JP2023098371A - 空間形成体の接続システムおよび接続方法 - Google Patents

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真人 吉田
Masato Yoshida
平 三野
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【課題】 構成が簡易で、かつ操作が容易な空間形成体の接続システムおよび接続方法を提供する。【解決手段】 ソフトポッド2およびバッグ3は、熱により溶融する柔軟な素材からなる第1、第2袋状接続部2b、3bと、当該第1、第2袋状接続部2b、3bに収容されるとともに上記袋状接続部を構成する素材よりも融点が高い素材からなる板状の第1、第2遮断片11A、11Bとを備えている。上記第1、第2袋状接続部2b、3bを当接させ、かつ収容されている第1、第2遮断片11A、11Bを重合させて、ヒートシーラ12によって挟持し、外部から上記第1、第2遮断片11A、11Bを加熱する。これにより、挟持された第1、第2袋状接続部2b、3bの内側素材2c、3cが溶着するとともに溶着部分Mに開口部14が形成され、ソフトポッド2とバッグ3の内部空間を閉鎖状態を維持したまま連通させることができる。【選択図】 図2

Description

本発明は空間形成体の接続システムおよび接続方法に関し、詳しくは内部空間が外部に対して閉鎖状態に維持された二つの空間形成体を接続させて、閉鎖状態を維持したまま互いの内部空間を連通させる空間形成体の接続システムおよび接続方法に関する。
従来、内部空間が外部に対して閉鎖状態に維持された二つの空間形成体、例えば、内部空間が無菌状態に維持されたアイソレータなどの作業室と、資材を収容した無菌搬送容器とを接続して、閉鎖状態を維持したまま互いの内部空間を連通させて、無菌搬送容器からアイソレータ内の作業室へと資材を供給することが行われている。
より具体的には、上記アイソレータに対して、樹脂製または金属製の筐体を有する無菌搬送容器を接続する接続システムが知られ、上記アイソレータおよび無菌搬送容器のそれぞれに開閉扉を備えるとともに、両者の間に密閉空間を形成する密閉接続手段を設けて、上記密閉接続手段を介してアイソレータに無菌搬送容器を接続した状態で上記開閉扉を開放することにより、アイソレータ内の作業室と無菌搬送容器の内部空間とを外部雰囲気から遮断した状態で連通させるようになっている。
しかしながら、このような接続システムの場合、上記開閉扉を開放して作業室と無菌搬送容器の内部空間を連通させる際に、両者の間の密閉空間に除染ガスを供給して外部に露出していた部分の除染を行う必要があるため、構成が複雑となり、また除染に時間を要するという問題があった。
そこで、より簡易な空間形成体の接続システムおよび接続方法として、作業室に外部に開放される筒状の接続部を設けるとともに、当該接続部を袋状のカバーによって外部から覆い、このような接続部に対して可撓性を有する仕切体により内部に物品を収容する密閉空間が区画された袋状の無菌搬送容器を、外部から接続するようにしたものが提案されている(特許文献1)。
この特許文献1の空間形成体の接続システムおよび接続方法では、上記作業室の接続部を覆った袋状のカバーの一部に、上記無菌搬送容器の仕切体を重合させ、重合させた部分をヒートシーラによって溶着してから、その溶着部分をハサミで切断することにより、作業室と無菌搬送容器の密閉空間とを連通させて、物品を作業室に供給するようになっていた。
特開2019-206386号公報
しかしながら、上記特許文献1の空間形成体の接続システムおよび接続方法の場合、作業者が外部からグローブ操作により袋状のカバーと可撓性の仕切体を作業室内に引き込んで、作業室の内部でヒートシーラを用いて袋状のカバーと仕切体を溶着し、さらにハサミ等の切断手段を用いて溶着部分を切断しなければならず、グローブ操作のため作業性が悪い上に作業が煩雑であるという問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は簡易な構成であるとともに操作が容易であって、空間形成体の外部で操作が可能な空間形成体の接続システムおよび接続方法を提供するものである。
