JP7067231B2 - 積層体及び該積層体の製造方法 - Google Patents
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特許文献3には、多孔質カーボンから形成される着色低抵抗膜上に、前記着色低抵抗膜より低屈折率の膜が形成されてなる多層膜が開示されている。
また特許文献3の発明は、低抵抗性を実現するために、着色低抵抗膜上の低屈折率層の膜厚は100nm程度とする必要がある。しかしながら、100nm程度の膜厚は可視光の波長より薄いため漆黒性を発現することが困難であった。また100nm程度の膜厚では下地の表面粗さが多層膜の表面に影響を与えるため、塗膜表面の凹凸により漆黒性を表現することが困難であった。
本発明は、上記従来の問題を解決するものであり、黒度の高い漆黒性に優れ、さらに深み感のある外観に優れた積層体及び該積層体の製造方法を提供することを目的とする。
工程1:前記基材上に、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層形成用塗料を塗工した後、乾燥して、黒色層表面の粗さパラメーターRtが0.15~5μm、Raが0.01~0.5μm、L*値が20以下、400~700nmにおける、正反射率の最大値が0.8%以下、散乱反射率の最大値が2%以下、光透過率の最大値が5%以下である黒色層[A層]を形成する。
工程2:前記黒色層[A層]上に、透明樹脂組成物を塗工、乾燥して膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]を形成する。
本発明の積層体は、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層[A層]と、膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]とが順次積層されてなることを特徴とする。上記により、漆黒性に優れ、かつ外観にも優れる積層体とすることができる。また、黒色層[A層]、及び透明樹脂層[B層]の少なくともいずれか一方に、接着層[C層]を有していてもよい。接着層[C層]を有することで、本発明の積層体を種々の被着体に貼り付け、容易に漆黒性を付与することが可能となる。また、黒色層[A層]と透明樹脂層[B層]の間に他の層が設けられていても良い。又は透明樹脂層[B層]の両方に他の層が設けられていても良い。
例えば、
(i)膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]上に、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層形成用塗料を層形成し、その後加熱硬化させ黒色層[A層]を形成する方法、
(ii)基材上に、前記黒色層形成用塗料を層形成し、その後加熱硬化させ黒色層[A層]を形成した後、膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]を積層する方法、
(iii)剥離フィルム上に、前記黒色層形成用塗料を層形成し、その後加熱硬化させ黒色層[A層]を形成した後、膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]を積層し、剥離フィルムを剥離除去する方法、
(iv)剥離フィルム上に、透明樹脂組成物を塗布しその後塗膜を加熱硬化させ膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]を形成した後、透明樹脂層[B層]上に前記黒色層形成用塗料を層形成し、その後加熱硬化させ黒色層[A層]を形成し、剥離フィルムを剥離除去する方法、などにより形成することができる。
工程1:前記基材上に、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層形成用塗料を塗工した後、乾燥して、黒色層表面の粗さパラメーターRtが0.15~5μm、Raが0.01~0.5μm、L*値が20以下、400~700nmにおける、正反射率の最大値が0.8%以下、散乱反射率の最大値が2%以下、光透過率の最大値が5%以下である黒色層[A層]を形成する。
工程2:前記黒色層[A層]上に、透明樹脂組成物を塗工、乾燥して膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]を形成する。
(I)上記いずれかの方法で得られた黒色層[A層]と透明樹脂層[B層]が積層された積層体のどちらか一方の面に粘着剤又は接着剤を塗布した後に加熱乾燥、硬化する方法、
(II)剥離フィルム上に、粘着剤又は接着剤を塗布した後に加熱乾燥、硬化させ接着層[C層]を形成した後、上記いずれか記載の方法で得られた黒色層[A層]と透明樹脂層[B層]が積層された積層体のどちらか一方の面と接着層[C層]とを貼り合わせる方法、
(III)剥離フィルム上に、黒色層形成用塗料を層形成し、その後加熱硬化させ黒色層[A層]を形成し、別の剥離フィルム上に形成した接着層[C層]と黒色層[A層]とを貼り合わせたのちに黒色層[A層]上の剥離フィルムを剥離除去し、さらに黒色層[A層]上に透明樹脂層[B層]を積層する方法、
などにより形成することができる。
本発明の黒色層[A層]は、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含むことを特徴とする。また、このような空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層形成用塗料を塗布することにより、漆黒性に優れた黒色層[A層]とすることが可能となる。
本発明に使用することができる多孔質黒色顔料は、空隙率が50%以上であれば特に制限はないが、カーボンブラック、黒鉛、酸化物系黒色顔料などや、カーボンブラック、黒鉛、酸化物系黒色顔料を骨格としたエアロゲルのような形態を持つ多孔質体を使用でき、これらは単独でも混合して用いても良いが、特に多孔質カーボンブラックを単独で使用することが好ましい。また、空隙率が高くなるほど、光の吸収率が向上し漆黒性が増すため、空隙率は50%以上であることが必要であり、好ましくは75%以上である。
空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料ではない黒色顔料を併用することも可能ではあるが、漆黒性の発現の観点からは空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料100質量部に対し、50質量部以下が好ましい。使用できる空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料ではない黒色顔料は、カーボンブラック、黒鉛、酸化物系黒色顔料などが挙げられるが、黒色であれば特に制限はない。
本発明の黒色層[A層]は、多孔質黒色顔料の他に必要に応じてバインダー成分を含むことができる。
