JP7068012B2 - 回転電機ステータの製造方法及び製造装置 - Google Patents

回転電機ステータの製造方法及び製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、回転電機ステータの製造方法及び製造装置に関する。
特許文献1には、複数のセグメントコイル(コイル線)を用いた回転電機ステータの製造方法が記載されている。この製造方法では、ステータコアの複数のスロットに複数のセグメントコイルを挿入し、セグメントコイルのうち、ステータコアの端面から突出する端部を、コイル捻り装置によって周方向に曲げ成形する。その後、ステータコアの半径方向に隣り合うセグメントコイルの端部を溶接することによりステータコイルが形成される。
また、セグメントコイルの端部を曲げ成形する際には、コイル捻り装置を構成する捻り円環の端面に形成した複数の穴であるコイル収容部に、ステータコアの軸方向端面から突出したセグメントコイルの端部を挿入し、捻り円環を回転させる。その後、捻り円環を軸方向においてステータコア側に移動させる。これにより、セグメントコイルの端部が周方向に曲げられる。また、曲げ成形後の状態で、セグメントコイルの端部に軸方向に伸びる直線部が形成されないので、ステータコアの軸方向端面の外側に配置されるコイルエンドの軸方向長さを小さくできる可能性がある。
特開2006-136082号公報
ところで、コイル線の曲げ工程を行う前に、ステータコアの軸方向端面から複数のコイル線の先端部が突出した状態で、複数のコイル線の長さばらつき、コイル線の組み付けばらつき等により、複数のコイル線の先端の軸方向位置にばらつきが生じる可能性がある。この場合に、特許文献1に記載された製造方法によりコイル線の先端部を周方向に曲げた場合には、曲げた後のコイル線の先端の周方向位置が所望位置からずれて、かつ、複数のコイル線で先端のばらつきが大きくなる可能性がある。これにより、ステータコアの半径方向に隣り合うコイル線で先端部がずれることで、その後に行う隣り合うコイル線の溶接が困難になる可能性がある。
本発明の回転電機ステータの製造方法及び製造装置の目的は、ステータコアの端面から突出したコイル線の先端部を周方向に曲げた状態で、コイル線の先端の周方向の位置決め精度を向上することにある。
本発明に係る回転電機ステータの製造方法は、環状のヨークから径方向に伸びる複数のティースを有するステータコアを含み、前記複数のティースにステータコイルが巻回された回転電機ステータの製造方法であって、前記ステータコイルを構成するU字状のコイル線であり、互いに平行な2つの脚部と、前記2つの脚部を連結する連結部とを有する前記コイル線の前記2つの脚部のそれぞれの先端部であり、隣り合う2つの前記ティースの間のスロットから突出する突出部が前記ステータコアの軸方向と平行に突出するように、前記2つの脚部を前記2つの脚部で異なる前記スロットにそれぞれ挿入する挿入工程と、前記2つの脚部としての第1脚部及び第2脚部のうち、前記第1脚部の前記突出部について、前記スロットから前記突出部が前記ステータコアの軸方向と平行に突出した状態から、前記突出部の根元側端部を曲げ起点として、前記突出部を前記ステータコアの周方向第1の方向に曲げる曲げ工程と、前記周方向第1の方向に曲げられた前記突出部について、先端を前記根元側である前記ステータコアの周方向第2の方向に押圧する押圧工程と、を含み、前記押圧工程は、前記突出部の前記根元の位置を基準として前記周方向第1の方向に所定量だけ離れた位置を最終押圧位置として、前記突出部の前記先端を前記周方向第2の方向に押圧し、前記曲げ工程及び前記押圧工程により前記突出部を塑性変形させる、回転電機ステータの製造方法である。
本発明の回転電機ステータの製造方法によれば、押圧工程において、第1脚部の突出部の根元位置を基準として周方向第1の方向に所定量だけ離れた位置を最終押圧位置として、突出部の先端を周方向第2の方向に押圧するので、複数の回転電機ステータを製造する際における同じ位置の突出部を考えた場合に、突出部のばらつきによる長さの違いに応じて根元側での変形量が異なるように曲げられる。具体的には、突出部が所定長さより長い場合に根元側で大きく曲げられ、突出部が所定長さより短い場合に根元側で小さく曲げられる。これにより、ステータコアの端面から突出したコイル線の先端部である突出部を周方向に曲げた状態で、コイル線の長さばらつきの影響を抑えて、コイル線の先端の周方向の位置決め精度を向上できる。また、曲げ工程の後に押圧工程を行うことにより、コイル線の突出部における根元側端部を曲げ起点とした周方向第1の方向への曲げ作業の開始と、突出部の先端の周方向第2の方向への押圧とを同時に行う場合と異なり、コイル線の突出部が先端部で根元側端部と逆方向に曲げられることを抑制できる。これにより、コイル線の先端部の形状精度を確保しやすい。これによっても、コイル線の先端の周方向の位置決め精度を向上できる。
本発明の回転電機ステータの製造方法において、好ましくは、前記押圧工程は、前記周方向第1の方向に曲げられた前記突出部について、前記先端を前記周方向第2の方向に押圧しながら、前記突出部を前記周方向第1の方向に曲げる。
この好ましい構成によれば、押圧工程が突出部を周方向第2の方向に押圧することだけを行う場合に比べて、コイル線の突出部の曲げ作業時間を短くできる。
本発明の回転電機ステータの製造方法において、好ましくは、前記曲げ工程は、前記ステータコアの前記突出部側に治具を配置し、前記突出部の先端部に前記治具を接触させるが、前記突出部の前記先端部の前記周方向第1の方向側の端には前記治具を接触させない状態で、前記治具を前記周方向第1の方向に移動させながら軸方向において前記ステータコアに向かって移動させることで前記突出部を前記周方向第1の方向に曲げ、前記押圧工程は、前記突出部の前記先端部の軸方向端と前記周方向第1の方向側の端とに前記治具を接触させた状態で、前記治具を前記周方向第1の方向に移動させながら軸方向において前記ステータコアに向かって移動させることで、前記治具により、前記突出部について、前記先端を前記周方向第2の方向に押圧しながら、前記突出部を前記周方向第1の方向に曲げる。
この好ましい構成によれば、同じ治具を用いて曲げ工程及び押圧工程を行うので、コイル線の変形作業をより連続的に行いやすい。
また、本発明に係る回転電機ステータの製造方法は、環状のヨークから径方向に伸びる複数のティースを有するステータコアを含み、前記複数のティースにステータコイルが巻回された回転電機ステータの製造方法であって、前記ステータコイルを構成するU字状のコイル線であり、互いに平行な2つの脚部と、前記2つの脚部を連結する連結部とを有する前記コイル線の前記2つの脚部のそれぞれの先端部であり、隣り合う2つの前記ティースの間のスロットから突出する突出部が前記ステータコアの軸方向と平行に突出するように、前記2つの脚部を前記2つの脚部で異なる前記スロットにそれぞれ挿入する挿入工程と、前記2つの脚部としての第1脚部及び第2脚部のうち、前記第1脚部の前記突出部について、前記スロットから前記突出部が前記ステータコアの軸方向と平行に突出した状態から、前記突出部の根元側端部を曲げ起点として、前記突出部の先端部における前記ステータコアの周方向第1の方向側の自由移動を許容した非拘束状態で前記突出部を前記周方向第1の方向に曲げる非拘束曲げ工程と、前記周方向第1の方向に曲げられた前記突出部について、前記非拘束状態で先端を軸方向における所定位置に移動させながら前記突出部を前記周方向第1の方向に連続的に曲げると仮定した場合に達する位置から前記ステータコアの周方向第2の方向に戻った位置に、前記先端が達するように、前記先端部を前記周方向第1の方向側で拘束した状態で前記先端を軸方向における前記所定位置に移動させながら前記突出部を前記周方向第1の方向に曲げる拘束曲げ工程と、を含む、回転電機ステータの製造方法である。
