JP7066847B2 - がん幹細胞を根絶するトリフェニルホスホニウム誘導体化合物 - Google Patents

がん幹細胞を根絶するトリフェニルホスホニウム誘導体化合物 Download PDF

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Description

本開示は、「バルク」がん細胞およびがん幹細胞を効果的に標的とすると同時に、正常細胞における標的外の副作用を最小限に抑える化合物および治療に関し、具体的には、治療剤の送達のために、バルクがん細胞、がん幹細胞、および正常な老化細胞を強力に標的とするトリフェニルホスホニウム(TPP)誘導体化合物、すなわちTPP誘導体に関する。
放射線照射、アルキル化薬、代謝拮抗薬といった従来のがん治療は、細胞増殖やDNA複製機構を妨げ、急速に増殖するがん細胞を選択的に根絶することによって機能する。そうした治療の後に腫瘍が再発することは少なくなく、がん細胞がすべて根絶されたわけではないことが示唆される。がん幹細胞(CSC)は、最終的にがん患者の臨床転帰不良につながる治療不成功、腫瘍再発、および遠隔転移の生物学的基礎であるとみられる腫瘍開始細胞(TIC)である。そのため、CSCを特異的に標的とし、根絶する新たな治療が緊急に必要とされている。
興味深いことに、最近の研究から、CSC独自の特性のひとつにミトコンドリア量の特徴的な増加があり、これがミトコンドリア機能またはOXPHOSへの厳密な依存関係を反映している可能性があることが示されている。いくつかの独立したエビデンスにより、ミトコンドリア生合成の増加または高レベルのミトコンドリアタンパク質翻訳がCSCで生じる可能性があるという考えが裏づけられている。例えば、偏りのないプロテオミクス解析では、CSCでミトコンドリア量が増加していることが直接示されている。
さらに、MitoTracker(ミトコンドリア蛍光色素)はCSCを同定し、純化する標識としてうまく用いることができる。より具体的には、「Mito-high」細胞集団は、i)足場非依存性増殖、ii)in vivoでの腫瘍開始能について極めて優れた能力を示す。
高テロメラーゼ活性は、高ミトコンドリア量や、CSCが増殖拡大する能力とも直接相関している。同様にCSCの高ミトコンドリア量は、ミトコンドリア活性酸素種(ROS)産生(過酸化水素)と特異的に関連し、また、i)ミトコンドリア抗酸化剤、ii)ミトコンドリア生合成(ドキシサイクリン)またはOXPHOSの阻害剤、さらにiii)細胞増殖阻害剤(CDK4/6阻害剤パルボシクリブ)のいずれを用いても標的とすることができた。
当技術分野において、新たな抗がん化合物の他、抗がん効果を有する新種の化合物を同定する方法の開発など、新規の効果的な抗がん治療が必要とされている。TICを含むがん細胞に対して選択的でありながらも、正常細胞に毒性がない化合物が理想的である。治療剤を標的送達するために、バルクがん細胞、がん幹細胞、および正常老化細胞を特異的に標的とする化合物および部分もこれに含まれる。
国際特許出願第PCT/米国特許出願公開第2018/022403号明細書 国際特許出願第PCT/米国特許出願公開第2018/033466号明細書 国際特許出願第PCT/米国特許出願公開第2018/039354号明細書
本開示は、新規ミトコンドリア阻害剤を使用することによるCSCの根絶、および関連する治療の新たな方法を説明する。本明細書では、他の治療剤の抗ミトコンドリア作用を増強するのに使用できる特定の化合物の同定を含む、新規非毒性ミトコンドリア標的化シグナルを同定する新たな方策を開示する。また本明細書では、TPP共役化合物の例証的な実施形態も開示する。
トリフェニルホスホニウム(TPP)は、化学的なミトコンドリア標的化シグナルとして機能し、また安全で効果的な抗がん治療への新しい道ともなる。本明細書では、がん細胞(例えば、バルクがん細胞、がん幹細胞、および高エネルギーがん幹細胞)、および正常だが老化した細胞への強い取り込み選択性を有するよう開発されたTPP誘導体化合物を開示する。重要なこととして、本明細書に記載するTPP誘導体は、健全な細胞および正常な線維芽細胞では毒性がないが、500nMという低いIC50でCSC増殖を強力に標的とする。本明細書に記載するように、TPP誘導体2-ブテン-1,4-ビス-TPPは、他の治療候補の中でも、CSC増殖を標的とする効果的なTPP化合物の一例である。
本手法は、腫瘍再発、転移、薬剤耐性、および/または放射線療法耐性を治療および/または予防するのに使用し得る。抗がん治療は、特に手術後に腫瘍が再発または転移して不成功となることが少なくない。薬剤耐性と放射線療法耐性も、がん治療不成功の一般的な理由である。CSCミトコンドリア活性は、少なくとも部分的には、治療不成功のこうした原因に関与している可能性があると考えられている。本手法の実施形態は、従来のがん治療が成功しない状況で、ならびに/または腫瘍再発、転移、薬剤耐性、および/もしくは放射線療法耐性による不成功を防ぐ抗がん治療と併用して使用し得る。本手法は、治療剤を少なくとも1種のTPP誘導体化合物で化学修飾することによって、治療剤をがん幹細胞のミトコンドリアに標的化する方法という形態も取り得る。
本明細書で使用するTPP誘導体はTPPに由来する化学化合物である。例えばTPP誘導体化合物は、2-ブテン-1,4-ビス-TPP;2-ブテン-1,4-ビス-TPPの誘導体;2-クロロベンジル-TPP;2-クロロベンジル-TPPの誘導体;3-メチルベンジル-TPP;3-メチルベンジル-TPPの誘導体;2,4-ジクロロベンジル-TPP;2,4-ジクロロベンジル-TPPの誘導体;1-ナフチルメチル-TPP;1-ナフチルメチル-TPPの誘導体;p-キシリレンビス-TPP;およびp-キシリレンビス-TPPの誘導体であり得る。当然のことながら、前述のリストはTPP誘導体の網羅的なリストではない。しかしながら、理解されるように、共役部分は、TPP誘導体が抗がん特性または他の有益な特性を有するかどうかに、およびこうした特性の効力に重大な影響を及ぼす可能性がある。
