JP7067322B2 - 縞鋼板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、縞鋼板の製造方法に関する。
縞鋼板は、表面に高さ1mm程度の凸部を有する鋼板であり、床板材等に用いられる。縞鋼板は、表面に溝を有する縞ロール用いて鋼板を圧延して製造される。
特開平4-210807号公報には、極低炭素鋼の縞鋼板の製造方法が記載されている。具体的には、C含有量0.001~0.010重量%の極低炭素鋼スラブを、加熱温度を1200±50℃、仕上ミル出側温度を900±30℃、巻取り温度を450±50℃とする温度条件のもとで熱間圧延することが記載されている。
特開2000-254710号公報には、板形状を悪化させることなく、1.0mm以上の縞高さを得ることができる薄物縞鋼板の製造方法が記載されている。具体的には、750~880℃の温度範囲で仕上圧延を終了させ、かつ縞目付ロールによる圧延を100/sec以下の歪速度で行うことが記載されている。
縞鋼板は一般的に、表面にスケールが付いたまま使用される。部分的なスケール剥離が生じると外観不良となるため、縞鋼板には、スケールの密着性が要求される。
特開2001-234283号公報には、極低炭素系の鋼組成を有し、強度及びスケール密着性の双方を満足する縞鋼板の製造方法が記載されている。具体的には、Si、Mn、Pが86×Si+35×Mn+1000×P≧40の関係を満たす組成とし、さらに、圧延後の巻取り温度を650-3750×P以下とすることが記載されている。
特開平10-235424号公報には、曲げ加工等の成形加工を行った場合にも、スケール密着性に優れる縞鋼板の製造方法が記載されている。具体的には、780~840℃で仕上圧延を終了し、仕上圧延から1.5秒以内に水冷を開始して60℃/秒以上の冷却速度で570~630℃の温度に強水冷し、次いで2秒以上水冷を中断して空冷した後、30℃/秒以下の冷却速度で緩冷却した後、500℃以下の温度で巻取ることが記載されている。
特開平4-210807号公報 特開2000-254710号公報 特開2001-234283号公報 特開平10-235424号公報
J. Robertson and M. I. Manning "Limits to adherence of oxide scales", Material Science and Technology, Vol.6 (1990), issue 1, pp. 81-92
縞鋼板に発生する外観不良として、圧延後の巻取時や巻戻し時、巻戻し後の剪断時、成形加工時などに発生するスケール剥離がよく知られている。この他に、三日月形状の黒色の欠陥(以下「三日月模様」という。)がある。この三日月模様の発生機構については従来、詳しい知見が存在しない。
本発明の目的は、スケール剥離、三日月模様その他の外観不良の発生を抑制することができる、縞鋼板の製造方法を提供することである。
本発明の一実施形態による縞鋼板の製造方法は、C:0.01~0.2質量%を含む鋼板を縞ロールを含む仕上圧延機で圧延して縞鋼板を製造する方法であって、出側温度が800~850℃となるように前記鋼板を仕上圧延する工程と、前記仕上圧延後、1.5秒以内に冷却を開始し、かつ、630℃以下の温度まで40℃/秒以上60℃/秒未満の冷却速度で前記鋼板を冷却する工程と、前記冷却後、0.5~3秒間前記鋼板を空冷する工程と、前記空冷後、560~620℃の温度で前記鋼板を巻取る工程とを備える。
本発明によれば、スケール剥離、三日月模様その他の外観不良が抑制された縞鋼板が得られる。