本発明の回転電機ステータの製造方法によれば、ステータコアの端面から突出したコイル線の先端部である突出部を周方向に曲げた状態で、コイル線の長さばらつきの影響を抑えて、コイル線の先端の周方向の位置決め精度を向上できる。また、非拘束曲げ工程の後に拘束曲げ工程を行うので、コイル線の先端部の形状精度を確保しやすい。
本発明の回転電機ステータの製造装置は、本発明の回転電機ステータの製造方法に用いる製造装置であって、前記第1脚部及び前記第2脚部のそれぞれの前記突出部が前記スロットから前記ステータコアの軸方向と平行に突出するように、前記第1脚部及び前記第2脚部が、前記第1脚部及び前記第2脚部で異なる前記スロットにそれぞれ挿入された状態で、前記ステータコアを保持する保持部と、前記第1脚部の前記突出部について、前記突出部が前記ステータコアの軸方向と平行に突出した状態から、前記突出部の根元側端部を曲げ起点として、前記突出部を前記周方向第1の方向に曲げる治具と、前記治具を移動させる治具駆動部と、前記治具駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記治具を、前記ステータコアに対して第1軌跡で相対移動させて前記ステータコアに近づけた後、第2軌跡で相対移動させ、前記第1軌跡での前記治具と前記ステータコアとの相対移動によって、前記第1脚部の前記突出部が、前記突出部の根元側端部を曲げ起点として前記周方向第1の方向に曲げられ、前記第2軌跡での前記治具と前記ステータコアとの相対移動によって、前記周方向第1の方向に曲げられた前記突出部について、前記先端が前記根元側である前記周方向第2の方向に前記最終押圧位置まで押圧されるように、前記治具駆動部を制御する、回転電機ステータの製造装置である。
本発明の回転電機ステータの製造装置によれば、第2軌跡での治具とステータコアとの相対移動において、最終押圧位置まで突出部の先端を周方向第2の方向に押圧するので、複数の回転電機ステータを製造する際における同じ位置の突出部を考えた場合に突出部のばらつきによる長さの違いに応じて根元側での変形量が異なるように曲げられる。これにより、ステータコアの端面から突出したコイル線の先端部である突出部を周方向に曲げた状態で、コイル線の長さばらつきの影響を抑えて、コイル線の先端の周方向の位置決め精度を向上できる。
本発明の回転電機ステータの製造装置において、好ましくは、前記制御部は、前記第2軌跡での前記治具と前記ステータコアとの相対移動によって、前記周方向第1の方向に曲げられた前記突出部について、前記先端が前記周方向第2の方向に押圧されながら、前記突出部が前記周方向第1の方向に曲げられるように、前記治具駆動部を制御する。
この好ましい構成によれば、第2軌跡での治具とステータコアとの相対移動によって、コイル線の突出部を周方向第2の方向に押圧するだけの場合に比べて、コイル線の突出部の曲げ作業時間を短くできる。
本発明の回転電機ステータの製造装置において、好ましくは、前記治具は、前記ステータコアの中心軸の延長線上に位置する軸を中心に回転可能なリング部であって、前記ステータコア側端から突出する複数の爪部を含む前記リング部を備え、前記爪部は、前記周方向第1の方向側に形成され、前記ステータコア側に突出する凸曲面である第1面と、前記周方向第2の方向側に形成された第2面であって、周方向に対し直交する平面または前記周方向第1の方向側に窪んだ凹曲面である前記第2面とを有し、前記制御部は、前記第1脚部の前記突出部について、前記リング部における前記爪部の前記第1面を前記突出部の側面に接触させた状態で、前記リング部を、軸方向において前記ステータコア側に移動させながら前記周方向第1の方向に移動させた後に、前記爪部の前記第2面を前記突出部の前記周方向第1の方向側の端に接触させた状態で、前記突出部の前記先端が前記根元に近づくように、軸方向において前記ステータコア側に移動させながら前記周方向第1の方向に移動させるように、前記治具駆動部を制御する。
この好ましい構成によれば、爪部の第1面にコイル線の突出部を接触させた状態で突出部を周方向に曲げる作業と、爪部の第2面で突出部の先端部を拘束した状態で先端を根元側に押圧しながら周方向に曲げる作業とを連続的に行いやすくなる。
本発明に係る回転電機ステータの製造方法及び製造装置によれば、ステータコアの端面から突出したコイル線の先端部を周方向に曲げた状態で、コイル線の先端の周方向の位置決め精度を向上できる。
本発明の実施形態の製造方法により製造される回転電機ステータの周方向一部を示す斜視図である。 ステータコアの一部を省略した斜視図である。 ステータコアに挿入する前のコイル線を示す図である。 実施形態の回転電機ステータの製造方法を示すフローチャートである。 コイル線挿入工程において、ステータコアにコイル線を挿入した状態を示す図である。 曲げ工程の直前状態において、コイル線が挿入されたステータコアと曲げ加工用の治具とを対向させた状態を示す図である。 曲げ加工用の治具を下から見た状態で一部を省略して周方向一部を示す斜視図である。 図5AのA部拡大図である。 曲げ加工用の治具を構成するリング部の周方向一部において、周方向を横方向に伸ばして示す断面図である。 実施形態において、曲げ工程と押圧工程とにおける治具のリング部及びコイル線の突出部が移動する状態を示す図である。 図7のB部における押圧工程でのリング部及びコイル線の突出部が移動する状態を拡大して示す図である。 曲げ工程及び押圧工程における治具の爪部先端の移動軌跡を示す図である。 溶接工程において隣り合うコイル線を溶接固定装置に固定した後、溶接する状態を示している断面図である。 ステータコアの軸方向端面から複数のコイル線が突出した場合において、複数のコイル線の先端のばらつきがある状態を示す図である。 実施形態の製造方法によりコイル線が曲げられた場合において、複数のコイル線の先端の間隔を示す図(a)と、(a)のC部拡大図(b)と、(a)のD部拡大図(c)である。 比較例の回転電機ステータの製造方法により、コイル線が曲げられる場合における治具及びコイル線の突出部が移動する状態を示す図である。 比較例の製造方法によりコイル線が曲げられた場合において、複数のコイル線の先端の間隔を示す図である。 本発明の実施形態の別例の爪部とコイル線とを示している図6に対応する図である。 本発明の実施形態の別例の爪部とコイル線とを示している図6に対応する図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。以下で説明する形状、材料、及び個数は、説明のための例示であって、回転電機ステータの仕様に応じて適宜変更することができる。以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。また、本文中の説明においては、必要に応じてそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
また、以下の図面及び実施形態の説明で、Rは、回転電機ステータ及びステータコアの径方向を示し、θは、回転電機ステータ及びステータコアの周方向を示し、Zは、回転電機ステータ及びステータコアの軸方向を示す。R、Z、及びθの接線方向は、互いに直交する。ここで、図1、図2Aに示す軸方向Zは、実際にはステータコア12の中心軸の延長線上に位置する軸O1(図2A)に沿う方向である。
図1は、実施形態の製造方法により製造される回転電機ステータ10の周方向一部を示す斜視図である。以下では、回転電機ステータ10はステータ10と記載する。図1に示すように、ステータ10は、ステータコア12と、ステータコイル20とを備える。
図2Aは、ステータコア12の一部を省略した斜視図である。ステータコア12は、環状の磁性体部品であり、例えば、複数の珪素鋼鈑(電磁鋼鈑)を軸方向Zに積層することにより構成される。ステータコアは、樹脂バインダと磁性材粉末を加圧成形することにより構成されてもよい。
ステータコア12は、環状で外周側に配置されるヨーク13と、ヨーク13の内周面から径方向Rに伸びる複数のティース14とを有する。複数のティース14は、周方向θに互いに間隔をおいて配置される。隣り合う2つのティース14の間には溝であるスロット15が形成される。
