JP3661095B2 - 消臭剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,服用し口臭をも安全に消臭でき,消臭作用が強く,容易に入手可能な,少なくとも消臭成分化合物である2-エチルヘキサノールを含有する消臭剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術の消臭剤は,各種の消臭剤があるが,服用し口臭をも安全に消臭でき,容易に入手可能な,植物製消臭剤としては,緑茶があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術の消臭剤で,服用し口臭をも安全に消臭でき,容易に入手可能な,植物製消臭剤としては,緑茶があったが,消臭作用が弱く,例えば,ニンニク等の特定の口臭を完全に消臭するには,多量の緑茶を服用しなければならない,問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決するために,本発明の消臭剤は,セリ( 学名:Umbelliferae) 科コエンドロ( 学名:Coriandrum) 属植物に属する,コリアンダー( 英名: Coriander,学名:Coriandrum Sativum L.) の原材料から,所定の抽出精製手段により消臭活性を示す成分を分離精製して得られた抽出画分からなるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の消臭剤の至適な実施形態は,セリ( 学名:Umbelliferae) 科コエンドロ( 学名:Coriandrum) 属植物であるコリアンダー(学名:Coriandrum Sativum L.)を原材料とし,生葉, 花, 茎, 根等の該植物全体から成る生体の該原材料から,所定の抽出精製手段により,消臭活性を示す消臭成分を分離して確保され,特定の物性・化学的特性を有する,消臭成分化合物を分離精製して得られた抽出画分からなるものである。
【0006】
すなわち,セリ(学名:Umbelliferae) 科コエンドロ(学名:Coriandrum) 属植物であるコリアンダー(学名:Coriandrum Sativum L.)の生葉,花,茎及び根を含む生体又はその乾燥体を原材料として,水又はエタノールを用いて溶媒抽出した抽出溶液を微極性ポーラスポリマーを用いて吸着濃縮し,水洗後,ジエチルエーテルにより成分を溶出し,このジエチルエーテル溶出液を薄層クロマトグラフィーにより分離精製して得られた抽出画分からなることを特徴とするものである。
【0007】
ここで抽出画分が,溶媒展開上端部の10/10分画に展開した溶出物であって,消臭活性を示す成分として同定により判明した化合物:2-エチルヘキサノール(化学式:CH3(CH2)3CH(C2H5)CH2OH)を含有するものである。
【0008】
また、本発明の消臭剤の他の実施形態として,セリ( 学名:Umbelliferae) 科コエンドロ( 学名:Coriandrum) 属植物を原材料とし,生葉, 花, 茎, 根等の該植物全体から成る生体の該原材料から,所定の裁断手段により確保され,固体形態である小片形状の生体に加工生成して使用することができる。
【0009】
さらに他の実施形態として,セリ( 学名:Umbelliferae) 科コエンドロ( 学名:Coriandrum) 属植物を原材料とし,生葉, 花, 茎, 根等の該植物全体から成る生体の該原材料を,乾燥し,そして粉末形状に粉砕する,所定の乾燥粉砕手段により確保され,固体形態である乾燥粉末に加工生成して使用することができる。上記のとおり,消臭活性を示す主要な消臭成分は,常温で液体状態の化合物:2-エチルヘキサノール(化学式:CH3(CH2)3CH(C2H5)CH2OH)であることが判明している。
【0010】
本発明の原材料であるセリ(学名:Umbelliferae) 科コエンドロ(学名:Coriandrum) 属植物として,具体的にはエンサイ(和名) とも呼ぶコリアンダー(英名:Coriander, 学名:Coriandrum Sativum L.) を用いる。
