JP7061268B2 - レジストパターンの形成方法及び感放射線性樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、レジストパターンの形成方法及びそれに用いることができる感放射線性樹脂組成物に関する。
半導体素子における微細な回路形成にレジスト組成物を用いるフォトリソグラフィー技術が利用されている。代表的な手順として、例えば、レジスト組成物の被膜に対するマスクパターンを介した放射線照射による露光で酸を発生させ、その酸を触媒とする反応により露光部と未露光部とにおいて樹脂のアルカリ系や有機系の現像液に対する溶解度の差を生じさせることで、基板上にレジストパターンを形成する。
上記フォトリソグラフィー技術ではArFエキシマレーザー等の短波長の放射線を利用したり、さらに露光装置のレンズとレジスト膜との間の空間を液状媒体で満たした状態で露光を行う液浸露光法(リキッドイマージョンリソグラフィー)を用いたりしてパターン微細化を推進している。次世代技術として、電子線、X線及びEUV(極端紫外線)等のより短波長の放射線を用いたリソグラフィーも検討されつつある。
露光技術の進展に伴い、レジスト組成物の主要成分である光酸発生剤についても感度や解像度等の向上についての試みが進められている。ミクロン単位からサブミクロン単位までのパターン解像度を有するレジスト組成物として、プラズマエッチング耐性が高いヒドロキシスチレン系重合体と、スルホン酸基が結合した炭素を第二級炭素又は第三級炭素とした光酸発生剤とを含む感光性組成物が提案されている(特許文献1)。
また、ArF世代ではヒドロキシスチレン系重合体に代えて吸収の少ない脂環式構造を保護基として備える樹脂が用いられているが、上記ヒドロキシスチレン系重合体と併用していた光酸発生剤では、脂環式構造を有する樹脂の脱保護を進行させるには酸強度が不十分であることから、脱保護に十分な酸強度を有する酸を与える光酸発生剤として、スルホン酸基の近位炭素をフッ素で置換した酸発生剤が実用化されている(特許文献2)。
特開平10-10715号公報 特開2002-214774号公報
近年、レジストパターンの微細化が進行する中、上記解像度のさらなる向上が求められており、露光工程における感度やレジストパターンの線幅のバラつきを示すラインウィドゥスラフネス(LWR)性能等を含め、レジスト諸性能のさらなる向上が求められている。さらに、電子線露光等の次世代露光技術でも同等以上のレジスト諸性能が要求される。しかしながら、従来の感放射線性樹脂組成物では全ての特性を十分なレベルで得られていない。
本発明者らは、本課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定構造の感放射線性酸発生剤、及び、特定構造の化合物を併用することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
基板上に直接又は間接に感放射線性樹脂組成物を塗布してレジスト膜を形成する工程(1)、
上記レジスト膜を露光する工程(2)、及び、
露光された上記レジスト膜を現像する工程(3)を含むレジストパターンの形成方法であって、
上記感放射線性樹脂組成物は、
フェノール性水酸基を有する構造単位(a1)及び環状構造を含む酸解離性基を有する構造単位(a2)を含む樹脂(A)、
放射線の照射により下記式(1)で表される酸を発生する感放射線性酸発生剤(B)
Figure 0007061268000001

(式中、Rp1は、環構造を含む1価の基である。Rp2は、2価の連結基である。Rp3及びRp4は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1~20の1価の炭化水素基又は炭素数1~20の1価のフッ素化炭化水素基である。Rp5及びRp6は、それぞれ独立して、フッ素原子又は炭素数1~20の1価のフッ素化炭化水素基である。np1は、0~10の整数である。np2は、0~10の整数である。np3は、0~10の整数である。ただし、np1+np2+np3は、1以上30以下の整数である。np1が2以上の場合、複数のRp2は互いに同一又は異なる。np2が2以上の場合、複数のRp3は互いに同一又は異なり、複数のRp4は互いに同一又は異なる。np3が2以上の場合、複数のRp5は互いに同一又は異なり、複数のRp6は互いに同一又は異なる。)、
下記式(2)で表される化合物(C)
Figure 0007061268000002

(式中、Ar及びArは、それぞれ独立して、炭素数6~18の芳香族炭化水素基であるか、又は、これらが有する水素原子の一部若しくは全部がR、Rによって置換された基である。R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子又は1価の有機基若しくは水酸基である。m及びnは、それぞれ独立して、0~17の整数である。mとnとの合計が2以上の場合、複数のR、Rは、互いに同一又は異なる。)、並びに、
溶剤(D)を含む、レジストパターンの形成方法に関する。
本発明のレジストパターンの形成方法は、フェノール性水酸基を有する構造単位(a1)及び環状構造を含む酸解離性基を有する構造単位(a2)を含む樹脂(A)とともに、上記式(1)で表される化合物(以下、それぞれを「化合物(1)」等ともいう。)である感放射線性酸発生剤(B)、上記式(2)で表される化合物(C)、及び、溶剤(D)を含む感放射線性樹脂組成物を、基板上に直接又は間接に塗布してレジスト膜を形成する工程を含むため、露光工程における感度やレジストパターンの線幅のバラつきを示すラインウィドゥスラフネス(LWR)性能等のいずれも優れたレベルで発揮可能となる。上記効果発現の作用機序は明確ではなく、必ずしもこの推察によって本発明の権利範囲を限定するものではないが、特定構造の感放射線性酸発生剤(B)と特定構造の化合物(C))とを組み合わせて用いることにより、露光工程時に発生した電子(二次的に発生した電子等を含む)が上記化合物(C)によって介在されて、化合物(C)よりも低いLUMOを有する感放射線性酸発生剤に好適に電子移動されることや、上記樹脂中のフェノール水酸基におけるプロトン脱離に有利に相互作用すること等により、感放射線性酸発生剤の解離等の酸発生に有利に働き、その結果、レジスト諸性能が向上したものと推察される。
本発明のレジストパターンの形成方法において、上記酸解離性基が、カルボキシ基の水素原子を置換する基であることが好ましい。上記構成を有することにより、より確実にレジスト諸性能が向上したものとなりうる。
また、本発明のレジストパターンの形成方法において、化合物(C)は下記式(3)で表される化合物
Figure 0007061268000003

(式中、R及びRは式(1)の定義と同様である。また、m及びnは、それぞれ独立して、0~5の整数である。mとnとの合計が2以上の場合、複数のR、Rは、互いに同一又は異なる。)、
であることが好ましい。
また、本発明のレジストパターンの形成方法において、m及びnのいずれも1以上の場合、上記R及びR(mが2以上の場合には、複数あるRのうち1つ。nが2以上の場合には、複数あるRのうち1つ。)が、いずれもスルホニル基に対してパラ位にあることが好ましい。
また、本発明のレジストパターンの形成方法において、上記構造単位(a1)が、ヒドロキシスチレン由来の構造単位とすることができる。ヒドロキシスチレン由来の構造単位を有する樹脂の場合においても、本発明のレジストパターンの形成方法を用いることにより、露光工程における感度やLWR性能等においてより高度な性能の発現が可能となる。
また、本発明のレジストパターンの形成方法において、上記構造単位(a2)における環状構造が、脂環式構造とすることができる。上述のように脂環式構造をする樹脂の脱保護を進行させるには酸強度が未だ不十分であったが、本発明のレジストパターンの形成方法を用いることにより、露光工程における感度やLWR性能等においてより高度な性能の発現が可能となる。
また、本発明のレジストパターンの形成方法において、上記樹脂組成物中における、上記化合物(C)の総含有量が、上記樹脂(A)100質量部に対し1~30質量部であることが好ましい。上記構成を有することにより、より確実にレジスト諸性能が向上したものとすることができる。
また、本発明のレジストパターンの形成方法において、上記露光する工程で用いる放射線が、極端紫外線(EUV)、X線、又は、電子線(EB)であることが好ましい。必ずしもこの推察によって本発明の権利範囲を限定するものではないが、本発明のレジストパターンの形成方法を用いることにより、電子線等の露光により生じた樹脂等から発生した電子が上記化合物(C)によって介在されて、感放射線性酸発生剤に好適に電子移動される等により、感放射線性酸発生剤の解離等の酸発生に有利に働き、その結果、レジスト諸性能が向上したものと推察される。
また、本発明のレジストパターンの形成方法において、上記工程(3)において、有機溶媒で現像してネガ型パターンを形成するものとすることができる。本発明のレジストパターンの形成方法を用いることにより、有機溶媒で現像してネガ型パターンを形成する場合において、露光工程における感度やLWR性能等においてより高度な性能の発現が可能となる。
また、本発明のレジストパターンの形成方法において、上記工程(3)において、アルカリ現像液で現像してポジ型パターンを形成するものとすることができる。本発明のレジストパターンの形成方法を用いることにより、アルカリ現像液で現像してポジ型パターンを形成する場合において、露光工程における感度やLWR性能等においてより高度な性能の発現が可能となる。
また、本発明は、さらに、上記のいずれかに記載の方法により形成されたレジストパターンをマスクにして基板にパターンを形成する工程(4-1)を含む、基板の加工方法に関する。
また、本発明は、さらに、上記のいずれかに記載の方法により形成されたレジストパターンをマスクにして金属膜を形成する工程(4-2)を含む、金属膜パターンの製造方法に関する。
本発明の基板の加工方法、及び、金属膜パターンの製造方法は、フェノール性水酸基を有する構造単位(a1)及び環状構造を含む酸解離性基を有する構造単位(a2)を含む樹脂とともに、感放射線性酸発生剤として上記式(1)で表される化合物(1)、及び、上記式(2)で表される化合物(C)を含む感放射線性樹脂組成物基板上に直接又は間接にを塗布してレジスト膜を形成する工程を含むため、各々、高品位の基板パターン、及び、金属膜パターンの加工が可能となる。
一方、本発明は、
フェノール性水酸基を有する構造単位(a1)及び環状構造を含む酸解離性基を有する構造単位(a2)を含む樹脂(A)、
放射線の照射により下記式(1)で表される酸を発生する感放射線性酸発生剤(B)
Figure 0007061268000004

(式中、Rp1は、環員数6以上の環構造を含む1価の基である。Rp2は、2価の連結基である。Rp3及びRp4は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1~20の1価の炭化水素基又は炭素数1~20の1価のフッ素化炭化水素基である。Rp5及びRp6は、それぞれ独立して、フッ素原子又は炭素数1~20の1価のフッ素化炭化水素基である。np1は、0~10の整数である。np2は、0~10の整数である。np3は、0~10の整数である。ただし、np1+np2+np3は、1以上30以下の整数である。np1が2以上の場合、複数のRp2は互いに同一又は異なる。np2が2以上の場合、複数のRp3は互いに同一又は異なり、複数のRp4は互いに同一又は異なる。np3が2以上の場合、複数のRp5は同一又は異なり、複数のRp6は同一又は異なる。)、
下記式(2)で表される化合物(C)
Figure 0007061268000005

(式中、Ar及びArは、それぞれ独立して、炭素数6~18の芳香族炭化水素基であるか、又は、これらが有する水素原子の一部若しくは全部がR、Rによって置換された基である。R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子又は1価の有機基若しくは水酸基である。m及びnは、それぞれ独立して、0~17の整数である。mとnとの合計が2以上の場合、複数のR、Rは、互いに同一又は異なる。)、並びに、
溶剤(D)を含む、感放射線性樹脂組成物に関する。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、フェノール性水酸基を有する構造単位(a1)及び環状構造を含む酸解離性基を有する構造単位(a2)を含む樹脂とともに、感放射線性酸発生剤として上記式(1)で表される化合物(以下、それぞれを「化合物(1)」等ともいう。)、及び、上記式(2)で表される化合物(C)を含むため、露光工程における感度やLWR性能等のいずれも優れたレベルで発揮可能となる。上記効果発現の作用機序は明確ではなく、必ずしもこの推察によって本発明の権利範囲を限定するものではないが、本発明の感放射線性樹脂組成物は、特定構造の感放射線性酸発生剤と特定構造の化合物(C))とを含むことにより、露光工程時に発生した電子(二次的に発生した電子等も含む)が上記化合物(C)によって介在されて、化合物(C)よりも低いLUMOを有する感放射線性酸発生剤に好適に電子移動されることや、上記樹脂中のフェノール水酸基におけるプロトン脱離に有利に相互作用すること等により、感放射線性酸発生剤の解離等の酸発生に有利に働き、その結果、レジスト諸性能を向上させていると推察される。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物において、上記酸解離性基が、カルボキシ基の水素原子を置換する基であることが好ましい。上記構成を有することにより、より確実にレジスト諸性能が向上したものとすることができる。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物において、上記化合物(C)は下記式(3)で表される化合物
Figure 0007061268000006

