JP7063059B2 - 加熱殺菌処理用積層体及び加熱殺菌処理用包装材料、加熱殺菌処理用包装体 - Google Patents
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Description
内容物中の変性臭発生源は、炭水化物、油脂、蛋白質等であり、中でも蛋白質変性臭、特に硫黄系臭が問題になることが多い。
しかしながら、このような包装材料は、臭気だけでなく、大気中の湿気をも吸着し、且つ、一度吸着した臭気を、脱離させてしまうという問題があるため、十分な臭気吸着効果が得られていない。
1.少なくとも、基材層と、片面の最表層にシーラント層とを含む、加熱殺菌処理用積層体であって、
前記加熱殺菌処理の処理温度は、100℃以上、140℃以下であり、
前記基材層は、熱可塑性樹脂層と、前記熱可塑性樹脂層上に形成された金属酸化物蒸着膜層とを有し、
前記シーラント層は、ヒートシール性樹脂と、SiO2/Al2O3モル比が30/1~8000/1の疎水性ゼオライトとを含み、
前記シーラント層中の前記疎水性ゼオライトの含有率は、0.1質量%以上、15質量%以下であり、
前記ヒートシール性樹脂の軟化点が、110℃以上、175℃以下である、加熱殺菌処理用積層体。
2.前記金属酸化物蒸着膜層が、酸化アルミニウム蒸着膜、または、酸化珪素蒸着膜を含む、上記1に記載の、加熱殺菌処理用積層体。
3.前記基材層は、更に、前記金属蒸着膜層上に形成されたバリアコート樹脂層を含む、上記1または2に記載の、加熱殺菌処理用積層体。
4.前記バリアコート樹脂層が、水溶性高分子からなる、上記1~3の何れかに記載の、加熱殺菌処理用積層体。
5.前記ヒートシール性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂である、上記1~4の何れかに記載の、加熱殺菌処理用積層体。
6.上記1~5の何れかに記載の加熱殺菌処理用積層体を用いて作製された、加熱殺菌処理用包装材料。
7.上記6に記載の加熱殺菌処理用包装材料を用いて作製された、加熱殺菌処理用包装体。
また、高温で殺菌処理を施し、外部からの酸素および水蒸気ガスの浸入を抑えることができ、また、内部からの匂い漏れや水分の蒸発を防ぐことができる為に、内容物の長期保存を可能とする。
なお、各図においては、解り易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見易さの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
本発明においては、フィルムとシートとの総称としてフィルムと記載する。
前記加熱殺菌処理の処理温度は、100℃以上、140℃以下が好ましい。
本発明において、加熱処理としては、積層体、包装材料、包装体を作製するための加熱加工処理と、包装体内容物への加熱加工処理と、包装体と内容物への加熱殺菌処理が挙げられ、加熱温度はそれぞれの加熱処理によっても、積層体の素材構成によっても、内容物組成によっても異なる。
加熱処理は、高温の場合には、樹脂成分の変質と、臭気吸着剤の劣化を発生させ得るものであり、それぞれの加熱処理の温度の影響を考慮しなければならない。
製膜加工においては、樹脂が十分に溶融する温度まで加熱する必要があり、加熱温度は樹脂によって異なり、例えば、ポリエチレン系樹脂の場合には110℃~200℃に加熱され、ポリプロピレン系樹脂の場合には、130℃~260℃に加熱される。
よって、製膜加工は、積層体、包装材料、包装体を作製するための加熱加工処理において、特に、樹脂成分の変質による変性臭を発生させ易く、更に、包装体全体から発生し得ることから、内容物へ移行し得るものである。
本発明の加熱殺菌処理用積層体は、図1に示すように、少なくとも、基材層とシーラント層とを含み、基材層は、熱可塑性樹脂層と、前記熱可塑性樹脂層上に形成された金属酸化物蒸着膜層とを有する。
基材層とシーラント層とは、必要に応じて接着剤層を介して接着されていても良い。
バリアコート樹脂層とシーラント層とは、必要に応じて接着剤層を介して接着されていても良い。