【0011】
このコリアンダーは,茎長が約60cm, 一次分枝は6-8 本あり,節数は12前後である。葉は羽状複葉であり,上部になるにしたがって葉の切り込みが深くなり,皮針形を呈する。複散形花序であり,3-6 本の大花柄に10-15 の小花柄があり,そこに小さな桃色がかった花が咲く。若菜には,独特の香りがあり,未熟な果実は,カメムシに似た異様な匂いがある。多くの国で,香辛野菜の一つとして食べられており,人体に対して,無害であり,外用や服用でも利用上,全く問題がない。
【0012】
本発明の消臭剤に係る所定の抽出精製手段は,先ず溶媒抽出工程(S1)において,セリ(学名:Umbelliferae) 科コエンドロ( 学名:Coriandrum) 属植物の原材料の生体及び乾物から,蒸留水で溶媒抽出できるが,エタノール等の有機溶媒を用いると抽出効率は増加する。この様にして,消臭成分を含有する,所定の抽出溶液を確保した該抽出溶液は,次に吸着工程(S2)において,ガスクロマトグラフ充填剤である,複数の微極性ポーラスポリマービーズを用いて,含有消臭成分を吸着濃縮し,次の成分溶出工程(S3)において,複数の該ビーズを,最初に蒸留水でよく水洗いし,そしてジエチルエーテルで溶出し,濃縮した該消臭成分を含有するジエチルエーテル溶出液を確保する。該ジエチルエーテル溶出液は,次に薄層クロマトグラフィー精製工程(S4)において,薄層プレートを用いて,該消臭成分を分離精製する。該薄層プレートは,ガラス板上にシリカゲルを被覆し,展開溶媒中に,該薄層プレート下端部を浸して,鉛直に立設し,そして該薄層プレートの展開溶媒液面から所定の高さに,水平に引いた原線を定め,該原線から該薄層プレート上端部近傍までを10等分に分画し,該原線上に,消臭成分を含有する該ジエチルエーテル溶出液を滴下する。該展開溶媒は,該薄層プレート下端より上端に向けて,毛細管現象によって展開すると共に,該原線上の消臭成分も,その親和性により,上部に展開する。各分画に含まれる,溶出成分の消臭活性を,所定の評価例で調べたところ,溶媒展開上端部(10/10分画,すなわちRf=1.0)に最も強い消臭活性が得られ,これらの成分は,ほとんど無臭である。この10/10分画のシリカゲルに含まれる消臭成分は,次に濾紙吸着工程(S5)において,同分画のシリカゲルを掻きとり,含有する該消臭成分をジエチルエーテルで溶出させ,そのジエチルエーテル溶出液を濾紙に滴下し,ジエチルエーテルを揮発させた後,該消臭成分を吸着した吸着濾紙を確保し,抽出物の消臭剤とする事も出来る。
【0013】
ところで,所定の抽出精製手段は,上記,薄層クロマトグラフィー精製工程(S4)の代わりに,ガス・クロマトグラフィー(GC)精製工程を用いる事も出来る。揮発性だからである。
【0014】
なお,本発明の消臭剤において,消臭活性を示す消臭成分として同定された化合物:2-エチルヘキサノール( 化学式:CH3(CH2)3CH(C2H5)CH2OH)は,常温で無色液体で,溶解度は,水に0.07%(25℃),そしてアルコール,エーテル等多くの有機溶剤に溶け,蒸気圧:0.048 kPa, 引火点73℃を有する物理・化学的性質を持ち,気化した2-エチルヘキサノールが,高い感覚的消臭作用を有し,瞬時に人間の悪臭への感知を鈍らす作用を有する。
【0015】
本発明における化合物:2-エチルヘキサノールの同定手段は,抽出精製手段の薄層クロマトグラフィー精製工程(S4)において,薄層プレートを用いて,溶媒展開上端部(10/10分画,すなわちRf=1.0)の最も強い消臭活性成分を再溶出後,分取GC試料とし,分取ガスクロマトグラフ(GC)分析において,液相が所定の極性を有するキャピラリカラムの注入口から注入し,搬送ガスと共に該キャピラリカラムに流入させ,該試料に含有する成分は,該キャピラリカラム中の液相との親和性の高低によって,該キャピラリカラムから流出する時間が異なり分離でき,流出成分は,所定の割合で,検出器と補集用カラムに流入し,該検出器では,含有成分の濃度検出を行い,分取GC分析スペクトルで同時に確保される成分は,所定の時間の分画で該補集用カラム内で補集し,各分画に含まれる成分は,消臭検定試料とし,その消臭活性を,所定の評価例で調べた結果,特定の分画に強力な消臭活性が認められ,該分画に含まれる特定の成分を,ガスクロマトグラフ(GC)- 質量分析(MS)にて同定し,該成分の消臭成分化合物は,2-エチルヘキサノールであると同定する事が出来る。