図1に戻って、ステータコイル20は、螺旋状に延在するU,V,Wの3相のコイル21,22,23を備える。U,V,Wの3相のコイル21,22,23のそれぞれは、スロット15に挿通されながら、複数のティース14を跨ぐように複数のティース14に巻回される。
U,V,Wの3相のコイル21,22,23のそれぞれは、複数のセグメントコイル21a、22a、23aを直列に接続して形成される。各セグメントコイル21a、22a、23aは、複数の略U字状のコイル線25(図2B)を曲げた後、溶接して形成される。
図2Bは、ステータコア12(図2A)に挿入する前のコイル線25を示す図である。コイル線25は、互いに平行な2つの直線状の脚部としての第1脚部26a及び第2脚部26bと、第1及び第2脚部26a、26bの第1方向側端を連結し、山形に形成される連結部28とを有する。各脚部26a、26bの先端面は、断面が山形に湾曲した曲面状に形成される。コイル線25は、断面矩形の平角線である導体素線29の長さ方向中間部を絶縁皮膜30で覆い、その導体素線29の両端部を絶縁皮膜30から露出させることにより形成される。
各セグメントコイル21a、22a、23a(図1)を形成する際には、径方向R(図1)に並んだ複数のコイル線25が複数のティース14の軸方向Z第1の方向側端面(図1の下端面)を跨いで、複数のスロット15を挟むように配置された2つのスロット15に複数のコイル線25を挿入する。このとき、ステータコア12の軸方向Z第2の方向側端面(図1の上端面)から、コイル線25の2つの脚部のそれぞれの先端部である突出部を突出させる。そして、複数のコイル線25の突出部が周方向に曲げ加工された後、複数のコイル線がつながって螺旋を形成するように、径方向Rに重なったコイル線25の突出部の先端部を、レーザ溶接等により溶接する。このとき、コイル線25では、導体素線29の露出した部分が溶接される。これにより、各セグメントコイル21a、22a、23aは、複数のティース14に跨るように複数のティース14に巻回される。また、U,V,W相のコイル21,22,23のそれぞれは、複数のセグメントコイル21a、22a、23aの端部が連結されることにより円環状に形成される。
さらに、各相のコイル21,22,23において、第1の方向側端に配置されるコイル線の突出部が、ステータコア12の径方向外側に伸びて接続端部31となり、この接続端部31に電源側の動力線が電気的に接続される。図1では、U相コイル21及びV相コイル22を、互いに逆方向の斜線で示し、W相コイル23を、複数の上下方向線で示している。各相のコイル21,22,23において、第2の方向側端に配置されるコイル線の突出部が、ステータコア12の外周側で中性点バスバー34により接続される。これにより、複数のティース14に分布巻きでステータコイル20が巻回される。このとき、ステータコア12の軸方向第2の方向側端面(図1の上端面)から突出したコイル線25の突出部の先端部には、軸方向に平行な直線部が形成されない。これにより、ステータコイル20のうち、ステータコア12の軸方向第2の方向側端面の外側に配置されるコイルエンド20aの軸方向長さを小さくできる。
回転電機(図示せず)を製造する際には、ステータ10の内周側にロータ(図示せず)を、径方向Rの隙間をあけて配置する。
回転電機は、モータ及びジェネレータの機能の両方を有するように構成できるが、モータ及びジェネレータの機能の一方だけを有するようにしてもよい。
次に、上記のステータ10を製造するための実施形態のステータの製造方法を詳しく説明する。図3は、実施形態のステータの製造方法を示すフローチャートである。まず、この製造方法は、ステップS10として、コイル線挿入工程を行う。
図4Aは、コイル線挿入工程において、ステータコア12にコイル線25を挿入した状態を示す図である。コイル線挿入工程は、ステータコイルを構成する複数のU字状のコイル線25のそれぞれにおける2つの脚部26a、26bのそれぞれの先端部である突出部27が、ステータコア12の軸方向Z第2の方向側端面(図4Aの上端面)から突出するように、2つの脚部26a、26bを、2つの脚部で異なるスロット15(図2A)にそれぞれ図4Aの矢印α方向に挿入する。この状態で、各コイル線25における2つの脚部26a、26bのそれぞれの突出部27は、ステータコア12の軸方向Zと平行に、スロット15から突出する。図4Aでは、ステータコア12に挿入するコイル線25の数を、図1の場合より少なくして示している。
さらに、コイル線挿入工程では、1つのセグメントコイルを形成する複数、例えば6個のU字状のコイル線25が径方向Rに並んだ状態で、2つのスロット15(図1、図2A)に挿入される。
次に、図3に示すステップS12の曲げ工程と、ステップS14の押圧工程とを順に行う。曲げ工程及び押圧工程では、ステータ製造装置を構成する曲げ加工用装置40(図4B)が用いられる。図4Bは、曲げ工程の直前状態において、コイル線25が挿入されたステータコア12と曲げ加工用の治具41とを対向させた状態を示す図である。
曲げ加工用装置40は、ステータコア12を保持する保持部60と、治具41と、治具駆動部62と、制御部63とを含んで構成される。保持部60は、複数のコイル線25のそれぞれで第1及び第2脚部26a、26bが第1及び第2脚部26a、26bで異なるスロット15(図2A)にそれぞれ挿入された状態で、ステータコア12の下端部を掴んで保持する。この状態で、複数のコイル線25のそれぞれで第1及び第2脚部26a、26bのそれぞれの突出部27が、ステータコア12の軸方向第2の方向側端面(図4Bの上端面)から突出する。このとき、複数のコイル線25のそれぞれで第1及び第2脚部26a、26bのそれぞれの突出部27は、第1及び第2脚部26a、26bで異なるスロット15からステータコア12の軸方向Zと平行に突出する。保持部60は、例えば、ステータコア12の径方向外側の複数位置に配置され、径方向に伸びる複数の腕部をステータコア12の外周面に突き当てることで、この外周面を掴む構成としてもよい。
治具41は、複数のコイル線25の突出部27をステータコア12の周方向に曲げる曲げ加工用の治具である。例えば、治具41は、スロット15(図2A)から2つの脚部26a、26bのうち、第1脚部26aの突出部27がステータコア12の軸方向と平行に突出した状態から、その突出部27を、図2Aに示すステータコア12の周方向第1の方向に曲げる。図5Aは、治具41を下から見た状態で一部を省略して周方向一部を示す斜視図である。図5Bは、図5AのA部拡大図である。図6は、治具41を構成するリング部42の周方向一部において、周方向を横方向に伸ばして示す断面図である。
治具41は、保持部60により保持されたステータコア12の上側に配置され、後述の治具駆動部62を介して固定部材64の下側に支持される。治具41は、ステータコア12の中心軸の延長線上に位置する軸O1を中心に配置され円筒部を有する支持部49と、支持部49の内側に支持された複数のリング部42~47(図5A)及び複数のセパレータ48(図5A、図5B)とを含んで構成される。複数のリング部42~47は、互いに直径が異なる円筒状であり、中心軸を一致させて径方向に並ぶように配置される。複数のセパレータ48は、互いに直径が異なる円筒状であり、径方向に隣り合うリング部42~47の間に配置される。リング部42~47の径方向の厚みは、セパレータ48の径方向の厚みより大きい。例えば、リング部42~47及びセパレータ48は、それぞれ6個設けられる。リング部42~47及びセパレータ48は、ステータコア12の中心軸O1(図4B)の延長線上に位置する軸を中心に配置される。
リング部42~47のそれぞれのステータコア12側端である下端の周方向等間隔の複数位置には、複数の爪部50が突出する。セパレータ48のステータコア12側端は、リング部42~47の爪部50が突出するステータコア12側端よりも下側に突出する。これにより、径方向に隣り合うリング部42~47の爪部50の間にはセパレータ48が配置される。
