JP7064902B2 - 顔料分散液および艶調整方法 - Google Patents
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しかし特許文献1では、所望の艶消度合に応じ、所定量の艶消剤を配合して艶を調整したコーティング材を用意しておく必要がある。
よって、コーティング材の品種が増えるに従い、艶調整品を含めたコーティング材の総数は相乗的に増大していき、コーティング材の製造工場や販売店等においては、保管や在庫管理等が煩雑となる問題が生じるおそれがある。
1.溶剤(A)及び顔料(B)を含む顔料分散液であって、
該溶剤(A)中の脂肪族炭化水素の比率が30重量%以上であり、
該顔料(B)は、ゼオライト、硫酸ナトリウム、アルミナ、アロフェン、ホワイトカーボン、珪藻土、珪灰石、珪質頁岩、バーミキュライト、パーライト、大谷石粉、活性白土、木粉、シラスバルーンから選ばれる1種以上であり、
さらに、分散剤を含み、該分散剤は、分子中にアルキレンオキサイドを含む分散剤であって、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール付加物から選ばれる1種以上であり、
該溶剤(A)100重量部に対し、該分散剤を0.1重量部以上20重量部以下含み、
波長660nmにおける光透過率が10%以上であることを特徴とする顔料分散液。
2.前記溶剤(A)100重量部に対し、前記顔料(B)を1重量部以上40重量部以下含むことを特徴とする1.に記載の顔料分散液。
3.前記顔料(B)が、吸油量50ml/100g以上の顔料を含むことを特徴とする1.または2.に記載の顔料分散液。
4.溶剤を含むコーティング材に、1.から3.のいずれかに記載の顔料分散液を混合することを特徴とするコーティング材の艶調整方法。
5.溶剤を含むコーティング材100重量部に対し、1.から3.のいずれかに記載の顔料分散液を1重量部以上50重量部以下混合することを特徴とするコーティング材の艶調整方法。
6.前記コーティング材が、脂肪族炭化水素の比率が30重量%以上である溶剤を含むものであることを特徴とする4.または5.に記載のコーティング材の艶調整方法。
光透過率が10%以上である顔料分散液は、溶剤(A)と顔料(B)の相性が良く、分散安定性に優れている。このような顔料分散液は、多品種の溶剤形コーティング材との適性が高く、コーティング材中においては貯蔵安定性に優れているとともに、塗膜の色彩に悪影響を与えず艶調整機能に優れている。
顔料分散液の光透過率が、10%未満である場合は、分散安定性、貯蔵安定性が不十分となり、多品種の溶剤形コーティング材で使用することが困難である。また、塗膜の色彩に悪影響を与えるおそれがある。
本発明では、溶剤(A)のみのものをブランク試料とし、溶剤(A)及び顔料(B)を含む顔料分散液試料とし、下式(1)で表される。
式(1)
光透過率(%)=(顔料分散液試料の透過光強度/顔料分散液試料の入射光強度)/(ブランク試料の透過光強度/ブランク試料の入射光強度)×100
このような混合比率では、顔料分散液の透明性に優れ、高い光透過率を示し、多品種の溶剤形コーティング材に適用可能であるとともに、優れた艶調整機能を発揮する。なお、7分艶、5分艶等に調整する場合は、顔料(B)の混合比率はより少なくてもよい。
芳香族炭化水素溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を1種または2種以上使用することができる。
脂肪族炭化水素溶剤としては、例えば、n-ブタン、n-ヘキサン、n-ペンタン、n-オクタン、イソオクタン、n-ノナン、イソノナン、n-デカン、イソデカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロブタン等を1種または2種以上使用することができる。
また、脂肪族炭化水素溶剤を主成分とするものとして、例えば、テルピン油、ミネラルスピリット、ホワイトスピリット、ミネラルターペン、イソパラフィン、石油エーテル、ソルベントナフサ、石油ナフサ等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上使用することができる。
さらに、脂肪族炭化水素溶剤と芳香族炭化水素溶剤とを混合したものが好ましく、その混合比率(重量比率)は、脂肪族炭化水素溶剤:芳香族炭化水素溶剤が90:10~30:70、さらに好ましくは85:15~40:60、より好ましくは80:20~50:50であるものを好適に使用することができる。このような混合比率である溶剤は、透明性、分散安定性、貯蔵安定性に優れた顔料分散液を得ることができ、塗膜の色彩や物性に悪影響を与えず、艶調整機能に優れた効果を発揮する。
さらに、トルエン、キシレンを含まず、引火点21℃以上の第2石油類に該当するものが、安全衛生上好ましい。
なお本発明において、「a~b」は「a以上b以下」と同義である。
本発明では特に、吸油量50ml/100g以上(より好ましくは100ml/100g以上、さらに好ましくは150ml/100g以上)である顔料を含むことが好ましく、吸油量50ml/100g以上の顔料として、例えば、ゼオライト、硫酸ナトリウム、アルミナ、アロフェン、ホワイトカーボン、珪藻土、珪灰石、珪質頁岩、バーミキュライト、パーライト、大谷石粉、活性白土、炭、活性炭、木粉、シラスバルーン等が挙げられる。本発明では特に、珪藻土、ホワイトカーボン等を用いることが好ましい。
なお吸油量は、JIS K 5101-13-1(精製あまに油法)に準じて測定した値である。
