JP7067291B2 - 車両の後部構造 - Google Patents

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Description

本明細書では、車両の前後方向に延びる一対のリアサイドメンバと、当該一対のリアサイドメンバの間に掛け渡される複数のクロスメンバと、を備えた車両の後部構造を開示する。
車両の中には、後席のシート下に、走行用バッテリなどの高電圧部品を配置するものがある。かかる車両において、後突時に、乗員の生存空間の確保、または、高電圧部品の保護を目的として、車両の骨格を特殊な構造にする技術が多数提案されている。
例えば、特許文献1には、走行用バッテリに接続されたワイヤハーネスを、後突時の衝撃から保護するための骨格構造が開示されている。すなわち、通常、車両の後部には、車両の前後方向に延びる一対のリアサイドメンバと、この一対のリアサイドメンバの間に掛け渡される1以上のクロスメンバと、が設けられている。特許文献1では、フロアパネルにワイヤハーネスを通す貫通孔を形成している。そして、この貫通孔を、比較的、硬いリアサイドメンバおよびクロスメンバの近傍に設けることで、貫通孔の変形を抑えている。これにより、ワイヤハーネスの損傷を効果的に防止できる。
特開2011-005889号公報
しかし、特許文献1では、ワイヤハーネスが挿通される貫通孔の変形抑制については、検討されているが、リアサイドメンバ自体の変形抑制については、十分に考慮されていなかった。ここで、乗員の生存空間の確保や、高電圧部品の保護のためには、後突時におけるリアサイドメンバの変形は、可能な限り抑制されることが望ましい。
そこで、本明細書では、後突時におけるリアサイドメンバの変形をより効果的に防止できる車両の後部構造を開示する。
本明細書で開示する車両後部構造は、車両の後部において、車両前後方向に延びる一対のリアサイドメンバであって、互いに車幅方向に間隔を開けて配された一対のリアサイドメンバと、前記一対のリアサイドメンバの間に掛け渡される第一、第二、第三クロスメンバと、を備え、各リアサイドメンバは、車両後方に進むにつれ車幅方向内側に進む傾斜部と、前記傾斜部の前後において車両前後方向に延びる前部および後部と、を有しており、前記第一クロスメンバは、前記一対のリアサイドメンバの前記前部同士を繋ぎ、前記第二クロスメンバは、前記一対のリアサイドメンバの前記傾斜部と前記後部との境界付近同士を繋ぎ、前記第三クロスメンバは、前記一対のリアサイドメンバの前記傾斜部同士を繋ぎ、前記第三クロスメンバの車幅方向両端近傍には、下方に凸の屈曲点があり、前記第三クロスメンバは、前記屈曲点から前記リアサイドメンバまでの間、車幅方向外側に進むにつれて上方に進むように、斜め上方向にほぼストレートに延びている、ことを特徴とする。
傾斜部同士を繋ぐ第三クロスメンバを設けることで、傾斜部におけるリアサイドメンバの車幅方向内方への倒れ(内倒れ)を効果的に防止でき、リアサイドメンバの変形をより効果的に防止できる。
また、上記構成とすることで、リアサイドメンバが車幅方向内方に座屈して折れる(内折れする)前に、第三クロスメンバが屈曲点で座屈して折れる。その結果、リアサイドメンバの座屈が効果的に防止される。
また、さらに、前記第一クロスメンバおよび前記第三クロスメンバに跨がって設置された高電圧部品を備えてもよい。
リアサイドメンバの変形が抑制されているため、第一クロスメンバから第三クロスメンバまでの距離が変化しにくい。かかる第一、第三クロスメンバに跨がって高電圧部品を設置することで、高電圧部品の締結間距離が変化しにくく、高電圧部品に圧縮荷重がかかりにくくなる。そして、結果として、高電圧部品を適切に保護できる。
また、前記第一クロスメンバから前記第三クロスメンバまでの距離と、前記第三クロスメンバから前記第二クロスメンバまでの距離と、の比率は、2:3~3:2であってもよい。
