JP7065991B2 - 感光性転写材料、回路配線の製造方法、タッチパネルの製造方法、樹脂パターンの製造方法、及びフィルム - Google Patents
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Description
このような、パターン化した回路配線の形成には、必要とするパターン形状を得るための工程数が少ないといった理由から、ドライフィルムレジストとも称される感光性転写材料を用いることが検討されている。そして、感光性転写材料に含まれる感光性樹脂層を保護するために、通常、感光性樹脂層上には保護フィルムが設けられている。
保護フィルムの剥離性は、例えば、保護フィルムの表面に凹凸を設けることで向上できる。一方、保護フィルムの表面に凹凸を設けると、保護フィルムに接する感光性樹脂層の表面に保護フィルムの凹凸が転写され、感光性樹脂層の表面に凹凸が形成されることがある。凹凸を有する感光性樹脂層を基板に貼り合わせると、感光性樹脂層と基板との間に気泡が残存するため、形成されるパターンの欠損、形状不良等のパターン故障が発生する。
また、通常、ポジ型感光性樹脂層は、樹脂の含有量が多いため、ネガ型感光性樹脂層に比べて柔軟性に乏しい。ネガ型感光性樹脂層に比べて柔軟性に乏しいポジ型感光性樹脂層は基板表面の形状に追随して変形し難いため、表面に凹凸が形成されたポジ型感光性樹脂層を基板に貼り合わせると、ポジ型感光性樹脂層と基板との間に気泡が残存しやすい。このため、上記パターン故障の発生頻度は、ポジ型感光性樹脂層を有する感光性転写材料を適用した場合において顕著となる。
本開示の一実施形態は、保護フィルムの剥離性に優れ、かつ、パターン故障を低減できる感光性転写材料を提供することを目的とする。
本開示の他の一実施形態は、パターン故障が低減された回路配線の製造方法を提供することを目的とする。
本開示の他の一実施形態は、パターン故障が低減されたタッチパネルの製造方法を提供することを目的とする。
本開示の他の一実施形態は、パターン故障が低減された樹脂パターンの製造方法を提供することを目的とする。
本開示の他の一実施形態は、剥離性に優れ、かつ、被着体表面への凹凸の転写を低減できるフィルムを提供することを目的とする。
<1> 仮支持体と、ポジ型感光性樹脂層と、保護フィルムと、をこの順に有し、上記保護フィルムの、上記ポジ型感光性樹脂層と接する側の表面が、下記の(A)及び(B)を満たす感光性転写材料。
(A)水接触角が、75°以上である。
(B)表面粗さRaが、45nm以下である。
<2> 上記表面粗さRaが、25nm以下である<1>に記載の感光性転写材料。
<3> 上記保護フィルムが、基材と、下塗り層と、を有し、上記保護フィルムの、上記ポジ型感光性樹脂層と接する側の最外層が、上記下塗り層である<1>又は<2>に記載の感光性転写材料。
<4> 上記保護フィルムが、第一延伸方向の延伸物である一軸延伸フィルムがフィルム面に沿って上記第一延伸方向と直交する第二延伸方向に延伸された二軸延伸フィルムと、上記一軸延伸フィルムの一方面に形成された塗布層の上記第二延伸方向の延伸物である下塗り層と、を有し、上記保護フィルムの、上記ポジ型感光性樹脂層と接する側の最外層が、上記下塗り層である<1>又は<2>に記載の感光性転写材料。
<5> 上記下塗り層が、酸変性ポリオレフィンを含有する<3>又は<4>に記載の感光性転写材料。
<6> 上記酸変性ポリオレフィンが酸基を有し、上記酸基の少なくとも1つがアルカリ金属塩である<5>に記載の感光性転写材料。
<7> 上記下塗り層の厚みが、10nm~550nmである<3>~<6>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<8> 上記仮支持体と上記ポジ型感光性樹脂層との間に、水溶性樹脂層を有する<1>~<7>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<9> 上記ポジ型感光性樹脂層が、酸分解性樹脂を含有する<1>~<8>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<10> 上記ポジ型感光性樹脂層が、上記ポジ型感光性樹脂層の全固形分に対し、重合体成分を80質量%~98質量%の割合で含む<1>~<9>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<11> <1>~<10>のいずれか1つに記載の感光性転写材料の保護フィルムを剥離する工程と、上記感光性転写材料の、上記仮支持体に対して上記ポジ型感光性樹脂層を有する側の最外層を、導電層を有する基板に貼り合わせる工程と、上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記ポジ型感光性樹脂層をパターン露光する工程と、上記パターン露光する工程後の上記ポジ型感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する工程と、上記樹脂パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程と、を含む、回路配線の製造方法。
<12> <1>~<10>のいずれか1つに記載の感光性転写材料の保護フィルムを剥離する工程と、上記感光性転写材料の、上記仮支持体に対してポジ型感光性樹脂層を有する側の最外層を、導電層を有する基板に貼り合わせる工程と、上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記ポジ型感光性樹脂層をパターン露光する工程と、上記パターン露光する工程後の上記ポジ型感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する工程と、上記樹脂パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程と、を含む、タッチパネルの製造方法。
<13> <1>~<10>のいずれか1つに記載の感光性転写材料の保護フィルムを剥離する工程と、上記感光性転写材料の、上記仮支持体に対してポジ型感光性樹脂層を有する側の最外層を、基板に貼り合わせる工程と、上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記ポジ型感光性樹脂層をパターン露光する工程と、上記パターン露光する工程後の上記ポジ型感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する工程と、を含む、樹脂パターンの製造方法。
<14> 第一延伸方向の延伸物である一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムがフィルム面に沿って上記第一延伸方向と直交する第二延伸方向に延伸された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと、上記一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方面に形成された塗布層の上記第二延伸方向の延伸物である下塗り層と、を有し、上記下塗り層が、下記の(A)及び(B)を満たすフィルム。
(A)水接触角が、75°以上である。
(B)表面粗さRaが、45nm以下である。
<15> 上記下塗り層が、酸変性ポリオレフィンを含有する<14>に記載のフィルム。
<16>第1の樹脂層と、第1の樹脂層上に設けられた第2の樹脂層とを有し、第1の樹脂層が、ポリエステルを含み、第2の樹脂層の表面が、下記の(A)及び(B)を満たすフィルム。
(A)水接触角が、75°以上である。
(B)表面粗さRaが、45nm以下である。
<17>第1の樹脂層の厚みが5μm~200μmであり、かつ、第2の樹脂層の厚みが10nm~550nmである、<16>に記載のフィルム。
<18>保護フィルムである、<14>~<17>のいずれか1つに記載のフィルム。
本開示の他の一実施形態によれば、パターン故障が低減された回路配線の製造方法を提供することができる。
本開示の他の一実施形態によれば、パターン故障が低減されたタッチパネルの製造方法を提供することができる。
本開示の他の一実施形態によれば、パターン故障が低減された樹脂パターンの製造方法を提供することができる。
本開示の他の一実施形態によれば、剥離性に優れ、かつ、被着体表面への凹凸の転写を低減できるフィルムを提供することができる。
本開示において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれか一方を表し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれか一方を意味する。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「工程」との用語には、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有しないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
本開示において、全固形分とは、溶剤等の揮発性成分を除いた成分の全質量をいう。
本開示に係る感光性転写材料は、仮支持体と、ポジ型感光性樹脂層と、保護フィルムと、をこの順に有し、上記保護フィルムの、上記ポジ型感光性樹脂層と接する側の表面が、下記の(A)及び(B)を満たす。
(A)水接触角が、75°以上である。
(B)表面粗さRaが、45nm以下である。
本開示に係る感光性転写材料に適用される保護フィルムは、上記の(A)及び(B)を満たすため、ポジ型感光性樹脂層と接する側の表面の表面エネルギーを下げ、かつ、凹凸を低減できる。そして、保護フィルムの表面の凹凸を低減できることで、ポジ型の感光性樹脂層の表面に保護フィルムの凹凸が転写されることを抑制できる。このため、本開示に係る感光性転写材料は、保護フィルムの剥離性の向上及びパターン故障の低減を両立できると考えられる。
一方、例えば、上述の国際公開第2014/175274号、及び特開2007-293006号公報に記載された感光性転写材料に適用される保護フィルムでは、上記の(A)及び(B)を満たすことはできないと考えられる。また、上述の国際公開第2014/175274号、特開2007-293006号公報、及び特開2018-2947号公報においては、保護フィルムが適用された感光性樹脂層はポジ型感光性樹脂層ではなく、ポジ型感光性樹脂層を有する感光性転写材料に対して保護フィルムを適用した場合についてまで検討されていない。従来提案されている保護フィルムでは、ネガ型感光性樹脂層に比べて柔軟性に乏しいポジ型感光性樹脂層を有する感光性転写材料に適用した場合には、保護フィルムの剥離性の向上及びパターン故障の低減を両立することはできないと考えられる。
本開示に係る感光性転写材料は、仮支持体を有する。
仮支持体は、ポジ型感光性樹脂層を支持し、ポジ型感光性樹脂層から剥離可能な支持体である。
本開示に用いられる仮支持体は、ポジ型感光性樹脂層をパターン露光する際に仮支持体を介してポジ型感光性樹脂層を露光し得る観点から、光透過性を有することが好ましい。
光透過性を有するとは、パターン露光に使用する光の主波長の透過率が50%以上であることを意味し、パターン露光に使用する光の主波長の透過率は、露光感度向上の観点から、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。透過率の測定方法としては、大塚電子(株)製MCPD Seriesを用いて測定する方法が挙げられる。
仮支持体としては、ガラス基板、樹脂フィルム、紙等が挙げられ、強度及び可撓性等の観点から、樹脂フィルムが特に好ましい。樹脂フィルムとしては、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。これらの中でも、耐溶剤性及び光学特性の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
仮支持体の厚みは、支持体としての強度、基板との貼り合わせに求められる可撓性、最初の露光工程で要求される光透過性などの観点から、材質に応じて選択すればよい。
本開示に係る感光性転写材料は、ポジ型感光性樹脂層を有する。
本開示において用いられるポジ型感光性樹脂層は、特に制限はなく、公知のポジ型感光性樹脂層を用いることができる。また、上記ポジ型感光性樹脂層は、感度、解像度及び除去性の観点から、酸分解性樹脂を含有するポジ型感光性樹脂層であることが好ましく、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体と、光酸発生剤と、を含む化学増幅ポジ型感光性樹脂層であることがより好ましい。酸分解性樹脂としては、酸との作用によって分解し得る樹脂であれば制限されず、例えば、後述の酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体等が挙げられる。
後述するオニウム塩、オキシムスルホネート化合物等の光酸発生剤は、活性放射線(活性光線)に感応して酸を生成する。生成した酸は、上記重合体中の保護された酸基の脱保護に対して触媒として作用する。このため、1個の光量子の作用で生成した酸が、多数の脱保護反応に寄与し、量子収率は1を超え、例えば、10の数乗のような大きい値となり、いわゆる化学増幅の結果として、高感度が得られる。
一方、活性放射線に感応する光酸発生剤としてキノンジアジド化合物を用いた場合、逐次型光化学反応によりカルボキシ基を生成するが、その量子収率は必ず1以下であり、化学増幅型には該当しない。
