JP7063060B2 - 加熱殺菌処理用消臭フィルム、及び加熱殺菌処理用消臭フィルムから作製された消臭包装材料及び消臭包装体 - Google Patents

加熱殺菌処理用消臭フィルム、及び加熱殺菌処理用消臭フィルムから作製された消臭包装材料及び消臭包装体 Download PDF

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Description

本発明は、臭気、特に硫黄系臭気の消臭効果、ヒートシール性、ガスバリア性に優れた、特にレトルト飲食品向けの、少なくとも片面の最表層にシーラント層を含む加熱殺菌処理用消臭フィルム、及び該加熱殺菌処理用消臭フィルムから作製された包装材料及び包装体に関するものである。
包装材料によって包装されたレトルト飲食品は、加熱殺菌によって、包装材料及び内容物から変性臭を発生する場合がある。
内容物中の変性臭発生源は、炭水化物、油脂、蛋白質等であり、中でも蛋白質変性臭、特に硫黄系臭が問題になることが多い。
包装材料において、臭気を吸着する臭気吸着剤を内包した包装材料が提案されている(特許文献1)。このような包装材料においては、合成ゼオライトや活性炭といった臭気吸着剤が、樹脂材料中に練り込まれている。
しかしながら、このような包装材料は、臭気だけでなく、大気中の湿気をも吸着し、且つ、一度吸着した臭気を、脱離させてしまうという問題があるため、十分な臭気吸着効果が得られていない。
無機多孔体上に有機化学吸着剤を担持させてなる臭気吸着剤を含有した包装材料も知られているが(特許文献2)、主な吸着対象物は特定の官能基を有する臭気成分を吸着するのみであって、樹脂材料を選定しない状況では、官能基を有さない有機物の発生量を抑制できず、臭気成分を十分に吸着し得るものではない。更には、有機化学吸着剤は高温に弱く、加熱殺菌処理によって吸着能を損なってしまう為に、十分な吸着効果を発揮できていない。
銅成分を含有するアルカリ-アルカリ土類-ホウケイ酸ガラス、または銅成分を含有するアルカリ-アルカリ土類-ケイ酸塩ガラスからなるガラス消臭剤を含有した包装材料も知られているが(特許文献3)、主に親水性の硫化物を吸着するものであって、疎水性の硫化物の消臭能は低い。
特許第2538487号公報 特開2014-233408号公報 特開2017-025190号公報
本発明は、上記事情に鑑み、加熱殺菌処理を施しても、優れた消臭効果を発揮する、少なくとも片面の最表層にシーラント層を含む加熱殺菌処理用消臭フィルム、及びそれを用いた包装材料、包装体を提供することを目的とする。
本発明者らは、ヒートシール性樹脂と、特定の疎水性ゼオライトと、特定の無機臭気分解剤とを含む加熱殺菌処理用消臭フィルムが、上記目的を達成することを見出し、本発明
を完成するに至った。
本発明は、以下の点を特徴とする。
1.少なくとも、片面の最表層にシーラント層を含む加熱殺菌処理用消臭フィルムであって、
前記シーラント層は、ヒートシール性樹脂と、粉状の疎水性ゼオライトと、粉状の無機臭気分解剤とを含み、
前記ヒートシール性樹脂の軟化点は、110℃以上、175℃以下であり、
前記疎水性ゼオライトは、SiO2/Al23モル比が、30/1以上、8000/1以下であり、
前記無機臭気分解剤は、金属酸化物または金属塩を、無機物に混錬または担持させたものであり、
前記シーラント層中の、前記疎水性ゼオライトと前記無機臭気分解剤との合計の含有量が、0.3質量%以上、15質量%以下である、
加熱殺菌処理用消臭フィルム。
2.前記加熱殺菌処理の処理温度は、100℃以上、140℃以下であり、
疎水性ゼオライト/無機臭気分解剤の質量比が、10/90以上、95/5以下である、上記1に記載の、加熱殺菌処理用消臭フィルム。
3.前記無機臭気分解剤は、少なくとも、酸化銅(II)と、酸化珪素と、酸化アルカリ金属とを含む無機臭気分解剤組成物から形成されたものである、
上記1または2に記載の、加熱殺菌処理用消臭フィルム。
4.前記無機臭気分解剤組成物が、更に、銅、亜鉛、銀、鉄、白金、金なる群から選ばれる1種または2種以上の元素の化合物を含む、
上記3に記載の、加熱殺菌処理用消臭フィルム。
5.前記無機臭気分解剤組成物が、更に、1種または2種以上の酸化アルカリ土類金属を含む、
上記3または4に記載の、加熱殺菌処理用消臭フィルム。
6.前記無機臭気分解剤組成物が、更に、酸化ホウ素を含む、
上記3~5の何れかに記載の、加熱殺菌処理用消臭フィルム。
7.前記ヒートシール性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂である、上記1~6の何れかに記載の、加熱殺菌処理用消臭フィルム。
8.上記1~7の何れかに記載の加熱殺菌処理用消臭フィルムから作製された、加熱殺菌処理用消臭包装材料。
9.上記8に記載の加熱殺菌処理用消臭包装材料から作製された、加熱殺菌処理用消臭包装体。