リアサイドメンバは、第一クロスメンバから第二クロスメンバの間の前後方向略中央が撓みやすく、また、座屈しやすい。こうした略中央(2:3~3:2となる位置)に、第三クロスメンバを設けることで、リアサイドメンバの変形をより効果的に防止できる。
本明細書に開示の車両後部構造によれば、傾斜部同士を繋ぐ第三クロスメンバを設けているため、傾斜部におけるリアサイドメンバの車幅方向内方への倒れ(内倒れ)を効果的に防止でき、リアサイドメンバの変形をより効果的に防止できる。
車両後部の骨格の概略平面図である。 車両後部の骨格の概略側面図である。 図1のA-A線での概略断面図である。 図1のB-B線での概略断面図である。 中間クロスメンバがない車両後部構造の概略図である。 リアサイドメンバが内折れする様子を示すイメージ図である。 中間クロスメンバの端部を屈曲させない場合の模式図である。 中間クロスメンバが屈曲点で折れた際の模式図である。 リアサイドメンバの変形の様子を示すイメージ図である。 リアサイドメンバの変形の様子を示すイメージ図である。 リアサイドメンバの変形の様子を示すイメージ図である。 後突時に生じる後部骨格の変形の流れを示す図である。
以下、車両の後部構造について図面を参照して説明する。図1は、車両後部の骨格の概略平面図である。また、図2は、車両後部の骨格の概略側面図である。また、図3は、図1のA-A線での概略断面図であり、図4は、図1のB-B線での概略断面図である。なお、以下の図面において、Fr,Up,Rは、それぞれ車両の前方、上方、右側方を意味している。
図1に示す通り、車両の後部には、一対のリアサイドメンバ(以下、「リア」を「Rr」と略する。他部材も同じ)10が設けられている。Rrサイドメンバ10は、車両前後方向に延びる骨格部材である。このRrサイドメンバ10の前端には、フロアサイドメンバ12が接続されており、Rrサイドメンバ10の後端にはRrバンパリーンフォースメント14が接続されている。
各Rrサイドメンバ10は、図1に示すように、その途中において、車幅方向内側に屈曲している。これは、Rrサイドメンバ10の側方に後輪タイヤ24を設置するためである。以下の説明では、Rrサイドメンバ10のうち、車幅方向に傾斜している部分を傾斜部28と呼び、その前後を、それぞれ、前部26および後部30と呼ぶ。後部30は、前部26に比べて、車幅方向内側に位置しており、または、車幅方向寸法が小さくなっている。したがって、後部30の図心は、前部26の図心より車幅方向内側にずれているといえる。傾斜部28の車幅方向寸法は、前部26と後部30との車幅方向寸法の違いを吸収するべく、車両後方に近づくにつれ徐々に小さくなっている。また、傾斜部28は、車両後方に近づくにつれ車幅方向内側に進むように傾斜している。
Rrサイドメンバ10は、図4に示すように、第一サイドメンバ部材40と第二サイドメンバ部材42と、を溶接して構成される。第一サイドメンバ部材40は、その断面形状が上方に開口した略ハット状であり、第二サイドメンバ部材42は、第一サイドメンバ部材40の開口を覆う略平板状である。この第一、第二サイドメンバ部材40,42を溶接して成るRrサイドメンバ10は、図4に示すように、略矩形の閉断面を有する。なお、Rrサイドメンバ10の強度確保や折れ位置のコントロールを目的として、第一、第二サイドメンバ部材40,42の複数箇所には、様々な形状の凹凸(ビード)が設けられている。なお、第一サイドメンバ部材40、第二サイドメンバ部材42は、それぞれ単一の部材である必要はなく、車両前後の方向にいくつかに分割されていてもよい。例えば、第一サイドメンバ部材40は、車両前後方向に三つに分割されていてもよい。