上記ポジ型感光性樹脂層は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位(以下、「構成単位A」ともいう。)を有する重合体(以下、単に「重合体A1」ともいう。)を含むことが好ましい。
また、上記ポジ型感光性樹脂層は、重合体A1に加え、他の重合体を含んでいてもよい。他の重合体とは、後述するとおり、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を含まない重合体である。他の重合体の詳細については後述する。本開示においては、ポジ型感光性樹脂層に含まれる重合体(酸分解性樹脂を含む。)を総称して「重合体成分」という。例えば、ポジ型感光性樹脂層が重合体A1を含む場合、「重合体成分」とは重合体A1を指す。また、ポジ型感光性樹脂層が重合体A1及び他の重合体を含む場合、「重合体成分」とは重合体A1及び他の重合体の両方を指す。ただし、後述する界面活性剤、架橋剤、又は分散剤に該当する化合物は、「重合体成分」に含まれないものとする。
上記重合体A1は、露光により生じる触媒量の酸性物質の作用により、重合体A1中の酸分解性基で保護された酸基が脱保護反応を受け酸基となる。この酸基により、現像液への溶解が可能となる。
更に、重合体A1は、酸基を有する構成単位(以下、「構成単位B」ともいう。)を更に有することが好ましい。
また、重合体A1は、パターン形状、現像液への溶解性及び転写性の観点から、非粒子形状の重合体(「バインダーポリマー」ともいう。)であることが好ましい。
また、上記重合体成分に含まれる全ての重合体がそれぞれ、後述する酸基を有する構成単位を少なくとも有する重合体であることが好ましい。
上記ポジ型感光性樹脂層に含まれる重合体A1は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
以下に構成単位Aの好ましい態様について説明する。
上記重合体成分は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位(構成単位A)を少なくとも有する重合体A1を含むことが好ましい。上記重合体成分が構成単位Aを有する重合体を含むことにより、極めて高感度な化学増幅型のポジ型感光性樹脂層とすることができる。
本開示における「酸分解性基で保護された酸基」は、酸基及び酸分解性基として公知のものを使用でき、特に制限されない。具体的な酸基としては、カルボキシ基、及び、フェノール性水酸基が好ましく挙げられる。また、酸分解性基で保護された酸基としては、酸により比較的分解し易い基(例えば、テトラヒドロピラニルエステル基、テトラヒドロフラニルエステル基等のアセタール系官能基)、酸により比較的分解し難い基(例えば、tert-ブチルエステル基等の第三級アルキル基、tert-ブチルカーボネート基等の第三級アルキルカーボネート基)等を用いることができる。
これらの中でも、上記酸分解性基としては、アセタールの形で保護された構造を有する基であることが好ましい。
また、酸分解性基としては、得られる回路配線における線幅のバラツキが抑制される観点から、分子量が300以下の酸分解性基であることが好ましい。
式A2中、R21及びR22はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR21及びR22のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、R23はアルキル基又はアリール基を表し、R21又はR22と、R23とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R24はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアルキル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基又はシクロアルキル基を表し、mは0~3の整数を表す。
式A3中、R31及びR32はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR31及びR32のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、R33はアルキル基又はアリール基を表し、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R34は水素原子又はメチル基を表し、X0は単結合又はアリーレン基を表し、Yは-S-、又は-O-を表す。
式A1中、R11又はR12がアルキル基の場合、炭素数1~10のアルキル基が好ましい。R11又はR12がアリール基の場合、フェニル基が好ましい。R11及びR12は、それぞれ、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
式A1中、R13は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。
また、R11~R13におけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
式A1中、R11又はR12と、R13とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R11又はR12と、R13とが連結して環状エーテルを形成することが好ましい。環状エーテルの環員数は特に制限はないが、5又は6であることが好ましく、5であることがより好ましい。
式A1中、X1は単結合又は二価の連結基を表し、単結合又はアルキレン基、-C(=O)O-、-C(=O)NRN-、-O-又はこれらの組み合わせが好ましく、単結合がより好ましい。アルキレン基は、直鎖状でも分岐を有していても環状構造を有していてもよく、置換基を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1~10が好ましく、1~4がより好ましい。X1が-C(=O)O-を含む場合、-C(=O)O-に含まれる炭素原子と、R14が結合した炭素原子とが直接結合する態様が好ましい。X1が-C(=O)NRN-を含む場合、-C(=O)NRN-に含まれる炭素原子と、R14が結合した炭素原子とが直接結合する態様が好ましい。RNはアルキル基又は水素原子を表し、炭素数1~4のアルキル基又は水素原子が好ましく、水素原子がより好ましい。
式A1中、R11~R13を含む基と、X1とは、互いにパラ位で結合することが好ましい。
式A1中、R15は置換基を表し、アルキル基又はハロゲン原子が好ましい。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。
式A1中、nは0~4の整数を表し、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
より具体的には、重合体A1に含まれる構成単位Aの全含有量に対し、式A1におけるR14が水素原子である構成単位は20質量%以上であることが好ましい。
なお、構成単位A中の、式A1におけるR14が水素原子である構成単位の含有量(含有割合:質量比)は、13C-核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
式A1-2中、RB4は水素原子が好ましい。
式A1-2中、RB5~RB11は、水素原子が好ましい。
式A1-2中、RB12は置換基を表し、アルキル基又はハロゲン原子が好ましい。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。
式A1-2中、nは0~4の整数を表し、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
式A2中、R21及びR22がアルキル基の場合、炭素数1~10のアルキル基が好ましい。R21及びR22がアリール基の場合、フェニル基が好ましい。R21及びR22は、それぞれ、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基が好ましく、一方が水素原子であり、他方が炭素数1~4のアルキル基であることがより好ましい。
上記一般式A2中、R23はアルキル基又はアリール基を表し、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、1~6のアルキル基がより好ましい。
R21又はR22と、R23とが連結して環状エーテルを形成してもよい。
式A2中、R24はそれぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~10のアルコキシ基であることが好ましい。R24は、R24と同様の基により更に置換されていてもよい。
式A2中、mは1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
式A3中、R31又はR32がアルキル基の場合、炭素数は1~10のアルキル基が好ましい。R31又はR32がアリール基の場合、フェニル基が好ましい。R31及びR32は、それぞれ、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
式A3中、R33は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。
また、R31~R33におけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
式A3中、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成することが好ましい。環状エーテルの環員数は特に制限はないが、5又は6であることが好ましく、5であることがより好ましい。
式A3中、X0は単結合又はアリーレン基を表し、単結合が好ましい。アリーレン基は、置換基を有していてもよい。
式A3中、Yは、-S-、又は-O-を表し、露光感度の観点から、-O-が好ましい。
式A3中、R34は水素原子又はメチル基を表し、重合体A1のTgをより低くし得るという観点から、水素原子であることが好ましい。
より具体的には、重合体A1に含まれる式A3で表される構成単位の全量に対し、式A3におけるR34が水素原子である構成単位は20質量%以上であることが好ましい。
なお、式A3で表される構成単位中の、式A1におけるR34が水素原子である構成単位の含有量(含有割合:質量比)は、13C-核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
式A3-3中、R34は水素原子が好ましい。
式A3-3中、R35~R41は、水素原子が好ましい。
重合体A1における構成単位Aの含有量は、重合体A1の全質量に対して、20質量%以上であることが好ましく、20質量%~90質量%であることがより好ましく、30質量%~70質量%であることが更に好ましい。
重合体A1における構成単位Aの含有量(含有割合:質量比)は、13C-NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
また、全ての重合体成分を構成単位(モノマー単位)に分解したうえで、構成単位Aの割合は、重合体成分の全質量に対して、5質量%~80質量%であることが好ましく、10質量%~80質量%であることがより好ましく、30質量%~70質量%であることが特に好ましい。
上記重合体A1は、酸基を有する構成単位(構成単位B)を含むことが好ましい。
構成単位Bは、保護基で保護されていない酸基、例えば、酸分解性基で保護されていない酸基、すなわち、保護基を有さない酸基を有する構成単位である。重合体A1が構成単位Bを含むことで、パターン形成時の感度が良好となり、パターン露光後の現像工程においてアルカリ性の現像液に溶けやすくなり、現像時間の短縮化を図ることができる。
本明細書における酸基とは、pKaが12以下のプロトン解離性基を意味する。酸基は、通常、酸基を形成しうるモノマーを用いて、酸基を有する構成単位(構成単位B)として、重合体に組み込まれる。感度向上の観点から、酸基のpKaは、10以下が好ましく、6以下がより好ましい。また、酸基のpKaは、-5以上であることが好ましい。
重合体A1への酸基を有する構成単位の導入は、酸基を有するモノマーを共重合させること又は酸無水物構造を有するモノマーを共重合させ酸無水物を加水分解することで行うことができる。
構成単位Bである、酸基を有する構成単位は、スチレン化合物に由来する構成単位若しくはビニル化合物に由来する構成単位に対して酸基が置換した構成単位、又は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位であることがより好ましい。具体的には、カルボキシ基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4-カルボキシスチレン等が挙げられ、フェノール性水酸基を有するモノマーとしてはp-ヒドロキシスチレン、4-ヒドロキシフェニルメタクリレート等が挙げられ、酸無水物構造を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
構成単位Bを形成しうる酸基を有するモノマーは既述の例に制限されない。
重合体A1は、重合体A1の全質量に対し、酸基を有する構成単位(構成単位B)を0.1質量%~20質量%含むことが好ましく、0.5質量%~15質量%含むことがより好ましく、1質量%~10質量%含むことが更に好ましい。上記範囲であると、パターン形成性がより良好となる。
重合体A1における構成単位Bの含有量(含有割合:質量比)は、13C-NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