本発明によれば、包装体及び内容物に対して加熱殺菌処理を施しても、優れた消臭効果を発揮する、少なくとも片面の最表層にシーラント層を含む加熱殺菌処理用消臭フィルム、及び少なくとも片面の最表層にシーラント層を含む加熱殺菌処理用消臭フィルムから作製された包装材料及び包装体を得ることができる。
また、高温で殺菌処理を施し、外部からの酸素および水蒸気ガスの浸入を抑えることができ、また、内部からの匂い漏れや水分の蒸発を防ぐことができる為に、内容物の長期保存を可能とする。
本発明の加熱殺菌処理用消臭フィルムの1例を示す断面図である。 本発明の加熱殺菌処理用消臭フィルムの別態様の1例を示す断面図である。 本発明の加熱殺菌処理用消臭フィルムの別態様の1例を示す断面図である。
以下、本発明について図面を用いながら説明する。但し、本発明はこれら具体的に例示された形態や各種具体的に記載された構造に限定されるものではない。
なお、各図においては、解り易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見易さの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
本発明においては、フィルムとシートとの総称としてフィルムと記載する。
本発明は、少なくとも、片面の最表層にシーラント層を含む加熱殺菌処理用消臭フィルム及び該加熱殺菌処理用消臭フィルムから作製された包装材料及び包装体であって、前記シーラント層は、ヒートシール性樹脂と、粉状の疎水性ゼオライトと、粉状の無機臭気分解剤とを含む。該包装体は、内容物として飲食品を密封充填する包装容器用に使用可能である。
前記加熱殺菌処理の処理温度は、100℃以上、140℃以下が好ましい。
本発明の加熱殺菌処理用消臭フィルムは、片面の最表層にシーラント層を含むことによってシーラントフィルムとして機能し、疎水性の硫黄系臭気成分を吸着するSiO2/Al23モル比が30/1~8000/1の疎水性ゼオライトと、親水性の硫黄系臭気成分を分解する無機臭気分解剤とを含有することによって、幅広い種類の硫黄系臭気成分に対して高い消臭効果を発揮する。該消臭効果は加熱殺菌処理によって消失することはない。
<加熱処理>
本発明において、加熱処理としては、加熱殺菌処理用消臭フィルム、積層体、包装材料、包装体を作製するための加熱加工処理と、包装体内容物への加熱加工処理と、包装体と内容物への加熱殺菌処理が挙げられ、加熱温度はそれぞれの加熱処理によっても、積層体の素材構成によっても、内容物組成によっても異なる。
加熱処理は、高温の場合には、樹脂成分の変質と、臭気吸着剤の劣化を発生させ得るものであり、それぞれの加熱処理の温度の影響を考慮しなければならない。
包装体内容物への加熱加工処理は、通常は、包装体に充填する前段階で高温を要する処理が終了していることが多い為、本発明においては、特に問題視はされない。
製膜加工においては、樹脂が十分に溶融する温度まで加熱する必要があり、加熱温度は樹脂によって異なり、例えば、ポリエチレン系樹脂の場合には110℃~200℃に加熱され、ポリプロピレン系樹脂の場合には、130℃~260℃に加熱される。
よって、製膜加工は、積層体、包装材料、包装体を作製するための加熱加工処理において、特に、樹脂成分の変質による変性臭を発生させ易く、更に、包装体全体から発生し得ることから、内容物へ移行し得るものである。
包装体を作製する際のヒートシール加工は、例えば、シーラント層の樹脂成分が、ポリエチレン系樹脂の場合には90℃~200℃に加熱され、ポリプロピレン系樹脂の場合には、110℃~260℃に加熱されるが、加熱される面積は小さく、加熱時間も短時間であり、内容物が接触しない部分への加熱である為に、樹脂成分の変質による変性臭の発生は少なく、且つ内容物への移行も少ない。
包装体と内容物への加熱殺菌処理は、包装体の樹脂成分の種類とは無関係に、通常100℃以上、140℃以下の範囲内で、特に121℃で行われることが多く、内容物からの変性臭とを発生させる原因になり得るものであり、樹脂成分の耐熱性が十分でない場合には、樹脂成分からの変性臭を発生し得るものであり、更に、樹脂成分からの変性臭は包装体全体から発生し得ることから、内容物へ移行し得るものである。
<本発明の加熱殺菌処理用消臭フィルムの構成>
本発明の加熱殺菌処理用消臭フィルムは、単層で構成されていてもよく、2層以上の多層構成であってもよいが、少なくとも、片面の最表層がヒートシール性樹脂を含む。
更に、単層構成の場合には、図1に示すように、該単層にヒートシール性樹脂と疎水性ゼオライトと無機臭気分解剤とを含有するものであり、2層以上の多層構成の場合には、図2、3に示すように、ヒートシール性樹脂と、疎水性ゼオライトと、無機臭気分解剤とが、同一の1層または2層以上に同時に含有されていてもよく、或いは、層毎に、ヒートシール性樹脂と疎水性ゼオライトと無機臭気分解剤とからなる群の何れか1種または2種以上が含有されていてもよく、複数層が同一の組成であっても、異なる組成の層であってもよい。
