JP7066997B2 - 鋼材 - Google Patents
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Description
C:0.01~0.15%、
Si:0.05~0.50%、
Mn:0.10~2.00%、
Al:0.001~0.100%、
N:0.0020~0.10%、
Cr:0.10~9.0%、
Nb:0.001~0.10%、
Mo:0.20%以下、
W:0.20%以下、
P:0.020%以下、
S:0.015%以下、
O:0.0035%以下、
Cu:0~0.40%、
Ni:0~0.40%、
Ti:0~0.10%、
Zr:0~0.10%、
V:0~0.20%、
B:0~0.0030%、
Ca:0~0.010%、
Mg:0~0.010%、
REM:0~0.010%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式で表わされるAIの値が0~2.5であり、かつ下記(ii)式で表わされるEIの値が0~15.0である、
鋼材。
AI={(Mo/96)+(W/184)+(Ni/59)}/(C/12) ・・・(i)
EI=2×Cr-(2×Cu+5×Ni) ・・・(ii)
但し、式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
Cu:0.03~0.40%、および、
Ni:0.03~0.40%、
から選択される1種または2種を含有する、
上記(1)に記載の鋼材。
Ti:0.001~0.10%、
Zr:0.005~0.10%、および、
V:0.005~0.20%、
から選択される1種以上を含有する、
上記(1)または(2)に記載の鋼材。
B:0.0003~0.0030%、
を含有する、
上記(1)から(3)までのいずれかに記載の鋼材。
Ca:0.00005~0.010%、
Mg:0.0001~0.010%、および、
REM:0.0001~0.010%、
から選択される1種以上を含有する、
上記(1)から(4)までのいずれかに記載の鋼材。
AI={(Mo/96)+(W/184)+(Ni/59)}/(C/12) ・・・(i)
EI=2×Cr-(2×Cu+5×Ni) ・・・(ii)
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、強度を向上させる元素であり、0.01%以上含有させる必要がある。一方、C含有量が0.15%を超えると炭化物が増加し、耐酸性が劣化するため、C含有量を0.15%以下とする。C含有量は0.02%以上であるのが好ましく、0.03%以上であるのがより好ましい。また、C含有量は0.10%以下であるのが好ましく、0.08%以下であるのがより好ましい。
Siは、脱酸および強度の向上に寄与する元素であり、また、酸化物の形態を制御するため、0.05%以上含有させる必要がある。一方、0.50%を超える量のSiを含有させると酸化物が増加し、耐酸性を損なうため、Si含有量を0.50%以下に制限する。Si含有量は0.07%以上であるのが好ましく、0.10%以上であるのがより好ましい。また、Si含有量は0.40%以下であるのが好ましい。
Mnは、強度および靭性を向上させる元素であり、0.10%以上含有させる必要がある。一方、2.00%を超える量のMnを含有させると、粗大なMnSが生成し、耐食性および機械特性が劣化するため、Mn含有量を2.00%以下とする。Mn含有量は0.60%以上であるのが好ましい。また、Mn含有量は1.50%以下であるのが好ましく、1.00%以下であるのがより好ましい。
Alは、脱酸剤であり、0.001%以上含有させる必要がある。一方、Alを過剰に含有させると、介在物の増加によって、耐酸性を損なうため、Al含有量を0.100%以下とする。Al含有量は0.005%以上であるのが好ましく、0.080%以下であるのが好ましい。
Nは、微細な窒化物によって圧延時のスラブ加熱におけるγ粒の粗大化抑制に有効であり、0.0020%以上含有させる必要がある。一方、Nを過剰に含有させると粗大な窒化物が形成し母材の機械特性を劣化させることから、N含有量は0.10%以下とする。高温加熱時においても窒化物のピン止め効果によるγ粒の粗大化抑制を十分作用させるためには、N含有量を0.0035%以上とすることが好ましい。
Crは、アンモニウムイオンの還元を抑制する元素であり、0.10%以上含有させる必要がある。一方、過剰に含有させても、アンモニウムイオンを含む環境での耐食効果は飽和するため、Cr含有量は9.0%以下とする。Cr含有量は0.50%以上であるのが好ましい。また、Cr含有量は8.0%以下であるのが好ましく、7.0%以下であるのがより好ましく、6.0%以下であるのがさらに好ましい。
Nbは、窒化物を形成する元素であり、結晶粒の微細化および強度の向上を目的として、0.001%以上含有させる。一方、0.10%を超える量のNbを含有させると、機械特性が劣化するため、Nb含有量は0.10%以下とする。Nb含有量は0.005%以上であるのが好ましい。また、Nb含有量は0.050%以下であるのが好ましく、0.030%以下であるのがより好ましく、0.020%以下であるのがさらに好ましい。
W:0.20%以下
MoおよびWは、アンモニウムイオンを含む環境では、多量に含有させると耐食性を大きく劣化させるため、その含有量を制限する必要がある。そのため、MoおよびWの含有量はそれぞれ、0.20%以下とする。MoおよびWの含有量はそれぞれ、0.10%以下であるのが好ましく、0.05%以下であるのがより好ましい。
