以下、本発明のコンテナクレーンおよびコンテナクレーンによる荷役方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
図中のX方向は、作業場8に対して待機場12が隣接する一方向と交差する方向を示し、以下に例示する実施形態では、コンテナクレーン1の主桁4の延在方向(長手方向)に対応している。Y方向は、作業場8に対して待機場12が隣接する一方向を示しており、X方向と直交する主桁4の幅方向に対応している。Z方向は、上下方向(鉛直方向)を示している。以下の説明では、X方向におけるコンテナ船70が停泊する海側(図1の紙面右側)を海側といい、運搬機80が停車する陸地G側(図1の紙面左側)を陸側という。また、図1の紙面奥側(図2における上側)をY方向奥側といい、図1の紙面手前側(図2における下側)をY方向手前側という。
図1に例示するように、本発明に係る実施形態のコンテナクレーン1は、岸壁に停泊するコンテナ船70と陸地Gに停車する運搬機80(シャーシ等)との間でコンテナ50の荷役を行う岸壁クレーン(橋形クレーンやガントリークレーンともいう)である。
コンテナクレーン1は、脚構造体2と、脚構造体2の上部に支持された主桁4と、脚構造体2の主桁4と陸地Gとの中途位置に支持された中間桁5と、コンテナ50の荷役を行う荷役装置(船用荷役装置6および運搬機用荷役装置7)と、を有している。コンテナクレーン1は、さらに、コンテナ50の底部の隅のそれぞれに設けられた複数の係合部51に対する連結金具60の着脱作業が行われる作業場8と、複数の作業者Hが待機可能な待機場12とを有している。
脚構造体2は、Z方向に延在する複数の脚を有して構成されている。それぞれの脚の下端部には、走行装置3が設けられている。コンテナクレーン1はこれらの複数の走行装置3により、陸地GのY方向に延在して敷設されたレールに沿ってY方向に移動できる。
主桁4は、X方向に延在し脚構造体2から海側に張り出している。この実施形態の主桁4は、脚構造体2の上部に支持されて陸地G上に延在するガーダ4aと、ガーダ4aの海側に連結され脚構造体2から海側に張り出したブーム4bとから構成されている。中間桁5は、X方向に延在し脚構造体2から陸側に張り出している。
船用荷役装置6は、主桁4(ガーダ4aおよびブーム4b)に沿ってX方向に移動して、コンテナ船70に対してコンテナ50の荷役を行う。船用荷役装置6は、主桁4に沿ってX方向に移動するトロリ6aと、トロリ6aから繰り出されたワイヤロープに吊り下げられたコンテナ用の吊具6b(スプレッダ)とを有して構成されている。
運搬機用荷役装置7は、陸上の運搬機80に対してコンテナ50の荷役を行う。運搬機用荷役装置7は、中間桁5の陸側に設けられている。運搬機用荷役装置7は、トロリ7aと、トロリ7aから繰り出されたワイヤロープに吊り下げられたコンテナ用の吊具7bとを有して構成されている。この実施形態では、トロリ7aが、中間桁5の上部に敷設されたレールに沿ってX方向に移動可能な構成になっている。
この実施形態の作業場8は、中間桁5に設けられたレールに沿って作業場8をX方向に走行させる走行機構9を備えており、作業場8が中間桁5に沿ってX方向に移動して、船用荷役装置6と運搬機用荷役装置7との間におけるコンテナ50の中継荷役を行う。
このコンテナクレーン1では、作業場8のY方向の両端部のうちの少なくとも一方の外側に待機場12が隣接可能に設けられる。この実施形態では、脚構造体2を構成する陸側脚にY方向に離間して2カ所の待機場12が設置されている。作業場8と待機場12は、X方向に相対移動可能な構成になっていて、作業場8が中間桁5に沿ってX方向に移動して、待機場12と待機場12との間に作業場8が位置すると、作業場8のY方向の両端部の外側(Y方向手前側とY方向奥側)にそれぞれ待機場12が隣接した状態になる。
それぞれの待機場12は、船用荷役装置6および運搬機用荷役装置7がコンテナ50の荷役を行うときのコンテナ50の経路から外れた位置に配置されている。さらに、それぞれの待機場12には、作業者Hの頭上を保護する屋根部12aが設けられている。脚構造体2および中間桁5には、作業者Hが待機場12に乗り降りするための付帯設備(階段や通路、エレベータ等)が設けられている。
図2に示すように、作業場8は、荷役装置(船用荷役装置6、運搬機用荷役装置7)によりコンテナ50が載置される台座10と、作業者Hによって連結金具60の着脱作業が行われる一対の作業通路11と、作業者Hを誘導する誘導手段20とを備えている。
台座10は、作業場8の中央に長手方向がY方向となる向きで設置されている。コンテナ50の荷積みや荷卸しを行う過程で、船用荷役装置6または運搬機用荷役装置7によって台座10に、コンテナ50の長手方向(長さ方向)がY方向となる向きで、40フィートのコンテナ50が1台、または、20フィートのコンテナ50が1台、または、20フィートのコンテナ50が2台載置される。船用荷役装置6または運搬機用荷役装置7が20フィートのコンテナ50を2台同時に荷役する場合には、図2に示すように、2台のコンテナ50がコンテナ50の長手方向に隣り合った状態で台座10に載置される。
台座10は、コンテナ50が載置されると、コンテナ50の係合部51が台座10に支持されずに外部に露出し、係合部51に対して連結金具60の着脱が行なえる構造になっている。この実施形態の台座10の幅寸法は、コンテナ50の幅寸法よりも小さく、台座10がコンテナ50の係合部51よりも内側を支持する構成になっている。台座10の形状は他にも例えば、コンテナ50が載置されるときの係合部51に対応する位置にそれぞれ内側に窪んでなる凹部が設けられた形状にすることもできる。
