JP7067231B2 - 積層体及び該積層体の製造方法 - Google Patents

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本発明は積層体及び該積層体の製造方法に関し、更に詳しくは、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層と膜厚が1μm以上の透明樹脂層とを有する積層体に関する。
特許文献1及び2には、漆黒性の樹脂塗工物、フィルム、成形物を得るためにはカーボンブラックを樹脂溶液や固形樹脂に均一に分散させることが開示されている。
特許文献3には、多孔質カーボンから形成される着色低抵抗膜上に、前記着色低抵抗膜より低屈折率の膜が形成されてなる多層膜が開示されている。
特開2001-179176号公報 特開2004-098033号公報 特開平08-054502号公報
しかし、特許文献1及び2の発明では、明度(L*)が高い(灰色・白)方向にあり、色度(a*、b*)がプラス方向(+a*:赤、+b*:黄)となり、いわゆる「ピアノブラック」や「カラスの濡れ羽色」といった漆黒性を表現することが困難であった。
また特許文献3の発明は、低抵抗性を実現するために、着色低抵抗膜上の低屈折率層の膜厚は100nm程度とする必要がある。しかしながら、100nm程度の膜厚は可視光の波長より薄いため漆黒性を発現することが困難であった。また100nm程度の膜厚では下地の表面粗さが多層膜の表面に影響を与えるため、塗膜表面の凹凸により漆黒性を表現することが困難であった。
本発明は、上記従来の問題を解決するものであり、黒度の高い漆黒性に優れ、さらに深み感のある外観に優れた積層体及び該積層体の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下〔1〕~〔5〕に関する。
〔1〕 空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層[A層]、及び膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]が順次積層された積層体。
〔2〕 前記黒色層[A層]の膜厚が0.3μm以上である、〔1〕に記載の積層体。
〔3〕 前記透明樹脂層[B層]の膜厚が5~150μmである、〔1〕又は〔2〕に記載の積層体。
〔4〕 前記多孔質黒色顔料のBET比表面積が600m/g以上である、〔1〕~〔3〕いずれか1項に記載の積層体。
〔5〕 基材層、黒色層[A層]、及び膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]が順次積層された積層体の製造方法であって、以下の工程1及び2を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
工程1:前記基材上に、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層形成用塗料を塗工した後、乾燥して、黒色層表面の粗さパラメーターRtが0.15~5μm、Raが0.01~0.5μm、L*値が20以下、400~700nmにおける、正反射率の最大値が0.8%以下、散乱反射率の最大値が2%以下、光透過率の最大値が5%以下である黒色層[A層]を形成する。
工程2:前記黒色層[A層]上に、透明樹脂組成物を塗工、乾燥して膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]を形成する。
本発明の積層体により、漆黒性に優れた樹脂組成物が得られる。よって、高い漆黒性が必要とされる様々な用途分野において、本発明で得られる積層体を使用することが可能である。特に本発明の積層体は、外観にも優れるため、高い意匠性を要求される用途においても、好適に用いることができるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
<積層体>
本発明の積層体は、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層[A層]と、膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]とが順次積層されてなることを特徴とする。上記により、漆黒性に優れ、かつ外観にも優れる積層体とすることができる。また、黒色層[A層]、及び透明樹脂層[B層]の少なくともいずれか一方に、接着層[C層]を有していてもよい。接着層[C層]を有することで、本発明の積層体を種々の被着体に貼り付け、容易に漆黒性を付与することが可能となる。また、黒色層[A層]と透明樹脂層[B層]の間に他の層が設けられていても良い。又は透明樹脂層[B層]の両方に他の層が設けられていても良い。
積層体のJIS Z8729に基づいたL*、a*、b*表色系におけるL*は2.5以下であることが好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。また、a*は-2.0以上、2.0以下であることが好ましく、b*は-2.0以上0.3以下であることが好ましい。特に斯かる範囲であれば、漆黒性に優れた積層体が得られる。L*が小さい程、黒度が高い(明度が低い)ことを示す。a*とb*はゼロ(0)に近い値である程、黒い色相であるといえる。
積層体のJIS Z8729で規定されるL*a*b*表色系における明度(L*)及び色度(a*、b*)は、透明樹脂層側から、色差計(NIPPONDENSHOKU社製、SpectroColorMeterSE2000)を用いて測定することによって得られる。
透明樹脂層[B層]側から測定した積層体の波長380~780nmにおける平均反射率は10%以下であることが好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。特に斯かる範囲であれば、漆黒性に優れた積層体が得られる。
平均反射率は、紫外可視近赤外分光光度計(日立製作所社製、UV-3500、積分球使用)を用い、透明樹脂層側から波長300~1500nmにおける絶対反射スペクトルを5nmの範囲で測定し、波長380nm~780nmの各反射率の加重平均値を求めることで算出できる。
