JP7061155B2 - 3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)吸着用漆膜、及び消臭用具 - Google Patents
3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)吸着用漆膜、及び消臭用具 Download PDFInfo
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Description
また本発明は、有体物表面に形成された漆膜であって、漆成分が有する3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)を密封環境下で2時間静置した後の吸着率が97%以上であるような高吸着率で吸着し且つ当該吸着した状態を密封環境下で30分静置した後の脱着率が0.2%以下であるような低脱着率で保持する作用により、3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)による臭いを除去する機能を有する、3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)吸着用漆膜である。
また本発明は、有体物表面に形成された漆膜であって、漆成分が有する3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)を吸着し且つ当該吸着した状態を保持する作用により3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)による臭いを除去する機能を有すると共に、漆成分が有する白癬菌を減少させる作用により水虫を防止又は軽減する機能を有する、消臭機能をも備えた抗白癬菌用漆膜である。
また本発明は、有体物表面に形成された漆膜であって、漆成分が有する3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)を吸着する作用により3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)による臭いを除去する機能を有すると共に、漆成分が有する白癬菌を用いた抗菌性試験において抗かび活性値が3.2以上の高い抗かび性で白癬菌を減少させる作用により水虫を防止又は軽減する機能を有する抗白癬菌用漆膜である。
また本発明は、漆が表面に塗布され且つその内部の少なくとも一部にまで浸透している紙製シートから成る消臭用具であって、その表面及び内部に存在する漆成分が有する3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)を吸着し且つ当該吸着状態を保持する作用により3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)による臭いを除去する機能を有する消臭用具である。
また本発明は、漆が表面に塗布され且つその内部の少なくとも一部にまで浸透している木質板材から成る消臭用具であって、その表面及び内部に存在する漆成分が有する3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)を吸着し且つ当該吸着状態を保持する作用により3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)による臭いを除去する機能を有する消臭用具である。
また本発明は、漆が表面に塗布され且つその内部の少なくとも一部にまで浸透している紙製シートから成る消臭用具であって、その表面及び内部に存在する漆成分が有する白癬菌を減少させる作用により水虫を防止する機能を有すると共に、その表面及び内部に存在する漆成分が有する3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)を吸着し且つ当該吸着した状態を保持する作用により3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)による臭いを除去する機能を有する、水虫防止機能をも有する消臭用具である。
さらに本発明は、漆が表面に塗布され且つその内部の少なくとも一部にまで浸透している木質板材から成る消臭用具であって、その表面及び内部に存在する漆成分が有する白癬菌を減少させる作用により水虫を防止する機能を有すると共に、その表面及び内部に存在する漆成分が有する3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)を吸着し且つ当該吸着した状態を保持する作用により3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)による臭いを除去する機能を有する、水虫防止機能をも有する消臭用具である。
令和 2年5月12日
成績書
依頼者 あらい有限会社
依頼事項 定量分析、その他の分析
供試品 漆塗紙板4点
完了年月日 令和2年5月11日
本研究所に提出された上記試料について得られた結果は下記のとおりです。
<試験方法>
供試品について,依頼者の指定により以下の2つの試験を行った。
試験1
窒素置換した500ml三角フラスコに縦5cm×横2.5cmに裁断した試験片2枚と20g/1イソ吉草酸エタノール溶液5μlを加え密封し,20℃,65%r.h.の環境で2時間静置した。その後フラスコをよく振り混ぜ,内部のガスをガスタイトシリンジで1ml採取し,ガスクロマトグラフ質量分析計(以下GC-MS)で測定した。試験片を用いないブランク試験も同様に行い,以下の式(1)より試験片のイソ吉草酸に対する吸着率を求めた。なお,試験は2回実施した。
