JP7065430B2 - 無菌搬送容器および無菌搬送容器の接続方法 - Google Patents

無菌搬送容器および無菌搬送容器の接続方法 Download PDF

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Description

本発明は無菌搬送容器および無菌搬送容器の接続方法に関し、詳しくは無菌状態を維持したまま無菌室と無菌搬送容器との間で物品の移送を行う無菌搬送容器の接続方法と、当該無菌搬送容器の接続方法に好適な無菌搬送容器とに関する。
従来、内部が無菌状態に維持されたアイソレータ等の無菌室を用いた細胞の培養作業が行われており、このような無菌環境下において作業を行うための器具や容器は、上記無菌室の無菌状態を維持しながら移送する必要がある。
そこで、無菌状態を維持したまま無菌室と無菌搬送容器との間で物品の移送を行うための様々な無菌搬送容器の接続方法が提案されているが、例えばビニールバッグの先端に円筒状の接続ポートを備えた無菌搬送容器を、上記無菌室に設けた接続ポートに接続して、物品の移送を行うようにした無菌搬送容器の接続方法が知られている(特許文献1)。
特許第4744663号公報
しかしながら、上記無菌搬送容器の接続方法に用いる無菌搬送容器には、上記接続ポートを設けなければならないことから、上記無菌搬送容器を使い捨てにすることがコスト的に困難であるという問題がある。
また、上記無菌搬送容器の接続方法では、上記無菌室に上記無菌搬送容器を接続する際、それまで外部に露出していた部分を除染してから無菌室と無菌搬送容器とを連通させており、上記除染作業が煩雑であるという問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は安価で使い捨て可能な無菌搬送容器を提供するとともに、接続部分の除染を行うことなく無菌室と無菌搬送容器とを無菌状態を維持したまま連通させることが可能な無菌搬送容器の接続方法を提供するものである。
すなわち請求項1の発明にかかる無菌搬送容器は、前方開口部が形成された可撓性を有する素材からなる外袋と、当該外袋の内部を上記前方開口部が形成される空間とその後方の密閉空間とに区画する可撓性を有する素材からなる仕切体とを備え、
上記仕切体における上記密閉空間側の面に、当該仕切体における密閉空間側の面同士が溶着しないような溶着不能部分を設けたことを特徴としている。
また請求項3の発明にかかる無菌搬送容器の接続方法は、内部が無菌状態に維持された無菌室に、内部が無菌状態に維持された無菌搬送容器を接続し、無菌状態を維持したまま上記無菌室と無菌搬送容器の内部を連通させる無菌搬送容器の接続方法であって、
上記無菌室に外部に突出する筒状の接続部を設け、
上記無菌搬送容器を、前方開口部が形成された可撓性を有する素材からなる外袋と、当該外袋の内部を上記前方開口部が形成される空間とその後方の密閉空間とに区画する可撓性を有する素材からなる仕切体とから構成し、
上記接続部の開口部を可撓性を有する素材からなるカバーによって外部から覆うとともに、上記無菌室の内部空間を無菌状態とし、
上記無菌搬送容器の前方開口部を、上記開口部を覆う上記カバーに重ねるようにして上記接続部に装着し、
上記無菌搬送容器の仕切体および上記カバーを上記無菌室の内部空間に引き込み、
上記引き込まれて折り返された上記カバーの内側に、引き込まれて折り返された上記仕切体を重合させた状態で、上記カバーと上記仕切体とを所定の幅で溶着し、
上記溶着したカバーと仕切体との溶着部分を切断することにより、上記無菌搬送容器の密閉空間を開封させ、上記無菌室の内部空間と上記無菌搬送容器の密閉空間とを連通させることを特徴としている。
上記請求項1の発明にかかる無菌搬送容器は、無菌室に接続するための接続ポートを備えておらず、可撓性を有する素材からなる外袋および仕切体によって構成されることから、安価で使い捨て可能となっている。
そして上記無菌搬送容器を用いた請求項3の発明にかかる無菌搬送容器の接続方法によれば、カバーによって覆われた接続部に無菌搬送容器の外袋を装着することで、カバーと仕切体との間にそれまで外部に露出していた非除染空間が形成される。
その後、上記カバーおよび仕切体を重合させた状態で溶着することで、当該溶着部分を切断しても上記非除染空間は無菌室や無菌搬送容器の内部空間と連通することはない。