本手法は、薬学的に有効な量の少なくとも1種のTPP誘導体化合物を投与するがんの治療法という形態を取り得る。本手法は、がん治療と併用して、またはがん治療後に、薬学的に有効な量の少なくとも1種のTPP誘導体化合物を投与する、腫瘍再発、転移、薬剤耐性、および/または放射線療法耐性を治療および/または予防する方法ならびに医薬組成物という形態も取り得る。TPP誘導体化合物は、ミトコンドリア阻害剤または他の治療剤と併用投与し、それにより、正常で健全な細胞にほとんど、またはまったく影響を及ぼさずに、がん細胞への薬剤の取り込みを増大させ得る。TPP誘導体化合物は、2-ブテン-1,4-ビス-TPP;2-クロロベンジル-TPP;3-メチルベンジル-TPP;2,4-ジクロロベンジル-TPP;1-ナフチルメチル-TPP;またはp-キシリレンビス-TPPであり得る。いくつかの実施形態では、TPP誘導体化合物は2-ブテン-1,4-ビス-TPPを含む。いくつかの実施形態では、2種以上のTPP誘導体が存在し得る。いくつかの実施形態では、TPP誘導体化合物は、2-ブテン-1,4-ビス-TPPの誘導体;2-クロロベンジル-TPPの誘導体;3-メチルベンジル-TPPの誘導体;2,4-ジクロロベンジル-TPPの誘導体;1-ナフチルメチル-TPPの誘導体;およびp-キシリレンビス-TPPの誘導体のうちの1つまたは複数である。
当然のことながら、TPP誘導体化合物は、本手法の実施形態においてがん幹細胞を選択的に標的とする。さらに、いくつかの実施形態では、少なくとも1種のTPP誘導体化合物は正常な老化細胞を選択的に標的とする。いくつかの実施形態では、TPP誘導体化合物は、正常で健全な細胞に対してごくわずかに毒性がある、または毒性がない可能性がある。
本手法は、有効成分として、少なくとも1種のTPP誘導体化合物を有する組成物の形態を取り得る。例えばこの医薬組成物は、その有効成分として、少なくとも1種のTPP誘導体化合物を有する抗がん医薬組成物であり得る。TPP誘導体化合物は、2-ブテン-1,4-ビス-TPP;2-ブテン-1,4-ビス-TPPの誘導体;2-クロロベンジル-TPP;2-クロロベンジル-TPPの誘導体;3-メチルベンジル-TPP;3-メチルベンジル-TPPの誘導体;2,4-ジクロロベンジル-TPP;2,4-ジクロロベンジル-TPPの誘導体;1-ナフチルメチル-TPP;1-ナフチルメチル-TPPの誘導体;p-キシリレンビス-TPP;およびp-キシリレンビス-TPPの誘導体のうち少なくとも1つを含む。例えばいくつかの実施形態では、有効成分は2-ブテン-1,4-ビス-TPPである。
医薬組成物の実施形態は、バルクがん細胞、がん幹細胞、および正常な老化細胞を根絶し得る。さらに本手法の実施形態では、TPP誘導体化合物は正常で健全な細胞に対して毒性がない可能性がある。
また、TPP誘導体は老化細胞を根絶し、それにより加齢に伴うさまざまな疾患を減少させ、および/または排除し得る。したがって本手法は、薬学的に有効な量の少なくとも1種のTPP誘導体化合物を投与することによって苦痛を治療する方法という形態を取り得る。TPP誘導体化合物は、抗ミトコンドリア作用を有する薬剤などの、1種または複数種の追加的な治療剤とともに投与し得る。苦痛は、例えば、がん、加齢に伴う病気、細胞老化関連分泌現象、または老化作用、例えばアテローム性動脈硬化症、心血管疾患、がん、関節炎、白内障、骨粗しょう症、2型糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、高血圧、アルツハイマー病、慢性炎症、神経変性、筋萎縮(サルコペニア)、皮膚の弾力性低下、白髪化、男性型脱毛症、年齢によるシミ、皮膚の欠陥、角化症であり得る。
TPP化合物1~3としても参照される3種類のTPP誘導体の構造を示す。1.2-ブテン-1,4-ビス-TPP;2.2-クロロベンジル-TPP;3.3-メチルベンジル-TPP。 TPP化合物4~6としても参照される3種類のTPP誘導体の構造を示す。4.2,4-ジクロロベンジル-TPP;5.1-ナフチルメチル-TPP;6.mito-TEMPO。 TPP化合物7~9としても参照される3種類のTPP誘導体の構造を示す。7.シアノメチル-TPP;8.p-キシリレン-ビス-TPP;9.4-シアノベンジル-TPP。 TPP化合物1(2-ブテン-1,4-ビス-TPP)について、ヒト乳がん細胞MCF-7における細胞生存能力および細胞内ATP濃度に対するTPP誘導体の効果を示す。 図3Aは、TPP化合物2(2-クロロベンジル-TPP)について、ヒト乳がん細胞MCF-7における細胞生存能力および細胞内ATP濃度に対するTPP誘導体の効果を示す。 図3Bは、TPP化合物3(3-メチルベンジル-TPP)について、ヒト乳がん細胞MCF-7における細胞生存能力および細胞内ATP濃度に対するTPP誘導体の効果を示す。 図4Aは、TPP化合物4(2,4-ジクロロベンジル-TPP)について、ヒト乳がん細胞MCF-7における細胞生存能力および細胞内ATP濃度に対するTPP誘導体の効果を示す。 図4Bは、TPP化合物5(1-ナフチルメチル-TPP)について、ヒト乳がん細胞MCF-7における細胞生存能力および細胞内ATP濃度に対するTPP誘導体の効果を示す。 正常な線維芽細胞(hTERT-BJ1)およびヒト乳がん細胞(MCF-7)における細胞生存能力および細胞内ATP濃度に対するTPP誘導体の効果を示す。 TPP化合物1(2-ブテン-1,4-ビス-TPP)を用いた治療後のMCF-7細胞のミトコンドリア機能障害を示す。 図7Aは、TPP化合物2(2-クロロベンジル-TPP)を用いた治療後のMCF-7細胞のミトコンドリア機能障害を示す。 図7Bは、TPP化合物3(3-メチルベンジル-TPP)を用いた治療後のMCF-7細胞のミトコンドリア機能障害を示す。 図8Aは、TPP化合物4(2,4-ジクロロベンジル-TPP)を用いた治療後のMCF-7細胞のミトコンドリア機能障害を示す。 図8Bは、TPP化合物5(1-ナフチルメチル-TPP)を用いた治療後のMCF-7細胞のミトコンドリア機能障害を示す。 TPP誘導体による処理後の乳がん幹細胞MCF-7のマンモスフェア形成活性の特異的阻害を示す。 本手法による、CSC増殖を標的とするミトコンドリア阻害剤を同定する例証的な手法を示す。 ビス-TPPとも称されるTPP化合物を示す。 選択したTPP誘導体(A)2-ブテン-1,4-ビス-TPPおよび(B)p-キシレン-ビス-TPPの構造活性相関を示す。