すなわち請求項1の発明にかかる空間形成体の接続システムは、内部空間が外部に対して閉鎖状態に維持された二つの空間形成体を備え、これら二つの空間形成体を接続させて、閉鎖状態を維持したまま互いの内部空間を連通させる空間形成体の接続システムにおいて、
上記各空間形成体は、空間形成体の内部空間と連通するとともに熱により溶融される柔軟な素材からなる袋状接続部と、当該袋状接続部に収容されるとともに上記袋状接続部を構成する素材よりも融点が高い素材からなる板状の遮断片とを備え、
さらに上記各袋状接続部の外部に、上記各袋状接続部内の各遮断片を加熱する加熱手段を備え、
上記各袋状接続部同士が当接し、かつそれぞれの袋状接続部に収容された各遮断片同士が重合して上記各袋状接続部を構成する素材を挟持した状態で、
上記加熱手段によって上記重合した各遮断片を加熱し、当該各遮断片によって挟持された各袋状接続部の素材同士を溶着するとともに溶着された部分に開口部を形成して、当該開口部を介して二つの空間形成体の互いの内部空間を連通させることを特徴としている。
また請求項3の発明にかかる空間形成体の接続方法は、内部空間が外部に対して閉鎖状態に維持された二つの空間形成体を備え、これら二つの空間形成体を接続させて、閉鎖状態を維持したまま互いの内部空間を連通させる空間形成体の接続方法において、
上記各空間形成体に、熱により溶融される柔軟な素材からなる袋状接続部を空間形成体の内部空間と連通させて設け、各袋状接続部に各袋状接続部を構成する素材よりも融点が高い素材からなる板状の遮断片を収容させて、
各袋状接続部同士を当接させるとともに、各遮断片同士を重合させて各袋状接続部を構成する素材を挟持させ、
この状態で各袋状接続部の外部から各遮断片を加熱し、各遮断片によって挟持された各袋接続部の素材同士を溶着するとともに溶着された部分に開口部を形成して、当該開口部を介して二つの空間形成体の互いの内部空間を連通させることを特徴としている。
上記発明によれば、二つの空間形成体のそれぞれに、空間形成体の内部空間と連通させて熱により溶融される柔軟な素材からなる袋状接続部を設けるとともに、当該各袋状接続部に各袋状接続部を構成する素材よりも融点が高い素材からなる板状の遮断片を収容させればよいため、構成を簡素なものとすることができる。
また、上記各袋状接続部同士を当接させるとともに、各遮断片同士を重合させて各袋状接続部を構成する素材を挟持させた状態で、各袋状接続部の外部から各遮断片によって加熱して、挟持された素材同士を溶着するとともに開口部を形成すればよく、操作が容易であって空間形成体の外部で操作することができる。
本実施例にかかる空間形成体の接続システムの構成図 空間形成体の接続システムによる接続方法を説明する図 遮断片についての他の実施例を説明する断面図
以下、図示実施例について説明すると、図1は本実施例にかかる空間形成体の接続システム1の構成図を示しており、例えば一般の医療機関等で再生医療に用いる細胞の培養操作を行う際に使用するものとなっている。
接続システム1は病院の調剤室等に設置され、内部空間が無菌の閉鎖状態に維持された簡易的なアイソレータとして機能する空間形成体としてのソフトポッド(作業用バッグ)2と、内部空間が無菌の閉鎖状態に維持されて物品を収容する無菌搬送容器として機能するもう一つの空間形成体としてのバッグ3とから構成され、これら二つの空間形成体を接続させるようになっている。
上記バッグ3は持ち運び可能となっており、内部に収容する取扱い物品としては、細胞の培養操作に用いる資材4が収容されている。このバッグ3は調剤室に搬入されると、図2に示す手順に従って上記ソフトポッド2に接続され、開口部14を形成することにより互いの内部空間を無菌の閉鎖状態を維持したまま連通させることが可能となっており、資材4の受け渡しを行うことが可能となっている。