さらに、上記無菌搬送容器の仕切体における上記密閉空間側の面は溶着されないため、上記溶着部分を切断すると上記仕切体を離隔させることができ、無菌室と無菌搬送容器とを無菌状態を連通させる開口部を形成して無菌状態を維持したまま物品の移送を行うことができる。
本実施例にかかる細胞培養システムの構成図 無菌搬送容器の構成図 無菌搬送容器の使用方法を説明する図 無菌搬送容器を連続して用いる手順を示す図
以下、図示実施例について説明すると、図1は細胞を培養するための細胞培養システム1を説明するものであって、内部が無菌状態に維持された無菌室としてのアイソレータ2と、当該アイソレータ2に接続可能に設けられたインキュベータ3とを備えている。
上記細胞培養システム1では、上記アイソレータ2の内部で培養容器に細胞を収容する作業や、培地を交換する作業といった培養作業を行い、当該培養作業の終了した細胞は、上記培養容器に収容された状態で上記インキュベータ3に移載された後、当該インキュベータ3の内部で培養されるようになっている。
上記アイソレータ2は内部が無菌環境に維持されるとともに、側面にはパスボックス2aやグローブ2bが設けられ、上記パスボックス2aではアイソレータ2で使用するトレーやピペットなどの資材や、細胞を収容した容器などの物品を除染し、また上記グローブ2bは作業者が装着することでアイソレータ2の内部で各種作業を行うことが可能となっている。
上記インキュベータ3は、内部が無菌環境に維持されるとともに、細胞の培養に適した所定の温度および湿度に維持され、細胞の培養が行われる間、上記インキュベータ3を上記アイソレータ2より分離して、当該アイソレータ2より離れた場所に保管することが可能となっている。
上記アイソレータ2とインキュベータ3とは接続手段によって接続されており、例えば特許第4656485号公報に記載されるような、インキュベータ3とアイソレータ2とを無菌状態を維持したまま接離させる接続手段を使用することができる。
なお、上記細胞培養システム1の詳細や、当該細胞培養システム1を用いた細胞の培養作業については、従来公知であるためこれ以上の詳細な説明を省略する。
そして本実施例の細胞培養システム1では、上記パスボックス2aを用いた物品の搬入方法とは別に、図2に示す無菌搬送容器4をアイソレータ2に接続することで、図3、図4に示す無菌搬送容器の接続方法を用いて、無菌状態を維持したまま物品の移送を行うことが可能となっている。
図2に示すように、上記無菌搬送容器4は、前方開口部11aが形成された外袋11と、当該外袋11の内部に設けられた仕切体としての内袋12とによって構成され、上記外袋11および内袋12を構成する素材にはそれぞれポリエチレンや塩化ビニルなどの可撓性を有する素材が用いられている。
上記外袋11は、上記物品を収容していない状態では筒状に形成されており、上記前方開口部11aに対する他端には後方開口部11bが形成され、当該後方開口部11bから物品を収容することが可能となっている。
そして、物品を収容した後には、上記後方開口部11bの近傍を外袋の外部から溶着することで、上記後方開口部11bを密閉することが可能となっている。
上記内袋12は上記外袋11の内部に収容され、その開口部は上記外袋11の前方開口部11aに溶着や接着などの方法により気密を保った状態で接合されている。
このような構成により、上記外袋11の内部は、上記内袋12によって上記前方開口部11aが形成される空間と、その後方の上記物品が収容される密閉空間S1とに区画されるようになっている。
そして上記内袋12における上記密閉空間S1側の面は、当該内袋12における密閉空間S1側の面同士が溶着されないような溶着不能部分としてのコーティングCが形成され、当該密閉空間S1側の面同士は溶着されないようになっている。
以下、図3、図4を用いて上記無菌搬送容器4を用いた無菌搬送容器の接続方法を説明する。なお説明のため、上記無菌搬送容器4を構成する内袋12および下記カバー22は伸縮する素材のように記載している。
まず、図3の各図に示すように、上記アイソレータ2の外部には円筒状の接続部21が設けられており、当該接続部21を介してアイソレータ2の内部空間S2と外部とが連通するようになっている。