以下に、本手法を実施できるよう十分に詳細に本手法の実施形態を説明する。本手法はこれらの特定の実施形態に関して説明するが、当然のことながら、本手法は異なる形態で実施してもよく、またこの説明は、添付の特許請求の範囲を、本明細書に記載する特定の実施形態に限定するものとして解釈されるべきではない。むしろこれらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、当業者に本手法の範囲を完全に伝えるために提供される。
以前に本発明者らは、がん細胞を根絶する手段として、CSCおよびTICでミトコンドリア機能を阻害する手法を同定した。腫瘍増殖におけるミトコンドリア生合成の役割を考え、本発明者らは、ミトコンドリア標的化が抗がん治療にとって有益な特徴であると判断した。トリフェニルホスホニウム(TPP)は確立した化学的なミトコンドリア標的化シグナルである。TPPに共有結合的に付着したカーゴ分子は、生細胞のミトコンドリア内に蓄積する。しかしながら、抗がん治療を成功させるには、正常細胞ではなくがん細胞を標的とする必要がある。本明細書で論じるように、がん細胞ミトコンドリアを選択的に標的とするだけでなく、正常細胞において副作用が最小限、またはまったくない特定のTPP誘導体が開発されている。
本発明者らは、CSC内でミトコンドリアを標的とするのに使用できる新たな分子を同定するために、CellTiter-Gloを用いて96ウェルプレートで接着性がん細胞(MCF-7)中のATP濃度を測定し、本明細書に記載するさまざまなTPP誘導体をスクリーニングした。通常、細胞ATPの85%はミトコンドリア代謝に由来するため、ATP濃度はミトコンドリア機能を監視する優れた読み出しとなる。並行して、同じ96ウェルプレートをHoechst 33342を用いて染色し、DNA量を測定して細胞生存能力を判定した。その結果、9種のTPP誘導体を無作為に選択し、アッセイシステムでスクリーニングした。これらのTPP誘導体化学構造は図1に示す。
ミトコンドリア標的化シグナル伝達であるTPPは、正常細胞において毒性がない。本発明者らは、CSCでミトコンドリア機能を阻害するTPP誘導体化合物を開発できると考え、そのような化合物を同定する、図10に示す手法を開発した。この手法を実証するために、ATP枯渇アッセイを用いて、図1に示す9種のTPP誘導体、すなわち(1)2-ブテン-1,4-ビス-TPP;(2)2-クロロベンジル-TPP;(3)3-メチルベンジル-TPP;(4)2,4-ジクロロベンジル-TPP;(5)1-ナフチルメチル-TPP;(6)mito-TEMPO((2-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イルアミノ)-2-オキソエチル)トリフェニルホスホニウムクロリドと同義);(7)シアノメチル-TPP;(8)p-キシリレン-ビス-TPP;および(9)4-シアノベンジル-TPPの活性をスクリーニングした。
スクリーニングしたTPP関連化合物のうち5種はATP濃度を有意に抑制し、50%超のヒット率を得た。5種の陽性ヒット化合物はすべて、Seahorse XFe96を用いて機能検証を行い、ミトコンドリアの酸素消費率(OCR)に及ぼす効果を定量化した。注目すべきことに、これらのTPPヒット化合物は正常なヒト線維芽細胞において毒性がなく、その生存能力またはATP産生に影響を及ぼさずに、がん細胞に対する著しい選択性を示した。極めて重要なことに、これらの優れたヒット化合物は、3Dスフェロイドアッセイを用いて示されるように、CSC増殖をうまく阻止できる。例えば2-ブテン-1,4-ビス-TPPは、我々が同定したもっとも効力のある分子で、IC50<500nMでCSC増殖を標的とした。興味深いことに、2-ブテン-1,4-ビス-TPPは2つのTPP群を含有している。これは、図11に示すようなビス-TPP部分の使用が、CSCでミトコンドリアをより効果的に標的とする「二量体」または「高分子」シグナルとして機能し得ることを示唆している。効果の高い治療剤としてのビス-TPPの可能性を探索するさらなる試験が検討されている。
注目すべきことに、9種のTPP誘導体化合物のうち5種が、ATP濃度を有意に低下させる「陽性ヒット」であった。これらの陽性ヒットは、2-ブテン-1,4-ビス-TPP、2-クロロベンジル-TPP、3-メチルベンジル-TPP、2,4-ジクロロベンジル-TPP、および1-ナフチルメチル-TPPを含む。これは、実証的研究の対象となるTPP誘導体のヒット率が50%超であることを表す。しかしながら、2種の化合物はATP濃度を低下させる効果がまったくなかった(表1参照)。この結果は、TPP部分は正常細胞のミトコンドリアに対して本質的に毒性があるわけではないことを示す先の研究と一致している。
最初のスクリーニングの後、次いで5種の陽性ヒット化合物で図2~4に示すさらなる検証試験を実施し、これらのTPP化合物が0.5~2μMの範囲で高活性であることが示された。この最初の分析に基づき、陽性ヒットTPP誘導体の中でもっとも高い効力を示したのが2-ブテン-1,4-ビス-TPPであった。
図2Aは、TPP化合物1、すなわち2-ブテン-1,4-ビス-TPPの、ヒト乳がん細胞MCF-7における細胞生存能力および細胞内ATP濃度に対する効果を示す。細胞生存能力および細胞内ATP濃度は同じ処理をした試料で決定した。ヘキスト染色(%)を黒色の棒で、ATP濃度(%)を白色の棒で示す。MCF-7細胞は72時間処理した。データは平均+/-SEMとして表される。なお、2-ブテン-1,4-ビス-TPPは、細胞数に対して相対的にATP濃度を枯渇させる。**p<0.01、***p<0.001は、すべて対象に対して有意性を示す。図2Bは、対照および処理した細胞プレートの拡大像を示す。
図3Aおよび3Bは、TPP化合物2(2-クロロベンジル-TPP)およびTPP化合物3(3-メチルベンジル-TPP)の、ヒト乳がん細胞MCF-7における細胞生存能力および細胞内ATP濃度に対する効果を示す。細胞生存能力と細胞内ATP濃度は同じ処理をした試料で決定した。ヘキスト染色(%)を黒色の棒で、ATP濃度(%)を白色の棒で示す。MCF-7細胞は72時間処理した。データは平均+/-SEMとして表される。なお、2-クロロベンジル-TPPも3-メチルベンジル-TPPもATP濃度を徐々に枯渇させる。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001は、すべて対象に対して有意性を示す。