各リング部42~47は、そのリング部42~47の径方向内側に隣接するセパレータ48と一体となって、後述する治具駆動部62によって、軸方向及び回転方向に移動される。
治具駆動部62は、治具41の上側に配置される。治具駆動部62は、リング部42~47及びセパレータ48を軸方向及び回転方向に移動させる。このために、治具駆動部62は、図示を省略するが、回転移動用の2つの第1モータと、軸方向移動用の2つの第2モータと、第1、及び第2モータの動力をリング部42~47に伝達する動力伝達部と、動力伝達切換部とを含んでいる。例えば、2つの第1モータの回転軸の動力が、動力伝達部を介して、径方向に並んだ2つのリング部に伝達され2つのリング部が互いに逆方向に回転される。一方、2つの第2モータの回転軸の動力も、動力伝達部を介して、径方向に並んだ上記の2つのリング部に伝達され、2つのリング部が軸方向に独立して移動される。
動力伝達切換部は、2つの第2モータ及び2つの第1モータの動力を伝達する2つのリング部を、他の隣り合う2つのリング部に切り換え可能に構成される。さらに、制御部63は、治具駆動部62の各モータ及び動力伝達切換部等を制御する。制御部63は、演算処理部であるCPUと、RAM、ROM等の記憶部とを有する。CPUは、記憶部に予め記憶されたプログラムを読み出して実行する機能を有する。演算処理部は、プログラムを実行することによって機能を実現することができるものであればよい。これにより、例えば、治具41が6個のリング部42~47を含む場合に、最外周部に位置する2つのリング部42,43が軸方向の同方向及び回転方向の逆方向に移動し、次に、径方向中間の2つのリング部44,45が軸方向の同方向及び回転方向の逆方向に移動する。最後に、最内周部に位置する2つのリング部46,47が軸方向の同方向及び回転方向の逆方向に移動する。
上記の曲げ加工用装置40によって、複数のリング部42~47の下側に対向する複数のコイル線25の突出部27が、2つの円周上に位置し径方向Rに隣り合う2層の突出部27毎に、順に曲げ加工される。なお、動力伝達切換部を省略して、径方向に1つ置きに位置する複数のリング部を、2つの第1モータのうち、1つの第1モータ及び2つの第2モータのうち、1つの第2モータにより動力伝達部を介して、同時に軸方向及び回転方向に移動させることもできる。その後、残りの複数のリング部を、2つの第1モータの残りの第1モータ及び2つの第2モータの残りの第2モータにより動力伝達部を介して、同時に軸方向及び回転方向に移動させる。以下、複数のリング部42~47を、最外周から最内周に向かって順に、第1リング部42、第2リング部43、第3リング部44、第4リング部45、第5リング部46、第6リング部47と記載する。第1、第3、及び第5リング部42,44,46は、直径と周方向長さが異なる以外は同一の構成を有する。第2、第4、及び第6リング部43,45,47も、直径と周方向長さが異なる以外は同一の構成を有する。第1、第3、及び第5リング部42,44,46と、第2、第4、及び第6リング部43,45,47とで、爪部50の向く方向は逆になっている。第1、第3、及び第5リング部42,44,46は、複数のコイル線25の第1脚部26a及び第2脚部26bのうち、第1脚部26aの突出部27を曲げ加工及び押圧加工により塑性変形させるために用いる。第2、第4、及び第6リング部43,45,47は、複数のコイル線25の第1脚部26a及び第2脚部26bのうち、第2脚部26bの突出部27を曲げ加工及び押圧加工により塑性変形させるために用いる。以下、基本的に、第1脚部26aに曲げ加工及び押圧加工を行うための最外周の第1リング部42の構成について説明する。
図5B、図6に示すように、第1リング部42の爪部50は、治具41の周方向第1の方向側に形成された第1面51と、治具41の周方向第2の方向側に形成された第2面52とを有する。周方向第2の方向は、周方向第1の方向と逆方向である。図4Bに示したように、治具41と、コイル線25が挿入されたステータコア12とを、ステータコアの中心軸の延長線上に治具の軸O1が位置するように対向させた状態とする。この状態で、治具の周方向第1の方向及びステータコアの周方向第1の方向は一致し、治具の周方向第2の方向及びステータコアの周方向第2の方向も一致する。図5B、図6に示すように、第1面51は、断面円弧形でステータコア12側に突出する凸曲面である。第2面52は、治具41の周方向に対し直交する平面である。第1面51と第2面52とは、第1リング部42の下端で連続する。
図7は、実施形態において、曲げ工程と押圧工程とにおける治具41のリング部42及びコイル線25の第1脚部26aの突出部27が移動する状態を示す図である。図8は、図7のB部における押圧工程での第1リング部42及び第1脚部26aの突出部27が移動する状態を拡大して示す図である。図4Bに示した制御部63が治具駆動部62を制御することにより、制御部63は、曲げ工程に対応して、図7の(1)~(3)に示すように、治具41の第1リング部42における爪部50の第1面51を、コイル線25の第1脚部26aの突出部27における先端部の側面に接触させる。そしてこの状態で、制御部63は、第1リング部42を、軸方向においてステータコア側に移動させながら、周方向第1の方向に移動させる。これにより、突出部27は、第1脚部の突出部27について、スロットから突出部27がステータコアの軸方向と平行に突出した状態から、突出部27の根元側端部G1(図7)を曲げ起点として周方向第1の方向に曲げられる。このとき、突出部27の根元27aは、ステータコアの軸方向第2の方向側端(図1、図2Aの上端)でのスロット15の出口に位置する。また、突出部27の根元27aは、突出部27において、第1脚部26aが隣り合うティース14の軸方向第2の方向側端面(図1、図2Aの上端面)におけるスロット15側の端に対応する位置にある。例えば、突出部27は、ティース14の軸方向第2の方向側端面におけるスロット15側の端に押し付けられて、突出部27の根元側端部G1を曲げ起点として周方向第1の方向に曲げられる。
その後、制御部63は、治具駆動部62を制御することにより、図7の(3)の後で第1リング部42の軸方向位置である高さ位置(図7の上下方向位置)を一定に維持した状態で、第1リング部42を周方向第1の方向に移動させる。そして、第1リング部42を、再度、軸方向においてステータコア側に移動させながら、周方向第1の方向に移動させる。これによって、図7(4)、図8(4)に示すように、第1脚部26aの突出部27における先端部の周方向第1の方向側の端に、爪部50の第2面52を接触させるとともに、突出部27の先端部の上端に第1リング部42の下端を接触させる。この状態で、突出部27の先端が突出部の根元27aに近づくように、軸方向においてステータコア側に第1リング部42を移動させながら第1リング部42を周方向第1の方向に移動させる。これにより、図7(4)に示す押圧工程の初期時の後、突出部27が先端から周方向第2の方向側に押されて、初期時に比べて、図7(6)に示す押圧工程の終了時で、突出部27の根元側端部での曲げ角度が急激に小さくなる。このため、図7(4)に示す押圧工程の初期時における突出部27の先端と根元27aとの距離L1に比べて、図7(6)に示す押圧工程の終了時における突出部27の先端と根元27aとの距離L2が小さくなる。
図9Aは、曲げ工程及び押圧工程における治具41の爪部50の先端P(図6)の移動軌跡を示す図である。この移動軌跡から爪部50の全体及び第1リング部42の下端面の軌跡を推定できる。図9Aでは、横軸により、基準位置に対する第1リング部42の爪部50の先端Pの周方向第1の方向側への位相を、基準位置からの周方向長さ(mm)で示している。また、図9Aでは、縦軸により、基準位置に対する第1リング部42の爪部50の先端Pの高さ(mm)を示している。
