミック積層体を焼成する工程と、を含むことを特徴とする。
上記積層セラミックコンデンサの製造方法において、前記誘電体層グリーンシートの焼成によって得られる誘電体層の平均厚みを、0.5μm以下としてもよい。
本発明によれば、添加物を十分に固溶させ、添加物の固溶状態の均一化を図ることができる。
積層セラミックコンデンサの部分断面斜視図である。 図1のA-A線断面図である。 図1のB-B線断面図である。 外部電極の断面図であり、図1のA-A線の部分断面図である。 チタン酸バリウムの合成を例示する図である。 実施形態に係る誘電体材料の製造方法を表すフロー図である。 実施形態に係る誘電体材料の製造方法のイメージ図である。 積層セラミックコンデンサの製造方法のフローを例示する図である。 XRD回折ピークの測定結果を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
(実施形態)
まず、誘電体材料の製造方法および積層セラミックコンデンサの製造方法によって製造される積層セラミックコンデンサについて説明する。図1は、実施形態に係る積層セラミックコンデンサ100の部分断面斜視図である。図2は、図1のA-A線断面図である。図3は、図1のB-B線断面図である。図1~図3で例示するように、積層セラミックコンデンサ100は、略直方体形状を有する積層チップ10と、積層チップ10のいずれかの対向する2端面に設けられた外部電極20a,20bとを備える。なお、積層チップ10の当該2端面以外の4面のうち、積層方向の上面および下面以外の2面を側面と称する。外部電極20a,20bは、積層チップ10の積層方向の上面、下面および2側面に延在している。ただし、外部電極20a,20bは、互いに離間している。
積層チップ10は、誘電体として機能するセラミック材料を含む誘電体層11と、卑金属材料を含む内部電極層12とが、交互に積層された構成を有する。各内部電極層12の端縁は、積層チップ10の外部電極20aが設けられた端面と、外部電極20bが設けられた端面とに、交互に露出している。それにより、各内部電極層12は、外部電極20aと外部電極20bとに、交互に導通している。その結果、積層セラミックコンデンサ100は、複数の誘電体層11が内部電極層12を介して積層された構成を有する。また、誘電体層11と内部電極層12との積層構造において、積層方向の最外層には内部電極層12が配置され、当該積層体の上面および下面は、カバー層13によって覆われている。カバー層13は、セラミック材料を主成分とする。例えば、カバー層13の材料は、誘電体層11とセラミック材料の主成分が同じである。
積層セラミックコンデンサ100のサイズは、例えば、長さ0.25mm、幅0.125mm、高さ0.125mmであり、または長さ0.4mm、幅0.2mm、高さ0.2mm、または長さ0.6mm、幅0.3mm、高さ0.3mmであり、または長さ1.0mm、幅0.5mm、高さ0.5mmであり、または長さ3.2mm、幅1.6mm、高さ1.6mmであり、または長さ4.5mm、幅3.2mm、高さ2.5mmであるが、これらのサイズに限定されるものではない。
内部電極層12は、Ni(ニッケル),Cu(銅),Sn(スズ)等の卑金属を主成分とする。内部電極層12として、Pt(白金),Pd(パラジウム),Ag(銀),Au(金)などの貴金属やこれらを含む合金を用いてもよい。内部電極層12の平均厚みは、例えば、1μm以下である。誘電体層11は、ペロブスカイト構造を有するチタン酸バリウム(BaTiO)を主成分とする。なお、当該ペロブスカイト構造は、化学量論組成から外れたABO3-αを含む。誘電体層11においては、主成分であるチタン酸バリウムに、目的に応じて所定の添加物が添加されている。誘電体層11の平均厚みは、例えば、0.5μm以下である。
図2で例示するように、外部電極20aに接続された内部電極層12と外部電極20bに接続された内部電極層12とが対向する領域は、積層セラミックコンデンサ100において電気容量を生じる領域である。そこで、当該電気容量を生じる領域を、容量領域14と称する。すなわち、容量領域14は、異なる外部電極に接続された隣接する内部電極層12同士が対向する領域である。
外部電極20aに接続された内部電極層12同士が、外部電極20bに接続された内部電極層12を介さずに対向する領域を、エンドマージン領域15と称する。また、外部電極20bに接続された内部電極層12同士が、外部電極20aに接続された内部電極層12を介さずに対向する領域も、エンドマージン領域15である。すなわち、エンドマージン領域15は、同じ外部電極に接続された内部電極層12が異なる外部電極に接続された内部電極層12を介さずに対向する領域である。エンドマージン領域15は、電気容量を生じない領域である。