図4Aおよび4Bは、TPP化合物4(2,4-ジクロロベンジル-TPP)およびTPP化合物5(1-ナフチルメチル-TPP)の、ヒト乳がん細胞MCF-7における細胞生存能力および細胞内ATP濃度に対する効果を示す。細胞生存能力と細胞内ATP濃度は同じ処理をした試料で決定した。ヘキスト染色(%)を黒色の棒で、ATP濃度(%)を白色の棒で示す。MCF-7細胞は72時間処理した。データは平均+/-SEMとして表される。なお、2,4-ジクロロベンジル-TPPも1-ナフチルメチル-TPPもATP濃度を徐々に枯渇させる。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001は、すべて対象に対して有意性を示す。
図5は、正常な線維芽細胞(hTERT-BJ1)およびヒト乳がん細胞(MCF-7)における細胞生存能力および細胞内ATP濃度に対するTPP誘導体の効果を示す。細胞生存能力と細胞内ATP濃度は同じ処理をした試料で決定した。hTERT-BJ1ヒト線維芽細胞のヘキスト染色(%)を黒色、hTERT-BJ1ヒト線維芽細胞のATP濃度(%)を点、MCF-7細胞のヘキスト染色(%)を斜線、MCF-7細胞のATP濃度(%)を白色で示す。TPPは1μMで72時間処理した。データは平均+/-SEMとして表される。*p<0.05、**p<0.01は、すべて対象に対して有意性を示す。
図5からわかるように、これらのTPP誘導体は正常なヒト線維芽細胞(hTERT-BJ1)では比較的毒性がないが、がん細胞(MCF-7)では優先的に活性がある。例えば、ヒト線維芽細胞において2-ブテン-1,4-ビス-TPPは細胞生存能力には効果をもたらさず、ATP濃度を軽く25%だけ低下させた。一方、MCF-7がん細胞では、2-ブテン-1,4-ビス-TPPは同じ濃度(1μM)で細胞生存能力を65%近く低減させ、ATP濃度をほぼ85%低下させた。したがって、2-ブテン-1,4-ビス-TPPは、がん細胞で(線維芽細胞に対して)2.8倍効果的に細胞生存能力を低減させた。同様に、2-ブテン-1,4-ビス-TPPはがん細胞で正常な線維芽細胞に対して4.7倍効果的にATP濃度を低下させた。
本手法のいくつかの実施形態は、CSCでミトコンドリアを標的とし、抗がん治療候補となるTPP誘導体化合物を同定することに関する。TPP化合物によるATP濃度の低下が、本当にミトコンドリア機能の阻害に起因するものであったかをさらに検証するために、Seahorse XFe96代謝フラックスアナライザーを用いてミトコンドリアの酸素消費率(OCR)を直接測定した。結果を図6~8に示す。5種のTPP化合物はすべて同様に挙動し、約1μMのIC50でミトコンドリアの基礎呼吸を効果的に低減した。同定したTPP誘導体は、ATP産生関連呼吸、最大呼吸、および予備呼吸容量においても有意な低減を示した。
図6は、TPP化合物1による処理後のMCF-7細胞のミトコンドリア機能障害を示す。図7Aおよび7Bは、TPP化合物2またはTPP化合物3による処理後のMCF-7細胞のミトコンドリア機能障害を示す。図8は、TPP化合物4またはTPP化合物5による処理後のMCF-7細胞のミトコンドリア機能障害を示す。酸素消費率(OCR)はSeahorse XF96 Extracellular Flux Analyzerを用いて測定した。データは平均+/-SEMとして表される。なお、2-ブテン-1,4-ビス-TPPはミトコンドリアの酸素消費を効果的に抑制する。図6では、**p<0.01、***p<0.001は、すべて対象に対して有意性を示す。なお、2-クロロベンジル-TPPも3-メチルベンジル-TPPも、ミトコンドリアの酸素消費を効果的に抑制する。図7では、**p<0.01、***p<0.001は、すべて対象に対して有意性を示す。なお、2,4-ジクロロベンジル-TPPも1-ナフチルメチル-TPPも、ミトコンドリアの酸素消費を効果的に抑制する。また図8では、**p<0.01、***p<0.001は、すべて対象に対して有意性を示す。
本発明者らは、検証後に、読み出しとしてマンモスフェアアッセイを用いて、CSCの増殖に対するこれらTPP誘導体化合物の効果を評価した。図9は、さまざまなTPP誘導体による処理後の、乳がん幹細胞MCF-7のマンモスフェア形成活性の特異的阻害を示す。図9に示すデータは、左から右に、以下の順番のTPP誘導体である:2,4-ジクロロベンジル-TPP(黒色);1-ナフチルメチル-TPP(斜線);3-メチルベンジル-TPP(点線);2-クロロベンジル-TPP(白色);2-ブテン-1,4-ビス-TPP(横線)。細胞は5日間、マンモスフェア培地で処理した。データは平均+/-SEMとして表される。なお、2-ブテン-1,4-ビス-TPPは、500nM未満のIC50で、CSC増殖を阻止するもっとも効果的な化合物だった。*p<0.05、**p<0.01は、すべて対象に対して有意性を示す。
興味深いことに、2-ブテン-1,4-ビス-TPPはIC50<500nMでもっとも効果的だった。一方、試験したその他の化合物のうちの2種(2-クロロベンジル-TPP、3-メチルベンジル-TPP)はIC50が1~5μMだった。最終的に、1-ナフチルメチル-TPPはIC50>5μMでもっとも効力が小さかった。したがって本発明者らは、CSC増殖を標的とするのに、2-ブテン-1,4-ビス-TPPはその他のTPP化合物よりも効力が2~10倍高いと結論付けた。同定したTPP誘導体が、ミトコンドリア呼吸とATP産生の低減においてほぼ同一の挙動を示したにもかかわらず、この結果となっている。したがって、本発明者らが確証的研究で探索したその他のTPP化合物よりもCSCを標的とする効力を高めているのは、2-ブテン-1,4-ビス-TPPの別の固有特性である。