Pは、不純物であり、鋼材の機械特性および生産性を低下させるため、P含有量を0.020%以下とする。P含有量の下限は限定せず、0%でもよいが、コストの観点からP含有量は0.001%以上であってもよい。
Sは、一般に不純物として含有され、熱間加工性および鋼材の機械特性を低下させるため、S含有量を0.015%以下とする。S含有量の下限は限定せず、0%でもよい。Sは、Cuとともに含有させると、酸性環境での耐食性を向上させることから、S含有量は0.001%以上であってもよい。上記の効果を得たい場合は、S含有量は0.005%以上であるのが好ましく、0.010%以上であるのがより好ましい。
Oは、一般に不純物として含有され、酸化物を生成する元素である。酸性環境において腐食の起点となる粗大な酸化物の生成を抑制するため、O含有量を0.0035%以下とする。O含有量は0.0030%以下であるのが好ましく、0.0025%以下であるのがより好ましい。O含有量の下限は限定せず、0%でもよいが、コストの観点からO含有量は0.0005%以上であってもよい。
Cuは、アンモニウムイオンを含む環境では耐食性を劣化させる元素である。特に、Cu含有量が0.40%を超えるとアンモニウムイオンを含む環境において耐食性が著しく低下するため、0.40%以下とする。Cu含有量は0.30%以下であるのが好ましく、0.20%以下であるのがより好ましい。但し、CuをSとともに含有させることで酸性環境での耐食性を向上させることから、Cu含有量は0.03%以上であることが好ましい。
Niは、Cuと同様、アンモニウムイオンを含む環境では耐食性を劣化させる元素である。特に、Ni含有量が0.40%を超えるとアンモニウムイオンを含む環境において耐食性が著しく低下するため、0.40%以下とする。Ni含有量は0.30%以下であるのが好ましく、0.20%以下であるのがより好ましい。但し、Niは酸性環境での耐食性を向上させる効果を有するため、Ni含有量は0.03%以上であることが好ましい。
Tiは、Nbと同様に窒化物を形成し、結晶粒の微細化および強度の向上に寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、0.10%を超える量のTiを含有させると、窒化物が粗大になり、機械特性が劣化することがあるため、Ti含有量は0.10%以下とする。Ti含有量は0.080%以下であるのが好ましく、0.050%以下であるのがより好ましく、0.040%以下であるのがさらに好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Ti含有量を0.001%以上とするのが好ましい。
Zrは、Nb、Tiと同様、窒化物を形成する元素であり、主に、析出強化による強度の改善に寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Zrは高価な元素であり、また、過剰に含有させると、機械特性が劣化するため、Zr含有量は0.10%以下とする。Zr含有量は0.080%以下であるのが好ましく、0.050%以下であるのがより好ましく、0.040%以下であるのがさらに好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Zr含有量を0.005%以上とすることが好ましい。
Vは、Nb、Ti、Zrと同様、窒化物を形成する元素であり、主に、析出強化による強度の改善に寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、過剰に含有させると、機械特性が劣化するため、V含有量は0.20%以下とする。V含有量は0.15%以下であるのが好ましく、0.10%以下であるのがより好ましく、0.050%以下であるのがさらに好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、V含有量を0.005%以上とすることが好ましい。
Bは、焼入性を向上させ、強度を高める元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、0.0030%を超える量のBを含有させても、効果が飽和し、母材、HAZの靭性が低下するため、B含有量は0.0030%以下とする。B含有量は0.0020%以下であるのが好ましく、0.0010%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、B含有量を0.0003%以上とすることが好ましく、0.0005%以上とすることがより好ましい。
Caは、主に硫化物の形態の制御に用いられる元素であり、また、微細な酸化物を形成させるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、0.010%を超える量のCaを含有させると機械特性が損なわれるため、Ca含有量は0.010%以下とする。Ca含有量は0.005%以下であるのが好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Ca含有量は0.00005%以上であるのが好ましく、0.0001%以上であるのがより好ましく、0.00015%以上であるのがさらに好ましい。