本発明の積層体の形成方法は、積層体の用途等により最適な方法を選択すれば良い。また、透明樹脂層[B層]の形成方法、及び形状により、必要に応じた方法を選択できる。
例えば、
(i)膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]上に、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層形成用塗料を層形成し、その後加熱硬化させ黒色層[A層]を形成する方法、
(ii)基材上に、前記黒色層形成用塗料を層形成し、その後加熱硬化させ黒色層[A層]を形成した後、膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]を積層する方法、
(iii)剥離フィルム上に、前記黒色層形成用塗料を層形成し、その後加熱硬化させ黒色層[A層]を形成した後、膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]を積層し、剥離フィルムを剥離除去する方法、
(iv)剥離フィルム上に、透明樹脂組成物を塗布しその後塗膜を加熱硬化させ膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]を形成した後、透明樹脂層[B層]上に前記黒色層形成用塗料を層形成し、その後加熱硬化させ黒色層[A層]を形成し、剥離フィルムを剥離除去する方法、などにより形成することができる。
本発明の積層体について、好ましくは、基材層、黒色層[A層]、及び膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]を順次積層された積層体であって、上記(ii)の方法で製造することが好ましい。より好ましくは、以下の工程1及び2を含む製造方法である。
工程1:前記基材上に、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層形成用塗料を塗工した後、乾燥して、黒色層表面の粗さパラメーターRtが0.15~5μm、Raが0.01~0.5μm、L*値が20以下、400~700nmにおける、正反射率の最大値が0.8%以下、散乱反射率の最大値が2%以下、光透過率の最大値が5%以下である黒色層[A層]を形成する。
工程2:前記黒色層[A層]上に、透明樹脂組成物を塗工、乾燥して膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]を形成する。
また、接着層[C層]を有する場合は、例えば、
(I)上記いずれかの方法で得られた黒色層[A層]と透明樹脂層[B層]が積層された積層体のどちらか一方の面に粘着剤又は接着剤を塗布した後に加熱乾燥、硬化する方法、
(II)剥離フィルム上に、粘着剤又は接着剤を塗布した後に加熱乾燥、硬化させ接着層[C層]を形成した後、上記いずれか記載の方法で得られた黒色層[A層]と透明樹脂層[B層]が積層された積層体のどちらか一方の面と接着層[C層]とを貼り合わせる方法、
(III)剥離フィルム上に、黒色層形成用塗料を層形成し、その後加熱硬化させ黒色層[A層]を形成し、別の剥離フィルム上に形成した接着層[C層]と黒色層[A層]とを貼り合わせたのちに黒色層[A層]上の剥離フィルムを剥離除去し、さらに黒色層[A層]上に透明樹脂層[B層]を積層する方法、
などにより形成することができる。
<黒色層[A層]>
本発明の黒色層[A層]は、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含むことを特徴とする。また、このような空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層形成用塗料を塗布することにより、漆黒性に優れた黒色層[A層]とすることが可能となる。
[空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料]
本発明に使用することができる多孔質黒色顔料は、空隙率が50%以上であれば特に制限はないが、カーボンブラック、黒鉛、酸化物系黒色顔料などや、カーボンブラック、黒鉛、酸化物系黒色顔料を骨格としたエアロゲルのような形態を持つ多孔質体を使用でき、これらは単独でも混合して用いても良いが、特に多孔質カーボンブラックを単独で使用することが好ましい。また、空隙率が高くなるほど、光の吸収率が向上し漆黒性が増すため、空隙率は50%以上であることが必要であり、好ましくは75%以上である。
空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料ではない黒色顔料を併用することも可能ではあるが、漆黒性の発現の観点からは空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料100質量部に対し、50質量部以下が好ましい。使用できる空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料ではない黒色顔料は、カーボンブラック、黒鉛、酸化物系黒色顔料などが挙げられるが、黒色であれば特に制限はない。
空隙率は既知の方法から算出することができ、例えば、物理ガス吸着法、tプロット、BJH法などによって算出することができる。
多孔質黒色顔料の比表面積は、600m/g以上であることが好ましく、より好ましくは1200m/g以上である。比表面積が高いほど光の吸収性が向上し、漆黒性の観点から望ましい。
[バインダー成分]
本発明の黒色層[A層]は、多孔質黒色顔料の他に必要に応じてバインダー成分を含むことができる。