一対のRrサイドメンバ10の間には、複数のクロスメンバ16,18,20,22が掛け渡されている。センタークロスメンバ(以下、「センター」を「Ctr」と略す)16は、一対のRrサイドメンバ10の前部26同士を繋いでおり、第一クロスメンバとして機能する。また、第一Rrクロスメンバ18は、一対のRrサイドメンバ10の後部30同士を繋いでおり、第二クロスメンバとして機能する。この第一Rrクロスメンバ18は、図1から明らかなとおり、傾斜部28と後部30との境界近傍に接続されている。第二Rrクロスメンバ20は、第一Rrクロスメンバ18の後方において、一対のRrサイドメンバ10の後部30同士を繋いでいる。Rrサイドメンバ10のうち、この第一、第二Rrクロスメンバ18,20の固着位置近傍には、図2に示すように、ブラケット39が固着されている。そして、このブラケット39を介して、第一、第二Rrクロスメンバ18,20の下方に、サスペンションメンバ32が吊り下げ保持されている。車両の走行用動力を生成するモータ(図示せず)は、このサスペンションメンバ32に保持されている。
Ctrクロスメンバ16と第一Rrクロスメンバ18との間には、さらに、中間クロスメンバ22が配されている。中間クロスメンバ22は、一対のRrサイドメンバ10の傾斜部28同士を繋いでおり、第三クロスメンバとして機能する。走行用の電力を蓄電するメインバッテリ34は、この中間クロスメンバ22とCtrクロスメンバ16とに跨がって設置されている。
すなわち、図1に示すように、メインバッテリ34は、車幅方向に長尺な略直方体形状であるが、このメインバッテリ34の前端は、ブラケットやフロアパネル(いずれも図示せず)を介してCtrクロスメンバ16に締結されている。また、メインバッテリ34の後端は、ブラケット等を介して、中間クロスメンバ22に締結されている。
中間クロスメンバ22の横断面形状は、図3に示すように、上方に開口した略U字状である。なお、図3では、中間クロスメンバ22の上部開口を覆う上板46を図示しているが、この上板46は、中間クロスメンバ22と他部材(例えばメインバッテリ34)とを締結する締結位置にのみ部分的に設けられている。したがって、後述する中間クロスメンバ22の車幅方向の両端近傍、すなわち、図4で見える範囲には、上板46は設けられていない。
中間クロスメンバ22の車幅方向の端部近傍は、図4に示すように、車幅方向外側に進むにつれ上方に進むように、斜め上方に屈曲している。別の言い方をすれば、中間クロスメンバ22は、車幅方向両端近傍に屈曲点Pcが設定されている。この屈曲点Pcにおける屈曲角度(中間クロスメンバ22の下端稜線と水平線とが成す角度)αは、0度よりも大きく、90度よりも小さいのであれば、特に限定されない。ただし、後述する中間クロスメンバ22の折れを誘発するためには、当該屈曲角度αは、10度以上であることが望ましい。
中間クロスメンバ22の車幅方向の末端は、Rrサイドメンバ10の側面と略平行な方向に折り曲げられ、フランジ部22aを構成する。中間クロスメンバ22は、当該フランジ部22aを介してRrサイドメンバ10の側面に溶接接合されている。
以上の通り、中間クロスメンバ22は、一対のRrサイドメンバ10の傾斜部28同士を繋ぐ部材であるが、こうした中間クロスメンバ22を設けることで、車両後突時におけるRrサイドメンバ10の変形をより効果的に防止できる。これについて、従来の構造と比較して説明する。
図5は、中間クロスメンバ22がない車両後部構造の概略図である。車両の後部に、被衝突物が衝突する後突が生じると、当然ながら、Rrサイドメンバ10の後端に衝突荷重が入力される。ここで、上述したとおり、Rrサイドメンバ10は、後輪タイヤ24を配置する関係上、必ず、その途中で、車幅方向内側に屈曲している。そのため、Rrサイドメンバ10の図心Lcは、車両の後方から前方に向かう途中で車幅方向外側にずれていく。かかるRrサイドメンバ10の後端に衝突荷重が入力された場合、当該衝突荷重は、Rrサイドメンバ10の後部30においては、その図心Lcからみて車幅方向に偏心していない荷重であるが、傾斜部28、前部26においては、その図心Lcからみて車幅方向内側に偏心した荷重となる。