重合体A1は、既述の構成単位A及び構成単位B以外の、他の構成単位(以下、構成単位Cと称することがある。)を、本開示に係る感光性転写材料の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
構成単位Cを形成するモノマーとしては、特に制限はなく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物、マレイミド化合物、不飽和芳香族化合物、共役ジエン系化合物、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、脂肪族環式骨格を有する基、その他の不飽和化合物を挙げることができる。
構成単位Cを用いて、種類及び含有量の少なくともいずれかを調整することで、重合体A1の諸特性を調整することができる。特に、構成単位Cを適切に使用することで、重合体A1のガラス転移温度を容易に調整することができる。
ガラス転移温度を120℃以下とすることで、重合体A1を含有するポジ型感光性樹脂層は、転写性、及び仮支持体からの除去性を良好なレベルに維持しつつ、パターン形成時の解像度及び感度がより良好となる。
重合体A1は、構成単位Cを1種のみ含んでもよく、2種以上含んでいてもよい。
中でも、重合体A1は、構成単位Bとして、カルボキシ基を有する構成単位を含み、更に、カルボン酸エステル基を含む構成単位Cを共重合成分として含むことが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸由来の構成単位Bと、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル又は(メタ)アクリル酸n-ブチル由来の構成単位(c)とを含む重合体がより好ましい。
以下、本開示における重合体A1の好ましい例を挙げるが、本開示は以下の例示に制限されない。なお、下記例示化合物における構成単位の比率、及び重量平均分子量は、好ましい物性を得るために適宜選択される。
本開示における重合体A1のガラス転移温度(Tg)は、転写性の観点、及び、上述の加熱工程における加熱温度を調節する観点から、90℃以下であることが好ましく、20℃以上60℃以下であることがより好ましく、30℃以上50℃以下であることが更に好ましい。
例えば、共重合体に含まれる第1の構成単位の単独重合体のTgをTg1、第1の構成単位の共重合体における質量分率をW1とし、第2の構成単位の単独重合体のTgをTg2とし、第2の構成単位の共重合体における質量分率をW2としたときに、第1の構成単位と第2の構成単位とを含む共重合体のTg0(K:ケルビン)は、以下の式にしたがって推定することが可能である。
FOX式:1/Tg0=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)
既述のFOX式を用いて、共重合体に含まれる各構成単位の種類と質量分率を調整して、所望のTgを有する共重合体を得ることができる。
また、重合体A1の重量平均分子量を調整することにより、重合体A1のTgを調整することも可能である。
重合体A1の酸価は、現像性及び転写性の観点から、0mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましく、0mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることがより好ましく、0mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることが更に好ましく、0mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることが特に好ましく、0mgKOH/g以上10mgKOH/g以下であることが最も好ましい。
A=56.11×Vs×0.1×f/w
A:酸価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の力価
w:測定サンプルの質量(g)(固形分換算)
重合体A1の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、60,000以下であることが好ましい。重合体A1の重量平均分子量が60,000以下であることで、ポジ型感光性樹脂層の溶融粘度を低く抑え、基板と貼り合わせる際において低温(例えば130℃以下)での貼り合わせを実現することができる。
また、重合体A1の重量平均分子量は、2,000~60,000であることが好ましく、10,000~60,000であることがより好ましい。
なお、重合体の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定することができ、測定装置としては、様々な市販の装置を用いることができ、装置の内容、及び、測定技術は同当業者に公知である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量の測定は、測定装置として、HLC(登録商標)-8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super HZM-M(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ4000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ3000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ2000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)をそれぞれ1本、直列に連結したものを用い、溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いることができる。
また、測定条件としては、試料濃度を0.2質量%、流速を0.35mL/min、サンプル注入量を10μL、及び測定温度を40℃とし、示差屈折率(RI)検出器を用いて行うことができる。
検量線は、東ソー(株)製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F-40」、「F-20」、「F-4」、「F-1」、「A-5000」、「A-2500」及び「A-1000」の7サンプルのいずれかを用いて作製できる。
重合体A1の製造方法(合成法)は特に制限されないが、一例を挙げると、構成単位Aを形成するための重合性単量体、酸基を有する構成単位Bを形成するための重合性単量体、更に必要に応じて、その他の構成単位Cを形成するための重合性単量体を含む有機溶剤中、重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。また、いわゆる高分子反応で合成することもできる。
上記ポジ型感光性樹脂層は、上記ポジ型感光性樹脂層の全固形分に対し、上記酸分解性樹脂を50質量%~99.9質量%の割合で含むことが好ましく、70質量%~98質量%の割合で含むことがより好ましく、80質量%~98質量%の割合で含むことがさらに好ましく、90質量%~98質量%の割合で含むことが特に好ましい。
また、上記ポジ型感光性樹脂層は、基板に対して良好な密着性を発現させる観点から、上記ポジ型感光性樹脂層の全固形分に対し、上記重合体A1を50質量%~99.9質量%の割合で含むことが好ましく、70質量%~98質量%の割合で含むことがより好ましく、80質量%~98質量%の割合で含むことがさらに好ましく、90質量%~98質量%の割合で含むことが特に好ましい。
上記ポジ型感光性樹脂層は、重合体成分として、重合体A1に加え、本開示に係る感光性転写材料の効果を損なわない範囲において、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を含まない重合体(「他の重合体」と称する場合がある。)を更に含んでいてもよい。上記ポジ型感光性樹脂層が他の重合体を含む場合、他の重合体の配合量は、全重合体成分中、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
他の重合体として、例えばポリヒドロキシスチレンを用いることができ、市販されている、SMA 1000P、SMA 2000P、SMA 3000P、SMA 1440F、SMA 17352P、SMA 2625P、及び、SMA 3840F(以上、サートマー社製)、ARUFON UC-3000、ARUFON UC-3510、ARUFON UC-3900、ARUFON UC-3910、ARUFON UC-3920、及び、ARUFON UC-3080(以上、東亞合成(株)製)、並びに、Joncryl 690、Joncryl 678、Joncryl 67、及び、Joncryl 586(以上、BASF社製)を用いることもできる。
上記ポジ型感光性樹脂層は、光酸発生剤を含むことが好ましい。
本開示で使用される光酸発生剤としては、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等の放射線を照射することにより酸を発生することができる化合物である。
本開示で使用される光酸発生剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300nm~450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造は制限されない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。
本開示で使用される光酸発生剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光酸発生剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光酸発生剤がより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光酸発生剤が特に好ましい。pKaの下限値は特に定めない。pKaは、例えば、-10.0以上であることが好ましい。
また、光酸発生剤としては、感度及び解像度の観点から、後述するオニウム塩化合物、及び、後述するオキシムスルホネート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、オキシムスルホネート化合物を含むことがより好ましい。
R21のアルキル基としては、炭素数1~10の、直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。R21のアルキル基は、炭素数6~11のアリール基、炭素数1~10のアルコキシ基、シクロアルキル基(7,7-ジメチル-2-オキソノルボルニル基などの有橋式脂環基を含む、好ましくはビシクロアルキル基等)、又は、ハロゲン原子で置換されてもよい。
R21のアリール基としては、炭素数6~18のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましい。R21のアリール基は、炭素数1~4のアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれた1つ以上の基で置換されてもよい。
上記ポジ型感光性樹脂層における光酸発生剤の含有量は、感度及び解像度の観点から、上記ポジ型感光性樹脂層の全質量に対して、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましい。
上記ポジ型感光性樹脂層は、溶剤を含んでいてもよい。
また、上記ポジ型感光性樹脂層を形成する感光性樹脂組成物は、上記ポジ型感光性樹脂層を容易に形成するため、一旦溶剤を含有させて感光性樹脂組成物の粘度を調節し、溶剤を含む感光性樹脂組成物を塗布した後に乾燥して、上記ポジ型感光性樹脂層を好適に形成することができる。
本開示に使用される溶剤としては、公知の溶剤を用いることができる。溶剤としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、及び、ラクトン類が例示できる。また、溶剤の具体例としては特開2011-221494号公報の段落0174~段落0178に記載の溶剤も挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
添加する溶剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上を使用してもよい。
本開示に用いることができる溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種を併用することがより好ましい。溶剤を2種以上使用する場合には、例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類とジアルキルエーテル類との併用、ジアセテート類とジエチレングリコールジアルキルエーテル類との併用、又は、エステル類とブチレングリコールアルキルエーテルアセテート類との併用が好ましい。
沸点130℃以上160℃未満の溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点158℃)、プロピレングリコールメチル-n-ブチルエーテル(沸点155℃)、及び、プロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル(沸点131℃)が例示できる。