そして図3(a)は、上記接続部21の開口部を可撓性を有する素材からなるカバー22によって外部から覆うとともに、アイソレータ2の内部空間S2を除染して無菌状態とする工程を示している。
上記カバー22は上記無菌搬送容器4を構成する外袋11や内袋12と同様のポリエチレンや塩化ビニルなどの素材によって形成され、図中では膜状に示しているが実際には袋状を有している。
そして、上記カバー22を上記接続部21の開口部を覆うように接続部21の外周に密着させ、当該カバー22の外側からゴムバンドなどの保持手段23によって接続部21に保持する。これによりアイソレータ2の内部空間S2と外部とが上記カバー22によって気密を保った状態で区画されることとなる。
ここで上記保持手段23については、上記接続部21の外周面に上記カバー22や外袋11を密着させた状態で保持することができれば、その態様は問わない。
このようにして接続部21の開口部をカバー22で覆ったら、従来公知の方法を用いてアイソレータ2の内部空間S2の除染を行い、これにより上記カバー22におけるアイソレータ2の内部空間S2側の部分が除染されることとなる。
図3(b)は、上記無菌搬送容器4を上記接続部21に接続する工程を示している。ここで、上記無菌搬送容器4の密閉空間S1には予め物品が収容され、また密閉空間S1は無菌状態に維持されている。
ここで上記無菌搬送容器4に物品を収容する作業としては、まず上記外袋11の後方開口部11bから上記物品を収容したら、当該後方開口部11bをヒートシーラによって溶着し、その後無菌搬送容器4の外部からガンマ線や電子線等の放射線を照射して、無菌搬送容器4の密閉空間S1および上記物品を滅菌するようになっている。
そして本工程では、上記無菌搬送容器4の前方開口部11aを、上記カバー22に重ねるようにして上記接続部21に装着し、さらに外袋11の外側から上記カバー22を保持させた保持手段23とは別の保持手段23によって上記カバー22ごと接続部21の外周面に保持させる。
これにより、上記カバー22における外部側の部分と、上記無菌搬送容器4における上記内袋12の前方開口部11a側の内袋12の内側の部分とによって、それまで外部に露出していた非除染空間Pが形成されることとなる。
図3(c)は、上記無菌搬送容器4の内袋12と上記カバー22とを重ね合わせた状態で上記アイソレータ2の内部空間S2に引き込む工程を示している。
具体的には、作業者が上記アイソレータ2のグローブ2bを装着すると、当該アイソレータ2の内側から上記接続部21を介して上記カバー22および内袋12を把持し、接続部21を通過させながらアイソレータ2の内部空間S2へと引き込む。
その結果、上記カバー22はアイソレータ2の内部空間S2に引き込まれることで折り返され、これと同様上記内袋12もアイソレータ2の内部空間S2に引き込まれることで折り返されることとなる。
この時、上記カバー22と内袋12との間に形成された上記非除染空間Pは密閉された状態が維持されるため、アイソレータ2の内部空間S2や無菌搬送容器4の密閉空間S1が汚染されることはない。
図3(d)は、アイソレータ2の内部空間S2において、引き込まれて折り返された上記内袋12と上記カバー22とを、重合させた状態で上記カバー22の外部から所定の幅で溶着する工程を示している。
上記アイソレータ2の内部には予めヒートシーラ24が準備され、上記ヒートシーラ24は例えば内側にヒータ(図示せず)を備えた一対の把持部材によって構成されている。
上記ヒートシーラ24の把持部材によってポリエチレンや塩化ビニルなどのシートを重合させた状態で挟持すると、上記ヒータが重合されたシートを加熱し、シート同士を溶着させるものとなっている。
上記ヒートシーラ24は上記グローブ2bを装着した作業者によって操作され、アイソレータ2の内部空間S2に引き込まれた上記内袋12とカバー22とを、重合させて折り返した状態でヒートシーラ24によって溶着するようになっている。
具体的には、折り重ねられたカバー22を構成する2枚のシートの内側に、折り重ねられた内袋12を構成する2枚のシートが積層されているが、上記カバー22を構成するシートと内袋12を構成するシートとは溶着されるものの、内袋12を構成するシート同士は、当該内袋12に形成されたコーティングCによって溶着されないようになっている。