本発明の加熱殺菌処理用積層体は、シーラント層が片面の最表層であり、必要に応じて、基材層とシーラント層以外にも、他の層を含むこともできる。
本発明の加熱殺菌処理用積層体に含まれる基材層は、熱可塑性樹脂層と、前記熱可塑性樹脂層上に形成された金属酸化物蒸着膜層とを有する。
そして更に、基材層は、熱可塑性樹脂層と金属酸化物蒸着膜層以外にも、必要に応じて他の層を含むこともできる。例えば、基材層は、図2に示すように、別態様として、更に、前記金属蒸着膜層上に形成されたバリアコート樹脂層を有することもできる。
基材層の厚さは、好ましくは5~30μm、より好ましくは10~30μmである。
熱可塑性樹脂層と金属酸化物蒸着膜層は、それぞれ、1層でもよく、2層以上の多層であってもよい。
例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスまたは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いたる酸化処理等の前処理を任意に施して、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を形成して設けることができる。
基材層に用いられる熱可塑性樹脂は、フィルム状に成型されて用いられるものであり、化学的または物理的強度に優れ、金属酸化物の蒸着膜を形成する条件に耐え、それら金属酸化物の蒸着膜の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができる熱可塑性樹脂である。
ム化することができる。
例えば、1種の樹脂を使用して、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて製膜する方法、2種以上の樹脂を使用して多層共押し出し製膜する方法、2種以上の樹脂を製膜する前に混合して上記製膜法で製膜する方法、等が挙げられる。さらに、テンター方式やチューブラマ方式等を利用して1軸または2軸方向に延伸したフィルムとすることができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等を使用することができる。
本発明において、金属酸化物蒸着膜はガスバリア性を積層体に付与することができる。
金属酸化物蒸着膜は、1層であっても、2層以上であっても良い。2層以上である場合は、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
上記の金属酸化物の中でも、アルミニウム(Al)またはケイ素(Si)の酸化物が好ましく、アルミニウム(Al)の酸化物がより好ましい。
上記において、x=0は無酸化の金属の場合であり、xの範囲の上限は、完全に酸化した場合の値である。
上記xの値の範囲としては、アルミニウム(Al)は0<x≦1.5、ケイ素(Si)は0<x≦2、マグネシウム(Mg)は0<x≦1、カルシウム(Ca)は0<x≦1、カリウム(K)は0<x≦0.5、スズ(Sn)は0<x≦2、ナトリウム(Na)は0<x≦0.5、ホウ素(B)は0<x≦1、5、チタン(Ti)は0<x≦2、鉛(Pb)は0<x≦1、ジルコニウム(Zr)は0<x≦2、イットリウム(Y)は0<x≦1.5、の範囲の値をとることができる。
適切な膜厚は使用する金属酸化物の種類等によって異なり、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素の場合には、5~50nmが好ましく、10~30nmがより好ましい。
上記範囲よりも厚いと、積層体の剛性が強くなりすぎる傾向になり、また、金属酸化物蒸着膜の形成に長時間を要する為に生産コストが上昇しがちであり、上記範囲よりも薄い
と、十分なガスバリア性を得ることが困難になりやすい。
バリアコート樹脂層は金属酸化物蒸着膜層上に、金属酸化物蒸着膜層と接して形成されている層であり、樹脂を含む層である。また、バリアコート樹脂層とシーラント層とは、必要に応じて接着剤層を介して接着されていても良い。