(式中、R及びRは式(2)の定義と同様である。また、m及びnは、それぞれ独立して、0~5の整数である。mとnとの合計が2以上の場合、複数のR、Rは、互いに同一又は異なる。)、
であることが好ましい。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物において、m及びnのいずれも1以上の場合、上記R及びR(mが2以上の場合には、複数あるRのうち1つ。nが2以上の場合には、複数あるRのうち1つ。)が、いずれもスルホニル基に対してパラ位にあることが好ましい。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物において、上記構造単位(a1)が、ヒドロキシスチレン由来の構造単位とすることができる。ヒドロキシスチレン由来の構造単位を有する樹脂の場合においても、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いることにより、露光工程における感度やLWR性能等においてより高度な性能の発現が可能となる。
なお、本発明におけるヒドロキシスチレン由来の構造単位とは、ヒドロキシスチレンの炭素-炭素間二重結合が付加重合等の結合形成反応の結果生じうる構造単位及びその等価物を含む。上記ヒドロキシスチレンの炭素-炭素間二重結合が付加重合等の結合形成反応の結果生じうる構造単位として、付加重合等の結合形成反応の結果、当該炭素-炭素間二重結合が単結合になった構造単位が含まれる。また、上記単結合になった構造単位であれば、その合成方法に関わらず、ヒドロキシスチレンをモノマーとして重合反応させる以外の方法で形成された構造単位であってもよい。例えば、樹脂(A)中、アルカリ加水分解可能な基で保護されたヒドロキシスチレンモノマーを重合させた後、加水分解させて得られたヒドロキシフェニル単位の繰り返し構造、および、ヒドロキシスチレンモノマーをそのまま重合させて得られた繰り返し構造等をあげることができる。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物において、上記構造単位(a2)における環状構造が、脂環式構造とすることができる。本発明の感放射線性樹脂組成物を用いることにより、露光工程における感度やLWR性能等においてより高度な性能の発現が可能となる。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物において、上記樹脂組成物中における、上記化合物(C)の総含有量が、上記樹脂(A)100質量部に対し1~30質量部であることが好ましい。上記構成を有することにより、より確実にレジスト諸性能が向上したものとすることができる。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物において、極端紫外線(EUV)、X線、又は、電子線(EB)で露光する工程に用いられるものとすることができる。必ずしもこの推察によって本発明の権利範囲を限定するものではないが、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いることにより、電子線等の露光により生じた樹脂等から発生した電子が上記化合物(C)によって介在されて、感放射線性酸発生剤に好適に電子移動される等により、感放射線性酸発生剤の解離等の酸発生に有利に働き、その結果、レジスト諸性能を向上させていると推察される。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物において、有機溶媒で現像してネガ型パターンを形成する工程に用いられるものとすることができる。本発明の感放射線性樹脂組成物を用いることにより、有機溶媒で現像してネガ型パターンを形成する用途に用いられる場合において、露光工程における感度やLWR性能等においてより高度な性能の発現が可能となる。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物において、アルカリ現像液で現像してポジ型パターンを形成する工程に用いられるものとすることができる。本発明の感放射線性樹脂組成物を用いることにより、アルカリ現像液で現像してポジ型パターンを形成する用途に用いられる場合において、露光工程における感度やLWR性能等においてより高度な性能の発現が可能となる。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
<感放射線性樹脂組成物>
本実施形態に係る感放射線性樹脂組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、樹脂(A)、感放射線性酸発生剤(B)、化合物(C)及び溶剤(D)を含む。上記組成物は、本発明の効果を損なわない限り、他の任意成分を含んでいてもよい。
(樹脂(A))
本発明における樹脂(A)は、フェノール性水酸基を有する構造単位(a1)及び環状構造を含む酸解離性基を有する構造単位(a2)を有する重合体の集合体である(以下、この樹脂を「ベース樹脂」ともいう。)。
ベース樹脂たる樹脂(A)は、構造単位(a1)及び構造単位(a2)以外のその他の構造単位を有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
[構造単位(a1)]
構造単位(a1)は、フェノール性水酸基を含む構造単位である。樹脂(A)は、構造単位(a1)及び必要に応じその他の構造単位を有することで、現像液への溶解性をより適度に調整することができ、その結果、上記感放射線性樹脂組成物のLWR性能等をより向上させることができる。また、レジストパターン形成方法における露光工程で照射する放射線として、KrFエキシマレーザー光、EUV、電子線等を用いる場合には、樹脂(A)が構造単位(a1)を有することで、構造単位(a1)はエッチング耐性の向上と、露光部と未露光部との間の現像液溶解性の差(溶解コントラスト)の向上に寄与する。特に、電子線やEUVといった波長50nm以下の放射線による露光を用いるパターン形成に好適に適用することができる。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物においては、上記構造単位(a1)が、ヒドロキシスチレン由来の構造単位とすることができる。
上記構造単位(a1)としては、例えば、下記式(af)で表される構造単位等をあげることができる。
Figure 0007061268000007
上記式(af)中、RAF1は、水素原子又はメチル基である。LAFは、単結合、-COO-、-O-又は-CONH-である。RAF2は、炭素数1~20の1価の有機基である。nf1は、0~3の整数である。nf1が2又は3の場合、複数のRAF2は同一でも異なっていてもよい。nf2は、1~3の整数である。ただし、nf1+nf2は、5以下である。nafは、0~2の整数である。
上記RAF1としては、構造単位(a1)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子であることが好ましい。
AFとしては、単結合及び-COO-であることが好ましい。
なお、樹脂(A)における有機基とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
上記RAF2で表される炭素数1~20の1価の有機基としては、例えば、炭素数1~20の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素-炭素間又は結合手側の末端に2価のヘテロ原子含有基を含む基、当該基及び上記炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部を1価のヘテロ原子含有基で置換した基等をあげることができる。
上記RAF2で表される炭素数1~20の1価の炭化水素基としては、例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などの鎖状炭化水素基;
シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等のシクロアルケニル基などの脂環式炭化水素基;
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などの芳香族炭化水素基等をあげることができる。
上記RAF2としては、鎖状炭化水素基、シクロアルキル基が好ましく、アルキル基及びシクロアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基及びアダマンチル基がさらに好ましい。
上記2価のヘテロ原子含有基としては、例えば、-O-、-CO-、-CO-O-、-S-、-CS-、-SO-、-NR’-、これらのうちの2つ以上を組み合わせた基等をあげることができる。R’は、水素原子又は1価の炭化水素基である。
上記1価のヘテロ原子含有基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、スルファニル基(-SH)等をあげることができる。
これらの中で、1価の鎖状炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
上記nf1としては、0~2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記nf2としては、1及び2が好ましく、1がより好ましい。
上記nafとしては、0及び1が好ましく、0がより好ましい。
上記構造単位(a1)としては、下記式(a1-1)~(a1-6)で表される構造単位等であることが好ましい。
Figure 0007061268000008