その結果、実際に溶着を行うと、上記カバー22と内袋12とが溶着されたことによりリング状の溶着部分Mが形成され、これにより上記カバー22と内袋12との間に形成された非除染空間Pが上記溶着部分Mによって2つの空間に区画されることとなる。
そして、上記ヒートシーラ24による溶着部分Mの幅は、後工程において当該溶着部分Mの略中央部分をハサミ等で切断することが可能な幅に設定されている。
図3(e)は、上記溶着部分Mの略中央部分を切断する工程を示している。
アイソレータ2の内部には図示しないがハサミ等の切断手段が準備されており、上記グローブ2bを装着した作業者は当該切断手段を用いて、上記溶着部分Mの略中央部分を切断するようになっている。
その結果、上記カバー22および内袋12における上記溶着部分よりもアイソレータ2の内部空間S2側に位置した部分が除去部分として分離することとなるが、切断された部分が溶着部分Mであることから、上記除去部分および残存部分を構成する上記カバー22と内袋12との間に形成された非除染空間Pがアイソレータ2の内部空間S2や無菌搬送容器4の内部空間S2に連通することはない。
図3(f)は、上記無菌搬送容器4からアイソレータ2へと物品の移送を行う工程を示している。
上記溶着部分Mを切断する工程において、上記除去部分が除去されると、上記内袋12を構成するシート同士はコーティングCにより溶着されていないことから、内袋12における内部空間S2側の面を離隔させて、アイソレータ2の内部空間S2と上記無菌搬送容器4の内部空間S2とを連通させる開口部を形成することができる。
そして作業者は、上記内袋12の内側に形成された開口部および上記接続部21を介して、無菌搬送容器4に収容された物品をアイソレータ2へと移送することができる。
このように本実施例の無菌搬送容器の接続方法によれば、上記無菌搬送容器4を用いることで、上記アイソレータ2に対して無菌状態を維持したまま物品の移送を行うことが可能となっている。
また本実施例で使用する無菌搬送容器4には接続ポートが設けられておらず、上記外袋11や内袋12といった可撓性を有する素材のみで構成することができることから、無菌搬送容器4を安価に製造することができ、また使用後には使い捨てすることができる。
また上述した各工程において、外部に露出していた上記カバー22の外部側の部分と、上記無菌搬送容器4の内袋12における前方開口部4a側の部分とは、非除染空間Pとして密閉された状態が維持されるため、外部に露出していた部分の除染を行うことなく、迅速にアイソレータ2と無菌搬送容器4とを無菌状態を維持したまま連通させることができる。
図4は、上記無菌搬送容器4を用いて複数回にわたり物品の移送を行う手順を示したものであり、上記図3で説明した作業で物品が取り出された使用済み無菌搬送容器4が上記接続部21に接続されている状態のまま、新たな無菌搬送容器4を用いてアイソレータ2に物品を移送する作業を示したものとなっている。
ここで、図3で説明した作業を行うことで、上記使用済み無菌搬送容器4の内袋12は上記カバー22に溶着されているため、上記使用済み無菌搬送容器4だけを取り除くことはできず、またカバー22を取り外すとアイソレータ2の内部空間S2が外部に連通してしまい無菌状態を維持することができない。
そこで、図4に示す作業では、使用済み無菌搬送容器4が接続されたままの状態で新たな無菌搬送容器4を接続し、無菌状態を維持したまま上記無菌搬送容器4による物品の搬入を可能とするものである。
図4(a)は、上記図3において使用した使用済み無菌搬送容器4の外袋11を上記接続部21より取り外す工程を示している。
具体的には、それまで上記外袋11を接続部21に保持していた上記保持手段23を取り外し、外袋11を接続部21より離脱させればよく、これにより上記カバー22と使用済み無菌搬送容器4の内袋12との間に形成されていた上記非除染空間Pが外部に開放されることとなる。
図4(b)は、上記使用済み無菌搬送容器4を上記カバー22ごと上記接続部21を通してアイソレータ2の内部空間に引き込んで裏返すとともに、新たな無菌搬送容器4の前方開口部11aを上記接続部21に装着する工程を示している。