図1は、冷却速度を45℃/秒、かつ巻取温度を570℃とし、スケール剥離が発生しなかった鋼板の断面写真である。 図2は、冷却速度を65℃/秒、かつ巻取温度を550℃とし、スケール剥離が発生した鋼板の断面写真である。 図3は、三日月模様の外観を示す写真である。 図4は、正常部と黒色部との境界部分の断面写真である。 図5は、本発明の一実施形態による縞鋼板の製造方法のフロー図である。 図6は、本実施形態による縞鋼板の製造に使用する圧延設備の一例を模式的に示す図である。 図7Aは、不良率の測定方法を説明するための図である。 図7Bは、不良率の測定方法を説明するための図である。 図7Cは、不良率の測定方法を説明するための図である。 図7Dは、不良率の測定方法を説明するための図である。
本発明者らは、仕上圧延の出側温度、仕上圧延後の冷却速度及び巻取り温度を変えながら縞鋼板の製造を実施し、各種外観不良の発生温度領域を調査した。その結果、仕上圧延の出側温度を800~850℃とし、仕上圧延後の冷却速度を40℃/秒以上60℃/秒未満にし、かつ、巻取り温度を560~620℃としたとき、いずれの外観不良も発生しないことが分かった。
[スケール剥離の解析:巻取り後に発生するスケール剥離]
スケール剥離に関しては従来、巻取温度を低温化することが有効と考えられている。例えば、前掲の特開平10-235424号公報では、500℃以下の温度で巻取ることが有効であるとされている。巻取温度を比較的高温(560~620℃)にすることでスケール剥離を抑制できるという今回の知見は、従来の知見とは異なるものである。さらに、仕上圧延後の冷却速度を40℃/秒以上60℃秒/秒未満にすることも、スケール剥離を抑制するための必須条件である。冷却速度をこの範囲内に設定することで、巻取後のスケールを最適化することができる。
この機構を分析するため、スケールの断面を電子顕微鏡で観察した。図1は、冷却速度を45℃/秒、かつ巻取温度を570℃とし、スケール剥離が発生しなかった鋼板の断面写真である。図2は、冷却速度を65℃/秒、かつ巻取温度を550℃とし、スケール剥離が発生した鋼板の断面写真である。
スケール剥離が発生しなかった鋼板では、最表層のマグネタイトと地鉄(母材)との界面に、マグネタイトシームと呼ばれる密着性に優れたスケール層が存在していることが分かった。一方、スケール剥離が発生した鋼板では、このようなマグネタイトシームの析出がほとんど見られなかった。
マグネタイトは、3FeO+O→3Feの反応によって生じるスケールである。マグネタイトは、変態によって体積膨張が生じるため、スケール内に膨張応力が発生し歪が生じる。その結果、スケール剥離が発生しやすいと推測される。冷却速度を65℃/秒、かつ巻取温度を550℃とした図2の例では、過冷却により上記反応が進んだと推測される。一方、マグネタイトシームは、4FeO→Fe+Feの反応によって生じるスケールである。マグネタイトシームは変態によって体積収縮が生じるため、スケール内に収縮応力が発生し、歪みが小さい。その結果、スケール剥離が発生しにくいと推測される。冷却速度を45℃/秒、かつ巻取温度を570℃とした図1の例では、マグネタイトシームの形成が巻取後に促されたと考えられる。
以上の分析から、冷却速度を40℃/秒以上60℃/秒未満、かつ巻取温度を560~620℃にすることで、マグネタイトシームの生成が促進され、スケール剥離が抑制されるものと推測される。
[三日月模様の解析:仕上圧延時に発生するスケール剥離]
次に、三日月模様の発生原因を調査するため、三日月模様が発生した部分(黒色部)及び正常部の各表層を分析した。図3は、三日月模様の外観を示す写真である。図4は、正常部と黒色部との境界部分の断面写真である。
分析の結果、黒色部ではマグネタイト単相のスケールが地鉄(母材)上に存在していることが確認され、正常部では最表層のマグネタイトと地鉄(母材)との界面にマグネタイトシームが確認された。さらに、正常部と黒色部との境界には、高さ5μm程度の段差が存在していることが分かった。そのため、黒色部では圧延中のスケールが一度剥離し、その後スケールが再形成されている可能性が示唆された。