上記のように制御部63(図4B)が治具駆動部62(図4B)を制御するときに、制御部63は、治具41を、ステータコア12に対して第1軌跡で相対移動させてステータコアに近づけた後、第2軌跡で相対移動させるように、治具駆動部62を制御する。このとき、治具41は、上記の曲げ工程に対応して、第1リング部42の爪部50の先端P(図6)が、ステータコアに対して図9Aに太い実線β1で示す曲線状の第1軌跡で相対移動して、ステータコアに近づく。この第1軌跡での治具41とステータコアとの相対移動によって、後述するように、第1脚部26aの突出部27が、突出部27の根元側端部を曲げ起点として、ステータコア12の周方向第1の方向に曲げられる。このとき、曲げ工程は、後述の非拘束曲げ工程となる。
さらに、治具41は、押圧工程に対応して、第1リング部42の爪部50の先端P(図6)が、ステータコアに対して図9Aに太い実線β2で示す曲線状の第2軌跡で相対移動して、ステータコアに近づくように、制御部63により制御される。この第2軌跡での治具41とステータコアとの相対移動によって、周方向第1の方向に曲げられたコイル線25の突出部27について、突出部27の先端が根元側であるステータコア12の周方向第2の方向(図7の矢印α方向)に、図7(6)、図8(6)の第2面52の周方向位置である後述の最終押圧位置まで押圧される。また、第2軌跡での治具41とステータコアとの相対移動によって、周方向第1の方向に曲げられたコイル線25の突出部27について、突出部27の先端が根元側であるステータコア12の周方向第2の方向に押圧されながら、突出部27がステータコア12の周方向第1の方向に曲げられる。このとき、押圧工程は、後述の拘束曲げ工程となる。図9Aに示す第1軌跡及び第2軌跡のそれぞれでの爪部先端の高さ位置は、爪部先端の位相を変数とした関数で表される。
図9Aでは、第1軌跡と第2軌跡との間に、細い実線β3で示す直線状の中間軌跡が設定される。中間軌跡では、爪部50の先端が、高さ位置が一定で、周方向第1の方向に移動する。この中間軌跡は、曲げ工程の終了時に、爪部50の先端Pが、突出部27の先端部を押圧することなく、周方向第1の方向に移動するときの軌跡である。この中間軌跡によって、爪部50の先端Pの周方向位置が、突出部27の周方向第1の方向側端に対して、周方向第2の方向側から周方向第1の方向側に切り替わる。このような切り替えは、図7(3)で爪部50が高さ位置を一定として左側に移動した場合に対応する。この中間軌跡で爪部50が移動するときには、曲げ工程も押圧工程も行われない。
さらに、図9Aでは、比較例として、一点鎖線γにより、突出部27を非拘束状態で連続的に周方向第1の方向に曲げると仮定した場合における爪部50の先端の軌跡である非拘束軌跡も示している。「非拘束状態」は、コイル線25の突出部27の先端部における周方向第1の方向側への自由移動を許容した状態である。図9Aに示すように、実施形態の爪部50の軌跡である第2軌跡β2の終了位置T1は、非拘束軌跡γの終了位置T2より周方向第2の方向に戻っている。
曲げ工程及び押圧工程は、上記の曲げ加工用装置40(図4B)を用いて行われ、曲げ工程の後に押圧工程が行われる。まず、曲げ工程では、図4Bに示すように、ステータコア12の軸方向第2の方向側端面(図4Bの上端面)から複数のコイル線25の突出部27をステータコアの軸方向と平行に上に向くように突出させた状態で、保持部60によりステータコア12を保持する。そして、コイル線25の突出部27側であるステータコア12の上側に、治具41を配置する。
そして、図7(1)~(3)に示すように、突出部27の先端部に第1リング部42の爪部50の第1面51を接触させる。一方、突出部27の先端部の周方向第1の方向側端には第1リング部42を接触させない。この状態で、第1リング部42を周方向第1の方向に移動させながら軸方向においてステータコア12に向かって移動させることで、突出部27を周方向第1の方向に曲げる。このとき、爪部50の先端P位置をステータコア12に対して第1軌跡β1(図9A)で相対的に移動させる。これにより、曲げ工程では、コイル線25の第1及び第2脚部26a、26b(図2B)のうち、第1脚部26aの突出部27が、突出部27の根元側端部を曲げ起点として、周方向第1の方向に曲げられる。このとき、図7(1)~(3)に示すように、爪部50の突出部27に対する接触位置は、爪部50の第1面51の根元付近から先端付近に徐々に移動する。一方、ステータコア12の軸方向第2の方向側端面から突出する複数の突出部27のうち、第1リング部42で曲げられる最外周の複数の突出部27は、隣り合うセグメントコイルを連結するために、コイル線25の第1及び第2脚部26a、26bの両方が周方向第1の方向に曲げられるものもある。このような曲げ工程は、コイル線25の突出部27の先端部における周方向第1の方向側への自由移動を許容した非拘束状態で、突出部27を周方向第1の方向に曲げる非拘束曲げ工程になる。
次に、押圧工程では、図7(4)(6)、図8(4)~(6)に示すように、突出部27の先端部の周方向第1の方向側端に第1リング部42の爪部50の第2面52を接触させるとともに、突出部27の先端部の軸方向端に第1リング部42の下端面を接触させる。そして、この状態で、第1リング部42を周方向第1の方向に移動させながら軸方向においてステータコア12に向かって移動させることで、突出部27について、第1リング部42の爪部50により先端をステータコアの周方向第2の方向に押圧しながら、第1リング部42の下端面により突出部27をステータコアの周方向第1の方向に曲げる。このとき、図7(6)、図8(6)の爪部50の第2面52の周方向位置は、最外周の複数のコイル線25における第1脚部26aの突出部27について、突出部27の根元の位置を基準として周方向第1の方向に同じ所定量L3(図7)だけ離れた位置である最終押圧位置である。押圧工程は、この位置を最終押圧位置として、突出部27の先端を周方向第2の方向に押圧する。また、複数の突出部27について、突出部27の根元位置から同じ所定量L3だけ離れた位置を最終押圧位置として押圧することは、複数の突出部27で共通の治具である第1リング部42の周方向等間隔の複数位置に配置された爪部50で複数の突出部27を周方向第2の方向に押圧することで実現される。このような曲げ工程は、突出部27の先端部における周方向第1の方向側への自由移動を制限した拘束状態で、突出部27を周方向第1の方向に曲げる拘束曲げ工程になる。上記の曲げ工程及び押圧工程により突出部27を塑性変形させる。このとき、爪部50の先端P位置をステータコア12に対して第2軌跡β2(図9A)で相対的に移動させる。この場合に、爪部50の先端Pが第2軌跡β2で移動し始めてから第2軌跡β2の途中に達した時点(例えば爪部50先端が図9Aの点Cに位置する時点)から、突出部27が第1リング部42の下側面により押されるようにしてもよい。そして、その後で突出部27の周方向第1の方向側端が爪部50の第2面52により押されるようにしてもよい。これにより、押圧工程では、周方向第1の方向に曲げられた突出部27について、先端を根元側である周方向第2の方向に押圧されながら、突出部27が周方向第1の方向に曲げられる。上記の曲げ工程及び押圧工程により、後述のように、コイル線の長さばらつきの影響を抑えて、コイル線の先端の周方向の位置決め精度の向上を図れる。
上記では、第1リング部42により複数の突出部27のうち、最外周に位置する複数の第1脚部26aの突出部27を曲げ加工する場合を説明したが、第2~第6リング部43~47により、残りの突出部を曲げ加工する場合も同様である。このとき、第3及び第5リング部44,46は、第1リング部42と同様に、周方向第1の方向に移動しながら軸方向においてステータコア側に移動する。これにより、最外周以外の第1脚部26aの突出部が最外周の第1脚部26aと同様に曲げ加工及び押圧加工される。一方、第2、第4、及び第6リング部43,45,47は、第1リング部42と周方向の逆方向である周方向第2の方向に移動しながら、軸方向においてステータコア側に移動する。これにより、曲げ工程では、第2、第4、及び第6リング部43,45,47により複数の第2脚部26bの突出部27が、周方向第2の方向に曲げ加工される。さらに、押圧工程では、周方向第2の方向に曲げられた突出部27について、先端が根元側である周方向第1の方向に押圧されながら、突出部27が周方向第2の方向に曲げられる。