図10は、CSC増殖を標的とするミトコンドリア阻害剤を同定するという、本手法による方法の実施形態を示す。最初にS1001でライブラリから有望な化合物を選択し、がん細胞でATP枯渇アッセイを実施した。前述のとおり、本発明者らはスクリーニングの出発点としてTPP関連化合物を選択した。そうすれば、試験化合物すべてが確実にミトコンドリアを標的とすることになるからである。当業者には当然のことながら、本手法を用いることで、ミトコンドリア膜を標的とする能力が証明または予想されている部分を有する他のTPP関連化合物または他の化合物を選択し得る。次いで、S1002でATP濃度を低下させる化合物を同定し、その後S1003で、一例として、前述したミトコンドリアの酸素消費率(OCR)解析によって機能的に検証してよい。当然のことながら、当業者はATP濃度低下がミトコンドリア機能の抑制によるものであることを確認する別のアッセイを用いてよい。検証に続いて、S1004で、同定した化合物のCSCに対する効果を評価してよい。前述のとおり、本手法の一実施形態ではマンモスフェアアッセイを用いてCSC増殖効果を評価したが、当業者は別の手法を用いて、CSCを標的とすることにおける、同定した化合物の有効性を評価してよい。この手法の成果は、CSC抑制効果を有する新たな化合物の同定である。有利には、本明細書に記載する確認分析で用いられる本手法は、同定したTPP誘導体が、正常なヒト線維芽細胞において毒性がなく、それにより薬物毒性を効果的に制限するCSCのミトコンドリア阻害剤であることを示す。
図11は、ビス-TPPと呼ばれるTPP誘導体を示す。このTPP誘導体は、がん幹細胞(CSC)を根絶する効果的なミトコンドリア標的化シグナルである。図にはビス-TPPの「二量体」構造を示し、このときRは化学基または部分である。例えばRは、水素、炭素、窒素、硫黄、酸素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、カルボキシル、アルカン類、環状アルカン類、アルカン系誘導体、アルケン類、環状アルケン類、アルケン系誘導体、アルキン類、アルキン系誘導体、ケトン類、ケトン系誘導体、アルデヒド類、アルデヒド系誘導体、カルボン酸類、カルボン酸系誘導体、エーテル類、エーテル系誘導体、エステル類、エステル系誘導体、アミン類、アミノ系誘導体、アミド類、アミド系誘導体、単環式または多環式アレーン、ヘテロアレーン類、アレーン系誘導体、ヘテロアレーン系誘導体、フェノール類、フェノール系誘導体、安息香酸、および安息香酸系誘導体からなる群から選択し得る。
図12は、2-ブテン-1,4-ビス-TPP(図1および2参照)とp-キシリレン-ビス-TPP(図1および表1参照)の構造活性相関を示し、後者はATP枯渇という点で効力が約200分の1である。これは、ビス-TPP化合物がCSCの根絶に有効であり得る一方で、R基によっては、CSCを根絶する効力が有意に大きい(または小さい)可能性があることを示している。当業者は各TPP誘導体化合物候補の効力を評価する必要性を理解するであろう。
Figure 0007066847000001
以下の段落で、前述の考察と関連して用いられる材料および方法について説明する。当然のことながら、当該技術分野において少なくとも通常の技術を有する者は、これらの方法に精通しているであろう。
細胞培養および試薬に関して、ヒト乳腺がん細胞株(MCF-7)をAmerican Type Culture Collection(ATCC)から入手した。hTERT-BJ1細胞はClontech,Inc.から入手した。MCF-7およびhTERT-BJ1細胞は、10%ウシ胎児血清、GlutaMAX、および1%ペニシリン・ストレプトマイシンを添加したDMEMで増殖させ、加湿した5%CO2インキュベーターで37℃でインキュベートした。培地は週に2~3回交換した。TPP誘導体はSanta Cruz Biotechnology,Inc.から入手し、以下を含んでいた:(1)2-ブテン-1,4-ビス-TPP;(2)2-クロロベンジル-TPP;(3)3-メチルベンジル-TPP;(4)2,4-ジクロロベンジル-TPP;(5)1-ナフチルメチル-TPP;(6)mito-TEMPO;(7)シアノメチル-TPP;(8)p-キシリレン-ビス-TPP;(9)4-シアノベンジル-TPP。
ATP枯渇アッセイ(CellTiter-GloとHoechst 33342を添加)については、MCF-7細胞をさまざまなTPP誘導体を用いて黒い96ウェルプレートで72時間処理し、次いでPBSでウェルを洗浄し、最終濃度10μg/mLで、Hoechst 33342染料で染色した。蛍光は、355nm(励起)、460nm(蛍光)でプレートリーダーで読み取った。PBSで洗浄した後、CellTiterGlo発光アッセイ(Promega)を、製造者のプロトコルに従って実施し、ヘキスト染料で染色した細胞の細胞内ATP濃度を測定した。蛍光データと発光データはいずれも対照濃度に正規化し、比較のためにパーセンテージで示した。
ミトコンドリアのOCRを測定するために、XF Cell Mito Stress Test Kit(Seahorse Bioscience、米国マサチューセッツ州)とSeahorse XFe96 Extracellular Flux Analyzer(Seahorse Bioscience、米国マサチューセッツ州)を用いてミトコンドリア機能を調べた。MCF-7細胞を、専用の96ウェル組織培養プレート(XF96マイクロプレート)に播種した。翌日、TPP誘導体を添加し、プレートを72時間インキュベートした。実験前に、培地をXFベース培地(1mMピルビン酸塩、2mMグルタミン、10mMグルコースを含む)に交換し、細胞を無二酸化炭素雰囲気中で37℃で1時間インキュベートしてから測定した。基礎OCR(ミトコンドリア呼吸の指標)の検出後、オリゴマイシン(1μM)、FCCP(600nM)、およびアンチマイシン(1μM)とロテノン(1μM)の組み合わせの使用について、OCR反応を評価した。これらの測定から、ミトコンドリア機能のさまざまなパラメーターを決定した。測定したウェルでの細胞生存能力を決定するために、スルホローダミンB(SRB)アッセイを実施した。次いで、酸素消費率値を所定のSRB値に正規化した。