そこで、圧延時の応力集中箇所を確認するため、応力解析を実施した。その結果、凸部の裾に塑性変形歪みが集中する箇所が存在することが分かった。三日月模様は通常、凸部の裾で発生している。すなわち、三日月模様の発生箇所と塑性変形歪みの集中箇所が一致している。しがたって、仕上圧延の最終の圧延スタンドで過圧力が加わりスケールが剥離した結果、三日月模様が形成されるものと推測される。
このことを確認するため、仕上圧延の最終の圧延スタンドでスケールが剥離したと仮定し、その後鋼板が巻取られて室温まで冷却されるまでにどの程度スケールが成長するかをシミュレーションにより算出した。シミュレーション条件は、仕上圧延の出側温度を830℃とし、仕上圧延後610℃までの温度領域を45℃/秒で冷却し、590℃で巻取るものとした。その結果、スケール膜厚は、常温まで冷却されるまでの間に5μm程度まで成長することが分かった。正常部のスケール膜厚は10μm程度であり、黒色部のスケール膜厚は5μmである。この解析からも、三日月模様は、仕上圧延の最終の圧延スタンドでスケールが剥離し、その後さらにスケールが成長することによって形成されるものであることが示唆された。このように、従来知られていたスケール剥離と三日月模様とは、その形態はもちろんのこと、発生メカニズムも全く異なる欠陥である。
J. Robertson and M. I. Manning "Limits to adherence of oxide scales", Material Science and Technology, Vol.6 (1990), issue 1, pp. 81-92によれば、スケールは、厚いほど脆性変形すなわち破砕しやすく、薄いほど延性変形しやすい。したがって、スケール膜厚を薄くすることで、仕上圧延時のスケール剥離を抑制できると考えられる。
仕上圧延の出側温度を比較的低温(800~850℃)にすることで、スケールの延性が向上し、仕上圧延中のスケール成長が抑制される。これによって、仕上圧延時のスケール剥離が抑制され、三日月模様の発生が抑制されるものと推測される。なお、仕上圧延時のスケール剥離を抑制するには、最終の圧延スタンドの圧下率を低くすることも考えられるが、必要な縞高さを確保できなくなるため好ましくない。
本発明者らは、上記の知見に基づき、仕上圧延の出側温度及び巻取温度を適切に管理し、さらにその間の冷却条件等を適切に管理することで、巻取後のスケール剥離、仕上圧延時のスケール剥離に起因する三日月模様その他の外観不良を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
[全体の構成]
図5は、本発明の一実施形態による縞鋼板の製造方法のフロー図である。本実施形態による縞鋼板の製造方法は、鋼板を準備する工程(ステップS1)と、鋼板を仕上圧延する工程(ステップS2)と、鋼板を冷却する工程(ステップS3)と、鋼板を空冷する工程(ステップS4)と、鋼板を巻取る工程(ステップS5)とを備えている。
図6は、本実施形態による縞鋼板の製造に使用する圧延設備の一例である圧延設備100の模式図である。圧延設備100は、加熱炉1、粗圧延機2、仕上圧延機3、冷却装置4、空冷装置5、及び巻取機6を備えている。鋼板Sは、図示しない搬送装置(例えば搬送ロール)によって搬送され、上記各設備によって連続的に処理される。
この圧延設備100はあくまで例示であり、本実施形態で使用する設備の構成を限定するものではない。図6では、圧延設備として、粗圧延と仕上圧延とを連続して実施する連続熱延設備を示している。しかし、本実施形態による縞鋼板の製造方法は、粗圧延と仕上圧延とを別々に実施してもよい。
[準備工程]