【0016】
なお,本発明のコリアンダー乾燥粉末の約1gで,2-エチルヘキサノールの10μg重量に相当する,同等の消臭作用を認めた。
【0017】
本発明の消臭剤は,豚臓器の悪臭,おろしニンニク臭,ニンニク食後の口臭,歯槽膿漏などの口臭,糞便臭,オムツの悪臭,生ゴミ臭,魚臭,そしてキッチン臭及び体臭等への消臭効果の評価結果を通じて,従来技術の消臭剤である緑茶に較べて,著しい消臭作用を有する。
【0018】
本発明の消臭剤は,身近かに在り,安価に入手が容易で,人体に無害で服用することもできるので安全性を有し,且つその消臭作用は,含有する消臭成分化合物:2-エチルヘキサノールに起因し,無臭で,高い感覚的消臭作用を有し,瞬時に人間の悪臭への感知を鈍らす作用を有し,従来技術の消臭剤である緑茶の約数千倍の消臭作用を有する。
【0019】
本発明の消臭剤は,歯槽膿漏等の口臭を,所定の時間,消臭できる作用を有する。
【0020】
本発明の消臭剤は,腋臭や足の臭い,その他の体臭等に対して,著しい消臭作用を有する。
【0021】
本発明の消臭剤は,冷蔵庫臭も含むキッチン臭に対して,著しい消臭作用を有する。
【0022】
本発明の消臭剤は,消臭成分をゼラチンで固め,グミ等のお菓子状にしたものを食べることにより,各種の口臭が消臭できる作用を有する。
【0023】
【実施例】
本発明の実施例及び参考異例について,実験的事実に基づき添付図面を参照して以下説明する。ここで,図1は,消臭剤として使用した試料分類の説明図であって,試料1(参考例),試料2(参考例),試料3(実施例)及び試料4(参考例),並びに比較試料の詳細を示すものである。図2は,実施例消臭剤である試料3の抽出精製に係る工程フロー図である。図3は,使用した消臭剤の評価例に用いた消臭効果評価基準を示す説明図である。図4は,使用した消臭剤の評価例1である,おろしニンニク食後の口臭への消臭評価を示す説明図である。図5は,使用した消臭剤の評価例2である,生ゴミ臭への消臭評価を示す説明図である。図6は,実施例消臭剤(試料3)におけるコリアンダー抽出物の分取ガスクロマトグラフ分析スペクトルである。図7は,(A)コリアンダー抽出化合物の質量分析スペクトル(図6のβ分画成分中のa成分)及び(B)化合物:2-エチルヘキサノールの質量分析スペクトルである。
【0024】
図1に示すように,試料1の参考例消臭剤の使用形態は,セリ(学名:Umbelliferae) 科コエンドロ(学名:Coriandrum) 属植物に属する,エンサイ( 和名) とも呼ぶコリアンダー( 英名:Coriander, 学名:Coriandrum Sativum L.) を原材料(1)とし,その生葉の該原材料から,所定の裁断手段により確保した,幅:数mm程度の小片形状の生体からなるものである。
【0025】
また,試料2の参考例消臭剤の使用形態は,図1に示すように,セリ(学名:Umbelliferae) 科コエンドロ( 学名:Coriandrum) 属植物に属する,エンサイ( 和名) とも呼ぶコリアンダー(英名:Coriander, 学名:Coriandrum Sativum L.) を原材料とし,生葉, 花, 茎, 根等の該植物全体から成る生体の該原材料を乾燥し,そして粉末形状に粉砕する,所定の乾燥粉砕手段により確保した,径:0.1-2 mm程度の乾燥粉末からなるものである。
【0026】
また,試料3の実施例消臭剤の使用形態は,図1に示すように,セリ(学名:Umbelliferae) 科コエンドロ(学名:Coriandrum) 属植物に属する,エンサイ(和名) とも呼ぶコリアンダー(英名:Coriander, 学名:Coriandrum Sativum L.) を原材料とし,生葉, 花, 茎, 根等の該植物全体から成る生体の該原材料から,所定の抽出精製手段により消臭活性を示す消臭成分を分離して確保し,特定の物性・化学的特性を有する,濾紙に吸着した消臭成分化合物として確保することができる。