上記ソフトポッド2は、立方体に形成されて内部空間が細胞の培養操作を行うための作業室2aとされ、当該作業室2aの側方に連結された扁平な袋状の第1袋状接続部2bと、作業室2aの別の側方に設けられて作業者が装着するグローブ5とから構成されている。
上記ソフトポッド2、第1袋状接続部2b、グローブ5は、透明で可撓性を有する樹脂素材によって一体的に形成されており、内部空間が気密性を有した閉鎖状態を維持した状態で、外部からガンマ線滅菌や電子線滅菌等の放射線滅菌により滅菌することで、これらの内部空間が無菌状態に維持されるようになっている。
もしくは、内部が無菌状態に維持された陽圧型のアイソレータや安全キャビネット等の作業室の内部で上記ソフトポッド2、第1袋状接続部2b、グローブ5を接続して閉鎖状態とすることにより、これらの内部空間を無菌状態に維持することができる。
このような構成により、ソフトポッド2の外部にいる作業者は、グローブ5を装着することで無菌状態に維持された内部の作業室2aで、内部空間の状況を目視しながら作業を行うことが可能となっている。
上記ソフトポッド2、第1袋状接続部2b、グローブ5を構成する素材には、所定温度の熱によって溶融される柔軟な素材を使用し、具体的には融点が120℃程度で、厚さ約0.1mmのポリエチレンからなる樹脂シートを用いることができる。
上記ソフトポッド2を構成する素材は柔軟であるため、上記作業室2aで作業を行う際は、図示しない支柱等によって外部から吊り下げ支持されており、また上面には無菌フィルター6が装着され、ソフトポッド2の内部空間を滅菌した後で、空気の流出入を許容しながら作業室2aが無菌状態に維持されるようになっている。
このような無菌フィルター6は空気の流出入を許容するものの、HEPAフィルター等の清浄化フィルターによって構成されているため、内部空間と外部との間での粒子の流出入が遮断されていることから、ソフトポッド2の内部空間は外部に対して閉鎖状態が維持されるものとなっている。
上記ソフトポッド2の第1袋状接続部2bは一端が作業室2aに開口した扁平な筒状で、他端が閉じられた袋状を有しており、上記ソフトポッド2の側面から外方に向けて突出するように接続され、ソフトポッド2の内部空間すなわち作業室2aと第1袋状接続部2bの内部空間とは閉鎖状態を維持したまま連通している。
また第1袋状接続部2bは柔軟な素材によって構成されているため、作業者は第1袋状接続部2bの外部から、内部に収容されている遮断片11(第1遮断片11A)を取り扱うことが可能となっている。
次に、上記バッグ3は、両端が密封された扁平な筒状を有しており、長手方向に資材4を収容するための収容部3aと、上記ソフトポッド2の第1袋状接続部2bに接続するための第2袋状接続部3bとを併設して構成されているが、本実施例では上記収容部3aと第2袋状接続部3bとが一体的に形成され、厳密に区画されたものとはなっていない。しかしながら、第2袋状接続部3bは第1袋状接続部2bと同様に、一端がバッグ3の収容部3aに開口して他端が閉じられた袋状に形成されている。
バッグ3には予め資材4と遮断片11(第2遮断片11B)が収容されている。当該バッグ3にこれらを収容する際には、一端が開放され他端が閉鎖された袋状の状態のバッグ3に資材4と遮断片11を収容し、その後一端の開口部を溶着して密封することで、内部空間を閉鎖状態として維持することができる。
そしてバッグ3を密封した後、外部からガンマ線滅菌や電子線滅菌等の放射線滅菌を行うことにより、バッグ3の内部空間を無菌状態に維持することができる。
なお、上述したように、バッグ3に資材4と遮断片11とを収容して密封する作業を、内部が無菌状態に維持された陽圧型のアイソレータや安全キャビネット等の作業室内で行うようにしてもよい。
そして上記バッグ3を構成する素材には、上記ソフトポッド2と同じ素材を用いており、所定温度の熱によって溶融される柔軟な素材であって、具体的には融点が120℃程度で、厚さ約0.1mmのポリエチレンからなる樹脂シートを用いている。