上記式(a1-1)~(a1-6)中、RAF1は、上記式(af)と同様である。
これらの中で、構造単位(a1-1)及び(a1-2)が好ましく、(a1-1)がより好ましい。
樹脂(A)中における構造単位(a1)について、構造単位(a1)の含有割合の下限とては、樹脂(A)を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、15モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、25モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、80モル%がより好ましく、70モル%がさらに好ましく、60モル%が特に好ましい。構造単位(a1)の含有割合を上記範囲とすることで、上記感放射線性樹脂組成物は、LWR性能等をさらに向上させうることができる。
ヒドロキシスチレン等のフェノール性水酸基を有するモノマーを直接ラジカル重合させようとすると、フェノール性水酸基の影響により重合が阻害される場合がある。この場合、アルカリ解離性基等の保護基によりフェノール性水酸基を保護した状態で重合させておき、その後加水分解を行って脱保護することにより構造単位(a1)を得るようにすることが好ましい。加水分解により構造単位(a1)を与える構造単位としては、下記式(4)で表されることが好ましい。
Figure 0007061268000009
上記式(4)中、R11は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R12は、炭素数1~20の1価の炭化水素基又はアルコキシ基である。R12の炭素数1~20の1価の炭化水素基としては、炭素数1~20の1価の炭化水素基をあげることができる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基及びtert-ブトキシ基等をあげることができる。
上記R12としては、アルキル基及びアルコキシ基が好ましく、中でもメチル基、tert-ブトキシ基がより好ましい。
[構造単位(a2)]
構造単位(a2)は、環状構造を含む酸解離性基を含む構造単位である。構造単位(a2)としては、環状構造を含む酸解離性基を含む限り特に限定されず、例えば、第三級アルキルエステル部分を有する構造単位、フェノール性水酸基の水素原子が第三級アルキル基で置換された構造を有する構造単位、アセタール結合を有する構造単位等をあげることができるが、上記感放射線性樹脂組成物のパターン形成性の向上の観点から、下記式(5)で表される構造単位(以下、「構造単位(a2-1)」ともいう)が好ましい。
なお、本発明において、「酸解離性基」とは、カルボキシ基、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、スルホ基等が有する水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基をいう。上記感放射線性樹脂組成物は、樹脂が構造単位(a2)を有することで、パターン形成性に優れる。
Figure 0007061268000010
上記式(5)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは、水素原子、又は炭素数1~20の1価の炭化水素基である。R及びR10は、それぞれ独立して、炭素数1~10の1価の鎖状炭化水素基若しくは炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3~20の2価の脂環式基を表す。なお、R~R10のうち、単独または複数が互いに組み合わさり、少なくとも1つ以上の環状構造を有するものとする。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。ただし、Lが2価の連結基である場合、側鎖末端側の構造が-COO-である。
上記Rとしては、構造単位(a2-1)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記Rで表される炭素数1~20の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1~10の鎖状炭化水素基、炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基等をあげることができる。
上記R~R10で表される炭素数1~10の鎖状炭化水素基としては、炭素数1~10の直鎖若しくは分岐鎖飽和炭化水素基、又は炭素数1~10の直鎖若しくは分岐鎖不飽和炭化水素基をあげることができる。
上記R~R10で表される炭素数3~20の脂環式炭化水素基としては、単環若しくは多環の飽和炭化水素基、又は単環若しくは多環の不飽和炭化水素基をあげることができる。単環の飽和炭化水素基としてはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が好ましい。多環のシクロアルキル基としてはノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の有橋脂環式炭化水素基が好ましい。なお、有橋脂環式炭化水素基とは、脂環を構成する炭素原子のうち互いに隣接しない2つの炭素原子間が1つ以上の炭素原子を含む結合連鎖で結合された多環性の脂環式炭化水素基をいう。
上記Rで表される炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などをあげることができる。
上記Rとしては、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素基、炭素数3~20の脂環式炭化水素基が好ましい。
上記R~R10のいずれか複数が互いに組み合わさり、少なくとも1つ以上の環状構造を有する場合、鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3~20の2価の脂環式基は、上記炭素数の単環又は多環の脂環式炭化水素の炭素環を構成する同一炭素原子から2個の水素原子を除いた基であれば特に限定されない。単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基のいずれでもよく、多環式炭化水素基としては、有橋脂環式炭化水素基及び縮合脂環式炭化水素基のいずれでもよく、飽和炭化水素基及び不飽和炭化水素基のいずれでもよい。なお、縮合脂環式炭化水素基とは、複数の脂環が辺(隣接する2つの炭素原子間の結合)を共有する形で構成された多環性の脂環式炭化水素基をいう。
単環の脂環式炭化水素基のうち飽和炭化水素基としては、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロヘプタンジイル基、シクロオクタンジイル基等が好ましく、不飽和炭化水素基としてはシクロペンテンジイル基、シクロヘキセンジイル基、シクロヘプテンジイル基、シクロオクテンジイル基、シクロデセンジイル基等が好ましい。多環の脂環式炭化水素基としては、有橋脂環式飽和炭化水素基が好ましく、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,2-ジイル基(ノルボルナン-2,2-ジイル基)、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,2-ジイル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン-2,2-ジイル基(アダマンタン-2,2-ジイル基)等が好ましい。
上記Lで表される2価の連結基としては、例えば、アルカンジイル基、シクロアルカンジイル基、アルケンジイル基、-RLAO-、-RLBCOO-等をあげることができる(*は酸素側の結合手を表す。)。これらの基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子や塩素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換されていてもよい。
上記アルカンジイル基としては、炭素数1~8のアルカンジイル基が好ましい。
上記シクロアルカンジイル基としては、例えば、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基等の単環のシクロアルカンジイル基;ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等の多環のシクロアルカンジイル基等をあげることができる。上記シクロアルカンジイル基としては、炭素数5~12のシクロアルカンジイル基が好ましい。
上記アルケンジイル基としては、例えば、エテンジイル基、プロペンジイル基、ブテンジイル基等をあげることができる。上記アルケンジイル基としては、炭素数2~6のアルケンジイル基が好ましい。
上記-RLAO-のRLAとしては、上記アルカンジイル基、上記シクロアルカンジイル基、上記アルケンジイル基等をあげることができる。上記-RLBCOO-のRLBとしては、上記アルカンジイル基、上記シクロアルカンジイル基、上記アルケンジイル基、アレーンジイル基等をあげることができる。アレーンジイル基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等をあげることができる。上記アレーンジイル基としては、炭素数6~15のアレーンジイル基が好ましい。
これらの中で、Rは炭素数1~4のアルキル基であり、R及びR10が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される脂環構造が多環又は単環のシクロアルカン構造であることが好ましい。Lは単結合又は-RLAO-であることが好ましい。RLAとしてはアルカンジイル基が好ましい。
また、上記構造単位(a2-1)としては、例えば、下記式(2-1)~(2-4)で表される構造単位(以下、「構造単位(a2-1-1)~(a2-1-4)」ともいう)等をあげることができる。
Figure 0007061268000011
上記式(a2-1-1)~(a2-1-4)中、R~R10は、上記式(5)と同様である。i及びjは、それぞれ独立して、1~4の整数である。
i及びjとしては、1が好ましい。R~R10としては、メチル基、エチル基又はイソプロピル基が好ましい。
構造単位(a2-1)としては、これらの中で、構造単位(a2-1-1)、構造単位(a2-1-2)が好ましく、シクロペンタン構造を有する構造単位、アダマンタン構造を有する構造単位がより好ましく、1-アルキルシクロペンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、2-アルキルアダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位がさらに好ましく、1-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、2-エチルアダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位が特に好ましい。
樹脂(A)は、構造単位(a2)を1種又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
構造単位(a2)の含有割合の下限としては、ベース樹脂たる樹脂(A)を構成する全構造単位に対して、10mol%が好ましく、15mol%がより好ましく、20mol%がさらに好ましく、30mol%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、90mol%が好ましく、80mol%がより好ましく、75mol%がさらに好ましく、70mol%が特に好ましい。構造単位(a2)の含有割合を上記範囲とすることで、上記感放射線性樹脂組成物のパターン形成性をより向上させることができる。
[構造単位(a3)]
構造単位(a3)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位である。樹脂(A)が構造単位(a1)、構造単位(a2)に加えて構造単位(a3)をさらに有することで、極性が適度なものとなりうる。その結果、上記感放射線性樹脂組成物は、化学増幅型レジスト材料として、より微細かつ断面形状の矩形性に優れたレジストパターンを形成することができる。ここで、ラクトン構造とは、-O-C(O)-で表される基を含む1つの環(ラクトン環)を有する構造をいう。また、環状カーボネート構造とは、-O-C(O)-O-で表される基を含む1つの環(環状カーボネート環)を有する構造をいう。スルトン構造とは、-O-S(O)-で表される基を含む1つの環(スルトン環)を有する構造をいう。
構造単位(a3)としては、例えば、下記式で表される構造単位等をあげることができる。
Figure 0007061268000012
Figure 0007061268000013
Figure 0007061268000014
Figure 0007061268000015
上記式中、RALは水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基である。
上記RALとしては、構造単位(a3)を与える単量体の共重合性の観点から水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
構造単位(a3)としては、これらの中で、ノルボルナンラクトン構造を含む構造単位オキサノルボルナンラクトン構造を含む構造単位、γ-ブチロラクトン構造を含む構造単位、エチレンカーボネート構造を含む構造単位、及びノルボルナンスルトン構造を含む構造単位が好ましく、ノルボルナンラクトン-イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、オキサノルボルナンラクトン-イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、シアノ置換ノルボルナンラクトン-イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、ノルボルナンラクトン-イルオキシカルボニルメチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、ブチロラクトン-3-イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、ブチロラクトン-4-イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、3,5-ジメチルブチロラクトン-3-イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、4,5-ジメチルブチロラクトン-4-イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、1-(ブチロラクトン-3-イル)シクロヘキサン-1-イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、エチレンカーボネート-イルメチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、シクロヘキセンカーボネート-イルメチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、ノルボルナンスルトン-イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、及びノルボルナンスルトン-イルオキシカルボニルメチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位がより好ましい。
樹脂(A)が構造単位(a3)を有する場合、樹脂(A)を構成する全構造単位に対する構造単位(a3)の含有割合の下限としては、1モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、25モル%が特に好ましい。一方、上記含有割合の上限としては、70モル%が好ましく、65モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましく、55モル%が特に好ましい。上記含有割合を上記範囲とすることで、上記上記感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンの基板への密着性をより向上させることができる。
[構造単位(a4)]
樹脂(A)は、上記構造単位(a1)~(a3)以外のその他の構造単位(構造単位(a4)ともいう。)を適宜有してもよい。構造単位(a4)としては、例えば、フッ素原子、アルコール性水酸基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、スルホンアミド基等を有する構造単位などをあげることができる。これらの中で、フッ素原子を有する構造単位、アルコール性水酸基を有する構造単位及びカルボキシ基を有する構造単位が好ましく、フッ素原子を有する構造単位及びアルコール性水酸基を有する構造単位がより好ましい。
樹脂(A)が構造単位(a4)を有する場合、樹脂(A)を構成する全構造単位に対する構造単位(a4)の含有割合の下限としては、1モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、40モル%がさらに好ましい。一方、上記含有割合の上限としては、80モル%が好ましく、75モル%がより好ましく、70モル%がさらに好ましい。その他の構造単位の含有割合を上記範囲とすることで、樹脂(A)の現像液への溶解性をより適度にすることができる。その他の構造単位の含有割合が上記上限を超えると、パターン形成性が低下する場合がある。
また、本発明の樹脂(A)において、例えば、(ア)アルカリ加水分解可能な基で保護されたヒドロキシスチレンモノマーを重合させた後、加水分解させて得られたヒドロキシフェニル単位の繰り返し構造、ならびに、(イ)ヒドロキシスチレンモノマーをそのまま重合させて得られた繰り返し構造は、いずれも上記構造単位(a1)に該当し得る。また、(ウ)酸解離性基で保護されたヒドロキシスチレンモノマーを重合させて得られた繰り返し構造については、その酸解離性基が「環状構造を含む酸解離性基」である場合には上記構造単位(a2)」に、環状構造を含まない、その他の酸解離性基により水酸基が保護されたヒドロキシスチレン等の構造の場合には、上記構造単位(a1)~(a3)以外のその他の構造単位である上記構造単位(a4)に該当し得る。
樹脂(A)の含有量としては、上記感放射線性樹脂組成物の全固形分中、70質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。ここで「固形分」とは、上記感放射線性樹脂組成物中に含まれる成分のうち溶媒を除いた全ての成分をいう。
(樹脂(A)の合成方法)
ベース樹脂たる樹脂(A)は、例えば、各構造単位を与える単量体を、ラジカル重合開始剤等を用い、適当な溶剤中で重合反応を行うことにより合成できる。
上記ラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビスイソブチレート等のアゾ系ラジカル開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤等をあげることができる。これらの中で、AIBN、ジメチル2,2’-アゾビスイソブチレートが好ましく、AIBNがより好ましい。これらのラジカル開始剤は1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
上記重合反応に使用される溶剤としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;アセトン、メチルエチルケトン、4-メチル-2-ペンタノン、2-ヘプタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、4-メチル-2-ペンタノール等のアルコール類等をあげることができる。これらの重合反応に使用される溶剤は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。
上記重合反応における反応温度としては、通常40℃~150℃であり、50℃~120℃が好ましい。反応時間としては、通常1時間~48時間であり、1時間~24時間が好ましい。
ベース樹脂たる樹脂(A)の分子量は特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が1,000以上50,000以下が好ましく、2,000以上30,000以下がより好ましく、3,000以上15,000以下がさらに好ましく、4,000以上12,000以下が特に好ましい。樹脂(A)のMwが上記下限未満だと、得られるレジスト膜の耐熱性が低下する場合がある。樹脂(A)のMwが上記上限を超えると、レジスト膜の現像性が低下する場合がある。
ベース樹脂たる樹脂(A)のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)は、通常、1以上5以下であり、1以上3以下が好ましく、1以上2以下がさらに好ましい。
本明細書における樹脂のMw及びMnは、以下の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値である。
GPCカラム:G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本(以上、東ソー製)
カラム温度:40℃
溶出溶剤:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
樹脂(A)の含有量としては、上記感放射線性樹脂組成物の全固形分に対して、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。
(他の樹脂)
本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、他の樹脂として、上記ベース樹脂よりもフッ素原子の質量含有率が大きい樹脂(以下、「高フッ素含有量樹脂」ともいう。)を含んでいてもよい。上記感放射線性樹脂組成物が高フッ素含有量樹脂を含有する場合、上記ベース樹脂に対してレジスト膜の表層に偏在化させることができ、その結果、レジスト膜表面の状態やレジスト膜中の成分分布を所望の状態に制御することができる。
高フッ素含有量樹脂としては、例えば、上記ベース樹脂における構造単位(a1)及び構造単位(a2)を有するとともに、下記式(6)で表される構造単位(以下、「構造単位(a5)」ともいう。)を有することが好ましい。
Figure 0007061268000016
上記式(6)中、R13は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Gは、単結合、酸素原子、硫黄原子、-COO-、-SOONH-、-CONH-又は-OCONH-である。R14は、炭素数1~20の1価のフッ素化鎖状炭化水素基又は炭素数3~20の1価のフッ素化脂環式炭化水素基である。
上記R13としては、構造単位(a5)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記Gとしては、構造単位(a5)を与える単量体の共重合性の観点から、単結合及び-COO-が好ましく、-COO-がより好ましい。
上記R14で表される炭素数1~20の1価のフッ素化鎖状炭化水素基としては、炭素数1~20の直鎖又は分岐鎖アルキル基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されたものをあげることができる。
上記R14で表される炭素数3~20の1価のフッ素化脂環式炭化水素基としては、炭素数3~20の単環又は多環式炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されたものをあげることができる。
上記R14としては、フッ素化鎖状炭化水素基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル基及び5,5,5-トリフルオロ-1,1-ジエチルペンチル基がさらに好ましい。
高フッ素含有量樹脂が構造単位(a5)を有する場合、構造単位(a5)の含有割合の下限としては、高フッ素含有量樹脂を構成する全構造単位に対して、10mol%が好ましく、15mol%がより好ましく、20mol%がさらに好ましく、25mol%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、60mol%が好ましく、50mol%がより好ましく、40mol%がさらに好ましい。構造単位(a5)の含有割合を上記範囲とすることで、高フッ素含有量樹脂のフッ素原子の質量含有率をより適度に調整してレジスト膜の表層への偏在化をさらに促進することができる。
高フッ素含有量樹脂は、構造単位(a5)以外に、下記式(f-1)で表されるフッ素原子含有構造単位(以下、構造単位(a6)ともいう。)を有していてもよい。高フッ素含有量樹脂は構造単位(f-1)を有することで、アルカリ現像液への溶解性が向上し、現像欠陥の発生を抑制することができる。
Figure 0007061268000017
構造単位(a6)は、(x)アルカリ可溶性基を有する場合と、(y)アルカリの作用により解離してアルカリ現像液への溶解性が増大する基(以下、単に「アルカリ解離性基」とも言う。)を有する場合の2つに大別される。(x)、(y)双方に共通して、上記式(f-2)中、Rは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは単結合、炭素数1~20の(s+1)価の炭化水素基、この炭化水素基のR側の末端に酸素原子、硫黄原子、-NRdd-、カルボニル基、-COO-若しくは-CONH-が結合された構造、又はこの炭化水素基が有する水素原子の一部がヘテロ原子を有する有機基により置換された構造である。Rddは、水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基である。sは、1~3の整数である。
構造単位(a6)が(x)アルカリ可溶性基を有する場合、Rは水素原子であり、Aは酸素原子、-COO-*又は-SOO-*である。*はRに結合する部位を示す。Wは単結合、炭素数1~20の炭化水素基又は2価のフッ素化炭化水素基である。Aが酸素原子である場合、WはAが結合する炭素原子にフッ素原子又はフルオロアルキル基を有するフッ素化炭化水素基である。Rは単結合又は炭素数1~20の2価の有機基である。sが2又は3の場合、複数のR、W、A及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。構造単位(a6)が(x)アルカリ可溶性基を有することで、アルカリ現像液に対する親和性を高め、現像欠陥を抑制することができる。(x)アルカリ可溶性基を有する構造単位(a6)としては、Aが酸素原子でありWが1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-メタンジイル基である場合が特に好ましい。
構造単位(a6)が(y)アルカリ解離性基を有する場合、Rは炭素数1~30の1価の有機基であり、Aは酸素原子、-NRaa-、-COO-*又は-SOO-*である。Raaは水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基である。*はRに結合する部位を示す。Wは単結合又は炭素数1~20の2価のフッ素化炭化水素基である。Rは、単結合又は炭素数1~20の2価の有機基である。Aが-COO-*又は-SOO-*である場合、W又はRはAと結合する炭素原子又はこれに隣接する炭素原子上にフッ素原子を有する。Aが酸素原子である場合、W、Rは単結合であり、Rは炭素数1~20の炭化水素基のR側の末端にカルボニル基が結合された構造であり、Rはフッ素原子を有する有機基である。sが2又は3の場合、複数のR、W、A及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。構造単位(a6)が(y)アルカリ解離性基を有することにより、アルカリ現像工程においてレジスト膜表面が疎水性から親水性へと変化する。この結果、現像液に対する親和性を大幅に高め、より効率的に現像欠陥を抑制することができる。(y)アルカリ解離性基を有する構造単位(a6)としては、Aが-COO-*であり、R若しくはW又はこれら両方がフッ素原子を有するものが特に好ましい。
としては、構造単位(a6)を与える単量体の共重合性等の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
が2価の有機基である場合、ラクトン構造を有する基が好ましく、多環のラクトン構造を有する基がより好ましく、ノルボルナンラクトン構造を有する基がより好ましい。
高フッ素含有量樹脂が構造単位(a6)を有する場合、構造単位(a6)の含有割合の下限としては、高フッ素含有量樹脂を構成する全構造単位に対して、10mol%が好ましく、20mol%がより好ましく、30mol%がさらに好ましく、35mol%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、90mol%が好ましく、75mol%がより好ましく、60mol%がさらに好ましい。構造単位(a6)の含有割合を上記範囲とすることで、液浸露光時のレジスト膜の撥水性をより向上させることができる。
高フッ素含有量樹脂のMwの下限としては、1,000が好ましく、2,000がより好ましく、3,000がさらに好ましく、5,000が特に好ましい。上記Mwの上限としては、50,000が好ましく、30,000がより好ましく、20,000がさらに好ましく、15,000が特に好ましい。
高フッ素含有量樹脂のMw/Mnの下限としては、通常1であり、1.1がより好ましい。上記Mw/Mnの上限としては、通常5であり、3が好ましく、2がより好ましく、1.7がさらに好ましい。
高フッ素含有量樹脂の含有量の下限としては、上記感放射線性樹脂組成物中の全固形分に対して、0.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、1質量%がさらに好ましく、1.5質量%がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、20質量%が好ましく、15質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましく、7質量%が特に好ましい。
高フッ素含有量樹脂の含有量の下限としては、上記ベース樹脂100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、0.5質量部がより好ましく、1質量部がさらに好ましく、1.5質量部が特に好ましい。上記含有量の上限としては、15質量部が好ましく、10質量部がより好ましく、8質量部がさらに好ましく、5質量部が特に好ましい。
高フッ素含有量樹脂の含有量を上記範囲とすることで、高フッ素含有量樹脂をレジスト膜の表層へより効果的に偏在化させることができ、その結果、液浸露光時におけるレジスト膜の表面の撥水性をより高めることができる。上記感放射線性樹脂組成物は、高フッ素含有量樹脂を1種又は2種以上含有していてもよい。
(高フッ素含有量樹脂の合成方法)
高フッ素含有量樹脂は、上述のベース樹脂の合成方法と同様の方法により合成することができる。
(感放射線性酸発生剤(B))
本発明における感放射線性酸発生剤(B)は、放射線の照射により下記式(1)で表される酸を発生する感放射線性酸発生剤である。
Figure 0007061268000018