そのため、中間クロスメンバ22がない場合、図5に示すように、傾斜部28から前部26にかけて、Rrサイドメンバ10に車幅方向内向きの力F1がかかる。この力F1により、Rrサイドメンバ10が車幅方向内側に倒れる、いわゆる、「内倒れ」が生じる。特に、Rrサイドメンバ10のうち、傾斜部28の中間付近は、Ctrクロスメンバ16および第一Rrクロスメンバ18の双方から離れているため、内倒れが生じやすい。この内倒れの倒れ量が増加すると、衝突荷重を軸力として受けられなくなり、Rrサイドメンバ10が早期に変形してしまう。しかし、乗員の生存空間を確保したり、メインバッテリ34を適切に保護したりするためには、こうしたRrサイドメンバ10の変形は、可能な限り抑えることが望まれている。
そこで、本例では、一対のRrサイドメンバ10の傾斜部28同士を繋ぐ中間クロスメンバ22を設けている。中間クロスメンバ22を傾斜部28に設けることで、傾斜部28におけるRrサイドメンバ10の内倒れを効果的に防止できる。なお、内倒れを効果的に防止するためには、中間クロスメンバは、Ctrクロスメンバ16および第一Rrクロスメンバ18のいずれにも近接していないことが望ましい。したがって、図2において、中間クロスメンバ22からCtrクロスメンバ16までの距離をL1、中間クロスメンバ22から第一Rrクロスメンバ18までの距離をL2とした場合、L1とL2の比率は、2:3~3:2の範囲内であることが望ましく、ほぼ1:1であることがより望ましい。
以上の通り、本例では、傾斜部28同士を繋ぐ中間クロスメンバ22を設けることで、Rrサイドメンバ10の内倒れを効果的に防止できる。ここで、Rrサイドメンバ10からの荷重を効率的に中間クロスメンバ22に伝達する場合、図7に示すように、中間クロスメンバ22の下端の稜線をRrサイドメンバ10の下端の稜線と連続させることが望ましい。しかしながら、この場合、Rrサイドメンバ10の内倒れが強固に防止されるため、今度は、Rrサイドメンバ10のうち、Ctrクロスメンバ16から中間クロスメンバ22までの範囲E(図6参照)において応力が集中しやすくなる。その結果、図6において、二点鎖線で示すように、範囲EにおいてRrサイドメンバ10が、車幅方向内側に座屈して折れる内折れが生じるおそれがある。特に、後突の中盤以降では、後輪タイヤ24がRrサイドメンバ10の傾斜部28に接触することにより、範囲Eの内折れが、より生じやすい。
ここで、上述したとおり、メインバッテリ34の前端は、Ctrクロスメンバ16に、後端は中間クロスメンバ22に、連結されている。そのため、Ctrクロスメンバ16から中間クロスメンバ22までの距離L1が縮小されると、メインバッテリ34の締結間距離も縮小し、メインバッテリ34に圧縮荷重がかかることになる。Rrサイドメンバ10が内折れすると、このメインバッテリ34の締結間距離が縮小し、メインバッテリ34が十分に保護できないおそれがある。
こうした範囲Eへの応力集中を避け、Rrサイドメンバ10の内折れを防止するためには、Rrサイドメンバ10にかかる負荷が塑性域に達する前に、Rrサイドメンバ10の内倒れを発生させ、応力の集中を避けることが望ましい。そこで、本例では、上述した図4のとおり、中間クロスメンバ22の車幅方向の端部近傍に、斜め状況に向かう屈曲点Pcを設けている。これについて、図8を参照して説明する。図8は、中間クロスメンバ22が屈曲点Pcで折れた際の模式図である。