また、2層以上の多層構成の場合には、必要に応じて、種々の機能を備えた機能層を含むこともできる。該機能層には、ヒートシール性樹脂、疎水性ゼオライト、無機臭気分解剤の何れも含有されていなくともよい。
更にまた、2層以上の多層構成の場合には、各層間に接着剤層が存在してもよい。
本発明においては、加熱殺菌処理用消臭フィルム中の、シーラント層中の、ヒートシール性樹脂と疎水性ゼオライトまたは無機臭気分解剤とを含有する層を消臭層、それ以外の層を非消臭層とも記載する。
また、本発明の加熱殺菌処理用消臭フィルムには、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃化剤、架橋剤、着色剤、顔料、滑剤、充填剤、補強剤、改質用樹脂等の種々のプラスチック配合剤や添加剤の1種ないし2種以上を、適宜添加することができる。その添加量としては、極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
本発明の加熱殺菌処理用消臭フィルムまたは該加熱殺菌処理用消臭フィルムを構成する各層の表面には、必要に応じて、コロナ処理、フレーム処理、オゾン処理等を施すこともできる。
シーラント層の厚さは、10μm以上、250μm以下が好ましく、30μm以上、150μm以下がより好ましい。
上記範囲よりも薄いと、臭気成分の低減性能が不十分になり易く、ヒートシール後のラミネート強度が不十分になり易い。上記範囲よりも厚いと、積層体の剛性が強くなり過ぎて作業性と包装体の使用感が悪化し易い。
消臭層の厚さは、7μm以上、250μm以下が好ましく、10μm以上、150μm以下がより好ましい。
本発明において、加熱殺菌処理用消臭フィルムの表面、及び加熱殺菌処理用消臭フィルムを構成する各層の表面には密着性を向上させるために、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けることができる。
例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスまたは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いたる酸化処理等の前処理を任意に施して、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を形成して設けることができる。
或いは、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、蒸着アンカーコート剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の各種コート剤層には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウ
レタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンもしくはポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂またはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を用いることができる。
[ヒートシール性樹脂]
本発明において、ヒートシール性樹脂とは、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂である。ヒートシール加工の温度は、用いるヒートシール性樹脂によって異なる。
更に、ヒートシール性樹脂は、疎水性ゼオライトおよび/または無機臭気分解剤を十分に分散し得る樹脂である。
100℃以上、140℃以下の加熱殺菌処理を適用する為に、前記ヒートシール性樹脂の軟化点は、110℃以上、175℃以下であることが好ましい。
本発明において好適に使用されるヒートシール性樹脂としては、例えば、プロピレンのホモポリマー、プロピレンと不飽和カルボン酸との共重合体、プロピレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体、エチレン-プロピレン共重合体のランダムコポリマーまたはブロックコポリマー、等のポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いて共重合することができる。
前記不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸エステル、フマル酸エステル等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いて共重合することができる。
ヒートシール性樹脂の中でも、耐熱性の観点から、ポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