一対の作業通路11は、作業場8のY方向の両端部の間に渡って延在し、台座10を挟んで対向している。それぞれの作業通路11は、台座10の上に載置されたコンテナ50の底部の隅のうちのX方向(Y方向に交差する方向)の片側の隅に設けられたすべての係合部51に対する連結金具60の着脱作業が可能に構成されている。つまり、海側の作業通路11は、作業者Hが台座10に載置されるコンテナ50の海側のすべての係合部51に対して連結金具60の着脱作業を行える道筋になっていて、陸側の作業通路11は、作業者Hがコンテナ50の陸側のすべての係合部51に対して連結金具60の着脱作業を行える道筋になっている。
図2に示すように、一対の作業通路11はそれぞれ、台座10のX方向の側部に沿って、Y方向に直線状に延在した構成にすることが好ましいが、それぞれの作業通路11がコンテナ50の片側のすべての係合部51に対して連結金具60の着脱作業を行える道筋であれば、直線状に限らず、例えば、途中で蛇行する道筋にすることもできる。
台座10が延在している範囲は、台座10によって作業者Hが一方の作業通路11から他方の作業通路11へ横断できない構造になっている。それぞれの待機場12の作業場8側には、それぞれの作業通路11への出入口(開口部)が形成されていて、その出入口を通じて作業者Hがそれぞれの待機場12と作業通路11との間を行き来できる構造になっている。
図3および図4に示すように、誘導手段20は、作業者Hによって台座10に載置されたコンテナ50の係合部51に対する連結金具60の着脱作業が行われるときに、待機場12からそれぞれの作業通路11に進入したそれぞれの作業者Hに対して、進入したその作業通路11に従って通行させる誘導を行う。この実施形態の誘導手段20は、遮蔽構造物21と、金具移送装置22とを有して構成されている。
遮蔽構造物21は、作業場8において、作業通路11に進入した作業者Hが、その進入した作業通路11から逸脱することを物理的に防止する構造物である。この実施形態では、作業場8における台座10と待機場12との間の位置(台座10のY方向奥側とY方向手前側)に、一方の作業通路11から他方の作業通路11への横断を禁止する遮蔽構造物21が設置されている。それぞれの遮蔽構造物21は、作業通路11の側部に沿ってY方向に延在して設置されている。遮蔽構造物21は例えば、柵や壁体、ベルト付きのポール(ベルトスタンド)などで構成することができる。これらの遮蔽構造物21と台座10によって、作業者Hが一方の作業通路11から他方の作業通路11に物理的に横断できない構造になっている。
金具移送装置22は、連結金具60を作業通路11に沿って移送する装置であり、作業場8のそれぞれの作業通路11のX方向に隣接して設置される。この実施形態では、作業通路11を挟んで台座10と対向する位置に金具移送装置22が配置されている。金具移送装置22は、作業通路11に沿って一方の待機場12に隣接する作業場8の一端部から他方の待機場12が隣接する作業場8の他端部まで直線状にY方向に延在している。
この実施形態の金具移送装置22は、ベルトコンベヤで構成されている。作業通路11の外側に金具移送装置22が設置されていることで、作業者Hが作業通路11の外側へ物理的に移動できない構造になっている。つまり、この金具移送装置22は、作業者Hが作業通路11の外側へ逸脱することを物理的に防止する遮蔽構造物21としても機能している。金具移送装置22は、ベルトコンベヤの他にも例えば、スラットコンベヤやレールに沿って走行する台車などで構成することもできる。
この実施形態では、金具移送装置22を操作するコントローラ22aとして、それぞれの作業通路11の金具移送装置22側に、金具移送装置22を作動させるフットスイッチが設けられている。コントローラ22aは、台座10に40フィートのコンテナ50が1台載置されるときの係合部51に対応する位置と、台座10に20フィートのコンテナ50が1台載置されるときの係合部51に対応する位置と、台座10に20フィートのコンテナ50が2台載置されるときの係合部51に対応する位置とにそれぞれ設置されている。また、作業通路11の待機場12付近にもコントローラ22aが設置されている。
この実施形態のコンテナクレーン1は、さらに、状況取得装置23、開閉ゲート24、通過検出装置25、およびゲート制御装置26を備えている。状況取得装置23は、荷役装置(船用荷役装置6および運搬機用荷役装置7)、作業場8、および待機場12の現在位置と、台座10に載置されているコンテナ50の有無とを含む荷役状況データを逐次取得する装置である。
図1に例示するように、この実施形態では、船用荷役装置6のトロリ6a、運搬機用荷役装置7のトロリ7a、作業場8、待機場12のそれぞれの現在位置データを取得する状況取得装置23として、トロリ6a、トロリ7a、および作業場8にそれぞれ、3次元位置情報を取得するための位置検出センサシステム(回転式エンコーダやリニアスケール等)が設置されている。さらに、トロリ6aに対する吊具6bの相対位置情報と、トロリ7aに対する吊具7bの相対位置データを取得する状況取得装置23として、吊具6bと吊具7bにそれぞれターゲットが設置されており、トロリ6aとトロリ7aにそのターゲットとの離間距離を計測するレーザ距離センサが設けられている。
さらに、台座10に載置されているコンテナ50の有無のデータを取得する状況取得装置23として、台座10にコンテナ50の有無を検知するセンサが設置されている。このコンテナ50の有無を検知するセンサは、例えば、レーザセンサや赤外線センサ、荷重センサ(ロードセル)などで構成できる。なお、状況取得装置23は、荷役装置、作業場8、および待機場12の現在位置と、台座10に載置されているコンテナ50の有無を特定できる構成であれば、この実施形態の構成に限定されず他の構成にすることもできる。