3Dスフェロイド(マンモスフェア)アッセイのために、酵素的(1×トリプシン-EDTA、SigmaAldrich、#T3924)、および手動での(25ゲージニードル)脱凝集によってMCF-7細胞の単個細胞浮遊液を調製した。細胞は、(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(ポリ-HEMA、Sigma、#P3932)でコートした培養皿で、非接着性条件下でマンモスフェア培地(B27/20ng/mLおよびEGF/PenStrepを含むDMEM/F12培地)に500細胞/cm2の密度で蒔いた。さまざまなTPP誘導体を事前にマンモスフェア培地で希釈した後に、細胞を添加した。プレートは加湿インキュベーターに、37℃、大気圧、5%(v/v)二酸化炭素/空気で保持した。5日間培養した後、アイピースグレイティクルを用いて50μm超のマイクロスフェアを数え、マンモスフェアの数を対照処理(溶媒のみで処理した細胞)に正規化した。
前述の説明は、TPP関連化合物が、「バルク」がん細胞とCSCを効果的に標的としながらも、正常細胞における標的外の副作用を最小限に抑える新規の化学的戦略であることを示している。これに関連して、ビス-TPPは、特にCSCを標的とすることにおいてTPP化合物の効力が高い選択的な形態である。p-キシリレン-ビス-TPP(上記表1参照)は、全体的なATP濃度を低下させる効果が2-ブテン-1,4-ビス-TPP(図2参照)の約200分の1であったことから、この効力と選択性の一部は、中心のブテン部分の反応性二重結合にも由来する可能性がある。図12は、これら2つの構造を対照比較したものである。
当然のことながら、本手法において、抗ミトコンドリア作用を有する治療剤は、例え副作用またはその他の標的外特性があるにしても、抗がん治療剤としてTPP誘導体と併せて使用し得る。例えばTPP誘導体は、1つまたは複数の治療剤と共有結合させて投与し得る。治療剤は、例えば、抗ミトコンドリア副作用を有する抗生物質などのFDA承認薬を含む既知の医薬品であり得る。治療剤は、その他の例として、ミトコンドリア生合成阻害剤、例えばドキシサイクリン、ミトリボスシン(mitoriboscin)(抗がん性および抗菌性を有するミトリボソーム標的化治療薬)、ミトケトスシン(mitoketoscin)(ACAT1/2およびOXCT1/2の少なくとも1つと結合し、ミトコンドリアのATP産生を抑制する非発がん性化合物)、アンチミトスシン(antimitoscin)(抗生物質をミトコンドリアに標的化するために化学修飾された内在性の抗ミトコンドリア特性を有する抗生物質)であり得る。2018年3月14日に出願された特許文献1、2018年5月18日に出願された特許文献2、2018年9月26日に出願された特許文献3はそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
治療剤であるミトリボスシンに関して、本剤はミトリボサイクリン(mitoribocycline)、ミトリボマイシン(mitoribomycin)、ミトリボスポリン(mitoribosporin)、および/またはミトリボフロキシン(mitoribofloxin)であり得る。以下の化合物(または薬学的に許容可能なこれらの塩)は、使用可能な薬剤の例である。
Figure 0007066847000002
上式で、各Rは同一でも異なっていてもよく、また、水素、炭素、窒素、硫黄、酸素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、カルボキシル、アルカン類、環状アルカン類、アルカン系誘導体、アルケン類、環状アルケン類、アルケン系誘導体、アルキン類、アルキン系誘導体、ケトン類、ケトン系誘導体、アルデヒド類、アルデヒド系誘導体、カルボン酸類、カルボン酸系誘導体、エーテル類、エーテル系誘導体、エステル類、エステル系誘導体、アミン類、アミノ系誘導体、アミド類、アミド系誘導体、単環式または多環式アレーン、ヘテロアレーン類、アレーン系誘導体、ヘテロアレーン系誘導体、フェノール類、フェノール系誘導体、安息香酸、安息香酸系誘導体、および1つまたは複数のミトコンドリア標的化シグナルからなる群から選択される。明確にするために、ミトコンドリア標的化シグナルは、付着した分子をミトコンドリアに標的化する効率を高める任意の化学実体またはペプチド実体と定義される。そのような修飾は、ミトリボスシンの効力と有効性を高めることが期待される。したがってRは、中でもトリフェニルホスホニウム(TPP)、グアニジニウム系部分、および/またはコリンエステル類などのカチオン化合物を含む任意のミトコンドリア標的化シグナル(ペプチドまたは化学物質)であり得る。
治療剤は、酸化代謝阻害剤と解糖代謝阻害剤のいずれか、または両方の1つまたは複数を含み得る。例えば酸化代謝阻害剤は、テトラサイクリン族およびエリスロマイシン族のメンバーであり得る。テトラサイクリン族のメンバーは、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、チゲサイクリン、ミノサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、リメサイクリン、メクロサイクリン、メタサイクリン、ロリテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オマダサイクリン、およびセラサイクリンなどがある。エリスロマイシン族のメンバーは、エリスロマイシン、アジスロマイシン、およびクラリスロマイシンなどがある。解糖代謝阻害剤は、解糖阻害剤、OXPHOS阻害剤、およびオートファジー阻害剤から選択し得る。解糖阻害剤は、2-デオキシ-グルコース、アスコルビン酸、およびスチリペントールなどがある。OXPHOS阻害剤は、アトラバコン(atoravaquone)、イリノテカン、ソラフェニブ、ニクロサミド、および塩化ベルベリンなどがある。オートファジー阻害剤はクロロキンなどがある。
当然のことながら、1つまたは複数のTPP誘導体は医薬組成物中の有効成分であり得る。例えばTPP誘導体は、2-ブテン-1,4-ビス-TPP;2-ブテン-1,4-ビス-TPPの誘導体;2-クロロベンジル-TPP;2-クロロベンジル-TPPの誘導体;3-メチルベンジル-TPP;3-メチルベンジル-TPPの誘導体;2,4-ジクロロベンジル-TPP;2,4-ジクロロベンジル-TPPの誘導体;1-ナフチルメチル-TPP;1-ナフチルメチル-TPPの誘導体;p-キシリレンビス-TPP;p-キシリレンビス-TPPの誘導体であり得る。当業者には当然のことながら、TPP誘導体の「誘導体」は同定されたTPP誘導体から形成される化合物であり、構造類似体を有し得る。組成物および/またはTPP誘導体化合物は、錠剤、丸剤、粉末、液体、懸濁液、乳剤、顆粒、カプセル、座薬、注射剤、溶液、懸濁液、および/または外用クリーム剤の形態であり得る。医薬組成物は、抗ミトコンドリア作用を有する治療剤を含み得る。治療剤はTPP誘導体に共有結合され得る。