ヒートシール加工とは、包装容器を製造する際に、包装材料を二つ折にするか、または包装材料2枚を用意し、そのシーラント層の面を対向させて重ね合わせ、その周辺端部を溶融して相互に融着することである。加熱温度は樹脂によって異なる。
ヒートシール加工の方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
前記ヒートシール性樹脂にポリプロピレン系樹脂を用いた場合には、ヒートシール温度は、110℃以上、260℃以下が好ましい。
[疎水性ゼオライト]
本発明における、シーラント層に含有される疎水性ゼオライトは、高い臭気吸着能を発現し、水分の吸着を抑制する為に、SiO2/Al23モル比が、30/1~8000/1のものが好ましい。一般的に、ゼオライトはSiO2/Al23モル比が高い程、疎水性が高くなる。
本発明における疎水性ゼオライトは、低級炭化水素や、硫黄系臭気成分の中でも、特に、疎水性の化合物、例えばジメチルスルフィド等に対する吸着能が高く、230℃以上に晒された場合であっても、臭気吸着能を喪失することは無く、臭気成分の吸着効果を発揮することができる。
疎水性ゼオライトは、球状、棒状、楕円状等の任意の外形形状であってよく、粉体状、塊状、粒状等いかなる形態であってもよいが、シーラント層の製膜性や、ヒートシール性樹脂への均一な分散や混練特性等の観点から、粉体状が好ましい。
本発明において、疎水性ゼオライトの平均粒子径は、用途に応じて、任意の平均粒子径のものを適宜選択することができるが、平均粒子径0.01μm~10μmのものが好ましい。ここで、平均粒子径は、動的光散乱法により測定された値である。
平均粒子径が0.01μmよりも小さい場合には疎水性ゼオライトの凝集が生じ易く、シーラント層中での分散性が低下する傾向にある。また、平均粒子径が10μmよりも大きい場合にはシーラント層の製膜性が劣る傾向になる為に、疎水性ゼオライトを多くは添加し難い傾向となり、更に表面積も減少する為、十分な消臭効果が得られない可能性が生じる。
全シーラント層中の疎水性ゼオライトの含有量は、0.1質量%以上、15質量%以下であることが好ましい。
0.1質量%以上であれば十分な臭気吸着効果を発揮することが可能ではあるが、包装体として良好な臭気吸着効果を得るためには、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましい。
一方、良好な製膜性とヒートシール性とを得るためには、含有量は15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
[無機臭気分解剤]
本発明における前記無機臭気分解剤は、金属酸化物または金属塩を、無機物に混錬または担持させたものであり、好ましくは、少なくとも、酸化銅(II)と、酸化珪素と、酸化アルカリ金属とを含む無機臭気分解剤組成物から形成されたものである。
本発明における無機臭気分解剤は、無機臭気分解剤中に保持された金属成分等がイオン化して、硫黄系悪臭物質の分解反応を促進する触媒作用を発揮することによって、硫黄系悪臭物質に対する消臭効果を奏するものである。硫黄系悪臭物質の中でも、特に、親水性の化合物、例えば硫化水素等に対する消臭効果が高い。
無機臭気分解剤組成物は、上記のイオン化する成分として、更に、銅、亜鉛、銀、白金、金、鉄なる群から選ばれる1種または2種以上の元素の化合物を含むことが好ましく、特に、銅、亜鉛、銀なる群から選ばれる1種または2種以上の元素の化合物を含むことが好ましい。
また、無機臭気分解剤組成物は、必要に応じて、化学的性能や物理的性能を調整する為に、酸化ホウ素を更に含み、酸化アルカリ土類金属や、酸化アルミニウム等を更に含むこともできる。
粉状の無機臭気分解剤は、各原料を混合して無機臭気分解剤組成物を調整し、瓶ガラスなどの汎用ガラス作製と同様な常法により溶融して均質化して、冷却後に粉砕することによって、得ることができる。
無機臭気分解剤は、触媒として硫黄系悪臭物質の分解反応を促進するため、化学吸着、物理吸着を利用して表面積に依存する従来技術に比べて、消臭容量を増大させることができ、消臭効果を長期間に亘って安定して発揮することができる。
無機臭気分解剤組成物中の酸化銅(II)(CuO)の含有量は、0.01~23モル%が好ましく、1~13モル%がより好ましく、4~13モル%がさらに好ましい。上記範囲よりも少ないと消臭効果が十分に発揮され難くなる傾向になり、上記範囲よりも多いと金属銅が析出し易くなるため、好ましくない。
酸化珪素(SiO2)は、無機臭気分解剤の構造骨格を形成する主成分である。無機臭気分解剤組成物中の酸化珪素の含有量は、46~70モル%が好ましく、51~70モル%がより好ましい。
上記範囲よりも少ないと、無機臭気分解剤の化学的耐久性及び耐水性が不十分になりや
すく、更には酸化銅(II)の触媒作用による消臭効果も低下し易くなる。上記範囲よりも多いと、無機臭気分解剤の融点と溶融粘度が高過ぎて、無機臭気分解剤が不均質になり易い。