図2および図3に例示するように、開閉ゲート24は、それぞれの待機場12の作業通路11への出入口に設置されている。この実施形態では、扉をX方向にスライド移動させる引き戸構造の開閉ゲート24を例示しているが、開き戸構造や折れ戸構造の開閉ゲート24にすることもできる。通過検出装置25は、作業者Hが作業通路11の入口側の開閉ゲート24から進入し、作業通路11の出口側の開閉ゲート24から退出したことを検出する装置である。この実施形態では、通過検出装置25として、それぞれの開閉ゲート24に、作業者Hが通過したことを検出するセンサが設けられている。この通過検出装置25を構成するセンサとしては、例えば、赤外線や超音波、可視光などを利用した人感センサなどが例示できる。
ゲート制御装置26は、それぞれの開閉ゲート24の開閉を制御する装置であり、状況取得装置23、開閉ゲート24、および通過検出装置25にそれぞれ通信可能に接続されている。ゲート制御装置26は、例えば、各種情報処理を行うCPU、その各種情報処理を行うために用いられるプラグラムや情報処理結果を読み書き可能な内部記憶装置、及び各種インターフェースなどを有して構成される。ゲート制御装置26は、状況取得装置23が取得した荷役状況データに基づいてそれぞれの開閉ゲート24を開き、通過検出装置25が取得した検出データに基づいて開いている開閉ゲート24を閉じる制御を行なう。
この実施形態では、さらに、待機場12に、複数の連結金具60を収納可能な収納容器40と、待機場12と陸地Gとの間で収納容器40を上げ下ろしする昇降装置41とが設けられている。連結金具60の着脱作業を行うときには、収納容器40はそれぞれの金具移送装置22の長手方向の端部の近くに載置される。昇降装置41は、待機場12の屋根部12aに設けられたY方向に延在するガイドレールに沿って移動可能な構造になっていて、収納容器40を、待機場12に設けられた収納容器40の所定の載置位置から、待機場12よりも外側の位置まで移送できる構成になっている。
この実施形態のコンテナクレーン1は、さらに、作業場8に金具検出装置33を備えている。金具検出装置33は、台座10に載置されたコンテナ50のそれぞれの係合部51に連結金具60が取付けられているか否かを検出する装置である。金具検出装置33は、例えば、レーザセンサや赤外線センサで構成される。金具検出装置33は、台座10にコンテナ50が載置されるときの係合部51に対応する位置に配置されている。この実施形態では、金具移送装置22に金具検出装置33を取付けているが、金具検出装置33は他の位置に設置することもできる。この実施形態の金具検出装置33は、金具移送装置22およびコントローラ22aに通信可能に接続されている。
次に、このコンテナクレーン1による荷役方法を説明する。この荷役方法は、コンテナ50を荷積みまたは荷卸しする際の連結金具60の着脱作業に関する。
陸上の運搬機80が搬送したコンテナ50をコンテナ船70に荷積みする場合には、まず、運搬機用荷役装置7が運搬機80に搭載されているコンテナ50を吊り上げる。そして、運搬機用荷役装置7と作業場8とが中間桁5の所定位置に設定されたコンテナ50の受け渡し位置にそれぞれ移動する。
この際、着脱作業を担当する作業者Hは、それぞれ待機場12で待機する。図2に示すように、この実施形態では、海側の作業通路11で連結金具60の着脱作業を行う一人の作業者HがY方向奥側の待機場12に待機し、陸側の作業通路11で着脱作業を行う一人の作業者HがY方向手前側の待機場12で待機している。それぞれの作業者Hは、着脱作業を行う前に予め昇降装置41を利用して、複数の連結金具60が収容された収納容器40を待機場12の金具移送装置22の近くの所定位置に載置しておく。この段階では、それぞれの開閉ゲート24は閉まった状態になっている。
運搬機用荷役装置7と作業場8とがコンテナ50の受け渡し位置に到着すると、運搬機用荷役装置7は掴んでいるコンテナ50を作業場8の台座10の上に載置する。これにより、運搬機用荷役装置7から作業場8にコンテナ50が渡され、台座10の上にコンテナ50が載置された状態となる。運搬機用荷役装置7は、台座10にコンテナ50を載置し終えると、陸側に向かって移動して、次のコンテナ50を荷役する作業に移行する。作業場8は待機場12に向かって移動し、図2に示すように、待機場12に隣接する位置で停止する。
そして、状況取得装置23から逐次入力される荷役状況データに基づいて、ゲート制御装置26が、作業場8において作業者Hが連結金具60の着脱作業を安全に行える状態であると判定すると、ゲート制御装置26によってそれぞれの開閉ゲート24を開く制御が行われる。そして、図3および図4に示すように、待機場12に待機するそれぞれの作業者Hが、それぞれ開閉ゲート24を通って待機場12から作業通路11に進入可能な状態となる。この作業者Hが着脱作業を安全に行える状態とは、例えば、台座10にコンテナ50が載置され、かつ、作業場8と待機場12とが隣接し、かつ、台座10にコンテナ50を載置し終えた運搬機用荷役装置7が作業場8から予め設定された所定距離以上離れた状態である。
開閉ゲート24が開くと、Y方向奥側の待機場12に待機していた一人の作業者Hは、図3の黒塗りの矢印で示すように、海側の開閉ゲート24を通って海側の作業通路11に進入する。Y方向手前側の待機場12に待機していたもう一人の作業者Hは、図3の白抜きの矢印で示すように、陸側の開閉ゲート24を通って陸側の作業通路11に進入する。作業者Hが作業通路11の入口側の開閉ゲート24を通過すると、通過検出装置25によって作業者Hが開閉ゲート24から作業通路11に進入したことが検出される。
次いで、それぞれの作業者Hは、作業通路11の開閉ゲート24の近くで収納容器40から、係合部51に取付ける所定数の連結金具60を取り出して金具移送装置22の上に載せる。図3に示すように、例えば、台座10に2台のコンテナ50が載置されている場合には、片側の作業通路11で4ヶ所の係合部51に連結金具60を取付けるので、金具移送装置22に4つの連結金具60を載せる。