黒色層[A層]に使用することができるバインダー成分に特に制限はないが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ウレタンウレア樹脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、スチレン樹脂、ニトロセルロース、ベンジルセルロース、セルロース(トリ)アセテート、カゼイン、シェラック、ギルソナイト、スチレン-無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ロジン、ロジンエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルニトロセルロース、エチレン/ビニルアルコール樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性塩素化ポリオレフィン樹脂、及び塩素化ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
単官能モノマーとしては、特に制限はないが、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2 - フェノキシエチルアクリレート、インデシルアクリレート、イソクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、エトキシ化ノニフェノールアクリレート、プロポキシ化ノニルフェノールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレンアクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェニルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、エチレンオキサイド2-エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート等やこれらのメタクリレートモノマーが挙げられる。
ルA ジアクリレート、(水素化) エチレンオキサイド変性ビスフェノールA ジアクリレート、(水素化) プロピレングリコール変性ビスフェノールA ジアクリレート、1 , 6-ヘキサンジオールジアクリレート、2-エチル,2-ブチル-プロパンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート等やこれらのメタクリレートモノマーが挙げられる。
また、カチオン反応性の成分を紫外線により架橋させる場合には、カチオン系開始剤としては、ルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨードニウム塩、ルイス 酸のスルホニウム塩、ルイス酸のホスホニウム塩、その他のハロゲン化物、トリアジン系開始剤、ボーレート系開始剤、及びその他の光酸発生剤などが挙げられる。電子線により架橋させる場合にはこれらを配合しなくても良い。
例えば、多孔質黒色顔料の占有体積比率は、以下のようにして理論的に求めた。
(1)多孔質黒色顔料の体積=質量(g)÷(1-空隙率)
空隙率が80%の多孔質黒色顔料、1gの占める体積は、
1(g)÷(1-0.8)(g/cm3)=5cm3
(2)多孔質黒色顔料以外のその他の成分の体積=質量(g)÷1(g/cm3)
バインダー成分、1gの占める体積は、
1(g)÷1(g/cm3)=1cm3
従って、多孔質黒色顔料をA(g)、バインダー成分をB(g)用いる場合、両者の占有体積比率は、(1)×A:(2)×Bとなる。
黒色層[A層]の透明樹脂層[B層]側の表面の粗さパラメータRaは、好ましくは0.01~0.5μmであり、より好ましくは0.01~0.15μmである。Raが0.01μm以上であることで、塗膜表面の凸部が十分な大きさを有し、良好な光吸収性を得ることができる。Raが0.5μm以下であることで、平滑性の高い積層体が得られる。また、Raが0.15μm以下であることで、さらに積層体の平滑性が良好となる。
添加剤として例えば、基材密着性を高めるためのカップリング剤、吸湿時・高温時の信頼性を高めるためのイオン捕捉剤・酸化防止剤、及びレベリング剤等が挙げられる。
黒色層[A層]は種々の方法で得ることができる。
例えば、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層形成用塗料を、基材に塗工した後、乾燥することによって得ることができる。より好ましくは、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料と分散媒と必要に応じてバインダー成分とを含有し、前記多孔質黒色顔料の平均分散粒子径(d50)が0.2μm~10μmである黒色層形成用塗料を、基材に塗工した後、乾燥することによって得ることができる。
本発明の黒色層形成用塗料は、多孔質黒色顔料を分散するための分散媒を含むことが好ましい。使用する分散媒としては、25℃で液状の媒体が好ましい。具体的には、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等のアルコール系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、n-オクタンなどの炭化水素系溶剤などの公知の溶剤を、単独又は複数使用できる。
例えば、多孔質黒色顔料を分散媒に分散したり、多孔質黒色顔料を分散媒に分散した後、この分散体にバインダー成分を添加したり、若しくはバインダー成分を分散媒に溶解しバインダー溶液とし、前記分散体に添加したり、あるいは、バインダー成分を分散媒に溶解しバインダー溶液に多孔質黒色顔料を分散したりすることができる。
黒色層形成用塗料の平均分散粒子径(d50)は、レーザー回折・散乱式の粒子径分布測定装置、例えば、マイクロトラックMT3000II(マイクロトラック・ベル社製)を使用して求めた数値である。測定は分散液と同様の分散媒体に希釈して25℃にて測定した。
工程A:黒色層形成用塗料を、前記基材に塗工した後、乾燥し、黒色膜を形成する。
工程B:表面の粗さパラメーターRtが0.15~5μm、Raが0.010~0.5μmである型の前記表面を、前記黒色膜の表面に押圧し、前記黒色膜の表面に前記型の表面形状を転写し、黒色膜を形成する。
基材としては、特に限定されるものではないが、ガラス基材、プラスチック基材(有機高分子基材)のほか、金属基材、紙基材、木基材(木製基材)、石基材、布基材、皮革基材等を挙げることができる。また、その形状としては、平板、フィルム状、シート状、立体形状等が挙げられ、用途や使用条件に基づいて適宜選択することができる。
基材としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン等の合成樹脂のフィルム又はこれらフィルムの複合体、及びガラスなどを用いることが好ましい。
本発明の透明樹脂層[B層]は、膜厚が1μm以上であり、下層塗膜を視認できる程度の透明性を有するものである。下層塗膜を視認できる程度とは、たとえば、透過率計(NIPPON DENSHOKU社製、TURBIDIMETER NDH5000W)を用いてJIS K7361に準拠し測定した透明樹脂層の全光線透過率が50%以上であることが好ましい。