バルクがん細胞とCSCに加え、当然のことながら、TPP誘導体化合物は、本発明者らが高エネルギーがん幹細胞(e-CSC)と称する過剰増殖性細胞亜集団を標的とするために使用し得る。e-CSCは、幹細胞性標識(ALDH活性およびマンモスフェア形成活性)の漸進的増加、ミトコンドリア量の極度の増加、ならびに解糖活性およびミトコンドリア活性の上昇を示す。
同様に当然のことながら、TPP誘導体化合物は、有益な用途の中でも特に抗菌特性および/または抗老化特性も有し得る。例えばTPP誘導体は、加齢に伴う病気、例えばアテローム性動脈硬化症、心血管疾患、がん、関節炎、白内障、骨粗しょう症、2型糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、高血圧、アルツハイマー病、慢性炎症、神経変性、筋萎縮(サルコペニア)、皮膚の弾力性低下、白髪化、男性型脱毛症、年齢によるシミ、皮膚の欠陥、角化症を減少させる、または排除するのに使用し得る。TPP誘導体は、細胞老化関連分泌現象を阻止するのにも使用し得る。そのような実施形態において、TPP誘導体は、抗ミトコンドリア作用を有する治療剤と併用投与し得る。実施形態は、少なくとも1種のTPP誘導体、および抗ミトコンドリア作用を有する少なくとも1種の治療剤を有する医薬組成物の形態を取り得る。治療剤はTPP誘導体に共有結合し得る。そのような実施形態において、TPP誘導体は、抗ミトコンドリア作用を有する治療剤と併用投与し得る。この実施形態は、少なくとも1種のTPP誘導体、および抗ミトコンドリア作用を有する少なくとも1種の治療剤を有する医薬組成物の形態を取り得る。治療剤はTPP誘導体に共有結合し得る。
治療剤に応じて、本明細書に記載する方法および組成物は、放射線感作作用、光感作作用も有してよく、ならびに/または化学療法剤、天然物質、および/もしくはカロリー制限のうち1つまたは複数に対する感受性が高いがん細胞に対する活性も有してよい。実施形態は、細菌感染症、病原性酵母感染症、および老化を治療するのにも有用であり得る。例えば、化学修飾した治療剤は、増強された抗ウイルス活性、増強された抗菌活性、および/または増強された抗微生物活性も有し得る。したがって、本手法の実施形態は、ウイルス複製を標的とすること、病原性細菌、酵母菌、および寄生虫の増殖を予防または抑制すること、ならびに細菌(例えばメチシリン耐性黄色ブドウ球菌[MSRA])中の薬剤耐性に打ち勝つことにも使用し得る。
TPP誘導体は、生命体における加齢効果を抑制する;アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、がん、関節炎、白内障、骨粗しょう症、2型糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、高血圧、アルツハイマー病の少なくとも1つを治療する;寿命を延長する;組織修復および再生を促進する;加齢関連炎症を軽減することにも使用し得る。
本明細書の本発明の説明で使用する用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明および添付の特許請求の範囲で使用する単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈で別途明確に示さない限り、複数形も含むことを意図している。本発明は、以下の詳細な説明の考察から明らかになるように、多くの代案、修正、および均等物を含む。
当然のことながら、本明細書で、「第1」、「第2」、「第3」、「a)」、「b)」、および「c)」などの用語を使用して本発明のさまざまな要素を説明していても、本発明はこれらの用語によって限定されない。これらの用語は、本発明のある要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。したがって、以下に説明する第1の要素は、本発明の教示から逸脱することなく、要素の一態様、および同様に第3の要素と呼ぶことができる。したがって、「第1」、「第2」、「第3」、「a)」、「b)」、「c)」などの用語は、必ずしも関連する要素に対する順序などの序列を伝えることを意図するものではなく、識別目的でのみ使用される。操作(またはステップ)の順序は、特許請求の範囲に示される順番に限定されない。
別途定義しない限り、本明細書で使用するすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が通常理解するのと同じ意味を有する。さらに当然のことながら、一般的に使用される辞書で定義されている用語は、本出願および関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義しない限り、理想化された意味または過度に形式的な意味に解釈されるべきではない。本明細書に記載する本発明の説明で使用する用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で言及するすべての出版物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。用語に矛盾がある場合、本明細書が優先される。
また、本明細書で使用する「および/または」は、関連する列挙した項目の1つまたは複数のありとあらゆる可能な組み合わせを、ならびに代替的な(「または」)で解釈される場合には組み合わせの欠如を指し、かつ包含する。
文脈で別途示さない限り、本明細書に記載する本発明のさまざまな特徴は、任意の組み合わせで使用できることを明確に意図している。さらに本発明は、本発明のいくつかの実施形態において、本明細書に記載する任意の特徴または特徴の組み合わせを除外または省略できることも考慮している。例として、複合体が構成部品A、B、およびCを含むと明細書に記載されている場合、A、B、もしくはCのいずれか、またはこれらの組み合わせを省略し、否定できることを明確に意図している。