ここで、上記図3の各図で説明した手順において、上記使用済み無菌搬送容器4の内袋12が溶着されたカバー22とは溶着部分Mによって溶着された状態となっており、これにより上記カバー22と使用済み無菌搬送容器4とによって使用済みカバー袋Uが構成されている。
作業者はアイソレータ2の内部から、上記接続部21を介して外部に位置している上記使用済みカバー袋Uをアイソレータ2の内部空間S2に引き込み、これにより引き込まれた使用済みカバー袋Uが内部空間S2において裏返しとなる。
その結果、それまでアイソレータ2と連通していた無菌環境に接触していた部分がアイソレータ2の内部空間S2に露出し、逆にそれまで外部に露出していた部分は裏返しとなった外袋11の内側に位置するため、アイソレータ2の無菌状態は維持されている。
この状態で、上記図3(b)と同様、新たな無菌搬送容器4の外袋11の前方開口部11aを、上記カバー22に重ねるようにして上記接続部21に装着し、さらに外袋11の外側から上記カバー22を保持させた保持手段とは別の保持手段23によって上記カバー22ごと接続部21に保持させる。
これにより、上記アイソレータ2の内部空間S2に位置する使用済みカバー袋Uの内側に形成された空間と、新たな無菌搬送容器4の内袋12との間に、それまで外部に露出していた非除染空間Pが形成されることとなる。
図4(c)は、上記新たな無菌搬送容器4の内袋12を、上記裏返された使用済みカバー袋Uの内側に重ね合わせる工程を示している。
作業者は、アイソレータ2の内部空間S2より、上記新たな無菌搬送容器4の内袋12をアイソレータ2の内部空間S2側に引き込み、当該新たな内袋12を使用済みカバー袋Uを構成する内袋12の内側に重合させる。
図4(d)は、上記裏返された使用済みカバー袋Uの内側に、折り返された上記新たな内袋12を重合させた状態で、上記使用済みカバー袋Uと上記内袋12とを所定の幅で溶着する工程を示している。
当該工程には上記図3(d)で用いたヒートシーラ24を用いることができ、本工程では、作業者がアイソレータ2の内部に引き込んだ上記新たな内袋12と使用済みカバー袋Uの内袋12とを重合させて折り返した状態で溶着する。
つまり、折り重ねられた使用済みカバー袋Uの内袋12を構成する2枚のシートの内側に、折り重ねられた新たな内袋12を構成する2枚のシートが積層された状態となっていることから、外側に位置する使用済みカバー袋Uの内袋12を構成するシートと、内側に位置する新たな内袋12を構成するシートとは、相対した面に上記コーティングCが形成されていないので溶着されることとなる。
これに対し、新たな内袋12を構成するシートとシートとは、相対する面に上記コーティングCが形成されているので、これら新たな内袋12を構成するシート同士は溶着されないようになっている。
図4(e)(f)は、上記溶着部分Mの略中央部分を切断する工程と、上記新たな無菌搬送容器4の内袋12を離隔させて、アイソレータ2の内部空間S2と上記新たな無菌搬送容器4の密閉空間S1とを連通させる工程をそれぞれ示している。
これらの工程については、それぞれ上記図3(e)(f)にて説明した工程と同様であり、詳細な説明は省略する。
上記図4に示した作業を行うことで、上記アイソレータ2に対して上記無菌搬送容器4を用いた物品の移送を複数回行うことができ、その際も最初に無菌搬送容器4をアイソレータ2に接続したときと同様、除染を行うことなく無菌状態を維持したままアイソレータ2と新たな無菌搬送容器4とを連通させることができる。
上記実施例における無菌搬送容器4は、外袋11の内部に内袋12を設けた構成となっているが、上記外袋11の内側に伸縮性を有する膜状の仕切体を設けて、当該仕切体によって上記外袋11の内側に上記密閉空間S1が形成されるようにしてもよい。
このような構成においても、上記実施例と同様、上記仕切体をアイソレータ2の内部空間S2に引き込むことで、上記カバー22の間に仕切体を重合させた状態で溶着することができる。
そして上記仕切体における密閉空間S1側の面に溶着不能部分を形成すれば、溶着部分Mを切断した後にアイソレータ2と無菌搬送容器4とを無菌状態を維持したまま連通させることができる。
なお、上記各実施例において使用する無菌搬送容器4は、上記内袋12における上記密閉空間S1側の面に溶着不能部分としてのコーティングCを形成しているが、当該溶着不能部分を省略した無菌搬送容器4も使用することができる。
