JP7067886B2 - 磁気センサ - Google Patents
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Description
磁気センサの薄型化に関し、例えば、特許文献1では、パッケージをアイランドレス構造(ホール素子を載置するためのアイランド部を省いた構造)にすることが提案されている。
この発明の課題は、ホール素子のオフセット電圧変動が抑制できる磁気センサを提供することである。
なお、以下の説明で使用する図において、図示されている各部の寸法関係は、実際の寸法関係と異なる場合がある。
図1および図2に示すように、この実施形態の磁気センサ100は、ホール素子10と、四個(複数)のリード端子21~24と、四本(複数)の金属細線31~34と、絶縁層40と、合成樹脂製の封止部50と、外装メッキ層60とを有する。磁気センサ100は、ホール素子10を載置するためのアイランド部を有さない。つまり、磁気センサ100はアイランドレス構造を有する。
図1(a)に示すように、磁気センサ100は直方体の外観形状を有する。この直方体の内部に、ホール素子10と、リード端子21~24と、金属細線31~34と、絶縁層40が配置されている。封止部50をなす合成樹脂は、これらの部品と直方体をなす六個の面との間を埋めるとともに、六個の面を形成している。つまり、封止部50は、ホール素子10の基板側を下側とした時に最上面となる第一面51と、最下面となる第二面52と、二対の側面53,54を有する。図1(b)において、封止部50は、第二面52のみが表示されている。
図2および図3に示すように、ホール素子10は、基板11と、基板11上に形成された半導体薄膜で構成される活性層(磁気感受部)12と、活性層12と電気的に接続された四個(複数)の電極13a~13dとを有する。なお、図2に示すホール素子10の断面は、図3のA-A断面に相当する。
基板11は、例えば、半絶縁性のガリウムヒ素(GaAs)基板である。また、基板11としては、シリコン(Si)基板などの半導体基板や、フェライト基板などの磁気を収束する効果のある基板を用いることもできる。
図3に示すように、活性層12の平面形状は正方形であり、四個の電極13a~13dの平面形状は、活性層12をなす正方形の四分の一より少し小さい正方形である。電極13a~13dは、活性層12をなす正方形が四等分された各領域にそれぞれ配置されている。
第二金属膜132は、絶縁膜14を介して活性層12上および第一金属膜131上に形成されている。絶縁膜14は、第一金属膜131上に開口部14aを有し、開口部14a内の金属を介して第一金属膜131と第二金属膜132が接続されている。このようにして、四個の電極13a~13dが活性層12と電気的に接続されている。
ホール素子10の厚さtは、例えば100μm以下である。
リード端子21~24は、磁気センサ100と外部との電気的接続を得るための端子である。図1(b)に示すように、リード端子21~24は、平面視でホール素子10の周囲に配置されている。
図1(a)~(d)に示すように、リード端子21~24は、上面(第一面51側の面)21a~24aと、内側面21b~24bと、封止部50の側面53と同一面となる外側面21c~24cと、封止部50の側面54と同一面となる外側面21d~24dと、封止部50の第二面52と同一面となる下面21e~24eと、切欠き部21f~24fを有する。切欠き部21f~24fは、リード端子21~24の下半分が欠けている形状の部分であり、封止部50の側面54側に存在する。
図1(b)に示すように、金属細線31~34は、ホール素子10が有する電極13a~13dと、リード端子21~24とを、それぞれ電気的に接続している。具体的には、金属細線31がリード端子21と電極13aとを接続し、金属細線32がリード端子22と電極13bとを接続し、金属細線33がリード端子23と電極13cとを接続し、金属細線34がリード端子24と電極13dとを接続している。
金属細線31~34は、例えば、金、銀、または銅で形成されている。
絶縁層40は、ホール素子10の基板11の裏面(第二面52側の面)全体に接触状態で配置されている。つまり、絶縁層40により基板11の裏面全体が覆われている。絶縁層40の裏面40aは封止部50の第二面52と同一面内にある。つまり、絶縁層40の裏面40aが第二面52から露出する面である。