酸化アルカリ金属は、Li2O、Na2O、K2Oなる群から選ばれる1種または2種以上であり、無機臭気分解剤の融点と溶融粘度を低下させる成分である。
無機臭気分解剤組成物中の酸化アルカリ金属の含有量は、10~33モル%が好ましく、12~24モル%がより好ましく、12~20モル%がさらに好ましい。
上記範囲よりも少ないと、無機臭気分解剤の融点と溶融粘度を低下させる効果が不十分になり易い。上記範囲よりも多いと、無機臭気分解剤の化学的耐久性及び耐水性が不十分になり易く、消臭効果が低下し易くなる。
酸化アルカリ土類金属は、MgO、CaO、SrO、BaOなる群から選ばれる1種または2種以上であり、必要に応じて無機臭気分解剤組成物中に含有される成分であり、無機臭気分解剤の化学的耐久性を向上させる作用を有する。
無機臭気分解剤組成物中に酸化アルカリ土類金属を含有させる場合の、無機臭気分解剤組成物中の酸化アルカリ土類金属の含有量は、2~10モル%が好ましく、2~7モル%がより好ましい。
上記範囲よりも少ないと、酸化アルカリ土類金属を含有した効果を十分に発揮することが困難になり易く、上記範囲よりも多いと、無機臭気分解剤の融点と溶融粘度が高過ぎて不均質になり易い。
酸化ホウ素(B23)は、無機臭気分解剤の融点と溶融粘度を低下し、無機臭気分解剤を化学的に安定性させる効果を有する。
無機臭気分解剤組成物中に酸化ホウ素を含有させる場合の、無機臭気分解剤組成物中の酸化ホウ素の含有量は、5~20モル%が好ましく、8~17モル%がより好ましい。
上記範囲よりも少ないと、酸化ホウ素を含有した効果を十分に発揮することが困難になり易く、上記範囲よりも多いと、無機臭気分解剤の化学的耐久性及び耐水性が不十分になりやすく、更には消臭効果も低下し易くなる。
酸化ホウ素は、酸化アルカリ金属と同様に無機臭気分解剤の融点と溶融粘度を低下させる作用がある為、酸化ホウ素と酸化アルカリ金属との合計量についても含有量を考慮することが好ましく、無機臭気分解剤組成物中の酸化ホウ素と酸化アルカリ金属との合計含有量は、15~50モル%が好ましく、21~39モル%がより好ましい。
上記範囲よりも少ないと、無機臭気分解剤の融点と溶融粘度を低下させる効果が不十分になり易い。上記範囲よりも多いと、無機臭気分解剤が不均質になり易く、無機臭気分解剤の耐水性が不十分になりやすい傾向になり、更には消臭効果も低下し易くなる。
酸化アルミニウム(Al23)は、必要に応じて無機臭気分解剤組成物中に含有される成分であり、無機臭気分解剤の均質性を高め、化学的耐久性を向上させる作用を有する。
無機臭気分解剤組成物中に酸化アルミニウムを含有させる場合の、無機臭気分解剤組成物中の酸化アルミニウムの含有量は、0.1~6モル%が好ましく、0.1~5.5モル%がより好ましく、0.1~4.5モル%がさらに好ましい。
上記範囲よりも少ないと、酸化アルミニウムを含有した効果を十分に発揮することが困難になり易く、上記範囲よりも多いと、無機臭気分解剤の融点と溶融粘度が高過ぎて不均質になり易い。
上記成分以外にも、微量成分として、ZnO、SrO、BaO、TiO2、ZrO2、Nb25、P25、Cs2O、Rb2O、TeO2、BeO、GeO2、Bi23、La23、Y23、WO3、MoO3、Fe23、Sb23、SnO2等を含有することもできる。
無機臭気分解剤の粒子径分布は、重量平均粒子径が1μm以上、30μm以下であり、D96が40μm以下である粉体であることが好ましい。ここで、平均粒子径は、動的光散乱法により粒度分布測定を行って測定された値であり、D96は、累積分布させたときの積分値が96質量%に当たる粒径を意味する。
平均粒子径が1μmよりも小さい場合には無機臭気分解剤の凝集が生じ易く、シーラント層中での分散性が低下する傾向にある。また、平均粒子径が30μmよりも大きい場合にはシーラント層の製膜性が劣る傾向になる為に、無機臭気分解剤を多くは添加し難い傾向となり、更に表面積も減少する為、十分な消臭効果を得難いおそれがある。
96が40μmを超えると、ヒートシール性樹脂中への均一分散が困難になり易く、製膜性が低下するおそれがある。
全シーラント層中の無機臭気分解剤の含有量は、0.1質量%以上、15質量%以下であることが好ましい。
0.1質量%以上であれば十分な消臭効果を発揮することが可能ではあるが、良好な消臭効果を得るためには、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましい。
一方、良好な製膜性とヒートシール性とを得るためには、含有量は15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
更に、疎水性ゼオライト/無機臭気分解剤の質量比は、10/90以上、95/5以下が好ましく、20/80以上、85/15以下がより好ましく、30/70以上、70/30以下が更に好ましい。
<接着剤層>