沸点160℃以上の溶剤としては、3-エトキシプロピオン酸エチル(沸点170℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(沸点176℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(沸点160℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点213℃)、3-メトキシブチルエーテルアセテート(沸点171℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点189℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、プロピレングリコールジアセテート(沸点190℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点220℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点175℃)、及び、1,3-ブチレングリコールジアセテート(沸点232℃)が例示できる。
エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。
エーテル類としては、ジイソプロピルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、1,3-ジオキソラン、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
ケトン類としては、メチルn-ブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルn-プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン等が挙げられる。
また、その他の溶剤としては、トルエン、アセトニトリル、イソプロパノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール等が挙げられる。
また、上記ポジ型感光性樹脂層における溶剤の含有量は、上記ポジ型感光性樹脂層の全質量に対し、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
本開示における上記ポジ型感光性樹脂層は、必要に応じて公知の添加剤を含むことができる。
上記ポジ型感光性樹脂層は、可塑性を改良する目的で、可塑剤を含有してもよい。
上記可塑剤は、重合体A1よりも重量平均分子量が小さいことが好ましい。
可塑剤の重量平均分子量は、可塑性付与の観点から500以上10,000未満が好ましく、700以上5,000未満がより好ましく、800以上4,000未満が更に好ましい。
可塑剤は、重合体A1と相溶して可塑性を発現する化合物であれば特に制限されないが、可塑性付与の観点から、可塑剤は、分子中にアルキレンオキシ基を有することが好ましい。可塑剤に含まれるアルキレンオキシ基は下記構造を有することが好ましい。
上記ポジ型感光性樹脂層は、可塑剤を1種のみを含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
上記ポジ型感光性樹脂層は、増感剤を更に含むことができる。
増感剤は、活性光線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光酸発生剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、及び、発熱などの作用が生じる。これにより光酸発生剤は化学変化を起こして分解し、酸を生成する。
増感剤を含有させることで、露光感度を向上させることができる。
アントラセン誘導体としては、アントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジクロロアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9-ヒドロキシメチルアントラセン、9-ブロモアントラセン、9-クロロアントラセン、9,10-ジブロモアントラセン、2-エチルアントラセン、又は、9,10-ジメトキシアントラセンが好ましい。
上記ポジ型感光性樹脂層は、塩基性化合物を更に含むことが好ましい。
塩基性化合物としては、化学増幅レジストで用いられる塩基性化合物の中から任意に選択して使用することができる。例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、及び、カルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの具体例としては、特開2011-221494号公報の段落0204~段落0207に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、N,N-ジメチルアニリン、及び、ジフェニルアミンが挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、2-メチルピリジン、4-メチルピリジン、2-エチルピリジン、4-エチルピリジン、2-フェニルピリジン、4-フェニルピリジン、N-メチル-4-フェニルピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4-メチルイミダゾール、2-フェニルベンズイミダゾール、2,4,5-トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8-オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、4-メチルモルホリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン、及び、1,8-ジアザビシクロ[5.3.0]-7-ウンデセンが挙げられる。
第四級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ-n-ブチルアンモニウムヒドロキシド、及び、テトラ-n-ヘキシルアンモニウムヒドロキシドが挙げられる。
カルボン酸の第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラ-n-ブチルアンモニウムアセテート、及び、テトラ-n-ブチルアンモニウムベンゾエートが挙げられる。
塩基性化合物の含有量は、上記ポジ型感光性樹脂層の全質量に対して、0.001質量%~5質量%であることが好ましく、0.005質量%~3質量%であることがより好ましい。
本開示におけるポジ型感光性樹脂層は、ヘテロ環状化合物を含むことができる。
本開示におけるヘテロ環状化合物には、特に制限はない。ポジ型感光性樹脂層は、例えば、以下に述べる分子内にエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、アルコキシメチル基含有ヘテロ環状化合物、各種環状エーテル、環状エステル(ラクトン)などの含酸素モノマー;環状アミン、オキサゾリンなどの含窒素モノマー;珪素、硫黄、リンなどのd電子をもつヘテロ環モノマー等を含むことができる。
その他の市販品として、ADEKA RESIN EP-4000S、同EP-4003S、同EP-4010S、同EP-4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC-2000、NC-3000、NC-7300、XD-1000、EPPN-501、EPPN-502(以上、(株)ADEKA製)、デナコールEX-611、EX-612、EX-614、EX-614B、EX-622、EX-512、EX-521、EX-411、EX-421、EX-313、EX-314、EX-321、EX-211、EX-212、EX-810、EX-811、EX-850、EX-851、EX-821、EX-830、EX-832、EX-841、EX-911、EX-941、EX-920、EX-931、EX-212L、EX-214L、EX-216L、EX-321L、EX-850L、DLC-201、DLC-203、DLC-204、DLC-205、DLC-206、DLC-301、DLC-402、EX-111,EX-121、EX-141、EX-145、EX-146、EX-147、EX-171、EX-192(以上、ナガセケムテック製)、YH-300、YH-301、YH-302、YH-315、YH-324、YH-325(以上、新日鐵住金化学(株)製)セロキサイド2021P、2081、2000、3000、EHPE3150、エポリードGT400、セルビナースB0134、B0177((株)ダイセル製)などが挙げられる。
分子内にエポキシ基を有する化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポジ型感光性樹脂層は、アルコキシシラン化合物を含有してもよい。アルコキシシラン化合物としては、トリアルコキシシラン化合物が好ましく挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリアコキシシラン、γ-グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ-クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシランが挙げられる。これらのうち、γ-グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン及びγ-メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましく、γ-グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが更に好ましく、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記ポジ型感光性樹脂層は、膜厚均一性の観点から界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤(非イオン系界面活性剤)、又は、両性界面活性剤のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系、フッ素系界面活性剤を挙げることができる。また、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(JEMCO社製)、メガファック(登録商標、DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード(登録商標、旭硝子(株)製)、サーフロン(登録商標、旭硝子(株)製)、PolyFox(OMNOVA社製)、及び、SH-8400(東レ・ダウコーニング(株)製)等の各シリーズを挙げることができる。
また、界面活性剤として、下記式I-1で表される構成単位SA及び構成単位SBを含み、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
界面活性剤の添加量は、上記ポジ型感光性樹脂層の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、0.001質量%~10質量%であることがより好ましく、0.01質量%~3質量%であることが更に好ましい。
本開示におけるポジ型感光性樹脂層には、金属酸化物粒子、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、着色剤、熱ラジカル重合開始剤、熱酸発生剤、紫外線吸収剤、増粘剤、架橋剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤などの公知の添加剤を更に加えることができる。
その他の成分の好ましい態様については特開2014-85643号公報の段落0165~段落0184にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
各成分、及び、溶剤を任意の割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解してポジ型感光性樹脂層を形成するための感光性樹脂組成物を調製することができる。例えば、各成分を、それぞれ予め溶剤に溶解させた溶液とした後、得られた溶液を所定の割合で混合して組成物を調製することもできる。以上の如くして調製した組成物は、孔径0.2μmのフィルター等を用いてろ過した後に、使用に供することもできる。
本開示に用いられる感光性樹脂組成物における固形成分(例えば、重合体成分、光酸発生剤、塩基性化合物、及び、界面活性剤)は、ポジ型感光性樹脂層の膜厚均一性、面状ムラ等を向上させるために、上述した溶剤に溶解して調整することが好ましい。
塗布方法は特に制限されず、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、インクジェット塗布などの公知の方法で塗布することができる。
なお、仮支持体上に後述の中間層を形成した上に、感光性樹脂組成物を塗布することもできる。
本開示に係る感光性転写材料は、保護フィルムを有する。また、保護フィルムの、ポジ型感光性樹脂層と接する側の表面は、下記の(A)及び(B)を満たす。
(A)水接触角が、75°以上である。
(B)表面粗さRaが、45nm以下である。
上記の(A)及び(B)を満たすことで、保護フィルムの、ポジ型感光性樹脂層と接する側の表面の表面エネルギーを下げ、かつ、凹凸を低減できるため、保護フィルムの剥離性の向上及びパターン故障の低減を両立できる。