なお、ソフトポッド2やバッグ3についての他の実施例として、作業室2aや資材4を収容する収容部3aと上記第1、第2袋状接続部2b、3bとを別体として構成する場合には、作業室2aや収容部3aについては硬質の樹脂によって構成するなど別の素材を用いてもよく、柔軟性を有さない箱状の構造体として形成することもできる。また、第1、第2袋状接続部2b、3bを構成する素材としては、融点が近似していれば別々の素材であってもよい。
そして本実施例の接続システム1では、上記第1、第2袋状接続部2b、3bの内部には、それぞれ板状の第1、第2遮断片11A、11Bが収容されており、またソフトポッド2およびバッグ3の外部には、上記第1、第2遮断片11A、11Bを加熱する加熱手段としてのヒートシーラ12が備えられている。
上記第1、第2遮断片11A、11Bは、同一寸法からなる細長い矩形の板状の部材によって構成され、上記第1、第2袋状接続部2b、3bを構成する素材よりも融点が高い素材によって構成されている。具体的に本実施例では、第1、第2遮断片11A、11Bとして、厚さ約0.2mm、融点170℃のポリプロピレンからなる可撓性を有するやや硬質の樹脂シートを使用している。
また、上記第1、第2遮断片11A、11Bの長手方向の寸法は、扁平状態の第1、第2袋状接続部2b、3bの一端と他端を前後とした長手方向に対する横幅とほぼ同じ寸法となっている。
このような構成により、第1、第2遮断片11A、11Bを第1、第2袋状接続部2b、3bに収容した状態で、当該第1、第2遮断片11A、11Bの長手方向を第1、第2袋状接続部2b、3bの横幅の方向に向けることで、図1に示すように第1、第2袋状接続部2b、3bが、横幅の方向に引っ張られて扁平な状態に維持されるようになっている。
さらに、開口部14を形成する開口部形成手段として、上記第1遮断片11Aの一方の面には、長手方向と交差する幅方向の略中央に、長手方向に沿って棒状の突条物13が設けられており、具体的には太さ0.2mmの銅線を第2遮断片11Bと対向させる面に接着固定したものとなっている。
ここで上記突条物13の高さ寸法(銅線の太さまたは直径)は、上記第1、第2袋状接続部2b、3bを構成する素材を2枚重ねた厚さと同等であることが望ましい。
また上記突条物13については、上記第1、第2遮断片11A、11Bの融点と同等以上の素材により構成され、上記第1遮断片11Aと同じ素材により一体的に形成してもよい。
さらに、上記突条物13については、上記第1遮断片11Aと第2遮断片11Bの少なくとも何れか一方に設けられていればよく、上記第1遮断片11Aではなく第2遮断片11Bに設けてもよいし、両方に設けることもできる。
上記ヒートシーラ12は、従来公知の汎用的なものを使用することが可能で、発熱体を備えた上下の発熱部材12a、12bを一端に設けた軸支部12cにより開閉自在に構成したものとなっており、これら2つの発熱部材12a、12bの間で挟持した物体を、押圧しながら加熱するものとなっている。
後に詳述するように、本実施例のヒートシーラ12は、重合した第1、第2遮断片11A、11Bを加熱することにより、当該第1、第2遮断片11A、11Bによって挟持された上記第1、第2袋状接続部2b、3bを構成する素材を溶着させるものとなっている。
本実施例では、発熱部材12a、12bの各設定温度を160℃に設定しており、これにより上記第1、第2遮断片11A、11Bは発熱部材12a、12bによって加熱されるが溶融はしない。
これに対し、加熱された第1、第2遮断片11A、11Bとの間で押圧されて挟持されている第1、第2袋状接続部2b、3bを構成する素材が加熱され、溶融するようになっている。
溶融された第1、第2袋状接続部2b、3bを構成する素材は、発熱部材12a、12bの加熱が停止された後も、第1、第2遮断片11A、11Bを介して押圧され挟持された状態が維持され、発熱部材12a、12bが冷却温度である60℃まで低下するに従い、互いに凝固して一体化し溶着されることとなる。