次いで、Y方向奥側の待機場12から海側の作業通路11に進入した作業者Hは、Y方向手前側の待機場12に向かってその作業通路11を歩いて進み、台座10に載置されたコンテナ50の係合部51の位置で止まる。そして、近傍に配置されているコントローラ22aによって金具移送装置22を操作して、先ほど金具移送装置22に載せた複数の連結金具60を作業者Hの近くまで移送する。
この実施形態では、フットスイッチを踏むと金具移送装置22が作動して金具移送装置22に載置しておいた連結金具60が作業者Hに向かって移送される。フットスイッチから足を離すと、金具移送装置22の作動が停止する。作業者Hは金具移送装置22によって移送された連結金具60をひとつ手に取ってコンテナ50の係合部51に取付ける。
次いで、作業者Hは作業通路11を先ほどと同じ方向に歩いて進み、台座10に載置されたコンテナ50の次の係合部51の位置で止まり、先ほどと同様の手順で、コンテナ50の係合部51に連結金具60を取付ける。この作業者Hは、海側の作業通路11の上をY方向手前側の待機場12に向かって一方向に移動しながら、前述した連結金具60の取付け作業をコンテナ50の海側のすべての係合部51に対して順次行う。もう一人の作業者Hも同様に、陸側の作業通路11の上をY方向奥側の待機場12に向かって一方向に移動しながら、前述した連結金具60の取付け作業をコンテナ50の陸側のすべての係合部51に対して順次行う。
この作業者Hが作業場8で連結金具60の着脱作業を行うときには、誘導手段20によって、待機場12からそれぞれの作業通路11に進入したそれぞれの作業者Hに対して、進入したその作業通路11に従って通行させる誘導が行われる。これにより、それぞれの作業者Hが進入した作業通路11から逸脱することが抑止される。
具体的には、この実施形態では、誘導手段20を構成する遮蔽構造物21、台座10、および金具移送装置22によって、作業場8における作業者Hの移動可能範囲が進入した作業通路11に物理的に規制されていることで、作業者Hに対して、進入した作業通路11からの逸脱を禁止させる誘導が行なわれる。
さらに、金具移送装置22が、連結金具60を作業通路11に沿って一方の待機場12から他方の待機場12に向かって移送することで、作業者Hに対して、一方の待機場12から他方の待機場12に向かって進入した作業通路11を一方通行させる誘導が行なわれる。
さらに、この実施形態では、それぞれの係合部51の近傍に配置された金具検出装置33によって係合部51に連結金具60が取付けられているか否かが検出され、作業者Hが係合部51に対する連結金具60の着脱作業をし忘れた場合には、次の係合部51に対応するコントローラ22aを操作しても金具移送装置22が作動しない構成になっている。これにより、作業者Hに対して、作業通路11においてコンテナ50の片側のすべての係合部51に対して順番に漏れなく連結金具60の着脱作業を行わせる誘導が行われる。
誘導手段20によって誘導されつつ、作業通路11を通ってコンテナ50の片側のすべての係合部51に対する連結金具60の取付け作業が完了した作業者Hは、作業場8に進入したときとは別の待機場12の開閉ゲート24を通ってその待機場12に入る。通過検出装置25により、作業者Hが作業通路11の出口側の開閉ゲート24を通って作業通路11を退出したことが検出されると、ゲート制御装置26により作業者Hが通った入口側と出口側のそれぞれの開閉ゲート24を閉じる制御が行われる。着脱作業を終えて待機場12に進入した作業者Hは、次の作業対象のコンテナ50が運ばれるまで待機場12で待機する。
二人の作業者Hが着脱作業を完了してそれぞれ待機場12に入り、通過検出装置25の検出データに基づいて、作業場8に作業者Hがいないことが確認されると、作業場8と船用荷役装置6とがそれぞれ中間桁5の所定の受け渡し位置に向かって移動し、その受け渡し位置において、船用荷役装置6が台座10に載置されているコンテナ50を掴み上げる。
そして、作業場8から船用荷役装置6にコンテナ50が渡されると、作業場8は陸側に向かって移動し、次のコンテナ50を荷役する作業に移行する。船用荷役装置6は、コンテナ船70に向かって移動し、コンテナ船70の所定位置にコンテナ50を載置する。以上により、荷積み作業の1サイクルが完了する。前述した工程を運搬機用荷役装置7、作業場8、および船用荷役装置6が、それぞれ並行して繰り返し行うことで、複数のコンテナ50の荷積みを順次行う。
図3の黒塗りと白抜きの矢印で示す進路のように、この実施形態では、海側の作業通路11において連結金具60の取付け作業を終えた作業者Hは、Y方向手前側の待機場12において陸側の作業通路11側に移動する。そして、次のコンテナ50に対する連結金具60の取付け作業は、陸側の作業通路11で行う。陸側の作業通路11において連結金具60の取付け作業を終えた作業者Hは、Y方向奥側の待機場12において海側の作業通路11側に移動する。そして、次のコンテナ50に対する連結金具60の取付け作業は、海側の作業通路11で行う。このように、二人の作業者Hは、荷積み作業の1サイクル毎(コンテナ50毎)に連結金具60の取付け作業を行う作業通路11を交互に替えて、待機場12と作業通路11とを一方向回りに移動しながら順次コンテナ50に対する連結金具60の取付け作業を行う。
コンテナ船70から陸上の運搬機80にコンテナ50を荷卸しする作業は、上記で説明した荷積み作業と逆の作業手順で行う。即ち、コンテナ船70、船用荷役装置6、作業場8、運搬機用荷役装置7、運搬機80の順でコンテナ50が受け渡される。