感光性転写材料を、幅4.5cm×長さ9cmに切り抜き、仮支持体側の面をガラス板上に両面粘着テープで貼り合わせる。貼り合わされた感光性転写材料に、幅4.5cm×長さ15cmに切りぬいた粘着テープを、粘着テープの幅方向と感光性転写材料の幅方向とを合わせ、幅方向には粘着テープがはみ出さず、長さ方向に前後3cmずつ粘着テープがはみ出すように貼り合せる。テープの一方の端部を把持し、引張試験機を用いて500mm/minの剥離速度で180°剥離を行う。ここで、粘着テープ及び両面粘着テープは、JIS Z 0109:2015に記載のものを使用し、引張試験機は、JIS B 7721:2009に規定する引張試験機(試験機の等級1:相対指示誤差±1.0%)又はこれと同等の引張試験機を使用する。
保護フィルムの、ポジ型感光性樹脂層と接する側の表面の水接触角は、75°以上である。水接触角を上記数値範囲内に調整することによって、保護フィルムの、ポジ型感光性樹脂層と接する側の表面の表面エネルギーを下げることができるため、保護フィルムの剥離性を向上させることができる。
水接触角は、剥離性の観点から、78°以上であることが好ましく、82°以上であることがより好ましく、85°以上としてもよく、100°以上としてもよい。
水接触角の上限値は、制限されない。水接触角は、密着性の観点から、150°以下であることが好ましく、120°以下であることがより好ましい。
接触角計(協和界面科学社製、DROPMASTER-501)を用い、25℃の温度条件下で、測定面に精製水2μLを着滴してから7秒後の接触角を液滴法にて測定する。なお、保護フィルムとポジ型感光性樹脂層とが接している場合には、上記剥離条件で保護フィルムを剥離することによって露出した剥離面を測定面として水接触角を測定する。
保護フィルムの、ポジ型感光性樹脂層と接する側の表面の表面粗さRaは、45nm以下である。表面粗さRaを上記数値範囲内に調整することによって、ポジ型感光性樹脂層の表面に形成される凹凸の発生を低減できるため、パターン故障を低減することができる。
表面粗さRaは、パターン故障の低減の観点から、小さいほどよい。具体的に、表面粗さRaは、42nm以下であることが好ましく、25nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることがさらに好ましく、14nm以下であることが特に好ましい。
表面粗さRaの下限値は、制限されない。表面粗さRaは、製造の観点から、1nm以上であることが好ましい。
保護フィルムの測定面について、3次元光学プロファイラー(New View7300、Zygo社製)を用いて、以下の条件にて、保護フィルムの表面プロファイルを得る。なお、測定及び解析ソフトには、MetroPro ver8.3.2のMicroscope Applicationを用いる。次に、上記解析ソフト(MetroPro ver8.3.2-Microscope Application)にてSurface Map画面を表示し、Surface Map画面中でヒストグラムデータを得る。得られたヒストグラムデータから、算術平均粗さを算出し、Ra値とする。なお、保護フィルムとポジ型感光性樹脂層とが接している場合には、上記剥離条件で保護フィルムを剥離することによって露出した剥離面を測定面として表面粗さRaを測定する。
(測定条件)
対物レンズ:50倍
Zoom:0.5倍
測定領域:1.00mm×1.00mm
(解析条件)
Removed:plane
Filter:off
FilterType:average
Remove spikes:on
Spike Height(xRMS):7.5
保護フィルムの基材としては、樹脂フィルムが好ましい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリオレフィンフィルム(例えば、ポリプロピレンフィルム等)、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム等が挙げられる。これらの中でも、保護フィルムの基材としては、剥離性及びパターン故障の低減の観点から、ポリオレフィンフィルムが好ましく、ポリプロピレンフィルムがより好ましい。ポリプロピレンフィルムとしては市販品を用いてもよく、例えば、トレファン(登録商標)25KW37(東レ(株)製)等が挙げられる。また、保護フィルムの基材としては、平滑性の観点から、ポリエステルフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。
保護フィルムは、基材と、下塗り層と、を有し、保護フィルムの、ポジ型感光性樹脂層と接する側の最外層が、上記下塗り層であることが好ましい。下塗り層を有することで、保護フィルムの表面エネルギーを下げることができるため、保護フィルムの剥離性を向上させることができる。
保護フィルムにおける基材が樹脂フィルムである場合、下塗り層は、未延伸フィルム上に形成されていてもよく、一軸延伸フィルム上に形成されていてもよく、二軸延伸フィルム上に形成されていてもよい。また、下塗り層は、基材との密着性の観点から、基材となる未延伸フィルムと共に延伸された延伸物であってもよく、基材となる一軸延伸フィルムと共に延伸された延伸物であってもよい。延伸物である下塗り層は、後述するとおり、例えば、基材となる樹脂フィルム上に形成された塗布層を、樹脂フィルムと共に延伸することによって形成することができる。
ここで、二軸延伸フィルムと、延伸物である下塗り層と、を有する上記保護フィルムにおける「二軸延伸フィルム」とは、既述の方法によって測定される一方の面の表面粗さRaが45nm以下の樹脂フィルムをいう。
二軸延伸フィルムと下塗り層との密着力の測定方法について、以下説明する。
下塗り層を有する保護フィルムの、下塗り層側の表面にテープ(プリンタックC、日東電工(株)製)を貼り、テープと保護フィルムとの幅が合うように4.5cm×9cmに切り抜く。次いで、テープを、テンシロン万能試験機(株式会社エーアンドデイー社製)を用いて500mm/minの剥離速度で180°剥離し、密着力を測定する。
酸基の少なくとも1つがアミン塩である酸変性ポリオレフィンとしては、例えば、ザイクセン(登録商標)L等が挙げられる。
酸基の少なくとも1つがアンモニウム塩である酸変性ポリオレフィンとしては、例えば、ザイクセン(登録商標)AC等が挙げられる。
酸基の少なくとも1つがナトリウム塩である酸変性ポリオレフィンとしては、例えば、ザイクセン(登録商標)NC、ケミパール(登録商標)S120等が挙げられる。
塗布方法は、制限されず、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、インクジェット塗布等の公知の方法を適用することができる。
乾燥方法は、制限されず、ヒーター、温風等の公知の方法を適用することができる。
また、下塗り層は、下塗り層形成用塗布液を用い、インラインコート法により形成されてもよい。インラインコート法は、製造された基材を巻き取る前の段階で下塗り層形成用塗布液を塗布する方法である点で、製造された基材を巻き取ってから別途塗布を行うオフラインコート法と区別される。インラインコート法により下塗り層を形成する方法の一例として、第一延伸方向に延伸された樹脂フィルムの一方の面に、下塗り層形成用塗布液を塗布し、下塗り層形成用塗布液が塗布された樹脂フィルムを、樹脂フィルム面に沿って第一延伸方向と直交する第二延伸方向に延伸することにより、下塗り層を形成する方法が好適である。第一延伸方向に延伸された樹脂フィルムの一方の面に下塗り層形成用塗布液を塗布した状態で第二延伸方向に延伸することで、基材となる樹脂フィルムと下塗り層との密着性を向上でき、また、保護フィルム表面の平滑性を向上できる。
延伸方法は、制限されず、公知の方法を適用することができる。
延伸温度は、基材のガラス転移温度(Tg)に応じて適宜選択すればよく、Tgと同じ温度以上であり、かつ、Tgより80℃高い温度以下であることが好ましく、Tgより5℃高い温度以上であり、かつ、Tgより60℃高い温度以下であることがより好ましい。
延伸倍率は、2.5倍~5.0倍であることが好ましく、3.0倍~4.5倍であることがより好ましい。なお、延伸倍率は、延伸前の長さに対する延伸後の長さの比をいう。
また、二軸延伸後に、延伸フィルムに対して熱固定、熱緩和等の熱処理を行ってもよい。
保護フィルムは、ポジ型感光性樹脂層と接する側とは反対側の最外層に上塗り層を有していてもよい。上塗り層を有することで、例えば、露光の際に使用するマスクとの滑り性を向上させることができる。
上塗り層には、滑り性の観点から、さらに界面活性剤、ワックス、マット剤、樹脂粒子、無機粒子等を添加することが好ましい。特に、搬送性の観点から、上塗り層は無機粒子を含むことが好ましい。上記無機粒子の粒子径は、0.03μm~1μmの範囲であることが好ましく、0.05μm~0.5μmの範囲であることがより好ましい。
[中間層]
本開示に係る感光性転写材料は、仮支持体とポジ型感光性樹脂層との間に、中間層を有することができる。中間層としては、水溶性樹脂層が好ましい。水溶性樹脂層を有することで、仮支持体とポジ型感光性樹脂層との密着性を向上することができる。
水溶性樹脂層は、水溶性樹脂を含有する層である。水溶性樹脂としては、水溶性を示す樹脂であれば制限されず、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ビニルエーテル、ポリアミド、これらの共重合体等が挙げられる。これらの中でも、水溶性樹脂としては、密着性の観点から、セルロースが好ましい。
本開示において「水溶性」とは、25℃の水100gに対して1g以上溶解する性質を意味する。
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記感光性転写材料の保護フィルムを剥離する工程(以下、「剥離工程」ということがある。)と、上記感光性転写材料の、上記仮支持体に対してポジ型感光性樹脂層を有する側の最外層を、導電層を有する基板に貼り合わせる工程(以下、「貼り合わせ工程」ということがある。)と、上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記ポジ型感光性樹脂層をパターン露光する工程(以下、「露光工程」ということがある。)と、上記パターン露光する工程後の上記ポジ型感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する工程(以下、「現像工程」ということがある。)と、上記樹脂パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程(以下、「エッチング工程」ということがある。)と、を含む。
本開示に係る回路配線の製造方法によれば、上記感光性転写材料を用いるため、パターン故障が低減された回路配線を製造することができる。
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記感光性転写材料の保護フィルムを剥離する工程を含む。保護フィルムを剥離する方法は、制限されず、公知の方法を適用することができる。
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記感光性転写材料の、上記仮支持体に対してポジ型感光性樹脂層を有する側の最外層を、導電層を有する基板に貼り合わせる工程を含む。
基材は透明であることが好ましい。
基材の屈折率は、1.50~1.52であることが好ましい。
基材は、ガラス基材等の透光性基材で構成されていてもよく、コーニング社のゴリラガラスに代表される強化ガラスなどを用いることができる。また、上述の透明基材としては、特開2010-86684号公報、特開2010-152809号公報及び特開2010-257492号公報に用いられている材料を好ましく用いることができる。
基材としてフィルム基材を用いる場合は、光学的に歪みが小さい基材、及び、透明度が高い基材を用いることがより好ましく、樹脂フィルムが更に好ましい。具体的な素材には、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマーを挙げることができる。
導電層としては、導電性及び細線形成性の観点から、金属層、及び、導電性金属酸化物層よりなる群から選ばれた少なくとも1種の層であることが好ましく挙げられ、金属層であることがより好ましく挙げられ、銅層であることが特に好ましく挙げられる。
また、基材上に導電層を1層有していても、2層以上有していてもよい。2層以上の場合は、異なる材質の導電層を有することが好ましい。
導電層の材料としては、金属及び導電性金属酸化物などを挙げることができる。
金属としては、Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo等を挙げることができる。
導電性金属酸化物としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、SiO2等を挙げることができる。なお、本開示における「導電性」とは、体積抵抗率が1×106Ωcm未満であることをいい、体積抵抗率が1×104Ωcm未満であることが好ましい。
導電層としては、静電容量型タッチパネルに用いられる視認部のセンサーに相当する電極パターン又は周辺取り出し部の配線であることが好ましい。
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記ポジ型感光性樹脂層をパターン露光する工程を含む。
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記パターン露光する工程後の上記ポジ型感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する工程を含む。