絶縁層40は、例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化型樹脂にフィラーを含む材料で形成されている。絶縁層40がフィラー入りの合成樹脂材料で形成されている場合、絶縁層40がホール素子10の裏面を覆っている部分の厚さは、フィラーの寸法で決まる。この厚さは例えば2μm以上とするが、ホール素子10の保護の観点から10μm以上30μm以下とすることが好ましい。フィラーの材質としては、シリ力(SiO2)やアルミナ(Al2O3)等のセラミックスが好ましい。
なお、「フィラーの寸法」とは、球状のフィラーの場合は球の直径であり、球体が破砕された形状を有するフィラーの場合は、元の球体の径方向で最も大きい部分の寸法であり、繊維状のフィラーの場合は繊維断面の長径である。
図1(c)および図2に示すように、封止部50は、ホール素子10の基板とは反対側の面10aと側面10b、絶縁層40の側面40b、電極13a~13d、リード端子21~24の上面(第一面51側の面)21a~24aと内側面(ホール素子10の側面10bと対向する面)21b~24bと切欠き部21f~24f、および金属細線31~34を覆っている。
リード端子21~24の外側面21c~24cは、封止部50の側面53と同一面にある。リード端子21~24の外側面21d~24dは、封止部50の側面54と同一面にある。リード端子21~24の下面21e~24eは、封止部50の第二面52と同一面にある。
また、第一面51の算術平均粗さ(Ra)は1μm以上20μm以下である。ここで、算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601-1994規格に準じて測定された算術平均粗さRaである。なお、距離Dは、厳密には、凹凸状の第一面51で凹部の底面のうちの一番低い位置と、活性層12の上面12Aとの距離である。
封止部50をなす合成樹脂としては、磁気センサ100をリフローハンダ付けする時の高熱に耐えられる樹脂を用いる。使用可能な樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、テフロン(登録商標)が挙げられる。封止部50は、1種類の合成樹脂で形成されていてもよいし、2種類以上の合成樹脂で形成されていてもよい。
外装メッキ層60は、封止部50の第二面52と同一面にあるリード端子21~24の下面(裏面)21e~24eに形成されている。外装めっき層60は、例えば、スズ(Sn)で形成されている。
この実施形態の磁気センサ100を用いて磁気(磁界)を検出する場合には、例えば、リード端子21を電源電位(+)に接続すると共に、リード端子22を接地電位(GND)に接続して、リード端子21からリード端子22に電流を流す。そして、リード端子23,24間の電位差V1-V2(=ホール出力電圧VH)を測定する。また、測定されたホール出力電圧VHの大きさから磁界の大きさを検出し、ホール出力電圧VHの正負から磁界の向きを検出する。
この実施形態の磁気センサ100は、封止部50の第一面51の算術平均粗さ(Ra)が1μm以上20μm以下である。また、封止部50をなす合成樹脂が球状のフィラー58を含み、含まれるフィラー58の直径の最大値は50μmである。これにより、従来品(第一面51のRaが1μm未満かつ20μmを超え、封止部50に含まれる球状フィラーの直径の最大値が50μmを超える磁気センサ)と比較して、封止部50の光透過率を低くできる。
以上のことから、この実施形態の磁気センサ100によれば、従来品と比較して、ホール素子10のオフセット電圧の変動を小さくすることができる。
以上のことから、この実施形態の磁気センサ100によれば、より高いホール素子10のオフセット電圧の変動抑制効果を得ることができる。
また、フィラー58の含有率が高いほど封止部50の光透過率を低くできるため、封止部50をなす合成樹脂中のフィラー58の含有率は70体積%以上99体積%以下とすることがより好ましい。
しかしながら、封止部50の第一面51の算術平均粗さ(Ra)が大きすぎると、封止部50の成形性が低下する場合がある。例えば、表面に凹凸を設けた金型を用いたモールド成形にて封止部50を形成する場合、凹凸が大きすぎると金型の凹部に樹脂が入り込まず、封止部50の成形性が低下する場合がある。このため、封止部50の第一面51の算術平均粗さ(Ra)は、2μm以上20μm以下であることがより好ましく、2μm以上15μm以下であることがさらに好ましい。