荷卸しを行う場合には、作業者Hは、荷積みを行う場合の逆方向回りに待機場12と作業通路11とを移動しながら順次コンテナ50に対する連結金具60の取外し作業を行う。つまり、作業者Hは収納容器40が近くに載置されていない側の開閉ゲート24から作業通路11に進入し、収納容器40が近くに載置されている開閉ゲート24に向かって進む。
着脱作業を行うときには、一方の待機場12から開閉ゲート24を通って作業通路11に進入した作業者Hは、他方の待機場12に向かって作業通路11を歩いて進み、係合部51に装着されている連結金具60を取外す。取外した連結金具60は、その場で金具移送装置22の上に載せる。次いで、作業者Hはさらに作業通路11を先ほどと同じ方向に歩いて進み、次の係合部51の近傍に設置されているコントローラ22aを操作して金具移送装置22を作動させることで先ほど金具移送装置22に載せた連結金具60を作業者Hの位置まで移動させる。そして、作業者Hは係合部51から連結金具60を取外して、その連結金具60を金具移送装置22の上に載せる。前述した連結金具60の取外し作業を作業通路11においてコンテナ50の片側のすべての係合部51に対して順次行う。
作業通路11において連結金具60の取外し作業が完了した作業者Hは、待機場12の開閉ゲート24付近に設置されたコントローラ22aを操作して、金具移送装置22に載せた複数の連結金具60を収納容器40の近くまで移動させ、金具移送装置22から収納容器40にすべての連結金具60を移す。そして、作業通路11の出口側となる開閉ゲート24を通って待機場12に入る。
なお、コンテナ50の荷卸し時には、例えば、作業者Hが作業場8にいる間は、金具移送装置22が継続して作動し続け、金具移送装置22の上に載せた連結金具60が随時収納容器40に移送される構成にすることもできる。
このように、本発明によれば、誘導手段20により、待機場12からそれぞれの作業通路11に進入したそれぞれの作業者Hに対して、進入した作業通路11に従って通行させる誘導を行うことで、連結金具60の着脱作業を行う際の作業場8における作業者Hの動線をコントロールできる。そして、連結金具60の着脱作業を行う際の作業者Hの動線を統一化して着脱作業の作業順路を簡素化できる。それ故、台座10に載置されるコンテナ50のサイズや数によらず、作業者Hに連結金具60の着脱作業を円滑に行なわせることができる。さらに、台座10に載置されるコンテナ50のサイズや数によらず、一方の作業通路11を通る作業者Hは、台座10に載置されたコンテナ50の一方側の隅に設けられたすべての係合部51の近くを通ることになり、他方の作業通路11を通る作業者Hは、コンテナ50の他方側の隅に設けられたすべての係合部51の近くを通ることになる。それ故、係合部51に対する連結金具60の着脱作業の漏れをより確実に回避できる。
なお、本発明では、例えば、待機場12を作業場8のY方向の両端部のいずれか一方のみに配置して、待機場12から一対の作業通路11にそれぞれ進入した作業者Hがそれぞれ、作業通路11を端から端まで移動してコンテナ50の片側の連結金具60の着脱作業を終えた後に、作業通路11の端で折り返して元の待機場12に戻る構成にすることもできる。
この実施形態のように、待機場12を作業場8の一方向の両端部のそれぞれに隣接して配置し、誘導手段20により、作業者Hに対して、一方の待機場12から他方の待機場12に向かって作業通路11を一方通行させる誘導を行う構成にすると、待機場12を作業場8の片側だけに設ける場合に比して、1サイクルの着脱作業における作業者Hの移動距離をより短くできる。それ故、着脱作業の作業効率を向上させるにはより有利になる。さらに、1サイクルの着脱作業における作業者Hの進行方向を一方向のみにできるので、着脱作業を行う際の作業者Hの動線をより簡素化できる。それ故、連結金具60の着脱作業を漏れなく円滑に行うにはより有利になる。
さらに、図3の黒抜きの矢印と白抜きの矢印で示すように、それぞれの作業者Hを、作業場8の両側に隣接する2カ所の待機場12と一対の作業通路11とを一方向回りに移動させながらコンテナ50に対する連結金具60の着脱作業を順次行わせる構成にすると、それぞれの待機場12の片側の出入口付近に収納容器40を置くだけで、連結金具60の着脱作業を円滑に進めることが可能となる。さらに、少ない収納容器40で連結金具60を管理できるので、連結金具60の数の管理もし易くなる。
なお、本発明では、例えば、それぞれの待機場12の両方の出入口付近に収納容器40を置いて、それぞれの作業者Hに片側の作業通路11のみを使用させて、作業者Hをコンテナ50毎(1サイクル毎)に2カ所の待機場12と1本の作業通路11とを往復して移動させながら順次コンテナ50の係合部51に対する連結金具60の着脱作業を行わせる構成にすることもできる。この作業者Hに同じ作業通路11を往復させる方法の場合には、二人の作業者Hを同じ側の待機場12からそれぞれ別々の作業通路11に進入させる構成にすることもできる。
誘導手段20は、この実施形態のように、作業者Hに対して、進入した作業通路11からの逸脱を禁止させる誘導を行う構成にすることが好ましい。誘導手段20によって、作業者Hに対して、作業通路11からの逸脱を禁止させる誘導を行うことで、作業者Hが進入した作業通路11から逸脱することをより確実に防止できる。それ故、連結金具60の着脱作業を漏れなく円滑に行うにはより有利になる。
誘導手段20が、一方の作業通路11から他方の作業通路11への横断を禁止する遮蔽構造物21を有していると、簡素な構成でありながら、作業者Hに対して進入した作業通路11からの逸脱を禁止させる誘導を行うことができる。この実施形態では、台座10と待機場12との間に台座10とは別体の遮蔽構造物21を設置する場合を例示したが、例えば、台座10を一方の待機場12に隣接する作業場8の一端部から他方の待機場12が隣接する作業場8の他端部まで延在する構造にして、台座10のコンテナ50が載置される範囲よりも外側の突出した部分を遮蔽構造物21として機能させることもできる。