【0027】
また,試料4の参考例消臭剤の使用形態は,図1に示すように,常温で液体状態の化合物:2-エチルヘキサノール(化学式:CH3(CH2)3CH(C2H5)CH2OH)である。ここでは,本発明における消臭活性を示す消臭成分としてすでに同定さているため,含有量:99%以上の市販の薬品を使用した。
【0028】
上記の試料1(参考例),試料2(参考例),試料3(実施例),そして試料4(参考例)の消臭効果を評価するために,図1に示すように,従来技術による比較例の比較試料を同時に評価し,消臭効果を比較した。該比較試料は,従来技術により広く知られた,消臭活性を示す緑茶フラボノイドを含有する,緑茶乾燥粉末を使用した。
【0029】
ここで,本発明の至適な実施例である試料3の消臭剤の所定の抽出精製手法を説明しておく。図2に示すように,先ず溶媒抽出工程(S1)において,コリアンダー( 英名:Coriander, 学名:Coriandrum Sativum L.) の原材料(1)の生体及び乾物から蒸留水で,溶媒抽出できるが,エタノール等の有機溶媒を用いると抽出効率は増加する。この様にして,消臭成分を含有する,所定の抽出溶液(2)を確保した。
【0030】
抽出溶液(2)は,次に吸着工程(S2)において,ガスクロマトグラフ充填剤である,Ethylvin-ylbenzeneとDivinylbenzeneをベースにした,複数の微極性ポーラスポリマービーズを用いて,含有消臭成分を吸着収集し,次の成分溶出工程(S3)において,複数の該ビーズを,最初に蒸留水でよく水洗いし,そしてジエチルエーテルで溶出し,濃縮した該消臭成分を含有するジエチルエーテル溶出液を確保する。
【0031】
ジエチルエーテル溶出液は,次に薄層クロマトグラフィー精製工程(S4)において,薄層プレートを用いて,該消臭成分を分離精製する。該薄層プレートは,ガラス板(20cm 正方形状) 上にシリカゲルを被覆し,展開溶媒(容積比として,ペンタン:ジエチルエーテル=8:2)中に,該薄層プレート下端部を浸して,鉛直に立設し,そして該薄層プレートの展開溶媒液面から約2cmの高さに,水平に引いた原線を定め,該原線から該薄層プレート上端部近傍までを10等分に分画し,該原線上に,消臭成分を含有する該ジエチルエーテル溶出液を滴下する。該展開溶媒は,該薄層プレート下端より上端に向けて,毛細管現象によって展開すると共に,該原線上の消臭成分も,その親和性により,上部に展開する。各分画に含まれる,溶出成分の消臭活性を,所定の評価例で調べたところ,溶媒展開上端部(10/10分画,すなわちRf=1.0)に最も強い消臭活性が得られた。これらの成分は,ほとんど無臭である。
【0032】
上記の10/10分画(Rf=1.0)のシリカゲルに含まれる消臭成分は,次に濾紙吸着工程(S5)において,同分画のシリカゲルを掻きとり,含有する該消臭成分をジエチルエーテルで溶出させ,そのジエチルエーテル溶出液を濾紙(2cmx4cm) に滴下し,ジエチルエーテルを揮発させた後,該消臭成分を吸着した吸着濾紙(3)を確保した。
【0033】
参考までに,コリアンダーの主要な消臭成分の同定方法について説明しておく。
【0034】
図2に示すように,抽出精製手段の薄層クロマトグラフィー精製工程(S4)において,薄層プレートを用いて,溶媒展開上端部(10/10分画,すなわちRf=1.0)の最も強い消臭活性成分を,ジエチルエーテル:15 ml を用いて再溶出後,約50μl まで濃縮し,分取GC試料とし,分取ガスクロマトグラフ(GC)分析に供した。該分取GC試料を,液相が所定の極性を有するキャピラリカラムの注入口から,注入し,該注入口で気化された試料は,搬送ガス:He と共に該キャピラリカラムに流入する。該試料に含有する成分は,該キャピラリカラム中の液相との親和性の高低によって,該キャピラリカラムから流出する時間が異なり,親和性の高い成分は遅く,親和性の低い成分は早く流出する。