この場合において、第1、第2遮断片11A、11Bの融点は、第1、第2袋状接続部2b、3bを構成する素材の融点より高く、発熱部材12a、12bの加熱温度よりも高いことから、第1、第2遮断片11A、11Bは溶融せずに、第1、第2袋状接続部2b、3bを構成する素材と溶着することはない。
これと同様に、発熱部材12a、12bと直接的に接触する第1、第2袋状接続部2b、3bを構成する素材についても、発熱部材12a、12bの加熱により溶融されるものの、第1、第2遮断片11A、11Bが溶融しないために溶着はせず、その後、発熱部材12a、12bの加熱を停止して温度が低下すると、第1、第2袋状接続部2b、3bを構成する素材は凝固し、元のような樹脂シートに戻る。
次に、図2を用いて上記構成を有する接続システム1を使用した空間形成体の接続方法について説明する。
図2(a)は、接続前の状態を示しており、ソフトポッド2およびバッグ3はそれぞれ分離されており、内部空間はそれぞれ無菌の閉鎖状態が維持されている。
上記バッグ3の収容部3aには資材4が収容されており、また、第1袋状接続部2bには第1遮断片11Aが、第2袋状接続部3bには第2遮断片11Bがそれぞれ収容されている。また、一方の第1遮断片11Aには、開口部14を形成する突条物13が設けられている。
ここで、上記第1、第2遮断片11A、11Bは、それぞれ長手方向を第1、第2袋状接続部2b、3bの横幅の方向に向けられておらず、したがって第1、第2袋状接続部2b、3bはいずれも扁平な状態とはなっていない。
図2(b)は、各第1、第2遮断片11A、11Bを、それぞれ長手方向を第1、第2袋状接続部2b、3bの横幅の方向に向けて、第1、第2袋状接続部2b、3bを扁平な状態とし、各第1、第2袋状接続部2b、3b同士を当接させた状態を示している。
この状態では、第1袋状接続部2bに収容された第1遮断片11Aと、第2袋状接続部3bに収容された第2遮断片11Bとを、位置を合わせて重合させたものとなっている。
具体的に説明すると、作業者は、上記ソフトポッド2およびバッグ3の外部から、各第1、第2袋状接続部2b、3bに収容された各第1、第2遮断片11A、11Bの向きを横幅に向けて、各第1、第2袋状接続部2b、3bを扁平な状態とする。
続いて、図2(b)に示すように、各第1、第2遮断片11A、11Bの位置を合わせて各第1、第2袋状接続部2b、3bを互いに当接させて、各第1、第2遮断片11A、11Bを重合させる。
このように第1遮断片11Aと第2遮断片11Bとを重合させると、第1遮断片11Aと第2遮断片11Bとの間には、第1袋状接続部2bを構成する素材と第2袋状接続部3bを構成する素材とが位置することとなる。以下、これら第1遮断片11Aと第2遮断片11Bとの間に位置する素材を内側素材2c、3cと呼ぶ。
一方、第1、第2遮断片11A、11Bを重合させると、第1、第2遮断片11A、11Bの外側(上下)には、それぞれ第1袋状接続部2bを構成する素材と第2袋状接続部3aを構成する素材とが位置することとなる。以下、これら第1、第2遮断片11A、11Bの外側に位置する素材を外側素材2d、3dと呼ぶ。
またこのとき、上記第1袋状接続部2bに収容した第1遮断片11Aの上記突条物13を、上記第2袋状接続部3bに収容された第2遮断片11Bに向けており、これら第1、第2遮断片11A、11Bの間に突条物13を介在させて重合させている。
図2(c)は、ヒートシーラ12の上下の発熱部材12a、12bで各第1、第2袋状接続部2b、3bに収容された第1、第2遮断片11A、11Bを上下から挟んで押圧することにより、第1、第2遮断片11A、11Bの間で上記各第1、第2袋状接続部2b、3bを構成する素材(内側素材2c、3c)を重合させた状態で挟持することで押圧し、その状態で第1、第2遮断片11A、11Bを上記ヒートシーラ12によって加熱する作業を示しており、作業者は重合させた各第1、第2遮断片11A、11Bを、各第1、第2袋状接続部2b、3bの各外側素材2d、3dを介してヒートシーラ12の上下の発熱部材12a、12bで挟持して加熱を開始する。