黒色層[A層]に使用することができるバインダー成分に特に制限はないが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ウレタンウレア樹脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、スチレン樹脂、ニトロセルロース、ベンジルセルロース、セルロース(トリ)アセテート、カゼイン、シェラック、ギルソナイト、スチレン-無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ロジン、ロジンエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルニトロセルロース、エチレン/ビニルアルコール樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性塩素化ポリオレフィン樹脂、及び塩素化ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
黒色層[A層]には必要に応じて、硬化剤を使用することができる。使用できる硬化剤に制限はないが、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂などが挙げられる。
黒色層[A層]に使用することができるバインダー成分として、オリゴマー及び/又はモノマーからなる電子線又は紫外線硬化性樹脂を用いても良い。
単官能モノマーとしては、特に制限はないが、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2 - フェノキシエチルアクリレート、インデシルアクリレート、イソクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、エトキシ化ノニフェノールアクリレート、プロポキシ化ノニルフェノールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレンアクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェニルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、エチレンオキサイド2-エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート等やこれらのメタクリレートモノマーが挙げられる。
二官能モノマーとしては、1 ,3-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、(水素化) ビスフェノー
ルA ジアクリレート、(水素化) エチレンオキサイド変性ビスフェノールA ジアクリレート、(水素化) プロピレングリコール変性ビスフェノールA ジアクリレート、1 , 6-ヘキサンジオールジアクリレート、2-エチル,2-ブチル-プロパンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート等やこれらのメタクリレートモノマーが挙げられる。
多官能モノマーとしては、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリルトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレート、トリス( アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタアクリレートエステル、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等やこれらのメタクリレートモノマーが挙げられる。
ラジカル重合性の架橋成分を紫外線により架橋させる場合には、特に制限はないが、例えば、光重合開始剤としてアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、メタロセンなどが挙げられる。また、重合促進剤として、アミン類、ホスフィン類を併用することも可能である。電子線により架橋させる場合にはこれらを配合しなくても良い。
また、カチオン反応性の成分を紫外線により架橋させる場合には、カチオン系開始剤としては、ルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨードニウム塩、ルイス 酸のスルホニウム塩、ルイス酸のホスホニウム塩、その他のハロゲン化物、トリアジン系開始剤、ボーレート系開始剤、及びその他の光酸発生剤などが挙げられる。電子線により架橋させる場合にはこれらを配合しなくても良い。
これらバインダー樹脂、オリゴマー、モノマーは単独でも混合して用いても良い。
多孔質黒色顔料とバインダー成分の比率は、占有体積比率で50:50~100:0であり、65:35~100:0であることが好ましく、より好ましくは85:15~95:5である。50:50より多く多孔質黒色顔料が配合されることで、光の吸収性が向上し、漆黒性を発現できる。さらに65:35より多く多孔質黒色顔料が配合されることで、より一層の塗膜の光吸収性を達成でき、漆黒性を向上させることが可能となる。また、95:5より多孔質黒色顔料を少なくすることで膜の強度をより向上させることができる
各成分の占有体積比率は、各成分の質量と比重から理論的に求めた。なお、多孔質黒色顔料以外のその他の成分は、「1(g/cm)」と概算した。
例えば、多孔質黒色顔料の占有体積比率は、以下のようにして理論的に求めた。
(1)多孔質黒色顔料の体積=質量(g)÷(1-空隙率)
空隙率が80%の多孔質黒色顔料、1gの占める体積は、
1(g)÷(1-0.8)(g/cm)=5cm
(2)多孔質黒色顔料以外のその他の成分の体積=質量(g)÷1(g/cm
バインダー成分、1gの占める体積は、
1(g)÷1(g/cm)=1cm
従って、多孔質黒色顔料をA(g)、バインダー成分をB(g)用いる場合、両者の占有体積比率は、(1)×A:(2)×Bとなる。
本発明の黒色層[A層]は、少なくとも空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料を含むものであり、黒色層[A層]の透明樹脂層[B層]側の表面の粗さパラメータRtが、好ましくは0.15~5μmであり、より好ましくは0.15~2μmである。Rtが0.15μm以上であることで、塗膜表面の凸部が十分な大きさを有し、良好な光吸収性を得ることができる。Rtが5μm以下であることで、平滑性の高い積層体が得られる。また、Rtが2μm以下であることで、さらに積層体の平滑性が良好となる。