加熱殺菌処理用積層体は、金属酸化物蒸着膜層とバリアコート樹脂層とを組み合わせて含むことで、相乗効果によって優れたガスバリア性を発揮することが出来る。
前記ゾルゲル法触媒としては、水に実質的に不要であり、且つ有機溶媒に可溶な第3級アミンを用いることが好ましく、特にN,N-ジメチルベンジルアミンが好ましい。
前記酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸、並びに酢酸、酒石酸等の有機酸等を用いることができる。
更に、前記有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール等を用いることができる。
バリアコート樹脂層との密接着性等が良好なものとなる。
バリアコート樹脂層の厚みは、0.01μm以上、30μm以下が好ましく、0.1μm以上、10μm以下がより好ましい。
上記範囲よりも薄いとガスバリア効果が不十分になり易く、上記範囲よりも厚くしてもガスバリア効果は特に向上せず、積層体の剛性も強くなりすぎる傾向になる。
本発明において、接着剤層は、必要に応じて含まれる層である。
ドライラミネート用接着剤を用いることが好適であり、例えば、ウレタン系接着剤、ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、エステル系接着剤等が挙げられる。
本発明の加熱殺菌処理用積層体のシーラント層は、ヒートシール性樹脂と疎水性ゼオライトとを含む。
シーラント層は、単層であっても、2層以上の多層であってもよい。2層以上である場合は、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよく、ヒートシール性樹脂のみからなる層を含んでいても良い。更には、必要に応じて、ヒートシール性樹脂や疎水性ゼオライトを含まない層を含むこともできる。
更にまた、2層以上の多層構成の場合には、各層間に接着剤層が存在してもよい。
50μm以下がより好ましい。
上記範囲よりも薄いと、臭気成分の吸着性能が不十分になり易く、且つヒートシール強度やラミネート強度が不十分になり易い。上記範囲よりも厚いと、積層体の剛性が強くなり過ぎて作業性と包装体の使用感が悪化し易い。
例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスまたは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いたる酸化処理等の前処理を任意に施して、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を形成して設けることができる。
或いは、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、蒸着アンカーコート剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
シーラント層の積層方法としては、ドライラミネート法、押し出しコーティング法、サンドラミネート法等を適宜選択することができる。
本発明において、ヒートシール性樹脂とは、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂である。ヒートシール加工の温度は、用いるヒートシール性樹脂によって異なる。
更に、ヒートシール性樹脂は、疎水性ゼオライトを十分に分散し得る樹脂である。
100℃以上、140℃以下の加熱殺菌処理を適用する為に、前記ヒートシール性樹脂の軟化点は、110℃以上、175℃以下であることが好ましい。
ヒートシール加工とは、包装容器を製造する際に、包装材料を二つ折にするか、または包装材料2枚を用意し、そのシーラント層の面を対向させて重ね合わせ、その周辺端部を溶融して相互に融着することである。加熱温度は樹脂によって異なる。
ヒートシール加工の方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