図8に示すように、中間クロスメンバ22の両端近傍に屈曲点Pcを設けることで、中間クロスメンバ22を、Rrサイドメンバ10よりも折れやすくできる。その結果、衝突の中盤以降では、図8に示すように、Rrサイドメンバ10が内折れするより先に中間クロスメンバ22が、屈曲点Pcを中心として折れる。中間クロスメンバ22が折れることで、Rrサイドメンバ10の車幅方向内側への移動が許容されるため、Rrサイドメンバ10の内倒れが生じる。そしてこれにより、応力の集中が抑制され、Rrサイドメンバ10の内折れが効果的に防止される。そして、結果として、Ctrクロスメンバ16から中間クロスメンバ22までの距離L1、ひいては、メインバッテリ34の締結間距離の縮小が防止され、メインバッテリ34がより確実に保護される。
ところで、後突の際、Rrサイドメンバ10は、高さ方向にも、変形する。これについて、図9A~図9Cを参照して説明する。後突が生じると、Rrサイドメンバ10は、図9Aに示すように、第二Rrクロスメンバ20との固着点(以下「A点」と呼ぶ)付近で、上凸に折れる。上凸に折れたあとも、衝突荷重が印加されることで、図9Bに示すように、Rrサイドメンバ10の後方が、上方に持ち上げられ、Rrサイドメンバ10は、後ろ上がりに浮き上がった状態となる。そして、Rrサイドメンバ10の浮き上がりが一定以上になると、図9Cに示すように、Ctrクロスメンバ16の固着点(以下「B点」と呼ぶ)付近において、Rrサイドメンバ10が下凸で折れる。こうした過程で、中間クロスメンバ22との固着点も、上方に移動する。
ここで、図8から明らかなとおり、中間クロスメンバ22の折れは、車幅方向内向きの力だけでなく、上向きの力を受けた場合にも生じる。したがって、後突が進み、Rrサイドメンバ10が後ろ上がりに浮き上がることで、中間クロスメンバ22の折れが、より確実に生じる。
図10は、後突時に生じる後部骨格の変形の流れを示す図である。後突が発生すると、まず、A点付近、すなわち、第二Rrクロスメンバ20付近であり、かつ、サスペンションメンバ32の後部締結点付近において、Rrサイドメンバ10が上凸に折れ、当該A点付近が略山上に浮き上がる(S10)。さらに、A点より後方部分は、衝突荷重で押しつぶされていく。結果として、Rrサイドメンバ10は、後ろ上がりに傾斜した状態となる。この状態で、後方から衝突荷重が印加されると、Rrサイドメンバ10の傾斜がよりきつくなり、Rrサイドメンバ10の後部30、傾斜部28が上方に浮き上げられる(S12)。このとき、Rrサイドメンバ10の傾斜部28には、図心Lcのずれに起因して車幅方向内側に偏心した荷重が加わる。そのため、中間クロスメンバ22がない場合には、傾斜部28において、Rrサイドメンバ10が車幅方向内側に倒れる内倒れが発生するが、本例では、上述したとおり、中間クロスメンバ22を設けているため、こうした内倒れが効果的に防止され、Rrサイドメンバ10が早期に変形することを防止できる。
このように、Rrサイドメンバ10が後ろ上がりに浮き上がるのと並行して、Rrサイドメンバ10の側方に設置された後輪タイヤ24が、前方に移動し、Rrサイドメンバ10に接触する(S14)。また、Rrサイドメンバ10の後部30の浮き上がりが一定以上になると、今度は、B点付近、すなわち、Ctrクロスメンバ16付近で、Rrサイドメンバ10が、下凸に折れる(S16)。この下凸により、Rrサイドメンバ10の傾斜角度がより急峻となり、より上方に持ち上がる(S18)。
このとき、Rrサイドメンバ10の傾斜部28には、車幅方向内側、かつ、上方に向かう大きな力がかかる。中間クロスメンバ22が折れない場合、クロスメンバ16,22で補強されていない範囲E(Ctrクロスメンバ16と中間クロスメンバ22との間の領域)において、Rrサイドメンバ10が車幅方向内側に折れ、メインバッテリ34の締結間距離の縮小を招く。しかし、本例では、上述したとおり、中間クロスメンバ22の端部近傍に屈曲点Pcを設けているため、Rrサイドメンバ10が内折れするよりも先に、中間クロスメンバ22の端部が座屈して折れる(S20)。これにより、Rrサイドメンバ10が、内側に倒れる内倒れが発生し、内折れが防止される(S22)。結果として、メインバッテリ34の締結間距離を十分に確保することができ、メインバッテリ34を適切に保護できる。