仕上圧延の対象となる鋼板を準備する(ステップS1)。本実施形態で対象とする鋼板の化学組成は、C:0.01~0.2質量%を含む。C含有量が0.2質量%を超えると、良好な縞形状を得ることが困難になる。一方、C含有量が0.01%未満では、必要な強度を確保することが困難になる。C含有量の下限は、好ましくは0.02質量%であり、さらに好ましくは0.03質量%である。C含有量の上限は好ましくは0.07質量%であり、さらに好ましくは0.06質量%である。
C以外の成分は特に限定されない。鋼板としては例えば、炭素鋼を用いることができるが、Cr、Mo等の合金元素が添加されたものを用いてもよい。
仕上圧延の対象となる鋼板は、例えば、スラブを加熱炉1によって1200~1400℃程度に加熱した後、粗圧延機2によって25~60mm程度に粗圧延することで製造することができる。上述のとおり、粗圧延と仕上圧延とは、別々に実施してもよい。
粗圧延後の鋼板は、仕上圧延前に高圧水等によってデスケーリングしておくことが好ましい。粗圧延後又はデスケーリング後、仕上圧延前に、インダクションヒータ等によって鋼板を再加熱してもよい。
[仕上圧延工程]
鋼板を仕上圧延機3によって仕上圧延する(ステップS2)。仕上圧延機3は、これに限定されないが、鋼板Sの搬送方向に沿って配置された4~7台の圧延スタンドを備えている。このうち、最終の圧延スタンドに搭載されている圧延ロールの一方のロール31は、表面に溝が形成された縞ロールである。鋼板Sは、縞ロール31によって圧延されて、凸部が形成される。最終スタンドでの圧下率は、これに限定されないが、例えば25%程度である。
本実施形態では、仕上圧延の出側温度を800~850℃にする。仕上圧延の出側温度(以下、単に「出側温度」という。)は、仕上圧延機3を通過した直後の鋼板の表面温度とする。出側温度は、仕上圧延機の直前の鋼板Sの表面温度(以下「入側温度」という。)及び鋼板Sの搬送速度によって調整することができる。
出側温度が850℃よりも高いと、仕上圧延時のスケール剥離が発生しやすくなり、三日月模様発生の原因となる。一方、出側温度が800℃未満だと、仕上圧延中にスケールの変態が開始し、良好な縞形状が得られなくなる。出側温度の下限は、好ましくは810℃であり、さらに好ましくは820℃である。出側温度の上限は、好ましくは845℃であり、さらに好ましくは840℃である。
入側温度は、好ましくは1070~1130℃である。入側温度が高すぎると、出側温度を適切に管理してもスケールの成長を抑制できない場合がある。一方、入側温度が低すぎると、出側温度を上述した範囲の温度に設定することが困難になる。
[冷却工程]
仕上圧延された鋼板を冷却装置4によって冷却する(ステップS3)。冷却装置4は、例えば水冷装置である。この冷却は、仕上圧延終了後(より具体的には、仕上圧延機3を通過後)、1.5秒以内に開始する。仕上圧延終了から冷却開始までの時間が1.5秒よりも長いと、スケール膜厚の増大及びヘマタイトの生成により、巻取り後のスケール剥離が発生しやすくなる。
冷却工程の冷却速度は、40℃/秒以上60℃/秒未満とする。ここでの冷却速度は、仕上圧延の出側温度から冷却終了温度(より具体的には、冷却装置4を通過直後の鋼板Sの表面温度)までの平均冷却速度である。冷却終了温度は、630℃以下である。すなわち、仕上圧延の出側温度から630℃以下の温度までを上記の冷却速度で冷却し、この温度域でのスケール膜厚の増大を抑制する。冷却終了温度の下限は、巻取り工程(ステップS5)の巻取温度以上であればよい。冷却終了温度の下限は、好ましくは巻取温度+10℃である。
冷却速度が40℃/秒未満であると、スケール膜厚の増大により、巻取り後のスケール剥離が発生しやすくなる。一方、冷却速度が60℃/秒以上であると、鋼板上の水(板上水)によって過冷却が発生し、後段の巻取り工程(ステップS5)において巻取温度が目標温度域であったとしても、良好なマグネタイトシームを形成することができなくなる。その結果、巻取り後のスケール剥離が発生しやすくなる。