誘導手段20が、金具移送装置22を有していると、金具移送装置22によって連結金具60が作業通路11に沿って作業者Hの進行方向に移送されることで、着脱作業を行うときの作業者Hの進路を作業通路11において一方向に効果的に誘導できる。さらに、連結金具60の重さは4~6kg程度と重いため、従来では、連結金具60を手に持って長い距離運ぶことが作業者Hにとって負担になっていたが、金具移送装置22を設けることで、作業者Hが連結金具60を長い距離運ぶ必要がなくなるので、作業者Hの軽労化を図ることができる。
なお、本発明では、作業場8に金具移送装置22を設けない構成にすることもできる。金具移送装置22を設けない場合には、例えば、作業通路11を挟んで台座10と対向する位置に作業通路11の側部に沿って延在する柵や壁体などの遮蔽構造物21を設けることで、作業者Hに対して、進入した作業通路11に従って通行させる誘導を行うことができる。
金具移送装置22のコントローラ22aは、台座10にコンテナ50が載置されるときの係合部51に対応する位置に配置するとよい。コントローラ22aを係合部51に対応する位置に配置すると、作業者Hが係合部51の近くで金具移送装置22を操作できるので、金具移送装置22によって連結金具60を係合部51の近くまで移動させやすくなる。それ故、着脱作業を円滑に行うにはより有利になる。なお、金具移送装置22のコントローラ22aはフットスイッチに限らず、他にも例えば、手で操作するスイッチやレバーなどで構成することもできる。また、例えば、作業通路11にコントローラ22aを設置するのではなく、それぞれの作業者Hが金具移送装置22を遠隔操作できるコントローラ22aを携帯して操作する構成にすることもできる。
状況取得装置23、開閉ゲート24、通過検出装置25、およびゲート制御装置26を備えることは必須ではないが、ゲート制御装置26により、状況取得装置23が取得した荷役状況データに基づいて開閉ゲート24を開き、通過検出装置25が取得した検出データに基づいて開いている開閉ゲート24を閉じる制御を行う構成にすることが望ましい。状況取得装置23が取得した荷役状況データに基づいて開閉ゲート24を制御することで、作業場8において着脱作業を安全に行える条件が揃っていない状況で、作業者Hが待機場12から作業場8(作業通路11)に不要に進入することを確実に防ぐことができる。それ故、作業者Hの安全性を高めるには有利になる。
作業者Hの安全性を高めるという観点では、通過検出装置25により、作業者Hが作業通路11の出口側の開閉ゲート24から作業通路11を退出したことが検出された後に、ゲート制御装置26によって作業者Hが通った入口側と出口側のそれぞれの開閉ゲート24を閉じる制御が行われる構成にするとよい。この構成にすると、作業場8にいる作業者Hが作業場8から待機場12に退避すべき状況になった場合に、作業者Hが作業通路11から、入口側の開閉ゲート24が設けられた待機場12にも退避できる状態になる。
一方で、通過検出装置25により、作業者Hが入口側となる開閉ゲート24を通過したことが検出されると、ゲート制御装置26によってその入口側の開閉ゲート24を閉じる制御が行われる構成にすることもできる。この場合には、作業通路11の入口側の開閉ゲート24が閉じることで、作業通路11に進入した作業者Hが作業通路11の入口側の待機場12に引き返せない状態になるので、作業者Hに対して、入口側の待機場12から出口側の待機場12に向かって作業通路11を一方通行させる誘導を効果的に行うことができる。
連結金具60は、コンテナ船70の所有物であるため、荷積み時にはコンテナ船70から待機場12に連結金具60を搬送し、荷卸し時にはコンテナ50から取り外した連結金具60を出港前にコンテナ船70に戻す必要がある。待機場12に昇降装置41を備えると、作業者Hが、待機場12からおりることなく連結金具60が入った収納容器40を待機場12と陸地Gとの間で容易に移動させることが可能になるので、連結金具60を待機場12からコンテナ船70に搬送する作業や、コンテナ船70から待機場12に連結金具60を搬送する作業の効率化や軽労化を図るには有利になる。
なお、本発明では、待機場12に屋根部12aなどを設けて、待機場12に待機する作業員Hの安全を確保できる構造にすれば、待機場12を作業場8の海側や陸側に配置する構成にすることもできる。この場合には、一対の作業通路11が作業場8のX方向の一方の端部から他方の端部まで延在する構成となる。そして、船用荷役装置6または運搬機用荷役装置7によって2台同時にコンテナ50が荷役される場合には、2台のコンテナ50がX方向に隣り合った状態で台座10の上に載置させる構成となる。
既述した実施形態では、運搬機用荷役装置7(トロリ7a)が中間桁5に沿ってX方向に移動する場合を例示したが、運搬機用荷役装置7が中間桁5の所定位置に固定された構成にすることもできる。また、中間桁5の下方に作業場8と待機場12を配置した場合を例示したが、作業場8および待機場12は、例えば、中間桁5の上や陸地G上に配置することもできる。
既述した実施形態では、待機場12がコンテクレーン1の所定位置に固定されている場合を例示したが、待機場12が移動する構成にすることもできる。また、作業場8と待機場12とが一体の構造体で形成されている構成にすることもできる。即ち、例えば、作業場8および待機場12が互いに隣接した状態で、中間桁5に沿ってX方向に移動する構成にすることもできるし、作業場8および待機場12がコンテナクレーン1の所定位置(例えば、中間桁5の下方や、中間桁5の上や、陸地G上など)に固定されている構成にすることもできる。