図3で例示するように、積層チップ10において、積層チップ10の2側面から内部電極層12に至るまでの領域をサイドマージン領域16と称する。すなわち、サイドマージン領域16は、上記積層構造において積層された複数の内部電極層12が2側面側に延びた端部を覆うように設けられた領域である。サイドマージン領域16も、容量を生じない領域である。
図4は、外部電極20aの断面図であり、図1のA-A線の部分断面図である。なお、図4では断面を表すハッチを省略している。図4で例示するように、外部電極20aは、下地層21上に、Cuめっき層22、Niめっき層23およびSnめっき層24が形成された構造を有する。下地層21、Cuめっき層22、Niめっき層23およびSnめっき層24は、積層チップ10の両端面から上面、下面および2つの側面に延在している。なお、図4では、外部電極20aについて例示しているが、外部電極20bも同様の構造を有する。
下地層21は、NiおよびCuの少なくともいずれか一方を含む金属または合金を主成分とし、下地層21の緻密化のためのガラス成分を含んでいてもよく、下地層21の焼結性を制御するための共材を含んでいてもよい。ガラス成分は、Ba,Sr(ストロンチウム),Ca(カルシウム),Zn(亜鉛),Al(アルミニウム),Si(ケイ素),B(ホウ素)等の酸化物である。共材は、セラミック成分であり、例えば、誘電体層11が主成分とするセラミック成分である。
このような積層セラミックコンデンサ100において、誘電体層11は、誘電体材料を焼成することによって得られる。具体的には、誘電体層11の主成分であるチタン酸バリウムの粉末に、バインダ、有機溶剤、可塑剤などを加えて湿式混合し、塗工することで得られるグリーンシートを焼成することで、誘電体層11を得ることができる。
近年、焼成の急速化・低温化により、焼成時に添加物が十分に拡散・固溶し難く、狙いの微構造を得ることが困難になっている。その解決策として、添加物の高分散化が求められている。例えば、その一手段として、予め添加物をチタン酸バリウム内に固溶させた誘電体材料の開発が進められている。しかしながら、固溶する添加物の存在状態が不均一では、添加物が不均一に固溶したチタン酸バリウム、添加物が十分に固溶していないチタン酸バリウムなどが合成されてしまう。この場合、狙いの微構造は得られないことになる。
そこで、誘電体材料の主材料であるチタン酸バリウム粉末を合成する過程において、固溶し難い添加物元素を固溶させることで、狙いの微細構造設計を得て特性の向上効果(容量-信頼性-耐圧)を確保することが考えられる。しかしながら、粒子径が小さい固溶チタン酸バリウム粉末を合成しようとすると、添加物が十分に固溶していないチタン酸バリウム粉末、添加物の固溶状態が不均一なチタン酸バリウム粉末などが合成され、目標とする微構造が得られず、特性の向上効果が得られない課題がある。
例えば、図5で例示するように、TiOとBaCOとを混合したスラリーに対し、添加物(一例としてMo(モリブデン))をイオンもしくは錯体化した状態で添加し、またはスラリーと混合後にMoがイオンもしくは錯体化した状態となるプロセスを施し、混練後、スラリーが流動し難い状態・条件下で乾燥を行い、Ba/Ti/添加物の生材を得ることが考えられる。この生材を仮焼(合成)することで、添加物が固溶したチタン酸バリウムを得ることができる。しかしながら、この方法では、チタン酸バリウムの合成過程で添加物とBaとの化合物(一例としてBaMoO)が生じる。このBaMoOは、約700℃程度の高温まで安定しているため、意図した添加物の固溶は合成過程の高温側まで固溶が進まない。しかしながら、狙いの小さい粒子径を得るためには低温での合成が必要である。したがって、当該低温で仮焼(合成)を行うと、添加物が十分に固溶しなくなり、添加物が均一に固溶しなくなる。固溶度を高めるためにはBaと添加物との化合物の生成抑制が求められる。
そこで、本実施形態においては、添加物を十分に固溶させ、添加物の固溶状態の均一化を図ることができる誘電体材料の製造方法および積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。