[空冷工程]
冷却工程(ステップS3)後、巻取り工程(ステップS5)前に、空冷装置5によって0.5~3秒鋼板を空冷する(ステップS4)。空冷は例えば、圧縮空気を鋼板Sに吹き付けることによって行うことができる。空冷時間が0.5秒未満では、鋼板上に冷却水が残存する可能性があり、錆による外観不良の原因となる。一方、空冷時間が3秒よりも長いと、スケール膜厚の増大やヘマタイト生成により、巻取り後のスケール剥離が生じやすくなる。
なお、空冷工程の冷却速度は特に限定されない。搬送ロールへの伝熱による冷却もあるため、鋼板は例えば5~10℃/秒の冷却速度で冷却される。
[巻取り工程]
空冷後、鋼板Sを巻取機6によって巻取る(ステップS5)。巻取温度は、560~620℃である。巻取温度は、巻取機6の直前の鋼板Sの表面温度とする。先述した冷却工程、空冷工程を経ると、巻取温度は560~620℃となる。ここで、例えば巻取機6の直前の鋼板Sの表面温度が620℃であった場合、空冷後かつ巻取前にさらなる冷却(例えば水冷)を実施し、560℃まで降温させてから巻取ることも技術的には可能である。しかしながら、大気中でのさらなる冷却は3FeO+O→3Feの反応を促進する結果、巻取中のマグネタイトシームの生成を妨げる。そのため、先述した冷却工程、空冷工程を経たのち、さらなる冷却は実施せず、速やかに巻取る。
巻取機6に巻取られた鋼板は、搬送ロールへの伝熱による冷却を受けない。そのため、巻取られた鋼板の温度低下速度は非常に小さく、実質的には上述した巻取温度で等温保持されることになる。巻取り後の温度低下速度(冷却速度)は、巻取り後の鋼板(コイル)の表面で、好ましくは3~6℃/分である。コイル表面の温度低下速度がこの範囲になるよう、公知の温度調整用カバーを活用してもよい。鋼板が560~620℃の温度域に保持されることで、マグネタイトシームの生成が促進され、スケールの密着性が向上する。
巻取温度が560℃未満だと、マグネタイトシームが生成せず、巻取り後のスケール剥離が発生しやすくなる。一方、巻取温度が620℃よりも高いと、マグネタイトシームが生成しないことに加えて、スケールの過成長によるスケール剥離や、母材の軟質化等が起こる場合がある。巻取温度の下限は、好ましくは565℃である。巻取温度の上限は、好ましくは610℃であり、さらに好ましくは600℃である。
以上の工程によって、縞鋼板が製造される。本実施形態によれば、スケール剥離、三日月模様その他の外観不良が抑制された縞鋼板が得られる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
質量%で、C:0.052%、Si:0.01%、Mn:0.23%等を含有する厚さ250mmの炭素鋼のスラブを、連続熱延設備によって圧延し、幅1233mm、厚さ3.5mm、縞高さ1.4mmの縞鋼板を製造した。具体的には、スラブを1280℃で3時間加熱した後、粗圧延機によって厚さ50mmの粗バーとした。粗圧延後、高圧水によるデスケーリングを実施した。その後、上述した実施形態で説明した方法にしたがって、仕上圧延、冷却、空冷、及び巻取りを実施した。仕上圧延の入側温度及び出側温度、冷却条件、及び巻取温度を変えながら縞鋼板を製造し、製造された縞鋼板の外観と製造条件との関係を調査した。
縞鋼板の外観評価は、次のように実施した。
巻取り後の鋼板(コイル)を巻戻したのち、目視で観察し、スケール剥離、三日月模様等の外観不良の有無を判定した。所定の長さのコイルのうち、外観不良を含む領域の長さの割合を不良率(%)とした。ただし、外観不良を含む領域が、コイルの長さ方向に10m以内の間隔で存在する場合には、これらの領域は連続した一つの不良領域とみなした。