図5に、本発明に係る別の実施形態のコンテナクレーン1を例示する。この実施形態のコンテナクレーン1は図1~図4に例示した実施形態のコンテナクレーン1と、誘導手段20の構成が異なっている。その他の構成は、図1~図4に例示した実施形態のコンテナクレーン1と同じである。図5では、台座10に40フィートのコンテナ50が1台載置された場合を例示している。
この実施形態では、誘導手段20が、作業者Hが進入した作業通路11から逸脱したことを検出する逸脱検出装置27と、作業者Hに対して警告する警告装置30と、逸脱検出装置27および警告装置30に通信可能に接続された警告制御装置31とを有している。逸脱検出装置27が、作業者Hが進入した作業通路11から逸脱したことを検知した場合には、警告制御装置31により、警告装置30に警告を発せさせる構成になっている。作業者Hが元の作業通路11に戻り、逸脱検出装置27が作業者Hの逸脱を検出していない状態になると、警告制御装置31により、警告装置30による警告は止まる。
さらに、この実施形態では、警告制御装置31に金具検出装置33が通信可能に接続されている。そして、作業者Hが係合部51に対する連結金具60の着脱作業をし忘れた状態で係合部51を通り過ぎた場合には、金具検出装置33の検出データに基づいて警告制御装置31が警告装置30を制御することにより、警告装置30から作業員Hに対して、連結金具60の着脱作業のし忘れを知らせる警告が発せられる構成になっている。
図5に示すように、逸脱検出装置27は、作業者Hが携帯するRFIDタグ28と、所定距離以内のRFIDタグ28と通信する複数のリーダ29とを有して構成されている。作業場8のそれぞれの作業通路11の近傍に作業通路11に沿って、作業通路11の長手方向に間隔をあけて複数のリーダ29が配設されている。この実施形態では、台座10にコンテナ50が載置されるときの係合部51に対応する位置にそれぞれリーダ29が設置されている。
さらに、作業場8における台座10と待機場12との間にも、それぞれリーダ29が設置されている。作業者Hが作業場8で着脱作業を行っている間は、これらの複数のリーダ29と、作業者Hが携帯するRFIDタグ28によって、それぞれの作業者Hが作業通路11から逸脱しているか否かが逐次検出される。
警告制御装置31は、例えば、各種情報処理を行うCPU、その各種情報処理を行うために用いられるプラグラムや情報処理結果を読み書き可能な内部記憶装置、及び各種インターフェースなどを有して構成される。警告装置30は、スピーカーで構成されている。作業場8におけるそれぞれの作業通路11の近傍と台座10が延在していない2本の作業通路11どうしの間の位置にそれぞれ警告装置30が設置されている。
この実施形態では、さらに、RFIDタグ28と複数のリーダ29によって、作業場8におけるそれぞれの作業者Hの現在位置と、作業者Hの進行方向が逐次検出される構成になっている。そして、RFIDタグ28とリーダ29によって検出される作業者Hの進行方向の検出結果に基づいて、作業通路11に進入した作業者Hが出口側の待機場12に行き着くまでにその進入した作業通路11を誤った方向(逆方向)に進んだ場合には、警告制御装置31により、警告装置30に警告を発せさせる構成になっている。
さらに、この実施形態では、それぞれのリーダ29が金具移送装置22を制御する制御部に通信可能に接続されていて、作業者H(RFIDタグ28)がコンテナ50の係合部51の近傍にいることがその近くに設置されたリーダ29によって検出されると、金具移送装置22の制御部によって、金具移送装置22の上に載置されている連結金具60を作業者Hがいる位置まで移送する自動制御が行われる構成になっている。
このコンテナクレーン1による荷役方法では、連結金具60の着脱作業を行うときに、作業通路11から逸脱した作業者Hに対して警告装置30から警告(例えば、ブザー音や音声メッセージ)が発せられることで、作業者Hに対して、進入した作業通路11からの逸脱を禁止させる誘導が行われる。
また、作業者Hが係合部51に対する連結金具60の着脱作業をし忘れた状態で係合部51を素通りした場合には、警告装置30により連結金具60の着脱作業のし忘れを知らせる警告が発せられる。これにより、作業者Hに対して、作業通路11においてコンテナ50の片側のすべての係合部51に対して順番に連結金具60の着脱作業を行わせる誘導が行われる。
さらに、連結金具60の着脱作業を行うときに、作業通路11を誤った方向に進んでいる作業者Hに対して警告装置30から警告が発せられることで、作業者Hに対して、一方の待機場12から他方の待機場12に向かって作業通路11を一方通行させる誘導が行われる。
このように、誘導手段20が、逸脱検出装置27、警告装置30、および警告制御装置31を有していると、作業者Hに対して警告により作業通路11から逸脱することが禁止されていることを明確に認識させることができる。それ故、作業者Hが作業通路11から逸脱することを効果的に抑止できる。
RFIDタグ28とリーダ29によって作業者Hの現在位置を検出し、その検出データに基づいて、金具移送装置22を自動制御すると、作業者Hが金具移送装置22を操作する必要がないので、着脱作業の作業効率を高めるには有利になる。
なお、逸脱検出装置27は、他にも例えば、赤外線や超音波、可視光などを利用した人感センサなどで構成することもできる。また、逸脱検出装置27は例えば、作業者Hを撮影するカメラと、カメラで撮影した映像から作業者Hの位置を特定する解析装置とで構成することもできる。
警告装置30は、他にも例えば、警告灯や電光掲示板などで構成することもできる。また、例えば、警告装置30を作業者Hに携帯させる携帯端末で構成し、携帯端末から作業者Hに警告が音や振動で伝えられる構成にすることもできる。逸脱検出装置27、警告制御装置31、および警告装置30をそれぞれ構成する機器の設置台数や配置は、この実施形態に限定されず、採用する機器の仕様や性能に応じて適宜決定できる。