本発明の加熱殺菌処理用消臭フィルムにおいて、接着剤層は、必要に応じて含まれる層である。また、基材層と組み合わせて積層体を作製する際にも接着剤層を含むことができる。
図1~3において、接着剤層は図示されていないが、各層間に含むことができる。
接着剤層はドライラミネート用接着剤を用いることが好適であり、例えば、ウレタン系接着剤、ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、エステル系接着剤等が挙げられる。
<加熱殺菌処理用消臭フィルムの作製方法>
加熱殺菌処理用消臭フィルムを構成する各層の作製及び積層方法としては、例えば、1種の樹脂組成物を使用して、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて製膜する方法、2種以上の樹脂組成物を使用して多層共押し出し製膜する方法、2種以上の樹脂組成物を製膜する前に混合して上記製膜法で製膜する方法、ドライラミネート法、サンドラミネート法等から適宜選択して、製膜、積層、または製膜と積層を同時に行うことができる。
また、本発明の加熱殺菌処理用消臭フィルムを他のフィルム層に積層して積層体を作製する場合にもおいても、同様な方法で行うことができる。
<加熱殺菌処理用消臭包装材料>
本発明の加熱殺菌処理用消臭フィルムを用いて、例えば、基材フィルム等と貼り合わせ
たり、必要に応じて表面加工を施したり、裁断したりして、加熱殺菌処理用消臭包装材料を得ることができる。
<加熱殺菌処理用消臭包装体>
本発明の加熱殺菌処理用消臭包装材料を使用し、例えば、ヒートシール性樹脂を含有する片面最表層が最内層となるように製袋して、包装袋等の加熱殺菌処理用消臭包装体を作製することができる。
包装袋を製造するには、上記加熱殺菌処理用消臭包装材料を二つ折にするか、または加熱殺菌処理用消臭包装材料2枚を用意し、そのシーラント層の面を対向させて重ね合わせ、その周辺端部を、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋とすることができる。
本発明において、包装袋に密封充填される内容物としては、レトルト飲食品や生鮮食品が挙げられ、例えば、酒、果汁飲料等のジュース、ミネラルウォーター等の飲料品、醤油、ソース等の液体調味料、カレー、シチュー、スープ等の液体飲食物等の生鮮食品等が挙げられる。
<原材料>
本発明の実施例に用いられた主な原材料は、下記のとおりである。
[基材層用フィルム]
・PETフィルム1:厚さ12μm。東洋紡(株)社製T-4102。片面コロナ処理。[機能層用フィルム]
・ナイロンフィルム1:ユニチカ社製、二軸延伸ナイロンフィルム、品番名 エンブレムONBC、フィルム厚さ15μm。
[接着剤]
・接着剤1:DL(ドライラミネート)用接着剤。ロックペイント(株)社製、ロックボンドJ RU-77T/アドロック H-7;配合比10/1。
[疎水性ゼオライト]
・疎水性ゼオライト1:水澤化学工業(株)社製シルトンMT100。SiO2/Al23モル比=100/1、平均粒子径=3~4.5μm。
・疎水性ゼオライト2:水澤化学工業(株)社製シルトンMT400。SiO2/Al23モル比=400/1、平均粒子径=5~7μm。
・疎水性ゼオライト3:水澤化学工業(株)社製シルトンMT2000。SiO2/Al23モル比=2000/1、平均粒子径=2~4μm。
・疎水性ゼオライト4:水澤化学工業(株)製ミズカシーブスEX-122。SiO2/Al23モル比=32/1、平均粒子径=2.5~5.5μm。
・疎水性ゼオライト5:水澤化学工業(株)製シルトンMT-8000。SiO2/Al23モル比=8000/1、平均粒子径=0.8μm。
・親水性ゼオライト1:水澤化学工業(株)製ミズカシーブスY-420。SiO2/Al23モル比=5/1、平均粒子径=5μm。
[ヒートシール性樹脂]
・ヒートシール性樹脂1:日本ポリプロ(株)社製ウィンテックWFX4M。原料にプロピレンを90質量%以上含有させたプロピレン・α?オレフィン共重合体。MFR7g/10分、ビカット軟化点110℃。
・ヒートシール性樹脂2:サンアロマー社製 PC480A。ブロック-ポリプロピレン、MFR2g/10分、融点165℃。
・ヒートシール性樹脂3:日本ポリエチレン(株)社製LDPE、LC522。MFR4g/10分、ビカット軟化点96℃。
[無機臭気分解剤の調整]
(無機臭気分解剤1の作製)
下記の原料を混合して無機臭気分解剤組成物1を調整し、瓶ガラスなどの汎用ガラス作製と同様な常法により溶融して均質化して、冷却後に粉砕して、粉状の無機臭気分解剤1を得た。
酸化銅(II) 16質量部
二酸化珪素 64質量部
Na2O 20質量部
上記の酸化銅(II)CuO、二酸化珪素SiO2、酸化ナトリウムNa2Oの各々のモル%は、各々の分子量を各々、79.55、60.09、61.98としてモル比%算出すると、12.7%、67.0%、20.3%。