押圧工程の終了後では、図3のステップS16で示すように、溶接工程が行われる。このとき、複数のコイル線25の各突出部27から治具41が離れた後で、径方向に隣り合う突出部27の先端部が溶接固定装置70(図9B)で挟んだ状態で固定される。上記のように曲げ加工及び押圧加工により突出部27を塑性変形させるので、上記のように突出部27から治具41が離れた後でもコイル線の先端の周方向の位置決め精度の向上を図れる。
図9Bは、溶接工程において隣り合うコイル線25を溶接固定装置70に固定した後、溶接する状態を示している断面図である。溶接固定装置70は、コイル線25の径方向Rの位置決めを行うための2つの押さえ治具71を有する。2つの押さえ治具71の先端部には、ステータコア側(図9Bの下側)に突出する治具突部72が形成される。径方向Rに隣り合う2つの突出部27は、2つの押さえ治具71の治具突部72によって、径方向Rの両側から挟まれて互いに接触した状態で固定される。この状態で、径方向Rに隣り合う2つの突出部27の接触部には、上方からレーザ溶接機74によりエネルギービームが照射され、2つの突出部27の先端部が溶接される。なお、溶接工程は、レーザ溶接を行う場合に限定せず、他の溶接を行うこともできる。その後、中性点バスバー34(図1)が、対応する突出部27の端部に溶接される等によって、ステータ10(図1)が形成される。
上記の実施形態のステータの製造方法によれば、曲げ工程の後の押圧工程を含み、その押圧工程が、周方向第1の方向に曲げられたコイル線25の突出部27について、先端を根元側である周方向第2の方向に押圧する。さらに、上記のステータ10の製造装置によれば、治具41がステータコア12に対して第1軌跡β1(図9A)で相対移動した後、第2軌跡β2(図9A)で相対移動する。第1軌跡β1での相対移動によってコイル線25の突出部27が周方向第1の方向に曲げられ、第2軌跡β2での相対移動によって突出部27について、先端が周方向第2の方向に押圧される。また、押圧工程、または第2軌跡β2での治具41とステータコア12との相対移動において、第1脚部26aの突出部27の根元位置を基準として周方向第1の方向に所定量L3(図7)だけ離れた位置を最終押圧位置として、突出部27の先端を周方向第2の方向に押圧する。これにより、複数のステータ10を製造する際における同じ位置の突出部27を考えた場合に、突出部27のばらつきによる長さの違いに応じて根元側での変形量が異なるように曲げられる。具体的には、突出部27が所定長さより長い場合に根元側で大きく曲げられ、突出部27が所定長さより短い場合に根元側で小さく曲げられる。このため、ステータコア12の端面から突出したコイル線25の突出部27を周方向に曲げた状態で、コイル線の長さばらつきの影響を抑えて、コイル線25の先端の周方向の位置決め精度を向上できる。
また、曲げ工程の後に押圧工程を行うことにより、コイル線の突出部における根元側端部を曲げ起点とした周方向第1の方向への曲げ作業の開始と、突出部の先端の周方向第2の方向への押圧とを同時に行う場合と異なり、コイル線25の突出部27が先端部で根元側端部と逆方向に曲げられることを抑制できる。これにより、コイル線25の先端部の形状精度を確保しやすい。したがって、これによってもステータコア12の端面から突出したコイル線25の突出部27を周方向に曲げた状態で、コイル線25の先端の周方向の位置決め精度を向上できる。
さらに、実施形態のステータの製造方法では、押圧工程が、周方向第1の方向に曲げられた突出部27について、先端を周方向第2の方向に押圧しながら、突出部27を周方向第1の方向に曲げる。これにより、押圧工程が、コイル線の突出部を周方向第2の方向に押圧することだけを行う場合に比べて、コイル線の突出部の曲げ作業時間を短くできる。
また、実施形態のステータの製造装置では、第2軌跡β2(図9A)での治具41とステータコア12との相対移動によって、周方向第1の方向に曲げられた突出部27について、先端が周方向第2の方向に押圧されながら、突出部27が周方向第1の方向に曲げられる。これにより、第2軌跡での相対移動によってコイル線の突出部を周方向第2の方向に押圧するだけの場合に比べて、コイル線25の突出部27の曲げ作業時間を短くできる。
図10は、ステータコア12の軸方向端面から複数のコイル線25が突出した場合において、複数のコイル線25の先端のばらつきがある状態を示す図である。図10では、複数のコイル線25の突出部27のうち、最外周に位置し、治具41(図5B)の第1リング部42(図5B)で曲げ加工される第1脚部26aの複数の突出部27を示している。図10に示すように、複数のコイル線25の長さばらつき、コイル線25のステータコア12に対する組み付けばらつき等により、複数のコイル線25の先端の軸方向位置に、ばらつきが生じる場合がある。図10では、複数のコイル線25の先端の軸方向位置が最大で長さW異なっている。
図11(a)は、実施形態の製造方法によりコイル線25の第1脚部26aが曲げられた場合において、複数のコイル線25の先端の間隔を示す図である。図11(b)は、図11(a)のC部拡大図であり、図11(c)は、図11(a)のD部拡大図である。実施形態の製造方法でコイル線25の第1脚部26aの突出部27に押圧工程を行った場合には、突出部27の先端が周方向第2の方向に押圧されながら、突出部27が周方向第1の方向に曲げられる。これにより、上記の図10に示したようにコイル線25の先端のばらつきが生じている場合に、実施形態の製造方法で突出部27に押圧工程を行うことで、突出部27の長さが大きいもので根元側での変形量が大きくなる。例えば、図11(c)に示すように、突出部27が根元側で大きく曲がるように塑性変形され、根元側の曲げ部の曲率半径が小さくなる。
一方、突出部27の長さが小さいものでは、根元側での変形量が小さくなる。例えば、図11(b)に示すように、突出部27の根元側での変形量が小さくなり、根元側の曲げ部の曲率半径が大きくなる。このように押圧工程により、複数の突出部27が、長さの違いに応じて変形量が異なるように曲げられるので、ステータコア12の周方向等間隔の複数位置にコイル線25の先端を配置しやすくなる。これにより、コイル線25の長さばらつきの影響を抑えて、コイル線25の先端の周方向位置決め精度を向上できる。このため、図11(a)に示すように、コイル線25の先端の周方向位置の間隔E1,E2,E3をほぼ均等にできる。
さらに実施形態のステータの製造方法では、曲げ工程は、ステータコア12の軸方向他端面から突出した突出部27側に治具41を配置する。そして、最外周の突出部27の先端部に治具41の第1リング部42を接触させる。一方、その先端部の周方向第1の方向側端には第1リング部42を接触させない状態で、第1リング部42を周方向第1の方向に移動させながら軸方向においてステータコアに向かって移動させて、突出部27を周方向第1の方向に曲げる。また、押圧工程は、突出部27の先端部の軸方向端と周方向第1の方向側端とに第1リング部42を接触させた状態で、第1リング部42を周方向第1の方向に移動させながら軸方向においてステータコア12に向かって移動させる。これにより、第1リング部42により、突出部27について、先端を周方向第2の方向に押圧しながら、突出部27を周方向第1の方向に曲げる。このため、同じ第1リング部42を用いて曲げ工程及び押圧工程を行うので、コイル線25の変形作業をより連続的に行いやすい。