黒色層[A層]の透明樹脂層[B層]側の表面の粗さパラメータRaは、好ましくは0.01~0.5μmであり、より好ましくは0.01~0.15μmである。Raが0.01μm以上であることで、塗膜表面の凸部が十分な大きさを有し、良好な光吸収性を得ることができる。Raが0.5μm以下であることで、平滑性の高い積層体が得られる。また、Raが0.15μm以下であることで、さらに積層体の平滑性が良好となる。
黒色層[A層]の粗さ曲線Rt、Raは、JIS B0601:2001に準拠した方法で測定した値を示す。Rtは粗さ曲線の最大断面高さを表し、評価長さにおける輪郭曲線の山高さZpの最大値と谷深さZvの最大値との和であり、次の式によって求められる値である。Raは算術平均粗さを表し、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にZ 軸を取り、粗さ曲線をZ=f(x)で表したときに、 次の式によって求められる値である。
Figure 0007067231000001

Figure 0007067231000002
本発明の黒色層[A層]の膜厚は0.3μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。膜厚が0.3μm以上であることで、漆黒性がより良好となる。
黒色層[A層]の波長380~780nmにおける平均反射率は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。特に斯かる範囲であれば、漆黒性に優れた積層体が得られる。
黒色層[A層]は、さらに顔料分散剤、界面活性剤、カップリング剤や顔料誘導体を含有しても良い。顔料誘導体とは、カラーインデックスに記載されている有機顔料残基に、特定の置換基を導入したものである。
黒色層[A層]には、必要に応じて、難燃剤、充填剤、及びその他各種添加剤を含むことができる。難燃剤としては例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及びリン酸化合物等が挙げられる。
添加剤として例えば、基材密着性を高めるためのカップリング剤、吸湿時・高温時の信頼性を高めるためのイオン捕捉剤・酸化防止剤、及びレベリング剤等が挙げられる。
<黒色層[A層]の製造方法>
黒色層[A層]は種々の方法で得ることができる。
例えば、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層形成用塗料を、基材に塗工した後、乾燥することによって得ることができる。より好ましくは、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料と分散媒と必要に応じてバインダー成分とを含有し、前記多孔質黒色顔料の平均分散粒子径(d50)が0.2μm~10μmである黒色層形成用塗料を、基材に塗工した後、乾燥することによって得ることができる。
[黒色層形成用塗料]
本発明の黒色層形成用塗料は、多孔質黒色顔料を分散するための分散媒を含むことが好ましい。使用する分散媒としては、25℃で液状の媒体が好ましい。具体的には、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等のアルコール系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、n-オクタンなどの炭化水素系溶剤などの公知の溶剤を、単独又は複数使用できる。
黒色層形成用塗料は、様々な方法で得ることができる。
例えば、多孔質黒色顔料を分散媒に分散したり、多孔質黒色顔料を分散媒に分散した後、この分散体にバインダー成分を添加したり、若しくはバインダー成分を分散媒に溶解しバインダー溶液とし、前記分散体に添加したり、あるいは、バインダー成分を分散媒に溶解しバインダー溶液に多孔質黒色顔料を分散したりすることができる。
黒色層形成用塗料を得る際、使用できる分散機としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、アトライター、ボールミル、ガラスビーズやジルコニアビーズなどを使用したサンドミル、スキャンデックス、アイガーミル、ペイントコンディショナー、ペイントシェイカー等のメディア分散機、コロイドミルなどが使用できる。
多孔質黒色顔料の平均分散粒子径(d50)は、0.3μm~5μmである分散液を用いることが好ましい。d50が0.2μm以上の黒色層形成用塗料を用いることで、塗膜表面のRt、Raを十分に大きくすることができ、良好な光吸収性を得ることができる。d50が10μm以下の黒色層形成用塗料を用いることで、表面の粗さが大きくなりすぎず(Rt、Raが大になり過ぎない)、平滑性が良好な積層体を得ることができる。
黒色層形成用塗料の平均分散粒子径(d50)は、レーザー回折・散乱式の粒子径分布測定装置、例えば、マイクロトラックMT3000II(マイクロトラック・ベル社製)を使用して求めた数値である。測定は分散液と同様の分散媒体に希釈して25℃にて測定した。
さらに、黒色層[A層]は、以下に示す工程A、Bにより製造されても良い。
工程A:黒色層形成用塗料を、前記基材に塗工した後、乾燥し、黒色膜を形成する。
工程B:表面の粗さパラメーターRtが0.15~5μm、Raが0.010~0.5μmである型の前記表面を、前記黒色膜の表面に押圧し、前記黒色膜の表面に前記型の表面形状を転写し、黒色膜を形成する。
<基材>
基材としては、特に限定されるものではないが、ガラス基材、プラスチック基材(有機高分子基材)のほか、金属基材、紙基材、木基材(木製基材)、石基材、布基材、皮革基材等を挙げることができる。また、その形状としては、平板、フィルム状、シート状、立体形状等が挙げられ、用途や使用条件に基づいて適宜選択することができる。
基材としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン等の合成樹脂のフィルム又はこれらフィルムの複合体、及びガラスなどを用いることが好ましい。