(式中、Rp1は、環構造を含む1価の基である。Rp2は、2価の連結基である。Rp3及びRp4は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1~20の1価の炭化水素基又は炭素数1~20の1価のフッ素化炭化水素基である。Rp5及びRp6は、それぞれ独立して、フッ素原子又は炭素数1~20の1価のフッ素化炭化水素基である。np1は、0~10の整数である。np2は、0~10の整数である。np3は、0~10の整数である。ただし、np1+np2+np3は、1以上30以下の整数である。np1が2以上の場合、複数のRp2は互いに同一又は異なる。np2が2以上の場合、複数のRp3は互いに同一又は異なり、複数のRp4は互いに同一又は異なる。np3が2以上の場合、複数のRp5は互いに同一又は異なり、複数のRp6は互いに同一又は異なる。)。
上記式(1)中、Rp1は、環構造を含む1価の基である。Rp2は、2価の連結基である。Rp3及びRp4は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1~20の1価の炭化水素基又は炭素数1~20の1価のフッ素化炭化水素基である。Rp5及びRp6は、それぞれ独立して、フッ素原子又は炭素数1~20の1価のフッ素化炭化水素基である。np1は、0~10の整数である。np2は、0~10の整数である。np3は、1~10の整数である。np1が2以上の場合、複数のRp2は同一でも異なっていてもよい。np2が2以上の場合、複数のRp3は同一でも異なっていてもよく、複数のRp4は同一でも異なっていてもよい。np3が2以上の場合、複数のRp5は同一でも異なっていてもよく、複数のRp6は同一でも異なっていてもよい。
p1で表される環構造を含む1価の基としては、例えば、環員数5以上の脂環構造を含む1価の基、環員数5以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基、環員数6以上の芳香環構造を含む1価の基、環員数6以上の芳香族複素環構造を含む1価の基等をあげることができる。
上記環員数5以上の脂環構造としては、例えば、
シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造、シクロノナン構造、シクロデカン構造、シクロドデカン構造等の単環のシクロアルカン構造;
シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、シクロヘプテン構造、シクロオクテン構造、シクロデセン構造等の単環のシクロアルケン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環のシクロアルカン構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造等の多環のシクロアルケン構造などをあげることができる。
上記環員数5以上の脂肪族複素環構造としては、例えば、
ペンタノラクトン構造、ヘキサノラクトン構造、ノルボルナンラクトン構造等のラクトン構造;
ペンタノスルトン構造、ヘキサノスルトン構造、ノルボルナンスルトン構造等のスルトン構造;
オキサシクロペンタン構造、オキサシクロヘプタン構造、オキサノルボルナン構造等の酸素原子含有複素環構造;
アザシクロペンタン構造、アザシクロヘキサン構造、ジアザビシクロオクタン構造等の窒素原子含有複素環構造;
チアシクロペンタン構造、チアシクロヘキサン構造、チアノルボルナン構造のイオウ原子含有複素環構造などをあげることができる。
上記環員数6以上の芳香環構造としては、例えば、ベンゼン構造、ナフタレン構造、フェナントレン構造、アントラセン構造等をあげることができる。
上記環員数6以上の芳香族複素環構造としては、例えば、フラン構造、ピラン構造、ベンゾピラン構造等の酸素原子含有複素環構造、ピリジン構造、ピリミジン構造、インドール構造等の窒素原子含有複素環構造などをあげることができる。
p1の環構造の環員数の下限としては、6であってもよく、7が好ましく、8がより好ましく、9がさらに好ましく、10が特に好ましい。一方、上記環員数の上限としては、15が好ましく、14がより好ましく、13がさらに好ましく、12が特に好ましい。上記環員数を上記範囲とすることで、上述の酸の拡散長をさらに適度に短くすることができ、その結果、上記化学増幅型レジスト材料の各種性能をより向上させることができる。
p1の環構造が有する水素原子の一部又は全部は、置換基で置換されていてもよい。上記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基などをあげることができる。これらの中でヒドロキシ基が好ましい。
p1としては、これらの中で、環員数5以上の脂環構造を含む1価の基及び環員数5以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基が好ましく、環員数6以上の脂環構造を含む1価の基及び環員数6以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基がより好ましく、環員数9以上の脂環構造を含む1価の基及び環員数9以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基がさらに好ましく、アダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基、ノルボルナンラクトン-イル基、ノルボルナンスルトン-イル基及び5-オキソ-4-オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン-イル基がさらに好ましく、アダマンチル基が特に好ましい。
p2で表される2価の連結基としては、例えば、カルボニル基、エーテル基、カルボニルオキシ基、スルフィド基、チオカルボニル基、スルホニル基、2価の炭化水素基等をあげることができる。Rp2で表される2価の連結基としては、カルボニルオキシ基、スルホニル基、アルカンジイル基及びシクロアルカンジイル基が好ましく、カルボニルオキシ基及びシクロアルカンジイル基がより好ましく、カルボニルオキシ基及びノルボルナンジイル基がさらに好ましく、カルボニルオキシ基が特に好ましい。
p3及びRp4で表される炭素数1~20の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基等をあげることができる。Rp3及びRp4で表される炭素数1~20の1価のフッ素化炭化水素基としては、例えば、炭素数1~20のフッ素化アルキル基等をあげることができる。Rp3及びRp4としては、水素原子、フッ素原子及びフッ素化アルキル基が好ましく、フッ素原子及びパーフルオロアルキル基がより好ましく、フッ素原子及びトリフルオロメチル基がさらに好ましい。
p5及びRp6で表される炭素数1~20の1価のフッ素化炭化水素基としては、例えば、炭素数1~20のフッ素化アルキル基等をあげることができる。Rp5及びRp6としては、フッ素原子及びフッ素化アルキル基が好ましく、フッ素原子及びパーフルオロアルキル基がより好ましく、フッ素原子及びトリフルオロメチル基がさらに好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
p1としては、0~5の整数が好ましく、0~3の整数がより好ましく、0~2の整数がさらに好ましく、0及び1が特に好ましい。
p2としては、0~2の整数がより好ましく、0及び1がさらに好ましく、0が特に好ましい。
p3としては、0~5の整数が好ましく、1~4の整数がより好ましく、1~3の整数がさらに好ましく、1及び2が特に好ましい。np3を1以上とすることで、上記式(1)の化合物から生じる酸の強さを高めることができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能等をより向上させることができる。np3の上限としては、4が好ましく、3がより好ましく、2がさらに好ましい。
なお、上記式(1)において、np1+np2+np3は、1以上30以下の整数である。np1+np2+np3の下限としては、2が好ましく、4がより好ましい。np1+np2+np3の上限としては、20が好ましく、10がより好ましい。
また、本発明における、放射線の照射により上記式(1)で表される酸を発生する感放射線性酸発生剤(B)として、例えば、下記式(1-1)で表される化合物をあげることができる。
Figure 0007061268000019