さらに、制御部63は、第1脚部26aの突出部27について、第1リング部42における爪部50の第1面51を突出部27の側面に接触させた状態で、第1リング部42を、軸方向においてステータコア側に移動させながら周方向第1の方向に移動させるように治具駆動部62を制御する。その後、制御部63は、爪部50の第2面52を突出部27の周方向第1の方向側端に接触させた状態で、突出部27の先端が根元に近づくように、第1リング部42を、軸方向においてステータコア側に移動させながら周方向第1の方向に移動させるように制御する。これにより、爪部50の第1面51に突出部27を接触させた状態で突出部27を周方向に曲げる作業と、爪部50の第2面52で突出部27の先端部を拘束した状態で先端を根元側に押圧しながら周方向に曲げる作業とを連続的に行いやすくなる。
なお、上記の実施形態において、上記の拘束曲げ工程は、次のようにして行ってもよい。まず、曲げ工程で周方向に曲げられた突出部27について、図8(4)~(6)に二点鎖線で示すように、非拘束状態で突出部27の先端を軸方向における所定位置Dに移動させながら突出部27を周方向第1の方向に連続的に曲げることを仮定する。そして、この場合に突出部27の先端が達する位置を、仮想先端位置Q1と設定する。そして、その仮想先端位置Q1から、周方向第2の方向に第2所定距離d2戻った位置Q2に、突出部27の先端が達するように、突出部27の先端部を周方向第1の方向側で拘束した状態で、先端を軸方向における所定位置Dに移動させながら突出部27を周方向第1の方向に曲げる。
このような構成によっても、上記の実施形態と同様に、ステータコアの端面から突出した突出部27を周方向に曲げた状態で、コイル線の長さばらつきの影響を抑えて、コイル線の先端の周方向の位置決め精度を向上できる。また、コイル線の先端部の形状精度を確保しやすい。
なお、図9Aでは、曲げ工程及び押圧工程における爪部50の先端位置の軌跡の別例として、二点鎖線δの「押圧後曲げ軌跡」及び破線ηの「曲げ後押圧軌跡」も示している。二点鎖線δの押圧後曲げ軌跡を用いる別例では、第2軌跡β2を用いる場合と同様に、太い実線β1で示す第1軌跡、及び細い実線β3で示す中間軌跡で、ステータコアに対し治具41のリング部の爪部50を相対移動させる。その後、二点鎖線δの押圧後曲げ軌跡で、ステータコアに対し爪部50を相対移動させる。この場合、中間軌跡の終了位置S1から押圧後曲げ軌跡δ上の位置S2に向かって爪部50の先端が、周方向第2の方向で軸方向におけるステータコア側に略直線状に移動する。これにより、爪部50の第2面52によってコイル線25の突出部27が先端から周方向第2の方向に大きく押されながら、突出部27がステータコア側に曲げられる。このとき、突出部27について、先端を周方向第2の方向に押圧しながら、突出部27を周方向第1の方向に曲げる「押圧工程」が行われる。
その後、押圧後曲げ軌跡δ上の位置S2から終了位置T1に向かって爪部50の先端が移動することにより、リング部の爪部50とは異なる位置の下端面によって、コイル線25の突出部27が周方向第1の方向に曲げられる「第2の曲げ工程」が行われる。押圧後曲げ軌跡δの終了位置T1は、第2軌跡の終了位置T1であるので、第2軌跡β2を用いる構成と同様に、突出部27が先端から根元側に向かって押圧された状態となる。このような押圧後曲げ軌跡δを用いる構成でも、第2軌跡β2を用いる構成と同様に、コイル線25の先端の周方向の位置決め精度を向上できる。
一方、図9Aに破線ηで示す曲げ後押圧軌跡を用いる別例でも、太い実線β1で示す第1軌跡、及び細い実線β3で示す中間軌跡で、ステータコアに対し治具41のリング部の爪部50を相対移動させる。その後、破線ηの曲げ後押圧軌跡で、ステータコアに対し爪部50を相対移動させる。この場合、中間軌跡の終了位置S1から曲げ後押圧軌跡η上の位置S3に向かって爪部50の先端が、周方向第1の方向で軸方向におけるステータコア側に略直線状に移動する。これにより、リング部の爪部50とは異なる位置の下端面によって、コイル線25の突出部27が周方向第1の方向に曲げられる「第2の曲げ工程」が行われる。曲げ後押圧軌跡η上の位置S3は、第2軌跡β2の終了位置T1と高さ位置が同じで、かつ、この終了位置T1より周方向第1の方向に移動した位置にある。さらに、爪部50の先端が位置S3から高さ位置を一定に維持した状態で、終了位置T1に移動することで、押圧工程が行われる。この押圧工程では、コイル線25の突出部27について、先端が周方向第2の方向に押圧されるが、基本的には、突出部27は周方向第1の方向に曲げられない。このような曲げ後押圧軌跡ηを用いる構成でも、コイル線25の先端の周方向の位置決め精度を向上できる。
図12は、比較例のステータの製造方法により、コイル線25が曲げられる場合における治具41及びコイル線25の突出部27が移動する状態を示す図である。図13は、比較例の製造方法によりコイル線25が曲げられた場合において、複数のコイル線25の先端の間隔を示す図である。
図12に示す比較例の製造方法では、図4B~図6に示した治具41の第1リング部42を用いて、曲げ工程のみによって、コイル線25の突出部27を周方向第1の方向に連続的に曲げる。このとき、第1リング部42の爪部50の第1面51に、コイル線25の突出部27の先端部を接触させた状態で、突出部27を周方向第1の方向に徐々に曲げる。このような曲げ工程では、突出部27は、先端から周方向第2の方向に押圧されず、突出部27の先端部における周方向第1の方向側の自由移動が許容された非拘束状態となっている。
このような比較例の製造方法で、図10に示すようにコイル線25の先端位置にばらつきがあるもので、突出部27を曲げ加工した場合には、単に突出部27が周方向第1の方向に曲げられるだけである。これにより、図13に示すように、突出部27の先端の位置決め精度が低下して、複数の突出部27の間隔E1a、E2a、E3a、E4aが不均一になりやすい。
図14、図15は、実施形態の別例の爪部50a、50bとコイル線25とを示している図6に対応する図である。図14、図15に示す2つの別例では、爪部50a、50bは、治具41の周方向第1の方向側に形成された凸曲面である第1面51と、治具41の周方向第2の方向側に形成され、周方向第1の方向側に窪んだ凹曲面である第2面52a、52bとを有する。押圧工程では、爪部50a、50bの第2面52a、52bをコイル線25の突出部27の周方向端に接触させる。そして、この状態で、突出部27の先端が根元に近づくように、第1リング部42が軸方向においてステータコア側(図14、図15の下側)に移動しながら周方向第1の方向に移動することで、突出部27が周方向第1の方向に曲げられる。
図14に示す別例では、爪部50aの先端部が周方向第2の方向に向けて尖っており、その先端部が突出部27の周方向端に突き当たっている。図15に示す別例では、爪部50bの先端部が丸まっており、第2面52bの断面円弧形の凹部の内面に、突出部27の断面円弧形の先端部が突き当たっている。このとき、突出部27の先端部と凹部との断面形状はほぼ合致している。図14、図15に示す別例において、その他の構成及び作用は、図1から図11を用いて説明した実施形態と同様である。
なお、上記では、治具が備えるリング部が複数の爪部を有する場合を説明したが、これに限定するものではなく、例えば、治具が、ステータコア側の端面の周方向複数位置から径方向に伸びる薄板状の壁部が突出した回転部材を備える構成としてもよい。この場合には、例えば押圧工程で、爪部の代わりに、壁部が、コイル線の突出部を周方向第2の方向に押圧しながら、回転部材が軸方向及び周方向第1の方向に移動することで、コイル線の突出部を周方向第1の方向に曲げる。
また、ステータコアにおいて、コイル線の先端部である突出部が突出する軸方向第2の方向側端面には、リング状で樹脂製のステータカフサが配置されてもよい。ステータカフサは、ステータの複数のティースに対応する周方向複数位置に柱部が配置され、複数の柱部の径方向内端及び径方向外端がそれぞれ内周側リングと外周側リングとで連結される。コイル線の突出部は、ティースの軸方向他端面におけるスロット側の端に対応する位置として、柱部の周方向端に接触する突出部の根元側端部を曲げ起点として周方向に曲げられる。