現像液としては、ポジ型感光性樹脂層の露光部分を除去することができれば特に制限はなく、例えば、特開平5-72724号公報に記載の現像液など、公知の現像液を使用することができる。なお、現像液は感光性樹脂層の露光部が溶解型の現像挙動をする現像液が好ましい。例えば、pKa=7~13の化合物を0.05mol/L(リットル)~5mol/Lの濃度で含むアルカリ水溶液系の現像液が好ましい。現像液は、更に、水と混和性を有する有機溶剤、界面活性剤等を含有してもよい。本開示において好適に用いられる現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0194に記載の現像液が挙げられる。
ポストベークの加熱は8.1kPa~121.6kPaの環境下で行うことが好ましく、506.6kPa以上の環境下で行うことがより好ましい。一方、ポストベークの加熱は、114.6kPa以下の環境下で行うことがより好ましく、101.3kPa以下の環境下で行うことが特に好ましい。
ポストベークの温度は、80℃~250℃であることが好ましく、110℃~170℃であることがより好ましく、130℃~150℃であることが特に好ましい。
ポストベークの時間は、1分~30分であることが好ましく、2分~10分であることがより好ましく、2分~4分であることが特に好ましい。
ポストベークは、空気環境下で行っても、窒素置換環境下で行ってもよい。
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記樹脂パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程を含む。
酸性タイプのエッチング液としては、塩酸、硫酸、フッ酸、リン酸等の酸性成分単独の水溶液、酸性成分と塩化第二鉄、フッ化アンモニウム、過マンガン酸カリウム等の塩との混合水溶液等が例示される。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
アルカリ性タイプのエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドのような有機アミンの塩等のアルカリ成分単独の水溶液、アルカリ成分と過マンガン酸カリウム等の塩との混合水溶液等が例示される。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
洗浄工程で用いる洗浄液としては、純水、又は、純水に溶解可能な有機溶剤、又は、界面活性剤を混合させた水溶液を用いることができる。基板表面に残存する液滴による剥離ムラの抑制及び除去性向上の観点から、洗浄液として、純水に溶解可能な有機溶剤、又は、界面活性剤を混合させた水溶液を用いることが好ましく、純水に溶解可能な有機溶剤、及び、界面活性剤の両方を混合させた水溶液を用いることがより好ましい。
水溶性の有機溶剤の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、2-アセトキシ-2-フェニルエタノール、3-メトキシ-3-メチルエタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、2-ブトキシエトキシエタノール等のアルコキシアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、などが挙げられる。
上記の中でも、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、2-アセトキシ-2-フェニルエタノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドが好ましい。
アニオン系界面活性剤の例としては、カルボン酸塩類、スルホン酸塩類、硫酸エステル塩類、リン酸エステル塩類等を挙げることができる。
カチオン系界面活性剤の例としては、アミン塩類、及び、第四級アンモニウム塩類を挙げることができる。
両性界面活性剤の例としては、ベタイン型類を挙げることができる。
ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、アルキルベンゼンポリアルキレングリコール類、ポリオキシアルキレングリコール類、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を挙げることができる。
また、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(JEMCO社製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)、PolyFox(OMNOVA社製)、サーフィノール(日信化学工業(株)製)及び、SH-8400(東レ・ダウコーニング(株)製)等の各シリーズを挙げることができる。
従来の回路配線の製造方法においては、エッチングマスクの除去液を長時間使用した場合、徐々にエッチングマスクの除去性が低下することがある。エッチング工程の後に、エッチングマスクとして使用したポジ型感光性樹脂層を全面露光することにより、除去液への溶解性及び除去液の浸透性が向上し、除去液を長時間使用した場合においても除去性に優れる。
また、基材と、互いに構成材料が異なる第1導電層及び第2導電層を含む複数の導電層と、を有する基板に対し、上記回路配線の製造方法を繰り返し適用して回路配線を製造することもできる。
上記回路配線の製造方法の実施形態としては、国際公開第2006/190405号を参考にすることができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
第2露光工程の一例を、図2(e)に概略的に示す。
第1エッチング工程後、第1エッチング工程後の第1パターン14Aを第1パターン14Aとは異なるパターンでパターン露光する。
第2露光工程におけるパターン露光は、第1露光工程で用いたマスク30とはパターンが異なるマスク40を用いること以外は既述の露光工程におけるパターン露光と同じ方法を適用することができる。
第2現像工程の一例を、図2(f)に概略的に示す。
第2現像工程では、第2露光工程後の第1パターン14Aを現像して第2パターン14Bを形成する。
現像により、第1パターン14Aのうち第2露光工程において露光された部分が除去される。
なお、第2現像工程では、既述の現像工程における現像と同じ方法を適用することができる。
第2エッチング工程の一例を、図2(g)に概略的に示す。
第2エッチング工程では、第2パターン14Bが配置されていない領域における複数の導電層のうち少なくとも第1導電層24Aをエッチング処理する。
第2エッチング工程では、所望のパターンに応じて、既述のエッチング工程よりも少ない導電層を選択的にエッチングすることが好ましい。例えば、図2(g)に示すように、感光性樹脂層が配置されていない領域において第1導電層24Bのみを選択的にエッチングするエッチング液を用いてエッチングを行うことで、第1導電層を第2導電層のパターンとは異なるパターンにすることができる。
第2エッチング工程の終了後、少なくとも2種類のパターンの導電層24B、26Aを含む回路配線が形成される。
全面露光工程においては、現像により残像するポジ型感光性樹脂層の全てを露光すればよく、ポジ型感光性樹脂層のない部分については、露光してもしなくてもよい。簡便性の観点から、例えば、基板の、ポジ型感光性樹脂層を有する側の面の全面を露光することが好ましい。
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記全面露光工程中、露光工程後、又はその両方、かつ、後述する除去工程の前に、上記全面露光されたポジ型感光性樹脂層を加熱する工程(以下、「加熱工程」ということがある。)を含んでいてもよい。加熱工程を含むことにより、より光酸発生剤の反応速度、及び、発生した酸とポジ型感光性樹脂との反応速度を向上することができ、結果、除去性能が向上する。
除去工程の一例を、図2(h)に概略的に示す。
第2エッチング工程の終了後、第1導電層24B上の一部には第2パターン14Bが残存している。残存する全てのポジ型感光性樹脂層である第2パターン14Bを除去すればよい。
なお、除去工程における除去には、例えば、ポジ型感光性樹脂層の除去液への溶解及び分散が含まれる。
ポジ型感光性樹脂層の除去方法としては、好ましくは30℃~80℃、より好ましくは50℃~80℃にて撹拌中の除去液に感光性樹脂層などを有する基板を1分~30分間浸漬する方法が挙げられる。
除去液としては、無機アルカリ成分、及び/又は有機アルカリ成分を含有する除去液であることが好ましい。無機アルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等が挙げられる。有機アルカリ成分としては、例えば、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物、第3級アミン化合物、第4級アンモニウム塩化合物等が挙げられ、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエチルアミン、トリエチルアミン、アルカノールアミン(例えば、モノメチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、モノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等)、芳香族アミン(例えば、ピリジン、キノリン等)が挙げられる。
中でも、除去性の観点から、有機アルカリ成分を含有する除去液であることがより好ましく、アミン化合物を含有する除去液であることが特に好ましい。
アルカリ成分の含有量は、アルカリ成分の塩基性の強さ及び溶解性の観点から、適宜選択すればよいが、除去性の観点から、除去液の全質量に対し、0.01質量%~20質量%であることが好ましく、0.1質量%~10質量%であることがより好ましい。
有機溶剤としては、酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール、エタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、メチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテル等のグリコールエーテル類、テトラヒドロフラン、γ―ブチロラクトン、アセトニトリル、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン等が好ましく挙げられる。
界面活性剤としては、特に制限されず、公知の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤の含有量は、除去性の観点から、除去液の全質量に対し、0.1質量%~10質量%であることが好ましい。
除去液は、目的に応じて防錆剤、酸、イオン性液体、高分子分散剤等を含んでいてもよい。
第1エッチング工程の後、第2露光工程の前に、第1パターン上に、光透過性を有する保護フィルム(不図示)を貼り付ける工程をさらに有してもよい。
この場合、第2露光工程において、保護フィルムを介して第1パターンをパターン露光し、第2露光工程後、第1パターンから保護フィルムを除去した後、第2現像工程を行うことが好ましい。
本開示に係る回路配線の製造方法は、基材上の複数の導電層の一部又は全ての可視光線反射率を低下させる処理をする工程を含むことが可能である。
可視光線反射率を低下させる処理としては、酸化処理などを挙げることができる。例えば、銅を酸化処理して酸化銅とすることで、黒化することにより、可視光線反射率を低下させることができる。
可視光線反射率を低下させる処理の好ましい態様については、特開2014-150118号公報の段落0017~段落0025、並びに、特開2013-206315号公報の段落0041、段落0042、段落0048及び段落0058に記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
本開示に係る回路配線の製造方法は、形成した回路配線上に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜上に新たな導電層を形成する工程と、を含むことも好ましい。
このような構成により、上述の第二の電極パターンを、第一の電極パターンと絶縁しつつ、形成することができる。
絶縁膜を形成する工程については、特に制限はなく、公知の永久膜を形成する方法を挙げることができる。また、絶縁性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの絶縁膜を形成してもよい。
絶縁膜上に新たな導電層を形成する工程については、特に制限はない。導電性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの新たな導電層を形成してもよい。
本開示に係る回路配線の製造方法は、ロールツーロール方式により行われることが好ましい。
ロールツーロール方式とは、基板として、巻き取り及び巻き出しが可能な基板を用い、回路配線の製造方法に含まれるいずれかの工程の前に、基板又は基板を含む構造体を巻き出す工程(以下、「巻き出し工程」ということがある。)と、いずれかの工程の後に、基材又は基板を含む構造体を巻き取る工程(以下、「巻き取り工程」ということがある。)と、を含み、少なくともいずれかの工程(好ましくは、全ての工程、又は加熱工程以外の全ての工程)を、基材又は基板を含む構造体を搬送しながら行う方式をいう。
巻き出し工程における巻き出し方法、及び巻き取り工程における巻き取り方法としては、特に制限されず、ロールツーロール方式を適用する製造方法において、公知の方法を用いればよい。