(式中、Xは、1価の感放射線性オニウムカチオンである。その他のRp1等は、上記式(1)の場合と同様である。)。
で表される1価の感放射線性オニウムカチオンは、露光光の照射により分解するカチオンである。露光部では、この光分解性オニウムカチオンの分解により生成するプロトンと、スルホネートアニオンとからスルホン酸を生じる。上記Xで表される1価の感放射線性オニウムカチオンとしては、例えば、下記式(1-1-a)で表されるカチオン(以下、「カチオン(1-1-a)」ともいう)、下記式(1-1-b)で表されるカチオン(以下、「カチオン(1-1-b)」ともいう)、下記式(1-1-c)で表されるカチオン(以下、「カチオン(1-1-c)」ともいう)等をあげることができる。
Figure 0007061268000020
上記式(1-1-a)中、RC3、RC4及びRC5は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1~12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6~12の芳香族炭化水素基、-OSO-RCC1若しくは-SO-RCC2であるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。RCC1及びRCC2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1~12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5~25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6~12の芳香族炭化水素基である。c1、c2及びc3は、それぞれ独立して0~5の整数である。RC3~RC5並びにRCC1及びRCC2がそれぞれ複数の場合、複数のRC3~RC5並びにRCC1及びRCC2はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記式(1-1-b)中、RC6は、置換若しくは非置換の炭素数1~8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は置換若しくは非置換の炭素数6~8の芳香族炭化水素基である。c4は0~7の整数である。RC6が複数の場合、複数のRC6は同一でも異なっていてもよく、また、複数のRC6は、互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。RC7は、置換若しくは非置換の炭素数1~7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は置換若しくは非置換の炭素数6若しくは7の芳香族炭化水素基である。c5は、0~6の整数である。RC7が複数の場合、複数のRC7は同一でも異なっていてもよく、また、複数のRC7は互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。nc2は、0~3の整数である。RC8は、単結合又は炭素数1~20の2価の有機基である。nc1は、0~2の整数である。
上記式(1-1-c)中、RC9及びRC10は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1~12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6~12の芳香族炭化水素基、-OSO-RCC3若しくは-SO-RCC4であるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。RCC3及びRCC4は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1~12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5~25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6~12の芳香族炭化水素基である。c6及びc7は、それぞれ独立して0~5の整数である。RC9、RC10、RCC3及びRCC4がそれぞれ複数の場合、複数のRC9、RC10、RCC3及びRCC4はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
C3、RC4、RC5、RC6、RC7、RC9及びRC10で表される非置換の直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基等をあげることができる。
C3、RC4、RC5、RC6、RC7、RC9及びRC10で表される非置換の分岐状のアルキル基としては、例えば、i-プロピル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基等をあげることができる。
C3、RC4、RC5、RC9及びRC10で表される非置換の芳香族炭化水素基としては、例えば、
フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等をあげることができる。
C6及びRC7で表される非置換の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ベンジル基等をあげることができる。
C8で表される2価の有機基としては、例えば、樹脂(A)の構造単位(III)における式(af)のRAF2として例示した炭素数1~20の1価の有機基から、1個の水素原子を除いた基等をあげることができる。
アルキル基及び芳香族炭化水素基が有する水素原子を置換していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等をあげることができる。これらの中で、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
C3、RC4、RC5、RC6、RC7、RC9及びRC10としては、非置換の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素化アルキル基、非置換の1価の芳香族炭化水素基、-OSO-RBB5、及び-SO-RBB5が好ましく、フッ素化アルキル基及び非置換の1価の芳香族炭化水素基がより好ましく、フッ素化アルキル基がさらに好ましい。RBB5は、非置換の1価の脂環式炭化水素基又は非置換の1価の芳香族炭化水素基である。
式(1-1-a)におけるc1、c2及びc3としては、0~2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。式(1-1-b)におけるc4としては、0~2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、1がさらに好ましい。c5としては、0~2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。nc2としては、2及び3が好ましく、2がより好ましい。nc1としては、0及び1が好ましく、0がより好ましい。式(1-1-c)におけるc6及びc7としては、0~2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。
としては、これらの中で、カチオン(1-1-a)及びカチオン(1-1-b)が好ましく、ジフェニルヨードニウムカチオン、トリフェニルスルホニウムカチオン、1-[2-(4-シクロヘキシルフェニルカルボニル)プロパン-2-イル]テトラヒドロチオフェニウムカチオン、及び4-シクロヘキシルスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカチオンがより好ましい。
上記式(1-1)で表される酸発生剤としては例えば、下記式(c1)~(c16)で表される化合物(以下、「化合物(c1)~(c16)」ともいう)等をあげることができる。
Figure 0007061268000021
Figure 0007061268000022
上記式(c1)~(c16)中、Xは、1価の感放射線性オニウムカチオンである。
感放射線性酸発生剤(B)としては、オニウム塩化合物が好ましく、スルホニウム塩化合物及びヨードニウム塩がより好ましく、化合物(c5)、(c14)、(c15)及び
(c16)がさらに好ましい。
また、感放射線性酸発生剤(B)は、重合体成分たる樹脂(A)を構成する重合体の一部であってもよい。この場合、感放射線性酸発生剤(B)は、上記化合物から水素原子1つを除いた基が重合体に結合する形で存在する。除かれる水素原子は上記化合物のアニオン上のものであっても、カチオン上のものであってもよいが、アニオン上の水素原子が除かれた基が重合体に結合しているものが好ましい。
感放射線性酸発生剤(B)が重合体成分たる樹脂(A)とは異なる成分である場合、樹脂(A)100質量部に対する感放射線性酸発生剤(B)の配合量の下限としては、0.01質量部が好ましく、0.1質量部がより好ましい。一方、上記配合量の上限としては、50質量部が好ましく、30質量部がより好ましい。
感放射線性酸発生剤(B)が(1)重合体成分を構成する樹脂(A)の一部である場合、樹脂(A)に対する感放射線性酸発生剤(B)の含有割合の下限としては、0.1mol%が好ましく、0.2mol%がより好ましく、1mol%がさらに好ましい。一方、上記含有割合の上限としては、50mol%が好ましく、30mol%がより好ましい。
上記配合量又は含有割合が上記下限より小さいと、感度が低下するおそれがある。逆に、上記配合量又は含有割合が上記上限を超えると、レジスト膜を形成し難くなるおそれや、レジストパターンの断面形状における矩形性が低下するおそれがある。
(化合物(C))
本発明における化合物(C)は、下記式(2)で表される化合物である。
Figure 0007061268000023

(式中、Ar及びArは、それぞれ独立して、炭素数6~18の芳香族炭化水素基であるか、又は、これらが有する水素原子の一部若しくは全部がR、Rによって置換された基である。R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子又は1価の有機基若しくは水酸基である。m及びnは、それぞれ独立して、0~17の整数である。mとnとの合計が2以上の場合、複数のR、Rは、互いに同一又は異なる。)
上記式(2)中、Ar及びArは、それぞれ独立して、炭素数6~18の芳香族炭化水素基であるか、又は、これらが有する水素原子の一部若しくは全部がR、Rによって置換された基である。R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子又は1価の有機基若しくは水酸基である。
なお、上記式(2)における有機基とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
Ar及びArにおける炭素数6~18の芳香族炭化水素基として、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ナフタセニル基、ピレニル基、トリフェニレニル基等をあげることができる。
上記R及びRとして、例えば、
塩素原子、フッ素原子、ヨウ素原子、水酸基、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などの鎖状炭化水素基;
シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等のシクロアルケニル基などの脂環式炭化水素基;
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などの芳香族炭化水素基等をあげることができる。
上記m及びnは、それぞれ独立して、0~17の整数である。mとnとの合計が2以上の場合、複数のR、Rは、互いに同一又は異なる。
また、本発明において、上記化合物(C)として、例えば、下記式(3)で表される化合物
Figure 0007061268000024