図4および図5を用いて、実施形態の磁気センサ100の製造方法を説明する。
先ず、図4(a)に示すリードフレーム120を用意する。リードフレーム120は、リード部121~124を有する。リード部121~123は、平面視で隣り合う磁気センサ100の二個または四個のリード端子を含む形状を有する。リード部124は、磁気センサ100の一つのリード端子を含む形状を有する。図5に示すように、リードフレーム120は、リード部121~124の各リード端子の切欠き部21f~24fに対応する位置に、切欠き部120fを有する。
なお、リード部122とリード部124をリードフレーム120の外縁に沿って接続する接続部と、各リード部121~124をダイシングラインLに沿って接続する接続部は図示されていない。
なお、ホール素子配置領域に絶縁ペーストを塗布し、その上に絶縁層40が形成されていないホール素子10を配置して絶縁ペーストを硬化させることで、絶縁層40を形成してもよい。その場合は、完成後の磁気センサ100において、ホール素子10の裏面の一部が封止部50から露出することがないように、絶縁ペーストの塗布条件(例えば、塗布する範囲、塗布する厚さ等)を調整する。
次に、図4(d)の状態の接合体81を金型内に入れて、接合体81の上面側に封止部50を形成する。具体的には、先ず、図5(a)に示すように、下型91と上型92を備え、上型92の下面92aの算術平均粗さ(Ra)が1μm以上20μm以下に加工された金型90を用意する。
次に、図5(a)の状態の上型92と下型91との空間に溶融樹脂を流し込んだ後に、上型92を下降させて溶融樹脂に圧縮力を加えることにより、上型92の下面と下型91の上面との間隔を図2の距離Dの設定値に合わせる。その後、冷却することで、封止部50を形成する。図5(b)はこの状態を示す。
次に、封止部50の第二面52と同一面にあるリードフレーム120の面に、外装めっきを施す。これにより、リード端子21~24の下面(裏面)21e~24eに外装めっき層60が形成され、複数の磁気センサ100が結合された結合体1001が得られる。図5(d)はこの状態を示す。
この実施形態の製造方法によれば、封止部50の第一面51の算術平均粗さ(Ra)を1μm以上20μm以下にすることが容易に行える。
実施形態の製法では、封止部50の第一面51の算術平均粗さ(Ra)を1μm以上20μm以下にするために、上型92の下面92aの表面粗さが上記範囲に加工された金型90を用いて樹脂を成形する方法で、封止部50を形成しているが、他の方法を採用してもよい。
例えば、通常の金型を用い、成形後に封止部50の第一面51を加工する方法でも、封止部50の第一面51の算術平均粗さ(Ra)を1μm以上20μm以下にすることができる。この加工方法としては、研磨紙や砥石で物理的に研磨する方法や、スラリー(微細シリカ、微細プラスチック等の研磨剤と水等の液体を混合したもの)を高速噴射する方法(液体ホーニング方法)が挙げられる。
実施形態の磁気センサ100は封止部50を有するが、封止部50が無く、ホール素子10の基板11とは反対側の面10aの上方は空間であり、この空間と外部を区画する天井板を有する磁気センサも、この発明の一態様に含まれる。この場合、天井板の外面(ホール素子とは反対側の面)が磁気センサの第一面に相当し、天井板の外面と活性層の上面12Aとの距離が100μm以下であり、天井板の外面の算術平均粗さ(Ra)が1μm以上20μm以下である。
この発明の一態様の磁気センサにおいて、第一面と活性層の第一面側の面との距離は、1μm以上100μm以下であることが好ましい。
<実施例1>
実施形態の磁気センサ100の一例を実施形態に記載された方法で作製した。
リードフレーム120は、Cu板の全面にNi-Pd-Auめっき層を施した板を、各リード部121~124となる部分を含む形状に加工することにより作製した。耐熱性フィルム80としてはポリイミドフィルムを用いた。
絶縁層40の厚さは10μmとした。厚さtが90μmで基板11がGaAs基板であるホール素子10を用いた。金属細線31~34としてはAu線を用いた。封止部50用の合成樹脂としては、日立化成(株)製の「CEL9221」を用いた。この樹脂は、球体のフィラーを87体積%以上99体積%以下含有する。また、含有するフィラーの最大直径は20μmである。