ヒートシーラ12によって第1、第2遮断片11A、11Bを挟持した状態で加熱すると、上方の発熱部材12aの熱は第1袋状接続部2bを構成する外側素材2dと第1遮断片11Aを加熱し、下方の発熱部材12bの熱は第2袋状接続部3bを構成する外側素材3dと第2遮断片11Bを加熱する。
発熱部材12a、12bが160℃で加熱すると、加熱温度より融点の高い第1、第2遮断片11A、11Bおよび突条物13は溶融しないものの、上記第1、第2袋状接続部2b、3bを構成する素材(内側素材2c、3cと外側素材2d、3d)は、融点(120℃)を超えて加熱されることとなる。
その結果、上記第1、第2袋状接続部2b、3bを構成する素材のうち、第1、第2遮断片11A、11Bの間に挟持されている内側素材2c、3cは、密着した状態で互いに溶融する。
また、上記第1遮断片11Aに設けられた突条物13は、上記第2遮断片11Bに向けて突出していることから、上記第1、第2遮断片11A、11Bを加熱すると上記突条物13も加熱され、内側素材2c、3cを溶融させながら、これらの間に潜り込むようになっている。
その後、所定の加熱時間(例えば、2秒程度)が経過すると、発熱部材12a、12bの温度を160℃から60℃まで低下させて、上記第1、第2袋状接続部2b、3bを構成する素材の融点を超える加熱を停止させる。
加熱温度が160℃から60℃まで低下した後も、引き続きヒートシーラ12による押圧を継続させて、溶融した内側素材2c、3cを凝固させて溶着させる。
その結果、まず第1遮断片11Aおよび第2遮断片11Bの外側に位置していた外側素材2d、3dは、加熱により一旦は溶融するが、その後冷却されると、それぞれ凝固して元の状態に戻り、ヒートシーラ12を開放させると、外側素材2d、3dは第1、第2遮断片11A,11Bと溶着することなく第1、第2遮断片11A、11Bから離隔する。
一方、第1遮断片11Aと第2遮断片11Bとの間に挟持されていた内側素材2c、3cは、冷却により凝固し相互に溶着した状態が維持された溶着部分Mが形成され、これにより第1袋状接続部2bと第2袋状接続部3aとが接続される。
しかしながら、内側素材2c、3cは第1、第2遮断片11A、11Bと溶着することはなく、ヒートシーラ12を開放させると、一体化した内側素材2c、3cによる溶着部分Mは、第1、第2遮断片11A、11Bから離隔するようになっている。
図2(d)は、第1袋状接続部2bと第2袋状接続部3aの内側素材2c、3cによる溶着部分Mに突条物13により開口部14を形成して、作業室2aとバッグ3の収容部3aとを連通させる作業を示している。
すなわち、上記第1、第2遮断片11A、11Bによって挟持して溶着すると、これとともに上記第1遮断片11Aに設けられて第2遮断片11Bとの間に介在させた突条物13によって、上記溶着部分Mには直線状のスリットからなる開口部14が形成され、当該開口部14を広げることにより第1、第2袋状接続部2b、3bの互いの内部空間を連通させることができる。
上記開口部14は、各第1、第2遮断片11A、11Bの幅と同じ上記溶着部分Mの略中央に形成される。この開口部14を広げて第1、第2袋状接続部2b、3bを連通させても、当該開口部14の周囲の溶着部分Mでは内側素材2c、3cが溶着した状態を維持するため、外部に露出していた内側素材2c、3cの表面が第1、第2袋状接続部2b、3bの内部に曝露されることはなく、また、第1、第2袋状接続部2b、3bの内面が外部に曝露されることもない。
つまり、上記溶着部分Mに開口部14を形成することにより、ソフトポッド2の作業室2aとバッグ3の収容部3aとの互いの内部空間が閉鎖状態を維持したまま連通することとなる。
これにより、作業者は外部からバッグ3の収容部3a内の資材4を、上記第2袋状接続部3bから上記開口部14を介して第1袋状接続部2aに移動させて、作業室2aに搬入することができる。