図6は、本実施形態に係る誘電体材料の製造方法を表すフロー図である。図7は、本実施形態に係る誘電体材料の製造方法のイメージ図である。本実施形態においては、主添加物の一例として、Moに着目する。図6および図7で例示するように、TiO粉末と分散剤との混合スラリー中に、主添加物のMo源として酸化モリブデンを添加し、撹拌することによってMoが溶解したスラリーを得る。
このスラリーを乾燥することで、TiO混合粉末を得る。その後、例えば、700℃以下の温度範囲で加熱処理を行い、Moと反応したTiO粉末(Mo反応TiO粉末)を得る。Mo反応TiOは、Ti-Mo-O系酸化物として存在している。
Mo反応TiO粉末とBa材料(BaCOなど)と分散剤との混合スラリーを撹拌して生成し、Mo反応TiO粉末とBa材料との分散度がチタン酸バリウムの径・品質に応じたレベルになるまで分散させ、スラリーを液滴噴霧にて乾燥し、生材を得る。その後、雰囲気調整制御炉にて粒径に応じて、例えば、700℃以上1100℃以下の温度範囲で仮焼を行い、主添加物が固溶したチタン酸バリウム(固溶チタン酸バリウム)を得る。それにより、積層セラミックコンデンサ100に用いる誘電体材料が得られる。
本実施形態に係る誘電体材料の製造方法によれば、Ba材料を混合する前に、Mo反応TiOが合成されている。この場合、TiOとBa材料とからチタン酸バリウムを合成する過程において、高温まで安定なBaとMoとの化合物(BaMoO)の生成を抑制することができる。この場合、Moをチタン酸バリウムに十分に固溶させることができる。また、チタン酸バリウム粒子内におけるMoの分布差を小さくすることができる。すなわち、Moが均一かつ十分に固溶したチタン酸バリウムを得ることができる。その結果、積層セラミックコンデンサ100における電気特性のバラツキが抑制され、寿命特性、耐電圧特性などの信頼性が向上する。
高温まで安定なBaとMoとの化合物の生成が抑制されることから、チタン酸バリウム粉末の合成温度を低下させることができる。それにより、粒子径の小さいチタン酸バリウム粉末を作成することができる。例えば、平均粒子径が80nm未満のチタン酸バリウム粉末を作成することができる。したがって、誘電体層11の厚みを小さくし、静電容量を高くしても(例えば、平均厚みが0.5μm以下)、寿命特性、耐電圧特性などが向上した静電容量が高い積層セラミックコンデンサ100を製造することができる。
Mo源としては、スラリーに溶解可能であり、誘電体材料としての特性に悪影響を及ぼさなければ、種類等は問わない。具体的には、酸化モリブデン(4価)、酸化モリブデン(6価)、塩化モリブデン(2価)、塩化モリブデン(3価)、塩化モリブデン(4価)、水酸化モリブデン(3価)、水酸化モリブデン(5価)、モリブデン酸アンモニウム等を用いることができる。
Moの溶解方法としては、例えば酸化モリブデン(6価)の場合には、予めアンモニウム水溶液等のpH調整剤を用いて溶解させイオン化する手法、TiOスラリーに用いている各種分散剤(カルボン酸アンモニウム)を利用して溶解させイオン化・錯体化する手法、純水等の溶媒中に長時間放置し水酸化モリブデンとしてイオン化する手法、等のいずれを用いてもよい。
Mo反応TiOを得るための加熱処理においては、温度が低すぎると、十分にMoとTiOとが反応しないおそれがある。そこで、加熱温度に下限を設けることが好ましい。例えば、70℃以上に加熱することが好ましく、350℃以上に加熱することがより好ましい。
スラリー中の分散剤・純水を利用して溶解する場合には、モリブデン量に応じて、分散剤・純水の量を調整することが好ましい。モリブデンの添加量に関して特に制限はないが、Tiを100atm%とした場合に、Moの濃度を0.05atm%以上、0.3atm%以下とすることが好ましい。
モリブデンの添加タイミングは、スラリーの分散前から乾燥前のいずれの工程でもよい。ただし、均一な状態を保つために、スラリー粘性挙動を、一般的に溶解状態の物質がマクロに分布可能な状態にすることが好ましい。
Moを反応させる前のTiOの原料径(比表面積)は、10m/g以上であることが好ましく、100m/g以上であることがより好ましい。Ba材料の原料径(比表面積)は、5m/g以上であることが好ましく、30m/g以上であることがより好ましい。十分に小さな出発原料を用いることで高い結晶性の誘電体材料が得られるからである。