前記ヒートシール性樹脂にポリプロピレン系樹脂を用いた場合には、ヒートシール温度は、110℃以上、260℃以下が好ましい。
本発明における、シーラント層に含有される疎水性ゼオライトは、高い臭気吸着能を発現し、水分の吸着を抑制する為に、SiO2/Al2O3のモル比が、30/1~8000/1のものが好ましい。一般的に、ゼオライトはSiO2/Al2O3モル比が高い程、疎水性が高くなる。
本発明における疎水性ゼオライトは、包装材料が230℃以上に晒された場合であっても、臭気吸着能を喪失することは無く、臭気成分の吸着効果を発揮することができる。
疎水性ゼオライトは、球状、棒状、楕円状等の任意の外形形状であってよく、粉体状、塊状、粒状等いかなる形態であってもよいが、シーラント層の製膜性や、ヒートシール性樹脂への均一な分散や混練特性等の観点から、粉体状が好ましい。
平均粒子径が0.01μmよりも小さい場合には疎水性ゼオライトの凝集が生じ易く、シーラント層中での分散性が低下する傾向にある。また、平均粒子径が10μmよりも大きい場合にはシーラント層の製膜性が劣る傾向になる為に、疎水性ゼオライトを多くは添加し難い傾向となり、更に表面積も減少する為、十分な消臭効果が得られない可能性が生じる。
0.1質量%以上であれば十分な臭気吸着効果を発揮することが可能ではあるが、包装体として良好な臭気吸着効果を得るためには、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましい。
一方、良好な製膜性とヒートシール性とを得るためには、含有量は15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
加熱殺菌処理用積層体を構成する各層の作製及び積層方法としては、例えば、1種の樹脂組成物を使用して、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて製膜する方法、2種以上の樹脂組成物を使用して多層共押し出し製膜する方法、2種以上の樹脂組成物を製膜する前に混合して上記製膜法で製膜する方法、ドライラミネート法、サンドラミネート法等から適宜選択して、製膜、積層、または製膜と積層を同時に行うことができる。
また、本発明の加熱殺菌処理用積層体を他のフィルム層に積層して積層体を作製する場合にもおいても、同様な方法で行うことができる。
本発明の加熱殺菌処理用積層体を用いて、例えば、必要に応じて表面加工を施したり、裁断して、加熱殺菌処理用包装材料を得ることができる。
本発明の加熱殺菌処理用包装材料を使用し、例えば、シーラント層が最内層となるように製袋して、包装袋等の加熱殺菌処理用包装体を作製することができる。
包装袋を製造するには、上記加熱殺菌処理用包装材料を二つ折にするか、または加熱殺菌処理用包装材料2枚を用意し、そのシーラント層の面を対向させて重ね合わせ、その周辺端部を、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋とすることができる。
本発明の実施例に用いられた主な原材料は、下記のとおりである。
[基材層用フィルム]
・IB-PET-PIR:大日本印刷(株)社製、バリアコート樹脂層付きPVD法酸化アルミニウム蒸着PETフィルム。ポリビニルアルコール系樹脂を含むバリアコート樹脂層を有する。厚さ構成は、PETフィルム(12μm)/酸化アルミニウム蒸着層(20nm)/バリアコート樹脂層(250nm)。
[機能層用フィルム]
・ナイロンフィルム1:ユニチカ社製、二軸延伸ナイロンフィルム、品番名 エンブレムONBC、フィルム厚さ15μm。
[接着剤]
・接着剤1:DL(ドライラミネート)用接着剤。ロックペイント(株)社製、ロックボンドJ RU-77T/アドロック H-7;配合比10/1。
[疎水性ゼオライト]
・疎水性ゼオライト1:水澤化学工業(株)社製シルトンMT100。SiO2/Al2O3モル比=100/1、平均粒子径=3~4.5μm。
・疎水性ゼオライト2:水澤化学工業(株)社製シルトンMT400。SiO2/Al2O3モル比=400/1、平均粒子径=5~7μm。