(1)予め製膜された透明樹脂フィルムを透明樹脂層[B層]として用い、黒色層[A層]を積層する方法、
(2)基材、又は剥離フィルムなどに、透明樹脂組成物を塗布して形成した透明樹脂層[B層]上に、黒色層[A層]を積層する方法、
(3)予め形成した黒色層[A層]上に、透明樹脂組成物を塗布して透明樹脂層[B層]を形成する方法、
等により形成することができる。より好ましくは(3)の方法である。
なかでも透明樹脂組成物を塗布することにより透明樹脂層[B層]を形成することが、平坦性、外観に優れる積層体とすることができるために好ましい。
透明樹脂組成物に用いることができる透明樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、石油樹脂、ビニル系樹脂、オレフィン樹脂、合成ゴム、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂、フッ素系樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、シリコーン系樹、ニトロセルロース、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性ポリアミド樹脂、天然ゴム、ゼラチン、ロジン、セラック、多糖類、ギルソナイト等を挙げることができるが、主剤として水酸基を含有するポリオール樹脂を使用し、硬化剤がイソシアネートである2液クリア塗料(例えば、2液硬化型ウレタン塗料)が好ましい。得られる透明樹脂塗膜の外観が良好で、耐酸性に優れたものとなるからである。上記主剤として使用されるポリオール樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が挙げられる。
透明樹脂組成物の硬化剤として用いるイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビスフェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、メチルシクロへキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、エチルエチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
珪素酸化物は、具体例に例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-i-プロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシランなどのテトラアルコシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、i-プロピルトリメトキシシラン、i-プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、n-ペンチルトリメトキシシラン、n-ペンチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘプチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3-トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、2-ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2-ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2-ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2-ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3-ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3-ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、メチルトリアセチルオキシシラン、メチルトリフェノキシシランなどのオルガノアルコシシランのアルコール、水、酸などから、加水分解・重合反応によって形成させるゾル-ゲルコーティング膜、珪素酸化物のスパッタ蒸着膜などが使用できる。
本発明の積層体は、積層体の使用方法、用途に応じて少なくともどちらか一方の面に接着層[C層]を備えても良い。
接着層[C層]に用いられる材料としては、特に限定されるものではなく、一般的な粘着剤、接着剤を用いることができる。具体的には、例えば、一般的な天然ゴム、合成イソプレンゴム、再生ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン-イソプレン-スチレンゴム等を主成分とするゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤及びシリコン系粘着剤、ホットメルト接着剤、エチレンビニルアルコール系接着剤、塩素化ポリオレフィン系接着剤等を用いることができる。また、粘着剤、接着剤中には必要に応じて、例えば架橋剤、触媒、顔料、分散剤、粘着付与剤、溶剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を本発明の目的を阻害しない範囲で適宜配合することができる。
例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース、合成ゴム、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂、フッ素系樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ABS樹脂、シリコーン系樹、天然ゴム、等を挙げることができる。
JIS K0070に従って求めた。
質量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(東ソー株式会社製HLC-8220)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。下記に測定条件を示す。
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
東ソー株式会社製ガードカラムHXL-H
東ソー株式会社製TSKgelG5000HXL
東ソー株式会社製TSKgelG4000HXL
東ソー株式会社製TSKgelG3000HXL
東ソー株式会社製TSKgelG2000HXL
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
Taylar Hоbsоn社製のファームタリサーフシリーズi60を用いて測定した。
測定条件は下記のとおりであり、5回の測定の平均値をもって値とした。
針の種類;先端2μmダイヤモンドスタイラス
カットオフ周波数λc;0.08mm
測定長;10mm
速度;20mm/min.