この実施形態のように、金具検出装置33の検出データに基づいて警告装置30が、作業員Hに係合部51に対する連結金具60の着脱作業のし忘れを知らせる警告を発する構成にすると、係合部51に対する連結金具60の着脱のし忘れをより確実に防ぐことができる。
図6および図7に、本発明に係るさらに別の実施形態のコンテナクレーン1を例示する。この実施形態のコンテナクレーン1は図1~図4に例示した実施形態のコンテナクレーン1と、誘導手段20の構成が異なっている。また、この実施形態では、作業場8と待機場12が一体の構造体で形成されている場合を例示している。その他の構成は、図1~図4に例示した実施形態のコンテナクレーン1と同じである。なお、図6および図7では、台座10に20フィートのコンテナ50が1台載置された場合を例示している。
この実施形態の誘導手段20は、それぞれの作業通路11に、作業者Hを作業通路11に従って移送する作業者移送装置32を有している。作業者移送装置32の所定位置には、作業者移送装置32を操作するコントローラ32aと、作業者Hが座る作業椅子32bとが設けられている。この実施形態では、作業者移送装置32と金具移送装置22とが同じベルトコンベヤで構成されていて、一体化した作業者移送装置32および金具移送装置22を操作するコントローラ32a(22a)が作業椅子32bの近くに設置されている。
さらに、一体化した作業者移送装置32および金具移送装置22の作業椅子32bの近くに収納容器40が載置されている。そして、一体化した作業者移送装置32および金具移送装置22によって、作業者Hとともに収納容器40が移送される構成になっている。この実施形態の昇降装置41は、金具移送装置22の上にまで移動できる構造になっていて、金具移送装置22の上に載置された状態の収納容器40を待機場12や陸地Gに上げ下ろしできる構造になっている。
また、この実施形態では、それぞれの待機場12に開き戸型の開閉ゲート24が設けられていて、図6に示すように、開閉ゲート24が開くと、開閉ゲート24の扉が、作業場8における台座10と待機場12との間に配置される遮蔽構造物21として機能する構成になっている。
このコンテナクレーン1による荷役方法では、連結金具60の着脱作業を行うときに、作業者Hを作業者移送装置32によって作業通路11に従って移送することで、作業者Hに対して、進入した作業通路11を一方通行させる誘導が行われる。作業者Hは作業通路11(作業者移送装置32)に進入して、作業椅子32bに座り、コントローラ32aを操作することで、作業者移送装置32によって作業通路11上をY方向に移動する。
そして、作業者Hは、台座10に載置されたコンテナ50の係合部51の位置まで移動すると作業者移送装置32を停止させ、作業者移送装置32に乗った状態で係合部51に対する連結金具60の着脱作業を行う。この際、荷積み時には、作業者Hは、金具移送装置22の上に載置されている収納容器40から連結金具60を取り出して、その連結金具60をコンテナ50の係合部51に取付ける。荷卸し時には、作業者Hはコンテナ50の係合部51から連結金具60を取外し、その取外した連結金具60を金具移送装置22の上に載置された収納容器40に入れる。
このように、誘導手段20が作業者移送装置32を有していると、作業者移送装置32によって作業者Hを移送することで、作業者Hに対して、進入したその作業通路11に従って通行させる誘導を効果的に行うことができる。また、作業者移送装置32を設ける場合には、作業者Hが作業通路11を歩く必要がなくなるので、作業者Hの軽労化にも寄与する。さらに、作業者移送装置32に作業椅子32bを設けると、作業者Hが座った状態で、連結金具60の着脱作業を行えるので、作業者Hの軽労化を図るにはより有利になる。なお、作業者移送装置32に作業椅子32bを設けることは必須ではなく、作業者Hが作業者移送装置32の上に立った状態で作業通路11での移動と連結金具60の着脱作業を行う構成にすることもできる。
作業者移送装置32と金具移送装置22はそれぞれ別々の移送装置(コンベヤや走行する台車等)で構成することもできるが、作業者移送装置32と金具移送装置22とを同じ移送装置で構成すると、作業者移送装置32および金具移送装置22を比較的簡素に構成できる。また、作業者Hは一つのコントローラ32aを操作するだけで、連結金具60を作業者Hと同じ位置に移送させることができるので、着脱作業の作業効率を向上させるにも有利になる。この実施形態では、作業者移送装置32をベルトコンベヤで構成する場合を例示したが、作業者移送装置32は他にも例えば、作業通路11に従って移動する台車やケージなどで構成することもできる。
なお、上記で例示した実施形態では、コンテナ50の荷役を行う荷役装置として、船用荷役装置6と運搬機用荷役装置7とを有するコンテナクレーン1を例示したが、コンテナ船70と運搬機80との間のコンテナ50の荷役を1つの荷役装置で行うコンテナクレーン1にすることもできるし、3つ以上の荷役装置を有するコンテナクレーン1にすることもできる。また、コンテナクレーン1は、中間桁5を有しない構成にすることもできる。この場合には、作業場8および待機場12は例えば、Z方向における主桁4と陸地Gとの間の位置や、陸地Gの上に配置される。
誘導手段20を構成する遮蔽構造物21や各装置は、上記で例示した実施形態の組み合わせに限定されず、適宜組み合わせることができる。また、待機場12からそれぞれの作業通路11に進入したそれぞれの作業者Hに対して、進入したその作業通路11に従って通行させる誘導を行える構成であれば、誘導手段20は上記で例示した遮蔽構造物21や各装置に限定されず、他にも様々な構成にすることもできる。例えば、誘導手段20として、作業通路11の路面などに作業者Hを誘導する矢印などの標示を有する構成にすることもできる。