流出成分は,1:20の割合で,水素炎イオン化(FID) 検出器と補集用カラムに流入する。FID 検出器では,含有成分の濃度検出が行われ,図6に示す様な,分取GC分析スペクトルを確保する。該分取GC分析スペクトルで同時に確保される成分は,所定の時間の分画( 例えば,図6のα, β, γ等の分画) で,該補集用カラム内で補集する事が出来る。該補集用カラム内で補集した各分画に含まれる成分は,ジエチルエーテルで流し出し,消臭検定試料とし,その消臭活性を,所定の評価例で調べた。この結果,図6に示すβ分画に強力な消臭活性が認められた。このβ分画に含まれる成分:a及びb を,再び分取GC分析して分離し,所定の評価例で調べたところ,a 成分が強力な消臭効果を有していた。次に,a 成分を,ガスクロマトグラフ(GC)- 質量分析(MS)にて,同定したところ,図7(A)に示す,質量分析スペクトルを確保した。このa 成分の質量分析スペクトルは,図7(B)に示す,2-エチルヘキサノールの質量分析スペクトルの主要質量数ピーク並びにその分岐比とも一致した。従って,該a 成分の消臭成分化合物は,2-エチルヘキサノールであると同定した。なお,b 成分は,カプリンアルデヒド( 英名:decanal, 化学式:CH3(CH2)8CHO)と判明し,消臭効果は認められなかった。
【0035】
試料1(参考例),試料2(参考例),試料3(実施例),そして試料4(参考例)の消臭効果を評価するために,従来技術による比較例の比較試料を同時に評価し,消臭効果を,複数の評価者が,図3に示すように,消臭効果評価基準記載の評価内容に対応する,評価点数を基に評価し,その平均値を四捨五入した整数を,評価結果として採用した。
【0036】
試料1(参考例),試料2(参考例),試料3(実施例),そして試料4(参考例),そして比較例の比較試料の評価例1は,図4に示すように,おろしニンニク食後の口臭への消臭評価を目的とし,検体者を21歳男性4人とし,該検体者におろしニンニク5gを添加したコンソメ(0.5g固形)スープ100ml(約85℃)を全量飲ませる。30分後,8人(21─25歳迄の,男性4人,女性4人の合計8人)の評価者が,直接該検体者の口元から20cm離れた位置で,強く吐き出す呼気の臭いを嗅ぎ,呼気中に含まれるニンニク臭の強度を記憶した後,該検体者に,試料1(参考例):コリアンダー生葉1g,試料2(参考例):コリアンダー乾燥粉末1g,試料3(実施例):コリアンダー生葉2gから抽出精製手段により,抽出精製した,消臭成分を吸着した吸着濾紙(3),試料4(参考例):2-エチルヘキサノール:10μl そして比較試料:緑茶粉末1gを服用させ,30分後に,該評価者が再び,該検体者の呼気の臭いを嗅ぎ,コリアンダーのニンニク臭への消臭効果を評価した。図4の評価例1が示す様に,従来技術の比較試料:緑茶粉末に較べて,コリアンダーを原材料とする試料1(参考例),試料2(参考例),試料3(実施例),そして2-エチルヘキサノールの試料4(参考例)は,著しい消臭効果を示した。
【0037】
試料1(参考例),試料2(参考例),試料3(実施例),そして試料4(参考例),そして比較例の比較試料の評価例2は,図5に示すように,生ゴミ臭への消臭評価を目的とし,一般家庭6軒から生ゴミ用袋に,ほぼ満杯になった生ゴミに直接,試料1(参考例):コリアンダー生葉1g,試料2(参考例):コリアンダー乾燥粉末2g,試料3(実施例):コリアンダー生葉2gから抽出精製手段により,抽出精製した,消臭成分を吸着した吸着濾紙(3),試料4(参考例):2-エチルヘキサノール:10μl そして比較試料:緑茶粉末2gを添加し,上記と同じように,8人の評価者が臭いを嗅ぎ,消臭効果を評価した。図5の評価例2が示す様に,従来技術の比較試料:緑茶粉末に較べて,試料1(参考例),試料2(参考例),試料3(実施例),そして試料4(参考例)は,著しい消臭効果を示した。
【0038】