本開示に係るタッチパネルの製造方法は、上記感光性転写材料の保護フィルムを剥離する工程(以下、「剥離工程」ということがある。)と、上記感光性転写材料の、上記仮支持体に対してポジ型感光性樹脂層を有する側の最外層を、導電層を有する基板に貼り合わせる工程(以下、「貼り合わせ工程」ということがある。)と、上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記ポジ型感光性樹脂層をパターン露光する工程(以下、「露光工程」ということがある。)と、上記パターン露光する工程後の上記ポジ型感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する工程(以下、「現像工程」ということがある。)と、上記樹脂パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程(以下、「エッチング工程」ということがある。)と、を含む。
本開示に係るタッチパネルの製造方法によれば、上記感光性転写材料を用いるため、パターン故障が低減されたタッチパネルを製造することができる。
本開示に係るタッチパネルにおける検出方法は、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、電磁誘導方式、光学方式などの公知の方式いずれでもよい。中でも、静電容量方式が好ましい。
タッチパネル型としては、いわゆる、インセル型(例えば、特表2012-517051号公報の図5、図6、図7、図8に記載のもの)、いわゆる、オンセル型(例えば、特開2013-168125号公報の図19に記載のもの、特開2012-89102号公報の図1及び図5に記載のもの)、OGS(One Glass Solution)型、TOL(Touch-on-Lens)型(例えば、特開2013-54727号公報の図2に記載のもの)、その他の構成(例えば、特開2013-164871号公報の図6に記載のもの)、各種アウトセル型(いわゆる、GG、G1・G2、GFF、GF2、GF1、G1Fなど)を挙げることができる。
本開示に係るタッチパネルとしては、『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日、(株)テクノタイムズ社発行)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”、シーエムシー出版(2004,12)、FPD International 2009 Forum T-11講演テキストブック、Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292等に開示されている構成を適用することができる。
本開示に係る樹脂パターンの製造方法は、上記感光性転写材料の保護フィルムを剥離する工程(以下、「剥離工程」ということがある。)と、上記感光性転写材料の、上記仮支持体に対してポジ型感光性樹脂層を有する側の最外層を、基板に貼り合わせる工程(以下、「貼り合わせ工程」ということがある。)と、上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記ポジ型感光性樹脂層をパターン露光する工程(以下、「露光工程」ということがある。)と、上記パターン露光する工程後の上記ポジ型感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する工程(以下、「現像工程」ということがある。)と、を含む。本開示に係る樹脂パターンの製造方法によれば、上記感光性転写材料を用いるため、パターン故障が低減された樹脂パターンを製造することができる。
本開示に係るフィルムは、第一延伸方向の延伸物である一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムがフィルム面に沿って上記第一延伸方向と直交する第二延伸方向に延伸された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと、上記一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方面に形成された塗布層の上記第二延伸方向の延伸物である下塗り層と、を有し、上記下塗り層の表面が、下記の(A)及び(B)を満たす。
(A)水接触角が、75°以上である。
(B)表面粗さRaが、45nm以下である。
(A)水接触角が、75°以上である。
(B)表面粗さRaが、45nm以下である。
以下の手順にしたがって、基材として用いるポリエチレンテレフタレート(PET)の一方の面に、下記下塗り層形成用塗布液1を塗布した後、延伸することによって製造例1の保護フィルムを得た。
下記に示す配合で、各成分を混合し、下塗り層形成用塗布液1を得た。得られた下塗り層形成用塗布液1を、6μmフィルター(F20、マーレフィルターシステムズ(株)製)でのろ過及び膜脱気(2x6ラジアルフロースーパーフォビック、ポリポア(株)製)を実施した。
・酸変性ポリオレフィン(ザイクセンL、住友精化(株)製、固形分25質量%):16.7部
・アニオン系界面活性剤(ラピゾールA-90、日油(株)製、固形分1質量%水希釈):5.6部
・水:77.7部
特許第5575671号公報に記載のチタン化合物を重合触媒としたポリエチレンテレフタレート(PET)のペレットを、含水率50ppm以下に乾燥させた後、直径30mmの1軸混練押出し機のホッパーに投入し、280℃で溶融して押出した。この溶融体(メルト)を、濾過器(孔径3μm)を通した後、ダイから25℃の冷却ロールに押出し、未延伸フィルムを得た。なお、押出されたメルトは、静電印加法を用い冷却ロールに密着させた。
上記方法で冷却ロール上に押出し、固化した未延伸フィルムに対し、以下の方法で逐次2軸延伸を施し、厚み25μmの基材(ポリエステルフィルム)と、厚み50nmの下塗り層と、を有する保護フィルムを得た。
未延伸フィルムを周速の異なる2対のニップロールの間に通し、縦方向(すなわち、搬送方向)に延伸した。なお、予熱温度を75℃、延伸温度を90℃、延伸倍率を3.4倍、延伸速度を1300%/秒として延伸を実施した。
縦延伸したフィルムの一方の面に下塗り層形成用塗布液1を、製膜後の厚みが50nmとなるようにバーコーターで塗布した。
縦延伸と塗布を行ったフィルムに対し、テンターを用いて下記条件にて横延伸した。
-条件-
予熱温度:110℃
延伸温度:120℃
延伸倍率:4.2倍
延伸速度:50%/秒
続いて、縦延伸及び横延伸を終えた後の延伸フィルムを下記条件で熱固定した。さらに、熱固定した後、テンター幅を縮め下記条件で熱緩和した。
-熱工程条件-
熱固定温度:227℃
熱固定時間:6秒
-熱緩和条件-
熱緩和温度:190℃
熱緩和率:4%
熱固定及び熱緩和の後、両端をトリミングし、端部に幅10mmで押出し加工(ナーリング)を行った後、張力40kg/mで巻き取った。なお、フィルムロールの幅は1.5m、巻長は6300mであった。得られたフィルムロールを、製造例1の保護フィルムとした。
得られた保護フィルムの基材は、ヘイズが0.2であり、150℃で30分加熱した場合の熱収縮率は、MD(Machine Direction)が1.0%、TD(Transverse Direction)が0.2%であった。断面TEM(Transmission Electron Microscope)写真から測定した下塗り層の膜厚は、50nmであった。
下塗り層形成用塗布液1の配合を表1の記載にしたがって変更した点、及び塗布時のバーを調整して下塗り層の製膜後の厚みを表1の記載にしたがって変更した点以外は、製造例1と同様にして製造例2~7の保護フィルムを得た。
下塗り層形成用塗布液1の代わりに下記下塗り層形成用塗布液2を使用した点、及び塗布時のバーを調整して下塗り層の製膜後の厚みを80nmに変更した点以外は、製造例1と同様にして製造例8の保護フィルムを得た。
(下塗り層形成用塗布液2)
・ウレタンポリマー(エラストロンH3DF、第一工業製薬(株)製、固形分28質量%):16.5部
・ブロックイソシアネート(デュラネートWM44-L70G、旭化成(株)製、固形分70質量%):1.5部
・アニオン系界面活性剤(ラピゾールA-90、日油(株)製、固形分1質量%水希釈):4.2部
・炭酸水素ナトリウム(旭硝子(株)製、固形分5質量%水希釈):0.3部
・カルナバワックス分散物(セロゾール524、中京油脂(株)製、固形分30質量%):0.5部
・有機スズ水分散物(エラストロンCat21、第一工業製薬(株)製、固形分1質量%水希釈):3.3部
・水:73.7部
下塗り層形成用塗布液を塗布しない点以外は、製造例1と同様にして製造例9の保護フィルムを得た。
塗布工程において、縦延伸したフィルムの、下塗り層形成用塗布液1を塗布した面とは反対側の面に、製膜後の厚みが60nmとなるように下記の上塗り層形成用塗布液をさらに塗布した点以外は、製造例1と同様にして製造例10の保護フィルムを得た。
(上塗り層形成用塗布液)
・アクリルポリマー(AS-563A、ダイセルファインケム(株)製、固形分27.5質量%):16.7部
・ノニオン系界面活性剤(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分100質量%):0.07部
・アニオン系界面活性剤(ラピゾールA-90、日油(株)製、固形分1質量%水希釈):11.44部
・カルナバワックス分散物(セロゾール524、中京油脂(株)製、固形分30質量%)0.7部
・カルボジイミド化合物(カルボジライトV-02-L2、日清紡(株)製、固形分10質量%水希釈):2.09部
・マット剤(スノーテックスXL、日産化学(株)製、固形分40質量%):0.28部
・水:69.0部
以下の実施例において、以下の略語はそれぞれ以下の化合物を表す。
ATHF:2-テトラヒドロフラニルアクリレート(合成品)
MMA:メチルメタクリレート(東京化成工業(株)製)
EA:エチルアクリレート(東京化成工業(株)製)
CHA:アクリル酸シクロヘキシル(東京化成工業(株)製)
PMPMA:メタクリル酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル(東京化成工業(株)製)
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):(昭和電工(株)製)
V-601:ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(富士フイルム和光純薬工業(株)製)
[ATHFの合成]
3つ口フラスコにアクリル酸(72.1g、1.0mol)、ヘキサン(72.1g)を加え20℃に冷却した。カンファースルホン酸(7.0mg、0.03mmol)、2-ジヒドロフラン(77.9g、1.0mol)を滴下した後に、20℃±2℃で1.5時間撹拌した後、35℃まで昇温して2時間攪拌した。ヌッチェにキョーワード200(水酸化アルミニウム吸着剤、協和化学工業(株)製)、キョーワード1000(ハイドロタルサイト系吸着剤、協和化学工業(株)製)の順に敷き詰めた後、反応液をろ過することでろ過液を得た。得られたろ過液にヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ、1.2mg)を加えた後、40℃で減圧濃縮することで、2-テトラヒドロフラニルアクリレート(ATHF)140.8gを無色油状物として得た(収率99.0%)。
3つ口フラスコにPGMEA(75.0g)を入れ、窒素雰囲気下において90℃に昇温した。ATHF(29.0g)、CHA(5.0g)、EA(30.0g)、MMA(35.0g)、PMPMA(1.0g)、V-601(4.1g)、PGMEA(75.0g)を加えた溶液を、90℃±2℃に維持した3つ口フラスコ溶液中に2時間かけて滴下した。滴下終了後,90℃±2℃にて2時間撹拌することで、重合体A1(固形分濃度40.0%)を得た。
以下の処方で感光性樹脂組成物1を調製した。
・重合体A1:93.9部
・光酸発生剤(下記B-1):2.0部
・界面活性剤(下記C-1):0.1部
・添加剤(下記D-1):0.2部
・PGMEA:900部
仮支持体となる厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、感光性樹脂組成物1を、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が3.0μmとなるように塗布した。100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させた後、製造例1の保護フィルムの、下塗り層側を感光性樹脂組成物層に接触させて圧着し、感光性転写材料を作製した。得られた感光性転写材料を実施例1の感光性転写材料とした。
保護フィルムを表2の記載にしたがって変更した点以外は、実施例1と同様にして実施例2~4、7~11の感光性転写材料を作製した。
[中間層用組成物1の調製]
以下の処方で中間層用組成物1を調製した。
・蒸留水:137.0部
・メタノール:319.0部
・NISSO HPC-SSL(日本曹達(株)製):20.6部
・スノーテックスO(日産化学工業(株)製):68.5部