・疎水性ゼオライト3:水澤化学工業(株)社製シルトンMT2000。SiO2/Al2O3モル比=2000/1、平均粒子径=2~4μm。
・疎水性ゼオライト4:水澤化学工業(株)製ミズカシーブスEX-122。SiO2/Al2O3モル比=32/1、平均粒子径=2.5~5.5μm。
・疎水性ゼオライト5:水澤化学工業(株)製シルトンMT-8000。SiO2/Al2O3モル比=8000/1、平均粒子径=0.8μm。
・親水性ゼオライト1:水澤化学工業(株)製ミズカシーブスY-420。SiO2/Al2O3モル比=5/1、平均粒子径=5μm。
[ヒートシール性樹脂]
・ヒートシール性樹脂1:日本ポリプロ(株)社製ウィンテックWFX4M。原料にプロピレンを90質量%以上含有させたプロピレン・α?オレフィン共重合体。MFR7g/10分、ビカット軟化点110℃。
・ヒートシール性樹脂2:サンアロマー社製 PC480A。ブロック-ポリプロピレン、MFR2g/10分、融点165℃。
・ヒートシール性樹脂3:日本ポリエチレン(株)社製LDPE、LC522。MFR4g/10分、ビカット軟化点96℃。
[マスターバッチ1の調製]
下記原料をメルトブレンドして、臭気吸着層用の、マスターバッチ1を得た。
疎水性ゼオライト1 10質量部
ヒートシール性樹脂1 90質量部
[マスターバッチ2~9の調製]
表1の配合に従って、マスターバッチ1と同様に操作して、マスターバッチ2~9を得た。
[実施例1]
マスターバッチ1とヒートシール性樹脂1とを下記割合でメルトブレンドして臭気吸着層用樹脂組成物を作製した。
マスターバッチ1 50質量部
ヒートシール性樹脂1 50質量部
IB-PET-PIRのバリアコート樹脂層側に、接着剤1を塗布して乾燥した後、ナイロンフィルム1を貼り付け、更にこのナイロンフィルム1に接着剤1を塗布して乾燥し、上記で得たシーラント層用の臭気吸着フィルムを貼り付けて、フィルム状の積層体を得て、各種評価を行った。積層体の詳細な構成及び評価結果を表2に示す。
IB-PET-PIRフィルム(12μm)/接着剤1層(4μm)/ナイロンフィルム1(15μm)/接着剤1層(4μm)/臭気吸着フィルム(60μm)(計95μm厚)
表2に記載の積層体の構成に従って、臭気吸着層用樹脂組成物を作製して、実施例1と同様に操作して、シーラント層用の臭気吸着フィルムを得た。臭気吸着フィルム中の疎水性ゼオライト含有量は表2に記載の通り。
そして、実施例1と同様に、得られた臭気吸着フィルムを用いて、フィルム状の積層体を得て、各種評価を行った。積層体の詳細な構成及び評価結果を表2に示す。
表2に記載の積層体の構成に従って、マスターバッチ6とヒートシール性樹脂2を用いて臭気吸着層用樹脂組成物を作製して、該臭気吸着層用樹脂組成物とヒートシール性樹脂2を用いて、230℃でキャスト製膜して、非臭気吸着層1(12μm)/臭気吸着層(36μm)/非臭気吸着層2(12μm)なる構成のシーラント層用の臭気吸着フィルムを得た。該臭気吸着フィルム中の疎水性ゼオライトの含有量は3質量%。
そして、実施例1と同様に、得られた臭気吸着フィルムを用いて、フィルム状の積層体を得て、各種評価を行った。積層体の詳細な構成及び評価結果を表2に示す。
表2に記載の積層体の構成に従って、臭気吸着層用樹脂組成物を作製して、200℃で
インフレーション製膜して、臭気吸着層(60μm)のみからなるシーラント層用の臭気吸着フィルムを得た。臭気吸着フィルム中の疎水性ゼオライト含有量は表2に記載の通り。
そして、実施例1と同様に、得られた臭気吸着フィルムを用いて、フィルム状の積層体を得て、各種評価を行った。積層体の詳細な構成及び評価結果を表2に示す。
ヒートシール性樹脂1のみを用いて200℃でインフレーション製膜して、ヒートシール性樹脂1層(60μm)のみからなるシーラント層用の臭気吸着フィルムを得た。臭気吸着フィルム中の疎水性ゼオライト含有量は0質量%。
そして、実施例1と同様に、得られた臭気吸着フィルムを用いて、フィルム状の積層体を得て、各種評価を行った。積層体の詳細な構成及び評価結果を表2に示す。