白色校正板の上に各黒色層を乗せ、正反射成分と散乱反射成分を、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製、CM-700d)によって、視野角10°、光源D65で測定した。
白色校正板の上に各黒色層を乗せ、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製、CM-700d)によって、視野角10°、光源D65で測定した。
分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 U-4100)を用いて測定した。
[アクリル樹脂溶液]
撹拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、及び窒素導入管を備えた反応容器に、メタクリル酸メチル20.0部、メタクリル酸0.6部、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル3.0部、メタクリル酸n-ブチル76.4部、及びプロピレングリコール1-モノメチルエーテル2―アセタート100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル0.5部を加え、2時間重合反応を行った。次いで、転化率が98%以上となるまで1時間毎にアゾビスイソブチロニトリルを0.5部加えて重合反応を行った。転化率が98%以上になったことを確認した後、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート50部を加えて希釈した。以上のようにして、固形分量40%、Mw30,000のアクリル樹脂の溶液を得た。
[透明樹脂組成物b-1]
丸底フラスコ中に、有機溶媒(トルエン/キシレン/酢酸エチル/酢酸ブチル=70部/15部/10部/5部からなる混合液)60部を入れ、アクリル樹脂120部(DIC株式会社製、ACRYDIC44-179 NV60%)、メラミン樹脂(SUPER BECKAMINE L-117-60 NV60%)30部を添加し、10分撹拌することにより透明樹脂組成物(b-1)を調製した。
丸底フラスコ中に、有機溶媒(トルエン/キシレン/酢酸エチル/酢酸ブチル=70部/15部/10部/5部からなる混合液)100部を入れ、アクリル樹脂120部(DIC株式会社製、ACRYDIC44-179 NV60%)、メラミン樹脂(SUPER BECKAMINE L-117-60 NV60%)30部を添加し、10分撹拌することにより透明樹脂組成物(b-2)を調製した。
[黒色顔料分散液1]
多孔質黒色顔料(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製カーボンECP:空隙率60%、比表面積800g/cm3)を1部、分散剤BYK111(ビックケミー株式会社製)を0.2部、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2―アセタート50部、直径3mmガラスビーズ25部を容器に入れ、撹拌混合し、ペイントシェーカーで2時間分散し、黒色顔料分散液1を得た。
多孔質黒色顔料として、カーボンECPの代わりに、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製カーボンECP600JD(空隙率約80%、比表面積1400g/cm3)を用いた以外は、黒色顔料分散液1と同様の方法で、黒色顔料分散液2を得た。
黒色顔料として、カーボンECPの代わりに、三菱ケミカル株式会社製MA110(空隙率0%、比表面積110g/cm3)を1部とした以外は、黒色顔料分散液1と同様の方法で、黒色顔料分散液3を得た。
[黒色層形成用塗料1]
黒色顔料分散液1:40部に対し、アクリル樹脂の溶液を0.55部、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート5部加え、黒色層形成用塗料1を得た。粒度分布計マイクロトラックMT3000II(マイクロトラック・ベル社製)を用いて測定した平均分散粒子径(d50)は0.79μmであった。
表1に記載された原料及び配合を変更した以外は、黒色層形成用塗料1と同様の方法で、黒色層形成用塗料2、3を得た。
[黒色層1]
基材であるポリエステルフィルム(東洋紡株式会社、E5101、厚み188μm)に、黒色層形成用塗料1をブレードコーターを用いて塗工、100℃2分間乾燥し黒色層1を得た。黒色層表面の粗さパラメータは、Rt=0.89μm、Ra=0.05μmであり、膜厚4.8μmであった。
基材であるポリエステルフィルム(東洋紡株式会社、E5101、厚み188μm)に、黒色層形成用塗料2をスプレー塗装によって塗布し、100℃2分間乾燥し黒色層2を得た。黒色層表面の粗さパラメータは、Rt=1.08μm、Ra=0.05μm、膜厚5.0μmであった。