(式中、R及びRは式(1)の定義と同様とする。また、m及びnは、それぞれ独立して、0~5の整数である。mとnとの合計が2以上の場合、複数のR、Rは、互いに同一又は異なる。)、
をあげることができる。
上記式(3)における上記R及びRは式(2)の定義と同様であるが、
塩素原子、フッ素原子、ヨウ素原子、水酸基、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などの鎖状炭化水素基;
シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等のシクロアルケニル基などの脂環式炭化水素基等を好適なものとしてあげることができる。
本発明において、上記R及びRが、例えば、m及びnのいずれも1以上の場合、いずれもスルホニル基に対してパラ位にある化合物(C)が好適なものとしてあげることができる。また、mが2以上の場合には、複数あるRのうち1つがスルホニル基に対してパラ位にあることが好ましい。nが2以上の場合には、複数あるRのうち1つがスルホニル基に対してパラ位にあることが好ましい。また、m及びnのいずれも2以上の場合、複数あるRのうち1つ及び複数あるRのうち1つが、いずれもスルホニル基に対してパラ位にあることが好ましい。
また、本発明において、上記樹脂組成物中における、上記化合物(C)の総含有量が、上記樹脂(A)100質量部に対し1~30質量部であることが好ましく、3~20質量部であることが、より好ましく、5~15質量部であることがより好ましい。
(溶剤(D))
上記感放射線性樹脂組成物は、溶剤を含有する。溶剤は、少なくとも樹脂、感放射線性酸発生剤及び所望により含有される酸拡散制御剤等を溶解又は分散可能な溶剤であれば特に限定されない。
溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤等をあげることができる。
アルコール系溶剤としては、例えば、
iso-プロパノール、4-メチル-2-ペンタノール、3-メトキシブタノール、n-ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、フルフリルアルコール、シクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、ジアセトンアルコール等の炭素数1~18のモノアルコール系溶剤;
エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の炭素数2~18の多価アルコール系溶剤;
上記多価アルコール系溶剤が有するヒドロキシ基の一部をエーテル化した多価アルコール部分エーテル系溶剤等をあげることができる。
エーテル系溶剤としては、例えば、
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶剤;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶剤;
ジフェニルエーテル、アニソール(メチルフェニルエーテル)等の芳香環含有エーテル系溶剤;
上記多価アルコール系溶剤が有するヒドロキシ基をエーテル化した多価アルコールエーテル系溶剤等をあげることができる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、ブタノン、メチル-iso-ブチルケトン等の鎖状ケトン系溶剤:
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶剤:
2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等をあげることができる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N’-ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルピロリドン等の環状アミド系溶剤;
N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶剤等をあげることができる。
エステル系溶剤としては、例えば、
酢酸n-ブチル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶媒;
ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分エーテルアセテート系溶剤;
γ-ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系溶剤;
ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶剤;
ジ酢酸プロピレングリコール、酢酸メトキシトリグリコール、シュウ酸ジエチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、フタル酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶媒をあげることができる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、
n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;
ベンゼン、トルエン、ジ-iso-プロピルベンセン、n-アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶剤等をあげることができる。
これらの中で、エステル系溶剤、ケトン系溶剤が好ましく、多価アルコール部分エーテルアセテート系溶剤、環状ケトン系溶剤、ラクトン系溶剤がより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトンがさらに好ましい。上記感放射線性樹脂組成物は、溶剤を1種又は2種以上含有していてもよい。
(その他の任意成分)
上記感放射線性樹脂組成物は、上記成分以外にも、その他の任意成分を含有していてもよい。上記その他の任意成分としては、例えば、酸拡散制御剤、架橋剤、偏在化促進剤、界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等をあげることができる。これらのその他の任意成分は、それぞれ1種又は2種以上を併用してもよい。
(酸拡散制御剤)
上記感放射線性樹脂組成物は、必要に応じて、酸拡散制御剤を含有してもよい。酸拡散制御剤は、露光により感放射線性酸発生剤から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する。また、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上する。さらに、レジストパターンの解像度がさらに向上すると共に、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に優れた感放射線性樹脂組成物が得られる。
酸拡散制御剤としては、例えば、下記式(7)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」ともいう)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(II)」ともいう)、窒素原子を3個有する化合物(以下、「含窒素化合物(III)」ともいう)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等をあげることができる。
Figure 0007061268000025
上記式(7)中、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基又は置換若しくは非置換のアラルキル基である。
含窒素化合物(I)としては、例えば、n-ヘキシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ-n-ブチルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン等の芳香族アミン類等をあげることができる。
含窒素化合物(II)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン等をあげることができる。
含窒素化合物(III)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等のポリアミン化合物;ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の重合体等をあげることができる。
アミド基含有化合物としては、例えば、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N-メチルピロリドン等をあげることができる。
ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1-ジメチルウレア、1,3-ジメチルウレア、1,1,3,3-テトラメチルウレア、1,3-ジフェニルウレア、トリブチルチオウレア等をあげることができる。
含窒素複素環化合物としては、例えば、ピリジン、2-メチルピリジン等のピリジン類;N-プロピルモルホリン、N-(ウンデシルカルボニルオキシエチル)モルホリン等のモルホリン類;ピラジン、ピラゾール等をあげることができる。
また、上記含窒素有機化合物として、酸解離性基を有する化合物を用いることもできる。このような酸解離性基を有する含窒素有機化合物としては、例えば、N-t-ブトキシカルボニルピペリジン、N-t-ブトキシカルボニルイミダゾール、N-t-ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N-t-ブトキシカルボニル-2-フェニルベンズイミダゾール、N-(t-ブトキシカルボニル)ジ-n-オクチルアミン、N-(t-ブトキシカルボニル)ジエタノールアミン、N-(t-ブトキシカルボニル)ジシクロヘキシルアミン、N-(t-ブトキシカルボニル)ジフェニルアミン、N-t-ブトキシカルボニル-4-ヒドロキシピペリジン、N-t-アミルオキシカルボニル-4-ヒドロキシピペリジン等をあげることができる。
また、酸拡散制御剤として、露光により弱酸を発生する感放射線性弱酸発生剤を好適に用いることもできる。上記感放射線性弱酸発生剤より発生する酸は、110℃で60秒間加熱した際に上記樹脂中の酸解離性基を解離を誘発しない酸である。なお、本明細書中において、ある酸が酸解離性基の解離を誘発するとは、110℃で60秒間加熱した際に樹脂中に含まれる酸解離性基を解離させることをいう。
感放射線性弱酸発生剤としては、例えば、露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物等をあげることができる。オニウム塩化合物としては、例えば、下記式(8-1)で表されるスルホニウム塩化合物、下記式(8-2)で表されるヨードニウム塩化合物等をあげることができる。
Figure 0007061268000026
上記式(8-1)及び式(8-2)中、Jはスルホニウムカチオンであり、Uはヨードニウムカチオンである。Jで表されるスルホニウムカチオンとしては、下記式(1-1-a)、(1-1-b)で表されるスルホニウムカチオンの他、下記式(X-1)で表されるスルホニウムカチオンが挙げられ、U+で表されるヨードニウムカチオンとしては、上記式(1-1-c)で表されるヨードニウムカチオンのほか、下記式(X-2)で表されるヨードニウムカチオンをあげることができる。E-及びQ-は、それぞれ独立して、OH-、Rα-COO-、Rα-SO3-で表されるアニオンである。Rαは、アルキル基、アリール基又はアラルキル基である。Rαで表されるアリール基又はアラルキル基の芳香環の水素原子は、ヒドロキシ基、フッ素原子置換若しくは非置換の炭素数1~12のアルキル基又は炭素数1~12のアルコキシ基で置換されていてもよい。
Figure 0007061268000027