試料2(参考例),試料4(参考例)そして比較例の比較試料の評価例3は,これらの消臭効果比の評価を目的とし,100ml のビーカに,おろしニンニク1gを入れ,試料2(参考例):コリアンダー乾燥粉末,試料4(参考例):2-エチルヘキサノール,そして比較試料:緑茶粉末を,1ngから100mgまで,7通りの重量を変えて添加し,添加30分後のニンニク臭を,8人の評価者が臭いを嗅ぎ,消臭効果を評価した。消臭効果比の評価によれば,試料2(参考例):コリアンダー乾燥粉末の10μgに相当する,同等の消臭効果を付与する,比較試料:緑茶粉末の重量は,約50mgであった。従って,試料2(参考例):コリアンダー乾燥粉末:重量当たりの消臭効果は,比較試料:緑茶粉末:重量当たりの消臭効果の約5000倍であった。更に,試料4(参考例):2-エチルヘキサノールの100ngに相当する,同等の消臭効果を付与する,試料2:コリアンダー乾燥粉末の重量は,約10mgであった。従って,試料2(参考例):コリアンダー乾燥粉末:1g重量当たりの消臭効果は,試料4(参考例):2-エチルヘキサノール:10μg重量当たりの消臭効果とほぼ同等であった。
【0039】
【発明の効果】
本発明は,以上説明した様な形態で実施され,以下に記載される様な効果を有する。
【0040】
本発明の消臭剤は,身近かに在り,安価に入手が容易で,人体に無害で服用することもできるので安全性を有し,且つその消臭作用は,含有する消臭成分化合物:2-エチルヘキサノールに起因し,無臭で,高い感覚的消臭作用を有し,瞬時に人間の悪臭への感知を鈍らす効果を有し,そして豚臓器の悪臭,おろしニンニク臭,ニンニク食後の口臭,歯槽膿漏などの口臭,糞便臭,オムツの悪臭,生ゴミ臭,魚臭,そしてキッチン臭及び体臭等に対し,従来技術の消臭剤である緑茶に較べて,著しい消臭効果を有する。
【0041】
本発明の消臭剤は,歯槽膿漏等の口臭を,所定の時間,消臭できる効果を有する。
【0042】
本発明の消臭剤は,腋臭や足の臭い,その他の体臭等に対して,著しい消臭効果を有する。
【0043】
本発明の消臭剤は,冷蔵庫臭も含むキッチン臭に対して,著しい消臭効果を有する。
【0044】
本発明の消臭剤は,消臭成分をゼラチンで固め,グミ等のお菓子状にしたものを食べることにより,各種の口臭が消臭できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 消臭剤として使用した試料分類の説明図であって,試料1(参考例),試料2(参考例),試料3(実施例)及び試料4(参考例),並びに比較試料の詳細を示すものである。
【図2】 実施例消臭剤である試料3の抽出精製に係る工程フロー図である。
【図3】 使用した消臭剤の評価例に用いた消臭効果評価基準を示す説明図である。
【図4】 使用した消臭剤の評価例1である,おろしニンニク食後の口臭への消臭評価を示す説明図である。
【図5】 使用した消臭剤の評価例2である,生ゴミ臭への消臭評価を示す説明図である。
【図6】 実施例消臭剤(試料3)におけるコリアンダー抽出物の分取ガスクロマトグラフ分析スペクトルである。
【図7】 (A)コリアンダー抽出化合物の質量分析スペクトル(図6のβ分画成分中のa成分)及び(B)化合物:2-エチルヘキサノールの質量分析スペクトルである。
【符号の説明】
1 原材料
2 抽出溶液
3 吸着濾紙
Claims (2)
- セリ(学名:Umbelliferae) 科コエンドロ(学名:Coriandrum) 属植物であるコリアンダー(学名:Coriandrum Sativum L.)の生葉,花,茎及び根を含む生体又はその乾燥体を原材料として,水又はエタノールを用いて溶媒抽出した抽出溶液を微極性ポーラスポリマーを用いて吸着濃縮し,水洗後,ジエチルエーテルにより成分を溶出し,このジエチルエーテル溶出液を薄層クロマトグラフィーにより分離精製して得られた抽出画分からなり,該抽出画分が,溶媒展開上端部の10/10分画に展開した溶出物であることを特徴とする消臭剤。
- 溶出物が,消臭活性を示す成分として同定により判明した化合物:2-エチルヘキサノール(化学式:CH3(CH2)3CH(C2H5)CH2OH)を含有するものである請求項1記載の消臭剤。
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