図7A~図7Dを用いて、不良率の測定方法を具体的に説明する。例えば、コイル100mのうち、ある1m長の領域だけにスケール剥離等が1点又は複数点(長手方向幅方向の大きさは問わない。)存在する場合(図7A)、当該1mを不良区間とし、不良率1%と判定する。スケール剥離が長手方向に連続して1.5m続いている場合(図7B)、不良率1.5%と判定する。また、0.5mのスケール剥離が10m以上離れて(例えば20mずつ離れて)3箇所存在する場合、不良率1.5%と判定する。一方、0.5mのスケール剥離が互いに10m以内の間隔で(例えば1mずつ離れて)3箇所存在する場合(図7D)、当該3.5mを不良区間とし、不良率3.5%と判定する。
この不良率に基づき、不良率が2%未満の場合を「◎」、2%以上10%未満の場合を「○」、10%以上の場合を「×」と評価した。
仕上圧延の入側温度及び出側温度、冷却条件、巻取温度、並びに外観評価結果を表1に示す。なお、いずれの製造条件においても、冷却工程は、仕上圧延工程後1.5秒以内に開始し、630℃以下の温度まで冷却した。
Figure 0007067322000001
No.3、4、7、及び12~14の縞鋼板の製造条件は、仕上圧延の出側温度が800~850℃の範囲にあり、かつ、巻取温度が560~620℃の範囲にあった。また、冷却条件も適正であった。これらの縞鋼板は、不良率が2%未満であった。
No.1及び11の縞鋼板は、No.3、4、7、及び12~14の縞鋼板と比較して不良率がやや高かった。これは、仕上圧延の入側温度が高かったためと考えられる。
No.2の縞鋼板は、不良率が高かった。これは、仕上圧延の出側温度が高かったためと考えられる。このとき、三日月模様が多く発生していた。
No.5の縞鋼板は、不良率が高かった。これは、冷却工程の冷却速度が大きすぎたためと考えられる。このとき、スケール剥離が多く発生していた。
No.6の縞鋼板は、不良率が高かった。これは、巻取り温度が低かったためと考えられる。このとき、スケール剥離が多く発生していた。
No.8の縞鋼板は、不良率が高かった。これは、巻取り温度が高かったと考えられる。このとき、スケール剥離が多く発生していた。
No.9の縞鋼板は、不良率が高かった。これは、仕上圧延の出側温度が低かったためと考えられる。
No.10の縞鋼板は、不良率が高かった。これは、冷却工程の冷却速度が大きすぎたためと考えられる。このとき、スケール剥離が多く発生していた。
以上、本発明の実施の形態を説明した。上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
100圧延設備
S 鋼板
1 加熱炉
2 粗圧延機
3 仕上圧延機
31 縞ロール
4 冷却装置
5 空冷装置
6 巻取機

Claims (3)

  1. C:0.01~0.2質量%を含む鋼板を縞ロールを含む仕上圧延機で圧延して縞鋼板を製造する方法であって、
    出側温度が800~850℃となるように前記鋼板を仕上圧延する工程と、
    前記仕上圧延後、1.5秒以内に冷却を開始し、かつ、630℃以下の温度まで40℃/秒以上60℃/秒未満の冷却速度で前記鋼板を冷却する工程と、
    前記冷却後、0.5~3秒間前記鋼板を空冷する工程と、
    前記空冷後、560~620℃の温度で前記鋼板を巻取る工程とを備える、縞鋼板の製造方法。
  2. 請求項1に記載の縞鋼板の製造方法であって、
    前記仕上圧延の入側温度が、1070~1130℃である、縞鋼板の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の縞鋼板の製造方法であって、
    前記巻取り工程時の温度低下速度が、3~6℃/分である、縞鋼板の製造方法。
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