Figure 0007061268000028
上記式(X-1)中、Rc1、Rc2及びRc3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1~12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6~12の芳香族炭化水素基である。
上記式(X-2)中、Re1及びRe2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換若しくは非置換の炭素数1~12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6~12の芳香族炭化水素基である。k8及びk9は、それぞれ独立して0~4の整数である。
上記各基が有する水素原子を置換していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基(シクロアルキル基又は芳香族炭化水素基の水素原子を置換する場合)、アリール基(アルキル基の水素原子を置換する場合)、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等が挙げられる。これらの中で、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基が好ましく、アルコキシ基又はアルコキシカルボニル基がより好ましい。
上記感放射線性弱酸発生剤としては、例えば、下記式で表される化合物等をあげることができる。ただし、酸解離性基の解離を誘発するか否かは、解離が誘発される酸解離性基の構造等によって相対的に定まるものであり、下記の化合物全てが常に感放射線性弱酸発生剤に該当するものではない。
Figure 0007061268000029
上記感放射線性弱酸発生剤としては、これらの中で、スルホニウム塩が好ましく、トリアリールスルホニウム塩がより好ましく、トリフェニルスルホニウムサリチレート及びトリフェニルスルホニウム10-カンファースルホネートがさらに好ましい。
酸拡散制御剤の含有量の下限としては、感放射線性酸発生剤の合計100質量部に対して、3質量部が好ましく、4質量部がより好ましく、5質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、150質量部が好ましく120質量部がより好ましく、110質量部がさらに好ましい。
酸拡散制御剤の含有量を上記範囲とすることで、上記感放射線性樹脂組成物のリソグラフィー性能をより向上させることができる。上記感放射線性樹脂組成物は、酸拡散制御剤を1種又は2種以上を含有していてもよい。
(架橋剤)
架橋剤は2つ以上の官能基を有する化合物であり、一括露光工程後のベーク工程において、酸触媒反応により(1)重合体成分において架橋反応を引き起こし、(1)重合体成分の分子量を増加させることで、パターン露光部の現像液に対する溶解度を低下させるものである。上記官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、エポキシ基、ビニルエーテル基等をあげることができる。
(偏在化促進剤)
偏在化促進剤は、上記高フッ素含有量樹脂をより効率的にレジスト膜表面に偏在させる効果を有するものである。上記感放射線性樹脂組成物にこの偏在化促進剤を含有させることで、上記高フッ素含有量樹脂の添加量を従来よりも少なくすることができる。従って、上記感放射線性樹脂組成物のリソグラフィー性能を維持しつつ、レジスト膜から液浸媒体への成分の溶出をさらに抑制したり、高速スキャンにより液浸露光をより高速に行うことが可能になり、結果としてウォーターマーク欠陥等の液浸由来欠陥を抑制するレジスト膜表面の疎水性を向上させることができる。このような偏在化促進剤として用いることができるものとしては、例えば、比誘電率が30以上200以下で、1気圧における沸点が100℃以上の低分子化合物をあげることができる。このような化合物としては、具体的には、ラクトン化合物、カーボネート化合物、ニトリル化合物、多価アルコール等をあげることができる。
上記ラクトン化合物としては、例えば、γ-ブチロラクトン、バレロラクトン、メバロニックラクトン、ノルボルナンラクトン等をあげることができる。
上記カーボネート化合物としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等をあげることができる。
上記ニトリル化合物としては、例えば、スクシノニトリル等をあげることができる。
上記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン等をあげることができる。
偏在化促進剤の含有量の下限としては、上記感放射線性樹脂組成物における樹脂の総量100質量部に対して、10質量部が好ましく、15質量部がより好ましく、20質量部がさらに好ましく、25質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、300質量部が好ましく、200質量部がより好ましく、100質量部がさらに好ましく、80質量部が特に好ましい。上記感放射線性樹脂組成物は、偏在化促進剤を1種又は2種以上含有していてもよい。
(界面活性剤)
界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn-オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn-ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤;市販品としては、KP341(信越化学工業製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、同F173(以上、DIC製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サーフロンS-382、同SC-101、同SC-102、同SC-103、同SC-104、同SC-105、同SC-106(以上、旭硝子工業製)等をあげることができる。上記感放射線性樹脂組成物における界面活性剤の含有量としては、樹脂100質量部に対して通常2質量部以下である。
(脂環式骨格含有化合物)
脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
脂環式骨格含有化合物としては、例えば、
1-アダマンタンカルボン酸、2-アダマンタノン、1-アダマンタンカルボン酸t-ブチル等のアダマンタン誘導体類;
デオキシコール酸t-ブチル、デオキシコール酸t-ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2-エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;
リトコール酸t-ブチル、リトコール酸t-ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2-エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;
3-〔2-ヒドロキシ-2,2-ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.1(2,5).1(7,10)]ドデカン、2-ヒドロキシ-9-メトキシカルボニル-5-オキソ-4-オキサ-トリシクロ[4.2.1.0(3,7)]ノナン等をあげることができる。上記感放射線性樹脂組成物における脂環式骨格含有化合物の含有量としては、樹脂100質量部に対して通常5質量部以下である。
(増感剤)
増感剤は、感放射線性酸発生剤等からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、上記感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
増感剤としては、例えば、カルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等をあげることができる。これらの増感剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。上記感放射線性樹脂組成物における増感剤の含有量としては、樹脂100質量部に対して通常2質量部以下である。
<感放射線性樹脂組成物の調製方法>
上記感放射線性樹脂組成物は、例えば、樹脂、感放射線性酸発生剤、必要に応じて酸拡散制御剤、高フッ素含有量樹脂等、及び溶剤を所定の割合で混合することにより調製できる。上記感放射線性樹脂組成物は、混合後に、例えば、孔径0.05μm程度のフィルター等でろ過することが好ましい。上記感放射線性樹脂組成物の固形分濃度としては、通常0.1質量%~50質量%であり、0.5質量%~30質量%が好ましく、1質量%~20質量%がより好ましい。
<レジストパターン形成方法>
本発明におけるレジストパターン形成方法は、
基板上に直接又は間接に上記感放射線性樹脂組成物を塗布してレジスト膜を形成する工程(1)(以下、「レジスト膜形成工程」ともいう)、
上記レジスト膜を露光する工程(2)(以下、「露光工程」ともいう)、及び、
露光された上記レジスト膜を現像する工程(3)(以下、「現像工程」ともいう)を含む。
上記レジストパターン形成方法によれば、上記感放射線性樹脂組成物を用いているため、露光工程における感度やLWR性能を優れたレベルで発揮可能なレジストパターンを形成することができる。以下、各工程について説明する。
[レジスト膜形成工程]
本工程(上記工程(1))では、上記感放射線性樹脂組成物でレジスト膜を形成する。このレジスト膜を形成する基板としては、例えば、シリコンウェハ、二酸化シリコン、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知のもの等をあげることができる。また、例えば、特公平6-12452号公報や特開昭59-93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。塗布方法としては、例えば、回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等をあげることができる。塗布した後に、必要に応じて、塗膜中の溶剤を揮発させるため、プレベーク(PB)を行ってもよい。PB温度としては、通常60℃~140℃であり、80℃~120℃が好ましい。PB時間としては、通常5秒~600秒であり、10秒~300秒が好ましい。形成されるレジスト膜の膜厚としては、10nm~1,000nmが好ましく、10nm~500nmがより好ましい。
液浸露光を行う場合、上記感放射線性樹脂組成物における上記高フッ素含有量樹脂等の撥水性重合体添加剤の有無にかかわらず、上記形成したレジスト膜上に、液浸液とレジスト膜との直接の接触を避ける目的で、液浸液に不溶性の液浸用保護膜を設けてもよい。液浸用保護膜としては、現像工程の前に溶剤により剥離する溶剤剥離型保護膜(例えば、特開2006-227632号公報参照)、現像工程の現像と同時に剥離する現像液剥離型保護膜(例えば、WO2005-069076号公報、WO2006-035790号公報参照)のいずれを用いてもよい。ただし、スループットの観点からは、現像液剥離型液浸用保護膜を用いることが好ましい。
また、次工程である露光工程を波長50nm以下の放射線にて行う場合、上記組成物中のベース樹脂として上記構造単位(a1)及び構造単位(a2)を有する樹脂を用いることが好ましい。
[露光工程]
本工程(上記工程(2))では、上記工程(1)であるレジスト膜形成工程で形成されたレジスト膜に、フォトマスクを介して(場合によっては、水等の液浸媒体を介して)、放射線を照射し、露光する。露光に用いる放射線としては、目的とするパターンの線幅に応じて、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、EUV(極端紫外線)、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などをあげることができる。これらの中でも、遠紫外線、電子線、EUVが好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、電子線、EUVがより好ましく、次世代露光技術として位置付けされる波長50nm以下の電子線、EUVがさらに好ましい。
露光を液浸露光により行う場合、用いる液浸液としては、例えば、水、フッ素系不活性液体等をあげることができる。液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつ膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー光(波長193nm)である場合、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤をわずかな割合で添加しても良い。この添加剤は、ウェハ上のレジスト膜を溶解させず、かつレンズの下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。使用する水としては蒸留水が好ましい。
上記露光の後、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行い、レジスト膜の露光された部分において、露光により感放射線性酸発生剤から発生した酸による樹脂等が有する酸解離性基の解離を促進させることが好ましい。このPEBによって、露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性に差が生じる。PEB温度としては、通常50℃~180℃であり、80℃~130℃が好ましい。PEB時間としては、通常5秒~600秒であり、10秒~300秒が好ましい。
[現像工程]
本工程(上記工程(3))では、上記工程(2)である上記露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。これにより、所定のレジストパターンを形成することができる。現像後は、水又はアルコール等のリンス液で洗浄し、乾燥することが一般的である。
上記現像に用いる現像液としては、アルカリ現像の場合、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ-[4.3.0]-5-ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液等をあげることができる。これらの中でも、TMAH水溶液が好ましく、2.38質量%TMAH水溶液がより好ましい。
また、有機溶剤現像の場合、炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤等の有機溶剤、又は有機溶剤を含有する溶剤をあげることができる。上記有機溶剤としては、例えば、上述の感放射線性樹脂組成物の溶剤として列挙した溶剤の1種又は2種以上等をあげることができる。これらの中でも、エステル系溶剤、ケトン系溶剤が好ましい。エステル系溶剤としては、酢酸エステル系溶剤が好ましく、酢酸n-ブチル、酢酸アミルがより好ましい。ケトン系溶剤としては、鎖状ケトンが好ましく、2-ヘプタノンがより好ましい。現像液中の有機溶剤の含有量としては、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以上が特に好ましい。現像液中の有機溶剤以外の成分としては、例えば、水、シリコンオイル等をあげることができる。
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等をあげることができる。
<基板の加工方法、金属膜パターンの製造方法>
本発明における基板の加工方法は、
さらに、上記いずれかの方法により形成されたレジストパターンをマスクにして基板にパターンを形成する工程(4-1)を含む。
また、本発明における金属膜パターンの製造方法は、
さらに、上記いずれかに記載の方法により形成されたレジストパターンをマスクにして金属膜を形成する工程(4-2)を含む。
上記基板の加工方法、及び、上記金属膜パターンの製造方法は、上記感放射線性樹脂組成物を用いているため、各々、高品位の基板パターン、及び、金属膜パターンの加工が可能となる。
上記工程(4-1)は、いずれかに記載の方法により形成されたレジストパターンをマスクにして基板にパターンを形成する工程であるが、レジストパターンをマスクにして基板にパターンを形成する方法として、たとえば、基板上にレジストパターンを形成後、レジストがない部分にドライエッチング等の方法により基板にパターンを形成する方法や、レジストパターンを形成後、レジストがない部分にCVD等により基板構成成分を蒸着させたり、無電解めっき等の方法により金属を付着させて、基板の一部又は全部を形成する方法をあげることができる。
上記工程(4-2)は、いずれかに記載の方法により形成されたレジストパターンをマスクにして金属膜を形成する工程であるが、レジストパターンをマスクにして金属膜を形成する方法として、たとえば、レジストパターンを形成後、レジストがない部分に無電解めっき等の方法により金属を付着させて金属膜を形成する方法や、金属膜上にレジストパターンを形成し、レジストがない部分の金属膜をドライエッチング等の方法により除去して金属膜を形成する方法をあげることができる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に示す。
[重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分散度(Mw/Mn)の測定]
実施例で用いる重合体のMw及びMnは、東ソー社製GPCカラム(G2000HXL:2本、G3000HXL:1本、及びG4000HXL:1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、試料濃度:1.0質量%、試料注入量:100μL、カラム温度:40℃、検出器:示差屈折計の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
13C-NMR分析]
日本電子社の「JNM-ECX400」を用い、測定溶媒として重ジメチルスルホキシドを使用して、各重合体における各構造単位の含有割合(モル%)を求める分析を行った。
<[A]重合体及び[D]重合体の合成>
各実施例及び比較例における各重合体の合成に用いた単量体を以下に示す。なお以下の合成例においては特に断りのない限り、質量部は使用した単量体の合計質量を100質量部とした場合の値を意味し、モル%は使用した単量体の合計モル数を100モル%とした場合の値を意味する。
Figure 0007061268000030
[合成例1]重合体(A-1)の合成
表1の処方に従って、単量体としての化合物(M-9)及び化合物(M-1)を、それらのモル比率が50/50となるよう、プロピレングリコールモノメチルエーテル(100質量部)に合計33質量部溶解した。次いで、ここに開始剤としてのAIBN(6モル%)と、連鎖移動剤としてのt-ドデシルメルカプタン(開始剤100質量部に対して38質量部)とを加えて単量体溶液を調製した。
得られた単量体溶液を用いて、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間共重合反応を行った。上記重合反応終了後、得られた重合溶液をn-ヘキサン(1000質量部)中に滴下して、重合体を凝固精製した。
次いで、得られた重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル(150質量部)を加えた。更に、メタノール(150質量部)、トリエチルアミン(化合物(M-9)の使用量に対し1.5モル当量)及び水(化合物(M-9)の使用量に対し1.5モル当量)を加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。上記反応終了後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン(150質量部)に溶解した。これを水(2000質量部)中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末を濾別した。次いで、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A-1)を良好な収率で得た。
得られた重合体(A-1)のMwは6,500であり、Mw/Mnは1.54であった。13C-NMR分析の結果、(M-9)及び(M-1)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ50.3モル%及び49.7モル%であった。
[合成例2~12](重合体(A-2)~(A-12)、(A-14)の合成)
表1の処方に従って、モノマーを各々選択し、合成例1と同様の操作を行うことによって、重合体(A-2)~(A-12)、(A-14)を合成した。
[合成例13]重合体(A-13)の合成
表1の処方に従って、単量体としての化合物(M-15)及び化合物(M-1)を、モル比率が50/50となるよう、2-ブタノン(200質量部)に合計100質量部溶解させ、得られた溶液に開始剤としてAIBN(5モル%)を溶解させることで単量体溶液を調製した。
次に、2-ブタノン(100質量部)を入れた三口フラスコを窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃に加熱し、そこに調製した上記単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、この反応液をさらに80℃で3時間加熱することにより重合反応を行った。重合反応終了後、反応液を室温まで冷却し、その後、メタノール(1500質量部)に投入して析出した固体を濾別した。濾別した固体をメタノール(300質量部)で2回洗浄し、さらに濾別した後、減圧下、50℃で15時間乾燥させることで重合体(A-13)を得た(収率79%)。
得られた重合体(A-13)のMwは6,100であり、Mw/Mnは1.41であった。13C-NMR分析の結果、重合体(A-13)における化合物(M-15)及び化合物(M-1)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ49.8モル%及び50.2モル%であった。
[合成例15]重合体(A-15)の合成
特許第6028067号の段落[0251]項を参考に、単量体としての化合物(M-16)、(M-2)及び化合物(M-18)を、モル比率が30/60/10となるように重合体を重合した。
[合成例16]重合体(D-1)の合成
表1の処方に従って、単量体としての化合物(M-2)、化合物(M-13)及び化合物(M-14)を、モル比率が20/40/40となるよう、2-ブタノン(66.6質量部)に合計33質量部溶解させ、得られた溶液に開始剤としてAIBN(5モル%)を溶解させることで単量体溶液を調製した。
次に、2-ブタノン(33.3質量部)を入れた三口フラスコを窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃に加熱し、そこに調製した上記単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、この反応液をさらに80℃で3時間加熱することにより重合反応を行った。重合反応終了後、反応液を室温まで冷却した。反応液を分液漏斗に移液した後、n-ヘキサン(150質量部)で上記反応液を均一に希釈し、その後、メタノール(600質量部)を投入して混合した。次いで、この混合液に蒸留水(30質量部)を投入し、さらに攪拌して30分静置した。次いで、混合液から下層を回収し、回収した下層の溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに置換することで、固形分である重合体(D-1)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た(収率72.0%)。
得られた重合体(D-1)のMwは7,300であり、Mw/Mnは2.00であった。13C-NMR分析の結果、重合体(D-1)における化合物(M-2)、化合物(M-13)、及び化合物(M-14)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ20.1モル%、38.9モル%、及び41.0モル%であった。
各合成例の処方内容および調製結果を下記表1に示す。
Figure 0007061268000031
<感放射線性樹脂組成物の調製>
実施例及び比較例の感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[B]酸発生剤、[C]酸拡散制御剤、[E]溶媒、及び[F]添加剤について、以下に示す。
[[B]酸発生剤]
各構造式を以下に示す。
Figure 0007061268000032
[[C]酸拡散制御剤]
各構造式を以下に示す。
Figure 0007061268000033

[[E]溶媒]
E-1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
E-2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
[[F]添加剤]
各構造式を以下に示す。
Figure 0007061268000034