なお、上記開口部14は、溶着の際に上記突条物13によって開口されずに、溶着部分Mが完全に開封されない場合であっても、上記溶着部分Mには突条物13の形状に沿って直線状に溝部が形成されるため、作業者が外部から当該溝部に沿って溶着部分Mを容易に破断させることが可能で、ハサミやカッター等の切断手段がなくても溶着部分Mを容易に開封することができる。
すなわち、上記開口部14としては、溶着された部分に溶着と同時に開口が形成されるものに限らず、上記直線状の溝部のような上記切断手段を使用せずに作業者が外部から容易に開封できるものであってもよい。
また本実施例の構成であれば、上記作業によりバッグ3から資材4を作業室2aに移載した後であっても、新たなバッグ3の第2袋状接続部3bをソフトポッド2の第1袋状接続部2bに接続して、新たな資材4を搬入することができる。
この場合は、先の作業において第1袋状接続部2bに残存する先のバッグ3を第1袋状接続部2bとして、新たなバッグ3の第2袋状接続部3bを接続し、先のバッグ3を介して新たな資材4を閉鎖状態を維持したまま新たなバッグ3から作業室2aへと移載することができる。
上述したように、本実施例にかかる空間形成体の接続システム1および接続方法によれば、構成を簡素なものとすることができるとともに、操作が容易であってソフトポッド2やバッグ3のような空間形成体の外部で操作することができる。
つまり、内部空間が閉鎖状態に維持されたソフトポッド2およびバッグ3は、それぞれ柔軟な素材からなる第1、第2袋状接続部2b、3bを備えており、これら第1、第2袋状接続部2b、3bを構成する素材同士を当接させて溶着し、突条物13によって溶着部分Mに開口部14を形成することで、バッグ3内の資材4を作業室2aに搬入することができる。
その際、従来のような作業室2内における複雑な操作が必要でなく、外部から第1、第2袋状接続部2b、3bの内部に収容した第1、第2遮断片11A、11Bを重合させて、上記第1、第2袋状接続部2b、3bを構成する各内側素材2c、3c同士を挟持して加熱することで、これら素材の溶着とともに上記溶着部分Mに開口部14を形成することができ、容易に連通させて互いの閉鎖状態を維持したまま資材4の移送を行うことができる。
そして、上記第1、第2遮断片11A、11Bを加熱する操作は、第1、第2袋状接続部2b、3bの外部から行うことができ、作業室2aの内部からの操作が不要で、作業室2aに予めヒートシーラ12のような加熱手段を準備しておく必要もない。
さらに、上記第1、第2遮断片11A、11bの少なくとも何れか一方に突条物13のような開口部形成手段を設けることで、開封のためのハサミやカッターなどの切断手段を要することなく、溶着部分Mを容易に開口させることができる。
図3は他の実施例にかかる遮断片11の断面図を示している。この図に示すように、例えば第1袋状接続部2bに収容した第1遮断片11Aの表面に、上記第1実施例と同様の突条物13を設け、これに対し、第2袋状接続部3bに収容した第2遮断片11Bの表面に、上記突条物13が嵌合する溝状の凹部15を形成したものとなっており、これら突条物13と凹部15により開口部形成手段を構成している。
このような構成の第1、第2遮断片11A、11Bを用いることにより、上記突条物13と凹部15を対向させて第1、第2遮断片11A、11Bの間に介在させた状態で重合し、第1、第2袋状接続部2b、3bの内側素材2c、3cを第1、第2遮断片11A、11Bで挟持した状態で加熱すると、上記内側素材2c、3cの溶融に伴って、上記第1遮断片11Aの突条物13が上記内側素材2c、3cを貫通して上記第2遮断片11Bの凹部15に嵌合した状態となる。
そして、上記第1遮断片11Aの突条物13が上記第2遮断片11Bの凹部15に嵌合することで、上記溶着部分Mに直線状のスリットからなる上記開口部14を形成して確実に開口させることができる。
なお、上記実施例において、上記第1、第2袋状接続部2b、3bはともにポリエチレンによって構成され、第1、第2遮断片11A、11Bはともにポリプロピレンによって構成されているが、上述したように加熱手段による加熱によって、袋状接続部を構成する素材と遮断片を構成する素材とが溶着しないような組み合わせであれば、その他の素材を使用してもよい。