また、基材として、剥離フィルムを用いることもできる。剥離フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース、合成ゴム、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂、フッ素系樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ABS樹脂、シリコーン系樹、天然ゴム、等の樹脂を用いて形成された透明樹脂フィルムを用いることができる。
黒色層形成用塗料はグラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、コーター塗工、スプレー塗工、スピンコーターなどの既知の方式で塗工することができる。より具体的には例えば、本発明の黒色層は、前記の黒色層形成用塗料を、基材の一主面上に、ロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、スリットコート法、スリット&スピンコート法、フローコート法、ダイコート法等の各種塗布法により塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜から樹脂溶媒等の溶剤を揮発等により除去して塗膜を形成し、該塗膜を必要により硬化処理することにより、容易に得ることができる。
<透明樹脂層[B層]>
本発明の透明樹脂層[B層]は、膜厚が1μm以上であり、下層塗膜を視認できる程度の透明性を有するものである。下層塗膜を視認できる程度とは、たとえば、透過率計(NIPPON DENSHOKU社製、TURBIDIMETER NDH5000W)を用いてJIS K7361に準拠し測定した透明樹脂層の全光線透過率が50%以上であることが好ましい。
透明樹脂層[B層]の膜厚は、1μm以上であり、好ましくは5~150μm、より好ましくは25~100μmの範囲内である。上記範囲であれば、漆黒性に優れた積層体が得られる。
透明樹脂層[B層]を形成する方法は、透明樹脂層を形成する物質や形状、透明樹脂層を設ける目的、積層体の用途等により最適な方法を選択すればよい。
透明樹脂層[B層]を黒色層[A層]の保護膜として設ける場合、
(1)予め製膜された透明樹脂フィルムを透明樹脂層[B層]として用い、黒色層[A層]を積層する方法、
(2)基材、又は剥離フィルムなどに、透明樹脂組成物を塗布して形成した透明樹脂層[B層]上に、黒色層[A層]を積層する方法、
(3)予め形成した黒色層[A層]上に、透明樹脂組成物を塗布して透明樹脂層[B層]を形成する方法、
等により形成することができる。より好ましくは(3)の方法である。
[透明樹脂組成物]
なかでも透明樹脂組成物を塗布することにより透明樹脂層[B層]を形成することが、平坦性、外観に優れる積層体とすることができるために好ましい。
透明樹脂層[B層]を、透明樹脂組成物を塗布して形成する方法としては、キャスト、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレー、ブレードコート、スリットダイコート、グラビアコート、リバースコート、スクリーン印刷、鋳型塗布、印刷転写、インクジェットなどのウエットコート法等、一般的な方法を挙げることができる。
(透明樹脂)
透明樹脂組成物に用いることができる透明樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、石油樹脂、ビニル系樹脂、オレフィン樹脂、合成ゴム、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂、フッ素系樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、シリコーン系樹、ニトロセルロース、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性ポリアミド樹脂、天然ゴム、ゼラチン、ロジン、セラック、多糖類、ギルソナイト等を挙げることができるが、主剤として水酸基を含有するポリオール樹脂を使用し、硬化剤がイソシアネートである2液クリア塗料(例えば、2液硬化型ウレタン塗料)が好ましい。得られる透明樹脂塗膜の外観が良好で、耐酸性に優れたものとなるからである。上記主剤として使用されるポリオール樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が挙げられる。
(硬化剤)
透明樹脂組成物の硬化剤として用いるイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビスフェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、メチルシクロへキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、エチルエチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
また、透明樹脂層[B層]を、透明樹脂組成物により層形成する場合、平均反射率を下げるために、屈折率が低いことが好ましい。
屈折率が低い材料としては、無機化合物、有機化合物、及び無機・有機の複合物で構成されたもので内部に空洞を有する構成のあるものが好ましい。単一物質としては、珪素酸化物、フッ化マグネシウム、フッ化セリウム、フッ化ランタン、フッ化カルシウムなどの無機化合物、珪素元素、フッ素元素を含有するポリマーなどの有機化合物、複合体としては、内部に空洞を有するシリカ、アクリルなどの微粒子と単官能若しくは多官能(メタ)アクリル酸エステル、又は/及びシロキサン化合物、又は/及びパーフルオロアルキル基を有する有機化合物の単量体成分を重合して得られる重合体との混合物が挙げられる。
(珪素酸化物)