このような顔料(B)は、溶剤との相溶性(相性)が良く、艶調整効果が高いため、分散安定性に優れ、少量で艶調整が可能である。
合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリルシリコン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
溶剤(A)と合成樹脂の混合比率は、特に限定されないが、溶剤(A)100重量部に対し、合成樹脂(固形分)0.1重量部以上10重量部以下(さらには0.5重量部以上8重量部以下)であることが好ましい。なお本発明では、合成樹脂を含まない態様も好適である。
分散剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンテングリコールから選ばれる1種以上、または、それらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、ペンテンオキサイド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、ペンテングリコールから選ばれる1種以上を反応して得られる反応生成物等のポリアルキレングリコール、
または該ポリアルキレングリコールに、水酸基含有化合物、イソシアネート含有化合物、カルボキシル基含有化合物、リン酸基含有化合物、スルホン酸基含有化合物から選ばれる1種以上を付加させたポリアルキレングリコール付加物等を用いることができる。
1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4´-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;
m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、4,4´-ジフェニルジイソシアネート、4,4´-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4´-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´-ジフェニルエ-テルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4´-ジイソシアネート、2,2´-ジフェニルプロパン-4,4´-ジイソシアネート、3,3´-ジメチルジフェニルメタン-4,4´-ジイソシネート、4,4´-ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3´-ジメトキシジフェニル-4,4´-ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;
1,3-キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,4-キシリレンジイソシアネ-ト(XDI)、ω,ω´-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン、1,3-ビス(α,α-ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン等の芳香脂肪族ジイソシアネート;
等、及びこれらのイソシアネート基含有化合物をアロハネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン)、3量化(イソシアヌレート)、アダクト化、カルボジイミド反応等によって誘導体化したもの、及びそれらの混合物、及びこれらのイソシアネート基を含有する化合物と上述した共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。
また、顔料分散液のチキソトロピーインデックス(TI値)は、特に限定されないが、3以上10以下であることが好ましい。なお、TI値は、温度23℃、相対湿度50%RHで、B型回転粘度計を用い、下記式(2)により求められる値である。
(式2) TI値=η1/η2
(但し、η1:2rpmにおける粘度(Pa・s:2回転目の指針値)、η2:20rpmにおける粘度(Pa・s:4回転目の指針値))
このような粘性であることにより、多品種の溶剤形コーティング材に対して、優れた顔料混和性、貯蔵安定性を示すことができる。
・溶剤B:キシレン/ミネラルスピリット混合溶液(脂肪族炭化水素の比率:70重量%、脂肪族炭化水素溶剤:芳香族炭化水素溶剤が70:30)
・溶剤C:キシレン/ミネラルスピリット混合溶液(脂肪族炭化水素の比率:45重量%、脂肪族炭化水素溶剤:芳香族炭化水素溶剤が45:55)
・溶剤D:キシレン/ミネラルスピリット混合溶液(脂肪族炭化水素の比率:35重量%、脂肪族炭化水素溶剤:芳香族炭化水素溶剤が35:65)
・溶剤E:キシレン・トルエン/ミネラルスピリット混合溶液(脂肪族炭化水素の比率:20重量%、脂肪族炭化水素溶剤:芳香族炭化水素溶剤が20:80)
・顔料A:ホワイトカーボン(吸油量210ml/100g、平均粒子径10μm)
・顔料B:珪灰石(吸油量56ml/100g、平均粒子径5μm)
・顔料C:炭酸カルシウム(吸油量25ml/100g、平均粒子径10μm)
・合成樹脂A:アクリル樹脂(固形分50重量%、溶剤:脂肪族炭化水素の比率70重量%の溶剤)
・合成樹脂B:ウレタン樹脂(固形分50重量%、溶剤:脂肪族炭化水素の比率90重量%の溶剤)