また、上記の実施形態では、曲げ工程及び押圧工程において、治具のリング部が周方向及び軸方向に移動する場合を説明した。一方、治具を固定した状態で、ステータコアを保持した保持部を周方向及び軸方向に移動させることで、曲げ工程で、治具をステータコアに対して第1軌跡で相対移動させ、押圧工程で、治具を第2軌跡で相対移動させる構成としてもよい。このとき、コイル線の突出部をリング部に接触させた状態で、ステータコアを回転させるが、コイル線はステータコアの回転方向に応じた一方向にしか曲げられない。このため、曲げ工程及び押圧工程では、治具が備える複数のリング部のうち、径方向に1つ置きの複数のリング部を残りのリング部よりステータコア側に突出させた状態とする。そして、保持部を一方向に回転させながら移動させることで、突出させたリング部によりコイル線の複数の突出部のうち、1つ置きの円周上に位置する複数の突出部を曲げ加工する。その後、治具の残りの1つ置きの複数のリング部を他のリング部よりステータコア側に突出させ、保持部を逆方向に回転させながら、同様に繰り返すことで、すべての突出部を曲げ加工する。
また、上記では、ステータコアに分布巻きでステータコイルを巻回した場合を説明したが、ステータコアに集中巻きでステータコイルを巻回した構成とすることもできる。この場合、挿入工程では、U字状のコイル線が1つのティースの軸方向第1の方向側端面を跨ぎステータコアの軸方向第2の方向側端面から2つの脚部の突出部が突出するように、1つのティースの両側に位置する2つのスロットにコイル線が挿入される。
10 回転電機ステータ、12 ステータコア、13 ヨーク、14 ティース、15 スロット、20 ステータコイル、20a コイルエンド、21,22,23 コイル、21a,22a,23a セグメントコイル、25 コイル線、26a 第1脚部、26b 第2脚部、27 突出部、27a 根元、28 連結部、29 導体素線、30 絶縁皮膜、31 接続端部、34 中性点バスバー、40 曲げ加工用装置、41 治具、42 リング部(第1リング部)、43 リング部(第2リング部)、44 リング部(第3リング部)、45 リング部(第4リング部)、46 リング部(第5リング部)、47 リング部(第6リング部)、48 セパレータ、49 支持部、50,50a,50b 爪部、51 第1面、52,52a,52b 第2面、60 保持部、62 治具駆動部、63 制御部、64 固定部材、70 溶接固定装置、71 押さえ治具、72 治具突部、74 レーザ溶接機。

Claims (4)

  1. 環状のヨークから径方向に伸びる複数のティースを有するステータコアを含み、前記複数のティースにステータコイルが巻回された回転電機ステータの製造方法であって、
    前記ステータコイルを構成するU字状のコイル線であり、互いに平行な2つの脚部と、前記2つの脚部を連結する連結部とを有する前記コイル線の前記2つの脚部のそれぞれの先端部であり、隣り合う2つの前記ティースの間のスロットから突出する突出部が前記ステータコアの軸方向と平行に突出するように、前記2つの脚部を前記2つの脚部で異なる前記スロットにそれぞれ挿入する挿入工程と、
    前記2つの脚部としての第1脚部及び第2脚部のうち、前記第1脚部の前記突出部について、前記スロットから前記突出部が前記ステータコアの軸方向と平行に突出した状態から、前記突出部の根元側端部を曲げ起点として、前記突出部を前記ステータコアの周方向第1の方向に曲げる曲げ工程と、
    前記周方向第1の方向に曲げられた前記突出部について、先端を前記根元側である前記ステータコアの周方向第2の方向に押圧する押圧工程と、を含み、
    前記押圧工程は、前記突出部の前記根元の位置を基準として前記周方向第1の方向に所定量だけ離れた位置を最終押圧位置として、前記突出部の前記先端を前記周方向第2の方向に押圧し、
    前記曲げ工程及び前記押圧工程により前記突出部を塑性変形させ
    前記押圧工程は、前記周方向第1の方向に曲げられた前記突出部について、前記先端を前記周方向第2の方向に押圧しながら、前記突出部を前記周方向第1の方向に曲げる、
    回転電機ステータの製造方法。
  2. 請求項1に記載の回転電機ステータの製造方法において、
    前記曲げ工程は、前記ステータコアの前記突出部側に治具を配置し、前記突出部の先端部に前記治具を接触させるが、前記突出部の前記先端部の前記周方向第1の方向側の端には前記治具を接触させない状態で、前記治具を前記周方向第1の方向に移動させながら軸方向において前記ステータコアに向かって移動させることで前記突出部を前記周方向第1の方向に曲げ、
    前記押圧工程は、前記突出部の前記先端部の軸方向端と前記周方向第1の方向側の端とに前記治具を接触させた状態で、前記治具を前記周方向第1の方向に移動させながら軸方向において前記ステータコアに向かって移動させることで、前記治具により、前記突出部について、前記先端を前記周方向第2の方向に押圧しながら、前記突出部を前記周方向第1の方向に曲げる、
    回転電機ステータの製造方法。
  3. 請求項1に記載の回転電機ステータの製造方法に用いる製造装置であって、
    前記第1脚部及び前記第2脚部のそれぞれの前記突出部が前記スロットから前記ステータコアの軸方向と平行に突出するように、前記第1脚部及び前記第2脚部が、前記第1脚部及び前記第2脚部で異なる前記スロットにそれぞれ挿入された状態で、前記ステータコアを保持する保持部と、
    前記第1脚部の前記突出部について、前記突出部が前記ステータコアの軸方向と平行に突出した状態から、前記突出部の根元側端部を曲げ起点として、前記突出部を前記周方向第1の方向に曲げる治具と、
    前記治具を移動させる治具駆動部と、
    前記治具駆動部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記治具を、前記ステータコアに対して第1軌跡で相対移動させて前記ステータコアに近づけた後、第2軌跡で相対移動させ、
    前記第1軌跡での前記治具と前記ステータコアとの相対移動によって、前記第1脚部の前記突出部が、前記突出部の根元側端部を曲げ起点として前記周方向第1の方向に曲げられ、
    前記第2軌跡での前記治具と前記ステータコアとの相対移動によって、前記周方向第1の方向に曲げられた前記突出部について、前記先端が前記根元側である前記周方向第2の方向に前記最終押圧位置まで押圧されるように、前記治具駆動部を制御し、
    かつ、
    前記制御部は、前記第2軌跡での前記治具と前記ステータコアとの相対移動によって、前記周方向第1の方向に曲げられた前記突出部について、前記先端が前記周方向第2の方向に押圧されながら、前記突出部が前記周方向第1の方向に曲げられるように、前記治具駆動部を制御する、
    回転電機ステータの製造装置。
  4. 請求項3に記載の回転電機ステータの製造装置において、
    前記治具は、前記ステータコアの中心軸の延長線上に位置する軸を中心に回転可能なリング部であって、前記ステータコア側端から突出する複数の爪部を含む前記リング部を備え、
    前記爪部は、前記周方向第1の方向側に形成され、前記ステータコア側に突出する凸曲面である第1面と、前記周方向第2の方向側に形成された第2面であって、周方向に対し直交する平面または前記周方向第1の方向側に窪んだ凹曲面である前記第2面とを有し、
    前記制御部は、前記第1脚部の前記突出部について、前記リング部における前記爪部の前記第1面を前記突出部の側面に接触させた状態で、前記リング部を、軸方向において前記ステータコア側に移動させながら前記周方向第1の方向に移動させた後に、前記爪部の前記第2面を前記突出部の前記周方向第1の方向側の端に接触させた状態で、前記突出部の前記先端が前記根元に近づくように、軸方向において前記ステータコア側に移動させながら前記周方向第1の方向に移動させるように、前記治具駆動部を制御する、
    回転電機ステータの製造装置。
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