吸着率(%)=(Sb-Sm)/Sb×100 (1)
Sb:ブランク試験でのGC-MSピーク面積の平均値
Sm:試験片を用いた試験でのGC-MS ピーク面積の平均値
試験2
試験1に用いた試験片を清浄な500ml三角フラスコに速やかに移し,内部を窒素ガスで置換し密封した。20℃,65%r.h.の環境で30分静置し,試験1と同様の手順で測定を行った。以下の式(2)より、試験片からのイソ吉草酸脱着率を求めた。なお,試験は2回実施した。
脱着率(%)=sd/(Sb-Sm)×100 (2)
sd:試験2におけるGC-MSピーク面積の平均値
<試験結果>
試験成績証明書
依頼者名 あらい有限会社殿
品名 漆塗布板1点
試験項目 抗かび性試験
2020年4月13日提出の試料に対する試験結果は下記の通りです。
2020年4月30日
一般財団法人日本繊維製品品質技術センター
神戸試験センター 微生物ラボ
記
○試験結果 ・試験菌種:白癬菌
*抗菌性試験 JIS Z 2801(フィルム密着法)準用
試驗菌種:Trichophyton mentagrophytes NBRC32409(白癬菌)
かび胞子濃度:1.0×105spores/ml
胞子懸濁液接種量:0.4ml
ATP量測定方法*:発光測定法
胞子懸濁液調製溶液*:1/20SDB培地
培養条件*:25℃、95%RH、42時間
無加工試験片:ポリエチレンフィルム
*ATP量測定方法、胞子懸濁液調製溶液、培養条件はJIS L 1921(吸収法)に準ずる
○提出試料
貼付省略
*この証明書は、提出の試料に対する試験結果であり、ロット全体の品質を保証するものではありません。
*本証明書の全部又は一部の無断転用を固くお断りします。
次に本発明の実施形態1に係る消臭剤について説明する。本実施形態1による消臭剤は、漆を紙製又は木質等の対象物(有体物)の表面に塗布して比較的広い表面積を持たせたものである。このように、本実施形態1では、前記の対象物上に比較的広く塗布された漆が、周囲の空気中から臭い成分を含む粒子を効率的に吸着すると共にそれらを容易に脱着(離脱)・放出させることなく極めて長期間に渡り吸着したままの状態を保持できるようになる。このことは、上記漆の消臭作用に関する効果確認試験結果から明らかである(特に上記の表1など参照)。よって、本実施形態1によれば、従来の活性炭などを消臭のために使用する場合と異なり、極めて長期間に渡り消臭効果を持続させられるようになる。なお、本実施形態1において、漆が塗布される対象物である紙製又は木質の物質は、例えば建物の内壁板、柱、家具、置物なども含め、その種類及び形状を問わない。すなわち、本実施形態1は、漆を消臭作用の有効成分とし消臭を目的の1つとして製造又は販売されるものであれば全て含まれる。
次に本発明の実施形態2に係る、3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)吸着剤について説明する。例えば紙製シート又は木質板材などの各種物体に塗布された漆(すなわち漆が塗布された紙製シートなどの各種物体)が、3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)を吸着する作用を有すること、及び/又は3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)を吸着する作用を有するだけでなく当該吸着した3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)をほとんど脱着・放出させないで吸着したまま保持する作用を有することは、上記漆の消臭作用に関する効果確認試験結果から明らかである(特に上記の表1など参照)。よって、本実施形態2においては、紙製シート又は木質板材など様々な物体に塗布された漆(そして塗布された後に当該物体の内部に染み込んだ漆)が、臭い成分の代表的なものである3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)を含む粒子を、周囲の空気中から効率的に吸着し且つそれらを容易に脱着(離脱)させて放出させることなく、極めて長期間に渡り吸着したまま保持する。よって、本実施形態2によれば、従来の活性炭などを消臭のために使用する場合と異なり、極めて長期間に渡り消臭効果を持続させられるようになる。
次に本発明の実施形態3に係る、漆を塗布した紙製シート又は木質板材などを含む3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)吸着剤(抗かび作用・抗白癬菌作用をも有するもの)について説明する。本実施形態3では、漆が塗布された紙製シート又は木質板材などの各種物体を含んでいる。ところで、漆が塗布された紙製シートなどが、抗かび作用をも有すること、特に抗白癬菌作用を有することは、上記漆の抗かび作用に関する効果確認試験結果から明らかである(特に上記の表2など参照)。よって、本実施形態3においては、紙製シート又は木質板材などの物体に漆が塗布されているので、上記漆の抗かび作用に関する効果確認試験結果(特に上記表2参照)などから、前記様々な物体(例えば紙製シート又は木質板材など)に塗布された漆(そして塗布された後に当該物体の内部に染み込んだ漆)が、実施形態1,2と同様に臭い成分の代表的なものである3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)を含む粒子を周囲の空気中から効率的に吸着し且つそれらを容易に脱着(離脱)させて放出させることなく極めて長期間に渡り吸着したまま保持することができるが、それだけでなく、さらにカビ類を減少させる抗かび作用、特に白癬菌を減少させる抗白癬菌作用を発揮することもできる。よって、本実施形態3によれば、上記漆を塗布した紙製シート又は木質板材などにより、消臭作用、特に3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)吸着保持作用が長期間に渡り持続されるだけでなく、カビ類を減少させる抗かび作用、特に白癬菌を減少させる抗白癬菌作用が長期間に渡り発揮され、ユーザーが罹患する危険がある、カビ(特に白癬菌など)を原因とする水虫などの皮膚病の防止・低減にも大きく寄与できるようになる。