この場合、無菌搬送容器4の密閉空間S1に予め上記溶着部分Mと略同じ幅のプレートやシートを収容しておき、当該プレートやシートの表面に上記内袋12における上記密閉空間S1側と溶着しないようなコーティングCを形成するなど、仕切体同士が溶着しないようにしておけばよい。
そして、図3(d)に示す上記内袋12と上記カバー22とを溶着する工程では、予め内袋12を構成するシートとシートとの間に上記プレートやシートを介在させ、この状態で上記溶着を行えば、上記実施例と同様に仕切体同士が溶着せず、リング状の溶着部分Mが形成されることとなる。
また上記実施例は、本発明を細胞培養システム1に適用したものであるが、無菌状態が維持された無菌室に無菌搬送容器4を接続して物品の移送を行うことを目的とするのであれば、例えば製薬の分野にも適用することができる。
1 細胞培養システム 2 アイソレータ
3 インキュベータ 4 無菌搬送容器
11 外袋 11a 前方開口部
12 内袋(仕切体) 21 接続部
22 カバー 23 保持手段
24 ヒートシーラ M 溶着部分
P 非除染空間 U 使用済みカバー袋
S1 密閉空間 S2 内部空間

Claims (4)

  1. 前方開口部が形成された可撓性を有する素材からなる外袋と、当該外袋の内部を上記前方開口部が形成される空間とその後方の密閉空間とに区画する可撓性を有する素材からなる仕切体とを備え、
    上記仕切体における上記密閉空間側の面に、当該仕切体における密閉空間側の面同士が溶着しないような溶着不能部分を設けたことを特徴とする無菌搬送容器。
  2. 上記外袋を、一端に上記前方開口部を、他端に後方開口部を有する筒状とし、
    上記後方開口部より物品が投入された状態で、当該後方開口部を封止して上記密閉空間が形成されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の無菌搬送容器。
  3. 内部が無菌状態に維持された無菌室に、内部が無菌状態に維持された無菌搬送容器を接続し、無菌状態を維持したまま上記無菌室と無菌搬送容器の内部を連通させる無菌搬送容器の接続方法であって、
    上記無菌室に外部に突出する筒状の接続部を設け、
    上記無菌搬送容器を、前方開口部が形成された可撓性を有する素材からなる外袋と、当該外袋の内部を上記前方開口部が形成される空間とその後方の密閉空間とに区画する可撓性を有する素材からなる仕切体とから構成し、
    上記接続部の開口部を可撓性を有する素材からなるカバーによって外部から覆うとともに、上記無菌室の内部空間を無菌状態とし、
    上記無菌搬送容器の前方開口部を、上記開口部を覆う上記カバーに重ねるようにして上記接続部に装着し、
    上記無菌搬送容器の仕切体および上記カバーを上記無菌室の内部空間に引き込み、
    上記引き込まれて折り返された上記カバーの内側に、引き込まれて折り返された上記仕切体を重合させた状態で、上記カバーと上記仕切体とを所定の幅で溶着し、
    上記溶着したカバーと仕切体との溶着部分を切断することにより、上記無菌搬送容器の密閉空間を開封させ、上記無菌室の内部空間と上記無菌搬送容器の密閉空間とを連通させることを特徴とする無菌搬送容器の接続方法。
  4. 使用済み無菌搬送容器の外袋を上記接続部から取り外し、
    当該使用済み無菌搬送容器とその仕切体に溶着されたカバーからなる使用済みカバー袋を、上記接続部を通して無菌室の内部空間に引き込んで裏返すとともに、
    新たな無菌搬送容器の前方開口部を上記接続部に装着し、
    当該新たな無菌搬送容器の仕切体を上記無菌室の内部空間に引き込み、
    上記裏返された使用済みカバー袋の内側に、折り返された上記新たな無菌搬送容器の仕切体を重合させた状態で、上記使用済みカバー袋と上記仕切体とを所定の幅で溶着し、
    上記溶着した使用済みカバー袋と上記仕切体の溶着部分を切断することにより、上記新たな無菌搬送容器の密閉空間を開封させ、上記無菌室の内部空間と上記新たな無菌搬送容器の密閉空間とを連通させることを特徴とする請求項3に記載の無菌搬送容器の接続方法。
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