得られた粉状の無機臭気分解剤1の粒度分布を測定すると、重量平均粒子径が8μm、重量でのD96が、20μmだった。粒度分布を測定結果を表1に記す。
(無機臭気分解剤2~3の作製)
表1に記載の配合で原料を混合して、無機臭気分解剤1と同様に操作して、粉状の無機臭気分解剤2~3を得た。粒度分布の測定結果を表1に記す。
酸化ナトリウムCaO、酸化ホウ素B23の分子量は、各々56.08、69.62としてモル%を算出した。
Figure 0007063060000001
<シーラント層用のマスターバッチの調製>
[マスターバッチ1の調製]
下記原料をメルトブレンドして、消臭層用の、マスターバッチ1を得た。
疎水性ゼオライト1 10質量部
ヒートシール性樹脂1 90質量部
[マスターバッチ2~12の調製]
表2の配合に従って、マスターバッチ1と同様に操作して、マスターバッチ2~12を
得た。
Figure 0007063060000002
<加熱殺菌処理用消臭フィルム及びそれを用いた包装材料、包装体の作製及び評価>
[実施例1]
マスターバッチ1とマスターバッチ8とヒートシール性樹脂1とを下記割合でメルトブレンドして消臭層用樹脂組成物を作製した。
マスターバッチ1 41.65質量部
マスターバッチ8 8.35質量部
ヒートシール性樹脂1 50質量部
得られた消臭層用樹脂組成物とヒートシール性樹脂1とを用いて、200℃でインフレーション製膜して、非消臭層1(12μm)/消臭層(36μm)/非消臭層2(12μm)なる構成の加熱殺菌処理用消臭フィルムを得た。加熱殺菌処理用消臭フィルム中の、疎水性ゼオライト含有量は2.5質量%、無機臭気分解剤含有量は0.5質量%。
PETフィルム1のコロナ処理面側に接着剤1を塗布して乾燥した後、ナイロンフィルム1を貼り付け、更にこのナイロンフィルム1に接着剤1を塗布して乾燥し、上記で得た加熱殺菌処理用消臭フィルムを貼り付けて、フィルム状の積層体を得て、各種評価を行った。積層体の詳細な構成及び評価結果を表3に示す。
(積層体1の概略層構成)
PETフィルム1(12μm)/接着剤1層(4μm)/ナイロンフィルム1(15μm)/接着剤1層(4μm)/加熱殺菌処理用消臭フィルム(60μm)(計95μm厚)
[実施例2~9、15、16、比較例3~5]
表3~5に記載の積層体の構成に従って、消臭層用樹脂組成物を作製して、実施例1と同様に操作して、加熱殺菌処理用消臭フィルムを得た。加熱殺菌処理用消臭フィルム中の疎水性ゼオライトと無機臭気分解剤の各々の含有量は表3、4に記載の通り。
そして、実施例1と同様に、得られた加熱殺菌処理用消臭フィルムを用いて、フィルム状の積層体を得て、各種評価を行った。積層体の詳細な構成及び評価結果を表3~5に示す。
[実施例10]
表2,3に記載の積層体の構成に従って、マスターバッチ4とマスターバッチ12とヒ
ートシール性樹脂2を用いて消臭層用樹脂組成物を作製して、該消臭層用樹脂組成物とヒートシール性樹脂2を用いて、230℃でキャスト製膜して、非消臭層1(12μm)/消臭層(36μm)/非消臭層1(12μm)なる構成のシーラント層用の加熱殺菌処理用消臭フィルムを得た。該加熱殺菌処理用消臭フィルム中の、疎水性ゼオライト含有量は2.5質量%、無機臭気分解剤含有量は0.5質量%。
そして、実施例1と同様に、得られた加熱殺菌処理用消臭フィルムを用いて、フィルム状の積層体を得て、各種評価を行った。積層体の詳細な構成及び評価結果を表3に示す。
[実施例11~14、比較例2]
表2~4に記載の積層体の構成に従って、消臭層用樹脂組成物を作製して、200℃でインフレーション製膜して、消臭層(60μm)のみからなるシーラント層用の加熱殺菌処理用消臭フィルムを得た。該加熱殺菌処理用消臭フィルム中の疎水性ゼオライト含有量と無機臭気分解剤含有量は表4、5に記載の通り。
そして、実施例1と同様に、得られた加熱殺菌処理用消臭フィルムを用いて、フィルム状の積層体を得て、各種評価を行った。積層体の詳細な構成及び評価結果を表4、5に示す。
[比較例1]
ヒートシール性樹脂1のみを用いて200℃でインフレーション製膜して、非消臭層1(60μm)のみからなるシーラント層用の該加熱殺菌処理用消臭フィルムを得た。該加熱殺菌処理用消臭フィルム中の疎水性ゼオライト含有量は0質量%。
そして、実施例1と同様に、得られた該加熱殺菌処理用消臭フィルムを用いて、フィルム状の積層体を得て、各種評価を行った。積層体の詳細な構成及び評価結果を表5に示す。
[結果まとめ]
本発明の該加熱殺菌処理用消臭フィルムを作製して用いた実施例1~16は全て、良好な、耐熱性、ヒートシール性、硫化水素とジメチルスルフィドの臭気濃度減少率を示した。