得られた磁気センサ100の封止部50の第一面51の算術平均粗さ(Ra)(JIS B0601-1994規格に準じて測定された算術平均粗さRa)を、キーエンス製の形状測定顕微鏡「VK-9510」を用いて測定した。算術平均粗さ(Ra)は、封止部50の第一面51の中央部の縦200μm×横200μmの範囲で測定した。得られた磁気センサ100の封止部50の第一面51の算術平均粗さ(Ra)は、2.31μmであった。
厚さtが120μmで基板11がGaAs基板であるホール素子10を用いた。封止部用の合成樹脂としては、フィラーの最大直径が55μmである点以外は実施例1で用いたものと同じものを用いた。封止部の形成は、下型と対向する下面の算術平均粗さ(Ra)が1μm未満の上型を用い、磁気センサの厚さTが230μmとなるように設定して行った。これにより、距離Dは100μmに設定される。これら以外の点は実施例1と同じ方法で磁気センサを作製した。
得られた磁気センサの封止部の第一面の算術平均粗さ(Ra)を、実施例1と同じ方法で測定したところ、0.69μmであった。
実施例1および比較例1の磁気センサに、白色LED(SEIWA製:SDPW32J0C0000)からの光と、ハロゲンランプ(岩崎電気製:JCR12V50W20H)の光を照射して、光励起によるオフセット電圧(Vu)の変動が生じるかどうかを確認した。各ランプとも、照射条件は、照度60000lux、照射時間30秒である。
その結果、比較例1では両ランプでVu変動が認められたが、実施例1では両ランプで変動Vuが認められなかった。
実施例1の磁気センサ100では、封止部50の第一面51の表面粗さが粗いことで、封止部50の第一面51側から磁気センサ100に入射しようとする光の多くが、第一面51で散乱された。これにより、外部から封止部50内に入る光が少なくなった。また、封止部50に含まれるフィラー58の最大直径が20μmと小さいことで、封止部50内に入った光の多くがフィラー58で散乱された。その結果、ホール素子10の活性層12に外部の光が到達することが阻害された。
10 ホール素子
10a ホール素子の基板とは反対側の面
10b ホール素子の側面
11 基板
12 活性層
12A 活性層の上面(第一面側の面)
13a~13d 電極
21~24 リード端子
21a~24a リード端子の上面
21b~24b リード端子の内側面
21c~24c リード端子の外側面
21d~24d リード端子の外側面
21e~24e リード端子の下面
31~34 金属細線
40 絶縁層
50 封止部
51 第一面
52 第二面
60 外装メッキ層
Claims (7)
- 基板および前記基板上に形成された活性層を有するホール素子と、
前記基板側を下側とした時に最上面となる第一面と、
前記基板側を下側とした時に最下面となる第二面と、
を備え、
前記ホール素子の前記基板とは反対側の面を覆う封止部を備え、前記封止部は前記第一面を有し、
前記封止部は、合成樹脂を含む材料で形成され、
前記合成樹脂はフィラーを含有し、
前記フィラーの寸法は1μm以上50μm以下であり、
前記フィラーは球状であり、
前記第一面と前記活性層の前記第一面側の面との距離が85μm以下であり、前記第一面の算術平均粗さ(Ra)が1μm以上20μm以下である磁気センサ。 - 前記ホール素子は、前記活性層の前記第一面側に形成されて前記活性層と電気的に接続された複数の電極を備える請求項1記載の磁気センサ。
- 前記活性層は半導体薄膜で構成され、
平面視で前記ホール素子の周囲に配置された複数のリード端子と、
前記ホール素子の前記複数の電極と前記複数のリード端子とを、それぞれ電気的に接続する複数の金属細線と、
を備え、
前記ホール素子の側面、前記リード端子の前記第一面側の面と前記側面と対向する面、および前記複数の金属細線が、前記封止部で覆われている請求項2記載の磁気センサ。 - 前記ホール素子の厚さは100μm以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の磁気センサ。
- 前記第一面と前記第二面との距離が200μm以下である請求項1~4のいずれか一項
に記載の磁気センサ。 - 前記基板の前記第二面側の面が絶縁層で覆われている請求項1~5のいずれか一項に記載の磁気センサ。
- 前記絶縁層は、前記第二面から露出する面を有する請求項6記載の磁気センサ。
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