基材である鋼板(厚さ2mm)に、黒色層形成用塗料2をスプレー塗装によって塗布し、100℃2分間乾燥し黒色層3を得た。黒色層表面の粗さパラメータは、Rt=1.16μm、Ra=0.08μmであり、膜厚5.2μmであった。
黒色層形成用塗料1の代わりに、黒色層形成用塗料3を用い、ブレードコーターの番手で膜厚を調整した以外は、黒色層1と同様にして、黒色層4を得た。黒色層表面の粗さパラメータは、Rt=0.89μm、Ra=0.04μmであり、膜厚5.0μmであった。
[実施例1]
(積層体1)
黒色層1の黒色膜上に、透明樹脂組成物b-1をスプレー法により膜厚50μmになるように塗布し、150℃20分間乾燥させて、積層体1を得た。
(積層体2)
黒色層を表1に示すものに変更した以外は、積層体1と同様にして、積層体2~3、5を得た。
(積層体4)
黒色層3の黒色膜上に、透明樹脂組成物b-2をスプレー法により膜厚1μmになるように塗布し、150℃20分間乾燥させて、積層体4を得た。
(積層体6)
黒色層2の黒色膜上に、透明樹脂組成物b-2をスプレー法により膜厚0.4μmになるように塗布し、150℃20分間乾燥させて、積層体6を得た。
得られた積層体について、以下の評価を実施した。結果を表1に示す。
得られた積層体について、透明樹脂層側から、色差計(NIPPONDENSHOKU社製、SpectroColorMeterSE2000)を用いてJIS Z8729で規定されるL*、a*、b*表色系における明度(L*)及び色度(a*、b*)を測定し、下記基準に従って評価した。
◎:L*が2.0以下、かつb*が-2以上0.3以下(優)
○:L*が2.0を超え2.5以下、かつb*が-2以上0.3以下(良)
×:上記◎及び○以外(不良)
得られた積層体の深み感を、目視により評価した。評価基準は下記の通りである。
◎:深みの優れた外観
○:やや劣るが深みのある外観
×:深みが劣る
得られた積層体の透明樹脂層側から、紫外可視近赤外分光光度計(日立製作所社製、UV-3500、積分球使用)を用い、波長300~1500nmにおける絶対反射スペクトルを5nmの範囲で測定し、波長380nm~780nmの各反射率の加重平均値を求めることで算出した。5%以下である場合、漆黒性に優れ良好である。
ECP:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製カーボンECP(空隙率60%、比表面積800g/cm3)
ECP600JD:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製カーボンECP600JD(空隙率約80%、比表面積1400g/cm3)
MA110:三菱ケミカル株式会社製MA110(空隙率0%、比表面積110g/cm3)
PET:ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社、E5101、厚み188μm)
Claims (5)
- 空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層[A層]、及び膜厚が25μm以上の透明樹脂層[B層]が順次積層された積層体。
- 前記黒色層[A層]の膜厚が0.3μm以上である、請求項1に記載の積層体。
- 前記透明樹脂層[B層]の膜厚が25~150μmである、請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記多孔質黒色顔料のBET比表面積が600m2/g以上である、請求項1~3いずれか1項に記載の積層体。
- 基材層、黒色層[A層]、及び膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]が順次積層された積層体の製造方法であって、以下の工程1及び2を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
工程1:前記基材上に、空隙率が50%以上の多孔質黒色顔料とバインダー成分とを50:50~100:0(体積比率)で含む黒色層形成用塗料を塗工した後、乾燥して、黒色層表面の粗さパラメーターRtが0.15~5μm、Raが0.01~0.5μm、L*値が20以下、400~700nmにおける、正反射率の最大値が0.8%以下、散乱反射率の最大値が2%以下、光透過率の最大値が5%以下である黒色層[A層]を形成する。
工程2:前記黒色層[A層]上に、透明樹脂組成物を塗工、乾燥して膜厚が1μm以上の透明樹脂層[B層]を形成する。
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