主添加物として、Mo以外にも、Mg(マグネシウム),Mn(マンガン),V(バナジウム),Cr(クロム),希土類元素(Y(イットリウム),Sm(サマリウム),Eu(ユウロピウム),Gd(ガドリニウム),Tb(テルビウム),Dy(ジスプロシウム),Ho(ホロミウム),Er(エルビウム),Tm(ツリウム)およびYb(イッテルビウム))の酸化物、並びに、Co(コバルト),Niが挙げられる。
なお、上記例ではTiO粉末とMo源とを混合して加熱処理を行うことでMo反応TiOを得ていたが、それに限られない。例えば、Mo反応TiO粉末として、共沈法や加水分解法、水熱法など、TiOを出発原材料としない方法により得られた主添加物と反応しているTiO粉末を使用してもよい。
続いて、積層セラミックコンデンサ100の製造方法について説明する。図8は、積層セラミックコンデンサ100の製造方法のフローを例示する図である。
(原料粉末作製工程)
まず、図6および図7で説明した誘電体材料の製造方法によって得られた誘電体材料を用意する。この誘電体材料に、目的に応じて副添加物を添加してもよい。例えば、上述した主添加物と同様の添加物のいずれかを添加してもよい。副添加物を添加する場合には、誘電体材料の粒子と副添加物とを湿式混合し、乾燥および粉砕して原料粉末とする。
(積層工程)
次に、得られた原料粉末に、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂等のバインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、可塑剤とを加えて湿式混合する。得られたスラリーを使用して、例えばダイコータ法やドクターブレード法により、基材上に例えば焼結後に0.5μm以下の厚みとなるように帯状の誘電体グリーンシートを塗工して乾燥させる。
次に、誘電体グリーンシートの表面に、内部電極形成用導電ペーストをスクリーン印刷、グラビア印刷等により印刷することで、内部電極層12のパターンを配置する。内部電極層形成用導電ペーストは、内部電極層12の主成分金属の粉末と、バインダと、溶剤と、必要に応じてその他助剤とを含んでいる。バインダおよび溶剤は、上記したセラミックスラリーと異なるものを使用することが好ましい。また、内部電極形成用導電ペーストには、共材として、誘電体層11の主成分であるセラミック材料を分散させてもよい。
次に、内部電極層パターンが印刷された誘電体グリーンシートを所定の大きさに打ち抜いて、打ち抜かれた誘電体グリーンシートを、基材を剥離した状態で、内部電極層12と誘電体層11とが互い違いになるように、かつ内部電極層12が誘電体層11の長さ方向両端面に端縁が交互に露出して極性の異なる一対の外部電極に交互に引き出されるように、所定層数(例えば200~500層)だけ積層する。積層したパターン形成シートの上下にカバー層13となるカバーシートを圧着させ、所定チップ寸法(例えば1.0mm×0.5mm)にカットする。これにより、略直方体形状のセラミック積層体が得られる。
(金属ペースト塗布工程)
次に、積層工程で得られたセラミック積層体を、200℃~500℃のN雰囲気中で脱バインダした後に、セラミック積層体の両端面から各側面にかけて、金属フィラー、共材、バインダ、溶剤等を含む金属ペーストを塗布し、乾燥させる。この金属ペーストは、外部電極形成用金属ペーストである。
(焼成工程)
次に、外部電極形成用金属ペーストが塗布されたセラミック積層体を、還元雰囲気中で1100~1300℃で10分~2時間焼成する。このようにして、内部に焼結体からなる誘電体層11と内部電極層12とが交互に積層されてなる積層チップ10と、積層方向上下の最外層として形成されるカバー層13と、下地層21とを有する焼結体が得られる。
(めっき処理工程)
その後、めっき処理工程を実施することによって、Cuめっき層22、Niめっき層23およびSnめっき層24を、下地層21上に順に形成する。以上の工程を経て、積層セラミックコンデンサ100が完成する。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法によれば、Moが均一かつ十分に固溶したチタン酸バリウムを原料粉末として用いることができる。この場合、積層セラミックコンデンサ100における電気特性のバラツキが抑制され、寿命特性、耐電圧特性などの信頼性が向上する。また、平均粒子径が小さいチタン酸バリウムを用いる場合において、誘電体層11の厚みを小さくして、静電容量を高くしても(例えば、焼成後の平均厚みが0.5μm以下)、寿命特性、耐電圧特性などが向上した積層セラミックコンデンサ100を製造することができる。