Mgは、微細な酸化物を形成させるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、製造コストの観点から、Mg含有量は0.010%以下とする。Mg含有量は0.005%以下であるのが好ましく、0.003%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Mg含有量は0.0001%以上であるのが好ましく、0.0003%以上であるのがより好ましく、0.0005%以上であるのがさらに好ましい。
REM(希土類元素)は、主に脱酸に用いられる元素であり、微細な酸化物を形成させるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、製造コストの観点から、REM含有量は0.010%以下とする。REM含有量は0.005%以下であるのが好ましく、0.003%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、REM含有量は0.0001%以上であるのが好ましく、0.0003%以上であるのがより好ましく、0.0005%以上であるのがさらに好ましい。
第1の耐食性指数AIは、下記(i)式で表わされる値であり、Mo原子、W原子およびNi原子の数の合計と、炭素原子の数との比である。鋼材表面で腐食起点となりやすい炭化物を抑制するため、AIの値を適正な範囲にする必要がある。MoおよびWは、特に耐酸性の向上に有効であるものの、含有量が過剰であると腐食の起点となる炭化物を形成しやすく耐食性を大きく劣化させる原因となるため、耐酸性を顕著に向上させるには、耐食性指数AIを2.5以下にする必要がある。AIの値は、2.0以下であるのが好ましく、1.5以下であるのがより好ましい。下限値は0である。
AI={(Mo/96)+(W/184)+(Ni/59)}/(C/12) ・・・(i)
第2の耐食性指数EIは、下記(ii)式で表わされる値である。上述のように、CuおよびNiによる耐食性の劣化を抑制するためには、CuおよびNiの含有量に対して、Crを所定量含有させる必要があり、耐食性指数EIを0以上とする必要がある。一方、CuおよびNiを含有させずにCrを7.5%以上含有させると、母材の機械特性、製造性および加工性が低下するため、EIは15.0以下とする。下限値は0である。
EI=2×Cr-(2×Cu+5×Ni) ・・・(ii)
本発明に係る鋼材の用途について、特に制限を設ける必要はないが、上述のように、アンモニウムイオンを含む環境で用いるのに好適である。具体的には、本発明に係る鋼材は、硫酸アンモニウムに晒される化学工場の設備等で使用される材料として好適である。
本発明に係る鋼材の形状および寸法についても特に制限は設けない。鋼材には例えば、鋼板、形鋼、鋼管が含まれる。鋼板として用いる場合には、板厚が3mm以上であるのが好ましく、6mm以上であるのがより好ましい。また、鋼管として用いる場合にも同様に、肉厚が3mm以上であるのが好ましく、6mm以上であるのがより好ましい。
本発明に係る鋼材の製造条件について特に制限はないが、例えば、以下に示す方法により、製造することができる。
Claims (5)
- 化学組成が、質量%で、
C:0.01~0.15%、
Si:0.05~0.40%、
Mn:0.50~2.00%、
Al:0.001~0.100%、
N:0.0020~0.10%(但し、0.0130%以上を除く。)、
Cr:0.10~9.0%(但し、0.30%以下を除く。)、
Nb:0.001~0.10%、
Mo:0.20%以下、
W:0.20%以下、
P:0.020%以下、
S:0.0020%以上0.015%以下、
O:0.0035%以下、
Cu:0~0.40%、
Ni:0~0.40%、
Ti:0~0.10%、
Zr:0~0.10%、
V:0~0.20%、
B:0~0.0030%、
Ca:0~0.010%、
Mg:0~0.010%、
REM:0~0.010%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式で表わされるAIの値が0~2.5(但し、0を除く。)であり、かつ下記(ii)式で表わされるEIの値が0~15.0(但し、0.0を除く。)である、
鋼材。
AI={(Mo/96)+(W/184)+(Ni/59)}/(C/12) ・・・(i)
EI=2×Cr-(2×Cu+5×Ni) ・・・(ii)
但し、式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。 - 前記化学組成が、質量%で、
Cu:0.03~0.40%、および、
Ni:0.03~0.40%、
から選択される1種または2種を含有する、
請求項1に記載の鋼材。 - 前記化学組成が、質量%で、
Ti:0.001~0.10%、
Zr:0.005~0.10%、および、
V:0.005~0.20%、
から選択される1種以上を含有する、
請求項1または請求項2に記載の鋼材。 - 前記化学組成が、質量%で、
B:0.0003~0.0030%、
を含有する、
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の鋼材。 - 前記化学組成が、質量%で、
Ca:0.00005~0.010%、
Mg:0.0001~0.010%、および、
REM:0.0001~0.010%、
から選択される1種以上を含有する、
請求項1から請求項4までのいずれかに記載の鋼材。
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