珪素酸化物は、具体例に例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-i-プロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシランなどのテトラアルコシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、i-プロピルトリメトキシシラン、i-プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、n-ペンチルトリメトキシシラン、n-ペンチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘプチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3-トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、2-ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2-ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2-ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2-ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3-ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3-ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、メチルトリアセチルオキシシラン、メチルトリフェノキシシランなどのオルガノアルコシシランのアルコール、水、酸などから、加水分解・重合反応によって形成させるゾル-ゲルコーティング膜、珪素酸化物のスパッタ蒸着膜などが使用できる。
また、内部に空洞を有するシリカ微粒子を用いた複合物としては、具体的にオプスター(登録商標)TU-2180(JSR株式会社製)、ELCOM(登録商標)P-5024(日揮触媒化成製)などを使用することができる。
<接着層[C層]>
本発明の積層体は、積層体の使用方法、用途に応じて少なくともどちらか一方の面に接着層[C層]を備えても良い。
本発明における接着層[C層]とは、圧力や熱等の作用によって接着性が発現し、本発明の積層体と被着体とを接合する役割を果たすものである。
接着層[C層]に用いられる材料としては、特に限定されるものではなく、一般的な粘着剤、接着剤を用いることができる。具体的には、例えば、一般的な天然ゴム、合成イソプレンゴム、再生ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン-イソプレン-スチレンゴム等を主成分とするゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤及びシリコン系粘着剤、ホットメルト接着剤、エチレンビニルアルコール系接着剤、塩素化ポリオレフィン系接着剤等を用いることができる。また、粘着剤、接着剤中には必要に応じて、例えば架橋剤、触媒、顔料、分散剤、粘着付与剤、溶剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を本発明の目的を阻害しない範囲で適宜配合することができる。
接着層[C層]を形成する方法としては、接着層を形成する材料の種類や積層体の用途に応じて最適な方法を選択すれば良く、積層体のどちらか一方の面に粘着剤又は接着剤を塗布した後に加熱乾燥、硬化する方法、剥離フィルム上に粘着剤又は接着剤を塗布した後に加熱乾燥、硬化させ接着層を形成し、積層体のどちらか一方の面と接着層面とを貼り合わせる方法等により形成することができる。
剥離性シートとしては、
例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース、合成ゴム、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂、フッ素系樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ABS樹脂、シリコーン系樹、天然ゴム、等を挙げることができる。
接着剤層に前記黒色膜を重ね合わせる工程において、ローラーなどによる加圧、ラミネーターによる加熱加圧などを行うことができる。ラミネーターの条件は、特に制限されるものはないが、温度条件としては接着剤層のTgより20℃程度高い温度、加圧条件としては0.1MPa以上10MPa以下が好ましい。
接着層を層形成するための方法としては、キャスト、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレー、ブレードコート、スリットダイコート、グラビアコート、リバースコート、スクリーン印刷などのウェットコート法等一般的な方法を挙げることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。例中、特に断わりのない限り、「部」とは「質量部」、「%」とは「質量%」をそれぞれ意味する。
<水酸基価(OHV)、酸価(AV)>
JIS K0070に従って求めた。
<質量平均分子量(Mw)>
質量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(東ソー株式会社製HLC-8220)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。下記に測定条件を示す。
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
東ソー株式会社製ガードカラムHXL-H
東ソー株式会社製TSKgelG5000HXL
東ソー株式会社製TSKgelG4000HXL
東ソー株式会社製TSKgelG3000HXL
東ソー株式会社製TSKgelG2000HXL
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
<Rt、Ra、膜厚の測定方法>
Taylar Hоbsоn社製のファームタリサーフシリーズi60を用いて測定した。
測定条件は下記のとおりであり、5回の測定の平均値をもって値とした。
針の種類;先端2μmダイヤモンドスタイラス
カットオフ周波数λc;0.08mm
測定長;10mm
速度;20mm/min.