本明細書で使用する移行句「本質的に~からなる」(およびその文法上の変形)は、クレームされた発明の列挙した材料またはステップ「および基本的かつ新規の特徴に実質的に影響しないもの」を包含するものと解釈されるべきである。したがって、本明細書で使用する用語「本質的に~からなる」は、「含む」と同等であると解釈されるべきではない。
本明細書で使用する用語「約」は、例えば、量または濃度などの測定可能な値を指す場合、特定量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、または±0.1%の変動を包含することを意味する。本明細書に提示する測定可能な値の範囲は、他の任意の範囲および/またはその中の個々の値を含み得る。
このように本発明の特定の実施形態を説明してきたが、これらの多くの明らかな変形が、以下にクレームする本発明の精神または範囲から逸脱することなく可能であるため、当然のことながら、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明は、上記説明に記載した特定の詳細によって制限されるものではない。

Claims (19)

  1. 腫瘍再発および転移、薬剤耐性、ならびに放射線療法耐性のうち少なくとも1つを治療するための医薬品の製造における、薬学的に有効な量の少なくとも1種のトリフェニルホスホニウム(TPP)誘導体化合物および薬学的に許容可能な担体の使用であって、前記TPP誘導体化合物は、2-ブテン-1,4-ビス-TPP;2-クロロベンジル-TPP;3-メチルベンジル-TPP;2,4-ジクロロベンジル-TPP;および1-ナフチルメチル-TPPから選択される化合物である、使用。
  2. 前記TPP誘導体化合物は2-ブテン-1,4-ビス-TPPである、請求項1に記載の使用。
  3. 抗生物質、ミトコンドリア生合成阻害剤、ミトリボスシン、ミトケトスシン、ミトリボサイクリン、ミトリボマイシン、ミトリボスポリン、ミトリボフロキシン、酸化代謝阻害剤、および解糖代謝阻害剤のうち少なくとも1つを含む、抗ミトコンドリア作用を有する少なくとも1種の治療剤をさらに含む、請求項1に記載の使用。
  4. 腫瘍再発および転移を予防するための医薬品の製造における、薬学的に有効な量の少なくとも1種のTPP誘導体化合物および薬学的に許容可能な担体の使用であって、前記TPP誘導体化合物は、2-ブテン-1,4-ビス-TPP;2-クロロベンジル-TPP;3-メチルベンジル-TPP;2,4-ジクロロベンジル-TPP;および1-ナフチルメチル-TPPから選択される化合物である、使用。
  5. 抗生物質、ミトコンドリア生合成阻害剤、ミトリボスシン、ミトケトスシン、ミトリボサイクリン、ミトリボマイシン、ミトリボスポリン、ミトリボフロキシン、酸化代謝阻害剤、および解糖代謝阻害剤のうち少なくとも1つを含む、抗ミトコンドリア作用を有する少なくとも1種の治療剤をさらに含む、請求項4に記載の使用。
  6. がんを治療するための医薬品の製造における、薬学的に有効な量の少なくとも1種のTPP誘導体化合物および薬学的に許容可能な担体の使用であって、前記TPP誘導体化合物は、2-ブテン-1,4-ビス-TPP;2-クロロベンジル-TPP;3-メチルベンジル-TPP;2,4-ジクロロベンジル-TPP;および1-ナフチルメチル-TPPから選択される化合物である、使用。
  7. 抗生物質、ミトコンドリア生合成阻害剤、ミトリボスシン、ミトケトスシン、ミトリボサイクリン、ミトリボマイシン、ミトリボスポリン、ミトリボフロキシン、酸化代謝阻害剤、および解糖代謝阻害剤のうち少なくとも1つを含む、抗ミトコンドリア作用を有する少なくとも1種の治療剤をさらに含む、請求項6に記載の使用。
  8. 前記少なくとも1種のTPP誘導体化合物は2-ブテン-1,4-ビス-TPPである、請求項6に記載の使用。
  9. 前記少なくとも1種のTPP誘導体化合物は、バルクがん細胞、がん幹細胞(CSC)、および高エネルギーがん幹細胞のうち少なくとも1つを選択的に標的とする、請求項6に記載の使用。
  10. 前記少なくとも1種のTPP誘導体化合物は正常な老化細胞を選択的に標的とする、請求項9に記載の使用。
  11. 前記少なくとも1種のTPP誘導体化合物は、正常で健全な細胞に対して毒性がない、請求項6に記載の使用。
  12. 前記解糖代謝阻害剤は、解糖阻害剤、酸化的リン酸化(OXPHOS)阻害剤、およびオートファジー阻害剤のうち少なくとも1種を含む、請求項7に記載の使用。
  13. 2-ブテン-1,4-ビス-TPP;2-クロロベンジル-TPP;3-メチルベンジル-TPP;2,4-ジクロロベンジル-TPP;および1-ナフチルメチル-TPPから選択される少なくとも1種のTPP誘導体化合物を含む抗がん医薬組成物。
  14. 抗生物質、ミトコンドリア生合成阻害剤、ミトリボスシン、ミトケトスシン、ミトリボサイクリン、ミトリボマイシン、ミトリボスポリン、ミトリボフロキシン、酸化代謝阻害剤、および解糖代謝阻害剤のうち少なくとも1つを含む、抗ミトコンドリア作用を有する少なくとも1種の治療剤をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
  15. 前記少なくとも1種のTPP誘導体化合物は2-ブテン-1,4-ビス-TPPである、請求項13に記載の組成物。
  16. 前記少なくとも1種のTPP誘導体化合物は、バルクがん細胞、がん幹細胞、高エネルギーがん幹細胞、および正常な老化細胞のうち少なくとも1つを根絶する、請求項13に記載の組成物。
  17. 前記TPP誘導体化合物は、正常で健全な細胞に対して毒性がない、請求項13に記載の組成物。
  18. 放射線感作作用、光感作作用、ならびに化学療法剤、天然物質、およびカロリー制限のうち少なくとも1つに対する感受性の高いがん細胞に対する活性のうち少なくとも1つを有する、請求項13に記載の組成物。
  19. 2-ブテン-1,4-ビス-TPPと、抗生物質、ミトコンドリア生合成阻害剤、ミトリボスシン、ミトケトスシン、ミトリボサイクリン、ミトリボマイシン、ミトリボスポリン、ミトリボフロキシン、酸化代謝阻害剤、および解糖代謝阻害剤のうち少なくとも1つを含む、抗ミトコンドリア作用を有する少なくとも1種の治療剤とを含む抗がん医薬組成物。
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