[実施例1]
[A]重合体としての(A-1)100質量部、[B]感放射線性酸発生剤としての(B-1)17質量部、[C]酸拡散制御剤としての(C-1)5質量部、並びに[D]重合体としての(D-1)3質量部、溶剤として[E]溶媒としての(E-1)2240質量部、(E-2)960質量部、並びに[F]添加剤として(F-1)10質量部を混合し、20nmのメンブランフィルターでろ過し、感放射線性樹脂組成物(J-1)を調製した。
[実施例2~27及び比較例1~4](感放射線性樹脂組成物(J-2)~(J-27)及び(CJ-1)~(CJ-4))
下記表2に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、各感放射線性樹脂組成物を調製した。
Figure 0007061268000035
[電子線露光及びアルカリ現像によるレジストパターンの形成]
8インチのシリコンウエハ表面にスピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT8」)を使用して、表2に記載の各感放射線性樹脂組成物を塗布し、60秒間PBを行った。その後、上記シリコンウエハを23℃で30秒間冷却し、平均厚さ50nmのレジスト膜を形成した。
次に、得られたレジスト膜に、簡易型の電子線描画装置(日立製作所社の「HL800D」、出力:50KeV、電流密度:5.0A/cm)を用いて電子線を照射した。照射後、上記レジスト膜に130℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液としての2.38質量%TMAH水溶液を用いて上記レジスト膜を23℃で30秒間現像し、その後、水で洗浄し、さらに乾燥させることでポジ型のレジストパターンを形成した。
[電子線露光及び有機溶媒現像によるレジストパターンの形成]
上記TMAH水溶液に代えて酢酸n-ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記アルカリ現像によるレジストパターンの形成と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
[最適露光量(感度)]
レジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。線幅が100nmのラインアンドスペースパターンになるところを最適露光量とし、この最適露光量を感度(μC)とした。感度は、小さい値ほど良好と評価できる。
[LWR性能]
上記形成した線幅が100nm(L/S=1/1)のレジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。線幅を任意のポイントで計50点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求
め、これをLWR性能(nm)とした。LWR性能は、その値が小さいほど、線幅のばらつきが小さく良いことを示す。LWR性能は、20nm以下の場合は良好と、20nmを超える場合は不良と評価できる。
各レジストパターンの形成結果を下記表3に示す。
Figure 0007061268000036
[実施例30~35及び比較例5~6]
上記表2に示す各感放射線性樹脂組成物を用いて、以下の評価を行った。
[EUV露光及びアルカリ現像によるレジストパターンの形成]
膜厚20nmのAL412(ブルーワーサイエンス社)を塗工した12インチのシリコンウエハ表面にスピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT8」)を使用して、上記調製した感放射線性樹脂組成物を塗工し、130℃で60秒間PBを行った後、23℃で30秒間冷却し、膜厚55nmのレジスト膜を形成した。
次に、得られたレジスト膜に、EUV露光機(型式「NXE3300」、ASML製、NA=0.33、照明条件:Conventional s=0.89、マスク:imecDEFECT32FFR02)を用いてEUV光を照射した。次いで、130℃で60秒間PEBを行った後、2.38質量%のTMAH水溶液を用い、23℃で30秒間現像しポジ型の32nmラインアンドスペースパターンを形成した。
[EUV露光及び有機溶媒現像によるレジストパターンの形成]
上記TMAH水溶液に代えて酢酸n-ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記アルカリ現像によるレジストパターンの形成と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
<評価>
感放射線性樹脂組成物の感度及びLWR性能を、形成されたレジストパターンについて高分解能FEB測長装置(日立ハイテクノロジーズ社の「CG5000」)で測定を行うことにより評価した。
[感度]
上記レジストパターンの形成において、32nmラインアンドスペースパターンを形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(mJ/cm)とした。感度は、小さい値ほど良好と評価できる。
[LWR性能]
上記形成した32nmラインアンドスペースパターンを、上記高分解能FEB測長装置を用い、パターン上部から観察した。線幅を任意のポイントで計50点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、この3シグマ値をLWR性能(nm)とした。LWR性能は、その値が小さいほど、線幅のバラつきが小さく良いことを示す。LWR性能は、5.5nm以下の場合は良好と、5.5nmを超える場合は不良と評価できる。
各レジストパターンの形成結果を下記表4に示す。
Figure 0007061268000037
表3、表4に示すように、実施例における感放射線性樹脂組成物は、電子線露光ならびにEUV露光を行った場合のいずれにおいても、露光工程における感度及びLWR性能が良好であった。これに対し、比較例における感放射線性樹脂組成物は、上述の性能のうちの少なくとも一部が良好でなかった。このように、本発明の実施例の感放射線性樹脂組成物によれば、電子線露光ならびにEUV露光の場合においても、感度、LWR性能に優れることがわかった。
以上説明したように、本発明の感放射線性樹脂組成物およびレジストパターン形成方法等によれば、EUV光、電子線、イオンビーム、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光等の250nm以下の波長を有する放射線をパターン露光光として用いた場合における感度やLWR性能等において優れた性能を発現することが可能である。本発明の感放射線性樹脂組成物およびレジストパターン形成方法等は、今後さらに微細化が進むフォトレジストプロセスに好適に用いることができる。

Claims (22)

  1. 基板上に直接又は間接に感放射線性樹脂組成物を塗布してレジスト膜を形成する工程(1)、
    前記レジスト膜を露光する工程(2)、及び、
    露光された前記レジスト膜を現像する工程(3)を含むレジストパターンの形成方法であって、
    前記感放射線性樹脂組成物は、
    フェノール性水酸基を有する構造単位(a1)及び環状構造を含む酸解離性基を有する構造単位(a2)を含む樹脂(A)、
    放射線の照射により下記式(1)で表される酸を発生する感放射線性酸発生剤(B)
    Figure 0007061268000038
    (式中、Rp1は、環構造を含む1価の基である。Rp2は、2価の連結基である。Rp3及びRp4は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1~20の1価の炭化水素基又は炭素数1~20の1価のフッ素化炭化水素基である。Rp5及びRp6は、それぞれ独立して、フッ素原子又は炭素数1~20の1価のフッ素化炭化水素基である。np1は、0~10の整数である。np2は、0~10の整数である。np3は、0~10の整数である。ただし、np1+np2+np3は、1以上30以下の整数である。np1が2以上の場合、複数のRp2は互いに同一又は異なる。np2が2以上の場合、複数のRp3は互いに同一又は異なり、複数のRp4は互いに同一又は異なる。np3が2以上の場合、複数のRp5は互いに同一又は異なり、複数のRp6は互いに同一又は異なる。)、
    下記式(2)で表される化合物(C)
    Figure 0007061268000039
    (式中、Ar及びArは、それぞれ独立して、炭素数6~18の芳香族炭化水素基であるか、又は、これらが有する水素原子の一部若しくは全部がR、Rによって置換された基である。R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、1価の鎖状炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、又は水酸基である。m及びnは、それぞれ独立して、0~17の整数である。mとnとの合計が2以上の場合、複数のR、Rは、互いに同一又は異なる。)、並びに、
    溶剤(D)を含む、レジストパターンの形成方法。
  2. 前記酸解離性基が、カルボキシ基の水素原子を置換する基である、請求項1に記載のレジストパターンの形成方法。
  3. 前記化合物(C)は下記式(3)で表される化合物
    Figure 0007061268000040
    (式中、R及びRは式(2)の定義と同様である。また、m及びnは、それぞれ独立して、0~5の整数である。mとnとの合計が2以上の場合、複数のR、Rは、互いに同一又は異なる。)、
    である、請求項1又は2に記載のレジストパターンの形成方法。
  4. m及びnのいずれも1以上の場合、前記R及びR(mが2以上の場合には、複数あるRのうち1つ。nが2以上の場合には、複数あるRのうち1つ。)が、いずれもスルホニル基に対してパラ位にある、請求項3に記載のレジストパターンの形成方法。
  5. 前記構造単位(a1)が、ヒドロキシスチレン由来の構造単位である、請求項1~4のいずれかに記載のレジストパターンの形成方法。
  6. 前記構造単位(a2)における環状構造が、脂環式構造である、請求項1~5のいずれかに記載のレジストパターンの形成方法。
  7. 前記樹脂組成物中における、前記化合物(C)の総含有量が、前記樹脂(A)100質量部に対し1~30質量部である、請求項1~6のいずれかに記載のレジストパターンの形成方法。
  8. 前記露光する工程で用いる放射線が、極端紫外線(EUV)、X線、又は、電子線(EB)である、請求項1~7のいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
  9. 上記工程(3)において、有機溶媒で現像してネガ型パターンを形成する、請求項1~8のいずれかに記載のレジストパターンの形成方法。
  10. 上記工程(3)において、アルカリ現像液で現像してポジ型パターンを形成する、請求項1~8のいずれかに記載のレジストパターンの形成方法。
  11. さらに、請求項1~10のいずれかに記載の方法により形成されたレジストパターンをマスクにして基板にパターンを形成する工程(4-1)を含む、基板の加工方法。
  12. さらに、請求項1~10のいずれかに記載の方法により形成されたレジストパターンをマスクにして金属膜を形成する工程(4-2)を含む、金属膜パターンの製造方法。
  13. フェノール性水酸基を有する構造単位(a1)及び環状構造を含む酸解離性基を有する構造単位(a2)を含む樹脂(A)、
    放射線の照射により下記式(1)で表される酸を発生する感放射線性酸発生剤(B)
    Figure 0007061268000041
    (式中、Rp1は、環員数6以上の環構造を含む1価の基である。Rp2は、2価の連結基である。Rp3及びRp4は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1~20の1価の炭化水素基又は炭素数1~20の1価のフッ素化炭化水素基である。Rp5及びRp6は、それぞれ独立して、フッ素原子又は炭素数1~20の1価のフッ素化炭化水素基である。np1は、0~10の整数である。np2は、0~10の整数である。np3は、0~10の整数である。ただし、np1+np2+np3は、1以上30以下の整数である。np1が2以上の場合、複数のRp2は互いに同一又は異なる。np2が2以上の場合、複数のRp3は互いに同一又は異なり、複数のRp4は互いに同一又は異なる。np3が2以上の場合、複数のRp5は同一又は異なり、複数のRp6は同一又は異なる。)、
    下記式(2)で表される化合物(C)
    Figure 0007061268000042
    (式中、Ar及びArは、それぞれ独立して、炭素数6~18の芳香族炭化水素基であるか、又は、これらが有する水素原子の一部若しくは全部がR、Rによって置換された基である。R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、1価の鎖状炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、又は水酸基である。m及びnは、それぞれ独立して、0~17の整数である。mとnとの合計が2以上の場合、複数のR、Rは、互いに同一又は異なる。)、並びに、
    溶剤(D)を含む、感放射線性樹脂組成物。
  14. 前記酸解離性基が、カルボキシ基の水素原子を置換する基である、請求項13に記載の感放射線性樹脂組成物。
  15. 前記化合物(C)は下記式(3)で表される化合物
    Figure 0007061268000043
    (式中、R及びRは式(2)の定義と同様である。また、m及びnは、それぞれ独立して、0~5の整数である。mとnとの合計が2以上の場合、複数のR、Rは、互いに同一又は異なる。)、
    である、請求項13又は14に記載の感放射線性樹脂組成物。
  16. m及びnのいずれも1以上の場合、前記R及びR(mが2以上の場合には、複数あるRのうち1つ。nが2以上の場合には、複数あるRのうち1つ。)が、いずれもスルホニル基に対してパラ位にある、請求項15に記載の感放射線性樹脂組成物。
  17. 前記構造単位(a1)が、ヒドロキシスチレン由来の構造単位である、請求項13~16のいずれかに記載の感放射線性樹脂組成物。
  18. 前記構造単位(a2)における環状構造が、脂環式構造である、請求項13~17のいずれかに記載の感放射線性樹脂組成物。
  19. 前記樹脂組成物中における、前記化合物(C)の総含有量が、前記樹脂(A)100質量部に対し1~30質量部である、請求項13~18のいずれかに記載の感放射線性樹脂組成物。
  20. 極端紫外線(EUV)、X線、又は、電子線(EB)で露光する工程に用いられる、請求項13~19のいずれかに記載の感放射線性樹脂組成物。
  21. 有機溶媒で現像してネガ型パターンを形成する工程に用いられる、請求項13~20のいずれかに記載の感放射線性樹脂組成物。
  22. アルカリ現像液で現像してポジ型パターンを形成する工程に用いられる、請求項13~20のいずれかに記載の感放射線性樹脂組成物。
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