<反射率の測定方法>
白色校正板の上に各黒色層を乗せ、正反射成分と散乱反射成分を、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製、CM-700d)によって、視野角10°、光源D65で測定した。
<L*値の測定方法>
白色校正板の上に各黒色層を乗せ、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製、CM-700d)によって、視野角10°、光源D65で測定した。
<透過率の測定方法>
分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 U-4100)を用いて測定した。
<バインダー成分の合成>
[アクリル樹脂溶液]
撹拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、及び窒素導入管を備えた反応容器に、メタクリル酸メチル20.0部、メタクリル酸0.6部、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル3.0部、メタクリル酸n-ブチル76.4部、及びプロピレングリコール1-モノメチルエーテル2―アセタート100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル0.5部を加え、2時間重合反応を行った。次いで、転化率が98%以上となるまで1時間毎にアゾビスイソブチロニトリルを0.5部加えて重合反応を行った。転化率が98%以上になったことを確認した後、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート50部を加えて希釈した。以上のようにして、固形分量40%、Mw30,000のアクリル樹脂の溶液を得た。
<透明樹脂組成物の合成>
[透明樹脂組成物b-1]
丸底フラスコ中に、有機溶媒(トルエン/キシレン/酢酸エチル/酢酸ブチル=70部/15部/10部/5部からなる混合液)60部を入れ、アクリル樹脂120部(DIC株式会社製、ACRYDIC44-179 NV60%)、メラミン樹脂(SUPER BECKAMINE L-117-60 NV60%)30部を添加し、10分撹拌することにより透明樹脂組成物(b-1)を調製した。
[透明樹脂組成物b-2]
丸底フラスコ中に、有機溶媒(トルエン/キシレン/酢酸エチル/酢酸ブチル=70部/15部/10部/5部からなる混合液)100部を入れ、アクリル樹脂120部(DIC株式会社製、ACRYDIC44-179 NV60%)、メラミン樹脂(SUPER BECKAMINE L-117-60 NV60%)30部を添加し、10分撹拌することにより透明樹脂組成物(b-2)を調製した。
<黒色顔料分散液の製造>
[黒色顔料分散液1]
多孔質黒色顔料(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製カーボンECP:空隙率60%、比表面積800g/cm)を1部、分散剤BYK111(ビックケミー株式会社製)を0.2部、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2―アセタート50部、直径3mmガラスビーズ25部を容器に入れ、撹拌混合し、ペイントシェーカーで2時間分散し、黒色顔料分散液1を得た。
[黒色顔料分散液2]
多孔質黒色顔料として、カーボンECPの代わりに、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製カーボンECP600JD(空隙率約80%、比表面積1400g/cm)を用いた以外は、黒色顔料分散液1と同様の方法で、黒色顔料分散液2を得た。
[黒色顔料分散液3]
黒色顔料として、カーボンECPの代わりに、三菱ケミカル株式会社製MA110(空隙率0%、比表面積110g/cm)を1部とした以外は、黒色顔料分散液1と同様の方法で、黒色顔料分散液3を得た。
<黒色層形成用塗料の調整>
[黒色層形成用塗料1]
黒色顔料分散液1:40部に対し、アクリル樹脂の溶液を0.55部、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート5部加え、黒色層形成用塗料1を得た。粒度分布計マイクロトラックMT3000II(マイクロトラック・ベル社製)を用いて測定した平均分散粒子径(d50)は0.79μmであった。
[黒色層形成用塗料2、3]
表1に記載された原料及び配合を変更した以外は、黒色層形成用塗料1と同様の方法で、黒色層形成用塗料2、3を得た。
<黒色層の製造>
[黒色層1]
基材であるポリエステルフィルム(東洋紡株式会社、E5101、厚み188μm)に、黒色層形成用塗料1をブレードコーターを用いて塗工、100℃2分間乾燥し黒色層1を得た。黒色層表面の粗さパラメータは、Rt=0.89μm、Ra=0.05μmであり、膜厚4.8μmであった。
[黒色層2]
基材であるポリエステルフィルム(東洋紡株式会社、E5101、厚み188μm)に、黒色層形成用塗料2をスプレー塗装によって塗布し、100℃2分間乾燥し黒色層2を得た。黒色層表面の粗さパラメータは、Rt=1.08μm、Ra=0.05μm、膜厚5.0μmであった。
[黒色層3]
基材である鋼板(厚さ2mm)に、黒色層形成用塗料2をスプレー塗装によって塗布し、100℃2分間乾燥し黒色層3を得た。黒色層表面の粗さパラメータは、Rt=1.16μm、Ra=0.08μmであり、膜厚5.2μmであった。