仮支持体となる厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、中間層用組成物1を乾燥膜厚2.0μmとなるようにスリットコートし、次いで、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させることで、中間層となる水溶性樹脂層を形成した。次に感光性樹脂組成物1を、この水溶性樹脂層上に、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が3.0μmとなるように塗布した。100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させた後、製造例3の保護フィルムを圧着して感光性転写材料を作製した。得られた感光性転写材料を、実施例5の感光性転写材料とした。
感光性樹脂組成物1の代わりに下記感光性樹脂組成物2を使用した点以外は、実施例3と同様にして実施例6の感光性転写材料を作製した。
以下の処方で感光性樹脂組成物2を調製した。
・ノボラック樹脂(メタクレゾール:パラクレゾール=30:70、分子量5,500):79.9部
・感光剤:特開平4-22955号公報の第4頁に記載のナフトキノンジアジド化合物(1):20.0部
・界面活性剤(下記C-1):0.1部
・PGMEA:900部
製造例1の保護フィルムの代わりに製造例8のフィルムを用いた点以外は、実施例1と同様にして比較例1の感光性転写材料を得た。
製造例1の保護フィルムの代わりに製造例9のフィルムを用いた点以外は、実施例1と同様にして比較例2の感光性転写材料を得た。
製造例1の保護フィルムの代わりに下記フィルム2を用いた点以外は、実施例1と同様にして比較例3の感光性転写材料を得た。
下記の剥離条件にて実施例1~11及び比較例1~3の各感光性転写材料から保護フィルムを剥離することによって露出した剥離面を測定面として水接触角を測定した。具体的には、接触角計(協和界面科学社製、DROPMASTER-501)を用い、25℃の温度条件下で、測定面に精製水2μLを着滴してから7秒後の接触角を液滴法にて測定した。測定結果を表2に示す。
感光性転写材料を、幅4.5cm×長さ9cmに切り抜き、仮支持体側の面をガラス板上に両面粘着テープで貼り合わせた。貼り合わされた感光性転写材料に、幅4.5cm×長さ15cmに切りぬいた粘着テープを、粘着テープの幅方向と感光性転写材料の幅方向を合わせ、幅方向には粘着テープがはみ出さず、長さ方向に前後3cmずつ粘着テープがはみ出すように貼り合せた。テープの一方の端部を把持し、引張試験機を用いて500mm/minの剥離速度で180°剥離を行った。ここで、粘着テープ及び両面粘着テープは、JIS Z 0109:2015に記載のものを使用し、引張試験機は、JIS B 7721:2009に規定する引張試験機(試験機の等級1:相対指示誤差±1.0%)又はこれと同等の引張試験機を使用した。
上記の剥離条件にて実施例1~11及び比較例1~3の各感光性転写材料から保護フィルムを剥離することによって露出した剥離面について、3次元光学プロファイラー(New View7300、Zygo社製)を用いて、以下の条件にて、保護フィルムの表面プロファイルを得た。なお、測定・解析ソフトにはMetroPro ver8.3.2のMicroscope Applicationを用いる。次に、上記解析ソフト(MetroPro ver8.3.2-Microscope Application)にてSurface Map画面を表示し、Surface Map画面中でヒストグラムデータを得る。得られたヒストグラムデータから、算術平均粗さを算出し、Ra値とした。測定結果を表2に示す。
[測定条件]
対物レンズ:50倍
Zoom:0.5倍
測定領域:1.00mm×1.00mm
[解析条件]
Removed:plane
Filter:off
FilterType:average
Remove spikes:on
Spike Height(xRMS):7.5
実施例1~11及び比較例1~3の各感光性転写材料を、温度23℃、相対湿度55%にて2ヶ月間保管した後、上記剥離条件にて、保護フィルムを剥離した。下記基準に従って、保護フィルムの剥離性について評価した。評価結果を表2に示す。なお、2が実用範囲である。
2:保護フィルムのみが剥離できる
1:剥離した保護フィルムにポジ型感光性樹脂層が付着する。
パターン形状評価においては、厚さ188μmのPETフィルム上に厚さ500nmでスパッタ法にて銅層を作製した銅層付きポリエチレンテレフタレート(PET)基板(以下、「銅層付きPET基板」ということがある。)を使用した。
実施例1~11及び比較例1~3の各感光性転写材料を、温度23℃、相対湿度55%にて2ヶ月間保管した後、各感光性転写材料の保護フィルムを剥離し、上記銅層付きPET基板上に、100℃、2m/min、0.6MPaの条件でラミネートし、銅層上にポジ型レジスト層が積層した積層体を作製した。
この積層体に対し、仮支持体を剥離せずに、線幅10μmのラインアンドスペース配線パターン(開口部:遮光部の幅比は1:1)を設けたフォトマスクを用いてコンタクトパターン露光を行った。露光にはi線(365nm)を露光主波長とする高圧水銀灯を用いた。
露光後に5時間引き置いた後、仮支持体を剥離して現像した。現像は、28℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で40秒行った。上記方法にて10μmのラインアンドスペースパターンを形成し、ライン幅とスペース幅の比が1:1になる露光量を求め、その露光量で試料をパターン形成した。このパターンの形態をSEM(Scanning Electron Microscope、倍率20000倍)で観察し、パターンの形状を下記基準で評価した。評価結果を表2に示す。なお、2以上が実用可能レベルである。
[基準]
3:アンダーカットのないテーパー形状である。
2:部分的にアンダーカットが存在する、又はパターンが欠けている部分がある。
1:パターンが残存していない部分がある。
B-1:下記に示す構造の化合物(特開2013-047765号公報の段落0227に記載の化合物であり、段落0204に記載の方法に従って合成した。)
C-1:メガファックF552(DIC(株)製)
D-1:下記に示す構造の化合物
フィルム1:ポリプロピレンフィルム トレファン 25KW37(東レ(株)製)
フィルム2:ポリプロピレンフィルム アルファン E-501(王子エフテックス(株)製)
100μm厚PET基材上に、第2層の導電層としてITOをスパッタリングで150nm厚にて成膜し、その上に第1層の導電層として銅を真空蒸着法で200nm厚にて成膜して、回路形成基板とした。
銅層上に実施例1で得た感光性転写材料1をラミネートした(ロール温度120℃、線圧0.8MPa、線速度1.0m/min.)。仮支持体を剥離せずに一方向に導電層パッドが連結された構成を持つ図3に示すパターンAを設けたフォトマスクを用いてコンタクトパターン露光した。図3に示されるパターンAにおいて、実線部SL及びグレー部Gは遮光部であり、点線部DLはアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。その後仮支持体を剥離し、現像、水洗を行ってパターンAを得た。次いで銅エッチング液(関東化学(株)製Cu-02)を用いて銅層をエッチングした後、ITOエッチング液(関東化学(株)製ITO-02)を用いてITO層をエッチングすることで、銅とITOとが共にパターンAで描画された基板を得た。
次いで、アライメントを合わせた状態で図4に示すパターンBの開口部を設けたフォトマスクを用いてパターン露光し、現像、水洗を行った。図4に示されるパターンBにおいて、グレー部Gは遮光部であり、点線部DLはアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。
その後、Cu-02を用いて銅層をエッチングし、残った感光性樹脂層を、超高圧水銀灯により全面露光(300mJ/cm2)し、露光後に10秒間引き置いた後、除去液(Henkel(株)製BONDERITE C-AK P123)を用いて除去し、回路配線を得た。
得られた回路配線を、顕微鏡で観察したところ、剥がれ及び欠けは無く、きれいなパターンであった。
100μm厚PET基材上に、第2層の導電層としてITOをスパッタリングで150nm厚にて成膜し、その上に第1層の導電層として銅を真空蒸着法で200nm厚にて成膜して、回路形成基板とした。
銅層上に実施例1で得た感光性転写材料1をラミネートした(ロール温度120℃、線圧0.8MPa、線速度1.0m/min.)。
仮支持体を剥離せずに一方向に導電層パッドが連結された構成を持つ図3に示すパターンAを設けたフォトマスクを用いてパターン露光した。その後仮支持体を剥離し、現像、水洗を行ってパターンAを得た。次いで銅エッチング液(関東化学(株)製Cu-02)を用いて銅層をエッチングした後、ITOエッチング液(関東化学(株)製ITO-02)を用いてITO層をエッチングすることで、銅とITOが共にパターンAで描画された基板を得た。
次いで、残存しているレジスト上に保護層としてPET(A)をラミネートした。この状態で、アライメントを合わせた状態で図4に示すパターンBの開口部を設けたフォトマスクを用いてパターン露光し、PET(A)を剥離した後に現像、水洗を行った。
その後、Cu-02を用いて銅配線をエッチングし、残った感光性樹脂層を、超高圧水銀灯により全面露光(300mJ/cm2)し、露光後に10秒間引き置いた後、除去液(Henkel(株)製BONDERITE C-AK P123)を用いて除去し、回路配線を得た。
得られた回路配線を、顕微鏡で観察したところ、剥がれ及び欠けは無く、きれいなパターンであった。
Claims (13)
- 仮支持体と、
ポジ型感光性樹脂層と、
保護フィルムと、
をこの順に有し、前記保護フィルムの、前記ポジ型感光性樹脂層と接する側の表面が、下記の(A)及び(B)を満たし、
前記ポジ型感光性樹脂層が、酸分解性樹脂を含有する感光性転写材料。
(A)水接触角が、78°以上である。
(B)表面粗さRaが、45nm以下である。 - 前記表面粗さRaが、25nm以下である請求項1に記載の感光性転写材料。
- 前記保護フィルムが、基材と、下塗り層と、を有し、前記保護フィルムの、前記ポジ型感光性樹脂層と接する側の最外層が、前記下塗り層である請求項1又は請求項2に記載の感光性転写材料。
- 前記保護フィルムが、
第一延伸方向の延伸物である一軸延伸フィルムがフィルム面に沿って前記第一延伸方向と直交する第二延伸方向に延伸された二軸延伸フィルムと、
前記一軸延伸フィルムの一方面に形成された塗布層の前記第二延伸方向の延伸物である下塗り層と、
を有し、
前記保護フィルムの、前記ポジ型感光性樹脂層と接する側の最外層が、前記下塗り層である請求項1又は請求項2に記載の感光性転写材料。 - 前記下塗り層が、酸変性ポリオレフィンを含有する請求項3又は請求項4に記載の感光性転写材料。
- 前記酸変性ポリオレフィンが酸基を有し、前記酸基の少なくとも1つがアルカリ金属塩である請求項5に記載の感光性転写材料。
- 前記下塗り層の厚みが、10nm~550nmである請求項3~請求項6のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
- 前記仮支持体と前記ポジ型感光性樹脂層との間に、水溶性樹脂層を有する請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
- 前記ポジ型感光性樹脂層が、前記ポジ型感光性樹脂層の全固形分に対し、重合体成分を80質量%~98質量%の割合で含む請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
- 請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の感光性転写材料の保護フィルムを剥離する工程と、
前記感光性転写材料の、前記仮支持体に対して前記ポジ型感光性樹脂層を有する側の最外層を、導電層を有する基板に貼り合わせる工程と、
前記貼り合わせる工程後の前記感光性転写材料の前記ポジ型感光性樹脂層をパターン露光する工程と、
前記パターン露光する工程後の前記ポジ型感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する工程と、
前記樹脂パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程と、
を含む、回路配線の製造方法。 - 請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の感光性転写材料の保護フィルムを剥離する工程と、
前記感光性転写材料の、前記仮支持体に対してポジ型感光性樹脂層を有する側の最外層を、導電層を有する基板に貼り合わせる工程と、
前記貼り合わせる工程後の前記感光性転写材料の前記ポジ型感光性樹脂層をパターン露光する工程と、
前記パターン露光する工程後の前記ポジ型感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する工程と、
前記樹脂パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程と、
を含む、タッチパネルの製造方法。 - 請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の感光性転写材料の保護フィルムを剥離する工程と、
前記感光性転写材料の、前記仮支持体に対してポジ型感光性樹脂層を有する側の最外層を、基板に貼り合わせる工程と、
前記貼り合わせる工程後の前記感光性転写材料の前記ポジ型感光性樹脂層をパターン露光する工程と、
前記パターン露光する工程後の前記ポジ型感光性樹脂層を現像して樹脂パターンを形成する工程と、
を含む、樹脂パターンの製造方法。
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