本発明の加熱殺菌処理用積層体である実施例1~8は全て、良好な、耐熱性、ヒートシール性、硫化水素とジメチルスルフィドの臭気濃度減少率性を示した。
シーラント層に、SiO2/Al2O3モル比が30/1~8000/1の、本発明に係る疎水性ゼオライトを含まない比較例1、4は、不十分な硫化水素および/またはジメチルスルフィドの濃度減少率を示し、シーラント層に軟化点が110℃未満のヒートシール性樹脂を用いた比較例3は、積層体を作製することはできたが、耐熱性に劣った為、以降の評価を中止した。また、シーラント層中の本発明に係る疎水性ゼオライトの含有量が多過ぎる比較例2ではシール強度の著しい低下により耐熱性評価で破袋が生じて不合格だった。
[耐熱性]
実施例及び比較例で得られた積層体により、100ccの水を充填した4方シールのパウチ(外寸:13cm×17cm)を作製し、下記条件で加熱殺菌処理して、積層体成分の変形や変質有無を確認した。変質有無は、目視によって観察した。
気圧:0.21MPa
温度:121℃
処理時間:30分間
判定基準:パウチ表面に皺が生じず、破袋が無い場合を合格とした。
耐熱性評価において、加熱殺菌処理後にシール部分が剥がれていなければ合格、剥がれて破袋していれば不合格とした。
実施例及び比較例で得られた積層体を用いて、4辺をヒートシールされたパウチ袋(11cm×15cm)を作製して、そして、下記の評価ガスをパウチ袋内に注射器で注入し、2日間25℃で放置した後に、パウチ袋内の空気を注射器で採取して、硫化水素とジメチルスルフィドの濃度をGC及び検知管で測定して、パウチ袋内の硫化水素とジメチルスルフィドの各々の濃度の減少率を算出した。
(評価ガス)
硫化水素:25ppm
ジメチルスルフィド:30ppm
その他成分:空気
2.基材層
3.熱可塑性樹脂層
4.金属酸化物蒸着膜層
5.シーラント層
5a.臭気吸着層(ヒートシール性樹脂+疎水性ゼオライト含有)
5b.非臭気吸着層(ヒートシール性樹脂含有)
6.バリアコート樹脂層
7.接着剤層
Claims (5)
- 少なくとも、基材層と、片面の最表層にシーラント層とを含む、加熱殺菌処理用積層体であって、
前記加熱殺菌処理の処理温度は、121℃以上、140℃以下であり、
前記基材層は、熱可塑性樹脂層と、前記熱可塑性樹脂層上に形成された金属酸化物蒸着膜層とを有し、
前記金属酸化物蒸着膜層上には金属酸化物蒸着膜層と接して形成されたバリアコート樹脂層を有し、該バリアコート樹脂層は、金属アルコキシドと水溶性高分子とを、ゾルゲル法触媒、酸、水及び有機溶剤の存在下で、ゾルゲル法によって加水分解及び、重縮合して得られるガスバリア性組成物を塗布し乾燥させてなる膜であり、
前記シーラント層は、ヒートシール性樹脂からなる非臭気吸着層、ヒートシール性樹脂と、SiO 2 /Al 2 O 3 モル比が30/1~8000/1の疎水性ゼオライトとを含む臭気吸着層、ヒートシール性樹脂からなる非臭気吸着層の、3層構成からなり、
該シーラント層の層厚は、10μm以上、250μm以下であり、該臭気吸着層の厚さは、7μm以上、150μm以下であり、
前記シーラント層中の前記疎水性ゼオライトの含有率は、0.1質量%以上、15質量%以下であって、動的光散乱法により測定された値である疎水性ゼオライトの平均粒子径は、0.01μm~10μmであり、
前記ヒートシール性樹脂の軟化点が、110℃以上、175℃以下である、
加熱殺菌処理用積層体。 - 前記金属酸化物蒸着膜層が、酸化アルミニウム蒸着膜、または、酸化珪素蒸着膜を含む、請求項1に記載の、加熱殺菌処理用積層体。
- 前記ヒートシール性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂である、請求項1または2に記載の、加熱殺菌処理用積層体。
- 請求項1~3の何れか1項に記載の加熱殺菌処理用積層体を用いて作製された、加熱殺菌処理用包装材料。
- 請求項4に記載の加熱殺菌処理用包装材料を用いて作製された、加熱殺菌処理用包装体。
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