以下、実施形態に係る誘電体材料の製造方法に従って誘電体材料を作製し、特性について調べた。
(実施例1)
TiOと分散剤との混合スラリー中に、主添加物としてのMo源として酸化モリブデンを添加し、撹拌することによってMoが溶解したスラリーを得た。用いたTiOの平均粒子径を5nmとした。Tiを100atm%とした場合のMoの濃度を0.2atm%とした。このスラリーを乾燥することで、TiO混合粉末を得た。その後、500℃で熱処理を行い、Mo反応TiO粉末を得た。
Mo反応TiO粉末とBaCOと分散剤との混合スラリーを撹拌して生成し、Mo反応TiO粉末とBaCOとの分散度がチタン酸バリウムの径・品質に応じたレベルになるまで分散させ、スラリーを液滴噴霧にて乾燥し、生材を得た。その後、雰囲気調整制御炉にて粒径に応じて、700℃~1100℃の範囲で仮焼を行った。それにより、誘電体材料を得た。
(実施例2)
実施例2では、Mo反応TiO粉末を得る前のTiOの平均粒子径を15nmとした。それ以外の条件は、実施例1と同様とした。
(比較例)
TiOおよびBaCOの混合スラリーに対し、添加物としてのMo源として酸化モリブデンを添加し、混練後に乾燥を行い、生材を得た。この生材を700℃~1100℃の範囲で仮焼を行うことで、誘電体材料を得た。用いたTiOの平均粒子径を5nmとした。Tiを100atm%とした場合のMoの濃度を0.2atm%とした。
(分析)
実施例1,2および比較例で得られた各誘電体材料のXRD(X-Ray Diffraction)回折ピークを測定した。測定結果を図9に示す。図9に示すように、比較例では、BaMoOの回折ピークが確認された。これは、MoをTiOと反応させる前にBaCOを混合することで、BaMoOが生成されたからであると考えられる。一方、実施例1,2のいずれにおいても、BaMoOの回折ピークが確認されなかった(または確認されたピーク強度が小さかった)。これは、Ba材料を混合する前にMo反応TiOを生成しておくことで、BaMoOの生成が抑制されたからであると考えられる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 積層チップ
11 誘電体層
12 内部電極層
13 カバー層
14 容量領域
15 エンドマージン領域
16 サイドマージン領域
20a,20b 外部電極
21 下地層
22 Cuめっき層
23 Niめっき層
24 Snめっき層
100 積層セラミックコンデンサ

Claims (6)

  1. TiO 粉末と主添加物源とを混合し、700℃以下の加熱処理を行うことで、主添加物と反応したTiO 粉末を得る加熱工程を含む、前記主添加物と反応したTiOを用意する工程と、
    前記主添加物と反応したTiO粉末とBa材料とを混合し、700℃~1100℃の範囲で仮焼を行う工程と、を含むことを特徴とする誘電体材料の製造方法。
  2. 前記主添加物は、Mo、Mg、Mn、V、Cr、希土類元素(Y、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、TmおよびYb)の酸化物、Co又はNiのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の誘電体材料の製造方法。
  3. 前記加熱工程において、70℃以上の温度まで加熱することを特徴とする請求項2記載の誘電体材料の製造方法。
  4. 前記主添加物を反応させる前のTiO粉末の比表面積は、10m/g以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の誘電体材料の製造方法。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の誘電体材料の製造方法で得られた誘電体材料を含む誘電体層グリーンシートと、内部電極形成用導電ペーストと、を交互に積層することでセラミック積層体を得る工程と、
    前記セラミック積層体を焼成する工程と、を含むことを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
  6. 前記誘電体層グリーンシートの焼成によって得られる誘電体層の平均厚みを、0.5μm以下とすることを特徴とする請求項5記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
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