・分散剤A:(ポリエチレン/ポリプロピレン)グリコール
・分散剤B:1,3ーキシリレンジイソシアネートー(ポリエチレン/ポリプロピレン)グリコール付加物
・分散剤C:クエン酸ー(ポリエチレン/ポリプロピレン)グリコール付加物
・分散剤D:クエン酸ー(ポリエチレン)グリコール付加物
・溶剤形コーティング材A:1液弱溶剤形アクリル樹脂コーティング材(白色)(溶剤中の脂肪族炭化水素の比率:70重量%)
・溶剤形コーティング材B:1液弱溶剤形ウレタン樹脂コーティング材(白色)(溶剤中の脂肪族炭化水素の比率:90重量%)
・溶剤形コーティング材C:1液NAD形ウレタン樹脂コーティング材(白色)(溶剤中の脂肪族炭化水素の比率:60重量%)
・溶剤形コーティング材D:1液弱溶剤形アクリルシリコン樹脂コーティング材(白色)(溶剤中の脂肪族炭化水素の比率:40重量%)
上記成分を使用し、表1に示す配合比率で混合し、標準状態(温度25℃、相対湿度50%)で1時間ディゾルバー分散することにより顔料分散液1を得た。顔料分散液1について、以下の試験を行った。
顔料分散液1を1000mlの容器に入れ密封し、標準状態で1日間貯蔵した後の容器内部の状態を目視にて確認した。評価は次のとおりである。結果は表2に示す。
◎:異常なし
○:ほぼ異常なし
△:一部異常有り(一部沈殿物有り)
×:異常有り(沈降物発生、分離発生)
表2に示すように溶剤形コーティング材A90重量部に対し、顔料分散液1を10重量部混合し、コーティング材を作製した。
このコーティング材を1000mlの容器に入れ密封し、50℃の恒温器で7日間貯蔵した後、室温まで放冷して容器内部の状態を評価した(貯蔵安定性A)。評価は次のとおりである。結果は表2に示す。
◎:異常なし
○:ほぼ異常なし
△:一部異常有り(一部沈殿物有り)
×:異常有り(沈降物発生、分離発生)
また、溶剤形コーティング材Aに替えて、溶剤形コーティング材B(貯蔵安定性B)、溶剤形コーティング材C(貯蔵安定性C)、溶剤形コーティング材D(貯蔵安定性D)についても同様の試験を行った。
表3に示すように溶剤形コーティング材A90重量部に対し、顔料分散液1を10重量部混合し、コーティング材を作製した。
このコーティング材を、予めシーラーが塗装されたスレート板に対し、塗付け量0.3kg/m2でスプレー塗装した後、標準状態で14日間乾燥させたものを試験体とした。
また、顔料分散液1を用いない溶剤形コーティング材Aのみについても、予めシーラーが塗装されたスレート板に対し、塗付け量0.3kg/m2でスプレー塗装した後、標準状態で14日間乾燥させたものを比較試験体とした。
得られた試験体、比較試験体について、20度光沢度をそれぞれ10点測定し、その平均値の差を比較評価した(艶消し性A)。評価は次のとおりである。結果は表2に示す。
◎:差が10以上
○:差が5以上10未満
△:差が3以上50未満
×:差が3未満
また、溶剤形コーティング材Aに替えて、溶剤形コーティング材B(艶消し性B)、溶剤形コーティング材C(艶消し性C)、溶剤形コーティング材D(艶消し性D)についても同様の試験を行った。
艶消し性試験(艶消し性A)で得られた試験体の表面について、目視にて観察、評価を行った(艶ムラ性A)。評価は次のとおりである。結果は表2に示す。
◎:艶ムラが確認されなかった
○:ほとんど艶ムラが確認されなかった
△:一部艶ムラが確認された
×:艶ムラが確認された
また、溶剤形コーティング材Aに替えて、溶剤形コーティング材B(艶ムラ性B)、溶剤形コーティング材C(艶ムラ性C)、溶剤形コーティング材D(艶ムラ性D)についても同様の試験を行った。
Claims (6)
- 溶剤(A)及び顔料(B)を含む顔料分散液であって、
該溶剤(A)中の脂肪族炭化水素の比率が30重量%以上であり、
該顔料(B)は、ゼオライト、硫酸ナトリウム、アルミナ、アロフェン、ホワイトカーボン、珪藻土、珪灰石、珪質頁岩、バーミキュライト、パーライト、大谷石粉、活性白土、木粉、シラスバルーンから選ばれる1種以上であり、
さらに、分散剤を含み、該分散剤は、分子中にアルキレンオキサイドを含む分散剤であって、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール付加物から選ばれる1種以上であり、
該溶剤(A)100重量部に対し、該分散剤を0.1重量部以上20重量部以下含み、
波長660nmにおける光透過率が10%以上であることを特徴とする顔料分散液。 - 前記溶剤(A)100重量部に対し、前記顔料(B)を1重量部以上40重量部以下含むことを特徴とする請求項1に記載の顔料分散液。
- 前記顔料(B)が、吸油量50ml/100g以上の顔料を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の顔料分散液。
- 溶剤を含むコーティング材に、請求項1から請求項3のいずれかに記載の顔料分散液を混合することを特徴とするコーティング材の艶調整方法。
- 溶剤を含むコーティング材100重量部に対し、請求項1から請求項3のいずれかに記載の顔料分散液を1重量部以上50重量部以下混合することを特徴とするコーティング材の艶調整方法。
- 前記コーティング材が、脂肪族炭化水素の比率が30重量%以上である溶剤を含むものであることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のコーティング材の艶調整方法。
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