加熱殺菌処理用消臭フィルムに、SiO2/Al23モル比が30/1~8000/1の、本発明に係る疎水性ゼオライトを含まない比較例1、5と、疎水性ゼオライトの代わりに親水性ゼオライトを含む比較例3は、不十分な硫化水素および/またはジメチルスルフィドの濃度減少率を示し、加熱殺菌処理用消臭フィルムに軟化点が110℃未満のヒートシール性樹脂を用いた比較例4は、積層体を作製することはできたが、耐熱性に劣った為、以降の評価を中止した。また、加熱殺菌処理用消臭フィルム中の本発明に係る疎水性ゼオライトと無機臭気分解剤の合計含有量が多過ぎる比較例2では、シール強度の著しい低下により耐熱性評価で破袋が生じて不合格だった。
<評価方法>
[粒度分布]
粒子径分布測定装置LA-920:(株)堀場製作所製等を用いて、粒子の粒度分布を測定して、重量平均における平均粒子径と、D96を求めた。
[耐熱性]
実施例及び比較例で得られた積層体により、100ccの水を充填した4方シールのパウチ(外寸:13cm×17cm)を作製し、下記条件で加熱殺菌処理して、積層体成分の変形や変質有無を確認した。変質有無は、目視によって観察した。
気圧:0.21MPa
温度:121℃
処理時間:30分間
判定基準:パウチ表面に皺が生じず、破袋が無い場合を合格とした。
[ヒートシール性]
耐熱性評価において、加熱殺菌処理後にシール部分が剥がれていなければ合格、剥がれて破袋していれば不合格とした。
[濃度減少率]
実施例及び比較例で得られた積層体を用いて、4辺をヒートシールされたパウチ袋(11cm×15cm)を作製して、そして、下記の評価ガスをパウチ袋内に注射器で注入し、2日間25℃で放置した後に、パウチ袋内の空気を注射器で採取して、硫化水素とジメチルスルフィドの濃度をGC及び検知管で測定して、パウチ袋内の硫化水素とジメチルスルフィドの各々の濃度の減少率を算出した。
(評価ガス)
硫化水素:25ppm
ジメチルスルフィド:30ppm
その他成分:空気
Figure 0007063060000003
Figure 0007063060000004
Figure 0007063060000005
1.加熱殺菌処理用消臭フィルム
2.シーラント層
2a.消臭層(ヒートシール性樹脂+疎水性ゼオライト+無機臭気分解剤含有)
2b.消臭層(ヒートシール性樹脂+無機臭気分解剤含有)
2c.消臭層(ヒートシール性樹脂+疎水性ゼオライト含有)
3.非消臭層(ヒートシール性樹脂含有)

Claims (7)

  1. 少なくとも、片面の最表層にシーラント層を含む加熱殺菌処理用消臭フィルムであって、
    前記シーラント層は、ヒートシール性樹脂と、粉状の疎水性ゼオライトと、粉状の無機臭気分解剤とを含み、
    前記加熱殺菌処理の処理温度は、121℃以上、140℃以下であり、 疎水性ゼオライト/無機臭気分解剤の質量比が、10/90以上、95/5以下であり、
    前記ヒートシール性樹脂の軟化点は、110℃以上、175℃以下であり、
    前記疎水性ゼオライトは、SiO2/Al23モル比が、30/1以上、8000/1以下であり、
    前記シーラント層は、ヒートシール性樹脂からなる非臭気吸着層、ヒートシール性樹脂と前記疎水性ゼオライトと前記無機臭気分解剤とを含む臭気吸着層、ヒートシール性樹脂からなる非臭気吸着層の、3層構成からなり、
    該シーラント層の層厚は、10μm以上、250μm以下であって、該臭気吸着層の厚さは、7μm以上、150μm以下であり、
    前記無機臭気分解剤は、少なくとも、酸化銅(II)と、酸化珪素と、酸化アルカリ金属とを含む無機臭気分解剤組成物から形成されたものであって、酸化銅(II)(CuO)の含有量は1~13モル%であり、酸化珪素の含有量は51~70モル%であり、酸化アルカリ金属の含有量は、12~24モル%であり、
    前記シーラント層中の、前記疎水性ゼオライトと前記無機臭気分解剤との合計の含有量が、0.3質量%以上、15質量%以下であって、動的光散乱法により測定された値である疎水性ゼオライトの平均粒子径は、0.01μm~10μmである、
    加熱殺菌処理用消臭フィルム。
  2. 前記無機臭気分解剤組成物が、更に、銅、亜鉛、銀、鉄、白金、金なる群から選ばれる1種または2種以上の元素の化合物を含む、請求項1に記載の、加熱殺菌処理用消臭フィルム。
  3. 前記無機臭気分解剤組成物が、更に、1種または2種以上の酸化アルカリ土類金属を含む、請求項1または2に記載の、加熱殺菌処理用消臭フィルム。
  4. 前記無機臭気分解剤組成物が、更に、酸化ホウ素を含む、請求項1~3の何れか1項に記載の、加熱殺菌処理用消臭フィルム。
  5. 前記ヒートシール性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂である、請求項1~4の何れか1項に記載の、加熱殺菌処理用消臭フィルム。
  6. 請求項1~5の何れか1項に記載の加熱殺菌処理用消臭フィルムから作製された、加熱殺菌処理用消臭包装材料。
  7. 請求項6に記載の加熱殺菌処理用消臭包装材料から作製された、加熱殺菌処理用消臭包装体。
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