次に本発明の実施形態4に係る、漆を塗布した紙製シート又は木質板材を含む消臭用具について説明する。本実施形態4においては、漆が紙製シート又は木質板材(いずれもその内部には、漆が染み込むことができる微小な隙間が多数存在している)の表面に塗布(一回又は複数回だけ塗布)されており、且つ当該漆は前記シート又は板材の内部まで染み込んでいる(一般に、漆は、紙製シート又は木質板材の表面上に(下地膜を介することなく)1回又は複数回塗布されたときは、自然に(毛細管現象と浸透圧などにより)、当該紙製シート又は木質板材の内部深く、例えば当該紙製シート又は木質板材の表面から内部へ0.5mm以上、1mm以上、数mm以上、又は数十mm以上の深さまでも染み込むことができる)。ところで、例えば紙製シート又は木質板材などの各種物体に塗布された漆(すなわち漆が塗布された紙製シート又は木質板材などの各種物体)が、消臭作用を有すると共に、抗かび作用、特に抗白癬菌作用をも有することは、上記漆の消臭及び抗かび作用に関する効果確認試験結果から明らかである(特に上記の表1、表2など参照)。よって、本実施形態4によれば、漆を塗布した紙製シート又は木質板材などを含むことから、空気中(靴の内部などをも含む)において不快な臭いを発生させる3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)などの異臭成分を含む粒子を、従来の活性炭などを消臭のために使用する場合と異なり、効率的に吸着するだけでなくそれらを容易に脱着(離脱)・放出させることなく極めて長期間に渡り吸着したまま保持することができる。また、本実施形態4によれば、前述のように極めて長期間に渡って周囲の消臭効果を持続させることができるだけでなく、さらに、漆が有するカビ類を減少させる抗かび作用、特に白癬菌を減少させる抗白癬菌作用により、ユーザーが周囲の白癬菌の繁殖により水虫に罹患してしまうことをも、長期間に渡って防止できるようになる。また、本実施形態4では、前述のように、漆が塗布された紙製シート又は木質板材により消臭用具を構成したので、日常生活において極めて使い勝手の良い(紙製シート又は木質板材が日常生活上で使い勝手がよいことは明らかである)消臭用具を実現できるようになる。
次に、本実施形態5による靴消臭用具について説明する。本実施形態5においては、漆が塗布(一回又は複数回だけ塗布)された紙製シート又は木質板材により靴消臭用具を構成している。本実施形態5では、漆が紙製シート又は木質板材の表面に塗布(一回又は複数回だけ塗布)されているため、当該漆が前記紙製シート又は木質板材の内部まで染み込んでいる(一般に、漆は、紙製シート又は木質板材の表面上に(下地膜を介することなく)一回又は複数回塗布されたときは、自然に(毛細管現象と浸透圧などにより)、当該紙製シート又は木質板材の内部深く、例えば当該紙製シート又は木質板材の表面から内部へ0.5mm以上、1mm以上、数mm以上、又は数十mm以上の深さまでも染み込むことができる)。
さらに、本発明の実施形態6に係る靴消臭用具について説明する。本実施形態6は、前記本実施形態5と基本的構成は同一であるので、以下では前記字形5と異なる部分を中心に説明する。
2a,2b 漆
Claims (3)
- 有体物表面に形成された漆膜であって、漆成分が有する3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)を吸着し且つ当該吸着した状態を保持する作用により、3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)による臭いを除去する機能を有する、3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)吸着用漆膜。
- 漆が表面に塗布され且つその内部の少なくとも一部にまで浸透している紙製シートから成る消臭用具であって、その表面及び内部に存在する漆成分が有する3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)を吸着し且つ当該吸着状態を保持する作用により3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)による臭いを除去する機能を有する消臭用具。
- 漆が表面に塗布され且つその内部の少なくとも一部にまで浸透している木質板材から成る消臭用具であって、その表面及び内部に存在する漆成分が有する3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)を吸着し且つ当該吸着状態を保持する作用により3-メチルブタン酸(イソ吉草酸)による臭いを除去する機能を有する消臭用具。
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