[黒色層4]
黒色層形成用塗料1の代わりに、黒色層形成用塗料3を用い、ブレードコーターの番手で膜厚を調整した以外は、黒色層1と同様にして、黒色層4を得た。黒色層表面の粗さパラメータは、Rt=0.89μm、Ra=0.04μmであり、膜厚5.0μmであった。
<積層体の製造>
[実施例1]
(積層体1)
黒色層1の黒色膜上に、透明樹脂組成物b-1をスプレー法により膜厚50μmになるように塗布し、150℃20分間乾燥させて、積層体1を得た。
[実施例2~3、比較例1]
(積層体2)
黒色層を表1に示すものに変更した以外は、積層体1と同様にして、積層体2~3、5を得た。
[実施例4]
(積層体4)
黒色層3の黒色膜上に、透明樹脂組成物b-2をスプレー法により膜厚1μmになるように塗布し、150℃20分間乾燥させて、積層体4を得た。
[比較例2]
(積層体6)
黒色層2の黒色膜上に、透明樹脂組成物b-2をスプレー法により膜厚0.4μmになるように塗布し、150℃20分間乾燥させて、積層体6を得た。
<積層体の評価>
得られた積層体について、以下の評価を実施した。結果を表1に示す。
[漆黒性(L*、a*、b*)]
得られた積層体について、透明樹脂層側から、色差計(NIPPONDENSHOKU社製、SpectroColorMeterSE2000)を用いてJIS Z8729で規定されるL*、a*、b*表色系における明度(L*)及び色度(a*、b*)を測定し、下記基準に従って評価した。
◎:L*が2.0以下、かつb*が-2以上0.3以下(優)
○:L*が2.0を超え2.5以下、かつb*が-2以上0.3以下(良)
×:上記◎及び○以外(不良)
[深み感]
得られた積層体の深み感を、目視により評価した。評価基準は下記の通りである。
◎:深みの優れた外観
○:やや劣るが深みのある外観
×:深みが劣る
[平均反射率%]
得られた積層体の透明樹脂層側から、紫外可視近赤外分光光度計(日立製作所社製、UV-3500、積分球使用)を用い、波長300~1500nmにおける絶対反射スペクトルを5nmの範囲で測定し、波長380nm~780nmの各反射率の加重平均値を求めることで算出した。5%以下である場合、漆黒性に優れ良好である。
Figure 0007067231000003
表1中の略称を以下に示す。
ECP:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製カーボンECP(空隙率60%、比表面積800g/cm
ECP600JD:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製カーボンECP600JD(空隙率約80%、比表面積1400g/cm
MA110:三菱ケミカル株式会社製MA110(空隙率0%、比表面積110g/cm
PET:ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社、E5101、厚み188μm)
表1に示す通り、多孔質黒色顔料を含む黒色膜[A層]と、1μm以上の膜厚である透明樹脂層[B層]とが積層された本発明の積層体は、比較例1に示したカーボンブラックを使用した積層体を用いた場合よりも、漆黒性が高く、さらに深みのある外観に優れた積層体が得られることが確認できた。また多孔質黒色顔料を含む黒色膜[A層]と、1μm以上の膜厚である透明樹脂層[B層]とが積層された本発明の積層体は、比較例2に示した多孔質黒色顔料を含む黒色膜[A層]と、0.3μmの膜厚である透明樹脂層[B層]とが積層された積層体に比べ、漆黒性が高く、さらに深みのある外観に優れた積層体が得られることが確認できた。

Claims (5)

  1. 空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層[A層]、及び膜厚が25μm以上の透明樹脂層[B層]が順次積層された積層体。
  2. 前記黒色層[A層]の膜厚が0.3μm以上である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記透明樹脂層[B層]の膜厚が25~150μmである、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記多孔質黒色顔料のBET比表面積が600m/g以上である、請求項1~3いずれか1項に記載の積層体。
  5. 基材層、黒色層[A層]、及び膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]が順次積層された積層体の製造方法であって、以下の工程1及び2を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
    工程1:前記基材上に、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層形成用塗料を塗工した後、乾燥して、黒色層表面の粗さパラメーターRtが0.15~5μm、Raが0.01~0.5μm、L*値が20以下、400~700nmにおける、正反射率の最大値が0.8%以下、散乱反射率の最大値が2%以下、光透過率の最大値が5%以下である黒色層[A層]を形成する。
    工程2:前記黒色層[A層]上に、透明樹脂組成物を塗工、乾燥して膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]を形成する。
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