また上記実施例では、内部空間の無菌状態を維持するための空間形成体の接続システム1および接続方法について説明したが、内部空間で感染性汚染物やハザード物質を取り扱い、これらの感染性汚染物やハザード物質が外部に流出したり曝露してしまうのを阻止するために、内部空間を閉鎖状態に維持する場合がある。
このような場合であっても、上記実施例と同様の構成の接続システム1および接続方法を用いることで、二つの空間形成体を接続させて互いの内部空間を連通させることが可能である。
特にこの場合は、陰圧型のアイソレータや安全キャビネット等の作業室内で、感染性汚染物やハザード物質の外部への流出や曝露を防止しながら、上記ソフトポッド2やバッグ3等の空間形成体を閉鎖状態とすればよい。
これにより、外部に感染性汚染物やハザード物質が流出したり曝露することなく、ソフトポッド2の作業室2aとバッグ3の収容部3aを連通させて、これらの間で感染性汚染物やハザード物質等の有害な取扱い物品の搬入や搬出が可能となる。
1 接続システム 2 ソフトポッド(空間形成体)
2a 作業室(内部空間) 2b 第1袋状接続部
3 バッグ(空間形成体) 3a 収容部(内部空間)
3b 第2袋状接続部 2c、3c 内側素材
2d、3d 外側素材 11A 第1遮断片
11B 第2遮断片 12 ヒートシーラ(加熱手段)
13 突条物 14 開口部

Claims (4)

  1. 内部空間が外部に対して閉鎖状態に維持された二つの空間形成体を備え、これら二つの空間形成体を接続させて、閉鎖状態を維持したまま互いの内部空間を連通させる空間形成体の接続システムにおいて、
    上記各空間形成体は、空間形成体の内部空間と連通するとともに熱により溶融される柔軟な素材からなる袋状接続部と、当該袋状接続部に収容されるとともに上記袋状接続部を構成する素材よりも融点が高い素材からなる板状の遮断片とを備え、
    さらに上記袋状接続部の外部に、上記各袋状接続部内の各遮断片を加熱する加熱手段を備え、
    上記各袋状接続部同士が当接し、かつそれぞれの袋状接続部に収容された各遮断片同士が重合して上記各袋状接続部を構成する素材を挟持した状態で、
    上記加熱手段によって上記重合した各遮断片を加熱し、当該各遮断片によって挟持された各袋状接続部の素材同士を溶着するとともに溶着された部分に開口部を形成して、当該開口部を介して二つの空間形成体の互いの内部空間を連通させることを特徴とする空間形成体の接続システム。
  2. 上記各遮断片のうち、少なくとも何れか一方の遮断片の表面に突条物を設け、
    上記各遮断片同士を重合させる際、上記突条物を他方の遮断片に向けて上記各袋状接続部を構成する素材を挟持することを特徴とする請求項1に記載の空間形成体の接続システム。
  3. 内部空間が外部に対して閉鎖状態に維持された二つの空間形成体を備え、これら二つの空間形成体を接続させて、閉鎖状態を維持したまま互いの内部空間を連通させる空間形成体の接続方法において、
    上記各空間形成体に、熱により溶融される柔軟な素材からなる袋状接続部を空間形成体の内部空間と連通させて設け、各袋状接続部に袋状接続部を構成する素材よりも融点が高い素材からなる板状の遮断片を収容させて、
    各袋状接続部同士を当接させるとともに、各遮断片同士を重合させて各袋状接続部を構成する素材を挟持させ、
    この状態で各袋状接続部の外部から各遮断片を加熱し、各遮断片によって挟持された各袋状接続部の素材同士を溶着するとともに溶着された部分に開口部を形成して、当該開口部を介して二つの空間形成体の互いの内部空間を連通させることを特徴とする空間形成体の接続方法。
  4. 上記二つの空間形成体の内部空間をそれぞれ無菌状態とし、これらの空間成形体の無菌状態を維持したまま、上記開口部を形成して互いの内部空間を連通させることを特徴とする請求項3に記載の空間形成体の接続方法。
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