以上の説明から明らかなとおり、本例では、Rrサイドメンバ10の前部26同士を繋ぐCtrクロスメンバ16、および、Rrサイドメンバ10の後部30同士を繋ぐ第一Rrクロスメンバ18に加え、さらに、Rrサイドメンバ10の傾斜部28同士を繋ぐ中間クロスメンバ22を設けている。そのため、後突初期におけるRrサイドメンバ10の内倒れを効果的に防止できる。また、この中間クロスメンバ22に折れのきっかけとなる屈曲点Pcを設けているため、後突の中盤以降では、Rrサイドメンバ10が内折れするより先に、中間クロスメンバ22が折れる。その結果、Rrサイドメンバ10の内倒れが許容され、Rrサイドメンバ10の内折れが効果的に防止される。そして、結果として、メインバッテリ34の締結間距離を適切に保つことができ、メインバッテリ34を十分に保護できる。
なお、ここで説明した構成は一例であり、少なくとも、Rrサイドメンバ10の前部26同士を繋ぐCtrクロスメンバ16と、傾斜部28と後部30との境界付近同士を繋ぐ第一Rrクロスメンバ18と、傾斜部28同士を繋ぐ中間クロスメンバ22と、を備えるのであれば、その他の構成は、適宜、変更されてもよい。例えば、中間クロスメンバ22の屈曲点Pcは、無くてもよく、図7に示すように、中間クロスメンバ22の下端稜線を、Rrサイドメンバ10の下端稜線と連ならせてもよい。
10 Rrサイドメンバ、12 フロアサイドメンバ、14 Rrバンパリーンフォースメント、16 Ctrクロスメンバ(第一クロスメンバ)、18 第一Rrクロスメンバ(第二クロスメンバ)、20 第二Rrクロスメンバ、22 中間クロスメンバ(第三クロスメンバ)、24 後輪タイヤ、26 前部、28 傾斜部、30 後部、32 サスペンションメンバ、34 メインバッテリ、39 ブラケット、40 第一サイドメンバ部材、42 第二サイドメンバ部材、46 上板。

Claims (3)

  1. 車両の後部において、車両前後方向に延びる一対のリアサイドメンバであって、互いに車幅方向に間隔を開けて配された一対のリアサイドメンバと、
    前記一対のリアサイドメンバの間に掛け渡される第一、第二、第三クロスメンバと、
    を備え、
    各リアサイドメンバは、車両後方に進むにつれ車幅方向内側に進む傾斜部と、前記傾斜部の前後において車両前後方向に延びる前部および後部と、を有しており、
    前記第一クロスメンバは、前記一対のリアサイドメンバの前記前部同士を繋ぎ、
    前記第二クロスメンバは、前記一対のリアサイドメンバの前記傾斜部と前記後部との境界付近同士を繋ぎ、
    前記第三クロスメンバは、前記一対のリアサイドメンバの前記傾斜部同士を繋ぎ、
    前記第三クロスメンバの車幅方向両端近傍には、下方に凸の屈曲点があり、
    前記第三クロスメンバは、前記屈曲点から前記リアサイドメンバまでの間、車幅方向外側に進むにつれて上方に進むように、斜め上方向にほぼストレートに延びている、
    ことを特徴とする車両後部構造。
  2. 請求項に記載の車両後部構造であって、さらに、
    前記第一クロスメンバおよび前記第三クロスメンバに跨がって設置された高電圧部品を備える、ことを特徴とする車両後部構造。
  3. 請求項1または2に記載の車両後部構造であって、
    前記第一クロスメンバから前記第三クロスメンバまでの距離と、前記第三クロスメンバから前記第二クロスメンバまでの距離と、の比率は、2:3~3:2である、ことを特徴とする車両後部構造。
JP2018111174A 2018-06-11 2018-06-11 車両の後部構造 Active JP7067291B2 (ja)

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